説明

感光性組成物、並びに感光性フィルム、感光性積層体、永久パターン形成方法、及びプリント基板

【課題】重合性化合物が短時間で効率的に重合し得る高感度かつ現像性が良好な感光性組成物等の提供。
【解決手段】バインダーと、重合性化合物と、熱硬化性化合物と、光重合開始剤と、増感剤とを含有し、重合性化合物がメタクリレート化合物から選ばれる少なくとも1種含有し、光重合開始剤が一般式(A−1)で表される化合物、増感剤が一般式(B−1)で表される化合物である感光性組成物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性化合物が短時間で効率的に重合し得る高感度かつ現像性が良好な感光性組成物、並びに該感光性組成物を用いた感光性フィルム、感光性積層体、永久パターン形成方法、及びプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
ソルダーレジストは、プリント配線板に部品をはんだ付けする際のはんだブリッジの防止及び回路の保護を目的として用いられるものであり、密着性、耐薬品性、電気特性などの諸特性が要求される。近年、プリント配線板製造業界においては、プリント配線板の軽量化、導体回路の高密度化が求められ、これに応じて写真現像タイプのソルダーレジスト形成用感光性組成物、特にアルカリ水溶液により現像可能な感光性組成物が開発され、用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような写真現像タイプのソルダーレジスト形成用感光性組成物を用いた感光層の形成は、スクリーン印刷法、カーテンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等により該ソルダーレジスト形成用感光性組成物を基板上に全面塗布する塗布工程、接触露光を可能にするため有機溶剤を揮発させる仮乾燥工程、冷却し接触露光する露光工程、未露光部を現像により取り除く現像工程、充分な塗膜特性を得るための熱硬化工程を必要とする。これらの工程の中で、特に露光工程は、プリント配線板の種類によりネガフィルムを交換し、位置合わせをした後、真空引きし、露光するというような極めて瑣瑣な工程である。したがって生産性向上、低価格化のためには露光工程の短縮が大きなファクターとなり、また、露光工程の短縮にはソルダーレジスト形成用感光性組成物の高感度化が大きく寄与しているので、ソルダーレジスト形成用感光性組成物の高感度化を図ることが望まれている。
【0004】
このような高感度化の要求を実現するため、ある種のオキシムエステル誘導体及びある種のジチオアルキレン化合物が、光の作用により活性ラジカルを生成してモノマーの重合を開始させる光重合開始剤として有用であることが知られている(特許文献2〜6参照)。
【0005】
しかし、より高感度にするため、オキシムエステル誘導体及びジチオアルキレン化合物の添加量を多くすると、ラミネートしてから24時間以上の経時により現像性が変化し、解像度が低下して、現像残渣の発生が起こり易くなるという問題があり、その速やかな改良が望まれているのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開平1−141904号公報
【特許文献2】特開昭60−166306号公報
【特許文献3】特開2001−233842号公報
【特許文献4】特開2000−80068号公報
【特許文献5】特開2005−182004号公報
【特許文献6】特許第2632069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、エネルギー線、特に光の照射により活性ラジカルを発生して効率的に重合を開始し、重合性化合物が短時間で効率的に重合し得る高感度かつ現像性の良好な感光性組成物、並びに該感光性組成物を用いた感光性フィルム、感光性積層体、永久パターン形成方法、及びプリント基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> バインダーと、重合性化合物と、熱硬化性化合物と、光重合開始剤と、増感剤とを少なくとも含有してなり、
前記重合性化合物が、メタクリレート化合物から選ばれる少なくとも1種を含有し、
前記光重合開始剤が、下記一般式(A−1)で表される化合物であり、
前記増感剤が、下記一般式(B−1)で表される化合物であることを特徴とする感光性組成物である。
【化7】

ただし、前記一般式(A−1)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表し、該Rは置換基で更に置換されていてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、及びシアノ基のいずれかを表し、Arは、芳香族環、及び複素芳香族環のいずれかを表し、ArとRは互いに結合して環を形成してもよい。nは、0又は1を表す。
【化8】

ただし、前記一般式(B−1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、及びアルケニル基のいずれかを表し、該Rと該Rとは、それぞれが結合している硫黄原子と共に非金属元素からなる環を形成していてもよく、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。G及びGは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、シアノ基、カルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルロオアルキルスルホニル基のいずれかを表し、該Gと該Gとは、それぞれが結合している炭素原子と共に、非金属原子からなるメロシアニン色素で酸性核として用いられる環を形成していてもよく、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。ただし、G及びGのいずれかは、カルボニル基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルオロアルキルスルホニル基のいずれかを表す。pは、0〜2のいずれかの整数を表す。
<2> 一般式(A−1)で表される化合物が、下記一般式(A−2)で表される化合物である前記<1>に記載の感光性組成物である。
【化9】

ただし、前記一般式(A−2)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Rは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。mは、0以上の整数を表し、該mが2以上の場合には、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、互いに連結し環を形成してもよい。Arは、芳香族環及び複素芳香族環のいずれかを表す。Aは、5員環、6員環、及び7員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
<3> 一般式(A−2)で表される化合物が、下記一般式(A−3)及び(A−4)のいずれかで表される化合物である前記<2>に記載の感光性組成物である。
【化10】

【化11】

ただし、前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Rは、アルキル基、及びアルキルオキシ基のいずれかを表し、該Rは、置換基で更に置換されていてもよい。Rは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。lは、0〜6の整数を表し、該lが2以上の場合には、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、互いに連結し環を形成してもよい。Aは、5員環及び6員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
<4> 一般式(B−1)で表される化合物が、下記一般式(B−2)で表される化合物である前記<1>から<3>のいずれかに記載の感光性組成物である。
【化12】

