説明

携帯端末装置、携帯端末装置を用いた防犯システム、その方法およびプログラム

【課題】携帯端末装置を用いて容易に構築できる防犯システムを提供すること。
【解決手段】携帯電話端末1は、防犯稼動中は、入力装置部2で入力情報を収集し、収集した情報が予め情報保存部4に設定された過去の情報との差分情報が閾値より大きい場合、不審者として検出し、不審者を検出した場合にその時に収集した不審者情報を無線装置部5で電子メールで通知先である他の情報処理装置に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置を用いて不審者情報を判別し警告を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイク、カメラ、位置検出装置、傾き検出装置、赤外線検出装置といった様々な外部情報の入力装置をもつ携帯端末装置が普及しており今後も様々な外部情報の入力装置が組み込まれることが予想される。
【0003】
そのような携帯端末装置を個人もしくは各家庭が複数台保有していることも少なくない。
【0004】
一方、空き巣、車上荒らしといった犯罪は後を絶たず、防犯対策を行うことは重要なことである。
【0005】
ここで、警備対象となる住居において、ディジタルカメラにより特定場所の撮影を行い、その撮影画像を端末装置内へ取り込み、端末装置により、撮影画像の変化が生じたか否かを判断し、撮影画像の変化が生じた場合、住居への不法侵入者があると認識して、このときの撮影画像を、通信網を介して、外部のサーバへ送信することで、不法侵入を確実に防げる警備システムを、簡単に且つ安価に構築することができる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−152714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、防犯システムを家屋や車に構築することは一般的に高価であり容易で安価に構築できる防犯システムが求められていた。
【0007】
本発明は、以上説明した問題点を解決するためになされたものである。その目的は、携帯端末装置を用いて容易に構築できる防犯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、防犯稼動中は、入力情報を収集し、収集した情報が予め設定された過去の情報との差分情報が閾値より大きい場合、不審者として検出し、不審者を検出した場合にその時に収集した不審者情報を電子メールで通知先である他の情報処理装置に通知することを特徴とする携帯端末装置である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、携帯端末装置は、防犯稼動中は、入力情報を収集し、収集した情報が予め設定された過去の情報との差分情報が閾値より大きい場合、不審者として検出し、不審者を検出した場合にその時に収集した不審者情報を電子メールで通知先である他の情報処理装置に通知することを特徴とする携帯端末装置を用いた防犯システムである。
【0010】
請求項9に記載の発明は、携帯端末装置が、防犯稼動中は、入力情報を収集し、収集した情報が予め設定された過去の情報との差分情報が閾値より大きい場合、不審者として検出し、不審者を検出した場合にその時に収集した不審者情報を電子メールで通知先である他の情報処理装置に通知することを特徴とする携帯端末装置を用いた防犯方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、携帯端末装置を用いて容易に構築できる防犯システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施の形態における携帯端末装置を用いた防犯システムに係わる携帯端末装置としての携帯電話端末の回路構成の要部を表したものである。
【0013】
携帯電話端末1は、入力装置部2、制御部3、情報保存部4および無線装置部5から構成される。
【0014】
本防犯システムにおいて、入力装置部2に含まれるマイク、カメラ、位置検出装置、傾き検出装置、赤外線検出装置といった外部情報の入力装置をもちいて空き巣や車上荒らしといった不審者が現れたことを検出するための情報を取得する。
【0015】
入力情報としてはカメラから入力される画像情報、マイクから入力される音声情報、GPS等の位置検出装置から入力される現在地情報、傾き検出装置から入力される携帯電話端末1の揺れ情報、赤外線検出装置から入力される赤外線情報を含む。
【0016】
