説明

新規なカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤

【課題】 COMT阻害作用を有する新規な医薬組成物を提供する。
【解決手段】 本発明は、一般式(I):
【化1】


〔式中、RおよびRは、それぞれ水素、低級アシル、低級アルコキシカルボニル等であり;Rは、低級アルキル、ハロ低級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよいヘテロアリール等であり;Rは、シアノ、低級アルコキシカルボニル、カルボキシ等である〕で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する医薬組成物、およびその用途を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病は中高年齢者に好発する進行性の神経変性疾患であり、高齢化社会の進展とともにその患者数が増加している。パーキンソン病は、安静時振戦、固縮、無動、姿勢反射障害などの協調性運動機能障害を主症状とする疾患であり、その病因は中脳黒質ドパミン性神経細胞の変性による線条体ドパミンの欠乏に起因すると考えられている。このようなことから、パーキンソン病の治療薬として、L−ドパおよびドパミンレセプター刺激薬などが使用されている。
【0003】
L−ドパは、ドパミンの前駆物質であり、脳内でドパミンに代謝されて効果を示す薬剤であるが、血中半減期が非常に短い欠点を有する。そのため、L−ドパは、通常L−ドパの代謝酵素阻害剤である、末梢性芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤および/またはカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害剤とともに使用されている。カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(以下、COMTと称する)は、その補酵素であるS−アデノシル−L−メチオニンからカテコール基質へのメチル基の転送を触媒する酵素であり、この酵素を阻害することによりL−ドパから3−O−メチル−L−ドパへの代謝が阻害され、L−ドパの血中半減期が増加し、さらには血液脳関門を透過するL−ドパ量が増加することが知られている。このようにCOMT阻害剤は、L−ドパと一緒に投与することにより、L−ドパの生体内利用率を増加させ、その作用時間を延長させることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
COMT阻害剤は、また、尿中ナトリウム排泄促進作用を有するので高血圧症の治療薬として有用であると期待されている(例えば、非特許文献2参照)。COMT阻害剤は、また、うつ病の治療薬として有用であると期待されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0005】
近年、種々のCOMT阻害剤が報告されている。今日まで知られている最も強力なCOMT阻害剤は、トルカポン(3,4−ジヒドロキシ−4’−メチル−5−ニトロベンゾフェノン,特許文献1参照)およびエンタカポン((E)−2−シアノ−N,N−ジエチル−3−(3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロフェニル)アクリルアミド,特許文献2参照)であり、これら2剤がパーキンソン病患者に使用されている。しかしながら、トルカポンは、重篤な肝機能障害が認められたことから、厳重な肝機能の監視下での投与が必要とされている(例えば、非特許文献4参照)。また、エンタカポンは、トルカポンに比べて効果が弱く、さらに作用持続時間が短い問題点を有している(例えば、非特許文献5参照)。このようなことから、安全性が高く、強力なCOMT阻害作用を有する新規なCOMT阻害剤が望まれている。
【0006】
特許文献3は、COMT阻害作用を有する置換ニトロカテコール誘導体として、炭酸
4,5−ジベンゾイル−2−エトキシカルボニルオキシ−3−ニトロフェニル エステ
ル エチルエステル;(6−ベンゾイル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロフェニル)
フェニルメタノン;(3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロフェニル)フェニルメタノンなどを開示している(特許文献3の実施例4および61参照)。しかしながら特許文献3に開示された表2の結果によれば、これらの化合物の肝COMT阻害活性はエンタカポンに比べて弱いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第237929号明細書
【特許文献2】英国特許出願公開第2200109号明細書
【特許文献3】国際公開第2001/98250号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Nutt J.G.ら,「Lancet」, 1998年, 351巻, 9111号, p.1221-1222
【非特許文献2】Eklof A.C.ら, 「Kidney Int.」, 1997年, 52巻, 3号, p.742-747
【非特許文献3】Moreau J.L.ら, 「Behav. Pharmacol.」, 1994年, 5巻, 3号, p.344-350
【非特許文献4】Benabou R.ら, 「Expert Opin. Drug Saf.」, 2003年, 2巻, 3号, p.263-267
【非特許文献5】Forsberg M.ら, 「J. Pharmacol. Exp. Ther.」, 2003年, 304巻, 2号, p.498-506
【非特許文献6】Koga K.ら,「Eur. J. Pharmacol.」, 2000年, 408巻, p.249-255
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、強力なCOMT阻害作用を有し、好ましくは高い安全性を有する新規な医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、一般式(I)で表されるカテコール誘導体が、優れたCOMT阻害作用を有し、さらには高い安全性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、一般式(I):
【化1】

〔式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基、または−C(O)NR1112を表すか、あるいはRおよびRが一緒になって−C(O)−を形成し;
は、以下のa)〜m):
a)低級アルキル基、
b)ハロ低級アルキル基、
c)シクロアルキル基、
d)ヒドロキシシクロアルキル基、
e)ヘテロシクロアルキル基、
f)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキ
ル基、シアノ基、低級アシル基、低級アルコキシ基、水酸基および低級アルコキシカルボニル基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリール基、
g)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基および水酸基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、
h)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、
i)低級アルコキシ基
j)ハロ低級アルコキシ基、
k)低級アルコキシ低級アルコキシ基、
l)シクロアルキルオキシ基、または
m)−NR1112であり;
は、以下のa)〜f):
a)シアノ基、
b)低級アルコキシカルボニル基、
c)ハロ低級アルコキシカルボニル基、
d)低級アルコキシ低級アルコキシカルボニル基、
e)シクロアルキルオキシカルボニル基、または
f)カルボキシ基であり、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基またはアラルキル基を表すか、あるいはR11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、環状アミノ基を形成する〕
で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を
有効成分として含有する、パーキンソン病、うつ病または高血圧症の治療または予防用である医薬組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を
有効成分として含有する医薬組成物と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬に関する。
【0014】
また、本発明は、一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を
有効成分として含有する医薬組成物と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる、パーキンソン病の治療または予防用の医薬に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の医薬組成物は、強力なCOMT阻害作用を有する上、肝への影響が軽微であり、高い安全性を有する。従って本発明の医薬組成物は、パーキンソン病、うつ病、高血圧症の治療または予防剤として有用であり、特に本発明の医薬組成物と、L−ドパとを組み合わせて使用することにより、L−ドパの生体内利用率を増加させることができるので、パーキンソン病の治療または予防に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般式(I)で表される化合物において、下記の用語は、特に断らない限り、以下の意味を有する。
【0017】
本明細書において、「低級」との用語は、特に断らない限り、炭素数1〜6個を有することを意味する。
【0018】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。
【0019】
「低級アルキル基」とは、直鎖または分岐鎖状のC1−6アルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられる。
【0020】
「ハロ低級アルキル基」とは、1〜3個の同種または異種のハロゲン原子で置換されたC1−6アルキル基を意味し、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基などが挙げられ、好適にはジフルオロメチル基またはトリフルオロメチル基である。
【0021】
「シクロアルキル基」とは、3〜7員の飽和環状炭化水素を意味し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロヘプチル基が挙げられる。
【0022】
「ヒドロキシシクロアルキル基」とは、水酸基で置換された、3〜7員の飽和環状炭化水素を意味し、例えば、3−ヒドロキシシクロプロピル基、2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、および4−ヒドロキシシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0023】
「ヘテロシクロアルキル基」とは、環内に−NH−、−O−または−S−を含有し、炭素原子を介して結合する4〜7員の飽和複素環基を意味し、例えば、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロピラニル基、ピロリジン−2−イル基、ピロリジン−3−イル基、ピペリジン−2−イル基、ピペリジン−3−イル基、ピペリジン−4−イル基などが挙げられる。
【0024】
「アリール基」とは、炭素数6〜10個の芳香族炭化水素を意味し、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられ、好適にはフェニル基である。
【0025】
「アラルキル基」とは、アリール基で置換されたC1−6アルキル基を意味し、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0026】
「ヘテロアリール基」とは、1〜5個の炭素原子ならびにO、NおよびS原子からなる群から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員の単環式芳香族複素環、あるいは1〜9個の炭素原子ならびにO、NおよびS原子からなる群から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する8〜10員の二環式芳香族複素環を意味し、但し、これらの環は、隣接する酸素原子および/または硫黄原子を含まない。単環式芳香族複素環としては、例えば、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジルおよびピリダジニルなどが挙げられ、好適にはチエニル、イソオキサゾリルまたはチアゾリルである。二環式芳香族複素環としては、例えば、インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリルなどが挙げられる。これら
の複素環の全ての位置異性体が考えられる(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルなど)。
【0027】
「低級アシル基」とは、(C1−6アルキル)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、バレリル基、イソバレリル基などが挙げられる。
【0028】
「低級アルコキシ基」とは、直鎖または分岐鎖状のC1−6アルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基
などが挙げられる。
【0029】
「ハロ低級アルコキシ基」とは、1〜3個の同種または異種のハロゲン原子で置換されたC1−6アルコキシ基を意味し、例えば、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基などが挙げられる。
【0030】
「低級アルコキシ低級アルコキシ基」とは、C1−6アルコキシ基で置換されたC1−6アルコキシ基を意味し、例えば、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、3−メトキシプロポキシ基、4−メトキシブトキシ基などが挙げられる。
【0031】
「シクロアルキルオキシ基」とは、(シクロアルキル)−O−で表される基を意味し、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0032】
「低級アルコキシカルボニル基」とは、(C1−6アルコキシ)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカル
ボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
における低級アルコキシカルボニル基は、好適にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基またはイソプロポキシカルボニル基であり、さらに好適にはメトキシカルボニル基またはエトキシカルボニル基である。
【0033】
「ハロ低級アルコキシカルボニル基」とは、(ハロC1−6アルコキシ)−C(O)−で表される基を意味し、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0034】
「シクロアルキルオキシカルボニル基」とは、(シクロアルキル)−O−C(O)−で表される基を意味し、例えば、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0035】
「低級アルコキシ低級アルコキシカルボニル基」とは、(C1−6アルコキシC1−6アルコキシ)−C(O)−で表される基を意味し、2−メトキシエトキシカルボニル基、2−エトキシエトキシカルボニル基、3−メトキシプロポキシカルボニル基などが挙げられる。
【0036】
「環状アミノ基」とは、環内に−NH−、−O−または−S−を含んでもよい、5〜7員の飽和環状アミンを意味し、例えば、1−ピロリジル基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基などが挙げられる。当該環状アミノ基は、必要に応じて1〜2個の低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基で置換されてもよく、このような置換された環状アミノ基として、例えば、4−エトキシカルボニルピペラジノ基、4−メチルカルボニルピペラジノ基などが挙げられる。
【0037】
一般式(I)で表される化合物において1つまたはそれ以上の不斉炭素原子が存在する場合、本発明は各々の不斉炭素原子がR配置の化合物、S配置の化合物、およびそれらの任意の組み合せの化合物のいずれも包含する。またそれらのラセミ化合物、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物が本発明の範囲に含まれる。一般式(I)で表される化合物において幾何学異性が存在する場合、本発明はその幾何学異性体のいずれも包含する。一般式(I)で表される化合物においてアトロプ異性体が存在する場合、本発明はそのアトロプ異性体のいずれも包含する。さらに一般式(I)で表される化合物には、水和物やエタノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
【0038】
一般式(I)で表される化合物は、塩の形態で存在することができる。このような塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸との酸付加塩、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、プロピオン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、炭酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の無機塩基との塩、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、リジン等の有機塩基との塩を挙げることができる。
【0039】
一般式(I)で表される化合物のひとつの実施態様において、
およびRは、好ましくは水素原子であり;
は、好ましくは、以下のa)〜i):
a)低級アルキル基、
b)ハロ低級アルキル基、
c)シクロアルキル基、
d)ヘテロシクロアルキル基、
e)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シアノ基、低級アシル基、低級アルコキシ基、および低級アルコキシカルボニル基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリール基、
f)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、
g)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、
h)低級アルコキシ基、または
i)−NR1112であり、
は、さらに好ましくは、以下のa)〜c):
a)シクロアルキル基、
b)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シアノ基、低級アシル基、低級アルコキシ基、および低級アルコキシカルボニル基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリール基、または
c)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり;あるいは
は、好ましくは、以下のa)〜c):
a)シアノ基、
b)低級アルコキシカルボニル基、または
c)カルボキシ基である。
【0040】
本発明の好ましい実施態様では、
およびRは、水素原子である。
【0041】
本発明のさらに好ましい実施態様では、
およびRは、水素原子であり、
は、以下のa)〜i):
a)低級アルキル基、
b)ハロ低級アルキル基、
c)シクロアルキル基、
d)ヘテロシクロアルキル基、
e)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シアノ基、低級アシル基、低級アルコキシ基、および低級アルコキシカルボニル基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリール基、
f)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、
g)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、
h)低級アルコキシ基、または
i)−NR1112である。
【0042】
本発明のなおさらに好ましい実施態様では、
およびRは、水素原子であり、
は、以下のa)〜i):
a)低級アルキル基、
b)ハロ低級アルキル基、
c)シクロアルキル基、
d)ヘテロシクロアルキル基、
e)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シアノ基、低級アシル基、低級アルコキシ基、および低級アルコキシカルボニル基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリール基、
f)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、
g)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、
h)低級アルコキシ基、または
i)−NR1112であり、
が、以下のa)〜c):
a)シアノ基、
b)低級アルコキシカルボニル基、または
c)カルボキシ基である。
【0043】
本発明の特に好ましい実施態様では、
およびRは、水素原子であり、
は、以下のa)〜c):
a)シクロアルキル基、
b)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シアノ基、低級アシル基、低級アルコキシ基、および低級アルコキシカルボニル基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリール基、または
c)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基であり、
が、以下のa)〜c):
a)シアノ基、
b)低級アルコキシカルボニル基、または
c)カルボキシ基である。
【0044】
本発明の好ましい実施態様の具体例は、以下からなる群から選択される化合物またはその薬理学的に許容される塩である:
2−ベンゾイル−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸エチル;
2−ベンゾイル−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸メチル;
4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロ−2−(チオフェン−2−カルボニル)安息香酸エチル;
4,5−ジヒドロキシ−2−(4−メチルベンゾイル)−3−ニトロベンゾニトリル; 2−シクロヘキサンカルボニル−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロベンゾニトリル;
4,5−ジヒドロキシ−2−(イソオキサゾール−5−カルボニル)−3−ニトロ安息香酸エチル;
4,5−ジヒドロキシ−2−(イソオキサゾール−5−カルボニル)−3−ニトロ安息香酸イソプロピル;
4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロ−2−(チアゾール−2−カルボニル)安息香酸エチル;および
4,5−ジヒドロキシ−2−イソブチリル−3−ニトロベンゾニトリル。
【0045】
一般式(I)で表される化合物は、スキーム1から5に示す方法により製造することができる。
【0046】
【化2】

