説明

改良された関節式アーム

【課題】高い正確度、高い信頼性および耐久性、相当な
使い易さ、ならびに低コストを有する間接式アームを提供する。
【解決手段】関節式アームCMM1は、複数の伝達部材20と、少なくとも2つの伝達部材20を互いに接続する複数の関節部材30〜36と、遠端における座標取得部材50と、近端におけるベース10とを備える。関節部材30〜36の少なくとも2つは、少なくとも1つのエンコーダを備えることが可能であり、少なくとも2つのエンコーダは、ともに、単一のモノブロックハウジング内に収容されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許出願第12/748,169号明細書;同第12/748,243号明細書;同第12/748,278号明細書;同第12/748,206号明細書;および同第12/748,267号明細書(すべて2010年3月26日出願)の優先権を主張するものであり、かかる出願の各々は、米国特許法第119条(e)項に基づき、米国仮特許出願第61/259,105号明細書(2009年11月6日出願)の優先権の利益を主張するものであり、かかる出願の全内容は、明示的に参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、関節式アームおよび座標測定に関し、より詳細には、座標測定機に関する。
【背景技術】
【0003】
座標測定機(CMM)および関節式アーム測定機とも称される直線測定システムは、非常に正確な幾何学情報を生成するために用いられる。一般に、これらの器具は、品質管理、電子的レンダリング、および/または複製において用いるための物体の構造的特徴を捕捉する。座標データ取得のために用いられる従来の装置の一例には、装置の測定範囲内で非常に正確な測定値を得ることが可能な携帯装置である携帯座標測定機(PCMM)がある。かかる装置は、継手によりともに接続された複数の伝達部材を含むアームの端部上に装着されたプローブを含むことが多い。プローブの反対側のアームの端部は、典型的には、移動可能なベースに連結されている。典型的には、継手は、単一の回転自由度に分解され、それらの各々は、専用の回転トランスデューサを用いて測定される。測定中、アームのプローブは、オペレータにより手動で測定範囲における様々な点に動かされる。各点において、所与の瞬間における継手の各々の位置を判定しなければならない。そのため、各トランスデューサは、その自由度における継手の移動に応じて変化する電気信号を出力する。典型的には、プローブも信号を生成する。これらの位置信号およびプローブ信号は、アームを通じてレコーダ/アナライザに転送される。次いで、位置信号を用いて、測定範囲内におけるプローブの位置を判定する。例えば、米国特許第5,829,148号明細書および同第7,174,651号明細書を参照されたい。かかる特許は、それらの全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、様々な特質の中でも、高い正確度、高い信頼性および耐久性、相当な使い易さ、ならびに低コストを有するかかる機械に対する需要が存在する。本明細書中の開示は、これらの特質の少なくともいくつかに対する改良を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、関節式アームCMMは、複数の伝達部材と、少なくとも2つの伝達部材を互いに接続する複数の関節部材と、遠端における座標取得部材と、近端におけるベースとを備える。関節部材の少なくとも2つは、少なくとも1つのエンコーダを備えることが可能であり、少なくとも2つのエンコーダは、ともに、単一のモノブロックハウジング内に収容されることが可能である。
【0006】
追加の実施形態において、関節式アームCMMは、関節式アームとガススプリングカウンターバランスとを備える。関節式アームは、複数の関節式アーム部材と、遠端における座標取得部材と、近端におけるベースとを含むことが可能である。ガススプリングカウン
ターバランスは、隣接する関節式アーム部材の間の回転点においてアームを支持することが可能である。さらに、ガススプリングカウンターバランスは、ベースに対してよりも回転点に対してより近い点においてベースに近い方の関節式アーム部材に接続することが可能である。
【0007】
さらに別の実施形態において、関節式アームCMMは、関節式アームとガススプリングカウンターバランスとを備える。関節式アームは、複数の関節式アーム部材と、遠端における座標取得部材と、近端におけるベースとを備えることが可能である。ガススプリングカウンターバランスは、2つの隣接する関節式アーム部材の間の回転点においてアームを支持することが可能である。さらに、回転点における回転により、ガススプリングカウンターバランスが実質的に水平な位置にされたときに2つの隣接する関節式アーム部材の一方も実質的に水平な位置にすることが可能である。
【0008】
さらなる実施形態において、関節式アームCMMは、関節式アームとハンドルとを備える。関節式アームは、複数の関節式アーム部材と、遠端における座標取得部材と、近端におけるベースとを含むことが可能である。ハンドルは、電子装置を含むとともに座標取得部材に取り外し可能に接続することが可能である。
【0009】
本発明のさらなる目的、特長、および利点は、本発明の例示的実施形態を示す下記の添付図面と併せて検討する後続の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】関節式アームの斜視図である。
【図1A】図1の関節式アームの分解図である。
【図2】図1の関節式アームの伝達部材をその関連付けられた関節部材とともに示す斜視図である。
【図2A】カバー部が取り外された状態の図2の伝達部材の斜視図である。
【図2B】図2Aの伝達部材の拡大斜視図である。
【図2C】図2の関節部材の拡大断面図である。
【図2D】図2Bの伝達部材の拡大断面図である。
【図2E】図2の伝達部材および関節部材の部分分解側面図である。
【図3】図1の関節式アームのカウンターバランスシステムの斜視図である。
【図3A】図3のカウンターバランスシステムの分解図である。
【図3B】第1の位置における図3のカウンターバランスシステムの側面図である。
【図3C】第2の位置における図3のカウンターバランスシステムの側面図である。
【図4】図1の関節式アームのハンドルの斜視図である。
【図5】図1の関節式アームのベースおよびフィーチャパックの斜視図である。
【図6】エンコーダの例証的実施形態の平面図である。
