説明

感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法

【課題】 感度、解像度及びレジストの剥離特性に特に優れたレジストパターンを得る事ができる感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】 (A)下記一般式(I)、(II)及び(III)で示される構造単位の共重合組成からなるバインダーポリマー、
【化1】


(ここでRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシ基、OH基、ハロゲンを表し、Rはラジカル重合性不飽和二重結合含有の置換基を示し、mは0〜5の整数である。)
(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有してなる感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造分野においては、エッチングやめっきなどに用いられるレジスト材料として、感光性樹脂組成物や、この感光性樹脂組成物からなる層(以下、「感光性樹脂組成物層」という)を支持フィルム上に形成し、感光性樹脂組成物層上に保護フィルムを配置させた構造を有する感光性エレメント(積層体)が広く用いられている。
【0003】
従来、プリント配線板は、上記感光性エレメントを用いて、例えば、以下の手順で製造されている。即ち、まず、感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を銅張り積層板等の回路形成用基板上にラミネートする。
【0004】
このとき、感光性樹脂組成物層の支持フィルムに接触している面(以下、感光性樹脂組成物層の「下面」という)と反対側の面(以下、感光性樹脂組成物層の「上面」という)が回路形成用基板の回路を形成すべき面に密着するようにする。
【0005】
そのため、保護フィルムを感光性樹脂組成物層の上面に配置している場合、このラミネートの作業を、保護フィルムを剥がしながら行う。次に、感光性樹脂組成物層を下地の回路形成用基板に加熱圧着する(常圧ラミネート法)。
【0006】
次に、マスクフィルムなどを通してパターン露光する。このとき、露光前又は露光後の何れかのタイミングで支持フィルムを剥離する。その後、未露光部を現像液で溶解又は分散除去する。
次に、エッチング処理又はめっき処理を施してパターンを形成させ、最終的に硬化部分を剥離除去する。
【0007】
ここでエッチング処理とは、現像後に形成した硬化レジストによって被覆されていない金属面をエッチング除去した後、レジストを剥離する方法である。一方、めっき処理とは現像後に形成した硬化レジストによって被覆されていない金属面に銅及び半田などのめっき処理を行った後、レジストを除去しレジストによって被覆されていた金属面をエッチングする方法である。
【0008】
上述のパターン露光は、従来、水銀灯を光源として用いてフォトマスクを介して露光していたが、パターンのデジタルデータを直接レジストに描画する直接描画露光法が提案されている。直接描画露光法は、フォトマスクを介した露光よりも位置合わせ精度が良好であり、かつファインパターンが得られることから高密度パッケージ基板作製のために導入されつつある。
【0009】
また、直接描画露光法では同程度の感度の感光性エレメントを使用したときには一般的には多くの露光時間が必要となってしまうので、生産のスループット向上のためにはなるべく露光時間を短縮する必要があり、そのためには露光装置側の照度を上げる、レジストの感度を上げることなどが必要である。
【0010】
しかしながら、従来の感光性樹脂組成物を直接描画露光法に適用した場合、感度、解像度及びレジストの剥離特性が十分でなかった。感度、解像度及びレジストの剥離特性を改善するために、これまでバインダー樹脂、光重合開始剤等について様々な検討がされている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0011】
しかしながら、特許文献1及び2記載の感光性樹脂組成物を用いたとしても、まだ感度、解像度及びレジストの剥離特性が十分とはいえない。現像時の膨潤をなるべく低減することが解像度を向上する上で重要であるために、本発明ではバインダーポリマー側鎖に不飽和二重結合含有の置換基をブランチし、架橋剤だけではなくバインダーポリマーが光架橋し、より強固な架橋ネットワークを構築することができ、現像時の膨潤を抑制できた結果、解像度を向上させることができた。
【0012】
【特許文献1】特開2006−234995号公報
【特許文献2】特開2005−122123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、感度、解像度及びレジストの剥離特性に特に優れたレジストパターンを得る事ができる感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、(A)下記一般式(I)、(II)及び(III)で示される構造単位の共重合組成からなるバインダーポリマー、
【0015】
【化1】

