説明

抗菌顔料

本発明は、1種または複数の無機顔料、および抗菌化合物特に酸化銀を含む懸濁液を撹拌することによって得られる抗菌顔料、ならびに化粧品、インク、ラッカーまたはプラスチックなどの各種応用物中での該抗菌顔料の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌顔料、および該抗菌顔料の化粧品、インク、ラッカーまたはプラスチックなど、各種応用物中での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物汚染は、その汚染が化粧用品、浴室表面部分、外科用器具または壁塗料のいずれに関するものであっても、日常生活における重要な関心事である。防腐剤を使用することが、微生物汚染を防ぐための一般的な方法である。しかし、規制の問題から考えて有機防腐剤はあまり望ましくないというのが最近の趨勢である。従って、無害で互換性のある新規な抗菌物質が実際に必要とされている。
【0003】
銀は既知の抗菌性金属であり、銀を応用組成物に組み込むために、過去において各種の提案がなされてきた。EP0190504には、抗菌剤としての銀、および抗菌効果を高めるための促進剤としての水和できるまたは水和した酸化物を含む抗菌組成物が開示されている。このような組成物は、カテーテルなどの器具を被覆するのに使用することができ、あるいは骨セメント中に組み込むことができる。典型的な水和できるまたは水和した酸化物は、ケイ素、チタン、アルミニウムまたは亜鉛から選択される元素から形成される。
【0004】
EP0251783には、チタン、アルミニウムまたはケイ素の微粒子状酸化物などの生理学的に不活性な合成支持材料上に沈積させた塩化銀またはリン酸銀などの抗菌性銀化合物を含む抗菌組成物が記載されている。適切な支持材料の表面積は広い方がよい。得られる抗菌組成物をポリマー材料中に分散させて抗微生物汚染を防ぐことができる。
【0005】
抗菌活性および電気伝導性の組合せが、EP0427858に記載されている。雲母、アルミナまたは酸化チタンなどの無機微粒子を銀、銅、亜鉛または鉛などの抗細菌性金属−および/または抗細菌性金属化合物で被覆する。得られる粒子を合成ポリマー中に導入することによって、抗細菌性および電気伝導性のあるポリマーを得ることができる。
【0006】
EP0677989には、銀、銅、酸化銀、ハロゲン化銀、酸化銅、ケイ酸亜鉛、酸化亜鉛またはそれらの混合物などの金属もしくは金属化合物からなる一次表面被覆、ならびに保護機能を提供するシリカおよびアルミナなどの二次被覆を有する、チタン、アルミニウムもしくは亜鉛の酸化物、雲母またはシリカなどの無機粒子を含む抗菌粉末組成物が開示されている。二次被覆は、抗菌粒子と、抗菌粒子を組み込むことができるポリマーマトリックスの間の障壁として機能する。さらに、二次被覆層は、抗菌成分が分散粒子からポリマー中に拡散する速度に影響を及ぼすと考えられる。
【0007】
EP0665004には、無機化粧用顔料、該無機化粧用顔料の表面を覆って形成された金属酸化物からなる非晶質ガラス状被覆層、および金属酸化物からなる該被覆層の格子内に挿入された抗菌性金属または抗菌性金属イオンを含む化粧用抗菌顔料が開示されている。化粧用顔料上に付加層を形成することによって、顔料の色彩が変化する。このことは、応用物または配合物の製造業者にとって、付加層を有する顔料を用いて達成できる色彩に限定されるので、望ましくない。
【0008】
上記すべての引用文献では、抗菌活性が抗菌効果のみを有する材料によって応用物系に導入され、言い換えれば、層を追加することによって顔料の特性が変化する。
【0009】
我々の日常生活で使用される製品は広範な種類の特徴を有する。製品に特有の効果は、例えば、化粧品、プラスチック、塗料などのように色彩と組み合わせられることが多い。それぞれの特徴は、別個の化合物または材料によって製品中に導入しなければならない。このことが、製造方法を複雑にし、特に化粧または薬用品の場合には、このことによって組成物の許容範囲に制約が生じる場合もある。従って、組成物中の1つの成分でいくつかの特徴を兼ね備えることが有用である。基本的な特徴の1つが色彩であって、実際、我々の日常生活のほとんどすべての製品が着色されている。
【0010】
本発明の目的の1つは、顔料またはフィラーの色彩、彩度および着色力に関する特性、あるいはフィラーの場合における皮膚感覚などの応用特性をそれほど変えることなく、顔料またはフィラーの一般的特性と抗菌活性を兼ね備えさせることである。
【0011】
驚くべきことに、本発明による顔料によって、上に挙げた目的のすべてを実現できることを見出した。従って、本発明は、1種または複数の無機顔料および抗菌化合物としての酸化銀を含む懸濁液を撹拌することによって得ることのできる抗菌顔料について説明する。
【0012】
本発明による抗菌顔料は、抗菌活性と、使用される顔料に応じた顔料特性、例えば広範な種類の色彩、さらには透明度、着色力、隠蔽力、干渉効果または光沢などを兼ね備える。抗菌顔料用の基本材料としてのフィラーの場合、例えば皮膚感覚は製造過程で変化しない。上記のように特徴を兼備することは、配合物に添加しなければならない防腐剤の量を削減できるので、配合物の製造を容易にする。所望なら、使用する無機顔料および抗菌顔料の色彩は視覚的に目立った差異を示さない。さらに、本発明による抗菌顔料は、分散性、化学安定性および皮膚感覚など、良好な実用的挙動を示す。
【0013】
本発明による抗菌顔料は、既知である任意の規則的または不規則的形状、例えば薄片状、球状または針状形状を有することができる。好ましくは、抗菌顔料は薄片状または球状である。
【0014】
本発明による抗菌顔料は、すべての既知無機顔料、またはフィラーとして使用される顔料を基本にして調製できる。この意味での無機顔料には、(DIN55944によれば)無機白色顔料、無機有色顔料、例えばカーボンブラックなどの無機黒色顔料、効果顔料および発光顔料が含まれるが、本発明では、炭酸マグネシウム、雲母、SiO2、TiO2、酸化アルミニウム、ガラス、雲母状酸化鉄、酸化黒鉛、酸化アルミニウム被覆黒鉛、塩基性炭酸鉛、硫酸バリウム、酸化クロムまたはMgOも使用できる。
【0015】
好ましくは、効果顔料からなる群から選択される顔料が使用される。効果顔料の例は、BiOClおよび/または透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物、および/またはこれら材料の混合物の1種または複数の層でさらに被覆することのできる基材をベースにした顔料である。効果顔料用の基材は、好ましくは薄片状であり、好ましくは、天然または合成の雲母、SiO2、TiO2、BiOCl、酸化アルミニウム、ガラス、雲母状酸化鉄、黒鉛、酸化黒鉛、酸化アルミニウム被覆黒鉛、塩基性炭酸鉛、硫酸バリウム、酸化クロム、BN、MgO、フッ化マグネシウム、Si34および/または金属からなる群から選択される。金属の例は、アルミニウム、チタン、銀、銅、青銅、合金または金、好ましくはアルミニウムまたはチタンである。金属は、無機的処理によって不動態化できる。基材としては、天然または合成の雲母、SiO2、TiO2、酸化鉄、BiOCl、酸化アルミニウムおよび/またはガラスを用いた効果顔料が特に好ましい。
【0016】
透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の1種または複数の層としては、すべての既知材料を選択できる。透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の1種または複数の層は、高い屈折率(n>1.8)または低い屈折率(n≦1.8)を有することができる。金属酸化物または金属酸化物水和物は、例えば、SiO2、Al23、TiO2、ZnO、ZrO2、Ce23、FeO、Fe23、Cr23、SnO2、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム水和物、酸化チタン水和物、および/またはそれらの混合物、例えばイルメナイトまたは擬板チタン石など、任意の既知金属酸化物または金属酸化物水和物から選択できる。金属は、例えば、クロム、モリブデン、アルミニウム、銀、白金、ニッケル、銅、金、および/または合金などの任意の既知金属から、好ましくはアルミニウムおよび/または銀から選択できる。金属フッ化物の例は、フッ化マグネシウムである。金属窒化物または金属酸窒化物としては、例えば、チタン、ジルコニウムおよび/またはタンタルの窒化物またはオキシ窒化物を使用できる。1種または複数の層が、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属、および/または金属フッ化物、特に金属酸化物および金属酸化物水和物からなるのが好ましい。さらに、効果顔料は、高屈折率および低屈折率の材料を含む複層構成を有することができる。複層効果顔料をベースにした抗菌顔料は、強い光沢のある外観および角度に依存する干渉色により特徴付けられる。好ましくは、BiOCl、および/または透明、半透明もしくは不透明で選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の1種または複数の層が、n>1.8の屈折率を有する透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物またはBiOCl、ならびにn≦1.8の屈折率を有する透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の交互層として、特に、高屈折率材料からなる一層および低屈折率材料からなる一層を含む2つの層の積層
として配置され、基材に対してこれら積層の1つまたは複数を付着できる。高屈折率材料および低屈折率材料からなる層の順序を基材の素材に適合させて、複層組成物中に基材を組み込むことができる。n>1.8の屈折率を有する材料の好ましい例は、酸化チタン、酸化鉄、チタン酸鉄、鉄、クロム、銀、および/またはニッケル、好ましくは酸化チタン、酸化鉄、チタン酸鉄である。n≦1.8の屈折率を有する材料の好ましい例は、酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、アルミニウムおよび/またはフッ化マグネシウムである。もう1つの実施形態で、透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物は、さらに、ドーパントとしての有機および/または無機の着色料または成分を含むことができる。有機または無機着色料の吸収色は、金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物と組み合わされ、特別な色彩効果を有する顔料を生み出す。有機着色料の例は、アゾ顔料、アントラキノン顔料、インジゴまたはチオインジゴ誘導体、ジケト−ピロロ−ピロール顔料、ペリレン顔料またはフタロシアニン顔料である。カーボンブラック、プルシアンブルー、ターンブルブルー、リンマングリーン(Rinnmanns green)、テナルドブルー(Thenards Blue)および有色金属酸化物は、1つまたは複数の層中に導入することのできる無機着色料のほんの少数例である。イットリウムまたはアンチモンは、ドーパントとして使用できる。前に挙げた材料、例えば硫酸バリウムの微粒子で被覆した雲母薄片および二酸化チタン薄膜の組合せは、本発明の範囲内である。これらのすべての系をベースにした抗菌顔料は、顔料の吸収および干渉による色彩と抗菌活性を兼備し、それによって顔料の適用可能性を向上させる。これら抗菌顔料を使用すると、配合物および応用物に添加する防腐剤の量を削減することが可能になり、それによって製造コストおよび配合物および応用物が微生物で汚染されるのを防ぐために必要な出願人による努力を削減することが可能になる。
【0017】
本発明により使用できる効果顔料の外側層は、好ましくは、透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物および/またはこれら材料の混合物、最も好ましくは、高屈折率を有する金属酸化物または金属亜酸化物を含む。1つまたは複数の層に対して、この外側層をさらに付着することができ、あるいはその外側層がそれらの層の1つであり得る。好ましくは、外側層は、TiO2、亜酸化チタン、Fe23、SnO2、ZnO、ZrO2、Ce23、CoO、Co34、V25、Cr23、および/またはそれらの混合物、例えばイルメナイトまたは擬板チタン石などから構成され、TiO2が特に好ましい。
【0018】
上述の材料および顔料組成物の例および実施形態は、例えば、研究の開示RD471001およびRD472005に記載されており、その明細書を参照により本明細書に組み込む。
【0019】
薄片状基材、およびそれより得られる顔料の平均直径は、1〜200μm、好ましくは10〜150μmの間で変えることができる。所望する応用分野に応じて、顔料の大きさをそれに合うように最適化できる。顔料の全体厚みは、0.05〜6μm、特に0.1〜4.5μmの範囲である。
【0020】
透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の1種または複数の層の厚みは、3〜300nm、好ましくは20〜200nmの間で変えることができる。金属層の厚みは、好ましくは、4〜50nmの範囲である。層の厚みを調節することによって、吸収色彩または干渉色彩の強度を調整できる。
【0021】
基材の素材およびその上に被覆されている層に応じて、変動可能な色彩、隠蔽力、光沢および角度に依存する色彩印象を有する抗菌顔料(光可変顔料)を得ることができる。
【0022】
上に記載した層は、湿式化学処理、ゾルゲル法から、あるいは化学または物理蒸着(CVD/PVD)によって調製できる。沈着後、得られた顔料を乾燥または仮焼できる。
【0023】
本明細書で説明する効果顔料の例には、Merck KGaAからのIriodin(登録商標)、Candurin(登録商標)、Timiron(登録商標)、Colorstream(登録商標)およびXirallic(登録商標)顔料、Engelhard Corp.からのMearlin(登録商標)およびDynacolor(登録商標)顔料、BASFからのVariochrom(登録商標)およびPaliochrom(登録商標)顔料、またはFlex ProductsからのSpectraflair(登録商標)顔料などの顔料が含まれる。
【0024】
本発明のその他の好ましい実施形態において、無機顔料には、金属酸化物、例えばSiO2、TiO2、酸化アルミニウム、ガラス、MgO、酸化鉄、さらにはBiOCl、炭酸マグネシウム、黒鉛、酸化黒鉛、酸化アルミニウム被覆黒鉛、塩基性炭酸鉛、硫酸バリウム、酸化クロム、BN、フッ化マグネシウム、Si34および/または金属の球状粒子が含まれる。好ましくは、球状粒子には、SiO2、TiO2、Al23、ZnO、Fe23、FeOおよび/またはそれらの混合物が含まれる。さらに、その球状粒子を、透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の1種または複数の層で被覆できる。透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の1種または複数の層のための材料は、効果顔料に対して説明した材料から選択することができる。
【0025】
本明細書に適用される無機顔料の定義の意味では、有機および/または無機の化合物もしくは材料をカプセル化した上記材料の球状カプセルも適している。カプセル化された化合物または材料は、例えば、UVフィルターから選択できる。特に好んで使用されるであろうカプセルは、例えば、出願WO00/09652、WO00/72806およびWO00/71084に記載されている方法によって得ることのできる壁体を有する。本発明ではその壁体がシリカゲルで作られたカプセルが好ましい。
【0026】
本発明の1つの実施形態において、球状粒子は、透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の1種または複数の層で被覆されている。外側層としては、透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物からなる層が好ましい。上記粒子は、例えば、DarmstadtのMerck KGaAからRonaspheres(登録商標)またはEusolex(登録商標)UV−Pearls(商標)として商業的に得ることができる。これらの顔料は、それらの球形の形状に関連した化粧または薬用配合物において有利である。これらの顔料をベースにした抗菌顔料は、その材料に応じて、良好なシワ隠蔽効果および良好な皮膚感覚を示し、フィラーとして、あるいはカプセルの場合は、加えて、例えば抗菌活性と例えばUV−フィルター活性など、組み合わせた特徴を有する活性成分として使用できる。さらに、これらの基材をベースにした抗菌顔料は、皮膚の照りを弱め、皮膚表面により滑らかな外観を与える。さらに、抗菌球の滑るようなまたは転がるような効果により、皮膚感覚が改善される。例えば口腔ケア応用物で、抗菌性低磨耗球を有利に使用できる。これらの粒子は、抗菌活性と球の低磨耗特性を兼ね備える。
【0027】
球形粒子またはカプセルの平均直径は、5nm〜100μm、好ましくは8nm〜50μm、最も好ましくは8nm〜5μmの間で変えることができる。球形金属酸化物、特にUV−フィルター活性を有する金属酸化物は、5〜100nm、特に8nm〜50μm、最も好ましくは8〜30nmの平均直径を有することが好ましい。大きな表面積がこれら粒子の特徴であって、それによってこれら粒子を本発明による抗菌顔料のための基材として有利に使用することができる。抗菌活性は、例えばUV−フィルター活性と組み合わされ、多機能性材料を提供する。
【0028】
さらなる実施形態において、本発明による抗菌顔料を、追加的に保護被覆層でさらに被覆することができる。保護被覆層は、抗菌成分が分散粒子から応用物のマトリックス中に拡散する速度に影響を与えると考えられる。シリカまたはアルミナ被覆の小さな残留ポロシティ−は、例えば、低く調節された速度で抗菌成分が拡散するのを可能にし、それによって抗菌活性の持続期間を延ばすことができる。さらに、本発明微粒子組成物の分散性を調節する能力によって、組成物の使用有効性が増大し、かつ製品品質が向上する。抗菌粒子には、集塊することがはるかに少なくポリマー中に容易に分散する含水金属酸化物からなる第三被覆層をさらに含めることができる。例えば、含水のアルミナまたはマグネシアからなる第三被覆は、組成物の等電点を高める。等電点を約5.5〜約9.5に調節することは、プラント処理中に微粒子組成物の分散および/または粒子凝集を容易にすること、および組成物の末端応用物に適用する上で有益である。この両者により、抗菌顔料の使用有効性が増大し、かつ応用物での品質が向上する。小量、例えば0.1〜1%程度の有機分散助剤を用いて製品をミクロ化することによって高めた分散性を強化できる。分散助剤は、抗菌顔料と一緒に、あるいはそれらを応用物中に組み込むための工程で組み込むことができる。
【0029】
保護被覆は、シリカ、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミナ、リン酸アルミニウムまたはそれらの混合物から選択される。保護被覆は、抗菌性外層と、抗菌性外層を組み込むことのできる応用物マトリックスとの間の障壁として機能し、応用物マトリックスとの相互作用を最小化する。また、この保護被覆は、抗菌成分が分散顔料から応用物マトリックスに拡散する速度に影響を与えると考えられる。
【0030】
保護保護被覆層は、抗菌顔料を基準にして0.5〜20重量%、好ましくは被覆抗菌顔料中のシリカの例えば1〜5重量%、またはアルミナの例えば1〜6重量%に相当する。本発明の実施に際して微粒子基材を使用する場合に、実施者が最初の被覆基材の全表面被覆を確実にすべきであることは、当業者の認識するところである。シリカまたはアルミナからなる保護層は、完全に密であってもよいが、層は、抗菌性金属イオンが該被覆を通過して低速度で拡散するのを可能にするよう、十分に多孔性でなければならず、同時に、膜は、抗菌層と、抗菌層を配置した応用物マトリックスとの間の相互作用を制限する障壁として機能する。シリカは、密で均一な被覆を比較的容易に得ることができるので、好ましい被覆材料である。シリカ被覆粒子は、低い等電点を有し、有機材料中に分散させることが困難である傾向がある場合がある。等電点とは、粒子表面が電荷を帯びないpHを意味する。等電点を5.5〜9.5の間に調節することは、プラント処理中に微粒子組成物の分散および/または粒子凝集を容易にする上で、および組成物の末端使用応用物で有益である。従って、低い等電点を有するシリカまたは関連材料で被覆された粒子に対して、含水のアルミナまたはマグネシアまたはその他の金属酸化物からなる第三の被覆を付加して等電点を高めてもよい。例えば、Al、Mg、Zrおよび希土類の含水酸化物は、等電点を5.5〜9.5の範囲にすることができる。典型的にはベーマイト(AlOOH)と非晶質アルミナ(Al232O)との混合物としての含水アルミナは、好ましい第三の被覆材料である。好ましい5.5〜8.8の範囲の等電点は、アルミナ被覆で容易に得ることができる。より高い等電点に対しては、マグネシアが好ましい。分散助剤は、抗菌顔料と一緒に、あるいはそれらを応用物中に組み込むための工程で組み込まれ、末端使用応用物中での分散を容易にすることができる。
【0031】
本発明の別の実施形態では、保護被覆としてアルミナを選択することができ、等電点を調節するためのさらなる被覆は必要でないことがある。保護被覆としてアルミナを使用すると、得られる顔料の等電点は、典型的には好ましい範囲である。
【0032】
本発明による抗菌顔料は、簡単な方法で得ることができる。従って、抗菌顔料の調製方法も本発明の一部である。本発明による抗菌顔料の好ましい製造方法には、1種または複数の無機顔料および抗菌成分としての酸化銀を含む懸濁液を撹拌することが含まれる。この方法は、A.Goetz、E.C.Y.InnによるRev.Modern Phys.1948年、20巻、131〜142頁中の論文、「コロイド状金属酸化物上に吸着されたAgの可逆的光分解(Reversible Photolysis of Ag Sorbed on Collodial Metal Oxides)」に記載されている方法を基本にしている。
【0033】
調製は、水、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノールおよび/またはそれらの混合物中で実施することができ、好ましくは水が使用される。調製温度は、10〜60℃、好ましくは20〜45℃の間で変えることができ、最も好ましくは37℃に保持する。
【0034】
懸濁液を、4時間から24時間まで、好ましくは8〜20時間、最も好ましくは10〜18時間撹拌する。
【0035】
反応の進行は容易に調節することができる。酸化銀の集団による反応混合物の初期暗色は、反応終末点で無色に変わる。抗菌活性を有する類似の顔料は、酸化銀を、その他の抗菌化合物で、例えば、ハロゲン化銀、硝酸銀、硫酸銀、例えば酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、サリチル酸銀などのカルボン酸銀などの銀塩、さらには、酸化銅、硫化銅、硝酸銅、炭酸銅、硫酸銅、ハロゲン化銅、カルボン酸銅、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、乳酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛またはそれらの混合物で代替することによって得ることができる。酸化銀、酢酸銀、硫酸銅、酢酸亜鉛が、最も好んで使用される。
【0036】
抗菌化合物の量は、無機顔料を基準にして0.001〜10重量%、好ましくは0.005〜5重量%、最も好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲である。
【0037】
得られる抗菌顔料は、当業者に周知の任意方法を用いて分離できる。好ましくは、生成物を濾過または吸引濾過し、水で洗浄する。追加として、銀で処理した顔料をさらにアセトンなどの有機溶媒で洗浄して残留水を除去できる。本発明による顔料は乾燥できる。好ましくは、抗菌顔料を、オーブン中、最も好ましくは50℃未満の温度で、あるいは真空ポンプもしくは連続フラッシュ蒸発器を使用して、最も好ましくは真空中で溶媒を蒸発させることによって乾燥させる。
【0038】
記載した製造方法は、容易に実施することができ、色彩、透明度、光沢または干渉性などの取り入れた無機顔料の諸特徴に抗菌活性を付加する。必要なすべての化合物は、容易に入手可能であり、容易に取り扱うことができる。該方法は、顔料の製造方法にそのまま従って技術的費用なしに実施できる。
【0039】
本発明による顔料は、プロトンもしくはイオンと、抗菌化合物の抗菌性イオン、例えば銀イオンとの間のイオン交換反応によって形成され、無機顔料の部分例えばSiO-またはTiO-部分に結合した銀イオンが生じる。これらの微量作用構造は、ケイ酸銀またはチタン酸銀としてほぼ説明できる。反応のための銀イオン源は、例えば、水に極わずかだけ溶解できる酸化銀である。しかし、溶液中に常に存在する少数の銀イオンは、無機顔料の表面区域のプロトンを置換する能力があり、抗菌顔料以外の唯一の反応生成物として水を形成する。研究過程の中で、さらなる分析的実験により、表面に単純に沈積した金属銀または酸化銀は存在せず、ケイ酸銀またはチタン酸銀が最も関連のある構造であることを強く示唆することが明らかになった。
【0040】
本発明による顔料製造方法のさらなる実施形態では、抗菌顔料を保護被覆層でさらに被覆する。保護被覆層に使用できる材料については前に言及している。当業者に周知の任意方法を用いて、抗菌顔料を保護被覆層で被覆することができ、好ましくは、湿式化学的に被覆を実施する。シリカ被覆の場合には、活性シリカを、撹拌している水性懸濁液に添加し、懸濁液のpHを6〜11の範囲に維持しながら60〜90℃の温度に加熱する。手順は、米国特許第2,885,366号に詳細に記載されており、その教示を参照により本明細書に組み込む。活性シリカ、ケイ酸またはポリケイ酸などの低分子量型シリカは、懸濁液に添加してもよく、あるいは酸とケイ酸アルカリの連続反応によってその場で形成できる。カリウムイオンは活性シリカを凝固させる傾向がほとんどないので、一般にはケイ酸カリウムが好まれる。また、大量生産品はより安定でもあり、輸送および貯蔵の観点から有利である。被覆組成物のシリカ含有量は、0.5〜20重量%であり、最も一般的にはで1〜5重量%である。
【0041】
シリカの沈着中は、反応域で実質的に一様な条件を維持して遊離シリカゲルの沈殿を最小にすることが望ましい。これは、好ましくは、良好な撹拌を維持すること、および局部的過濃度を許さないように反応物を導入することによって達成される。工程が完了したらpHを徐々に約6まで降下させ、次いで、抗菌顔料表面へのシリカ沈積を完了するようにスラリーを熟成する。熟成段階は、撹拌スラリーのpHを6〜7.5に維持しながら、スラリーを60〜90℃、好ましくは75〜90℃の温度で、約0.5〜2時間、好ましくは約1時間保持することからなる。
【0042】
別法として、抗菌顔料をアルミナで被覆できる。この被覆は、60〜90℃に加熱された抗菌粒子の撹拌水性懸濁液に、必要なときに酸または塩基を同時に添加することによってpHを6〜11の範囲に維持しながら、アルミン酸アルカリ溶液またはその他の溶性アルミニウム塩例えば硝酸アルミネートを添加することによって完遂される。アルミン酸ナトリウムは、Vining’s溶液などの溶液として商業的に入手できるので好まれる。硫酸塩、リン酸塩およびクエン酸塩からなる群から選択される多価アニオンの添加によって被覆中の非晶質アルミナ相の密度を増加させることが望ましい。シリカ被覆の場合と同様、抗菌種が保護被覆を通って拡散することを可能にするために、小さな残存ポロシティーがなければならない。被覆組成物のアルミナ含有量は、0.5〜20重量%、好ましくは1〜6重量%である。懸濁液中の多価アニオン濃度は、該粒子を被覆するのに使用されるアルミナを基準にして約0.5重量%である。
【0043】
次いで、生成物を、溶解性塩を除去するための水性洗浄と組み合わせた濾過または遠心分離によって、シリカ、アルミナ、またはシリカ/アルミナで被覆された抗菌顔料からなる乾燥粉末として取り出す。生成物を濾過機から取り出さないで洗浄を実施できるので、真空ロータリー型濾過機が特に適している。