【図7】関節式アームに関連付けられた較正ソフトウェアの実施形態のスクリーンショットである。
【図7A】コンピュータと無線通信する関節式アームの斜視図である。
【図8】関節式アームを操作する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および図1Aは、本発明による携帯座標測定機(PCMM)の一実施形態を示す。図示の実施形態において、PCMM1は、ベース10と、複数の剛性伝達部材20と、座標取得部材50と、剛性伝達部材20を互いに接続する「継手アセンブリ」を形成する複数の関節部材30〜36とを備える。関節部材30〜36は、伝達部材20およびヒンジ(後述)とともに、1つ以上の回転および/または角度自由度を付与するように構成されている。様々な部材30〜36、20により、PCMM1を様々な空間的配向において位
置合わせし、それにより、座標取得部材50を三次元空間において精密に位置決めおよび配向決めすることが可能である。
【0012】
剛性伝達部材20および座標取得部材50の位置は、手動の、ロボットの、半ロボットの、および/または他のいずれの調節方法を用いて調節してもよい。一実施形態において、PCMM1は、様々な関節部材30〜36により、7つの回転移動軸心が設けられる。しかし、用いてもよい移動軸心の数に厳格な限定は存在せず、より少ないまたは追加の移動軸心をPCMM設計に組み込んでもよいことが理解されよう。
【0013】
図1に示す実施形態のPCMM1において、関節部材30〜36は、それらの関連付けられた運動部材の動作に基づいて、2つの機能的グループ、すなわち1)固有かつ別個の伝達部材に関連付けられたスイベル運動に関連付けられた関節部材30、32、34、36(以下、「スイベル継手」)と、2)2つの隣接する部材間または座標取得部材30とその隣接する部材との間に形成された相対角度の変更を可能にする関節部材31、33、35(以下、「ヒンジ継手」または「ヒンジ」)とに分類することが可能である。図示の実施形態は、7つの移動軸心を形成するように位置決めされた4つのスイベル継手と3つのヒンジ継手とを含むが、他の実施形態では、ヒンジ継手およびスイベル継手の数および場所を変化させることで、PCMMにおいて異なる移動特性を達成することが可能であると考えられる。例えば、6つの移動軸心を有する実質的に同様の装置は、単に、座標取得部材50と隣接する関節部材20との間のスイベル継手30を欠くものであり得る。さらに他の実施形態では、スイベル継手とヒンジ継手とを組み合わせるおよび/または異なる組み合わせで用いることが可能である。
【0014】
当該技術において知られる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,829,148号明細書参照)とともに図2Dに示すように、伝達部材20は、二軸ハウジング100内に位置決めすることが可能な、隣接する部材の第1端に近接して装着された第1のベアリングと部材の対向端に配置された第2のベアリングとを通じて外側筒状シース20b内に回転可能に同軸装着された内側筒状軸20aを有する一対の二重同心筒状構造を備えることが可能である。伝達部材20は、伝達部材の一端から伝達部材の他端に運動を伝達するように動作する。伝達部材20は、関節部材30〜36とともに接続され、継手アセンブリを形成する。
【0015】
ヒンジ継手は、伝達部材(図1A参照)の一端から延在するヨーク28と、関節部材31、33、35を通じて延在する回転軸と、ヒンジまたはヒンジ継手を形成するため回転軸周りを回転する関節部材31、33、35自体との組み合わせにより部分的に形成される。
【0016】
各ヒンジまたはスイベル継手は、図2Cに見られるエンコーダ37の形態の自らの専用の運動トランスデューサを有する。有益なことに、ヒンジ継手エンコーダとスイベル継手エンコーダとの両方は、少なくとも部分的に、より好ましくは全体的に、それぞれの関節部材30〜36内で二軸ハウジング100内に位置決めされている。
【0017】
様々な実施形態において、座標取得部材50は、選択された物体の表面に係合するとともにプローブの接触に基づいて座標データを生成するように構成された接触感知部材55(図1においてハードプローブとして示す)を備える。図示の実施形態において、座標取得部材50は、幾何学データを取得するために選択された物体に直接接触することを必ずしも要求しない非接触走査および検出コンポーネントも備える。図示のように、非接触走査装置は、物体との直接の接触を伴わずに幾何学データを得るために用いてもよい非接触座標検出装置(レーザ座標検出装置/レーザスキャナとして示す)を備える。非接触走査装置は、本明細書において不図示のレーザと連携して機能するカメラまたは他の光学装置
70を含むことが可能である。座標取得の目的で、接触感知プローブ、非接触走査装置、レーザ走査装置、接触検出のために歪みゲージを用いるプローブ、接触検出のために圧力センサを用いるプローブ、位置決めのために赤外線ビームを用いる装置、および静電気に応答するように構成されたプローブを含む様々な座標取得部材の構成を用いてもよいことが理解されよう。さらに、いくつかの実施形態において、座標取得部材50は、1つ、2つ、3つ、または4つ以上の座標取得機構を含むことが可能である。
【0018】
本明細書に記載の実施形態とともに用いることが可能な座標取得部材の特定の実施形態のさらなる説明は、「レーザスキャナを有する関節式測定アーム」の表題で2009年6月18日に出願された米国特許出願第12/487,535号明細書において見出すことが可能であり、かかる出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。前記参照に示すように、座標取得部材は、座標取得部材(タッチプローブも含むことが可能である)の本体に取り付けることが可能なモジュール式レーザスキャナを含むことが可能である。モジュール式フィーチャにより、他の様々な座標検出装置を座標取得部材とともに用いることが可能になる。加えて、当業者により一般に知られているように、他の座標取得部材を用いることが可能である。
【0019】
有益なことに、図2〜図2Cに示すように、関節部材30〜36は、二軸ハウジング100を形成する。二軸ハウジング100は、単一のモノブロックハウジング、接合された(例えば溶接、接着剤などにより)複数の片を含むハウジング、その他であることが可能である。図示のように、二軸ハウジング100は、伝達部材20に連結され、ベース10から2番目および3番目の回転軸心に対応するヒンジおよびスイベル継手の一部を備えることが可能である。上述のように、別々に機能する回転エンコーダ37と伝達部材ならびにヒンジおよびスイベル継手の位置を測定するための関連付けられた電子装置と(当業者により一般に知られているもの)を、関節部材34および35(ならびに、他の図面に示すように、関節部材30〜33および36)において位置決めすることが可能である。