ただし、前記一般式(B−2)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、及びハロゲン原子のいずれかを表し、該R及び該Rは、互いに連結し芳香族環を形成していてもよく、更に該芳香族環上にアルキル基、アルキルオキシ基、及びハロゲン原子の少なくともいずれかを有していてもよい。R10及びR11は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Yは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
<5> 熱硬化性化合物が、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物である前記<1>から<4>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<6> 1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物が、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式基含有型エポキシ樹脂、及び難溶性エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種である前記<5>に記載の感光性組成物である。
<7> 更に、無機フィラー及び有機フィラーの少なくともいずれかを含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光層を支持体上に有してなることを特徴とする感光性フィルムである。
<9> 基体上に、前記<1>から<7>のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光層を有することを特徴とする感光性積層体である。
<10> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の感光性組成物により形成された感光層に対して露光を行うことを含むことを特徴とする永久パターン形成方法である。
<11> 前記<10>に記載の永久パターン形成方法により永久パターンが形成されたことを特徴とするプリント基板である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、エネルギー線、特に光の照射により活性ラジカルを発生して効率的に重合を開始し、重合性化合物が短時間で効率的に重合し得る高感度かつ現像性が良好な感光性組成物、並びに該感光性組成物を用いた感光性フィルム、感光性積層体、永久パターン形成方法、及びプリント基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の感光性組成物は、バインダー、重合性化合物、熱硬化性化合物と、光重合開始剤と、増感剤とを少なくとも含有してなり、更に必要に応じて、その他の成分を含んでなる。
【0011】
<バインダー>
前記バインダーとしては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記バインダーは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
前記バインダーの質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜50,000がより好ましい。前記質量平均分子量が10,000未満であると、硬化膜強度が不足することがあり、50,000を超えると、現像性が低下する傾向がある。
【0012】
前記バインダーとしては、例えば、1分子中に1個以上のカルボキシル基を有するカルボキシル基含有樹脂(以下、「カルボキシル基含有樹脂」と称することもある)が好適である。
前記カルボキシル基含有樹脂としては、水に不溶で、かつ、アルカリ性水溶液により膨潤あるいは溶解する化合物が好ましい。
前記カルボキシル基含有樹脂としては、1分子中に1個以上のカルボキシル基を有していれば、特に制限はないが、1分子中に、カルボキシル基と、重合可能な不飽和二重結合とを、それぞれ少なくとも1つ有することが好ましい。該不飽和二重結合としては、例えば、アクリル基(例えば、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基等)、カルボン酸のビニルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル等の各種重合性二重結合が挙げられる。このような1分子中に、カルボキシル基と、重合可能な不飽和二重結合とを、それぞれ少なくとも1つ有するカルボキシル基含有樹脂としては、より具体的には、カルボキシル基を含有するアクリル樹脂に、環状エーテル基含有重合性化合物(例えば、グリシジルアクリレート;グリシジルメタクリレート;桂皮酸等の不飽和脂肪酸のグリシジルエステル;脂環式エポキシ基(例えば、シクロヘキセンオキシド等)と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物;等)を付加させて得られる化合物などが挙げられる。また、カルボキシル基及び水酸基を含有するアクリル樹脂に、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物なども挙げられる。
これらの化合物の例としては、特許2763775号公報、特開平3−172301号公報、特開2000−232264号公報などに記載の化合物などが挙げられる。
【0013】
これらの化合物の中でも、前記カルボキシル基含有樹脂としては、上述した化合物の中でも、カルボキシル基の一部に環状エーテル基(例えば、エポキシ基、オキセタン基を部分構造に有する基)含有重合性化合物を付加させたもの、及び環状エーテル基の一部又は全部にカルボキシル基含有重合性化合物を付加させたもののいずれかから選択されたポリマーであることが、更に好ましい。この際、カルボキシル基と環状エーテル基を有する化合物との付加反応は触媒存在下で実施するのが好ましく、特に、その触媒が酸性化合物及び中性化合物から選択されるものであることが好ましい。
これらの中でも、感光性組成物の経時での現像安定性の点から、カルボキシル基含有樹脂としては、側鎖に、カルボキシル基、ヘテロ環を含んでもよい芳香族基、及びエチレン性不飽和結合を含むものが好ましい。
【0014】
−カルボキシル基−
前記カルボキシル基は、酸基を有するラジカル重合性化合物1種以上と、必要に応じて共重合成分として他のラジカル重合性化合物1種以上との通常のラジカル重合法によって製造することでき、前記ラジカル重合法としては、例えば、懸濁重合法、溶液重合法などが挙げられる。
このようなラジカル重合性化合物が有する酸基としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸基などが挙げられ、カルボン酸が特に好ましい。
前記カルボキシル基を有するラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレンなどが挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】
前記カルボキシル基含有樹脂におけるカルボキシル基の含有量としては、1.0〜4.0meq/gが好ましく、1.5〜3.0meq/gがより好ましい。前記含有量が、1.0meq/g未満であると、現像性が不十分となることがあり、4.0meq/gを超えると、アルカリ水現像による画像強度ダメージを受けやすくなることがある。
ここで、前記カルボキシル基の含有量(meq/g)としては、水酸化ナトリウムを用いた中和滴定により測定することができる。
【0016】
−ヘテロ環を含んでもよい芳香族基−
前記ヘテロ環を含んでもよい芳香族基(以下、「芳香族基」と称することもある。)としては、例えば、ベンゼン環、2から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをなどが挙げられる。
前記芳香族基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、ベンゾピロール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、イソキサゾール環基、イソチアゾール環基、インダゾール環基、ベンゾイソキサゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キナゾリン環基、キノキサリン環基、アシリジン環基、フェナントリジン環基、カルバゾール環基、プリン環基、ピラン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、インドール環基、インドリジン環基、クロメン環基、シンノリン環基、アクリジン環基、フェノチアジン環基、テトラゾール環基、トリアジン環基などが挙げられる。これらの中でも、炭化水素芳香族基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0017】
前記芳香族基は、置換基を有していてもよく、前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアミノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、それぞれ置換基を有してもよい、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、などが挙げられる。
【0018】
前記アルキル基としては、例えば、炭素原子数が1から20までの直鎖状のアルキル基、分岐状のアルキル基、環状のアルキル基などが挙げられる。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基などが挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1から12までの直鎖状のアルキル基、炭素原子数3から12までの分岐状のアルキル基、炭素原子数5から10までの環状のアルキル基が好ましい。
【0019】
前記アルキル基が有してもよい置換基としては、例えば、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基が挙げられる。このような置換基としては、具体的には、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィイナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))(以下、「alkyl」はアルキル基を意味する。)、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))(以下、「aryl」はアリール基を意味する。)、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基(アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロ環基、シリル基などが挙げられる。
【0020】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのアルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられる。
【0021】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのアリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基などが挙げられる。
【0022】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのアルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基などが挙げられる。
【0023】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのアルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基などが挙げられる。
【0024】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのアシル基(R01CO−)としては、例えば、R01が、水素原子、前述のアルキル基、及びアリール基のいずれかであるものなどが挙げられる。
【0025】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのヘテロ環基の具体例としては、ピリジル基、ピペリジニル基などが挙げられ、前記置換基におけるシリル基としてはトリメチルシリル基などが挙げられる。
【0026】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのオキシ基(R02O−)としては、例えば、R02が水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基であるものなどが挙げられる。
このようなオキシ基としては、例えば、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基などが好ましい。
これらにおけるアルキル基及びアリール基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基として示したものを挙げることができる。また、アシルオキシ基におけるアシル基(R03CO−)としては、R03が、先の例として挙げたアルキル基、置換アルキル基、アリール基ならびに置換アリール基のものを挙げることができる。これらの置換基の中では、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、アリールスルホキシ基がより好ましい。
より好ましいオキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、メシチルオキシ基、クメニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基などが挙げられる。
【0027】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのスルホニル基(R04−SO−)としては、例えば、R04が一価の非金属原子団からなる基のものが挙げられる。
このようなスルホニル基としては、例えば、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが好ましい。これらにおけるアルキル基及びアリール基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基として示したものが挙げられる。
前記スルホニル基の具体例としては、ブチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、クロロフェニルスルホニル基などが挙げられる。
【0028】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのスルホナト基(−SO−)は、前述のとおり、スルホ基(−SOH)の共役塩基陰イオン基を意味し、通常は対陽イオンとともに使用されるのが好ましい。
このような対陽イオンとしては、一般に知られるものを適宜選択して用いることができ、例えば、オニウム類(例えば、アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、金属イオン類(例えば、Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
【0029】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのカルボニル基(R05−CO−)としては、例えば、R05が一価の非金属原子団からなる基のものが挙げられる。
このようなカルボニル基としては、例えば、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N’−アリールカルバモイル基などが挙げられる。これらにおけるアルキル基及びアリール基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基として示したものが挙げられる。
前記カルボニル基としては、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基が好ましく、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基がより好ましい。
前記カルボニル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ジメチルアミノフェニルエテニルカルボニル基、メトキシカルボニルメトキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基などが好適に挙げられる。
【0030】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのスルフィニル基(R06−SO−)としては、R06が一価の非金属原子団からなる基のものが挙げられる。
このようなスルフィニル基としては、例えば、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基などが挙げられる。これらにおけるアルキル基及びアリール基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基として示したものが挙げられる。これらの中でも、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基が好ましい。
前記置換スルフィニル基の具体例としては、ヘキシルスルフィニル基、ベンジルスルフィニル基、トリルスルフィニル基などが好適に挙げられる。
【0031】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのホスホノ基とは、ホスホノ基上の水酸基の一つ乃至二つが他の有機オキソ基によって置換されたものを意味し、例えば、前述のジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、アルキルアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、モノアリールホスホノ基などが好ましい。これらの中では、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基がより好ましい。
前記ホスホノ基のより好ましい具体例としては、ジエチルホスホノ基、ジブチルホスホノ基、ジフェニルホスホノ基などが挙げられる。
【0032】
前記アルキル基が有してもよい置換基としてのホスホナト基(−PO−、−POH−)とは、前述のとおり、ホスホノ基(−PO)の、酸第一解離、又は酸第二解離に由来する共役塩基陰イオン基を意味する。通常は対陽イオンと共に使用されるのが好ましい。このような対陽イオンとしては、一般に知られるものを適宜選択することができ、例えば、種々のオニウム類(アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類、ヨードニウム類、アジニウム類等)、金属イオン類(Na、K、Ca2+、Zn2+等)が挙げられる。
前記ホスホナト基は、ホスホノ基の内、水酸基を一つ有機オキソ基に置換したものの共役塩基陰イオン基であってもよく、このような具体例としては、前述のモノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))の共役塩基が挙げられる。
【0033】
これらの前記アルキル基が有してもよい置換基の中でも、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスホノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基などが好ましい。
【0034】
このような置換基とアルキル基を組み合わせることで得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、s−ブトキシブチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、ピリジルメチル基、テトラメチルピペリジニルメチル基、N−アセチルテトラメチルピペリジニルメチル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシエチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基などが挙げられる。
【0035】
一方、前記芳香族基が有していてもよい置換基としてのアリール基としては、例えば、ベンゼン環、2個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものなどが挙げられる。
前記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基などが挙げられる。これらの中では、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
前記アリール基は置換基を有してもよく、このような置換基を有するアリール基(以下、「置換アリール基」と称することもある。)としては、例えば、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子以外の一価の非金属原子団からなる基を有するものが挙げられる。
前記アリール基が有してもよい置換基としては、例えば、前述のアルキル基、置換アルキル基、前記アルキル基が有してもよい置換基として示したものが好ましい。
【0036】
前記置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスホノフェニル基、ホスホナトフェニル基、ジエチルホスホノフェニル基、ジフェニルホスホノフェニル基、メチルホスホノフェニル基、メチルホスホナトフェニル基、トリルホスホノフェニル基、トリルホスホナトフェニル基、アリルフェニル基、1−プロペニルメチルフェニル基、2−ブテニルフェニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基などが挙げられる。
【0037】
また、前記芳香族基が有していてもよい置換基としてのアルケニル基又はアルキニル基としては、例えば、前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つ又は2つを除し、2価又は3価の有機残基としたものが挙げられ、例えば、炭素原子数1から12までの直鎖状のアルケニル基又はアルキニル基、炭素原子数3から12までの分岐状のアルケニル基又はアルキニル基、炭素原子数5から10までの環状のアルケニル基又はアルキニル基などが好ましい。
前記アルケニル基(−C(R07)=C(R08)(R09))及びアルキニル基(−C≡C(R010))としては、例えば、R07、R08、R09、及びR010が一価の非金属原子団からなる基のものが挙げられる。
前記R07、R08、R09、R010としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基などが挙げられる。これらの具体例としては、前述の例として示したものを挙げることができる。これらの中でも、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1から10までの直鎖状のアルキル基、分岐状のアルキル基、環状のアルキル基が好ましい。
【0038】
前記アルケニル基及びアルキニル基の好ましい具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−オクテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−1−ブテニル基、2−フェニル−1−エテニル基、2−クロロ−1−エテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、フェニルエチニル基などが挙げられる。
前記ヘテロ環基としては、例えば、置換アルキル基の置換基として例示したピリジル基などが挙げられる。
【0039】
また、前記芳香族基が有していてもよい置換基としての置換基を含んでもよいアミノ基(R011NH−、(R012)(R013)N−)としては、例えば、R011、R012、及びR013が水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基のものが挙げられる。なお、R012とR013とは結合して環を形成してもよい。
前記アミノ基としては、例えば、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N’−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。これらにおけるアルキル基及びアリール基としては、前述のアルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基として示したものが挙げられる。また、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基おけるアシル基(R03CO−)のR03は前述の通りである。これらのうち、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基がより好ましい。
好ましいアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基などが挙げられる。
【0040】
前記芳香族基を側鎖に導入する方法としては、特に制限はないが、例えば、上述した側鎖にカルボキシル基を含有するポリマーと、芳香族基を含有するラジカル重合性化合物1種以上と、必要に応じて共重合成分として他のラジカル重合性化合物1種以上との通常のラジカル重合法によって製造することできる。
前記ラジカル重合法としては、例えば、一般的に懸濁重合法あるいは溶液重合法などが挙げられる。
【0041】
前記芳香族基を含有するラジカル重合性化合物としては、例えば、一般式(a−1)で表される化合物、一般式(a−2)で表される化合物が好ましい。
【化13】

ただし、前記一般式(a−1)中、R、R、及びRは、水素原子又は1価の有機基を表す。Lは、有機基及び単結合のいずれかを表す。Arは、ヘテロ環を含んでもよい芳香族基を表す。
【化14】

ただし、前記一般式(a−2)中、R、R、R3、及びArは、前記一般式(a−1)と同じ意を表す。
【0042】
前記Lの有機基としては、例えば、非金属原子からなる多価の有機基であり、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものが挙げられる。
より具体的には、前記Lの有機基としては、下記の構造単位が組み合わさって構成されるもの、多価ナフタレン、多価アントラセンなどを挙げることができる。
【0043】
【化15】

【0044】
前記Lの連結基は置換基を有してもよく、前記置換基としては、前述のハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホナト基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換オキシ基、置換スルホニル基、置換カルボニル基、置換スルフィニル基、スルホ基、ホスホノ基、ホスホナト基、シリル基、ヘテロ環基が挙げられる。
【0045】
前記一般式(a−1)で表される化合物、及び一般式(a−2)で表される化合物においては、一般式(a−1)の方が感度の点で好ましい。また、前記一般式(a−1)のうち、連結基を有しているものが安定性の点で好ましく、前記Lの有機基としては、炭素数1〜4のアルキレン基が非画像部の除去性(現像性)の点で好ましい。
前記一般式(a−1)で表される化合物は、重合すると、下記一般式(a−3)で表される構造単位を含むポリマーとなる。また、前記一般式(a−2)で表される化合物は、下記一般式(a−4)の構造単位を含むポリマーとなる。この内、一般式(a−4)の構造単位を含むポリマーの方が、保存安定性の点で好ましい。
【0046】
【化16】

【化17】

ただし、前記一般式(a−3)及び(a−4)中、R、R、R、L、及びArは、前記一般式(a−1)及び(a−2)と同じ意を表す。
前記一般式(a−3)及び(a−4)において、R及びRは水素原子、Rはメチル基であることが、非画像部の除去性(現像性)の点で好ましい。
また、前記一般式(a−3)のLは、炭素数1〜4のアルキレン基が非画像部の除去性(現像性)の点で好ましい。
【0047】
前記一般式(a−1)で表される化合物又は一般式(a−2)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の例示化合物(1)〜(30)が挙げられる。
【0048】
【化18】

【0049】
【化19】

【0050】
前記例示化合物(1)〜(30)の中でも、(5)、(6)、(11)、(14)、及び(28)が好ましく、これらの中でも、(5)及び(6)が保存安定性及び現像性の点でより好ましい。
【0051】
前記ヘテロ環を含んでもよい芳香族基の前記カルボキシル基含有樹脂における含有量は、特に制限はないが、カルボキシル基含有樹脂の全構造単位を100mol%とした場合に、前記一般式(a−3)で表される構造単位を20mol%以上含有することが好ましく、30〜45mol%含有することがより好ましい。前記含有量が20mol未満であると、保存安定性が低くなることがあり、45mol%を超えると現像性が低下することがある。
【0052】
−エチレン性不飽和結合−
前記エチレン性不飽和結合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記一般式(a−5)〜(a−7)のいずれかで表されるものが好ましい。
【0053】
【化20】

