説明

情報記録媒体及び光ピックアップ装置

【課題】 簡易な工程において量産可能な多層型の情報記録媒体、及び、この情報記録媒体に対する情報の記録再生に用いる光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】 多層ディスクDKの第0記録層L0に対して螺旋状のグルーブトラックGT及びランドトラックLTを交互に形成すると共に、多層ディスクDK上におけるアドレス等を管理するためのLPP(ランドプリピット)を形成し、更に、第1記録層L1については略平滑な面とした構成とする。第1記録層L1に対するデータの記録時には、第0記録層L0に設けられたグルーブトラックGTを用いつつトラッキング補正を行うと共に、第0記録層L0に設けられたLPPを用いてアドレス管理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、各種情報を記録可能な光ディスク等の情報記録媒体及び、この情報記録媒体に対する情報の記録及び再生に用いる光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からDVD(Digital Versatile Disc)±R若しくはDVD±RW等のデータの書き込み可能な光ディスクの中には、各種データの記録される記録層が1層のみ形成された単層ディスクの他に、複数の記録層を有する多層ディスクが存在している(例えば、特許文献1)。また、この多層ディスクは、スタンパディスクを用いて各記録層に対応する基板を作成して、当該基板上にGe−Te−Sb等の相変化記録材料や色素材料を積層し、更に反射膜を積層した後、各基板を張り合わせることにより製造されている。
【特許文献1】特開2003−338056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の多層ディスクは各記録層に対するデータ記録を実現すべく、各記録層上にグルーブトラックとランドトラックと呼ばれる凹凸状のトラックやランドプリピット(以下、「LPP」という。)を同心円状または螺旋状に形成し、これらのトラック位置を各記録層間において高精度に一致させた構成が採用されている。このため、上記基板の張り合わせ時に各記録層の面内位置を高精度に一致させると共に、光ディスク回転時の各層の回転中心位置を合わせて偏芯の発生を防止することが必要となる。この結果、従来、3層、4層といった多層ディスクを製造することが困難となり、また、製造コストの削減も実現困難となっていた。
【0004】
本願は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その課題の一例としては、簡易な工程において量産可能な多層型の情報記録媒体、及び、この情報記録媒体に対する情報の記録再生に用いて好適な光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上説明した課題を解決するため、本願の一つの観点において請求項1に記載の情報記録媒体は、厚み方向に複数の記録層が形成され、前記記録層に光ビームを照射することにより情報を記録又は再生する情報記録媒体であって、少なくとも一の前記記録層には前記情報記録媒体に対する前記情報の記録又は再生を制御するための制御情報が記録され、他の少なくとも一の前記記録層には前記制御情報が記録されていないことを特徴とする。
【0006】
また、本願の他の観点において、請求項9に記載の光ピックアップ装置は、複数の記録層を有する情報記録媒体に光ビームを照射すると共に、その反射光を受光し、データの記録及び再生を行う光ピックアップ装置であって、前記光ビームを照射する光ビーム出力手段と、前記光ビームを少なくとも二の前記記録層に集光可能な集光手段と、少なくとも一の前記記録層からの前記反射光を受光する受光手段と、前記受光した反射光に基づいてトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成手段と、前記トラッキングエラー信号に基づいて前記集光手段を制御して、前記光ビームの前記記録層における集光点を変位させる集光点変位手段と、を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[1]本願にかかる多層ディスクの構成
まず、本願にかかる多層ディスクの具体的な説明に入る前に、本発明の基になる基本発想について説明すると次のようになる。すなわち、従来の多層ディスクにおいて3層、4層といった多層化を困難にし、更に、製造コストの上昇を引き起こしている大きな要因が各記録層の位置合わせを高精度にて行う必要性があり一定の精度が確保できないときは製品不良が生じる可能性があるという点である。従って、かかる観点からは、各記録層にグルーブトラック等のトラックやLPPを設けず、略平滑なミラー面として形成し、各記録層の位置合わせを不要とすることが望ましいといえる。
【0008】
その一方、多層ディスクを単にミラー面として形成した場合、多層ディスク内におけるトラック位置の特定、或いは、アドレス管理が不可能となり、当該ディスクに対するデータの記録が不可能となってしまう。従って、複数存在する記録層の内、少なくとも、1層に関しては、グルーブトラック及びランドトラックを設けてトラック位置を特定できる状態にすると共に、当該多層ディスク内におけるアドレス管理を行いうるようにし、更にミラー面として形成された記録層に関しては当該トラック及びLPPを利用してデータの記録及び再生を行う必要性がある。
【0009】
そこで、本願においては、例えば、図1のように多層ディスクDKの第0記録層L0に対してのみ螺旋状のグルーブトラックGT及びランドトラックLTを交互に形成すると共に、多層ディスクDK上におけるアドレス等を管理するためのLPPを形成し、更に、第0記録層以外の記録層(図1に示す場合、第1記録層L1)については略平滑な面とした構成を採用することとした。これにより、第0記録層L0と第1記録層L1との間の位置合わせの必要性が排除され、また、多層ディスクDK内における各トラックの面内位置を特定し、更には、第1記録層L1におけるアドレス管理も可能となる。なお、本願においては第1記録層L1からグルーブトラックGT等を排除した構成を採用したため、当然、従来と同様の方法により第1記録層L1に対するデータ記録を行うことはできなくなるが、この記録方法については、次節において詳述することとする。
【0010】
次に、このような概略構成を有する多層ディスクDKの具体的な構成について図1を参照しつつ説明する。まず、この多層ディスクDKは、第0記録層L0用のディスクAと、第1記録層L1用のディスクBとを、例えば、ホットメルトタイプの接着剤により張り合わせて構成されている。これらのディスクA及びBの内、第0記録層L0用のディスクAは、第0層用の基板X上に誘電体層11、第0層相変化記録層12及び第0層反射膜13を順に積層し、この第0反射膜13上に保護層14を設けて構成され、第1記録層L1用のディスクBは、略平滑な基板Y上に第1層反射膜18、第1層相変化記録層17、誘電体層16を積層し、当該誘電体層16上に保護層15を設けて構成されている。
【0011】
これらのディスクA及びBを構成する基板X及びYは、共にポリカーボネイトやポリメチルメタクリレート等の合成樹脂により形成され、基板Xについてはウォブリングの施された溝と共に当該溝間の凸状部に対して所定の間隔にてピット(孔)が形成されている。なお、この基板X上の溝は、上記第0層相変化記録層12等が積層されることにより、第0記録層L0のグルーブトラックGTとして機能するものであり、ピットは、第0記録層のLPP(ランドプリピット)として機能し、このLPPにより多層ディスクDKにおけるアドレス等の各種データが記録、管理されることとなる。
【0012】
なお、「特許請求の範囲」における「制御情報」は、例えば、このグルーブトラックGT、ランドトラックLT、LPPやグルーブトラックGTに施したウォブリング等のデータに対応している。
【0013】
一方、基板X及びY上に積層される第0層相変化記録層12及び第1層相変化記録層17は、例えば、カルコゲナイド系材料等(Ge−Te−Sb等)の相変化記録材料により構成され、照射された光ビームのエネルギー量に応じて相変化(アモルファス−結晶間)を生じる。
【0014】
次いで、第0層反射膜13は、第0層相変化記録層に対して金等の材料をスパッタリングすることにより形成された半透明反射膜(反射率25〜30%程度)であり、第1層反射膜18は、基板Yに対してアルミニウム等の材料をスパッタリングすることにより形成された反射膜(反射率70〜80%程度)となっている。
【0015】
このように、この多層ディスクDKは、第1記録層L1にグルーブトラックGT及びランドトラックLT、LPPが設けられていないため、各第0記録層L0と第1記録層L1の位置合わせを行わずに簡易な工程により製造することが可能となる。また、第1記録層L1を略平滑な面に形成した場合、基板Yに溝等の加工を施す必要性が無く、製造コストの削減を図ることも可能となる。
【0016】
なお、3層、4層といった多数の記録層を有する多層ディスクDKを作成する場合、図1におけるディスクBと同様のディスクを複数作成し、複数枚張り合わせるようにすれば良い。また、上記においては、相変化記録層12及び17を積層した多層ディスクDK(例えば、DVD±RW等)の構成例について説明したが、相変化記録層12及び17に代えて色素記録層を設けることにより、色素型の多層ディスクDKを製造することも可能である。
【0017】
以上のように構成された多層ディスクDKに対するデータの記録は、第0記録層L0に関しては従来の多層ディスクと同様の方法により実現されるのに対し、第1記録層L1に関しては以下に説明する方法を用いて第0記録層L0に設けられたトラックGT及びLT、更にはLPPを用いて実現されることとなる。
【0018】
[2]本願にかかる情報記録再生装置
次に、上記多層ディスクDKに対するデータの記録及び再生を行うための情報記録再生装置の実施形態について説明することとする。
【0019】
[2.1]第1実施形態
[2.1.1]第1実施形態の概要
まず、本願にかかる情報記録再生装置の第1の実施形態の概要について図2を参照しつつ説明する。なお、図2は本実施形態にかかる情報記録再生装置RPの構成を示すブロック図である。
【0020】
