説明

新しいアミノテトラリン誘導体

【課題】 本願発明は、代替5−HT1a作動薬を提供することを目的とする。
【解決手段】 本願発明は、化学式I
【化1】



に示される化合物であって、Rが例えばOR1であり、R1が例えば−C(=R)R2であり、R2が例えばフェニル基であり、Cyが例えば芳香族複素環である化合物であり、その調剤学的に受容可能な塩であり、且つそれらの置換基であり、その化合物を具備する医薬組成物であり、その化合物の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、新しいアミノテトラリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
セロトニン5−HT1a受容体(5−HT1a)の機能障害は、痛み、不安及びパニック障害、注意疾患及び多動性障害(ADHD)若しくは鬱病のようないろいろな疾患の発病において原因となるように思われる(例えば神経生物学におけるサビッツプログレス、2009、88,17頁〜31頁参照)。
【0003】
したがって、フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン若しくはシタロプタムのような選択的再取り込み阻害薬(SSRIs)が、鬱病及び関連疾患を治療するために十分な成功を有していた。しかしながら、セロトニン受容体における作用の間接モードによって、SSRIsは、非選択的にセロトニン受容体を、その薬剤がその全潜在能力に到達し始めるまで数週間かかる十分な遅延を介して、刺激する。また、SSRIsは、十分な内因的セロトニンを要求し、一般的に患者の50〜60%に限って効果があることがわかっている。
【0004】
このため、直接作用する5−HT1a作動薬が、開発された。
【0005】
ブスピロンは、80年代、発症した不安障害の治療のためのヒト用薬剤として認可された最初の直接5−HT1a作動薬かもしれない。しかしながら、ブスピロンの生物学的利用能は大変低い。さらに、ブスピロンは、ドーパミンD1のような別の受容体に対して顕著な親和性を有すると共に、アドレナリンアルファ受容体に対して望まれない親和性を有する部分的5−HT1a作動薬である。このように、代替5−HT1a作動薬の必要性があった。
【0006】
ジェピロン及びタンドスピロンは、ブスピロンと、4−ピリミジン−2−イルピペラジニルブチル部分構造を共有する部分的及び選択的の両方の5HT1a作動薬である。不安障害及び鬱病の治療のためのジェピロンの認可は、2007年にアメリカ食品医薬品局によって拒絶されると同時に、タンドスピロンは、不安障害及び主に抑鬱障害の治療に関して中国及び日本において使用可能である。
【0007】
8−ヒドロキシDPATは、全5−HT1a作動薬として知られる化合物である(アービッドソン他、J Med Chem 1981、第24.8巻、921頁;アービッドソン他、J Med Chem 1984、第27.1巻、45頁)。しかしながら、この化合物は、とりわけその大変低い経口生物学的利用能によって、研究手段として使用されるだけであった(メイソン他、Xenobiotica、1995、第25.12巻、1371頁)。また、8−OH−DPATは、十分なドーパミン作用を持たないことが記載され、後にその化合物がD3受容体に対する親和性を有することがわかった(ルジューン、J Phamacol Exp Ther 1997,第280.3巻、1241頁)。
【0008】
8−OH−DPATのいろいろな誘導体は、アミノテトラリンの薬物動態特性を改善することを目的として80年代及び90年代に発表された。これらの誘導体は、例えば第3の連鎖への縮環のようなテトラリン骨格の改質に基づくものであり、経口投与可能なベンゾインドール−8−アミノ誘導体を生じるものである(ハンス、Eur J Med Chem 1997、第32巻、571頁;エニス、J Med Chem 1995、第38巻、2217頁)。しかしながら、残念なことに、ベンゾインドールの群は、エイムズ試験におけるテストの結果が陽性であることによって、変位原性潜在力を有することが示された(ファーンローフ、J Med Chem 1993,第36巻、2059頁)。
【0009】
いろいろな別の直接及び選択的5−HT1a作動薬が、文献に記載されるが、それらの内いずれも今日までヒト使用について広い範囲で証明されていない。例えば、WO03/06449、WO2009/060030、WO02/83666,WO02/60423、WO04/14915、WO05/90330、WO05/12291、若しくはWO99/65887に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO03/06449A
【特許文献2】WO2009/060030A
【特許文献3】WO02/83666A
【特許文献4】WO02/60423A
【特許文献5】WO04/14915A
【特許文献6】WO05/90330A
【特許文献7】WO05/12291A
【特許文献8】WO99/65887A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それゆえに、代替5−HT1a作動薬を提供することが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
好ましくは、そのような5−HT1a作動薬は、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約95%の活量を示し、さらに好ましくは 5−HT1aの機能分析においてセロトニンと比較して約100%の作動薬活量を示す最高の作動薬である。
【0013】
1つの実施形態において、5−HT1a受容体で部分的作動薬を有し、約30%〜約70%のセロトニン活量を示すことが要求されている。
【0014】
また、1つの実施形態において、そのような新しい5−HT1aリガンドが、系統発生的に関連したドーパミン作動性受容体及びアドレナリン受容体に対して十分な選択性を示す選択的5−HT1a調整剤であることも要求される。例えば所定の例において、新しい5−HT1a作動薬が、少なくとも30倍、好ましくは少なくとも50倍、より好ましくは100倍、200倍若しくはそれ以上のD1、D2、D3及びD4受容体の少なくとも1つ、好ましくは2つ、好ましくはそれ以上に対して選択性を有する場合には、利点があると言える。
【0015】
これに対して、治療される症状によって、そのように新しい5−HT1a作動薬が、好ましくはD2及び/若しくはD3受容体に対して十分なドーパミン作用を示すならば、所定の場合において利点があるかもしれない。例えば、ドーパミン作動系に関連した所定の運動障害の治療において、5−HT1a作動薬が、D2及び/若しくはD3親和性を示し、これによって30倍より少ない、好ましくは20倍、10倍よりも少ないD2及び/若しくはD3に対して選択性を有する5−HT1a受容体に対する親和性を示すことが望ましいといえる。
【0016】
前記新しい5−HT1a作動薬は、経口投与が可能であるか、皮膚や粘膜のような生物学的膜を介して供給されることが可能である。例えば、前記新しい5DT1a作動薬が、経皮投与で投与され、好ましくはパッチのような不活性の経皮システムによって投与されるならば、利点があるといえる。
【0017】
1つの実施形態は、化学式Iで示される化合物に関する。
【0018】
【化1】



【0019】
この化学式Iにおいて、
「*」は、不斉中心であること;
RはOR1、ジ(C1−C3)アルキルアミノ基、S(C1−C3)アルキル基、SH若しくはNHR3であること;
R1は、水素、−C(=O)R2基、−SOCF基、若しくは1つ若しくは複数の水素原子で非置換若しくは置換された(C1−C3)アルキル基であること;
R2は、(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルキルオキシ基、フェニル基、フェニル(C1−C3)アルキル基若しくはフェニル(C1−C3)アルキルオキシ基であり、フェニル基が、(C1−C3)アルコキシ基、(C1−C3)アルキル基、水素、若しくはCF3から選択された1つ若しくは複数の置換基で付加的に置換されること;
R3は、水素、(C1−C3)アルキル基、ホルミル基、(C1−C3)アルキルカルボニル基、(C1−C3)アルコキシカルボニル基、若しくは(C1−C3)アルキルアミノカルボニル基であること;
Cyは、芳香族、芳香族複素環若しくは非芳香族環状基X,Y,Zであり、Xは、1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換された5員若しくは6員芳香族若しくは芳香族複素環であること;
Yは、1つから3つのR5基で非置換若しくは置換されたR5二環芳香族若しくは芳香族複素環システムであり、且つそのリングシステムが、下記する化学式2から選択されること;
【0020】
【化2】

【0021】
ここで、点線が横断した化学結合は、アミノテトラリン骨格へのY基の付着部位を示すもの。
R4及びR5のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C1−C6)アルキル基、好ましくは(C1−C3)アルキル基、(C1−C6)アルコキシ基、好ましくは(C1−C3)アルコキシ基若しくはCFから独立して選択され、それぞれのアルキル基若しくはアルコキシ基は、1つまたは複数の水素若しくはヒドロキシル基で置換されるもの;且つ
Zは、その鏡像異性体、溶媒和物及び調剤学的に受容可能な塩を含むメチル及び/若しくはヒドロキシル基で非置換若しくは置換されたアダマンチル基であること。
【0022】
驚くべきことに、ここに開示される化合物は、5−HT1a受容体に強い親和性を有することが発見された。5−HT1aセロトニンに対する且つ他の関連したGプロテイン共役受容体に対する結合親和性の要約は、下記する表1に示される。
【0023】
また、他のテストされた受容体、特にドーパミン作動性受容体に対する選択性が、ここで記載されたように、R基及びCy基の適当な選択及び結合によって遊動されることが発見された。これは、基礎疾患による所望の特性(例えば、高い選択性を有する5−HT1a作動薬若しくは結合された5−HT1a/D2/D3作動薬)が設計される。
【0024】
1つの実施形態において、化学式Iの化合物において、RはOR1である。
【0025】
本願発明の1つに実施形態において、RはOR1であり、R1は、メチル基、水素、−SOCF若しくは−C(=O)R2基で、R2が(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルコキシ基、フェニル基、若しくはフェニル(C1−C3)アルキル基であり、フェニル基は、メトキシ基、メチル基、ハロゲンから選択された1つ若しくは複数の置換基で付加的に置換されるものである。また、R2は(C1−C6)アルキル基であることが好ましい。
【0026】
本願発明の1つの実施形態において、化学式Iの化合物において、Cyは、フェニル基、チエニル基、フラニル基、イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基の群から選択される5員若しくは6員芳香族若しくは芳香族複素環であり、且つその環が、上述されたように、1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されることがのぞましい。
【0027】
本願発明の1つの実施形態において、化学式IにおけるCyは、メチル基及び/若しくはヒドロキシル基で付加的に置換されたアダマンチル基であり、好ましくは非置換アダマンチル基である。ひとつの実施形態において、Cy基は、Z基であり、好ましくはアダマンチル基であり、RはO(C1−C3)アルキル基若しくはS(C1−C3)アルキル基であり、好ましくはOMe若しくはSMeである。
【0028】
別の実施形態において、化学式Iの化合物におけるCyは、1つ、2つ若しくは3つのR5基で非置換若しくは置換され、その環システムが下記する化学式3から選択された二環式芳香族若しくは芳香族複素環システムYである。
【0029】
【化3】



【0030】
ここで、それぞれのR5は、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C1−C3)アルキル基、若しくは(C1−C3)アルコキシ基から独立して選択されるものであり、それぞれのアルキル基若しくはアルコキシ基は、たとえばCF基を形成するようなヒドロキシル基又は1つ若しくは複数のハロゲンで置換されることが望ましい。1つの実施形態において、R5は、フルオロ、ブロノ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル若しくはCF基である。
【0031】
本願発明の1つの実施形態において、化学式IのCyは、フェロセニルである。
【0032】
1つの実施形態において、Cyは、ベンゾフラン若しくはベンゾチオフェンであり、それらのそれぞれは、付加的に1つから3つのR5基で置換される。1つの実施形態において、Cyは、付加的に1つから3つのR5基で置換されたベンズイミダゾールである。1つの実施形態において、Cyは、1つ、2つ若しくは3つのR5基で付加的に置換されたピラゾロ[1,5a]ピリジンである。
【0033】
1つの実施形態は、化学式Iの化合物に関するものであり、そこで、
Rが、ヒドロキシル基若しくは(C1−C3)アルコキシ基であり、好ましくはメトキシ基であり、且つ
Cyが、チエニル基、好ましくはチエン−2−イル基、フェニル基、アダマンチル基、好ましくはアダマント−1−イル基、フェロセニル基、好ましくはフェロセン−1−イル基及び[2.2]パラチクロファニル基、好ましくは[2.2]パラチクロファン−4−イル基の群から選択されるものであり、そこでチエニル基若しくはフェニル基は、その鏡像異性体、結晶、溶媒和物及び調剤学的に許容範囲にある塩を含むヒドロキシル基、(C1−C3)アルキル基、好ましくはメチル及びアルコキシ基、好ましくはメソキシ基の群から独立して選択される1つ若しくは2つの基で、それぞれ独立して非置換若しくは置換されることが好ましい。
【0034】
1つの好ましい実施形態は、下記する化学式IIを有する化合物に関する。
【0035】
【化4】