【0016】
【化2】

【0017】
【化3】

(ここでRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシ基、OH基、ハロゲンを表し、Rはラジカル重合性不飽和二重結合含有の置換基を示し、mは0〜5の整数である。)
(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物が、高感度、かつ良好な解像度とレジスト形状を得ることができ、さらに良好な剥離性有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
本発明は、(A)下記一般式(I)、(II)及び(III)で示される構造単位の共重合組成からなるバインダーポリマー、
【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

(ここでRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシ基、OH基、ハロゲンを表し、Rはラジカル重合性不飽和二重結合含有の置換基を示し、mは0〜5の整数である。)
(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有してなる感光性樹脂組成物に関する。
【0022】
また、本発明は、(C)光重合開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体である上記の感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記のいずれかに記載の感光性樹脂組成物に、さらに(D)増感色素を含む感光性樹脂組成物に関する。
【0023】
また、本発明は、上記のいずれかに記載の感光性樹脂組成物に、さらに(E)アミン系化合物を含む感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、支持フィルム及び該支持フィルム上に形成された上記のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を備えた感光性エレメントに関する。
【0024】
また、本発明は、回路形成用基板上に、上記のいずれかに記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層し、該感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめ、次いで、該露光部以外の部分を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法に関する。
【0025】
さらに、本発明は、上記のレジストパターンの形成方法により、レジストパターンが形成された回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、感度、解像度及びレジストの剥離特性に優れる感光性樹脂組成物、これを用いた感光性エレメント、レジストパターンの形成方法及びプリント配線板の製造方法を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
【0028】
(感光性樹脂組成物)
先ず、本発明の感光性エレメントの感光性樹脂組成物層の構成材料となる感光性樹脂組成物について説明する。
【0029】
この感光性樹脂組成物は、支持フィルムと、合成樹脂からなる保護フィルムと、支持フィルムと保護フィルムとの間に配置される感光性樹脂組成物層とを少なくとも有する感光性エレメントの感光性樹脂組成物層の構成材料となる感光性樹脂組成物であって、(A)下記一般式(I)、(II)及び(III)で示される構造単位の共重合組成からなるバインダーポリマー、
【0030】
【化7】

【0031】
【化8】

【0032】
【化9】

(ここでRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシ基、OH基、ハロゲンを表し、Rはラジカル重合性不飽和二重結合含有の置換基を示し、mは0〜5の整数である。)
(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有してなる感光性樹脂組成物である。
【0033】
先ず、(A)成分であるバインダーポリマーについて説明する。
感光性樹脂組成物を構成材料とする感光性樹脂組成物層の回路形成用基板に対する剥離特性及び現像性の観点から、一般式(I)の構成単位は、バインダーポリマー分子全質量に対して、15〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましく、25〜35質量%であることが特に好ましい。一般式(I)の構成単位とする重合性単量体としては(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
【0034】
レジストの密着性を良好にする観点から、一般式(II)の構成単位は、バインダーポリマー分子全質量に対して、15〜60質量%であることが好ましく、20〜55質量%であることがより好ましく、25〜50質量%であることが特に好ましい。一般式(II)の構成単位とする重合性単量体としてはスチレン又はスチレン誘導体が挙げられる。
【0035】
レジストの密着性を良好にする観点から、一般式(III)の構成単位は、バインダーポリマー分子全質量に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが特に好ましい。一般式(III)の構成単位とする重合性単量体としては(メタ)アクリル酸グリシジルの(メタ)アクリル酸への付加物、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルの(メタ)アクリル酸への付加物等が挙げられる。
【0036】
バインダーポリマーには(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル誘導体を用いてもよい。バインダーポリマー分子全質量に対して、1〜15質量%であり、2〜12質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましく、4〜8質量%であることが特に好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(IV)で表される化合物、これらの化合物のアルキル基に水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等が置換した化合物などが挙げられる。ただし、下記一般式(IV)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜12のアルキル基、ヒドロキシアルキル基を示す。
【0037】
【化10】


