説明

抗酸化活性を有する本わさび由来の化合物

【課題】天然素材由来の食経験豊富な素材、すなわち、天然の本わさび、特に本わさび葉を原料とし、これから抽出された本わさび由来の化合物を提供し、さらに、この化合物を含有する活性酸素消去作用を呈する抗酸化剤、食品、健康食品または食品添加物、さらには活性酸素消去作用、紫外線吸収作用および紫外線障害抑制作用を呈する化粧料を提供する。
【解決手段】本わさび由来の化合物、特に本わさびの葉から抽出される特定の構造式を有する化合物から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本わさびに含有する活性酸素消去作用を有する化合物およびこの化合物を含有する抗酸化剤、食品、健康食品および食品添加物に関する。
【背景技術】
【0002】
活性酸素は遺伝子や蛋白質を傷害して全身の組織に対して発ガンや様々な疾病の発症または憎悪させるものであり、その体内発生量の抑制や消去は生活の質を高める上で重要なことである。近年、ポリフェノ−ルやカテキン、ビタミンC等の素材が活性酸素を消去し、健康を維持する素材として様々な食品素材や化粧品等に使用されているが、まだまだ新たな活性酸素を消去する素材が求められている。また、消費者の安全志向の高まりから、天然素材由来の抗酸化成分、さらには食経験の豊富な素材からの抗酸化成分が望まれている。
【0003】
活性酸素消去作用を有する化合物、すなわち、抗酸化活性を有する化合物として、従来、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等の化合物が知られている。
【0004】
しかし、これらの化合物はいずれも、天然素材由来の抗酸化成分ではないので消費者の安全志向と一致する化合物ではない。
【特許文献1】特開2001−200250
【特許文献2】特開2003−138258
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は上述の公知技術に存する欠点を改良し、天然素材由来の食経験豊富な素材、すなわち、天然の本わさび、特に本わさび葉から抽出された本わさび由来の化合物を提供し、さらにこの化合物を含有する活性酸素消去作用を呈する抗酸化剤、食品、健康食品または食品添加物、さらには活性酸素消去作用、紫外線吸収作用および紫外線障害抑制作用を呈する化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明の抗酸化活性を有する化合物によれば、
一般式1
【化3】

