説明

感光性樹脂組成物、フォトスペーサー及びその形成方法、保護膜、着色パターン、表示装置用基板、並びに表示装置

【課題】感度が高く、液状態での保存性に優れ、かつ成膜後の感光性膜の経時安定性に優れる、パターン構造物や保護膜を形成可能な感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】〔A〕側鎖に、分岐及び/又は脂環構造、酸性基、並びに置換アルキル基を有する樹脂であって、前記置換アルキル基が2個のエチレン性不飽和結合を有する樹脂と、〔B〕エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、〔C〕光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、フォトスペーサー及びその形成方法、保護膜、着色パターン、表示装置用基板、並びに表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置の大面積化や生産性の向上等からマザーガラス基板の大型化が進んでいる。従来の基板サイズ(680×880mm程度)では、マスクサイズよりも基板サイズが小さいことから、一括露光方式で対応が可能であった。ところが、近年の装置の大型化に伴ない、大型基板(例えば1,500×1,800mm程度)の需要が増加しているが、このような基板サイズと同程度のマスクサイズを準備することはほぼ不可能であり、一括露光方式での対応は難しい。
【0003】
そこで、大型基板対応露光方式として、ステップ露光方式が提唱されている。
ところが、ステップ露光方式では、一枚の基板において複数回露光し、その度ごとに位置合せを行なうため、ステップ移動に要する時間が発生する。そのため、ステップ露光方式では、一括露光方式に比較して、スループット低減が危惧されている。また、一括露光方式では、3,000J/m程度でパターニング可能な露光感度で許容されていたが、ステップ露光方式では、1,500J/m以下で良好なパターニングが行なえる露光感度が求められている。しかしながら、既存の材料では、1,500J/m以下の露光量では良好なスペーサ形状及び膜厚を得ることは困難である。
【0004】
また、スペーサの形状、膜厚の制御性に関する要求値は、近年益々厳しくなってきており、スペーサを形成する際のプロセスの変動による形状、膜厚の変動、組成物溶液の経時変化に伴なう形状、膜厚の安定性に関しては改善の余地がある。特に、1,500J/m以下の露光量領域では、露光量に対するスペーサの形状、膜厚の制御性に課題がある。
【0005】
さらに、近年、液晶表示パネルの製造に使用される感光性の樹脂組成物は、保存期間中や使用中に組成物中の成分が結晶化する等して異物が発生し、装置を汚染する等の問題が深刻化しており、汚染の問題を低減できる感光性の樹脂組成物が望まれている。
【0006】
感光性樹脂組成物に関しては、従来より種々の検討がなされており、例えば、脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位と、酸性官能基を有する構成単位と、ラジカル重合性基を有する構成単位とが連結した分子構造を有する脂肪族環状炭化水素基含有共重合体からなる硬化性樹脂を含有する感光性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、特定構造の脂肪族環状炭化水素基を有する構成単位と酸性官能基を有する構成単位とラジカル重合性基を有する構成単位とが連結した分子構造の脂肪族環状炭化水素基含有共重合体からなる硬化性樹脂が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−296775号公報
【特許文献2】特開2002−293837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の感光性樹脂組成物を用いて基板上にパターン構造物(例えば、フォトスペーサー、着色パターン、等。以下同じ)や保護膜を形成する場合、必ずしも良好な形状等を得るための感度及び重合反応性が得られず、液保存性や成膜後の感光性膜の経時安定性の面でも不充分であった。
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、感度が高く、液状態での保存性に優れ、かつ成膜後の感光性膜の経時安定性や力学特性に優れる、パターン構造物や保護膜を形成可能な感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、低い感度で形成された場合においても、高さ均一性・均一な断面形状に優れるフォトスペーサー及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、低い感度で形成された場合においても、膜厚均一性・均一な断面形状に優れる保護膜又は着色パターンを提供することを目的とする。
また、本発明は、表示装置に用いた際に表示ムラを抑制できる表示装置用基板、及び表示ムラが抑制された表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<1> 〔A〕側鎖に、分岐及び/又は脂環構造、酸性基、並びに置換アルキル基を有する樹脂であって、前記置換アルキル基が2個のエチレン性不飽和結合を有する樹脂と、〔B〕エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、〔C〕光重合開始剤と、を含有する感光性樹脂組成物である。
<2> 前記置換アルキル基が、下記一般式(1)で表される基であることを特徴とする上記<1>に記載の感光性樹脂組成物である。
【0010】
【化1】

【0011】
(一般式(1)中、*は樹脂の主鎖に結合する側を表し、A1は炭素数1〜9の2置換されたアルキル基を表す。B1及びB2は、それぞれ独立に、単結合、ウレタン結合(主鎖側:−O−CO−NHR−)、エステル結合(主鎖側:−CO−O−)を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。また、X1及びX2は、それぞれ独立に、エステル結合(主鎖側:−O−CO−)を表す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。)
【0012】
<3> 前記置換アルキル基の置換基が、(メタ)アクリロイルオキシ基であることを特徴とする上記<1>又は<2>に記載の感光性樹脂組成物である。
<4> 上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されたフォトスペーサーである。
<5> 少なくとも下記工程(イ)〜(ニ)を含むフォトスペーサーの形成方法である。
(イ)上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する工程
(ロ)前記被膜の少なくとも一部を露光する工程
(ハ)露光後の前記被膜を現像する工程
(ニ)現像後の前記被膜を加熱する工程
【0013】
<6> 上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された保護膜である。
<7> 上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された着色パターンである。
<8> 上記<4>に記載のフォトスペーサー、上記<6>に記載の保護膜、及び上記<7>に記載の着色パターンの少なくとも1つを備えた表示装置用基板である。
<9> 上記<8>に記載の表示装置用基板を備えた表示装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、感度が高く、液状態での保存性に優れ、かつ成膜後の感光性膜の経時安定性や力学特性に優れる、パターン構造物や保護膜を形成可能な感光性樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、低い感度で形成された場合においても、高さ均一性・均一な断面形状に優れるフォトスペーサー及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、低い感度で形成された場合においても、膜厚均一性・均一な断面形状に優れる保護膜又は着色パターンを提供することができる。
また、本発明によれば、表示装置に用いた際に表示ムラを抑制できる表示装置用基板、及び表示ムラが抑制された表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の感光性樹脂組成物について詳細に説明し、さらに該感光性樹脂組成物を用いたフォトスペーサー及びその形成方法、保護膜、着色パターン、表示装置用基板、並びに表示装置についても説明する。
【0016】
≪感光性樹脂組成物≫
本発明の感光性樹脂組成物は、〔A〕側鎖に、分岐及び/又は脂環構造、酸性基、並びに置換アルキルエステル基を有する樹脂であって、前記置換アルキル基が2つのエチレン性不飽和結合を有する樹脂(以下、単に「〔A]樹脂」ともいう。)と、〔B〕エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、〔C〕光重合開始剤と、を含有する。
一般に感光性樹脂組成物を用いて基板上にパターン構造物(例えば、フォトスペーサー、着色パターン、等。以下同じ)や保護膜を形成する場合、露光のみでは重合硬化が不十分であった。また、液状態での保存性、かつ、成膜後の感光性膜の経時安定性は必ずしも十分ではなかった。
さらに、前記成膜後の感光性膜の経時安定性を確保するため、露光・現像後に高温の加熱処理する場合、形成しようとするパターン構造物や保護膜が劣化したり、既に基板上に形成されているパターン構造物や保護膜が劣化したりすることがある。例えば、着色パターンを有するカラーフィルタ基板上にフォトスペーサーを形成する場合には、形成しようとするフォトスペーサーが劣化したり、既に基板上に形成されている着色パターンが劣化したりすることがある。
そこで、感光性樹脂組成物を上記本発明の構成とすることにより、本発明の感光性樹脂組成物は、感度が高く、粘度上昇が起き難く、露光時の重合硬化性が向上し、液状態での保存性に優れ、かつ成膜後の感光性膜の経時安定性に優れる、パターン構造物や保護膜を形成可能となる。
【0017】
以下、(A)樹脂、(B)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、〔C〕光重合開始剤、及びその他の成分ついて説明する。
【0018】
<〔A〕樹脂>
〔A〕樹脂は、側鎖に、分岐及び/又は脂環構造、酸性基、並びに置換アルキル基を有し、前記置換アルキル基が2個のエチレン性不飽和結合を有する(置換された)構成である。
【0019】
前記〔A〕樹脂は、酸性基を有して現像性を具えると共に、2個のエチレン性不飽和結合を有する置換アルキル基を有することで、高感度を有するため高い重合反応性を具え、優れた液保存性及び乾膜での経時保存性を有しているので、パターン構造物を所望の形状及び膜厚(高さなど)に制御可能な制御性を付与することができる。
また、分岐及び/又は脂環構造を有しているので、形成されたパターン構造物の外力を受けた際の圧縮弾性率、圧縮変形からの弾性回復性を高めることができる。これより、例えば表示装置用のフォトスペーサーなどのパターン構造物を構成するのに有用である。
【0020】
ここで、分岐及び/又は脂環構造、酸性基、並びに2個のエチレン性不飽和結合を有する置換アルキル基は、それぞれが異なる側鎖中に含まれていてもよいし、一部が組み合わされて同じ側鎖中に含まれていてもよいし、全てが同じ側鎖中に含まれていてもよい。
【0021】
なお、本明細書中において、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基又はメタクリロイル基を表し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを表し、(メタ)アクリルはアクリル又はメタクリルを表し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを表し、(メタ)アクリルアニリドはアクリルアニリド又はメタクリルアニリドを表す。
【0022】
(分岐及び/又は脂環構造)
〔A〕樹脂は、樹脂の主鎖に結合する側鎖に、分岐及び/又は脂環構造の少なくとも1種を含む。分岐及び/又は脂環構造は、〔A〕樹脂の側鎖中に複数含まれていてもよい。また、分岐及び/又は脂環構造は、〔A〕樹脂の側鎖中に、酸性基、及び/又は、2個のエチレン性不飽和結合を有する置換アルキル基とともに含まれていてもよい。
また、分岐及び/又は脂環構造は、〔A〕樹脂の主鎖に直接結合して分岐及び/又は脂環構造のみで〔A〕樹脂の側鎖を構成されていてもよいし、〔A〕樹脂の主鎖に2価の有機連結基を介して結合し、分岐及び/又は脂環構造を有する基として〔A〕樹脂の側鎖を構成されていてもよい。
【0023】
前記2価の有機連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、アミド基、及びエーテル基から選ばれる一つ又は組み合わせが好ましい。前記アルキレン基としては、総炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、さらに好ましくは1〜10が好ましい。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、ドデシレン、オクタデシレンなどが挙げられ、これらは分岐/環状構造、官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、メチレン基、エチレン基、オクチレン基が好ましい。前記アリーレン基としては、総炭総数6〜20のアリーレン基が好ましく、さらに好ましくは6〜12が好ましい。具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基などが挙げられ、これらは分岐、官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基が好ましい。
【0024】
分岐及び/又は脂環構造は、現像性及び弾性回復率の観点から、少なくともエステル基(主鎖側−COO−)を介して〔A〕樹脂の主鎖に結合されている形態が好ましい。この形態は、分岐及び/又は脂環構造がエステル基(主鎖側−COO−)のみを介して〔A〕樹脂の主鎖に結合されている形態に限られず、分岐及び/又は脂環構造がエステル基(主鎖側−COO−)を含む2価の連結基を介して〔A〕樹脂の主鎖に結合されている形態であってもよい。すなわち、分岐及び/又は脂環構造とエステル鎖との間、及び/又は、エステル鎖と〔A〕樹脂の主鎖との間に、他の原子や他の連結基が含まれていてもよい。
【0025】
前記分岐構造としては、炭素原子数3〜12個の分岐状のアルキル基が挙げられ、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、i−アミル基、t−アミル基、3−オクチル、t−オクチル等が好ましい。これらの中でも、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等がより好ましく、i−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が特に好ましい。
【0026】
前記脂環構造としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基が挙げられ、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、及びトリシクロペンタニル基等並びにこれらを有する基が好ましい。これらの中でも、ジシクロペンテニル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基等がより好ましく、ジシクロペンテニル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロペンテニル基等が更に好ましく、ジシクロペンテニル基、トリシクロペンテニル基が特に好ましい。
【0027】
更には、分岐及び/又は脂環構造を有する基として、下記一般式(3)で表される基を有して構成された形態が好ましい。
【0028】
【化2】