【0036】
この化学式IIにおいて、
R1が、1つ若しくは複数のハロゲン原子で非置換若しくは置換された水素、−C(=O)R2基若しくは(C1−C3)アルキル基であること;
R2は、(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルキルオキシ基、フェニル基、フェニル(C1−C3)アルキル基若しくはフェニル(C1−C3)アルキルオキシ基であり、フェニル基は、(C1−C3)アルコキシ基、(C1−C3)アルキル基、ハロゲン、若しくはCFから選択される1つ若しくは複数の置換基で付加的に置換されること;
Cyは、フェニル基、チエニル基、フラニル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基の群から選択される5員若しくは6員芳香族若しくは芳香族複素環であり、その環が、1若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されることが好ましいこと;
それぞれのR4は、ハロゲン、(C1−C3)アルキル基、若しくは(C1−C3)アルコキシ基から独立して選択され、それぞれのアルキル基若しくはアルコキシ基は、その鏡像異性体、溶媒和物及び調剤学的に受容可能である塩を含む1つ若しくは複数のハロゲン若しくはヒドロキシル基で置換されることが好ましいこと;である。
【0037】
好ましいひとつの実施形態において、化学式IのRはOR1であり、化学式I及びIIの化合物におけるR1は、水素である。
【0038】
別の好ましい実施例において、化学式IのRはOR1であり、化学式I及びIIの化合物におけるR1は、C(=O)R2を示し、ここでR2は、(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルキルオキシ基、フェニル基、フェニル(C1−C3)アルキル基若しくはフェニル(C1−C3)アルキルオキシ基であり、フェニル基は、(C1−C3)アルコキシ基、(C1−C3)アルキル基、ハロゲン、若しくはCFから選択される1つ若しくは複数の置換基で付加的に置換されるものである。そのような基は、エストラーゼによって生体内で切断され、これによってアミノテトラリン環にヒドロキシル官能基を放出する。ヒドロキシル官能基が、一方で5−HT1a受容体に対する高い親和性と他のG−たんぱく質共役受容体にわたって高い選択性の両方に強く貢献しているが、他方で潜在的に生物学的利用能にマイナスの影響を与えると信じられているので、第8位置にエステル官能基を有するそのような化合物は、非常に価値のあるプロドラッグを示すものである。好ましい実施形態において、R2は、(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルキルオキシ基、フェニル基若しくはベンジル基である。1つの好ましい実施形態では、R2は(C1−C3)アルキル基である。
【0039】
したがって、本願発明の1つの実施形態において、化学式Iの化合物におけるRは、OR1であり、化学式I及びIIの化合物におけるR1は、水素若しくはC(=O)R2基から選択され、R2は上述されたようなものであり且つ(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルキルオキシ基、フェニル基若しくはベンジル基を示すものであり、前記フェニル環(ベンジル基の一部として)は、1つ若しくは複数のメトキシ、メチル及び/若しくはハロゲンで非置換若しくは置換されることが望ましい。
【0040】
たとえば(C1−C3)アルコキシ基のような第8位置により脂肪親和性の基を有する化学式I若しくはIIの化合物は、第8位置にヒドロキシル基を有するもの比較して少し下位の親和性/選択性を有するが、生物学的利用能にうおいて所定の利点を有するものである。1つの実施形態において、RはOR1及びR1であり、化学式IIにおいてはメチルである。
【0041】
1つの実施形態において、化学式I若しくはIIではRはOR1及びR1であり、化学式IIにおいては水素若しくはメチルである。
【0042】
本願開示の化合物において、Cyは、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C1−C3)アルキル基若しくは(C1−C3)アルコキシ基から選択された1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されたチエニル基若しくはフェニル基であり、それぞれのアルキル基若しくはアルコキシ基は、1つ若しくは複数のハロゲン基若しくはヒドロキシル基で置換されることが好ましい。
【0043】
1つの実施形態において、
(a) 化学式I若しくはIIの化合物におけるCyは、ハロゲン、ヒドルキシル基、(C1−C3)アルキル基、若しくは(C1−C3)アルコキシ基から選択された1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されたチエニル基若しくはフェニル基であり、それぞれのアルキル基若しくはフェニル基は、1つ若しくは複数のハロゲン原子(例えばCF3基を形成するような)若しくはヒドロキシル基で置換されることが望ましい;且つ
(b) 化学式IのRはOR1であり、化学式I若しくはIIのR1は、水素、メチル若しくはC(=O)R2基であり、そこでR2は、(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルキルオキシ基、フェニル基、ベンジル基であり、好ましくは(C1−C3)アルキル基を示すものである。
【0044】
1つの実施形態において、
(a) 化学式I若しくはIIの化合物におけるCyは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヒドロキシル、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシメトキシ、ヒドロキシエトキシ、CF若しくはCCFから選択される1つ若しくは複数のR4基で非置換若しくは置換されたチエニル基若しくはフェニル基であり、且つ
(b) 化学式IのRはOR1であり、化学式I及びIIのR1は、水素、メチル若しくはC(=O)R2であることが好ましく、そこでR2は、(C1−C6)アルキル基、(C1−C5)アルキルオキシ基、フェニル基若しくはベンジル基であり、好ましくは(C1−C4)アルキル基を示す。
【0045】
1つの実施形態において、Cyは、ハロゲン、好ましくはフルオロ、クロロ若しくはブロモ、ヒドロキシ基、メチル基、メトキシ基若しくはエトキシ基から選択される1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されるフェニル基である。
【0046】
1つの実施形態において、Cyは、(C1−C3)アルキル基、ハロゲン若しくは(C1−C3)アルコキシ基、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモ、ヒドロキシル基、メチル基、メトキシ基若しくはエトキシ基から選択される1つのR4基で非置換若しくは置換されたチエン−2−イルである。
【0047】
1つの実施形態において、Cyは、非置換チエニル基であり、好ましくは非置換チエン−2−イルである。
【0048】
1つの実施形態は、R1が水素若しくはメチルであり、Cyがフェニル基若しくはチエニル基であり、好ましくはチエン−2−イルであり、フェニル基が、ハロゲン、(C1−C3)アルキル基、(C1−C3)アルコキシ基若しくはCF3からそれぞれ独立して選択される1つ若しくは2つのR4基で付加的に置換される化学式IIの化合物に関する。
【0049】
1つの実施形態は、化学式IIの化合物に関し、この化学式IIのR1は水素若しくは−C(=O)R2であり、R2は、(C1−C6)アルキル基、フェニル基若しくはベンジル基であり、フェニル基は、上述したように付加的に置換され、Cyは、チエン−2−イルであり、好ましくは非置換チエン−2−イルである。
【0050】
1つの実施形態は、本願発明の実験部分において、特に下記する表1及び表2において特に開示される化合物に関する。
【0051】
本願発明に係る好ましい化合物は、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(化合物1)、
(R)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(化合物1a)、
(S)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(化合物1b)、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(化合物2)、
(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(化合物2a)、
(S)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(化合物2b)、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−(2−フェニルエチル)−N−プロピルアミン(化合物3)、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−(2−フェニルエチル)−N−プロピルアミン(化合物4)、
N−[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(化合物5)、
N−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(化合物6)、
N−[2−(2,5−ジメチルフェニル)エチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(化合物7)、
N−[2−(2,5−ジメチルフェニル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(化合物8)、
N−[2−(1−アダマチル)エチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(化合物9)、
N−[2−(1−アダマチル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(化合物10)、
N−(2−フェロセニルエチル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(化合物11)、
N−(2−フェロセニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(化合物12)、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−[2−([2.2]パラシクロファン−4−イル)エチル]−N−プロピルアミン(化合物13)、及び
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−[2−([2.2]パラシクロファン−4−イル)エチル]−N−プロピルアミン(化合物14)
の群から選択される化合物に関する。
【0052】
別の好ましい実施形態は、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(R)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(S)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(2−フェニルエチル)アミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(2−フェニルエチル)アミン
から選択される化合物に関する。
【0053】
本願発明に係る化合物の別の例は、
酢酸7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル、
4−ヒドロキシブタン酸7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル、
5−ヒドロキシペンタン酸7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル、
炭酸エチル7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
N−(2−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−(2−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−(3−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−(3−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン、
N−(8−メチルチオテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−アミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−メチルアミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−ジメチルアミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルホルムアルデヒド、
7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルカルバミン酸エチルエーテル
である。
【0054】
化合物、N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミンは、痛みの経口投与の動物モデルにおいて反応性があり(図1)、経皮透過の体外皮膚モデルにおいて皮膚を透過すること(表4)ができることが見出された。したがって、N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン及びその誘導体と、ここで開示される親密な類似体は、経口投与及び/若しくは経皮透過に最適であると信じられる。
【0055】
特に好ましい実施形態は、ここの鏡像異性体及び調剤学的に受容可能な塩を含んでいる化合物N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミンに関する。
【0056】
本願発明の開示は、一般的にそれぞれの化合物の遊離塩基に関すると同時に、ここで定義されるような調剤学的に受容可能な塩に関するものである。いくつかの実施形態において、遊離塩基は、例えば経皮投与に適当である。他の実施形態では、塩は、所定の利点を有するものである。
【0057】
本願発明の1つの実施形態は、非結晶質若しくは結晶性形状であるN−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミンの塩基に関する。好ましい実施形態において、塩基は結晶性形状である。1つの実施形態において、前記塩基は、Cukα放射線(λ=1.540Å)を使用して測定された2θ°±0.2°で、約15.27;16.68;21.45;23.60でXRPDピークを有する結晶性形状1である。1つの実施形態において、N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミンの塩基は、2θ°±0.2°で約6.56;15.18;15.38;17.37;23.93;25.17にXRPDピークを有する結晶性形状1である。1つの実施形態において、化合物1の結晶性塩基は、ここで示される表5若しくは図3に示されるようなXRPD2θピークのほとんど若しくは実質的に全てを示すものである。1つの実施形態において、形状1の溶融点は、DSCによって測定されるように、約97℃〜99℃である。
【0058】
別の実施形態は、本願に開示される化合物の調剤学的に受容可能な塩に関するものである。調剤学的に受容可能な塩の例が、この出願において定義されているが、この例に限定されるものではない。
【0059】
1つの実施形態は、付加的に活性で、鏡像異性的に純粋な有機酸で形成される本願に開示される化合物の塩に関している。そのようなエナンチオピュアな有機酸は、ここで開示される化合物の1つの特別な鏡像異性体的な形状で、若しくはそれらの合成前駆体/中間体で結晶化され、これによって、この出願の合成的部分において開示されるように、ラセミ化合物若しくは他の鏡像異性体的な混合物からの化合物及び/若しくはその合成中間体の鏡像異性体的な分離を容易にするものである。そのような有機酸の例は、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸及びその誘導体、シンナモイル酒石酸及びその誘導体、マンデル酸、リンゴ酸、ショウノウ酸、N−アセチルフェニルアラニン、カンファースルホン酸若しくは4−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシドのような環状亜リン酸エステルである。
【0060】
1つの特別な実施形態は、その合成部分に開示されているように、その合成部分に開示されているように、エナンチオピュアな有機酸を有し、好ましくは(L)−若しくは(D)−酒石酸若しくは(R,R)−若しくは(S,S)−ジベンゾイル酒石酸若しくは(R)−若しくは(S)−4−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシドのような環状亜リン酸エステルを有し、好ましくは、(R,R)−若しくは(S,S)−O,O−ジベンゾイル酒石酸及び4−(R)−若しくは4−(S)−4−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシドをそれぞれに有する(R)−若しくは(S)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン及びその中間体の塩及び共結晶である。好ましい実施形態は、(R)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(L)−(−)−(R,R)−O,O−ジベンゾイル酒石酸、特に結晶性形状である。
【0061】
それぞれの鏡像異性体の間に、化学式I及びIIにおける「*」で記される炭素原子(R)が(R)構造であるそれらの化合物は、それぞれの鏡像異性体(S)と比較してなにか改善された受容体形状を有するように見られることが好ましい。したがって、1つの実施形態は、化合物に関するものであり、その化合物の少なくとも70%、好ましくは約80%、90%、95%、96%、97%、98%若しくはそれ以上が(R)構造であり、例えば対応する鏡像異性体(S)が、約30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%若しくは約1%以下で存在するものである。
【0062】
また、本願発明は、本願発明の化合物の全ての適当な同位体変化を含むものである。本願発明の化合物の同位体変化は、少なくとも1つの原子が、豊富な同位体を有することが望ましい同じ原子番号を有するが原子量が異なる原子によって置き換えられることによって定義される。本願発明の化合物に組み入れられる同位体の例は、H、H、C11、C13、C14、N15、O17、O18、S35、F18及びC36のような水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素及び塩素の同位体を含むものである。本願発明の所定の同位体変化、例えばH若しくはC14のような放射性同位体が組み込まれるものは、薬剤及び/若しくは基板組織分布研究において有益である。例えばH及び炭素14、例えばC14のようなトリチウム化した同位体は、調剤及び検出性の場合について特に好ましいものである。さらに、たとえば重水素Hのような同位体での置換は、より大きな代謝的安定性から生じる治療的利点、例えば生体内半減期を向上させること、必要容量を減少させること、これによって状況次第で好まれることを提供するものである。本願発明の化合物の同位体変化は、一般的に適当な試薬の適当な同位体変化を使用する簡便な手順によって調合されるものである。
【0063】
本願発明の一部は、それらの化合物であり、その化合物では、少なくとも1つの原子が、SPECT若しくはPETのような生体内撮像技術において使用される別の原子の同位体によって置き換えられたものである。SPECT研究においえ使用されるそのような誘導体の例は、Tc99m、In111、Rb82、Cs137、I123、Ga67、Ir192若しくはTI201及び好ましくはI123が導入された化合物(ヨード化について、例えば「調剤のための放射性ヨウ素化反応、効果的な合成戦略のための概略」コーエネンHHによる、スプリンガー、ドルトレヒト2006参照)であると共に、PET応用に関して、C11、N13、O15、F18、Rb82、Sr82、好ましくはF18(「フッ素−18ラベリング法:基礎反応の特徴と可能性」コーエネンHHによる、アーネスト シェリング レス ファウンド ワークショップ 2007、第62巻、15〜50頁;ミラー、PWANg Chem Int Ed2008、第47巻8998頁)が使用可能である。本願発明の開示による化合物は、治療、とくにヒトの治療に使用されるものである。
【0064】
医薬品としての投与について、前記化合物は、ここでさらに定義されるように、本願発明の開示による化合物及び調剤学的に受容可能なキャリアを具備する医薬組成物において使用されるものである。そのような医薬組成物は、経口投与、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、経鼻投与、直腸投与、口腔投与、若しくは経皮投与のために採用され、調剤学的に受容可能なキャリア、抗原性補強薬、希釈剤、安定剤等を具備することが好ましい。
【0065】
例えば、本願発明の化合物は、油、プロピレン、グリコール若しくは一般的に注射を製造するために一般的に使用される溶剤に溶解するものである。前記キャリアの適当な例としては、生理食塩水、ポリエチレングリコール、エタノール、野菜オイル、ミリスチン酸イソプロピル等が含まれるが、これに限定されるものではない。本願発明の化合物は、生理食塩水及びのような水溶性溶剤と5%のD型グリコースにおいて、若しくは、野菜オイル、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステル及びプロピレングリコールのような水溶性溶剤において、溶解、懸濁若しくは乳化によって注射器に処方されることが望ましい。本願発明の処方は、溶剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤及び防腐剤のような適当な添加剤のいくつかを含むことが望ましいものである。
【0066】
1つの実施形態において、本願発明の化合物は、これに限定されるものではないが、錠剤、カプセル、糖衣錠、粉末、顆粒の形で、若しくは液体若しくは半固形の形で、経口投与されることが望ましい。
【0067】
経口製剤は、これに限定されるものではないが、持続放出製剤、崩壊剤、充填剤、潤滑剤、安定剤、抗酸化剤、香味添加剤、分散剤、電解質添加剤、緩衝化剤、染料、若しくは保存料を含むことが望ましい。適当な添加剤及び処方は、当業者には公知であり、レミントンのような標準的な研究論文に開示されている(「薬学の科学と実践」、リピンコット、ウイリアムズアンドウイルキンズ、2000)。代表的な持続放出製剤は、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、別のセルロースエーテル、デンプン、α化デンプン、ポリメタクリル酸、酢酸ビニル、微晶質セルロース、デキストラン、及びこれらの混合物のような水と接触すると膨出するものであるが、これに限定されるものではない。崩壊剤はα化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、架橋CMC−Na、及び低置換度ヒドロキシメチルセルロース、同様にそれらの混合物であるが、これに限定されるものでない。適当な充填剤及び結合剤は、微晶質セルロース;粉末セルロース;ラクトース(無水若しくは一水和物);圧縮性砂糖;デンプン(例えばコーンスターチ若しくはポテトスターチ);α化デンプン;果糖;蔗糖;D型グルコース;デキストラン;マニトール、マルチトール、ソルビトール、ラクチトール及びサッカロースのような他の糖類;シリコン化微晶質セルロース;リン酸水素カルシウム;リン酸水素カルシウム二水和物;リン酸二カルシウム二水和物;リン酸三カルシウム;乳酸カルシウム;若しくはそれらの混合物を含むものであるが、これに限定されるものではない。潤滑剤、抗接着剤及び/若しくは流動促進剤は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、水添植物油、水素化ひまし油、ステアリンフマル酸ナトリウム、マクロゴール、グリセロールジベヘネート、コーンスターチ、二酸化ケイ素、さらにこれらの混合物を含むものであるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
好ましい実施形態において、前記化合物は、経皮投与されるものである。この投与のモードは、経口投与の初回通過効果を防止し、ある症例において特別な利点のある一定のプラズマレベルを提供するものである。例えばパッチ若しくは電気泳動装置のような経皮投与システムの設計は、従来技術、たとえばヴェンカトラマン及びゲイル、生体材料1998、第19巻1119頁;プラウスニッツ及びランガー、Natバイオテクノロジー2008,第26.11巻1261頁;WO2001/47503;WO2009/000262;WO99/49852;WO07/094876から公知である。
【0069】
したがって、1つに実施形態は、ここに開示さえた化合物を具備する医薬組成物に関するものであり、この医薬組成物は、経皮システムであり、好ましくは、例えば一体型の「薬剤入り接着剤」の形のパッチ若しくは貯留層型のパッチであることが望ましい。
【0070】
本願発明の特に好ましい実施形態において、経皮投与パッチは、N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミンを具備し、好ましくはその(R)−鏡像異性体の形のエナンチオピュアであり、遊離塩基として若しくは調剤学的に受容可能な塩としてのいずれかである。
【0071】
本願発明に係る化合物の好ましい服用レベルは、患者の状態及び体重、所定の疾患の重篤度、投薬形態、及びルート及び投与期間を含むいろいろな要因に依存するが、当業者によって適当に選択されることも可能である。いろいろな実施形態において、前記化合物は、一日体重1kg当たり0.01〜10mgの範囲内の量で、若しくは一日体重1kg当たり0.03〜1mgの範囲内の量で投与されるものである。それぞれの投与量は、有効成分が1日当たり約0.0.1〜100mgの有効成分、若しくは1日当たり0.2〜50mgの有効成分、若しくは1日当たり0.3〜20mgの範囲内にあるものである。服用は、一日一回、若しくは1日数回それぞれ分配されて投与されることが望ましい。
【0072】
本願発明の別の様相は、上述したような医薬若しくは医薬組成物を具備するキットであり、その使用についての説明書である。
【0073】
本願発明に係る医薬は、CNS(中枢神経系)疾患の「単独型」治療として本願に開示された化合物の1つを具備することが望ましい。また、それに代えて、本願に開示された化合物は、併用療法において他の有効な薬剤と共に投与されることが望ましい。本願発明に係る化合物は、異なる作用機序を有する別の抗鬱剤と結合されるが、これに限定されるものではない。同様に、本願発明に係る化合物は、疼痛状態が治療されるべきであるならば、鎮痛剤と結合されるものである。また、本願発明に開示される化合物は、パーキンソン病及びレボドパ関連運動障害を治療するためにレボドパと組み合わせて使用されることが好ましい。併用療法において、2つ若しくはそれ以上の有効成分は、同じ処方を介して若しくは例えば独立した生薬のユニットにおける「部品のキット」として提供される。また、2つ若しくはそれ以上の有効成分は、同時投与されることができるか若しくはそれに続く例えば間隔の開いた治療において投与される。
【0074】
本願発明の化合物は、有益な薬剤であり、CNS系のいろいろな疾患の治療及び/若しくは予防に使用されることもできるものである。これによって、本願発明の1つに実施形態は、ここに記載されるように、薬剤として使用される化合物であり、特にセロトニン信号システムの機能不全を引き起こす疾患の治療と予防のために使用される化合物であり、その例は下記に開示されるものである。
【0075】
セロトニン5−HT1a受容体に対する親和性によって、1つに実施形態における本願発明の化合物は、下記のようないろいろな疾患の治療と予防のための薬剤の製造に使用されるものである。
● 疼痛、特に慢性痛(侵害性及び神経障害性)、例えば下記するものを含むもの、
○ 三叉神経痛のような単神経障害を含む神経障害痛(中枢及び末梢)及び多発性神経障害痛であって、糖尿病性神経障害、ヘルペス性感染症若しくはあの感染症、エイズ、若しくは癌のような疾患に付随するもの、
○ 術後疼痛;
○ 炎症性痛覚;
● 偏頭痛の治療及び予防;
● 例えば下記のような鬱病;
■ 大鬱を含む内因性鬱病及び双極性障害の鬱期
■ 身体因性鬱病
■ 心因性鬱病;
● 全般性不安、パニック障害、例えば社会恐怖症のような恐怖症、及び外傷後障害のような不安障害;
● 強迫性障害及び/若しくは攻撃性障害;
● 双極性障害の躁病相、急性突発性精神病、他の疾患に付随する精神病、薬物性精神病、及び特定の総合失調症を含む精神病;
● 注意欠陥過活動性障害(ADHD);
● 下記のものを含む運動障害、
○ 例えばパーキンソン病のような突発性運動障害、及び震え、無動症、及び運動障害のような運動障害を付随するもの;セガワ症候群;若しくはトゥレット障害、
○ 例えば遅発性ジスキネジー若しくはレポドパ遊動性ジスキネジーのような薬物性運動障害;
● コカイン、アルコール、アヘン剤及びニコチン依存のような嗜癖障害;
● 性機能障害、特に男性若しくは女性性別対応障害、特に男性性的機能不全;
● 健忘症及び/若しくは認知障害
● 自閉症、若しくは自閉症に付随する疾患;
● 発作;
● 尿失禁;及び/若しくは
● 睡眠障害。
【0076】
上述された治療的適応は、神経変性疾患の治療と予防であり、5−HT1a作動薬の神経保護的効果によって、その物質は、病態生理学的症状の発現の原因若しくは結果としてニューロンの破壊若しくは損失を遅延若しくは停止させるものである。そのような病気は、例えば筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、てんかん、パーキンソン病若しくは例えばパーキンソンプラス症候群のような他のシヌクレン病である。
【0077】
本願発明に開示される別の実施形態は、ここに記載されているような化合物を治療的に効果のある量において投与することによって、上述したような疾患を有する対象を治療する方法である。1つの様相によれば、本願発明に開示される化合物で治療されるべき対象は、所定の疾患若しくはいろいろな疾患の従来の診断に基づいた上記疾患の1つ若しくは2つの治療を必要としていることが決定される。
【0078】
定義
「アダマンチル」は、アダマンタン(トリシクロ[3.3.1.13,7]デカンのラジカルに当てはまるものである。
「アルキル」は、一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を含む。炭化水素鎖は、直鎖若しくは分枝鎖のいずれかである。「アルキル」の例は、1−6炭素原子(「(C1−C6)アルキル」)を有するもの、1−5炭素原子(「C1−C5)アルキル」)を有するもの、1−4炭素原子(「(C1−C4)アルキル」)若しくは単に1−3炭素原子(「(C1−C3)アルキル」)を含むものである。この言葉は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、t−アミル等のような基によって実証される。
「アルキルアミノカルボニル」は−C(=O)−NH−アルキル基に当てはまるものであり、アルキル基については上記に定義されたものである。
「アルキルオキシカルボニル」−C(=O)−O−Rラジカルに関するものであり、ここでRは、ここで定義されたアルキル基である。いろいろな実施形態において、「アルキルオキシカルボニル」は、(C1−C6)アルキルオキシカルボニル基、(C1−C5)アルキルオキシカルボニル基、若しくは(C1−C3)アルキルオキシカルボニル基である。
「アルキルオキシ」若しくは「アルコキシ」は、−OR基を有するものであり、Rは、ここで定義され、上記で実証された「アルキル」である。特別なアルキルオキシ基は、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、1,2−ジメチルブトキシ等を含むものである。
「ジアルキルアミノ」は、−N−ジアルキル基に関するものであり、「ジアルキル」はN原子に結合される(上記に定義された)2つの独立したアルキル基を指すものである。「ジアルキルアミノカルボニル」は、−N−ジ(C1−C3)アルキル基であり、3つの炭素原子まで各々2つの独立したアルキル基が、窒素原子に結合される。
「ホルミル」は、−CH=O基に当てはまるものである。
「フラニル」は、フラン(CO;オキサシクロペンタジエン)の芳香族複素環式ラジカルに当てはまる。
「ハロ」若しくは「ハロゲン」は、特に、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードに当てはまる。好ましいハロゲン基は、フルオロ若しくはクロロのいずれかである。
「複素環式芳香族」は、ここで定義されるような芳香族複素環に当てはまる。複素環式芳香族基が1つ若しくは複数の置換基で置換されているかどうかは、本明細書の全体にわたって及び各項目にわたって特定されている。
「複素環」は、リングを形成する原子が炭素と異なっている少なくとも1つの環を具備する化合物に当てはまる。
「ヒドロキシル」は、−OHラジカルに当てはまる。
「イミダゾリル」は、イミダゾール(C;1,3−ジアザ−2,4−シクロペンタジエン)の芳香族複素環式ラジカルに当てはまる。
「フェニル」は、−C芳香族ラジカルに当てはまる。
「フェノキシ」若しくは「フェニルオキシ」は、−O−フェニル基を具備するものであり、ここで「フェニル」は、上記に定義されたような意味を有するものである。
「フェニルアルキル」は、フェニル基で置換された「アルキル」基であり、ここで「アルキル」は、上記で定義されたものである。例えば、フェニル(C1−C6)アルキルは、フェニル基で置換された(C1−C6)アルキルに当てはまるものである。フェニルアルキル基の例は、フェニルエチル及びベンジルであり、ここでベンジルは、フェニルアルキル基であることが好ましい。
「フェニルアルキルオキシ」は、フェニル基で置換された「アルキルオキシ」基である。フェニルアルキルオキシは、フェニルエチルオキシ及びベンジルオキシである。
「ピラゾリル」は、ピラゾール(C;1,2−ジアゾール)のラジカルに当てはまる。
「ピリジル」は、ピリジン(CN;アザベンゼン)のラジカルに当てはまる。
「ピリミジニル」は、ピリミジン(C;1,3ジアジン)のラジカルに当てはまる。
「チエニル」は、チオフェン(CS;チアシクロペンタジエン)の−CS芳香族複素環式ラジカルである。
「トリアゾリル」は、2つの炭素原子及び3つの窒素原子からなる5員環を有する分子式Cの芳香族複素環式ラジカルに当てはまる。
「1,2,3−トリアゾリル」及び「1,2,4−トリアゾリル」は、それぞれの環のN原子の位置を特定する数を有するトリアゾリル残基に当てはまる。
他のものを明確に特定しない場合には、「アルキル」、「フェニル」、「ヘテロアリル」、「フラニル」、「ピラゾリル」等は、非置換であることを意味するものである。もし「アルキル」、「フェニル」若しくは「ヘテロアリル」が所定の置換基において置換されたことを明確に述べた場合、これは通常、「アルキルオキシ」、「アルキルスルホニル」、「フェノキシ」、「ヘテロアリルオキシ」等のような同一の置換基においてより複雑な構造のそれぞれ「アルキル」、「フェニル」、若しくは「ヘテロアリル」部分構造に当てはまる。
本願発明の開示において、もし化合物の少なくとも約95%、好ましくは約96%、97%、98%、少なくとも約99%が、例えば(R)−鏡像異性体である特別な鏡像異性体からなると共に、例えば(S)−鏡像異性体のような別の鏡像異性体が、約5%、4%、3%、2%以下であり、特に約1%以下で存在する場合には、その化合物は、「鏡像異性的に純粋」である若しくは「エナンチオピュア」であると考えられる。
「調剤学的に受容可能な」は、薬剤の調合の使用において安全なものとして一般的に考えられることを意味するものであり、そのような使用に関する連邦若しくは州政府の監督官庁、例えばアメリカ合衆国の食品医薬品局(FDA)若しくは欧州医薬品庁によって正式に承認されたことを意味するものであり、及び/若しくはアメリカ薬局方若しくは動物の使用及び特にヒトの使用において他の一般的に認められた薬局方に列挙されたものであることを意味するものである。
「調剤学的に受容可能な塩」は、調剤学的に受容可能であり、本願発明の化合物の所望の調剤学的活性を有する本願発明の化合物の塩に当てはまる。そのような塩は:(1)酸付加酸であって、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸で形成されたもの;若しくは下記するような有機酸で形成されたもの:酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、経皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、11,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、及びムコン酸。他の塩は、2,2−ジクロロ酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、2−アセトアミド安息酸塩、カプリル酸塩、カプリン酸塩、樟脳、チクロ、ラウリル硫酸塩、エジシル酸塩、エシレート、イセチオン酸塩、蟻酸塩、ガラクタル酸塩、ゲンチシン酸塩、グルセプテート、グルクロン酸塩、オキソグルタル酸塩、馬尿酸塩、ラクトビオン酸塩、ナパジシル酸塩、キシナホ酸塩、ニコチン酸塩、オレイン酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パルミテート、エンボネート、ピドレート、p−アミノサルチル酸塩、セバシン酸塩、タンニン酸塩、チオシアン酸塩、ウンデシレン酸塩等;若しくは(2)酸性プロトンが本願発明の化合物に存在する時に形成される塩であって、例えばアンモニア、アルギニン、ベネサミン、ベンザチン、カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、ヒドラバミン、イミダゾール、リジン、マグネシウム、ヒドロキシエチルモルホリン、ピペラジン、カリウム、エポラミン、ナトリウム、トロラミン、トロメタミン若しくは亜鉛で、置換されるもの。
「調剤学的に受容可能なキャリア」は、希釈剤、アジュバント(補助剤)、賦形剤、若しくはそれでキャリア、または本願発明の化合物が投与される含有物であり、ここで定義するように調剤学的に受容可能な含有物に当てはまるものである。
「予防すること」若しくは「予防」は、病気若しくは疾患にかかるリスクを減少させること(例えば、疾患の臨床症状の少なくとも1つが、疾患に晒されるか若しくは感染しやすいが、疾患を経験していないか疾患の発現がない対象において、発症しないようにすること)に当てはまるものである。
「対象」は、ヒトである。「ヒト」、「患者」及び「対象」は、ここでは交互に用いられる。
「薬剤学的に有効な量」は、疾患を治療するために対象に投与されるときに、その疾患の治療に十分な効果がある化合物の量を意味する。この「薬剤学的に有効な量」は、化合物、疾患及びその重篤度、及び治療される患者の状態、年齢、体重、性別等によって変化するものである。
病気若しくは疾患の「治療すること」若しくは「治療」は、1つの実施形態では、病気若しくは疾患を改善することに当てはまる(例えば、病気の進行を止めること若しくは減少させること、又は病気の臨床症状の1つを少なくとも減少させること)。別の実施形態において、「治療すること」若しくは「治療」は、対象によって目に見える成果が上がっているかどうかではなく、少なくとも1つの物理的パラメータを改善することに当てはまる。さらに別の実施形態では、「治療すること」若しくは「治療」は、物理学的に(例えば、認識されない症状における認識の安定化)、生理学的に(例えば、生理学的パラメータの安定化)のいずれか、若しくは両方で、病気若しくは疾患を改善することに当てはまる。別の実施形態において、「治療すること」若しくは「治療」は、病気若しくは疾患の発病若しくは進行を遅延させること若しくは防止することに当てはまる。
【0079】
本願発明の特定の項目
本願は罪絵の特定の実施形態は、下記に列挙された項目1〜28である。これらの項目は、本願発明をされに説明するための限定されない例であるが、本願発明の開示及び範囲を限定するものではない。
【0080】
項目
1) 化学式Iの化合物
【0081】
【化5】


