携帯機
【課題】 携帯機の薄型化を維持しながら、その電池の消耗状態を確認可能とする。
【解決手段】 受信回路を有しアンテナ16〜18,19が接続される電子回路をハウジング30の内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池41をハウジング30に対して着脱自在とした携帯機において、
電池41を交換したときに、その交換後の新たな電池41を電源として受信回路をオンさせ、その受信回路がオンした状態で該新たな電池41から印加される電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段35を所定時間作動させる
【解決手段】 受信回路を有しアンテナ16〜18,19が接続される電子回路をハウジング30の内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池41をハウジング30に対して着脱自在とした携帯機において、
電池41を交換したときに、その交換後の新たな電池41を電源として受信回路をオンさせ、その受信回路がオンした状態で該新たな電池41から印加される電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段35を所定時間作動させる
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナが接続された電子回路をハウジングの内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池をハウジングに対して着脱自在とした携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機を所持した者が車両に設けた施錠ボタンあるいは解錠ボタンを押すことでドアを施錠あるいは解錠できるようにした車両用遠隔施錠・解錠装置において、携帯機の電池が消耗すると車両側に設けた報知手段が作動して電池切れを報知するものが、下記特許文献1により公知である。
【0003】
また車両ユーザーが所持している携帯機から車両に制御信号を発射することでドアの施錠・解錠を行う車両用遠隔施錠・解錠装置において、携帯機の押しボタンを押して制御信号が出力されているときに、携帯機に設けたLEDを点灯または点滅させることで、制御信号が出力されていることを確認できるようにしたものが、下記特許文献2により公知である。
【特許文献1】特開昭60−64272号公報
【特許文献2】実用新案登録第2584259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上記特許文献1に記載されたものは、使用中の携帯機の電池が消耗したことを報知することは可能であるが、携帯機に電池をセットする際に、その電池が充分な残容量を有するものか、残容量が殆どないものかを判定することができないため、誤って古い電池をセットした場合に予想外に早く電池切れになってシステムが作動不能になる虞がある。
【0005】
また上記特許文献2に記載されたものは、携帯機の押しボタンを押してLEDの発光状態を確認することで電池の残容量を知ることができるが、携帯機に押しボタンを設ける必要があるために、薄型化を要求されるカード型の携帯機では押しボタンを設けたことで厚さが増加してしまう問題がある。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、携帯機の薄型化を維持しながら、その電池の消耗状態を確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、受信回路を有しアンテナが接続される電子回路をハウジングの内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池をハウジングに対して着脱自在とした携帯機において、電池を交換したときに、その交換後の新たな電池を電源として受信回路をオンさせ、その受信回路がオンした状態で該新たな電池から印加される電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段を所定時間作動させることを特徴とする携帯機が提案される。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、アンテナが接続され電子回路をハウジングの内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池をハウジングに対して着脱自在とした携帯機において、電池を交換したときに、その交換後の新たな電池に負荷を作用させ、その負荷の作用開始から所定時間が経過したときに、その負荷が作用した状態の該新たな電池から印加される電圧を測定し、その測定した電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段を所定時間作動させることを特徴とする携帯機が提案される。
【0009】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1又は2の構成に加えて、交換した電池の電圧を予め設定した基準電圧と比較し、比較結果に基づいて報知手段の作動態様を異ならせることを特徴とする携帯機が提案される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように請求項1,2の発明によれば、携帯機の電池を交換したときに、その交換後の新たな電池に負荷を作用(特に請求項1では受信回路をオン)させ、その負荷が作用した状態の該新たな電池から印加される電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段を所定時間作動させるので、電池交換時に誤って携帯機に消耗した電池をセットすることが防止される。また電池交換時に報知手段が作動して電子回路が作動可能であるにも拘わらずにシステムが作動しない場合は、携帯機以外のシステムに異常があると判定することができる。更に、電池のチェックを開始するための特別のスイッチやボタンが不要であるため、携帯機のハウジングが厚型化するのを防止することができる。
【0011】
また特に請求項2の発明によれば、負荷の作用開始から所定時間が経過したときに、その負荷が作用した状態の電池の電圧を測定するので、負荷の作用開始から所定時間が経過して電池の電圧が安定してから、電圧測定を行うことができる。
【0012】
また特に請求項3の発明によれば、交換後の新たな電池の電圧を予め設定した基準電圧と比較した結果に基づいて報知手段の作動態様を異ならせるので、報知手段の作動態様に基づいて電池の消耗度合いを認識することができ、電池が消耗している場合には新しい電池を予め準備することができて利便性が向上する。
【0013】
