放電灯点灯装置
【課題】再点灯時などに短い予熱時間でより大きな予熱電流を供給可能とするとともに、ランプ点灯時や待機予熱時に消費電力を低減させて省エネルギーを図る。
【解決手段】インバータ制御回路72は、インバータ回路4の動作を制御するもので、タイマ回路74で計測したインバータ回路4の動作開始からの時間に基づき、ランプ8の電極を加熱する予熱時間とランプ8の電極間に高電圧を印加するタイミングを制御することにより、ランプ8を確実に点灯可能にする。予熱制御回路73は、予熱回路5のスイッチング素子Q4を制御するもので、タイマ回路74で計測したランプ8の電極を加熱する予熱時間に基づき、予熱回路5のスイッチング素子Q4のON/OFFのタイミングを制御し、第1の予熱電流、第2の予熱電流のように予熱電流を2段階に切り替え、ランプ8の電極に流れる予熱電流の供給を制御する。
【解決手段】インバータ制御回路72は、インバータ回路4の動作を制御するもので、タイマ回路74で計測したインバータ回路4の動作開始からの時間に基づき、ランプ8の電極を加熱する予熱時間とランプ8の電極間に高電圧を印加するタイミングを制御することにより、ランプ8を確実に点灯可能にする。予熱制御回路73は、予熱回路5のスイッチング素子Q4を制御するもので、タイマ回路74で計測したランプ8の電極を加熱する予熱時間に基づき、予熱回路5のスイッチング素子Q4のON/OFFのタイミングを制御し、第1の予熱電流、第2の予熱電流のように予熱電流を2段階に切り替え、ランプ8の電極に流れる予熱電流の供給を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯の始動・点灯・消灯を制御可能とした放電灯点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、放電灯を高周波で点灯させることによって発光効率を改善し、省エネルギーを図ることができる点灯装置が提案されている。従来の点灯装置の一例を図16に示す。この点灯装置30の入力には商用電源1がスイッチ2を介して接続され、出力には熱陰極蛍光ランプであるランプ38が接続される。この点灯装置30は、入力側からフィルタ回路31、整流回路32、インバータ回路33、及び共振回路34の順に構成され、負荷となるランプ38に接続される。
【0003】
点灯装置30において、まず、整流回路32は、ブリッジ構成のダイオードD1〜D4と、例えばアルミ電解コンデンサ等の比較的大容量のコンデンサC2とで構成され、商用電源1の交流電圧を全波整流し、略一定の直流電圧に平滑する。インバータ回路33は、整流回路32の出力段に接続され、MOSFET等のスイッチング素子を2個直列に接続した構成となっている。この2つのスイッチング素子Q1、Q2を50kHz程度の高周波で交互にスイッチングすることにより、スイッチング素子の両端には高周波の矩形波電圧が発生するため、整流回路32により平滑された直流電圧を高周波電圧に変換することができる。
【0004】
共振回路34は、インバータ回路33のスイッチング素子Q2と並列にチョークコイルL1、共振コンデンサC3、及び直流カット用コンデンサC4が直列に接続されており、インバータ回路33の矩形波電圧を正弦波状の電圧に変換してランプ38に供給する。また、共振コンデンサC3はランプ38のそれぞれの電極を介してチョークコイルL1と直流カット用コンデンサC4に接続されており、ランプ38を点灯させる際には、共振回路34に流れる電流をランプ38の電極を加熱する予熱電流と兼用させている。ランプ38が放電を開始する前の状態では、ランプ38の等価インピーダンスが点灯時に比べて極めて大きいため、共振コンデンサC4の両端にランプ38の放電開始に必要な高電圧を容易に得ることが可能となる。
【0005】
インバータ制御回路35は、インバータ回路33の動作周波数を変化させることにより、共振回路34のインピーダンスが周波数によって変化することを利用して、ランプ38への供給電力を制御している。このインバータ制御回路35にはインバータ回路33の動作開始からの時間を計測するタイマ回路36が接続されており、タイマ回路36の計測時間に基づいてランプ38の電極を加熱する予熱時間tpとランプ38の電極間に高電圧Vsを印加するタイミングを制御することにより、ランプ38を確実に点灯させることができる。インバータ制御回路35とタイマ回路36は、これらの機能を集積化したICが発売されており、例えば、インターナショナル レクティファイアー(IR)社製のIR2156等のICを使用することにより、容易に構成できる。
【0006】
インバータ回路33は、スイッチング素子Q1、Q2を有し、かつ、高周波でスイッチング動作をしているため、スイッチングノイズを発生しているが、このノイズ等が電源ラインを介して他の電子機器等に不具合を与えないように、フィルタ回路31により高周波ノイズをカットしている。このような点灯装置を用いることにより、放電灯の発光効率を改善して照明器具の大幅な省エネルギーを図ることができる。
【0007】
近年、更なる省エネルギーを目的として、例えば、人感センサを用いて人がいない時には放電灯を消灯させる事ができる照明器具が増えてきている。しかし、この種の放電灯点灯装置では、電極を加熱する予熱時間tpを1.0〜1.5秒程度設けているために、センサが人を検知してからランプが点灯するまでに1.5秒程度の時間遅れが生じ、使用者に違和感を感じさせることがある。
【0008】
特に、廊下などの人が往来する場所にこれらの照明器具を設置した場合、人が通り過ぎた後にランプが点灯することが起こり得る。このため、この種の照明器具では時間遅れを極力短くすることが望ましく、このため予熱時間tpは0.5秒以下であることが好ましい。
【0009】
しかし、図16に示す従来例の点灯装置では、ランプ38に高電圧を印加して放電を開始させる前に電極を加熱するために予熱電流Ifを供給する際に、この予熱電流IfがコンデンサC3を介して両方の電極に供給されることになる。よって、この予熱電流とコンデンサC3のインピーダンスによってコンデンサの両端間に電圧Vpが発生し、この電圧がランプ38の電極間にそのまま印加されることになる。この電圧Vpは、予熱電流Ifp、コンデンサ容量C3、及びインバータ回路の動作周波数fpによって、次式のように与えられる。
【0010】
【数1】
【0011】
つまり、予熱電流Ifpが大きくなるほどコンデンサC3に発生する電圧Vpも高くなり、条件によってはこの電圧Vpによってランプ38が放電を開始することがある。予熱時間tp中にこのような高い電圧がランプ38に印加されると、電極が充分に加熱される前にランプ38が放電してしまい、このような状態で放電が開始されると電極には大きなダメージが加えられる。さらに、ランプ38の点灯と消灯が繰り返された場合には電極のエミッタが消耗し、ランプ38の寿命が短くなる。
【0012】
このことを、図16の放電灯点灯装置の例を用いてさらに詳しく説明する。例えば、FHF32(直管形高周波点灯専用形32W)を予熱時間tp=0.5秒で点灯させる場合、JIS C7617−2に記載されているデータシートによると、FHF32ランプの定格点灯時の電気特性、及び高周波点灯安定器設計基準は表1(FHF32電気特性)、表2(FHF32高周波点灯安定器設計基準)に示す通りである(抜粋)。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
このデータシートより、予熱時間tpを0.5秒とした場合の予熱電流Ifは0.68A以上、1.442A以下が最適な範囲となる。これに対し、図16の回路構成でこの予熱電流を確保しようとする場合の設計例を下記に示す。
共振回路 チョークコイルL1:1.25mH
コンデンサC3:4.7nF
チョッパー回路 出力電圧:400V
インバータ回路 動作周波数 予熱時:77kHz
点灯時:53kHz
【0016】
以上の条件によれば、点灯装置30よりランプ38に供給される各電気特性は以下の通りとなり、予熱時にランプに印加される電圧がランプの始動に必要な電圧以上となるため、電極が充分に加熱される前にランプが点灯し、電極に大きなダメージが加わる。
予熱電流Ifp:1.09A
予熱時印加電圧Vp:480V
点灯時ランプ電流:0.425A
【0017】
【特許文献1】特開2001−93694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述したように、予熱時間tpを短くしてランプの電極にダメージを与えずにランプを点灯させるには、ランプに印加される電圧を抑えつつ、電極には充分な予熱電流を流すことが必要である。しかしながら、図16に示した従来例の点灯装置では、設計の制約条件が多く、実現が困難である。
【0019】
予熱時間を短くするとともにランプに印加される電圧を抑えつつ電極には充分な予熱電流を流せるようにする課題に対しては、図17に示すように、予熱トランスT2を用いて、予熱回路を共振回路と別に設けることにより実現可能である。しかし、この図17に示す回路において、予熱電流を増やすと点灯時においても予熱電流が大きくなり、電極での不要な電力が増大するという課題がある。
【0020】
このような課題に対して、特許文献1では、センサによる消灯後においても予熱電流を供給しておき、瞬時点灯を可能とした放電灯点灯装置が提案されている。この特許文献1の放電灯点灯装置は、直流電源と、該直流電源の出力を高周波電力に変換するインバータ回路と、インバータ回路の出力に接続される共振回路と、共振回路の共振作用により駆動される放電灯と、インバータ回路の出力を可変とするインバータ制御回路と、外部からの調光信号を入力して放電灯の調光制御と消灯/点灯制御を行う調光制御回路とを備え、放電灯の消灯時には、図18のように、放電灯の電極に少なくとも2つのレベルの予熱電流を所定の周期で切り替えて供給する。
【0021】
この場合、予熱電流Ifのレベルが高く設定される第1の期間Tbと、予熱電流のレベルが低く設定される第2の期間Taとが交互に切り替わり、第1の期間Tbは第2の期間Taに比べて十分に短く設定されることで、放電灯が点灯しない程度の予熱電流を電極に供給し続ける方法を採っている。これにより瞬時点灯が可能となる。
【0022】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例では、瞬時点灯は可能になるものの、待機予熱状態において定常的に電極に電流が流れ、電極で電力が消費されているため、待機予熱状態が長くなると、消費電力が増大するという課題がある。
【0023】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、短い予熱時間でより大きな予熱電流を供給することが可能な放電灯点灯装置を提供することを目的とする。また、本発明は、ランプ点灯時や待機予熱時において消費電力を低減させ省エネルギーを図ることが可能な放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、交流電源を整流する整流回路と、前記整流回路の出力電圧を直流電圧に変換するチョッパ回路と、前記チョッパ回路から供給される直流電圧を高周波の交流電圧に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路から出力される高周波電圧を入力し、放電灯を点灯する負荷回路と、前記放電灯の電極に予熱電流を供給するもので、この予熱電流の供給量を少なくとも第1の予熱電流と第2の予熱電流を持つ複数段階に切り替え可能な予熱回路と、外部信号に応じて前記放電灯の点灯、消灯を制御する消灯制御部と、前記予熱回路に予熱電流を供給する予熱時間を設定するタイマ部と、前記インバータ回路の駆動周波数を設定するインバータ制御部と、前記予熱回路から出力する予熱電流の供給量を切り替える予熱制御部とを備え、前記予熱制御部は、放電灯消灯後の再点灯時に、点灯時の第1の予熱電流よりも大きい第2の予熱電流を再点灯時予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替える放電灯点灯装置を提供する。
上記構成により、消灯後に放電灯を再点灯させる際には、短い予熱時間でより大きな予熱電流を供給することが可能になる。また、点灯時などにはより少ない予熱電流を供給することにより、消費電力を低減させて省エネルギーを図れる。よって、放電灯に最適な予熱電流を設定して点灯までの時間を短縮するとともに、消費電力を低減させることが可能になる。
【0025】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記予熱制御部は、放電灯消灯時に、前記第2の予熱電流よりも小さい第1の予熱電流を消灯時予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替えるものを含む。
上記構成により、消灯後に小さい予熱電流の供給を継続させることで、消費電力を低減させるとともに、再点灯する場合に点灯までの時間を短くすることが可能になる。
【0026】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記タイマ部は、前記予熱電流の供給を停止する予熱停止時間を設定し、前記予熱制御部は、前記放電灯消灯時に前記予熱停止時間が経過した後、前記予熱回路からの消灯時予熱電流の供給を停止するものを含む。
上記構成により、予熱停止時間経過後に予熱電流の供給を停止することで、消費電力の増大を抑えることが可能になる。