【0029】
一般式(3)において、Xは、2価の有機連結基を表し、無置換でも置換基を有していてもよい。yは、1又は2を表し、nは0〜15の整数を表す。
【0030】
前記2価の有機連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、アミド基、及びエーテル基から選ばれる1つ又は組み合わせが好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
前記アルキレン基としては、総炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、さらに好ましくは1〜10のアルキレン基である。具体的には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、ドデシレン、オクタデシレンなどの基が挙げられ、これらは分岐/環状構造、官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、メチレン基、エチレン基、オクチレン基である。
前記アリーレン基としては、総炭総数6〜20のアリーレン基が好ましく、さらに好ましくは6〜12のアリーレン基である。具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフタレン基、アントラセン基などが挙げられ、これらは分岐、官能基を有していてもよく、さらに好ましくは、フェニレン基、ビフェニレン基である。
置換されている場合の置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン基、芳香環基、脂環構造を有する基などが挙げられる。
【0031】
〔A〕樹脂の合成において、側鎖に分岐及び/又は脂環構造を導入するための単量体としては、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、(メタ)アクリレート類がより好ましい。
【0032】
〔A〕樹脂の合成において、側鎖に分岐構造を導入するための具体的な単量体としては、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸sec−iso−アミル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸3−オクチル、(メタ)アクリル酸t−オクチル等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等が好ましく、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸t−ブチル等がより好ましい。
【0033】
〔A〕樹脂の合成において、側鎖に脂環構造を導入するための単量体としては、炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的な例としては、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1]ヘプチル−2)、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−メチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸3−メチル−5−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5,8−トリエチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジメチル−8−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−5−イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−1−イルメチル、(メタ)アクリル酸1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸3,7,7−トリメチル−4−ヒドロキシ−ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸2,2,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンテニル等が挙げられる。
これら(メタ)アクリル酸エステルの中でも、嵩高い官能基 で圧縮弾性率、弾性回復性が良好になる点で、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸フエンチル、(メタ)アクリル酸1−メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンテニルなどが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸トリシクロペンテニルが特に好ましい。
【0034】
また、〔A〕樹脂の合成において、側鎖に脂環構造を導入するための単量体としては、下記一般式(4)又は(5)で表される化合物が挙げられる。ここで、一般式(4)、(5)において、Xは2価の有機連結基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。yは1又は2を表し、nは0〜15を表す。一般式(4)、(5)の中でも、y=1又は2、n=0〜8が好ましく、更に好ましくは、y=1又は2、n=0〜4(より好ましくはn=0〜2)である。一般式(4)又は(5)で表される化合物の好ましい具体例として、下記化合物D−1〜D−11、T−1〜T−12が挙げられる。
中でも、二重結合部位の反応性による弾性回復率の点で、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
【0035】
【化3】

【0036】
一般式(4)〜(5)において、Xで表される2価の有機連結基は、無置換であっても、置換基を有していてもよく、前記一般式(3)のXで表される2価の有機連結基と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0037】
【化4】

【0038】
【化5】



【0039】
【化6】



【0040】
【化7】



【0041】
〔A〕樹脂の合成において、側鎖に脂環構造を導入するための単量体としては、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、日立化成工業(株)製:FA−511A、FA−512A(S)、FA−512M、FA−513A、FA−513M、TCPD−A、TCPD−M、
H−TCPD−A、H−TCPD−M、TOE−A、TOE−M、H−TOE−A、H−TOE−M等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、変形回復率に優れる点で、FA−512A(S),512Mが好ましい。
【0042】
〜〜酸性基〜〜
〔A〕樹脂は、主鎖に連結する側鎖に、酸性基の少なくとも1種を含む。酸性基は、側鎖中に複数含まれていてもよい。また、酸性基は、〔A〕樹脂の側鎖中に、前記分岐及び/又は脂環構造、並びに主鎖との間にエステル基を介して配された2個のエチレン性不飽和結合を有する置換アルキル基とともに含まれていてもよい。
また、前記酸性基は、〔A〕樹脂の主鎖に直接結合し酸性基のみで〔A〕樹脂の側鎖を構成してもよいし、〔A〕樹脂の主鎖に2価の有機連結基を介して結合し、酸性基を有する基として〔A〕樹脂の側鎖を構成してもよい。ここで、2価の有機連結基については前記分岐及び/又は脂環構造における説明で例示した2価の有機連結基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
【0043】
前記酸性基としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホンアミド基、リン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。これらの中でも、現像性、及び硬化膜の耐水性が優れる点から、カルボキシ基、フェノール性水酸基であることが好ましい。
【0044】
前記酸性基を〔A〕樹脂に導入するための単量体の具体例としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、α−シアノ桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0045】
前記水酸基を有する単量体と環状酸無水物との付加反応物に用いられる水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記環状酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0046】
単量体の市販品としては、東亜合成化学工業(株)製:アロニックスM−5300、アロニックスM−5400、アロニックスM−5500、アロニックスM−5600、新中村化学工業(株)製:NKエステルCB−1、NKエステルCBX−1、共栄社油脂化学工業(株)製:HOA−MP、HOA−MS、大阪有機化学工業(株)製:ビスコート#2100等が挙げられる。これらの中でも現像性に優れ、低コストである点で(メタ)アクリル酸等が好ましい。
【0047】
(2個のエチレン性不飽和結合を有する置換アルキル基)
〔A〕樹脂は、主鎖に連結する側鎖に、2個のエチレン性不飽和結合を有する置換アルキル基(以下、単に「置換アルキル基」ともいう。)を少なくとも1種を含む。前記置換アルキル基は、〔A〕樹脂の側鎖中に複数含まれていてもよい。
また、置換アルキル基は、〔A〕樹脂の側鎖中に、前記分岐及び/又は脂環構造、並びに酸性基とは異なる構造単位に含む形態である。
また、前記置換アルキル基は、〔A〕樹脂の主鎖に直接結合し置換アルキル基のみで〔A〕樹脂の側鎖を構成してもよいし、〔A〕樹脂の主鎖に2価の有機連結基を介して結合し、置換アルキル基を有する基として〔A〕樹脂の側鎖を構成してもよいし、また、置換アルキル基を有するエステル基と主鎖の間に、さらに前記2価の有機連結基を有してもよい。
【0048】
前記2価の有機連結基としては、分岐及び/又は脂環構造を有する基の項で記載された2価の有機連結基と同じであり、好ましい例も同様である。
【0049】
上記の中でも、置換アルキル基は、高い感度・高い重合反応性による現像性及びパターン構造物の膜厚などの制御性、合成原料供給性、合成適性などの観点から、少なくともエステル基(主鎖側−COO−)を介して〔A〕樹脂の主鎖に結合されている形態が好ましい。この形態は、置換アルキル基がエステル基(主鎖側−COO−)のみを介して〔A〕樹脂の主鎖に結合されている形態に限られず、置換アルキル基がエステル基(主鎖側−COO−)を含む2価の連結基を介して〔A〕樹脂の主鎖に結合されている形態であってもよい。
すなわち、置換アルキル基とエステル基(−COO−)との間、及び/又は、置換アルキル基と〔A〕樹脂の主鎖との間に、他の原子や他の連結基(1〜9のアルキレン基、)が含まれていてもよい。
【0050】
前記置換アルキル基(即ち、2個のエチレン性不飽和結合を有する置換アルキル基)としては、特に限定されないが、感光性樹脂組成物の高感度、高重合反応性による膜の特性(硬化性、合成適性など)の観点から、下記一般式(1)で表される基が好ましい。
【0051】
【化8】

