説明

携帯情報端末および携帯情報端末による位置の記録方法

【課題】自動で目的地を次々と更新しておき、後に遡って位置検索や経路誘導が可能な携帯情報端末を提供する。
【解決手段】運転者が携帯電話機50を携行して車両から降りた際、あるいは携帯電話機50を持ったままでその速度が変化した場合、あるいは万歩計80の使用を開始した場合に、それに連動してナビゲーションモジュール92によって位置検出を行なうとともに、検出された位置を記憶手段に記憶しておき、これによって経路誘導の目的地とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯情報端末および携帯情報端末による位置の記録方法に係り、とくに持運び可能な携帯情報端末と、このような携帯情報端末を用いた位置の記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機がナビゲーションの機能を備える場合には、このナビゲーションの機能を利用して、ユーザに対して経路誘導を行なうことが可能になる。このような経路誘導を行なう場合には、ユーザが予め目的地を何等かの方法によって入力することが必要になる。すなわち特定の動作を行なった場合に、この動作に応じて目的地が自動的に設定されるようにはなっていない。また自動で目的地を次々と更新しておき、後に遡って位置検索を行なったり、経路誘導を行なったりするものがなかった。そのために、例えば自転車等を駅の周辺に放置した際には、自分がどこに自転車を停めたかを携帯電話機のナビゲーション機能によって知ることができなかった。また上記の自転車を停めた位置を検索する手段がなかった。従って上記の位置を検索し、家族等にその位置を知らせて取りに行ってもらう手段がなかった。
【0003】
なお特開2004−20304号公報には、サーバが、ユーザによる車載端末の操作によってこの車載端末から送信された記憶地点であって、操作時における車載端末の現在地の位置情報を受信し、これを記憶する記憶手段と、降車検出手段によってユーザが車から降車したことを検出したときに、記憶地点の位置情報、又はその降車地点から記憶地点までの経路情報を、携帯端末に送信する情報送信手段を備えた情報処理装置が開示されている。
【0004】
このような装置は、車載端末によって、インターネット通信網を介して位置情報センタから情報を得、この情報を携帯電話機等の携帯情報端末に送信するものであって、車載端末とサーバと携帯端末との連携動作によってのみ、位置検出が行なわれる欠点がある。すなわち携帯情報端末単独のみによっては、位置の記録や経路案内を行なうことができない。
【0005】
また特開2006−33008号公報には、自己情報を記憶する自己情報記憶部と、位置情報を取得する位置情報取得部と、この位置情報取得部が取得した上記位置情報を記憶する位置情報記憶部と、緊急発信情報を記憶する緊急連絡先記憶部と、この緊急連絡先記憶部に記憶された緊急発信情報を用いて相手通信端末に発信し、自己情報を記憶部に記憶された上記自己情報及び位置情報記憶部に記憶された位置情報を相手通信端末に送信する送信部とを備えた携帯通信端末が開示されている。
【0006】
このような端末は、位置の記録を、他の外部機器との連携動作によって、しかも自動で記録することができない。例えば車を降りたときに、その地点の位置情報を自動的に記録することができない。あるいはまた、移動速度が変化したときに、この速度の変化を検出し、これによってその位置を自動的に記録することができない。
【特許文献1】特開2004−20304号公報
【特許文献2】特開2006−33008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明の課題は、位置を検出して記録し、しかも上記の位置までの経路が案内されるようにした携帯情報端末と、その位置の記録方法を提供することである。
【0008】
本願発明の別の課題は、外部との通信が遮断されたときに、その位置を自動的に記録するようにした携帯情報端末と、その記録方法を提供することである。
【0009】
本願発明のさらに別の課題は、速度が変化した場合に、その位置を自動的に記録するようにした携帯情報端末と、その記録方法を提供することである。
【0010】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の主要な発明は、持運び可能な携帯情報端末において、
位置を検出して記録する位置記録手段と、
前記位置記録手段によって記録された位置までの経路を案内する経路案内手段と、
外部機器との通信手段と、
を具備し、前記通信手段による外部機器との間の通信が遮断されたときに、位置を検出して記録することを特徴とする携帯情報端末に関するものである。
【0012】
ここで、前記携帯情報端末が携帯電話機であってよい。また前記位置がナビゲーションシ機能によって検出されてよい。また車両に搭載された車載機器との間の近距離の無線通信手段を備え、該無線通信手段による無線通信が遮断したときに、位置を検出して記録するようにしてよい。また速度を検出する速度検出手段を備え、速度の変化が検出された場合に、位置を記録するようにしてよい。また速度を検出する速度検出手段と、決済機能を有する手段とを備え、速度の変化が検出された場合に位置と決済とを記録するようにしてよい。また非接触で通信を行なうICカードを備え、該ICカードによって決済が行なわれてよい。
