説明

感光性組成物および電極の製造方法

【課題】感光性成分を含有してもゲル化を起こさず、安価で、高精度のパターンを形成することができ、かつセラミック、シリコンおよびガラス基板に対して薄膜で接着強度が高い感光性組成物を提供する。
【解決手段】アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)、アルカリ可溶性重合体(C)、光重合開始剤(D)、溶剤(E)および下記式(1)で表される化合物(F)を含有する感光性組成物。


(式(1)において、R1は水素原子または炭素数1〜18のアルキル基を示す。R2はn2価の有機基を示す。R3はプロピレン基を示す。n1は1〜23、n2は2〜12の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物およびそれを用いた電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともいう。)やフィールドエミッションディスプレイ(以下「FED」ともいう。)のようなフラットパネルディスプレイ(以下「FPD」ともいう。)、電子部品の高度実装材料および太陽電池材料などに用いられる電極を有する回路基板におけるパターン加工に対して、高密度化および高精細化の要求が高まっている。
【0003】
このようなパターン加工においては、フォトリソグラフィー法である感光性ペースト法が従来知られている(特許文献1)。
これは導電性粉末を含有した感光性ペーストからなる層を基板上に塗布等によって形成し、露光・現像してパターニングを行った後に焼成して有機成分を揮発させるとともに導電性粉体を基板に密着させてパターン電極を形成する技術である。
【0004】
上記感光性ペースト法における導電性粉体としては主に銀が用いられているが、銀は貴金属であり高価であるため、安価な代替材料が望まれている。
【特許文献1】特開平11−31416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは銀に代わる安価な導電性粉体としてアルミニウムに着目したが、アルミニウムと多官能アクリレート化合物のような感光性成分とを混合するとゲル化を起こしやすく、ペースト化が困難であるという問題が発生した。
【0006】
従って、本発明は、感光性成分を含有してもゲル化を起こさず、安価で、高精度のパターンを形成することができ、かつセラミック、シリコンおよびガラス基板に対して薄膜で接着強度が高い感光性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成する本発明は、
アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)、
アルカリ可溶性重合体(C)、
光重合開始剤(D)、
溶剤(E)および
下記式(1)で表される化合物(F)を含有することを特徴とする感光性組成物である。
【0008】
【化1】

【0009】
(式(1)において、R1は水素原子または炭素数1〜18のアルキル基を示す。R2はn2価の有機基を示す。R3はプロピレン基を示す。n1は1〜23、n2は2〜12の整数を示す。)
前記感光性組成物の好適な態様として、前記アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)を組成物全量に対して20〜70質量%含有し、
前記アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)の平均粒径D50が1〜10μmであり、
平均粒径D50が0.2〜4.0μmであり、最大粒径Dmaxが30μm未満であるという条件を満たすガラス粉末(B)を組成物全量の0.5〜20質量%含有し、
前記ガラス粉末(B)の軟化点が300〜700℃である。
【0010】
また、他の発明は、
前記感光性組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
該感光性樹脂層をフォトリソグラフィー法によりパターニングする工程、および
パターニングされた前記感光性樹脂層を焼成する工程
を含むことを特徴とする電極の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の感光性組成物は、感光性成分を含有していながらゲル化を起こさず、安価でかつ高精細のパターンを形成することができ、またセラミック、シリコンおよびガラス基板に対して薄膜で接着強度が高い。このため、本発明の感光性組成物は、フラットパネルディスプレイの配線を構成する部材の形成、電子部品の高度実装材料の部材の形成ならびに太陽電池の部材の形成に好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る感光性組成物および電極の製造方法について、詳細に説明する。
〔感光性組成物〕
本発明の感光性組成物は、アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)、アルカリ可溶性重合体(C)、光重合開始剤(D)、溶剤(E)および下記式(1)で表される化合物(F)を含有する。
【0013】
【化1】

【0014】
(式(1)において、R1は水素原子または炭素数1〜18のアルキル基を示す。R2はn2価の有機基を示す。R3はプロピレン基を示す。n1は1〜23、n2は2〜12の整数を示す。)
アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末(A)
本発明の組成物に含有される無機粉体としては、アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末からなる金属粉末を挙げることができる。
【0015】
アルミニウム合金粉末の例として、Al-Cu系合金粉末、Al-Mg系合金粉末、Al-Sn系合金
粉末、Al-Cu-Si系合金粉末、Al-Si系合金粉末、Al-Si-Mg系合金粉末、Al-Mg系合金粉末、
Al-Mn系合金粉末、Al-Mg-Mn系合金粉末、Al-Mg-Si系合金粉末、Al-Zn-Mg系合金粉末、Al-Zn-Mg-Cu系合金粉末、Al-Si-Cu-Mg系合金粉末、Al-Cu-Ni-Mg系合金粉末、Al-Si-Cu-Ni-Mg系合金粉末などが挙げられる。
【0016】
上記アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の平均粒径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して適宜選択するが、アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の50重量%粒子径D50(平均粒径)が1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは2〜9μmである。この範囲にアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の平均粒径にあると、紫外線照射時の光が塗膜の底部まで十分到達し、高精細なパターンを得ることができる。
【0017】
アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の形状については、球状、不定形またはフレーク状のものが好ましい。
他の金属(例えば、Pt、Au、Ag、Cu、Sn、Ni、Fe、Zn、W、Moおよびそれらの化合物)
を金属粉末全量に対して20質量%以内で含有してもよい。
【0018】
上記アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の含有量は、感光性組成物全量に対して、20〜70質量%、好ましくは、30〜60重量%である。
ガラス粉末(B)
本発明の感光性組成物は、必要に応じて無機粉体としてガラス粉末を含有することができる。
【0019】
本発明の組成物に用いられるガラス粉末は、該組成物により形成される焼結体の用途(FPD部材、電子部品の種類)に応じて適宜選択することができる。
ここに、電極を形成するための組成物に含有されるガラス粉末としては、軟化点が300〜700℃、好ましくは350〜650℃の範囲内にあるガラス粉末を挙げることができる。ガラス粉末の軟化点が300℃未満である場合には、本発明の組成物から形成された感光性アルミペースト組成物層の焼成工程において、結着樹脂などの有機物質が完全に分解除去されない段階でガラス粉末が溶融してしまうため、形成される誘電体層中に有機物質の一部が残留し、この結果、誘電体層が着色されて、その光透過率が低下する傾向がある。一方、ガラス粉末の軟化点が700℃を超える場合には、700℃より高温で焼成する必要があるために、ガラス基板に歪みなどが発生しやすい。上記軟化点は