【0052】
一般式(1)中、*は樹脂の主鎖に結合する側を表し、A1はエチレン性不飽和結合を有する2つの置換基で置換された炭素数1〜9のアルキル基を表す。また、A1は、主鎖と前記エステル基(主鎖側−CO−O−)を介して結合する。
【0053】
一般式(1)中、前記アルキル基としては、炭素数1〜9のアルキル基であればよく、直鎖構造、分岐構造、脂環構造等が挙げられる。
直鎖構造としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル等が挙げられ、炭素数1〜9が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。
分岐構造としては、前記分岐及び/又は脂環構造の項に記載された分岐構造等が挙げられ、炭素数3〜8が好ましく、炭素数3〜5がより好ましい。
脂環構造としては、前記分岐及び/又は脂環構造の項に記載された脂環構造等が挙げられ、炭素数5〜20が好ましく、炭素数5〜15がより好ましい。
【0054】
一般式(1)中、B1及びB2は、それぞれ独立に、単結合、ウレタン結合(主鎖側:−O−CO−NHR−)、エステル結合(主鎖側:−O−CO−)を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。
B1としては、単結合、ウレタン結合(主鎖側:−O−CO−NHR−)が好ましく、単結合がより好ましい。
B2としては、単結合、ウレタン結合(主鎖側:−O−CO−NHR−)が好ましく、単結合がより好ましい。
B1とB2は、同一であっても、また異なる構造であってもよい。
【0055】
一般式(1)中、また、X1及びX2は、それぞれ独立に、(主鎖側)−O−CO−を表す。
【0056】
一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、好ましくは、メチル基である。R及びRは同一であっても、また異なる構造であってもよい。
【0057】
〔A〕樹脂の合成において、側鎖に(メタ)アクリロイル基を導入する方法は、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、(1)酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、(2)ヒドロキシル基を持つ繰り返し単位にイソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、(3)イソシアネート基を持つ繰り返し単位にヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法などが挙げられる。
その中でも、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
〔A〕樹脂の合成において、側鎖に、2個の(メタ)アクリロイル基を導入する方法としては、例えば、上記(1)酸性基を持つ繰り返し単位に、エポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加し、その後にヒドロキシル基を(メタ)アクリル酸クロライドなどでエステル化して得る方法、ヒドロキシル基を(メタ)アクリレート基含有のイソシアネート(例えば昭和電工(株)製のカレンズMOI、MOIEG、AOIなど)でウレタン化して得る方法等、公知の方法を組み合せて合成することができる。
【0058】
前記エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、特に制限はないが、例えば、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物が好ましい。
【0059】
【化9】

【0060】
但し、前記構造式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは一般式(1)におけるB1及びB2と同義である。。
【0061】
【化10】

【0062】
但し、前記構造式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表す。Lは一般式(1)のB1、B2と同義である。Wは4〜7員環の脂肪族炭化水素基を表し、前記一般式(1)のA1と同義であり、好ましい例も同様である。
【0063】
前記構造式(1)で表される化合物又は構造式(2)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の例示化合物(1)〜(10)が挙げられる。
【0064】
【化11】



【0065】
〜〜その他の単量体〜〜
本発明における〔A〕樹脂には、その他の単量体を用いて、その他の基が導入されていてもよい。
前記その他の単量体としては、特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、ビニルエーテル、二塩基酸無水物基、ビニルエステル基、炭化水素アルケニル基等を有する単量体などが挙げられる。
【0066】
前記ビニルエーテル基としては、特に制限はなく、例えば、ブチルビニルエーテル基などが挙げられる。
前記二塩基酸無水物基としては、特に制限はなく、例えば、無水マレイン酸基、無水イタコン酸基などが挙げられる。
前記ビニルエステル基としては、特に制限はなく、例えば、酢酸ビニル基などが挙げられる。
前記炭化水素アルケニル基としては、特に制限はなく、例えば、ブタジエン基、イソプレン基などが挙げられる。
【0067】
前記〔A〕樹脂におけるその他の単量体の含有率としては、組成比が、1〜40質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
【0068】
〔A〕樹脂の具体例としては、例えば、下記構造で表される化合物(例示化合物PD−1〜PD−56、PU−1〜PU−56)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
また、例示化合物中のx、y、及びz(並びにSt)は、各繰り返し単位の組成比(質量比)を表し、後述の好ましい範囲で構成する形態が好適である。また、各例示化合物の重量平均分子量も、後述の好ましい範囲で構成する形態が好適である。
【0069】
【化12】