【0013】
位置の記録方法に関する主要な発明は、持運び可能な携帯情報端末による位置の記録方法において、
外部との通信が遮断したときに位置を記録することを特徴とする位置の記録方法に関するものである。
【0014】
記録方法に関する別の発明は、持運び可能な携帯情報端末による位置の記録方法において、
移動速度が変化したときに位置を記録することを特徴とする位置の記録方法に関するものである。
【0015】
記録方法に関するさらに別の発明は、持運び可能な携帯情報端末による位置の記録方法において、
外部との通信手段が遮断したときに、または移動速度が変化したときに位置を記録するとともに、記録された位置に経路案内を行なうことを特徴とする位置の記録方法に関するものである。
【0016】
本願発明の好ましい態様は、位置を検出し、誘導可能な通信情報端末であって、車載端末からの通信が故意または自然に途絶えた際に、その位置を自動で記録することができるとともに、上記自動記録位置までの経路誘導を可能にするようにした携帯情報端末である。また、移動速度等からユーザが乗物に乗っていることを検出しておき、移動速度、または万歩計等の歩行検出手段から歩行への切替わりを検出し、上記の移動手段の切替わり毎に、マーキングしておくことによって、自転車のような通信機器を有しない移動手段に乗っていた際に、その駐輪位置までの誘導を容易にするものである。なお公共交通手段等との差異は、携帯端末に装備されたICチップ等で検出することによって除外することができる。また電子決済等を併用した際には、記録として、タクシーから降りて歩行した、といった情報の記録を行なうことが可能になる。
【0017】
このような態様によると、従来の携帯情報端末では不可能であった、自動マーク機能を実現することができる。また自分の行動歴を意識することなく記録することが可能になる。これは携帯情報端末に記録しても、または任意のサーバー等に残すことも可能で、またそれについて、他人に知られることを避けることも勿論可能である。その結果、自分が駐車した位置等を容易に検出可能となる他、タクシー等を降りてから財布が見つからない、等の場合にも、どの辺りかを容易にナビゲーションして再度赴くことが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本願の主要な発明は、持運び可能な携帯情報端末において、位置を検出して記録する位置記録手段と、位置記録手段によって記録された位置までの経路を案内する経路案内手段と、を有するようにしたものである。
【0019】
従ってこのような携帯情報端末によると、位置記録手段によって位置が検出されて記録される。そして記録された位置までの経路が経路案内手段によって行なわれる。
【0020】
記録方法に関する一発明は、持運び可能な携帯情報端末による位置の記録方法において、外部との通信が遮断したときに位置を記録するようにしたものである。
【0021】
従ってこのような記録方法によると、外部との通信が遮断されたときに、その位置を自動的に記録することができ、このために車を降りて車載機器との間での近距離無線通信が遮断された場合には、その位置が自動的に記録されることになる。これによって降車位置の自動記録が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。図1は本実施の形態の携帯情報端末と車載機器との連動関係を示している。自動車の運転席35と助手席36の前方には、インストルメントパネル37が配されており、このインストルメントパネル37上には、エンジンの回転数を表示する回転計や、車両の走行速度を表示する速度計、その他各種の計器類が配されている。さらにこのインストルメントパネル37、あるいはコンソールパネル上であって、運転席35と助手席36との中間位置の前方には、車載機器10が配されている。この車載機器10は、カーナビゲーション機能を実現するためのナビゲーションモジュールを備えるとともに、液晶表示装置から成る表示部24によって、地図上に自車位置を表示し、さらに目的地が入力された場合には、目的地に対する誘導路を示す矢印が表示されるようになっている。またこの車載機器10と携帯電話機50とは、例えばBluetooth(登録商標)のような近距離無線通信手段によって無線通信が行なわれるようになっている。
【0023】
次にBluetoothモジュール13を備える車載オーディオ機器10の構成について、図3を参照しながら説明する。この車載オーディオ機器10は、ラジオチューナ11、CD(コンパクトディスク)モジュール12、Bluetooth(登録商標)モジュール13、電子ボリューム14、増幅器15、制御部21、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)22、操作部23および表示部24を備える。また、電子機器1の前面には、操作パネルが設けられ、操作部23として音源の切換えや音量調整等の各種の操作を行なうための操作子と、表示部24とが設けられている。
【0024】