および一般式2
【化4】

からなる群より選択されることを特徴とする。
【0007】
上述一般式1において、Rは〜Rは、Glu、-OH、-Glu、-O-Glu、Glu-Glu-O-sinapoyl、-O-Glu-sinapoylであって、分子量639〜1169、紫外線吸収が204.0nm〜328.0nmに有する。また、一般式2において、R〜Rは、-H、-OH、-OCH、-sinapoyl、-3,4-dihydroxy-5-methoxycinnamoyl、-feruloyであって、分子量535〜755、紫外線吸収が234.2nm〜332.2nmに有する。
【発明の効果】
【0008】
本わさびは食経験が長く、かつ活性酸素消去作用が高いことに着目し、その有効成分の分離同定を試みた結果、得られた化合物が強い活性酸素消去作用を有することを確認した。
本発明はこの化合物を含有せしめることにより、活性酸素消去作用を呈する抗酸化剤、食品、健康食品、食品添加物として利用され、さらに、この化合物を含有せしめることにより、活性酸素消去作用、紫外線吸収作用、および紫外線障害抑制作用を呈する化粧料として利用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施例により詳述する。
【0010】
本発明にかかる化合物は本わさびを粉砕し、必要に応じて酵素反応等を行い、水または有機溶媒を用いて抽出し、クロマトグラフィー等により分離することにより得られる。粉砕は本わさびを生のまま、あるいは凍結して粉砕してもよく、さらには水や有機溶媒中で粉砕しても良い。粉砕した本わさびを、例えば25℃〜45℃の温度で10分〜3時間程度保温し、酵素反応を起こさせてから抽出を行っても良い。
【0011】
抽出に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソ
プロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、アセトン、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル等を単独もしくは組み合わせて用いる。また抽出は複数回行っても良い。
【0012】
分離の手段としては、カラムや薄層等によるクロマトグラフィーや膜分離を用いることができ、さらにゲル浸透、ゲル濾過等のサイズ排除クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等の方法を用いることができる。
【0013】
ここで用いられる本わさび(Wasabia japonica Matsum)は植物全体を用いることができるが、有効成分の含有量から考えると、葉の部分を用いることが望ましい。
【0014】
また、本発明の化合物の利用形態として、剤形・形態は任意であり、カプセル、粉末、顆粒、固形、液体、ゲル、乳液、クリーム、軟膏、シート、パック等の形態で利用できる。その利用分野は、食品、健康食品、食品添加物、化粧品、医薬品、医薬部外品、塗装材等、例えば、健康食品としてタブレットやカプセル、食品添加物として酸化防止剤、化粧品として化粧水、美容液、乳液、クリーム、ローション等の基礎化粧品類、洗顔料や皮膚洗浄剤、マッサージ用剤、クレンジング用剤、香水、日焼け止めクリーム、シャンプー、リンス、ボディーソープ、固形石鹸、シェービングクリーム、ヘアートニック、育毛・養毛剤、整髪料、浴用剤、制汗剤、防臭剤、ドリンクや製剤等の医薬部外品や医薬品、さらには塗料等の酸化防止剤としても用いることができる。
【実施例1】
【0015】
本わさび葉7.0kgを破砕し、これに36Lのメタノールを加えて3時間室温にて攪拌して抽出液を得る操作を3回繰り返し、濾過後減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結真空乾燥することにより、メタノール抽出物362.8gを得た。
【0016】
得られたメタノール抽出物をヘキサン、酢酸エチル、水にて順次分配し、ヘキサン抽出物107.3g、酢酸エチル抽出物30.0g、水抽出物143.6gを得た。
【0017】
得られた水抽出物をダイアイオンHP−20オープンカラムクロマトグラフィー(三菱化成社製)に負荷し、0%、20%、40%、60%、80%、100%メタノールおよびアセトンで順次溶出し、7つの画分を得た。60%メタノール溶出画分についてメタノール−水系グラジエント溶媒を用いたODSカラムクロマトグラフィーを行った。得られた分画について、アセトニトリル−水系溶媒を用いたRP−18HPLCにより精製したところ、化合物1を22.3mgを得た。化合物1の物性は次のとおりである。
【0018】
化合物1について
黄色無定形固体、分子式C384019、High-Resolution ESL mass spectrometric analysis(HR−ESIMS)m/z 801.2248〔M+H〕、比施光度〔α〕25−155.1°(c0.21、pyridine)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3415、2924、1699、1630、1514、紫外線吸収γmax 324.5nm(logε4.62)、274.0nm(logε4.28)、215.0nm(logε4.70)、H−、13C−NMRは表1に示す。
【0019】
【表1】

【0020】
また、80%メタノール画分についてメタノール−水系グラジエント溶媒を用いた
Sephadex LH−20カラムクロマトグラフィー(ファルマシア社製)およびODSカラムクロマトグラフィーを行った後、RP−18HPLCにより生成したところ、化合物1を60.7mg、化合物2を26.3mg得た。化合物2の物性は次のとおりである。
【0021】
化合物2について
黄色無定形固体、分子式C556028、HR−ESIMS m/z1169.3582〔M+H〕、比施光度〔α〕25−102.5°(c0.35、pyridine)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3421、2924、1699、1695、1641、1510、
紫外線吸収γmax 324.5nm(logε4.56)、275.0nm(logε4.32)、205.0nm(logε4.69)、H−、13C−NMRは表2に示す。
【0022】
【表2】

【実施例2】
【0023】
実施例1で得られた酢酸エチル抽出物をダイアイオンHP−20オープンカラムクロマトグラフィーに負荷し、40%、60%、80%、100%メタノールおよび酢酸エチルで順次溶出し、5つの画分を得た。80%メタノール画分について、クロロホルム−メタノール系グラジエント溶媒を用いたODSカラムクロマトグラフィー、またメタノール−水系グラジエント溶媒を用いたSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーを行った。得られた分画について、アセトニトリル−水系溶媒を用いたRP−18 HPLCにより精製したところ、化合物3を63.0mg、化合物4を5.8mg、化合物5を29.3mg得た。それぞれの化合物の物性は次のとおりである。
【0024】
化合物3について
黄色無定形固体、分子式C323014、HR−ESIMS m/z639.1708〔M+H〕、比施光度〔α〕25−189.7°(c0.18、pyridine)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3415、2924、1699、1630、1514、紫外線吸収γmax 328.0nm(logε4.35)、272.0nm(logε4.11)、214.0nm(logε4.45)、H−、13C−NMRは表3に示す。
【0025】
【表3】