JIS R3107−1:2001法により求められた値である。
【0020】
好適なガラス粉末の具体例としては、
1.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−B2O3−SiO2系)の混合物、
2.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(ZnO−B2O3−SiO2系)の混合物、
3.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム(PbO−B2O3−SiO2−Al2O3系)の混合物、
4.酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素(PbO−ZnO−B2O3−SiO2系)の混合物、5.酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素(Bi2O3-B2O3-SiO2系)の混合物、
6.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素(ZnO−P2O5−SiO2系)の混合物、
7.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化カリウム(ZnO−B2O3−K2O系)の混合物、
8.酸化リン、酸化ホウ素、酸化アルミニウム(P2O5−B2O3−Al2O3系)の混合物、
9.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム(ZnO−P2O5−SiO2−Al2O3系)の混合物、
10.酸化亜鉛、酸化リン、酸化チタン(ZnO−P2O5−TiO2系)の混合物、
11.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム(ZnO−B2O3−SiO2系−K2O系)の混合物、
12.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウム(ZnO−B2O3
−SiO2−K2O−CaO系)の混合物、
13.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(ZnO−B2O3−SiO2−K2O−CaO−Al2O3系)の混合物、
14.酸化ホウ素、酸化珪素、酸化アルミニウム(B2O3−SiO2−Al2O3系)の混合物、
15.酸化ホウ素、酸化珪素、酸化ナトリウム(B2O3−SiO2−Na2O系)の混合物
などが挙げられる。
【0021】
上記ガラス粉末の粒径は、作製しようとするパターンの形状を考慮して適宜選択するが、ガラス粉末の50重量%粒子径D50(平均粒径)が0.2〜4.0μmかつ最大粒径(Dmax)が30μm未満であることが好ましい。さらに、10重量%粒径が0.05〜0.5μm、90重量%粒径が10〜20μmであることが好ましい。より好ましくは50重量%粒子径D50(平均粒径)が0.5〜3.8μmかつ最大粒径(Dmax)が25μm以下である。ガラス粉末の平均粒径がこの範囲にあると、紫外線照射時の光が塗膜の底部まで十分到達し、高精細なパターンを得ることができる。ガラス粉末としては、特に、環境を配慮した無鉛ガラスが好ましい。
上記ガラス粉末の含有量は、感光性組成物全量に対して、好ましくは、0.5〜20重量%である。より好ましくは1.0〜10重量%である。
アルカリ可溶性重合体(C)
本発明の組成物に用いられるアルカリ可溶性重合体(C)(以下「C成分」ともいう。)は、アルカリ可溶性であれば、特に限定されないが、本発明において「アルカリ可溶性」とは目的とする現像処理が可能な程度に、アルカリ性の現像液に溶解する性質をいう。
【0022】
(C)成分は、アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)由来の構成単位を含有する。また、(C)成分としては上記アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)と(メタ)アクリル酸誘導体(C2)および/またはその他のモノマー(C3)との共重合体を用いることもできる。
【0023】
(アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1))
重合体にアルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)由来の構成単位を含有させることにより、重合体にアルカリ可溶性を付与することができる。このアルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)由来の構成単位の含有量は、重合体の全構成単位中、通常、5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは15〜70重量%である。
【0024】
上記アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有モノマー類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(α-ヒドロキシメチル)アクリレート
等の水酸基含有モノマー類;
o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基含有モノマー類
などのアルカリ可溶性官能基と不飽和結合を有するモノマーが挙げられる。これらのモノマーのうち、(メタ)アクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート
、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0025】
((メタ)アクリル酸誘導体(C2))
上記(メタ)アクリル酸誘導体(C2)としては、上記アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)と共重合可能な(メタ)アクリル酸誘導体であれば特に限定されないが、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;
2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の環式(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0026】
(その他のモノマー(C3))
また、本発明では、上記(メタ)アクリル酸誘導体(C2)の代わりに、あるいは上記(メタ)アクリル酸誘導体(C2)に加えて、その他のモノマー(C3)として、たとえば、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等から得られるポリマーの一方の鎖末端に、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマーなどを用いてもよい。
【0027】
(ラジカル重合開始剤)
上記共重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、ビニル単量体の重合に用いられるラジカル重合開始剤を使用できる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチルー2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)等のアゾ化合物;t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、クミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル類の有機過酸化物等を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのラジカル重合開始剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー100重量部に対して0.1〜10重量部程度である。
【0028】
(重量平均分子量)