(式中、RおよびRは前記と同義であり、R10は低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基または−CONR1112を表し、R11およびR12は前記と同義であり、Bnはベンジル基を表す。)
【0047】
工程1−1
ケトン誘導体(X)のベンジル基を、適切な溶媒中、水素雰囲気下、金属触媒の存在下
に除去することにより、フェノール誘導体(XI)が得られる。本反応に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。金属触媒としては、例えば、パラジウム炭素、酸化白金などが挙げられる。その反応温度は、通常、室温〜80℃であり、反応時間は使用する原料や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、30分〜12時間である。
また、この脱ベンジル化は、ケトン誘導体(X)を、不活性溶媒(例えば、塩化メチレ
ン、トルエンなど)中、酸またはルイス酸(例えば、臭化水素、塩化アルミニウム、四塩化チタンなど)を用いて処理することによっても行うことができる。その反応温度は、通常、0℃〜80℃であり、反応時間は使用する原料や溶媒、反応温度等により異なるが、通常15分〜24時間である。
【0048】
工程1−2
フェノール誘導体(XI)を、不活性溶媒中、ニトロ化剤を用いニトロ化することにより、ニトロフェノール誘導体(XII)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、酢酸、テトラヒドロフランなどが挙げられる。ニトロ化剤としては、例えば、硝酸、発煙硝酸、テトラフルオロホウ酸ニトロニウムなどが挙げられる。その反応温度は、通常、−40℃〜80℃であり、反応時間は、使用する原料や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜12時間である。また、本反応は必要に応じて、無水酢酸、硫酸などの添加剤を加えて行ってもよい。
【0049】
工程1−3
ニトロフェノール誘導体(XII)を、不活性溶媒中、脱メチル化剤を用いて脱メチル化
することにより、化合物(Ia)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、酢酸エチル、ピリジン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。脱メチル化剤としては、例えば、塩化アルミニウム−ピリジン、三臭化ほう素などが挙げられる。その反応温度は、通常、−20℃〜120℃であり、反応時間は、使用する原料や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、1時間〜24時間である。
またこの脱メチル化は、ニトロフェノール誘導体(XII)を、酢酸溶媒中または無溶媒
下、臭化水素酸またはヨウ化水素酸で処理することによっても行うことができる。その反応温度は、通常、20℃〜還流温度であり、反応時間は、使用する原料、反応温度などにより異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0050】
工程1−4
化合物(Ia)を、アシル化剤を用いてアシル化することにより、化合物(Ib)が得られる。このようなアシル化は、当業者には周知であり、例えば、T.W.GreeneおよびP.G.H.Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis」第4版に記載された方法に従って行うことができる。
【0051】
化合物(I)のうち化合物(Ic)および化合物(Id)はスキーム2に示す方法により合成することができる。
【0052】
【化3】

(式中、RおよびBnは前記と同義であり、R40は低級アルキル、シクロアルキル、ハロ低級アルキル、アリールまたはヘテロアリール基であり、Xは塩素または臭素原子を表す。)
【0053】
工程2−1
アルデヒド(XIII)を適切な溶媒中、ヨウ素化剤(例えばヨウ素、N−ヨードこはく酸イミド、一塩化よう素など)の存在下ヨウ素化することによりヨードベンズアルデヒド(XIV)が得られる。本反応に用いられる溶媒としては、例えば、塩化メチレン、メタノール、酢酸などが挙げられる。その反応温度は、通常、20℃〜還流温度であり、反応時間は、使用する原料、反応温度などにより異なるが、通常、15分〜24時間である。
また、本反応は必要に応じて、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸銀などの添加剤を加えて行ってもよい。
【0054】
工程2−2
ヨードベンズアルデヒド(XIV)を適切な溶媒中、酸化剤を用いて酸化することにより
カルボン酸(XV)が得られる。本反応に用いられる溶媒として、例えば塩化メチレン、アセトニトリル、水、メタノールなどが挙げられる。酸化剤として、過マンガン酸カリウム、二酸化マンガン、亜塩素酸ナトリウム−過酸化水素、亜塩素酸ナトリウム−ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜80℃であり、反応時間は、使用する原料や溶媒、酸化剤、反応温度によって異なるが、通常15分〜3日である。また、本反応は必要に応じて、リン酸水素ナトリウム、硫酸などの添加剤を加えて行ってもよい。
【0055】
工程2−3
カルボン酸(XV)を不活性溶媒中、塩基の存在下、ヨウ化アルキル(XVI)と反応させ
ることにより、ヨード安息香酸エステル誘導体(XVIII)が得られる。本反応に用いられ
る不活性溶媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。塩基としては、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、炭酸カリウムなどが挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜100℃であり、反応時間は、使用する原料や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常、5分〜24時間である。
また、ヨード安息香酸エステル誘導体(XVIII)は、カルボン酸(XV)およびアルコー
ル(XVII)を、不活性溶媒中(例えば、塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、縮合剤の存在下に縮合させることによっても得ることができる。縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、シアノリン酸ジエチル、アジ化ジフェニルホスホリルなどが挙げられる。また、本反応は必要に応じて、トリエチルアミンなどの塩基を加えて行ってもよい。
【0056】
工程2−4
エステル誘導体(XIX)を適切な溶媒中、ヨウ素化剤(例えば、ヨウ素、N−ヨードこ
はく酸イミド、一塩化よう素など )の存在下ヨウ素化することによりヨード安息香酸エ
ステル誘導体(XVIII)が得られる。本反応に用いられる溶媒としては、例えば、塩化メ
チレン、メタノール、酢酸などが挙げられる。その反応温度は、通常、20℃〜還流温度であり、反応時間は、使用する原料、反応温度などにより異なるが、通常、15分〜24時間である。
また、本反応は必要に応じて、トリフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸銀などの添加剤を加えて行ってもよい。
【0057】
工程2−5
ヨード安息香酸エステル誘導体(XVIII)を不活性溶媒中、有機マグネシウム試薬と反
応させ、その後、酸ハライド(XX)または酸無水物(XXI)と反応させることにより、ケ
トン誘導体(XXII)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランなどが挙げられる。有機マグネシウム試薬としてはイソプロピルマグネシウムクロリドなどが挙げられる。その反応温度は通常−78℃〜50℃であり、反応時間は、使用する原料や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常15分〜2時間である。
【0058】
工程2−6
ケトン誘導体(XXII)を、工程1−1と同様にして、脱ベンジル化することにより、フェノール誘導体(XXIII)が得られる。
【0059】
工程2−7
フェノール誘導体(XXIII)を、塩基の存在下、適切な溶媒中で加水分解することによ
り、カルボン酸誘導体(XXIV)が得られる。本反応に用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、それらの混合溶媒などが挙げられる。塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。その反応温度は通常、室温〜還流温度であり、反応時間は使用する原料や溶媒、反応温度等により異なるが、通常10分〜24時間である。
【0060】
工程2−8
ケトン誘導体(XXII)を、工程2−7と同様にして、加水分解することにより、カルボン酸誘導体(XXV)が得られる。
【0061】
工程2−9
カルボン酸誘導体(XXV)を、工程1−1と同様にして、脱ベンジル化することにより
、カルボン酸誘導体(XXIV)が得られる。
【0062】
以下、スキーム1の工程1−2〜工程1−3と同様にして、エステル誘導体(XXIII)
から化合物(Ic)を合成することができる。また、カルボン酸誘導体(XXIV)から化合物(Id)を合成することができる。
【0063】
化合物(I)のうち化合物(Ic)は、スキーム3に示す方法によって合成することができる。
【0064】
【化4】

(式中、R、R40およびBnは前記と同義であり、Lは臭素原子、ヨウ素原子またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
【0065】
工程3−1
化合物(XXVI)およびアルコール(XVII)を、不活性溶媒中、一酸化炭素雰囲気下、塩基、パラジウム触媒および配位子の存在下に縮合させることにより、エステル誘導体(XXII)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、トルエンなどが挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。パラジウム触媒としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、酢酸パラジウムなどが挙げられる。配位子としては、例えば、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。その反応温度は、通常、80℃〜110℃であり、反応時間は使用する原料や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1時間〜24時間である。
【0066】
以下、スキーム1の工程1−1〜工程1−3と同様にして、エステル誘導体(XXII)から化合物(Ic)を合成することができる。
【0067】
化合物(I)のうち化合物(Ie)は、スキーム4に示す方法によって合成することができる。
【0068】
【化5】

(式中、R、BnおよびXは前記と同義である。)
【0069】
工程4−1
ヨードベンズアルデヒド(XIV)を適切な溶媒中、ヒドロキシルアミンの存在下オキシ
ム化することにより、オキシム(XXVII)が得られる。本反応に用いられる溶媒としては
、例えば、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。その反応温度は、通常、20℃〜還流温度であり、反応時間は、使用する原料、反応温度などにより異なるが、通常、15分〜24時間である。また、本反応は必要に応じて、酢酸ナトリウムなどの添加剤を加えて行ってもよい。
【0070】
工程4−2
オキシム(XXVII)を不活性溶媒中、塩基の存在下もしくは塩基を溶媒として、酸無水
物、酸ハライド、スルホン酸無水物、スルホニルクロリドもしくは塩化チオニルと反応させることによりニトリル誘導体(XXVIII)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒と
しては、例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。酸無水物としては、例えば、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物などが挙げられる。酸ハライドとしては、アセチルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリドなどが挙げられる。スルホン酸無水物としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物 などが挙げられる。スルホニルクロリドとしては、例えば、メ
タンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホン酸クロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリドなどが挙げられる。その反応温度は、通常、−20℃〜110℃であり、反応時間は使用する原料や溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜24時間である。
【0071】
工程4−3
カルボン酸(XV)を、不活性溶媒中、縮合剤の存在下にアンモニア、アンモニア水、アンモニアの塩および塩基(例えば、トリエチルアミンなど)と縮合させることにより、アミド誘導体(XXIX)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、およびそれらの混合溶媒などが挙げられる。縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、シアノリン酸ジエチル、アジ化ジフェニルホスホリルなどが挙げられる。
また、アミド誘導体(XXIX)は、カルボン酸(XV)を、常法に従って、その反応性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、ベンゾトリアゾール−1−イルエステル、4−ニトロフェニルエステル、2,5−ジオキサピロリジンエステルなど)に変換後、塩基の存在下または非存在下にアンモニア水、アンモニア、アンモニアの塩と縮合させることによっても得ることができる。この縮合反応に用いられる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、およびそれらの混合溶媒などが挙げられる。塩基としては、例えば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリンなどが挙げられる。その反応温度は、通常、−20℃〜還流温度であり、反応時間は使用する原料や溶媒、反応温度等により異なるが、通常、15分〜24時間である。
【0072】
工程4−4
アミド誘導体(XXIX)を、不活性溶媒中、塩基の存在下もしくは塩基を溶媒として、酸無水物、酸ハライド、スルホン酸無水物、スルホニルクロリドもしくは塩化チオニルと反応させることにより、ニトリル誘導体(XXVIII)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。塩基としては例えばトリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。酸無水物としては、例えば、無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物が挙げられる。酸ハライドとしてはアセチルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリドなどが挙げられる。スルホン酸無水物としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸無水物などが挙げられる。スルホニルクロリドとしてはメタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホン酸クロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリドなどが挙げられる。その反応温度は、通常、−20℃〜110℃であり、反応時間は使用する原料や溶媒、反応温度等により異なるが、通常30分〜24時間である。
【0073】
工程4−5
ニトリル誘導体(XXVIII)を、不活性溶媒中、有機マグネシウム試薬と反応させ、その後、酸ハライド(XX)または酸無水物(XXI)と反応させることにより、ケトン誘導体(XXX)が得られる。本反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフランなどが挙げられる。有機マグネシウム試薬としては、イソプロピルマグネシウムクロリドなどが挙げられる。その反応温度は、通常、−78℃〜50℃であり、反応時間は、使用する原料や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常15分〜2時間である。
【0074】
以下、スキーム1の工程1−1〜工程1−3と同様にして、ニトリル誘導体(XXX)か
ら化合物(Ie)を合成することができる。
【0075】
化合物(I)のうち化合物(Ie)は、スキーム5に示す方法によって合成することができる。
【0076】
【化6】