入力装置部2から入力された情報をもとに制御部3にて空き巣や車上荒らしといった不審者が現れたかどうかを判断する。
【0017】
その結果空き巣や車上荒らしといった不審者が現れたと判断できる場合、情報保存部4に予め設定された制御情報をもとにカメラを用いて周囲の状況を撮影、予め設定された他の情報処理装置の宛先へ電子メール送信、他の情報処理装置との音声やテレビ電話による通話といった動作を自動的に行う。
【0018】
また、制御部にて有効であると判断した入力装置部2からの入力情報は情報保存部4へ保存する。
【0019】
無線装置部5は無線を介して他の情報処理装置と通信することにより電子メールの送信、音声やテレビ電話による通話を可能とする。
【0020】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
本防犯システムではカメラから入力される画像情報、マイクから入力される音声情報、GPS等の位置検出装置から入力される現在地情報、傾き検出装置から入力される携帯電話端末1の揺れ情報、赤外線検出装置から入力される赤外線情報といった入力装置部2からの入力情報を用いて不審者の検出を行うが、携帯電話端末1の設置状況によって入力情報として不適切なものも想定される。例えば何かにぶら下げて携帯電話端末1を設置する場合、常に揺れていることも考えられ傾き検出装置からの携帯電話端末1の揺れ情報を利用することが有効でないことも想定される。
【0021】
そのため本防犯システムを使用するにあたり事前に不審者検出のために利用する入力情報を選択し制御情報として情報保存部4へ保存しておき、利用する入力情報は入力装置部2より防犯システム稼働中は常に取得する。
【0022】
また、その入力情報を用いて不審者を検出した場合、アラーム鳴動等による不審者への警告、カメラによって周囲の状況を撮影、電子メールにて通知、音声通話やテレビ電話による不審者への警告等が防犯システムとして有効であると考えられる。そのため不審者検出後、携帯電話端末1に期待する動作とそれに必要な情報も予め情報保存部4へ制御情報として保存しておく。期待する動作としては、上記のようにアラーム鳴動、カメラによる静止画もしくは動画撮影、電子メールの送信、音声もしくはテレビ電話による通話を想定し、必要な情報としては発信先の電子メールアドレス、電話番号を想定する。
【0023】
図2は入力装置部2からの情報と情報保存部4に保存してある制御情報を用いて制御部3にて不審者を検出するための流れを表した図である。
【0024】
まず、空き巣、車上荒らしといった不審人物を検出するために予め情報保存部4へ保存しておいた制御情報を入手し(ステップS201)、検出状態を不審者未検出状態に設定する(ステップS202)。
【0025】
入力情報としてカメラからの画像情報を利用しない場合(ステップS203/N)次の入力情報を用いた不審者検出へ進み、利用する場合(ステップS203/Y)画像情報を利用して不審者検出を行う。画像情報を用いた不審者検出の方法としては差分処理等が考えられる。差分処理とは現時刻で取得した画像と過去に取得した画像を比較し差分領域が大きい場合、不審者を検出したと判断する方法である。
【0026】
画像情報を用いて不審者を検出した場合(ステップS204/Y)、検出状態を不審者検出状態に設定し次へ進む(ステップS205)。
【0027】
同様に、入力情報としてマイクからの音声情報を利用する場合(ステップS206/Y)、音声情報を利用して不審者検出を行う。音声情報を用いた不審者検出の方法としては、現時刻で取得した音声情報と過去の音声情報と比較しある閾値以上の差分を検出した場合、不審者を検出したと判断する方法等が考えられる。
【0028】
音声情報を用いて不審者を検出した場合(ステップS207/Y)、検出状態を不審者検出状態に設定し次へ進む(ステップS208)。
【0029】
同様に、入力情報としてGPS等の位置検出装置からの位置情報を利用する場合(ステップS209/Y)、位置情報を利用して不審者検出を行う。ここで本防犯システム稼動中に携帯電話端末1の位置が大きく移動することは想定していない。そのためもし本防犯システムを車中に構築した場合で携帯電話端末1の移動を検出した場合、それは不審者によって車ごと盗難されたことが考えられる。よって現時刻で取得した位置情報と過去の位置情報と比較しある閾値以上の差分を検出した場合、不審者を検出したと判断する。
【0030】
位置情報を用いて不審者を検出した場合(ステップS210/Y)、検出状態を不審者検出状態に設定し次へ進む(ステップS211)。