このようにして得られたアルカリ可溶性重合体(C)の重量平均分子量(以下「Mw」ともいう。)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値で、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは10,000〜80,000である。Mwは、上記モノマーの共重合割合、組成、連鎖移動剤、重合温度などの条件を適宜選択することにより制御することができる。Mwが前記範囲よりも低いと、現像後の膜荒れが発生しやすくなり、また、Mwが前記範囲を超えると、未露光部の現像液に対する溶解性が低下し、解像度が低下する場合がある。
【0029】
(ガラス転移温度)
上記(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、0〜120℃、好ましくは1
0〜100℃である。ガラス転移温度が前記範囲よりも低いと、塗膜にタックを生じやすく、ハンドリングがしにくい傾向にある。また、ガラス転移温度が前記範囲を超えると、支持体であるガラス基板等との密着性が悪くなる。なお、前記ガラス転移温度は、上記化合物(A)、モノマー(C1)、(メタ)アクリル酸誘導体(C2)の量を変更することによって適宜調節することがでる。
【0030】
(酸価)
上記アルカリ可溶性重合体(C)の酸価は、20〜200mgKOH/g、好ましくは30〜160mgKOH/gの範囲である。酸価が20mgKOH/g以下では露光後の未露光部分が速やかにアルカリ現像液で除去しにくく、高精細な電極の製造が困難となる傾向にある。また、酸価が200mgKOH/g以上になると、露光光によって硬化した部分もアルカリ現像液に浸食されやすくなり、高精細な電極の製造が困難となる傾向にある。
【0031】
本発明において、(C)成分は感光性組成物に対して3〜50重量%含有することができ、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。
光重合開始剤(D)
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロー4−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノンー1、2−ヒドロキシー2−メチルー1−フェニループロパンー1−オン、2,2‘−ジメトキシー1,2−ジフェニルエタンー1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルーペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルージフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、および、エオシンやメチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンなどの還元剤との組合せなどが挙げられる。
【0032】
上記光重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記光重合性開始剤は、上記無機粒子100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好
ましくは0.3〜20重量部の範囲で用いられる。特に、化合物(F)と光重合開始剤(D)との組み合わせを用いる場合、感光性モノマーの含有量は、無機粒子100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部であり、光重合開始剤の含有量は、感光性モノマー100重量部に対して、通常1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部である。感光性成分の含有量が前記範囲を超えると、焼成後のディスプレイパネル用部材の形状が劣化することがある。
溶剤(E)
本発明の組成物には、溶液の粘度を調整するために、溶剤を加えてもよい。本発明に用いる溶剤としては、例えば、ターピネオール、α―ターピネオール、β―ターピネオール、γ―ターピネオール、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−プロパノール、2−(4−メチル−4−シクロヘキサノール)−2−プロパン、ジヒドロターピネニルアセテート、2−(4−メチル−4−アセトキシシクロへキシル)−2−プロパン、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−プロパンアセテート、ジヒドロターピニルアセテート、2−(4−メチル−4−アセトキシシクロヘキシル)−2−プロパノール、2−(4−メチル−4−シクロヘキサノール)−2−プロパンアセテート、2−(4−メチル−4−アセトキシシクロヘキシル)−2−プロパンアセテート、2−(1−メチル−1−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)エトキシ)エタノール、2−(1−メチル−1−(4−メチルシクロヘキシル)エトキシ)エタノール、2−メトキシ−2−(4−メチル−3−シクロヘキセニル)プロパン、ターピニルメチルエーテル、2−メトキシ−2−(4−メチル−3−シクロヘキシル)プロパン、ジヒドロターピニルメチルエーテル、イソボルニルシクロヘキサノールなどが挙げられる。上記溶剤は、いずれか2種以上用いてもかまわない。化合物(F)
化合物(F)は下記式(1)で表される。
【0033】
【化1】

【0034】
上述した一般式(1)において、R1は水素原子または炭素数1〜18のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘプチル基、n-オクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基等を挙げることができる。
【0035】
上記式(1)において、R2はn2価の有機基を示す。n1は1〜23、n2は2〜12の整数を示す。
3はプロピレン基を示し、下記式(a)または(b)で表される構造を有する。
【0036】
【化2】

【0037】
3としては、これらの内、上記式(b)で示されるものが好ましい。
本発明における好ましい化合物(F)の具体的例としては、
モノプロピレングリコール
ジプロピレングリコール
トリプロピレングリコール
ポリプロピレングリコール(n=4)
ポリプロピレングリコール(n=5)
ポリプロピレングリコール(n=6)
ポリプロピレングリコール(n=7)
ポリプロピレングリコール(n=8)
ポリプロピレングリコール(n=9)
ポリプロピレングリコール(n=12)
トリメチロールプロパン(PO変性)(n=1)トリ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン(PO変性)(n=2)トリ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン(PO変性)(n=3)トリ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン(PO変性)(n=4)トリ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン(PO変性)(n=5)トリ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン(PO変性)(n=6)トリ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパン(PO変性)(n=7)トリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=1)トリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=2)トリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=3)トリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=4)トリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=5)トリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=6)トリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=7)トリ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパン(PO変性)(n=1)テトラ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパン(PO変性)(n=2)テトラ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパン(PO変性)(n=3)テトラ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパン(PO変性)(n=4)テトラ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパン(PO変性)(n=5)テトラ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパン(PO変性)(n=6)テトラ(メタ)アクリレート、