尚、実施例のLFアンテナ16,17,18およびRFアンテナ19は本発明のアンテナに対応し、実施例のLED35は本発明の報知手段に対応する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0015】
図1〜図14は本発明の一実施例を示すもので、図1は車両用遠隔施錠・解錠装置の全体構成を示す図、図2は車両用遠隔施錠・解錠装置のブロック図、図3は携帯送・受信機の全体平面図、図4は携帯送・受信機の分解斜視図、図5は携帯送・受信機のアッパーハウジングを外した状態を示す図、図6は図3の6−6線拡大断面図、図7は電池ホルダの平面図、図8は図3の要部拡大図(アッパーハウジングを外した状態)、図9は図8の9−9線拡大断面図、図10は図8の10−10線拡大断面図、図11は図8に対応する作用説明図、図12は図10に対応する作用説明図、図13は電池の電圧判定回路のブロック図、図14は電池の電圧判定ルーチンのフローチャートである。
【0016】
図1および図2に示すように、キーを使用せずに車両Vのドアの施錠および解錠を行うための車両用遠隔施錠・解錠装置は、車両ユーザーがポケットやバッグに入れて持ち運ぶためのカード型の携帯送・受信機11を含んでいる。携帯送・受信機11のコントロールユニット12には、LF(低周波数)受信機13と、RF(ラジオ周波数)送信機14と、RF(ラジオ周波数)受信機15とが接続されており、LF受信機13には3個のLFアンテナ16,17,18が接続されるとともに、RF送信機14およびRF受信機15には共通のRFアンテナ19が接続される。
【0017】
一方、車両V側に設けられたコントロールユニット20には、左側のドア21Lに設けた施錠スイッチ22Lおよび解錠スイッチ23Lと、右側のドア21Rに設けた施錠スイッチ22Rおよび解錠スイッチ23Rと、LF送信機24と、RF送信機25と、RF受信機26と、ドアロックアクチュエータ27とが接続されており、LF送信機24には左右のLFアンテナ28L,28Rが接続されるとともに、RF送信機25およびRF受信機26には共通のRFアンテナ29が接続される。
【0018】
しかして、携帯送・受信機11を身に付けた車両ユーザーが左側のドア21Lの解錠スイッチ23Lあるいは右側のドア21Rの解錠スイッチ23Rを押すと、車両V側のLFアンテナ28L,28RからIDリクエスト信号が送信され、それをLFアンテナ16〜18で受信した携帯送・受信機11は、コントロールユニット12に記憶しているID信号をRFアンテナ19から送信する。ID信号を車両V側のRFアンテナ29で受信したコントロールユニット20は、そのIDが正規のIDであるか否かを確認し、正規のIDであれば乱数信号xをRFアンテナ29から送信する。
【0019】
乱数信号xをRFアンテナ19で受信した携帯送・受信機11は、コントロールユニット12に記憶したプログラムに基づいて乱数信号xから算出した関数信号f(x)をRFアンテナ19から送信し、その関数信号f(x)を車両V側のRFアンテナ29で受信したコントロールユニット20は、そこで乱数信号xから算出した関数信号f(x)と前記受信した関数信号f(x)とを比較し、両者が一致していればドアロックアクチュエータ27を作動させてドア21L,21Rを解錠する。
【0020】
同様にして、携帯送・受信機11を身に付けた車両ユーザーが左側のドア21Lの施錠スイッチ22Lあるいは右側のドア21Rの施錠スイッチ22Rを押すと、コントロールユニット20がロックアクチュエータ27を作動させてドア21L,21Rを施錠する。
【0021】
次に、図3〜図12に基づいて携帯送・受信機11の構造を説明する。
【0022】
図3〜図5に示すように、携帯送・受信機11は全体として長方形状を成すカード型のものであり、財布等に収納し易いように厚さが極めて薄く形成されている。以下、長方形を成す携帯送・受信機11の四辺を右辺R、左辺L、上辺Uおよび下辺Dと呼ぶ(図3参照)。
【0023】
携帯送・受信機11のハウジング30は、合成樹脂で長方形状に形成したロアハウジング31およびアッパーハウジング32に2分割されており、ロアハウジング31の右辺R、左辺Lおよび下辺Dに沿って形成された溝状の凹部31aと、上辺U寄りの位置に形成された3個の溝状の凹部31b,31c,31dと、前記凹部31aの中央付近に形成されたピン状の凸部31eとに、アッパーハウジング32の右辺R、左辺Lおよび下辺Dに沿って形成されたリブ状の凸部32aと、上辺U寄りの位置に形成された3個のリブ状の凸部32b,32c,32dと、前記凸部32aの中央付近に形成された孔状の凹部32eとがそれぞれ嵌合し、それらの嵌合部においてロアハウジング31およびアッパーハウジング32が溶着より固定される。
【0024】
アッパーハウジング32の内面には、その長さ方向(右辺Rおよび左辺L方向)に延びる直線状の補強リブ32fと、その長さ方向および幅方向(上辺Uおよび下辺D方向)に延びる十字状の補強リブ32g,32hとが形成されており、十字状の補強リブ32g,32hの交差部に前記凹部32eが位置している。またアッパーハウジング32には、その表裏に貫通する1個の貫通孔32iが形成される。更に、ロアハウジング31およびアッパーハウジング32を結合する際に、それらを相互に位置決めするために、ロアハウジング31に形成された2個の位置決め孔31f,31fに、アッパーハウジング32に形成された2個の位置決めピン32j,32jが嵌合する。
【0025】
ロアハウジング31およびアッパーハウジング32間に形成された空間に収納される長方形状の基板33の表面には、携帯送・受信機11の右辺Rに臨む周縁部に沿って前記RFアンテナ19が固定される。軸線が相互に直交するように基板33に固定された3個のLFアンテナ16,17,18のうち、2個のLFアンテナ16,17はフェライトアンテナで構成され、残りの1個のLFアンテナ18はボビンを持たない長方形のエアコイルアンテナで構成されている。そしてエアコイルアンテナで構成されたLFアンテナ18は、携帯送・受信機11の下辺D、左辺Lおよび上辺Uに臨む基板33の周縁部とRFアンテナ19とに沿うように固定される。更に、基板33の表面には携帯送・受信機11の受信回路を含む電子回路を構成する多数の電子部品34…と1個のLED(発光ダイオード)35とが固定され、また基板33の中央部にはロアハウジング31のピン状の凸部31eが緩く貫通する貫通孔33aが形成される。貫通孔33aの裏側にはLED35が臨んでおり、LED35が発する光を貫通孔33aを通して視認することができる。
【0026】
携帯送・受信機11の上辺Uに臨む基板33の周縁部に、何れも弾性を有する金属板で構成された2個のプラス端子36,36と2個のマイナス端子37,37とが固定される。各々のプラス端子36は略180°屈曲し、その先端の接点36aは基板33の周縁部に沿って延びている。一方、各々のマイナス端子37は携帯送・受信機11の上辺Uに向かって延び、その先端に接点37aが形成される。
【0027】