まず、同図に示すように本実施形態にかかる情報記録再生装置RPは、信号処理部SPと、レーザ駆動回路Dと、LPP検出回路LPDと、第0記録層エラー検出回路ED0と、第1記録層エラー検出回路ED1と、制御部Cと、フォーカスサーボ回路FSと、スイッチSWと、DPDトラッキングサーボ回路DPDSと、DPPトラッキングサーボ回路DPPSと、液晶ドライブ回路LCDと、再生部Pと、ピックアップPUと、を有すると共に、この光ピックアップPUは、対物レンズが設けられたアクチュエータ部101と、λ/4板102と、液晶グレーティング103と、集光レンズ104と、偏光性シリンドリカルレンズ105と、ホログラム素子106と、光源107と、第0記録層用ディテクタ108と、第1記録層用ディテクタ109と、を有しており、大別して以下の2つの機能を実現する。
【0021】
データ記録機能
上記多層ディスクDKに対するデータの記録。
【0022】
データ再生機能
上記多層ディスクDKの第0記録層L0及び第1記録層L1に記録されているデータの同時再生及び記録層L0及びL1の何れか一方に記録されているデータの単独再生。
【0023】
なお、「特許請求の範囲」における「光ビーム出力手段」は、例えば、光源107に対応し、「集光手段」は、例えば、アクチュエータ部101の対物レンズや液晶グレーティング103、液晶ドライブ回路LCDに対応し、「受光手段」は、例えば、両ディテクタ108及び109、ホログラム素子106に対応している。また、「トラッキングエラー信号生成手段」は、例えば、DPDトラッキングサーボ回路DPDSとDPPトラッキングサーボ回路DPPSに対応し、「集光点変位手段」は、例えば、アクチュエータ部101に対応している。
【0024】
ここで、この情報記録再生装置RPの上記各機能を実現するための動作原理について簡単に説明する。
【0025】
(1)データ記録機能の動作原理
この情報記録再生装置RPにおいて第0記録層L0にデータを記録する際の動作原理については従来のDVDレコーダ等と同様であるため、以下においては、第1記録層L1にデータを記録する際の動作原理について説明する。まず、上述のように本願において多層ディスクDKの第1記録層L1は略平滑なミラー面として形成されておりトラックGT、LT及びLPPが設けられていないため、従来の方法により第1記録層L1にデータを記録しようとしても第1記録層L1のどの位置に対し、どのようにしてデータを記録すればよいのかを特定することができない。
【0026】
そこで、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPを用いて第1記録層L1にデータを記録する場合、光ピックアップPUに設けられた光源107から光ビームを出力し、この光ビームを光ピックアップPU内に設けられた液晶グレーティング103により0次光と+1次光に回折させ、この結果得られる0次光を第0記録層L0に、+1次光を第1記録層L1に、夫々、集光する構成を採用している。換言するならば、この情報記録再生装置RPにおいては第0記録層L0及び第1記録層L1の各々に対して光ビームが同時に照射されるのである。なお、かかるグレーティングを用いた2焦点式の光ピックアップに関する参考文献としては「DVD光ヘッド」(水野定夫、細美哲雄「光技術コンタクトVol36,No6,1998」 日本オプトメカトロニクス協会)や「DVD用光ピックアップ」(水野定夫、田中伸一「O plus E No199(1996.6)」株式会社新技術コミュニケーションズ)がある。
【0027】
そして、両記録層L0及びL1における反射光(以下、各々「0次反射光」及び「+1次反射光」という)を各々異なるディテクタ108及び109において独立に受光し、第0記録層L0からの反射光に基づいてアドレス管理を行うと共に、トラッキングサーボ及びフォーカスサーボを行いつつ、第1記録層L1に対するデータの書き込みを行う。
【0028】
ここで、かかる構成を採用する場合、次の2つの課題を解決することが必須となる。
【0029】
課題1
まず、上記構成を採用する場合の1つ目の課題は、0次光と+1次光を如何にして第0記録層L0及び第1記録層L1に集光させるかということである。すなわち、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいては、光ピックアップPUのアクチュエータ部101に設けられている1つの対物レンズを用いて0次光と+1次光の双方のフォーカスサーボを行う構成が採用されているため、多層ディスクDKの層間距離が変化してしまうと0次光と+1次光の双方を各記録層L0及びL1に適切に集光させることができなくなってしまうのである。
【0030】
そこで、この情報記録再生装置RPにおいては、第1記録層L1に対するデータの記録時に、
(A)アクチュエータ部101を用いて0次光のフォーカスサーボを行い、第0記録層L0に対する0次光のフォーカスを最適な状態にさせると共に(以下、このフォーカスが最適な状態を「ジャストフォーカス状態」という)、
(B)この状態を維持しつつ、液晶グレーティング103において格子間隔を変更することにより+1次光の回折角度を変化させ、対物レンズを透過した+1次光との焦点距離を変動させて、第1記録層L1に対する+1次光のフォーカスをジャストフォーカス状態にさせる制御を行う(以下、この制御を「ジャストフォーカス制御」という)。
【0031】
そして、このジャストフォーカス制御により両記録層L0及びL1に対する各光ビームの照射状態をジャストフォーカス状態とした後に、第1記録層L1に対するデータの記録を開始し、データ記録中のトラッキングサーボ及びフォーカスサーボについては第0記録層L0からの反射光を用いて実現する一方、アドレス管理についても第0記録層L0からの反射光に含まれるLPP信号成分を用いて実現するのである。
【0032】
課題2
もう一つの課題は0次反射光と+1次反射光とを如何にして分光し、各反射光を第0記録層用ディテクタ108及び第1記録層用ディテクタ109に導くかということである。この問題の解決方法としては、幾つかの方法が考えられるが、本実施形態においては以下に説明する方法を採用するものとして説明を行い、他の実現方法については後述する変形例の項において説明を行うこととする。
【0033】
まず、第0記録層L0からの0次反射光の波面と、第1記録層L1からの+1次反射光の波面は、互いに微妙に角度の異なる光束として光ピックアップPU内の光路を光源107に向かって戻る性質を有している。そこで、本実施形態においては、この0次反射光と+1次反射光の僅かな広がり角度の違いを検出して、ホログラム記録したホログラム素子106(すなわち、0次反射光の波面に対応したホログラムと、+1次反射光の波面に対応したホログラムが設けられたホログラム素子106)を0次反射光及び+1次反射光が光源107に戻る光路上に配置し、このホログラム素子106を用いて2光束に分離し、0次反射光と+1次反射光とを第0記録層用ディテクタ108及び第1次記録層用ディテクタ109に導くのである。
【0034】
(2)データ再生機能の動作原理
このデータ再生機能の内、第0記録層L0及び第1記録層L1の各々に記録されているデータの単独再生の動作原理については従来のDVDプレーヤ等と同様であるため、以下においては複数層に記録されたデータの同時再生を行う場合の動作原理について説明する。
【0035】
まず、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいて第0記録層L0及び第1記録層L1に記録されたデータを同時再生する場合、光源107から出射された光ビームを液晶グレーティング103において回折させ、0次光を第0記録層L0に、+1次光を第1記録層L1に各々集光させる。そして、第0記録層用ディテクタ108における0次反射光の受光結果に基づいて第0記録層L0に記録されたデータの再生を行うと共に、第1記録層用ディテクタ109における+1次反射光の受光結果に基づいて第1記録層L1に記録されているデータの再生を行うこととなる。
【0036】
なお、この際においても、情報記録再生装置RPにおいてはジャストフォーカス制御が実行される点、及び、ホログラム素子106により0次反射光と+1次反射光を分光して受光する点については上記「データ記録機能」において説明した場合と同様である。また、この状態におけるトラッキングサーボ及びフォーカスサーボを何れの反射光の受光結果に基づいて実現するのかは任意であるが、本実施形態においては0次反射光の受光結果に基づいてトラッキングサーボ及びフォーカスサーボを行うものとして説明を行う。
【0037】
[2.1.2]第1実施形態の具体的構成
以上、簡単に本実施形態にかかる情報記録再生装置RPの機能及び動作原理について説明したが、以下、かかる機能を実現するための情報記録再生装置RPの具体的な構成について説明する。
【0038】
まず、信号処理部SPは、入力端子を有しており、制御部Cによる制御の下、この端子を介して外部から入力されたデータに信号処理を施してレーザ駆動回路Dに出力する。
【0039】
レーザ駆動回路Dは主として増幅回路により構成され、信号処理部SPから入力された信号を増幅した後、光ピックアップPUの光源107に供給する。この駆動回路Dにおける増幅率は信号処理部SPにより制御され、光ディスクDKにデータを記録する場合には、光ピックアップPUから光ディスクDKに相変化を生じさせることができるエネルギー量(以下、「記録パワー」という)の光ビームが出力されるように増幅率が制御される。一方、光ディスクDKに記録されているデータを再生する場合、光ディスクDKにおいて相変化が生じないエネルギー量(以下、「再生パワー」という)の光ビームが光ピックアップPUから出力されるように増幅率が制御される。
【0040】
フォーカスサーボ回路FSは、第0記録層用ディテクタ108及び第1記録層用ディテクタ109から出力される検出信号に基づいてフォーカスエラー信号を生成し、この生成したフォーカスエラー信号に基づき補正量を算出し、アクチュエータ部101に駆動電力を供給する。また、フォーカスサーボ回路FSは、上記ジャストフォーカス制御を実現すべく、制御部Cから供給される制御信号に従ってアクチュエータ部101に駆動信号を供給する。なお、フォーカスサーボ回路FSにおいてフォーカスサーボを行う具体的な方式については任意であるが、本実施形態においては、偏光性シリンドリカルレンズ105を用いた非点収差法によりフォーカスサーボを行うものとする。