ここで、
RはOR1であり、ジ(C1−C3)アルキルアミノ、SH、S(C1−C3)アルキル若しくはNHR3である;
R1は、水素、−C(=O)R2基、−SOCF、若しくは1つ若しくは複数のハロゲン原子で非置換若しくは置換された(C1−C3)アルキルである;
R2は、(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルコキシル基、フェニル基、フェニル(C1−C3)アルキル基、若しくはフェニル(C1−C3)アルキルオキシ基であり、ここでフェニル基は、(C1−C3)アルコキシ基、(C1−C3)アルキル基、ハロゲン若しくはCFから選択された1つ若しくは複数の置換基で付加的に置換されるものである;
R3は、水素、(C1−C3)アルキル基、ホルミル基、(C1−C3)アルキルカルボニル基、(C1−C3)アルコキシカルボニル基、若しくは(C1−C3)アルキルアミノカルボニル基である;
Cyは、芳香族、複素環式若しくは非芳香族環状基X,Y若しくはZであり、Xは、1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換される5員若しくは6員芳香族若しくは芳香族複素環である;
Yは、1つ〜3つのR5基で非置換若しくは置換され若しくはそのリングシステムが下記する化学式6の中から選択される二環式芳香族若しくは芳香族複素環システムである;
【0082】
【化6】



【0083】
ここで、破線によって横断された結合は、アミノテトラミン骨格へのY基の付着部位を示すものである;
R4及びR5のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル基、CF3、C1−C3アルキル基、若しくはC1−C3アルコキシ基から独立して選択されたものであり、それぞれのアルキル基若しくはアルコキシ基は、1つ若しくは複数のハロゲン若しくはヒドロキシル基で置換されることが好ましく、且つZは、その鏡像異性体、結晶、溶媒和物及び薬剤学的に受容可能な塩を含むメチル及び/若しくはヒドロキシルで非置換若しくは置換されたアダマンチルである。
【0084】
2)前記項目1に係る化合物で、RがOR1であるもの。
【0085】
3)前記項目2に係る化合物で、R1がメチル、水素若しくは−C(=O)R2であり、R2が(C1−C6)アルキル基若しくは(C1−C6)アルキルオキシ基、好ましくは(C1−C6)アルキル基であるもの。
【0086】
4)前記項目1〜3のいずれか1つの化合物であって、Cyが、フェニル基、チエニル基、フラニル基、イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基の群から選択され、且つ1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換された5員若しくは6員の芳香族若しくは芳香族複素環であるもの。
【0087】
5) 前記項目1〜4に係る化合物であって、Cyは、非置換アダマンチルであり、好ましくはアダマント−1−イルであるもの。
【0088】
6) 前記項目1〜4に係る化合物であって、Cyは、1つ〜3つのR5基で非置換若しくは置換され、その環システムが下記の化学式から選択された二環式芳香族若しくは芳香族複素環システムYであること。
【0089】
【化7】

【0090】
ここで、それぞれのR5は、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C1−c3)アルキル基、若しくは(C1−C3)アルコキシ基から独立して選択されるものであり、それぞれのアルキル基若しくはアルコキシ基は、1つ若しくは複数のハロゲン若しくはヒドロキシル基で置換されることが望ましい。
【0091】
7)化学式IIを有する化合物
【0092】
【化8】