【0070】
【化13】



【0071】
【化14】



【0072】
【化15】



【0073】
【化16】



【0074】
【化17】

【0075】
【化18】



【0076】
【化19】



【0077】
【化20】



【0078】
【化21】



【0079】
【化22】

【0080】
【化23】

【0081】
【化24】

【0082】
【化25】



【0083】
【化26】



【0084】
【化27】

【0085】
【化28】



【0086】
【化29】



【0087】
【化30】



【0088】
【化31】

【0089】
【化32】



【0090】
【化33】

【0091】
<合成法>
〔A〕樹脂は、モノマーの(共)重合反応の工程と2個のエチレン性不飽和基を導入する工程の二段階の工程又は三段階の工程から合成することができる。
まず、(共)重合反応は種々のモノマーの(共)重合反応によって作られ、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、重合の活性種については、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合などを適宜選択することができる。これらの中でも合成が容易であり、低コストである点からラジカル重合であることが好ましい。また、重合方法についても特に制限はなく公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、バルク重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを適宜選択することができる。これらの中でも、溶液重合法であることがより望ましい。
【0092】
<炭素数>
〔A〕樹脂の総炭素数としては、弾性係数(硬さ)の点で、10以上が好ましい。中でも、総炭素数は、10〜30がより好ましく、特に好ましくは10〜15である。
【0093】
<分子量>
〔A〕樹脂の分子量としては、重量平均分子量で10,000〜10万が好ましく、12,000〜60,000が更に好ましく、15,000〜45,000が特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、樹脂(好ましくは共重合体)の製造適性、現像性の点で望ましい。また、溶融粘度の低下により形成された形状が潰れ難い点で、また、架橋不良となり難い点、現像でのスペーサ形状の残渣がない点で好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定される。GPCについては、後記する実施例の項で詳細に示す。
【0094】
<ガラス転移温度>
〔A〕樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40〜180℃であることが好ましく、45〜140℃であることはより好ましく、50〜130℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度(Tg)が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサが得られる。
【0095】
<酸価>
〔A〕樹脂の酸価は、とりうる分子構造により好ましい範囲が変動するが、一般には20mgKOH/g以上であることが好ましく、40mgKOH/g以上であることはより好ましく、50〜130mgKOH/gであることが特に好ましい。酸価が前記好ましい範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサが得られる。
【0096】
前記〔A〕樹脂は、良好な現像性、力学強度を有するスペーサが得られる点で、ガラス転移温度(Tg)が40〜180℃であり、かつ重量平均分子量が10,000〜100,000であることが好ましく、Tgが45〜140℃(更には50〜130℃)であり、かつ重量平均分子量が12,000〜60,000(更には15,000〜45,000)であることが好ましい。
更に、前記〔A〕樹脂の好ましい例は、好ましい前記分子量、ガラス転移温度(Tg)、及び酸価のそれぞれの組合せがより好ましい。
【0097】
本発明における〔A〕樹脂は、分岐及び/又は脂環構造と、酸性基と、主鎖との間にエステル基を介して配された2個のエチレン性不飽和結合を含む置換アルキル基と、をそれぞれ別の繰り返し単位(共重合単位)に有する3元共重合以上の共重合体であることが、パターン構造物(例えばカラーフィルタ用のスペーサ)を形成したときの変形回復率、現像残渣、レチキュレーションの観点から好ましい。
具体的には、前記〔A〕樹脂は、分岐及び/又は脂環構造を有する繰り返し単位:X(xモル%)と、酸性基を有する繰り返し単位:Y(yモル%)と、主鎖との間にエステル基を介して配された2個のエチレン性不飽和結合を含む置換アルキル基を有する繰り返し単位:Z(zモル%)と、を少なくとも有する3元共重合以上の共重合体であることが好ましい。さらに、必要に応じてその他の繰り返し単位:L(lモル%)を有していてもよい。
このような共重合体は、例えば、分岐及び/又は脂環構造を有する単量体と、酸性基を有する単量体と、主鎖との間にエステル基を介して配された2個のエチレン性不飽和結合を含む置換アルキル基を有する単量体と、必要に応じて他の単量体と、を共重合させて得ることができる。このうち、嵩高い官能基で圧縮弾性率、弾性回復性が良好になる点で、少なくとも前記分岐及び/又は脂環構造を有する単量体として、前記一般式(4)で表される単量体を共重合させて、分岐及び/又は脂環構造を有する基が導入された共重合体である場合が好ましい。この場合、〔A〕樹脂は、前記一般式(4)で表される単量体に由来の構成単位を主鎖に有する。
【0098】
前記〔A〕樹脂が共重合体である場合の共重合組成比については、ガラス転移温度と酸価を勘案して決定される。一概に言えないが、下記の範囲とすることができる。
〔A〕樹脂における、分岐及び/又は脂環構造を有する繰り返し単位の組成比(x)は、10〜70モル%が好ましく、15〜65モル%が更に好ましく、20〜60モル%が特に好ましい。組成比(x)が前記範囲内であると、良好な現像性が得られると共に、画像部の現像液耐性も良好である。
〔A〕樹脂における、酸性基を有する繰り返し単位の組成比(y)は、5〜70モル%が好ましく、10〜60モル%が更に好ましく、20〜50モル%が特に好ましい。組成比(y)が前記範囲内であると、良好な硬化性、現像性が得られる。
〔A〕樹脂における「主鎖との間にエステル基を介して配された2個のエチレン性不飽和結合を含む置換アルキル基」を有する繰り返し単位の組成比(z)は、10〜70モル%が好ましく、20〜70モル%が更に好ましく、30〜70モル%が特に好ましい。組成比(z)が前記範囲内であると、顔料分散性に優れると共に、感度及び重合硬化性が良好であり、調液後の液保存性、及び塗布後の乾膜状態で長期保持された際の経時安定性が良好になる。
更には、〔A〕樹脂としては、組成比(x)が10〜70モル%(更には15〜65モル%、特には20〜50モル%)であって、組成比(y)が5〜70モル%(更には10〜60モル%、特には30〜70モル%)であって、組成比(z)が10〜70モル%(更には20〜70モル%、特には30〜70モル%)である場合が好ましい。
【0099】
前記〔A〕樹脂の感光性樹脂組成物中における含有量としては、組成物の全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
〔A〕樹脂は、後述するその他の樹脂と併用できるが、前記〔A〕樹脂のみで構成される場合が好ましい。
【0100】
〜その他の樹脂〜
前記〔A〕樹脂と併用することができる樹脂としては、アルカリ性水溶液に対して膨潤性を示す化合物が好ましく、アルカリ性水溶液に対して可溶性である化合物がより好ましい。
アルカリ性水溶液に対して膨潤性又は溶解性を示す樹脂としては、例えば、酸性基を有するものが好適に挙げられ、具体的には、エポキシ化合物にエチレン性不飽和二重結合と酸性基とを導入した化合物(エポキシアクリレート化合物)、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体、エポキシアクリレート化合物と、側鎖に(メタ)アクリロイル基、及び酸性基を有するビニル共重合体との混合物、マレアミド酸系共重合体、などが好ましい。
前記酸性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、などが挙げられ、これらの中でも、原料の入手性などの観点から、カルボキシル基が好ましく挙げられる。
【0101】
前記〔A〕樹脂とその他の樹脂とを併用する場合、〔A〕樹脂と併用することができる樹脂との合計の含有量(固形分)としては、感光性樹脂層の全固形分に対して、5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。この含有量が、5質量%以上であると感光樹脂層の膜強度を維持でき、該感光樹脂層の表面のタック性を良好に保つことができ、70質量%以下であると露光感度が良好になる。
【0102】
〔B〕重合性化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の少なくとも一種を含有する。後述の光重合開始剤からのラジカルの作用を受けて重合反応を起こし、硬化膜を形成する。
【0103】
前記重合性化合物としては、公知の組成物を構成する重合性の化合物から選択して用いることができ、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0020]に記載の成分や、特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0053]に記載の成分を挙げることができる。
【0104】
前記〔A〕樹脂との関係において、〔B〕重合性化合物の〔A〕樹脂に対する質量比率(〔B〕/〔A〕比)が0.5〜2.0であることが好ましく、0.6〜1.4であることはより好ましく、0.7〜1.2であることが特に好ましい。〔B〕/〔A〕比が前記範囲内であると、良好な現像性、力学強度を有するスペーサが得られる。
【0105】
〔C〕光重合開始剤
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を少なくとも1種含有する。
本発明における光重合開始剤としては特に限定はなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。公知の光重合開始剤としては、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0020]や特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0053]に記載の開始剤を挙げることができる。公知の光重合開始剤の例としては、感度の点で、上記以外のアミノアセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物、更にヘキサアリールビイミダゾール化合物/芳香族メルカプト化合物/助剤を組み合わせた混合型開始剤を含有することが好適である。
アミノアセトフェノン系化合物の具体例としては、IRGACURE(Irg)907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド系化合物の具体例としては、DAROCUR TPOや、Irgacure(Irg)819(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。また、オキシムエステル系化合物の具体例としては、IRGACURE(Irg)OXE01やCGI242等(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)が挙げられる。ヘキサアリールビイミダゾール化合物/芳香族メルカプト化合物/助剤を組み合わせた混合型開始剤としては2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(B−CIM、保土ヶ谷化学工業)/2−メルカプトベンゾイミダゾール/4,4−ジエチルアミノベンゾフェノンが挙げられる。
以下に、これらの開始剤の構造を示す。
【0106】
【化34】