(式中、R、BnおよびLは前記と同義である。)
【0077】
工程5−1
化合物(XXVI)を、不活性溶媒中、シアノ化剤、パラジウム触媒、配位子の存在下に縮合させることにより、ニトリル誘導体(XXX)が得られる。本反応に用いられる不活性溶
媒としては、例えば、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、1−メチル−2−ピロリジノンなどが挙げられる。シアノ化剤としては、例えば、シアン化第一銅、シアン化カリウムなどが挙げられる。触媒としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などが挙げられる。配位子としては、例えば、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンなどが挙げられる。その反応温度は、通常、80℃〜110℃であり、反応時間は、使用する原料や溶媒、反応温度等により異なるが、通常1時間〜24時間である。また、本反応は、必要に応じて、シアン化テトラエチルアンモニウムなどの添加剤を加えて行ってもよい。
【0078】
以下、スキーム1の工程1−1〜工程1−3と同様にして、ニトリル誘導体(XXX)か
ら化合物(Ie)を合成することができる。
【0079】
上記に示したスキームは、化合物(I)またはその製造中間体を製造するための方法のい
くつかの例示であり、当業者には容易に理解され得るようにこれらのスキームの様々な改変が可能である。
【0080】
一般式(I)で表される化合物、および当該化合物を製造するために使用される中間体は、必要に応じて、当該分野の当業者には周知の単離・精製手段である溶媒抽出、結晶化、再結晶、クロマトグラフィー、分取高速液体クロマトグラフィーなどの操作を行うことにより、単離・精製することができる。
【0081】
このようにして製造される化合物(I)は、優れたCOMT阻害作用を有するのでパーキ
ンソン病の治療または予防薬として有用であり、好適にはL−ドパと組み合わせて使用される。また、化合物(I)およびL−ドパと、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害
剤とを組み合わせて使用してもよい。本発明の医薬組成物と組み合わせて使用できる芳香
族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤としては、例えば、カルビドパ、ベンセラジドなどが挙げられる。
また、必要に応じて、COMT阻害剤およびL−ドパ以外のパーキンソン治療剤をさらに組み合わせて使用してもよい。このようなパーキンソン病治療薬としては、例えば、ドロキシドパ、メレボドパ、スレオドプス;ドパミンD受容体アゴニスト(例えば、カベルゴリン、メシル酸ブロモクリプチン、テルグリド、塩酸タリペキソール、塩酸ロピニロール、メシル酸ペルゴリド、塩酸プラミペキソール、ロチゴチンなど);抗コリン剤(例えば、プロフェナミン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸マザチコール、ピペリデン、塩酸ピロヘプチン、塩酸メチキセンなど);アデノシンA2A拮抗剤(例えば、イストラデフィリンなど);NMDA拮抗剤(例えば、ブジピンなど);モノアミンオキシダーゼB阻害剤(例えば、塩酸セレギリン、メシル酸ラサギリン、メシル酸サフィナミドなど);ゾニサミド;塩酸アマンタジンなどが挙げられる。
【0082】
本発明の医薬組成物は、また、うつ病の治療または予防薬として有用である。本発明の医薬組成物は、また、尿中ナトリウム排泄促進作用を有するので高血圧症の治療薬として有用である。
【0083】
本発明の医薬組成物は、用法に応じ種々の剤型のものが使用される。このような剤型としては例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、液剤、軟膏剤、坐剤、貼付剤などを挙げることができ、経口または非経口的に投与される。
【0084】
これらの医薬組成物は、その剤型に応じ製剤学的に公知の手法により、適切な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤などの医薬品添加物と適宜混合または希釈・溶解することにより調剤することができる。
【0085】
本発明の医薬組成物に有効成分として含有される一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩の投与量は、患者の年齢、性別、体重、疾患および治療の程度等により適宜決定されるが、経口投与の場合成人1日当たり約10mg〜約3000mgの範囲で、非経口投与の場合は、成人1日当たり約5mg〜約1000mgの範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。
【0086】
本発明の医薬組成物と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなるパーキンソン病の予防または治療剤等の医薬は、これらの有効成分を一緒に含有する製剤、またはこれらの有効成分の各々を別々に製剤化した製剤として投与することができる。別々に製剤化した場合、それらの製剤を別々にまたは同時に投与することができる。また、別々に製剤化した場合、それらの製剤を使用時に希釈剤などを用いて混合し、同時に投与することができる。
【0087】
本発明の医薬組成物と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなるパーキンソン病の予防または治療剤等の医薬において、薬剤の配合比は、患者の年齢、性別、および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせなどにより、適宜選択することができる。
【0088】
本発明の内容を以下の参考例、製造例および実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【実施例】
【0089】
参考例1−1
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンズアルデヒド
4−ベンジルオキシ−3−メトキシベンズアルデヒド(10g)、トリフルオロ酢酸銀(11.4g)および塩化メチレン(105mL)の混合物にヨウ素(13.1g)を室温下加えた。2時間撹拌した後、混合物をセライト(登録商標)層を通して濾過した。濾液を亜硫酸水素ナトリウム水溶液および食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をメタノール:水=4:1にて粉砕し、表題化合物(13.2g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.91(3H, s), 5.19(2H, s), 7.30-7.50(7H, m), 9.86(1H, s)
【0090】
4−ベンジルオキシ−3−メトキシベンズアルデヒドの代わりに対応するジオキシベンゼンを用い参考例1−1と同様の方法により、参考例1−2〜参考例1−3を合成した。これらを表1に示した。
【0091】
【表1】

【0092】
参考例1−2〜参考例1−3の物性値を以下に示した。
【0093】
参考例1−2
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.95(3H, s), 5.16(2H, s), 7.29-7.47(6H, m), 7.48(1H, s), 9.84(1H, s)
【0094】
参考例1−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.89(3H, s), 3.91(3H, s), 5.15(2H, s), 7.30-7.50(7H, m)
【0095】
参考例2−1
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンズアルデヒドオキシム
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンズアルデヒド(参考例1−1)(12.2g)、塩酸ヒドロキシルアミン(2.54g)、酢酸ナトリウム(6g)およびエタノール(170mL)の混合物を70℃で1.5時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮した。残渣に水を加え、混合物を室温で30分撹拌した。固形物を濾取し、表題化合物(12.8g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.88(3H, s), 5.13(2H, s), 7.19(1H, s), 7.29(1H, s), 7.30-7.50(6H, m), 8.30(1H, s)
【0096】
参考例3−1
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンゾニトリル
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンズアルデヒドオキシム(参考例2−1)(20.8g)、トリエチルアミン(22.7mL)およびテトラヒドロフラン(181mL)の混合物に氷冷下、トリフルオロ酢酸無水物(23mL)を加えた。室温で1時間撹拌した後、混合物に2mol/L塩酸、酢酸エチルを加えた。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をメタノールで粉砕し表題化合物(10.25g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.87(3H, s), 5.15(2H, s), 7.05(1H, s), 7.31(1H, s), 7.30-7.42(5H, m)
【0097】
参考例3−1は参考例4−1に示す方法によっても合成することができる。
参考例4−1
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンゾニトリル
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンズアミド(参考例6−3)(5.25g)
および塩化メチレン(70mL)の混合物に0℃でトリエチルアミン(8.2mL)およびトリフルオ
ロメタンスルホン酸無水物(4.6mL)を加えた。混合物を0℃で20分、室温で3.5時間
、還流下で1時間撹拌した。0℃まで冷却後、混合物にトリエチルアミン(4mL)および トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.3mL)を加えた。室温で終夜撹拌した後、混合物に
氷水、1mol/L塩酸を加えた。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を1mol/L塩酸および食塩水で順次洗浄した後、減圧下濃縮した。残渣、酢酸エチル、塩化メチレン、シリカゲルおよびアミノプロピルシリカゲルの混合物を30分撹拌した。混合物をセライト(登録商標)層に通した。濾液を減圧下濃縮した。残渣をメタノールで粉砕し表題化合物(3.72g)を得た。
【0098】
参考例5−1
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンズアルデヒド(参考例1−1)(20g)、ジメチルスルホキシド(19mL)、濃硫酸(3mL)、水(30mL)およびアセトニトリル(181mL)の混合物に亜塩素酸ナトリウム(9.8g)および水(30mL)の混合物を加えた。室温で30分撹拌した後、混合物に水を加えた。不溶物を濾取し、表題化合物(20.3g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.88(3H, s), 5.15(2H, s), 7.31-7.46(6H, m), 7.56(1H, s)
【0099】
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンズアルデヒドの代わりに対応するベンズアルデヒドを用い参考例5−1と同様の方法により、参考例5−2〜参考例5−3を合成した。これらを表2に示した。
【0100】
【表2】

【0101】
参考例5−2〜参考例5−3の物性値を以下に示した。
【0102】
参考例5−2
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.84(3H, s), 5.11(2H, s), 7.30-7.50(6H, m), 7.56(1H, s), 13.00(1H, br)
【0103】
参考例5−3
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.91(3H, s), 5.25(2H, s), 7.33-7.47(5H, m), 7.51(1H, s), 7.67(1H, s), 13.59(1H, br s)
【0104】
参考例6−1
(5−ベンジルオキシ−2−ヨード−4−メトキシフェニル)ピペリジン−1−イルメタノン
5−ベンジルオキシ−2−ヨード−4−メトキシ安息香酸(参考例5−2)(1.92g)、
ピペリジン(0.74mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(12mL)の混合物に1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(676mg)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル
)カルボジイミド塩酸塩(1.44g)を室温で加え、混合物を室温下6時間撹拌した。酢酸エ
チルを加え、混合物を2mol/L塩酸に注いだ。有機層を水、炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順次洗浄後、減圧下濃縮した。残渣、アミノプロピルシリカゲルおよび塩化メチレンの混合物を30分撹拌した後、不溶物を濾去した。濾液を減圧下濃縮し、表題化合物(2.13g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.21-1.71(6H, m), 2.97-3.14(2H, m), 3.56-3.81(2H, m), 3.88(3H, s), 5.05-5.18(2H, m), 6.70(1H, s), 7.22(1H, s), 7.27-7.40(5H, m)
【0105】
5−ベンジルオキシ−2−ヨード−4−メトキシ安息香酸およびピペリジンの代わりに対応するカルボン酸およびアミンを用い参考例6−1と同様の方法により、参考例6−2〜参考例6−9を合成した。これらを表3に示した。
【0106】
【表3】