【0041】
DPPトラッキングサーボ回路DPPSとDPDトラッキングサーボ回路DPDSは、共に光ピックアップPUから供給される受光信号に基づいてアクチュエータ部101におけるトラッキングサーボを制御するための回路である。両トラッキングサーボ回路DPPS及びDPDSは、各々、トラッキングエラー信号を取得するために採用する方式が異なっており、DPPトラッキングサーボ回路DPPSは差動プッシュプル方式により、DPDトラッキングサーボ回路DPDSはDPD(Differential Phase Detection)方式によりトラッキングエラー信号を生成する。
【0042】
ここで、差動プッシュプル方式とは、光検出器(図2の場合、第0記録層用ディテクタ108)を2つの領域に分割し、両領域における受光状態の差分をとってトラッキングエラー信号を生成する方式であり、DPD方式とは、ヘテロダイン方式とも呼ばれ、光検出器を4つの領域に分割し、対角線上の領域の和信号どうしの位相差信号によりトラッキングエラー信号を生成する方式である。このDPD方式は、ピットの深さに対する影響が少ない方式でありデータ再生時に最適な方法である一方、記録層L0及びL1に形成されたピット形状をも加味してトラッキングエラー信号が取得されるため、未記録の状態では利用することができず、ディスクDKにデータが記録された状態でのみ利用可能である。これに対して、差動プッシュプル方式では、第0記録層L0上のピットの存在が不要であるため、未記録の多層ディスクDKに対するデータ記録時に用いることが可能となっている。
【0043】
そこで、本実施形態においては、多層ディスクDKに対するデータ記録時にはDPPトラッキングサーボ回路DPPSを用いると共に、データ再生時にはDPDトラッキングサーボ回路DPDSを用いることとしている。かかる機能を実現すべく、本実施形態においては各サーボ回路DPPS及びDPDSからのアクチュエータ部101に対する駆動信号の供給を切り換えるスイッチSWを設け、多層ディスクDKに対するデータの記録時及び再生時においてスイッチSWの接続先を切り換える方法を採用することとした。
【0044】
なお、差動プッシュプル方式は、疑似補正の発生を抑制するため回折格子により回折された0次光及び±1次光の3ビームが用いられる。従って、第0記録層用ディテクタ108には、差動プッシュプル方式とDPD方式の双方を実現するため、4つの領域に分割されたメインのディテクタと、当該メインディテクタの左右に2つのサブディテクタを設けることが必要となる。また、第1記録層L1に対してデータを記録する場合、第1記録層L1に集光される+1次光とは別個に、±1次光の第0記録層L0における反射光をサブディテクタにおいて受光する構成を採用することが必要となる(以下、混乱を避けるためトラッキング用の±1次光を「トラッキング用光ビーム」と呼ぶ)。
【0045】
次いで、液晶ドライバ回路LCDは、制御部Cによる制御の下、光ピックアップPU内の液晶グレーティング103を駆動する。LPP検出回路LPDは、第0記録層用ディテクタ108と接続されており、第0記録層用ディテクタ108から供給される受光信号からLPP信号成分を抽出して、当該LPP信号に基づいて第0記録層L0におけるアドレスを特定すると共に、この特定されたアドレスを制御部Cに出力する。
【0046】
第0記録層エラー検出回路ED0は第0記録層L0に対する0次光のフォーカス状態、第1記録層エラー検出回路ED1は第1記録層L1に対する+1次光のフォーカス状態を判定し、当該判定結果に応じたエラー信号を制御部Cに出力する。そして、制御部Cは、これら両エラー検出回路ED0及びED1から出力されるエラー信号に基づいて上記ジャストフォーカス制御を行う。
【0047】
なお、両エラー検出回路ED0及びED1におけるエラー信号の出力手法は任意である。例えば、次のような方法を採用するようにしても良い。
方法a)光源から出力される光ビームに対する受光信号の振幅の最大値を初期設定としてメモリしておき、当該最大値と入力値との差分値を示すエラー信号を出力する。
方法b)エラーレートに対応した電圧値のエラー信号を出力する。
方法c)両ディテクタ108及び109から供給される信号に基づきアイパターンを求め当該アイパターンの劣化状態に基づいてジッタを求めて、当該ジッタ量に対応するエラー信号を出力する。
【0048】
再生部Pは、出力端子を有しており、制御部Cによる制御の下、第0記録層用ディテクタ108及び第1記録層用ディテクタ109から供給される受光信号に対応したデータを出力端子に出力する。
【0049】
制御部Cは、主としてCPU(Central Processing Unit)により構成され、情報記録再生装置RPの各部を制御する。例えば、多層ディスクDKの第1記録層L1に対してデータを記録する場合、或いは、第0記録層L0及び第1記録層L1に記録されたデータの同時再生を行う場合、制御部Cは、第0記録層用エラー検出回路ED0及び第1記録層用エラー検出回路ED1から供給されるエラー信号に基づいてジャストフォーカス制御を実現するための処理を行った後、データ記録、或いは、データ再生のための処理を実行する。なお、この際の具体的な動作については後述する。
【0050】
次に、光ピックアップPUは、レーザ駆動回路Dから供給される駆動信号に基づいて光ディスクDKに対して光ビームを照射し、光ディスクDKに対するデータの記録及び再生を行うために用いられる。
【0051】
この光ピックアップPUを構成するアクチュエータ部101は、上述した対物レンズと当該対物レンズの配置位置を変更するための駆動機構とを有しており、フォーカスサーボ回路FS、或いは、DPPトラッキングサーボ回路DPPS、DPDトラッキングサーボ回路DPDSから供給される信号に従って、対物レンズの配置位置をフォーカス方向及びトラッキング方向に移動させる。
【0052】
液晶グレーティング103は、主として液晶パネルにより構成され、光源107から出力された光ビームを回折し、0次光及び±1次光を得るための回折格子として作用する。なお、この液晶グレーティング103の具体的な構成については、次節にて詳述する。
【0053】
集光レンズ104は、シリンドリカルレンズ105において非点収差を与えられた反射光をホログラム素子106に集光させる。光源107はレーザ駆動回路Dから供給される信号に基づいて、例えば、P偏光された光ビームを出力する。偏光性シリンドリカルレンズ105は、メインアクチュエータ部101の対物レンズを透過して入射される0次反射光及び+1次反射光に対して非点収差を与える。この偏光性シリンドリカルレンズ105は、所定方向に直線偏光(例えば、P偏光)された光を、そのまま透過する一方、他の方向に直線偏光(例えば、S変更)された光に対して非点収差を与えるようになっている。
【0054】
ホログラム素子106は、例えば、SiO2や高分子バルク等の材料により構成され、多層ディスクDKにおける0次反射光と+1次反射光とを分光し、各々第0記録層用ディテクタ108及び第1記録層用ディテクタ109に集光させる。
【0055】
第0記録層用ディテクタ108及び第1記録層用ディテクタ109は、例えば、フォトダイオードにより構成され、各々、ホログラム素子106により分光された0次反射光及び+1次反射光を受光して、対応する受光信号を出力する。
【0056】
なお、偏光性シリンドリカルレンズ105、ホログラム素子106、光源107、第0記録層用ディテクタ108及び第1記録層用ディテクタ109は、1ユニットのホログラムレーザ(以下、単に「HR」という)として構成しても良い。この場合における構成例に関しては、例えば、「集積回路内蔵型高速ホログラムユニット」(上村真一、石黒永孝、他7名 社団法人電子情報通信学会 TECHNICAL REPORT OF IEICE ICD96-118)や、「高速・高密度光ディスク用超薄型ホログラムユニット」(高須賀祥一、井島新一、他3名 社団法人電子情報通信学会 TECHNICAL REPORT OF IEICE.EMD98-43,CPM98-91,OPE98-64)等に記載されている。
【0057】
[2.1.3]液晶グレーティングの具体的な構成
次に、図3(a)及び(b)を参照しつつ、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいて利用される液晶グレーティング103の具体的な構成について説明する。なお、図3(a)は、本実施形態にかかる液晶グレーティング103の構成を示す模式図であり、図3(b)は、グレーティングの回折角度の変化に伴う焦点距離の変化を示す図である。
【0058】
同図に示すように本実施形態にかかる液晶グレーティング103は、透明基板を間隙をもって張り合わせ、両基板間に複屈折効果を生じる液晶材料を充満して構成される。この基板上には、各々、半径の異なる複数の輪形透明電極a-k(k=1,2,・・・,n、以下、単に「電極a-k」)が設けられ、各電極a-kは、全て、同一の幅tをもって形成されている。
【0059】
これら各電極a-kは中心点を点Xとして、各々間隔Tをもって配置されており、各電極a-kに対して電圧を印加することにより、電極a-kの配置された領域を透過する光ビームと、電極a-kの設けられていない領域を透過する光ビームとの間に位相差を生じさせる。この結果、各電極a-kに電圧が印加された状態において液晶グレーティング103は、間隔Tを格子間隔dとする回折格子として作用することとなる。
【0060】
ここで、液晶グレーティング103における1次光の回折角度θは、
sinθ=Nλ/d・・・・(1)
(但し、N:屈折率、λ:波長、d:格子間隔)により定まることから、屈折率N及び光ビームの波長λが固定されている状態においては、格子間隔dを変更することにより回折角度θを変更できることとなる。このため、本実施形態において液晶ドライブ回路LCDは各電極a-kに対して電圧を印加するか否かを変更し、この結果、各電極a-kに対して、例えば、1つおきに電圧を印加すると格子間隔dがt+2T、2つおきに電圧を印加すると格子間隔dが2t+3T、に制御される。
【0061】
このようにして、回折角度θが変化すると、+1次光の光路が、図3(b)における点線の状態から鎖線の状態に変化し、0次光の焦点位置から+1次光の焦点位置までの距離が変化する結果、上記ジャストフォーカス制御が実現されることとなるのである。なお、このような円形グレーティングを用いて回折光を得る方法に関しては、上述した「DVD用光ピックアップ」(水野定夫、田中伸一「O plus E No199(1996.6)」株式会社新技術コミュニケーションズ)に述べられている。