【0093】
ここで、
R1は、水素、−C(=O)R2基、若しくは1つ若しくは複数のハロゲン原子で非置換若しくは置換された(C1−C3)アルキル基であること;
R2は、(C1−C6)アルキル基、(C1−C&)アルキルオキシ基、フェニル基、フェニル(C1−C3)アルキル基、若しくはフェニル(C1−C3)アルキルオキシ基であり、前記フェニル基は、(C1−C3)アルコキシ基、(C1−C3)アルキル基、ハロゲン若しくはCFから選択された置換基で付加的に置換されること;
Cyは、フェニル基、チエニル基、フラニル基、イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基の群から選択される5員若しくは6員の芳香族若しくは芳香族複素環であり、それらの各々が、1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されること;
各々のR4は、ハロゲン、(C1−C3)アルキル基、若しくは(C1−C3)アルコキシ基から独立して選択されるものであり、それぞれのアルキル基若しくはアルコキシ基は、その鏡像異性体、結晶、溶媒和物、及び調剤学的に受容可能な塩を含む1つ若しくは複数のハロゲン若しくはヒドロキシル基で置換されることが望ましいこと。
【0094】
8) 前記項目7に係る化合物であって、R1が、水素、若しくは−C(=O)R2であり、R2が(C1−C6)アルキル基若しくは(C1−C6)アルキルオキシ基であり、好ましくは(C1−C&)アルキル基であるもの。
【0095】
9) 前記項目7に係る化合物であって、R1がメチルであるもの。
【0096】
10) 前記項目1〜3若しくは7に係る化合物であって、Cyが、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C1−C3)アルキル基、若しくは(C1−C3)アルコキシ基から選択された1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されたチエニル基若しくはフェニル基であり、それぞれのアルキル基若しくはアルコキシ基が1つ若しくは複数のハロゲン原子若しくはヒドロキシル基で置換されることが望ましいもの。
【0097】
11) 前記項目1〜3若しくは7に係る化合物であって、Cyが、ハロゲン、メチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、若しくはエトキシ基から選択される1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されるフェニル基であるもの。
【0098】
12) 前記項目1〜3若しくは7に係る化合物であって、Cyが、(C1−C3)アルキル基、ハロゲン、(C1−C3)アルコキシ基から選択された1つのR4基で非置換若しくは置換されたチエン−2−イルであるもの。
【0099】
13) 前記項目1〜3若しくは7に係る化合物であって、Cyが、非置換チエニル基であり、好ましくは非置換チエン−2−イルであるもの。
【0100】
14) 前記項目1〜3若しくは7に係る化合物であって、R1が、水素若しくはエチルであり、Cyが、フェニル若しくはチエニルであり、好ましくはチエン−2−イルであり、前記フェニルが、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C1−C3)アルキル基、(C1−C3)アルキル基、(C1−C3)アルコキシ基、若しくはCFから独立して選択された1つ又は2つのR4基で付加的に置換されたもの。
【0101】
15) 前記項目7に係る化合物であって、R1が、水素若しくは−C(=O)R2であり、R2が(C1−C6)アルキル基であり、Cyがチエン−2−イルであり、好ましくは非置換チエン−2−イルであるもの。
【0102】
16) 前記項目1に係る化合物であって、
Rが、ヒドロキシル基若しくは(C1−C3)アルコキシ基、好ましくはメトキシ基であり、Cyが、チエニル基好ましくはチエン−2−イル基、フェニル基、アダマンチル基好ましくはアダマント−1−イル基、フェロセニル基好ましくはフェロセン−1−イル基、及び[2.2]パラシクロファニル基好ましくは[2.2]パラシクロファン−4−イルの群から選択され、チエニル基若しくはフェニル基が、その鏡像異性体、結晶、溶媒和物及び調剤学的に受容可能な塩を有するヒドロキシル基、(C1−C3)アルキル基、好ましくはメチル及び(C1−C3)アルコキシ基、好ましくはメトキシ基の間から独立して選択された1つ若しくは2つの基で独立して非置換若しくは置換されるもの。
【0103】
17) 前記項目16に係る化合物であって、その鏡像異性体、結晶、溶媒和物及び調剤学的に受容可能な塩を有する
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(R)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(S)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(S)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−(2−フェニルエチル)−N−プロピルアミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−(2−フェニルエチル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(2,5−ジメチルフェニル)エチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(2,5−ジメチルフェニル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(1−アダマンチル)エチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(1−アダマンチル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−フェロセニルエチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、及び
N−[2−フェロセニルエチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミンから選択されるもの。
【0104】
18) 前記項目1に係る化合物であって、その鏡像異性体、結晶、溶媒和物及び調剤学的に受容可能な塩を有する
酢酸7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル、
4−ヒドロキシブタン酸7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル、
5−ヒドロキシペンタン酸7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル、
炭酸7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
N−(2−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−(2−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−(3−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−(3−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン、
N−(8−メチルチオテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−アミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−メチルアミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−ジメチルアミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン、
7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルフホルムアミド、及び
7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルカルバミン酸エチルエステル
から選択されるもの。
【0105】
19) それ自身の鏡像異性体、結晶、溶媒和物及び調剤学的に受容可能な塩を有するN−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル」アミン。
【0106】
20) N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル」アミンと、鏡像異性的に純粋な有機酸、好ましくは酒石酸若しくはジベンゾイル酒石酸との塩。
【0107】
21) 塩基性N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル」アミン。
【0108】
22) 項目1〜21のいずれか1つに係る化合物、特に項目19,20及び21に係る化合物であって、該化合物の少なくとも90%が、(R)構造であるもの。
【0109】
23) 治療に使用される項目1〜22のいずれか1つに係る化合物。
【0110】
24) 項目1〜23のいずれか1に係る少なくとも1つに化合物と、調剤学的に受容可能なキャリアとを具備する医薬組成物。
【0111】
25) 経口投与若しくは経皮投与のために適合された項目24に係る医薬組成物、
【0112】
26) 経皮投与パッチである項目25の医薬組成物。
【0113】
27) N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−2−チエニル)エチル」アミン若しくはその調剤学的に受容可能な塩を具備する項目26の経皮投与パッチ。
【0114】
28) 中枢神経系の疾患、好ましくはセトロニン伝達の攪乱に付随する疾患の治療のために薬剤を調合するための項目1〜22のいずれか1つに係る化合物の使用。
【0115】
29) 項目28に係る使用であって、前記疾患が、鬱病、不安障害、若しくはパニック障害、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、睡眠障害、疼痛、性的障害、若しくは運動障害であるもの。
【0116】
30) 項目29に係る使用であって、前記運動障害が、ドーパミン(L−ドーパ)に付随するジスキネジーであるもの。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1は、ヒト5−HT1aセロトニン受容体で、基準セロトニン(5−HT)の活性と比較した化合物1及び2の機能的活性を示すものである。
【図2】図2は、化合物1の経口投与の後、ネズミフォルマリン分析試料における常同運動時間の抑制を示すもので、(a)3mg/kgの化合物1の経口投与を示し、(b)10mgの化合物1の経口投与を示す。
【図3】図3は化合物1の結晶塩基のXRPDスペクトラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0118】
実験の部
A.合成
【実施例】
【0119】
1.一般的な合成配列
化学式Iの化合物は、下記する化学式A1(化9におけるformulaA1)に係る位置8に置換される2−テトラロンから開始して合成される。プロピルアミン及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような水素移動試薬を使用する化合物A1の還元的アミノ化が、良好な生産において化学式A2(化9におけるFormulaA2)の第2級アミンを与える。
【0120】
【化9】



【0121】

化学式A2の化合物のそれに続くアシル化は、化学式A4(化10におけるformulaA4)に係るアミドを生じる。この結合反応において、化学式A3(化10におけるformulaA3)による酸誘導体が、酸塩化物、酸臭化物若しくは酸無水物として、若しくはそれに代わるアミド結合にために使用される代表的な活性化剤の存在における遊離酸化合物として活性化された形式において使用されるものである。
【0122】
【化10】

【0123】
この化10において、Wは、ヒドロキシル基、クロロ基、ブロモ基若しくはアルキルカルボニルオキシ基から選択されるものである;且つ
もしWがヒドロキシル基であるならば、対応する酸誘導体は、ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒドロキシアザベンゾトリアゾール、HATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−ヘキサフルオロリン酸テトラメチルウロニウム)若しくはTBTU(O−ベンゾトリアゾリルテトラフルオロホウ酸テトラメチルイソウロニウム)のような酸特定活性化剤の付加によって活性化される。
【0124】
水素化リチウムアルミニウムのような還元剤の存在における化学式A4に係る化合物のアミド基の還元は、この開示の実施形態としての最終化合物を示す化学式A5(化11におけformulaA5)の誘導体を生じる。
【0125】
【化11】



【0126】
尚、化学式A1,A2,A3,A4及びA5において、R及びCyは、上記に定義されるようなものであり、且つ化学式Iの化合物に関する説明において定義されるようなものである。
【0127】
もし、RがOR1を示し、且つ最終化合物が8−OH基(例えば化学式I:R=OH)によって置換されるならば、化学式A6に係る化合物での開裂反応が実行されなければならない。例えば、HBr、HCl、Hl若しくはHSO若のような強い鉱酸若しくはBCl若しくはBBrのようなボロハリド型のルイス酸を使用する化学式A6(化12におけるformulaA6)(R1=(C1−C3)アルキル基)の化合物におけるアルキルオキシ基の酸加水分解が、この開示の実施形態として最終化合物を示す化学式A7(化12におけるformulaA7)に係る化合物の配置を明らかにする。
【0128】
【化12】



【0129】
ここで、R1及びCyは、上記に定義されたようなものであり、化学式Iの化合物に関する開示において定義されたようなものである。
【0130】
鏡像異性的に純粋な実施形態の合成は、 ジアステレオマー塩を形成するために、(L)−若しくは(D)−酒石酸、(R,R)−若しくは(S,S)−ジベンゾイル酒石酸及びその誘導体、(R,R)−若しくは(S,S)−シンナモイル酒石酸及びその誘導体、(L)−若しくは(D)−マンデル酸、(L)−若しくは(D)−リンゴ酸、(L)−若しくは(D)−ショウノウ酸、(L)−若しくは(D)−N−アセチルフェニルアラニン、(L)−若しくは(D)−カンファースルホン酸、又は4−(r)−若しくは4−(S)−4−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシドのような環式亜リン酸エステルのような鏡像異性的に純粋な酸と反応する化学式A2に係る第2級アミンから開始する。結果として生じたジアステレオマー塩の立体化学的分解及びそれに続く塩基性条件下での遊離塩基の遊離は、化学式2Aa(化13におけるformulaA2a)によるエナンチオピュアな第2級アミンR−(A2)及びS−(A2)において生じる。
【0131】
【化13】



【0132】
上記に詳細に記載されたように、鏡像異性的に純粋な化合物R−(A2)若しくはS−(A2)のそれに続く反応は、化14及び化15で示す内容の実施形態として最終化合物を示す化学式Iに係るエナンチオピュアな化合物の形成を生じる。
【0133】
【化14】

【0134】
【化15】

【0135】
ここで、化学式I及びA2aのいずれかにおいて、R及びCyは、上記に定義されたものであり、化学式Iの化合物に関する開示内容において示されるものである。
【0136】
2 個々の化合物の合成
2a.化学式A2による第2級アミンの合成
化学式A2の第2級アミンは、n−プロピルアミンとの化学式A1に係る8−置換2−テトラロン誘導体の還元的アミノ化反応によって合成された。還元は、溶媒として乾燥塩化メチレンにおけるナトリウムトリアセトキシボロヒドリドの存在において達成された。その反応は、塩酸を付加することによって停止し、その結果として生じるアミノ塩酸塩は、塩基性条件下の水相から抽出され、最終的に塩酸塩として沈殿し、75%以上の生産量を有する良好な生産量においてA2型の第2級アミンを入手できるものである。
【0137】
【化16】



【0138】
N−(8−メソキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン塩酸塩(A2−1:R=OMe)
5.1gの8−メソキシ−2−テトラロン(A1−1:R=OMe)の溶液(シグマアルドリッヒ、ミウニッヒ(ドイツ)から注文番号:535451として購入された)(30mmol)及び80mL乾燥CHCl内の17gのNaBH(OAc)3(81mmol)の溶液に対して、4.9mLのn−プロピルアミン(59mmol)が滴下によって付加された。室温で25時間の攪拌の後、溶媒が蒸発され、その残渣が濃縮された塩酸に還元され、ジエチルエーテルで数時間洗浄された。水相が、5NのNaOHで塩基性化され、数時間ジエチルエーテルで抽出され、回収された有機層がNaSOで乾燥され、溶媒が濃縮された。ジエチルエーテルに20mLの2MのHCl(40mmol)がふかされ、4℃で冷却され、塩酸塩の沈殿物が生じ、濾過されて、真空内で乾燥され白い塩が取得される。
生産量:5.8g(76%)
MP:181℃(文献:191−193℃、引例参照:ナイマン他、J Med Chem 1989、第32巻、253頁)。
MS(EIMS):m/z219(M).IR(NaCl)v(cm−1):3394,2927,1585,1466,1254,1026(遊離塩基).HNMR(CDOD,600MHz)δ(ppm):1.07(t、J=7.5Hz,3H),1.74−1.84(m,3H),2.31(m,1H),2.59(dd、J=16.6Hz,10.4Hz,1H)2.87−2.97(m,2H),3.10(m,2H),3.29−3.34(m,1H),3.48(m,1H),3.82(s,3H),6.72(d,J=7.7Hz,1H),6.77(d,J=8.1Hz,1H).7.13(dd,J=8.1Hz,7.7H),13CNMR(CDOD,90MHz)δ(ppm):11.3,21.0,26.8,27.4,28.6,47.8,55.8,56.0,108.6,121.8,128.4,137.2,158.6,HR−MS:C1821ClFNOS;計算されたもの:381.1078;見出されたもの:381.1075。
【0139】
(R)−A2及び(S)−A2型の鏡像異性的に純粋な第2級アミンが、イソプロパノールにおいて分離及び結晶化されたジアステレオマー塩の形成を生じるエタノールにおける4−(R)−若しくは4−(S)−4−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシドと反応することで合成された。化学式(R)−A2及び(S)−A2に係るエナンチオピュアな第2級アミンの遊離は、水酸化カリウムの水溶液で処理され、塩化メチレンで抽出されることによって達成される。それに代わって、(R)−A2が、エタノール内の鏡像異性的に純粋な(R,R)−O,O−ジベンゾイル酒石酸を使用することによって調合される。
【0140】
【化17】

【0141】
(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン((R)−A2−1:R=OMe)
30mLのEtOHに、720mg(2.6mmol)の4−(R)−4−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシドを溶解した溶液に、15mLのEtOHに570mg(2.6mmol)のラセミ酸N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=OMe)(有機塩基として)を溶解した溶液を付加し、室温で40分間攪拌した。真空内での溶媒の蒸発の後、その残留物は、25mLのアセトン内に再懸濁され、40分間環流まで加熱された。前記溶液は冷却され、20時間4℃で貯蔵された。その沈殿物は、イソプロパノールから2回再結晶され、(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン及び4−(R)−4−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシドからなる塩を得るために乾燥された。
生産量:150mgの白い塩(12%)
[α]25=+63.6°(MeOHにおいて)
【0142】
遊離塩基(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミンを遊離するために、140mgのジアステレオマー塩が、KOHの使用液に溶解され、塩化メチレンで数回抽出された。有機層はNaSOによって乾燥され、溶媒は真空で蒸発され、結果として生じる残留物は真空で乾燥され、純粋な(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン((R)−A2−1:R=OMe)を生じた。
生産量:58mgの黄色のオイル(91%)。
MS,IR,HNMR及び13CNMRは、化合物A2−1のデータと一致している。
[α]23=+80.1°(MeOHにおいて)
【0143】
また、1.0mLのEtOHに160mg(0.72mmol)のラセミ酸N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミンが溶解した溶液に、2.0mLのEtOHに270mg(0.72mmol)の(L)−(−)−O,O−(R,R)−ジベンゾイル酒石酸一水和物の溶液を付加し、濾過され、冷たいエタノールで洗浄され、10%(v/v)水性KOHに懸濁された。4回塩化メチレンで水性層の抽出を行った後で、有機層が、NaSOで乾燥され、溶媒が真空中で蒸発され、(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン((R)−A2−1:R=OMe)を得ることができた。
生産量:130mgの黄色のオイル(82%)。
MS,IR,HNMR及び13CNMRは、化合物A2−1のデータと一致している。
[α]23=+67.0°(MeOHにおいて)
【0144】
(S)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(S)−A2−1:R=OMe)
4−(S)−4−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシドを使用する時に、(R)−A2−1の調合により同様に合成され、(S)−N−((−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン及び4−(S)−4−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン−2−オキシドからなるジアステレオマー塩を得ることができた。
[α]25=−54.2°(MeOHにおいて)。
【0145】
純粋な(S)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン((S)−A2−1:R=OMe)の遊離は、(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン((R)−A2−1:R=PMe)の遊離について記載された手順によって達成することができた。
生産量:340mgの無色のオイル(17%)。
MS,IR,HNMR及び13CNMRは、化合物A2−1のデータと一致している。
[α]23=−70.9°(MeOHにおいて)。
【0146】
2b. 化学式A4によるアミドの合成
化学式A4に係るアミドの形成は、第2級アミンA2を、塩基としてのトリエチルアミンの存在において、乾燥クロロホルム内の化学式A3(W=Cl)の適当な酸誘導体の酸塩化物と結合することによって達成された。もし第2級アミンは、塩酸として提供されるならば、遊離塩基は、結合する以前に遊離される必要があった。
【0147】
【化18】