ただし、前記一般式(a−5)〜(a−7)中、R〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、1価の有機基を表す。X及びYは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、又は−N−Rを表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、−N−R、又はフェニレン基を表す。Rは、水素原子、又は1価の有機基を表す。
【0054】
前記一般式(a−5)において、Rとしては、それぞれ独立して、例えば、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが好ましく、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことからより好ましい。
前記R及びRとしては、それぞれ独立して、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことからより好ましい。
前記Rとしては、例えば、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことからより好ましい。
ここで、導入しうる前記置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
【0055】
前記一般式(a−6)において、R〜Rとしては、それぞれ独立して、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが好ましく、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がより好ましい。
導入しうる前記置換基としては、前記一般式(a−5)において挙げたものが例示される。
【0056】
前記一般式(a−7)において、Rとしては、例えば、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが好ましく、水素原子、メチル基がラジカル反応性が高いことからより好ましい。
前記R10、R11としては、それぞれ独立して、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが好ましく、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基がラジカル反応性が高いことからより好ましい。
ここで、導入しうる前記置換基としては、一般式(a−5)において挙げたものが例示される。
前記Zとしては、酸素原子、硫黄原子、−NR13−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13は、置換基を有してもよいアルキル基などを表し、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0057】
前記一般式(a−5)〜(a−7)で表されるエチレン性不飽和結合の中でも、前記一般式(a−5)で表されるエチレン性不飽和結合が、重合反応性が高く感度が高くなり、より好ましい。
前記エチレン性不飽和結合の前記カルボキシル基含有樹脂における含有量としては、特に制限はないが、0.5〜3.0meq/gが好ましく、1.0〜3.0meq/gがより好ましく、1.5〜2.8meq/gが特に好ましい。前記含有量が0.5meq/g未満であると、硬化反応量が少ないため低感度となることがあり、3.0meq/gより多いと、保存安定性が劣化することがある。
ここで、前記含有量(meq/g)は、例えば、ヨウ素価滴定により測定することができる。
【0058】
前記一般式(a−5)で表されるエチレン性不飽和結合を側鎖に導入する方法としては、特に制限はないが、例えば、上述した側鎖にカルボキシル基を含有するポリマーとエチレン性不飽和結合及びエポキシ基を有する化合物とを付加反応させることで得ることができる。
【0059】
前記エチレン性不飽和結合及びエポキシ基を有する化合物としては、これらを有すれば特に制限はないが、例えば、下記一般式(a−8)及び(a−9)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【化21】

ただし、前記一般式(a−8)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Lは、有機基を表す。
【化22】

ただし、前記一般式(a−9)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Lは、有機基を表す。Wは、4〜7員環の脂肪族炭化水素基を表す。
前記一般式(a−8)で表される化合物及び一般式(a−9)で表される化合物の中でも、一般式(a−8)で表される化合物が好ましく、前記一般式(a−8)においても、Lが炭素数1〜4のアルキレン基のものがより好ましい。
【0060】
前記一般式(a−8)で表される化合物又は一般式(a−9)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の例示化合物(31)〜(40)が挙げられる。
【化23】

【0061】
前記側鎖への導入反応としては、具体的には、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィンなどを触媒として有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数時間〜数十時間反応させることにより行うことができる。
【0062】
前記側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位としては、特に制限はないが、例えば、下記一般式(a−10)で表される構造単位、一般式(a−11)で表される構造単位、及びこれらの混合により合成される構造単位が好ましい。
【化24】

ただし、前記一般式(a−10)及び(a−11)中、Ra〜Rcは、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。Lは、連結基を有してもよい有機基を表す。
【0063】
前記一般式(a−10)で表される構造乃至一般式(a−11)で表される構造単位の含有量としては、特に制限はないが、カルボキシル基含有樹脂の全構造単位を100mol%とした場合に、20mol%以上が好ましく、20〜50mol%がより好ましく、25〜45mol%が特に好ましい。前記含有量が20mol%未満では、硬化反応量が少ないため低感度となることがあり、50mol%より多いと、保存安定性が劣化することがある。
【0064】
前記カルボキシル基含有樹脂は、画像強度などの諸性能を向上する目的で、前述のラジカル重合性化合物の他に、更に他のラジカル重合性化合物を共重合させることが好ましい。
前記他のラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類などから選ばれるラジカル重合性化合物などが挙げられる。
【0065】
具体的には、アルキルアクリレート等のアクリル酸エステル類、アリールアクリレート、アルキルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、アリールメタクリレート、スチレン、アルキルスチレン等のスチレン類、アルコキシスチレン、ハロゲンスチレンなどが挙げられる。
前記アクリル酸エステル類としては、アルキル基の炭素原子数は1〜20のものが好ましく、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸エチルへキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレートなどが挙げられる。
前記アリールアクリレートとしては、例えば、フェニルアクリレートなどが挙げられる。
【0066】
前記メタクリル酸エステル類としては、アルキル基の炭素原子は1〜20のものが好ましく、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレー卜、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどが挙げられる。
前記アリールメタクリレートとしては、例えば、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0067】
前記スチレン類としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロへキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなどが挙げられる。
前記アルコキシスチレンとしては、例えば、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなどが挙げられる。
前記ハロゲンスチレンとしては、例えば、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンなどが挙げられる。
これらのラジカル重合性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0068】
前記カルボキシル基含有樹脂を合成する際に用いられる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0069】
前記カルボキシル基含有樹脂中には、未反応の単量体を含んでいてもよい。この場合、前記単量体の前記カルボキシル基含有樹脂における含有量は15質量%以下が好ましい。
【0070】
前記カルボキシル基含有樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
前記カルボキシル基含有樹脂の含有量としては、感光性組成物中の全固形分に対して、5質量%〜80質量%が好ましく、10質量%〜70質量%がより好ましい。該固形分含有量が、5質量%未満であると、感光層の膜強度が弱くなりやすく、該感光層の表面のタック性が悪化することがあり、80質量%を超えると、露光感度が低下することがある。
【0071】
<重合性化合物>
前記重合性化合物としては、メタクリレート化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する。該重合性化合物は、低分子量(単量体)及び高分子量(オリゴマー)のいずれであってもよいが、低分子量の方が好ましい。なお、前記メタクリレート化合物は、単官能であってもよく、多官能であっても構わない。
【0072】
前記メタクリレート化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリメタクリレート(NKエステル TMPT、新中村化学株式会社製)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(NKエステル NPG、新中村化学株式会社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(NKエステル DCP、新中村化学株式会社製)、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート(NKエステル HD-N、新中村化学株式会社製)、ジエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル 2G、新中村化学株式会社製)、トリエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル 3G、新中村化学株式会社製)、ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート(NKエステル 9PG、新中村化学株式会社製)、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光重合性化合物としてのメタクリレート化合物の含有量は、前記感光性組成物の固体成分に対して、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜35質量%がより好ましい。該含有量が、5質量%未満であると、現像性の悪化、露光感度の低下などの問題を生ずることがあり、50質量%を超えると、感光層の粘着性が強くなり過ぎることがあり、好ましくない。
【0073】
前記重合性化合物としては、前記メタクリレート化合物以外にも、必要に応じて他の重合性化合物を含んでいてもよい。
前記他の重合性化合物としては、少なくとも1つのエチレン性二重結合を有しているのが好ましい。
前記エチレン性二重結合を1つ有する単量体としては、例えば、アルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、アミノアクリレート;アルキルメタクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、アミノメタクリレート(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等);シリコーンアクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等のビニルエステル;イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;スチレン、アルキル−スチレン、ハロ−スチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、などが挙げられる。
【0074】
前記エチレン性二重結合を2つ以上の有する単量体としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオプレングリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAのジアクリレート、4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、コハク酸ジビニル、フタル酸ジアリル、リン酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌラート、などが挙げられる。
【0075】
前記エチレン性二重結合を少なくとも1つ有するオリゴマーとしては、例えば、アクリル化エポキシ樹脂;アクリレート、ビニルエーテル基を有するポリエステル、エポキシ基を有するポリエステル;ポリウレタン、ポリエーテル、などが挙げられる。また、マレイン酸、フタル酸、及び1種又はそれ以上のジオールから製造され、500〜3,000の分子量を有する不飽和ポリエステル樹脂なども挙げられる。更に、ビニルエーテルのオリゴマー;ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシの主鎖を有するマレイン酸終止オリゴマー;なども挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビニルエーテルの基を有するオリゴマーと、国際公開第90/01512号パンフレットに記載された重合体との組合せ、ビニルエーテルとマレイン酸官能化された単量体との共重合体、などが好ましい。前記オリゴマーは、プレポリマーと呼ばれることもある。
これらの中でも、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル、主鎖中又は側鎖基にエチレン性不飽和基を有する重合体(例えば、不飽和のポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、又はこれらの共重合体等)、側鎖基に(メタ)アクリル基を有する重合体及び共重合体、などが特に好ましい。
【0076】
前記エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、リノレン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸、などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
【0077】
<熱硬化性化合物>
前記熱硬化性化合物(熱架橋剤)としては、加熱により架橋反応を起こす化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光性組成物を用いて形成される感光層の硬化後の膜強度を改良するために、現像性等に悪影響を与えない範囲で、例えば、1分子内に少なくとも2つのエポキシ基(オキシラン環)を有するエポキシ化合物(オキシラン化合物)、1分子内に少なくとも2つのオキセタン環を有するオキセタン化合物、などを用いることができる。これらの中でも1分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物が特に好ましい。
【0078】
前記1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂(「YX4000ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ樹脂(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂(例えば、低臭素化エポキシ樹脂、高ハロゲン化エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂など)、アリル基含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジフェニルジメタノール型エポキシ樹脂、フェノールビフェニレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(「HP−7200,HP−7200H;大日本インキ化学工業社製」等)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、トリグリシジルアミノフェノール等)、グリジジルエステル型エポキシ樹脂(フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等)ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、「GT−300、GT−400、ZEHPE3150;ダイセル化学工業製」等、)、イミド型脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、グリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂(ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、市販品としては「ESN−190,ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032,EXA−4750,EXA−4700;大日本インキ化学工業社製」等)、フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの、線状含リン構造を有するエポキシ樹脂、環状含リン構造を有するエポキシ樹脂、α―メチルスチルベン型液晶エポキシ樹脂、ジベンゾイルオキシベンゼン型液晶エポキシ樹脂、アゾフェニル型液晶エポキシ樹脂、アゾメチンフェニル型液晶エポキシ樹脂、ビナフチル型液晶エポキシ樹脂、アジン型エポキシ樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂(「CP−50S,CP−50M;日本油脂社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ樹脂、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
また、前記1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物におけるエポキシ基としては、β位にアルキル基を有していてもよく、β位がアルキル基で置換されたエポキシ基(より具体的には、β−アルキル置換グリシジル基など)が特に好ましい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ−アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ−アルキル置換グリシジル基であってもよい。
【0080】
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、室温における保存安定性の観点から、前記感光性組成物中に含まれる前記エポキシ化合物全量中における、全エポキシ基中のβ−アルキル置換グリシジル基の割合が、30%以上であるのが好ましく、40%以上であるのがより好ましく、50%以上であるのが特に好ましい。
前記β−アルキル置換グリシジル基としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、β−プロピルグリシジル基、β−ブチルグリシジル基、などが挙げられ、これらの中でも、前記感光性組成物の保存安定性を向上させる観点、及び合成の容易性の観点から、β−メチルグリシジル基が好ましい。
【0081】
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物としては、例えば、多価フェノール化合物とβ−アルキルエピハロヒドリンとから誘導されたエポキシ化合物が好ましい。
【0082】
前記β−アルキルエピハロヒドリンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルエピクロロヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン、β−メチルエピフロロヒドリン等のβ−メチルエピハロヒドリン;β−エチルエピクロロヒドリン、β−エチルエピブロモヒドリン、β−エチルエピフロロヒドリン等のβ−エチルエピハロヒドリン;β−プロピルエピクロロヒドリン、β−プロピルエピブロモヒドリン、β−プロピルエピフロロヒドリン等のβ−プロピルエピハロヒドリン;β−ブチルエピクロロヒドリン、β−ブチルエピブロモヒドリン、β−ブチルエピフロロヒドリン等のβ−ブチルエピハロヒドリン;などが挙げられる。これらの中でも、前記多価フェノールとの反応性及び流動性の観点から、β−メチルエピハロヒドリンが好ましい。
【0083】
前記多価フェノール化合物としては、1分子中に2個以上の芳香族性水酸基を含有する化合物であれば、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ビフェノール、テトラメチルビフェノール等のビフェノール化合物、ジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等のナフトール化合物、フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物等のフェノールノボラック樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド重縮合物等の炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物、キシレノール−ホルムアルデヒド重縮合物等の炭素数1〜10のジアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物、ビスフェノールA−ホルムアルデヒド重縮合物等のビスフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物、フェノールと炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノールとホルムアルデヒドとの共重縮合物、フェノール化合物とジビニルベンゼンの重付加物などが挙げられる。これらの中でも、例えば、流動性及び保存安定性を向上させる目的で選択する場合には、前記ビスフェノール化合物が好ましい。
【0084】
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物のジ−β−アルキルグリシジルエーテル;ビフェノールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビフェノール化合物のジ−β−アルキルグリシジルエーテル;ジヒドロキシナフタレンのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビナフトールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のナフトール化合物のβ−アルキルグリシジルエーテル;フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;クレゾール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等の炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;キシレノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等の炭素数1〜10のジアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;ビスフェノールA−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;フェノール化合物とジビニルベンゼンの重付加物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;などが挙げられる。
これらの中でも、下記一般式(C−1)で表されるビスフェノール化合物、及びこれとエピクロロヒドリンなどから得られる重合体から誘導されるβ−アルキルグリシジルエーテル、及び下記一般式(C−2)で表されるフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテルが好ましい。
【化25】