【0107】
光重合開始剤の感光性樹脂組成物中における総量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.5〜25質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
【0108】
この光重合開始剤は、パターン形成時の加熱下で昇華しにくく、焼成炉やフォトマスクなどの汚染を抑制でき、しかも前記樹脂Aとの併用により、重合反応の進行が良好になり、形状及び膜厚の制御性をより向上させることができる。これにより、例えば1500J/m以下の低露光量領域でも、良好な感度、密着性が得られる。例えば、カラーフィルタ用のスペーサを形成するときには、基板との密着性が良好で所望の形状に形成されたスペーサを得ることができる。
【0109】
なお、本発明にいう光重合開始剤とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、荷電粒子線、X線等による露光により、前記特定重合性化合物の重合を開始しうる活性種を発生する成分を意味する。
【0110】
<微粒子>
本発明における感光性樹脂組成物は、樹脂、重合性化合物、光重合開始剤と共に、力学強度の点で、微粒子を少なくとも1種含有することが好ましい。
微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましく、中でも、良好な現像性、力学強度を有するフォトスペーサーが得られる点から、コロイダルシリカが好ましい。
【0111】
前記微粒子の平均粒子径は、フォトスペーサー等の外力を受けやすい構造を形成する場合には高い力学強度が得られる点で、5〜50nmであることが好ましく、10〜40nmであることがより好ましく、15〜30nmであることが特に好ましい。
【0112】
前記微粒子の感光性樹脂組成物(フォトスペーサーを形成するときにはフォトスペーサー(又はこれを構成する感光性樹脂層)中における含有量としては、高い力学強度を有するフォトスペーサーを得る観点から、感光性樹脂組成物中の全固形分(質量)に対して、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましい。
【0113】
<その他>
本発明における感光性樹脂組成物は、樹脂、特定重合性化合物、光重合開始剤、及び必要に応じて含まれる微粒子以外に、さらに必要に応じて、光重合開始助剤などの他の成分を含んでいてもよい。
【0114】
感光性樹脂組成物は、他の添加成分として光重合開始助剤を併用してもよい。光重合開始助剤は、光重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために、光重合開始剤と組み合わせて用いることができる。光重合開始助剤としては、アミン系化合物の少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0115】
前記アミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。また、アミン系やその他の光重合開始助剤を複数組み合わせて使用してもよい。
上記以外の他の光重合開始助剤として、例えば、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物、クマリン系化合物などが挙げられる。前記アルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。前記チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
また、光重合開始助剤として市販のものを用いることもできる。市販の光重合開始助剤としては、例えば、商品名「EAB−F」(保土谷化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0116】
光重合開始助剤の感光性樹脂組成物中における含有量としては、上記の光重合開始剤1質量部に対して、0.6質量部以上20質量部以下が好ましく、1質量部以上15質量部以下がより好ましく、とりわけ1.5質量部以上15質量部以下が好ましい。
【0117】
また、その他の成分としては、公知の組成物を構成する成分から選択して用いることができ、例えば、特開2006−23696号公報の段落番号[0010]〜[0020]や特開2006−64921号公報の段落番号[0027]〜[0053]に記載の成分を挙げることができる。
【0118】
本発明の感光性樹脂組成物は、後述する、フォトスペーサー、着色パターン、保護膜の形成に好適に用いることができる他、離画壁(例えば、ブラックマトリクス等)、配向制御用突起など、その他のパターン構造物や被膜の形成にも好適に用いることができる。
【0119】
≪フォトスペーサー及びその形成方法≫
本発明のフォトスペーサーは、既述の本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである。感光性樹脂組成物の詳細及び好ましい態様については、既述した通りである。
本発明のフォトスペーサーは、本発明の感光性樹脂組成物を用いて構成されるので、低露光でも均一な断面形状を有し、高さバラツキが抑制される。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、フォトスペーサーとして必要とされる高い圧縮弾性率、変形回復性を持つフォトスペーサーが得られる。
【0120】
本発明において、フォトスペーサー等のパターン構造物が「均一な断面形状」を有する状態としては、基板内の複数箇所(好ましくは3箇所以上)において、パターン構造物の断面形状が矩形に近い形状となっている状態が好ましい。
前記矩形に近い形状としては、基板法線方向に平行であって、かつパターン構造物の基板法線方向からみたエッジ(円柱状の構造物の場合はエッジの接線)と直行する平面で該パターン構造物を切断したときに切断面において、パターン構造物側面に相当する線とパターン構造物下面に相当する線とのなす角(以下、「テーパー角度」ともいう)が80°以上100°以下である形状がより好ましい。
ここで、前記パターン構造物下面とは、パターン構造物の面のうち、該パターン構造物が形成された下地との接触面をいう。また、前記パターン構造物側面とは、パターン構造物の面のうち、前記パターン構造物下面にもパターン構造物上面(前記パターン構造物下面と平行な面であって、前記下地と接触しない面)にも該当しない面をいう。
【0121】
本発明のフォトスペーサーは、本発明の感光性樹脂組成物を用いた方法であれば、いずれの方法で形成されてもよいが、以下に示す工程(イ)〜(ニ)を含む方法(本発明のフォトスペーサーの形成方法)を用いることによって最も好適に形成することができる。
本発明のフォトスペーサーの形成方法は、(イ)既述の本発明の感光性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する工程(以下、「被膜形成工程」ともいう。)と、(ロ)前記被膜の少なくとも一部を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)と、(ハ)露光後の前記被膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう。)と、(ニ)現像後の前記被膜を加熱する工程(以下、「被膜加熱工程」ともいう。)とを設けて構成されており、必要に応じて更に他の工程を設けて構成されてもよい。
【0122】
(イ)被膜形成工程
被膜形成工程は、既述の本発明の感光性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する。被膜として感光性樹脂層を形成することができ、この感光性樹脂層は、後述の露光工程や現像工程等の他工程を経ることにより、セル厚を均一に保持し得るスペーサを構成する。本発明のスペーサを用いることにより、特にセル厚の変動で表示ムラが生じやすい表示装置(特に液晶表示装置)における画像中の表示ムラが効果的に解消される。
【0123】
基板上に感光性樹脂層を形成する方法としては、(a)既述の〔A〕樹脂、〔B〕重合性化合物、及び〔C〕光重合開始剤を少なくとも含む感光性樹脂組成物を塗布する塗布法、及び(b)前記感光性樹脂層を有する感光性転写材料を用い、加熱及び/又は加圧により感光性樹脂層をラミネート、転写する転写法が好適に挙げられる。
【0124】
(a)塗布法
感光性組成物の塗布は、公知の塗布法、例えば、スピンコート法、カーテンコート法、スリットコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、あるいは米国特許第2681294号明細書に記載のポッパーを使用するエクストルージョンコート法等により行なうことができる。中でも、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリットノズルあるいはスリットコーターによる方法が好適である。
【0125】
(b)転写法
転写は、感光性転写材料を用いて、仮支持体上に膜状に形成された感光性樹脂層を所望の基板面に例えば加熱及び/又は加圧したローラー又は平板を用いて圧着又は加熱圧着することによって貼り合せた後、仮支持体の剥離により感光性樹脂層を基板上に転写する。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられ、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0126】
感光性樹脂層を形成する場合、感光性樹脂層と仮支持体との間には更に酸素遮断層(以下、「酸素遮断膜」又は「中間層」ともいう。)を設けることができる。これにより、露光感度をアップすることができる。また、転写性を向上させるために、クッション性を有する熱可塑性樹脂層を設けてもよい。
感光性転写材料を構成する仮支持体、酸素遮断層、熱可塑性樹脂層、その他の層や該感光性転写材料の作製方法については、特開2006−23696号公報の段落番号[0024]〜[0030]に記載の構成、作製方法を適用することができる。
【0127】
(a)塗布法、(b)転写法ともに感光性樹脂層を形成する場合、その層厚は0.5〜10.0μmが好ましく、1〜6μmがより好ましい。層厚が前記範囲であると、製造時における塗布形成の際のピンホールの発生が防止され、未露光部の現像除去を長時間を要することなく行なうことができる。
【0128】
感光性樹脂層を形成する基板としては、例えば、透明基板(例えばガラス基板やプラスチックス基板)、透明導電膜(例えばITO膜)付基板、カラーフィルタ付きの基板(カラーフィルタ基板ともいう。)、駆動素子(例えば、薄膜トランジスタ[TFT])付駆動基板、などが挙げられる。基板の厚みとしては、700〜1200μmが一般に好ましい。
【0129】
(ロ)露光工程・(ハ)現像工程
露光工程では、前記被膜形成工程で形成された被膜の少なくとも一部を露光し、潜像を形成する。その後の現像工程では、前記露光工程で露光された被膜を現像し、所望の形状のスペーサーパターンを形成することができる。
【0130】
これらの工程の具体例としては、特開2006−64921号公報の段落番号[0071]〜[0077]に記載の形成例や、特開2006−23696号公報の段落番号[0040]〜[0051]に記載の工程などが、本発明において好適な例として挙げることができる。
【0131】
(ニ)被膜加熱工程
被膜加熱工程では、前記現像工程における現像後の被膜を加熱する。加熱によって被膜の硬化がより促進し、高強度を有し、圧縮弾性率、弾性回復性の良好なスペーサが得られる。
【0132】
上記のようにして、基板上にフォトスペーサーを備えた表示装置用基板を作製することができる。フォトスペーサーは、基板上に形成されたブラックマトリクス等の黒色遮光部の上やTFT等の駆動素子上に形成されることが好ましい。また、ブラックマトリクス等の黒色遮光部やTFT等の駆動素子とフォトスペーサーとの間にITO等の透明導電層(透明電極)やポリイミド等の配向膜が存在していてもよい。
【0133】
例えば、フォトスペーサーが黒色遮光部や駆動素子の上に設けられる場合、該基板に予め配設された黒色遮光部(ブラックマトリクスなど)や駆動素子を覆うようにして、例えば、感光性転写材料の感光性樹脂層を支持体面にラミネートし、剥離転写して感光性樹脂層を形成した後、これに露光、現像、加熱処理等を施してフォトスペーサーを形成することによって、表示装置用基板を作製することができる。
本発明の表示装置用基板には更に、必要に応じて赤色(R)、青色(B)、緑色(G)3色等の着色画素が設けられてもよい。
【0134】
本発明のフォトスペーサーは、ブラックマトリクス等の黒色遮蔽部及び着色画素等の着色部を含むカラーフィルタを形成した後に形成することができる。
前記黒色遮蔽部及び着色部とフォトスペーサーとは、感光性樹脂組成物を塗布する塗布法と感光性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を有する転写材料を用いる転写法と、を任意に組合せて形成することが可能である。
前記黒色遮蔽部及び着色部並びに前記フォトスペーサーはそれぞれ感光性樹脂組成物から形成でき、具体的には、例えば、基板に液体の前記感光性樹脂組成物を直接塗布することにより感光性樹脂層を形成した後に、露光・現像を行ない、前記黒色遮蔽部及び着色部をパターン状に形成し、その後、別の液体の前記感光性樹脂組成物を前記基板とは異なる別の基板(仮支持体)上に設置して感光性樹脂層を形成することにより作製された転写材料を用い、この転写材料を前記黒色遮蔽部及び着色部が形成された前記基板に密着させて感光性樹脂層を転写した後に、露光・現像を行うことによりフォトスペーサーをパターン状に形成することができる。
このようにして、フォトスペーサーが設けられたカラーフィルタを作製することができる。
【0135】
≪保護膜≫
本発明の保護膜は、既述の本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである。
本発明の保護膜は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて構成されるので、低露光で形成された場合においても膜厚均一性に優れる。
【0136】
本発明の保護膜は、本発明の感光性樹脂組成物を用いた方法であれば、いずれの方法で形成されてもよいが、前述の本発明のフォトスペーサーの形成方法と同様の方法により形成できる。ここで、保護膜にパターニングを施さない場合、即ち、保護膜をいわゆるベタ膜として形成する場合には、前記(ロ)露光工程において、被膜を全面露光する方法が好適である。
【0137】
≪着色パターン≫
本発明の着色パターンは、既述の本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである。ここで、感光性樹脂組成物は、既述の各成分に加え、更に、着色剤の少なくとも1種を含有する形態が好適である。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の着色剤の中から適宜選択して用いることができる。公知の着色剤としては、具体的には、特開2005−17716号公報[0038]〜[0054]に記載の顔料及び染料や、特開2004−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤などを挙げることができる。
【0138】
本発明の着色パターンは、本発明の感光性樹脂組成物を用いて構成されるので、低露光で形成された場合においても均一な断面形状を有し、膜厚均一性に優れる。
なお、本発明の着色パターンが、複数色の着色パターンを有するカラーフィルタの一要素として用いられる場合は、少なくとも一色の着色パターンが本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成されていればよい。
【0139】
本発明の着色パターンは、本発明の感光性樹脂組成物を用いた方法であれば、いずれの方法で形成されてもよいが、例えば、前述の本発明のフォトスペーサーの形成方法と同様の方法により形成できる。
【0140】
≪表示装置用基板≫
本発明の表示装置用基板は、本発明のフォトスペーサー、本発明の保護膜、及び本発明の着色パターンの少なくとも1つを備えて構成される。
本発明の表示装置用基板は、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成された、断面形状及び膜厚(高さ)均一性が良好な構造物(本発明のフォトスペーサー、本発明の保護膜、及び本発明の着色パターンの少なくとも1つ。以下同じ)を備えるため、表示装置に用いた際に表示ムラを抑制できる。
【0141】
ここで表示装置用基板とは、表示装置を構成するための一対の支持体のうち少なくとも一方を指す。
表示装置用基板の具体例としては、表示素子や表示装置の構成によっても異なるが、例えば、着色パターン(以下、「着色画素」ともいう)を備えたカラーフィルタ基板、駆動手段を備えた駆動手段付き基板(例えば、単純マトリクス基板、アクティブマトリクス基板、等)、離隔壁を備えた離隔壁付き基板(例えば、ブラックマトリクスを備えたブラックマトリクス付き基板、等)、着色パターンと駆動手段との双方を備えたカラーフィルタオンアレイ基板、パターン構造物や被膜が設けられていないガラス基板等が挙げられる。
【0142】
前記カラーフィルタ基板の前記着色パターン群(着色画素群)は、互いに異なる色を呈する2色の画素からなるものでも、3色の画素、4色以上の画素からなるものであってもよい。例えば3色の場合、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相で構成される。RGB3色の画素群を配置する場合には、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4色以上の画素群を配置する場合にはどのような配置であってもよい。カラーフィルタ基板の作製は、例えば2色以上の画素群を形成した後既述のようにブラックマトリックスを形成してもよいし、逆にブラックマトリックスを形成した後に画素群を形成するようにしてもよい。RGB画素の形成については、特開2004−347831号公報等を参考にすることができる。
【0143】
≪表示素子≫
本発明の表示装置用基板を用い、表示素子を形成することができる。
表示素子の1つとして、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式及びアクティブマトリックス駆動方式を含む。)を少なくとも備えた液晶表示素子が挙げられる。
【0144】
この液晶表示素子の場合、表示装置用基板は、複数のRGB画素群を有し、該画素群を構成する各画素が互いにブラックマトリックスで離画されているカラーフィルタ基板として用いることができる。このカラーフィルタ基板には、断面形状及び膜厚(高さ)均一性が良好な構造物が設けられているため、該カラーフィルタ基板を備えた液晶表示素子は、カラーフィルタ基板と対向基板との間のセルギャップ(セル厚)の変動に起因して液晶材料が偏在する、低温発泡する等による色ムラ等の表示ムラの発生を効果的に防止することができる。これにより、作製された液晶表示素子は鮮やかな画像を表示できる。
【0145】
また、液晶表示素子のより詳細な態様として、少なくとも一方が光透過性の一対の支持体(液晶表示装置用基板を含む。)間に液晶層と液晶駆動手段とを少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ一対の基板間がフォトスペーサーにより所定幅に規制して構成されたものが挙げられる。
【0146】
≪表示装置≫
本発明の表示装置は、上記の表示装置用基板を備えたものである。
本発明の表示装置は、断面形状及び膜厚(高さ)均一性が良好な構造物が設けられた本発明の表示装置用基板を備えるため、表示ムラが抑制される。
【0147】
表示装置としては、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置などが挙げられる。表示装置の定義や各表示装置の説明については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。
【0148】
表示装置の中でも液晶表示装置が好ましい。
液晶表示装置は、例えば、互いに向き合うように対向配置された一対の基板間をフォトスペーサーで所定幅に規制し、規制された間隙に液晶材料を封入(封入部位を液晶層と称する。)して構成されており、液晶層の厚さ(セル厚)が所望の均一厚に保持されるようになっている。
【0149】
液晶表示装置における液晶表示モードとしては、STN型、TN型、GH型、ECB型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、VA型、IPS型、OCB型、ASM型、その他種々のものが好適に挙げられる。中でも、本発明の液晶表示装置においては、最も効果的に本発明の効果を奏する観点から、液晶セルのセル厚の変動により表示ムラを起こし易い表示モードが望ましく、セル厚が2〜4μmであるVA型表示モード、IPS型表示モード、OCB型表示モードに構成されるのが好ましい。
【0150】
また、本発明において使用可能な液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、強誘電液晶が挙げられる。
【0151】
液晶表示装置の基本的な構成態様としては、(a)薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをフォトスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、(b)駆動基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをフォトスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、等が挙げられ、本発明の液晶表示装置は、各種液晶表示機器に好適に適用することができる。
【0152】
液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、側工業調査会、1994年発行)」に記載がある。本発明の液晶表示装置には、本発明の液晶表示素子を備える以外に特に制限はなく、例えば前記「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載された種々の方式の液晶表示装置に構成することができる。中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置を構成するのに有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)、1996年発行)」に記載がある。
【0153】
液晶表示装置は、既述のフォトスペーサー、着色パターン、保護膜、液晶表示装置用基板、液晶表示素子を備える以外は、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、フォトスペーサー.視野角補償フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、防眩フィルムなどの様々な部材を用いて一般的に構成できる。これら部材については、例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島健太郎、(株)シーエムシー、1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉、(株)富士キメラ総研、2003等発行)」に記載されている。
【実施例】
【0154】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0155】
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel、Super Multipore HZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。また、条件としては、試料濃度を4.5質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なった。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
【0156】
<〔A〕樹脂の合成>
まず、感光性樹脂組成物中の樹脂として、〔A〕樹脂(例示化合物PD−52、PU−52、PD−51、PD−53、PD−46、PD−47、PU−53)の合成を行った。
【0157】
(合成例1)
(例示化合物PD−52の合成)
反応容器中に、1−メトキシ−2−プロパノール(MFG、日本乳化剤(株)製)7.48部をあらかじめ加え、90℃に昇温し、スチレン(St)3.1部、トリシクロペンテニルメタアクリレート(日立化成工業(株)製のTCPD−M;x)4.28部、メタクリル酸(MAA;y)11.7部、アゾ系重合開始剤(和光純薬(株)製、V−601)2.08部、及び1−メトキシ−2−プロパノール55.2部からなる混合溶液を窒素ガス雰囲気下、90℃の反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後、4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、前記アクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.15部、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.34部を加えた後、メタクリル酸グリシジル(GLM,東京化成工業(株)製)26.4部を2時間かけて滴下した(GLM−MAA;z)。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させた後、固形分濃度が45%になるように溶媒1−メトキシ−2−プロピルアセテート(MMPGAc、ダイセル化学工業(株)製)を添加することにより調製し、不飽和基を1個持つ化合物Xを得た。
更に、前記化合物Xにメタクリル酸クロライド(東京化成(株))を付加反応させて、例示化合物PD−52(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;76.0mgKOH/g、Mw;25,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た(x:y:z:St=30mol%:27mol%:37mol%:6mol%)。
ここで、GLM−MAAは、メタクリル酸にグリシジルメタクリレートが結合したものを示す(以下、同様である)。
なお、例示化合物PD−52の分子量Mwは、重量平均分子量を示し、重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて行なった(以下、同様である)。
【0158】
(合成例2)
(例示化合物PU−52の合成)
反応容器中に、1−メトキシ−2−プロパノール(MFG、日本乳化剤(株)製)7.48部をあらかじめ加え、90℃に昇温し、スチレン(St)3.1部、トリシクロペンテニルメタアクリレート(日立化成工業(株)製のTCPD−M;x)4.28部、メタクリル酸(MAA;y)11.7部、アゾ系重合開始剤(和光純薬(株)製、V−601)2.08部、及び1−メトキシ−2−プロパノール55.2部からなる混合溶液を窒素ガス雰囲気下、90℃の反応容器中に2時間かけて滴下した。滴下後、4時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
次いで、前記アクリル樹脂溶液に、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.15部、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.34部を加えた後、メタクリル酸グリシジル(GLM,東京化成工業(株)製)26.4部を2時間かけて滴下した(GLM−MAA;z)。滴下後、空気を吹き込みながら90℃で4時間反応させた後、固形分濃度が45%になるように溶媒1−メトキシ−2−プロピルアセテート(MMPGAc、ダイセル化学工業(株)製)を添加することにより調製し、不飽和基を1個持つ化合物を得た。
更に、前記化合物にカレンズMOI(昭和電工(株))を付加反応させて、例示化合物PU−52(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;76.0mgKOH/g、Mw;25,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た(x:y:z:St=30mol%:27mol%:37mol%:6mol%)。
ここで、GLM−MAAは、メタクリル酸にグリシジルメタクリレートが結合したものを示す(以下、同様である)。
なお、例示化合物PU−52の分子量Mwは、重量平均分子量を示し、重量平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフ法(GPC法)を用いて行なった(以下、同様である)。
【0159】
(合成例3)
(例示化合物PD−51の合成)
前記例示化合物PD−52の合成において、スチレンを用いず、例示化合物PD−51中のx:y:zが34mol%:27mol%:39mol%になるように、TCPD−M(x)、メタクリル酸(y)、及びGLM−MAA(z)の添加量を変更した以外は、前記例示化合物PD−52の合成と同様の方法により合成し、不飽和基を持つ例示化合物PD−51(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;72.5mgKOH/g、Mw;22,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
【0160】
(合成例4)
(例示化合物PD−53の合成)
前記例示化合物P−52の合成において、スチレンを用いず、トリシクロペンテニルメタアクリレートをジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成工業(株)製のファンクリルFA−512M)に代え、例示化合物PD−53中のx:y:zが46.2mol%:24.3mol%:29.5mol%になるように、FA−512M(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)、の添加量を変更した以外は、前記例示化合物PD−52の合成と同様の方法により合成し、不飽和基を持つ例示化合物PD−53(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;71.2mgKOH/g、Mw;25,500、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
【0161】
(合成例5)
(例示化合物PD−46の合成)
前記例示化合物PD−52の合成において、トリシクロペンテニルメタアクリレートをADMA(出光興産(株)製)に代え、化合物PD−1にスチレン由来の構造単位を加えた組成x:y:z:Stが30mol%:24mol%:38mol%:8mol%になるように、ADMA(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)、及びスチレンの添加量を変更した以外は、前記例示化合物PD−52の合成と同様の方法により合成し、例示化合物PD−46(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;74.1mgKOH/g、Mw;29,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
【0162】
(合成例6)
(例示化合物PD−47の合成)
前記例示化合物PD−52の合成において、トリシクロペンテニルメタアクリレートをメタクリル酸ノルボルニル(に代え、組成x:y:z:Stが34mol%:24mol%:36mol%:6mol%になるように、メタクリル酸ノルボルニル(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)、及びスチレンの添加量を変更した以外は、例示化合物PD−52の合成と同様の方法により合成し、例示化合物PD−47(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;72.9mgKOH/g、Mw;29,000、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
【0163】
(合成例7)
(例示化合物PU−53の合成)
合成例2の例示化合物PU−52の合成において、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(日立化成工業(株)製のファンクリルFA−512M)に変更し、スチレンを用いずに組成x:y:zが46.2mol%:24。3mol%:29.5mol%になるように、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(x)、メタクリル酸(y)、GLM−MAA(z)の添加量を変更した以外は、例示化合物PU−52の合成と同様の方法により合成し、例示化合物PU−53(〔A〕樹脂)の樹脂溶液(固形分酸価;76.0mgKOH/g、Mw;25,500、1−メトキシ−2−プロパノール/1−メトキシ−2−プロピルアセテート45%溶液)を得た。
【0164】
(合成例8)(比較例用)
冷却管、撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部を仕込んだ。引き続き、スチレン5部、メタクリル酸20部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル25部、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン25部、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル20部、及び1,3−ブタジエン5部を仕込み、窒素置換した後、ゆるやかに攪拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度で5時間保持し、共重合体1を含む重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分濃度は45.0%であり、重合体の重量平均分子量は18,000であった。
【0165】
〔実施例1〕:塗布法
<カラーフィルタ基板の作製>
特開2005−3861号公報の段落番号[0084]〜[0095]に記載の方法により、ブラックマトリクス、R(赤色)画素、G(緑色)画素、B(青色)画素を有するカラーフィルタを作製した(以下、これをカラーフィルタ基板と称する。)。ここで、カラーフィルタ基板の基板サイズは、550mm×650mmとした。
次いで、得られたカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素並びにブラックマトリクスの上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。
【0166】
<フォトスペーサーの形成>
上記で作製したITO透明電極がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO透明電極上に、スピンナーにて、下記表1に示す処方(実施例1では処方1)からなる感光性樹脂層用塗布液をスリット塗布した。引き続き、真空乾燥機VCD(東京応化社製)を用いて30秒間溶媒の一部を乾燥させて塗布膜の流動性をなくした後、90℃のホットプレート上で3分間プリベークし、膜厚5.2μmの感光性樹脂層を形成した(被膜形成工程)。
【0167】
続いて、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、マスク(直径15μmの円形パターンを有する石英露光マスク)と、該マスクと感光性樹脂層とが向き合うように配置したカラーフィルタ基板と、を略平行に垂直に立てた状態で、マスク面と感光性樹脂層の表面との間の距離を100μmとし、該マスクを介して、365nmにおける強度250W/mで紫外透過フィルタ(UV−35、東芝ガラス(株)製)を透過させた紫外線を10秒間、照射した(露光工程、露光量250mJ/cm)。
【0168】
次に、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−CD1(富士フィルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて29℃で30秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、パターン像を形成した(現像工程)。引き続いて、洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有;商品名:T−SD3(富士フィルム(株)製))を純水で10倍に希釈した液を用いて33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaにてシャワーで吹きかけ、形成されたパターン像の周辺の残渣除去を行ない、円柱状のスペーサーパターンを300μm×300μmに1本のスペーサー間隔となるように形成した。
【0169】
次に、スペーサパターンが設けられたカラーフィルタ基板を、230℃下で30分間加熱処理を行なう(被膜加熱工程)ことにより、カラーフィルタ基板上にフォトスペーサを作製した。ここで、得られたフォトスペーサ1000個を、三次元表面構造解析顕微鏡(メーカー:ZYGO Corporation、型式:New View 5022)を用いてITO透明電極形成面側から最も高いスペーサの最も高い位置を測定(n=20)し、平均したときの平均値を高さ(平均高さ)とした。また、得られたフォトスペーサの底面積の計測は、SEM写真を用いて行なった。その結果、直径15.1μm、平均高さ4.7μmの円柱形状であった。測定値は下記表2に示す。
【0170】
【表1】