【0027】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記タイマ部は、前記予熱時間として第1の点灯時予熱時間と第2の点灯時予熱時間とを設定し、前記予熱制御部は、電源投入時に前記第1の点灯時予熱時間が経過するまでは第1の点灯時予熱電流として第1の予熱電流を供給し、前記第1の点灯時予熱時間の経過後から前記第2の点灯時予熱時間が経過するまでは第2の点灯時予熱電流として前記第1の予熱電流よりも大きい第2の予熱電流を供給するよう前記予熱回路を切り替えるものを含む。
上記構成により、電源投入時に予熱電流を段階的に大きくすることで、放電灯の寿命が短くなる問題を回避することができる。
【0028】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記予熱制御部は、放電灯点灯後に、前記第2の予熱電流よりも小さい第1の予熱電流を点灯中予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替えるものを含む。
上記構成により、点灯中に小さい予熱電流を供給することで、放電灯点灯中の消費電力を低減させることが可能になる。
【0029】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記タイマ部は、前記放電灯消灯後の再点灯時に前記再点灯時予熱電流を供給する時間を0.5秒以下に設定するものを含む。
上記構成により、放電灯の再点灯までの時間を短くすることが可能であり、例えば放電灯を廊下などの人が往来する場所に設置した場合に、人が通り過ぎた後に放電灯が点灯するなどの不都合を防止できる。
【0030】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記タイマ部は、前記第2の予熱電流を供給する動作回数または前記外部信号による消灯信号の回数をカウントする回数カウンタ部を有し、前記回数に応じて、前記第2の予熱電流を供給する供給時間と前記第2の予熱電流の大きさとの少なくとも一方を変化させるものを含む。
上記構成により、例えば第2の予熱電流の供給回数や消灯信号の回数が増えた場合に、予熱時間を長くしたり予熱電流の大きさを大きくすることで、放電灯の電極を十分に加熱し、放電灯の寿命が短くなる問題を回避することができる。
【0031】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記タイマ部は、前記放電灯の点灯時間をカウントする時間カウンタ部を有し、前記点灯時間に応じて、前記第2の予熱電流を供給する供給時間と前記第2の予熱電流の大きさとの少なくとも一方を変化させるものを含む。
上記構成により、例えば累積点灯時間が長くなった場合に、予熱時間を長くしたり予熱電流の大きさを大きくすることで、放電灯の電極を十分に加熱し、放電灯の寿命が短くなる問題を回避することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、短い予熱時間でより大きな予熱電流を供給することが可能な放電灯点灯装置を提供できる。また、ランプ点灯時や待機予熱時において消費電力を低減させ省エネルギーを図ることが可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の具体的構成について図1に示す構成図と図2に示す特性図を用いて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図である。図2は実施の形態1の放電灯点灯装置における負荷回路6の出力電圧Voと、予熱回路5による予熱電流Ifの周波数特性を示した特性図である。
【0034】
図1に示す放電灯点灯装置の入力には商用電源1がスイッチ2を介して接続され、出力には熱陰極蛍光ランプであるランプ8が接続される。この放電灯点灯装置は、入力側から整流回路3、インバータ回路4、予熱回路5、及び負荷回路6の順に構成され、負荷となるランプ8に接続される。
【0035】
放電灯点灯装置において、まず、整流回路3は、商用電源1から入力される交流電源ACを全波整流するブリッジ構成のダイオードD1〜D4と、直流電源に接続されるとともに少なくとも一つのスイッチング素子Q3を有し、直流電源からの直流電圧を所定の直流電圧に変換するチョッパ回路と、例えばアルミ電解コンデンサ等の比較的大容量のコンデンサC2とを含んで構成される。この整流回路3は、商用電源1の交流電圧を全波整流し、略一定の直流電圧に平滑する。入力の交流電源ACは、商用の交流電源であり、電圧は、例えば、100V、200Vまたは240Vである。
【0036】
以下、整流回路3の各部の構成を詳述する。ダイオードD1〜D4は、交流電源ACからの交流電圧を脈流電圧に整流し出力するものである。また、チョッパ回路は、昇圧式のAC−DCコンバータであり、整流回路3によって全波整流された電源電圧を所定の直流電圧に昇圧して出力する。チョッパ回路の構成は、チョークコイルL2とダイオードD5が直列に整流回路3のダイオードブリッジD1〜D4の出力段の一端と平滑用コンデンサC2との間に挿入されており、チョークコイルL2とダイオードD5の接続点とダイオードブリッジD1〜D4出力段のもう一端の間には、MOSFET等のスイッチング素子Q3が接続されている。
【0037】
スイッチング素子Q3を導通させると、ダイオードブリッジD1〜D4の出力段からチョークコイルL2とスイッチング素子Q3を介して電流が流れることにより、チョークコイルL2にはエネルギーが蓄えられる。次に、スイッチング素子Q3を遮断すると、チョークコイルL2に蓄えられたエネルギーはダイオードD5を介してコンデンサC2へと供給される。このようにスイッチング素子Q3の導通と遮断を繰り返すことにより、コンデンサC2への電流供給と遮断を繰り返し、このスイッチングを高周波で行うことによりコンデンサC2の両端にはほぼ直流の電圧を得ることができる。
【0038】
また、フィルタT1とダイオードブリッジD1〜D4の間にはチョークコイルL3が挿入されており、ダイオードブリッジD1〜D4の出力段にはコンデンサC8が並列に挿入されている。このチョークコイルL3とコンデンサC8によってフィルタ回路が構成されており、チョッパ回路のスイッチングによって発生する高周波電流をコンデンサC8を介してバイパスさせることにより、高周波電流が商用電源1側に流れることがないようにしている。
【0039】
ここでは昇圧式のチョッパ回路について説明しているが、降圧式や昇降圧式といった他のチョッパ回路でもよく、商用電源1の交流電圧を直流電圧に変換できる構成であれば、その作用効果は変わらない。
【0040】
次に、インバータ回路4について詳述する。インバータ回路4は、整流回路3の出力段に接続され、MOSFET等のスイッチング素子を2個直列に接続した構成となっている。この2つのスイッチング素子Q1、Q2を50kHz程度の高周波で交互にスイッチングすることにより、スイッチング素子の両端には高周波の矩形波電圧が発生するため、整流回路3により平滑された直流電圧を高周波電圧に変換することができる。
【0041】
インバータ回路として、本実施の形態では、いわゆるハーフブリッジ型のインバータ回路を採用している。もちろんインバータ回路は、その他フルブリッジ型、1石型、あるいはプッシュプル型であってもよい。
【0042】
次に、予熱回路5について詳述する。予熱回路5は、トランスT2を有して構成され、トランスT2の1次側巻線n1の一端は直流カット用のコンデンサC5を介してインバータ回路4の出力段に接続されている。また、トランスT2の2次側にはランプ8の2つの電極をそれぞれ別個に加熱できるように巻線n2、n3が設けられており、それぞれの電極にコンデンサC6、C7を介して接続されている。また、コンデンサC9及びMOSFET等のスイッチング素子Q4が設けられ、トランスT2の1次側巻線n1の他端とインバータ回路4の出力段との間に並列に接続されている。このスイッチング素子Q4のON/OFFにより、所定の予熱電流を供給する制御を行っている。
【0043】
スイッチング素子Q4がONの時には、トランスT2によって二次側に発生する電圧を電源としてランプの各電極を予熱するものである。コンデンサC6、C7は、各フィラメントの予熱電流Ifの減流インピーダンスとして機能する。スイッチング素子Q4がOFFの時には、矩形波の殆どの電圧をコンデンサC9が保持するため、トランスT2の二次側には殆ど電圧が発生しない。そのため、ランプの各電極を予熱する電流を抑えることができる。
【0044】
このような予熱回路5を構成することで、(スイッチング素子Q4がON時の電流供給量)>(スイッチング素子Q4がOFF時の電流供給量)となり、スイッチング素子Q4により予熱電流の供給量を制御することができる。以降では、スイッチング素子Q4がOFF時の電流を第1の予熱電流Ifp1、スイッチング素子Q4がON時の電流を第2の予熱電流Ifp2とする。
【0045】
負荷回路6は、インバータ回路4のスイッチング素子Q2と並列にチョークコイルL1、共振コンデンサC3、及び直流カット用コンデンサC4が直列に接続されて構成される。この負荷回路6は、インバータ回路4の矩形波電圧を正弦波状の電圧に変換してランプ8に供給する。
【0046】
以下、本実施の形態の要部となっている、制御回路7について詳述する。制御回路7は、チョッパ制御回路71、インバータ制御回路(インバータ制御部)72、予熱制御回路(予熱制御部)73、タイマ回路(タイマ部)74、消灯制御部10を有して構成される。
【0047】
チョッパ制御回路71は、スイッチング素子Q3のスイッチングを制御するもので、コンデンサC2の両端電圧を抵抗R1とR2で分圧して検出している。コンデンサC2の両端電圧が所定の電圧よりも低い場合にはスイッチング素子Q2の導通時間が長くなるように、逆にコンデンサC2の両端電圧が低い場合には導通時間が短くなるようにフィードバック制御する。これにより、電源電圧や負荷の状態が変化してもコンデンサC2の電圧を一定に制御することができる。
【0048】
インバータ制御回路72は、インバータ回路4の動作周波数を変化させることにより、負荷回路6のインピーダンスが周波数によって変化することを利用して、ランプ8への供給電力を制御する。このインバータ制御回路72には、インバータ回路4の動作開始からの時間を計測するタイマ回路74が接続されており、タイマ回路74の計測時間に基づいてランプ8の電極を加熱する予熱時間とランプ8の電極間に高電圧Vsを印加するタイミングを制御することにより、ランプ8を確実に点灯させることができる。
【0049】
予熱制御回路73は、予熱回路5のスイッチング素子Q4のON/OFFを制御するもので、タイマ回路74でランプ8の電極を加熱する予熱時間を計測し、この計測時間に基づいて予熱回路5のスイッチング素子Q4のON/OFFのタイミングを制御することにより、第1の予熱電流、第2の予熱電流の2段階に予熱電流を自由に切り替え、電極に流れる予熱電流の供給を制御することができる。
【0050】
消灯制御回路10は、消灯信号及び点灯信号を出力し、タイマ回路74に送信するものである。消灯制御回路10は、センサ等の外部信号9に対して、人がいない時には消灯信号を送信し、人を検知した場合は点灯信号をタイマ回路74に送信する。
【0051】
図3は実施の形態1の放電灯点灯装置における消灯信号と点灯信号を示す動作説明図である。消灯制御回路10は、例えば、図3に示すように消灯信号として時間t0〜t1には0Vを送信し、点灯信号として時間t1〜には5Vを送信する制御を行う。ここで、消灯制御回路10は、外部信号9として人を検出するセンサ等の出力を用いて、人がいない時には消灯する等の制御を行うものとしているが、PWM信号のデューティ制御を行うものや、DC電圧を制御するもの、デジタル信号を制御するものであっても構わない。
【0052】
本実施の形態の放電灯点灯装置は、上記のような回路構成とすることにより、予熱時間中(ランプ8が点灯していない状態)の出力電圧Voと予熱電流Ifは、図2に示すような周波数特性となる。ここで、周波数のf0は負荷回路6の固有振動周波数であり、図1の回路構成の場合には次式で示すことができる。
【0053】
【数2】
【0054】
インバータ制御回路72は、インバータ回路4の動作周波数を変化させることで、インバータ回路4の動作周波数をこのf0に近付けると負荷回路6の出力電圧Voを高くすることができ、f0から遠ざけると出力電圧Voを低くすることができる。
【0055】
本実施の形態では、予熱回路5のスイッチング素子Q4をON/OFFすることにより、スイッチング素子Q4がONの時には、第2の予熱電流Ifp2が供給される。また、スイッチング素子Q4がOFFの時には、スイッチング素子Q4に並列に接続されたコンデンサC9により予熱電流が保持され、第2の予熱電流Ifp2よりも小さい第1の予熱電流Ifp1が供給される。
【0056】
ここで、負荷回路6の固有振動周波数f0とインバータ回路4の動作周波数との関係は、予熱電流供給時は、図2に示すように動作周波数をf0よりも高いfpに設定する。そして、インバータ制御回路72は、タイマ回路74によってインバータ回路4の動作時間が予熱時間を経過したことを確認した後、動作周波数をfpからf0の近傍のfsに移行させランプを点灯させる。このように設定することにより、所定の予熱時間中はランプ8の電極を最適に加熱し、かつそのときの電極間に印加される電圧Vpをランプ8が放電を開始しないレベルに下げることができ、予熱時間経過後にランプ8の電極間に高電圧Vsを印加し、ランプ8の電極にダメージを与えずに、かつ確実にランプを点灯させることができる。したがって、ランプ8の点灯回数が増えてもランプ8の寿命が短くなることを回避することができる。