【0026】
化合物4について
黄色無定形固体、分子式C495023、HR−ESIMS m/z1007.2773〔M+H〕、比施光度〔α〕25−107.3°(c0.18、pyridine)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3367、2922、1693、1606、1510、紫外線吸収γmax 327.5nm(logε4.62)、273.0nm(logε4.28)、204.0nm(logε4.70)、H−、13C−NMRは表4に示す。
【0027】
【表4】

【0028】
化合物5について
黄色無定形固体、分子式C495023、HR−ESIMS m/z1007.2899〔M+H〕、比施光度〔α〕25−183.4°(c0.27pyridine)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3417、2925、1695、1630、1512、紫外線吸収γmax 324.5nm(logε4.56)、276.0nm(logε4.31)、205.0nm(logε4.66)、H−、13C−NMRは表5に示す。
【0029】
【表5】

【実施例3】
【0030】
本わさび4.6kgを破砕し、これに36Lのメタノールを加えて3時間室温にて攪拌して抽出液を得る操作を3回繰り返し、濾過後減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結真空乾燥することにより、メタノール抽出物179.8gを得た。
【0031】
得られたメタノール抽出物をへキサン、酢酸エチル、n−ブタノ−ルおよび水にて順次分配し、へキサン抽出物42.4g、酢酸エチル抽出物2.3g、n−ブタノ−ル抽出物14.1g、水抽出物110.1gを得た。
【0032】
得られたn−ブタノ−ル抽出物をダイアイオンHP−20カラムクロマトグラフィーに負荷し、0%、20%、40%、60%、80%、100%メタノールおよびアセトンで順次溶出し、7つの画分を得た。40%メタノール溶出画分についてメタノール−水系グラジエント溶媒を用いたODSカラムクロマトグラフィーを行い、8つの画分を得た。得られた分画について、アセトニトリル−水系溶媒を用いたRP−18 HPLC(関東化学社製)により精製したところ、化合物6を325.4mg、化合物7を66.8mg、
化合物8を4.3mg、化合物9を87.2mg、化合物10を37.3mg、化合物11を25.5mg、化合物12を23.2mg得た。それぞれの化合物の物性は次のとおりである。
【0033】
化合物6について
黄色無定形固体、分子式C334019、HR−ESIMS m/z741.2185〔M+H〕、比施光度〔α〕25−5.6°(c0.50メタノール)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3416、2927、1704、1518、1633、紫外線吸収γmax 329.0nm(logε4.50)、239.4nm(logε4.42)、H−、13C−NMRは表6に示す。
【0034】
【表6】

【0035】
化合物7について
黄色無定形固体、分子式C344219、HR−ESIMS m/z755.2362〔M+H〕、比施光度〔α〕25−8.6°(c0.50メタノール)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3451、2759、1698、1632、1517、紫外線吸収γmax 330.8nm(logε4.50)、239.0nm(logε4.41)、H−、13C−NMRは表7に示す。
【0036】
【表7】

【0037】
化合物8について
黄色無定形固体、分子式C334018、HR−ESIMS m/z747.2128〔M+Na〕、比施光度〔α〕25−10.2°(c0.41メタノール)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3425、2780、1702、1633、1518、紫外線吸収γmax 327.2nm(logε4.51)、238.2nm(logε4.37)、H−、13C−NMRは表8に示す。
【0038】
【表8】

【0039】
化合物9について
黄色無定形固体、分子式C323818、HR−ESIMS m/z733.2011〔M+Na〕、比施光度〔α〕25−5.4°(c0.35メタノール)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3423、2703、1703、1631、1516、紫外線吸収γmax 330.6nm(logε4.50)、239.8nm(logε4.31)、H−、13C−NMRは表9に示す。
【0040】
【表9】