上記一般式(IV)中のRで示される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、ベンジル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
【0038】
上記一般式(IV)で表される単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0039】
本発明の(A)バインダーポリマーにおいて、一般式(I)の構成単位の含有量が15質量%未満ではアルカリ溶解性が劣り、剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向があり、これらの含有量が50質量%を超えると解像性が低下する傾向がある。
【0040】
一般式(II)の構成単位の含有量が15質量%未満では解像性が劣る傾向があり、これらの含有量が60質量%を超えると剥離片が大きくなり、剥離時間が長くなる傾向がある。
また、一般式(III)の含有量が30質量%を超えると剥離性が低下する傾向がある。
【0041】
なお、本発明において、「スチレン誘導体」とは、スチレンにおける水素原子が置換基(アルキル基等の有機基やハロゲン原子等)で置換されたものをいう。
このバインダーポリマーを用いて感光性樹脂組成物層を形成する場合、1種類のバインダーポリマーを単独で使用してもよく、2種類以上のバインダーポリマーを任意に組み合わせて使用してもよい。
【0042】
2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上の(異なる繰り返し単位を構成成分として含む)バインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーなどが挙げられる。
また、特開平11−327137号公報に記載のマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用することもできる。
【0043】
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる(標準ポリスチレンを用いた検量線による換算)。
【0044】
この測定法によれば、バインダーポリマーのMwは、5000〜300000であることが好ましく、40000〜150000であることがより好ましい。Mwが5000未満では耐現像液性が低下する傾向があり、300000を超えると現像時間が長くなる傾向がある。
【0045】
上記(A)バインダーポリマーは、分散度(Mw/Mn)が1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。分散度が3.0を超えると密着性及び解像度が低下する傾向がある。
【0046】
また、上記(A)バインダーポリマーには、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂を併用することもできる。
【0047】
本発明の(A)バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。
また、本発明の(A)バインダーポリマーは上記一般式(I)〜(IV)を構成するための重合性単量体以外の重合性単量体を併用することもできる。
【0048】
一般式(I)〜(IV)を構成するための重合性単量体以外の重合性単量体としては、例えば、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0049】
本発明における(A)バインダーポリマーは、アルカリ溶液を用いてアルカリ現像を行う場合の現像性の見地から、カルボキシル基を有するポリマーの1種又は2種以上からなることが好ましい。このような(A)バインダーポリマーは、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。
【0050】
(A)バインダーポリマーの酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、45〜150mgKOH/gであることがより好ましい。この酸価が30mgKOH/g未満では現像時間が長くなる傾向があり、200mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が低下する傾向がある。
【0051】
また、現像工程として溶剤現像を行う場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体を少量に調製することが好ましい。
また、(A)バインダーポリマーは必要に応じて感光性を有する特性基をその分子内に有していてもよい。
【0052】
(A)バインダーポリマーの含有量としては、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して30〜70質量部とすることが好ましく、35〜65質量部とすることがより好ましく、40〜60質量部とするのが特に好ましい。この含有量が30質量部未満では良好な形状が得られない傾向があり、70質量部を超えると良好な感度や解像性を得られない傾向がある。それぞれ単独で又は二種類以上を組み合わせて使用される。
【0053】
次に、(B)成分である光重合性化合物について説明する。
(B)光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、フタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0054】
上記(B)光重合性化合物は、耐めっき性、密着性の観点から、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物又は分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物を必須成分とすることが好ましい。
【0055】
また、分子内に一つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物と、分子内に二つ以上の重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性不飽和化合物とを組み合わせて用いることが、本発明の効果をより確実に得る観点より好ましい。
【0056】
上記多価アルコールにα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0057】
ここで、「EO」とはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有するものを示す。
また、「PO」とはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有するものを示す。
【0058】
上記ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
【0059】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
【0060】
2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業(株)製、商品名)、FA−321M(日立化成工業(株)製、商品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業(株)製、商品名)として商業的に入手可能である。
【0061】
上記2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンの1分子内のエチレンオキサイド基の数は4〜20であることが好ましく、8〜15であることがより好ましい。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて使用される。
【0062】
上記分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとジイソシアネート化合物(イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等)との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0063】
EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、UA−11(新中村化学工業(株)製、商品名)が挙げられる。
また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、UA−13(新中村化学工業(株)製、商品名)が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0064】
上記ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシアクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて使用される。
【0065】
上記フタル酸系化合物としては、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロルオキシアルキル−o−フタレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて使用される。
【0066】
本発明の(B)成分は、感度及び解像度を向上できる観点から、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましく、剥離時間を短縮できる観点から、分子内に1つのエチレン性不飽和基を有する化合物を含むことが好ましい。
【0067】
また、本発明の(B)成分には硬化膜の可とう性を向上できる観点から分子内にエチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖の双方を有するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが含まれていることが好ましい。
【0068】
この(メタ)アクリレートは、分子内のアルキレングリコール鎖として、エチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖(n−プロピレングリコール鎖又はイソプロピレングリコール鎖)の双方を有していれば特に制限はない。
【0069】
また、この(メタ)アクリレートは、さらにn−ブチレングリコール鎖、イソブチレングリコール鎖、n−ペンチレングリコール鎖、ヘキシレングリコール鎖、これらの構造異性体等である炭素数4〜6程度のアルキレングリコール鎖を有していてもよい。
【0070】
上記エチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖が複数である場合、複数のエチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖は各々連続してブロック的に存在する必要性はなく、ランダムに存在してもよい。
また、前記イソプロピレングリコール鎖において、プロピレン基の2級炭素が酸素原子に結合していてもよく、1級炭素が酸素原子に結合していてもよい。
【0071】
これら(B)成分中の、少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和結合を有し、かつ分子内にエチレングリコール鎖及びプロピレングリコール鎖の双方を有するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの、分子内のアルキレングリコール鎖は、例えば、一般式(V):
【0072】
【化11】