【0148】
また、必要ならば、結合反応は、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在においてDMFに溶解され、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオルホスヘイト(HATU)試薬によってさらに活性化された化学式A3(W=OH)による遊離酸誘導体を使用することによって達成される。
【0149】
【化19】

【0150】
化学式A3による応用酸誘導体の多くは、合成に関するファインケミカルの既存の供給業者から購入することができる。もし別の言い方をしないならば、本願発明のすべての酸誘導体は、アクロスオーガニクス、ジール(ベルギー)、アルファアエサル、カールスルーエ(ドイツ)、メイブリッジ、チンタゲル、コーンウォール(イギリス)若しくはシグマ−アルドリッヒ、ミューニッヒ(ドイツ)から購入された。
【0151】
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2−チエニル)アセトアミド(A4−1:R=OMe,Cy=2−チエミル)
5mLの乾燥CHClに、60mg(0.27mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン)の遊離塩基と0.11mLのEtN(0.79mmol)が溶解した溶液が、氷浴で冷却された。この混合物に、0.05mL(0.41mmol)の2−チエニル塩化酢酸(A3−1:W=Cl,Cy=2−チエニル)を付加した後、氷浴を取り去り、その反応は室温で2時間攪拌された。第2段階において、0.05mL(0.41mmol)の2−チエニル塩化酢酸(A3−1)が付加され、その反応は20時間攪拌された。その混合物は、水溶性NaHCOの飽和水溶液で数回洗浄され、最終的にCHClで抽出された。有機層は、MgSOで乾燥され、その溶媒は真空中で蒸発された。ヘキサン/エチルアセテート40/1の混合物を有するシリカゲルの残留物のフラッシュ・クロマトグラフィーは、N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2−チエニル)アセトアミド生成物を得た。
生産量:69mgの黄色オイル(74%)
MS(EIMS):m/z343(M).IR(NaCl)v(cm−1):3386,2924,2881,1639,1458,1254,1068.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.90(t,J=7.5Hz,3H),1.55−1.87(m,3H),1.87−1.96(m,1H),2.62(m,1H),2.74−3.03(m、3H),3.23(m,2H),3.79(s,3H),3.83−4.02(m,2H),4.08(m,1H),6.61−6.73(m,2H),6.85−6.98(m,2H),7.08(dd,J=7.9Hz,5.1Hz,1H),7.18(dd,J=5.1Hz,1.0Hz,1H).13CNMR(CDCl,150MHz)δ(ppm):11.4,11.6,22.6,24.8,26.7,27.3,28.1,28.2,29.8,29.8,35.6,35.9,44.1,46.6,51.8,54.8,55.2,106.9,107.0,120.8,120.8,123.5,124.2,124.6,124.7,125.8,125.8,126.3,126.6,126.7,136.4,136.9,137.2,137.2,157.3,157.4,169.5,169.9.
【0152】
(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2−チエニル)アセトアミン((R)−A4−1:R=OMe,Cy=2−チエニル)
合成は、39mg(0.18mmol)の鏡像異性的に純粋な(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン((R)−A2−1:R=OMe)及び0.05mL(0.41mmol)の2−チエニル塩化酢酸を使用する場合、A4−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーが、ヘキサン/エチルアセテート20/1で実施された。
生産量:50mgの黄色オイル(81%)。
MS,IR,HMNR及び13CNMRは化合物A4−1のデータと一致している。
[α]27=+70.6°(MeOHにおいて)
【0153】
(S)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2−チエニル)アセトアミン((S)−A4−1:R=OMe,Cy=2−チエニル)
合成は、310mg(1.4mmol)の鏡像異性的に純粋な(S)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン((R)−A2−1:R=OMe)及び0.35mL(2.8mmol)の2−チエニル塩化酢酸を使用するときに、A4−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーはヘキサン/エチルアセテート20/1で実施された。
生産量:340mgの黄色オイル(70%)
MS,IR,HMNR及び13CNMRは化合物A4−1のデータと一致している。
[α]22=−25.6°(MeOHにおいて)
【0154】
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−フェニルアセトアミン(A4−2:R=OMe,Cy=フェニル)
合成は、120mg(0.55mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=OMe)及び0.11mL(0.83mmol)のフェニル塩化酢酸(A3−2:W=Cl,Cy=フェニル)を使用する時に、A4−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーが、ヘキサン/エチルアセテート10/1で実施された。
生産量:140mgの無色オイル(78%)。
MS(EIMS):m/z337(M).IR(NaCl)v(cm−1):3356,2962,2931,1639,1585,1466,1254,1155.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.85−0.94(m,3H),1.54−1.82(m,3H),1.92(m,1H),2.54−2.70(m,1H),2.73−3.02(m,3H),3.19(m,2H),3.74(s,2H),3.79(s,3H),3.96−4.69(m,1H),6.67(m、2H),7.09(dd、J=7.8Hz,7.7Hz,1H),7.19−7.37(m,5H),13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):11.5,11.7,22.7,24.8,26.9,27.5,28.0,28.1,29.9,31.9,41.4,42.0,44.0,46.6,51.7,54.6,55.2,106.9,107.0,120.8,120.8,123.7,124.4,126.2,126.6,126.6,126.7,128.5,128.6,128.8,135.7,136.5,137.0,157.4,157.4,170.6,171.0.
CHN(%):C2227NO;演算されたもの(×0.1HO):C77.89;H8.08;N4.13;見出されたもの:C77.75;H7.82;N4.26.
【0155】
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(4−メトキシフェニル)アセトアミド(A4−3:R=OMe,CY=4−メトキシフェニル)
合成は、110mg(0.52mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=OMe)及び0.12mL(0.79mmol)の4−メトキシフェニル塩化酢酸(A3−3:W=Cl,Cy=4−メトキシフェニル)を使用する時、A4−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーがヘキサン/エチルアセテート10/1で実施された。
生産量:160mgの無色オイル(88%)
MS(EIMS):m/z367(M).IR(NaCl)v(cm−1):3394,2931,2839,1635,1466,1250,1068.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.81−0.95(m,3H),1.53−1.83(m,3H),1.86−1.96(m,1H),2.53−3.01(m,4H),3.19(m,2H),3.66(s,2H),3.78(s,3H),3.80(s,3H),4.02(m,1H),6.61−6.72(m,2H),6.80−6.90(m,2H),7.04−7.24(m,3H),13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):11.5,11.7,22.7,24.8,26.8,27.5,28.0,28.1,29.7,29.9,40.5,41.0,43.9,46.5,51.7,53.4,54.5,55.2,55.3,106.9,107.0,114.1,120.8,120.9,123.7,124.4,126.2,126.6,127.7,129.5,129.8,136.5,137.0,157.3,157.4,158.4,158.4,170.9,171.3.
CHN(%):C2329NO;演算されたもの(×0.3HO):C74.08;H8.00;N3.76;見出されたもの:C74.20;H8.40;N3.65.
【0156】
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2,5−ジメチルフェニル)アセトアミド(A4−4:R=Ome,Cy=2,5−ジメシルフェニル)
10mLの乾燥DMFに、340mg((2.1mmol)の2,5−ジメチルフェニル酢酸(A3−4:W=OH,Cy=2,5−ジメチルフェニル)及び0.70mLのジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(4.24mmol)を混合した混合物が、氷浴で冷却された。5.0mLの乾燥DMFに溶解した950mg(2.5mmol)のO−(7−アサベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU)の付加後、8.0mLの乾燥DMFに、640mg)(2.9mmol)N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1)が溶解した溶液が、滴下によって付加され、氷浴が取り除かれて、反応混合物が、室温で3時間攪拌された。この混合物は、水溶性NaHCOの飽和溶液で、数回洗浄され、その結果として生じた水性層が、CHClで抽出された。有機層はMgSOで乾燥され、その溶媒は、真空で蒸発された。ヘキサン/エチルアセテート60/10の混合物でのシルカゲル上の残留物のフラッシュ・クロマトグラフィーは、生成物N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2,5−ジメチルフェンル)アセトアミンを与えた。
生産量:660mgの淡黄色固形物(88%)。
MP:96℃。
MS(EIMS):m/z365(M).IR(NaCl)v(cm−1):3386,2927,2866,1643,1466,1254,1068.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.90(t,J=7.4Hz,3H),1.61−1.99(m,4H),2.19(s,3H),2.26(s,3H),2.58−3.37(m,6H),3.61−3.72(m,2H),3.80(s,3H),3.95(m,1H),6.62−6.72(m,2H),6.91−7.13(m,4H).13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):11.5,11.7,19.2,19.3,20.9,20.9,22.8,24.8,26.9,27.5,28.0,28.3,29.8,29.9,38.9,39.3,44.0,46.7,51.8,54.4,55.2,107.0107.0,120.8,120.8,123.7124.4,126.2,236.6,127.4,127.5,129.6,129.7,130.1,130.1,133.0,133.2,134.0,134.0,135.4,135.5,136.5,137.0,157.4,157.4,170.7,171.1.
CHN(%):C2431NO;演算されたもの:C78.87;H8.55;N3.83;見出されたもの:C78.82;H8.67;N3.85.
【0157】
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2−ビフェニル−4−イル)アセトアミド(A4−5:R=OMe,Cy=2−ビフェニル−4−イル)
合成は、370mg(1.7mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=OMe)と、250mg(1.2mmol)の2−ビフェニル−4−酢酸(A3−5:W=OH,Cy=2−ビフェニル−4−イル)を使用する時に、A4−4の調合によって実施された。ヘキサン/エチルアセテート20/1の混合物でのシリカゲル上の残留物のフラッシュ・クロマトグラフィーは、その生成物を与えた。
生産量:469mgの白色固形物(97%)。
MP:43℃。
MS(EIMS):m/z413(M).IR(NaCl)v(cm−1):2962,2933,2837,1635,1583,1466,1444,1254,1115,1092,756.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.85−0.97(m,3H),1.57−1.86(m,3H),1.94(m,1H),2.56−3.04(m,4H),3.32(m,2H),3.76−3.82(m,5H),4.06(m,1H),6.63−6.72(m,2H),7.09(dd、J=7.8Hz,7.7Hz,1H),7.29−7.46(m,5H),7.51−7.62(m,4H).13CNMR(CDCl,150MHz)δ(ppm):11.5,11.7,22.7,24.9,26.9,27.5,28.0,28.2,29.8,29.9,41.0,41.5,44.0,46.6,51.8,54.6,55.2,107.0,107.0,120.8,120.8,123.6,124.4,126.2,126.6,127.0,127.1,127.2,127.2,127.3,127.4,128.7,129.0,129.3,134.7,134.8,136.5,137.0,139.6,139.6,140.8,141.0,157.4,157.4,170.5,170.9.
CHN(%):C2831NO;演算されたもの:C81.32;H7.56;N3.39;見出されたもの:C81.42;H7.33;N3.43.
【0158】
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−アダマンチルアセトアミド(A4−6:R=OMe,Cy=アダマンチル)
合成は、570mg(2.6mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=Ome)及び360mg(1.9mmol)の2−アダマチル酢酸(A3−6:W=OH,Cy=アダマンチル)を使用する時に、A4−4の調合によって実施された。ヘキサン/エチルアセテート10/1の混合物でのシリカゲル上の残留物のフラッシュ・クロマトグラフィーは、生成物を与えた。
生産量:580mgの無色オイル(78%)。
MS(EIMS):m/z395(M).IR(NaCl)v(cm−1):3421,2900,2846,1631,1466,1254,1095,756.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.85−0.94(m,3H),1.51−1.76(m,15H),1.82−2.02(m,4H),2.04−2.31(m,2H),2.59(m,1H),2.81−2.99(m,3H),3.19(m,2H),3.80(s,3H),4.10(m,1H),6.62−6.77(m,2H),7.04−7.17(M、1H).13CNMR(CDCl,150MHz)δ(ppm):11.5,11.8,23.2,24.9,27.1,27.8,28.2,28.4,28.8,28.8,29.9,29.9,33.5,33.8,36.8,36.9,42.8,42.9,43.7,46.5,46.6,46.7,50.7,54.8,55.3,106.9,107.0,120.8,120.8,123.9,124.5,126.2,126.6,136.6,137.1,157.4,157.4,170.7,171.4.
CHN(%):C2637NO;演算されたもの:C78.94;H9.43;N3.54;見出されたもの:C78.77;H9.71;N3.36.
【0159】
2c. 化学式A5によるアミンの合成
化学式A4に係る化合物は、ジエチルエーテル内に溶解した水素化リチウムアルミニウムのような還元剤を使用して水素化された。この反応は、炭酸水素ナトリウムの水溶液を付加することによって終了し、この混合物は、セライト(商標)によって浄化され、アミンが有機溶媒で抽出され、フラッシュ・クロマトグラフィーによって浄化されてこの開示の実施形態としての最終化合物を示す化学式A5の誘導体を得た。
【0160】
【化20】