【0020】
二軸アセンブリの組み立てを容易にするため、二軸ハウジング100は、図2Aにおいて取り外された状態で示す取り外し可能な裏カバー102を含むことが可能である。図示のように、取り外し可能なカバー102は、ハウジングに装着された隣接する伝達部材20に対して略軸方向に位置合わせされたハウジング100における開口を覆うことが可能である。さらに、いくつかの実施形態において、カバー102は、CMM1の何らの大きい荷重も負担しないように構成することが可能である。そのため、カバー102は、緩衝器として役に立つことも可能なより低剛性の材料で形成することが望ましいかもしれない。図示のように、カバー102は、アーム1の「肘」の位置に位置決めすることが可能である。何らかの活動中、「肘」の位置は、アーム1を損傷させ得る外部の硬い表面に突然接触する可能性がより高いかもしれない。有益なことに、衝撃吸収材料で形成されたカバー102は、アーム1をかかる損傷から保護することが可能である。さらにその上、いくつかの実施形態において、カバー102の材料は、二軸ハウジング100の材料との封止の強化を促進するように役立つことも可能である。二軸ハウジング100は、剛性材料を含むことが可能であり、カバー102は、ハウジングに装着されたときにハウジングの縁に追従することが可能なより柔軟な材料を含み、強化された封止を形成することが可能である。
【0021】
取り外し可能な裏カバー102により、二軸ハウジング100の内部を外部要素から概ね封止し、ハウジング内に位置決めされたエンコーダ37を保護することが可能である。カバー102が取り外されると、関節部材34に関連付けられた別体のエンコーダ37を露出させ、二軸ハウジング100における図示の伝達部材20に対して略軸方向に位置合わせされたスイベル受容部104に対して挿入/取り外しする(図2Eに示すように)ことが可能である。図示の実施形態において、関節部材34および35に関連付けられたエ
ンコーダは、伝達部材20とは別体のコンポーネントである。すなわち、エンコーダと伝達部材とは、ともに接続されているが互いに別々に回転動作することが可能な2つの別体かつ別個のコンポーネントである。その他の関節部材30〜33および36にも、同じ原理を適用することが可能である。すなわち、伝達部材20は、上記のように継手または継手アセンブリを形成するとともに回転を測定するために動作する関節部材30〜36とは別々に動作することが可能である。
【0022】
加えて、図2Bに示すように、カバー102が取り外されている間に、追加の電子装置を挿入/取り外しすることが可能である。図示のように、二軸ハウジング100は、追加の電子装置を保持することが可能なプリント回路基板38のための受容部を提供することが可能である。いくつかの実施形態において、追加の電子装置は、エンコーダからのアナログ信号をデジタル化するなど、追加の信号処理を行うことが可能である。いくつかの実施形態において、かかるデジタル化は、信号をスリップリングまたは他の回転可能な電子接続に通過させる前に行うことが可能である。さらに、いくつかの実施形態において、追加のプリント回路基板38は、二軸ハウジング100内の両方のエンコーダ間の物理的な電子的接続の形成を容易にすることが可能である。
【0023】
さらに、図示の二軸ハウジング100において、関節部材35に関連付けられた別体のエンコーダ37は、裏カバー102とは独立して挿入/取り外しすることが可能である。この挿入/取り外しを容易にするため、二軸ハウジング100は、ハウジングの主たる平面から垂直に配向されたヒンジ受容部106を有することが可能である。ヒンジ受容部106は、エンコーダ37が進入することが可能な開放端108と、エンコーダが当接してエンコーダの位置を定義することが可能な実質的に閉鎖された端部110とを有することが可能である。一旦エンコーダ37が挿入されたら、エンコーダをヒンジ受容部106内に固定するためにキャップ片112を挿入することが可能である。
【0024】
図2Cに示すように、エンコーダ37は、エンコーダディスク38aと読み取りヘッド38bとを含むことが可能である。エンコーダディスク38aは、読み取りヘッド38bにより測定することが可能なパターンをその表面上に有することが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、エンコーダディスク38aは、変化する色、透明および不透明な部分、または他の可視的変化を含む光学的パターンを有することが可能であり;読み取りヘッド38bは、カメラなどの光学測定装置を含むことが可能である。いくつかの実施形態において、ディスク38aは、以下でさらに検討するように、読み取りヘッドによるディスクのいずれの画像も絶対回転角度を定義することが可能であるように、バーコードに類似の定義された線のパターンをディスク上に有することが可能である。別の例として、エンコーダディスク38aは、変化する磁気部を有することが可能であり、読み取りヘッド38bは、対応する磁界を測定することが可能である。エンコーダディスク38a上の変化するパターンを読み取りヘッド38bが測定することで、読み取りヘッドに対するエンコーダディスクの回転位置または回転位置における変化を示すことが可能である。図示のように、読み取りヘッド38bは、ハウジング100に回転的に固定することが可能であり、エンコーダディスク38aは、ハウジング内に回転可能に装着されたエンコーダ軸39に回転的に固定することが可能である。これにより、ハウジング100に対する軸39の回転により、測定可能なディスク38aと読み取りヘッド38bとの間の対応する相対回転を生じさせることが可能である。しかし、装置は変更可能であることが、本明細書中の記載から明らかであろう。例えば、いくつかの実施形態において、読み取りヘッド38bは、ハウジング100に回転可能に装着することが可能であり、エンコーダディスク38aは、回転可能に固定することが可能である。
【0025】
図示の実施形態において、関節部材35に関連付けられたエンコーダは、伝達部材およびエンコーダ軸39上のフォーク継手を介して、図2において不図示の隣接する伝達部材