(式中、2つのRは各々独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、EOはエチレングリコール鎖を示し、POはプロピレングリコール鎖を示し、m、m及びnは各々独立に1〜30の整数である)で表される化合物、一般式(VI):
【0073】
【化12】


(式中、2つのRは各々独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、EOはエチレングリコール鎖を示し、POはプロピレングリコール鎖を示し、m、n及びnは各々独立に1〜30の整数である)で表される化合物、及び一般式(VII):
【0074】
【化13】


(式中、2つのRは各々独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、EOはエチレングリコール鎖を示し、POはプロピレングリコール鎖を示し、m及びnは各々独立に1〜30の整数である)で表される化合物等が挙げられる。
これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0075】
上記一般式(V)、(VI)及び(VII)における炭素数1〜3のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
上記一般式(V)、(VI)及び(VII)におけるエチレングリコール鎖の繰り返し数の総数(m+m、m及びm)は各々独立に1〜30の整数であり、1〜10の整数であることが好ましく、4〜9の整数であることがより好ましく、5〜8の整数であることが特に好ましい。この繰り返し数が30を超えるとテント信頼性及びレジスト形状が悪化する傾向がある。
【0076】
上記一般式(V)、(VI)及び(VII)におけるプロピレングリコール鎖の繰り返し数の総数(n、n+n及びn)は各々独立に1〜30の整数であり、5〜20の整数であることが好ましく、8〜16の整数であることがより好ましく、10〜14の整数であることが特に好ましい。この繰り返し数が30を超えると解像度が悪化し、スラッジが発生する傾向がある。
【0077】
前記一般式(V)で表される化合物の具体例としては、例えば、R=メチル基、m+m=4(平均値)、n=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業(株)製、商品名FA−023M)などが挙げられる。
【0078】
前記一般式(VI)で表される化合物の具体例としては、例えば、R=メチル基、m=6(平均値)、n+n=12(平均値)であるビニル化合物(日立化成工業(株)製、商品名FA−024M)などが挙げられる。
【0079】
前記一般式(VII)で表される化合物の具体例としては、例えば、R=水素原子、m=1(平均値)、n=9(平均値)であるビニル化合物(新中村化学工業(株)製、サンプル名NKエステルHEMA−9P)などが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0080】
(B)成分の光重合性化合物の含有量としては、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して30〜70質量部とすることが好ましく、35〜65質量部とすることがより好ましく、40〜60質量部とするのが特に好ましい。この含有量が30質量部未満では良好な感度や解像性が得られない傾向があり、70質量部を超えると良好な形状を得られない傾向がある。それぞれ単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0081】
次に(C)成分である光重合開始剤としては、例えば、4,4’−-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、2−ベンジルジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体などが挙げられる。
【0082】
また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対称な化合物を与えてもよく、相違して非対称な化合物を与えてもよい。
また、密着性及び感度の見地からは、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体がより好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0083】
(C)成分の光重合開始剤の含有量としては、(A)成分及び(B)成分の総量100部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましく、2〜6質量部とすることがより好ましく、3.5〜5質量部とするのが特に好ましい。この含有量が0.1質量部未満では良好な感度や解像性が得られない傾向があり、10質量部を超えると良好な形状を得られない傾向がある。それぞれ単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0084】
本発明における(D)成分の増感色素は、用いる活性光線の吸収波長を有効に利用できるものである。増感色素として、極大吸収波長が370nm〜420nmである化合物が好ましい。
【0085】
本発明では、このような増感色素を用いることにより、直接描画露光法の露光光に対して、十分高い感度を有することが可能となる。増感色素の極大吸収波長が370nm未満であると、直接描画露光光に対する感度が低下する傾向があり、420nm以上であると、イエロー光環境下でも安定性が低下する傾向がある。
【0086】
本発明の(D)増感色素としては、例えば、ピラゾリン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、トリアゾール類、スチルベン類、トリアジン類、チオフェン類、ナフタルイミド類等が挙げられる。
【0087】
(D)増感色素の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましく、0.05〜5質量部とすることがより好ましく、0.1〜2質量部とするのが特に好ましい。この配合量が0.01質量部未満では良好な感度や解像性が得られない傾向があり、10質量部を超えると良好な形状を得られない傾向がある。これらは、それぞれ単独で又は二種類以上を組み合わせて使用される。
【0088】
(E)アミン系化合物としては、ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メタン、ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]メタン、ロイコクリスタルバイオレット等が挙げられる。
【0089】
(E)アミン系化合物の含有量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましく、0.05〜5質量部とすることがより好ましく、0.1〜2質量部とするのが特に好ましい。この配合量が0.01質量部未満では良好な感度が得られない傾向があり、10質量部を超えるとフィルム形成後、異物として析出してしまう傾向がある。これらは、それぞれ単独で又は二種類以上を組み合わせて使用される。
【0090】
感光性樹脂組成物には、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物(オキセタン化合物など)、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミドなどの可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等を(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0091】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液としてもよい。この溶液を感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を形成するための塗布液として使用することができる。
【0092】