【0107】
参考例6−2〜参考例6−9の物性値を以下に示した。
【0108】
参考例6−2
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.34(3H, s), 3.42(3H, brs), 3.94(3H, s), 5.22(2H, s), 7.08(1H, s), 7.12(1H, s), 7.25-7.45(5H, m)
【0109】
参考例6−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.88(3H, s), 5.13(2H, s), 5.50-6.20(2H, m), 7.13(1H, s), 7.25-7.50(6H, m)
【0110】
参考例6−4
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.93(3H, m), 1.27(3H, m), 3.04-3.20(2H, m), 3.48-3.61(2H, m), 3.92(3H, s), 5.21(2H, s), 6.86(1H, s), 7.09(1H, s), 7.30-7.41(5H, m)
【0111】
参考例6−5
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.82-1.89(2H, m), 1.93-2.00(2H, m), 3.18(2H, t, J=6.7Hz), 3.65(2H, t, J=7.0Hz), 3.92(3H, s), 5.20(2H, s), 6.96(1H, s), 7.10(1H, s), 7.31-7.42(5H, m)
【0112】
参考例6−6
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.38-1.53(2H, m), 1.60-1.75(4H, m), 3.09-3.27(2H, m), 3.62-3.79(2H, m), 3.92(3H, s), 5.19(2H, s), 6.91(1H, s), 7.09(1H, s), 7.31-7.42(5H, m)
【0113】
参考例6−7
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.40-1.64(6H, m), 1.80-1.86(2H, m), 3.18(2H, t, J=6.0Hz), 3.67(2H, t, J=5.9Hz), 3.92(3H, s), 5.21(2H, s), 6.84(1H, s), 7.09(1H, s), 7.30-7.40(5H, m)
【0114】
参考例6−8
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.22(2H, m), 3.58(2H, m), 3.78(4H, m), 3.93(3H, s), 5.21(2H, s), 6.91(1H, s), 7.10(1H, s), 7.31-7.40(5H, m)
【0115】
参考例6−9
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.28(3H, t, J=7.0Hz), 3.14-3.84(8H, m), 3.93(3H, s), 4.17(2H, q, J=7.0Hz), 5.21(2H, s), 6.91(1H, s), 7.11(1H, s), 7.32-7.40(5H, m)
【0116】
参考例7−1
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸エチル
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸(参考例5−1)(2g)、2−ヨードエタン(0.5mL)、炭酸カリウム(1.08g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(17mL)の混合物を室温で2時間撹拌した。混合物に水を加えた。不溶物を濾取し、表題化合物(2.07g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.41(3H, t, J=7.1Hz), 3.89(3H, s), 4.38(2H, q, J=7.1Hz), 5.15(2H, s), 7.30-7.46(7H, m)
【0117】
参考例7−2
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸イソプロピル
2−ヨードエタンの代わりに2−ヨードプロパンを用い参考例7−1と同様の方法により表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.39(6H, d, J=6.3Hz), 3.89(3H, s), 5.15(2H, s), 5.21-5.29(1H, m), 7.30-7.45(7H, m)
【0118】
参考例8−1
4−ベンジルオキシ−5−メトキシ−2−(ピペリジン−1−カルボニル)安息香酸イソプロピル
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(157mg)、1,1’−ビス(ジ
フェニルホスフィノ)フェロセン(380mg)およびN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)の
混合物をアルゴン雰囲気下10分撹拌した。混合物に(5−ベンジルオキシ−2−ヨード−4−メトキシフェニル)ピペリジン−1−イルメタノン(参考例6−1)(1.55g)、2
−プロパノール(10mL)およびトリエチルアミン(1.44mL)を加えた。一酸化炭素雰囲気下、混合物を90℃で14時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物に酢酸エチルおよび2mol/L塩酸を加えた。分取した有機層を水、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液および食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:15%−45%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製して表題化合物(258mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.10-1.80(12H, m), 2.82-3.30(3H, m), 3.94(3H, s), 4.05-4.20(1H, m), 5.10-5.30(3H, m), 6.71(1H, s), 7.28-7.42(5H, m), 7.52(1H, s)
【0119】
参考例8−2
4−ベンジルオキシ−5−メトキシ−2−(ピペリジン−1−カルボニル)安息香酸エチル
2−プロパノールの代わりにエタノールを用い参考例8−1と同様の方法により、表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.10-1.75(9H, m), 2.91-3.50(3H, m), 3.91-4.05(4H, m), 4.31(2H, q, J=7.0Hz), 5.20(2H, br s), 6.72(1H, s), 7.28-7.45(5H, m), 7.53(1H, s)
【0120】
参考例9−1
(5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシフェニル)p−トリルメタノール
5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシベンズアルデヒド(1g)およびテトラヒドロフラン(10mL)の混合物に塩氷浴下、p−トリルマグネシウムブロミド(1mol/L テトラヒドロフラン溶液、3.7mL)を滴下した。同温にて10分撹拌した後、混合物に塩化アンモニア水溶液、酢酸エチルおよび2mol/L塩酸を加えた。分取した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:0%−50%酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(1.27g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.32(3H, s), 3.85(3H, s), 5.04-5.20(2H, m), 6.03(1H, d,
J=3.3Hz), 6.99(1H, s), 7.06-7.17(5H, m), 7.27-7.39(5H, m)
【0121】
参考例9−2
(5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシフェニル)シクロヘキシルメタノール
p−トリルマグネシウムブロミドの代わりにシクロヘキシルマグネシウムブロミドを用い参考例9−1と同様の方法により、表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.95-1.18(5H, m), 1.29-1.36(1H, m), 1.46-1.81(7H, m), 3.86(3H, s), 4.70-4.76(1H, m), 5.10-5.23(2H, m), 6.98(1H, s), 7.27-7.45(5H, m)
【0122】
参考例10−1
(5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシフェニル)p−トリルメタノン
(5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシフェニル)p−トリルメタノール(参考例9−1)(1.27g)、二酸化マンガン(2.67g)および塩化メチレン(30mL)の混合物を室温で終夜撹拌した。不溶物をセライト(登録商標)層を通して濾去した。濾液を減圧下濃縮し、表題化合物(1.11g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.42(3H, s), 3.94(3H, s), 5.09(2H, s), 6.91(1H, s), 7.10(1H, s), 7.22(2H, d, J=7.8Hz), 7.29-7.40(5H, m), 7.64(2H, d, J=8.3Hz)
【0123】
参考例10−2
(5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシフェニル)シクロヘキシルメタノン
(5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシフェニル)シクロヘキシルメタノール(参考例9−2)(580mg)、トリエチルアミン(0.797mL)およびジメチルスルホキシド(21mL)の混合物に水冷下、三酸化硫黄ピリジン錯体(684mg)を加えた。室温で1時間撹拌した後、混合物に水、酢酸エチルを加えた。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:0%−50%酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(348mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.14-1.44(5H, m), 1.59-1.87(5H, m), 2.92-3.05(1H, m), 3.89(3H, s), 5.13(2H, s), 6.88(1H, s), 7.04(1H, s), 7.23-7.44(5H, m)
【0124】
参考例11−1
2−ベンゾイル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシ安息香酸エチル
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸エチル(参考例7−1)(1g)およびテトラヒドロフラン(25mL)の混合物にアルゴン雰囲気下−78℃で、イソプロピルマグネシウムクロリド(2.0mol/L テトラヒドロフラン溶液、1.58mL)を加えた。−78℃で10分撹拌した後、混合物に無水安息香酸(1.1g)を加えた。−78℃で30分、室温で30分撹拌した後、混合物に水、2mol/L塩酸および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:0−50%酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製して表題化合物(848mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.98(3H, t, J=7.2Hz), 3.93-4.05(6H, m), 5.18(2H, s), 6.93(1H, s), 7.28-7.66(11H, m)
【0125】
4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシ安息香酸エチルおよび無水安息香酸の代わりに対応するヨードベンゼンおよび酸無水物あるいは酸塩化物を用い参考例11−1と同様の方法により、参考例11−2〜参考例11−31を合成した。これらを表4に示した。
【0126】
【表4】