ただし、前記一般式(C−1)中、Rは、水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表す。nは、0〜20いずれかの整数を表す。
【化26】

ただし、前記一般式(C−2)中、Rは、水素原子及び炭素数1〜6のアルキル基のいずれかを表す。R”は、水素原子、及びCHのいずれかを表し、nは、0〜20のいずれかの整数を表す。
これらβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基(オキシラン環)を有するエポキシ化合物、及びβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物を併用することも可能である。
【0085】
前記エポキシ化合物の骨格としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式基含有型エポキシ樹脂、及び難溶性エポキシ樹脂から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0086】
前記1分子中に少なくとも2つのオキセタン環を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート又はこれらのオリゴマーあるいは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタン基を有する化合物と、ノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、シルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂など、とのエーテル化合物が挙げられ、この他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0087】
前記熱硬化性化合物(熱架橋剤)の含有量としては、感光性組成物中の全固形分に対して、1質量%〜50質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。該含有量が1質量%未満であると、硬化膜の膜強度の向上が認められず、50質量%を超えると、現像性の低下や露光感度の低下を生ずることがある。
【0088】
<光重合開始剤>
本発明の前記感光性組成物は、光重合開始剤として、オキシム化合物を含み、必要に応じて、該オキシム化合物以外の従来公知の光重合開始剤を含んでなる。
【0089】
−オキシム化合物−
本発明で用いられるオキシム化合物は、下記一般式(A−1)で表される。
【化27】

ただし、前記一般式(A−1)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表す。
前記アシル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族アシル基、芳香族アシル基、複素芳香族アシル基、などが挙げられる。
前記アシル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜16が更に好ましい。
前記アシル基としては、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アシル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセチル基、プロパノイル基、メチルプロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ベンジルカルボニル基、フェノキシアセチル基、2エチルヘキサノイル基、クロロアセチル基、ベンゾイル基、パラメトキシベンゾイル基、2,5−ジブトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、ピリジルカルボニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、などが挙げられる。
【0090】
前記アルキルオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アルキルオキシカルボニル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜16が更に好ましい。
前記アルキルオキシカルボニル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アルキルオキシカルボニル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニルブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、エトキシエトキシカルボニル基、などが挙げられる。
【0091】
前記アリールオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アリールオキシカルボニル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、7〜30が好ましく、7〜20がより好ましく、7〜16が更に好ましい。
前記アリールオキシカルボニル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アリールオキシカルボニル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシカルボニル基、2−ナフトキシカルボニル基、パラメトキシフェノキシカルボニル基、2,5−ジエトキシフェノキシカルボニル基、パラクロロフェノキシカルボニル基、パラニトロフェノキシカルボニル基、パラシアノフェノキシカルボニル基、などが挙げられる。
【0092】
前記一般式(A−1)中、Rは、水素原子、アルキル基、シアノ基を表す。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーオクチル基、などが挙げられる。
【0093】
前記一般式(A−1)中、Arは、芳香族環及び複素芳香族環のいずれかを表す。
前記芳香族環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、などが挙げられる。
前記複素芳香族環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、などが挙げられる。
【0094】
nは0(ゼロ)又は1の整数を表し、ArとRは互いに連結し環を形成してもよい。
【0095】
前記一般式(A−1)で表されるオキシム化合物の中でも、感度に優れる点で、下記一般式(A−2)で表される化合物が好ましい。
【化28】

ただし、前記一般式(A−2)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Rは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。mは、0以上の整数を表し、該mが2以上の整数を表す場合、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、互いに連結し環を形成していてもよい。Arは、芳香族環及び複素芳香族環のいずれかを表す。Aは、5員環、6員環及び7員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
なお、前記R、及びArの詳細は、前記一般式(A−1)と同様である。
前記アシル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族アシル基、芳香族アシル基、複素芳香族アシル基、などが挙げられる。
前記アシル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜16が更に好ましい。
前記アシル基としては、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アシル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセチル基、プロパノイル基、メチルプロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、ベンジルカルボニル基、フェノキシアセチル基、2エチルヘキサノイル基、クロロアセチル基、ベンゾイル基、パラメトキシベンゾイル基、2,5−ジブトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、ピリジルカルボニル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、などが挙げられる。
【0096】
前記アルキルオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アルキルオキシカルボニル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜16が更に好ましい。
前記アルキルオキシカルボニル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アルキルオキシカルボニル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニルブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、エトキシエトキシカルボニル基、などが挙げられる。
【0097】
前記アリールオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アリールオキシカルボニル基の総炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、7〜30が好ましく、7〜20がより好ましく、7〜16が更に好ましい。
前記アリールオキシカルボニル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アリールオキシカルボニル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシカルボニル基、2−ナフトキシカルボニル基、パラメトキシフェノキシカルボニル基、2,5−ジエトキシフェノキシカルボニル基、パラクロロフェノキシカルボニル基、パラニトロフェノキシカルボニル基、パラシアノフェノキシカルボニル基、などが挙げられる。
【0098】
前記一般式(A−2)中、Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーオクチル基、などが挙げられる。
前記アルキルオキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、などが挙げられる。
前記アリールオキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンジルオキシ基、フェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、などが挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルチオ基、ブチルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基、などが挙げられる。
前記アリールルチオ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンジルチオ基、フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、などが挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、などが挙げられる。
前記アルキルオキシカルボニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、などが挙げられる。
前記アシルアミノ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ベンゼンカルボニルアミノ基、などが挙げられる。
【0099】
前記一般式(A−2)中、mとしては、0以上のいずれかの整数を表し、前記Arの構造により適宜選択することができる。
なお、前記mが2以上のいずれかの整数を表す場合、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいし、互いに連結し環を形成していてもよい。該Rが互いに連結し環を形成している場合、一般式(A−2)で表されるオキシム化合物の具体例としては、下記構造式で表される化合物などが挙げられる。なお、形成された環構造部分を含め、Arで表される芳香族環には更に置換基を有していてもよく、該置換基は上記Rと同様である。Xは、−CH−、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
【化29】

前記構造式中、Y及びZは、それぞれCH、−O−、−S−、及び−NR−のいずれかを表し、該Rは、水素原子、又はアルキル基を表す。
【0100】
前記一般式(A−2)中、Arは、芳香族環及び複素芳香族環のいずれかを表す。
前記芳香族環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、などが挙げられる。
前記複素芳香族環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、などが挙げられる。
【0101】
前記一般式(A−2)中、Aは、5員環、6員環、及び7員環のいずれかを表す。
前記5員環、前記6員環、又は前記7員環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、環形成置換基により形成されることが好ましい。該環形成置換基としては、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、などが挙げられる。該環形成置換基は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、また、酸素原子、硫黄原子、などのヘテロ原子を有してもよい。
前記5員環、前記6員環、及び前記7員環は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
これらの中でも、前記Aとしては、感度に優れる点で、前記5員環及び前記6員環のいずれかであるのが好ましい。
【0102】
前記一般式(A−2)で表されるオキシム化合物の中でも、感度に優れる点で下記一般式(A−3)及び(A−4)のいずれかで表される化合物がより好ましい。
【化30】

【化31】

【0103】
ただし、前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Rは、アルキル基、及びアルキルオキシ基のいずれかを表す。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アルキル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アルキル基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、などが挙げられる。これらの中でも、感度に優れる点で、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましい。
【0104】
前記アルキルオキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アルキルオキシ基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。
前記アルキルオキシ基の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、などが挙げられる。
【0105】
前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Rは、それぞれ独立に、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。
なお、前記アルキル基、前記アルキルオキシ基、前記アリールオキシ基、前記アルキルチオ基、前記アリールチオ基、前記ハロゲン原子、前記アルキルオキシカルボニル基、前記ニトロ基、及び前記アシルアミノ基の詳細は、前記一般式(A−1)中、Rで表される前記アルキル基、前記アルキルオキシ基、前記アリールオキシ基、前記アルキルチオ基、前記アリールチオ基、前記ハロゲン原子、前記アルキルオキシカルボニル基、前記ニトロ基、及び前記アシルアミノ基の詳細と同様である。
これらの中でも、前記Rとしては、吸収効率に優れる点で、前記アルキルオキシ基、前記アリールチオ基、前記ハロゲン原子が好ましい。
【0106】
前記一般式(A−3)及び(A−4)中、lは、0〜6のいずれかの整数を表す。これらの中でも、合成適性の点で、0〜2のいずれかの整数であることが好ましい。
なお、前記lが2以上のいずれかの整数を表す場合、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいし、互いに連結し環を形成していてもよい。
【0107】
前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Aは、5員環及び6員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。
なお、前記5員環、及び前記6員環の詳細は、前記一般式(A−2)中、Aで表される前記5員環、及び前記6員環の詳細と同様である。
これらの中でも、前記Aとしては、感度に優れる点で、5員環であることが好ましい。
【0108】
前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Xは、−CH−、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
【0109】
前記一般式(A−1)、(A−2)、(A−3)及び(A−4)の少なくともいずれかで表されるオキシム化合物の具体例としては、下記構造式(1)〜(26)で表される化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【化32】

