説明

携帯電話機

【課題】 破壊を確実に検知することにより確実に緊急通報を実行できる携帯電話機を提供する。
【解決手段】 携帯電話機201は、物理的および電気的に接続された第1ブロック202と第2ブロック203とで構成された筐体を有し、第1ブロック202と第2ブロック203との電気的接続が断たれることによって電位が変化する信号線116と、信号線116の電位が変化したことを検知する電位変化検知部111と、電位変化検知部111によって部位Tの電位が変化したことが検知されたときに、緊急事態発生を外部に通知するCPU104と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理的および電気的に接続された第1ブロックと第2ブロックとで構成された筐体を有する携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話機では、犯罪に遭遇した際に、犯人によって筐体の一部が破壊されると現在位置情報を緊急連絡先に報知していた。特に、筐体の破壊を検知するために、筐体が破壊されたときに電流が流れるよう構成した電気回路が必要であった。特許文献1参照。
【0003】
【特許文献1】特開2003-198704(図1、段落0007、段落0021)
【特許文献2】特開2001-045183
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、筐体が物理的に破壊されると同時に電気的にも破壊されてしまい、期待通りに電流が流れないことによって、破壊が検知されず、結果的に緊急通報できないことがあった。
【0005】
本発明の目的は、破壊を確実に検知することにより確実に緊急通報を実行できる携帯電話機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、物理的および電気的に接続された第1ブロックと第2ブロックとで構成された筐体を有する携帯電話機であって、
前記第1ブロックと第2ブロックとの電気的接続が断たれることによって電位が変化する電位変化部と、
前記電位変化部の電位が変化したことを検知する電位変化検知部と、
前記電位変化検知部によって電位変化部の電位が変化したことが検知されたときに、緊急事態発生を外部に通知する緊急事態発生通知部と、
を備えたことを特徴とする携帯電話機である。
【0007】
また本発明は、物理的および電気的に接続された第1ブロックと第2ブロックとで構成された筐体を有する携帯電話機であって、
前記第1ブロックに搭載され第2ブロックとの間で無線通信を行う第1無線通信部と、
前記第2ブロックに搭載され第1ブロックとの間で無線通信を行う第2無線通信部と、
前記第1無線通信部と第2無線通信部との無線通信が可能か不能かを検知する無線通信可否検知部と、
前記無線通信可否検知部によって無線通信が不能であることが検知されたときに、緊急事態発生を外部に通知する緊急事態発生通知部と、
を備えたことを特徴とする携帯電話機である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1ブロックと第2ブロックとの物理的接続部分が破壊されることによって、第1ブロックと第2ブロックとの電気的接続が断たれた場合に、確実に緊急通報を実行することができる。
【0009】
また本発明によれば、第1ブロックと第2ブロックとの物理的接続部分が破壊されることによって、第1ブロックと第2ブロックとの距離が離れた場合に、確実に緊急通報を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における携帯電話機の構成を示す図である。携帯電話機201は、2つ折れ型やスライド型等のように、大まかに第1ブロック202と第2ブロック203とで構成された筐体を有している。第1ブロック202と第2ブロック203とは、接続部114によって物理的かつ電気的に接続されている。
【0011】
第1ブロック202は、通信制御部101、無線部102、アンテナ103、中央演算処理部(CPU)104、記憶部105、キー入力部107、電源制御部108、充電制御部109、電池110、電位変化検知部111、プルアップ素子112、現在位置確認部115、および信号線116の一部を備えている。
【0012】
通信制御部101は、音声通話、データ通信、及び待ち受け等の通信処理に関する制御を行う。無線部102は、無線信号の変復調を行う。アンテナ103は、基地局(図示なし)との間で無線信号を送受信する。CPU104は、無線信号処理をはじめ各部の制御を行う。記憶部105は、CPU104で処理するソフトウェアプログラムやデータを記憶させる。キー入力部107は、電話番号や文字を入力するためのユーザインタフェースである。電源制御部108は、電池110の電力を携帯電話機201で必要な電圧に変換し各ブロックへ分配する制御を行う。充電制御部109は、電池110への充電を制御する。電池110は、電力供給を行うための電源である。電位変化検知部111は、信号線116の部位Tにおける電位Pが変化したことを検知する。プルアップ素子112は、信号線116が断線した場合に、部位Tにプルアップ電位を供給する。現在位置確認部115は、携帯電話機201の現在位置(緯度、経度)を測位する。
【0013】
第2ブロック203は、キー入力部121、表示部122、および信号線116の一部を備えている。キー入力部121は、キー入力部107と同じく、電話番号や文字を入力するためのユーザインタフェースである。表示部122は、表示出力を行うユーザインタフェースである。