【0127】
参考例11−2〜参考例11−31の物性値を以下に示した。
【0128】
参考例11−2
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.52(3H, s), 3.99(3H, s), 5.17(2H, s), 6.95(1H, s), 7.27-7.65(11H, m)
【0129】
参考例11−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.95(6H, d, J=6.3Hz), 3.99(3H, s), 4.85-4.97(1H, m), 5.16(2H, s), 6.89(1H, s), 7.29-7.44(7H, m), 7.49-7.59(2H, m), 7.69-7.76(2H, m)
【0130】
参考例11−4
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.09(3H, t, J=7.2Hz), 3.98(3H, s), 4.07(2H, q, J=7.2Hz), 5.17(2H, s), 6.94(1H, s), 7.00-7.15(1H, m), 7.15-7.25(1H, m), 7.25-7.45(5H, m), 7.45-7.60(2H, m), 7.60-7.75(1H, m)
【0131】
参考例11−5
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.04(3H, t, J=7.2Hz), 3.95-4.10(5H, m), 5.18(2H, s), 6.89(1H, s), 7.15-7.50(9H, m), 7.55(1H, s)
【0132】
参考例11−6
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.00(3H, t, J=7.2Hz), 2.40(3H, s), 3.95-4.10(5H, m), 5.16(2H, s), 6.91(1H, s), 7.15-7.25(2H, m), 7.25-7.45(5H, m), 7.54(1H, s), 7.55-7.65(2H, m)
【0133】
参考例11−7
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.01(6H, d, J=6.3Hz), 3.99(3H, s), 4.89-5.01(1H, m), 5.16(2H, s), 6.85(1H, s), 7.28-7.43(5H, m), 7.50-7.61(5H, m)
【0134】
参考例11−8
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.96(6H, d, J=6.3Hz), 3.95(3H, s), 4.01(3H, s), 4.85-5.00(1H, m), 5.17(2H, s), 6.88(1H, s), 7.20-7.50(5H, m), 7.57(1H, s), 7.70-7.85(2H, m), 8.00-8.15(2H, m)
【0135】
参考例11−9
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.13(6H, d, J=6.3Hz), 3.99(3H, s), 4.95−5.10(1H, m), 5.13(2H, s), 6.92(1H, s), 7.20−7.45(9H, m), 7.55−7.70(1H, m)
【0136】
参考例11−10
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.04(6H, d, J=6.3Hz), 4.02(3H, s), 4.89-5.01(1H, m), 5.19(2H, s), 6.84(1H, s), 7.30-7.42(5H, m), 7.51-7.58(2H, m), 7.78-7.83(1H, m), 7.90-7.93(1H, m), 7.95-8.00(1H, m)
【0137】
参考例11−11
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.02(6H, d, J=6.3Hz), 4.00(3H, s), 4.90-4.99(1H, m), 5.18(2H, s), 6.85(1H, s), 7.29-7.41(5H, m), 7.55(1H, s), 7.68-7.70(2H, m), 7.78-7.80(2H, m)
【0138】
参考例11−12
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.07(3H, t, J=7.1Hz), 3.99(3H, s), 4.09(2H, q, J=7.1Hz), 5.19(2H, s), 6.98(1H, s), 7.00-7.10(1H, m), 7.10-7.20(1H, m), 7.25-7.50(5H, m), 7.53(1H, s), 7.60-7.70(1H, m)
【0139】
参考例11−13
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.05(3H, t, J=7.1Hz), 3.99(3H, s), 4.06(2H, q, J=7.1Hz), 5.19(2H, s), 6.95(1H, s), 7.25-7.60(9H, m)
【0140】
参考例11−14
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.16(3H, t, J=7.2Hz), 4.00(3H, s), 4.13(2H, q, J=7.2Hz), 5.20(2H, s), 6.77(1H, d, J=1.7Hz), 7.04(1H, s), 7.25-7.50(5H, m), 7.53(1H, s),
8.31(1H, d, J=1.7Hz)
【0141】
参考例11−15
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.19(3H, t, J=7.1Hz), 2.48(3H, d, J=1.2Hz), 3.98(3H, s), 4.14(2H, q, J=7.1Hz), 5.18(2H, s), 6.50-6.55(1H, m), 7.08(1H, s), 7.25-7.55(6H, m)
【0142】
参考例11−16
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.13(6H, d, J=6.3Hz), 4.00(3H, s), 4.96-5.05(1H, m), 5.20(2H, s), 6.76(1H, d, J=1.8Hz), 7.01(1H, s), 7.33-7.47(5H, m), 7.54(1H, s), 8.31(1H, d, J=1.8Hz)
【0143】
参考例11−17
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.06(3H, t, J=7.2Hz), 3.90-4.10(5H, m), 5.19(2H, s), 7.14(1H, s), 7.25-7.50(5H, m), 7.54(1H, s), 7.66(1H, d, J=3.0Hz), 7.93(1H, d, J=3.0Hz)
【0144】
参考例11−18
MS (ESI, m/z) :315(M+H)+
【0145】
参考例11−19
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.11(9H s), 1.35(3H, t, J=7.1Hz), 3.95(3H, s), 4.31(2H,
q, J=7.1Hz), 5.21(2H, s), 6.57(1H, s), 7.20-7.45(5H, m), 7.50(1H, s)
【0146】
参考例11−20
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.11(9H, s), 1.33(6H, d, J=6.3Hz), 3.95(3H, s), 5.15-5.21(3H, m), 6.57(1H, s), 7.25-7.40(5H, m), 7.47(1H, s)
【0147】
参考例11−21
MS (ESI, m/z) :383(M+H)+
【0148】
参考例11−22
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.03-3.07(2H, m), 3.22-3.26(2H, m), 3.96(3H, s), 5.18(2H, s),7.19-7.43(12H, m)
【0149】
参考例11−23
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.14(6H, d, J=6.9Hz), 3.35-3.50(1H, m), 3.97(3H, s), 5.26(2H, s), 7.20(1H, s), 7.30-7.50(6H, m)
【0150】
参考例11−24
MS (ESI, m/z) :324(M+H)+
【0151】
参考例11−25
MS (ESI, m/z) :336(M+H)+
【0152】
参考例11−26
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.39-1.87(12H, m), 3.21-3.29(1H, m), 3.97(2H, s), 5.28(2H, s), 7.20(1H, s), 7.29(1H, s), 7.32-7.45(5H, m)
【0153】
参考例11−27
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.57-1.93(4H, m), 3.29-3.51(3H, m), 5.29(2H, s), 7.20(1H, s), 7.30(1H, s), 7.32-7.44(5H, m)
【0154】
参考例11−28
MS (ESI, m/z) :335(M+H)+
【0155】
参考例11−29
MS (ESI, m/z) :349(M+H)+
【0156】
参考例11−30
MS (ESI, m/z) :350(M+H)+
【0157】
参考例11−31
MS (ESI, m/z) :350(M+H)+
【0158】
参考例12−1
4−ベンジルオキシ−2−(2−フルオロベンゾイル)−5−メトキシベンゾニトリル
5−ベンジルオキシ−2−シアノ−4−メトキシ安息香酸(参考例5−3)(502mg)、
2−フルオロフェニルボロン酸(297mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジ
ウム(0)(205mg)、ピロ炭酸ジメチル (2mL)および1,4−ジオキサン(10mL)の混合物
をアルゴン雰囲気下80℃で1.25時間撹拌した。混合物に酢酸エチルおよびフロリジル(登録商標)(2g)を加えた。15分撹拌した後、その混合物をセライト(登録商標)層に通し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:5%−30%酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(338mg
)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.98(3H, s), 5.16(2H, s), 7.08-7.13(1H, m), 7.21-7.22(2H, m), 7.25-7.29(1H, m), 7.34-7.35(5H, m), 7.55-7.61(2H, m)
【0159】
参考例13−1
2−ベンゾイル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシベンゾニトリル
5−ベンジルオキシ−2−シアノ−4,N−ジメトキシ−N−メチルベンズアミド(参考例6−2)(203mg)およびテトラヒドロフラン(3.1mL)の混合物に氷冷下フェニルマグネシウムブロミド(1.08mol/Lテトラヒドロフラン溶液、0.7mL)を加えた。混合物を1.5時間撹拌した。混合物に0℃でフェニルマグネシウムブロミド(1.08mol/Lテトラヒドロ
フラン溶液、0.3mL)を加えた。氷冷下50分撹拌した後、混合物を室温で終夜撹拌した
。混合物にフェニルマグネシウムブロミド(1.08mol/Lテトラヒドロフラン溶液、0.35mL
)を加えた。0℃で1.5時間撹拌した後、混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液、1mol/L塩酸および酢酸エチルを加えた。有機層を1mol/L塩酸、水、食塩水で順次洗浄した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:0%−30%酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(112mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.00(3H, s), 5.18(2H, s), 7.14(1H, s), 7.25(1H, s), 7.30-7.50(7H, m), 7.55-7.70(3H, m)
【0160】
参考例14−1
2−(4−アセチルベンゾイル)−4−ベンジルオキシ−5−メトキシ安息香酸イソプロピル
4−ベンジルオキシ−2−(4−ブロモベンゾイル)−5−メトキシ安息香酸イソプロピル(参考例11−7)(253mg)、1−エトキシビニルトリ−N−ブチルスズ(420mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(90mg)およびトルエン(5mL)の混
合物を撹拌しながらマイクロ波を照射し、180℃で10分間加熱した。混合物を減圧濃縮した。残渣、2mol/L塩酸(5mL)およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出
溶媒:10%−100%酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合
物(198mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.98(6H, d, J=6.3Hz), 2.63(3H, s), 4.00(3H, s), 4.88-4.98(1H, m), 5.17(2H, s), 6.88(1H, s), 7.28-7.42(5H, m), 7.56(1H, s), 7.80(2H, d, J=8.5Hz), 7.97(2H, d, J=8.5Hz)
【0161】
参考例14−2
2−アセチル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシベンゾニトリル
4−ベンジルオキシ−2−(4−ブロモベンゾイル)−5−メトキシ安息香酸イソプロピルの代わりに4−ベンジルオキシ−2−ヨード−5−メトキシベンゾニトリル(参考例3−1)を用い参考例14−1と同様の方法により表題化合物を合成した。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.63(3H, s), 3.97(3H, s), 5.25(2H, s), 7.19(1H, s), 7.32-7.44(5H, m), 7.45(1H, s)
【0162】
参考例15−1
4−ベンジルオキシ−5−メトキシ−2−(4−メチルベンゾイル)ベンゾニトリル
(5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシフェニル)p−トリルメタノン(参考例10−1)(1.11g)、シアン化第一銅(967mg)および1−メチル−2−ピロリジノン(2mL)の混合物を撹拌しながらマイクロ波を照射し、200℃で10分間加熱した。混合物に水、28%アンモニア水および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下濃縮した。残渣をジエチルエーテルで粉砕し、表題化合物(1.08g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.44(3H, s), 3.99(3H, s), 5.17(2H, s), 7.14(1H, s), 7.20-7.25(3H, m), 7.32-7.40(5H, m), 7.58(2H, d, J=8.3Hz)
【0163】
参考例15−2
4−ベンジルオキシ−2−(2−シアノベンゾイル)−5−メトキシ安息香酸イソプロピル
4−ベンジルオキシ−2−(2−ブロモベンゾイル)−5−メトキシ安息香酸イソプロピル(参考例11−9)(600mg)、シアン化第一銅(445mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(114mg)、シアン化テトラエチルアンモニウム(194mg)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(206mg)および1,4−ジオキサン(73mL)の混合
物をアルゴン雰囲気下にて還流下終夜撹拌した。混合物をセライト(登録商標)層に通し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:5%−30%酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製して表題化合物(412mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.02(6H, d, J=6.3Hz), 4.00(3H, s), 4.85-5.05(1H, m), 5.19(2H, s), 6.93(1H, s), 7.20-7.50(6H, m), 7.50-7.70(3H, m), 7.80-7.90(1H, m)
【0164】
(5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−4−メトキシフェニル)p−トリルメタノンもしくは4−ベンジルオキシ−2−(2−ブロモベンゾイル)−5−メトキシ安息香酸イソプロピルの代わりに対応するハロベンゼンを用い参考例15−1または参考例15−2と同様の方法により、参考例15−3〜参考例15−5を合成した。これらを表5に示した。
【0165】
【表5】

【0166】
参考例15−3〜参考例15−5の物性値を以下に示した。
【0167】
参考例15−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.00(3H, s), 5.24(2H, s), 7.19(1H, s), 7.30-7.47(5H, m)
, 7.54(1H, s), 10.23(1H, s)
【0168】
参考例15−4
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.29-1.86(9H, m), 2.07-2.57(1H, m), 3.02-3.56(1H, m), 3.96(3H, s), 5.26(2H, s), 7.31-7.46(6H, m)
【0169】
参考例15−5
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.96(3H, s), 3.97(3H, s), 5.23(2H, s), 7.19(1H, s), 7.30-7.50(5H, m), 7.65(1H, s)
【0170】
参考例16−1
2−ベンゾイル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシ安息香酸
2−ベンゾイル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシ安息香酸エチル(参考例11−1)(947mg)、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(3.64mL)およびエタノール(12mL)の混合物を70℃で3時間撹拌した。混合物に酢酸エチルおよび2mol/L塩酸を加えた。分取した有機層を水、食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し表題化合物(0.87g)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.99(3H, s), 5.17(2H, s), 6.90(1H, s), 7.29-7.44(7H, m), 7.50-7.57(1H, m), 7.61(1H, s), 7.67-7.72(2H, m)
【0171】
2−ベンゾイル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシ安息香酸エチルの代わりに対応する安息香酸エステルを用い参考例16−1と同様の方法により、参考例16−2〜参考例16−3を合成した。これらを表6に示した。
【0172】
【表6】

【0173】
参考例16−2〜参考例16−3の物性値を以下に示した。
【0174】
参考例16−2
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.88(3H, s), 6.79(1H, s), 7.11-7.19(1H, m), 7.23-7.29(1H, m), 7.44(1H, s), 7.95-8.02(1H, m), 10.23(1H, s)
【0175】
参考例16−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.98(3H, s), 5.24(2H, s), 7.23(1H, s), 7.30-7.50(5H, m)
, 7.70(1H, s)
【0176】
参考例17−1
2−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−5−メトキシ安息香酸エチル
2−ベンゾイル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシ安息香酸エチル(参考例11−1)(848mg)および塩化メチレン(30mL)の混合物に四塩化チタン(0.31mL)を室温下で加えた。30分間撹拌した後、混合物に2mol/L塩酸および酢酸エチルを加えた。分取した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:10−100% 酢酸エチル/ヘキサン、グラジエント溶出)で精製して表題化合物(550mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.98(3H, t, J=7.2Hz), 3.97-4.05(5H, m), 7.38-7.45(2H, m), 7.50-7.56(2H, m), 7.73-7.79(2H, m)
【0177】
2−ベンゾイル−4−ベンジルオキシ−5−メトキシ安息香酸エチルの代わりに対応するベンジルエーテルを用い参考例17−1と同様の方法により、参考例17−2〜参考例17−46を合成した。これらを表7に示した。
【0178】
【表7】