また、上記の塗布液は、後述の支持フィルム上に塗布・乾燥させて感光性エレメントの感光性樹脂組成物層を形成させるために使用してもよいが、金属板の表面、例えば、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金の表面上に、液状レジストとして塗布して乾燥後、保護フィルムを被覆して用いてもよい。
【0093】
また、感光性樹脂組成物層の層厚は、感光性エレメントの用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。上述の液状レジストに保護フィルムを被覆して用いる場合は、保護フィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどが挙げられる。
【0094】
(感光性エレメント)
次に、本発明の感光性エレメントについて説明する。
本発明の感光性エレメントは、支持フィルムと、合成樹脂からなる保護フィルムと、支持フィルムと保護フィルムとの間に配置される感光性樹脂組成物層とを少なくとも有するものである。
【0095】
支持フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。また、支持フィルム(重合体フィルム)は、厚みが1〜100μmであることが好ましい。この厚みが5μm未満では現像前の支持フィルム剥離の際に支持フィルムが破れやすくなる傾向があり、100μmを超えると解像度が低下する傾向がある。なお、重合体フィルムは、一つを感光性樹脂組成物層の支持体として、他の一つを感光性樹脂組成物の保護フィルムとして感光性樹脂組成物層の両面に積層して使用してもよい。
【0096】
保護フィルムは、感光性樹脂組成物層及び支持体の接着力よりも、感光性樹脂組成物層及び保護フィルムの接着力の方が小さいものが好ましく、また低フィッシュアイのフィルムが好ましい。なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
【0097】
保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとして、例えば、王子製紙社製のアルファンMA‐410、E−200C、信越フィルム社製のポリプロピレンフィルム、帝人社製のPS−25等のPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられるがこれに限られたものではない。
【0098】
保護フィルムは、厚みが1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることがさらに好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm未満ではラミネートの際、保護フィルムが破れる傾向があり、100μmを超えると廉価性に劣る傾向がある。
【0099】
感光性樹脂組成物層は、本発明の感光性樹脂組成物を先に述べたような溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液(塗布液)とした後に、係る溶液(塗布液)を支持フィルム上に塗布して乾燥することにより形成することが好ましい。
【0100】
塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。
乾燥は、70〜150℃、5〜30分間程度で行うことができる。
また、感光性樹脂組成物中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2質量%以下とすることが好ましい。
【0101】
また、感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。この厚みが1μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超えると本発明の効果が小さくなり、接着力、解像度が低下する傾向がある。
【0102】
また、感光性樹脂組成物層は、波長365nmの紫外線に対する透過率が5〜75%であることが好ましく、7〜60%であることがより好ましく、10〜40%であることが特に好ましい。この透過率が5%未満では密着性が劣る傾向があり、75%を超えると解像度が劣る傾向がある。上記透過率は、UV分光計により測定することができ、上記UV分光計としては、(株)日立製作所製の228A型Wビーム分光光度計などが挙げられる。
【0103】
本発明の感光性エレメントは、さらにクッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層等を有していてもよい。また得られた感光性エレメントはシート状又は巻芯にロール状に巻き取って保管することができる。なお、この際、支持体が1番外側になるように巻き取られることが好ましい。
【0104】
上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。
また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
【0105】
上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。
【0106】
(レジストパターンの形成方法)
次に、本発明のレジストパターンの形成方法について説明する。
本発明のレジストパターンの形成方法は、上述した本発明の感光性エレメントの保護フィルムを感光性樹脂組成物層から徐々に剥離させ、これと同時に徐々に露出してくる感光性樹脂組成物層の面の部分を、回路形成用基板の回路を形成すべき面に密着させることにより、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層を積層する第1工程と、感光性樹脂組成物層の露光すべき所定部分に活性光線を照射して露光部を形成させる第2工程と、次いで、露光部以外の未露光部を除去する第3工程と、を少なくとも含んでいること、を特徴とするものである。なお、「回路形成用基板」とは、絶縁層と絶縁層上に形成された導体層とを備えた基板をいう。
【0107】
第1工程における回路形成用基板上への感光性樹脂組成物層の積層方法としては、保護フィルムを除去した後、感光性樹脂組成物層を加熱しながら感光性樹脂組成物層を回路形成用基板に圧着することにより積層する方法が挙げられる。なお、この作業は、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。
【0108】
感光性エレメントの積層は、感光性樹脂組成物層及び/又は回路形成用基板を70〜130℃に加熱することが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm程度)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
【0109】
また、感光性樹脂組成物層を上記のように70〜130℃に加熱すれば、予め回路形成用基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行うこともできる。
【0110】
第2工程における露光部を形成する方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像上に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。
【0111】
この際、感光性樹脂組成物層上に存在する支持フィルムが活性光線に対して透明である場合には、支持フィルムを通して活性光線を照射することができ、支持フィルムが遮光性である場合には、支持フィルムを除去した後に感光性樹脂組成物層に活性光線を照射する。
また、レーザ直接描画露光法やDLP(Digital Light Processing)露光法などの直接描画法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
【0112】
活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、アルゴンレーザ等のガスレーザ、YAGレーザなどの固体レーザ、半導体レーザなどの紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。