【0014】
信号線116は、第1ブロック202から接続部114を経由して第2ブロック203に達するように配設され、部位Tの電位が正常時はグランドレベルとなり、寸断時にプルアップレベルに電圧が変化する。
【0015】
第1ブロック202および第2ブロック203は、接続部114よりも高い強度となるように構成している。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態1における通信ネットワークの接続状態を示す図である。携帯電話機201、第1ブロック202、および第2ブロック203は、図1において説明したものである。携帯電話機201と緊急連絡先208とは、移動通信ネットワーク207を介して無線通信により相互接続されている。
【0017】
電位変化検知部111で接続部114の電気的寸断を検知すると、キー入力操作がなくとも現在位置確認部115で取得した位置情報を伴う緊急連絡用データを、CPU104で作成し、無線通信用のデータにCPU104で変換した後、無線部102で変調し、アンテナ103で移動通信ネットワーク207を経由して緊急連絡先208へ報知する。
【0018】
電位変化検知部111に接続されている信号線116は、正常時は、第1ブロック202側と第2ブロック203側とが接続されているため、部位Tがグランド電位となり、これを電位変化検知部111において検知している。この状態を、接続部114が寸断されていない状態とする。これに対し、図2に示すように、携帯電話機201が第1ブロック202と第2ブロック203とに分断されてしまうと、図3に示すように、第1ブロック202と第2ブロック203との間が電気的に切断された状態となる。すると、信号線116は第1ブロック202側と第2ブロック203側とに分断されるため、プルアップ素子112により部位Tの電位がプルアップ電位となり、電位変化検知部111によってこれを検知する。この状態を、第1ブロック202と第2ブロック203とが分断された状態とする。これにより、第1ブロック202と第2ブロック203とが分断された場合の判断を行うことが出来る。
【0019】
CPU104は、電位変化検知部111を通して信号線116の部位Tの電位Pを、一定周期ごとに確認することで分断の確認を行う。あるいは、信号線116の部位Tの電位Pが変化した際に、電位変化検知部111がCPU104へ割込を通知することで、分断の確認を行う。これにより、第1ブロック202と第2ブロック203とが分断された後に遅延無くCPU104がそのことを確認することができる。
【0020】
CPU104が電位変化検知部111を通して分断したと判断すると、現在位置確認部115で取得した位置情報をCPU104で緊急連絡用データとして自動的に作成し、無線通信用のデータにCPU104で変換した後、無線部102で変調し、アンテナ103で移動通信ネットワーク207を経由して緊急連絡先208へメール(パケット通信)で報知する。それと同時に、緊急連絡先208へ自動的に電話をかけ、予め記憶部105に保存してある緊急である旨の合成音声を回線交換方式で報知する。
【0021】
このように実施の形態1によれば、強盗・誘拐などの犯罪に遭遇したときに、犯人に携帯電話機201を奪われ、携帯電話機201が第1ブロック202と第2ブロック203とに分断された場合に於いても、簡易な構成によって破壊を検知することができるので、緊急連絡先208への連絡を確実に行うことができ、犯罪の早期解決を促すことが可能となる。
また、第1ブロック202および第2ブロック203は、接続部114よりも高い強度となるように構成しているので、信号線116が寸断されやすくなり、携帯電話機201が破壊された際に信号線116を確実に寸断することができる。これにより、緊急連絡先208への連絡を更に確実に行うことができる。
【0022】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2における携帯電話機の構成を示す図である。前述の実施の形態1では、第1ブロック202と第2ブロック203とを接続する接続部114に、信号線116を有線で通すことにより、電気的に寸断されたことを検知したが、本実施の形態2では、図4に示すように、携帯電話機301の第1ブロック302と第2ブロック303とを近距離無線で接続したものである。
【0023】
具体的には、第1ブロック302にブロック間通信制御部401、ブロック間通信無線部402およびアンテナ405を搭載し、第2ブロック303にブロック間通信制御部403、ブロック間通信無線部404およびアンテナ406を搭載し、キー入力部121とCPU104との接続、および表示部122とCPU104との接続を近距離無線に置き換えている。
【0024】
こうした構成により、第1ブロック302と第2ブロック303との間の接続部114に信号を通すことのない携帯電話機301を構成できる。
【0025】
ブロック間通信制御部401は、例えばCPU104で生成した表示データをブロック間通信無線部402で扱えるデータに変換し、ブロック間通信無線部402で変調した信号をアンテナ405から無線送信する。アンテナ406で受信した信号をブロック間通信無線部404で復調し、ブロック間通信制御部403で表示データに戻し、表示部122に送る。
【0026】