【0044】
本発明による抗菌顔料の主な利点の1つは、基本材料の種々の特性を抗菌活性と組み合わせること、例えば色彩と抗菌活性を組み合わせることである。基本材料と反応させる抗菌化合物の濃度に応じて、色彩を変えることも可能である。抗菌化合物の濃度が高い場合には、色彩に関する相違を観察できる。場合によっては、色彩をある程度修正することが望ましい。使用する無機顔料および抗菌顔料の色彩が視覚的に目立った差異を示さないことが好ましい。使用する無機顔料とは、例えば酸化銀で処理できる上記顔料のすべてを意味する。後者の観察を確認するための1つの物理パラメータが、ハンターモデルによる、使用する無機顔料および抗菌顔料に対するL、aおよびb値の比較である。L値は明るさに関係し、a値は赤色味−緑色味に関係し、b値は黄色味−青色味に関係する。a値は正および負の値を有する。a値が正の場合、知覚される色は赤色味を帯びる。a値が負の場合、知覚される色は緑色味を帯びる。このようにして、数字がより正であるほど、生成物はより赤い。数字がより負であるほど、生成物はより緑である。bの測定値についても同様である。b値が正の場合、知覚される色は黄色味を帯びる、b値が負の場合、知覚される色は青味を帯びる。明るさLは、0〜100の尺度で測定され、0は黒色であり、100は白色である。使用する無機顔料および抗菌顔料のL、aおよびb値は、L値に対して−6≦ΔL≦6、好ましくは−5≦ΔL≦5、最も好ましくは−4≦ΔL≦4、a値に対して−5≦Δa≦5、最も好ましくは−3≦Δa≦3、b値に対して−5≦Δb≦5、最も好ましくは−3≦Δb≦3の最大偏差を有することが好ましい。
【0045】
本発明による抗菌顔料は、微生物の成長および継代を抑制するために使用できる。
【0046】
後者の意味での微生物は、例えば、細菌(グラム陽性およびグラム陰性細菌)、酵母、真菌およびウイルスである。本明細書に記載の微生物は、例えば、Staphylococci、Micrococci、Escherichia、Pseudomonas、Bacilli、Salmonella、Shigella、Porphyromonas、Prevotella、Wolinella、Campylobacter、Propionibacterium、Streptococci、Corynebacterium、Treponema、Fusobacterium、Bifidobacterium、Lactobacillus、Actinomyces、Candida、Malazessia、Aspergillus、herpes simplex 1および2から選択される微生物である。
【0047】
抗菌顔料は、培地中の微生物数を再現性よく低減できることを意味する良好な殺微生物活性を示す。特に、14日間にわたって少なくとも103分の1に(105〜106細菌/g/mlの接種で始まって)低減できる。特に、酵母およびカビの数を14日間に渡って少なくとも10分の1に(105〜106カビまたは酵母/g/mlの接種で始まって)減らすことができる。
【0048】
本発明による顔料の抗菌活性は、当業者に周知の試験、例えばDIN58940および58944を基本にした試験によって示すことができる。
【0049】
顔料の色彩および抗菌活性の他に、顔料は、その顔料に応じて、分散性、シワ隠蔽効果、良好な皮膚感覚、または良好な化学安定性など、優れた応用特性も示す。また、使用する顔料のこれら有利な特性は、本発明による抗菌顔料において顕著にかつ変わらずに見出すことができ、これにより、色彩、良好な応用特性、基材に応じたUV−フィルター特性を示し、抗菌活性を兼ね備えた多機能性顔料を提供できる。
【0050】
従って、本発明の好ましい実施形態において、本発明による抗菌顔料は、例えば化粧用配合物、塗料、インク、食品着色料、ホームケア用品、動物ケア用品、個人または職場衛生用品、コンタクトレンズ、クロマトグラフィー材料、医療器具、局所保護剤、医薬、特に皮膚科学配合物、ラッカー、被覆、および/またはプラスチックなどの配合物または応用物中で使用できる。より詳細には、配合物および応用物は、例えば、抗菌クレンザー、石鹸、消毒剤、屋内および屋外使用のための防汚および抗菌塗料、抗菌壁紙、抗菌仕上げ材および漆喰、抗菌活性を有するプロテーゼおよび骨セメント、歯科充填材、歯科プロテーゼ、胃腸感染に対する配合物、活性炭、猫用抗菌敷砂、抗菌おむつ、タンポンまたは衛生タオル、室内または自動車用抗菌香料、口腔または身体ケア用配合物、吸収パット、空調(フィルターおよびダクト)、空気膨張式建造物(エアホール)、農業用マルチフィルム、多目的接着剤、器具および装置、器具用接着剤および封止材、エプロン、人工皮革、人工植物、人工木材およびプラスチック建材、人工芝、自動車部品、自動車およびトラック用室内装飾材料、天幕、バッグ、包帯、仕切り織物壁、浴室付属物、浴槽、寝具、飲料販売機、胸当て、ボート、ボートカバー、ブックカバー、ビン、ブラシ毛、ブラシ柄、箒、建物構成部材(壁、壁材、床、コンクリート、サイディング、ルーフィング、屋根板、建築金物、カーペット掃除機、天井板、および商業工業用応用物)、電線被覆材、キャップ(帽子)、板紙、カーペットおよびカーペット下張り、キャスター用車輪、猫用敷砂、臨床用温度計、上着、コンパクトディスク、折り畳み可能な幌、調理器具、クーラー、冷却塔、カウンターおよびテーブル天板、コンベヤーベルト、カウンター天板、クレジットカード、かご(食品および非食品)、カップ、通貨、カーテン、クッション詰め物、まな板、敷板、皿、ふきん、食器洗浄機部品、潜水用具またはシュノーケル、排水溝パイプ、垂れ幕、運動用具、屠殺場またはクリーム製造所または日記用器具、ジム、サウナまたはマッサージ用器具、換気扇の羽根、繊維の詰め物、濾過材、建具、垣根、床被覆材、床およびカーペット固化材、フローリング、発泡材(クッション、マットレス)、食品調理機器、食品および飲料加工器具、食品およびドリンク容器、収納庫およびバッグ、食品取扱い器具、食品包装、食品および食肉かご、食品トレーおよびカバー、食品ラップ、履物(ブーツ、スポーツ用具、および道具を含む)、果物および野菜用ブラシ、果物かご、家具、ごみ袋、ごみ容器、衣服バッグ、詰め物、一般向け容器、グローブ、ガウン(医療用および消費者用)、油脂トラップ、固定式温室、温室用フィルム、グラウトおよび接合用コンパウンド、加熱、換気および空調用ホース、製氷用器具およびトレー、失禁ケア用品、室内および室外家具、工業用器具、膨張式ベッド、電線およびケーブル用絶縁材、断熱材、個人衣料品、ジャケットライナー、雑役器具、台所および浴室用金物、台所のシンクおよび据付物、キッチンタオル、積層品およびタイルの接着剤、据置バタリー、救命胴衣、裏当て、マット、マットレスカバーパッドおよび詰め物、マットレス接着剤、医科および歯科用衣料品、移動住宅、移動トイレ、モップ、貨幣、天然および合成の繊維および織物、不織布、上着、梱包材料、パレット、紙製品(拭取り紙、ティッシュ、壁紙、紙タオル、ブックカバー、マルチ)、枕カバー、パイプ、パイプシーラントおよび断熱材料、プラスター、プラスチックフィルム、皿および台所用品、遊び場用器具、配管備品および固定具(トイレ便座を含む)、配管用接着剤およびシーラント、プール下張り、処理容器、保護カバー、冷蔵庫部品、ルーフィングシート、膜、屋根板および雨押え、ロープ、敷物、販売カウンター、帆、衛生パイプ、浴室用、台所用またはガラス用封止コンパウンド、敷布および毛布、靴、靴中敷、シャワーカーテン、シャワーたらい、住宅用サイディング、サイレージ包装材、サイロ、流し、サイホン、天窓、寝袋、寝間着、ソックスおよび靴下、スポンジ、スプリンクラー、スポーツウェアおよびスポーツ器具、収納容器、化粧しっくい、サンルーフ、日よけ、ナプキン、貯槽、テープ、防水布、電話ボックスまたは公衆電話、テントおよびその他アウトドア器具、カバー生地(マットレス枕)、タイル、タイルグラウト、歯ブラシの柄および植毛、トイレット用ペーパーおよびハンカチーフ、トイレットブロックおよび洗浄機、タオル、歯ブラシタンブラー、玩具、アウターウェアおよび上着用飾り、トランク内張り、チューブ、傘、下着、制服、室内装飾材料、真空掃除機用バッグ、壁および床用カバー、壁紙、廃棄物用バッグ、水タンク、廃棄物容器、水処理、水および氷取扱い器具および濾過材、ウェットスーツ、拭取り材、電線およびケーブル、木材、木材充填プラスチックを意味することができる。化粧用組成物は、溶液、懸濁液、乳液、パスタ、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、オイル、ペンシル、デオドラント−クリーム、ゲル、ローション、乳液、デオドラントスティック、ロールオン式化粧品、スプレーおよびポンプスプレー、またはラッカー特にネイルラッカーの形態とすることができる。本発明による抗菌顔料を含むネイルラッカーの場合、そのラッカーは、化粧品としてのみならず、爪真菌症の治療または予防のために使用できる。従って、色彩効果と抗菌活性を組み合わせると都合がよい。これら応用物のすべてにおいて、本発明による顔料の抗菌活性を有利に利用できる。例えば、抗菌顔料を含む顔料調合物または混合物は安定であり、長期間貯蔵することができ、これによってユーザーにとってのこれら混合物および調合物の貯蔵と消費が容易になる。特に、水をベースにしたインク、塗料および調合物の場合には、これらの応用分野におけるバクテリアによる材料の急速な汚れおよび汚染のため、抗菌活性が非常に重要である。これらのすべての配合物および応用物中における抗菌顔料の量は、本質的にそれほど決定的ではなく、それぞれの場合に最も効果的な結果が得られるように適合させることができる。配合物または応用物に応じて、含有量は、配合物または応用物を基準にして0.1〜70重量%の範囲にあることが好ましい。
【0051】
上記すべての応用物において、本発明による抗菌顔料は、有利には、既知のすべての防腐剤または抗菌剤、例えばフェノキシエタノール、トリクロサン、7−エチルビシクロオキサゾリジン、安息香酸、ブロノポール、ブチルパラベン、クロルフェネシン、ジアゾリジニルウレア、ジクロロベンジルアルコール、ジメチルオキサゾリジン、DMDMヒダントイン、エチルパラベン、ジイセチオン酸ヘキサミジン、イミダゾリジニルウレア、イミダゾリジニルウレアNF、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、イソブチルパラベン、メチルパラベン、ソルビン酸カリウムNF FCC、プロピルパラベン、コータニウム−15、安息香酸ナトリウムNF FCC、カプリル酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウムFCC、ヒドロメチルグリシン酸ナトリウム、ヒドロメチルグリシン酸ナトリウム、ナトリウムメチルパラベン、ナトリウムプロピルパラベン、ソルビン酸NF FCC、アニス酸、塩化ベンゼトニウム、カプリル/カプリングリセリド、カプリリルグリコール、ジ−α−トコフェロール、エチルヘキシルグリセリン、カプリン酸グリセリル、メチルイソチアゾリノン、ポリメトキシ二環性オキサゾリジン、酢酸トコフェリル、アルコール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、カメリアシネンシス葉エキス、カンジダボンビコラ/グルコース/菜種油脂肪酸メチル、過酸化水素、メチルベンゼトニウムクロリドフェノール、ピナスピナスター樹皮エキス、ポロキサマー188、PVP−ヨウ
素、ロスマリナスオフィシナリス葉エキス、ビチスビニフェラ種子エキス、安息香酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、クロロキシレノール、エチルアルコール、グルタラール、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、イソチアゾリノン、パラベン類、ピロクトンオラミン、セレンジスルフィン、ソルビン酸(カビ)、亜鉛ピリチオン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ジヒドロ酢酸、ジメチルヒドロキシメチルピラゾール、ホルムアルデヒド、ヘキセチジン(hexetidine)、メチルジブロモグルタロニトリル、サリチル酸、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、酸化亜鉛、ベンジルアルコール(カビ)、ホウ酸(酵母)、クロロアセトアミド、フェノキシタノール、オルトフェニルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、ブロノポール、ジアゾリジニルウレア、ジメチルヒドロキシメチルピラゾール、ジメチルオキサゾリジン、DMDMヒダントイン、エチルアルコール、7−エチルビシクロオキサゾリジン、ホルムアルデヒド、グルタラール、イミダゾリジニルウレア、イソチアゾリノン、メテンアンモニウムクロリド(methenammonium chloride)、メチルブロモグルタロニトリル、パラベン類、ポリメトキシビシクロオキサゾリジン、コータニウム−15、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、チメロサール、安息香酸、ベンジルアルコール、クロロヘキシジン、ヘキセチジン(hexetidine)、フェネチルアルコール、ポリアミノプロピルビグアニド、ポリコータニウム−42、サリチル酸、ヨウ素酸ナトリウム、トリクロカルバン、トリクロサン、フェノールスルホン酸亜鉛、クロロアセトアミド、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、ニーム種子油、パラベン類、フェノキシエタノール、ティートレア(Tee trea)油、ウスニン酸、安息香酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ベンズイソチアゾリノン、安息香酸、ベンゾトリアゾール、ベンジルアルコール、ベンジルヘミホルマール、ベニルパラベン、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ノトロプロパン−1,3−ジオール、安息香酸ブチル、ブチルパラベン、安息香酸カルシウム、カルシウムパラベン、プロピオン酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、キャプタン、クロラミンT、クロルヘキシジン二酢酸塩、クロルヘキシジン二グルコン酸塩、クロルヘキシジンジチドロクロリド、クロロアセトアミド、クロロブタノール、p−クロロ−m−クレゾール、クロロフェン、p−クロロフェノール、クロロチモール、クロロキシレノール、グレープフルーツ(citrus grandis)果実エキス、グレープフルーツ(citrus grandis)種子エキス、ウスニン酸銅、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、DEDMヒダントイン、DEDMヒダントインジラウレート、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニルウレア、ジイセチオン酸ジブロモプロパミジン、ジメチルヒドロキシメチルピラゾール、ジメチロールエチレンチオウレア、ジメチルオキサゾリジン、ジチオメチルベンズアミド、DMDMヒダントイン、DMHF、ドミフェンブロミド、フェルラ酸エチル、エチルパラベン、フェルラ酸、ホルムアルデヒド、グルタラール、グリセロールホルマール、グリオギザール、ヘキサミジン、ヘキサミジンジパラベン、ヘキサミジンパラベン、4−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシメチルジオキサザビシクロオクタン、イミダゾリジニルウレア、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、イソブチルパラベン、イソデシルパラベン、イソプロピルクレゾール、イソプロピルパラベン、ソルビン酸イソプロピル、安息香酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、MDMヒダントイン、安息香酸−MEA、o−フェニル石炭酸MEA、サリチル酸−MEA、メチルクロロイスチアゾリノン、メチルジブロモグルタロニトリル、メチルイソタゾリノン、メチルパラベン、混合クレゾール、ナイシン(Nisin)、PEG−5DEDMヒダントイン、PEG−15DEDMヒダントイン、オレイン酸PEG−5ヒダントイン、ステアリン酸PEG−15DEDMヒダントイン、フェネチルアルコール、フェノール、フェノキシエタノール、フェノキシエチルバラベン、フェノキシイソプロパノール、安息香酸フェニル、酢酸フェニル水銀、安息香酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、臭化フェニル水銀、塩化フェニル水銀、フェニルパラベン、o−フェニルフェノール、ポリアミノプロピルビグアニド、ステアリン酸ポリアミノプロピルビグアニド、ポリメトキシ二環性オキサゾリジン、ポリコータニウム−42、安息香酸カリウム、カリウムエチルパラベン、カリウムメチルパラベン、カリウムパラベン、石炭酸カリウム、o−フェニル石炭酸カリウム、プロピオン酸カリウム、カリウムプロピルパラベン、サリチル酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、安息香酸プロピル、プロピルパラベン、コータニウム−8、コータニウム−14、コータニウム−15、ホウケイ酸銀、リン酸銀マグネシウムアルミニウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムブチルパラベン、p−クロロ−m−クレゾールナトリウム、ジヒドロ酢酸ナトリウム、ナトリウムエチルパラベン、ギ酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、ナトリウムイソブチルパラベン、ナトリウムメチルパラベン、ナトリウムパラベン、フェノールスルホン酸ナトリウム、石炭酸ナトリウム、o−フェニル石炭酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ナトリウムプロピルパラベン、ナトリウムピリチオン、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸−TEA、チメロサール、トリクロカルバン、トリクロサン、ウンデシレノイルPEG−5パラベン、亜鉛ピリチオン、またはそれらの組合せ、例えば、ベンジルアルコール/メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン、ベンジルアルコール/PPG−2メチルエーテル/ブロノポール/デセス−8/ヨウ化プロピニル/ブチルカーバメート、クロロアセトアミド安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸/ベンジルアルコール、ジアゾリジニルウレア/ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ジアゾリジニルウレア/メチルパラベン/エチルパラベン/ブチルパラベン/プロピルパラベン/イソブチルパラベン/2−フェノキシエタノール、DMDMヒダントイン/ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、グリセリン/水/エトキシジグリコール/カプリリルグリコール/ポリアクリル酸ナトリウム、ラウリン酸グリセリル/カプリリル/フェニルプロパノール/ジプロピレングリコール、イソプロピルパラベン/イソブチルパラベン/ブチルパラベン、メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン、メチルジブロモグルタロニトリル/メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン/フェノキシエタノール、メチルジブロモグルタロニトリル/フェノキシエタノール、メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン、メチルパラバン/エチルパラベン/ブチルパラベン/プロピルパラベン/ブチレングリコール、メチルパラベン/エチルパラベン/ブチルパラベン/プロピルパラベン/イソブチルパラベン、メチルパラベン/エチルパラベン/ブチルパラベン/プロピルパラベン/イソブチルパラベン/2−フェノキシエタノール/ブロノポール、メチルパラベン/エチルパラベン/ブチルパラベン/プロピルパラベン/1,3−ブチレングリコール異性体、メチルパラベン/プロピルパラベン、メチルパラベン/プロピルパラベン/ベンジルアルコール、メチルパラベン/プロピルパラベン/ブロノポール/フェノキシエタノール、メチルパラベン/プロピルパラベン/ブロノポール/プロピレングリコール、メチルパラベン/プロピルパラベン/エチルパラベン、メチルパラベン/プロピルパラベン/プロピレングリコール/ジアゾリジニルウレア、フェノキシエタノール/安息香酸/デヒドロ酢酸、フェノキシエタノール/ベンジルアルコール/ソルビン酸カリウム/トコフェロール、フェノキシルエタノール/クロルフェネシン/グリセリン/メチルパラベン/安息香酸、フェノキシエタノール/DMDMヒダントイン/ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、フェノキシエタノール/DMDMヒダントイン/メチルパラベン/プロピルパラベン、フェノキシエタノール/イソプロピルパラベン/イソブチルパラベン/ブチルパラベン、フェノキシエタノール/メチルジブロモグルタロニトリル/ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、フェノキシエタノール/メチルパラベン/ブチルパラベン/エチルパラベン/プロピルパラベン、フェノキシエタノール/メチルパラベン/ブチルパラベン/エチルパラベン/プロピルパラベン/イソブチルパラベン、フェノキシエタノール/メチルパラベン/イソブチルパラベン/ブチルパラベン、フェノキシエタノール/トリエチレングリコール/ジクロロベンジルアルコール、ポリアミノプロピルビグアニド/パラベン/フェノキシエタノール、PPG−2メチルエーテル/安息香酸ナトリウム/ソルビン酸カリウム/ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、プロピレングリコール/ベンジルアルコール/メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン、プロピレングリコール/ジアゾリジニルウレア/ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、プロピレングリコール/ジアゾリジニルウレア/メチルパラベン/プロピルパラベン、プロピレングリコール/MDMDヒダントイン/メチルパラベン、プロピレングリコール/MDMDヒダントイン/メチルパラベン/プロピルパラベン、プロピレングリコール/地衣エキス、プロピレングリコール/フェノキシエタノール/クロルフェネシン/メチルパラベン、レブリン酸ナトリウム/フェニルプロパノール組合せ物などと組み合わせることができる。本発明による抗菌顔料と上に示した防腐剤または抗菌剤とを組み合わせると、配合物または応用物中の防腐剤または抗菌剤の量を低減するのに役立ち、組み合わせることは、規制の現状および皮膚との適合性に関して、特に局所応用物において有利である。
【0052】
さらに、本発明による抗菌顔料は、有利には抗生物質と組み合わせることができる。ここで抗生物質とは、例えば、ベータラクタム、バンコマイシン、マクロライド、テトラサイクリン、キノロン、フルオロキノロン、ニトロ化化合物(例えば、ニトロキソリン(Nitroxoline)、チボキノール(Tilboquinol)またはニトロフラントインなど)、アミノグリコシド、フェニコール、リンコサミド、シネルギスチン(synergistin)、ホスホマイシン、フシジン酸、オキサゾリジノン、リファマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、チロシジン、グリコペプチド、スルホンアミドまたはトリメトプリムからなる群から選択される周知抗生物質のすべてを意味する。いくつかの微生物のある種の抗生物質に対する耐性を考えると、抗菌顔料と抗生物質の組合せは有利である。抗生物質を本発明による抗菌顔料と組み合わせることは、抗生物質による影響を受けていない微生物の数を単純に減少させることによって耐性を克服するのに役立つ。
【0053】
いくつかの応用領域において、抗菌活性はいくつかの処理段階で役立つことができる。例えば、本発明による抗菌顔料を含むプラスチックまたはポリマーは、マスターバッチを微生物による汚染の危険にさらさないで、マスターバッチの形態で長期間保存できる。
【0054】
マスターバッチは、すべての既知マスターバッチと同様の方法で処理できる。その方法で得られる製品は、建築および建設、家庭用品および家具、電気および電子部品、衣料、布地および織物、被覆物および積層物、輸送およびレクリエーション、接着剤、シーラントおよびグラウト、例えばプラスチックボトル、ボトルキャップ、フィルム、共押出しフィルムなどの食品接触用品および水接触用品、エクステリアおよびインテリア自動車部品などにおいて有用であり、元の抗菌活性を示す表面を有する。特に、本発明による顔料を含むボトルおよびフィルムは、その中に納められた製品および消費者用品中の微生物数を減らすことに関連して重要である。また、浴室、スイミングプール、台所、接合配合物、シーリング配合物、または一般に湿気のあるその他の環境で使用されるプラスチックまたはポリマーは、有利には、本発明による顔料で着色されることができ、それによって色彩効果と抗菌活性を兼ね備える。物品を構成するプラスチックおよびポリマーには、合成、天然、および半合成の有機ポリマーが含まれる。本発明を実施するのに使用できるポリマーの例には、それに限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、および高性能樹脂および繊維用液晶ポリマーを含む脂肪族および芳香族ポリエステル類;ポリエステルブロックコポリマー類;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン1212、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドを含む脂肪族および芳香族ポリアミド類;コポリマー化ポリアミド類;ポリエチレン、ポリプロピレン、それらのコポリマーを含むポリオレフィン類;ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂およびアクリル樹脂を含むビニルポリマー類;エチレンと酢酸ビニルのコポリマー類;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルを含むフルオロカーボンポリマー類;ポリウレタン類;セグメント化ポリウレタンエラストマー、スパンデックスまたはエラステーンエラストマー類;ポリアセタール、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)を含むポリエーテル類;ポリエーテルおよびポリエステルブロックポリマー類;ポリスルフィド類;ポリスルホン類;ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類;ポリカーボネート類:フェノール−ホルムアルデヒドコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルウレタンウレア、ポリエステルウレタンウレアなどの熱硬化性合成ポリマー類;セルロース誘導体、木綿および羊毛などの天然ポリマー類;およびレーヨン、銅アンモニアレーヨン、アセテートレーヨン、トリアセテートレーヨン、再構成シルク、および多糖類などの再生または半合成ポリマー類が含まれる。この群には、妥当なコポリマー、ターポリマーおよび列挙した多くの種類のブレンドが含まれる。本明細書で、スパンデックスは少なくとも85重量%のセグメント化ポリウレタンを含む長鎖合成ポリマーから作られる繊維またはフィラメントを指すと定義される。
【0055】
本発明のポリマー物品は、例えば、フィルム、繊維、粉末、顆粒、またはそれらから作られる容器、パイプ、ブラシ用モノフィラメントなどの物品の形態でよい。高度の抗菌効果を希望する場合には、成型された物品が大きな表面積を有するのが好ましい。