【0031】
同様に、入力情報として傾き検出装置からの揺れ情報を利用する場合(ステップS212/Y)、揺れ情報を利用して不審者検出を行う。揺れ情報を用いた不審者検出の方法としては、現時刻で取得した揺れ情報と過去の揺れ情報と比較しある閾値以上の差分を検出した場合、不審者を検出したと判断する方法等が考えられる。
【0032】
揺れ情報を用いて不審者を検出した場合(ステップS213/Y)、検出状態を不審者検出状態に設定し次へ進む(ステップS214)。
【0033】
同様に、入力情報として赤外線検出装置からの赤外線情報を利用する場合(ステップS215/Y)、赤外線情報を利用して不審者検出を行う。赤外線情報を用いた不審者検出の方法としては赤外線検出装置内に赤外線センサを複数もち、全てのセンサが反応した場合周囲の温度が上昇したとし、一部のセンサが反応した場合不審者を検出したと判断する方法等が考えられる。
【0034】
赤外線情報を用いて不審者を検出した場合(ステップS216/Y)、検出状態を不審者検出状態に設定する(ステップS217)。
【0035】
また、上記のような各入力情報を用いて不審者が検出できなかった場合、不審者が検出できなかったと判断する(ステップS218)。
【0036】
図3は入力情報から不審者を検出した場合の携帯電話端末1の動作の流れを表した図である。入力情報から不審者を検出した場合(ステップS301/Y)、情報保存部4より制御情報を取得し、その情報をもとに携帯電話端末1は自動的に処理を行う(ステップS302)。
【0037】
まず、動画像の撮影を行う場合(ステップS303:動画)、カメラ起動、動画像撮影を行いその動画像を情報保存部4へ保存する(ステップS304)。
【0038】
静止画像の撮影を行う場合(ステップS303:静止画)、カメラ起動、静止画像撮影を行いその静止画像を情報保存部4へ保存する(ステップS305)。
【0039】
次に、アラーム鳴動させ不審者に対し警告する(ステップS306)。次に予め設定している宛先へ電子メールにて不審者検出情報を通知する場合(ステップS307/Y)、かつ、その通知電子メールに撮影した画像と携帯電話端末1の現在地情報等の入力情報を添付する場合(ステップS308/N)、情報保存部4に保存している添付情報を取得し(ステップS309)、通知電子メールを無線装置部5を経由し送信する(ステップS310)。
【0040】
画像情報、現在地情報等を添付しない場合(ステップS308/Y)、不審者検出についてのみ電子メールにて通知する(ステップS310)。次に予め設定している宛先へ音声電話もしくはテレビ電話の発信を行い、離れた場所から不審者へ直接警告等を行う(ステップS311)。
【0041】
音声電話の発信を行う場合(ステップS311/音声)、設定された宛先へ無線装置部5を経由し音声電話発信を行う(ステップS312)。テレビ電話の発信を行う場合(ステップS311/TV電話)、設定された宛先へ無線装置部5を経由しTV電話発信を行う(ステップS313)。
【0042】
図4は、本防犯システムを構築するにあたり予め情報保存部4へ保存していた制御情報を、パスワードと変更する制御情報を含ませて外部から携帯電話端末1へ電子メールにて送信することで制御情報を変更する動作の流れを表した図である。
【0043】
まず、本防犯システム稼動中に無線装置部5を経由し電子メールを受信した場合(ステップS401/Y)、電子メールの内容よりパスワード、変更制御情報を含み制御情報を変更するためのものであるかを判断する。正しいパスワード、制御情報を含む場合(ステップS402/Y)、情報保存部4へ制御情報を保存し(ステップS403)、変更完了したことを無線装置部5を経由し電子メールにて返信する。
【0044】
以上説明したように本実施の形態によれば、従来空き巣、車上荒らしといった犯罪は後をたたず防犯対策を行うことは重要なことであるが、高価でシステム構築に時間がかかった防犯システムを現在一般的に普及している携帯電話端末1を用いることで容易で安価に構築することができるという効果がある。
【0045】
以上の説明では、携帯電話端末を用いた防犯システムを使用する場合を説明したがPHS、PDA等の他の携帯端末装置でも同様にして防犯システムを構築することができる。
【0046】
なお、上述する実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、メモリ管理装置の機能を実現するためのプログラムを装置に読込ませて実行することにより装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0047】