【0171】
<液晶表示装置の作製>
別途、対向基板としてガラス基板を用意し、上記で得られたカラーフィルタ基板の透明電極上及び対向基板上にそれぞれPVAモード用にパターニングを施し、その上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
【0172】
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置に紫外線硬化樹脂のシール剤をディスペンサ方式により塗布し、PVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板をUV照射した後、熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。
【0173】
次いで、赤色(R)LEDとしてFR1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、緑色(G)LEDとしてDG1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)、青色(B)LEDとしてDB1112H(スタンレー電気(株)製のチップ型LED)を用いてサイドライト方式のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
【0174】
<評価>
得られた感光性樹脂層用塗布液及びフォトスペーサについて、下記の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表2に示す。
【0175】
−変形回復率−
得られたフォトスペーサに対して、微小硬度計(DUH−W201、(株)島津製作所製)により次のようにして測定を行ない、評価した。測定は、50μmφの円錘台圧子を採用し、最大荷重50mN、保持時間5秒として、負荷−除荷試験法により行なった。この測定値から下記式により変形回復率〔%〕を求め、下記評価基準にしたがって評価した。測定は、22±1℃、50%RHの環境下で行なった。
変形回復率(%)
=(荷重開放後の回復量[μm]/荷重時の変形量[μm])×100
〈評価基準〉
5:変形回復率が90%以上であった。
4:変形回復率が87%以上90%未満であった。
3:変形回復率が85%以上87%未満であった。
2:変形回復率が80%以上85%未満であった。
1:変形回復率が75%以上80%未満であった。
0:変形回復率が75%未満であった。
【0176】
−感度−
得られた感光性樹脂層用塗布液に対して、露光量を種々変化させたときにスペーサパターンを形成できるかできないかを観察し、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
◎:60mJ/cm未満でパターン形成が可能であった。
○:60〜100mJ/cm未満でパターン形成が可能であった。
△:100〜200mJ/cmでパターン形成が可能であった。
×:パターン形成に200mJ/cmを超える露光量が必要であった。
【0177】
−保存性−
(1)液保存性
上記で得られた感光性樹脂層用塗布液を密栓し、密栓後の自然経時(25℃)180日が経過した後、及び感光性樹脂層用塗布液を60℃のオーブンに入れて2週間経過した後の、それぞれの塗布液を用い、前記「感度」の評価における操作と同様にして、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
○:60mJ/cm未満でパターン形成が可能であった。
△:60mJ/cm以上150mJ/cm未満でパターン形成が可能であった。
×:パターン形成に150mJ/cm以上300mJ/cm未満の露光量が必要であった。
××:パターン形成に300mJ/cm以上の露光量が必要であった。
【0178】
(2)感光性樹脂層の経時安定性
プリベーク後の感光性樹脂層(感光性樹脂層が形成されたカラーフィルタ基板)を60℃のオーブンに14日間入れ、前記「感度」の評価における操作と同様にして、下記評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
○:60mJ/cm未満でパターン形成が可能であった。
△:60mJ/cm以上150mJ/cm未満でパターン形成が可能であった。
×:パターン形成に150mJ/cm以上300mJ/cm未満の露光量が必要であった。
××:パターン形成に300mJ/cm以上の露光量が必要であった。
【0179】
(実施例3及び実施例5〜9、比較例1〜3):塗布法
実施例1において、感光性樹脂層用塗布液の処方を前記表1に示すように変更すると共に、感光性樹脂層用塗布液の調製に用いた化合物PD−52(〔A〕樹脂)、微粒子、及び開始剤を、下記表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様して、フォトスペーサ及び液晶表示装置を作製した。得られたフォトスペーサは、円柱形状とした。
【0180】
(実施例2、4):転写法
実施例1において、感光性樹脂層用塗布液(処方1)の塗布に代えて以下に示すスペーサ用感光性転写フィルムを用いた転写を行なうことにより、感光性樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同様して、フォトスペーサ及び液晶表示装置を作製した。得られたフォトスペーサは、円柱形状であった。
【0181】
−スペーサ用感光性転写フィルムの作製−
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体(PET仮支持体)上に、下記処方Aからなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させ、乾燥層厚15.0μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
【0182】
〔熱可塑性樹脂層用塗布液の処方A〕
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 … 25.0部
(=55/11.7/4.5/28.8[モル比]、重量平均分子量90,000)
・スチレン/アクリル酸共重合体 … 58.4部
(=63/37[モル比]、重量平均分子量8,000)
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
… 39.0部
・下記界面活性剤1 … 10.0部
・メタノール … 90.0部
・1−メトキシ−2−プロパノール … 51.0部
・メチルエチルケトン …700部
【0183】
*界面活性剤1
・下記構造物1 …30%
・メチルエチルケトン …70%
【0184】
【化35】