ジトリメチロールプロパン(PO変性)(n=7)テトラ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=1)テトラ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=2)テトラ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=3)テトラ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=4)テトラ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=5)テトラ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=6)テトラ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトール(PO変性)(n=7)テトラ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=1)ペンタ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=2)ペンタ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=3)ペンタ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=4)ペンタ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=5)ペンタ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=6)ペンタ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=7)ペンタ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=1)ヘキサ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=2)ヘキサ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=3)ヘキサ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=4)ヘキサ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=5)ヘキサ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=6)ヘキサ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトール(PO変性)(n=7)ヘキサ(メタ)アクリレート、等を挙げることができる。
本発明の組成物において、化合物(F)は、光に対する感度の点から、全成分中の1重量%以上、好ましくは2〜30重量%となる量で用いられる。
任意成分
本発明の官能性アルミニウム組成物には、前記ガラス粉末(B)以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて以下の任意成分を含有することができる。
【0038】
[(メタ)アクリレート化合物]
本発明の組成物には化合物(F)以外の(メタ)アクリレート化合物を併用することもできる。
【0039】
これらのアクリレート化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート類;
両末端ヒドロキシポリブタジエン、両末端ヒドロキシポリイソプレン、両末端ヒドロキシポリカプロラクトンなどの両末端ヒドロキシル化重合体のジ(メタ)アクリレート類;
グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールアルカン、テトラメチロールアルカン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート類;
1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ベンゼンジオール類などの環式ポリオールのポリ(メタ)アクリレート類;
ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、スピラン樹脂(メタ)アクリレート等のオリゴ(メタ)アクリレート類などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0040】
本発明の組成物において、これらの(メタ)アクリレート化合物は、全成分中の1重量%以上、好ましくは2〜30重量%となる量で用いられる。
[紫外線吸収剤]
本発明では、組成物中に紫外線吸収剤を添加することも有効である。紫外線吸収効果の高い化合物を添加することによって、高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外線吸収剤としては、有機系染料または無機系顔料を用いることができ、中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料または無機顔料が好ましく用いられる。
【0041】
具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などの有機系染料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどの無機顔料を用いることができる。これらにおいて、有機系染料は、焼成後の絶縁膜中に残存しないため、絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましいが、フラットディスプレイパネルの信頼性の観点から、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムのような無機顔料がより好ましい。
【0042】
無機顔料は、ガラス粉末100重量部に対して、0.001〜5重量部の範囲となる量で添加することが好ましく、0.01〜1重量部の範囲となる量で添加することがより好ましい。0.001重量部未満では紫外線吸収剤の添加効果が減少し、5重量部を超えると紫外線吸収剤の効果が大きく膜の下部まで光が届かなくなり、パターンを形成できなくなることや成膜強度が保てないことがある。
【0043】
[増感剤]
本発明の組成物には、感度を向上させるために、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、たとえば、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロー4−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられる。
【0044】
上記増感剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。上記増感剤は、無機成分に対して、通常0.01〜5重量%の範囲となる量で添加し、0.05〜3重量%の範囲となる量で添加することがより好ましい。増感剤の量が少なすぎると、光感度を向上させる効果が発揮されないことがあり、増感剤の量が多すぎると、露光部の残存率が小さくなりすぎることがある。
【0045】
[重合禁止剤]
本発明の組成物には、保存時の熱安定性を向上させるために、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤は、組成物中に、通常0.001〜1重量%の範囲となる量で添加することができる
[酸化防止剤]