に装着することが可能である。前記フォーク継手は、二軸ハウジング100の反対側の図示の伝達部材20の端部に示すものと同様であることが可能で、ハウジング100内に回転可能に装着されたエンコーダ軸39に装着することが可能なヨーク28を有する。ヨーク28のフォークは、二軸ハウジング100の両端とその収容するエンコーダとを中心に装着することで、ヒンジ関節部材35を形成することが可能である。そのため、二軸ハウジング100における両方のエンコーダは、互いに独立して単一のハウジングに対して挿入/取り外しすることが可能である。注目すべき点として、他の実施形態において、二軸ハウジング100の形態は変更可能である。例えば、いくつかの実施形態において、二軸ハウジング100は、それぞれ1つではなく、2つのスイベル受容部104または2つのヒンジ受容部106を形成することが可能である。
【0026】
エンコーダ37を単一のハウジング内に配置することにより、別々のハウジングを有する従来技術のアセンブリに対して数多くの利点を提供することが可能である。例えば、結合されたハウジングにより、要求される部品および継手の数を削減し、これにより、コストおよび組み立て時間も削減することが可能である。さらに、撓み、位置ずれ、または複数コンポーネントに伴う他の問題を排除することにより、装置の精度を改善することが可能である。加えて、追加のハウジングの除去により、組み合わせた継手アセンブリをよりコンパクトにし、アームをより良好に支持するとともにアームの重量を小さくすることが可能である。図1Aに示すように、次のまたは繋がる伝達部材20のヨーク28を、二軸ハウジング100を通じて延在するベアリング軸に連結することで、ヒンジ継手を形成することが可能である。
【0027】
ベースから2番目および3番目の軸心は収容された状態で図示されているが、4番目および5番目の関節部材32、33など、他の組み合わせの関節部材とともに同様の二軸ハウジング100を用いることが可能である。さらに、二軸ハウジングは、本明細書において明示的に検討しない追加の利点を提供することが可能である。しかし、本明細書に記載の本発明の他の実施形態において、関節部材30〜36は、各々、別体のハウジングを有することが可能であることに留意すべきである。
【0028】
上記の二軸ハウジングまたは継手アセンブリは、他の種類のCMMにおいて用いることが可能であり、以下で説明する追加の実施形態と組み合わせて用いる必要はないことを理解すべきである。
【0029】
図3および図3Aは、改良されたカウンターバランスシステム80を示す。図示のように、カウンターバランスシステム80は、ガスショックカウンターバランスを形成するピストンアセンブリ84を含むことが可能である。ベースに2番目に近い関節部材35などの関節部材に位置合わせされたピボット88により隔てられた点の間を、窒素充填ガススプリングで接続することが可能である。図示のように、ベース10に近い方の接続点は、ベースに対してよりもピボット88に対してより近くすることが可能である。この結果、図3Cに示すように、2番目のリンケージが水平位置にあるときにガスショックがほぼ水平な位置にあるようなカウンターバランス設計となる。ガスショックのほぼ水平な位置は、ベースから遠い方の接続点の位置により、さらに助長することが可能である。図示のように、ベースから遠い方の接続点は、カウンターバランスシステム80により支持される伝達部材20の概ね中間点に位置決めすることが可能である。さらに、図示のように、ピストンアセンブリ84は、ピストンの移動に抗する抵抗を増加させることが可能なロック86を含み、これにより、位置合わせされた関節部材35の追加の回転を防止することが可能である。一実施形態において、ロックには、ガスショック内のアパーチャを開閉するピンを押す、ロック86上のレバーが実装される。アパーチャの開閉により、ピストン内のガスの流れが可能になる、または防止される。
【0030】
この改良されたカウンターバランスシステム80は、いくつかの利点を提供することが可能である。例えば、この設計により、ベースから1番目の回転軸心(関節部材36に関連付けられた)をより短くし、関連する撓みを低減することが可能である。加えて、この長さの削減は、ピボット88周りの回転角度スパンの減少を伴わずに達成することが可能である。また、改良されたカウンターバランスシステム80は、ロック機構およびカウンターバランス機構を一体的に組み合わせて単一のシステムにすることが可能であるため、要求される部品の数を削減することが可能である。さらに、ピストンアセンブリ84は、ピボット88周りの運動を減衰させることが可能である。これにより、アームがまだロックされている間にユーザがアームを移動させようとすることによりCMMを損傷させる可能性が低下する。しかし、本明細書に記載の本発明の他の実施形態において、伝達部材20の裏端上に設けられた錘など、異なるカウンターバランスシステムを用いることが可能であることに留意すべきである。さらに、本明細書に記載の本発明の他の実施形態において、剛性の物理的止め具など、異なるロック機構を用いることが可能である。上記の改良されたカウンターバランスシステム80は、他の種類のCMMにおいて用いることが可能であり、先行するセクションの前後で説明する追加の実施形態と組み合わせて用いる必要はないことを理解すべきである。
【0031】
図4は、改良されたハンドル40を示す。ハンドル40は、1つ以上の一体化されたボタン41を含むことが可能である。ハンドルは、ボルト、スナップ、またはクランプで軸心に接続することが可能である。加えて、ハンドル40は、その内部に含まれた電子装置44を含むことが可能である。有益なことに、電子装置44をハンドル40内に設けることにより、さらに、回転エンコーダおよび加熱されると精度を失うかもしれない他のコンポーネントから電子装置を隔てることが可能である。いくつかの実施形態において、ハンドル40またはその中の電子装置44は、アームの残りの部分から熱的に隔離することが可能である。加えて、ハンドル40が取り外し可能であるとともに電子装置44を含むときは、ハンドル40は、フィーチャパック(以下で説明する)と同様のモジュール式コンポーネントを形成することが可能である。これにより、ユーザは、ハンドル40を変更し、それに応じて電子装置44および電子装置を制御するボタン41も変更することにより、機能性を変更することが可能である。これにより、異なる機能性を有する複数のハンドル40をCMMシステムに設けることで、CMMにモジュール式フィーチャを提供することが可能である。やはり、本明細書に記載の本発明の他の実施形態において、異なるハンドルを用いることが可能であり、あるいは、いずれの明確なハンドルも設けないことも可能であることに留意すべきである。加えて、ハンドルは、アーム、スキャナ、または両方にパワーを供給するバッテリを含むことが可能である。