また、ブロック間通信制御部403は第2ブロック303に搭載されているキー入力部121の押下情報をブロック間通信無線部404で扱えるデータに変換し、ブロック間通信無線部404で変調した信号をアンテナ406から送信する。アンテナ405で受信した信号をブロック間通信無線部402で復調し、ブロック間通信制御部401で押下情報に戻し、CPU104に送る。
【0027】
これらの第1ブロック302と第2ブロック303との間の無線通信は、第1ブロック302と第2ブロック303とが近距離(数cm〜数十cm以内)でのみ行うことができる程度の微弱電波による無線通信であり、定期的に通信を行うことによって、第1ブロック302と第2ブロック303が近距離にある、すなわち寸断されていないという判断をブロック間通信制御部401が行うことが出来る。
【0028】
一方、携帯電話機301が第1ブロック302と第2ブロック303とに分断されてしまうと、図5に示すように、第1ブロック302と第2ブロック303との間が一定距離以上離れた状態となる。すると、距離が離れたことが原因、あるいは電源が供給されなくなることが原因で、第1ブロック302と第2ブロック303との間で定期的に行われていた通信が途絶える。この状態を、第1ブロック302と第2ブロック303とが分断された状態とする。
【0029】
このように実施の形態2によれば、近距離無線通信によって、第1ブロック302と第2ブロック303とが分断された場合の判断を行うことが出来る。CPU104は、ブロック間通信制御部401から通知を受けることで分断の確認を行う。よって、実施の形態1と同じく本実施の形態2においても、緊急連絡先208への連絡を確実に行うことができ、犯罪の早期解決を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1における携帯電話機の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1における通信ネットワークの接続状態を示す図である。
【図3】実施の形態1における破壊された携帯電話機を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2における携帯電話機の構成を示す図である。
【図5】実施の形態2における破壊された携帯電話機を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
101 通信制御部
102 無線部
103 アンテナ
104 中央演算処理部(CPU)
105 記憶部
107,121 キー入力
108 電源制御部
109 充電制御部
110 電池
111 電位変化検知部
112 プルアップ素子
114 接続部
115 現在位置確認部
116 信号線
122 表示部
201,301 携帯電話機
202,302 第1ブロック
203,303 第2ブロック
207 移動通信ネットワーク
208 緊急連絡先
401,403 ブロック間通信制御部
402,404 ブロック間通信無線部
405,406 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的および電気的に接続された第1ブロックと第2ブロックとで構成された筐体を有する携帯電話機であって、
前記第1ブロックと第2ブロックとの電気的接続が断たれることによって電位が変化する電位変化部と、
前記電位変化部の電位が変化したことを検知する電位変化検知部と、
前記電位変化検知部によって電位変化部の電位が変化したことが検知されたときに、緊急事態発生を外部に通知する緊急事態発生通知部と、
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記電位変化部は、第1ブロックと第2ブロックとが電気的に接続されているときにグランド電位であり、第1ブロックと第2ブロックとの電気的接続が断たれたときにプルアップ電位となることを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
物理的および電気的に接続された第1ブロックと第2ブロックとで構成された筐体を有する携帯電話機であって、
前記第1ブロックに搭載され第2ブロックとの間で無線通信を行う第1無線通信部と、
前記第2ブロックに搭載され第1ブロックとの間で無線通信を行う第2無線通信部と、
前記第1無線通信部と第2無線通信部との無線通信が可能か不能かを検知する無線通信可否検知部と、
前記無線通信可否検知部によって無線通信が不能であることが検知されたときに、緊急事態発生を外部に通知する緊急事態発生通知部と、
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】
前記緊急事態発生通知部は、予め登録しておいた緊急連絡先に対し、電子メールまたは音声通話によって、緊急事態発生を現在位置情報とともに通知することを特徴とする請求項1または3記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記第1ブロックおよび第2ブロックは、前記第1ブロックと第2ブロックとの物理的接続部分よりも、高い強度を有することを特徴とする請求項1または3記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−131155(P2008−131155A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311509(P2006−311509)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】