ラジオチューナ11には、外部に設けられたアンテナ16が接続され、アンテナ16で受信したAM(Amplitude Modulation)放送や、FM(Frequency Modulation)放送等のラジオ放送の電波が供給される。ラジオチューナ11は、所定の変調処理が施された電波に対して所定の復調処理を施して音声信号を取得する。得られた音声信号は、電子ボリューム14に供給される。なおアンテナ16は、電子機器10の内部に設けられるようになってもよい。
【0025】
CDモジュール12は、ディスク状記録媒体17に書込まれているオーディオ信号を読出し、読出したオーディオ信号に対して所定の信号処理を施して音声信号を取得する。得られた音声信号は、電子ボリューム14に供給される。
【0026】
Bluetoothモジュール13は、Bluetooth方式の近距離無線通信による送受信が可能なモジュールであり、スレーブ機器としての外部のBluetooth機器に対するデータのやり取りを行なう。Bluetoothモジュール13には、図示しないが、アンテナ、受信部および送信部が内蔵されている。例えば上記携帯電話機70のハンズフリー機能を用いて受話する場合や携帯型オーディオプレーヤから音楽データを受信する場合等、外部のBluetooth機器からデータを受信する場合、Bluetoothモジュール13は、外部のBluetooth機器から送信された音声データや音楽データを内蔵されたアンテナで受信し、内蔵された受信部に供給する。そして、受信部において、音声データや音楽データに対して所定の信号処理を施すことによって音声信号を生成し、電子ボリューム14に供給する。
【0027】
また、例えば携帯電話機70のハンズフリー機能を用いて送話する場合等、外部のBluetooth機器に対してデータを送信する場合は、外部に接続されたマイクロホン18は、外部の音声を取得し、音声信号に変換する。変換された音声信号は、Bluetoothモジュール13に供給される。Bluetoothモジュール13は、内蔵された送信部において、マイクロホン18から供給された音声信号に対して所定の信号処理を施すことによって音声データを生成する。生成された音声データは、内蔵されたアンテナを介して外部のBluetooth機器に対して送信される。
【0028】
電子ボリューム14は、制御部21の制御に基づき、ラジオチューナ11、CDモジュール12およびBluetoothモジュール13の内のいずれかから供給された音声信号を増幅して音量を調整する。音量が調整された音声信号は、増幅部15に供給される。増幅部15は、電子ボリューム14から供給された音声信号を所定に増幅し、スピーカ19に供給する。スピーカ19は、増幅部15から供給された音声信号を外部に音声として出力する。
【0029】
操作部23は、操作パネルに設けられたダイヤルキーや各種のボタン等の操作子から成り、例えば、ユーザが操作パネルの操作子を操作することにより、操作に応じた操作情報を生成し、生成された操作情報を制御部21に供給する。操作情報には、例えば、音源情報や音量情報が含まれている。
【0030】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等から成る。ROMには、CPU上で動作されるプログラムや動作のために必要なデータが予め記録される。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに記録されたプログラムやデータを必要に応じて読出し、RAMをワークメモリとして用いながら、この電子機器10の各部を制御する。
【0031】
具体的には、例えば、制御部21は、操作部23から供給される操作情報に含まれる音源情報に基づき、ラジオチューナ11、CDモジュール12およびBluetoothモジュール13の内、再生する音源を選択し、選択された音源から音声信号を出力するように各部を制御する。また、例えば、制御部21は、操作情報に含まれる音量情報に基づき電子ボリューム14における音量調節を制御する。さらに、例えば、制御部21は、ユーザによる操作部23に対する操作に応じて、表示部24の表示の制御を行なう。
【0032】
制御部21は、例えば電子機器10に対してBluetooth機器を新規に接続する場合、接続されたBluetooth機器を識別できる機器情報をBluetooth機器から受取り、EEPROM22に格納する。また、制御部21は、電子機器10に対して一度接続されたことがあるBluetooth機器を再度接続する場合は、EEPROM22から機器情報を読出し、この機器情報に基づきBluetoothモジュール13を制御する。
【0033】
また、例えば、音源としてラジオが選択された状態で、ユーザが操作パネルを操作して、所定の周波数を選択した場合に、制御部21は、EEPROM22に格納されている周波数情報を読出し、この周波数情報に基づき選択された放送局に対する周波数の電波を受信するようにラジオチューナ11を制御する。
【0034】