【0057】
以上のように、放電灯点灯回路を構成することで図4に示すような動作波形に制御することができる。図4は実施の形態1の放電灯点灯装置における負荷回路6の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図であり、消灯後の再点灯時の動作波形を示したものである。まず、時間t0にセンサ等の外部信号9に基づき消灯制御部10が消灯信号をタイマ回路74に送信し、消灯が指示された場合、インバータ制御回路72はタイマ回路74を介して消灯信号を受け、インバータ回路4を停止させランプ8を消灯させる。この際、予熱電流Ifと出力電圧Vlaは0になる。
【0058】
そして、時間t1でセンサ等の外部信号9に基づき消灯制御部10が点灯信号を送信し、消灯後の再点灯が指示された場合、インバータ制御回路72はタイマ回路74を介して点灯信号を受け、ますインバータ回路4の動作周波数をfpに移行して動作させ、予熱制御回路73により予熱回路5のスイッチング素子Q4をONに切り替えて、再点灯時予熱電流として第2の予熱電流Ifp2を供給してランプ8の電極を予熱する。この予熱時間中は、電極間に印加される電圧Vpはランプ8が放電を開始しない小さい電圧となっている。その後、予熱時間経過後にインバータ回路4の動作周波数をfpからfsに移行し、ランプ8の電極間に高電圧Vsを印加し、ランプ8を再点灯させる。ここで、再点灯時に第2の予熱電流Ifp2を供給する予熱時間は、0.5秒以下とする。
【0059】
前記課題でも述べたように、センサ等の外部信号9から消灯信号を受けた後の再点灯には、できるだけ瞬時点灯が好ましい。図2及び図4に示したように、第2の予熱電流Ifp2は第1の予熱電流Ifp1よりも大きい予熱電流となっているため、再点灯時には第2の予熱電流Ifp2のみで点灯させるように設定することで、再点灯時での瞬時点灯が可能となる。
【0060】
なお、本実施の形態では、予熱電流を2段階に切り替える場合についてのみ説明しているが、予熱電流を3以上の複数段階に設定してもよい。以降の実施の形態においても同様である。
【0061】
(実施の形態2)
以降の実施の形態では、基本的な回路構成は図1に示したものと同様であるため、詳細な回路説明は省略する。
【0062】
本発明の実施の形態2の動作波形を図5に示す。図5は実施の形態2の放電灯点灯装置における予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図であり、消灯時の動作波形を示したものである。
【0063】
図5に示すように、タイマ回路74がセンサ等の外部信号9から消灯信号を受け、消灯が指示された場合、インバータ制御回路72はインバータ回路4の動作周波数をfpに移行し、ランプ8を消灯させるとともに、予熱制御回路73により予熱回路5のスイッチング素子Q4をOFFさせ、消灯時予熱電流としてより少ない第1の予熱電流Ifp1を供給してランプ8の電極を予熱する。このように消灯時は、予熱電流Ifp1の供給を継続させることで、消費電力を低減させて省エネルギーを図ることができる。また、再点灯する場合に点灯までの時間を短くすることができる。ただし、実施の形態1でも述べたように、この時の電極間に印加される電圧Vpは、ランプ8が放電を開始しないレベルに小さく設定する必要がある。
【0064】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の動作波形を図6に示す。図6は実施の形態3の放電灯点灯装置における予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図であり、消灯時の動作波形を示したものである。実施の形態2と同様、タイマ回路74がセンサ等の外部信号9から消灯信号を受け、消灯が指示された場合、インバータ制御回路72は、ランプ8を消灯させるとともに、第1の予熱電流Ifp1により予熱電流の供給を継続させる。
【0065】
そして、実施の形態3では、タイマ回路74には一定値である所定の時間T3(予熱停止時間)が記憶されており、この予熱停止時間T3と計測された予熱時間とを比較し、予熱時間が予熱停止時間T3を越えると、インバータ制御回路72はインバータ回路4を停止させ、放電灯点灯装置を停止させる。所定の予熱停止時間T3は、例えば消費電力の増大を抑えるためには、約1分程度に設定する。ただし、予熱停止時間T3を越える前に、再点灯が指示された場合は、実施の形態1と同様に予熱制御回路73によりスイッチング素子Q4をONさせ、第2の予熱電流Ifp2でランプ8の電極を予熱して再点灯させる。このように予熱停止時間経過後に予熱電流Ifp1の供給を停止することで、消費電力の増大を抑えることができる。
【0066】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の構成を図7に、動作波形を図8に示す。図7は本発明の実施の形態4に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図、図8は実施の形態4の放電灯点灯装置における予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図であり、電源ON時の動作波形を示したものである。
【0067】
実施の形態4は、図1に示した実施の形態1の構成に加えて、タイマ回路74に予熱時間比較手段81、インバータ動作時間比較手段82を設けている。その他の構成は図1と同様である。
【0068】
タイマ回路74には、図8に示すように、一定値である所定の時間T1(第1の点灯時予熱時間)及びT2(第2の点灯時予熱時間)が記憶されており、予熱時間比較手段81によりこれらの第1の点灯時予熱時間T1及び第2の点灯時予熱時間T2と計測された予熱時間とを比較する。電源投入時は、予熱時間比較手段81により第1の点灯時予熱時間T1と計測された予熱時間とを比較し、予熱時間が第1の点灯時予熱時間T1を越えるまで、予熱制御回路73は予熱回路5のスイッチング素子Q4をOFFさせ、第1の点灯時予熱電流として第1の予熱電流Ifp1をランプ8の電極に供給して予熱する。予熱時間が第1の点灯時予熱時間T1を越えると、予熱制御回路73はスイッチング素子Q4をONさせ、第2の点灯時予熱電流として第2の予熱電流Ifp2に切り替えてランプ8の電極に供給する。そして、予熱時間比較手段81により第2の点灯時予熱時間T2と計測された予熱時間とを比較し、第2の点灯時予熱時間T2を越えるまで、予熱制御回路73は第2の点灯時予熱電流として第2の予熱電流Ifp2を供給し、ランプ8を予熱する。
【0069】
また、インバータ動作時間比較手段82により、第1の点灯時予熱時間T1及び第2の点灯時予熱時間T2と計測されたインバータ回路の動作時間とを比較する。インバータ制御回路72は、インバータ動作時間比較手段82の比較により第1の点灯時予熱時間T1及び第2の点灯時予熱時間T2が経過するまでは、インバータ回路4の動作周波数をfpにして動作させる。そして、第1の点灯時予熱時間T1及び第2の点灯時予熱時間T2の終了後は、インバータ回路4の動作周波数をfsに移行し、ランプ8の電極間に高電圧Vsを印加し、ランプ8を始動させる。
【0070】
このように、実施の形態4によれば、電源投入時にのみ所定の第1の点灯時予熱時間T1の期間は第1の予熱電流Ifp1を供給して、電極をある程度予熱するようにし、その後第2の点灯時予熱時間T2の期間は第2の予熱電流Ifp2を供給し、電源投入時に予熱電流を段階的に大きくすることで、ランプが短寿命になるという問題を回避することができる。ここで、第1の予熱電流Ifp1は0であっても構わない。また、第1の予熱電流Ifp1を供給する第1の点灯時予熱時間T1及び第2の予熱電流Ifp2を供給する第2の点灯時予熱時間T2は、使用者にとって不快なものとならない程度に設定する必要がある。例えば、電源投入時の場合には第1及び第2の点灯時予熱時間T1、T2を合わせて約2秒以下に設定することが望ましい。
【0071】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5の動作波形を図9及び図10に示す。図9は実施の形態5の放電灯点灯装置における電源ON時の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図、図10は実施の形態5の放電灯点灯装置における消灯から再点灯時の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図である。
【0072】
図9のように、電源投入直後から予熱→始動→点灯と移行する場合、インバータ制御回路72は、タイマ回路74にて計時された時間に基づき、インバータ回路4の動作周波数を、予熱時fp→始動時fs→点灯時fpとなるように切り替える。そして、点灯時のインバータ動作周波数fpの時には、予熱制御回路73は予熱回路5のスイッチング素子Q4をOFFさせ、点灯中予熱電流として第1の予熱電流Ifp1を供給する。
【0073】
また、図10のように、消灯信号の後に点灯信号を受けて再点灯する場合、上記点灯時と同様に、予熱制御回路73は予熱回路5のスイッチング素子Q4をOFFさせ、点灯中予熱電流として第1の予熱電流Ifp1を供給する。
【0074】
このように実施の形態5では、点灯中において、第2の予熱電流Ifp2よりも小さい第1の予熱電流Ifp1にて予熱電流を供給することで、点灯中の消費電力も低減させることができる。
【0075】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6の構成を図11に、動作のフローチャートを図12及び図13に示す。図11は本発明の実施の形態6に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図、図12は実施の形態6の放電灯点灯装置の動作の第1例を説明するためのフローチャート、図13は実施の形態6の放電灯点灯装置の動作の第2例を説明するためのフローチャートである。
【0076】
実施の形態6は、図1に示した実施の形態1の構成に加えて、タイマ回路74に回数カウンタ部83、不揮発性メモリ61を設け、不揮発性メモリ61に記憶された累積回数をリセットするリセット制御部62を設けている。その他の構成は図1と同様である。
【0077】
回数カウンタ部83は、センサ等の外部信号9からの消灯信号、もしくは第2の予熱電流Ifp2の動作回数をカウントする。不揮発性メモリ61は、このカウントした消灯信号の回数、もしくは第2の予熱電流Ifp2の動作回数を逐次記憶する。制御回路7は、この回数に応じて、少なくとも第2の予熱電流Ifp2を供給する第2の点灯時予熱時間T2、もしくは第2の予熱電流Ifp2の供給量を自由に変化させることが可能になっている。
【0078】
リセット制御部62は、ランプ8を新品に交換した場合などに、不揮発性メモリ61に記憶された累積回数を初期値(累積回数が零の状態)にリセットする動作を行う。リセット動作として、具体的には、リセットボタンの操作によるリセット方法や、ランプ8の寿命末期状態を検出して自動的にリセットする方法、電源の既定のオン・オフ操作によってリセットする方法などが挙げられる。通常、不揮発性メモリ61としては、汎用のEEPROMやマイクロプロセッサに内蔵されたフラッシュメモリ等の不揮発性メモリにより構成することができる。
【0079】
次に、図12及び図13を参照して実施の形態6の動作を詳細に説明する。まず、図12に示す第1例は、第2の予熱電流の動作回数のみを用いる例である。この第1例では、電源ONしたときに(ステップS11)、予熱制御回路73が予熱回路5のスイッチング素子Q4をOFFし、第1の予熱電流Ifp1を供給する(ステップS12)。そして、第1の点灯時予熱時間T1が経過するかを判定し(ステップS13)、時間T1が経過すると(ステップS13:Y)、予熱制御回路73がスイッチング素子Q4をONし、第2の予熱電流Ifp2を供給する(ステップS14)。その後、第2の点灯時予熱時間T2が経過するかを判定し(ステップS15)、時間T2が経過すると(ステップS15:Y)、回数カウンタ部83が第2の予熱電流Ifp2が動作した回数を計測し(ステップS16)、この動作回数を不揮発性メモリ61に記憶する(ステップS17)。このとき、タイマ回路74は、例えば表3に示すように、第2の予熱電流の動作回数に応じて第2の予熱電流時間T2を変化させることができる。
【0080】
【表3】
【0081】
このように回数カウンタ部83でカウントし不揮発性メモリ61に記憶した第2の予熱電流の動作回数が増えるにつれて、第2の予熱電流時間T2の時間を長くする。これにより、電極を予熱する時間が長くなるため、ランプが短寿命になるという問題を回避することができる。
【0082】
そして、インバータ制御回路72は、ランプ8の電極間に高電圧Vsを印加し、ランプ8を点灯させる(ステップS18)。このとき、予熱時間中はインバータ回路4の動作周波数をfpとし、予熱時間経過後はインバータ回路4の動作周波数をfpからfsに移行し、ランプ8を点灯させる。
【0083】