抗菌特性を有する本発明のポリマー物品は、少なくとも1種の前記抗菌顔料および少なくとも1種の有機ポリマーを含有する。抗菌組成物は、ポリマー物品の0.1〜60重量%、好ましくは0.1〜15重量%、最も好ましくは0.3〜2重量%を占める。
【0056】
抗菌組成物が約0.1重量%未満の量で組み込まれると、ポリマー物品は、いかなる有用な応用物に対しても抗菌活性が不十分である。しかし、極めて微細な粒子をポリマーマトリックス中に組み込むと約0.1%未満でも満足できることを、当業者は理解するであろう。約60重量%を超えてもポリマー物品の抗菌活性はそれほど増加せず、ポリマー物品の物理的特性がわずかに低下し始める。そのため物品の有用性が制約される。さらに、経済的観点から、および複合材の特性に対する望ましくない影響を与えるので、高濃度の抗菌組成物を組み込むことは望ましくない。抗菌成分に対する好ましい高い方の濃度は約15重量%であり、抗菌活性、ポリマー物品特性、および費用効率の最適組合せはそれ未満の濃度に存在する。
【0057】
本発明によるポリマー物品が、容器、パイプ、顆粒または粗繊維のように比較的大きな厚みを有する場合には、抗菌顔料の粒子径は、数ミクロンから数10ミクロンあるいは最大100ミクロンまでの範囲でよい。本発明による物品として繊維またはフィルムを成型する場合は、より小さな粒径の粒子、例えば5ミクロンから下に100分の1ミクロン(10ナノメートル)までの粒子径が好ましく、衣類への使用を意図した繊維に対しては特に2ミクロン未満が一般に採用される。
【0058】
本発明によるポリマー物品には、抗菌組成物に加え、その他の添加剤を含めることができる。ポリマー物品には、例えば、重合触媒、安定剤、艶消し剤、蛍光増白剤、有機または無機顔料、無機フィラー、可塑剤等々を含めることができる。抗菌顔料自体が、二重の役割を果たし、いくつかの前記添加物の利点を提供できることも可能である。本発明で使用できるプラスチックの例、ならびに調製および加工方法は、RD472005またはR.Glausch、M.Kieser、R.Maisch、G.Pfaff、J.Weitzel、Perlglanzpigmente,Curt R.Vincentz Verlag、1996年、83頁以降中に見出すことができる。
【0059】
本発明による顔料を含む塗料およびラッカーは、水媒体または溶媒ベースとすることができる。それらは、合成または化学改質天然ポリマー、例えば、アクリルポリマー、ビニルポリマー、アルキド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、硝酸セルロース、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビチューメン、タール、セラック、天然ゴムまたは樹脂などをベースとすることができ、すべての既知添加剤および助剤、例えば、乾燥剤、ワックス、分散剤、抗ブロッキング剤、または乾燥剤などを含むことができる。抗菌顔料で着色された塗料およびラッカーは、例えば、自動車分野もしくは産業分野で、木材、鋼鉄、内壁、床、ブランケット、ファサードの被覆としての粉末被覆、建築用途で、または湿気のある環境で使用することができ、それによって、使用した顔料に応じて表面抗菌活性と色彩効果を提供できる。さらに、その被覆は微生物の攻撃に対して安定化され、それによって被覆の耐久性が向上する。
【0060】
本発明による抗菌顔料は、有利には、液状インク、UV硬化インク、ペーストインクなど、すべての種類の印刷インク、および紙のコーティングに応用できる。これらの応用分野用の既知調合物は、特に水をベースにした系において、抗微生物汚染に対する十分な安定性を欠いている。本発明による抗菌顔料を使用すると、微生物による汚染を最小化するのに役立つことができ、これによって、防腐剤の必要含有量を低減することが可能になる。その方法で着色した調合物は、長期間安定である。液状インクは、水/アルコール混合物をベースにした水ベース、または溶媒ベースとすることができる。水性インクに適したバインダーは、アクリレート、メタクリレート、ポリエステル、およびポリウレタンである。溶媒ベースのインクに対するバインダーは、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、PVC/PVA−コポリマー、ポリビニルブチラール、塩素化ゴム、ロジン改質フェノール樹脂、マレイン樹脂、カルシウム/亜鉛−樹脂化−EHEC、アクリレート、およびそれらの混合物である。溶媒ベースのインクに使用できる溶媒は、エタノール、イソプロパノール,n−プロパノール、アセトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、トルエン、脂肪族炭化水素、および混合物である。UV硬化印刷インクは、基本的にバインダーおよび液状モノマーから、例えば、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、反応性モノマーとしてのジアクリル酸ヘキサンジオール、ジアクリル酸ジ/トリプロピレングリコール、トリアクリル酸トリメチルプロパン、トリアクリル酸トリメチロールプロパンエトキシ、およびそれらの混合物などから構成される。抗菌顔料を含むペーストインクには、さらに、ロジン改質フェノール樹脂、マレイン酸改質樹脂、アルキド樹脂、亜麻仁油/大豆油ベースの樹脂、炭化水素ベースの樹脂、および溶媒としてのミネラルオイル、亜麻仁油、または大豆油を含めることができる。抗菌顔料を含む紙被覆物には、さらに、デンプン、タンパク質/カゼイン、ポリビニルアルコール、ラテックス、カルボキシメチルセルロース、またはアクリレートのバインダーを含めることができる。印刷インクには、さらに、既知のフィラーおよびレオロジー調節剤を含めることができる。印刷インクの技術および組成物に関するより多くの情報は、R.L.Leach、R.J.Pierceが「印刷インク便覧(The Printing Ink Manual)」第5版、Blueprint、ロンドン、1993年中に提供している。
【0061】
光可変抗菌顔料は、好ましくは、インクおよび紙被覆物の中で、任意の従来型着色料、金属フレーク顔料およびその他の効果顔料と組み合わせることができる。好ましくは、光可変抗菌顔料は、暗色の背景上に、または暗色ではあるが透明もしくは半透明の着色料との組合せで印刷される。
【0062】
Ullmannが、米国、フロリダ州、Marco Islandでの第46回技術年会(2002年10月2〜4日、National Printing Ink Research Institute)で発表しているように、光可変抗菌顔料は、顔料ペーストまたは真珠粒子(pearlets)など、取扱いおよび応用特性の改善された顔料調合物中に、溶媒、界面活性剤、またはバインダーと一緒に混ぜ合わせることができる。
【0063】
溶媒をベースにした液状インクを使用するグラビア印刷、溶媒をベースにした液状インク、水をベースにしたインクまたはUV硬化インクを使用するフレキソ印刷、水をベースにしたインクまたはUV硬化インクを使用するオフセットオーバープリント上塗り、溶媒をベースにしたスクリーン印刷インクを使用するスクリーン印刷、UV−スクリーン印刷法または水をベースにしたスクリーン印刷、枚葉給紙オフセット、輪転機オフセット、UVオフセットおよび水なしオフセット印刷を含むオフセット印刷など、各種の印刷技術を、本発明による抗菌顔料を用いて実行できる。
【0064】
さらに、本発明による抗菌顔料は、Propionibacterium acne、Propionibacterium granulosum、またはStaphylococcus epidermidisなどの微生物で引き起こされるざ瘡の予防および/または治療のために使用できる。Propionibacterium acneは、皮膚の常在菌であり、成長のための栄養分として皮脂を使用し、従って、思春期の毛穴中で増加する。ざ瘡をもつ人は、ざ瘡をもたない人に比べその毛穴中により多くのPropionibacterium acneを有している。バクテリアが存在すると、白血球を毛穴に引き寄せる。これらの白血球は、毛穴の壁を傷害する酵素を産生し、毛穴の内容物が真皮に入るのを可能にする。この過程が、赤色隆起、膿疱、および小瘤として視認される炎症応答を引き起こす。また、バクテリアは、刺激物である遊離脂肪酸の形成を引き起こし、毛穴内での炎症過程を増長させる。本発明による抗菌顔料を含む適切な配合物は、石鹸、クレンザー、溶液、懸濁液、乳液、パスタ、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、オイル、ペンシル、スプレーの形態である。配合物に組み込むことのできるさらなる成分は、後程この出願中でより詳細に説明する。
【0065】
さらに、本発明による抗菌顔料を用いてデオドラントを着色できる。デオドラントの様々な形態、すなわち、デオドラント−クリーム、ゲル、ローション、乳液、デオドラントスティック、ロールオン、スプレー、およびポンプスプレーが考えられる。顔料は、デオドラントで使用される適切な担体材料と組み合わせられる。適切な担体材料の例は、ステアリン酸グリセリル、アルミニウムクロロヒドレート(aluminium chlorohydrate)、ポリエチレングリコール、カーボマー、グリセリン、ジカプリルエーテル、エタノール、ココナツ脂肪酸グリセリル、シクロメチコン、ジメチコン、ジプロピレングリコール、ステアリルアルコール、ミネラルオイル、フェニルトリメチコン、またはステアリン酸ナトリウムである。皮膚の臭気産生は、アポクリン腺からの初期無臭分泌物、例えば脂質、タンパク質、アンモニア、ステロイドおよび還元糖などの、例えばStaphylococcus、Corynebacteriumまたはmalasseziaのような微生物による変質に由来する。抗菌顔料は、皮膚の悪臭を引き起こすグラム陽性球菌群、例えばMicrococcaceae属(Staphylococcus aureus、staphylococcus epidermidis、staphylococcus hominis)に対して、グラム陽性桿菌、例えばCoryneforms属(例えばBrevibacteriumおよび/またはcorynebacterium)に対して有効であり、皮膚の悪臭は、これらの顔料を含むデオドラントによって低減できる。デオドラントには、香気または香料、防腐剤、電解質、シリコーン誘導体、組成物自体を着色する染料および/または顔料、またはデオドラントに習慣的に使用されるその他の成分など、この種の組成物に使用される各種助剤を含めてもよい。配合物に組み込むことのできるさらなる成分は、後程、本出願中でより詳細に説明する。
【0066】
また、本発明による抗菌顔料は、口腔ケア、例えば、歯垢、虫歯または口臭の予防および/または治療にも使用できる。口臭、虫歯および歯垢は、微生物、例えばStreptococcus sobrinus、Streptococcus mutans、Streptococcus gordonii、Streptococcus salivaris、Streptococcus sanguis、Actinomyces、Lactobacilli、Fusobacterium、Veillonella、Treponema.denticola、Porphyromonas.gingivalis、BacteroidesまたはPeptostreptococcusによって引き起こされる。
口腔組成物は、任意の形態の歯間または歯周治療での使用のために処方でき、例えば、歯磨き剤、口内洗浄剤、歯磨き粉、チューインガム、トローチ剤、マウススプレー、フロス、歯科ペイント、またはガラスイオノマーセメントの形態でよい。本発明の抗菌材料をガラスイオノマーセメント中で使用すると、抗菌作用に加えX線に対する不透明性を提供できる利点がある。
【0067】
このような組成物には、適合するなら、例えば、湿潤剤、界面活性剤、ゲル化剤、研磨剤または低研磨性球状物、フッ素イオン源、減感剤、香味料、着色剤、甘味剤、防腐剤、構造材(structuring agent)、殺菌剤、歯石防止剤、および歯垢防止剤など、従来からの材料を含めることができる。
【0068】
歯磨き剤組成物に使用するのに適した湿潤剤には、キシリトール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールなどの多価アルコールが含まれる。グリセロールとソルビトールの混合物が特に有効である。湿潤剤は、歯磨き剤組成物が空気への暴露で硬化するのを防ぐのに役立ち、かつ、口の中で、湿り気、滑らかな感触、流動性、および望ましい甘さを提供できる。適切には、これらの湿潤剤は、口腔衛生組成物の約0〜85重量%、好ましくは約0〜60重量%を構成することができる。
【0069】
歯磨き剤、口内洗浄剤などでの使用に適した界面活性剤は、通常、水溶性有機化合物であり、アニオン性、ノニオン性、カチオン性または両性のものでよい。使用される界面活性剤は、好ましくは、適度に安定で、広いpH領域のどこでも石鹸泡を形成することが可能で、かつ、使用中に泡を生成することが可能であるべきである。
【0070】
アニオン界面活性剤には、C1018アルキル硫酸の水溶性塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、C1018エトキシル化アルキル硫酸の水溶性塩、C1018アルキルサルコシンの水溶性塩、C1018脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩(例えばココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウム)、アルキルアリールスルホン酸(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、およびN−メチルタウリンココナツ脂肪酸アミドのナトリウム塩が含まれる。
【0071】
口腔組成物での使用に適したノニオン界面活性剤には、アルキレンオキシド基と脂肪族またはアルキル芳香族類との縮合生成物が含まれ、例えば、ポリエチレンオキシドとアルキルフェノールとの縮合物、エチレンオキシド/プロピレンオキシドのコポリマー(BASF Wyandotte Chemical Corporationから「Pluronic」の商品名で入手できる)、エチレンオキシド/エチレンジアミンのコポリマー、エチレンオキシドと脂肪族アルコールの縮合物、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、およびそれらの混合物でよい。別のものとしては、エトキシル化ソルビタンエステル、例えばICIから「Tween」の商品名で入手できるものなどが挙げられる。
【0072】
カチオン界面活性剤は、一般に、1個のC818アルキル鎖を有する第四級アンモニウム化合物であり、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、ジーイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ココナツアルキルトリメチルアンモニウム亜硝酸塩、およびセチルピリジニウムフルオリドが挙げられる。ベンジルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、および1個のC118炭化水素基と2個の(ポリ)オキシエチレン基を有する第三級アミンも有用である。
【0073】
両性界面活性剤は、一般に、分岐または非分岐でよい脂肪族種を含む脂肪族第二級および第三級アミンであり、該アミン中、脂肪族種の1つはC818の種であり、他の脂肪族種はアニオン性親水性基、例えばスルホン酸基、カルボン酸基、硫酸基、ホスホン酸基またはリン酸基を含む。第四級アンモニウム化合物の例は、Miranol Chemical Companyから「Miranol」の商品名で入手できる第四級化イミダゾール誘導体である。
【0074】
適切には、界面活性剤を、口腔衛生組成物の0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%の量で含める。
【0075】
望ましい感触特性と「口あたり」を提供するために、例えば、歯磨き剤およびガムに構造材が必要な場合がある。適した薬剤としては、トラガカントゴム、キサンゴム、カラヤゴム、およびアラビアゴムなどの天然ゴムバインダー、トチャカおよびアルギン酸塩などの海藻誘導体、ベントナイトまたはヘクトライトなどのスメクタイト粘土、ヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのカルボキシビニルポリマーおよび水溶性セルロース誘導体が挙げられる。例えば、コロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウムを含ませることによってテクスチャーの改善も達成できる。適切には、口腔衛生組成物の0〜5重量%、好ましくは0〜3重量%の量で構造材を含める。