ここで、機器情報は、Bluetooth機器を識別できる情報であり、例えばBluetooth機器の機器名称や、BDアドレス、機器同士の接続の際に認証パスワードとして用いられるパスキー等の機器固有の情報である。この機器情報が、後述する操作パネルに設けられたプリセットボタンにそれぞれ対応付けられて記述されている。また、周波数情報は、ラジオ放送の各放送局を特定できる情報であり、例えば、各放送局の周波数がプリセットボタンにそれぞれ対応付けられて記述されている。
【0035】
EEPROM22は、不揮発性メモリであり、Bluetooth機器に関する情報である機器情報やラジオ放送の周波数情報といった各種のデータが格納される。そして、格納された機器情報や周波数情報が制御部21からの要求に応じて読出され、制御部21に供給される。
【0036】
なお、機器情報等の各種データの格納場所は、EEPROM22に限られない。例えば、制御部21に設けられたRAMやROMが、不揮発性のRAMや電源が不要なフラッシュ型のROMである場合には、各種データをこのRAMやROMに格納するようにしてもよい。
【0037】
表示部24は、操作パネルに設けられ、制御部21による制御に基づき、ラジオの周波数やCDの再生時間、トラック番号、接続されたBluetooth機器の機器名称等の情報を表示する。また、表示部24には、電子機器10とBluetooth機器との接続処理状態を示す情報が表示される。
【0038】
ここで、Bluetooth方式の近距離無線について概略的に説明する。Bluetoothは、ISM(Industrial Science and Medical)帯の周波数帯を用い、半径10m〜100m程度の範囲で通信を行なうための無線通信方式である。Bluetoothでは、ピコネットとスキャッタネットと呼ばれる2種類の接続方式により、複数の電子機器を接続するようにしている。
【0039】
ピコネットは、1台のマスター機器の周囲約10m以内の距離に、スレーブ機器を最大7台まで同時接続する接続方式である。ピコネットは、マスター機器に対して複数のスレーブ機器が接続されるために、スレーブ機器間でのデータ等のやり取りは、マスター機器を介して行なわれる。スキャッタネットは、このピコネット同士を連結して構成される接続方式であり、約100m程度の範囲で連結した無線接続を実現できるようになっている。
【0040】
さらにこの車載機器10は、ナビゲーションモジュール28を備えている。このナビゲーションモジュール28は、経路案内を行なう通常の車載用ナビゲーション機器としての機能を車載機器10に与えるものである。すなわちナビゲーションモジュール28は、アンテナ30によって、複数の衛星から電波を受信し、これらの受信電波に基づいて、現在位置の演算処理を行ない、これによってこの車載機器が搭載された車両の位置を検出する。またこのナビゲーションモジュール28には記憶部29が接続されている。記憶部29は、例えばハードディスクドライブから構成され、そのハードディスク上に地図情報が書込まれている。
【0041】
従ってナビゲーションモジュール28は、上記記憶部29に書込まれている地図情報を読出すとともに、表示部24によって表示する。さらにナビゲーションモジュール28が衛星電波を基に演算処理した車両の現在位置を、上記表示部24上の地図上に表示する。さらに、操作部23によって目的地が入力された場合には、この目的地への経路誘導を行なうための矢印が、上記地図上になされる。従って運転者は、このナビゲーションモジュール28による経路案内を表示部24によって参照しながら、目的地に向けて運転を行なうことが可能になる。
【0042】
次に上記車載機器10と無線通信手段を介して情報の授受を行なう携帯電話機50について、図3により説明する。この携帯電話機50は、データバス51を備え、このデータバス51には、CPU(Central Processing Unit)52、ROM(Read Only Memory)53、RAM(Random Access Memory)54がそれぞれ接続されている。CPU52は、全体の制御を行なうためのものである。ROM53は、この携帯電話機50の制御プログラムを格納している。またRAM54は、CPU52に対してワーキングエリアを構成する記録手段である。
【0043】
携帯電話機50は、無線機57を備えている。無線機57は、受信部58と、送信部59と、シンセサイザ60と、アンテナ61とを備え、外部の基地局との間でデジタル信号の送受信を行なう。
【0044】
信号処理部63は、変復調器64と、AD/DA変換器65と、音声コーデック66とを備えている。この信号処理部63の変復調器64で、送信する音声信号を変調し、あるいはまた受信した信号を復調する。また送信する信号は、AD/DA変換器65でデジタル信号に変換され、受信した信号はAD/DA変換器65でアナログ信号に変換される。そして信号処理部63には、音声を出力するスピーカ67と、音声を入力するマイク68とが接続されている。
【0045】
またデータバス51には、入力操作部71が接続されている。この入力操作部71はジョグダイヤル72と、複数のボタン73とを備えている。ジョグダイヤル72は、メニューの選択を行なう操作手段である。これに対してボタン73は、例えばキー入力を行なう入力操作手段である。
【0046】