ただし、前記構造式(1)〜(26)中、Meはメチル基、Phはフェニル基を表す。前記構造式(24)〜(26)はCIBA社製、IRGACURE OXE01,IRGACURE OXE02,CGI325である。
【0110】
−従来公知の光重合開始剤−
前記光重合開始剤としては、例えば、カンファーキノン、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えば、α−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン若しくは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン、ジアルキルオキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−若しくはα−アミノ−アセトフェノン、例えば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテル及びベンジルケタール(例えば、ジメチルベンジルケタール)、フェニルグリオキサルエステル及びその誘導体、二量体のフェニルグリオキサルエステル、ジアセチル、ペルエステル(例えば、欧州特許第126,541号公報に例えば記載されたベンゾフェノンテトラカルボン酸ペルエステル)、モノアシルホスフィンオキシド(例えば、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド)、ハロメチルトリアジン(例えば、2−〔2−(4−メトキシフェニル)ビニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−メチル−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチルアミノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)〔1,3,5〕トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−(1,3−ベンゾジオキソル−5−イル)−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−〔4−(ペンチルオキシ)フェニル〕エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(3−メチル−2−フラニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(5−メチル−2−フラニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(2,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(2−メトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(4−イソプロピルオキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−ブロモ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔2−クロロ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔3−ブロモ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン、2−〔3−クロロ−4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−4,6−ビストリクロロメチル〔1,3,5〕トリアジン);G.Buhr,R.Dammel and C.Lindley,Polym.Mater.Sci.Eng.61,269(1989)、欧州特許第022788号公報、などに記載のその他のハロメチルトリアジン;米国特許第4,371,606号明細書、米国特許第4,371,607号明細書などに記載のハロメチルオキサゾール光開始剤;E.A.Bartmann,Synthesis 5,490(1993)などに記載の1,2−ジスルホン;ヘキサアリールビスイミダゾール、及びヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系(例えば、2−メルカプトベンズチアゾール、フェロセニウム化合物);チタノセン(例えば、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリルフェニル)チタンと組み合わせたo−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾールとの混合物)、などが挙げられる。
【0111】
前記従来公知の光重合開始剤としては、更に、陽イオン光開始剤、過酸化化合物(例えば、過酸化ベンゾイル、米国特許第4,950,581号明細書第19欄第17〜25行に記載の過酸化化合物等)、米国特許第4,950,581号明細書第18欄第60行〜第19欄第10行に記載の、芳香族のスルホニウム、ホスホニウム若しくはヨードニウム塩、シクロペンタジエニル−アレーン−鉄(II)錯塩(例えば、(η−イソプロピルベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスファート)、欧州特許第780,729号公報に記載のオキシムスルホン酸エステル、などが挙げられる。また、例えば、欧州特許第497,531号及び第441,232号公報に記載のピリジニウム及び(イソ)キノリニウム塩、なども挙げられる。
【0112】
前記光重合開始剤の含有量としては、前記感光性組成物の固形分に対して、0.01質量%〜25質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%がより好ましく、0.01質量%〜5質量%が更に好ましい。前記含有量は、従来公知の光重合開始剤を併用して用いる場合は、これら全ての光重合開始剤の合計を意味する。
【0113】
<増感剤>
前記増感剤としては、下記一般式(B−1)で表される。
【化33】

ただし、前記一般式(B−1)中、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、及びアルケニル基のいずれかを表す。
前記アルキル基としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、メチル基、エチル基、等の炭素数1〜10のアルキル基などが好ましい。
前記アルキル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、等)、ハロゲン原子(例えば、クロロ基、ブロモ基、等)、カルボキシル基、カルボアルキルオキシ基、スルホニル基、フェニル基、アリール基(例えば、p−ニトロフェニル基等)、ビニル基、メチルビニル基、シンナミル基、などが挙げられる。
【0114】
前記アリール基としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニル基、ナフチル基、などが好ましい。
前記アリール基は、置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、等)、ハロゲン原子(例えば、クロロ基、ブロモ基、等)、カルボキシル基、カルボアルキルオキシ基、スルホニル基、などが挙げられる。
【0115】
前記アルケニル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ビニル基などが好ましい。
前記アルケニル基は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、などが挙げられ、該置換基も更にメチル基等の炭素数1〜10のアルキル基などで置換されていてもよい。
【0116】
また、前記Rと前記Rとは、それぞれが結合している硫黄原子と共に非金属元素からなる環を形成していてもよい。該環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5員環、6員環、芳香族環が縮環した5員環、芳香族環が縮環した6員環、などが挙げられる。
前記環は、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、置換アルキル基、置換アリール基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボアルキルオキシ基、スルホニル基、などが挙げられる。
【0117】
前記一般式(B−1)中、pは、0又は1を表す。
【0118】
前記一般式(B−1)中、G及びGは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、カルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルロオアルキルスルホニル基のいずれかを表す。ただし、該G及び該Gのいずれかは、カルボニル基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルオロアルキルスルホニル基のいずれかを表す。
前記アルキルオキシカルボニル基、前記アルキルチオ基、前記アルキルスルホニル基、及び前記フルオロアルキルスルホニル基におけるアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基などが好ましい。
前記アリールオキシカルボニル基、前記アリールチオ基、及び前記アリールスルホニル基におけるアリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニル基、ナフチル基、などが好ましい。
前記アシル基(−COR)としては、例えば、該Rが、アルキル基、アリール基及びアルキルアリール基のいずれかであるものなどが挙げられる。該アリール基及び該アルキルアリール基における、アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基などが好ましい。アリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニル基、ナフチル基、などが好ましい。
前記アルキル基及びアリール基としては、置換基で更に置換されていてもよく、該置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜10のアルキルオキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボアルキルオキシ基、スルホニル基、スルホアルキルオキシ基、炭素数6〜18のアリール基、アシル基、ビニル基、シンナミル基、などが挙げられる。
【0119】
また、前記Gと前記Gとは、それぞれが結合している炭素原子と共に、非金属原子からなるメロシアニン色素で酸性核として用いられる環を形成していてもよい。該メロシアニン色素で酸性核として用いられる環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の(a)〜(t)などが挙げられる。
(a)1,3−ジカルボニル核(例えば1,3−インダンジオン、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、など)
(b)ピラゾリノン核[例えば、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾリル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン、など]
(c)イソオキサゾリノン核(例えば、3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オン、など)
(d)オキシインドール核(例えば、1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドール)
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核[例えば、バルビツル酸、2−チオバルビツル酸、及びその誘導体、など。該誘導体としては、例えば、1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体;1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体;1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体;1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−3−アリール体、などが挙げられる]
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核(例えば、ローダニン及びその誘導体など。該誘導体としては、例えば、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン;3−フェニルスーダニン等の3−アリールローダニン、などが挙げられる)
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン)核(例えば、2−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン等)
(h)チアナフテノン核[例えば、3(2H)−チアナフテノン、3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイド等]
(i)2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核(例えば、3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン等)
(j)2,4−チアゾリジンジオン核(例えば、2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオン等)
(k)チアゾリジノン核(例えば、4−チアゾリジノン、3−エチル−4−チアゾリジノン等)
(l)4−チアゾリノン核(例えば、2−エチルメルカプト−5−チアゾリン−4−オン、2−アルキルフェニルアミノ−5−チアゾリン−4−オン等)
(m)2−イミノ−2−オキソゾリン−4−オン(凝ヒダントイン)核
(n)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核(例えば、2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオン等)
(o)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核(例えば、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン等)
(p)2−イミダゾリン−5−オン核(例えば、2−n−プロピル−メルカプト−2−イミダゾリン−5−オン等)
(q)フラン−5−オン核
(r)4−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン核又は4−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン核[例えばN−メチル−4−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン、N−n−ブチル−4−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン、N−メチル−4−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン等]
(s)置換基で置換されていてもよい4−ヒドロキシ−2H−ピラン−2−オン核又は4−ヒドロキシクマリン核
(t)置換基で置換されていてもよいチオインドキシル核(例えば、5−メチルチオインドキシル等)
【0120】
前記一般式(B−1)で表される増感剤の中でも、硬化感度の点で、下記一般式(B−2)で表される化合物が好ましい。
【化34】

ただし、前記一般式(B−2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、及びハロゲン原子のいずれかを表す。該R及び該Rは、互いに連結し芳香族環を形成していてもよく、更に該芳香族環上にアルキル基、アルキルオキシ基、及びハロゲン原子の少なくともいずれかを有していてもよい。
【0121】
前記一般式(B−2)中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Yは、酸素原子、硫黄原子を表す。
前記アルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチル基、ブチル基、などが好ましい。
前記アリール基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニル基、などが好ましい。
【0122】
前記一般式(B−1)、及び(B−2)の少なくともいずれかで表される増感剤の具体例としては、下記例示化合物No.1〜No.36が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