研磨剤は、歯のエナメル質または歯牙に傷害を引き起こさないで歯を洗浄および/または磨く能力をもつべきである。研磨剤は、歯磨き剤および歯磨き粉にほとんど通例的に使用されるが、口内洗浄剤などにも使用できる。適切な研磨剤には、水和シリカおよびシリカゲルなどのシリカ研磨剤、特に、W.R.Grace and Companyから「Syloid」の商品名で入手できるようなシリカキセロゲルが含まれる。J.M.Huber Corporationから「Zeodent」の商品名で入手できる材料のような沈降シリカ材、およびJohns−Manville Corporationから「Celite」の商品名で入手できるような珪藻土も適している。それに替わる研磨剤としては、アルミナ、不溶性メタリン酸ナトリウムなどの不溶性メタリン酸塩、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム(二水和および無水形)、ピロリン酸カルシウム(β相カルシウムを含む)ポリメトキシレート、および例えばメラニン−ウレア、メラニン−ホルムアルデヒド、ウレア−ホルムアルデヒド、メラミン−ウレア−ホルムアルデヒド、架橋エポキシド、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの粒子状熱硬化性ポリマー化樹脂、Degussa AGから「Elcema」の商品名で入手できるような高精製セルロース、および架橋ポリエステルが挙げられる。適切には、口腔衛生組成物の0〜80重量%、好ましくは0〜60重量%の量で研磨剤を含める。研磨剤に加え、低研磨性球状物も添加できる。
【0076】
本発明の口腔衛生組成物での使用に適したフッ素イオン源には、フッ化ナトリウム、フッ化亜鉛、フッ化カリウム、フッ化アルミニウム、フッ化リチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、酸性フッ化リン酸塩、フッ化第一錫、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、およびフッ化アミンが含まれる。
【0077】
好ましくは、フッ素イオン源は、使用中に約50ppm〜約4,000ppmのフッ素イオンを提供するに十分な量で存在する。フッ素イオンは歯のエナメル質のヒドロキシアパタイト中に組み込まれ、それによって腐食に対するエナメル質の抵抗性を高めることが知られているので、フッ素イオン源を含めることは有益である。また、現在、フッ素イオンは、歯のエナメル質に局部的に作用し、再鉱物化−脱鉱物化のバランスを再鉱物化の方に変えると考えられている。また、ポリリン酸塩歯石防止剤を含める場合には、唾液腺ホスファターゼ酵素によるこのようなポリリン酸塩の酵素的加水分解を抑制するために、フッ素イオン源を含めることが望ましい。

適切な減感剤には、例えば、ホルムアルデヒド、硝酸カリウム、クエン酸三カリウム、塩化カリウムおよび塩化ストロンチウム(適切には六水和物として)、酢酸ストロンチウム(適切にはヘミ水和物として)、およびクエン酸ナトリウム/プルロニックゲルが含まれる。
【0078】
嗜好性を増すために香味剤を添加してもよく、香味剤としては、例えば、ペパーミント、スペアミント、ウインターグリーン、サフラン、およびクローブのオイルを挙げることができる。また、甘味剤を使用してもよく、それには、D−トリプトファン、サッカリン、デキストロース、アスパルテーム、レブロース、アセスルファム、ジヒドロカルコン、およびシクラミン酸ナトリウムが含まれる。典型的には、このような香味剤を、口腔衛生組成物の0〜5重量%、好ましくは0〜2重量%の量で含める。組成物の目で見た魅力を増すために着色剤および顔料を添加してもよい。適切な着色剤には、FD&CブルーNo.1、D&CイエローNo.10、およびD&CイエローNo.3が含まれる。適切で一般的に使用される顔料は、鮮やかな白色を提供する顔料級二酸化チタンである。
【0079】
適切には、上述のように、本発明の組成物に、本発明による抗菌顔料と組み合わせて、さらに、防腐剤および/または歯垢防止剤としての抗菌剤を含めることができる。適切な抗菌剤には、亜鉛塩(クエン酸亜鉛など)、セチルピリジニウムクロリド、ビス−ビグアニド(クロルヘキシジンなど)、脂肪族アミン、ブロモクロロフェン、ヘキサクロロフェン、サリチルアニリド、第四級アンモニウム化合物、およびトリクロサンが含まれる。代替として、あるいは列挙した殺生物剤と組み合わせて、天然殺生物剤の源を提供する酵素系を使用してもよい。例えば、ラクトペルオキシダーゼおよびグルコースオキシダーゼを含む系を使用して、グルコース、水、および酸素の存在下で抗菌量の過酸化水素を生成させることができる。
【0080】
また、組成物に歯石防止剤を含めることができる。適切な歯石防止剤には、クエン酸亜鉛および塩化亜鉛などの亜鉛塩、ならびにポリリン酸塩が含まれる。適切なピロリン酸塩には、ピロリン酸ナトリウムおよびカリウム、好ましくはピロリン酸二ナトリウム、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、およびピロリン酸四カリウムが含まれる。ピロリン酸塩の好ましい供給源は、ピロリン酸四ナトリウムとピロリン酸四カリウムの混合物である。ピロリン酸四ナトリウムとピロリン酸四カリウムの比率は、適切には、0:1〜3:1、好ましくは0:1〜1:1である。好ましくは、ピロリン酸四カリウムが主要な種である。
【0081】
また、組成物にはアルコールを含めることができる。この成分は、口内洗浄剤で特に有用であり、そこでは水への溶解度が低い成分を可溶化するためにアルコールを使用できる
特に適切な口腔組成物は、口内洗浄剤または練り歯磨きの形態をした組成物である。
【0082】
本発明による抗菌顔料は、フケの予防および/または治療に使用できる。フケは、白色または灰色スケールの形成で特徴付けられる一種の頭皮障害であり、軽度の痒みを伴う。スケールは散らばって、およびパッチ状で存在する。フケは、若年男性において最も頻度が高く、かつ最も激しく発生し、子供および年配者ではまれであり、他の点では世界の成人集団に共通である。フケは、従来、脂漏症、すなわち、発赤皮膚領域に重なった脂肪性スケールを産生することで知られている炎症性皮膚障害と関連付けられている。しかし、脂漏症は、フケなしでも発生することがあり、かつ、フケは、明らかな脂漏症の不存在下でも発現することがある。最新の知見は、用語「フケ」は、脂漏症に対する同義語としてよりも、頭皮の薄片化と痒みからなる特定の疾病実体である症候群を説明するために使用するのがベストであることを示している。フケは脂漏症で起こりうる症状であるが、フケは、潜在的には、過度の日光暴露、空気伝播環境物質、および化粧用髪用品によって引き起こされる頭皮刺激に由来することもある。フケは、髪の生えた頭頂部を覆う皮膚(頭皮)の死滅外層の基本的な異常を反映している。関連する皮膚細胞が、互いに適切に接着する能力を欠いている。結果として、細胞の塊がスケールとして頭皮表面から離脱する。これらスケールの脱離がフケの薄片を産生する。フケと、malassezia furfurおよびmalassezia globosaと呼ばれる種類の酵母との関係が以前より認められている。バクテリアと酵母はヒト頭皮の通常的占有種である。しかし、フケを有する個体では、酵母が通常予想されるよりもかなり大きな数で存在する。医師および研究者の多くは、酵母に対する免疫応答で引き起こされる炎症がフケの状態を生み出すと考えている。この場合、適切な配合物は、リンス用シャンプーまたはローションの形態であり、その組成物をシャンプーの前もしくは後、染色または漂白の前もしくは後、あるいはパーマネントウェーブの前もしくは後に付着させる。また、髪を整髪またはトリートメントするためのローションまたはゲルの形態をした、ブラッシングまたはブローウェービング用ローションまたはゲルの形態をした、ヘアラッカー、パーマネントウェーブ用組成物、髪用着色剤または漂白剤の形態をした組成物を選択することも可能である。化粧用組成物には、界面活性剤、増粘剤、ポリマー、柔軟剤、防腐剤、泡安定剤、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、抗グリース剤、組成物自体または髪を着色する染料および/または顔料、ヘアケアのために習慣的に使用されるその他の成分など、この種の組成物に使用される各種助剤を含めることができる。組成物に組み込むことのできるさらなる成分については、後程、本出願中で詳細に説明する。
【0083】
さらに、本発明による抗菌顔料は、ヘルペス、例えば、口唇ヘルペスまたは陰部ヘルペスの予防および/または治療に使用することもできる。不活発な汎流行性単純ヘルペスウイルス(HSV)感染は治癒できず、このことは、一次または最初の感染のあとに、ウイルスが潜伏状態で死ぬまで消えずに残り、周期的に再活性化し、患者にかなりの心理社会的苦痛をもたらすことが多いことを意味する。発生率の高いヘルペスウイルス科の最も今日的な亜種が、HSV−1およびHSV−2である。ウイルスは、口−顔面感染(例えば、主としてHSV−1で起こる口唇ヘルペス、咽頭疱疹、またはヘルペス性歯肉口内炎)、皮膚感染(例えば、ヘルペス性ひょうそ、およびherpes gladiatorum)、陰部ヘルペスまたは肛門周辺ヘルペス(HSV−2で引き起こされる場合の大部分)などの粘膜皮膚の感染症の原因である。いくつかのインビトロ研究により、HSVに対して特に銀イオンが有効であることが判った(例えば、F.Shimizu、Y.Shimizu、K.Kumagai、Antimicrob.Agents Chemother.、1976年、57〜63頁)。従って、本発明による抗菌顔料はヘルペスの治療に使用できる。治療は、好ましくは、本発明による顔料を含む配合物の局所投与によって達成できる。組成物は、例えば、クリーム、溶液、軟膏、ゲル、バルム剤またはスティックの形態とすることができる。口唇の感染を治療するためには、クリーム、ゲル、バルム剤、軟膏またはスティックが特に好ましい。これらの配合物のすべてにおいて、本発明による抗菌顔料を、有利には、ヘルペス感染の治療に適したすべての既知物質、例えばアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、ペニシクロビル、イドクスリジン、ビダラビン、トリフルリジン、ホスカルネット、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ドコサノール、二フッ化スズ、酸化亜鉛、またはベンゾカインなどと組み合わせることができる。本発明による抗菌顔料の量は、該組成物を基準にして0.5〜20%、特に1〜10%の間で変えることができる。配合物に組み込むことのできるさらなる成分は、後程、本出願中で詳細に説明する。
【0084】
また、本発明は、本発明による抗菌顔料を含む配合物または応用物を対象とする。好ましくは、組成物または応用物に、微生物に適した基質からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、例えば有機化合物などを含めることができる。微生物に適した基質は、例えば、官能基を有するまたは有さないアルカン、アルケン、アルキン、糖類、ポリオール、アルコール、飽和または不飽和のカルボン酸、タンパク質、アミノ酸、水、脂肪酸、ワックス、脂肪、ミネラルオイル、塩、ホルモン、ステロイド、ビタミン、および/またはそれらの誘導体もしくは塩からなる群から選択される。本発明の抗菌顔料をこれらの基質と組み合わせると、例えば化粧用組成物におけるこれらの基質の応用領域を広げることが可能になる。これらの基剤を含む配合物の汚染は、配合物の使用に対してもはや障害ではない。一般に、配合物に本発明による抗菌顔料を使用すると、その組成物にさらに添加しなければならない防腐剤の量または数を低減することが可能になる。場合によっては、配合物になんらかのさらなる防腐剤を添加する必要がない。
【0085】
本発明による顔料を含む配合物または調合物は、通常、いくつかの成分を含んでいる。次に、特に化粧用配合物に通常的に使用される成分の例を示す。
【0086】
好ましい配合物または応用物は、光保護特性を有する抗菌調合物をもたらす少なくとも1種のUVフィルターをさらに含む。UVフィルターは、好ましくは、ジベンゾイルメタン誘導体からなる群から選択される。本発明の範囲内で使用されるジベンゾイルメタン誘導体は、それ自体既によく知られた製品であり、詳細には、明細書FR−A−2326405、FR−A−2440933およびEP−A−0114607中に記載されている。
【0087】
本発明によって使用できるジベンゾイルメタン誘導体は、詳細には、次式
【0088】
【化1】