図3および図6から明らかなように、アッパーハウジング32に設けた直線状の補強リブ32fが、RFアンテナ19とLFアンテナ18との間に形成された隙間αを遮るように延びている。従って、ハウジング30の厚さを増加させることなく、補強リブ32fによってハウジング30の剛性を高めて外力による曲がりを抑制し、その内部に収納した基板33に固定した電子部品34…等の損傷やハンダ付け部分の損傷を防止することができる。しかも補強リブ32fがRFアンテナ19およびLFアンテナ18間の絶縁壁を兼ねるので、LFアンテナ18にボビンを設けてRFアンテナ19との短絡を防止する必要がなくなり、部品点数の削減およびスペースの削減に寄与することができる。
【0028】
また基板33の表面には電子部品等が配置されていない十字状の隙間β,γが形成されており、この隙間β,γにアッパーハウジング32の十字状の補強リブ32g,32hが配置される。この十字状の補強リブ32g,32hの剛性向上効果により、ハウジング30の長さ方向および幅方向の曲がりを抑制し、その内部に収納した基板33に固定した電子部品34…等の損傷やハンダ付け部分の損傷を防止することができる。特に、十字状の補強リブ32g,32hは長方形のLFアンテナ18の内部に配置されおり、その4個の先端部は基板33の周縁部の手前位置で終わっているため、ハウジング30が外力で曲げられたときに補強リブ32g,32hが基板33の端縁に接触して大きな荷重が加わるのを防止することができる。
【0029】
しかも、電子回路を装着した基板33をハウジング30の内部に収納した状態で、基板33はロアハウジング31およびアッパーハウジング32に強固に固定されておらず、前後左右方向および上下方向(厚さ方向)に僅かに移動可能な隙間を有している。それに加えて、補強リブ32f,32g,32hの高さ方向の先端と基板33の表面との間に隙間が形成されているので(図6参照)、ハウジング30が曲げられたときにも、その内部に収納された基板33に曲げ荷重が伝達され難くなり、基板33の変形を最小限に抑えて耐久性を向上させることができる。
【0030】
図7〜図10に示すように、電池ホルダ38は、合成樹脂製のホルダ本体39と、このホルダ本体39に固定された金属製のキャップ40とを備える。ホルダ本体39には2個のコイン型の電池41,41を支持する2個の支持孔39a,39aが形成されており、その支持孔の周縁に段付きの電池支持面39b,39bが形成される。ホルダ本体39の両端部には、先端に係止爪39c,39cが形成された腕部39d,39dが設けられており、これらの係止爪39c,39cが係合可能な2個の係止部31g,31g(図8参照)がロアハウジング31に形成される。
【0031】
更に、ホルダ本体39の一対の腕部39d,39dの内側に前記支持孔39a,39aの一部を囲む第1、第2突起部39e,39fが形成されており、第1突起部39eに長さは第2突起部39fの長さよりも短く形成される。一方、ロアハウジング31には、前記第1突起部39eおよび第2突起部39fと協働するストッパ部31hが形成される(図8参照)。
【0032】
図7から明らかなように、電池41は、その一側面と外周面とによってプラス極41aが構成され、その他側面によってマイナス極41bが構成されており、外周面および他側面間の段部41cがホルダ本体39の電池支持面39bに嵌合するように支持孔39aに支持される。2個の電池41,41を電池ホルダ38に保持してハウジング30の内部に挿入すると、ホルダ本体39の弾性を有する一対の腕部39d,39dの先端に設けた係止爪39c,39cがロアハウジング31の係止部31g,31gに係合することで、電池ホルダ38がハウジング30に結合される。
【0033】
この状態で、電池41,41のプラス極41a,41aの外周部が基板33に設けたプラス端子36,36の接点36a,36aに弾性的に接触するとともに、電池41,41のマイナス極41b,41bが基板33に設けたマイナス端子37,37の接点37a,37aに弾性的に接触することで、携帯送・受信機11の電子回路が作動する。
【0034】
前述したように、基板33はハウジング30の内部に固定されておらず、僅かに移動できるように隙間が設けられているが、電池ホルダ38をハウジング30に結合すると、電池41,41の外周部が基板33のプラス端子36,36に当接して図8の矢印A方向に押圧することで、プラス端子36,36の弾発力で基板33が付勢されてハウジング30内面の下辺D側に押し付けられるため、基板33のガタつきや異音の発生を防止することができる。
【0035】
このように、プラス端子36,36の弾発力を利用することで、基板33をハウジング30に固定するための特別の固定部材や基板33をハウジング30に組み付ける組付工数を削減することができ、しかもハウジング30に加わる曲げや衝撃が基板33に伝わり難くすることができる。特に、基板33はハウジング30に対して前後左右に移動自在なだけでなく、厚さ方向にも移動自在であるため、ハウジング30が曲げられたときにハウジング30の変形量に比べて基板33の変形量を小さくすることができ、基板33に取り付けられた電子部品34等の損傷やハンダ付け部分の損傷を防止することができる。
【0036】
電池41,41を電池ホルダ38のホルダ本体39の支持孔39a,39aに表裏逆に装着すると、電池41,41の段部41c,41cとホルダ本体39の電池支持面39b,39bとが一致せず、電池41,41のマイナス極41b,41bがホルダ本体39から厚さ方向に突出してしまい、電池ホルダ38をハウジング30に挿入し難くなることで、電池41,41が表裏逆に装着されていることに気づき易くなる。
【0037】
仮に、電池41,41が表裏逆に装着されていることに気づかずに電池ホルダ38をハウジング30に無理に挿入した場合、図12に示すように、ハウジング30が撓むことで電池ホルダ38は一応ハウジング30に結合可能である。しかしながら、電池41,41の一側面のプラス極41a,41aが基板33のマイナス端子37,37の接点37a,37aに接触し、かつ電池41,41の外周部のプラス極41a,41aが基板33のプラス端子36,36の接点36a,36aに接触するために、つまり基板33のプラス端子36,36およびマイナス端子37,37が共に電池41,41のプラス極41a,41aに接触するために、電子回路に逆電流が流れて破損の原因になることが未然に防止される。
【0038】
また電池41,41を電池ホルダ38に正しく装着しても、電池ホルダ38を表裏逆にしてハウジング30に装着すると電子回路に給電することができなくなる。図8から明らかなように、電池ホルダ38の表裏に誤りがなければ、ホルダ本体39の短い方の第1突起部39eがロアハウジング31のストッパ部31hと干渉しないため、電池ホルダ38を正しくハウジング30に結合することができる。それに対して、図11から明らかなように、電池ホルダ38を表裏逆にしてハウジング30に挿入しようとすると、ホルダ本体39の長い方の第2突起部39fがロアハウジング31のストッパ部31hと干渉してしまい(図11のp点参照)、電池ホルダ38をハウジング30内に完全に挿入できなくなることで、電池ホルダ38の誤組みを確実に防止することができる。