またデータバス51には、表示制御部76が接続され、この表示制御部76によって制御されるように、LCDから成る表示パネル77が接続されている。この表示制御部76は、上記の入力操作部71による入力操作に応じた各種の表示を行なうディスプレイ手段を構成している。
【0047】
さらにデータバス51には、映像処理部95が接続されるとともに、映像処理部95には、CCDカメラ96が接続されている。CCDカメラ96は、入力操作部71のジョグダイヤル72の操作に応じて映像を取込むとともに、この取込まれた映像を映像処理部95で処理し、記憶部に記憶し、あるいはまた信号処理部63によって処理した後に無線機57で送信するようにしている。
【0048】
さらにこの携帯電話機は、ナビゲーション機能を備えており、データバス51にナビゲーションモジュール92が接続されている。ナビゲーションモジュール92は、GPS衛星からの電波を受信するとともに、この電波の受信によって演算処理部が位置情報を演算処理してその位置を検出するようにしている。なおナビゲーションモジュール92の出力は、上記表示制御部76を介してLCD77によって位置表示が行なわれるようになっている。
【0049】
さらにこの携帯電話機50は、万歩計モジュール80を備えている。万歩計モジュール80は加速度センサ81と接続されている。従って歩行の際の加速度を加速度センサ81によって計測し、その数を万歩計モジュール80が計測して、表示制御部76を介してLCD77によって表示するようにしている。
【0050】
またこの携帯電話機50は、近距離の無線通信を可能にするBluetoothモジュール84を備えている。Bluetoothモジュール84は、図2に示す上記車載機器10のBluetoothモジュール13との間で近距離の無線通信を行なうものであって、近距離通信回路85を備えている。またこの近距離通信回路85は、専用のアンテナを内蔵している。
【0051】
さらに携帯電話機50は、データバス51にリーダデバイス88を接続している。このリーダデバイス88は、決済手段を構成するために、非接触のICカード89を内蔵している。このようなリーダデバイス88と、非接触ICカード89とによって、電子決済が可能になっている。
【0052】
次に上記携帯電話機50に設けられているリーダデバイス88の具体的な構成例を図4によって説明する。制御部201は、CPU211、ROM212、RAM213、SCC(Serial Communication Controller)214、SPU(Signal Processing Unit)216、およびこれらのCPU211〜SPU216を相互に接続するバス215から構成される。
【0053】
CPU211は、ROM212に格納されている制御プログラムをRAM213に展開し、例えば、非接触ICカード89から送信されてきた応答データや、図3のCPU52から供給される制御信号に基づいて、各種の処理を実行する。例えば、CPU211は、非接触ICカード89に送信するコマンドを生成し、それを、バス215を介してSPU216に出力したり、非接触ICカード89から送信されてきたデータの認証処理等を行なったりする。
【0054】
SCC214は、図3のCPU52から供給されてきたデータを、バス215を介してCPU211に供給したり、CPU211から、バス215を介してCPU211に供給したり、CPU211から、バス215を介して供給されてきたデータをCPU52に出力したりする。
【0055】
SPU216は、非接触ICカード89からの応答データが復調部208から供給されてきたときに、このデータに対して、例えば、BPSK復調(マンチェスターコードのデコード)等を施し、取得したデータをCPU211に供給する。また、SPU216は、非接触ICカード89に送信するコマンドがバス215を介して供給されてきたときに、そのコマンドにBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調(マンチェスターコードへのコーディング)を施し、取得したデータを変調部202に出力する。
【0056】
変調部202は、発振部203から供給される所定の周波数(例えば、13.56MHz)の搬送波を、SPU216より供給されるデータに基づいて、ASK(Amplitude Shift Keying)変調し、生成された変調波を増幅部204に出力する。
【0057】
増幅部204は、変調部202から入力される変調波を増幅し、アンテナ206から電磁波として出力させる。また、増幅部204は、出力特性調整部205から指示に従い、変調部202、増幅部204、アンテナ206から成る送信系の出力インピーダンスの値を、予め用意されている複数の値の中から切替える。
【0058】
次に上記リーダデバイス88と連動する非接触ICカード89の具体的な構成を図5によって説明する。非接触ICカード89は、例えば図5に示すアンテナ(ループアンテナ)230およびコンデンサ231と、これら以外の構成が1チップに格納されたICから構成され、電磁誘導を利用して携帯電話機50に設けられたリーダデバイス88と各種のデータを半二重通信するものである。ただし、その形状は、カード状のものでなくてもよい。また、ICカードとは、説明の便宜上用いた名称であって、上述のように、または後述するような機能を意図するものである。この非接触ICカード89と基本的に同様の機能を提供するものとして、例えば、FeliCaチップ(登録商標)などがある。すなわち、例えば、携帯電話機にFeliCaチップを搭載すれば、当該携帯電話機を非接触ICカード89と同様に用いることができる。