本発明の組成物には、保存時におけるアクリル系共重合体の酸化を防ぐために、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−ク
レゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤は、組成物中に、通常0.001〜1重量%の範囲となる量で添加することができる。
【0046】
[密着助剤]
本発明の組成物には、支持体との密着性を向上させるために、密着助剤を加えてもよい。密着助剤としては、シラン化合物が好適に用いられる。シラン化合物の具体例としては、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルメトキシシラン、n−イコサンジメチルメトキシシラン、n−プロピルジエチルメトキシシラン、n−ブチルジエチルメトキシシラン、n−デシルジエチルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルメトキシシラン、n−イコサンジエチルメトキシシラン、n−ブチルジプロピルメトキシシラン、n−デシルジプロピルメトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルメトキシシラン、n−イコサンジプロピルメトキシシラン、n−プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルエトキシシラン、n−イコサンジメチルエトキシシラン、n−プロピルジエチルエトキシシラン、n−ブチルジエチルエトキシシラン、n−デシルジエチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルエトキシシラン、n−イコサンジエチルエトキシシラン、n−ブチルジプロピルエトキシシラン、n−デシルジプロピルエトキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルエトキシシラン、n−イコサンジプロピルエトキシシラン、n−プロピルジメチルプロポキシシラン、n−ブチルジメチルプロポキシシラン、n−デシルジメチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジメチルプロポキシシラン、n−イコサンジメチルプロポキシシラン、n−プロピルジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジエチルプロポキシシラン、n−デシルジエチルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジエチルプロポキシシラン、n−イコサンジエチルプロポキシシラン、n−ブチルジプロピルプロポキシシラン、n−デシルジプロピルプロポキシシラン、n−ヘキサデシルジプロピルプロポキシシラン、n−イコサンジプロピルプロポキシシラン、n−プロピルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、n−イコサンメチルジメトキシシラン、n−プロピルエチルジメトキシシラン、n−ブチルエチルジメトキシシラン、n−デシルエチルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジメトキシシラン、n−イコサンエチルジメトキシシラン、n−ブチルプロピルジメトキシシラン、n−デシルプロピルジメトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジメトキシシラン、n−イコサンプロピルジメトキシシラン、n−プロピルメチルジエトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、n−デシルメチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、n−イコサンメチルジエトキシシラン、n−プロピルエチルジエトキシシラン、n−ブチルエチルジエトキシシラン、n−デシルエチルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジエトキシシラン、n−イコサンエチルジエトキシシラン、n−ブチルプロピルジエトキシシラン、n−デシルプロピルジエトキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジエトキシシラン、n−イコサンプロピルジエトキシシラン、n−プロピルメチルジプロポキシシラン、n−ブチルメチルジプロポキシシラン、n−デシルメチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルメチルジプロポキシシラン、n−イコサンメチルジプロポキシシラン、n−プロピルエチルジプロポキシシラン、n−ブチルエチルジプロポキシシラン、n−デシルエチルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルエチルジプロポキシシラン、n−イコサンエチルジプロポキ
シシラン、n−ブチルプロピルジプロポキシシラン、n−デシルプロピルジプロポキシシラン、n−ヘキサデシルプロピルジプロポキシシラン、n−イコサンプロピルジプロポキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−イコサントリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−イコサントリエトキシシラン、n−プロピルトリプロポキシシラン、n−ブチルトリプロポキシシラン、n−デシルトリプロポキシシラン、n−ヘキサデシルトリプロポキシシラン、n−イコサントリプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
上記感光性組成物における接着助剤の含有量としては、上記アルカリ可溶性重合体(C)100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。
【0048】
[溶解促進剤]
本発明の組成物は、後述する現像液への十分な溶解性を発現させる目的で、溶解促進剤を含有することが好ましい。溶解促進剤としては、界面活性剤が好ましく用いられる。このような界面活性剤としては、たとえば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、脂肪酸などが挙げられる。
【0049】
上記フッ素系界面活性剤としては、たとえば、BM CHIMIE社製「BM−1000」、「BM−1100」、大日本インキ化学工業(株)社製「メガファックF142D」、「同F172」、「同F173」、「同F183」、住友スリーエム(株)社製「フロラードFC−135」、「同FC−170C」、「同FC−430」、「同FC−431」、旭硝子(株)社製「サーフロンS−112」、「同S−113」、「同S−131」、「同S−141」、「同S−145」、「同S−382」、「同SC−101」、「同SC−102」、「同SC−103」、「同SC−104」、「同SC−105」、「同SC−106」等の市販品を挙げることができる。
【0050】
上記シリコーン系界面活性剤としては、たとえば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製「SH−28PA」、「SH−190」、「SH−193」、「SZ−6032」、「SF−8428」、「DC−57」、「DC−190」、信越化学工業(株)社製「KP341」、新秋田化成(株)社製「エフトップEF301」、「同EF303」、「同EF352」等の市販品を挙げることができる。
【0051】
上記ノニオン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類な
どが挙げられる。
【0052】
上記ノニオン系界面活性剤の市販品としては、たとえば、花王(株)社製「エマルゲンA−60」、「A−90」、「A−550」、「B−66」、「PP−99」、共栄社化学(株)社製「(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57」、「同No.90」などを挙げることができる。
【0053】
上記界面活性剤の中では、現像時に未露光部の感光性樹脂層の除去が容易であることから、ノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアリールエーテル類がより好ましく、特に下記式(2)で表される化合物が好ましい。
【0054】
【化13】

【0055】