【0039】
尚、電池ホルダ38をハウジング30から外すには、ホルダ本体39の一対の腕部39d,39dを2本の指で内向きに押して係止爪39c,39cを係止部31g,31gから外した後、腕部39d,39dを掴んだまま電池ホルダ38をハウジング30から引き抜けば良い。
【0040】
次に、携帯送・受信機11の電池41,41を交換したときに、その電池41,41が新しいものであるか否かを判定する機能について説明する。
【0041】
図13に示すように、携帯送・受信機11のコントロールユニット20に設けられた比較機51と電池41,41との間に、電源回路52と、リセット回路53と、基準電圧発生回路53とが接続されており、比較器51は電池41,41の電圧信号に基づいてLED35の点灯を制御する。
【0042】
しかして、図14のフローチャートのステップS1で電池41,41を交換した電池ホルダ38がハウジング30に結合されると、リセット回路53からの信号でリセット動作が開始される。続くステップS2で一定時間が経過するのを待ち、電池41,41が電子回路に接続された瞬間のサージ電流による電圧の変動が収まった後に、ステップS3でダミー負荷(例えば、RF受信回路)をオンさせる。ダミー負荷を作用させる理由は、消耗した古い電池41,41でも、負荷が作用しない状態では新品の電池41,41と同じ電圧を示す場合があるからである。続くステップS4で一定時間が経過して電池41,41の電圧が安定すると、ステップS5で電圧を読み込み、ステップS6でダミー負荷をオフさせる。 続くステップS7で、前記ステップS5で読み込んだ電圧が携帯送・受信機11の動作可能電圧よりも高く、ステップS8で、前記ステップS5で読み込んだ電圧が新品の電池41,41の基準電圧(基準電圧発生回路53が発生する電圧)よりも高い場合には、その電池41,41が新品であると判断し、ステップS9でLEDを所定時間点灯させる正常表示を実行する。一方、前記ステップS8で電池41,41の電圧が前記基準電圧よりも低い場合には、その電池電池41,41が新品でないと判断し、ステップS10でLEDを所定時間点滅させる警告表示を実行する。また前記ステップS7で電池41,41の電圧が前記動作可能電圧よりも低ければ、ステップS11でLEDを消灯させたままにして表示を実行しない。
【0043】
尚、前記ステップS1でリセットが行われない場合、あるいは前記ステップS9〜S11で電池41,41の電圧の判定が行われた後は、ステップS12で携帯送・受信機11の通常動作が実行される。
【0044】
以上のように、携帯送・受信機11の電池41,41を交換したときに、LED35が点灯状態になれば、その電池41,41が新品であることを確認することができる。また電池41,41の交換時にLED35が点滅状態になれば、その電池41,41が古いことが確認できるので、新品の電池41,41 を購入しておく等の手だてが可能になって利便性が向上する。また電池41,41の交換時にLED35が消灯状態になれば、その電池41,41では携帯送・受信機11を作動させられないことが確認できるので、新品の電池41,41との速やかな交換を促すことができる。
【0045】
更に、車両用遠隔施錠・解錠装置が作動しなくなったとき、携帯送・受信機11の電池41,41を一旦取り外した後にリセットし、そのときにLED35が消灯状態になれば、電池41,41の消耗により車両用遠隔施錠・解錠装置が作動しなくなったと判断することができ、LED35が点灯状態あるいは点滅状態になれば、携帯送・受信機11以外の車両用遠隔施錠・解錠装置に異常があると判断することができる。
【0046】
更にまた、携帯送・受信機11の電池41,41を一旦取り外した後にリセットすることで、電池41,41の状態を示すLED35を作動させるので、携帯送・受信機11に特別のチェックボタン等を設ける必要がなくなり、携帯送・受信機11が厚くなるのを回避することができる。
【0047】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0048】
例えば、本発明の携帯機の用途は、車両Vのドア21L,21Rの施錠および解錠を行うための車両用遠隔施錠・解錠装置に限定されるものではない。
【0049】
また報知手段は実施例のLED35に限定されず、ランプ等の発光手段やブザー等の発音手段であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】車両用遠隔施錠・解錠装置の全体構成を示す図
【図2】車両用遠隔施錠・解錠装置のブロック図
【図3】携帯送・受信機の全体平面図
【図4】携帯送・受信機の分解斜視図
【図5】携帯送・受信機のアッパーハウジングを外した状態を示す図
【図6】図3の6−6線拡大断面図
【図7】電池ホルダの平面図
【図8】図3の要部拡大図(アッパーハウジングを外した状態)
【図9】図8の9−9線拡大断面図
【図10】図8の10−10線拡大断面図
【図11】図8に対応する作用説明図
【図12】図10に対応する作用説明図
【図13】電池の電圧判定回路のブロック図
【図14】電池の電圧判定ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
【0051】
16 LFアンテナ(アンテナ)
17 LFアンテナ(アンテナ)
18 LFアンテナ(アンテナ)
19 RFアンテナ(アンテナ)
30 ハウジング
35 LED(報知手段)
41 電池
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナが接続された電子回路をハウジングの内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池をハウジングに対して着脱自在とした携帯機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機を所持した者が車両に設けた施錠ボタンあるいは解錠ボタンを押すことでドアを施錠あるいは解錠できるようにした車両用遠隔施錠・解錠装置において、携帯機の電池が消耗すると車両側に設けた報知手段が作動して電池切れを報知するものが、下記特許文献1により公知である。
【0003】
また車両ユーザーが所持している携帯機から車両に制御信号を発射することでドアの施錠・解錠を行う車両用遠隔施錠・解錠装置において、携帯機の押しボタンを押して制御信号が出力されているときに、携帯機に設けたLEDを点灯または点滅させることで、制御信号が出力されていることを確認できるようにしたものが、下記特許文献2により公知である。
【特許文献1】特開昭60−64272号公報