【0185】
次に、形成した熱可塑性樹脂層上に、下記処方Bからなる中間層用塗布液を塗布、乾燥させて、乾燥層厚1.5μmの中間層を積層した。
【0186】
〔中間層用塗布液の処方B〕
・ポリビニルアルコール …3.22部
(PVA−205(鹸化率80%)、(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン …1.49部
(PVP K−30、アイエスピー・ジャパン株式会社製)
・メタノール …42.3部
・蒸留水 …524部
【0187】
次に、形成した中間層上に更に、前記表1に示す処方3からなる感光性樹脂層用塗布液(〔A〕樹脂は表2中の化合物)を塗布、乾燥させて、乾燥層厚5.0μmの感光性樹脂層を積層した。
【0188】
以上のようにして、PET仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層の積層構造(3層の合計層厚:21.5μm)に構成した後、感光性樹脂層の表面に更に、カバーフィルムとして厚み12μmのポリプロピレン製のフィルムを加熱・加圧して貼り付け、スペーサ用感光性転写フィルムを得た。
【0189】
−フォトスペーサの作製−
得られたスペーサ用感光性転写フィルムのカバーフィルムを剥離し、露出した感光性樹脂層の表面を、実施例1と同様にして作製したITO透明電極がスパッタ形成されたカラーフィルタ基板のITO透明電極上に重ね合わせ、ラミネーターLamicII型〔(株)日立インダストリイズ製〕を用いて、線圧100N/cm、130℃の加圧・加熱条件下で搬送速度2m/分にて貼り合わせた。その後、PET仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離除去し、感光性樹脂層を熱可塑性樹脂層及び中間層と共に転写した(被膜形成工程)。
【0190】
続いて、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、マスク(画像パターンを有する石英露光マスク)と、該マスクと熱可塑性樹脂層とが向き合うように配置したカラーフィルタ基板とを略平行に垂直に立てた状態で、マスク面と感光性樹脂層の中間層に接する側の表面との間の距離を100μmとし、マスクを介して熱可塑性樹脂層側から露光量90mJ/cmにてプロキシミティー露光した(露光工程)。
【0191】
次に、トリエタノールアミン系現像液(トリエタノールアミン30%含有、商品名:T−PD2(富士フィルム(株)製)を純水で12倍(T−PD2を1部と純水11部の割合で混合)に希釈した液)を30℃で50秒間、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し、熱可塑性樹脂層と中間層とを除去した。引き続き、このガラス基板の上面にエアを吹きかけて液切りした後、純水をシャワーにより10秒間吹き付け、純水シャワー洗浄し、エアを吹きかけて基板上の液だまりを減らした。続いて、炭酸Na系現像液(0.38モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、0.47モル/リットルの炭酸ナトリウム、5%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、及び安定剤含有;商品名:T−CD1(富士フィルム(株)製)を純水で10倍に希釈した液)を用いて29℃で30秒間、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し、パターン像を形成した(現像工程)。
次いで、洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有;商品名:T−SD3(富士フィルム(株)製))を純水で10倍に希釈した液を用いて33℃で20秒間、コーン型ノズル圧力0.02MPaにてシャワーで吹きかけ、形成されたパターン像の周辺の残渣除去を行ない、円柱状のスペーサパターンを300μm×300μmに1本のスペーサ間隔となるように形成した。
次に、スペーサパターンが設けられたカラーフィルタ基板を、230℃下で30分間加熱処理を行なう(被膜加熱工程)ことにより、カラーフィルタ基板上にフォトスペーサを作製した。得られたフォトスペーサは、直径15.1μm、平均高さ4.7μmの円柱形状であった。
そして、フォトスペーサが作製されたカラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様にして、PVAモード液晶表示装置を作製した。
【0192】
【表2】