【0089】
[式中、R1、R2、R3およびR4は、互いに同一または異なって、水素、直鎖もしくは分岐のC18アルキル基または直鎖もしくは分岐のC18アルコキシ基である]のジベンゾイルメタン誘導体から選択することができる。本発明によれば、もちろん、1種のジベンゾイルメタン誘導体または複数のジベンゾイルメタン誘導体を使用することが可能である。本発明がより特に関連するジベンゾイルメタン誘導体の中で、特に、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,
4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソ
プロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブ
チル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシ
ジベンゾイルメタン、および2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−
メトキシジベンゾイルメタンを挙げることができるが、このリストに限定するものではない。
【0090】
上に挙げたジベンゾイルメタン誘導体の中で、本発明によれば、4,4’−メ
トキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンおよび特にMerck KGaAからEusolex(登録商標)9020の商品名で商業的に入手可能な4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンが特に好ましく、このフィ
ルターは、次の構造式
【0091】
【化2】

【0092】
に一致する。
【0093】
本発明による好ましいさらなるジベンゾイルメタン誘導体は、4−イソプロピルジベンゾイルメタンである。
【0094】
さらに、本発明の同様に好ましい実施形態で、本発明による調合物は、UV−Aおよび/またはUV−B領域にUV吸収を有する式Iの化合物
【0095】
【化3】

【0096】
を含むことができる。
但し、式中、R1〜R10は、同一または異なってもよく、
・H
・OR11
・直鎖または分岐のC1〜C20アルキル基
・直鎖または分岐のC3〜C20アルケニル基
・直鎖または分岐のC1〜C20ヒドロキシアルキル基(ここで、ヒドロキシル基は鎖の第一級または二級炭素原子に結合することができ、さらにアルキル鎖に酸素が割り込んでいてもよい)、および/または
・C3〜C10シクロアルキル基および/またはC3〜C12シクロアルケニル基(ここで、環はそれぞれ−(CH2n−基で架橋されてもよく、n=1〜3である)
から選択され、
・すべてのOR11は、互いに独立に
・OH
・直鎖または分岐のC1〜C20アルコキシ基
・直鎖または分岐のC3〜C20アルケニルオキシ基
・直鎖または分岐のC1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ここで、ヒドロキシル基は鎖の第一級または二級炭素原子に結合することができ、さらにアルキル鎖に酸素が割り込んでいてもよい)、および/または
・C3〜C10シクロアルコキシ基および/またはC3〜C12シクロアルケニルオキシ基(ここで、環はそれぞれ−(CH2n−基で架橋されてもよく、n=1〜3である)、および/または
・モノおよび/オリゴグリコシル基
から選択されるか(但し、R1〜R7の少なくとも3つの基はOHであり、分子内に少なくとも2対の隣接OH基が存在する)、
あるいは、R2、R5およびR6がOHであり、基R1、R3、R4およびR710がHである。
【0097】
本発明により使用される式Iのフラボノイドは、単独またはさらなるUVフィルターと組み合わせて使用できる広帯域UVフィルターを含んでいる。同様に好ましい式Iのその他の化合物は、UV−BとUV−A照射との中間の遷移領域に吸収極大を示す。従って、それらは、UV−A−IIフィルターとして、商業的に入手できるUV−BおよびUV−A−Iフィルターの吸収スペクトルを有利に補足する。それらの化合物は、調合物のマトリックス中に不溶であるか、あるいは溶解度が小さい。この場合には、化合物を微細に分割した形態で化粧用調合物中に分散させることが好ましい。さらに、この種の好ましい化合物は、調合物中への組み込みに関して次の利点、すなわち、
・モノおよび/またはオリゴグリコシル基により、本発明により使用予定の化合物の水溶性が向上する、
・直鎖または分岐のC1〜C20アルコキシ基、特に、エチルヘキシルオキシ基などの長鎖アルコキシ官能基により、化合物の油溶性が向上する、
すなわち、本発明による化合物の親水性または親油性を置換基の適切な選択によってコントロールできる利点を有する。
【0098】
好ましいモノまたはオリゴ糖基は、ヘキソシル基、特にラムノシル基およびグルコシル基である。しかし、その他のヘキソシル基、例えばアロシル、アルトシル、ガラクトシル、グロシル、イドシル、マンノシルおよびタロシル基も有利に使用できる。また、ペントシル基を使用するのも有利な場合がある。グリコシル基は、α−またはβ−グリコシド結合によって基本構造に結合されていてもよい。好ましい二糖は、例えば、6−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)−β−D−グルコピラノシドである。
【0099】
UV−Aフィルターとして特に好ましいジベンゾイルメタン誘導体を式Iの化合物と組み合わせて使用することで、さらなる利点、すなわちUVに敏感なジベンゾイルメタン誘導体が式Iの化合物の存在によってさらに安定化されるという利点が生じる。従って、本発明は、さらに、調合物中のジベンゾイルメタン誘導体を安定化するために式Iの化合物を使用することに関する。
【0100】
原則的に、すべての既知UVフィルター、例えば、UV−A領域、および/またはUV−B領域、および/またはIR領域、および/またはVIS領域で有効な1種または複数のさらなる親水性もしくは親油性日光防護フィルター(吸収剤)などは、ジベンゾイルメタン誘導体との、および本発明による式Iの化合物との組合せに適している。これらのさらなるフィルターは、詳細には、桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、カンファー誘導体、トリアジン誘導体、β,β−ジフェニルアクリレート誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、および出願WO93/04665に記載されている高分子フィルターおよびシリコーンフィルターから選択できる。有機フィルターのさらなる例は、特許出願EP−A−0487404に示されている。生理学的に許容できることが既に明らかにされているUVフィルターが特に好ましい。UVAフィルターおよびUVBフィルターの双方について、専門家の文献から周知である検証済みの多くの物質、例えば、
3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー(例えばEusolex
(登録商標)6300)、3−ベンジリデンカンファー(例えばMexoryl(登録商標)SD)、N−{(2および4)−[(2−オキソボルニ−3−イリデン)メチル]ベンジル}アクリルアミド(例えばMexoryl(登録商標)SW)、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルニ−3−イリデンメチル)アニリニウムメチルサルフェート(例えばMexoryl(登録商標)SK)、または(2−オキソボルニ−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸(例えばMexoryl(登録商標)SL)などのベンジリデンカンファー誘導体、
1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン(例えばEusolex(登録商標)9020)または4−イソプロピルジベンゾイルメタン(例えばEusolex(登録商標)8020)などのベンゾイル−またはジベンゾイルメタン類、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(例えばEusolex(登録商標)4360)、または2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびそのナトリウム塩(例えばUvinul(登録商標)MS−40)などのベンゾフェノン類、
メトキシ桂皮酸オクチル(例えばEusolex(登録商標)2292)、例えば異性体の混合物としての4−メトキシ桂皮酸イソペンチル(例えばNeo Heliopan(登録商標)E1000)などのメトキシ桂皮酸エステル類、
サリチル酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OS)、サリチル酸4−イソプロピルベンジル(例えばMegasol(登録商標))、またはサリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(例えばEusolex(登録商標)HMS)などのサリチル酸エステル誘導体、
4−アミノ安息香酸、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)6007)または4−アミノ安息香酸エトキシル化エチル(例えばUvinul(登録商標)P25)などの4−アミノ安息香酸および誘導体、
2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸ならびにそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩(例えばEusolex(登録商標)232)、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸およびその塩(例えばNeoheliopan(登録商標)AP)、または2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−6−スルホン酸などのフェニルベンズイミダゾールスルホン酸類、および
・2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OCR)、
・3,3−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イルメタンスルホン酸およびその塩(例えばMexoryl(登録商標)SX)、
・2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オ
キシ)−1,3,5−トリアジン(例えばUvinul(登録商標)T150)、および
・2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(例えばUvinul(登録商標)UVA Plus,BASF)などの、さらなる物質がある。
【0101】
リストに挙げた化合物は、単に例として考えるべきである。もちろん、その他のUVフィルターを使用することも可能である。特に、WO99/66896に記載されているような有機特殊UVフィルターは、本発明による抗菌顔料を含む配合物中で有利に使用できる。
【0102】
これらの有機UVフィルターは、一般に、0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%の量で化粧用組成物中に組み込まれる。
【0103】
適切なさらなる有機UVフィルターは、例えば
・2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(例えばSilatrizole(登録商標))
・2−エチルヘキシル4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)
アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(ベンゾエート)(例えばUvasorb(登録商標)HEB)
・α−(トリメチルシリル)−ω−[(トリメチルシリル)オキシ]ポリ[オキシ(ジメチル[および約6%のメチル[2−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル]ビニル]フェノキシ]−1−メチレンエチル]および約1.5%のメチル[3−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル)ビニル]フェノキシ]プロペニル]および0.1〜0.4%の(メチル水素]シリレン]](n≒60)(CAS No.207574−74−1)
・2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(CAS No.103597−45−1)
・2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、モノナトリウム塩)(CAS No.180898−37−7)
・2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS No.103597−45−、187393−00−6)、および
・4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸−2−エチルヘキシルエステル(例えばUvasorb(登録商標)HEB)である。
【0104】
適したさらなるUVフィルターは、先のドイツ特許出願DE10232595.2に該当するメトキシフラボン類である。
【0105】
有機UVフィルターは、一般に、化粧用組成物中に、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の量で組み込まれる。さらに、本発明に従って、調合物にさらなる無機UVフィルターを含めることが好ましい場合がある。本発明では、例えば、被覆二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標T−2000またはEusolex(登録商標)T−AQUA)などの二酸化チタン、酸化亜鉛(例えばSachtotec(登録商標))、酸化鉄、さらには酸化セリウムからなる群からの無機UVフィルターいずれかが好ましい。これらの無機UVフィルターは、一般に、化粧用調合物中に、0.5〜20重量%、好ましくは2〜10重量%の量で組み込まれる。特に、本発明では、乳液の1つの相に1つのUVフィルターを組み込み、他の相にさらなる無機UVフィルターを組み込むことが好ましい場合がある。
【0106】
UV濾過特性を有する好ましい化合物は、3−(4’−メチルベンジリデン)
−dl−カンファー、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸ならびにそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩である。
【0107】
上に挙げたUVフィルターの1種または複数の化合物を組み合わせることによって、UV照射の傷害効果に対する保護作用を最適化できる。
【0108】
最適化組成物には、例えば、有機UVフィルター、4’−メトキシ−6−ヒド
ロキシフラボンの1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンおよび3−(4’−メチルベンジリデン)
−dl−カンファーとの組合せを含める。この組合せにより、二酸化チタン微粒子などの無機UVフィルターの添加によって補足できる広帯域保護が生じる。
【0109】
前記すべてのUVフィルターは、カプセル形態で使用することもできる。特に、カプセル形態の有機UVフィルターを使用するのが有利である。詳細には、次の利点が生じる、すなわち、
・カプセル壁の親水性をUVフィルターの溶解性と独立に設定できる。従って、例えば、純粋な水性調合物中に疎水性UVフィルターを組み込むことも可能である。さらに、疎水性UVフィルターを含む調合物の塗布に際して不快と考えられることの多い油っぽい印象が抑えられる。
・ある種のUVフィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体は、化粧用調合物中で極めて低い光安定性を示す。これらフィルターの光安定性を損なうこれらフィルターまたは化合物、例えば桂皮酸誘導体などをカプセル化すると、調合物全体の光安定性を高めることが可能になる。
・有機UVフィルターの皮膚浸透、およびそれに関連するヒトの皮膚に対する直接塗布による刺激の可能性が文献で繰り返し議論されている。本発明で提案されている該当物質をカプセル化すると、この影響が抑えられる。
・一般に、個々のUVフィルターまたはその他の成分をカプセル化すると、結晶化の進行、沈殿および塊の形成など、個々の調合物構成成分どうしの相互作用によって生じる調合上の問題を、その相互作用を抑えられるので、回避することが可能になる。
【0110】
従って、本発明によって、1種または複数のUVフィルターをカプセル化した形態にすることが好ましい。本発明では、カプセルが肉眼で見ることができないほど小さいのが有利である。上で述べた効果を達成するためには、カプセルが十分に安定であること、およびカプセル化された有効成分(UVフィルター)は環境中にわずかに放出されるだけか、あるいはまったく放出されないことがさらに必要である。
【0111】
適切なカプセルは、無機または有機ポリマーからなる壁を有することできる。例えば、US6,242,099B1には、キチン、キチン誘導体またはポリヒドロキシル化ポリアミンの壁を有する適切なカプセルの製造が記載されている。本発明により特に好んで使用できるカプセルは、出願WO00/09652、WO00/72806およびWO00/71084に記載されているようなゾル−ゲル法で得ることのできる壁を有する。本発明では、その壁がシリカゲル(シリカ、不定の酸化ケイ素水酸化物)から構成されるカプセルが好ましい。それに対応するカプセルの製造は、例えば、その内容が明らかに本出願の主題に属する引用特許出願から当業者に周知である。
【0112】
本発明による調合物中のカプセルは、好ましくは、カプセル化UVフィルターが調合物中に上で示した量で存在することを保証する量で存在する。
【0113】
本発明によれば、上で挙げたUVフィルターに、親水または疎水特性を強化する表面処理を施すこともできる。疎水性に改質するには、例えばシリコーンまたはシラン被覆が適している。
【0114】
周知のように、シリコーンは、様々な分子量をもつ直鎖または環状、分岐または架橋構造を有し、適切に官能化されたシランとの重合および/または重縮合によって得られ、本質的には、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに結合し(シロキサン結合)、場合によっては置換炭化水素基が炭素原子を介してケイ素原子に直接結合する主要繰り返し単位から本質的に形成される有機ケイ素ポリマーまたはオリゴマーである。最も一般的な炭化水素基は、アルキル基特にメチル基、フルオロアルキル基、アリール基特にフェニル基、およびアルケニル基特にビニル基である。シロキサン鎖に直接または炭化水素基を介して結合できるさらなる種類の基は、特に、水素、ハロゲン、特に塩素、臭素またはフッ素、チオール、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基(またはポリエーテル)特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基、場合によっては置換アミノ基、アミド基、アシルオキシ基またはアシルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキルアミノ基またはアミノアルキル基、第四級アンモニウム基、両性基またはベタイン基、カルボン酸、チオグリコール酸、スルホコハク酸、チオ硫酸、リン酸および硫酸イオンなどのアニオン基であり(いわゆる「有機修飾シリコーン」)、もちろん、決してこの列挙物に制約するものではない。
【0115】
本発明の目的において、用語「シリコーン」は、シリコーンの調製に必要なシラン、特にアルキルシランを含み、包含することをも意図する。
【0116】
本発明に適し、UV防護剤を包むのに使用できるシリコーンは、好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、およびポリアルキルヒドロシロキサンから選択される。シリコーンは、より好ましくは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、およびポリメチルヒドロシロキサンから選択される。
【0117】
UV防護剤は、本発明による組成物中に、組成物の総重量を基準にした量で、一般には0.1〜50重量%の範囲である量で、好ましくは0.5〜20重量%の範囲である量で存在できる。
【0118】
本発明の同様に好ましいさらなる実施形態において、本発明による調合物は、少なくとも1種のセルフタンニング剤を含む。
【0119】
使用できる有利なセルフタンニング剤は、とりわけ、
【0120】
【化4】

【0121】
である。
【0122】
新鮮なクルミの殻から抽出される5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ユグロン)
【0123】
【化5】

【0124】
および、ヘンナ葉中に存在する2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ローソン)
【0125】
【化6】

【0126】
も挙げるべきである。
【0127】
人体中に存在する三官能性糖、すなわち1,3−ジヒドロキシアセトン(DHA)
【0128】
【化7】

【0129】
およびその誘導体が極めて特に好ましい。
【0130】
従って、本発明は、さらに、本発明による抗菌顔料の、セルフタンニング剤、特にジヒドロキシアセトンまたはジヒドロキシアセトン誘導体と組み合わせた使用に関する。
【0131】
さらに、本発明による調合物には、一般にいかなる抗菌活性も示さない染料および有色顔料を含めることもできる。染料および有色顔料は、例えば、ドイツ国化粧品規定中の該当するポジティブリストまたは化粧品着色料のEUリストから選択できる。これらは、ほとんどの場合、食品用に承認された染料と同一である。有利な有色顔料は、例えば、二酸化チタン、雲母、酸化鉄(例えばFe23、Fe34、FeO(OH))、および/または酸化スズである。有利な染料は、例えば、カルミン、ベルリンブルー、酸化クロムグリーン、ウルトラマリンブルー、および/またはマンガンバイオレットである。次のリストから染料および/または有色顔料を選択するのが特に有利である。カラーインデックス番号(CIN)は、Rowe Colour Index、第3版、Society of Dyers and Colourists、Bradford、英国、1971年から抜粋する。
【0132】
【表1】

【0133】
【表2】

【0134】
【表3】

【0135】
【表4】

【0136】
【表5】

【0137】
さらに、染料として、次の群、すなわち、
2,4−ジヒドロキシアゾベンゼン、1−(2’−クロロ−4’−ニトロ−1’
−フェニルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン、セレスレッド、2−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−1−ナフトール−4−スルホン酸、2−ヒドロキシ−1,2’−アゾナフタレン−1’−スルホン酸のカルシウム塩、1−(2−スル
ホ−4−メチル−1−フェニルアゾ)−2−ナフチルカルボン酸のカルシウムおよびバリウム塩、1−(2−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸のカルシウム塩、1−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−2−ナフトール−6−スルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸、4−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−2−(4−スルホフェニル)−5−ヒドロキシピラゾロン−3−カルボン酸のアルミニウム塩、4,5−ジブロモフルオレセインのアルミニウムおよびジルコニウム塩、2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインのアルミニウムおよびジルコニウム塩、3’,4’,5’
,6’−テトラクロロ−2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインおよびそ
のアルミニウム塩、2,4,5,7−テトラヨードフルオレセインのアルミニウム塩、キノフタロンジスルホン酸のアルミニウム塩、インジゴジスルホン酸のアルミニウム塩、赤色および黒色酸化鉄(CIN:77491(赤)および77499(黒))、酸化鉄水和物(CIN:77492)、二リン酸マンガンアンモニウムおよび二酸化チタン、
から1種または複数の物質を選択するのが有利な場合がある。
【0138】
また、例えばパプリカエキス、β−カロテンまたはコチニールなどの油溶性天然染料も有利である。
【0139】
また、本発明の目的には、効果顔料を含むゲルクリームも有利である。下に挙げる種類の効果顔料、すなわち、
1.例えば
a)「真珠エキス」(魚類の鱗からのグアニン/ヒポキサンチン混合結晶)、および
b)「真珠の母」(groundムラサキイガイの殻)
などの天然効果顔料
2.例えばオキシ塩化ビスマス(BiOCl)などの単結晶性効果顔料
3.層状基材顔料:例えば雲母/金属酸化物、が特に好ましい。
【0140】
効果顔料用のベースは、例えば、微粉顔料、またはオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンのヒマシ油分散液、および雲母上のオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンによって形成される。例えば、CIN77163に挙げられた光沢顔料が、特に有利である。
【0141】
また、例えば、雲母/金属酸化物をベースにした以下のタイプの効果顔料が有利である。
【0142】
【表6】