【0062】
[2.1.4]第1実施形態にかかる情報記録再生装置の動作
次に、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPの動作について、(1)多層ディスクDKに対するデータ記録時、(2)多層ディスクDKに記録されたデータの再生時、の順に説明する。
【0063】
(1)データ記録時の動作
まず、ユーザが図示せぬ入力部に対してデータを記録する旨の入力操作を行うと、制御部Cは、図4及び図5に示す処理を開始する。この処理において、制御部Cは、まず、データの記録対象となる記録層が第0記録層L0であるか否かを判定し(ステップSa1)、「yes」と判定した場合、従来の手法に従って第0記録層L0に対するデータの記録処理を行い(ステップSa23)、処理を終了する。
【0064】
具体的には、この際、制御部Cは、スイッチSWを端子bに接続させ、DPPトラッキングサーボ回路DPPからアクチュエータ部101に対するラインをONにすると共に、液晶ドライブ回路LCDに対して制御信号を出力して液晶グレーティング103を回折格子として作用させ、0次光及びトラッキング用光ビームを発生させる。また、制御部Cは、信号処理部SPに対して制御信号を出力し、入力端子in(信号処理部SP)に入力されたデータに対応する駆動信号を出力させ、この結果、当該出力された駆動信号が駆動回路Dにおいて増幅された後、光源107へと供給されて、光源107から記録パワーの光ビームが出力される。一方、光源107から出力された光ビームは、液晶グレーティング103において回折され、λ/4板102において円偏光された後、0次光及びトラッキング用光ビームが第0記録層L0に集光され、この結果、当該データに対応したピットが第0記録層L0に順次形成されていくこととなる。
【0065】
このようにして、第0記録層L0に対するデータの記録が開始されると、第0記録層用ディテクタ108においては多層ディスクDKの第0記録層L0からの反射光が順次受光され、当該反射光に対応した検出信号が順次DPPトラッキングサーボ回路DPPS及びフォーカスサーボ回路FSに供給される。DPPトラッキングサーボ回路DPPS及びフォーカスサーボ回路FSにおいては、この検出信号に基づいてトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号が生成され、この結果、アクチュエータ部101においてトラッキング補正及びフォーカス補正が行われることとなる。
【0066】
これに対して、ステップSa1において記録対象となる記録層が第1記録層L1であるものと判定された場合(「no」)、制御部Cは、ジャストフォーカス制御を行うための処理を実行する(ステップSa2〜Sa17)。具体的には、制御部Cは、液晶ドライブLCDに対して制御信号を出力する(ステップSa2)。この結果、液晶ドライブ回路LCDにより液晶グレーティング103が駆動され、光源107から出力された光ビームが0次光及び1次光に回折される状態に変更されることとなる。
【0067】
この際の液晶グレーティング103における、0次光及び+1次光の光量比は任意である。しかし、データ記録時に光源107から記録パワーの光ビームを出力した場合、0次光の光量を多くしてしまうと、当該0次光により第0記録層L0において相変化が生じてしまう。このため、この際における光量比は0次光対+1次光の比において、1対10〜20程度とすることが望ましい。なお、0次光及び+1次光の回折効率は、液晶グレーティング103における格子部分の屈折率を変化させることにより変更できるものであるため、この際、液晶ドライブ回路LCDは、各電極a-kに印加すべき電圧値を変更することにより回折効率を制御する。
【0068】
次いで、制御部Cは、記録層L0及びL1の各々に照射される光ビームの調整を行うべく、信号出力部SPに対して制御信号を出力し、光源107から再生用の光ビーム(再生パワー)が出力されるように制御を行う(ステップSa3)。この結果、信号処理部SPから所定の駆動信号が出力され、当該駆動信号がレーザ駆動回路Dにおいて増幅された後、光源107に供給される。
【0069】
このようにして、光源107に対する駆動信号の供給が行われると、光源107から再生パワーの光ビームが出力され、ホログラム素子106、偏光性シリンドリカルレンズ105、集光レンズ104、を透過して、液晶グレーティング103に照射される。そして、この光ビームが液晶グレーティング103において0次光及び+1次光に回折され、λ/4板102により円偏光された後、アクチュエータ部101の対物レンズによって多層ディスクDKに集光される。この際、対物レンズに入射した0次光は第0記録層L0に集光されると共に、+1次光は第1記録層に集光されることとなる。
【0070】
一方、対物レンズによって第1記録層L0及び第1記録層L1に集光された0次光及び+1次光は、各記録層L0及びL1に設けられた反射膜13及び18により反射され、0次反射光及び+1次反射光として対物レンズを透過し、λ/4板102において直線偏光された後、液晶グレーティング103、集光レンズ104を透過し、偏光性シリンドリカルレンズ105において非点収差を与えられる。そして、両反射光は、ホログラム素子106へと入射した後、ホログラム素子106により分光されて、各々、第0記録層用ディテクタ108及び第1記録層用ディテクタ109に受光される状態となる。
【0071】
このようにして、0次反射光及び+1次反射光が各々、第0記録層用ディテクタ108及び第1記録層用ディテクタ109に受光される状態になると両エラー検出回路ED0及びED1からエラー信号が出力される状態となる。ここで、両エラー検出回路ED0及びED1におけるエラー信号の出力手法は上記のように任意である。
【0072】
次いで、制御部Cは、第1記録層エラー検出回路ED1からのエラー信号を非アクティブにすると共に、第0記録層エラー検出回路ED0からのエラー信号をアクティブにした後(ステップSa4)、フォーカスサーボ回路FSを制御してアクチュエータ部101の対物レンズをフォーカス方向に所定量移動させる(ステップSa5)。この結果、第0記録層用ディテクタ108における0次反射光の受光状態が変化し、第0記録層エラー検出回路ED0から出力されるエラー信号が変化することとなる。
【0073】
一方、制御部Cは、この間、第0記録層エラー検出回路ED0から出力されるエラー信号の変化状態を監視し、第0記録層L0に対する0次光のフォーカス状態がジャストフォーカス状態(すなわち、最適な状態)にあるか否かを判定する(ステップSa6)。そして、この判定において「no」と判定した場合には、制御部Cは前回のフォーカスサーボによりフォーカス状態が改善された否かを判定する(ステップSa7)。この際、制御部Cが判定を行う方法は、第0記録層エラー検出回路ED0におけるエラー信号の出力方法により異なり、上記(方法a)〜(方法c)に対して、それぞれ、
上記(方法a)の方法を採用している場合
エラー信号により示される差分値が増加した場合集光状態が悪化したものと判定し、減少した場合集光状態が改善したものと判定する
上記(方法b)の方法を採用している場合
エラー信号により示されるエラーレートが増大した場合集光状態が悪化したものと判定し、減少した場合改善されたものと判定する
上記(方法c)の方法を採用している場合
エラー信号により示されるジッタ量が増加した場合集光状態が悪化したものと判定し、減少した場合改善されたものと判定する。
【0074】
そして、この判定において、「yes」と判定した場合、制御部Cは前回のサーボ方向と同一の方向に対してフォーカスの微調整を行うのに対し(ステップSa8)、「no」と判定した場合、前回のサーボ方向と反対の方向にフォーカスの微調整を行う(ステップSa9)。その後、制御部Cは0次光がジャストフォーカス状態となるまでステップSa6〜Sa9の処理を繰り返す。
【0075】
このようにして、0次光がジャストフォーカス状態となるとステップSa6における判定が「yes」となり、制御部Cは、第1記録層L1に対する所定データの試し書きを行うべく、信号処理部SPに対して制御信号を出力し、光源107から出力される光ビームの光量を記録パワーに上昇させる(ステップSa10)。この結果、多層ディスクDKの第1記録層L1に照射される+1次光の光量が記録パワーに変化し、第1記録層L1に対するデータの試し書きが行われることとなる。
【0076】
この記録パワーによる光ビームの照射状態を所定時間続けた後、制御部Cは、再度、信号処理部SPに対して制御信号を出力し、光源107から出力される光ビームの光量を再生パワーに低減させる(ステップSa11)。そして、制御部Cは、第1記録層用エラー検出回路ED1からのエラー信号のみをアクティブに切り換え(ステップSa12)、液晶ドライブ回路LCDに対し制御信号を出力する(ステップSa13)。この結果、液晶ドライブ回路LCDによって液晶グレーティング103の格子間隔が変更されて、+1次光の回折角度が変更され、+1次光の焦点距離と第1記録層エラー検出回路ED1から出力されるエラー信号が変化することとなる。
【0077】
次に、制御部Cは、第1記録層エラー検出回路ED1から出力されるエラー信号に基づき第1記録層L1に対する+1次光のフォーカス状態がジャストフォーカス状態にあるか否かを判定し(ステップSa14)、同ステップにおいて「no」と判定した場合、制御部Cは前回の格子間隔変更によりフォーカス状態が改善された否かを判定する状態となる(ステップSa15)。そして、制御部Cは、このステップSa15における判定結果に応じ、次のような制御を行う。
【0078】
「yes」と判定した場合
この場合、前回、格子間隔を増大させる方に制御を行っていた場合には、更に格子間隔を増大させるように制御を行い、減少させるように制御を行っていた場合には、更に、減少させるように制御を行う(ステップSa16)。
【0079】
「no」と判定した場合
この場合、前回、格子間隔を増大させる方に制御を行っていた場合には、逆に格子間隔を減少させる方に制御を行い、減少させるように制御を行っていた場合、増大させるように制御を行う(ステップSa17)。
【0080】