【化69】

【化70】

ただし、前記構造式中、t−Buは、tert−ブチル基を表す。Phは、フェニル基を表す。Etは、エチル基を表す。
【0123】
前記増感剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記重合性化合物に対して、0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜20質量%がより好ましい。
【0124】
<無機フィラー及び有機フィラー>
前記無機フィラーとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カオリン、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、気相法シリカ、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、マイカなどが挙げられる。
前記無機フィラーの平均粒径は、10μm未満が好ましく、3μm以下がより好ましい。該平均粒径が10μm以上であると、光錯乱により解像度が劣化することがある。
前記有機フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂などが挙げられる。
また、平均粒径0.01〜5μm、吸油量100〜200m/g程度のシリカ、架橋樹脂からなる球状多孔質微粒子などを用いることができる。
【0125】
前記無機フィラー及び有機フィラーの少なくともいずれかの含有量としては、前記感光性組成物の全固形分に対して、1〜60質量%が好ましい。該含有量が1質量%未満であると、十分に線膨張係数を低下させることができないことがあり、60質量%を超えると、感光層表面に硬化膜を形成した場合に、該硬化膜の膜質が脆くなり、永久パターンを用いて配線を形成する場合において、配線の保護膜としての機能が損なわれることがある。
【0126】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、エポキシ硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(着色顔料あるいは染料)、体質顔料、などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。これらを適宜含有させることにより、目的とする感光性フィルムの安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
【0127】
−エポキシ硬化促進剤−
本発明の感光性組成物は、前記熱硬化性化合物(熱架橋剤)の熱硬化を促進するため、公知のエポキシ硬化促進剤を用いることができる。該エポキシ硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記エポキシ硬化促進剤としては、前記熱架橋剤、あるいは、これらとカルボキシル基との反応を促進することができるものであれば、特に制限はなく、上記以外の熱硬化を促進可能な化合物を用いてもよい。
前記エポキシ硬化促進剤の前記感光性組成物固形分中の固形分含有量は、0.01質量%〜15質量%が好ましい。
【0128】
−熱重合禁止剤−
前記熱重合禁止剤は、前記感光性組成物における前記重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために添加してもよい。
前記熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル又はアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、フェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート、などが挙げられる。
【0129】
前記熱重合禁止剤の含有量としては、前記感光性組成物中の前記重合性化合物に対して0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜2質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。
前記含有量が、0.001質量%未満であると、保存時の安定性が低下することがあり、5質量%を超えると、活性エネルギー線に対する感度が低下することがある。
【0130】
−可塑剤−
前記可塑剤は、前記感光性組成物が形成する感光層の膜物性(可撓性)をコントロールするために添加してもよい。
前記可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジフェニルフタレート、ジアリルフタレート、オクチルカプリールフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、ジメチルグリコースフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカブリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;4−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセパケート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル等;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。
【0131】
前記可塑剤の含有量としては、前記感光性組成物の全固形分に対して、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%〜40質量%がより好ましく、1質量%〜30質量%が更に好ましい。
【0132】
−着色顔料−
前記着色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビクトリア・ピュアーブルーBO(C.I.42595)、オーラミン(C.I.41000)、ファット・ブラックHB(C.I.26150)、モノライト・エローGT(C.I.ピグメント・エロー12)、パーマネント・エローGR(C.I.ピグメント・エロー17)、パーマネント・エローHR(C.I.ピグメント・エロー83)、パーマネント・カーミンFBB(C.I.ピグメント・レッド146)、ホスターバームレッドESB(C.I.ピグメント・バイオレット19)、パーマネント・ルビーFBH(C.I.ピグメント・レッド11)ファステル・ピンクBスプラ(C.I.ピグメント・レッド81)モナストラル・ファースト・ブルー(C.I.ピグメント・ブルー15)、モノライト・ファースト・ブラックB(C.I.ピグメント・ブラック1)、カーボン、C.I.ピグメント・レッド97、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド168、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド180、C.I.ピグメント・レッド192、C.I.ピグメント・レッド215、C.I.ピグメント・グリーン7、C.I.ピグメント・グリーン36、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー15:6、C.I.ピグメント・ブルー22、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・ブルー64などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて、公知の染料の中から、適宜選択した染料を使用することができる。
【0133】
前記着色顔料の含有量としては、永久パターン形成の際の感光層の露光感度、解像性などを考慮して決めることができ、前記着色顔料の種類により異なるが、一般的には、前記感光性組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。
【0134】
−密着促進剤−
各層間の密着性、又は該感光性組成物からなる感光層と基前記感光性組成物を用いて感光性フィルムを形成する際の、体との密着性を向上させるために、各層に公知のいわゆる密着促進剤を用いることができる。
【0135】
前記密着促進剤としては、例えば、特開平5−11439号公報、特開平5−341532号公報、及び特開平6−43638号公報等に記載の密着促進剤が好適挙げられる。具体的には、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、3−モルホリノメチル−5−フェニル−オキサジアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアジアゾール−2−チオン、及び2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0136】
前記密着促進剤の含有量としては、前記感光性組成物の全固形分に対して、0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%が特に好ましい。
【0137】
本発明の感光性組成物は、感度、解像度、及び保存安定性に優れ、高精細な永久パターンを効率よく形成可能である。このため、プリント配線板、カラーフィルタや柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などのディスプレイ用部材、ホログラム、マイクロマシン、プルーフなどの永久パターン形成用として広く用いることができ、特に、プリント基板の永久パターン形成用として好適に用いることができる。
【0138】
(感光性フィルム)
本発明の感光性フィルムとしては、支持体と、該支持体上に形成された前記本発明の感光性組成物からなる感光層とを少なくとも有し、必要に応じて適宜熱可塑性樹脂層等のその他の層を有することが好ましい。
【0139】
<支持体>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。
【0140】
前記支持体は、合成樹脂製で、かつ透明であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0141】
前記支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2μm〜150μmが好ましく、5μm〜100μmがより好ましく、8μm〜50μmが更に好ましい。前記支持体は、単層であってもよいし、多層構成を有していてもよい。
【0142】
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、長尺状が好ましい。前記長尺状の支持体の長さは、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mの長さのものが挙げられる。
【0143】
<感光層>
前記感光層は、本発明の感光性組成物を用いて形成される。
また、前記感光層を露光し現像する場合において、該感光層の露光する部分の厚みを該露光及び現像後において変化させない前記露光に用いる光の最小エネルギーは、0.1〜200mJ/cmであることが好ましく、0.2〜100mJ/cmであることがより好ましく、0.5〜50mJ/cmであることが更に好ましく、1〜30mJ/cmであることが特に好ましい。
前記最小エネルギーが、0.1mJ/cm未満であると、処理工程にてカブリが発生することがあり、200mJ/cmを超えると、露光に必要な時間が長くなり、処理スピードが遅くなることがある。
【0144】
ここで、「該感光層の露光する部分の厚みを該露光及び現像後において変化させない前記露光に用いる光の最小エネルギー」とは、いわゆる現像感度であり、例えば、前記感光層を露光したときの前記露光に用いた光のエネルギー量(露光量)と、前記露光に続く前記現像処理により生成した前記硬化層の厚みとの関係を示すグラフ(感度曲線)から求めることができる。
前記硬化層の厚みは、前記露光量が増えるに従い増加していき、その後、前記露光前の前記感光層の厚みと略同一かつ略一定となる。前記現像感度は、前記硬化層の厚みが略一定となったときの最小露光量を読み取ることにより求められる値である。
ここで、前記硬化層の厚みと前記露光前の前記感光層の厚みとが±1μm以内であるとき、前記硬化層の厚みが露光及び現像により変化していないとみなす。
前記硬化層及び前記露光前の前記感光層の厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、膜厚測定装置、表面粗さ測定機(例えば、サーフコム1400D(東京精密社製))などを用いて測定する方法が挙げられる。
【0145】
前記感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1〜100μmが好ましく、2〜50μmがより好ましく、4〜30μmが特に好ましい。
【0146】
<保護フィルム>
前記感光性フィルムは、前記感光層上に保護フィルムを形成してもよい。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5μm〜100μmが好ましく、8μm〜50μmがより好ましく、10μm〜30μmが更に好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、層間接着力を調整することができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
【0147】
また、前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数は、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
【0148】
前記感光性フィルムは、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されることが好ましい。前記長尺状の感光性フィルムの長さは、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100m〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られることが好ましい。また、前記ロール状の感光性フィルムをシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーター(特に防湿性のもの、乾燥剤入りのもの)を設置することが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いることが好ましい。
【0149】
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、フッ素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30℃〜150℃で1分間〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。前記乾燥させる際の温度は、50℃〜120℃が特に好ましい。
【0150】
<その他の層>
前記感光性フィルムにおけるその他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クッション層、酸素遮断層(PC層)、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層などの層を有していてもよい。これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有していてもよい。また、前記感光層上に保護フィルムを有していてもよい。
【0151】
−クッション層−
前記クッション層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性であってもよく、不溶性であってもよい。
【0152】
前記クッション層がアルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性である場合には、前記熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体などが挙げられる。
【0153】
この場合の熱可塑性樹脂の軟化点(Vicat)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、80℃以下が好ましい。
前記軟化点が80℃以下の熱可塑性樹脂としては、上述した熱可塑性樹脂の他、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による軟化点が約80℃以下の有機高分子の内、アルカリ性液に可溶なものが挙げられる。また、軟化点が80℃以上の有機高分子物質においても、該有機高分子物質中に該有機高分子物質と相溶性のある各種の可塑剤を添加して実質的な軟化点を80℃以下に下げることも可能である。
【0154】
また、前記クッション層がアルカリ性液に対して膨潤性乃至可溶性である場合には、前記感光性フィルムの層間接着力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、各層の層間接着力の中で、前記支持体と前記クッション層との間の層間接着力が、最も小さいことが好ましい。このような層間接着力とすることにより、前記感光性フィルムから前記支持体のみを剥離し、前記クッション層を介して前記感光層を露光した後、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することができる。また、前記支持体を残したまま、前記感光層を露光した後、前記感光性フィルムから前記支持体のみを剥離し、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することもできる。
【0155】
前記層間接着力の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記熱可塑性樹脂中に公知のポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤などを添加する方法が挙げられる。
【0156】
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート等のアルコール類やエステル類;トルエンスルホンアミド等のアミド類、などが挙げられる。
【0157】
前記クッション層がアルカリ性液に対して不溶性である場合には、前記熱可塑性樹脂としては、例えば、主成分がエチレンを必須の共重合成分とする共重合体が挙げられる。
前記エチレンを必須の共重合成分とする共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)などが挙げられる。
【0158】
前記クッション層がアルカリ性液に対して不溶性である場合には、前記感光性フィルムの層間接着力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、各層の層間接着力の中で、前記感光層と前記クッション層との接着力が、最も小さいことが好ましい。このような層間接着力とすることにより、前記感光性フィルムから前記支持体及びクッション層を剥離し、前記感光層を露光した後、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することができる。また、前記支持体を残したまま、前記感光層を露光した後、前記感光性フィルムから前記支持体と前記クッション層を剥離し、アルカリ性の現像液を用いて該感光層を現像することもできる。
【0159】
前記層間接着力の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記熱可塑性樹脂中に各種のポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤などを添加する方法、以下に説明するエチレン共重合比を調整する方法などが挙げられる。
【0160】
前記エチレンを必須の共重合成分とする共重合体におけるエチレン共重合比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、60質量%〜90質量%が好ましく、60質量%〜80質量%がより好ましく、65質量%〜80質量%が特に好ましい。
前記エチレンの共重合比が、60質量%未満になると、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が高くなり、該クッション層と該感光層との界面で剥離することが困難となることがあり、90質量%を超えると、前記クッション層と前記感光層との層間接着力が小さくなりすぎるため、該クッション層と該感光層との間で非常に剥離しやすく、前記クッション層を含む感光性フィルムの製造が困難となることがある。
【0161】
前記クッション層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5μm〜50μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましく、15μm〜40μmが特に好ましい。
前記厚みが、5μm未満になると、基体の表面における凹凸や、気泡等への凹凸追従性が低下し、高精細な永久パターンを形成できないことがあり、50μmを超えると、製造上の乾燥負荷増大等の不具合が生じることがある。
【0162】
−酸素遮断層(PC層)−
前記酸素遮断層は、通常ポリビニルアルコールを主成分として形成されることが好ましく、厚みが0.5μm〜5μm程度の被膜であることが好ましい。
【0163】
〔感光性フィルムの製造方法〕
前記感光性フィルムは、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、前記感光性組成物に含まれる材料を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて、感光性フィルム用の感光性組成物溶液を調製する。
【0164】
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0165】
次に、前記支持体上に前記感光性組成物溶液を塗布し、乾燥させて感光層を形成し、感光性フィルムを製造することができる。
【0166】