【0041】
化合物10について
黄色無定形固体、分子式C323819、HR−ESIMS m/z749.1880〔M+Na〕、比施光度〔α〕25−7.8°(c0.55メタノール)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3335、2903、1706、1627、1516、紫外線吸収γmax 331.2nm(logε4.46)、238.8nm(logε4.38)、H−、13C−NMRは表10に示す。
【0042】
【表10】

【0043】
化合物11について
黄色無定形固体、分子式C323818、HR−ESIMS m/z733.1956〔M+Na〕、比施光度〔α〕25−9.0°(c0.15メタノール)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3633、2927、1704、1602、1518、紫外線吸収γmax 328.6nm(logε4.41)、234.2nm(logε4.28)、H−、13C−NMRは表11に示す。
【0044】
【表11】

【0045】
化合物12について
黄色無定形固体、分子式C223015、HR−ESIMS m/z557.1493〔M+Na〕、比施光度〔α〕25−12.3°(c0.70メタノール)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3378、2733、1703、1632、1517、紫外線吸収γmax 332.2nm(logε4.301)、239.4nm(logε4.15)、H−、13C−NMRは表12に示す。
【0046】
【表12】

【実施例4】
【0047】
実施例1で得られた酢酸エチル抽出物30.0gを、ダイアイオンHP−20カラムクロマトグラフィーに負荷し、40%、60%、80%、100%メタノールおよび酢酸エチルで順次溶出し、5つの画分を得た。60%メタノール溶出画分についてメタノール−水系グラジエント溶媒を用いたODSカラムクロマトグラフィーを行った後、メタノール−水系溶媒を用いたSephadex LH−20カラムクロマトグラフィーを行った。得られた分画について、アセトニトリル−水系溶媒を用いたRP−18HPLCにより精製したころ、化合物13を8.8mg得た。化合物13の物性は次のとおりである。
【0048】
化合物13について
黄色無定形固体、分子式C344219、HR−ESIMS m/z777.2316〔M+Na〕、比施光度〔α〕25−10.2°(c0.37メタノール)、赤外線吸収スペクトルγmax(cm−1)3408、2929、1695、1631、1514、紫外線吸収γmax 328.0nm(logε4.52)、239.0nm(logε4.47)、H−、13C−NMRは表13に示す。
【0049】
【表13】

【実施例5】
【0050】
前述の方法により得られた化合物1〜13について、スーパーオキシドアニオンラジカル消去活性を電子スピン共鳴(ESR)装置JES−FR30(日本電子社製)を用いて測定した。側定方法は、5.5mMジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)35μL、9.2M 5,5−ジエチル−1−ピロリン−N−オキシド(DMPO)15μL、2.0mMヒポキサンチン(HPX)50μLを取り、ジエチルスルフォキシド(DMSO)に溶解させた試料50μLを添加した。続いて、0.4U/mLキサンチンオキシダ−ゼ(XOD)を添加し、数秒攪拌した後、試験溶液をESR用扁平セルに移し、XODを添加した45秒後に測定を開始した。ESRの測定条件は、Micro Wave:9.4GH、Power:4mW、C.Fild:335.654mT、Sw.Wld:5mT、Sw.Time 1 min. ModWid: 0.1mT、Amplitude : 160, TimeC : 0.1sec, Accum : 1である。
【0051】
抗酸化活性の強さは、スーパーオキシドラジカルを50%消去する化合物濃度(IC50値)が0.001mM〜0.01mMをA、0.01mM〜0.1mMをB、0.1mM〜1.0mMをC、1.0mM〜10mMをDとして評価した。
【0052】
その結果を表14に示す。
【0053】
【表14】