上記式(2)中、R1は炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基であり、pは
1〜5の整数であり、sは1〜5の整数、好ましくは2であり、tは1〜100の整数、好ましくは10〜20の整数である。
上記脂肪酸としては酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ぺラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセレン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸が挙げられる。上記脂肪酸は使用するアルミニウム粉末の包接剤として用いても構わない。
【0056】
本発明の組成物における溶解促進剤の含有量は、上記アルカリ可溶性重合体(C)100重量部に対して、好ましくは0.001〜20重量部、より好ましくは0.01〜15重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部である。溶解促進剤の含有量が上記範囲にあることにより、現像液への溶解性に優れた組成物が得られる。
【0057】
本発明の感光性組成物において、感光性樹脂成分とは、無機粒子を除いた部分、すなわち感光性機能を有する有機成分全体をいう。感光性樹脂成分は、アルカリ可溶性重合体、多官能(メタ)アクリレートである(F)化合物、光重合開始剤、増感剤、増感助剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶剤、分散剤、有機成分あるいは無機成分の沈降防止剤やレベリング剤などの添加剤成分を含有することができる。本発明の感光性組成物は、5〜90重量%の感光性樹脂成分と95〜10重量%の無機粒子からなることが好ましい。
感光性樹脂組成物の調製
本発明の感光性組成物は、上記アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)、アルカリ可溶性重合体(C)、光重合開始剤(D)、溶剤(E)および化合物(F)、必要に応じてガラス粉末(B)等の各種任意成分を所定の組成比となるように調合した後、3本ロールや混練機で均質に混合分散して調製される。
【0058】
上記組成物の粘度は、無機粒子、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加量によって適宜調整することができるが、感光性組成物の粘度としては1rpm(25℃
)時に2000〜100000cpであることが好ましい。さらに好ましくは5000〜50000cp(センチ・ポイズ)である。
〔電極の製造方法〕
本発明の電極の製造方法は、上記感光性組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程(樹脂層形成工程)、該感光性樹脂層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程(露光工程)、該感光性樹脂層を現像処理してパターンを形成する工程(現像工程)、および該パターンを焼成処理する工程(焼成工程)を含むことを特徴とする。
<樹脂層形成工程>
この工程では、上記感光性組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する。感光性樹脂層の形成方法としては、たとえば、上記感光性組成物を基板上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて形成する方法などが挙げられる。
【0059】
上記組成物を基板上に塗布する方法としては、膜厚が大きく(例えば20μm以上)、かつ、均一性に優れた塗膜を効率よく形成することができる方法であれば特に限定されない。例えば、ナイフコーターによる塗布方法、ロールコータによる塗布方法、ドクターブレードによる塗布方法、カーテンコータによる塗布方法、ダイコータによる塗布方法、ワイヤーコータによる塗布方法、スクリーン印刷装置によるスクリーン印刷法などが挙げられる。
【0060】
塗膜の乾燥条件は、乾燥後における溶剤の残存割合が2重量%以内となるように適宜調整すればよく、例えば、50〜150℃の乾燥温度で0.5〜60分間程度である。
上記のようにして形成された感光性樹脂層の厚みは、2〜30μm、好ましくは3〜20μmである。なお、組成物を塗布をn回繰り返すことで、n層(nは2以上の整数を示す)の樹脂層を有する積層体を形成してもよい。
<露光工程>
上記樹脂層形成工程により基板上に感光性樹脂層を形成後、露光装置を用いて露光を行う。露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法を採用することができる。用いるマスクは、感光性樹脂層の有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。露光用マスクの露光パターンは、目的によって異なるが、たとえば、10〜500μm幅のストライプもしくは格子である。
【0061】
また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザーなどで直接描画する方法を用いてもよい。
感光性樹脂層の表面に、露光用マスクを介して、紫外線などの放射線を選択的に照射(露光)して、樹脂層にパターンの潜像を形成する。露光装置としては、平行光露光機、散乱光露光機、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に感光性組成物を塗布した後に、移動させながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0062】
露光の際に使用される活性光源は、たとえば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源としては、たとえば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが使用できる。これらの中では超高圧水銀灯が好適である。
【0063】
露光条件は、感光性樹脂層の厚みによって異なるが、1〜100mW/cm2の出力の
超高圧水銀灯を用いる場合、露光時間を0.05〜1分間とすることが好ましい。この場
合、波長フィルターを用いて露光光の波長領域を狭くすることによって、光の散乱を抑制し、電極の製造性を向上させることができる。具体的には、i線(365nm)の光をカットするフィルター、あるいは、i線およびh線(405nm)の光をカットするフィルターを用いて、電極の製造性を向上させることができる。
【0064】
<現像工程>
上記露光後、感光部分と非感光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、樹脂層を現像して樹脂層のパターンを形成する。現像方法(例えば、浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法、ブラシ法など)および現像処理条件(例えば、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度など)などは、樹脂層の種類に応じて適宜選択、設定すればよい。
【0065】
現像工程で用いられる現像液としては、アルカリ水溶液が挙げられる。また、樹脂層中の有機成分を溶解可能な有機溶媒が使用できる。前記有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。
【0066】
上記感光性樹脂層には、上記アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)、必要により上記ガラス粉末(B)が含まれており、上記アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)、上記ガラス粉末(B)はアルカリ可溶性重合体(C)により均一に分散されているため、該樹脂(C)を現像液で溶解させて洗浄することにより、上記アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末(A)、上記ガラス粉末(B)も同時に除去される。
【0067】
上記アルカリ水溶液としては、たとえば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0068】
上記アルカリ水溶液の濃度は、通常0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあることから好ましくない。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0069】