【0113】
次いで、露光後、第3工程における露光部以外の部分を除去する方法としては、まず、感光性樹脂組成物層上に支持フィルムが存在している場合には、支持フィルムを除去し、その後、ウェット現像、ドライ現像等で露光部以外の部分を除去して現像する方法が挙げられる。これによりレジストパターンが形成される。
【0114】
例えば、ウェット現像の場合は、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等の感光性樹脂組成物に対応した現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。
【0115】
現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。上記アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。
【0116】
また、現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましい。
また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは、9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。
また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤などを混入させてもよい。
【0117】
上記水系現像液としては、水又はアルカリ水溶液と一種以上の有機溶剤とからなる現像液が挙げられる。ここでアルカリ性水溶液の塩基としては、先に述べた物質以外に、例えば、ホウ砂やメタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2、モルホリン等が挙げられる。現像液のpHは、レジストの現像が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。
【0118】
上記有機溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0119】
有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%とすることが好ましく、その温度は、現像性にあわせて調整することができる。
また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量混入することもできる。単独で用いる有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0120】
これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加することが好ましい。
また、必要に応じて2種以上の現像方法を併用してもよい。現像の方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。
【0121】
上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
また、現像後に行われる金属面のエッチングには、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液等を用いることができる。
【0122】
(プリント配線板の製造方法)
次に、本発明のプリント配線板の製造方法について説明する。本発明のプリント配線板の製造方法は、上記本発明のレジストパターンの形成方法により、レジストパターンの形成された回路形成用基板をエッチング又はめっきするものである。
【0123】
回路形成用基板のエッチング及びめっきは、形成されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の導体層等に対して行われる。エッチングを行う場合のエッチング液としては、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素エッチング液が挙げられ、これらの中では、エッチファクタが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが好ましい。
【0124】
また、めっきを行う場合のめっき方法としては、例えば、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケル等のニッケルめっき、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなどが挙げられる。
【0125】
エッチング又はめっき終了後、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液等が用いられる。
【0126】
剥離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられ、浸漬方式及びスプレー方式を単独で使用してもよく、併用してもよい。
また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。以上によりプリント配線板が得られる。
【実施例】
【0127】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限するものではない。
[バインダーポリマー(A−1)の合成]
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、質量比3:2であるプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトルエンの配合物300gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。
【0128】
一方、共重合単量体としてメタクリル酸81g(0.92mmol)、メタクリル酸メチル75g(0.72mmol)、メタクリル酸ベンジル69g(0.39mmol)及びスチレン75g(0.75mmol)と、アゾビスイソブチロニトリル1.5gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意し、80℃に加熱された質量比3:2であるプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトルエンの上記配合物に溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。
【0129】
さらに、質量比3:2であるプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトルエンの配合物(固形分濃度:48%)25gにアゾビスイソブチロニトリル0.5gを溶解した溶液を、10分かけてフラスコ内に滴下した。滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加温した。90℃で2時間保温した後、冷却して60℃にした。
【0130】
次に、窒素ガスを止め、エアバブルを行いながら、メタクリル酸グリシジル14.9g(0.1mmol)を加え、そのまま6時間攪拌し、バインダーポリマー(A−1)を得た。バインダーポリマー(A−1)の不揮発分(固形分)は、47.8質量%であり、重量平均分子量は41,000であった。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの条件は、以下に示す。
【0131】
(GPC条件)
ポンプ:日立 L−6000型[(株)日立製作所製]
カラム:Gelpack GL−R420 + Gelpack GL−R430 + Gelpack GL−R440(計3本)(以上、日立化成工業(株)製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI[(株)日立製作所製]
【0132】
[バインダーポリマー(A−2)〜(A−6)の合成]
以下の共重合単量体の組成でバインダーポリマー(A−1)と同様にしてバインダーポリマー(A−2)〜(A−6)を合成した。
【0133】
【表1】