その後、+1次光がジャストフォーカス状態となるまで、ステップSa14〜Sa17の処理が繰り返され、ジャストフォーカス状態となると(ステップSa14「yes」)、制御部Cは、LPP検出回路LPDに対して制御信号を出力し、0次光の検出結果に基づいて第0記録層L0におけるアドレスを取得させる(ステップSa18)。この結果、LPP検出回路LPDにおいては第0記録層用ディテクタ108から供給される受光信号からLPP信号が抽出され、当該LPP信号に基づいて第0記録層L0におけるアドレスが取得される。
【0081】
次いで、制御部Cは、データの記録対象となっている多層ディスクDKがパラレルディスクであるか否かを判定し(ステップSa19)、この判定において「yes」と判定した場合、制御部CはLPP検出回路LPDから供給されるアドレスを、そのまま、第1記録層L1のアドレスに設定して、当該アドレスを示すアドレス情報を生成する(ステップSa20)。これに対して、記録対象となっている多層ディスクDKがオポジットディスクである場合、制御部CはステップSa19において「no」と判定し、LPP検出回路LPDから供給されたアドレスを第1記録層L1上におけるものに変換し、当該変換後のアドレスを示すアドレス情報を生成する(ステップSa21)。
【0082】
ここで、パラレルディスクとは第0記録層L0における記録方向(例えば、多層ディスクDKの内周側から外周側)と第1記録層L1における記録方向が同一の多層ディスクDKを意味し、オポジットディスクとは記録方向が反対(例えば、第0記録層L0が内周側から外周側の記録方向を有する場合に、第1記録層L1が外周側から内周側の記録方向を有する場合)になる多層ディスクDKを意味している。
【0083】
なお、データの記録対象となる多層ディスクDKがオポジットディスクである場合に、制御部Cがアドレスを変換する方法については任意であり、例えば、第0記録層L0におけるアドレスを第1記録層L1におけるアドレスに変換するための変換テーブルを設け、この変換テーブルを用いてアドレスの変換を行うようにしても良い。
【0084】
以上の処理が完了し、第1記録層L1におけるアドレスを示すアドレス情報が生成されると、制御部Cは、第1記録層L1に対するデータの記録処理を実行して(ステップSa22)、処理を終了する。
【0085】
このステップSa22における第1記録層L1へのデータ記録処理において制御部Cは、まず、スイッチSWにおける接続先を端子bに切り換え、DPPトラッキングサーボ回路DPPSからアクチュエータ部101に対するラインをONにする。次いで、制御部Cは、生成したアドレス情報に基づいて光ピックアップPUのスレッドコントロールを行い、当該アドレス情報に対応する多層ディスクDK上の位置まで光ピックアップPUを移動させる。そして、多層ディスクDKのデータ記録位置が特定されると、制御部Cは、信号処理部SPに対してアドレス情報を付加した制御信号を出力し、入力端子in(信号処理部SP)に入力されたデータに対応する駆動信号を出力させる。
【0086】
一方、信号処理部SPにおいては、制御部Cから供給されるアドレス情報に基づいて第1記録層L1における各セクタのセクタ番号や当該セクタに対応するアドレスが決定され、第1記録層L1に記録するデータに対応した駆動信号が出力される。この信号処理部SPから出力された駆動信号は駆動回路Dにおいて増幅された後、光源107へと供給されて、光源107から記録パワーの光ビームが出力されることとなる。そして、光源107から出力された光ビームは、液晶グレーティング103において回折され、+1次光が第1記録層L1に集光される結果、第1記録層L1に、順次、データが記録されていくこととなる。
【0087】
これに対して、0次光は第0記録層L0に集光されて、第0記録層L0において反射された後、0次反射光として第0記録層用ディテクタ108に受光される。そして、0次反射光が受光されると、第0記録層用ディテクタ108から当該反射光に対応した検出信号が順次DPPトラッキングサーボ回路DPPS及びフォーカスサーボ回路FSに供給される。DPPトラッキングサーボ回路DPPS及びフォーカスサーボ回路FSにおいては、この検出信号に基づいてトラッキングエラー信号及びフォーカスエラー信号が生成され、この結果、アクチュエータ部101においてトラッキングサーボ及びフォーカスサーボが行われることとなる。
【0088】
(2)データ再生時の動作
次に、多層ディスクDKに記録されたデータの再生時における動作を説明する。なお、本実施形態にかかる多層ディスクDKの各記録層L0及びL1に記録されたデータを各層毎に再生する際の動作は従来の多層ディスク再生装置と同様であるため、詳細は省略し、第0記録層L0及び第1記録層L1に記録されているデータを同時に再生する場合について説明する。
【0089】
まず、ユーザが図示せぬ入力部に対してデータの同時再生を行う旨の入力操作を行うと、制御部Cは、図6に示す処理を開始する。この処理において、制御部Cは、まず、液晶ドライブ回路LCDに対して制御信号を出力する(ステップSb1)。この結果、液晶ドライブ回路LCDにより液晶グレーティング103が駆動され、光源107から出力された光ビームが0次光及び+1次光に回折される状態に変更されることとなる。この際、制御部Cは、0次光と+1次光の光量比が1対1になるように液晶ドライブ回路LCDを制御する。
【0090】
次いで、制御部Cは、両記録層L0及びL1の各々に照射される光ビームの調整を行うべく、光源107から再生パワーの光ビームが出力されるように信号出力部SPを制御する(ステップSb2)。この結果、光源107から再生パワーの光ビームが出力され、液晶グレーティング103において0次光及び+1次光に回折され、アクチュエータ部101の対物レンズによって0次光が第0記録層L0に、+1次光が第1記録層L1にそれぞれ集光されることとなる。
【0091】
一方、対物レンズによって第1記録層L0及び第1記録層L1に集光された0次光及び+1次光は、各記録層L0及びL1に設けられた反射膜13及び18により反射され、0次反射光及び+1次反射光として、各々第0記録層用ディテクタ108及び第1記録層用ディテクタ109に受光される状態となる。
【0092】
このようにして、0次反射光及び+1次反射光が各々ディテクタ108及び109に受光されると両エラー検出回路ED0及びED1からエラー信号が出力される。ここで、両エラー検出回路ED0及びED1におけるエラー信号の出力手法は、上記ごとく任意である。
【0093】
次いで、制御部Cは、第1記録層エラー検出回路ED1からのエラー信号を非アクティブにすると共に、第0記録層エラー検出回路ED0からのエラー信号をアクティブにした後(ステップSb3)、フォーカスサーボ回路FSを制御してアクチュエータ部101の対物レンズをフォーカス方向に所定量移動させ(ステップSb4)、第0記録層L0に対する0次光のフォーカス状態が最適の状態、すなわち、ジャストフォーカス状態にあるか否かを判定する(ステップSb5)。そして、この判定において「no」と判定した場合、制御部Cは前回のフォーカスサーボによりフォーカス状態が改善された否かを判定し(ステップSb6)、「yes」と判定した場合、制御部Cは前回のサーボ方向と同一の方向に対してフォーカスの微調整を行うのに対し(ステップSb7)、「no」と判定した場合、前回のサーボ方向と反対の方向にフォーカスの微調整を行う(ステップSb8)。その後、制御部Cは、0次光がジャストフォーカス状態となるまでステップSb5〜Sb8の処理を繰り返す。
【0094】
次に、0次光がジャストフォーカス状態となりステップSb5における判定が「yes」となると、制御部Cは、第1記録層用エラー検出回路ED1からのエラー信号のみをアクティブに切り換え(ステップSb9)、液晶ドライブ回路LCDに対し制御信号を出力して、液晶グレーティング103の格子間隔を変更させる(ステップSb10)。そして、第1記録層エラー検出回路ED1から出力されるエラー信号に基づき第1記録層L1に対する+1次光のフォーカス状態がジャストフォーカス状態にあるか否かを判定し(ステップSb11)、同ステップにおいて「no」と判定した場合、制御部Cは前回の格子間隔変更によりフォーカス状態が改善された否かを判定する状態となる(ステップSb12)。
【0095】
次いで、制御部Cは、上記図5のステップSa15〜ステップSa17と同様に、ステップSb12における判定結果に応じて、液晶ドライブ回路LCDに対して制御信号を出力して、液晶グレーティング103における格子間隔を変更させる(ステップSb13及び14)。
【0096】
その後、+1次光がジャストフォーカス状態になるまで、ステップSb11〜Sb14の処理を繰り返し、ジャストフォーカス状態となると制御部Cは、第0記録層L0及び第1記録層L1に記録されたデータの再生処理を実行し(ステップSb15)、再生処理が完了した時点で処理を終了する。
【0097】
この再生処理に際して、制御部Cは、再生部Pに対して制御信号を出力し、第0記録層用ディテクタ108及び第1記録層用ディテクタ109から供給される検出信号(RF信号)を外部に出力させる。また、この際、制御部Cは、スイッチSWにおける接続先を端子aに切り換え、DPDトラッキングサーボ回路DPDからアクチュエータ部101に対するラインをONにする。この結果、順次、第0記録層用ディテクタ108から出力される受光信号に基づいて、フォーカスサーボが行われると共に、DPD方式によるトラッキングサーボが行われることとなる。
【0098】
このようにして、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPは、光ビームを照射する光源107や液晶グレーティング103と、この光ビームを少なくとも二の前記記録層に集光させる対物レンズと、少なくとも第0記録層L0からの0次反射光を受光する第0記録層用ディテクタ108と第1記録層用ディテクタ109と、この受光した0次反射光に基づいてトラッキングエラー信号を生成するDPPトラッキングサーボ回路DPPS及びDPDトラッキングエラー回路DPDSと、トラッキングエラー信号に基づいて対物レンズを変位させ、光ビームの記録層における集光点を変位させるアクチュエータ部101と、を有する構成となっている。
【0099】