【0143】
例えば、Merck KGaAからTimiron(登録商標)、Colorona(登録商標)またはDichrona(登録商標)の商品名で入手できる真珠光沢顔料が特に好ましい。
【0144】
前記効果顔料のリストは、もちろん、それに限定することを意図したものではない。本発明の目的に対して有利である効果顔料は、それ自体周知の多くの経路で得ることができる。さらに、雲母以外のその他基材は、例えば、さらなる金属酸化物、例えばシリカなどで被覆することができる。例えば、Merck KGaAから上市され、細かなシワを光学的に低減するのに特に適しているTiO2−およびFe23−被覆SiO2粒子(「Ronasphere」級)が有利である。
【0145】
雲母などの基材を完全に排除することは、さらに有利な場合がある。SiO2を使用して調製した効果顔料が特に好ましい。さらに角度変色(goniochromatic)効果を有してもよいこのような顔料は、例えばBASFからSicopeal(登録商標)Fantasticoの商品名で入手できる。
【0146】
二酸化チタンで被覆したホウケイ酸カルシウムナトリウムをベースにしたEngelhard顔料を採用するのも有利な場合がある。これらの顔料はReflecks(登録商標)の名称で入手できる。40〜80μmの粒子径により、それらは、色彩に加えて光輝効果を有する。
【0147】
また、Flora TechからMetasomes(登録商標)Standard/Glitterの商品名で入手できる各種色彩(黄、赤、緑、および青色)の効果顔料が特に有利である。本発明で、光輝粒子は、各種の助剤および染料(例えば、カラーインデックス(CI)番号が19140,77007,77289、および77491の染料など)との混合物の形態である
染料および顔料は、個別の形態または混合物の形態でよく、相互にもう1つのもので被覆されてもよく、一般には、異なる被覆厚みによって様々な色彩効果が生じる。染料および着色顔料の総量は、調合物の総重量を基準にして、有利には、それぞれ例えば0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜15重量%、特に1.0〜10重量%の範囲から選択される。
【0148】
さらに、本発明による抗菌顔料を抗酸化剤の抗酸化特性と組み合わせることが好ましい。従って、本発明のもう1つの主題は、少なくとも1種の抗酸化剤、例えば前に記載した式Iの化合物を含む、抗酸化特性を有する調合物である。これらの化合物は、UVフィルターに加え、抗酸化剤としても使用できる。
【0149】
従って、基R1〜R4の少なくとも2つの隣接基がOHであり、かつ、基R5〜R7の少なくとも2つの隣接基がOHであることを特徴とする、式Iの化合物の少なくとも1種を含む調合物も好ましい。
【0150】
特に好ましい調合物は、基R1〜R4の少なくとも3つの隣接基がOHであり、好ましくは基R1〜R3がOHであることを特徴とする、式Iの化合物の少なくとも1種を含む。
【0151】
式Iの化合物が、皮膚特に穴部分でフリーラジカル補足剤としてのその実際的な作用を展開できるように、式Iの化合物が深部皮膚層に浸透することを可能にすることが好ましい場合がある。この目的のためにはいくつかの可能性を利用できる。まず、式Iの化合物に、皮膚外側層を通過して表皮層中に浸透できるように、適切な親油性を持たせることができる。さらなる可能性として、対応輸送剤、例えば、式Iの化合物の皮膚外側層を通る輸送を可能にするリポソームを調合物中に準備することもできる。最終的には、式Iの化合物の全身輸送も考えられる。その場合は、調合物を、例えば、経口投与に適するように設計する。
【0152】
一般に、式Iの物質は、フリーラジカル補足剤として作用する。この種のフリーラジカルは、光だけで生成するのではなく、様々な条件下で形成される。その例が、シトクロムオキシダーゼの電子伝達の流れを遮断しスーパーオキシドフリーラジカルの形成を引き起こす無酸素症、とりわけ、白血球の膜NADPHオキシダーゼによるスーパーオキシドアニオンの形成と関連し、また、ヒドロキシルフリーラジカルおよび食作用現象に通常含まれるその他の反応種の形成(鉄(II)イオンの存在下での不均衡化を介する)とも関連する炎症、および一般にヒドロキシルフリーラジカルによって開始され、脂質アルコキシフリーラジカルおよびヒドロペルオキシドを生成する脂質自動酸化である。
【0153】
式Iの好ましい化合物は、酵素阻害剤としても作用することが考えられる。これらは、多分、ヒスチジンデカルボキシラーゼ、プロテンキナーゼ、エラスターゼ、アルドースリダクターゼ、およびヒアルロニダーゼを阻害し、従って、血管鞘の基本物質の健全性が維持されるのを可能にする。さらに、これらは、多分、非特異的にカテコールO−メチルトランスフェラーゼを阻害し、利用可能なカテコールアミンの量および結果として血管強度を増加させる。さらに、これらは、AMPホスホジエステラーゼを阻害し、血小板の凝集を阻害する可能性のある物質を与える。
【0154】
これらの特性により、本発明による調合物は、一般に、免疫保護ならびにDNAおよびRNAの保護に適している。特に、調合物は、DNAおよびRNAを酸化的攻撃から、フリーラジカルから、および照射特にUV照射による傷害から保護するのに適している。本発明による調合物のさらなる利点は、細胞保護、特に上に述べた影響による傷害からランゲルハンス細胞を保護することである。これら調合物すべての使用、および対応して使用できる調合物の調製のための式Iの化合物の使用は、明らかに本発明の主題でもある。
【0155】
抗酸化作用を有するフェノール類の中で、ポリフェノールは、天然に存在するものもあるが、医薬、化粧または栄養の分野での応用において特に重要である。例えば、主に植物染料として知られているフラボノイドまたはバイオフラボノイドは、抗酸化剤としての可能性を有することが多い。K.Lemanska、H.Szymusiak、B.Tyrakowska、R.Zielinski、I.M.C.M.Rietjens;Current Topics in Biophysics、2000年、24巻(2)、101〜108頁は、モノ−およびジヒドロキシフラボンの置換様式の影響に関する。その中で、ケト官能基に隣接するOH基、または3’,4’−もしくは6,7−もしくは7,8−位に
OH基を含むジヒドロキシフラボンは抗酸化特性を有し、一方、その他のモノ−およびジヒドロキシフラボンは抗酸化特性を有さない場合のあることが観察されている。
【0156】
クェルセチン(シアニダノール、シアニデノロン1522、メレチン、ソホレチン、エリシン、3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン)は、特
に有効な抗酸化剤として言及されることが多い(例えば、C.A.Rice−Evans、N.J.Miller、G.Paganga、Trends in Plant Science、1997年、2巻(4)、152〜159頁)。K.Lemanska、H.Szymusiak、B.Tyrakowska、R.Zielinski、A.E.M.F.Soffers、I.M.C.M.Rietjens、Free Radical Biology&Medicine、2001年、31巻(7)、869〜881頁は、ヒドロキシフラボンの抗酸化作用のpH依存性を調べた。クェルセチンは、調べた構造の中で全pH領域に渡って最も強い活性を示す。
【0157】
本発明の目的において、用語、フラボン誘導体とは、フラボノイド類およびクマラノン類を意味すると解釈される。本発明の目的において、用語、フラボノイドとは、フラボノン、フラボン、3−ヒドロキシフラボン(=フラボノール)、アウロン、イソフラボン、およびロテノイドのグリコシドを意味すると解釈される(Rompp化学辞典(Rompp Chemie Lexikon)9巻、1993年)。しかし、本発明の目的において、これは、アグリコン、すなわち糖を除いた構成部分、ならびにフラボノイドおよびアグリコン誘導体を意味するとも解釈される。本発明の目的において、用語、フラボノイドとは、さらに、アントシアニジン(シアニジン)を意味するとも解釈される。本発明の目的において、用語、クマラノンとはその誘導体を意味するとも解釈される。
【0158】
好ましいフラボノイドは、フラボノン、フラボン、3−ヒドロキシフラボン、アウロン、およびイソフラボンから、特にフラボノン、フラボン、3−ヒドロキシフラボン、およびアウロンから誘導される。
【0159】
フラボノイドは、好ましくは、次の化合物、すなわち、4,6,3’,4’−
テトラヒドロキシアウロン、クェルセチン、ルチン、イソクェルセチン、エリオヂクチオール(eriodictyol)、タキシホリン、ルテオリン、トリスヒドロキシエチルクェルセチン(トロキセクェルセチン)、トリスヒドロキシエチルルチン(トロキセルチン)、トリスヒドロキシエチルイソクェルセチン(トロキセイソクェルセチン)、トリスヒドロキシエチルルテオリン(トロキセルテオリン)、α−グリコシルルチン、チリロシド、ならびにそれらの硫酸エステルおよびリン酸エステルから選択される。フラボノイドの中で、本発明による活性化合物として、ルチン、チリロシド、α−グリコシルルチン、およびトロキセルチンが特に好ましい。
【0160】
クマラノンの中では、4,6,3’,4’−テトラヒドロキシベンジル−3−
クマラノンが好ましい。
【0161】
用語、クロモン誘導体は、人の皮膚および人の髪を老化過程および有害な環境作用から予防的に治療するための有効成分として適しているある種のクロメン−2−オン誘導体を意味するものと好ましくは解釈される。同時に、これらの誘導体は、皮膚を刺激する可能性が低く、皮膚に水を結びつける実際的な効果を有し、皮膚の弾性を維持、向上し、それによって皮膚の滑らかさを増進する。これらの化合物は、好ましくは、式IIに一致し、
【0162】
【化8】

【0163】
式中、
1およびR2は、同一または異なってもよく、
・H、−C(=O)−R7、−C(=O)−OR7
・直鎖または分岐のC1〜C20アルキル基
・直鎖または分岐のC3〜C20アルケニル基
・直鎖または分岐のC1〜C20ヒドロキシアルキル基(ここで、ヒドロキシル基は鎖中の第一級または第二級炭素原子に結合することができ、さらにアルキル鎖は酸素で割り込まれてもよい)、および/または
・C3〜C10シクロアルキル基、および/またはC3〜C12シクロアルケニル基(ここで、環はそれぞれ−(CH2n−基(n=1〜3)で架橋されてもよい)
から選択され、
3は、H、または直鎖もしくは分岐のC1〜C20アルキル基であり、
4は、H、またはOR8であり、
5およびR6は、同一または異なってもよく、
・−H、−OH
・直鎖または分岐のC1〜C20アルキル基
・直鎖または分岐のC3〜C20アルケニル基
・直鎖または分岐のC1〜C20ヒドロキシアルキル基(ここで、ヒドロキシル基は鎖中の第一級または第二級炭素原子に結合することができ、さらにアルキル鎖は酸素で割り込まれてもよい)
から選択され、および
7は、H、直鎖または分岐のC1〜C20アルキル基、好ましくはアスコルビン酸基またはグリコシド基などのポリヒドロキシ化合物であり、
8は、H、または直鎖または分岐のC1〜C20アルキル基(ここで、置換基R1、R2およびR4〜R6の少なくとも2つはHでないか、あるいはR1およびR2の中の少なくとも1つの置換基は−C(=O)−R7または−C(=O)−OR7である。
【0164】
フラボノイド、クロモン誘導体、およびクマラノンから選択される1種または複数の化合物の本発明による調合物中における比率は、調合物全体を基準にして、好ましくは、0.001〜5重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%である。
【0165】
既に説明したように、本発明による好ましい組成物は、分化および細胞増殖に影響を及ぼす角質化における欠陥に関連した皮膚疾患を治療するために、特に、尋常性ざ瘡、ざ瘡面皰、多形ざ瘡、酒さ性ざ瘡、小結節性ざ瘡、集簇性ざ瘡、加齢誘発ざ瘡、副作用として起こるざ瘡、例えば太陽性ざ瘡、薬物誘発ざ瘡または職業性ざ瘡などを治療するために、角質化におけるその他の欠陥、特に魚鱗癬、魚鱗癬様状態、ダリエ症、掌蹠角化症、白斑症、白斑症様状態、皮膚および粘膜のヘルペス(口内)(苔癬)を治療するために、角質化における欠陥に関連し、炎症および/または免疫アレルギー要素、特に皮膚、粘膜、および手足の爪に影響を及ぼす乾癬のすべての形態を有するその他の皮膚疾患、ならびに乾癬性リウマチおよび湿疹または呼吸アトピーなどの皮膚アトピー、または歯肉肥大を治療するためにも適しており、さらに、角質化と関連しないある種の炎症のために、尋常性疣贅、扁平疣贅、表皮形成異常症、疣贅様症、口腔乳頭腫症、葉状乳頭腫症など、ウイルス起源のこともある真皮または表皮の良性または悪性増殖物のすべて、およびUV照射で起こる場合がある増殖物、特に基底細胞上皮腫および脊髄細胞上皮腫を治療するために、水泡性皮膚炎などのその他皮膚疾患およびコラーゲンに影響を及ぼす疾患を治療するために、ある種の眼疾患、特に角膜疾患の治療のために、老化に伴う光誘発皮膚老化を克服または立ち向かうために、着色および紫外線角化症を低減するために、および通常の老化または光誘発老化に関連したすべての疾患を治療するために、局所または全身に塗布されたコルチコステロイドで生じる表皮および/または真皮萎縮症およびその他すべてのタイプの皮膚萎縮症の傷/傷跡の予防または回復のために、傷回復が不十分であることを予防または治療するために、妊娠で生じる伸縮痕を予防または除去するために、または傷の回復を促進するために、ざ瘡での過脂漏症または単純脂漏症などの脂肪産生の欠陥に立ち向かうために、癌状態または前癌状態、特に前骨髄球性白血病に立ち向かうあるいは予防するために、関節炎などの炎症性疾患を治療するために、皮膚またはその他身体部位のすべてのウイルス誘発疾患を治療するために、脱毛症を予防または治療するために、免疫要素を伴う皮膚疾患またはその他の身体部位の疾患を治療するために、動脈硬化症または高血圧症などの心臓血管疾患、およびインスリン非依存性糖尿病を治療するために、および、UV照射で生じる皮膚の問題を治療するために適してもいる。
【0166】
従って、調合物に1種または複数のさらなる抗酸化剤を含めると、酸化ストレスに対するまたはフリーラジカルの影響に対する防護作用をさらに向上できる。当業者は、急速作用型または遅延型抗酸化剤を選択するのになんらの困難もない。
【0167】
本発明の好ましい実施形態では、従って、その調合物は、1種または複数の式Iの化合物に加え、1種または複数のさらなる抗酸化物を好ましくは含有することを特徴とする、身体の細胞を酸化ストレスから防護するための、特に皮膚老化を低減するための調合物である。
【0168】
抗酸化剤として使用することもできる、専門文献から周知の多くの検証済み物質、例えば、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール類(例えば、ウロカニン酸)およびそれらの誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンなどのペプチドおよびそれらの誘導体(例えば、アンセリン)、カロチノイド、カロテン類(例えば、α−カロテン、β−カロテン、リコペン)およびそれらの誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよびその他のチオール類(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそれらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル、ラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびグリセリルエステル)およびそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびそれらの誘導体、(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、および極低許容投与量(例えば、pモル〜μモル/kg)のスルホキシイミン化合物(例えば、ブチオニン、スルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−およびヘプタチオニンスルホキシイミン)、さらに(金属)キレート剤(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体(例えば、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸酢酸エステル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(例えば、ビタミンAパルミテート)、およびベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレチック酸、トリヒドロキシブチロフェノン、クェルセチン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、スチルベンオキシド、trans−スチルベンオキシド)がある。
【0169】
抗酸化剤の混合物も、同様に、本発明による化粧用調合物に使用するのに適している。既知の市販混合物は、例えば、有効成分としてレシチン、L−(+)−アスコルビン酸パルミチン酸エステルおよびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)AP)、天然トコフェロール、L−(+)−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)K LIQUID)、天然供給源からのトコフェロール抽出物、L−(+)−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)L LIQUID)、DL−α−トコフェロール、L−(+)−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、クエン酸およびレシチン(例えば、Oxynex(登録商標)LM)、またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L−(+)−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、およびクエン酸(例えば、Oxynex(登録商標)2004)を含む混合物である。この種の抗酸化剤は、通常、この種の組成物中で、式Iの化合物と、1000:1〜1:1000の範囲の、好ましくは100:1〜1:100の量比で使用される。
【0170】
本発明による調合物には、さらなる成分としてビタミン類を含めてもよい。本発明による調合物は、ビタミンA、ビタミンAプロピオネート、ビタミンAパルミテート、ビタミンAアセテート、レチノール、ビタミンB、塩化チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、トコフェロールEアセテート、トコフェロールコハク酸水素、ビタミンK1、エスクリン(ビタミンP有効成分)、チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバラミン(ビタミンB12)、特に好ましくは、ビタミンAパルミテート、ビタミンCおよびその誘導体、DL−α−トコフェロール、トコフェロールEアセテート、ニコチン酸、パントテン酸およびビオチンから選択されるビタミンおよびビタミン誘導体を含むことが好ましい。本発明で、ビタミン類は、通常、式Iの化合物と、1000:1〜1:1000の範囲の、好ましくは100:1〜1:100の量比で使用される。
【0171】
本発明による調合物には、さらなる通常の皮膚保護または皮膚ケア用有効成分をさらに含めることができる。これらの成分は、原則的に、当業者に周知である任意の有効成分でよい。
【0172】
特に好ましい有効成分は、ピリミジンカルボン酸、および/またはアリールオキシムである。
【0173】
ピリミジンカルボン酸は、好塩性微生物中に存在し、これら生物体の浸透度を調節する役割を果たしている(E.A.Galinskiら、Eur.J.Biochem.、149巻(1985年)、135〜139頁)。本発明では、ピリミジンカルボン酸の中で、エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびそれらの誘導体を特に挙げるべきである。これらの化合物は、水溶液および有機溶媒中の酵素およびその他生体分子を安定化する。さらに、これらは、特に、塩、極端なpH値、界面活性剤、尿素、グアニジニウムクロリドおよびその他化合物などの変性条件から酵素を安定化する。
【0174】
エクトイン、およびヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は、有利には、医薬に使用できる。特に、ヒドロキシエクトインは、皮膚疾患を治療するための医薬を調製するのに使用できる。ヒドロキシエクトインおよびその他エクトイン誘導体の別の応用分野は、典型的には、例えば、添加物としてトレハロースが使用される分野である。従って、ヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は、乾燥した酵母およびバクテリア細胞の保護剤として使用できる。非グリコシル化の、薬学的に活性なペプチドおよびタンパク質、例えばt−PAなどの医薬品を、エクトインまたはその誘導体で保護することもできる。
【0175】
化粧への応用の中で、特に挙げるべきは、老化、乾燥または刺激を受けた皮膚のケアのためのエクトインおよびエクトイン誘導体の使用である。例えば、欧州特許出願EP−A−0671161には、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製品、リップスティック、ルージュ、メイクアップ、ケアクリームおよびサンスクリーン調合物などの化粧用調合物にエクトインおよびヒドロキシエクトインを使用することが特に記載されている。
【0176】
本発明では、次式IIIのピリミジンカルボン酸を使用するのが好ましく、
【0177】
【化9】

【0178】
式中、R1は、基HまたはC18アルキルであり、R2は、基HまたはC14アルキル基であり、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ互いに独立に、H、OH、NH2およびC14アルキルからなる群から選択される基である。式中、R2がメチルまたはエチル基であり、かつR1またはR5およびR6がHであるピリミジンカルボン酸を使用するのが好ましい。ピリミジンカルボン酸エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)を使用するのが特に好ましい。本発明による調合物は、この種のピリミジンカルボン酸を、最大15重量%までの量で含むことが好ましい。式Iの化合物との組合せにおいて、ピリミジンカルボン酸は、式Iの化合物に対して100:1〜1:100の比率で使用するのが好ましく、1:10〜10:1の範囲の比率が特に好ましい。
【0179】
アリールオキシムの中では、HMLO、LPOまたはF5としても知られている2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを使用するのが好ましい。それが、化粧用組成物中で使用するのに適していることは、例えば、DE−A−4116123中に開示されている。それゆえ、2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを含む調合物は、炎症に伴う皮膚疾患を治療するのに適している。この種の調合物を、例えば乾癬、各種形態の湿疹、刺激および毒物による皮膚炎、UV皮膚炎、ならびに皮膚および外皮付属物のさらなるアレルギー性および/または炎症性皮膚疾患の治療に使用できることが知られている。式Iの化合物に加え、アリールオキシム、好ましくは2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムをさらに含む本発明による調合物は、驚くべき抗炎症適性を示す。
【0180】
本発明では、調合物が、好ましくは、0.01〜10重量%のアリールオキシムを含み、0.05〜5重量%のアリールオキシムを含む調合物が特に好ましい。
【0181】
調合物中で使用できるすべての化合物または成分は、既知であるか、あるいは商業的に入手可能であるか、あるいは既知の方法によって合成できる。
【0182】
本発明に記載された化合物の他にも、本発明による調合物は、好ましくは式IV、
【0183】
【化10】