【0179】
参考例17−2〜参考例17−46の物性値を以下に示した。
【0180】
参考例17−2
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.54(3H, s), 4.02(3H, s), 6.95(1H, s), 7.38-7.46(2H, m), 7.50-7.56(2H, m), 7.71-7.78(2H, m)
【0181】
参考例17−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.95(6H, d, J=6.3Hz), 4.02(3H, s), 4.89-4.98(1H, m), 6.90(1H, s), 7.37-7.46(2H, m), 7.49-7.58(2H, m), 7.74-7.81(2H, m)
【0182】
参考例17−4
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.09(3H, t, J=7.2Hz), 4.01(3H, s), 4.10(2H, q, J=7.2Hz), 6.02(1H, s), 6.93(1H, s), 7.00-7.15(1H, m), 7.15-7.25(1H, m), 7.45-7.60(2H, m), 7.70-7.85(1H, m)
【0183】
参考例17−5
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.04(3H, t, J=7.2Hz), 3.95-4.15(5H, m), 6.08(1H, s), 6.91(1H, s), 7.15-7.70(5H, m)
【0184】
参考例17−6
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.00(3H, t, J=7.2Hz), 2.40(3H, s), 3.95-4.10(5H, m), 6.04(1H, s), 6.91(1H, s), 7.15-7.25(2H, m), 7.54(1H, s), 7.60-7.70(2H, m)
【0185】
参考例17−7
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.98(6H, d, J=6.3Hz), 2.64(3H, s), 4.03(3H, s), 4.89-4.99(1H, m), 6.90(1H, s), 7.57(1H, s), 7.86(1H, d, J=8.5Hz), 7.99(1H, d, J=8.5Hz)
【0186】
参考例17−8
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.96(6H, d, J=6.3Hz), 3.94(3H, s), 4.03(3H, s), 4.85-5.05(1H, m), 6.07(1H, s), 6.90(1H, s), 7.57(1H, s), 7.75-7.90(2H, m), 8.00-8.15(2H, m)
【0187】
参考例17−9
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.03(6H, d, J=6.3Hz), 4.03(3H, s), 4.90-5.05(1H, m), 6.07(1H, s), 6.94(1H, s), 7.50-7.70(4H, m), 7.80-7.95(1H, m)
【0188】
参考例17−10
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.04(6H, d, J=6.3Hz), 4.04(3H, s), 4.91-5.02(1H, m), 6.88(1H, s), 7.55-7.61(2H, m), 7.79-7.84(1H, m), 7.96-7.99(1H, m), 8.04-8.08(1H, m)
【0189】
参考例17−11
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.02(6H, d, J=6.2Hz), 4.03(3H, s), 4.92-5.00(1H, m), 6.09(1H, s), 6.88(1H, s), 7.56(1H, s), 7.70-7.74(2H, m), 7.85-7.88(2H, m)
【0190】
参考例17−12
1H NMR (DMSO-d) d ppm:3.95(3H, s), 6.79(1H, s), 7.50-7.56(3H, m), 7.61-7.69(3H, m)
【0191】
参考例17−13
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.07(3H, t, J=7.2Hz), 4.02(3H, s), 4.10(2H, q, J=7.2Hz), 6.04(1H, s), 7.00(1H, s), 7.00-7.10(1H, m), 7.25-7.35(1H, m), 7.54(1H, s), 7.60-7.70(1H, m)
【0192】
参考例17−14
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.05(3H, t, J=7.2Hz), 4.01(3H, s), 4.07(2H, q, J=7.2Hz), 6.03(1H, s), 6.97(1H, s), 7.25-7.40(1H, m), 7.45-7.60(2H, m), 7.60-7.70(1H, m)
【0193】
参考例17−15
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.16(3H, t, J=7.1Hz), 4.03(3H, s), 4.13(2H, q, J=7.1Hz), 6.09(1H, s), 6.80-6.90(1H, m), 7.05(1H, s), 7.54(1H, s), 8.30-8.40(1H, m)
【0194】
参考例17−16
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.18(3H, t, J=7.2Hz) 2.48(3H, d, J=0.6Hz), 4.00(3H, s),
4.14(2H, q, J=7.2Hz), 6.02(1H, s), 6.50-6.60(1H, m), 7.05(1H, s), 7.50(1H, s)
【0195】
参考例17−17
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.13(6H, d, J=6.3Hz), 4.03(3H, s), 4.97-5.06(1H, m), 6.10(1H, s), 6.83(1H, d, J=1.9Hz), 7.02(1H, s), 7.54(1H, s), 8.33(1H, d, J=1.9Hz)
【0196】
参考例17−18
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.06(3H, t, J=7.2Hz), 3.95-4.10(5H, m), 6.02(1H, s), 7.11(1H, s), 7.55(1H, s), 7.66(1H, d, J=3.1Hz), 7.93(1H, d, J=3.1Hz)
【0197】
参考例17−19
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.49(3H, s), 3.87(3H, s), 3.97(3H, s), 6.02(1H, s), 6.94(1H, s), 7.34(1H, s)
【0198】
参考例17−20
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.24(9H, s), 1.35(3H, t, J=7.2Hz), 3.97(3H, s), 4.32(2H, q, J=7.2Hz), 6.03(1H, s), 6.72(1H, s), 7.49(1H, s)
【0199】
参考例17−21
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.24(9H, s), 1.34(6H, d, J=6.3Hz), 3.97(3H, s), 5.15-5.24(1H, m), 6.01(1H, s), 6.72(1H, s), 7.46(1H, s)
【0200】
参考例17−22
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.36(3H, t, J=7.1Hz), 4.02(3H, s), 4.38(2H, q, J=7.1Hz), 6.11(1H, brs), 6.96(1H, s), 7.50(1H, s)
【0201】
参考例17−23
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.35(3H, t, J=7.0Hz), 1.40-1.75(6H, m), 3.00-3.58(3H, m), 3.90-4.10(4H, m), 4.32(2H, q, J=7.0Hz), 6.27(1H, s), 6.80(1H, s), 7.51(1H, s)
【0202】
参考例17−24
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.32(6H, d, J=6.3Hz), 1.36-1.81(6H, m), 2.92-3.36(3H, m), 3.93-4.24(4H, m), 5.14-5.24(1H, m), 6.31(1H, s), 6.79(1H, s), 7.50(1H, s)
【0203】
参考例17−25
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.03(3H, s), 6.09(1H, brs), 7.20(1H, s), 7.25(1H, s), 7.45-7.55(2H, m), 7.55-7.70(1H, m), 7.75-7.85(2H, m)
【0204】
参考例17−26
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.44(3H, s), 4.02(3H, s), 7.19(1H, s), 7.24(1H, s), 7.29(2H, d, J=8.1Hz), 7.71(2H, d, J=8.1Hz)
【0205】
参考例17−27
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.06-3.10(2H, m), 3.25-3.29(2H, m), 4.00(3H, s), 6.05(1H, s), 7.19-7.30(6H, m), 7.43(1H, s)
【0206】
参考例17−28
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.02(3H, s), 6.08(1H, s), 7.12-7.17(1H, m), 7.22-7.23(1H, m), 7.24(1H, s), 7.28-7.32(1H, m), 7.55-7.61(1H, m), 7.63-7.67(1H, m)
【0207】
参考例17−29
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.55(3H, s), 3.90(3H, s), 7.46(1H, s), 7.49(1H, s), 10.53(1H, s)
【0208】
参考例17−30
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.22(6H, d, J=6.8Hz), 3.35-3.55(1H, m), 4.00(3H, s), 6.08(1H, s), 7.22(1H, s), 7.42(1H, s)
【0209】
参考例17−31
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.31(9H, s), 3.97(3H, s), 6.10(1H, s), 7.01(1H, s), 7.14(1H, s)
【0210】
参考例17−32
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.50-1.85(4H, m), 1.85-2.05(4H, m), 3.50-3.70(1H, m), 4.00(3H, s), 6.06(1H, brs), 7.22(1H, s), 7.47(1H, s)
【0211】
参考例17−33
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.30-1.94(10H, m), 3.11-3.23(1H, m), 3.98(3H, s), 7.20(1H, s), 7.41(1H, s)
【0212】
参考例17−34
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.47-1.99(12H, m), 3.28-3.39(1H, m), 4.00(3H, s), 7.21(1H, s), 7.39(1H, s)
【0213】
参考例17−35
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.89-2.08(4H, m), 2.80-2.94(1H, m), 3.45-3.56(2H, m), 3.93(3H, s), 3.99-4.09(2H, m), 6.80(1H, s), 7.03(1H, s)
【0214】
参考例17−36
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.06(3H, s), 6.14(1H, s), 7.13(1H, d, J=2.0Hz), 7.30(1H, s), 7.71(1H, s), 8.44(1H, d, J=2.0Hz)
【0215】
参考例17−37
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.50-2.60(3H, m), 4.03(3H, s), 6.07(1H, s), 6.50-6.60(1H, m), 7.27(1H, s), 7.95(1H, s)
【0216】
参考例17−38
MS (ESI, m/z) :260(M+H)+
【0217】
参考例17−39
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.03(3H, s), 6.13(1H, s), 7.10-7.20(1H, m), 7.25(1H, s), 7.35(1H, s), 7.55-7.65(1H, m), 7.75-7.85(1H, m)
【0218】
参考例17−40
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.12(3H, t, J=7.2Hz), 1.28(3H, t, J=7.2Hz), 3.23(2H, q,
J=7.2Hz), 3.58(2H, q, J=7.2Hz), 3.96(3H, s), 6.19(1H, s), 6.94(1H, s), 7.09(1H,
s)
【0219】
参考例17−41
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.78-1.91(4H, m), 3.22(2H, t, J=6.4Hz), 3.45(2H, t, J=6.8Hz), 3.84(3H, s), 6.88(1H, s), 7.40(1H, s), 10.53(1H, br s)
【0220】
参考例17−42
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.46-1.61(6H, m), 3.08-3.23(2H, m), 3.58(2H, br s), 3.84(3H, s), 6.79(1H, s), 7.41(1H, s), 10.57(1H, br s)
【0221】
参考例17−43
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.54-1.69(6H, m), 1.83-1.89(2H, m), 3.31-3.34(2H, m), 3.69-3.72(2H, m), 3.95(3H, s), 6.32(1H, s), 6.93(1H, s), 7.09(1H, s)
【0222】
参考例17−44
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.17-3.27(2H, m), 3.48-3.72(6H, m), 3.84(3H, s), 6.84(1H, s), 7.43(1H, s), 10.63(1H, br s)
【0223】
参考例17−45
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.27(3H, t, J=7.1Hz), 3.23-3.40(2H, m), 3.45-3.70(4H, m), 3.70-3.90(2H, m), 3.97(3H, s), 4.17(2H, q, J=7.1Hz), 6.21(1H, s), 6.98(1H, s), 7.11(1H, s)
【0224】
参考例17−46
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.97(3H, s), 4.00(3H, s), 6.05(1H, s), 7.20(1H, s), 7.66(1H, s)
【0225】
参考例18−1
2−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロ安息香酸エチル
2−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−5−メトキシ安息香酸エチル(参考例17−1)(550mg)および塩化メチレン(10mL)の混合物に発煙硝酸(85μL)を室温下、加えた。20分撹拌した後、混合物に水、塩化メチレンを加えた。分取した有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下濃縮し、表題化合物(806mg)を得た。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.26(3H, t, J=7.2Hz), 4.07(3H, s), 4.12(2H, q, J=7.2Hz), 7.41-7.47(2H, m), 7.52-7.59(1H, m), 7.74-7.82(2H, m), 10.81(1H, s)
【0226】
2−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−5−メトキシ安息香酸エチルの代わりに対応するフェノール用い参考例18−1と同様の方法により、参考例18−2〜参考例18−47を合成した。これらを表8に示した。
【0227】
【表8】