【0134】
(B)光重合性化合物
(B−1):FA−321M(日立化成工業(株)製、商品名);2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン
(B−2):FA−024M(日立化成工業(株)製、商品名);前記一般式(VI)で表される化合物において、R=メチル基、m=6(平均値)、n+n=12(平均値)である化合物)
(B−3):M−114(東亞合成(株)製、商品名);4−ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコールアクリレート
【0135】
(C)光重合開始剤
(C−1):BCIM(Hampford社製、商品名);2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール
(D)増感色素
DBA:(川崎化成工業(株)製、商品名);9,10−ジブトキシアントラセン
(E)発色剤(アミン化合物)
ロイコクリスタルバイオレット
【0136】
【表2】

* 固形分量
【0137】
次いで、この感光性樹脂組成物の溶液を、16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、70℃及び110℃の熱風対流式乾燥器で乾燥して、感光性エレメントを得た。感光性樹脂組成物層の膜厚は25μmであった。
【0138】
一方、銅箔(厚さ35mm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張積層板(日立化成工業(株)製、商品名MCL−E−67)の銅表面を#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥させ、銅張積層板(基板)を得た。
【0139】
次いで、銅張積層板80℃に加温した後、銅張積層板上に各感光性エレメント(実施例1〜6及び比較例1、2の保護フィルムを除去しながら、各感光性樹脂組成物層が銅張積層板の表面上に密着するようにして、120℃で4kgf/cmの圧力下でラミネート(積層)した。
【0140】
次に、各感光性エレメントが積層された銅張積層板を冷却し23℃になった時点で、ポリエチレンテレフタレート面に、濃度領域0.00〜2.00、濃度ステップ0.05、タブレットの大きさ20mm×187mm、各ステップの大きさが3mm×12mmである41段ステップタブレットを有するフォトツールを密着させた。
【0141】
405nmの青紫色レーザダイオードを光源とする日立ビアメカニクス社製の直描機DE−1AHを使用して所定の露光量で直描し、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数を求めた。
また、ライン幅/スペース幅 6/6〜22/22(単位:mm)の描画パターンを使用し、現像後、解像密度が得られた最小寸法を解像度とした。
【0142】
50mJ/cmを露光したときの残存ステップ段数を感度として示した。なお、照度の測定は405nm対応プローブを適用した紫外線照度計(ウシオ電機社製、商品名:「UIT−150」)を用いて行った。
【0143】
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液を24秒間スプレーし、未露光部分を除去した。その後、銅張り積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、感光性樹脂組成物の光感度を評価した。その結果を後述の表4に示す。光感度は、ステップタブレットの段数で示され、このステップタブレットの段数が高いほど、光感度が高いことを示す。
【0144】
解像密着は、現像処理によって未露光部をきれいに除去することができ、なおかつラインが蛇行、カケを生じることなく生成された等幅ライン/スペースの最も小さい値により評価した。感度及び解像度の評価は、共に、数値が小さいほど良好な値である。その結果も併せて後述の表4に示す。
【0145】
現像後のレジスト形状は、日立走査型電子顕微鏡S−500Aを用いて観察した。レジスト形状は矩形に近いことが望ましい。
剥離性は表3の条件で40mm×50mmの大きさの光硬化膜を作製し、3質量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて剥離を行った。膜が基板から剥離し終えるときの時間を剥離時間とした。また、剥離完了後の剥離片のサイズを目視にて観察した(S;剥離片が小さいことを示す)。
【0146】
【表3】