【特許文献2】実用新案登録第2584259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上記特許文献1に記載されたものは、使用中の携帯機の電池が消耗したことを報知することは可能であるが、携帯機に電池をセットする際に、その電池が充分な残容量を有するものか、残容量が殆どないものかを判定することができないため、誤って古い電池をセットした場合に予想外に早く電池切れになってシステムが作動不能になる虞がある。
【0005】
また上記特許文献2に記載されたものは、携帯機の押しボタンを押してLEDの発光状態を確認することで電池の残容量を知ることができるが、携帯機に押しボタンを設ける必要があるために、薄型化を要求されるカード型の携帯機では押しボタンを設けたことで厚さが増加してしまう問題がある。
【0006】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、携帯機の薄型化を維持しながら、その電池の消耗状態を確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、受信回路を有しアンテナが接続される電子回路をハウジングの内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池をハウジングに対して着脱自在とした携帯機において、電池を交換したときに、その交換後の新たな電池を電源として受信回路をオンさせ、その受信回路がオンした状態で該新たな電池から印加される電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段を所定時間作動させることを特徴とする携帯機が提案される。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、アンテナが接続され電子回路をハウジングの内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池をハウジングに対して着脱自在とした携帯機において、電池を交換したときに、その交換後の新たな電池に負荷を作用させ、その負荷の作用開始から所定時間が経過したときに、その負荷が作用した状態の該新たな電池から印加される電圧を測定し、その測定した電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段を所定時間作動させることを特徴とする携帯機が提案される。
【0009】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1又は2の構成に加えて、交換した電池の電圧を予め設定した基準電圧と比較し、比較結果に基づいて報知手段の作動態様を異ならせることを特徴とする携帯機が提案される。
【発明の効果】
【0010】
以上のように請求項1,2の発明によれば、携帯機の電池を交換したときに、その交換後の新たな電池に負荷を作用(特に請求項1では受信回路をオン)させ、その負荷が作用した状態の該新たな電池から印加される電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段を所定時間作動させるので、電池交換時に誤って携帯機に消耗した電池をセットすることが防止される。また電池交換時に報知手段が作動して電子回路が作動可能であるにも拘わらずにシステムが作動しない場合は、携帯機以外のシステムに異常があると判定することができる。更に、電池のチェックを開始するための特別のスイッチやボタンが不要であるため、携帯機のハウジングが厚型化するのを防止することができる。
【0011】
また特に請求項2の発明によれば、負荷の作用開始から所定時間が経過したときに、その負荷が作用した状態の電池の電圧を測定するので、負荷の作用開始から所定時間が経過して電池の電圧が安定してから、電圧測定を行うことができる。
【0012】
また特に請求項3の発明によれば、交換後の新たな電池の電圧を予め設定した基準電圧と比較した結果に基づいて報知手段の作動態様を異ならせるので、報知手段の作動態様に基づいて電池の消耗度合いを認識することができ、電池が消耗している場合には新しい電池を予め準備することができて利便性が向上する。
【0013】
尚、実施例のLFアンテナ16,17,18およびRFアンテナ19は本発明のアンテナに対応し、実施例のLED35は本発明の報知手段に対応する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0015】
図1〜図14は本発明の一実施例を示すもので、図1は車両用遠隔施錠・解錠装置の全体構成を示す図、図2は車両用遠隔施錠・解錠装置のブロック図、図3は携帯送・受信機の全体平面図、図4は携帯送・受信機の分解斜視図、図5は携帯送・受信機のアッパーハウジングを外した状態を示す図、図6は図3の6−6線拡大断面図、図7は電池ホルダの平面図、図8は図3の要部拡大図(アッパーハウジングを外した状態)、図9は図8の9−9線拡大断面図、図10は図8の10−10線拡大断面図、図11は図8に対応する作用説明図、図12は図10に対応する作用説明図、図13は電池の電圧判定回路のブロック図、図14は電池の電圧判定ルーチンのフローチャートである。
【0016】
図1および図2に示すように、キーを使用せずに車両Vのドアの施錠および解錠を行うための車両用遠隔施錠・解錠装置は、車両ユーザーがポケットやバッグに入れて持ち運ぶためのカード型の携帯送・受信機11を含んでいる。携帯送・受信機11のコントロールユニット12には、LF(低周波数)受信機13と、RF(ラジオ周波数)送信機14と、RF(ラジオ周波数)受信機15とが接続されており、LF受信機13には3個のLFアンテナ16,17,18が接続されるとともに、RF送信機14およびRF受信機15には共通のRFアンテナ19が接続される。
【0017】
一方、車両V側に設けられたコントロールユニット20には、左側のドア21Lに設けた施錠スイッチ22Lおよび解錠スイッチ23Lと、右側のドア21Rに設けた施錠スイッチ22Rおよび解錠スイッチ23Rと、LF送信機24と、RF送信機25と、RF受信機26と、ドアロックアクチュエータ27とが接続されており、LF送信機24には左右のLFアンテナ28L,28Rが接続されるとともに、RF送信機25およびRF受信機26には共通のRFアンテナ29が接続される。
【0018】
しかして、携帯送・受信機11を身に付けた車両ユーザーが左側のドア21Lの解錠スイッチ23Lあるいは右側のドア21Rの解錠スイッチ23Rを押すと、車両V側のLFアンテナ28L,28RからIDリクエスト信号が送信され、それをLFアンテナ16〜18で受信した携帯送・受信機11は、コントロールユニット12に記憶しているID信号をRFアンテナ19から送信する。ID信号を車両V側のRFアンテナ29で受信したコントロールユニット20は、そのIDが正規のIDであるか否かを確認し、正規のIDであれば乱数信号xをRFアンテナ29から送信する。
【0019】