【0032】
上記の改良されたハンドル40は、他の種類のCMMにおいて用いることが可能であり、先行するセクションの前後で説明する追加の実施形態と組み合わせて用いる必要はないことを理解すべきである。
【0033】
加えてまたは代替として、いくつかの実施形態において、CMMアーム1は、図8に示すように、アーム自体の運動により少なくとも部分的に制御することが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、ボタンを押下する、レバーを引く、ダイヤルを回す、または他の何らかの伝統的な作動装置を作動させることにより何らかの命令または指令をトリガすることができる一方、他の実施形態では、エンコーダ37により検出することが可能なCMMアーム1の具体的な運動または位置により同じまたは異なる指令をトリガすることが可能である。より具体的な例として、いくつかの実施形態において、CMMアーム1が図1に示すような全体的に折り曲げられたまたは退縮した位置に配置されたときに、アームにスリープモードに入るように指令することが可能である。すると、CMMアーム1は、その指令を行うことが可能である。同様に、CMMアーム1は、高速な移動またはより伸長した位置への移動により再復帰させることが可能である。他の組み合わせの指令、
運動、および位置が可能である。
【0034】
例えば、いくつかの実施形態において、CMMアーム1は、その全体的な配向により、異なるデータ取得モードに入ることが可能である。位置によりデータ取得モードを変化させることは、CMMアーム1が製品の異なる部分に沿って異なるデータ取得モードを要求する製品を規則的に測定する場合に有益である可能性がある。
【0035】
さらに、いくつかの実施形態において、アームは、その移動速度により、異なるデータ取得モードに入ることが可能である。例えば、CMMのオペレータは、重要な点が間もなく測定されるときはCMMをゆっくりと移動させるかもしれない。これにより、CMMは、アームがゆっくりと移動しているときはその測定頻度、精度、または他の特性を増加させることが可能である。加えて、CMMは、アームがコンピュータのマウスとして用いられるモードと、最終の軸の1つの素早い移動を伴う測定モードとの間で切り換えることが可能である(以下でさらに説明する関連付けられたコンピュータの実施形態)。
【0036】
前述の実施形態と同様に、アームの制御に関するこれらのフィーチャは、他の種類のCMMにおいて用いることが可能であり、先行するセクションの前後で説明する追加の実施形態と組み合わせて用いる必要はないことを理解すべきである。
【0037】
図5は、ドッキング部12を介してベース10と接続することが可能な一組のフィーチャパック90を示す。ドッキング部12は、CMMアーム1とフィーチャパック90との間の電子的接続を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、ドッキング部12は、高速データ転送、パワー伝達、機械的支持などのための接続性を提供することが可能である。これにより、ドッキング部に接続されると、フィーチャパック90は、CMMアーム1にモジュール式の電子的、機械的、または熱的コンポーネントを提供することが可能であり、バッテリ寿命の増加、無線機能、データ格納、データ処理の改善、スキャナデータ信号の処理、温度制御、機械的支持もしくは安定、または他のフィーチャなどの種々の異なるフィーチャおよび機能性が可能になる。いくつかの実施形態において、このモジュール式機能性により、ハンドル40のいくつかのモジュール式フィーチャを補うまたは交換することが可能になる。モジュール式フィーチャパックは、機能性拡張、バッテリ、電子回路基板、スイッチ、ボタン、ライト、無線もしくは有線通信電子装置、スピーカ、マイクロフォン、またはベースレベルの製品には含まれないかもしれない他のいずれかの種類の機能性拡張のためのコネクタを含むことが可能である。さらに、いくつかの実施形態において、フィーチャパック90は、伝達部材、関節部材に沿って、またはハンドル40へのアドオンとしてなど、CMMアーム1の異なる位置に位置決めすることが可能である。
【0038】
一例として、フィーチャパック90は、一次電池または補助電池などのバッテリを含むことが可能である。有益なことに、パック90が補助電池である実施形態において、CMMは、補助電池が存在しないまたは交換中の間にCMMの動作を持続することが可能な内部の一次電池を含むことが可能である。これにより、補助電池を循環させることにより、CMMは、直接的なパワー接続がなくても無期限に持続させることが可能である。
【0039】
別の例として、フィーチャパック90は、データ格納装置を含むことが可能である。フィーチャパック90上の利用可能なデータ格納は、デスクトップコンピュータなどのより大型のおよび/またはより不便なデータ格納装置への接続を要求することなくCMMが大量のデータを測定および保持することが可能であるように、任意の大きさであることが可能である。さらに、いくつかの実施形態において、データ格納装置は、モータ付きアームについての移動経路、特定のボタンの押下またはアームの特定の運動もしくは位置に応じたアームについての新しい命令、または他のカスタマイズ可能な設定など、アームの動作
についての指令を含むデータをアームに転送することが可能である。
【0040】
フィーチャパックが無線機能を含む例において、データ格納装置と同様の機能性を提供することが可能である。無線機能がある場合は、有線接続を伴わずにCMMとデスクトップコンピュータなどの外部装置との間でデータを連続的に転送することが可能である。いくつかの実施形態において、CMMは、補助装置から命令を連続的に受信することが可能である。さらに、いくつかの実施形態において、補助装置は、アームの位置または取得したデータ点などのアームからのデータを連続的に表示することが可能である。いくつかの実施形態において、装置は、パーソナルコンピュータ(「PC」)であることが可能であり、フィーチャパックは、アーム座標データおよびスキャナデータをPCに無線で送信することが可能である。前記フィーチャパックは、無線送信前にフィーチャパックにおいてアームデータとスキャナデータとを組み合わせるか、またはそれらを別々のデータストリームとして送信することが可能である。
【0041】