【0228】
参考例18−2〜参考例18−47の物性値を以下に示した。
【0229】
参考例18−2
H-NMR(CDCl)δ ppm:3.64(3H, s), 4.07(3H, s), 7.42-7.48(2H, m), 7.53-7.59(1H, m), 7.75-7.80(3H, m), 10.85(1H, s)
【0230】
参考例18−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.90-1.02(6H, m), 4.07(3H, s), 4.94-5.03(1H, m), 7.41-7.48(2H, m), 7.52-7.59(1H, m), 7.76-7.84(3H, m), 10.82-10.84(1H, m)
【0231】
参考例18−4
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.99(3H, t, J=7.0Hz), 3.95-4.10(5H, m), 7.20-7.45(2H,
m), 7.61(1H, s), 7.65-7.80(2H, m)
【0232】
参考例18−5
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.95(3H, t, J=7.0Hz), 3.90-4.10(5H, m), 7.40-7.70(5H,
m)
【0233】
参考例18−6
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.93(3H, t, J=7.1Hz), 2.38(3H, s), 3.94(2H, q, J=7.1Hz), 4.02(3H, s), 7.25-7.40(2H, m), 7.50-7.70(3H, m)
【0234】
参考例18−7
H-NMR(CDCl)δ ppm:0.95-1.06(6H, m), 2.65(3H, s), 4.08(3H, s), 4.94-5.06(1H, m), 7.81(1H, s), 7.85-7.92(2H, m), 8.01-8.05(2H, m), 10.87-10.89(1H, m)
【0235】
参考例18−8
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.89(6H, d, J=6.3Hz), 3.89(3H, s), 4.04(3H, s), 4.70-4.90(1H, m), 7.65(1H, s), 7.75-7.95(2H, m), 8.00-8.20(2H, m)
【0236】
参考例18−9
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0,75-1.10(6H, m), 4.02(3H, s), 4.75-4.90(1H, m), 7.61(1H, s), 7.65-7.90(3H, m), 8.00-8.15(1H, m)
【0237】
参考例18−10
MS (ESI, m/z) :383(M-H)-
【0238】
参考例18−11
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.04(6H, d, J=6.1Hz), 4.08(3H, s), 4.97-5.06(1H, m), 7.74-7.77(2H, m), 7.80(1H, s), 7.88-7.91(2H, m), 10.84(1H, s)
【0239】
参考例18−12
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:4.00(1H, s), 7.44-7.54(2H, m), 7.57-7.67(3H, m), 7.70-7.76(1H, m)
【0240】
参考例18−13
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.98(3H, t, J=7.2Hz), 3.90-4.15(5H, m), 7.10-7.25(1H,
m), 7.35-7.45(1H, m), 7.62(1H, s), 8.05-8.15(1H, m)
【0241】
参考例18−14
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.53(3H, t, J=7.1Hz), 3.90-4.10(5H, m), 7.35-7.45(1H,
m), 7.60(1H, s), 7.60-7.70(1H, m), 7.95-8.10(1H, m), 11.40-12.00(1H, br)
【0242】
参考例18−15
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.08(3H, t, J=7.1Hz), 4.03(3H, s), 4.10(2H, q, J=7.1Hz), 7.21(1H, d, J=2.0Hz), 7.65(1H, s), 8.83(1H, d, J=2.0Hz)
【0243】
参考例18−16
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.09(3H, t, J=7.2Hz), 4.02(3H, s), 4.09(2H, q, J=7.2Hz), 6.70-6.80(1H, m), 7.60(1H, s), 11.00-12.50(1H, br)
【0244】
参考例18−17
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.06(6H, d, J=6.3Hz), 4.03(3H, s), 4.85-4.95(1H, m), 7.22(1H, d, J=2.0Hz), 7.63(1H, s), 8.84(1H, d, J=2.0Hz), 11.94(1H, br s)
【0245】
参考例18−18
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.98(3H, t, J=7.2Hz), 3.90-4.10(5H, m), 7.61(1H, s), 8.05(1H, d, J=3.0Hz), 8.26(1H, d, J=3.0Hz), 11.50-12.50(1H, br)
【0246】
参考例18−19
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:4.00(3H, s), 7.12-7.17(1H, m), 7.32-7.37(1H, m), 7.61(1H, s), 7.99-8.04(1H, m), 11.65(1H, br. s.)
【0247】
参考例18−20
MS (ESI, m/z) :268(M-H)-
【0248】
参考例18−21
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.09(9H, s), 1.30(3H, t, J=7.0Hz), 3.96(3H, s), 4.15-4.45(2H, m), 7.57(1H, s), 11.50-12.00(1H, br)
【0249】
参考例18−22
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.09(9H, s), 1.32(6H, d, J=6.3Hz), 3.97(3H, s), 5.02-5.11(1H, m), 7.53(1H, s), 11.70(1H, br s)
【0250】
参考例18−23
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.32(3H, t, J=7.0Hz), 4.02(3H, s), 4.37(2H, q, J=7.0Hz), 7.62(1H, s)
【0251】
参考例18−24
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.27(3H, t, J=7.0Hz), 1.35-1.67(6H, m), 2.94-3.28(3H,
m), 3.66-3.73(1H, m), 3.96(3H, s), 4.26(2H, q, J=7.0Hz), 7.58(1H, s), 11.61(1H,
br s)
【0252】
参考例18−25
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.10-1.80(12H, m), 3.03-3.40(3H, m), 4.01(3H, s), 4.06-4.13(1H, m), 5.17-5.26(1H, m), 7.67(1H, s), 10.07(1H, br s)
【0253】
参考例18−26
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:4.00(3H, s), 7.50-7.65(2H, m), 7.70-7.90(4H, m)
【0254】
参考例18−27
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.44(3H, s), 4.05(3H, s), 7.27-7.33(3H, m), 7.67(2H, d,
J=8.3Hz)
【0255】
参考例18−28
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.90-2.94(2H, m), 3.20-3.24(2H, m), 3.98(3H, s), 7.14-7.31(5H, m), 7.74(1H, s)
【0256】
参考例18−29
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.99(3H, s), 7.37-7.42(2H, m), 7.73-7.82(3H, m)
【0257】
参考例18−30
H-NMR(CDCl)δ ppm:2.66(3H, s), 4.02(3H, s), 7.25(1H, s)
【0258】
参考例18−31
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.11(6H, d, J=6.8Hz), 3.00-3.15(1H, m), 3.97(3H, s), 7.71(1H, s)
【0259】
参考例18−32
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.17(9H, s), 3.93(3H, s), 7.66(1H, s)
【0260】
参考例18−33
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.45-1.95(8H, m), 3.25-3.50(1H, m), 3.97(3H, s), 7.70(1H, s)
【0261】
参考例18−34
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.50-2.01(10H, m), 2.52-2.65(1H, m), 4.01(3H, s), 7.27(
1H, s)
【0262】
参考例18−35
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.41-1.61(6H, m), 1.73-1.86(4H, m), 1.97-2.07(2H, m), 2.71-2.81(1H, m), 7.27(1H, s), 10.81(1H, s)
【0263】
参考例18−36
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.50-1.63(2H, m), 1.68-1.76(2H, m), 3.07-3.18(1H, m),
3.29-3.38(2H, m), 3.84-3.92(2H, m), 3.98(3H, s), 7.78(1H, s)
【0264】
参考例18−37
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.98(3H, s), 7.44(1H, d, J=2.0Hz), 7.70(1H, s), 8.93(1H, d, J=2.0Hz)
【0265】
参考例18−38
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.45-2.55(3H, m), 4.00(3H, s), 6.85-6.90(1H, m), 7.78(1H, s)
【0266】
参考例18−39
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.98(3H, s), 7.45-7.55(1H, m), 7.65-7.80(2H, m), 8.30-8.40(1H, m)
【0267】
参考例18−40
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:4.00(3H, s), 7.20-7.35(1H, m), 7.60-7.70(1H, m), 7.78(1H, s), 8.20-8.30(1H, m)
【0268】
参考例18−41
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.08-1.13(6H, m), 3.19-3.25(2H, m), 3.39-3.47(2H, m),
3.95(3H, s), 7.71(1H, s), 12.14(1H, br s)
【0269】
参考例18−42
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.80-1.94(4H, m), 3.20-3.46(4H, m), 3.96(3H, s), 7.72(1H, s), 12.14(1H, br s)
【0270】
参考例18−43
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.53-1.64(6H, m), 3.50-3.61(2H, m), 3.95(3H, s), 7.70(1H, s)
【0271】
参考例18−44
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.50-1.73(8H, m), 3.24-3.58(4H, m), 3.95(3H, s), 7.71(1H, s)
【0272】
参考例18−45
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.26-3.68(8H, m), 3.95(3H, s), 7.73(1H, s)
【0273】
参考例18−46
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.19(3H, t, J=7.1Hz), 3.29-3.68(8H, m), 3.95(3H, s), 4.07(2H, q, J=7.1Hz), 7.73(1H, s)
【0274】
参考例18−47
H-NMR(CDCl)δ ppm:4.01(3H, s), 4.04(3H, s), 7.25(1H, s), 9.56(1H, br s)
【0275】
製造例1−1
2−ベンゾイル−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸エチル(化合物1−1)
2−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロ安息香酸エチル(参考例18−1)(806mg)および酢酸エチル(10mL)の混合物に塩化アルミニウム(610mg)およびピリジン(0.889mL)を加えた。混合物を77℃で2時間撹拌した。室温に冷却した後、混合
物に2mol/L塩酸を加えた。分取した有機層を食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をヘキサン:ジエチルエーテル=4:1にて粉砕し表題化合物(430mg)を得た。
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.91(3H, t, J=7.1Hz), 3.91(2H, q, J=7.1Hz), 7.45-7.52(3H, m), 7.56(1H, s), 7.59-7.68(2H, m)
【0276】
2−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロ安息香酸エチルの代わりに対応する3−ニトロベンゼン−1−メトキシ−2−オールを用い、製造例1−1と同様の方法により、化合物1−2〜化合物1−47を合成した。これらを表9に示した。
【0277】
【表9】