【0184】
に一致する少なくとも1種の光安定剤を含んでもよく、式中、
1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2および−C(O)N(R42から選択され、
Xは、OまたはNHであり、
2は、直鎖または分岐のC130アルキル基であり、
3は、直鎖または分岐のC120アルキル基であり、
4はすべて、互いに独立に、Hまたは直鎖または分岐のC18アルキル基であり、
5は、H、直鎖または分岐のC18アルキル基、あるいは直鎖または分岐の−O−C18アルキル基であり、
6は、C18アルキル基であり、
ここで、光安定剤は、特に好ましくは、2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロン酸ビス(2−エチルヘキシル)である。相当する光安定剤およびそれらの調製および使用は、国際特許出願WO03/007906に記載されており、その開示された内容は、明らかに本出願の主題にも属する。
【0185】
本発明による組成物は、当業者に周知の方法、特に、水中油型乳液または油中水型乳液の調製にかなう方法によって調製できる。
【0186】
本発明は、さらに、本発明による抗菌顔料および1種または複数の化粧上または皮膚科学上適切なビヒクルを含む抗菌特性を有する調合物、少なくとも1種の本発明による抗菌顔料を化粧上または皮膚科学上適切なビヒクルと混合することを特徴とする調合物の製造方法、および抗菌特性を有する調合物を製造するための本発明による抗菌顔料の使用に関する。
【0187】
これらの組成物は、特に、クリーム、乳液、ゲル、またはゲル−クリーム、パウダーおよび固形スティックなど、単純または複合乳液(O/W、W/O、O/W/O、またはW/O/W)の形態でよく、所望なら、エアゾールとして処方してもよく、泡またはスプレーの形態でもよい。
【0188】
本発明による化粧用組成物は、サンスクリーンまたはメイクアップ用品のように、UV照射からヒトの表皮または髪を保護するための組成物として使用できる。
【0189】
水中油乳液型のビヒクルを有する日光防護用の本発明による組成物において、水相(特に親水性フィルターを含む)が、一般に、配合物全体を基準にして50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%を構成し、油相(特に親油性フィルターを含む)が、配合物全体を基準にして5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%を構成し、(1種または複数の)(補助)乳化剤が、配合物全体を基準にして0.5〜20重量%、好ましくは2〜10重量%を構成する。
【0190】
例えば、少なくとも1種または複数の式Iの化合物を、通例的方法の化粧または皮膚科学調合物中に組み込むことができる。適切な調合物は、外用のための調合物、例えば、クリーム、ローショまたはゲル、あるいは皮膚に噴霧できる溶液のような形態である。内用には、カプセル、コーティング錠剤、パウダー、錠剤溶液(tablet solution)または溶液などの投与形態が適している。
【0191】
本発明による調合物の適用形態として挙げることのできる例は、溶液、懸濁液、乳液、PIT乳液、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング調合物、オイル、エアゾールおよびスプレーである。その他の適用形態の例が、スティック、シャンプーおよびシャワー調合物である。任意の所望する通例的な賦形剤、補助剤、および望むならさらなる有効成分をその調合物に添加してもよい。
【0192】
好ましい補助剤は、防腐剤、抗酸化剤、安定剤、可溶化剤、ビタミン、着色料および芳香剤からなる群から考案される。
【0193】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルには、通例的賦形剤、例えば、動物および植物脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれら物質の混合物を含めることができる。
【0194】
パウダーおよびスプレーには、通例的賦形剤、例えば、乳糖、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれら物質の混合物を含めることができる。スプレーには、さらに、通例的噴射剤、例えば、クロロフルオロカーボン、プロパン/ブタン、またはジメチルエーテルを含めることができる。
【0195】
溶液および乳液には、溶媒、可溶化剤および乳化剤などの通例的賦形剤、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、オイル特に綿実油、落花生油、小麦麦芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれら物質の混合物を含めることができる。
【0196】
懸濁液には、液状希釈剤などの通例の賦形剤、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、マイクロクリスタリンセルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカントゴム、またはこれら物質の混合物を含めることができる。
【0197】
石鹸には、通例的賦形剤、例えば、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質水解物、イセチオン酸塩、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物エキス、グリセロール、糖、またはこれら物質の混合物などを含めることができる。
【0198】
界面活性剤含有クレンジング用品には、通例的担体、例えば、脂肪アルコール硫酸エステル、脂肪アルコールエーテル硫酸エステル、スルホコハク酸モノエステルの塩、卵白脂肪酸水解物、イソチオン酸塩、イミダゾリウム誘導体、タウリンメチルエステル、サルコシン塩、脂肪酸アミドエーテル硫酸エステル、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物または合成オイル、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、またはこれら物質の混合物などを含めることができる。
【0199】
フェイスおよびボディオイルには、通例的賦形剤、例えば、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーンオイルなどの合成オイル、植物オイルおよび油性植物エキス、パラフィン油またはラノリン油などの天然オイル、あるいはこれら物質の混合物を含めることができる。
【0200】
典型的なさらなる化粧用応用形態は、リップスティック、リップケアスティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドー、ルージュ、パウダーメイクアップ、エマルジョンメイクアップおよびワックスメイクアップ、ならびにサンスクリーン、プレ−サンおよびアフター−サン調合物である。
【0201】
本発明による好ましい調合形態には、特に乳液が含まれる。
【0202】
本発明による乳液は、有利であり、水および乳化剤に加え、この種の調合物に通常使用されるような、例えば、前記の脂肪、オイル、ワックスおよびその他の脂肪性物質を含む。
【0203】
脂質相は、有利には、次の物質群、すなわち、
・ミネラルオイル、ミネラルワックス
・カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリドなどのオイル、さらには、例えばヒマシ油などの天然オイル
・脂肪、ワックスならびにその他の天然および合成脂肪性物質、好ましくは脂肪酸と炭素数の少ないアルコール、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロールとのエステル、または脂肪アルコールと炭素数の少ないアルカンサンもしくは脂肪酸とのエステル
・例えば、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、およびそれらの混合形態から選択できる。
【0204】
本発明の目的では、乳液、オレオゲルまたは水性分散液または油性分散液の油相は、有利には、3〜30個の炭素原子からなる鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐のアルカンカルボン酸と3〜30個の炭素原子からなる鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐のアルコールとのエステル類からなる群から、あるいは、芳香族カルボン酸と3〜30個の炭素原子からなる鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐のアルコールとのエステル類からなる群から選択される。それゆえ、この種のエステル油は、有利には、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、および合成、半合成および天然のこの種のエステルの混合物、例えばホホバ油からなる群から選択できる。
【0205】
油相は、有利には、さらに、分岐または非分岐の炭化水素およびワックス、シリコーンオイル、ジアルキルエーテルからなる群、または飽和および不飽和の、分岐および非分岐のアルコール、および脂肪酸トリグリセリド、とりわけ、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子からなる鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐のアルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルからなる群から選択できる。脂肪酸トリグリセリドは、有利には、例えば、合成、半合成および天然オイル、例えばオリーブオイル、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、菜種油、アーモンド油、パーム油、ココヤシ油、パーム核油などからなる群から選択できる。
【0206】
本発明の目的のために、この種のオイルおよびワックス成分の任意の望ましい混合物を有利に使用できる。また、油相の唯一の脂質成分としてワックス、例えばパルミチン酸セチルを使用することが有利な場合がある。
【0207】
油相は、有利には、イソステアリン酸2−エチルヘキシル、オクチルドデカノール、イソノナン酸イソトリデシル、イソエイコサン、ココヤシ油脂肪酸2−エチルヘキシル、安息香酸C1215アルキル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、およびジカプリルエーテルからなる群から選択される。
【0208】
安息香酸C1215アルキルとイソステアリン酸2−エチルヘキシルとの混合物、安息香酸C1215アルキルとイソノナン酸イソトリデシルとの混合物、および安息香酸C1215アルキルとイソステアリン酸2−エチルヘキシルとイソノナン酸イソトリデシルとの混合物が、特に有利である。
【0209】
炭化水素の中では、パラフィンオイル、スクアランおよびスクアレンが、本発明の目的に有利に使用される。
【0210】
さらに、油相は、有利には、環状または直鎖シリコーンオイルを含んでもよく、あるいはすべてがこの種のオイルから構成されてもよいが、シリコーンオイルまたは複数種のシリコーンオイルに加えて、追加量のその他油相成分を使用するのが好ましい。
【0211】
本発明によって使用できるシリコーンオイルは、有利にはシクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)である。しかし、本発明の目的のためには、その他のシリコーンオイル、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサンまたはポリ(メチルフェニルシロキサン)を使用するのも有利である。
【0212】
シクロメチコンとイソノナン酸イソトリデシルの混合物、およびシクロメチコンとイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物も特に有利である。
【0213】
本発明による調合物の水相には、任意選択で有利には、炭素数の少ないアルコール、ジオールまたはポリオールおよびそれらのエーテル、好ましくは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルまたはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルおよび類似の製品、さらに、炭素数の少ないアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオールまたはグリセロール、ならびに、特に、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖類およびそれらの誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンゴム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から、特に有利にはポリアクリレートからなる群から、好ましくはいわゆるカーボポール、例えばカーボポール銘柄980、981、1382、2984または5984からなる群から、それぞれ個々にまたは組合せで有利には選択できる1種または複数の増粘剤を含める。
【0214】
特に、上に挙げた溶媒の混合物が使用される。アルコール系溶媒の場合には、さらなる構成成分は水でよい。
【0215】
本発明による乳剤が有利であり、その乳剤には、水および乳化剤に加え、この種の配合物に通常使用されるように、例えば、前記の脂肪、オイル、ワックスおよびその他の脂肪物質を含める。
【0216】
好ましい実施形態において、本発明による調合物には親水性界面活性剤を含める。
【0217】
親水性界面活性剤は、好ましくは、アルキルグルコシド、アシルラクチレート、ベタインおよびココヤシアンホアセテートからなる群から選択される。
【0218】
アルキルグルコシドは、それ自体好ましくは、構造式
【0219】
【化11】

【0220】
[式中、Rは、4〜24個の炭素原子を有する分岐または非分岐のアルキル基であり
【0221】
【数1】

【0222】
は2までのグルコシル化度を意味する]で特徴付けられるアルキルグルコシドからなる群から選択される。
【0223】
【数2】

【0224】
値は、本発明により使用されるアルキルグルコシドのグルコシド化度であり、
【0225】
【数3】

【0226】
[式中、p1、p2、p3・・・piは、単一、二重、三重・・・i重にグリコシル化された生成物の重量パーセントでの比率を表す]で定義される。本発明によれば、1〜2、特に有利には1.1〜1.5、極めて特に有利には1.2〜1.4、特に1.3のグルコシル化度を有する生成物が有利である。
【0227】
DP値は、アルキルグルコシドが、それらの調製の結果として、一般には、モノ−およびオリゴグルコシドの混合物の形態である事実を考慮している。本発明によれば、比較的高いモノグルコシド含有量、典型的には40〜70重量%程度が有利である。
【0228】
本発明の目的のために特に有利に使用されるアルキルグリコシドは、オクチルグルコピラノシド、ノニルグルコピラノシド、デシルグルコピラノシド、ウンデシルグルコピラノシド、ドデシルグルコピラノシド、テトラデシルグルコピラノシドおよびヘキサデシルグルコピラノシドからなる群から選択される。
【0229】
天然または合成の原料および補助剤、または本発明により使用される有効含有量の有効成分によって特徴付けられる混合物、例えば、Plantaren(登録商標)1200(Henkel KGaA)、Oramix(登録商標)NS10(Seppic)を使用するのも同様に有利である。
【0230】
アシルラクチレートは、有利には、構造式
【0231】
【化12】

【0232】
[式中、R1は、1〜30個の炭素原子を有する分岐または非分岐のアルキル基であり、M+は、アルカリ金属イオンからなる群、および1種または複数のアルキルおよび/または1種または複数のヒドロキシアルキル基で置換されたアンモニウムイオンからなる群から、または半当量に相当するアルカリ土類金属イオンから選択される]で特徴付けられる物質からなる群から選択される。
【0233】
例えば、ナトリウムイソステアリルラクチレート、例えばAmerican Ingredients Companyの製品Pathionic(登録商標)ISLが有利である。
【0234】
ベタインは、有利には、構造式
【0235】
【化13】