【0161】
化合物2:N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(A5−1:R=Ome,Cy=2−チエニル)
10mLの乾燥ジエチルエーテルに、16mg(0.05mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2−チエニル)アセトアミン(A4−1:R=OMe,Cy=2−チエニル)を溶解した溶液に、乾燥ジエチルエーテルにLiAlH4(0.15mmol)を溶解した1M溶液を滴下によって付加し、室温で20時間攪拌した。その反応は、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液を付加することによって終了し、その溶液は、セライト(商標)−MgSO−セライト(商標)からなるマトリクスを解して濾過され、塩化メチレン及びエチルアセテートによって洗浄された。真空による有機溶媒の蒸発の後、その残留物は、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在によるヘキサン/エチルアセテート10/1の混合物で、シリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィーによって浄化され、2(N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(A5−1:R=OMe,Cy=2−チエニル)の化合物2を得た。
生産量:9.8gの無色オイル(64%)
MS(EIMS):m/z329(M).IR(NaCl)v(cm−1):3356,2927,1585,1466,1435,1254,1072,1022.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.90(t,J=7.3Hz,3H),1.50(m,2H),1.55−1.67(m,1H),1.99(m,1H),2.43(dd、J=18.2Hz,12.2Hz,1H),2.57(m,2H),2.76−3.03(m,8H),3.81(s,3H),6.65(d,J=8.1Hz,1H),6.70(m,1H),6.81(m,1H),6.91(dd、J=5.2Hz,3.4Hz,1H),7.07(dd、J=7.9Hz,5.2Hz,1H),7.11(dd、J=5.2Hz,1.2Hz,1H).13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):11.9,22.5,25.5,26.2,30.2,30.3,52.8,52.9,55.2,57.2,106.8,120.8,123.1,124.4,125.4,126.0,126.5,137.9,143.3,157.6.
CHN(%):C2027NOS;演算されたもの:C72.90;H8.26;N9.73;S9.73;見出されたもの:C72.69;H8.25;N4.13;S9.39.
【0162】
化合物2a:(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン((R)−A5−1:R=Ome,Cy=2−チエニル)
45mg(0.13mmol)の(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2−チエニル)アセトアミン((R)−A4−1:R=OMe,Cy=2−チエニル)を使用するときに、A5−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)のジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート40/1の混合物を使用することで実施された。
生産量:25mgの無色オイル(57%)。
MS(EIMS)、HNMR及び13CNMRは、化合物A5−1のデータと一致している。
[α]27=+59.8°(MeOHにおいて)
【0163】
化合物2b:(S)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン((S)−A5−1:R=OMe,Cy=2−チエニル)
合成は、340mg(0.99mmol)の(S)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2−チエニル)アセトアミド((S)−A4−1:R=OMe.Cy=2−チエニル)を使用する時に、A5−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)のジメチルエチルアミドの存在で、ヘキサン/エチルアセテート40/1の混合物を使用して実施された。
生産量:73mgの無色オイル(23%)
MS(EIMS)、HNMR及び13CNMRは、化合物A5−1のデータと一致している。
[α]27=+56.3°(MeOHにおいて)
【0164】
化合物4:N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−(2−フェニルエチル)−N−プロピルアミン(A5−2:R=OMe,Cy=フェニル)
合成は、120mg(0.37mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−フェニルアセトアミン(A4−2:R=OMe,Cy=フェニル)を使用する時に、A5−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート20/1の混合物を使用して実施された。
生産量:88mgの淡黄色オイル(74%)。
MS(EIMS):m/z323(M).IR(NaCl)v(cm−1):3381,2933,1468,1255,1070,769.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.90(t,J=7.4Hz,3H),1.51(m,2H),1.56−1.67(m,1H),1.98(m,1H),2.43(m,1H),2.57(m,2H),2.72−3.04(m,8H),3.81(s,1H),6.65(d,J=8.1Hz,1H),6.69(d,J=7.6Hz,1H),7.07(dd、J=8.1Hz,7.6Hz,1H),7.14−7.30(m,5H).13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):11.9,22.4,25.5,26.2,30.2,36.2,52.8,53.1,55.2,57.1,106.8,120.8,125.4,125.8,125.9,128.2128.8,137.9,41.0,157.6.
CHN(%):C2229NO;演算されたもの(×0.2HO):C80.79;H9.06;N4.28;見出されたもの:C80.69;H9.17;N4.24.
【0165】
化合物6:N−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミド(A5−3:R=OMe,Cy=メトキシフェニル)
合成は、140mg(0.39mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(4−メトキシフェニル)アセトアミン(A4−3:R=OMe,Cy=4−メトキシフェニル)を使用する時に、あ5−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート20/1の混合物を使用して実施された。
生産量:110mgの淡黄色オイル(77%)。
MS(EIMS):m/z323(M).IR(NaCl)v(cm−1):3392,2935,1468,1252,1034.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.90(t,J=7.4Hz,3H),1.50(m,2H),1.55−1.67(m,1H),1.98(m,1H),2.42(dd,J=18.2Hz, 12.6Hz,1H),2.57(m,2H),2.67−3.03(m,8H),3.78(s,3H),3.81,(s,3H),6.65(d,J=8.1Hz,1H),6.69(d,J=7.7Hz,1H),6.82(m,2H),7.07(dd、J=8.1Hz,7.7Hz,1H),7.12(m,2H).13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):11.9,22.4,25.5,26.2,30.2,35.3,52.8,53.3,55.2,55.2,57.1,106.8,113.7,120.8,125.4,125.9,129.7,133.1,137.9,157.6,157.8.
CHN(%):C2331NO;演算されたもの(×0.125HO):C77.65;H8.85;N3.94;見出されたもの:C77.55;H9.03;N3.89.
【0166】
化合物8:N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2,5−ジメチル)フェニルエチル]アミン(A5−4:R=OMe,Cy=2,5ジメチルフェニル)
合成は、510mg(1.4mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2,5−ジメチル)フェニルアセトアミン(A4−4:R=OMe,Cy=2,5−ジメチルフェニル)を使用するときに、A5−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート20/1の混合物を使用して実施された。
生産量:350mgの黄色オイル(72%)。
MS(EIMS):m/z351(M).IR(NaCl)v(cm−1):3417,2931,1647,1466,1254,1068.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.92(t,J=7.4Hz,3H),1.48−1.68(m,3H),2.02(m,1H),2.29(s,6H),2.44(dd,J=18.2Hz, 12.2Hz,1H),2.60(m,2H),2.67−3.06(m,8H),3.81(s,3H),6.65(d,J=8.1Hz,1H),6.70(m,1H),6.90(d,J=7.6Hz,1.9Hz,1H),6.96(d、J=1.91Hz,1H),7.01(d,J=7.6Hz,1H),7.07(dd,J=8.1Hz, 7.7Hz, 1H).13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):11.9,18.9,20.9,22.2,25.6,26.2,30.2,33.5,51.7,52.9,55.2,57.3,106.9,120.8,125.3,126.0,126.7,130.1,130.2,132.8,135.3,137.8,138.7,157.6.
CHN(%):C2433NO;演算されたもの(×0.2HO):C81.17;H9.48;N3.94;見出されたもの:C81.30;H9.48;N3.94.
【0167】
化合物10:N−(2−アダマンチルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−5:R=OMe,Cy=アダマンチル)
合成は、560mg(1.4mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−アダマンチルアセトアミン(A4−5:R=OMe,Cy=アダマンチル)を使用する時に、A5−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート30/1の混合物を使用する実施された。
生産量:110mgの淡黄色オイル(77%)。
MS(EIMS):m/z381(M).IR(NaCl)v(cm−1):3379,2900,2843,1585,1466,1254,1072.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.89(t,J=7.4Hz,3H),1.27(m,2H),1.42−1.74(m,15H),1.88−2.02(m,4H),2.36−2.99(m,9H),3.82(s、3H),6.65(d,J=8.0Hz,1H),6.70(m,1H),7.07(dd、J=8.0Hz,7.8Hz,1H).13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):12.0,22.2,25.3,26.2,28.8,30.2,32.1,37.3,42.6,44.5,52.9,55.3,54.1,106.9,120.8,125.4,126.0,137.9,157.6.
CHN(%):C2639NO;演算されたもの(×0.4HO):C80.32;H10.32;N3.60;見出されたもの:C80.18;H10.28;N3.59.
【0168】
N−[2−(2−ビフェニル−4−イル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−6:R=OMe,Cy=2−ビフェニル−4−イル)
合成は、470mg(1.1mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−(2−ビフェニル−4−イル)アセトアミン(A4−5:R=OMe,Cy=2−ビフェニル−4−イル)及び溶媒としてTHFを使用する時に、A5−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサンを使用して実施された。
生産量:210mgの淡黄色オイル(47%)。
MS(EIMS):m/z399(M).IR(NaCl)v(cm−1):3417,3006,2930,2870,2835,1585,1468,1339,1252,1097,1072,1008,763,697.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.91(t,J=7.4Hz,3H),1.47−1.68(m,3H),2.00(m,1H),2.44(m,1H),2.59(m,2H),2.76−3.05(m,8H),3.81(s,3H),6.65(d,J=8.1Hz,1H),6.70(d,J=7.6Hz,1H),7.07(dd、J=8.1Hz,7.6Hz,1H),7.26−7.34(m,3H),7.42(m,2H),7.48−7.61(m,4H).13CNMR(CD3OD,90MHz)δ(ppm):11.9,22.4,25.6,26.2,30.2,35.9,52.8,53.0,55.2,57.2,106.8,120.8,125.4,126.0,126.9,127.0,128.7,129.2,137.9,138.8,140.1,141.2,157.6.
CHN(%):C2833NO;演算されたもの:C84.17;H8.32;N3.51;見出されたもの:C84.31;H8.29;N3.66.
【0169】
化合物12:N−(2−フェロセニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−7:R=OMe,Cy=フェロセニル)
合成は、360mg(1.6mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=OMe)及び240mg(0.99mmol)のフェロセニル酢酸(A3−7:W=OH,Cy=フェロセニル)を使用する時に、A4−4の調合によって実施された。ヘキサン/エチルアセテート10/1の混合物でのシリカゲル上の残留物のフラッシュ・クロマトグラフィーは、N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−フェロセニルアセトアミドの粗生成物を与えた。
【0170】
その不安定な性質によって、その残留物は、12(N−(2−フェロセニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−7:R=OMe,Cy=フェロセニル)化合物を得るためにすぐに反応した。この反応は、5.0mLのジエチルエーテル及び3.0mLTHFの混合物に溶解した98mgの粗N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−フェロセニルアセトアミンを使用する時に、A5−1の調合によって達成された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、化合物12を得るために、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート40/1の混合物を使用して実施された。
生産量:25mgの黄色オイル(6%)。
MS(EIMS):m/z431(M).IR(NaCl)v(cm−1):3774,3329,2819,1815,1664,1589,1406,1203,1057,1026,783.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.91(t,J=7.4Hz,3H),1.51(m,2H),1.62(m,1H),1.99(m,1H),2.38−2.58(m,5H),2.69−3.02(m,6H),3.81(s,3H),4.02−4.12(m、9H)6.65(m,1H),6.70(m,1H),7.07(dd,J=8.0Hz,7.7Hz,1H).13CNMR(CDCl,150MHz)δ(ppm):12.0,22.4,25.6,26.2,29.5,30.2,52.1,52.8,55.2,57.0,67.1,67.1,68.1,68.4,87.2,106.8,120.8,125.4,126.0,137.9,157.6.
CHN(%):C2633FeNO;演算されたもの:431.1912;見出されたもの:431.1912.
【0171】
化合物14:N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−([2.2]パラシクロファン−4−イル)エチル]−アミン(A5−8:R=OMe,Cy=[2.2]パラシクロファン−4−イル)
合成は、160mg(0.75mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=OMe)及び110mg(0.42mmol)の[2.2]パラシクロファン−4−イル酢酸(A3−8:W=OH,Cy=[2.2]パラシクロファン−4−イル)を使用するときに、A4−4の調合によって実施された。ヘキサン/エチルアセテート40/10の混合物でシリカゲル上に残留物のフラッシュ・クロマトグラフィーは、N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−2−([2.2]パラシクロファン−4−イル)アセトアミドの粗生成物を与えた。その残留物は、5.0mLのジエチルエーテルに溶解され、A5−1の調合について記載されたように反応した。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート20/1の混合物を使用して実施され、化合物14が生成された。
生産量:58mgの淡黄色オイル(31%)。
MS(EIMS):m/z453(M).IR(NaCl)v(cm−1):3418,2929,2853,1666,1586,1469,1438,1254,1096,1070,796,767,716.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.93(m,3H),1.48−1.68(m,3H、Pr−2),2.00(m,1H),2.34−3.17(m,18H),3.37(m,18H),3.37(m,1H),3.81(s,3H),6.14(m、1H),6.36−6.54(m,5H),6.63−6.73(m,3H),7.08(dd,J=8.1Hz,7.8Hz,1H).13CNMR(CDCl,150MHz)δ(ppm):12.0,22.4,25.6,25.8,26.1,26.2,30.1,30.2,30.2,33.6,34.3,35.0,35.3,51.9,52.0,53.0,53.1,55.2,57.3,57.3,106.8,120.7,120.8,125.4,126.0,129.1,130.4,132.1,133.1,133.3,134.6,134.7,135.0,135.1,137.5,137.6,137.9,139.3,139.4,139.6,139.7,140.0,140.1,157.6.
【0172】
2d. 化学式A7によるアミンの合成
位置8に水酸基(R=OH)を担持し、化学式A7において記載されたような一般的構造と同一である化学式Iによる化合物は、この開示の実施形態としてすでに合成された化学式A6(R1=(C1−C3)アルキル)による化合物から開始して合成される。化学式A6(R1=Me)による化合物のメトキシ基の酸補助加水分解は、塩化メチレンにおけるルイス酸としてのボロトリブロミド(Horn Parmaceutisch Weekblad Sci.Ed.1985,第7巻、208頁)を使用することによって達成され、この開示の実施形態として化学式A7による8−OH置換の最終化合物を提供する。
【0173】
【化21】