ランプ点灯時は、予熱制御回路73がスイッチング素子Q4をOFFし、第1の予熱電流Ifp1を供給する(ステップS19)。その後、消灯制御部10において外部信号が点灯信号か消灯信号かを判断し(ステップS20)、外部信号が消灯信号の場合(ステップS20:N)、インバータ制御回路72がインバータ回路4を制御してランプを消灯する(ステップS21)。
【0084】
そして、予熱停止時間T3が経過するかを判定し(ステップS22)、時間T3が経過すると(ステップS22:Y)、予熱制御回路73が第1の予熱電流Ifp1の供給を停止する(ステップS23)。一方、時間T3が経過していない場合(ステップS22:N)、予熱制御回路73が第1の予熱電流Ifp1の供給を継続する(ステップS24)。その後、消灯制御部10において外部信号が点灯信号か消灯信号かを判断し(ステップS25)、外部信号が点灯信号の場合(ステップS25:Y)、ステップS14に戻って第2の予熱電流Ifp2の供給を行う。一方、外部信号が消灯信号の場合(ステップS25:N)、ステップS21に戻りランプを消灯する。
【0085】
また、図13に示す第2例は、図12の第1例の変形例であり、第2の予熱電流の動作回数とともに消灯信号の回数を用いる例である。ここでは図12と異なる部分についてのみ説明する。この第2例では、ステップS20で外部信号が消灯信号の場合、回数カウンタ部83は消灯信号が入力された回数を計測し(ステップS31)、この回数を不揮発性メモリ61に記憶する(ステップS32)。このとき、タイマ回路74は、例えば表4に示すように、消灯信号の回数に応じて第2の予熱電流時間T2を変化させることができる。
【0086】
【表4】
【0087】
このように回数カウンタ部83でカウントし不揮発性メモリ61に記憶した消灯信号の回数が増えるにつれて、第2の予熱電流時間T2の時間を長くする。これにより、電極を予熱する時間が長くなるため、ランプが短寿命になるという問題を回避することができる。
【0088】
上記のように、本実施の形態では、第2の予熱電流の動作回数や消灯信号の回数によって第2の予熱時間T2を変化させることが可能であるが、さらに、図2に示したように、インバータ回路4の動作周波数を変化させることで、第2の予熱電流Ifp2の供給量も同様に自由に変化させることができる。例えば、第2の予熱電流の動作回数もしくは消灯信号の回数を不揮発性メモリ61で記憶し、この回数が多くなるにつれて、インバータ回路4の動作周波数fpを徐々に高い周波数に移行することで、第2の予熱電流Ifp2の供給量も大きくすることが可能である。このように設定することで、同様にランプの寿命が短くなることを防止できる効果を得ることができる。
【0089】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7の構成を図14に、動作のフローチャートを図15に示す。図14は本発明の実施の形態7に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図、図15は実施の形態7の放電灯点灯装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0090】
実施の形態7は、図11に示した実施の形態6の変形例であり、タイマ回路74において、回数カウンタ部83の代わりに時間カウンタ部84を設けたものである。その他の構成は図11と同様である。
【0091】
時間カウンタ部84は、整流回路3の出力に基づき、放電灯の点灯時間をカウントする。ここで、点灯時間は、タイマ回路74の時間カウンタ部84が整流回路3からの直流電圧を受けることでカウントを開始する。なお、センサ等の外部信号9による点灯信号、消灯信号に基づく点灯時間をカウントしてもよい。不揮発性メモリ61は、このカウントした放電灯の点灯時間を累積点灯時間として逐次記憶する。
【0092】
次に、図15を参照して実施の形態7の動作を詳細に説明する。ここでは、図12及び図13に示した実施の形態6と異なる部分についてのみ説明する。
【0093】
ステップS18でランプを点灯させ、ステップS19で第1の予熱電流Ifp1を供給した状態で、時間カウンタ部84がランプの点灯時間を計測し(ステップS41)、この点灯時間を不揮発性メモリ61に記憶する(ステップS42)。このとき、タイマ回路74は、例えば表5に示すように、ランプの点灯時間に応じて第2の予熱電流時間T2を変化させることができる。
【0094】
【表5】
【0095】
このように時間カウンタ部84でカウントし不揮発性メモリ61に記憶した累積点灯時間が長くなるにつれて、第2の予熱電流時間T2の時間を長くする。これにより、電極を予熱する時間が長くなるため、ランプが短寿命になるという問題を回避することができる。
【0096】
その後、消灯制御部10において外部信号が点灯信号か消灯信号かを判断し(ステップS43)、外部信号が消灯信号の場合(ステップS43:N)、時間カウンタ部84はランプの点灯時間の計測を終了し(ステップS44)、不揮発性メモリ61は累積点灯時間の記憶を終了する(ステップS45)。そして、ステップS21でインバータ制御回路72がインバータ回路4を制御してランプを消灯する。
【0097】
さらに、累積点灯時間によって、実施の形態6と同様に、インバータ回路4の動作周波数を変化させることで、第2の予熱電流Ifp2の供給量も同様に自由に変化させることができる。例えば、累積点灯時間を不揮発性メモリ61で記憶し、この時間が多くなるにつれて、インバータ回路4の動作周波数fpを徐々に高い周波数に移行することで、第2の予熱電流Ifp2の供給量も大きくすることが可能である。このように設定することで、同様にランプの寿命が短くなることを防止できる効果を得ることができる。
【0098】
このように実施の形態7では、ランプの累積点灯時間に応じて、少なくとも第2の予熱電流Ifp2を供給する予熱時間T2、もしくは第2の予熱電流Ifp2の供給量を自由に変化させることができ、ランプ寿命の短縮を防止することができる。
【0099】
上記実施の形態1〜7において、制御回路7のチョッパ制御回路71、インバータ制御回路72、予熱制御回路73、タイマ回路74、消灯制御部10等の各構成要素は、マイクロコンピュータを用いて容易に構成することができ、プロセッサとこのプロセッサ上で動作するプログラムによって、各動作に対応する処理を実行することで、上記実施の形態の各機能を実現することが可能である。
【0100】
以上のように、本実施の形態の放電灯点灯装置では、電極に供給する予熱電流を2段階以上に切り替え可能であり、少なくともセンサ信号に基づき消灯させた後にランプを再点灯させる際には、短い予熱時間で、より大きな予熱電流を供給させることができる。また、ランプ点灯時や待機予熱時には、より少ない予熱電流を供給することにより、消費電力を低減させて省エネルギーを図ることが可能となる。
【0101】
なお、本発明は上記の実施形態において示されたものに限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、短い予熱時間でより大きな予熱電流を供給することが可能となる効果、ランプ点灯時や待機予熱時において消費電力を低減させ省エネルギーを図ることが可能となる効果を有し、放電灯の始動・点灯・消灯を制御可能とした放電灯点灯装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施の形態1に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図
【図2】実施の形態1の放電灯点灯装置における出力電圧Voと予熱電流Ifの周波数特性を示した特性図
【図3】実施の形態1の放電灯点灯装置における消灯信号と点灯信号を示す動作説明図
【図4】実施の形態1の放電灯点灯装置における予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図5】本発明の実施の形態2に係る放電灯点灯装置の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図6】本発明の実施の形態3に係る放電灯点灯装置の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図7】本発明の実施の形態4に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図
【図8】実施の形態4の放電灯点灯装置における予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図9】本発明の実施の形態5に係る放電灯点灯装置の電源ON時の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図10】本発明の実施の形態5に係る放電灯点灯装置の消灯から再点灯時の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図11】本発明の実施の形態6に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図
【図12】実施の形態6の放電灯点灯装置の動作の第1例を説明するためのフローチャート
【図13】実施の形態6の放電灯点灯装置の動作の第2例を説明するためのフローチャート
【図14】本発明の実施の形態7に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図
【図15】実施の形態7の放電灯点灯装置の動作を説明するためのフローチャート
【図16】従来の放電灯点灯装置の一例の概略構成を示す図
【図17】従来の放電灯点灯装置の他の例の概略構成を示す図
【図18】従来の放電灯点灯装置の動作を説明するためのタイムチャート
【符号の説明】
【0104】
1 商用電源
2 スイッチ
3 整流回路
4 インバータ回路
5 予熱回路
6 負荷回路
7 制御回路
8 ランプ
9 外部信号
10 消灯制御部
61 不揮発性メモリ
62 リセット制御部
71 チョッパ制御回路
72 インバータ制御回路
73 予熱制御回路
74 タイマ回路
81 予熱時間比較手段
82 インバータ動作時間比較手段
83 回数カウンタ部
84 時間カウンタ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電灯の始動・点灯・消灯を制御可能とした放電灯点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、放電灯を高周波で点灯させることによって発光効率を改善し、省エネルギーを図ることができる点灯装置が提案されている。従来の点灯装置の一例を図16に示す。この点灯装置30の入力には商用電源1がスイッチ2を介して接続され、出力には熱陰極蛍光ランプであるランプ38が接続される。この点灯装置30は、入力側からフィルタ回路31、整流回路32、インバータ回路33、及び共振回路34の順に構成され、負荷となるランプ38に接続される。
【0003】
点灯装置30において、まず、整流回路32は、ブリッジ構成のダイオードD1〜D4と、例えばアルミ電解コンデンサ等の比較的大容量のコンデンサC2とで構成され、商用電源1の交流電圧を全波整流し、略一定の直流電圧に平滑する。インバータ回路33は、整流回路32の出力段に接続され、MOSFET等のスイッチング素子を2個直列に接続した構成となっている。この2つのスイッチング素子Q1、Q2を50kHz程度の高周波で交互にスイッチングすることにより、スイッチング素子の両端には高周波の矩形波電圧が発生するため、整流回路32により平滑された直流電圧を高周波電圧に変換することができる。
【0004】
共振回路34は、インバータ回路33のスイッチング素子Q2と並列にチョークコイルL1、共振コンデンサC3、及び直流カット用コンデンサC4が直列に接続されており、インバータ回路33の矩形波電圧を正弦波状の電圧に変換してランプ38に供給する。また、共振コンデンサC3はランプ38のそれぞれの電極を介してチョークコイルL1と直流カット用コンデンサC4に接続されており、ランプ38を点灯させる際には、共振回路34に流れる電流をランプ38の電極を加熱する予熱電流と兼用させている。ランプ38が放電を開始する前の状態では、ランプ38の等価インピーダンスが点灯時に比べて極めて大きいため、共振コンデンサC4の両端にランプ38の放電開始に必要な高電圧を容易に得ることが可能となる。
【0005】
インバータ制御回路35は、インバータ回路33の動作周波数を変化させることにより、共振回路34のインピーダンスが周波数によって変化することを利用して、ランプ38への供給電力を制御している。このインバータ制御回路35にはインバータ回路33の動作開始からの時間を計測するタイマ回路36が接続されており、タイマ回路36の計測時間に基づいてランプ38の電極を加熱する予熱時間tpとランプ38の電極間に高電圧Vsを印加するタイミングを制御することにより、ランプ38を確実に点灯させることができる。インバータ制御回路35とタイマ回路36は、これらの機能を集積化したICが発売されており、例えば、インターナショナル レクティファイアー(IR)社製のIR2156等のICを使用することにより、容易に構成できる。
【0006】