乱数信号xをRFアンテナ19で受信した携帯送・受信機11は、コントロールユニット12に記憶したプログラムに基づいて乱数信号xから算出した関数信号f(x)をRFアンテナ19から送信し、その関数信号f(x)を車両V側のRFアンテナ29で受信したコントロールユニット20は、そこで乱数信号xから算出した関数信号f(x)と前記受信した関数信号f(x)とを比較し、両者が一致していればドアロックアクチュエータ27を作動させてドア21L,21Rを解錠する。
【0020】
同様にして、携帯送・受信機11を身に付けた車両ユーザーが左側のドア21Lの施錠スイッチ22Lあるいは右側のドア21Rの施錠スイッチ22Rを押すと、コントロールユニット20がロックアクチュエータ27を作動させてドア21L,21Rを施錠する。
【0021】
次に、図3〜図12に基づいて携帯送・受信機11の構造を説明する。
【0022】
図3〜図5に示すように、携帯送・受信機11は全体として長方形状を成すカード型のものであり、財布等に収納し易いように厚さが極めて薄く形成されている。以下、長方形を成す携帯送・受信機11の四辺を右辺R、左辺L、上辺Uおよび下辺Dと呼ぶ(図3参照)。
【0023】
携帯送・受信機11のハウジング30は、合成樹脂で長方形状に形成したロアハウジング31およびアッパーハウジング32に2分割されており、ロアハウジング31の右辺R、左辺Lおよび下辺Dに沿って形成された溝状の凹部31aと、上辺U寄りの位置に形成された3個の溝状の凹部31b,31c,31dと、前記凹部31aの中央付近に形成されたピン状の凸部31eとに、アッパーハウジング32の右辺R、左辺Lおよび下辺Dに沿って形成されたリブ状の凸部32aと、上辺U寄りの位置に形成された3個のリブ状の凸部32b,32c,32dと、前記凸部32aの中央付近に形成された孔状の凹部32eとがそれぞれ嵌合し、それらの嵌合部においてロアハウジング31およびアッパーハウジング32が溶着より固定される。
【0024】
アッパーハウジング32の内面には、その長さ方向(右辺Rおよび左辺L方向)に延びる直線状の補強リブ32fと、その長さ方向および幅方向(上辺Uおよび下辺D方向)に延びる十字状の補強リブ32g,32hとが形成されており、十字状の補強リブ32g,32hの交差部に前記凹部32eが位置している。またアッパーハウジング32には、その表裏に貫通する1個の貫通孔32iが形成される。更に、ロアハウジング31およびアッパーハウジング32を結合する際に、それらを相互に位置決めするために、ロアハウジング31に形成された2個の位置決め孔31f,31fに、アッパーハウジング32に形成された2個の位置決めピン32j,32jが嵌合する。
【0025】
ロアハウジング31およびアッパーハウジング32間に形成された空間に収納される長方形状の基板33の表面には、携帯送・受信機11の右辺Rに臨む周縁部に沿って前記RFアンテナ19が固定される。軸線が相互に直交するように基板33に固定された3個のLFアンテナ16,17,18のうち、2個のLFアンテナ16,17はフェライトアンテナで構成され、残りの1個のLFアンテナ18はボビンを持たない長方形のエアコイルアンテナで構成されている。そしてエアコイルアンテナで構成されたLFアンテナ18は、携帯送・受信機11の下辺D、左辺Lおよび上辺Uに臨む基板33の周縁部とRFアンテナ19とに沿うように固定される。更に、基板33の表面には携帯送・受信機11の受信回路を含む電子回路を構成する多数の電子部品34…と1個のLED(発光ダイオード)35とが固定され、また基板33の中央部にはロアハウジング31のピン状の凸部31eが緩く貫通する貫通孔33aが形成される。貫通孔33aの裏側にはLED35が臨んでおり、LED35が発する光を貫通孔33aを通して視認することができる。
【0026】
携帯送・受信機11の上辺Uに臨む基板33の周縁部に、何れも弾性を有する金属板で構成された2個のプラス端子36,36と2個のマイナス端子37,37とが固定される。各々のプラス端子36は略180°屈曲し、その先端の接点36aは基板33の周縁部に沿って延びている。一方、各々のマイナス端子37は携帯送・受信機11の上辺Uに向かって延び、その先端に接点37aが形成される。
【0027】
図3および図6から明らかなように、アッパーハウジング32に設けた直線状の補強リブ32fが、RFアンテナ19とLFアンテナ18との間に形成された隙間αを遮るように延びている。従って、ハウジング30の厚さを増加させることなく、補強リブ32fによってハウジング30の剛性を高めて外力による曲がりを抑制し、その内部に収納した基板33に固定した電子部品34…等の損傷やハンダ付け部分の損傷を防止することができる。しかも補強リブ32fがRFアンテナ19およびLFアンテナ18間の絶縁壁を兼ねるので、LFアンテナ18にボビンを設けてRFアンテナ19との短絡を防止する必要がなくなり、部品点数の削減およびスペースの削減に寄与することができる。
【0028】
また基板33の表面には電子部品等が配置されていない十字状の隙間β,γが形成されており、この隙間β,γにアッパーハウジング32の十字状の補強リブ32g,32hが配置される。この十字状の補強リブ32g,32hの剛性向上効果により、ハウジング30の長さ方向および幅方向の曲がりを抑制し、その内部に収納した基板33に固定した電子部品34…等の損傷やハンダ付け部分の損傷を防止することができる。特に、十字状の補強リブ32g,32hは長方形のLFアンテナ18の内部に配置されおり、その4個の先端部は基板33の周縁部の手前位置で終わっているため、ハウジング30が外力で曲げられたときに補強リブ32g,32hが基板33の端縁に接触して大きな荷重が加わるのを防止することができる。
【0029】
しかも、電子回路を装着した基板33をハウジング30の内部に収納した状態で、基板33はロアハウジング31およびアッパーハウジング32に強固に固定されておらず、前後左右方向および上下方向(厚さ方向)に僅かに移動可能な隙間を有している。それに加えて、補強リブ32f,32g,32hの高さ方向の先端と基板33の表面との間に隙間が形成されているので(図6参照)、ハウジング30が曲げられたときにも、その内部に収納された基板33に曲げ荷重が伝達され難くなり、基板33の変形を最小限に抑えて耐久性を向上させることができる。
【0030】
図7〜図10に示すように、電池ホルダ38は、合成樹脂製のホルダ本体39と、このホルダ本体39に固定された金属製のキャップ40とを備える。ホルダ本体39には2個のコイン型の電池41,41を支持する2個の支持孔39a,39aが形成されており、その支持孔の周縁に段付きの電池支持面39b,39bが形成される。ホルダ本体39の両端部には、先端に係止爪39c,39cが形成された腕部39d,39dが設けられており、これらの係止爪39c,39cが係合可能な2個の係止部31g,31g(図8参照)がロアハウジング31に形成される。
【0031】