【0174】
化合物1:N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(A7−1:R=OMe,Cy=2−チエニル)
40mLの乾燥塩化メチレンに溶解した6.5g(20mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(A5−1:R=OMe,Cy=2−チエニル)の溶液が、塩化メチレン(80mmol)に溶解したBBrの1M溶液の80mLの溶液に付加され、室温で3時間攪拌された。その反応溶液は、5.0mL25%の水溶性NHと15gの氷の混合物に付加され、45分間攪拌された。有機相と水相が分離され、最終的なものが、塩化メチレンで数回抽出された。全ての有機相が収集され、炭酸水素ナトリウムと塩化ナトリウムの飽和水溶液で洗浄され、MgSOで乾燥された。その溶媒は、真空で蒸発され、その残留物が、1%(v/v)のジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート10/1の混合物を使用してフラッシュ・クロマトグラフィーによって浄化された。
生産量:1.1gの淡黄色固形物(17%)。
MP:99℃。
MS(EIMS):m/z315(M).IR(NaCl)v(cm−1):3367,2931,2870,1585,1462,1261,1080.HNMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):0.91(t,J=7.4Hz,3H、−CH−cH−C),1.46−1.66(m,3H,−CH−C−CH,軸方向H−3’),2.01(m,1H,赤道方向H−3’),2.42(dd、J=16.3Hz,11.1Hz,1H,軸方向H−1’),2.58(m,2H,−C−CH−CH),2.75−3.07(m,8H,赤道方向H−1’,H−2’,軸方向H−4’,赤道方向G−4’,N−CH−C−チエニル,N−C−CH−チエニル),6.60(m,1H,H−7’),6.68(m,1H,H−5’),6.82(m、1H,H−3),6.92(dd,J−5.2Hz,3.4Hz,1H,H−4),6.98(m、1H,H−6’),7.12(dd,J=5.2Hz,1.2Hz,1H,H−5).13CNMR(CDOD,150MHz)δ(ppm):11.9(−CH−CH),22.4(−CH−CH),25.5(C−1’若しくはC−3’),25.6(C−3’若しくはC−1’),30.2(C−4’若しくはN−CH−チエニル),30.3(N−CH−チエニル若しくはC−4’),52.7(−−CH−CH若しくはN−−CH−チエニル),52.9(N−−CH−チエニル若しくは−−CH−CH),57.2(C−2’),111.9(C−7’),121.0(C−5’),112.9(C−8a’),123.2(C−5),124.6(C−3),126.3(C−6’),126.6(C−4),138.2(C−4a’),143.3(C−2),153.7(C−8’).
CHN(%):C1925NOS;演算されたもの(×0.125HO):C71.83;H8.01;N4.41;S10.09;見出されたもの:C71.90;H8.25;N4.32;S10.11.
【0175】
化合物1a:(R)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン((R)−A7−1:Cy=2−チエニル)
合成は、21mg(0.06mmol)の(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル」アミン((R)−A5−1:R=OMe,Cy=2−チエニル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)のジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート40/10を使用して実施され、化合物1aを得た。
生産量:14mgの淡黄色オイル(70%)。
MS,HMR及び13CNMRは、化合物A7−1のデータと同一である。
[α]27=+47.6°(MeOHにおいて)。
【0176】
化合物1b:(S)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン((S)−A7−1:Cy=2−チエミル)
合成は、76mg([0.23mmol)の(S)−N−((−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン((S)−A5−1:R=OMe,Cy=2−チエニル)を使用するときに、A7−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、1%(v/v)のジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート10/1を使用して実施され、化合物1bを得た。
生産量:39mgの無色オイル(52%)。
MS,HMR及び13CNMRは、化合物A7−1のデータと同一である。
[α]22=−38.2°(MeOHにおいて)。
【0177】
化合物3:N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−(2−フェニルエチル)−N−プロピルアミン(A7−2:Cy=フェニル)
合成は、58mg(0.18mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−(2−フェニルエチル)−N−プロピルアミン(A5−2:R=OMe,Cy=フェニル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)のジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート40/10を使用することで実施され、化合物3を得た。
生産量:32mgの黄色オイル(57%)。
MS(EIMS):m/z309(M).IR(NaCl)v(cm−1):3386,2931,2870,1585,1462,1331,1269,1084,876.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.91(t,J=7.4Hz,3H),1.46−1.65(m,3H),2.00(m,1H),2.39(dd,J=16.2Hz,11.2Hz,1H),2.59(m,2H),2.72−3.07(m,8H),6.60(d、J=7.9Hz,1H),6.67(d,J=7.5Hz,1H),6.98(dd,J=7.9Hz,7.5Hz,1H),7.16−7.31(m、5H).13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):11.9,22.3,25.6,30.2,36.2,52.8,52.9,57.1,111.9,120.9,122.9,125.9,126.3,128.2,128.9,138.3,140.9,153.7.
CHN(%):C2127NO;演算されたもの(×0.1HO):C81.04;H8.81;N4.50;見出されたもの:C81.36;H9.26;N4.11.
【0178】
化合物5:N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−N−プロピルアミン(A7−3:Cy=4−メトキシフェニル)
合成は、80mg(0.23mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−N−プロピルアミン(A5−3:R=OMe,Cy=4−メトキシフェニル)を使用するときに、A7−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート30/20を使用して実施され、化合物5を得た。
生産量:46mgの淡黄色オイル(60%)。
MS(EIMS):m/z325(M).IR(NaCl)v(cm−1):3394,2920,2862,1639,1439,1045,663.HNMR(CDOD,360MHz)δ(ppm):0.94(t,J=7.4Hz,3H),1.51−1.64(m,3H),2.05(m,1H),2.45(dd,J=17.7Hz,12.6Hz,1H),2.60−3.06(m,10H),6.54(s,1H),6.56(s,1H),6.70(m,2H),6.88(dd,J=8.0Hz,7.7Hz,1H),7.03(m、2H).13CNMR(CDOD,90MHz)δ(ppm):12.2,22.5,26.9,27.0,30.9,35.0,53.9,54.4,58.9,112.6,116.2,120.7,124.0,127.1,130.6,132.5,138.8,156.3,156.7.
【0179】
化合物7:N−[2−(2,5−ジメチルフェニル)エチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A7−4:Cy=2,5−ジメチルフェニル)
合成は、63mg(0.18mmol)のN−[2−(2,5−ジメチルフェニル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−4:R=OMe,Cy=2,5−ジメチルフェニル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート40/10を使用して実施され、化合物7を得た。
生産量:47mgの白色固形物(79%)。
MP:102℃
MS(EIMS):m/z337(M).IR(NaCl)v(cm−1):2283,2931,2873,1647,1585,1462,1041.HNMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):0.93(t,J=7.3Hz,3H),1.52−1.65(m,3H),2.04(m,1H),2.29(s、6H),2.42(dd,J=16.1Hz,11.3Hz,1H),2.61(m,2H),2.69−2.92(m,7H),3.05(m,1H),6.60(d,J=7.8Hz,1H),6.68(d、J=7.6Hz,1H),6.92(dd,J=7.8Hz,1.8Hz,1H),6.96(d,J=1.8Hz,1H),6.99(d,J=7.8Hz,1H),7.02(dd,J=7.8Hz,7.6Hz,1H).13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):12.0,18.9,20.9,22.3,25.7,25.7,30.2,33.7,51.6,53.0,57.2,111.9,120.9,122.9,126.3,126.7,130.1,130.3,132.8,135.3,137.3,138.7,153.7.
CHN(%):C2331NO;演算されたもの(×0.2HO):C80.99;H9.28;N4.11;見出されたもの:C80.97;H8.33;N4.05.
【0180】
化合物9:N−(2−アダマンチルエチル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A7−5:Cy=アダマンチル)
合成は、78mg(0.20mmol)のN−(2−アダマンチルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−5:R=OMe,Cy=アダマンチル)を使用するときに、A7−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート40/10を使用して実施され、化合物9を得た。
生産量:56mgの無色オイル(74%)。
MS(EIMS):m/z367(M).IR(NaCl)v(cm−1):3394,2900,2846,1643,1585,1462,1045.HNMR(CDCl,600MHz)δ(ppm):0.89(t,J=7.4Hz,3H),1.27(m,2H),1.46−1.54(m,8H),1.56−1.72(m,7H),1.93(m、3H),2.01(m,1H),2.44−2.52(m,3H),2.57(m,2H),2.78−2.91(m,3H),3.00(m,1H),6.60(d,J=7.9Hz,1H),6.65(d,J=7.7Hz,1H),6.98(dd,J=7.9Hz,7.7Hz,1H).13CNMR(CDCl,150MHz)δ(ppm):12.0,22.3,25.4,25.8,28.7,30.2,32.0,37.2,42.6,44.5,57.0,111.9,120.9,123.1,126.2,138.4,153.8.
CHN(%):C2537NO;演算されたもの:C81.69;H10.15;N3.81;見出されたもの:C81.62;H10.55;N3.35.
【0181】
N−[2−(2−ビフェニル−4−イル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A7−6:Cy=2−ビフェニル−4−イル)
合成は、120mg(0.29mmol)のN−[2−(2−ビフェニル−4−イル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−6:R=OMe,Cy=2−ビフェニル−4−イル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、1%(V/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート40/10を使用して実施され、化合物A7−6を得た。
生産量:39mgの白色固形物(35%)。
MP:52℃
MS(EIMS):m/z385(M).IR(NaCl)v(cm−1):3388,2957,2931,2870,1585,1486,1464,1331,1266,1085,825,763,732,697.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.92(t,J=7.4Hz,3H),1.47−1.68(m,3H),2.02(m,1H),2.45(dd,J=16.1Hz,11.1Hz,1H),2.60(m,2H),2.75−2.93(m,7H),3.05(m,1H),6.59(d,J=7.7Hz,1H),6.68(d、J=7.5Hz,1H),6.98(dd,J=7.7Hz,7.5Hz,1H),7.25−7.35(m,3H),7.42(m、2H),7.51(m,2H),7.57(m,2H).13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):11.9,22.3,25.6,25.8,30.2,35.8,52.9,52.9,57.1,111.9,120.9,123.0,126.2,127.0,128.7,129.3,138.3,138.9,140.0,141.1,153.7.
【0182】
化合物11:N−(2−フェロセニルエチル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A7−7:Cy=フェロセニル)
合成は、73mg(0.17mmol)のN−(2−フェロセニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−7:R=OMe,Cy=フェロセニル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。0.5%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート30/20を使用して実施され、化合物11を得た。
生産量:31mgの赤茶色オイル(43%)。
MS(EIMS):m/z417(M).IR(NaCl)v(cm−1):3398,2927,2854,1589,1462,1435,1053.HNMR(CDCl/CDOD,360MHz)δ(ppm):0.95(t,J=7.4Hz,3H),1.49−1.70(m,3H),2.07(m,1H),2.44−2.58(m、3H),2.61(m,2H),2.75−3.08(m,6H),4.01−4.10(m,4H),4.12(s,5H),6.61(m,1H),6.63(m,1H),6.95(dd,J=7.9Hz,7.7Hz,1H).13CNMR(CDCl,90MHz)δ(ppm):11.2,20.9,24.8,25.6,27.7,29.5,51.4,52.4,56.9,66.7,67.5,67.9,86.1111.0,119.2,122.5,125.6,137.2,154.5.
CHN(%):C2531FeNO;演算されたもの(×0.5HO):C70.42;H7.56;N3.29;見出されたもの:C70.35;H7.50;N3.36.
【0183】
化合物13:N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−[2−([2.2]パラシクロファン−4−イル)エチル]−N−プロピルアミン(A7−8:Cy=[2.2]パラシクロファン−4−イル)
合成は、34mg(0.07mmol)のN−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−[2−([2.2]パラシクロファン−4−イル)エチル]−N−プロピルアミン(A5−8:R=OMe,Cy=[2.2]パラシクロファン−4−イル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。フラッシュ・クロマトグラフィーは、1%(v/v)ジメチルエチルアミンの存在で、ヘキサン/エチルアセテート40/10を使用して実施され、化合物13を得た。
生産量:22mgの無色オイル(65%)。
MS(EIMS):m/z440(M).IR(NaCl)v(cm−1):3359,3033,2929,2852,1586,1464,1436,1331,1265,1085,768,737,716.HNMR(CDCl,360MHz)δ(ppm):0.94(t,J=7.3Hz,3H),1.49−1.64(m,3H),2.01(m,1H),2.31−3.16(m、18H),3.36(m,2H),6.13(m,1H),6.37−6.52(m,5H),6.59(d,J=7.9Hz,1H),6.64−6.69(m,2H),6.98(t,J=8.0Hz,7.7Hz,1H).13CNMR(CDCl,150MHz)δ(ppm):12.0,22.2,25.5,25.5,25.6,25.7,30.1,30.2,336.6,33.7,34.3,35.0,35.3,51.8,51.9,53.1,53.2,57.2,57.3,111.9,120.7,120.8,123.0,126.2,129.1,130.4,130.5,132.1,132.2,133.1,133.3,134.6,134.7,135.1,135.4,137.5,137.7,138.1,138.2,1039.3,139.4,139.5,139.7,140.0,140.1,153.8.
【0184】
2e. さらなる例示化合物の合成
化学式Iに係る例示化合物の合成は、上述されたような反応条件下(上記2a〜2d)で達成されるものである。
【0185】
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A5−9:R=OMe,Cy=3−チエニル)
合成は、N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=OMe)及び3−チエニル酢酸(A3−9:Cy=チエニル)(シグマ−アルドリッヒ、ミューニッヒ(ドイツ)注文番号:220639により購入可能)を使用する時に、A4−1若しくはA4−4の調合及びそれに続くA5−1の合成に係る反応によって実施された。
【0186】
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A7−9:Cy=3−チエニル)
合成は、N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A5−9:R=OMe,Cy=3−チエニル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。
【0187】
N−(2−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−10:R=OMe,Cy=2−ベン[b]チエニル)
合成は、N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=OMe)及び2−ベンゾ[b]チエニル酢酸(A3−10:R=OMe,Cy=2−ベンゾ[b]チエニル)(レアケミカルズ、キール(ドイツ)注文番号:GTHW0344で購入可能)を使用するときに、A4−1若しくはA4−4の調合及びそれに続くA5−1の合成による反応によって実施された。
【0188】
N−(2−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A7−10:Cy=2−ベンゾ[b]チエニル)
合成は、N−(2−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−10:R=OMe,Cy=2−ベンゾ[b]チエニル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。
【0189】
N−(3−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−11:R=OMe,Cy=3−ベンゾ[b]チエニル)
合成は、N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=ONMe)及び3−ベンゾ[b]チエニル酢酸(A3−11:OMe,Cy=ベンゾ[b]チエニル)(アルファアエサル、カールスルーエ(ドイツ);注文番号:LO5855若しくはメイブリッジ、チンタゲル、コーンウォール(イギリス);注文番号:S11080から購入可能)を使用する時に、A4−1又はA4−4の調合及びそれに続くA5−1の合成による反応によって実施された。
【0190】
N−(3−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A7−11:Cy=3−ベンゾ[b]チエニル)
合成は、N−(3−ベンゾ[b]チエニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−11:R=OMe,Cy=3−ベンゾ[b]チエニル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。
【0191】
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−(2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン(A5−12:R=OMe,Cy=2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル)
合成は、N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A5−12:R=OMe)及び2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル酢酸(A3−12:R=OMe,Cy=2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル)(アワノ,K.Chem Pharm Bull 1992,第40巻、631頁;ローバー、S Bioorg Med Chem Lett 2002,第12巻、2377頁:文献に基づいて合成)を使用する時に、A4−1もhしくはA4−4の調合及びそれに続くA5−1の合成による反応によって実施された。
【0192】
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン(A7−12:Cy=2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル)
合成は、N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン(A5−12:R=OMe,Cy=2−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。
【0193】
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン(A5−13:R=OMe,Cy=3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル)
合成は、N(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン(A2−1:R=OMe)及び3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル酢酸(A3−13:R=OMe,Cy=ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル)(グマイナー、P.Arch Pharm 1988,第321巻、517頁:文献に基づいて合成)を使用するときに、A4−1若しくはA4−4の調合及びそれに続くA5−1の合成による反応によって実施された。
【0194】
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン(A7−13:Cy=3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル)
合成は、N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−(3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニルエチル)アミン(A5−13:R=OMe,Cy=3−ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル)を使用する時に、A7−1の調合によって実施された。
【0195】
R=OR1及びR1=−C(=O)R2を有する化学式Iに係る例示化合物は、必ず化学式8に係る化合物を得ることができるエステルを形成するために共通の条件下で、化学式8による適当な酸誘導体との化学式A7による化合物の反応を介して合成される。
【0196】
【化22】

【0197】
ここで、化学式A7,A8及びA9のいずれか1つにおいて、残留物R2及びCyは、上記に定義され、化学式Iの化合物に関する開示されたものであり、さらにWは、クロロ、ブロモ若しくはアルキルカルボニルオキシから選択される。
【0198】
酢酸7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル(A9−1:R2=Me,Cy=2−チエニル)
エステルA9−1の合成は、例えば数時間室温でピリジンにエステル基を形成するための標準条件によって、N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(A7−1:Cy=2−チエニル)が塩化酢酸(A8−1:W=Cl,R2=Me)と反応する時に、実施された。
【0199】
炭酸エチル7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル(A9−2:R2=エチルオキシ、Cy=2−チエニル)
エステルA9−2の合成は、例えば数時間室温でピリジンにエステル基を形成するための標準条件によって、N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(A7−1:Cy=2−チエニル)が塩化エトキシカルボニル(A8−2:W=Cl,R2=エチルオキシ)と反応する時に、実施された。
【0200】
化学式A11(n=1,2,3)によって特定されるヒドロキシ置換(C1−C6)アルキルカルボニルオキシ基と等しいRを有する化学式Iによる化合物を合成するために、適当な酸誘導体が、化学式A10(n=1,2,3)による異なる環の補足による環状無水酸を使用することによって導入され、ボラン(BH)のような複合水素化物によって還元されるω−置換カルボキシ誘導体を得ることができ、n=1,2若しくは3を有し且つ上記に記載され、化学式Iの化合物に関する開示において定義されたようなCyを有する化学式A11による化合物を得ることができる。
【0201】
【化23】

【0202】
4−ヒドロキシブタン酸7−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルエステル(A11−1:n=1)
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(A7−1:Cy=2−チエニル)のコハク酸無水物との例えばピリジンにおいて数時間室温で実施される標準アシル化条件による反応は、BHによって還元される適当なコハク酸モノエステルを生じ、4−ヒドロキシブタン酸エステルA11−1(n=2)を得るものである。
【0203】
5−ヒドロキシペンタ酸7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン1−イルエステル(A11−2:n=2)
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン(A7−1:Cy=2−チエニル)のグルタル酸無水物(A10−2:n=2)との例えばピリジンにおいて数時間室温で実施される標準アシル化条件による反応は、BHによって還元される適当なグルタル酸モノエステルを生じ、5−ヒドロキシペンタ酸エステルA11−2(n=12)を得るものである。
【0204】
化学式A12によって特定されるS(C1−C3)アルキル基と等しいRを有する化学式Iによる化合物の合成は、上述したように誘導体化された化学式A1(R=Hal)によるハロゲン置換前駆体で回避される時に実施され、化学式I(R=Hal)による化合物を得るものである。n−ブチルリチウムを用いるハロゲン金属交換と、硫化アルキルを有する金属原子の最終置換は、化学式12によるアルキルチオ置換化合物を生じる。
【0205】
【化24】

【0206】
N−(8−メチルチオテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A12−1:(C1−C3)アルキル=Me,Cy=2−チエニル)
8−ブロモ−2−テトラロン前駆体(A1−2:R=Br)(EP0385658によって利用可能)は、A2−1,A4−1若しくはA4−4及びA5−1に関して記載されるように反応し、化学式I(R=Br,Cy=2−チエニル)によるN−(8−ブロモテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミンを得られる。n−ブチルリチウムを使用するTHFにおけるハロゲン金属交換は、結果として、ジメチルジスルフィドと反応する8−リチオ化誘導体を生じ、A12−1を生じる。
【0207】
化学式I(R=ジ(C1−C3)アルキルアミノ若しくはNHR3)によるテトラリン骨格の8位置に窒素を有する化合物の調合は、8−ニトロ−2−+テトラロン(A1−3)から開始される。A2−1に関して記載されるように還元的アミノ化及びそれに続く化学式3による酸誘導体を使用するアミノ化は、化学式A4−7に表示されるようなアミドを生じる。水素化アルミニウムリチウムのような複合水素化物を有するアミド基の還元は、第3級アミンの形成及び化学式13による化合物の8位置におけるアミノ基に対するニトロの還元を生じる。
【0208】
【化25】