【0059】
CPU211は、ROM222に格納されている制御プログラムをRAM233に展開し、非接触ICカード89の全体の動作を制御する。例えば、CPU211は、携帯電話機50に設けられたリーダデバイス88から輻射される電磁波がアンテナ230において受信されたときに、それに応じて非接触ICカード89に設けられているカード識別番号等を含むICカード情報をリーダデバイス88に通知したり、リーダデバイス88の要求に応じて、商取引の履歴情報をリーダデバイス88に供給したりする。
【0060】
アンテナ230とコンデンサ231とにより構成されるLC回路は、近傍に配置された携帯電話機50に設けられたリーダデバイス88等から輻射される所定の周波数の電磁波と共振する。インターフェース部229は、ASK復調部243において、アンテナ230を介して受信した変調波(ASK変調波)を包絡線検波して復調し、復調後のデータをBPSK(Binary Phase Shift Keying)復調部232に出力する。
【0061】
また、インターフェース部229は、アンテナ230において励起された交流磁界をASK復調部243により整流し、それを電圧レギュレータ241において安定化し、各部に直流電源として供給する。リーダデバイス88から輻射される電磁波の電力は、後述するように非接触ICカード89に必要な電力を賄う磁界を発生させるように調整されている。
【0062】
また、インターフェース部229の発振回路244は、PLL(Phase Locked Loop)回路を内蔵し、受信信号のクロック周波数と同一の周波数のクロック信号を発生する。
【0063】
さらに、インターフェース部229は、例えば残金情報等の要求を携帯電話機50に設けられたリーダデバイス88等に送信する場合に、BPSK変調部228から供給されるデータに対応して、例えば、所定のスイッチング素子(図示せず)をオン/オフさせ、スイッチング素子がオン状態であるときだけ、所定の負荷をアンテナ230に並列に接続させることにより、アンテナ230の負荷を変動させる。
【0064】
ASK変調部242は、アンテナ230の負荷の変動により、BPSK変調部228より供給されたBPSK変調部をASK変調し、この変調成分を、アンテナ230を介してリーダデバイス88に送信する(リーダデバイス88のアンテナの端子電圧を変動させる)(ロードスイッチング方式)。
【0065】
BPSK復調部232は、ASK復調部243で復調されたデータがBPSK変調されている場合、図示せぬPLL回路から供給されるクロック信号に基づいて、そのデータの復調(マンチェスターコードのデコード)を行ない、復調したデータをデータ受信部233に出力する。データ受信部233は、供給されてきたデータをCPU221に適宜出力する。CPU221はこのデータをRAM223またはEEPROM224に記憶させる。
【0066】
EEPROM224に記憶されたデータは、CPU221により読出され、データ送信部227に供給される。BPSK変調部228は、データ送信部227から供給されてきたデータにBPSK変調(マンチェスターコードへのコーディング)を行ない、それをASK変調部224に出力する。
【0067】
EEPROM224には、電子マネー情報等が記憶される。ユーザは、この電子マネーを利用して、購入した商品、サービス等の代金を決済することができる。決済の履歴もEEPROM224に記憶される。
【0068】
ここで、非接触ICカード89の仕様の例を説明する。上述したように、リーダデバイス88と非接触ICカード89との間の通信は、半二重により行なわれ、その通信速度は、例えば、211.875kbpsとされる。
【0069】
また、リーダデバイス88から非接触ICカード89に対する電力電送、およびデータ転送、並びに、非接触ICカード89からリーダデバイス88に対するデータ転送により使用される周波数帯域の中心周波数は、例えば、13.56MHzとされる。
【0070】
リーダデバイス88から非接触ICカード89に対するデータ転送は、上述したように、マンチェスターコードにコード化されたデータをASK変調することにより行なわれ、その変調度(データ信号の最大振幅/搬送波の最大振幅)は、例えば、約0.1とされる。また、非接触ICカード89からリーダデバイス88に対するデータ転送は、上述したように、ロードスイッチング方式により出力データを送信信号に変換する(出力データに応じてスイッチング素子をオン/オフとすることによりアンテナ206の負荷を変動させる)ことにより行なわれる。
【0071】
ユーザは、上述したリーダデバイス88の機能を用いて、非接触ICカード89に記憶されている商取引(決済)の履歴情報や、非接触ICカード89に記憶されている(チャージされている)電子マネーの残高情報を携帯電話機50のLCD77に表示させることができる。
【0072】