更に、ホルダ本体39の一対の腕部39d,39dの内側に前記支持孔39a,39aの一部を囲む第1、第2突起部39e,39fが形成されており、第1突起部39eに長さは第2突起部39fの長さよりも短く形成される。一方、ロアハウジング31には、前記第1突起部39eおよび第2突起部39fと協働するストッパ部31hが形成される(図8参照)。
【0032】
図7から明らかなように、電池41は、その一側面と外周面とによってプラス極41aが構成され、その他側面によってマイナス極41bが構成されており、外周面および他側面間の段部41cがホルダ本体39の電池支持面39bに嵌合するように支持孔39aに支持される。2個の電池41,41を電池ホルダ38に保持してハウジング30の内部に挿入すると、ホルダ本体39の弾性を有する一対の腕部39d,39dの先端に設けた係止爪39c,39cがロアハウジング31の係止部31g,31gに係合することで、電池ホルダ38がハウジング30に結合される。
【0033】
この状態で、電池41,41のプラス極41a,41aの外周部が基板33に設けたプラス端子36,36の接点36a,36aに弾性的に接触するとともに、電池41,41のマイナス極41b,41bが基板33に設けたマイナス端子37,37の接点37a,37aに弾性的に接触することで、携帯送・受信機11の電子回路が作動する。
【0034】
前述したように、基板33はハウジング30の内部に固定されておらず、僅かに移動できるように隙間が設けられているが、電池ホルダ38をハウジング30に結合すると、電池41,41の外周部が基板33のプラス端子36,36に当接して図8の矢印A方向に押圧することで、プラス端子36,36の弾発力で基板33が付勢されてハウジング30内面の下辺D側に押し付けられるため、基板33のガタつきや異音の発生を防止することができる。
【0035】
このように、プラス端子36,36の弾発力を利用することで、基板33をハウジング30に固定するための特別の固定部材や基板33をハウジング30に組み付ける組付工数を削減することができ、しかもハウジング30に加わる曲げや衝撃が基板33に伝わり難くすることができる。特に、基板33はハウジング30に対して前後左右に移動自在なだけでなく、厚さ方向にも移動自在であるため、ハウジング30が曲げられたときにハウジング30の変形量に比べて基板33の変形量を小さくすることができ、基板33に取り付けられた電子部品34等の損傷やハンダ付け部分の損傷を防止することができる。
【0036】
電池41,41を電池ホルダ38のホルダ本体39の支持孔39a,39aに表裏逆に装着すると、電池41,41の段部41c,41cとホルダ本体39の電池支持面39b,39bとが一致せず、電池41,41のマイナス極41b,41bがホルダ本体39から厚さ方向に突出してしまい、電池ホルダ38をハウジング30に挿入し難くなることで、電池41,41が表裏逆に装着されていることに気づき易くなる。
【0037】
仮に、電池41,41が表裏逆に装着されていることに気づかずに電池ホルダ38をハウジング30に無理に挿入した場合、図12に示すように、ハウジング30が撓むことで電池ホルダ38は一応ハウジング30に結合可能である。しかしながら、電池41,41の一側面のプラス極41a,41aが基板33のマイナス端子37,37の接点37a,37aに接触し、かつ電池41,41の外周部のプラス極41a,41aが基板33のプラス端子36,36の接点36a,36aに接触するために、つまり基板33のプラス端子36,36およびマイナス端子37,37が共に電池41,41のプラス極41a,41aに接触するために、電子回路に逆電流が流れて破損の原因になることが未然に防止される。
【0038】
また電池41,41を電池ホルダ38に正しく装着しても、電池ホルダ38を表裏逆にしてハウジング30に装着すると電子回路に給電することができなくなる。図8から明らかなように、電池ホルダ38の表裏に誤りがなければ、ホルダ本体39の短い方の第1突起部39eがロアハウジング31のストッパ部31hと干渉しないため、電池ホルダ38を正しくハウジング30に結合することができる。それに対して、図11から明らかなように、電池ホルダ38を表裏逆にしてハウジング30に挿入しようとすると、ホルダ本体39の長い方の第2突起部39fがロアハウジング31のストッパ部31hと干渉してしまい(図11のp点参照)、電池ホルダ38をハウジング30内に完全に挿入できなくなることで、電池ホルダ38の誤組みを確実に防止することができる。
【0039】
尚、電池ホルダ38をハウジング30から外すには、ホルダ本体39の一対の腕部39d,39dを2本の指で内向きに押して係止爪39c,39cを係止部31g,31gから外した後、腕部39d,39dを掴んだまま電池ホルダ38をハウジング30から引き抜けば良い。
【0040】
次に、携帯送・受信機11の電池41,41を交換したときに、その電池41,41が新しいものであるか否かを判定する機能について説明する。
【0041】
図13に示すように、携帯送・受信機11のコントロールユニット20に設けられた比較機51と電池41,41との間に、電源回路52と、リセット回路53と、基準電圧発生回路53とが接続されており、比較器51は電池41,41の電圧信号に基づいてLED35の点灯を制御する。
【0042】
しかして、図14のフローチャートのステップS1で電池41,41を交換した電池ホルダ38がハウジング30に結合されると、リセット回路53からの信号でリセット動作が開始される。続くステップS2で一定時間が経過するのを待ち、電池41,41が電子回路に接続された瞬間のサージ電流による電圧の変動が収まった後に、ステップS3でダミー負荷(例えば、RF受信回路)をオンさせる。ダミー負荷を作用させる理由は、消耗した古い電池41,41でも、負荷が作用しない状態では新品の電池41,41と同じ電圧を示す場合があるからである。続くステップS4で一定時間が経過して電池41,41の電圧が安定すると、ステップS5で電圧を読み込み、ステップS6でダミー負荷をオフさせる。 続くステップS7で、前記ステップS5で読み込んだ電圧が携帯送・受信機11の動作可能電圧よりも高く、ステップS8で、前記ステップS5で読み込んだ電圧が新品の電池41,41の基準電圧(基準電圧発生回路53が発生する電圧)よりも高い場合には、その電池41,41が新品であると判断し、ステップS9でLEDを所定時間点灯させる正常表示を実行する。一方、前記ステップS8で電池41,41の電圧が前記基準電圧よりも低い場合には、その電池電池41,41が新品でないと判断し、ステップS10でLEDを所定時間点滅させる警告表示を実行する。また前記ステップS7で電池41,41の電圧が前記動作可能電圧よりも低ければ、ステップS11でLEDを消灯させたままにして表示を実行しない。
【0043】
尚、前記ステップS1でリセットが行われない場合、あるいは前記ステップS9〜S11で電池41,41の電圧の判定が行われた後は、ステップS12で携帯送・受信機11の通常動作が実行される。
【0044】