【0209】
N−(8−アミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A13−1:R’=R”=H,Cy=2−チエニル)
合成は、8−ニトロ−2−テトラロン(A1−3)(アニケム、ノースブルンスヴィック、NJ;注文番号:N10122若しくはアクセルファーマテック、イーストブルンスヴィック、NJ;注文番号:C1061から購入可能)から開始されるA2−1の調合によって実施される。A4−1若しくはA4−4の調合によるアミノ化は、A4−7(Cy=2−チエニル)中間体を与えると共に、ジエチルエーテルにおけるLiAlHで還元され、N−(8−アミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A13−1:R’=R”=H,Cy=2−チエニル)を得る。
【0210】
N−(8−メチルアミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A13−2:R’=Me,R”=H,Cy=2−チエニル)
NaBHCN若しくはNaBH(OAc)の存在で、プロピルアミンの化学量的に等しい量で、N−(8−アミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A13−1:R’=R”=H,Cy=2−チエニル)を還元アミノ化することは、N−(8−メチルアミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A13−2:R’=Me,Cy=2−チエニル)モノメチルアミンを与える。
【0211】
N−(8−ジメチルアミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A13−3:R’=R”=Me,Cy=2−チエニル)
過剰なプロピルアミンとNaBHCN若しくはNaBH(OAc)とによって、N−(8−アミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A13−1:R’=R”=H,Cy=2−チエニル)を還元アミノ化することは、N−(8−ジメチルアミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A13−3:R’=R”=Me,Cy=2−チエニル)ジメチルアミン誘導体を与える。
【0212】
7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルホルムアミド(A13−4:R’=ホルミル,R”=H,Cy=2−チエニル)
アミド形成の一般的な条件下で蟻酸エチルエステルによる第1級アミンN−(8−アミノテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン)A13−1:R’=R”=H,Cy=2−チエニル)のアミノ分解は、7−[N−プロプル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ」テトラリン−1−イルホルムアミド(A13−4:R’=ホルミル,R”=H,Cy=2−チエニル)を得る。
【0213】
7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルカルバミン酸エチルエステル(A13−5:R’=エチルオキシカルボニル,R”=H,Cy=2−チエニル)
ピリジンに存在で、塩化エトキシカルボニルによる第1級アミンN−(8−アミノテトラリン−2−イル)−N−[2−(3−チエニル)エチル]アミン(A13−1:R’=R”=H,Cy=2−チエニル)のアミノ分解は、7−[N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミノ]テトラリン−1−イルカルバミン酸エチルエステル(A13−5:R’=エチルオキシカルボニル,R”=H,Cy=2−チエニル)を与える。
【0214】
B. 生物学的実験
1) 受容体結合分析
受容体結合データは、ヒト受容体及び下記する放射性リガンドを示すクローン細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO))の薄膜調合による競合結合分析を実施する時に測定された:ヒトドーパミン受容体亜類型hD2long、HD2short、D3及びhD4.4での[H]スピロペロン。さらに、豚の線条体組織若しくは皮質組織から調合される薄膜ホモシネートは、所定の放射性リガンドと共に定着し、下記する受容体が調査された:豚皮質pD1ドーパミン受容体での[H]SCH23390、豚線条体p5−HT1aでの[H]WAY100635及び豚皮質p5−HT2セロトニン受容体での[H]ケタンセリンだけでなく、豚皮質pα1での[H]プラゾシン及び豚皮質pα2アドレナリン受容体での[H]RX821002(フェブナー、HJ Med Chem 2000,第43巻、756頁、シュロッター、KJ Med Chem 2005,第48巻、3696頁)。
その結果は、表1に示される。
【0215】
5HT1a受容体でのK値を介してそれぞれの受容体で、いろいろな化合物のK値を分割することによって演算された。その結果は、表2に示される。
【0216】
ここで開示される化学式I及びIIの化合物、特にCyが5員若しくは6員の芳香族若しくは芳香族複素環であるもの、例えば、フェニル基、チエニル基、フラニル基、イミダゾイル基、1,2,3−トリアゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基の群から選択されるもの、その環がここで定義されるような1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されるものは、5−HT1a受容体に対した優れた親和性を示し、ドーパミン受容体及びアドレナリン受容体にわたって著しい選択性を示すものである。特に高い選択性は、Rが例えばヒドロキシル基のような極性基であり、及び/若しくはCyがチエニル若しくはフェニルであるならば、それらの化合物によって示されるものである。表2aは、遊離ヒドロキシル基を有する化学式IIの化合物を、比較対象化合物8−OH−DPATと比較した結果を示すものである。
【0217】
Cyが二重環系Y若しくはアダマンチルである本願発明のそれらの化合物は、低いナノモルK値において表されるドーパミンD2,D3及び/若しくはD4受容体に対するより良い結合を有する傾向にあり、いくつかの例において、結合されたドーパミン/セロトニン受容体作動薬として働くことができるものである(表2b参照)。さらに、それぞれの化合物は、低いナノモル範囲においてEC50値を有する5−HT1a受容体で最大限の作動薬であることを示していた(表3及びb章参照)。
【0218】
【表1】

【0219】
【表2】

【0220】
2) 機能分析
5HT1a受容体活性化は、文献(シュロッター、KJ Med Chem 2005,第48巻、3696頁)に記載されるような[35S]GTPγS分析において測定された。この分析は、放射性リガンド[35S]GTPγSのGPCRsの信号変換のためのプロテインを担持する薄膜への結合の測定に基づいている。[35S]GTPγSの特定の結合は、このGPCRのための作動薬による容量依存性の方法において安定な発現を示すヒト5−HT1a受容体の活性化によって刺激され、その薄膜の放射性標識を測定することによって測定される。結果として生じる容量反応曲線の非線形回帰分析は、受容体を完全に活性化するために必要な最大濃度の半分を示す[nM]単位でのEC50値を生じる。さらに、[%]単位のテスト化合物の最大内活性が、参照化合物セロトニンの効果に関して引き出される。
【0221】
この開示の代表的な化合物の機能テストの結果は、表3に列挙される。参照セロトニン(5−HT)に対する化合物1及び2の代表的な曲線は、図1において示される。
【0222】
化合物1とその(R)−鏡像異性体1aは、セロトニン(=100%)の効果に対して103%の[35S]GTPγSの取り込み及び受容体結合に関する放射性リガンド置換実験において測定されるK値と非常に類似する0.65−1.9nMのEC50値によるヒト5−HT1a受容体での最大の作動薬活性を示す。類似する効果は、8−メトキシ誘導体2及び2並びにアダマンチル置換化合物9に関して測定された。
【0223】
【表3】

【0224】
3) 動物疼痛試験(ホルマリン分析)
ホルマリン分析は、疼痛を治療するための化合物の能力を示す化学的誘導性持続疼痛モデルである。このホルマリンテストは、持続性臨床疼痛の効果的な基本モデルとして広く受容されるものであり、神経障害及び/若しくは炎症性疼痛状態において化合物の有効性を示すものである。
【0225】
化合物1及び比較物(ガバペンチン(商標)100mg/kg)は、24±2gの体重を有するオスのネズミから由来する5若しくは10CD−1(Crl.)の群に投与された。テスト物質及び媒体(0.2%HPMC/0.9%NaCl)は、ホルマリン(0.02mL、2%溶液)の足裏注射の前15分若しくは30分で、腹腔内注射(ガバペチン)若しくは経口強制投与(化合物1)によってそれぞれ投与された。50%以上(≧50%)によるホルマリン注射の後下記する0〜35分間の間5分ごとに記録されたホルマリン誘導性後肢微動時間の減少は、十分な無痛覚活性を示した。また、統計分析は、処理されたテスト化合物と媒体制御群とを比較するダネット検定によって生じる一方向ANOVAを使用することによって実行された。有意性は、P<0.05レベルで考慮される。急性中毒症状及び自律神経系への影響は、テスト化合物の投与後に観察された。
【0226】
化合物1は、10mg/kgの経口投与の後10−20分経過で十分な無痛覚効果が示された(図2及び表4)。前記3mg/kgは、いくつかの効果を示すと共に、1mg投与の後は、無痛覚効果は観察されなかった。このように、化合物1は、経口投与の後、無痛覚効果を容量依存的に示した(表4)。
【0227】
【表4】

【0228】
4) 皮膚浸透
飽和溶液(f1)から及びパッチ(f2)から豚の皮膚を介して化合物1の体外からの浸透が調査された。
【0229】
4.1) 飽和水溶液からの豚の皮膚浸透
浸透実験について、受容体を有する水平細胞と約23mLのpH6.2のリン酸緩衝液が使用された。ドナー細胞は、pH6.2のリン酸緩衝液内に化合物1(2mg/mL)が溶解した飽和溶液を含むものである。この実験は、32℃の温度で実施され、受容体及びドナー媒体はゆっくりと攪拌された。その研究のために、300〜500μmの厚さの豚足皮膚が使用された。この実験は、48時間にわたって3回(n=3)実施された。この期間の間、このなる時間点(2,4,6,8,24及び48時間後)で6つのサンプルが取られた。それぞれ個別の培養時間の後、受容体媒体におけるテスト化合物の濃度は、アセトニトリル/水/TFAにおいて、27nmでのHPLC、20℃、2.0mL/minの流速で分析された。
【0230】
評価:受容体媒体におけるテスト化合物の濃度は、既知の濃度を有する外部標準溶液を使用することによって演算された。その後、テスト化合物の濃度は、線形回帰による培養時間におって関連付けられた。流動速度[μg/cm/h]は、一次方程式の傾きと等しいものである。
【0231】
結果:飽和溶液からの化合物1の平均流動速度は、4.0μg/cm/h(細胞1−3の平均値)であると測定された。
【0232】
4.2) パッチからの豚皮膚透過
この透過実験に関して、2.54cmの拡散面積と約100mLの受容体容積を有するフランツ拡散細胞が使用された。この研究に関して、300〜500μmの厚さの豚足皮膚が使用された。透過実験は、32℃の温度で実行され、受容体媒体(pH6.2のリン酸緩衝液)がゆっくりと攪拌された。疎水性の接着層に約5重量%の化合物1を具備する2.54cmの面積のパッチが、皮膚表面に固定された。この実験は、48時間にわたって3回(n=3)実施された。この期間の間、異なる時間点(2,4,6,8,24及び48時間後)で6つのサンプルが取られた。それぞれ独立した培養時間の後、受容体媒体におけるテスト化合物の濃度は、アセトニトリル/水/TFAにおける275nm、20℃、2.0mL/minで、HPLCによって分析された。
結果:パッチから化合物1の平均流動速度は、4.0μg/cm/hであった。
豚皮膚透過実験の結果は、表5に示される。
【0233】
【表5】

【0234】
飽和水溶液から同じく薬剤含有接着性パッチからの両方による分離された豚皮膚を介する流動速度は、あらゆる点で等しい。非最適化パッチで得られた流動速度は、皮膚を通過して治療効果のある量を供給するのにすでに十分であるように思われる(例えば、20cmのパッチについて24時間当たり2mgの推定供給量)。流動速度のさらなる改善は、パッチの処方の最適化によって可能になるものである。
【0235】
C) 化合物1の物理化学的特性化:
1)pH7.4のPBS緩衝材及び1.5%DMSOを有するSGFにおける化合物1の安定性
化合物1(2mg/mL)の5μLのDMSO貯蔵液は、955μLのpH7.4のPBS緩衝液及び995μLの疑似胃酸(SGF)で希釈された。希釈の後、前記サンプルは、HPLCによってすぐに分析された。最初の注射の後、それぞれのサンプル溶液は、約12時間の期間にわたって繰り返し注射された。
結果:37℃で12時間にわたってpH7.4のPBS緩衝液及び疑似胃酸(pH1−2)における化合物の分解は観察されなかった。
【0236】
2) 融点
化合物1の融点は、DSCによって測定された。その測定は、1℃/minの加熱率を有する有孔鍋において実施された。化合物1の融点(トンセット)は、約97.5℃である。
【0237】
3) XRPD 測定
化合物1の遊離塩基の結晶性は、Cuk−α放射線(λ=1.540Å)を使用するX線ディフラクトグラムによって確認された。2θ°のメインピーク(5%以上の相対強度)は、表6において示され、図3に図示される。
【0238】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式I
【化1】


で示される化合物であって、
RがOR1、ジ(C1−C3)アルキルアミノ基、SH、S(C1−C3)アルキル基若しくはNHR3であること;
R1が、水素、−C(=O)R2基、−SOCF基、又は1つ若しくは複数のハロゲン原子で非置換若しくは置換される(C1−C3)アルキル基であること;
R2が、(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルキルオキシ基、フェニル基、フェニル(C1−C3)アルキル基若しくはフェニル(C1−C3)アルキルオキシ基であり、前記フェニル基が、(C1−C3)アルコキシ基、(C1−C3)アルキル基、水素、若しくはCF3から選択された1つ若しくは複数の置換基で付加的に置換されること;
R3は、水素、(C1−C3)アルキル基、ホルミル基、(C1−C3)アルキルカルボニル基、(C1−C3)アルコキシカルボニル基、若しくは(C1−C3)アルキルアミノカルボニル基であること;
Cyは、芳香族、複素環式芳香族若しくは非芳香族環状基X,Y,Zであり、Xは、1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換された5員若しくは6員芳香族若しくは芳香族複素環であること;
Yは、1つから3つのR5基で非置換若しくは置換されるR5二環芳香族若しくは芳香族複素環システムであり、且つその環システムが、化学式2
【化2】


から選択され、点線が横断した化学結合が、アミノテトラリン骨格へのY基の付着部位を示すこと;
R4及びR5のそれぞれが、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C1−C6)アルキル基、好ましくは(C1−C3)アルキル基、(C1−C6)アルコキシ基、好ましくは(C1−C3)アルコキシ基若しくはCFから独立して選択され、それぞれのアルキル基若しくはアルコキシ基は、1つまたは複数の水素若しくはヒドロキシル基で置換されること;且つ
Zが、その鏡像異性体、溶媒和物及び調剤学的に受容可能な塩を含むメチル及び/若しくはヒドロキシル基で非置換若しくは置換されたアダマンチル基であることを特徴とする化合物。
【請求項2】
前記RがOR1であること、且つR1が、メチル基、水素、若しくは−C(=O)R2基であり、R2が(C1−C6)アルキル基若しくは(C1−C6)アルコキシ基であり、好ましくは(C1−C6)アルキル基であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Cyが、フェニル基、チエニル基、フラニル基、イミダゾリル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基の群から選択され、且つ1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換された5員若しくは6員芳香族若しくは芳香族複素環であることを特徴とする請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
化学式II
【化3】


を有し、
R1が、1つ若しくは複数のハロゲン原子で非置換若しくは置換された水素、−C(=O)R2基若しくは(C1−C3)アルキル基であること;
R2が、(C1−C6)アルキル基、(C1−C6)アルキルオキシ基、フェニル基、フェニル(C1−C3)アルキル基若しくはフェニル(C1−C3)アルキルオキシ基であり、前記フェニル基は、(C1−C3)アルコキシ基、(C1−C3)アルキル基、ハロゲン、若しくはCFから選択される1つ若しくは複数の置換基で付加的に置換されること;
Cyが、フェニル基、チエニル基、フラニル基、1,2,3−トリアゾリル基、1,2,4−トリアゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基の群から選択される5員若しくは6員芳香族若しくは芳香族複素環であること、それらのそれぞれが1若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されること、R4が、ハロゲン、(C1−C3)アルキル基、若しくは(C1−C3)アルコキシ基から独立して選択されること、それぞれのアルキル基若しくはアルコキシ基が、その鏡像異性体、溶媒和物及び調剤学的に受容可能である塩を含む1つ若しくは複数のハロゲン若しくはヒドロキシル基で置換されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
a. R1が、水素、メチル、若しくは−C(=O)R2であり、R2が(C1−C6)アルキル基若しくは(C1−C6)アルキルオキシ基、好ましくは(C1−C3)アルキル基であること、且つ
b. Cyが、チエニル基若しくはフェニル基であること、それぞれが、1つ若しくは2つのR4基で非置換若しくは置換されること、それらが、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C1−C3)アルキル基若しくは(C1−C3)アルコキシ基から選択されること、アルキル基若しくはアルコキシ基のそれぞれは、1つ若しくは複数のハロゲン原子若しくはヒドロキシル基で置換されること;
を特徴とする請求項4記載の化合物。
【請求項6】
a. R1が、水素若しくはメチルであること、且つ
b. Cyが、フェニル基若しくはチエニル基、好ましくはチエニル−2−イル基であること、前記フェニル基が、ハロゲン、ヒドロキシル基、(C1−C3)アルキル基、(C1−C3)アルコキシ基、若しくはCF基から独立して選択される1つ若しくは2つのR4基で付加的に置換されること;
を特徴とする請求項4又は5記載の化合物。
【請求項7】
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(R)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(S)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(R)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
(S)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピル−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン、
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−(2−フェニルエチル)−N−プロピルアミン、
N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−(2−フェニルエチル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(4−メトキシフェニル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(2,5−ジメチルフェニル)エチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(2,5−ジメチルフェニル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(1−アダマチル)エチル]−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−[2−(1−アダマチル)エチル]−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−(2−フェロセニルエチル)−N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
N−(2−フェロセニルエチル)−N−(8−メトキシテトラリン−2−イル)−N−プロピルアミン、
及びそれらの調剤学的に受容可能な塩であって、(R)構造を有するもの
から選択されることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項8】
N−(8−ヒドロキシテトラリン−2−イル)−N−[2−(2−チエニル)エチル]アミン若しくはその調剤学的に受容可能な塩であって、(R)構造においてエナンチオピュアであるもの。
【請求項9】
治療において使用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の少なくとも1つの化合物と、調剤学的に受容可能なキャリアとを具備し、経口投与若しくは経皮パッチのような経皮投与に採用される医薬組成物。
【請求項11】
鬱病、不安障害若しくはパニック障害、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、睡眠障害、疼痛、性的障害、及び運動障害、特にレポドパ遊動性ジスキネジーの群から選択される疾患の治療のための薬剤を調合するための請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−515029(P2013−515029A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545260(P2012−545260)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070194
【国際公開番号】WO2011/076708
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512155146)
【Fターム(参考)】