すなわち、ユーザが、携帯電話機50の入力操作部71を操作し、上述した処理を行なうためのアプリケーションを起動させ、非接触ICカード89を携帯電話機50の筐体の裏側のリーダデバイス88の位置に近接させると、携帯電話機50のCPU52は、リーダデバイス88を制御して、上述した非接触ICカード89により履歴情報等を読取り、LCD77に表示させることになる。
【0073】
次に以上のような構成になる携帯電話機50による位置情報の記録の動作を図6によって説明する。この動作は、図3に示す携帯電話機のCPU52の動作として行なわれる。携帯電話機50が図1に示すように、車両の、例えばコンソールパネル上に置かれており、車載機器10との間の距離が1m以内であるとする。このような場合であって、上記車載機器10のBluetoothモジュール13と携帯電話機50のBluetoothモジュール84の近距離通信回路85との間に通信が成立しているとする。
【0074】
このような状態において、運転者が携帯電話機を携帯した状態で車外に出た場合には、携帯電話機50が車載機器10に対して、このBluetoothモジュールの通信可能距離を超えた時点で、Bluetoothによる近距離通信が遮断される。従ってこの場合に、通信手段の切断が認識される。従ってこの場合には、さらにこの携帯電話機50のリーダデバイス88と無線通信を行なう非接触ICカード89による決済が行なわれたかどうかの判別をCPU52は、リーダデバイス88のCPU211を介して確認する。そして決済がない場合には、ナビゲーションモジュール92によって取得される位置情報を基に、そのまま位置保持を行なう。これに対して決済がある場合には、位置記録とともに、決済の記録をも同時に行なう。
【0075】
さらにこの携帯電話機は、移動速度の変化を検出し、この移動速度の変化に応じて位置記録を行なう。この動作は、図7に示すように、車両の車載機器10とは独立に、携帯電話機50の万歩計モジュール80に接続されている加速度センサ81による検出に連動して行なわれる。加速度センサ81がこの携帯電話機の移動に伴う加速度を検出するとともに、検出した加速度を万歩計モジュール80の演算部が積分し、これによって速度を検出する。そして移動速度が所定の速度以下であるかどうかの判断を行ない、所定の移動速度以下に低下した場合に、その時点でその位置の位置保持を行なう。
【0076】
この位置保持の動作は、携帯電話機50のナビゲーションモジュール92によって得られる位置情報である。ナビゲーションモジュール92は、複数の衛星からの電波を受信し、このような電波を基に、位置情報を演算する。従ってここで得られる位置情報が位置記録される。
【0077】
図8は、上記加速度センサ81を備える万歩計モジュール80の出力を直接利用して位置保持を行なうものである。すなわちここでは、万歩計モジュール80の使用が、入力操作部71によって入力操作されて開始したかどうかの検出を行なうとともに、万歩計モジュール80による万歩計のカウントの開始が検出された場合には、その時点で、位置情報を保持する。この位置情報は、ナビゲーションモジュール92によって得られる位置情報である。
【0078】
このように本実施の形態の携帯電話機50は、音楽再生や携帯電話機のハンズフリー機能のためのBluetoothモジュール13を備える車載機器10と、無線で携帯電話機50がつながっている場合において、この携帯電話機50が車載機器10とのBluetoothによる無線が遮断された場合に、いきなり位置情報を記録するようにしている。なお自転車等の車載機器を持たない機器においては、万歩計の加速度センサ81によって速度をモニタしておき、速度低下、もしくは万歩計のカウント開始と同時に位置を記録するようにしてよい(図7、図8参照)。
【0079】
交通機関の決済があった場合の情報検索記録と、決済記録は、ICカード89の記録エリアが異なるために、位置と同時に決済記録も併記するようにしている。すなわち電車等の場合には、タクシー等と異なり、走行開始と決済位置との間にオーバラップがあるために、表示の際に、決済が電車であること等を表示する必要がある。
【0080】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態は、携帯電話機50によって位置保持を行なうようにしているが、携帯情報端末としては、必ずしも携帯電話機である必要はなく、PDA(Personal Digital Assistant)のような携帯情報端末であってもよい。また上記実施の形態は、車載機器10がナビゲーションモジュール28を備え、これによってナビゲーション機能を発現しているが、車載機器10は、必ずしもナビゲーションモジュールを備える必要はない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本願発明は、携帯電話機やPDA等の携帯情報端末を用いた位置保持に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】位置情報保持機能を有する携帯電話機と車載機器との関連を示す自動車の平面図である。
【図2】車載機器のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】携帯電話機の回路構成を示すブロック図である。