【0147】
【表4】

* 露光量80mJ/cmでのステップ段数
【0148】
表4に示されるように、実施例1〜6の組成では解像密着(L/S)が10μmと高解像度であり、剥離時間が適度に短く、また剥離片サイズも小さく、解像性と剥離性のバランスが取れていることが明らかである。一方、比較例1〜2では剥離性が良好であるものの解像性が低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(I)、(II)及び(III)で示される構造単位の共重合組成からなるバインダーポリマー、
【化1】

【化2】

【化3】


(ここでRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシ基、OH基、ハロゲンを表し、Rはラジカル重合性不飽和二重結合含有の置換基を示し、mは0〜5の整数である。)
(B)光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有してなる感光性樹脂組成物。
【請求項2】
(C)光開始剤が、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体である請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物に、さらに(D)増感色素を含む感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の感光性樹脂組成物に、さらに(E)アミン系化合物を含む感光性樹脂組成物。
【請求項5】
支持フィルム及び該支持フィルム上に形成された請求項1、2、3又は4記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を備えた感光性エレメント。
【請求項6】
回路形成用基板上に、請求項1、2、3、4又は5記載の感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物層を積層し、該感光性樹脂組成物層の所定部分に活性光線を照射して露光部を光硬化せしめ、次いで、該露光部以外の部分を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項7】
請求項6記載のレジストパターンの形成方法により、レジストパターンが形成された回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造方法。

【公開番号】特開2010−60891(P2010−60891A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226974(P2008−226974)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】