上記アルカリ水溶液には、ノニオン系界面活性剤や有機溶剤などの添加剤が含有されていてもよい。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常、水洗処理が施される。
【0070】
<焼成工程>
パターニングされた前記感光性樹脂層に対して、通常、300〜1000℃で熱処理をする。
【0071】
焼成雰囲気は、組成物や基板の種類によって異なるが、空気、オゾン、窒素、水素等の雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。
【0072】
焼成処理条件は、樹脂層残留部中の有機物質が焼失されることが必要であるため、通常、焼成温度が300〜1000℃、焼成時間が10〜90分間である。例えば、ガラス基板上に電極の製造する場合は、350〜600℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行う。
【0073】
これらの工程を含む本発明の電極の製造方法により、電極等のディスプレイパネル用部材、電子部品の回路パターンならびに太陽電池部材の配線パターン等を形成することができる。なお、上記転写、露光、現像、焼成の各工程中に、乾燥または予備反応の目的で、50〜300℃加熱工程を導入してもよい。
【0074】
本発明のフラットディスプレイパネルの電極の製造方法は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に適している。
【実施例】
【0075】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0076】
まず、物性の測定方法および評価方法について説明する。
〔重量平均分子量(Mw)および重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)(以下、Mw/Mnと呼称する。)の測定方法〕
MwおよびMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)により測定したポリスチレン換算の値である。なお、GPC測定は、GPCカラムとして東ソー株式会社製「TSKguardcolumn SuperHZM−M」を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒、測定温度40℃の条件で行った。
【0077】
〔粘度測定の評価方法〕
感光性組成物の粘度は東機産業(株)製の「VISCOMATE VM-150III TV-33型粘度計コ
ーンプレートタイプ,測定レンジU(フルスケールトルク:5749.61μN・m),ロータ名称:3°×R12」によりサンプル量1mlで測定した値である。
【0078】
〔電気抵抗測定の評価方法〕
体積抵抗[μΩ・cm]は、下記パネルの試験片上に形成した焼成後のパターンに対して、NPS社製の「Resistivity Proccessor ModelΣ−5」を用いて評価した。
【0079】
〔現像後および焼成後のパターンの評価方法〕
下記パネルの試験片上に形成した現像後または焼成後のパターンを図1に示す位置で切断して、その位置のパターン切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S4300」)で観察し、パターンの幅および高さを計測して、それぞれを下記基準で評価した。なお、所望の規格は、パターンの幅が50μm、高さが10μm、間隔が100μmである。
【0080】
(線幅)
A:所望の規格のもの。
B:所望の規格±3μm以内のもの。
C:所望の規格±3μmを超えて±5μm以内のもの。
D:所望の規格±5μmを超えるもの。
(高さ)
A:所望の規格のもの。
B:所望の規格±2μm以内のもの。
C:所望の規格±2μmを超えて±4μm以内のもの。
D:所望の規格±4μmを超えるもの。
【0081】
〔焼成後のパターン密着性評価〕
下記パネルの試験片上に形成した焼成後のパターンとパネルの試験片(支持体)との密着性評価を行った。なお、所望の規格は、パターンの幅が50μm、高さが10μm、間隔100μmである。セロテープ(登録商標)(ニチバン社製)をパターンおよび支持体上に加熱ローラにより熱圧着した。圧着条件は、加熱ローラの表面温度を23℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移動速度を0.5m/分とした。これにより、パターン
および支持体の表面にセロテープ(登録商標)が密着した状態となった。このセロテープ(
登録商標)を支持体より剥離することで評価した。
【0082】
○:パターン剥れなし。
×:パターン剥れあり。
〔合成例1〕
2−ヒドロキシエチルメタクリレート15g、n−ブチルメタクリレート40g、2−エチルヘキシルメタクリレート30g、メタクリル酸15g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1g、連鎖移動剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオンネート)(堺化学工業(株)製)1g、ターピネオール120gを攪拌機付きオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下において、均一になるまで攪拌した。次いで、80℃で4時間重合させ、さらに100℃で1時間重合反応を継続させた後、室温まで冷却してアルカリ可溶性重合体(1)を得た。このアルカリ可溶性重合体(1)の重合率は98%であり、アルカリ可溶性重合体(1)の重量平均分子量は20000(Mw/Mn
2)であった。
〔合成例2〕
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)の代わりにトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(堺化学工業(株)製)1gを使用した以外は、合成例1と同様にしてアルカリ可溶性重合体(2)を得た。このアルカリ可溶性重合体(2)の重合率は98%であり、アルカリ可溶性重合体(2)の重量平均分子量22000(Mw/Mn 2)であった。
〔合成例3〕
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)の代わりにテトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)(堺化学工業(株)製)1gを使用した以外は、合成例1と同様にしてアルカリ可溶性重合体(3)を得た。このアルカリ可溶性重合体(3)の重合率は98%であり、アルカリ可溶性重合体(3)の重量平均分子量25000(Mw/Mn 2)であった。
[実施例1〜15]
表1に示すアルミニウム粉末45g、表2に示すガラス粉末(B2O3−SiO2−Al2O3系)
5gおよび表3に示す組成の感光性樹脂成分40gを表4に示す組み合わせで混合した後に、混練機で混練して感光性組成物(以下「感光性アルミペースト」ともいう。)を調製した。この感光性組成物の粘度を上記評価方法により評価した。結果を表4に示す。なお、表3に示された化合物(F)におけるR3は、上記式(b)で示される構造を有する。
【0083】
上記感光性アルミペーストを325メッシュのスクリーンを用いてガラス製のパネルの試験片(150mm×150mm×2.8mm)上に100mm角の大きさに塗液を印刷し、120℃で20分間保持して乾燥した。得られた感光性樹脂層の厚みは、実施例1〜15のいずれにおいても12μm±1μmの範囲にあった。
【0084】
次に、ネガ型クロムマスク(パターン幅50μm、パターン間隔100μm)を用いて、上面から25mJ/cm2出力の超高圧水銀灯により、感光性樹脂層を紫外線露光した
。露光量は200mJ/cm2であった。
【0085】
次に、露光後の感光性樹脂層に、23℃に保持した炭酸ナトリウムの0.5%水溶液を、シャワーで60秒間かけることにより現像した。その後、シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していないスペース部分を除去してパネル用ガラス基板上に格子状の感光性アルミペーストパターンを形成した。この現像後のパターンを上記評価方法により評価した。結果を表4に示す。
【0086】
次に、得られた感光性アルミペーストパターンを580℃で30分間焼成して電極パターンを形成した。この焼成後のパターンを上記評価方法により評価した。結果を表4に示す。また、上記評価方法により体積抵抗を評価した。結果を表4に示す。