【図4】携帯電話機に対して決済機能を付与するリーダデバイスのブロック図である。
【図5】リーダデバイスと接続される非接触ICカードのブロック図である。
【図6】位置保持の動作を示すフローチャートである。
【図7】位置保持の動作を示す別のフローチャートである。
【図8】さらに別の位置保持の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
10…車載機器、11…ラジオチューナ、12…CDモジュール、13…Bluetoothモジュール、14…電子ボリューム、15…増幅部、16…アンテナ、17…コンパクトディスク(CD)、18…マイク、19…スピーカ、21…制御部、22…EEPROM、23…操作部、24…表示部、28…ナビゲーションモジュール、29…記憶部(HDD)、30…アンテナ、35…運転席、36…助手席、37…インストルメントパネル、50…携帯電話機、51…データバス、52…CPU、53…ROM、54…RAM、57…無線機、58…受信部、59…送信部、60…シンセサイザ、61…アンテナ、63…信号処理部、64…変復調器、65…AD/DA変換器、66…音声コーデック、67…スピーカ、68…マイク、71…入力操作部、72…ジョグダイヤル、73…ボタン、76…表示制御部、77…表示パネル(LCD)、80…万歩計モジュール、81…加速度センサ、84…Bluetoothモジュール、85…近距離通信回路、88…リーダデバイス、89…非接触ICカード、92…ナビゲーションモジュール、95…映像処理部、96…CCDカメラ、201…制御部、202…変調部、203…発振部、204…増幅部、205…出力調整部、206…アンテナ、207…増幅部、208…復調部、211…CPU、212…ROM、213…RAM、214…SCC、215…データバス、216…SPU、221…CPU、222…ROM、223…RAM、224…EEPROM、226…デーダバス、227…データ送信部、228…BPSK変調部、229…インターフェース、230…アンテナ(コイル)、231…コンデンサ、232…BPSK復調部、233…データ受信部、241…電圧レギュレータ、242…ASK変調部、243…ASK復調部、244…発振部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
持運び可能な携帯情報端末において、
位置を検出して記録する位置記録手段と、
前記位置記録手段によって記録された位置までの経路を案内する経路案内手段と、
外部機器との通信手段と、
を具備し、前記通信手段による外部機器との間の通信が遮断されたときに、位置を検出して記録することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記携帯情報端末が携帯電話機であることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記位置がナビゲーションシ機能によって検出されることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
車両に搭載された車載機器との間の近距離の無線通信手段を備え、該無線通信手段による無線通信が遮断したときに、位置を検出して記録することを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
速度を検出する速度検出手段を備え、速度の変化が検出された場合に、位置を記録することを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項6】
速度を検出する速度検出手段と、決済機能を有する手段とを備え、速度の変化が検出された場合に位置と決済とを記録することを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項7】
非接触で通信を行なうICカードを備え、該ICカードによって決済が行なわれることを特徴とする請求項6に記載の携帯情報端末。
【請求項8】
持運び可能な携帯情報端末による位置の記録方法において、
外部との通信が遮断したときに位置を記録することを特徴とする位置の記録方法。
【請求項9】
持運び可能な携帯情報端末による位置の記録方法において、
移動速度が変化したときに位置を記録することを特徴とする位置の記録方法。
【請求項10】
持運び可能な携帯情報端末による位置の記録方法において、
外部との通信手段が遮断したときに、または移動速度が変化したときに位置を記録するとともに、記録された位置に経路案内を行なうことを特徴とする位置の記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−275543(P2008−275543A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122029(P2007−122029)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.万歩計
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】