インバータ回路33は、スイッチング素子Q1、Q2を有し、かつ、高周波でスイッチング動作をしているため、スイッチングノイズを発生しているが、このノイズ等が電源ラインを介して他の電子機器等に不具合を与えないように、フィルタ回路31により高周波ノイズをカットしている。このような点灯装置を用いることにより、放電灯の発光効率を改善して照明器具の大幅な省エネルギーを図ることができる。
【0007】
近年、更なる省エネルギーを目的として、例えば、人感センサを用いて人がいない時には放電灯を消灯させる事ができる照明器具が増えてきている。しかし、この種の放電灯点灯装置では、電極を加熱する予熱時間tpを1.0〜1.5秒程度設けているために、センサが人を検知してからランプが点灯するまでに1.5秒程度の時間遅れが生じ、使用者に違和感を感じさせることがある。
【0008】
特に、廊下などの人が往来する場所にこれらの照明器具を設置した場合、人が通り過ぎた後にランプが点灯することが起こり得る。このため、この種の照明器具では時間遅れを極力短くすることが望ましく、このため予熱時間tpは0.5秒以下であることが好ましい。
【0009】
しかし、図16に示す従来例の点灯装置では、ランプ38に高電圧を印加して放電を開始させる前に電極を加熱するために予熱電流Ifを供給する際に、この予熱電流IfがコンデンサC3を介して両方の電極に供給されることになる。よって、この予熱電流とコンデンサC3のインピーダンスによってコンデンサの両端間に電圧Vpが発生し、この電圧がランプ38の電極間にそのまま印加されることになる。この電圧Vpは、予熱電流Ifp、コンデンサ容量C3、及びインバータ回路の動作周波数fpによって、次式のように与えられる。
【0010】
【数1】
【0011】
つまり、予熱電流Ifpが大きくなるほどコンデンサC3に発生する電圧Vpも高くなり、条件によってはこの電圧Vpによってランプ38が放電を開始することがある。予熱時間tp中にこのような高い電圧がランプ38に印加されると、電極が充分に加熱される前にランプ38が放電してしまい、このような状態で放電が開始されると電極には大きなダメージが加えられる。さらに、ランプ38の点灯と消灯が繰り返された場合には電極のエミッタが消耗し、ランプ38の寿命が短くなる。
【0012】
このことを、図16の放電灯点灯装置の例を用いてさらに詳しく説明する。例えば、FHF32(直管形高周波点灯専用形32W)を予熱時間tp=0.5秒で点灯させる場合、JIS C7617−2に記載されているデータシートによると、FHF32ランプの定格点灯時の電気特性、及び高周波点灯安定器設計基準は表1(FHF32電気特性)、表2(FHF32高周波点灯安定器設計基準)に示す通りである(抜粋)。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
このデータシートより、予熱時間tpを0.5秒とした場合の予熱電流Ifは0.68A以上、1.442A以下が最適な範囲となる。これに対し、図16の回路構成でこの予熱電流を確保しようとする場合の設計例を下記に示す。
共振回路 チョークコイルL1:1.25mH
コンデンサC3:4.7nF
チョッパー回路 出力電圧:400V
インバータ回路 動作周波数 予熱時:77kHz
点灯時:53kHz
【0016】
以上の条件によれば、点灯装置30よりランプ38に供給される各電気特性は以下の通りとなり、予熱時にランプに印加される電圧がランプの始動に必要な電圧以上となるため、電極が充分に加熱される前にランプが点灯し、電極に大きなダメージが加わる。
予熱電流Ifp:1.09A
予熱時印加電圧Vp:480V
点灯時ランプ電流:0.425A
【0017】
【特許文献1】特開2001−93694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述したように、予熱時間tpを短くしてランプの電極にダメージを与えずにランプを点灯させるには、ランプに印加される電圧を抑えつつ、電極には充分な予熱電流を流すことが必要である。しかしながら、図16に示した従来例の点灯装置では、設計の制約条件が多く、実現が困難である。
【0019】
予熱時間を短くするとともにランプに印加される電圧を抑えつつ電極には充分な予熱電流を流せるようにする課題に対しては、図17に示すように、予熱トランスT2を用いて、予熱回路を共振回路と別に設けることにより実現可能である。しかし、この図17に示す回路において、予熱電流を増やすと点灯時においても予熱電流が大きくなり、電極での不要な電力が増大するという課題がある。
【0020】
このような課題に対して、特許文献1では、センサによる消灯後においても予熱電流を供給しておき、瞬時点灯を可能とした放電灯点灯装置が提案されている。この特許文献1の放電灯点灯装置は、直流電源と、該直流電源の出力を高周波電力に変換するインバータ回路と、インバータ回路の出力に接続される共振回路と、共振回路の共振作用により駆動される放電灯と、インバータ回路の出力を可変とするインバータ制御回路と、外部からの調光信号を入力して放電灯の調光制御と消灯/点灯制御を行う調光制御回路とを備え、放電灯の消灯時には、図18のように、放電灯の電極に少なくとも2つのレベルの予熱電流を所定の周期で切り替えて供給する。
【0021】
この場合、予熱電流Ifのレベルが高く設定される第1の期間Tbと、予熱電流のレベルが低く設定される第2の期間Taとが交互に切り替わり、第1の期間Tbは第2の期間Taに比べて十分に短く設定されることで、放電灯が点灯しない程度の予熱電流を電極に供給し続ける方法を採っている。これにより瞬時点灯が可能となる。
【0022】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来例では、瞬時点灯は可能になるものの、待機予熱状態において定常的に電極に電流が流れ、電極で電力が消費されているため、待機予熱状態が長くなると、消費電力が増大するという課題がある。
【0023】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、短い予熱時間でより大きな予熱電流を供給することが可能な放電灯点灯装置を提供することを目的とする。また、本発明は、ランプ点灯時や待機予熱時において消費電力を低減させ省エネルギーを図ることが可能な放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、交流電源を整流する整流回路と、前記整流回路の出力電圧を直流電圧に変換するチョッパ回路と、前記チョッパ回路から供給される直流電圧を高周波の交流電圧に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路から出力される高周波電圧を入力し、放電灯を点灯する負荷回路と、前記放電灯の電極に予熱電流を供給するもので、この予熱電流の供給量を少なくとも第1の予熱電流と第2の予熱電流を持つ複数段階に切り替え可能な予熱回路と、外部信号に応じて前記放電灯の点灯、消灯を制御する消灯制御部と、前記予熱回路に予熱電流を供給する予熱時間を設定するタイマ部と、前記インバータ回路の駆動周波数を設定するインバータ制御部と、前記予熱回路から出力する予熱電流の供給量を切り替える予熱制御部とを備え、前記予熱制御部は、放電灯消灯後の再点灯時に、点灯時の第1の予熱電流よりも大きい第2の予熱電流を再点灯時予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替える放電灯点灯装置を提供する。
上記構成により、消灯後に放電灯を再点灯させる際には、短い予熱時間でより大きな予熱電流を供給することが可能になる。また、点灯時などにはより少ない予熱電流を供給することにより、消費電力を低減させて省エネルギーを図れる。よって、放電灯に最適な予熱電流を設定して点灯までの時間を短縮するとともに、消費電力を低減させることが可能になる。
【0025】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記予熱制御部は、放電灯消灯時に、前記第2の予熱電流よりも小さい第1の予熱電流を消灯時予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替えるものを含む。
上記構成により、消灯後に小さい予熱電流の供給を継続させることで、消費電力を低減させるとともに、再点灯する場合に点灯までの時間を短くすることが可能になる。
【0026】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記タイマ部は、前記予熱電流の供給を停止する予熱停止時間を設定し、前記予熱制御部は、前記放電灯消灯時に前記予熱停止時間が経過した後、前記予熱回路からの消灯時予熱電流の供給を停止するものを含む。
上記構成により、予熱停止時間経過後に予熱電流の供給を停止することで、消費電力の増大を抑えることが可能になる。
【0027】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記タイマ部は、前記予熱時間として第1の点灯時予熱時間と第2の点灯時予熱時間とを設定し、前記予熱制御部は、電源投入時に前記第1の点灯時予熱時間が経過するまでは第1の点灯時予熱電流として第1の予熱電流を供給し、前記第1の点灯時予熱時間の経過後から前記第2の点灯時予熱時間が経過するまでは第2の点灯時予熱電流として前記第1の予熱電流よりも大きい第2の予熱電流を供給するよう前記予熱回路を切り替えるものを含む。
上記構成により、電源投入時に予熱電流を段階的に大きくすることで、放電灯の寿命が短くなる問題を回避することができる。
【0028】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記予熱制御部は、放電灯点灯後に、前記第2の予熱電流よりも小さい第1の予熱電流を点灯中予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替えるものを含む。
上記構成により、点灯中に小さい予熱電流を供給することで、放電灯点灯中の消費電力を低減させることが可能になる。
【0029】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記タイマ部は、前記放電灯消灯後の再点灯時に前記再点灯時予熱電流を供給する時間を0.5秒以下に設定するものを含む。
上記構成により、放電灯の再点灯までの時間を短くすることが可能であり、例えば放電灯を廊下などの人が往来する場所に設置した場合に、人が通り過ぎた後に放電灯が点灯するなどの不都合を防止できる。
【0030】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記タイマ部は、前記第2の予熱電流を供給する動作回数または前記外部信号による消灯信号の回数をカウントする回数カウンタ部を有し、前記回数に応じて、前記第2の予熱電流を供給する供給時間と前記第2の予熱電流の大きさとの少なくとも一方を変化させるものを含む。
上記構成により、例えば第2の予熱電流の供給回数や消灯信号の回数が増えた場合に、予熱時間を長くしたり予熱電流の大きさを大きくすることで、放電灯の電極を十分に加熱し、放電灯の寿命が短くなる問題を回避することができる。
【0031】
また、本発明は、上記の放電灯点灯装置であって、前記タイマ部は、前記放電灯の点灯時間をカウントする時間カウンタ部を有し、前記点灯時間に応じて、前記第2の予熱電流を供給する供給時間と前記第2の予熱電流の大きさとの少なくとも一方を変化させるものを含む。
上記構成により、例えば累積点灯時間が長くなった場合に、予熱時間を長くしたり予熱電流の大きさを大きくすることで、放電灯の電極を十分に加熱し、放電灯の寿命が短くなる問題を回避することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、短い予熱時間でより大きな予熱電流を供給することが可能な放電灯点灯装置を提供できる。また、ランプ点灯時や待機予熱時において消費電力を低減させ省エネルギーを図ることが可能な放電灯点灯装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の具体的構成について図1に示す構成図と図2に示す特性図を用いて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態1に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図である。図2は実施の形態1の放電灯点灯装置における負荷回路6の出力電圧Voと、予熱回路5による予熱電流Ifの周波数特性を示した特性図である。
【0034】
図1に示す放電灯点灯装置の入力には商用電源1がスイッチ2を介して接続され、出力には熱陰極蛍光ランプであるランプ8が接続される。この放電灯点灯装置は、入力側から整流回路3、インバータ回路4、予熱回路5、及び負荷回路6の順に構成され、負荷となるランプ8に接続される。
【0035】
放電灯点灯装置において、まず、整流回路3は、商用電源1から入力される交流電源ACを全波整流するブリッジ構成のダイオードD1〜D4と、直流電源に接続されるとともに少なくとも一つのスイッチング素子Q3を有し、直流電源からの直流電圧を所定の直流電圧に変換するチョッパ回路と、例えばアルミ電解コンデンサ等の比較的大容量のコンデンサC2とを含んで構成される。この整流回路3は、商用電源1の交流電圧を全波整流し、略一定の直流電圧に平滑する。入力の交流電源ACは、商用の交流電源であり、電圧は、例えば、100V、200Vまたは240Vである。