【0054】
〔結果〕
表14より、実施例1〜4より得られた化合物において、アスコルビン酸やカフェ酸等の既知の抗酸化物質と同等以上の強い抗酸化性を有することが明らかとなった。
【実施例6】
【0055】
紫外線障害に対する作用
表皮細胞をHumedia KG2を用いて96穴マイクロプレートにほぼ全面に広がるまで播種した。播種後、実施例1〜4で得られた化合物を培地に所定濃度になるように添加し、24時間培養した。その後、東芝FL−SEランプを光源とするUVBを所定エネルギー細胞に照射した。アルミ箔にてカバーし、UVBを遮蔽したUVB未照射細胞をコントロールとした。照射後、さらに24時間培養した。次に細胞を20μg/ml ニュートラルレッド(NR)含有KG2培地にて2時間培養した。生細胞が取り込んだNRの量を30%エタノール含有0.1N HCl溶液を用いて溶解した細胞溶解液を550nmでの吸光度を測定することにより求めた。細胞の生存率はコントロール細胞の吸光度を100とした百分率で表した。結果を表15に示した。
【0056】
【表15】

【0057】
〔結果〕
表15より、化合物1〜13において、0.01μg/ml〜1000μg/mlの範囲で、紫外線の照射による障害を抑制する作用を有することが明らかとなった。
【実施例7】
【0058】
美容液
1.精製水 52.15% (重量%)
2.グリセリン 10.0%
3.ショ糖脂肪酸エステル 1.3%
4.カルボキシビニルポリマー 17.5%
5.アルギン酸ナトリウム 15.0%
6.モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0%
7.コラーゲン 1.0%
8.化合物7 0.05%
9.スクワラン 1.0%
10.ミツロウ 1.0%
製法:1〜8の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。9、10の油相成分を75℃にて加熱溶解させ、両者を混合して予備乳化を行う。その後、ホモミキサーにて均一に乳化させ、冷却して美容液とした。
【実施例8】
【0059】
クリーム
1.スクワラン 10.0% (重量%)
2.ステアリン酸 2.0%
3.水素添加パーム油 0.5%
4.親油性モノステアリン酸グリセリン 2.0%
5.グリセリン 12.0%
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.1%
7.ヒアルロン酸 2.0%
8.アルギニン 13.0%
9.精製水 43.34%
10.カルボシキビニルポリマー 15.0%
11.化合物6 0.01%
製法:1〜4の油相成分を混合し、80℃にて加熱溶解する。5〜11の水相成分を75℃にて加熱溶解させ、両者を混合して予備乳化を行う。その後、ホモミキサーにて均一に乳化させ、冷却してクリームとした。
【実施例9】
【0060】
本発明の実施例7、8を併用して使用試験を実施した。評価項目はシワ、タルミ、シミ、クスミについて改善効果を自己評価した。比較例として、わさび成分を配合しない美容液とクリームをブラインドで使用した。
【0061】
本美容液を用いて40歳〜60歳のパネラー24名に1ケ月使用してもらい、使用前後の評価を改善した、やや改善した、変化なしの三段階で評価した。結果を表16に示す。
【0062】
【表16】

【0063】
〔結果〕
表16より明らかなように、わさび成分を配合した美容液とクリームを使用した場合、シワやタルミ、シミ、クスミといった皮膚老化に関する評価に改善が見られた。
【実施例10】
【0064】
実施例3により得た化合物を使用して以下配合で抗酸化性を有する錠剤型の健康食品を作った。
グラニュー糖 85部
濃縮果汁 6.99部
クエン酸 6部
香料 2部
化合物10 0.01部
【0065】
本健康食品の抗酸化作用をESRにより測定した。測定方法は健康食品10g(50粒)を乳鉢ですりつぶし、10倍量の水に溶解させた。遠心分離を行った後、上清を測定試料として用いた。ESRの測定方法は実施例5と同様である。
【0066】
〔結果〕
その結果、IC50値として12.8mMの抗酸化力を示した。このことより、化合物10は食品としての加工適性を有し、健康食品としての加工だけでなく、食品としての利用も可能である。
【実施例11】
【0067】
化合物2、3、5、10を油脂に0.1%添加して分散させ、温度180℃で5分間加熱した後の油脂につき、基準油脂分析法2.4.12〜17に準拠して油脂の過酸化物価(POV)を測定した。結果を表17に示した。
【0068】
【表17】