さらなる実施形態において、フィーチャパックは、データ処理装置を含むことも可能である。有益なことに、これらは、アームの動作、データ格納、または他の機能性を改良することが可能な様々な動作を行うことが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、アーム位置に基づくアームへの命令を、フィーチャパックを通じて処理することが可能である。追加の実施形態において、フィーチャパックは、アームからのデータを格納または送信前に圧縮することが可能である。
【0042】
別の例において、フィーチャパックは、CMMへの機械的支持を提供することも可能である。例えば、フィーチャパックは、ベース10に接続し、相当な重量を有し、これにより、CMMを安定化させることが可能である。他の実施形態において、フィーチャパックは、CMMとCMMが装着されている支持体との間の機械的接続を提供してもよい。
【0043】
さらに別の例において、フィーチャパックは、熱的機能性を含むことが可能である。例えば、フィーチャパックは、ヒートシンク、冷却ファンなどを含むことが可能である。ドッキング部とフィーチャパックとの間の接続により、熱伝導性部材によりベース10内の電子装置とCMMの残りの部分とに接続することが可能であり、CMMアームとフィーチャパックとの間の相当な熱伝達が可能になる。
【0044】
さらに、図1に示すように、いくつかの実施形態において、フィーチャパック90は、それらが接続するベース10の側に実質的に合致するサイズおよび形状を有することが可能である。これにより、CMMのサイズを実質的に増加させることなく、CMMの可能性のある可搬性を低下させることなく、または他の装置に対するCMMの場所を限定することなく、フィーチャパック90を用いることが可能である。
【0045】
やはり、フィーチャパック90は、互いに組み合わせて、および本明細書に記載のその他のフィーチャと組み合わせて用いることが可能であり、ならびに/または他の種類のCMMにおいて独立して用いることが可能である。
【0046】
加えて、いくつかの実施形態において、CMMアーム1は、図6に示す例証的実施形態である、アブソリュートエンコーダディスク95を含むことが可能である。アブソリュートエンコーダディスク95は、反射および無反射材料、透明および不透明材料、交互の磁気特性などにおいて具現化することが可能な略円形の連続パターンを含むことが可能である。連続パターンにより、読み取りヘッドがエンコーダのコード面の限定された部分を読むだけでエンコーダ上のユニークな位置を判定することが可能になる。いくつかの実施形態において、連続パターンは、図6に示すように、バーコードに類似していることが可能である。パターンは、関連付けられた読み取りヘッドの視野範囲に沿って非反復的である
ことが可能である。これにより、読み取りヘッドがエンコーダディスク95から収集した画像または他のデータは、エンコーダ上の他のいずれの位置からもユニークなパターンを生じさせるため、ユニークな角度位置に関連付けることが可能である。各エンコーダは、例えばCCD撮像器であることが可能な1つ以上の読み取りヘッドにより読み取られる単一の連続ディスクで構成されることが可能である。2つまたは好ましくは4つのCCD撮像器を用いることで、軸心の偏心を測定するとともに角度測定値から偏心を減算することによりエンコーダの精度を改善することが可能である。さらに、角度精度は、複数のCCD撮像器の測定値を平均化することにより改善することが可能である。
【0047】
従来のエンコーダでは、コード面が増分ステップを示すのみで絶対位置を示さない増分および反復的面がしばしば用いられていた。これにより、インクリメンタルエンコーダは、ユニークに識別されるホーム位置から離れた増分位置を再び割り出し、判定するために、ホーム位置に戻る必要があった。有益なことに、アブソリュートエンコーダディスク95のいくつかの実施形態は、ホーム位置に戻る必要性を排除することが可能である。CMMのこのフィーチャは、本明細書に記載のその他のフィーチャと組み合わせて用いることが可能であり、および/または他の種類のCMMにおいて独立して用いることが可能である。
【0048】
有益なことに、アブソリュートエンコーダディスク95は、スリープモードに入るCMMアーム1の機能性を改善することが可能である。スリープモードに入ることにより、CMMアーム1の電力消費を削減することが可能である。しかし、スリープモード中に多くのシステムを停止させると、インクリメンタルエンコーダは、自らの位置を「忘れる」かもしれない。これにより、スリープモードから復帰すると、インクリメンタルエンコーダは、使用前にホーム位置に戻す必要があるかもしれない。代替として、インクリメンタルエンコーダは、スリープモード中に部分的に電源が入った状態に保つことで、自らの増分位置を維持することが可能である。有益なことに、アブソリュートエンコーダディスク95を用いると、エンコーダは、スリープモード中に完全に電源を切り、電源を復帰させたときに自らの位置を即座に出力することが可能である。他のモードにおいて、アブソリュートエンコーダは、増分移動を見逃してその増分位置を見失うかもしれないという心配を伴わずに、その位置をより低い頻度で読み取ることが可能である。これにより、CMMアーム1は、途中で「ホーム」位置へのリセットを要求することなく、いずれの開始位置からも、電源投入または復帰させ、即座にデータ取得を開始することが可能である。いくつかの実施形態において、アブソリュートエンコーダは、CMMのすべての測定対象回転軸心と用いることが可能である。CMMのこのフィーチャは、本明細書に記載のその他のフィーチャと組み合わせて用いることが可能であり、および/または他の種類のCMMにおいて独立して用いることが可能である。例えば、上記のように、このスリープモードは、特定の位置への移動により誘起することが可能である。さらなる例として、エンコーダディスク38aは、アブソリュートエンコーダディスク95であることが可能である。
【0049】