【0036】
以下、整流回路3の各部の構成を詳述する。ダイオードD1〜D4は、交流電源ACからの交流電圧を脈流電圧に整流し出力するものである。また、チョッパ回路は、昇圧式のAC−DCコンバータであり、整流回路3によって全波整流された電源電圧を所定の直流電圧に昇圧して出力する。チョッパ回路の構成は、チョークコイルL2とダイオードD5が直列に整流回路3のダイオードブリッジD1〜D4の出力段の一端と平滑用コンデンサC2との間に挿入されており、チョークコイルL2とダイオードD5の接続点とダイオードブリッジD1〜D4出力段のもう一端の間には、MOSFET等のスイッチング素子Q3が接続されている。
【0037】
スイッチング素子Q3を導通させると、ダイオードブリッジD1〜D4の出力段からチョークコイルL2とスイッチング素子Q3を介して電流が流れることにより、チョークコイルL2にはエネルギーが蓄えられる。次に、スイッチング素子Q3を遮断すると、チョークコイルL2に蓄えられたエネルギーはダイオードD5を介してコンデンサC2へと供給される。このようにスイッチング素子Q3の導通と遮断を繰り返すことにより、コンデンサC2への電流供給と遮断を繰り返し、このスイッチングを高周波で行うことによりコンデンサC2の両端にはほぼ直流の電圧を得ることができる。
【0038】
また、フィルタT1とダイオードブリッジD1〜D4の間にはチョークコイルL3が挿入されており、ダイオードブリッジD1〜D4の出力段にはコンデンサC8が並列に挿入されている。このチョークコイルL3とコンデンサC8によってフィルタ回路が構成されており、チョッパ回路のスイッチングによって発生する高周波電流をコンデンサC8を介してバイパスさせることにより、高周波電流が商用電源1側に流れることがないようにしている。
【0039】
ここでは昇圧式のチョッパ回路について説明しているが、降圧式や昇降圧式といった他のチョッパ回路でもよく、商用電源1の交流電圧を直流電圧に変換できる構成であれば、その作用効果は変わらない。
【0040】
次に、インバータ回路4について詳述する。インバータ回路4は、整流回路3の出力段に接続され、MOSFET等のスイッチング素子を2個直列に接続した構成となっている。この2つのスイッチング素子Q1、Q2を50kHz程度の高周波で交互にスイッチングすることにより、スイッチング素子の両端には高周波の矩形波電圧が発生するため、整流回路3により平滑された直流電圧を高周波電圧に変換することができる。
【0041】
インバータ回路として、本実施の形態では、いわゆるハーフブリッジ型のインバータ回路を採用している。もちろんインバータ回路は、その他フルブリッジ型、1石型、あるいはプッシュプル型であってもよい。
【0042】
次に、予熱回路5について詳述する。予熱回路5は、トランスT2を有して構成され、トランスT2の1次側巻線n1の一端は直流カット用のコンデンサC5を介してインバータ回路4の出力段に接続されている。また、トランスT2の2次側にはランプ8の2つの電極をそれぞれ別個に加熱できるように巻線n2、n3が設けられており、それぞれの電極にコンデンサC6、C7を介して接続されている。また、コンデンサC9及びMOSFET等のスイッチング素子Q4が設けられ、トランスT2の1次側巻線n1の他端とインバータ回路4の出力段との間に並列に接続されている。このスイッチング素子Q4のON/OFFにより、所定の予熱電流を供給する制御を行っている。
【0043】
スイッチング素子Q4がONの時には、トランスT2によって二次側に発生する電圧を電源としてランプの各電極を予熱するものである。コンデンサC6、C7は、各フィラメントの予熱電流Ifの減流インピーダンスとして機能する。スイッチング素子Q4がOFFの時には、矩形波の殆どの電圧をコンデンサC9が保持するため、トランスT2の二次側には殆ど電圧が発生しない。そのため、ランプの各電極を予熱する電流を抑えることができる。
【0044】
このような予熱回路5を構成することで、(スイッチング素子Q4がON時の電流供給量)>(スイッチング素子Q4がOFF時の電流供給量)となり、スイッチング素子Q4により予熱電流の供給量を制御することができる。以降では、スイッチング素子Q4がOFF時の電流を第1の予熱電流Ifp1、スイッチング素子Q4がON時の電流を第2の予熱電流Ifp2とする。
【0045】
負荷回路6は、インバータ回路4のスイッチング素子Q2と並列にチョークコイルL1、共振コンデンサC3、及び直流カット用コンデンサC4が直列に接続されて構成される。この負荷回路6は、インバータ回路4の矩形波電圧を正弦波状の電圧に変換してランプ8に供給する。
【0046】
以下、本実施の形態の要部となっている、制御回路7について詳述する。制御回路7は、チョッパ制御回路71、インバータ制御回路(インバータ制御部)72、予熱制御回路(予熱制御部)73、タイマ回路(タイマ部)74、消灯制御部10を有して構成される。
【0047】
チョッパ制御回路71は、スイッチング素子Q3のスイッチングを制御するもので、コンデンサC2の両端電圧を抵抗R1とR2で分圧して検出している。コンデンサC2の両端電圧が所定の電圧よりも低い場合にはスイッチング素子Q2の導通時間が長くなるように、逆にコンデンサC2の両端電圧が低い場合には導通時間が短くなるようにフィードバック制御する。これにより、電源電圧や負荷の状態が変化してもコンデンサC2の電圧を一定に制御することができる。
【0048】
インバータ制御回路72は、インバータ回路4の動作周波数を変化させることにより、負荷回路6のインピーダンスが周波数によって変化することを利用して、ランプ8への供給電力を制御する。このインバータ制御回路72には、インバータ回路4の動作開始からの時間を計測するタイマ回路74が接続されており、タイマ回路74の計測時間に基づいてランプ8の電極を加熱する予熱時間とランプ8の電極間に高電圧Vsを印加するタイミングを制御することにより、ランプ8を確実に点灯させることができる。
【0049】
予熱制御回路73は、予熱回路5のスイッチング素子Q4のON/OFFを制御するもので、タイマ回路74でランプ8の電極を加熱する予熱時間を計測し、この計測時間に基づいて予熱回路5のスイッチング素子Q4のON/OFFのタイミングを制御することにより、第1の予熱電流、第2の予熱電流の2段階に予熱電流を自由に切り替え、電極に流れる予熱電流の供給を制御することができる。
【0050】
消灯制御回路10は、消灯信号及び点灯信号を出力し、タイマ回路74に送信するものである。消灯制御回路10は、センサ等の外部信号9に対して、人がいない時には消灯信号を送信し、人を検知した場合は点灯信号をタイマ回路74に送信する。
【0051】
図3は実施の形態1の放電灯点灯装置における消灯信号と点灯信号を示す動作説明図である。消灯制御回路10は、例えば、図3に示すように消灯信号として時間t0〜t1には0Vを送信し、点灯信号として時間t1〜には5Vを送信する制御を行う。ここで、消灯制御回路10は、外部信号9として人を検出するセンサ等の出力を用いて、人がいない時には消灯する等の制御を行うものとしているが、PWM信号のデューティ制御を行うものや、DC電圧を制御するもの、デジタル信号を制御するものであっても構わない。
【0052】
本実施の形態の放電灯点灯装置は、上記のような回路構成とすることにより、予熱時間中(ランプ8が点灯していない状態)の出力電圧Voと予熱電流Ifは、図2に示すような周波数特性となる。ここで、周波数のf0は負荷回路6の固有振動周波数であり、図1の回路構成の場合には次式で示すことができる。
【0053】
【数2】
【0054】
インバータ制御回路72は、インバータ回路4の動作周波数を変化させることで、インバータ回路4の動作周波数をこのf0に近付けると負荷回路6の出力電圧Voを高くすることができ、f0から遠ざけると出力電圧Voを低くすることができる。
【0055】
本実施の形態では、予熱回路5のスイッチング素子Q4をON/OFFすることにより、スイッチング素子Q4がONの時には、第2の予熱電流Ifp2が供給される。また、スイッチング素子Q4がOFFの時には、スイッチング素子Q4に並列に接続されたコンデンサC9により予熱電流が保持され、第2の予熱電流Ifp2よりも小さい第1の予熱電流Ifp1が供給される。
【0056】
ここで、負荷回路6の固有振動周波数f0とインバータ回路4の動作周波数との関係は、予熱電流供給時は、図2に示すように動作周波数をf0よりも高いfpに設定する。そして、インバータ制御回路72は、タイマ回路74によってインバータ回路4の動作時間が予熱時間を経過したことを確認した後、動作周波数をfpからf0の近傍のfsに移行させランプを点灯させる。このように設定することにより、所定の予熱時間中はランプ8の電極を最適に加熱し、かつそのときの電極間に印加される電圧Vpをランプ8が放電を開始しないレベルに下げることができ、予熱時間経過後にランプ8の電極間に高電圧Vsを印加し、ランプ8の電極にダメージを与えずに、かつ確実にランプを点灯させることができる。したがって、ランプ8の点灯回数が増えてもランプ8の寿命が短くなることを回避することができる。
【0057】
以上のように、放電灯点灯回路を構成することで図4に示すような動作波形に制御することができる。図4は実施の形態1の放電灯点灯装置における負荷回路6の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図であり、消灯後の再点灯時の動作波形を示したものである。まず、時間t0にセンサ等の外部信号9に基づき消灯制御部10が消灯信号をタイマ回路74に送信し、消灯が指示された場合、インバータ制御回路72はタイマ回路74を介して消灯信号を受け、インバータ回路4を停止させランプ8を消灯させる。この際、予熱電流Ifと出力電圧Vlaは0になる。
【0058】
そして、時間t1でセンサ等の外部信号9に基づき消灯制御部10が点灯信号を送信し、消灯後の再点灯が指示された場合、インバータ制御回路72はタイマ回路74を介して点灯信号を受け、ますインバータ回路4の動作周波数をfpに移行して動作させ、予熱制御回路73により予熱回路5のスイッチング素子Q4をONに切り替えて、再点灯時予熱電流として第2の予熱電流Ifp2を供給してランプ8の電極を予熱する。この予熱時間中は、電極間に印加される電圧Vpはランプ8が放電を開始しない小さい電圧となっている。その後、予熱時間経過後にインバータ回路4の動作周波数をfpからfsに移行し、ランプ8の電極間に高電圧Vsを印加し、ランプ8を再点灯させる。ここで、再点灯時に第2の予熱電流Ifp2を供給する予熱時間は、0.5秒以下とする。
【0059】
前記課題でも述べたように、センサ等の外部信号9から消灯信号を受けた後の再点灯には、できるだけ瞬時点灯が好ましい。図2及び図4に示したように、第2の予熱電流Ifp2は第1の予熱電流Ifp1よりも大きい予熱電流となっているため、再点灯時には第2の予熱電流Ifp2のみで点灯させるように設定することで、再点灯時での瞬時点灯が可能となる。
【0060】
なお、本実施の形態では、予熱電流を2段階に切り替える場合についてのみ説明しているが、予熱電流を3以上の複数段階に設定してもよい。以降の実施の形態においても同様である。
【0061】
(実施の形態2)
以降の実施の形態では、基本的な回路構成は図1に示したものと同様であるため、詳細な回路説明は省略する。
【0062】
本発明の実施の形態2の動作波形を図5に示す。図5は実施の形態2の放電灯点灯装置における予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図であり、消灯時の動作波形を示したものである。
【0063】
図5に示すように、タイマ回路74がセンサ等の外部信号9から消灯信号を受け、消灯が指示された場合、インバータ制御回路72はインバータ回路4の動作周波数をfpに移行し、ランプ8を消灯させるとともに、予熱制御回路73により予熱回路5のスイッチング素子Q4をOFFさせ、消灯時予熱電流としてより少ない第1の予熱電流Ifp1を供給してランプ8の電極を予熱する。このように消灯時は、予熱電流Ifp1の供給を継続させることで、消費電力を低減させて省エネルギーを図ることができる。また、再点灯する場合に点灯までの時間を短くすることができる。ただし、実施の形態1でも述べたように、この時の電極間に印加される電圧Vpは、ランプ8が放電を開始しないレベルに小さく設定する必要がある。
【0064】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の動作波形を図6に示す。図6は実施の形態3の放電灯点灯装置における予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図であり、消灯時の動作波形を示したものである。実施の形態2と同様、タイマ回路74がセンサ等の外部信号9から消灯信号を受け、消灯が指示された場合、インバータ制御回路72は、ランプ8を消灯させるとともに、第1の予熱電流Ifp1により予熱電流の供給を継続させる。
【0065】
そして、実施の形態3では、タイマ回路74には一定値である所定の時間T3(予熱停止時間)が記憶されており、この予熱停止時間T3と計測された予熱時間とを比較し、予熱時間が予熱停止時間T3を越えると、インバータ制御回路72はインバータ回路4を停止させ、放電灯点灯装置を停止させる。所定の予熱停止時間T3は、例えば消費電力の増大を抑えるためには、約1分程度に設定する。ただし、予熱停止時間T3を越える前に、再点灯が指示された場合は、実施の形態1と同様に予熱制御回路73によりスイッチング素子Q4をONさせ、第2の予熱電流Ifp2でランプ8の電極を予熱して再点灯させる。このように予熱停止時間経過後に予熱電流Ifp1の供給を停止することで、消費電力の増大を抑えることができる。