この構成により、光源107から出力された光ビームが液晶グレーティング103において回折され、第0記録層L0に0次光が集光されて、反射された後、第0記録層用ディテクタ108に受光され、当該反射光に応じてトラッキングエラー信号が生成されて、当該トラッキングエラー信号に基づいて対物レンズが変位する。このため、多層ディスクDKの第1記録層L1を略平滑なミラー面として構成した場合であっても、第0記録層L0からの0次反射光を用いてトラッキングサーボを行い、第1記録層L1に対して確実にデータを記録することが可能となる。
【0100】
また、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいて液晶グレーティング103は、複数の電極a-kの設けられた領域に分割されると共に、液晶ドライブ回路LCDによる制御の下、各領域毎に電圧の印加状態に応じて屈折率が変化する構成となっている。このため、複雑な構成を採用することなく、各領域毎に液晶グレーティング103の屈折率を電気的に変更することが可能となる。この場合において、液晶グレーティング103は、中心を一致させ、一定の間隔をもって配置された複数の輪形電極a-kにより領域を分割するようにしても良い。
【0101】
また、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいて液晶ドライブ回路LCDは、各電極a-kに印加する電圧を制御することにより、回折格子の格子間隔を変更する構成となっている。このため、電気的な制御により簡易に格子間隔を変更させて回折角度を変更することが可能となり、もって、多層ディスクDK毎に層間距離が異なる場合であっても、確実にジャストフォーカス状態を実現することが可能となる。
【0102】
また更に、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいては、多層ディスクDKからの0次反射光及び+1次反射光を分光するホログラム素子106が設けられており、これにより0次反射光と+1次反射光が分光されるため、両ディテクタ108及び109において確実に0次反射光と+1次反射光を独立して受光することが可能となる。
【0103】
更に、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいては、受光した反射光に基づいてプッシュプル方式にてトラッキングエラー信号を生成するDPPトラッキングサーボ回路DPPSと、受光した反射光に基づいてDPD方式にてトラッキングエラー信号を生成するDPDトラッキングサーボ回路DPDSを設け、多層ディスクDKに対するデータの記録時にはプッシュプル方式で生成したトラッキングエラー信号に基づいてアクチュエータ部101を駆動する一方、データの再生時にはDPD方式で生成したトラッキングエラー信号に基づいてアクチュエータ部101を制御する構成が採用されている。このため、各記録層L0及びL1にデータが記録されていない状態及び記録された状態の双方において、確実にトラッキングサーボを行うことが可能となる。
【0104】
なお、上記実施形態においては、回折格子として液晶グレーティング103を用いた構成を採用していたが、例えば、2焦点発生用ホログラムやPLZT(ジルコンチタン酸鉛にストロンチウムをドープしたセラミック)、電気光学素子等により構成した回折格子により液晶グレーティング103を代替するようにしても良い。
【0105】
また、上記実施形態においては、第0記録層L0及びL1に対してデータを記録する場合について説明したが、多層ディスクDKを3層、4層といった多層のディスクとして構成する場合であっても、上記と全く同様の手法によりデータ記録を行うことが可能である。但し、この場合、記録対象となっている層によって、第0記録層L0との距離が変動するため、液晶グレーティング103を適宜制御して、焦点距離を変更することが必要となる。
【0106】
また更に、この場合、2次光、3次光を第2記録層、第3記録層に照射し、多層に記録されたデータを同時再生するようにしても良い。
【0107】
更に、本実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいては、制御部C及びレーザ駆動回路D等を光ピックアップPUと別体のCPU等の装置により構成した例について説明したが、これらは光ピックアップPUと一体的に構成するようにしても良い。
【0108】
更にまた、上記実施形態においては、データの記録時に差動プッシュプル方式のトラッキング補正を行う構成を採用したが、単純なプッシュプル方式や3ビーム方式を用いるようにしても良い。また更に、上記実施形態においては非点収差法を用いてフォーカスサーボを行う構成を採用したが、所謂、山登り法等の他のフォーカスサーボ方式を用いるようにしても良い。
【0109】
また、上記実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいては、DPPトラッキングサーボ回路DPPSとDPDトラッキングサーボ回路DPDSを設け、多層ディスクDKに記録されたデータの再生時にDPD方式により、トラッキグサーボを行う構成を採用した。しかし、DPPトラッキングサーボ回路DPPのみを設け、データ再生時に関してもDPP方式によりトラッキングサーボを行うようにしても良い。
【0110】
また更に、DPPトラッキングサーボ回路DPPSとDPDトラッキングサーボ回路DPDSの双方を設けた態様においては、多層ディスクDKの記録状態に応じて、何れか一方のトラッキングサーボ回路DPPS及びDPDSにより得られたトラッキングエラー信号を選択し、当該選択されたトラッキングエラー信号を用いてトラッキングサーボを行うことも可能である。例えば、第0記録層L0に既にデータが記録されている場合、0次反射光に基づいてRF信号を得ることが可能となる。このため、第0記録層L0に既にデータが記録されている状態で第1記録層L1にデータを記録する場合には、DPP方式を用いずに、DPD方式によりトラッキングサーボを行うことも可能となるのである。従って、第1記録層L1に対するデータ記録開始時に第0記録層L0のデータ記録状態を検出し、既記録の状態ならばDPD方式、未記録の状態ならばDPP方式を採用するようなことも可能である。この場合、第0記録層L0のデータ記録状態の検出結果に応じてスイッチSWを切り換えて、DPDトラッキングサーボ回路DPDS或いはDPPトラッキングサーボ回路DPPSを選択するようにすれば良い。
【0111】
[2.1.5]第1実施形態の変形例
上記実施形態においては、0次反射光の波面に対応したホログラムと、+1次反射光の波面に対応したホログラムとを形成したホログラム素子106を0次反射光及び+1次反射光が両ディテクタ108及び109に戻る光路上に配置することにより、0次反射光と+1次反射光とを分光する方法を採用していた。
【0112】
しかし、0次反射光と+1次反射光を分光する方法は、これに限らず、以下のような方法を採用することもできる。
【0113】
まず、通常、多層ディスクDKにおける0次反射光と+1次反射光とでは、僅かに広がり角度が異なっている。従って、所謂、共焦点光学系を構成して、両反射光を分光することも可能である。具体的には、0次反射光と+1次反射光の光路上にピンホールを配した素子を設け、何れか一方の反射光のみ、このピンホールを透過させて1つのディテクタにより受光すると共に、他方の反射光に関しては、当該素子上において反射させ、他のディテクタにおいて受光するのである。
【0114】
また、他の方法としては、0次反射光と+1次反射光の光路上にビームスプリッタを設け、このビームスプリッタにより広がり角度の異なる0次反射光と+1次反射光を分光することも可能である。
【0115】
[2.2]第2実施形態
[2.2.1]第2実施形態の構成及び動作
次に、本実施形態にかかる情報記録再生装置RP2の構成を示すブロック図である図7を参照しつつ、本実施形態にかかる情報記録再生装置RP2の構成及び動作について説明する。なお、同図において上記図2に示した要素と同様の要素については、同様の符号を付してある。
【0116】
ここで、上述した第1実施形態にかかる情報記録再生装置RPにおいては、光源107から出力された光ビームを液晶グレーティング103において回折させ0次光及び+1次光を発生させて、各々第0記録層L0及び第1記録層L1に集光させる構成が採用されていた。これに対して本実施形態にかかる情報記録再生装置RP2においては、2つの光源から光ビームを出力し、これらの光ビームを各々第0記録層L0及び第1記録層L1に集光させ、各々別個独立に受光することにより、多層ディスクDKの第1記録層L1に対するデータの記録及び同時再生を実現しようとするものである。
【0117】
かかる機能を実現すべく、本実施形態にかかる情報記録再生装置RP2の光ピックアップPU2には、アクチュエータ部101と、集光レンズ104と、が設けられると共に、ビームスプリッタ110と、第0記録層用HR111と、第1記録層用HR112と、が設けられている。
【0118】
これら第0記録層用HR111及び第1記録層用HR112は、共に光ビームを出力するレーザチップと受光素子が同一基板上に配置されると共に、当該基板の光ビームの出力側に対向してホログラム素子が設けられた構成を有しており、本実施形態において光源及びディテクタとしての機能を実現するためのものである。このホログラム素子は、レーザチップから出力された光ビームを、そのまま透過させると共に、当該光ビームの入射面と反対の面から入射される光ビームを屈折させ基板上の受光素子に集光させる機能を有しており、上記図2のホログラム素子106とは異なる機能を有するものとなっている。なお、この場合におけるHRの構成例に関しても、上記文献に記載された構成を採用することができる。
【0119】
本実施形態においては、光ディスクDKに対するデータ記録時に、これら両HR111及び112の双方から光ビームを出力し、第0記録層用HR111により出力された光ビームを第0記録層L0に、第1記録層用HR112により出力された光ビームを第1記録層L1に、集光させる。そして、両記録層L0及びL1からの反射光を各々、両HR111及び112に設けられた受光素子により受光することで、第1記録層L1に対するデータの記録を実現する構成となっている。
【0120】
ここで、本実施形態のごとく、同一波長の光ビームを第0記録層L0及び第1記録層L1の双方に同時照射した場合、第0記録層L0からの反射光と、第1記録層L1からの反射光を如何にして分光し、受光するかが問題となる。本実施形態においては、かかる課題点を解決すべく次のような方法を採用している。