加えて、いくつかの実施形態において、CMMアーム1は、較正ソフトウェアに関連付けることが可能である。一般に、CMMアームの較正は、CMMアームの遠端(例えば、プローブ)を特定の予め定義された既知の位置に位置決めし、次いでアームの角度位置を測定することにより行うことが可能である。しかし、これらの較正点は、ユニークなアームの配向を定義しないことが多く、代わりに複数のアーム位置で到達される可能性がある。較正手順の有効性を改善するため、遠端点とアームの残りの部分の配向とを含む好ましいまたは所望されるCMMアーム較正位置1aを指示するソフトウェアが含まれることが可能である。さらに、いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、図7に示すように、所望される位置1aと比較されたアームの現在位置1bもリアルタイムに示すことが可能である。さらにその上、いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、所望される位置1aと位置合わせされていないアームの部分を強調することが可能である。
【0050】
図7Aに示すように、較正ソフトウェアは、ディスプレイ220と1つ以上の入力装置230とに連結されたコンピュータ210などの別体の補助装置上に含まれることが可能である。オペレータ240は、コンピュータシステム210を用いてキーボードおよび/またはマウスであってもよい1つ以上の入力装置230を操作することにより較正手順を計画してもよい。ディスプレイ220は、1つ以上の表示領域または表示部を含んでもよく、かかる表示領域または表示部の各々は、CMMアーム1のその現在位置における異なる図と、オプションで所望される較正位置(上記のように)とを表示する。これらのディスプレイの各々は、コンピュータ210上のプログラムおよびデータ内で内部的にリンクさせてもよい。例えば、コンピュータ210上で走るプログラムは、メモリ内でCMMアームの現在位置の単一の内部表現を有してもよく、内部表現は、ディスプレイ220上で2つ以上の抽象的または半現実的なやり方で表示させてもよい。
【0051】
様々な実施形態において、コンピュータ210は、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のメモリと、1つ以上の通信機構とを含んでもよい。いくつかの実施形態において、2つ以上のコンピュータを用いて本明細書において検討されるモジュール、方法、およびプロセスを実行してもよい。加えて、本明細書中のモジュールおよびプロセスは、各々、1つ以上のコンピュータ上の1つまたは複数のプロセッサ上で走らせてもよく;または本明細書中のモジュールは、専用ハードウェア上で走らせてもよい。入力装置230は、1つ以上のキーボード(片手用または両手用)、マウス、タッチスクリーン、音声命令および関連付けられたハードウェア、ジェスチャ認識、またはオペレータ240とコンピュータ210との間の通信を提供する他のいずれかの手段を含んでもよい。ディスプレイ220は、2Dまたは3Dディスプレイであってもよく、LCD、CRT、プラズマ、投影などのいずれの技術に基づくものであってもよい。
【0052】
システム200の様々なコンポーネント間の通信は、USB、VGAケーブル、同軸ケーブル、FireWire、シリアルケーブル、パラレルケーブル、SCSIケーブル、IDEケーブル、SATAケーブル、802.11もしくはBluetoothに基づく無線、または他のいずれかの有線もしくは無線接続を含む、いずれかの適切な連結を介して達成してもよい。システム200における1つ以上のコンポーネントを、単一のユニットまたはモジュールに組み入れてもよい。いくつかの実施形態において、システム200の電子コンポーネントのすべては、単一の物理的ユニットまたはモジュールに含まれる。
【0053】
較正ソフトウェアの拡張機能により、オペレータは、単にディスプレイ上のライブ画像を参照するとともにライブ画像を所望される画像上に位置させることが可能になり、較正プロセスを失速させるマニュアルまたは追加のトレーニング文書の必要性が低下する。加えて、前述のディスプレイの助けにより、新たな較正技師を正確に素早く訓練することが可能である。これらの較正方法から取得されるデータは、例えば関節の一貫性が増加していることにより、より再現性が高く、より正確であることが可能である。CMMを正しい姿勢に位置決めすることに加え、較正アーチファクト120をアームの到達体積内の正しい場所に位置決めすべきである。ディスプレイが真の三次元画像を示すときは、3D空間における較正アーチファクトの位置も正しく表示され、正しい測定体積が測定されていることをさらに保証することが可能である。
【0054】
CMMのこれらの較正フィーチャは、本明細書に記載のその他のフィーチャと組み合わせて用いることが可能であり、および/または他の種類のCMMにおいて独立して用いることが可能である。例えば、いくつかの実施形態において、較正プロセスは、CMMの位置および運動に基づく命令を利用することが可能である(上述のように)。いくつかの実施形態において、較正中、アームを長い間静止状態に保持することにより、アームが所望される位置にあることを較正ソフトウェアに指示することが可能である。ソフトウェアは
、次いで、表示、音、色などの変更によりこの命令を処理したことを認めることが可能である。次いで、この結果を、オペレータは、アームを前記位置から高速で動かすことで確認することが可能である。較正ソフトウェアは、次いで、次の較正点を指示するか、または較正が完了したことを指示することが可能である。加えて、この機能性は、オペレータにも拡張することが可能である。一例として、プローブの較正中、ソフトウェアは、CMMがあるべき要求される関節姿勢とCMMが取っている実際の姿勢とを表示することが可能である。オペレータは、次いで、正しい位置になるまでCMMを移動させ、位置を記録することが可能であるか、または位置を自動的に記録させることが可能である。これにより、ユーザにとってのプロセスが簡略化され、得られるデータの精度が改善される。レーザラインスキャナ、タッチトリガプローブなどの存在が感知されるプローブの種類によって、異なる方法を提示することが可能である。
【0055】