以上のように、携帯送・受信機11の電池41,41を交換したときに、LED35が点灯状態になれば、その電池41,41が新品であることを確認することができる。また電池41,41の交換時にLED35が点滅状態になれば、その電池41,41が古いことが確認できるので、新品の電池41,41 を購入しておく等の手だてが可能になって利便性が向上する。また電池41,41の交換時にLED35が消灯状態になれば、その電池41,41では携帯送・受信機11を作動させられないことが確認できるので、新品の電池41,41との速やかな交換を促すことができる。
【0045】
更に、車両用遠隔施錠・解錠装置が作動しなくなったとき、携帯送・受信機11の電池41,41を一旦取り外した後にリセットし、そのときにLED35が消灯状態になれば、電池41,41の消耗により車両用遠隔施錠・解錠装置が作動しなくなったと判断することができ、LED35が点灯状態あるいは点滅状態になれば、携帯送・受信機11以外の車両用遠隔施錠・解錠装置に異常があると判断することができる。
【0046】
更にまた、携帯送・受信機11の電池41,41を一旦取り外した後にリセットすることで、電池41,41の状態を示すLED35を作動させるので、携帯送・受信機11に特別のチェックボタン等を設ける必要がなくなり、携帯送・受信機11が厚くなるのを回避することができる。
【0047】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0048】
例えば、本発明の携帯機の用途は、車両Vのドア21L,21Rの施錠および解錠を行うための車両用遠隔施錠・解錠装置に限定されるものではない。
【0049】
また報知手段は実施例のLED35に限定されず、ランプ等の発光手段やブザー等の発音手段であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】車両用遠隔施錠・解錠装置の全体構成を示す図
【図2】車両用遠隔施錠・解錠装置のブロック図
【図3】携帯送・受信機の全体平面図
【図4】携帯送・受信機の分解斜視図
【図5】携帯送・受信機のアッパーハウジングを外した状態を示す図
【図6】図3の6−6線拡大断面図
【図7】電池ホルダの平面図
【図8】図3の要部拡大図(アッパーハウジングを外した状態)
【図9】図8の9−9線拡大断面図
【図10】図8の10−10線拡大断面図
【図11】図8に対応する作用説明図
【図12】図10に対応する作用説明図
【図13】電池の電圧判定回路のブロック図
【図14】電池の電圧判定ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
【0051】
16 LFアンテナ(アンテナ)
17 LFアンテナ(アンテナ)
18 LFアンテナ(アンテナ)
19 RFアンテナ(アンテナ)
30 ハウジング
35 LED(報知手段)
41 電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信回路を有しアンテナ(16〜18,19)が接続される電子回路をハウジング(30)の内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池(41)をハウジング(30)に対して着脱自在とした携帯機において、
電池(41)を交換したときに、その交換後の新たな電池(41)を電源として受信回路をオンさせ、その受信回路がオンした状態で該新たな電池(41)から印加される電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段(35)を所定時間作動させることを特徴とする携帯機。
【請求項2】
アンテナ(16〜18,19)が接続された電子回路をハウジング(30)の内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池(41)をハウジング(30)に対して着脱自在とした携帯機において、
電池(41)を交換したときに、その交換後の新たな電池(41)に負荷を作用させ、その負荷の作用開始から所定時間が経過したときに、その負荷が作用した状態の該新たな電池(41)から印加される電圧を測定し、その測定した電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段(35)を所定時間作動させることを特徴とする携帯機。
【請求項3】
交換後の新たな電池(41)の前記電圧を予め設定した基準電圧と比較し、比較結果に基づいて報知手段(35)の作動態様を異ならせることを特徴とする、請求項1又は2に記載の携帯機。
【請求項1】
受信回路を有しアンテナ(16〜18,19)が接続される電子回路をハウジング(30)の内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池(41)をハウジング(30)に対して着脱自在とした携帯機において、
電池(41)を交換したときに、その交換後の新たな電池(41)を電源として受信回路をオンさせ、その受信回路がオンした状態で該新たな電池(41)から印加される電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段(35)を所定時間作動させることを特徴とする携帯機。
【請求項2】
アンテナ(16〜18,19)が接続された電子回路をハウジング(30)の内部に収納し、電子回路に動作電源を供給する電池(41)をハウジング(30)に対して着脱自在とした携帯機において、
電池(41)を交換したときに、その交換後の新たな電池(41)に負荷を作用させ、その負荷の作用開始から所定時間が経過したときに、その負荷が作用した状態の該新たな電池(41)から印加される電圧を測定し、その測定した電圧で電子回路が作動可能であれば、報知手段(35)を所定時間作動させることを特徴とする携帯機。
【請求項3】
交換後の新たな電池(41)の前記電圧を予め設定した基準電圧と比較し、比較結果に基づいて報知手段(35)の作動態様を異ならせることを特徴とする、請求項1又は2に記載の携帯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−89203(P2007−89203A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287962(P2006−287962)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【分割の表示】特願2002−294526(P2002−294526)の分割
【原出願日】平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【分割の表示】特願2002−294526(P2002−294526)の分割
【原出願日】平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]