【0066】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の構成を図7に、動作波形を図8に示す。図7は本発明の実施の形態4に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図、図8は実施の形態4の放電灯点灯装置における予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図であり、電源ON時の動作波形を示したものである。
【0067】
実施の形態4は、図1に示した実施の形態1の構成に加えて、タイマ回路74に予熱時間比較手段81、インバータ動作時間比較手段82を設けている。その他の構成は図1と同様である。
【0068】
タイマ回路74には、図8に示すように、一定値である所定の時間T1(第1の点灯時予熱時間)及びT2(第2の点灯時予熱時間)が記憶されており、予熱時間比較手段81によりこれらの第1の点灯時予熱時間T1及び第2の点灯時予熱時間T2と計測された予熱時間とを比較する。電源投入時は、予熱時間比較手段81により第1の点灯時予熱時間T1と計測された予熱時間とを比較し、予熱時間が第1の点灯時予熱時間T1を越えるまで、予熱制御回路73は予熱回路5のスイッチング素子Q4をOFFさせ、第1の点灯時予熱電流として第1の予熱電流Ifp1をランプ8の電極に供給して予熱する。予熱時間が第1の点灯時予熱時間T1を越えると、予熱制御回路73はスイッチング素子Q4をONさせ、第2の点灯時予熱電流として第2の予熱電流Ifp2に切り替えてランプ8の電極に供給する。そして、予熱時間比較手段81により第2の点灯時予熱時間T2と計測された予熱時間とを比較し、第2の点灯時予熱時間T2を越えるまで、予熱制御回路73は第2の点灯時予熱電流として第2の予熱電流Ifp2を供給し、ランプ8を予熱する。
【0069】
また、インバータ動作時間比較手段82により、第1の点灯時予熱時間T1及び第2の点灯時予熱時間T2と計測されたインバータ回路の動作時間とを比較する。インバータ制御回路72は、インバータ動作時間比較手段82の比較により第1の点灯時予熱時間T1及び第2の点灯時予熱時間T2が経過するまでは、インバータ回路4の動作周波数をfpにして動作させる。そして、第1の点灯時予熱時間T1及び第2の点灯時予熱時間T2の終了後は、インバータ回路4の動作周波数をfsに移行し、ランプ8の電極間に高電圧Vsを印加し、ランプ8を始動させる。
【0070】
このように、実施の形態4によれば、電源投入時にのみ所定の第1の点灯時予熱時間T1の期間は第1の予熱電流Ifp1を供給して、電極をある程度予熱するようにし、その後第2の点灯時予熱時間T2の期間は第2の予熱電流Ifp2を供給し、電源投入時に予熱電流を段階的に大きくすることで、ランプが短寿命になるという問題を回避することができる。ここで、第1の予熱電流Ifp1は0であっても構わない。また、第1の予熱電流Ifp1を供給する第1の点灯時予熱時間T1及び第2の予熱電流Ifp2を供給する第2の点灯時予熱時間T2は、使用者にとって不快なものとならない程度に設定する必要がある。例えば、電源投入時の場合には第1及び第2の点灯時予熱時間T1、T2を合わせて約2秒以下に設定することが望ましい。
【0071】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5の動作波形を図9及び図10に示す。図9は実施の形態5の放電灯点灯装置における電源ON時の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図、図10は実施の形態5の放電灯点灯装置における消灯から再点灯時の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図である。
【0072】
図9のように、電源投入直後から予熱→始動→点灯と移行する場合、インバータ制御回路72は、タイマ回路74にて計時された時間に基づき、インバータ回路4の動作周波数を、予熱時fp→始動時fs→点灯時fpとなるように切り替える。そして、点灯時のインバータ動作周波数fpの時には、予熱制御回路73は予熱回路5のスイッチング素子Q4をOFFさせ、点灯中予熱電流として第1の予熱電流Ifp1を供給する。
【0073】
また、図10のように、消灯信号の後に点灯信号を受けて再点灯する場合、上記点灯時と同様に、予熱制御回路73は予熱回路5のスイッチング素子Q4をOFFさせ、点灯中予熱電流として第1の予熱電流Ifp1を供給する。
【0074】
このように実施の形態5では、点灯中において、第2の予熱電流Ifp2よりも小さい第1の予熱電流Ifp1にて予熱電流を供給することで、点灯中の消費電力も低減させることができる。
【0075】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6の構成を図11に、動作のフローチャートを図12及び図13に示す。図11は本発明の実施の形態6に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図、図12は実施の形態6の放電灯点灯装置の動作の第1例を説明するためのフローチャート、図13は実施の形態6の放電灯点灯装置の動作の第2例を説明するためのフローチャートである。
【0076】
実施の形態6は、図1に示した実施の形態1の構成に加えて、タイマ回路74に回数カウンタ部83、不揮発性メモリ61を設け、不揮発性メモリ61に記憶された累積回数をリセットするリセット制御部62を設けている。その他の構成は図1と同様である。
【0077】
回数カウンタ部83は、センサ等の外部信号9からの消灯信号、もしくは第2の予熱電流Ifp2の動作回数をカウントする。不揮発性メモリ61は、このカウントした消灯信号の回数、もしくは第2の予熱電流Ifp2の動作回数を逐次記憶する。制御回路7は、この回数に応じて、少なくとも第2の予熱電流Ifp2を供給する第2の点灯時予熱時間T2、もしくは第2の予熱電流Ifp2の供給量を自由に変化させることが可能になっている。
【0078】
リセット制御部62は、ランプ8を新品に交換した場合などに、不揮発性メモリ61に記憶された累積回数を初期値(累積回数が零の状態)にリセットする動作を行う。リセット動作として、具体的には、リセットボタンの操作によるリセット方法や、ランプ8の寿命末期状態を検出して自動的にリセットする方法、電源の既定のオン・オフ操作によってリセットする方法などが挙げられる。通常、不揮発性メモリ61としては、汎用のEEPROMやマイクロプロセッサに内蔵されたフラッシュメモリ等の不揮発性メモリにより構成することができる。
【0079】
次に、図12及び図13を参照して実施の形態6の動作を詳細に説明する。まず、図12に示す第1例は、第2の予熱電流の動作回数のみを用いる例である。この第1例では、電源ONしたときに(ステップS11)、予熱制御回路73が予熱回路5のスイッチング素子Q4をOFFし、第1の予熱電流Ifp1を供給する(ステップS12)。そして、第1の点灯時予熱時間T1が経過するかを判定し(ステップS13)、時間T1が経過すると(ステップS13:Y)、予熱制御回路73がスイッチング素子Q4をONし、第2の予熱電流Ifp2を供給する(ステップS14)。その後、第2の点灯時予熱時間T2が経過するかを判定し(ステップS15)、時間T2が経過すると(ステップS15:Y)、回数カウンタ部83が第2の予熱電流Ifp2が動作した回数を計測し(ステップS16)、この動作回数を不揮発性メモリ61に記憶する(ステップS17)。このとき、タイマ回路74は、例えば表3に示すように、第2の予熱電流の動作回数に応じて第2の予熱電流時間T2を変化させることができる。
【0080】
【表3】
【0081】
このように回数カウンタ部83でカウントし不揮発性メモリ61に記憶した第2の予熱電流の動作回数が増えるにつれて、第2の予熱電流時間T2の時間を長くする。これにより、電極を予熱する時間が長くなるため、ランプが短寿命になるという問題を回避することができる。
【0082】
そして、インバータ制御回路72は、ランプ8の電極間に高電圧Vsを印加し、ランプ8を点灯させる(ステップS18)。このとき、予熱時間中はインバータ回路4の動作周波数をfpとし、予熱時間経過後はインバータ回路4の動作周波数をfpからfsに移行し、ランプ8を点灯させる。
【0083】
ランプ点灯時は、予熱制御回路73がスイッチング素子Q4をOFFし、第1の予熱電流Ifp1を供給する(ステップS19)。その後、消灯制御部10において外部信号が点灯信号か消灯信号かを判断し(ステップS20)、外部信号が消灯信号の場合(ステップS20:N)、インバータ制御回路72がインバータ回路4を制御してランプを消灯する(ステップS21)。
【0084】
そして、予熱停止時間T3が経過するかを判定し(ステップS22)、時間T3が経過すると(ステップS22:Y)、予熱制御回路73が第1の予熱電流Ifp1の供給を停止する(ステップS23)。一方、時間T3が経過していない場合(ステップS22:N)、予熱制御回路73が第1の予熱電流Ifp1の供給を継続する(ステップS24)。その後、消灯制御部10において外部信号が点灯信号か消灯信号かを判断し(ステップS25)、外部信号が点灯信号の場合(ステップS25:Y)、ステップS14に戻って第2の予熱電流Ifp2の供給を行う。一方、外部信号が消灯信号の場合(ステップS25:N)、ステップS21に戻りランプを消灯する。
【0085】
また、図13に示す第2例は、図12の第1例の変形例であり、第2の予熱電流の動作回数とともに消灯信号の回数を用いる例である。ここでは図12と異なる部分についてのみ説明する。この第2例では、ステップS20で外部信号が消灯信号の場合、回数カウンタ部83は消灯信号が入力された回数を計測し(ステップS31)、この回数を不揮発性メモリ61に記憶する(ステップS32)。このとき、タイマ回路74は、例えば表4に示すように、消灯信号の回数に応じて第2の予熱電流時間T2を変化させることができる。
【0086】
【表4】
【0087】
このように回数カウンタ部83でカウントし不揮発性メモリ61に記憶した消灯信号の回数が増えるにつれて、第2の予熱電流時間T2の時間を長くする。これにより、電極を予熱する時間が長くなるため、ランプが短寿命になるという問題を回避することができる。
【0088】
上記のように、本実施の形態では、第2の予熱電流の動作回数や消灯信号の回数によって第2の予熱時間T2を変化させることが可能であるが、さらに、図2に示したように、インバータ回路4の動作周波数を変化させることで、第2の予熱電流Ifp2の供給量も同様に自由に変化させることができる。例えば、第2の予熱電流の動作回数もしくは消灯信号の回数を不揮発性メモリ61で記憶し、この回数が多くなるにつれて、インバータ回路4の動作周波数fpを徐々に高い周波数に移行することで、第2の予熱電流Ifp2の供給量も大きくすることが可能である。このように設定することで、同様にランプの寿命が短くなることを防止できる効果を得ることができる。
【0089】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7の構成を図14に、動作のフローチャートを図15に示す。図14は本発明の実施の形態7に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図、図15は実施の形態7の放電灯点灯装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0090】
実施の形態7は、図11に示した実施の形態6の変形例であり、タイマ回路74において、回数カウンタ部83の代わりに時間カウンタ部84を設けたものである。その他の構成は図11と同様である。
【0091】
時間カウンタ部84は、整流回路3の出力に基づき、放電灯の点灯時間をカウントする。ここで、点灯時間は、タイマ回路74の時間カウンタ部84が整流回路3からの直流電圧を受けることでカウントを開始する。なお、センサ等の外部信号9による点灯信号、消灯信号に基づく点灯時間をカウントしてもよい。不揮発性メモリ61は、このカウントした放電灯の点灯時間を累積点灯時間として逐次記憶する。
【0092】
次に、図15を参照して実施の形態7の動作を詳細に説明する。ここでは、図12及び図13に示した実施の形態6と異なる部分についてのみ説明する。
【0093】
ステップS18でランプを点灯させ、ステップS19で第1の予熱電流Ifp1を供給した状態で、時間カウンタ部84がランプの点灯時間を計測し(ステップS41)、この点灯時間を不揮発性メモリ61に記憶する(ステップS42)。このとき、タイマ回路74は、例えば表5に示すように、ランプの点灯時間に応じて第2の予熱電流時間T2を変化させることができる。
【0094】
【表5】
【0095】
このように時間カウンタ部84でカウントし不揮発性メモリ61に記憶した累積点灯時間が長くなるにつれて、第2の予熱電流時間T2の時間を長くする。これにより、電極を予熱する時間が長くなるため、ランプが短寿命になるという問題を回避することができる。