前記感光性組成物溶液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、スリットコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ナイフコート法等の各種の塗布方法が挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60℃〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
【0167】
前記感光性フィルムは、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されるのが好ましい。
前記長尺状の感光性フィルムの長さは、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100m〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られるのが好ましい。また、前記ロール状の感光性フィルムをシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーター(特に防湿性のもの、乾燥剤入りのもの)を設置するのが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いるのが好ましい。
【0168】
(感光性積層体)
前記感光性積層体は、基体上に、前記感光層を少なくとも有し、目的に応じて適宜選択されるその他の層を積層してなる。
【0169】
<基体>
前記基体は、感光層が形成される被処理基体、又は本発明の感光性フィルムの少なくとも感光層が転写される被転写体となるもので、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を持つものまで任意に選択できる。板状の基体が好ましく、いわゆる基板が使用される。具体的には、公知のプリント配線板製造用の基板(プリント基板)、ガラス板(ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
【0170】
〔感光性積層体の製造方法〕
前記感光性積層体の製造方法として、第1の態様として、前記感光性組成物を前記基体の表面に塗布し乾燥する方法が挙げられ、第2の態様として、本発明の感光性フィルムにおける少なくとも感光層を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら転写して積層する方法が挙げられる。
【0171】
前記第1の態様の感光性積層体の製造方法は、前記基体上に、前記感光性組成物を塗布及び乾燥して感光層を形成する。
前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基体の表面に、前記感光性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性組成物溶液を調製し、該溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法が挙げられる。
【0172】
前記感光性組成物溶液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光性フィルムに用いたものと同じ溶剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0173】
前記塗布方法及び乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光性フィルムに用いたものと同じ方法及び条件で行う。
【0174】
前記第2の態様の感光性積層体の製造方法は、前記基体の表面に本発明の感光性フィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層する。なお、前記感光性フィルムが前記保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離し、前記基体に前記感光層が重なるようにして積層するのが好ましい。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、15℃〜180℃が好ましく、60℃〜140℃がより好ましい。
前記加圧の圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1MPa〜1.0MPaが好ましく、0.2MPa〜0.8MPaがより好ましい。
【0175】
前記加熱の少なくともいずれかを行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラミネータ(例えば、大成ラミネータ株式会社製 VP−II、ニチゴーモートン株式会社製、VP130)、日立化成工業株式会社製、 HLM−V570)、などが好適に挙げられる。
【0176】
本発明の前記感光性フィルム及び前記感光性積層体は、本発明の前記感光性組成物を用いるため、高感度、高解像度であり、感度の経時安定性、膜硬化性、及び耐熱衝撃性が良好で、高精細な永久パターンを効率よく形成可能であり、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターン等の永久パターン、などの各種パターン形成用、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などの液晶構造部材の製造用、ホログラム、マイクロマシン、プルーフなどのパターン形成用などに好適に用いることができ、特に、プリント基板の永久パターン形成用に好適に用いることができる。
【0177】
特に、本発明の感光性フィルムは、該フィルムの厚みが均一であるため、永久パターンの形成に際し、永久パターン(保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストなど)を薄層化しても、高加速度試験(HAST)においてイオンマイグレーションの発生がなく、耐熱性、耐湿性に優れた高精細な永久パターンが得られるため、基材への積層がより精細に行われる。
【0178】
(パターン形成装置及び永久パターン形成方法)
本発明のパターン形成装置は、前記感光層を備えており、光照射手段と光変調手段とを少なくとも有する。
【0179】
本発明の永久パターン形成方法は、露光工程を少なくとも含み、適宜選択した現像工程等のその他の工程を含む。
なお、本発明の前記パターン形成装置は、本発明の前記永久パターン形成方法の説明を通じて明らかにする。
【0180】
〔露光工程〕
前記露光工程は、本発明の感光層に対し、露光を行う工程である。本発明の前記感光層、及び基体の材料については上述の通りである。
【0181】
前記露光の対象としては、前記感光層である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、上述のように、基体上に感光性組成物を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層して形成した感光性積層体における感光層に対して行われることが好ましい。
【0182】
前記露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、デジタル露光、アナログ露光等が挙げられるが、これらの中でもデジタル露光が好ましい。
【0183】
前記アナログ露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、所定のパターンを有するフォトマスクを介して、(超)高圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプなどで露光を行う方法が挙げられる。
【0184】
前記デジタル露光としては、前記フォトマスクを用いずに行うのであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、光照射手段及び光変調手段を少なくとも備えた露光ヘッドと、前記感光層の少なくともいずれかを移動させつつ、前記感光層に対して、前記光照射手段から出射した光を前記光変調手段によりパターン情報に応じて変調しながら前記露光ヘッドから照射して行うことが好ましい。
【0185】
前記デジタル露光で用いる光源としては、紫外から近赤外線を発する光源であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(超)高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、ハロゲンランプ、及び複写機用などの蛍光管、又はレーザ光等の公知光源が用いられるが、これらの中でも(超)高圧水銀灯、レーザ光が好ましく、レーザ光がより好ましい。
【0186】
前記(超)高圧水銀灯とは、石英ガラスチューブなどに水銀を封入した放電灯であり、水銀の蒸気圧を高く設定して発光効率を高めたものである。輝線スペクトルのうち、NDフィルターなどを用いて1波長のみの輝線スペクトルを用いてもよく、複数の輝線スペクトルを有する光線を用いてもよい。
【0187】
前記レーザ光の「レーザ」は、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光の増幅)の頭字語である。前記レーザ光を発する装置としては、反転分布を持った物質中で起きる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振器及び増幅器が好適に挙げられる。
前記レーザ光の励起媒質としては、結晶、ガラス、液体、色素、気体などがあり、これらの媒質から固体レーザ、液体レーザ、気体レーザ、半導体レーザなどの公知のレーザを用いることができる。
具体的には、ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm)、Krイオンレーザ(356nm、351nm)、He−Cdレーザ(325nm)が挙げられ、固体レーザとして、YAGレーザ、YVOレーザ(1,064nm)、YAGレーザ又はYVOレーザの、2倍波(532nm)、3倍波(355nm)、4倍波(266nm)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体との組み合わせ(380nm〜400nm)、導波型波長変換素子とAlGaInP又はAlGaAs半導体との組み合わせ(300nm〜350nm)、AlGaInN(350nm〜470nm)などが挙げられる。これらの中で好適なレーザ光としては、コストの面からAlGaInN半導体レーザ(市販InGaN系半導体レーザ375nm又は405nm)が、生産性の面で高出力な355nmレーザが挙げられる。
【0188】
前記レーザ光の波長は、例えば、200nm〜1,500nmが好ましく、300nm〜800nmがより好ましく、330nm〜500nmが更に好ましく、350nm〜420nmが特に好ましい。
【0189】
−光変調手段−
前記光変調手段としては、n個の描素部を有し、前記パターン情報に応じて前記描素部を制御する方法が、代表的な方法として挙げられる。具体的には、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM;Spatial Light Modulator)、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)、液晶光シャッタ(FLC)などが挙げられる。これらの中でも、DMDが好適に挙げられる。
【0190】
前記DMDを用いた場合、光源からの光は、適切な光学系によって前記DMD上に照射され、前記DMDに二次元に並んだ各ミラーからの反射光が、別の光学系などを経て、感光層上に、二次元に並んだ光点の像を形成する。このままでは光点と光点の間は露光されないが、前記二次元に並んだ光点の像を、二次元の並び方向に対して、やや傾いた方向に移動させると、最初の列の光点と光点の間を、後方の列の光点が露光することにより、感光層の全面を露光することができる。前記DMDは、各ミラーの角度を制御し、前記光点をON-OFF制御することで、画像パターンを形成することができる。このような前記DMDを有す露光ヘッドを並べて用いることで色々な幅の基板に対応することができる。
前記DMDでは、前記光点の輝度は、ONかOFFの2階調しかないが、ミラー階調型空間変調素子を用いると、256階調の露光を行うことができる。
【0191】
また、前記光変調手段は、形成するパターン情報に基づいて制御信号を生成するパターン信号生成手段を有することが好ましい。この場合、前記光変調手段は、前記パターン信号生成手段が生成した制御信号に応じて光を変調させる。
前記制御信号としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デジタル信号が好適に挙げられる。
【0192】
一方、前記光変調手段の、別の代表的な方法として、ポリゴンミラーを用いる方法が挙げられる。ここで、ポリゴンミラー(polygon mirror)とは、周囲に一連の平面反射面を持った回転部材のことである。前記ポリゴンミラーでは、感光層上に光源からの光を反射して照射するが、反射光の光点は、該平面鏡の回転によって走査される。この走査方向に対して直角に基板を移動させることで、基板上の感光層の全面を露光することができる。そして、光源からの光の強度を適切な方法でON−OFF、又は中間調に制御することで、画像パターンを形成することができる。この際、光源からの光を複数本とすることで、走査時間を短縮することができる。
【0193】
前記光変調手段としては、その他にも、特開平5−150175号公報に記載のポリゴンミラーを用いて描画する例、特表2004−523101号公報(国際公開第2002/039793号パンフレット)に記載の、下部レイヤの画像の一部を視覚的に取得し、ポリゴンミラーを用いた装置で上部レイヤの位置を下部レイヤ位置に揃えて露光する例、特開2004−56080号公報に記載のDMD有する露光する例、特表2002−523905号公報に記載のポリゴンミラー備えた露光装置、特開2001−255661号公報に記載のポリゴンミラー備えた露光装置、特開2003−50469号公報に記載のDMD、LD、多重露光の組み合わせ例、特開2003−156853号公報に記載の基板の部位により露光量を変える露光方法の例、特開2005−43576号公報に記載の位置ずれ調整を行う露光方法の例等が挙げられる。
【0194】
−光照射手段−
前記光照射手段、即ち光の照射方法としては、特に制限はなく、前述の露光光源を目的に応じて適宜選択することができるが、これらの光源からの光を2つ以上合成して照射することが好適であり、2つ以上の光を合成したレーザ光(合波レーザ光)を照射することが特に好適に挙げられる。
【0195】
前記合波レーザ光の照射方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数のレーザ光源と、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザ光源から照射されるレーザ光を集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とにより合波レーザ光を構成して照射する方法が好適に挙げられる。
【0196】
前記レーザ光のビーム径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濃色離隔壁の解像度の観点から、ガウシアンビームの1/e値で5μm〜30μmが好ましく、7μm〜20μmがより好ましい。
本発明では、レーザ光を画像データに応じて空間光変調することが好ましい。したがって、この目的のため空間光変調素子である前記DMDを用いることが好ましい。
【0197】
前記光変調手段、及び前記光照射手段を有している露光装置としては、例えば、特開2005−222039号公報、特開2005−258431号公報、特開2006−30966号公報などに記載されている装置を用いることができるが、本発明における露光装置はこれに限定されるものではない。
【0198】
〔現像工程〕
前記現像としては、前記感光層の未露光部分を除去することにより行われる。
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
【0199】
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤などが挙げられ、これらの中でも、弱アルカリ性の水溶液が好ましい。該弱アルカリ水溶液の塩基成分としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硼砂などが挙げられる。
【0200】
前記弱アルカリ性の水溶液のpHは、例えば、8〜12が好ましく、9〜11がより好ましい。前記弱アルカリ性の水溶液としては、例えば、0.1質量%〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸カリウム水溶液などが挙げられる。
前記現像液の温度は、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、例えば、25℃〜40℃が好ましい。
【0201】
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン等)や、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類等)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
【0202】
前記パターンの形成においては、例えば、硬化処理工程、エッチング工程、めっき工程などを含んでいてもよい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0203】
〔硬化処理工程〕
前記パターンの形成方法が、保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストパターン等の永久パターンや、カラーフィルタの形成を行う永久パターン形成方法である場合には、前記現像工程後に、感光層に対して硬化処理を行う硬化処理工程を備えることが好ましい。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
【0204】
前記全面露光処理の方法としては、例えば、前記現像後に、前記永久パターンが形成された前記積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。該全面露光により、前記感光層を形成する感光性組成物中の樹脂の硬化が促進され、前記永久パターンの表面が硬化される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機、キセノンランプ使用の露光機、レーザ露光機などが好適に挙げられる。露光量は、10mJ/cm〜2,000mJ/cmが好ましい。
【0205】
前記全面加熱処理の方法としては、前記現像の後に、前記永久パターンが形成された前記積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。該全面加熱により、前記永久パターンの表面の膜強度が高められる。
前記全面加熱における加熱温度は、120℃〜250℃が好ましく、120℃〜200℃がより好ましい。該加熱温度が120℃未満であると、加熱処理による膜強度の向上が得られないことがあり、250℃を超えると、前記感光性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることがある。
前記全面加熱における加熱時間は、10分間〜120分間が好ましく、15分間〜60分間がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
【0206】
前記パターンの形成方法は、405nmのレーザ露光による直接描画において、酸素による感光層の感度低下防止が必要とされる各種パターンの形成などに使用することができ、高密度化と高生産性とを両立したパターンの形成に好適に使用することができる。
【0207】
前記永久パターン形成方法においては、前記永久パターン形成方法により形成される永久パターンが、前記保護膜又は前記層間絶縁膜であると、配線を外部からの衝撃や曲げから保護することができ、特に、前記層間絶縁膜である場合には、例えば、多層配線基板やビルドアップ配線基板などへの半導体や部品の高密度実装に有用である。
【0208】
本発明の前記永久パターン形成方法は、本発明の前記感光性組成物を用いるため、保護膜、層間絶縁膜、及びソルダーレジストパターン等の永久パターン、などの各種パターン形成用、カラーフィルタ、柱材、リブ材、スペーサー、隔壁等の液晶構造部材の製造、ホログラム、マイクロマシン、プルーフなどの製造に好適に使用することができ、特に、プリント基板の永久パターン形成に好適に使用することができる。
【実施例】
【0209】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0210】
(合成例1)
−高分子化合物1の合成−
1,000mLの三口フラスコ内に、1−メトキシ−2−プロパノール159gを入れ、窒素気流下、85℃まで加熱した。これに、ベンジルメタクリレート63.4g、メタクリル酸72.3g、V−601(和光純薬工業株式会社製)4.15gの1−メトキシ−2−プロパノール159g溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に5時間加熱して反応させた。次いで、加熱を止め、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(30/70mol%比)の共重合体を得た。
次に、前記共重合体溶液のうち、120.0gを300mLの三口フラスコ内に移し、グリシジルメタクリレート16.6g、及びp−メトキシフェノール0.16gを加え、撹拌し、溶解させた。溶解後、トリフェニルホスフィン3.0gを加え、100℃に加熱し、付加反応を行った。グリシジルメタクリレートが消失したことを、ガスクロマトグラフィーで確認し、加熱を止めた。1−メトキシ−2−プロパノールを加え、固形分30質量%の下記構造式で表される高分子化合物1の溶液を調製した。
得られた高分子化合物1の質量平均分子量を、ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定した結果、15,000であった。
また、水酸化ナトリウムを用いた滴定から、固形分あたりの酸価は、2.2meq/gであった。
更に、ヨウ素価滴定により求めた固形分あたりのエチレン性不飽和結合の含有量(C=C価)は、2.1meq/gであった。
<高分子化合物1>
【化71】