さらにその上、いくつかの実施形態において、CMMアーム1は、傾きセンサを含むことが可能である。いくつかの実施形態において、傾きセンサは、少なくとも概ね1秒の精度を有することが可能である。傾きセンサは、ベース10、フィーチャパック90、またはCMMアーム1の他の部品に含まれることが可能である。ベース10またはフィーチャパック90に配置されると、傾きセンサは、アームが上に乗ったテーブルまたは三脚などのCMMアームの支持構造の移動を検出することが可能である。このデータを、次いで、アーム内の他の場所にある処理モジュール、またはコンピュータなどの外部装置に転送することが可能である。CMMアーム1または外部装置は、次いで、例えば傾きが閾値を越えて変化したときに、ベースにおける移動についてユーザに警告し、および/または移動を補償するように試みることが可能である。ユーザへの警告は、音、ハンドル40上もしくはアーム1の端部の略付近のLEDライト、またはアーム1に接続されたモニタ上など、種々の形態であることが可能である。代替としてまたは加えて、警告は、傾きが生じたときにアーム1により収集されるデータ上のフラグの形態であることが可能である。このデータは、後に分析されるときにあまり正確でないものと考えることが可能である。移動を補償するように試みるときは、いくつかの実施形態において、傾きと位置に対するその影響とを部分的に測定し、較正プロセスにおいて考慮することが可能である。さらなる実施形態において、傾きは、それに応じて関節部材の角度位置を調節することにより補償することが可能である。CMMのこのフィーチャは、本明細書に記載のその他のフィーチャと組み合わせて用いることが可能であり、および/または他の種類のCMMにおいて独立して用いることが可能である。
【0056】
さらなる実施形態において、アーム位置の測定毎に、トリガ信号がアームからスキャナに送られる。アームのトリガと同期して、アームは、アームの位置および配向を保持することが可能である。また、スキャナは、キャプチャ中のスキャナ画像ストリーム(例えば、タイムスタンプとして記録される)に対する信号の受信時間を記録する(例えば、やはりタイムスタンプとして)ことが可能である。アームからのこの時間信号データは、画像データとともに含まれることが可能である。2つのシステム(アームおよびスキャナ)の相対頻度によっては、スキャナ画像当たり2つ以上のトリガ信号が存在してもよい。アームをスキャナよりも低い頻度で走らせることは望ましくないかもしれず、この結果、通例、アームおよびスキャナの頻度が少なくとも部分的に非同期となる。このため、アームおよびスキャナデータを後処理することにより、アーム位置を補間によりスキャナのフレームに組み合わせ、スキャナ画像のときのアーム位置を推定することが可能である。いくつかの実施形態において、補間は、2つの隣接点の間の単純な線形補間であることが可能である。しかし、他の実施形態において、より高次の多項式補間を用いて加速、急動などを考慮することが可能である。CMMのこのフィーチャは、本明細書に記載のその他のフィーチャと組み合わせて用いることが可能であり、および/または他の種類のCMMにおいて独立して用いることが可能である。
【0057】
上記の様々な装置、方法、手順、および手法により、本発明を実施するいくつかの方法が提供される。当然、本明細書に記載のいずれの特定の実施形態によっても、記載された目的または利点のすべてが必ずしも達成され得るわけではないことを理解されたい。また、本発明を特定の実施形態および例の文脈で開示してきたが、本発明は、具体的に開示された実施形態を越えて他の代替の実施形態および/または使用ならびにそれらの明白な修正および均等物に拡張されることが、当業者には理解されよう。そのため、本発明は、本明細書中の好適な実施形態の具体的な開示により限定されることを意図するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端と、第二端と、それらの間の複数の接合されたアームセグメントとを有する関節式アームであって、各アームセグメントは、少なくとも1つの回転軸心を定義し、最後の回転軸心は、前記アームの遠端付近のベアリングにより定義される、関節式アームと;
前記アームの前記遠端に連結されたレーザスキャナアセンブリであって、前記アームは、トリガ信号を連続的に生成し、かかるトリガ信号は、前記レーザスキャナにより受信されるとともに前記アームの位置が測定された時間を指示する、レーザスキャナアセンブリと;を備える、座標測定装置。
【請求項2】
アームの測定頻度がスキャナの測定頻度よりも高い、請求項1に記載のCMM。
【請求項3】
スキャナ画像の時間における前記アーム位置は、前記トリガ信号に関連付けられた時間と前記スキャナ画像の前記時間とに基づく2つのアーム位置の間を補間することにより算出される、請求項1または2に記載のCMM。
【請求項4】
前記トリガ信号は、前記アーム内の電子装置における関数発生器により生成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のCMM。
【請求項5】
関節式アームの位置を連続的に測定するステップと;
前記関節式アームの前記位置を測定する毎に複数のトリガ信号を生成するステップと;
前記トリガ信号を前記関節式アームの端部におけるスキャナに送信するステップと;
スキャナ測定値を前記スキャナから取得するステップと;
前記スキャナ測定値を複数のトリガ信号に関連付けるステップと;を含む、座標測定装置を操作する方法。
【請求項6】
補間されたアーム位置を前記スキャナ測定値に関連付けるステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記補間は線形補間である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記補間はより高次の多項式補間である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
連続的に測定する前記ステップは、複数の回転可能な継手の角度位置を連続的に出力するステップを含む、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記スキャナはレーザスキャナである、請求項5〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記スキャナ測定値は座標測定値を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記関節式アームの前記位置の測定頻度は、前記スキャナの測定頻度よりも高い、請求項5〜11のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−247430(P2012−247430A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158856(P2012−158856)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2012−538047(P2012−538047)の分割
【原出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(509141615)ヘキサゴン メトロロジー アクチボラゲット (6)
【Fターム(参考)】