【0096】
その後、消灯制御部10において外部信号が点灯信号か消灯信号かを判断し(ステップS43)、外部信号が消灯信号の場合(ステップS43:N)、時間カウンタ部84はランプの点灯時間の計測を終了し(ステップS44)、不揮発性メモリ61は累積点灯時間の記憶を終了する(ステップS45)。そして、ステップS21でインバータ制御回路72がインバータ回路4を制御してランプを消灯する。
【0097】
さらに、累積点灯時間によって、実施の形態6と同様に、インバータ回路4の動作周波数を変化させることで、第2の予熱電流Ifp2の供給量も同様に自由に変化させることができる。例えば、累積点灯時間を不揮発性メモリ61で記憶し、この時間が多くなるにつれて、インバータ回路4の動作周波数fpを徐々に高い周波数に移行することで、第2の予熱電流Ifp2の供給量も大きくすることが可能である。このように設定することで、同様にランプの寿命が短くなることを防止できる効果を得ることができる。
【0098】
このように実施の形態7では、ランプの累積点灯時間に応じて、少なくとも第2の予熱電流Ifp2を供給する予熱時間T2、もしくは第2の予熱電流Ifp2の供給量を自由に変化させることができ、ランプ寿命の短縮を防止することができる。
【0099】
上記実施の形態1〜7において、制御回路7のチョッパ制御回路71、インバータ制御回路72、予熱制御回路73、タイマ回路74、消灯制御部10等の各構成要素は、マイクロコンピュータを用いて容易に構成することができ、プロセッサとこのプロセッサ上で動作するプログラムによって、各動作に対応する処理を実行することで、上記実施の形態の各機能を実現することが可能である。
【0100】
以上のように、本実施の形態の放電灯点灯装置では、電極に供給する予熱電流を2段階以上に切り替え可能であり、少なくともセンサ信号に基づき消灯させた後にランプを再点灯させる際には、短い予熱時間で、より大きな予熱電流を供給させることができる。また、ランプ点灯時や待機予熱時には、より少ない予熱電流を供給することにより、消費電力を低減させて省エネルギーを図ることが可能となる。
【0101】
なお、本発明は上記の実施形態において示されたものに限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、短い予熱時間でより大きな予熱電流を供給することが可能となる効果、ランプ点灯時や待機予熱時において消費電力を低減させ省エネルギーを図ることが可能となる効果を有し、放電灯の始動・点灯・消灯を制御可能とした放電灯点灯装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施の形態1に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図
【図2】実施の形態1の放電灯点灯装置における出力電圧Voと予熱電流Ifの周波数特性を示した特性図
【図3】実施の形態1の放電灯点灯装置における消灯信号と点灯信号を示す動作説明図
【図4】実施の形態1の放電灯点灯装置における予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図5】本発明の実施の形態2に係る放電灯点灯装置の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図6】本発明の実施の形態3に係る放電灯点灯装置の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図7】本発明の実施の形態4に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図
【図8】実施の形態4の放電灯点灯装置における予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図9】本発明の実施の形態5に係る放電灯点灯装置の電源ON時の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図10】本発明の実施の形態5に係る放電灯点灯装置の消灯から再点灯時の予熱電流Ifと出力電圧Vlaの波形を示す図
【図11】本発明の実施の形態6に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図
【図12】実施の形態6の放電灯点灯装置の動作の第1例を説明するためのフローチャート
【図13】実施の形態6の放電灯点灯装置の動作の第2例を説明するためのフローチャート
【図14】本発明の実施の形態7に係る放電灯点灯装置の概略構成を示す図
【図15】実施の形態7の放電灯点灯装置の動作を説明するためのフローチャート
【図16】従来の放電灯点灯装置の一例の概略構成を示す図
【図17】従来の放電灯点灯装置の他の例の概略構成を示す図
【図18】従来の放電灯点灯装置の動作を説明するためのタイムチャート
【符号の説明】
【0104】
1 商用電源
2 スイッチ
3 整流回路
4 インバータ回路
5 予熱回路
6 負荷回路
7 制御回路
8 ランプ
9 外部信号
10 消灯制御部
61 不揮発性メモリ
62 リセット制御部
71 チョッパ制御回路
72 インバータ制御回路
73 予熱制御回路
74 タイマ回路
81 予熱時間比較手段
82 インバータ動作時間比較手段
83 回数カウンタ部
84 時間カウンタ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力電圧を直流電圧に変換するチョッパ回路と、
前記チョッパ回路から供給される直流電圧を高周波の交流電圧に変換するインバータ回路と、
前記インバータ回路から出力される高周波電圧を入力し、放電灯を点灯する負荷回路と、
前記放電灯の電極に予熱電流を供給するもので、この予熱電流の供給量を少なくとも第1の予熱電流と第2の予熱電流を持つ複数段階に切り替え可能な予熱回路と、
外部信号に応じて前記放電灯の点灯、消灯を制御する消灯制御部と、
前記予熱回路に予熱電流を供給する予熱時間を設定するタイマ部と、
前記インバータ回路の駆動周波数を設定するインバータ制御部と、
前記予熱回路から出力する予熱電流の供給量を切り替える予熱制御部とを備え、
前記予熱制御部は、放電灯消灯後の再点灯時に、点灯時の第1の予熱電流よりも大きい第2の予熱電流を再点灯時予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替える放電灯点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放電灯点灯装置であって、
前記予熱制御部は、放電灯消灯時に、前記第2の予熱電流よりも小さい第1の予熱電流を消灯時予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替える放電灯点灯装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放電灯点灯装置であって、
前記タイマ部は、前記予熱電流の供給を停止する予熱停止時間を設定し、
前記予熱制御部は、前記放電灯消灯時に前記予熱停止時間が経過した後、前記予熱回路からの消灯時予熱電流の供給を停止する放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項1に記載の放電灯点灯装置であって、
前記タイマ部は、前記予熱時間として第1の点灯時予熱時間と第2の点灯時予熱時間とを設定し、
前記予熱制御部は、電源投入時に前記第1の点灯時予熱時間が経過するまでは第1の点灯時予熱電流として第1の予熱電流を供給し、前記第1の点灯時予熱時間の経過後から前記第2の点灯時予熱時間が経過するまでは第2の点灯時予熱電流として前記第1の予熱電流よりも大きい第2の予熱電流を供給するよう前記予熱回路を切り替える放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項1に記載の放電灯点灯装置であって、
前記予熱制御部は、放電灯点灯後に、前記第2の予熱電流よりも小さい第1の予熱電流を点灯中予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替える放電灯点灯装置。
【請求項6】
請求項1に記載の放電灯点灯装置であって、
前記タイマ部は、前記放電灯消灯後の再点灯時に前記再点灯時予熱電流を供給する時間を0.5秒以下に設定する放電灯点灯装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の放電灯点灯装置であって、
前記タイマ部は、前記第2の予熱電流を供給する動作回数または前記外部信号による消灯信号の回数をカウントする回数カウンタ部を有し、
前記回数に応じて、前記第2の予熱電流を供給する供給時間と前記第2の予熱電流の大きさとの少なくとも一方を変化させる放電灯点灯装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の放電灯点灯装置であって、
前記タイマ部は、前記放電灯の点灯時間をカウントする時間カウンタ部を有し、
前記点灯時間に応じて、前記第2の予熱電流を供給する供給時間と前記第2の予熱電流の大きさとの少なくとも一方を変化させる放電灯点灯装置。
【請求項1】
交流電源を整流する整流回路と、
前記整流回路の出力電圧を直流電圧に変換するチョッパ回路と、
前記チョッパ回路から供給される直流電圧を高周波の交流電圧に変換するインバータ回路と、
前記インバータ回路から出力される高周波電圧を入力し、放電灯を点灯する負荷回路と、
前記放電灯の電極に予熱電流を供給するもので、この予熱電流の供給量を少なくとも第1の予熱電流と第2の予熱電流を持つ複数段階に切り替え可能な予熱回路と、
外部信号に応じて前記放電灯の点灯、消灯を制御する消灯制御部と、
前記予熱回路に予熱電流を供給する予熱時間を設定するタイマ部と、
前記インバータ回路の駆動周波数を設定するインバータ制御部と、
前記予熱回路から出力する予熱電流の供給量を切り替える予熱制御部とを備え、
前記予熱制御部は、放電灯消灯後の再点灯時に、点灯時の第1の予熱電流よりも大きい第2の予熱電流を再点灯時予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替える放電灯点灯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放電灯点灯装置であって、
前記予熱制御部は、放電灯消灯時に、前記第2の予熱電流よりも小さい第1の予熱電流を消灯時予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替える放電灯点灯装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放電灯点灯装置であって、
前記タイマ部は、前記予熱電流の供給を停止する予熱停止時間を設定し、
前記予熱制御部は、前記放電灯消灯時に前記予熱停止時間が経過した後、前記予熱回路からの消灯時予熱電流の供給を停止する放電灯点灯装置。
【請求項4】
請求項1に記載の放電灯点灯装置であって、
前記タイマ部は、前記予熱時間として第1の点灯時予熱時間と第2の点灯時予熱時間とを設定し、
前記予熱制御部は、電源投入時に前記第1の点灯時予熱時間が経過するまでは第1の点灯時予熱電流として第1の予熱電流を供給し、前記第1の点灯時予熱時間の経過後から前記第2の点灯時予熱時間が経過するまでは第2の点灯時予熱電流として前記第1の予熱電流よりも大きい第2の予熱電流を供給するよう前記予熱回路を切り替える放電灯点灯装置。
【請求項5】
請求項1に記載の放電灯点灯装置であって、
前記予熱制御部は、放電灯点灯後に、前記第2の予熱電流よりも小さい第1の予熱電流を点灯中予熱電流として供給するよう前記予熱回路を切り替える放電灯点灯装置。
【請求項6】
請求項1に記載の放電灯点灯装置であって、
前記タイマ部は、前記放電灯消灯後の再点灯時に前記再点灯時予熱電流を供給する時間を0.5秒以下に設定する放電灯点灯装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の放電灯点灯装置であって、
前記タイマ部は、前記第2の予熱電流を供給する動作回数または前記外部信号による消灯信号の回数をカウントする回数カウンタ部を有し、
前記回数に応じて、前記第2の予熱電流を供給する供給時間と前記第2の予熱電流の大きさとの少なくとも一方を変化させる放電灯点灯装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の放電灯点灯装置であって、
前記タイマ部は、前記放電灯の点灯時間をカウントする時間カウンタ部を有し、
前記点灯時間に応じて、前記第2の予熱電流を供給する供給時間と前記第2の予熱電流の大きさとの少なくとも一方を変化させる放電灯点灯装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−3560(P2010−3560A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161900(P2008−161900)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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