【0069】
化合物2、3、5、10は明らかに油脂の酸化を抑制した。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明により、本わさびから強い抗酸化作用を有する化合物を提供することができ、食品や健康食品、食品添加物、化粧品等の幅広い用途への利用が可能となり、これらの分野における産業上の利用性が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式 1
【化1】

および一般式2
【化2】

からなる群より選択される本わさび由来の化合物。
ただし、一般式1において、RはGlc(グルコース)、Rは−O−Gluであって、分子式がC384019で示され、分子量801、紫外線吸収が324.5nm、274.0nm、215.0nmに有する。また、一般式2において、RはOH、RはOCH、Rはシナポイル(sinapoyl)、RはHであって、分子式がC334019で示され、分子量741、紫外線吸収が329.0nm、239.4nmに有する。
【請求項2】
請求項1の、一般式1中、RはGlc−Glc−O−sinapoyl、Rは−O−Glcであって、分子式がC556028で示され、分子量1169、紫外線吸収が324.5nm、275.0nm、205.0nmに有する本わさび由来の化合物。
【請求項3】
請求項1の、一般式1中、RはGlc、RはOHであって、かつ分子式がC323014で示され、分子量639、紫外線吸収が328.0nm、272.0nm、214.0nmに有する本わさび由来の化合物。
【請求項4】
請求項1の、一般式1中、RはGlc、Rは−O−Glc−sinapoylであって、かつ分子式がC495023で示され、分子量1007、紫外線吸収が327.5nm、273.0nm、204.0nmに有する本わさび由来の化合物。
【請求項5】
請求項1の、一般式1中、RはGlc−Glc−O−sinapoyl、RはOHであって、かつ分子式がC495023で示され、分子量1007、紫外線吸収が324.5nm、276.0nm、205.0nmに有する本さわび由来の化合物。
【請求項6】
請求項1の、一般式2中、RはOCH3、はOCH、Rはsinapoyl、RはHであって、かつ分子式がC344219で示され、分子量755、紫外線吸収が330.8nm、239.0nmに有する本わさび由来の化合物。
【請求項7】
請求項の、一般式2中、RはOCH3、はH、Rはsinapoyl、RはHであって、かつ分子式がC334018で示され、分子量725、紫外線吸収が327.2nm、238.2nmに有する本わさび由来の化合物。
【請求項8】
請求項1の、一般式2中、RはOHはH、Rはsinapoyl、RはHであって、かつ分子式がC333818で示され、分子量711、紫外線吸収が330.6nm、239.8nmに有する本わさび由来の化合物。
【請求項9】
請求項1の、一般式2中、RはOH、RはOCH3、は3,4−dihydroxy−5−methoxycinnamoyl、RはHで、かつ分子式がC323819で示され、分子量727、紫外線吸収が331.2nm、238.8nmに有する本わさび由来の化合物。
【請求項10】
請求項1の、一般式2中、RはOH、RはOCH3、はferuloyl、RはHであって、かつ分子式がC323818で示され、分子量711、紫外線吸収が328.6nm、234.2nmに有する本わさび由来の化合物。
【請求項11】
請求項1の、一般式2中、RはOH、RはOCH3、はH、RはHであって、かつ分子式がC223015で示され、分子量535、紫外線吸収が332.2nm、239.4nmに有する本わさび由来の化合物。
【請求項12】
請求項1の、一般式2中、RはOCH、RはOCH3、はH、Rはsinapoylであって、かつ分子式がC344219で示され、分子量755、紫外線吸収が328.0nm、239.0nmに有する本由来の化合物。
【請求項13】
請求項1の化合物が本わさび葉から抽出される請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1の化合物を含有する活性酸素消去作用を呈する抗酸化剤、食品、健康食品または食品添加物。
【請求項15】
請求項1の化合物を含有する活性酸素消去作用、紫外線吸収作用および紫外線障害抑制作用を呈する化粧料。

【公開番号】特開2006−69982(P2006−69982A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257321(P2004−257321)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年3月5日 日本薬学会第124年会組織委員会発行の「日本薬学会第124年会要旨集」に発表
【出願人】(591011007)金印株式会社 (20)
【Fターム(参考)】