【0236】
[式中、R2は、1〜30個の炭素原子を有する分岐のまたは非分岐のアルキル基であり、R2は、特に有利には、6〜12個の炭素原子を有する分岐または非分岐のアルキル基である]で特徴付けられる物質からなる群から選択される。
【0237】
例えば、カプラミドプロピルベタイン、例えばTh.Goldschmidt AGの製品Tego(登録商標)Betain810が有利である。
【0238】
本発明の目的に有利であるココヤシアンホアセテートは、例えばMiranol Chemical Corp.からMiranol(登録商標)Ultra C32の名称で入手できるようなナトリウムココヤシアンホアセテートである。
【0239】
本発明による調合物は、有利には、親水性界面活性剤(群)が、該組成物の総重量を基準にしてそれぞれ0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の濃度で存在することを特徴とする。
【0240】
使用するには、本発明による化粧または皮膚科学用調合物を、化粧品の通常方法における適切な量で皮膚および/または髪に塗布する。
【0241】
本発明による化粧および皮膚科学用調合物は、様々な形態で存在できる。従って、例えば、溶液、無水調合物、油中水(W/O)型もしくは水中油(O/W)型の乳液またはミクロ乳液、例えば水中油中水(W/O/W)型の多重乳液、ゲル、固形スティック、軟膏、またはエアゾールでよい。また、例えば、コラーゲンマトリックスおよび例えばセルロースカプセル化などのその他通常のカプセル化材料、ゼラチン、ワックスマトリックスまたはリポソームでカプセル化されたカプセル形態のエクトインを投与するのが有利である。特に、DE−A4308282に記載されているようなワックスマトリックスが好ましいことが判った。乳液が好ましい。O/W乳液が特に好ましい。乳液、W/O乳液およびO/W乳液は通常の方法で得ることができる。
【0242】
使用できる乳化剤は、例えば、既知のW/OおよびO/W用乳化剤である。本発明による好ましいO/W乳液では、さらに通常の補助乳化剤を使用するのが有利である。商業的に入手可能な製品、Ceralution C(Sasol)が、乳化剤として特に有利であることが判った。
【0243】
本発明において有利である補助乳化剤は、O/W乳化剤が飽和の基RおよびR’を有する限りは、主として、11〜16のHLB値を有する、特に有利には1
4.5〜15.5のHLB値を有する物質からなる群からのO/W乳化剤である。O/W乳化剤が飽和の基Rおよび/またはR’を有する場合、またはイソアル
キル誘導体の場合には、このような乳化剤の好ましいHLB値は、より低いかより高くてよいこともある。
【0244】
エトキシル化したステアリルアリコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)からなる群から脂肪アルコールエトキシル化物を選択するのが有利である。特に好ましいものを次に挙げる。
ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス−20)、ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス−12)、ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス−20)、ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルエーテル(セテス−20)、ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス−20)、ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス−12)、ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス−13)、ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス−14)、ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス−15)、ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス−12)、ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス−12)、ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエーテル(セテアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエーテル(セテアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエーテル(セテアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエーテル(セテアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエーテル(セテアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエーテル(セテアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエーテル(セテアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエーテル(セテアレス−20)。
【0245】
さらに、次の群から脂肪酸エトキシル化物を選択するのが有利である。
ポリエチレングリコール(20)ステアレート、ポリエチレングリコール(21)ステアレート、ポリエチレングリコール(22)ステアレート、ポリエチレングリコール(23)ステアレート、ポリエチレングリコール(24)ステアレート、ポリエチレングリコール(25)ステアレート、ポリエチレングリコール(12)イソステアレート、ポリエチレングリコール(13)イソステアレート、ポリエチレングリコール(14)イソステアレート、ポリエチレングリコール(15)イソステアレート、ポリエチレングリコール(16)イソステアレート、ポリエチレングリコール(17)イソステアレート、ポリエチレングリコール(18)イソステアレート、ポリエチレングリコール(19)イソステアレート、ポリエチレングリコール(20)イソステアレート、ポリエチレングリコール(21)イソステアレート、ポリエチレングリコール(22)イソステアレート、ポリエチレングリコール(23)イソステアレート、ポリエチレングリコール(24)イソステアレート、ポリエチレングリコール(25)イソステアレート、ポリエチレングリコール(12)オレエート、ポリエチレングリコール(13)オレエート、ポリエチレングリコール(14)オレエート、ポリエチレングリコール(15)オレエート、ポリエチレングリコール(16)オレエート、ポリエチレングリコール(17)オレエート、ポリエチレングリコール(18)オレエート、ポリエチレングリコール(19)オレエート、ポリエチレングリコール(20)オレエート。
【0246】
使用されるエトキシル化アルキルエーテルカルボン酸またはそれらの塩は、有利には、ラウレス−11カルボン酸ナトリウムでよい。有利に使用できるアルキルエーテル硫酸塩は、ラウレス−14硫酸ナトリウムである。有利に使用できるエトキシル化コレステロール誘導体は、ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。また、ポリエチレングリコール(25)ダイズステロールは、好結果を示すことが判明している。有利に使用できるエトキシル化トリグリセリドは、ポリエチレングリコール(60)マツヨイグサ脂肪酸グリセリドである。
【0247】
さらに、ラウリン酸ポリエチレングリコール(20)グリセリル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(21)グリセリル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(22)グレセリル、ラウリン酸ポリエチレングリコール(23)グリセリル、カプリン酸/カプロン酸ポリエチレングリコール(6)グレセリル、オレイン酸ポリエチレングリコール(20)グレセリル、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)グレセリル、オレイン酸/ココヤシ油脂肪酸ポリエチレングリコール(18)グレセリルからなる群からポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルを選択するのが有利である。
【0248】
モノラウリン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(20)ソルビタンからなる群からソルビタンエステルを選択するのが有利である。
【0249】
本発明の目的のためにやはり有利な場合がある任意選択のW/O乳化剤は、次のものである、すなわち、
8〜30個の炭素原子を有する脂肪アルコール類、8〜24個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子からなる鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル類、8〜24個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子からなる鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のジグリセロールエステル類、8〜24個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子からなる鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルコールのモノグリセロールエーテル類、8〜24個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子からなる鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルコールのジグリセロールエーテル類、8〜24個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子からなる鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル類、および、8〜24個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子からなる鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分岐および/または非分岐アルカンカルボン酸のソルビタンエステル類である。
【0250】
特に有利なW/O乳化剤は、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノカプリル酸ソルビタン、モノイソオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸スクロース、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、モノラウリン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリルおよびモノカプリル酸グリセリルである。
【0251】
本発明による好ましい調合物は、ヒトの皮膚を、老化過程から、および酸化ストレスから、すなわち、太陽照射、熱またはその他の影響で生じるようなフリーラジカルにより生じる傷害から保護するために特に適している。その関係で、調合物を、その適用に通常的に使用される各種の投与形態にする。例えば、調合物は、詳細には、クリームまたは乳液(O/W、W/O、O/W/O、W/O/W)の形態、油−アルコール性、油−水性、または水−アルコール性のゲルまたは溶液の形態などのローションまたは乳液の形態、あるいは固形スティックの形態でよく、あるいはエアゾールとして処方できる。
【0252】
調合物には、この種の調合物に通常使用できる化粧品用補助剤、例えば、増粘剤、柔軟剤、保湿剤、界面活性剤、乳化剤、防腐剤、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、組成物自体もしくは皮膚を着色する染料および/または顔料、および化粧品に通常使用されるその他の成分を含めることができる。
【0253】
使用される分散剤または可溶化剤は、オイル、ワックスまたはその他の脂肪性物質、低級モノアルコールまたは低級ポリオール、あるいはそれらの混合物でよい。特に好ましいモノアルコールまたはポリオールには、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、およびソルビトールが含まれる。
【0254】
本発明の好ましい実施形態は、水の存在下に、式Iの化合物(群)に加えて、例えば、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル特に脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然および合成のオイルまたはワックス、および乳化剤を含む保護クリームまたはミルクの形態の乳液である。
【0255】
さらに好ましい実施形態は、天然または合成のオイルおよびワックス、ラノリン、脂肪酸エステル特に脂肪酸のトリグリセリドをベースにした油性ローション、あるいは、エタノールなどの低級アルコール、プロピレングリコールなどのグリセロール、および/またはグリセロールなどのポリオール、ならびにオイル、ワックス、および脂肪酸トリグリセリドなどの脂肪酸エステルをベースにした油性−アルコールローションである。
【0256】
本発明による調合物は、エタノール、プロピレングリコールまたはグリセロールなど、1種または複数の低級なアルコールまたはポリオール、および珪質土などの増粘剤を含むアルコール性ゲルの形態でもよい。油−アルコール性ゲルにも天然または合成のオイルまたはワックスを含める。
【0257】
固体スティックは、天然または合成のワックスおよびオイル、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリンおよびその他の脂肪性物質からなる。
【0258】
調合物をエアゾールとして処方する場合は、アルカン、フルオロアルカンおよびクロロフルオロアルカンなどの通例的な噴射剤が一般に使用される。
【0259】
化粧用調合物は、色の変化、漂白または機械的性質の損傷を回避するために、髪を光化学傷害から保護するのにも使用できる。この場合、適した配合物は、リンス−アウトシャンプー、ローション、ゲルまたは乳液の形態であり、当該調合物は、シャンプーの前もしくは後、染髪または漂白の前もしくは後、あるいはパーマネントウェーブの前もしくは後に付ける。髪を整髪またはトリートメントするためにはローションまたはゲルの形態、ブラッシングまたはブローウェーブのためにはローションまたはゲルの形態、髪のためにはヘアラッカー、パーマネントウェーブ用組成物、着色剤または漂白剤の形態の調合物を選択することも可能である。光防護特性を有する調合物には、式Iの化合物の他にも、界面活性剤、増粘剤、ポリマー、柔軟剤、防腐剤、泡安定剤、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、オイル、ワックス、抗グリース剤、組成物自体または髪を着色する染料および/または顔料、あるいはヘアケアのために通常使用されるその他の成分など、この種の組成物に使用される各種補助剤を含めることができる。
【0260】
上で引用したすべての出願、特許および刊行物のすべての開示を、参照により本明細書に組み込む。
【0261】
本発明による顔料およびその製造方法を、より例示的に説明するが、以下の実施例によって制約されるものではない。
【0262】
実施例
L、aおよびbの測定
使用した無機顔料および抗菌顔料のL、aおよびbの値を、Phyma WICO5&5およびミノルタCR300測定装置で測定した。
【0263】
実施例1
Ag2Oで処理したRonaspheres(登録商標)
30gのRonaspheres(登録商標)(D502.5〜3.5μm、シリカ)を、Ronaspheres(登録商標)を基準にして0.02重量%のAg2Oとホモジナイズする。次いで、混合物に31mlの蒸留水を添加し、次いで16時間撹拌する。反応温度を37℃に保持する。反応混合物の初めの黒色が、反応の終末に無色に変わり、酸化銀が完全に転換したことを示す。懸濁物を濾取し、次いで、水およびアセトンで数回洗浄する。溶媒を蒸発によって除去し、次いで顔料を乾燥する。
【0264】
Ronaspheres(登録商標)とRonaspheres(登録商標)+0.02%Ag2Oを視覚で比較しても、いかなる色の変化も認められない。
【0265】
粉末のL、a、b測定
使用した無機顔料のL、aおよびb値:L=93.5、a=−0.2、b=+0.7
抗菌顔料のL、aおよびb値 :L=93.6、a=−0.2、b=+0.9
実施例2
Ag2Oで処理したTimiron(登録商標)顔料
5gのTimiron(登録商標)Silk Gold(TiO2被覆雲母)を、顔料を基準にして0.02重量%のAg2Oとホモジナイズする。次いで、混合物に11mlの蒸留水を添加し、次いで16時間撹拌する。反応温度を37℃に保持した。反応混合物の初めの黒色が、反応中に最初の顔料の色に変わり、酸化銀が完全に転換したことを示す。懸濁物を吸引濾取し、次いで、水およびアセトンで数回洗浄する。溶媒を蒸発によって除去し、次いで顔料を乾燥する。
【0266】
Timiron(登録商標)Silk GoldのカラーカードとTimiron(登録商標)Silk Gold+0.02%Ag2Oのカラーカードを視覚で比較しても、いかなる色の変化も認められない。
【0267】
粉末のL、a、b測定
使用した無機顔料のL、aおよびb値:L=88.3、a=−2.6、b=10.5
抗菌顔料のL、aおよびb値 :L=88.3、a=−2.5、b=10.6
実施例3
Ag2Oで処理したTimiron(登録商標)顔料
5gのTimiron(登録商標)Starluster MP115(TiO2被覆雲母)を、顔料を基準にして0.02重量%のAg2Oとホモジナイズする。次いで、混合物に11mlの蒸留水を添加し、次いで16時間撹拌する。反応温度を37℃に保持した。反応混合物の初めの黒色が、反応中に顔料の最初の色に変わり、酸化銀が完全に転換したことを示す。懸濁物を吸引濾取し、次いで、水およびアセトンで数回洗浄する。溶媒を蒸発によって除去し、次いで顔料を乾燥する。
【0268】
Timiron(登録商標)Starluster MP115のカラーカードとTimiron(登録商標)Starluster MP115+0.02%Ag2Oのカラーカードを視覚で比較しても、いかなる色の変化も認められない。
【0269】
粉末のL、a、b測定
使用した無機顔料および抗菌顔料のL、aおよびb値(実施例3)
使用した無機顔料について: L=88.4、a=+0.4、b=+3.6
抗菌顔料について: L=88.3、a=+0.4、b=+3.7
実施例4〜5
【0270】
【表7】

【0271】
製造業者
(1)Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2)Vanderbilt
(3)Uniqema
(4)Cognis GmbH
(5)Sasol Germany GmbH
(6)H.Erhard Wagner GmbH
(7)Dow Cornig
調製
ビーガムをA相の水に分散させ、残りの原料を添加して80℃まで加熱する。80℃に加熱されたB相をA相に添加し、続いてホモジナイズする。混合物を40℃まで冷却しながら撹拌する。C相を添加した後、得られる混合物を室温まで冷却し、pHを6.0に調整する。
実施例6〜7
【0272】
【表8】

【0273】
製造業者
(1)Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2)Noveon
(3)Clariant GmbH
(4)Cognis GmbH
調製
顔料をA相の水に分散させる。粘度を下げるためにはクエン酸を添加できる。その後にCarbopolを添加する。完全な溶液になったら、B相を徐々に添加する。A/B相、およびC相を80℃まで加熱し、撹拌しながらC相をA/B相に加えホモジナイズする。次いで、混合物を中和し、D相と一緒にホモジナイズする。撹拌を続けながら混合物を冷却する。
実施例8〜9
【0274】
【表9】

【0275】
製造業者
(1)Merck KGaA/Rona(登録商標)
(2)Noveon
(3)Clariant GmbH
(4)Cognis GmbH
調製
顔料をA相の水に分散させる。粘度を下げるためにはクエン酸を添加できる。その後、Carbopolを添加する。完全な溶液になったら、B相を徐々に添加する。A/B相、およびC相を80℃まで加熱し、撹拌しながらC相をA/B相に加えホモジナイズする。次いで、混合物を中和し、D相と一緒にホモジナイズする。撹拌を続けながら混合物を冷却する。
実施例10
【0276】
【表10】

【0277】
製造業者
(1)Goldschmidt
調製
A相およびB相を別個に80℃まで加熱する。両相を撹拌しないで一緒にし、O/W乳液の形成を回避する。混合物をホモジナイズし、撹拌しながら30℃まで冷却する。C相を40℃未満の温度で添加する。
実施例11
【0278】
【表11】

【0279】
製造業者
(1)Dow Corning
(2)Merck KGaA
調製
透明で粘性のある膨潤が得られるまで撹拌を続けながら、水にセルロースを徐々に添加する。A相にB相を添加し、均一に撹拌する。
実施例12
装飾積層印刷
規準処方:
水ベースグラビア印刷
10% Colorstream(登録商標)F−10−00Autumn Mystery
3% 実施例2の抗菌顔料
43% タンパク質バインダー
15% エタノール
30% 水
実施例13
パッケージ印刷
規準処方:
溶媒ベースグラビア印刷
20% T10−01Colorstream(登録商標)Viola Fantasy
5% 実施例3の抗菌顔料
75% ニトロセルロース/エタノールバインダー
印刷粘度への調整
65%ベースインク(s.a.)
35%エトキシプロパノール
実施例14
紙コーティング
規準処方:
直接塗布
3.6% Colorstream(登録商標)T10−01Viola Fantasy
0.6% 実施例2の抗菌顔料
0.2% ピグメントグリーン7(Flexiverse Green GFD0701)
0.2% ピグメントブルー15:3(Flexiverse Blue BFD1531)
20.4% スチレン/アクリレートコポリマー
75% 水
抗菌性試験
物質の抗菌活性を測定するための標準的手法を使用した(探索試験)。試験微生物の懸濁液(105〜106微生物/ml)を既に供試物質を含む容器中に接種する。接種懸濁液のサンプルを採取し、寒天平板法により微生物の数を測定する。微生物の計数は、t=0、接種後t=24時間、接種後t=48時間、接種後t=7日、接種後t=14日に実施する。
【0280】
8%w/wの処理および無処理キャリアーを含む滅菌水をそれぞれ調べた。
【0281】
【表12】

【0282】
【表13】

【0283】
【表14】

【0284】
抗菌性Timiron(登録商標)Starluster(実施例3)の8%水性懸濁液
接種7日後に微生物の全量が死滅した。
Timiron(登録商標)Starlusterの8%水性懸濁液(盲検値)
この顔料単独ではいかなる殺菌または殺カビ活性も示さない。
抗菌性Timiron(登録商標)Silk Gold(実施例2)の8%水性懸濁液
接種7日後に微生物の全量が死滅した。
Timiron(登録商標)Silk Goldの8%水性懸濁液(盲検値)
この顔料単独ではいかなる殺菌または殺カビ活性も示さない。
【0285】
【表15】

【0286】
【表16】

【0287】
抗菌顔料のバクテリア発育阻止活性(最小阻止濃度(MIC))の測定
MICは、DIN58940および58944に基づいた寒天希釈法を用いて測定した。直径8.5cmのペトリ皿に9mlの新たに調製したミュラーヒントン寒天(Merck社)またはウィルキンズ−チャルグレン寒天(オキソイド、10g寒天−寒天/リットルで補給)を注ぎ、50℃で液状に維持し、これに各種濃度のサンプル希釈液を25%で添加した。サンプル希釈液を調製するために、アクアビデ(Aqua bidest)を用いて固体サンプルの24.3%溶液を調製した。幾何級数的系列で設定されたさらなる試験濃度液を調製するためにアクアビデ(Aqua bidest)を用いて、この溶液の累進的1:2希釈液を作った。試験寒天を用いるさらなる希釈により4分の1の低い最終濃度に到達した。各試験濃度および培地について2つの寒天平板に流し込んだ。
【0288】
固化および乾燥の後、試験平板に1μlの試験微生物懸濁液を接種した。寒天平板をインキュベートし、引き続き評価した。肉眼で増殖が認識できない、有効成分の最小濃度としてMICを示した。
【0289】
結果を以下の表に示す。
【0290】
【表17】

【0291】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または複数の無機顔料および抗菌化合物としての酸化銀を含む懸濁液を撹拌することによって得られる抗菌顔料。
【請求項2】
前記無機顔料が、薄片形状、球状または針状形状であることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌顔料。
【請求項3】
前記無機顔料が、無機白色顔料、無機有色顔料、無機黒色顔料、効果顔料、発光顔料(luminous pigments)、炭酸マグネシウム、雲母、SiO2、TiO2、酸化アルミニウム、ガラス、雲母状酸化鉄、酸化黒鉛、酸化アルミニウム被覆黒鉛、塩基性炭酸鉛、硫酸バリウム、酸化クロムまたはMgOであることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌顔料。
【請求項4】
前記効果顔料が基材をベースとすることを特徴とする、請求項3に記載の抗菌顔料。
【請求項5】
前記基材が、天然または合成雲母、SiO2、TiO2、BiOCl、酸化アルミニウム、ガラス、雲母状酸化鉄、黒鉛、酸化黒鉛、酸化アルミニウム被覆黒鉛、塩基性炭酸鉛、硫酸バリウム、酸化クロム、BN、MgO、フッ化マグネシウム、Si34、および/または金属からなる群から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の抗菌顔料。
【請求項6】
前記基材が、BiOClおよび/または透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の1種または複数の層でさらに被覆されていることを特徴とする、請求項5に記載の抗菌顔料。
【請求項7】
BiOCl、および/または透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の前記1種または複数の層が、屈折率がn>1.8である透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物またはBiOCl、ならびに屈折率がn≦1.8である透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の交互層として配置されることを特徴とする、請求項6に記載の抗菌顔料。
【請求項8】
前記無機顔料の外側層が、透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物および/またはこれら材料の混合物を含むことを特徴とする、請求項6および7に記載の抗菌顔料。
【請求項9】
前記の透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物が、ドーパントとしての有機および/または無機の着色料または成分をさらに含むことを特徴とする、請求項6から8に記載の抗菌顔料。
【請求項10】
前記無機顔料が、金属酸化物、BiOCl、炭酸マグネシウム、黒鉛、酸化黒鉛、酸化アルミニウム被覆黒鉛、塩基性炭酸鉛、硫酸バリウム、BN、フッ化マグネシウム、Si34および/または金属の球状粒子または球状カプセルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗菌顔料。
【請求項11】
前記球状粒子または球状カプセルが、透明、半透明もしくは不透明で、選択的もしくは非選択的吸収性または非吸収性の金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸化物水和物、金属、金属窒化物、金属酸窒化物、金属フッ化物および/またはこれら材料の混合物の1種または複数の層で被覆されていることを特徴とする請求項10に記載の抗菌顔料。
【請求項12】
前記抗菌顔料が、保護被覆層でさらに被覆されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の抗菌顔料。
【請求項13】
前記保護被覆が、シリカ、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミナ、リン酸アルミニウム、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の抗菌顔料。
【請求項14】
使用する無機顔料および抗菌顔料のL、aおよびb値が、L値に対して−6≦ΔL≦6、a値に対して−5≦Δa≦5、およびb値に対して−5≦Δb≦5の最大偏差を有することを特徴とする、請求項1に記載の抗菌顔料。
【請求項15】
前記酸化銀が、ハロゲン化銀、硝酸銀、硫酸銀、カルボン酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、酸化銅、硫化銅、硝酸銅、炭酸銅、硫酸銅、ハロゲン化銅、カルボン酸銅、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、乳酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、またはそれらの組合せで代替されることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌顔料。
【請求項16】
前記抗菌化合物の量が、前記無機顔料を基準にして0.001〜10重量%の範囲、好ましくは0.005〜5重量%の間であることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌顔料。
【請求項17】
1種または複数の無機顔料および抗菌化合物としての酸化銀を含有する懸濁液を撹拌することを含む、抗菌顔料の調製方法。
【請求項18】
前記調製が、水、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノールおよび/またはそれらの混合物中で実施されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
調製温度が10〜60℃の間であることを特徴とする、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記酸化銀が、ハロゲン化銀、硝酸銀、硫酸銀、カルボン酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、酸化銅、硫化銅、硝酸銅、炭酸銅、硫酸銅、ハロゲン化銅、カルボン酸銅、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リン酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、乳酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、ヨウ素酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、またはそれらの組合せで代替されることを特徴とする、請求項17から19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗菌化合物の量が、前記無機顔料を基準にして0.001〜10重量%の範囲、好ましくは0.005〜5重量%の間であることを特徴とする、請求項17から20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗菌顔料が、保護被覆層でさらに被覆されていることを特徴とする、請求項17から20に記載の方法。
【請求項23】
前記保護被覆が、シリカ、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミナ、リン酸アルミニウム、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記被覆が、湿式化学的に実施されることを特徴とする、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
微生物の増殖および/または繁殖を抑制するための、請求項1に記載の抗菌顔料の使用。
【請求項26】
配合物または応用物中での、請求項1に記載の顔料の使用。
【請求項27】
前記配合物および/または応用物が、化粧用配合物、塗料、インク、食品着色料、ホームケア用品、動物ケア用品、個人および職場衛生用品、コンタクトレンズ、クロマトグラフィー材料、医療器具、局所保護剤、医薬特に皮膚科学配合物、ラッカー、被覆物および/またはプラスチックの群から選択されることを特徴とする、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記抗菌顔料が、防腐剤および抗菌剤と組み合わされることを特徴とする、請求項26に記載の使用。
【請求項29】
前記抗菌顔料が、抗生物質と組み合わされることを特徴とする、請求項26に記載の使用。
【請求項30】
前記抗生物質が、β−ラクタム、バンコマイシン、マクロライド、テトラサイクリン、キノロン、フルオロキノロン、ニトロ化化合物、アミノグリコシド、フェニコール、リンコサミド、シナジスチン、ホスホマイシン、フシジン酸、オキサゾリジノン、リファマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、チロシジン、グリコペプチド、スルホンアミドまたはトリメトプリムの群から選択されることを特徴とする、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
口腔ケアのための、請求項1に記載の抗菌顔料の使用。
【請求項32】
ヘルペスの予防および/または治療のための、請求項1に記載の抗菌顔料の使用。
【請求項33】
請求項1に記載の抗菌顔料を含む配合物および/または応用物。
【請求項34】
前記配合物が、微生物に適した基質からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含み、該微生物に適した基質が、官能基を有するまたは有さないアルカン、アルケン、アルキン、糖、ポリオール、アルコール、飽和または不飽和のカルボン酸、タンパク質、アミノ酸、水、脂肪酸、ワックス、脂肪、ミネラルオイル、塩、ホルモン、ステロイド、ビタミンおよび/またはそれらの誘導体もしくは塩から好ましくは選択されることを特徴とする、請求項33に記載の配合物または応用物。

【公表番号】特表2006−523735(P2006−523735A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504829(P2006−504829)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003091
【国際公開番号】WO2004/092283
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】