ただし、前記高分子化合物1中、*1は下記構造式(a)で表される構造及び(b)で表される構造の混合(混合比は不明)を表す。
【化72】

【0211】
(実施例1)
<感光性組成物の作製>
−分散液の調製−
分散液は、下記成分を予め混合した後、モーターミルM−200(アイガー社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sにて3時間分散して調製した。
・シリカ(株式会社アドマテックス製、アドマファインSO-C2)・・・22質量部
・熱硬化促進剤(ジシアンジアミド)・・・0.26質量部
・HELIOGEN BLUE D7086(BASF社製)・・・0.40質量部
・PALIOTOL YELLOW D0960(BASF社製)・・・0.11質量部
・合成例1の高分子化合物1(1−メトキシ−2−プロパノール溶液中に固形分質量45質量%)・・・35質量部
・酢酸n−プロピル・・・43質量部
【0212】
次に、下記の各成分と、上記分散液(濾過後)38質量部を混合して、感光性組成物溶液を調製した。
〔感光性組成物溶液の各成分〕
・合成例1の高分子化合物1(1−メトキシ−2−プロパノール溶液中に固形分質量45質量%)・・・40質量部
・重合性化合物1(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;DPHA)・・・4.8質量部
・重合性化合物2(NKエステル NPG、新中村化学株式会社製)・・・4.8質量部
【化73】

・下記構造式で表される熱硬化性化合物(東都化成社製、エポトートYDF−170、エポキシ当量170g/eq)・・・5.3質量部
【化74】

ただし、nは0体、70%以上である。
・下記式10で表される光重合開始剤・・・0.82質量部
【化75】

・下記式で表される増感剤(例示化合物No.33)・・・0.06質量部
【化76】

ただし、式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表す。
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−780F、大日本インキ化学工業株式会社製、30質量%2−ブタノン溶液)・・・0.2質量部
・メチルエチルケトン・・・10質量部
【0213】
−感光性フィルムの製造−
得られた感光性組成物溶液を、支持体としての厚み16μm、幅300mm、長さ200mのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東レ株式会社製、16FB50)上に、バーコーターで塗布し、80℃熱風循環式乾燥機中で乾燥して、厚み30μmの感光層を形成した。次いで、該感光層の上に、保護フィルムとして、膜厚20μm、幅310mm、長さ210mのポリプロピレンフィルム(王子製紙株式会社製、E−200)をラミネーションにより積層し、感光性フィルムを製造した。
【0214】
−感光性積層体の調製−
次に、前記基材、即ちプリント基板としての配線形成済みの銅張積層板(スルーホールなし、銅厚み12μm)の表面に化学研磨処理を施して調製した。該銅張積層板上に、前記感光性フィルムの感光層が前記銅張積層板に接するようにして前記感光性フィルムにおける保護フィルムを剥がしながら、真空ラミネータ(ニチゴーモートン株式会社製、VP130)を用いて積層させ、前記銅張積層板と、前記感光層と、前記ポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)とがこの順に積層された感光性積層体を調製した。
ラミネート条件は、真空引きの時間40秒間、圧着温度70℃、圧着圧力0.2MPa、加圧時間10秒間とした。
【0215】
<感度の評価>
前記積層体を、室温(23℃、55%RH)にて10分間静置した。得られた前記積層体の感光層表面に、INPREX IP−3000(富士フイルム株式会社製、ピクセルピッチ=1.0μm)を用いて、0.5mJ/cm〜21/2倍間隔で500mJ/cmまでの光エネルギー量の異なる光を照射して露光し、L/S=50/50(μm/μm)のパターンを硬化させた。室温にて10分間静置した後、前記感光性積層体から前記支持体を剥がし取り、銅張積層板上の感光層の全面に、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.15MPaにて前記最短現像時間の2倍の時間スプレー現像し、未硬化の領域を溶解除去して、L/S=50/50(μm/μm)のパターンの線幅を測定し、線幅が50μmとなるところを最適露光量とした。結果を表1に示す。
【0216】
<解像度の評価>
ラミネートしてから2時間経過後及び24時間経過後の積層体を、室温(23℃、55%RH)にて10分間静置した。得られた前記積層体の感光層表面に、INPREX IP−3000(富士フイルム株式会社製、ピクセルピッチ=1.0μm)を用いて、直径40μm〜直径400μmまで10μm刻みの丸穴パターンデータを前記最適露光量で照射し、各穴径のパターン露光を行った。室温にて10分間静置した後、前記最短現像時間の評価におけるのと同様の方法にて、前記の方法により求めた最短現像時間の2倍の時間スプレー現像し、未硬化領域を溶解除去した。このようにして得られた硬化樹脂パターンの表面を光学顕微鏡で観察し、硬化樹脂パターンにツマリ、ヨレ等の異常のない最小の丸穴径を解像度とした。ラミネート2時間後及び24時間後の解像度の結果を表1に示す、なお、解像度は数値が小さいほど良好である。
【0217】
(実施例2)
実施例1において、重合性化合物1及び2を、重合性化合物1(NKエステル NPG、新中村化学株式会社製)9.6質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度、ラミネート2時間後及び24時間後の解像度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化77】

【0218】
(実施例3)
実施例1において、重合性化合物2(NKエステル NPG、新中村化学株式会社製)を、重合性化合物2(NKエステル TMPT、新中村化学株式会社製)に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度、ラミネート2時間後及び24時間後の解像度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化78】

【0219】
(実施例4)
実施例1において、重合性化合物1及び2を、重合性化合物1(NKエステル TMPT、新中村化学株式会社製)9.6質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度、ラミネート2時間後及び24時間後の解像度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化79】

【0220】
(実施例5)
実施例1において、重合性化合物1及び2を、重合性化合物1(NKエステル DCP、新中村化学株式会社製)9.6質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度、ラミネート2時間後及び24時間後の解像度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化80】

【0221】
(実施例6)
実施例1において、増感剤を、ジエチルチオキサントン0.40質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度、ラミネート2時間後及び24時間後の解像度の評価を行った。結果を表1に示す。
【0222】
(比較例1)
実施例1において、重合性化合物1及び2を、重合性化合物1(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)9.6質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度、ラミネート2時間後及び24時間後の解像度の評価を行った。結果を表1に示す。
【0223】
(比較例2)
実施例1において、重合性化合物1及び2を、重合性化合物1(NKエステル A−TMPT、新中村化学株式会社製)9.6質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度、ラミネート2時間後及び24時間後の解像度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化81】

【0224】
(比較例3)
実施例1において、重合性化合物1及び2を、重合性化合物1(NKエステル A−DCP、新中村化学株式会社製)9.6質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度、ラミネート2時間後及び24時間後の解像度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化82】

【0225】
(比較例4)
実施例1において、重合性化合物1及び2を、重合性化合物1(NKエステル A−NPG、新中村化学株式会社製)9.6質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物を調製した。
得られた各感光性組成物を用いて、実施例1と同様にして、感度、ラミネート2時間後及び24時間後の解像度の評価を行った。結果を表1に示す。
【化83】

【0226】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0227】
本発明の感光性組成物及び感光性フィルムは、感度及びラミネーと24時間後の解像度が優れ、高精細なパターンを効率よく形成可能であるため、保護膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストパターン等の各種パターン形成用、プリント基板、カラーフィルタや柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などのディスプレイ用部材、ホログラム、マイクロマシン、プルーフなどの永久パターン形成用に広く用いることができ、特に、プリント基板の永久パターン形成用に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダーと、重合性化合物と、熱硬化性化合物と、光重合開始剤と、増感剤とを少なくとも含有してなり、
前記重合性化合物が、メタクリレート化合物から選ばれる少なくとも1種を含有し、
前記光重合開始剤が、下記一般式(A−1)で表される化合物であり、
前記増感剤が、下記一般式(B−1)で表される化合物であることを特徴とする感光性組成物。
【化1】

ただし、前記一般式(A−1)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表し、該Rは置換基で更に置換されていてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、及びシアノ基のいずれかを表し、Arは、芳香族環、及び複素芳香族環のいずれかを表し、ArとRは互いに結合して環を形成してもよい。nは、0又は1を表す。
【化2】

ただし、前記一般式(B−1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、及びアルケニル基のいずれかを表し、該Rと該Rとは、それぞれが結合している硫黄原子と共に非金属元素からなる環を形成していてもよく、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。G及びGは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、シアノ基、カルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルロオアルキルスルホニル基のいずれかを表し、該Gと該Gとは、それぞれが結合している炭素原子と共に、非金属原子からなるメロシアニン色素で酸性核として用いられる環を形成していてもよく、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。ただし、G及びGのいずれかは、カルボニル基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びフルオロアルキルスルホニル基のいずれかを表す。pは、0又は1を表す。
【請求項2】
一般式(A−1)で表される化合物が、下記一般式(A−2)で表される化合物である請求項1に記載の感光性組成物。
【化3】

ただし、前記一般式(A−2)中、Rは、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Rは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。mは、0以上の整数を表し、該mが2以上の場合には、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、互いに連結し環を形成してもよい。Arは、芳香族環及び複素芳香族環のいずれかを表す。Aは、5員環、6員環、及び7員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
【請求項3】
一般式(A−2)で表される化合物が、下記一般式(A−3)及び(A−4)のいずれかで表される化合物である請求項2に記載の感光性組成物。
【化4】

【化5】

ただし、前記一般式(A−3)及び(A−4)中、Rは、アルキル基、及びアルキルオキシ基のいずれかを表し、該Rは、置換基で更に置換されていてもよい。Rは、アルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、及びアシルアミノ基のいずれかを表す。lは、0〜6の整数を表し、該lが2以上の場合には、該Rは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、互いに連結し環を形成してもよい。Aは、5員環及び6員環のいずれかを表し、これらは、置換基で更に置換されていてもよい。Xは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
【請求項4】
一般式(B−1)で表される化合物が、下記一般式(B−2)で表される化合物である請求項1から3のいずれかに記載の感光性組成物。
【化6】

ただし、前記一般式(B−2)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、及びハロゲン原子のいずれかを表し、該R及び該Rは、互いに連結し芳香族環を形成していてもよく、更に該芳香族環上にアルキル基、アルキルオキシ基、及びハロゲン原子の少なくともいずれかを有していてもよい。R10及びR11は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及びアリール基のいずれかを表す。Yは、酸素原子、及び硫黄原子のいずれかを表す。
【請求項5】
熱硬化性化合物が、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物である請求項1から4のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項6】
更に、無機フィラー及び有機フィラーの少なくともいずれかを含有する請求項1から5のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光層を支持体上に有してなることを特徴とする感光性フィルム。
【請求項8】
基体上に、請求項1から6のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光層を有することを特徴とする感光性積層体。
【請求項9】
請求項1から6のいずれかに記載の感光性組成物により形成された感光層に対して露光を行うことを含むことを特徴とする永久パターン形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の永久パターン形成方法により永久パターンが形成されたことを特徴とするプリント基板。

【公開番号】特開2010−32791(P2010−32791A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195125(P2008−195125)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】