また、本発明はグラフィカルユーザインターフェースを持つ、携帯電話機などの組み込み機器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態における携帯電話端末の回路構成の要部を表した図である。
【図2】本発明の実施の形態における不審者を検出するための流れを表した図である。。
【図3】本発明の実施の形態における入力情報から不審者を検出した場合の携帯電話端末1の動作の流れを表した図である。
【図4】本発明の実施の形態における制御情報を変更する動作の流れを表した図である。
【符号の説明】
【0049】
1 携帯電話端末
2 入力装置部
3 制御部
4 情報保存部
5 無線装置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防犯稼動中は、入力情報を収集し、収集した情報が予め設定された過去の情報との差分情報が閾値より大きい場合、不審者として検出し、不審者を検出した場合にその時に収集した不審者情報を電子メールで通知先である他の情報処理装置に通知することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
予め不審者を検出するために前記入力情報に対する制御情報を保存部に設定しておき、その制御情報を基に入力情報を収集することを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置を用いた防犯システム。
【請求項3】
不審者を検出した場合に、不審者に対して鳴動による警告を行うことを特徴とする請求項1または2記載の携帯端末装置を用いた防犯システム。
【請求項4】
予め指定された宛先である他の情報処理装置に電話接続またはテレビ電話接続を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯端末装置を用いた防犯システム。
【請求項5】
携帯端末装置は、防犯稼動中は、入力情報を収集し、収集した情報が予め設定された過去の情報との差分情報が閾値より大きい場合、不審者として検出し、不審者を検出した場合にその時に収集した不審者情報を電子メールで通知先である他の情報処理装置に通知することを特徴とする携帯端末装置を用いた防犯システム。
【請求項6】
予め不審者を検出するために前記入力情報に対する制御情報を保存部に設定しておき、その制御情報を基に入力情報を収集することを特徴とする請求項5記載の携帯端末装置を用いた防犯システム。
【請求項7】
前記携帯端末装置は、不審者を検出した場合に、不審者に対して鳴動による警告を行うことを特徴とする請求項5または6記載の携帯端末装置を用いた防犯システム。
【請求項8】
前記携帯端末装置は、予め指定された宛先である他の情報処理装置に電話接続またはテレビ電話接続を行うことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の携帯端末装置を用いた防犯システム。
【請求項9】
携帯端末装置が、防犯稼動中は、入力情報を収集し、収集した情報が予め設定された過去の情報との差分情報が閾値より大きい場合、不審者として検出し、不審者を検出した場合にその時に収集した不審者情報を電子メールで通知先である他の情報処理装置に通知することを特徴とする携帯端末装置を用いた防犯方法。
【請求項10】
予め不審者を検出するために前記入力情報に対する制御情報を保存部に設定しておき、その制御情報を基に入力情報を収集することを特徴とする請求項9記載の携帯端末装置を用いた防犯方法。
【請求項11】
前記携帯端末装置が、不審者を検出した場合に、不審者に対して鳴動による警告を行うことを特徴とする請求項9または10記載の携帯端末装置を用いた防犯方法。
【請求項12】
前記携帯端末装置が、予め指定された宛先である他の情報処理装置に電話接続またはテレビ電話接続を行うことを特徴とする請求項9から11のいずれか1項に記載の携帯端末装置を用いた防犯方法。
【請求項13】
コンピュータに請求項1から4のいずれか1項に記載の機能を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−90713(P2008−90713A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272751(P2006−272751)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】