【0087】
表4に示すように、実施例1〜15においての現像後のパターン評価では、実施例1〜
5および11〜15が特に優れていた。実施例6〜8は良好であった。実施例9および10はやや良好であった。また、焼成後のパターン評価では実施例1〜5および11〜15が特に優れていた。実施例6〜8は良好であった。実施例9および10はやや良好であった。実施例1〜15において焼成後パターンの欠けや剥がれ等は見られなかった。体積抵抗の評価では実施例1〜15は80〜150μΩ・cmの範囲に入った。粘度の評価では実施例1〜15は15000〜30000cpの範囲に入った。
[実施例16]
表4に示す感光性樹脂成分60g(アルカリ可溶性重合体(1)(30重量%)、多官能(メタ)アクリレートである(F)化合物(10重量%)、光重合開始剤(2重量%)、増感剤(0.5重量%)および溶剤(57.5重量%))を作製した後に、この溶液に無機粉体としてアルミニウム粉末27gとガラス粉末(B2O3−SiO2−Al2O3系)3g
とを添加し、混練機で混練して感光性組成物(以下「感光性アルミペースト」ともいう。)を調製した。この感光性組成物の粘度を上記評価方法により評価した。結果を表4に示す。
【0088】
支持フィルムとして、予め離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(幅200mm、長さ30m、厚さ50μm)を2枚用意し、一方の支持フィルムの上に、上記感光性ペーストをロールコーターにより塗布して塗膜を形成し、形成された塗膜を120℃で60分間乾燥して溶媒を除去することにより、厚さ10μmの感光性アルミペースト層を形成した。次いで、予め離型処理した他方の支持フィルムであるPETフィルムを貼り合せて、加熱ローラにより熱圧着した。圧着条件は、加熱ローラの表面温度を90℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移動速度を速度0.5m/分とした。
このようにして、感光性アルミニウムペースト層(厚さ10μm)を有する感光性フィルムを作製した。
【0089】
次に、この感光性フィルムから一方の支持フィルムを剥離して、パネルの試験片(150×150×2.8mm)のガラス基板の表面に上記感光性アルミペースト層を重ね合わせ、残りの支持フィルムを剥離した後、感光性樹脂層を加熱ローラにより熱圧着した。圧着条件は、加熱ローラの表面温度を90℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移
動速度を0.5m/分とした。これにより、ガラス基板の表面に感光性アルミペースト層が転写されて密着した状態となった。転写された感光性アルミペースト層の厚みを測定したところ、膜厚10μm±1μmの範囲にあった。
【0090】
次に、ネガ型クロムマスク(パターン幅50μm、パターン間隔100μm)を用いて、上面から25mJ/cm2出力の超高圧水銀灯により、無機粒子含有感光性樹脂層を紫
外線露光した。露光量は50mJ/cm2であった。
【0091】
次に、露光後の感光性アルミペースト層に、23℃に保持した炭酸ナトリウムの0.5%水溶液を、シャワーで60秒間かけることにより現像した。その後、シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していないスペース部分を除去してパネル用ガラス基板上に格子状の感光性アルミペーストパターンを形成した。この現像後のパターンを上記評価方法により評価した。結果を表4に示す。
【0092】
次に、得られた感光性樹脂パターンを580℃で30分間焼成して電極パターンを形成した。この焼成後のパターンを上記評価方法により評価した。結果を表4に示す。 次に、得られた感光性アルミペーストパターンを580℃で30分間焼成して電極パターンを形成した。この焼成後のパターンを上記評価方法により評価した。結果を表4に示す。また、上記評価方法により体積抵抗を評価した。結果を表4に示す。
【0093】
表4に示すように、実施例16においての現像後のパターン評価では、特に優れていた。焼成後のパターン評価では実施例1が特に優れていた。体積抵抗の評価では実施例16は60μΩ・cmとなった。粘度の評価では3000cpとなった。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

【0097】
【表3】

【0098】
TMP3A:トリメチロールプロパン(PO変性)(n=1)トリアクリレート
TMP3M:トリメチロールプロパン(PO変性)(n=1)トリメタクリレート
TMP3AA:トリメチロールプロパン(PO変性)(n=2)トリアクリレート
PETA:ペンタエリスリトール(PO変性)(n=1)トリアクリレート
DTMPTA:ジトリメチロールプロパン(PO変性)(n=1)テトラアクリレート
PETTA:ペンタエリスリトール(PO変性)(n=1)テトラアクリレート
PPG3DA:ポリプロピレングリコール(n=3)
PPG7DA:ポリプロピレングリコール(n=7)
TMP3AE:トリメチロールプロパン(EO変性)(n=1)トリアクリレート
MTPMP:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン
DMMPB:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1
DETX:2,4−ジエチルチオキサントン
TNOL:ターピネオール
【0099】
【表4】

【0100】
[比較例1、2]
表5に示すアルミニウム粉末、ガラス粉末および感光性樹脂成分の組み合わせにより、実施例1と同様に感光性組成物を調製した。比較例1および2においては、組成物調製後にゲル化したため、それ以降の評価はできなかった。
[比較例3]
表5に示すアルミニウム粉末、ガラス粉末および感光性樹脂成分の組み合わせにより、実施例16と同様に感光性組成物を調製した。比較例3においては、組成物調製後にゲル化したため、それ以降の評価はできなかった。
【0101】
表5中、「−」は評価できなかったことを示す。
【0102】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、現像後および焼成後のパターンの評価方法を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)、
アルカリ可溶性重合体(C)、
光重合開始剤(D)、
溶剤(E)および
下記式(1)で表される化合物(F)を含有することを特徴とする感光性組成物。
【化1】

(式(1)において、R1は水素原子または炭素数1〜18のアルキル基を示す。R2はn2価の有機基を示す。R3はプロピレン基を示す。n1は1〜23、n2は2〜12の整数を示す。)
【請求項2】
前記アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)を組成物全量に対して20〜70質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記アルミニウム粉末および/またはアルミニウム合金粉末(A)の平均粒径D50が1〜10μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
平均粒径D50が0.2〜4.0μmであり、
最大粒径Dmaxが30μm未満である
という条件を満たすガラス粉末(B)を組成物全量の0.5〜20質量%含有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の感光性組成物。
【請求項5】
前記ガラス粉末(B)の軟化点が300〜700℃であるのことを特徴とする請求項4に記載の感光性組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
該感光性樹脂層をフォトリソグラフィー法によりパターニングする工程、および
パターニングされた前記感光性樹脂層を焼成する工程
を含むことを特徴とする電極の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−2595(P2010−2595A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160514(P2008−160514)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】