【0121】
まず、第0記録層用HR111及び第1記録層用HR112の各々から互いに異なる偏光方向に対して直線偏光した光ビームを出力する。なお、直線偏光の方向及び偏光方法については任意であるが、本実施形態においては両HR111及び112の各々に対して波長板を設け、第0記録層用HR111からの光ビームについてはP偏光(TE波)、第1記録層用HR112からの光ビームについてはS偏光(TM波)するものとして説明を行う(以下、「P偏光光ビーム」及び「S偏光光ビーム」という)。
【0122】
また、第0記録層用HR111及び第1記録層用HR112からの光路上には、ビームスプリッタ110としてPBS(偏光ビームスプリッタ)を設け、このビームスプリッタ110により光ビームを分光する。この結果、第0記録層用HR111から出力されたP偏光光ビームは、ビームスプリッタ110、集光レンズ104を透過し、アクチュエータ部101の対物レンズにより第0記録層L0に集光されて反射された後(以下、この反射光を「P偏光反射光」という)、再度、対物レンズ等を透過し、更にビームスプリッタ101を透過して第0記録層用HR111に受光される。
【0123】
一方、第1記録層用HR112から出力されたS偏光光ビームは、ビームスプリッタ110において反射され、集光レンズ104及び対物レンズを透過して第1記録層L1に集光される。そして、このS偏光光ビームは光ディスクDKにおいて反射され(以下、この反射光を「S偏光反射光」という)、対物レンズ等を透過して、ビームスプリッタ110にて反射された後、第1記録層用HR112に受光される。
【0124】
なお、多層ディスクDKの反射膜13及び18における光ビームの反射は固定端反射となり、位相差は生じず、よって偏光面の変化も生じないため上記受光形態が実現される。但し、ビームスプリッタ110にとメインアクチュエータ部101にとの間にλ/4板を設けた場合、波長板を透過する際に偏光方向が変化してしまうため上記受光形態が実現できなくなる。従って、本実施形態においては波長板を設けていないものとして説明を行い、この波長板を設けた構成については後述する。
【0125】
ここで、留意すべき点が幾つかある。その一つは、本実施形態の場合、同一波長の2つの光ビームを1つの対物レンズを用いて2つの記録層L0及びL1にフォーカスさせる必要性がある点である。従って、光学系の設計に際しては、例えば、次のような工夫を凝らすことが必要となる。
(1)対物レンズの開口数を中心部分と他の部分とで異ならせて設計し、第0記録層用HR111から出力されるP偏光光ビームに関しては対物レンズの中心部分を用いて第0記録層L0に集光させると共に、第1記録層用HR112から出力されたS偏光光ビームに関しては対物レンズの中心部分以外を用いて第1記録層L1に集光させる。
(2)2つの光源の発光点位置を光学倍率×2層間の距離分だけ離して設計する。具体的には、製造時に光源位置の精度合わせを行い、ピエゾ素子を用いて光源(図7の場合、両HR111或いは112)の配置位置を変位可能とする。そして、何れかのHR111及び112とビームスプリッタ110との間にレンズアクチュエータを設けて発光点位置を擬似的に変位可能とする等の方法を採用することが可能である。
(3)何れかのHR111及び112とビームスプリッタ110との間にサブレンズを設け、両HR111及び112から出力された光ビームの焦点位置を意図的にずらす。
【0126】
次に、もう1つの留意点は、本実施形態においてはλ/4板を設けておらず、直線偏光されたP偏光光ビーム及びS偏光光ビームを用いる構成を採用しているため、例えば、開口数0.5以上の対物レンズを用いてしまうと、多層ディスクDKの各記録層L0及びL1に集光された際の集光スポット形状が微妙に異なってしまう点である。従って、両光ビームの集光スポット形状が一致するようにホログラムの形状(すなわち、両HR111及び112に設けられたホログラム素子のホログラム形状)を決定することが必要となる。
【0127】
このような構成を有する情報記録再生装置RP2により、多層ディスクDKの第1記録層L1にデータを記録する場合、制御部Cは、信号処理部SPを制御し、第0記録層用HR111から再生パワーのP偏光光ビームを出力させ、第0記録層L0からのP偏光反射光の受光信号に基づいてアドレス情報を生成する。なお、情報記録再生装置RPにおける、この際の動作は、上述した図5ステップSa18〜21と同様である。
【0128】
このようにしてアドレス情報が生成されると、制御部Cは、第1記録層L1に対するデータの記録を開始すべく、まず、スイッチSWにおける接続先を端子bに切り換え、DPPトラッキングサーボ回路DPPからアクチュエータ部101に対するラインをONにする。次いで、制御部Cは、生成したアドレス情報に基づいて光ピックアップPUのスレッドコントロールを行い、当該アドレス情報に対応する多層ディスクDK上の位置まで光ピックアップPUを移動させる。このようにして、多層ディスクDKのデータ記録位置が特定されると、制御部Cは、信号処理部SPに対してアドレス情報を付加した制御信号を出力する。
【0129】
一方、この制御信号が入力された信号処理部SPは、アドレス情報に基づいて第1記録層L1における各セクタのセクタ番号や当該セクタに対応するアドレスを決定する。そして、信号処理部SPは、記録すべきデータに対応した駆動信号をレーザ駆動回路Dに出力すると共にレーザ駆動回路Dの増幅率を制御し、第1記録層用HR112から記録対象となるデータに対応した記録パワーのS偏光光ビームを出力させると共に、第0記録層用HR111から再生パワーのP偏光光ビームを出力させる。この結果、第1記録層用HR112から記録パワーのS偏光光ビームが出力され、ビームスプリッタ110において反射された後、第1記録層L1に集光されて、順次、データが記録されていくこととなる。
【0130】
これに対して、第0記録層用HR111から出力された再生パワーのP偏光光ビームはビームスプリッタ110を透過した後、第0記録層L0に集光されて、P偏光反射光として第0記録層用HR111に受光される。そして、P偏光反射光が受光されると、第0記録層用HR111から当該反射光に対応した検出信号が順次DPPトラッキングサーボ回路DPPS及びフォーカスサーボ回路FSに供給され、アクチュエータ部101においてトラッキング補正及びフォーカス補正が行われることとなる。
【0131】
また、第0記録層L0及び第1記録層L1に記録されているデータを同時再生する場合も同様に、第0記録層用HR111及び第1記録層用HR112から再生用のP偏光光ビーム及びS偏光光ビーム(再生パワー)が出力されて、両HR111及び112から供給される受光結果に対応した受光信号に基づいて再生部Pが外部出力を行うこととなる。
【0132】
このようにして本実施形態にかかる情報記録再生装置RP2によれば、2つのHR111及び112を設け、両HR111及び112から出力された光ビームを対物レンズにより第0記録層L0及び第1記録層L1に集光させる構成とした場合であっても、第1記録層L1を略平滑な面として形成した多層ディスクDKに対するデータの記録及び再生を確実に行うことが可能となる。
【0133】
また、本実施形態にかかる情報記録再生装置RP2においては、第0記録層用HR111からP偏光された光ビームを、第1記録層用HRからS偏光された光ビームを出力する構成としたため、ビームスプリッタ110を用いて確実に反射光を分光することが可能となる。
【0134】
なお、上記実施形態においては、ビームスプリッタ110を用いて2つのHRから出力された光ビームを分光する構成について説明したが、例えば、光学的な等方性領域と異方性領域とが交互に積層された構造を有する屈折率変調型の、所謂、偏光選択性ホログラム素子を用いた場合、P偏光反射光とS偏光反射光を分光することが可能となるため、基板上に2つのレーザチップと偏光板、受光素子を積層形成して、偏光選択性ホログラム素子を用いてP偏光反射光と、S偏光反射光を各々独立して受光する構成とすることも可能である。
【0135】
また、3層、4層といった多層のディスクDKを用いる場合、HRを更に幾つか設け、各HRからの光ビームを3層目、4層目に同時照射し、複数記録層に記録されているデータの同時再生を行うようにしても良い。
【0136】
[2.2.2]第2実施形態の変形例
(1)変形例1
上記実施形態においては、第1記録層L1に対するデータの記録時に第0記録層L0からの反射光はトラッキング補正及びフォーカス補正にのみ用いる構成が採用されていた。しかし、第0記録層L0に照射するP偏光光ビームのパワーを調整することにより、第1記録層L1に対するデータの記録を行いつつ、第0記録層L0からの0次反射光を利用して第0記録層L0に記録されているデータの再生を行うことも可能である。
【0137】
この場合、第1記録層L1に対するデータの記録時に、第0記録層用HR111から再生用のP偏光光ビーム(再生パワー)を出力させ、P偏光反射光の受光結果に応じて再生部Pから再生データの出力を行うようにすれば良い。
【0138】
また、第0記録層L0に照射するP偏光光ビームのパワーを記録パワーに上昇させ、且つ、記録対象となるデータに対応したP偏光光ビームを出力させる構成とすれば、第0記録層L0及び第1記録層L1の双方に対してデータの同時記録を行うことも可能となる。
【0139】
(2)変形例2
上記実施形態かかる情報記録再生装置RP2においては、第0記録層L0及び第1記録層L1の2つを有する多層ディスクDKに対してデータを記録するためのものとなっていた。しかし、多層ディスクDKが3層、4層といった多数の記録層を有する場合であっても、各記録層に対してデータを記録することが可能である。
【0140】
ここで、留意しなければならないのは、このような多数の記録層を有する多層ディスクDKの場合、例えば、第1記録層L1と、第4記録層とでは、第0記録層L0からの距離が異なると言うことである。従って、記録対象となる記録層が、どの層であるかによって両HR111及び112から出力される光ビームの焦点距離を変化させることが必要となるのである。
【0141】
かかる焦点距離の変更方法としては、次のような方法が考えられる。
(1)何れかのHR111、112とビームスプリッタ110との間にサブレンズを設け、更に、このサブレンズをフォーカス方向に移動させるための駆動機構を設けて、両記録層L0及びL1に対するジャストフォーカス状態を設定可能とする構成。