【0193】
実施例、比較例で用いたものの詳細については以下の通りである。
・CGI−242:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製〕
【0194】
前記表2に示すように、実施例では、比較例に比して、より高い感度が得られており、調製された感光性樹脂層用塗布液の液保存性、及び塗布後の乾膜状態で保持されたときの感光性樹脂層の経時安定性も良好であった。
得られたスペーサについても、実施例では、比較例に比して、より高さ均一性及び変形回復率ともに良好であった。
【0195】
〔実施例10〕
<保護膜の形成>
実施例1中、カラーフィルタ基板の作製において、ブラックマトリクス、R画素、G画素、及びB画素形成後、ブラックマトリクス及び各画素上に、更に、前記処方1からなる感光性樹脂組成物を塗布し、マスクを介さずに露光し(全面露光)、加熱処理して保護膜を形成した。ここで、塗布、露光、加熱処理の条件は、マスクを介さずに露光する以外は実施例1のフォトスペーサーの形成における塗布、露光、加熱処理の条件と同様である。
次いで、得られた保護層上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。
【0196】
<フォトスペーサーの形成>
上記で形成されたITO透明電極上に、感光性樹脂組成物として実施例1で用いた感光性樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様の方法によりフォトスペーサーを形成した。
【0197】
<液晶表示装置の作製及び評価>
次に、前記フォトスペーサーが形成されたカラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様の方法により液晶表示装置を作製した。
得られた保護膜及び液晶表示装置について、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0198】
〔実施例11〕
<着色パターンの形成>
実施例1中、カラーフィルタ基板の作製において、R画素を下記方法により形成した以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
即ち、前記処方1に、さらにピグメントレッド254(19.4部)及びピグメントレッド177(4.83部)を添加して、R画素用感光性樹脂組成物を調製した。
調製されたR画素用感光性樹脂組成物を用いたこと及びフォトマスクとしてR画素用フォトマスクを用いたこと以外は実施例1のフォトスペーサーの形成と同様の方法により、R画素を形成した。
【0199】
作製されたカラーフィルタ基板のR画素、G画素、及びB画素形成後、各画素上に更に、ITO(Indium Tin Oxide)の透明電極をスパッタリングにより形成した。
【0200】
<フォトスペーサーの形成>
上記で形成されたITO透明電極上に、感光性樹脂組成物として実施例1で用いた感光性樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様の方法によりフォトスペーサーを形成した。
【0201】
<液晶表示装置の作製及び評価>
次に、前記フォトスペーサーが形成されたカラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様の方法により液晶表示装置を作製した。
得られた保護膜及び液晶表示装置について、実施例1と同様の方法により評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0202】
[比較例4、5]
比較例4は実施例10の[A]樹脂の構造PD−52の代わりに共重合体1を用いた以外は、また、比較例5は実施例11の[A]樹脂の構造PD−52の代わりに共重合体1を用いた以外は、それぞれ実施例10及び11と同様に行ってそれぞれ保護膜、着色材料を作成し、同様に評価した。
【0203】
【表3】

【0204】
表3に示すように、本発明の感光性樹脂組成物を用いて保護膜及び着色パターンを形成した場合においても、フォトスペーサーを形成した場合と同様に良好な結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
〔A〕側鎖に、分岐及び/又は脂環構造、酸性基、並びに置換アルキル基を有する樹脂であって、前記置換アルキル基が2個のエチレン性不飽和結合を有する樹脂と、
〔B〕エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、
〔C〕光重合開始剤と、
を含有する感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記置換アルキル基が、下記一般式(1)で表される基であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化1】


(一般式(1)中、*は樹脂の主鎖に結合する側を表し、A1は炭素数1〜9の2置換されたアルキル基を表す。B1及びB2は、それぞれ独立に、単結合、ウレタン結合(主鎖側:−O−CO−NHR−)、エステル結合(主鎖側:−CO−O−)を表し、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。また、X1及びX2は、それぞれ独立に、エステル結合(主鎖側:−O−CO−)を表す。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。)
【請求項3】
前記置換アルキル基の置換基が、(メタ)アクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成されたフォトスペーサ。
【請求項5】
少なくとも下記工程(イ)〜(ニ)を含むフォトスペーサーの形成方法。
(イ)請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の被膜を基板上に形成する工程
(ロ)前記被膜の少なくとも一部を露光する工程
(ハ)露光後の前記被膜を現像する工程
(ニ)現像後の前記被膜を加熱する工程
【請求項6】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された保護膜。
【請求項7】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された着色パターン。
【請求項8】
請求項4に記載のフォトスペーサー、請求項6に記載の保護膜、及び請求項7に記載の着色パターンの少なくとも1つを備えた表示装置用基板。
【請求項9】
請求項8に記載の表示装置用基板を備えた表示装置。

【公開番号】特開2009−175730(P2009−175730A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334172(P2008−334172)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】