(2)HR111、112の配置位置をピエゾ素子により変位させる構成。
【0142】
なお、各記録層に対するジャストフォーカスを実現するための制御方法については上述した第1実施形態と同様である。従って、この構成を採用する場合には、第0記録層用エラー検出回路ED0と第1記録層用エラー検出回路ED1を設けることが必要となる。
【0143】
(3)変形例3
上述のように、上記情報記録再生装置RP2においては、λ/4板を設けない構成を採用している。しかし、
(a)光ピックアップPU2のS/N(Signal/Noise)比を確保しようとする場合、
(b)直線偏光された状態のままで多層ディスクDKに集光させたくない場合、
(c)直線偏光された状態のままで受光したくない場合、
(d)偏光依存性グレーティングやホログラムを用いた場合、
には、ビームスプリッタ110とアクチュエータ部101との間にλ/4板を設けることが望ましい。そこで、本変形例においては、集光レンズ104とビームスプリッタ110との間にλ/4板を設けた場合の構成例を示す。
【0144】
まず、上述したようにλ/4板を設けた場合、両HR111及び112から出力される光ビーム(P偏光、S偏光)は、λ/4板において円偏光され、集光レンズ104に照射されることとなる。また、この光ビームに対する反射光は、再度、λ/4板において偏光され、直線偏光された状態に戻ることとなる。
【0145】
ここで、かかる過程を経た場合、往路及び復路において夫々1/4波長づつ位相差を生じ、この結果、P偏光光ビームは復路においてS偏光された状態にてビームスプリッタ110に入射することとなる。一方、S偏光光ビームはP偏光された状態にてビームスプリッタ110に入射する。
【0146】
この結果、第0記録層用HR111から出力された光ビームは、第1記録層用HR112に受光され、第1記録層用HR112から出力された光ビームは、第0記録層用HR111に受光されることとなる。従って、λ/4板を設けた場合、第1記録層用HR112における検出信号に基づいてアクチュエータ部101の補正量を算出することが必要となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本願の多層ディスクDKの構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態における情報記録再生装置RPの構成を示すブロック図である。
【図3】(a)同実施形態における液晶グレーティング103の構成を示す模式図である。(b)グレーティングの回折角度の変化に伴う焦点距離の変化を示す図である。
【図4】同実施形態において制御部Cが実行する処理を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態において制御部Cが実行する処理を示すフローチャートである。
【図6】同実施形態において制御部Cが実行する処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態における情報記録再生装置RP2の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0148】
DK・・・光ディスク
L0・・・第0記録層
L1・・・第1記録層
RP、RP2・・・情報記録再生装置
C・・・制御部
SP・・・信号処理部
D・・・レーザ駆動回路
PU・・・光ピックアップ
LCD・・・液晶ドライブ回路
FS・・・フォーカスサーボ回路
DPPS・・・DPPトラッキングサーボ回路
DPDS・・・DPDトラッキングサーボ回路
LPD・・・LPP検出回路
ED0、ED1・・・第0記録層エラー検出回路、第1記録層エラー検出回路
P・・・再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に複数の記録層が形成され、前記記録層に光ビームを照射することにより情報を記録又は再生する情報記録媒体であって、
少なくとも一の前記記録層には前記情報記録媒体に対する前記情報の記録又は再生を制御するための制御情報が記録され、他の少なくとも一の前記記録層には前記制御情報が記録されていないことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
前記制御情報の記録された前記記録層には、前記制御情報に対応した案内溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記制御情報の記録されていない前記記録層は略平滑な面として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
前記略平滑な記録層は前記光ビームを照射することによって反射率に変化を生じる記録膜を含むことを特徴とする請求項3に記載の情報記録媒体。
【請求項5】
前記記録膜は所定の波長の前記光ビームを照射することによって色素変化を生じる色素膜を含むことを特徴とする請求項4に記載の情報記録媒体。
【請求項6】
前記記録膜は前記光ビームを照射することによって反射率に変化を生じる相変化記録膜を含むことを特徴とする請求項4に記載の情報記録媒体。
【請求項7】
前記制御情報の記録されていない記録層と隣り合う記録層には、前記制御情報が記録されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項8】
前記制御情報の記録された記録層は、当該他の記録層よりも前記光ビームの照射面側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項9】
複数の記録層を有する情報記録媒体に光ビームを照射すると共に、その反射光を受光し、データの記録及び再生を行う光ピックアップ装置であって、
前記光ビームを照射する光ビーム出力手段と、
前記光ビームを少なくとも二の前記記録層に集光可能な集光手段と、
少なくとも一の前記記録層からの前記反射光を受光する受光手段と、
前記受光した反射光に基づいてトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー信号生成手段と、
前記トラッキングエラー信号に基づいて前記集光手段を制御して、前記光ビームの前記記録層における集光点を変位させる集光点変位手段と、
を有することを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項10】
前記集光手段はレンズであり、前記集光点変位手段は前記トラッキングエラー信号に基づいて前記レンズを変位させることを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
【請求項11】
前記集光手段は前記光ビームを少なくとも二つに分割する光分割手段と、分割された各々の光ビームを各々対応する前記記録層に集光させるレンズと、を更に有し、
前記集光点変位手段は前記トラッキングエラー信号に基づいて前記レンズを変位させることを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
【請求項12】
前記光ビーム出力手段は、光源と、当該光源から出力された光ビームを複数の光ビームに分光する分光手段と、を更に有し、
前記集光手段は、前記分光された各光ビームを各々異なる前記記録層に集光させることを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
【請求項13】
前記分光手段は、
複数の領域に分割されると共に、各領域への電圧の印加状態に応じて前記領域毎に屈折率が変化する回折格子と、
前記回折格子を制御する回折格子制御手段と、を更に有することを特徴とする請求項12に記載の光ピックアップ装置。
【請求項14】
前記回折格子は、中心が一致し、一定の間隔をもって配置された複数の輪形領域に分割されていることを特徴とする請求項13に記載の光ピックアップ装置。
【請求項15】
前記回折格子制御手段は、
前記各領域に印加する電圧を制御することにより、前記回折格子の格子間隔を変更することを特徴とする請求項13に記載の光ピックアップ装置。
【請求項16】
前記光ビーム出力手段は、複数の光源を有し、
前記集光手段は、各光源から照射された前記光ビームを各々異なる前記記録層に集光させることを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
【請求項17】
前記複数の光源は、各々異なる偏光方向に偏光された前記光ビームを照射することを特徴とする請求項16に記載の光ピックアップ装置。
【請求項18】
前記受光手段は、
複数の受光部と、
前記各記録層からの反射光を分光し前記複数の受光部の各々に照射する分光手段と、を更に有することを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
【請求項19】
前記トラッキングエラー信号生成手段は、
前記受光した反射光に基づいてプッシュプル方式にてトラッキングエラー信号を生成するプッシュプル回路を更に有することを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
【請求項20】
前記トラッキングエラー信号生成手段は、
前記受光した反射光に基づいてヘテロダイン方式にてトラッキングエラー信号を生成するヘテロダイン回路を更に有することを特徴とする請求項19に記載の光ピックアップ装置。
【請求項21】
前記集光点変位手段は、
前記プッシュプル回路及び前記ヘテロダイン回路の何れか一方にて生成されたトラッキングエラー信号を選択し、当該トラッキングエラー信号に基づいて前記集光手段を制御することを特徴とする請求項20に記載の光ピックアップ装置。
【請求項22】
前記集光点変位手段は、
前記記録層へのデータの記録状態に基づいて前記プッシュプル回路及び前記ヘテロダイン回路の何れか一方にて生成されたトラッキングエラー信号を選択することを特徴とする請求項21に記載の光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−107612(P2006−107612A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292486(P2004−292486)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】