【0278】
化合物1−2〜化合物1−47の物性値を以下に示した。
【0279】
化合物1−2
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.45(3H, s), 7.45-7.51(2H, m), 7.54(1H, s), 7.59-7.66(3H, m)
【0280】
化合物1−3
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.88(6H, d, J=6.3Hz), 4.71-4.80(1H, m), 7.47-7.54(2H,
m), 7.58(1H, s), 7.61-7.70(3H, m)
【0281】
化合物1−4
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.99(3H, t, J=7.1Hz), 4.00(2H, q, J=7.1Hz), 7.20-7.40(2H, m), 7.54(1H, s), 7.60-7.80(2H, m), 10.50-12.00(2H, br)
【0282】
化合物1−5
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.96(3H, t, J=7.1Hz), 3.96(2H, q, J=7.1Hz), 7.40-7.65(5H, m), 10.50-12.00(2H, br)
【0283】
化合物1−6
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.94(3H, t, J=7.1Hz), 2.37(3H, s), 3.92(2H, q, J=7.1Hz), 7.25-7.40(2H, m), 7.30-7.65(3H, m), 10.50-12.00(2H, br)
【0284】
化合物1−7
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.92(2H, d, J=6.3Hz), 2.62(3H, s), 4.72-4.84(1H, m), 7.60(1H, s), 7.81(2H, d, J=8.4Hz), 8.05(2H, d, J=8.4Hz)
【0285】
化合物1−8
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.90(6H, d, J=6.3Hz), 3.88(3H, s), 4.50-4.90(1H, m), 7.59(1H, s), 7.75-7.95(2H, m), 8.00-8.20(2H, m), 10.50-12.00(2H, br)
【0286】
化合物1−9
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.70-1.10(6H, m), 4.70-4.90(1H, m), 7.56(1H, s), 7.60-7.90(3H, m), 7.95-8.15(1H, m), 10.50-12.50(2H, br)
【0287】
化合物1−10
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.94(6H, d, J=6.3Hz), 4.75-4.83(1H, m), 7.70-7.77(1H,
m), 8.00-8.17(4H, m)
【0288】
化合物1−11
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.94(6H, d, J=6.2Hz), 4.73-4.83(1H, m), 7.59(1H, s), 7.85(2H, d, J=8.6Hz), 7.99(2H, d, J=8.6Hz), 11.38(2H, br)
【0289】
化合物1−12
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.44-7.51(2H, m), 7.54(1H, s), 7.57-7.65(3H, m)
【0290】
化合物1−13
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.98(3H, t, J=7.1Hz), 3.98(2H, q, J=7.1Hz), 7.10-7.25(1H, m), 7.30-7.45(1H, m), 7.53(1H, s), 8.00-8.10(1H, m), 10.50-12.00(2H, br)
【0291】
化合物1−14
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.96(3H, t, J=7.2Hz), 3.95(2H, q, J=7.2Hz), 7.30-7.45(1H, m), 7.55-7.70(1H, m), 7.95-8.05(1H, m), 10.50-12.00(2H, br)
【0292】
化合物1−15
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.08(3H, t, J=7.1Hz), 4.07(2H, q, J=7.1Hz), 7.17(1H, d, J=1.9Hz), 7.58(1H, s), 8.81(1H, d, J=1.9Hz), 10.50-12.50(2H, br)
【0293】
化合物1−16
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.09(3H, t, J=7.2Hz), 2.40-2.60(3H, m), 4.05(2H, q, J=7.2Hz), 6.65-6.75(1H, m), 7.52(1H, s), 10.50-12.00(2H, br)
【0294】
化合物1−17
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.06(6H, d, J=6.3Hz), 4.82-4.92(1H, m), 7.19(1H, d, J=2.0Hz), 7.57(1H, s), 8.83(1H, d, J=2.0Hz), 11.46(1H, br s)
【0295】
化合物1−18
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:0.98(3H, t, J=7.0Hz), 3.97(2H, q, J=7.0Hz), 7.54(1H, s), 8.04(1H, d, J=3.0Hz), 8.23(1H, d, J=3.0Hz), 10.50-12.00(2H, br)
【0296】
化合物1−19
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.15-7.22(1H, m), 7.50-7.56(1H, m), 7.70(1H, s), 8.06-8.12(1H, m)
【0297】
化合物1−20
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.41(3H, s), 3.82(3H, s), 7.52(1H, s), 11.16(1H, br. s.)
【0298】
化合物1−21
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.08(9H, s), 1.28(3H, t, J=7.1Hz), 4.10-4.40(2H, m), 7.53(1H, s), 10.60-12.00(2H, br)
【0299】
化合物1−22
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.08(9H, s), 1.29(6H, d, J=6.3Hz), 4.99-5.08(1H, m), 7.50(1H, s), 11.16(2H, br s)
【0300】
化合物1−23
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.29(3H, t, J=7.1Hz), 4.32(2H, q, J=7.1Hz), 7.54(1H, s)
【0301】
化合物1−24
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.25(3H, t, J=7.0Hz), 1.34-1.65(6H, m), 2.93-3.25(3H,
m), 3.66-3.72(1H, m), 4.22(2H, q, J=7.0Hz), 7.52(1H, s), 11.07(2H, br s)
【0302】
化合物1−25
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.21-1.27(6H, m), 1.32-1.68(6H, m), 2.90-3.17(3H, m),
3.77-3.83(1H, m), 4.98-5.08(1H, m), 7.51(1H, s), 11.04(2H, br s)
【0303】
化合物1−26
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.33(1H, s), 7.50-7.65(2H, m), 7.65-7.85(3H, m)
【0304】
化合物1−27
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.41(3H, s), 7.29-7.42(3H, m), 7.67(2H, d, J=8.3Hz)
【0305】
化合物1−28
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.89-2.92(2H, m), 3.16-3.20(2H, m), 7.13-7.30(6H, m)
【0306】
化合物1−29
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.29(1H, s), 7.36-7.40(2H, m), 7.70-7.80(2H, m)
【0307】
化合物1−30
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.55(3H, s), 7.27(1H, s)
【0308】
化合物1−31
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.09(6H, d, J=7.1Hz), 2.95-3.15(1H, m), 7.27(1H, s)
【0309】
化合物1−32
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.16(9H, s), 7.28(1H, s)
【0310】
化合物1−33
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.45-1.95(8H, m), 3.25-3.45(1H, m), 7.28(1H, s)
【0311】
化合物1−34
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.09-1.86 (10H, m), 2.74-2.86(1H, m), 7.30(1H, s)
【0312】
化合物1−35
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.48-1.77(5H, m), 3.02-3.14(2H, m), 3.28-3.37(2H, m),
3.83-3.91(2H, m), 7.26(1H, s)
【0313】
化合物1−36
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.34-1.71(6H, m), 1.79-1.90(2H, m), 2.94-3.06(1H, m),
7.29(1H, s)
【0314】
化合物1−37
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.30(1H, s), 7.42(1H, d, J=2.0Hz), 8.91(1H, d, J=2.0Hz)
【0315】
化合物1−38
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:2.40-2.60(3H, m), 6.80-6.90(1H, m), 7.31(1H, s)
【0316】
化合物1−39
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.31(1H, s), 7.45-7.55(1H, m), 7.65-7.80(1H, m), 8.30-8.40(1H, m)
【0317】
化合物1−40
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:7.20-7.35(2H, m), 7.60-7.70(1H, m), 8.15-8.30(1H, m)
【0318】
化合物1−41
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.07-1.12(6H, m), 3.18-3.50(4H, m), 7.28(1H, s), 11.41(1H, br s)
【0319】
化合物1−42
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.81-1.93(4H, m), 3.21-3.46(4H, m), 7.28(1H, s), 11.37(1H, br s)
【0320】
化合物1−43
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.46-1.64(6H, m), 7.27(1H, s)
【0321】
化合物1−44
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.52-1.70(8H, m), 3.24-3.57(4H, m), 7.28(1H, s), 11.36(1H, br s)
【0322】
化合物1−45
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.25-3.67(8H, m), 7.28(1H, s)
【0323】
化合物1−46
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:1.19(3H, t, J=7.0Hz), 3.28-3.67(8H, m), 4.07(2H, q, J=7.0Hz), 7.27(1H, s)
【0324】
化合物1−47
H-NMR(DMSO-d)δ ppm:3.82(3H, s), 7.28(1H, s)
【0325】
製造例2−1
5−エトキシカルボニルオキシ−2−(2−フルオロベンゾイル)−4−ヒドロキシ−3−ニトロベンゾニトリル(化合物2−1)
2−(2−フルオロベンゾイル)−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロベンゾニトリル(化合物1−29)(70mg)、クロロ炭酸エチル(30mg)およびN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)の混合物を50℃で3時間撹拌した。混合物に水および酢酸エチルを加えた。有機
層を水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出溶媒:50%−100% 酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製し、表題化合物(60mg)を得た。構造式を表10に示した。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.42 (3H , t, J=7.0Hz), 4.38(2H, q, J=7.0Hz), 7.06-7.16(1H, m), 7.35-7.44(1H, m), 7.62-7.71(1H, m), 7.78(1H, s), 8.13-8.21(1H, m), 11.18(1H, br)
【0326】
2−(2−フルオロベンゾイル)−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロベンゾニトリルの代わりに対応するニトロカテコールを用い製造例2−1と同様の方法により、化合物2−2〜2−4を合成した。構造式を表10に示した。
【0327】
化合物2−2〜化合物2−4の物性値を以下に示した。
【0328】
化合物2−2
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.39-1.45(3H, m), 1.50-1.83(6H, m), 3.16-3.36(2H, m), 3.70-3.90(2H, m), 4.33-4.44(2H, m), 7.63-7.75(1H, m)
【0329】
化合物2−3
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.24 (3H, t, J=7.2 Hz), 1.42(3H, t, J = 7.2Hz), 4.20-4.28(2H, m), 4.38(2H, q, J=7.1Hz), 7.11(1H, d, J=2.0Hz), 8.22(1H, s), 8.41(1H, d, J=1.9Hz)
【0330】
化合物2−4
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.42 (9H, s), 7.10 (1H, ddd, J=11.3, 8.5, 1.0Hz), 7.36-7.41 (1H, m), 7.63-7.69 (2H, m), 8.17 (1H, dt, J=7.7, 1.8Hz), 11.13 (1H, br)
【0331】
製造例3−1
4,5−ビス(エトキシカルボニルオキシ)−2−(2−フルオロベンゾイル)−3−ニトロベンゾニトリル(化合物3−1)
2−(2−フルオロベンゾイル)−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロベンゾニトリル(化合物1−29)(70mg)およびテトラヒドロフラン(2.0mL)の混合物に、氷冷撹拌下に
てクロロギ酸エチル(70μL)およびトリエチルアミン(110μL)を加えた。その混合物を3
0分間撹拌した後、室温で二日間撹拌した。その反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1mol/L塩酸および食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下にて濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:0%−30% 酢酸エチル/ヘキサン、グラディエント溶出)で精製して、表題化合物(103mg)を得た。構造式を表10に示した。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.41(3H, t, J=7.1Hz), 1.43(3H, t, J=7.1Hz), 4.40(2H, q,
J=7.1Hz), 4.41(2H, q, J=7.1Hz), 7.15(1H, ddd, J=11.0, 8.4, 0.9Hz), 7.35-7.39(1H, m), 7.65-7.71(1H, m), 7.98(1H, s), 8.04(1H, dt, J=7.6, 1.6Hz)
【0332】
製造例3−2
4,5−ビス(ジエチルカルバモイルオキシ)−3−ニトロ−2−(ピペリジン−1−カルボニル)安息香酸エチル(化合物3−2)
クロロ炭酸エチルの代わりに、塩化ジエチルカルバミルを用いて、製造例3−1と同様な方法により、表題化合物を合成した。構造式を表10に示した。
H-NMR(CDCl)δ ppm:1.16-1.25(12H, m), 1.36(6H, t, J=7.2Hz), 1.45-1.79(6H, m), 3.05-3.15(1H, m), 3.20-3.50(10H, m), 3.85-3.95(1H, m), 4.30-4.40(2H, m), 8.09(1H, s)
【0333】
【表10】

【0334】
実施例1
ヒトCOMT阻害活性
1)組換えヒトCOMTの調製
(1)組換えヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼの調製
完全長のヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(以下、COMT)をコードする、NCBI(National Center for Biotechnology Information)上に登録されてい
る受入番号BC011935のDNA配列に基づき、配列番号1記載の組換えヒトCOMTをコードするDNA配列を増幅するために2つのオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。5’プライマーの配列を配列番号3に、3’プライマーの配列を配列番号4に示した。これらのプライマーは、所望のベクター中に該当PCR産物を挿入しやすくするために制限酵素部位(5’側はBamH I、3’側はEcoR I)を含んでいる。
配列番号3記載の5’プライマーおよび配列番号4記載の3’プライマーの各々を、TE緩衝液で希釈して15pmol/μL溶液とした。HO(PCR用, 34.8μL)、25mmol/L
MgSO(2.0μL)、2mmol/L dNTPs(5.0μL)、10倍濃縮のDNAポリメラーゼ KOD plus緩衝液(5.0μL、東洋紡)を混合し、PCR反応用混合物を調製した。次いでヒト肝臓cDNA(5.0μL、Clontech)、更に各々のプライマー対(1μL、15pmol)を上記混合物に加え、最後に1.0μLのKOD plus(東洋紡)を加えた。その後、PCR反応を行った。PCR反応は94℃2分間の処置後、94℃15秒間、59℃30秒間、68℃1分間でこのサイクルを40サイクル行った。次いで68℃5分間、4℃10分間で終了した。
PCR産物をQIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)にて精製した。所望のインサートDNAは同キットのEB緩衝液(30μL)で溶
出した。
【0335】
(2)組換えヒトCOMTインサートDNAおよびpGEX−2Tベクターの二重消化
組換えヒトCOMTインサートDNA(1.5μg)に、10倍濃縮のEcoR I緩衝液(3
.0μL、New England Biolab)、HO(11.1μL)、BamH I(1.5
μL、15U、10U/μL)とEcoR I(1.0μL、15U、10U/μL)を加え混合した。その混合溶液を37℃で1.5時間加熱した。更にその溶液に10倍濃縮のローディング緩衝液を加えた。混合溶液を電気泳動にて分離し、当該消化断片を有するDNAを含むゲルの部分を切り出し、MinElute Gel Extraction Kit(QIAGEN)を使用して精製した。 pGEX−2TベクターDNA(1.5μg、Amersham)についても同様に二重消化を行い精製した。
【0336】
(3)ライゲーションと大腸菌JM109の形質転換
二重消化したpGEX−2Tベクター(2.0μL、50ng)およびインサートDNA(1.24
μL、33.4ng)を、2倍濃縮のライゲーション緩衝液(3.24μL、Promega)に加えて
混合した。次いで、T4リガーゼ(1.0μL、3U/μL、Promega)を混合溶液に加え、その混合物を25℃で1時間インキュベーションした。次に、大腸菌JM109(100μL)を0℃にて溶解し、リガーゼで反応させた上記混合溶液(5μL)をJM109懸濁液に加え、穏やかに混合し、0℃で30分間静置した。この混合物に強く振盪すること無しに42℃で40秒間の熱ショックを与え、0℃で10分間冷却した。次いで、450μLのSOC溶液を熱ショック後の溶液に加え37℃で1時間振盪した。振盪後、混合溶液の50μLと200μLを、LB−アンピシリン培地のプレート上(直径9cm、アンピシリン濃度100μg/mL)にそれぞれ播種し、37℃で16時間の静置培養を行った。その結果、プレート上にはコロニーが出現していた。
【0337】
(4)GST融合組換えヒトCOMTプラスミドによるJM109形質転換後のコロニーセレクション
上記の静置培養後のプレートから適当数のコロニーを選択し、それらを滅菌爪楊枝にてLB−アンピシリン液体培地(各2mL、アンピシリン濃度100μg/mL)に植菌し、37℃で16時間振盪培養した。それぞれから200μLを1.5mLマイクロチューブに分取し、フェノ
ール抽出法によってプラスミドを抽出した。抽出されたプラスミドは、TE緩衝液に再溶解し、電気泳動に供した。検出されたバンドの泳動位置が、インサートDNAのないpGEX−2Tベクターのそれと近いものを一次陽性コロニーと判定し、以下の制限酵素二重消化による再確認を行った。
上記の一次陽性コロニー由来のDNA溶液(各7μL)を、10倍濃縮のEcoR I緩衝液(0.9μL、New England Biolab)と混和し、次いでBamH I(0.5μL、10U/μL) とEcoR I(0.5μL、15U/μL)を添加した。その溶液は、37℃
で1時間加温した後、電気泳動を行った。およそ670bpの位置にバンドが検出された試料が由来するコロニーを、二次陽性コロニーと判定した。
【0338】
(5)GST融合組換えヒトCOMTプラスミドの大腸菌JM109からの抽出と精製
(4)で二次陽性コロニーと判定された、GST融合組換えヒトCOMTプラスミドでの形質転換JM109の培養液は、一部(100μL)をグリセロールストックとし、残りの培養液は12000rpmで10分間遠心を行い、大腸菌ペレットを得た。得られた大腸菌ペレットから、QIAGEN Plasmid mini kit(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを精製した。その濃度はOD260nmによって決定され247ng/μLであっ
た。常法に従い配列確認を行なったところ、配列番号2のDNA配列が所望の位置に挿入されていた。
【0339】
(6)GST融合組換えヒトCOMTプラスミドDNAの大腸菌BL21 CODON PLUS (DE3)RPへの形質転換
(5)で精製され配列確認が終了したGST融合組換えヒトCOMTプラスミドDNA1μL(1ng/μL)を0℃で融解した大腸菌BL21 CODON PLUS (DE3)R
P細胞懸濁液50μLに加え、(3)と同様に形質転換を行い、プレート培養を行った。
【0340】
(7)GST融合組換えヒトCOMTの発現
形質転換後の大腸菌BL21 CODON PLUS (DE3)RPのプレートからコロニーを拾い上げ、5mLのLB−アンピシリン培地(アンピシリン濃度100μg/mL)に投入し、37℃にて15時間振盪培養を行った。培養液の一部50μLをグリセロールストッ
クとし、−80℃で保存した。使用時にこのグリセロールストックの一部を150mLのLB
−アンピシリン培地(アンピシリン濃度100μg/mL)に植菌し、37℃にて16時間振盪
培養を行った。この培養液を500mLずつ7本のLB−アンピシリン培地(アンピシリン濃
度100μg/mL)で希釈し、20℃にて4.5時間振盪培養を行った。培養液の600nm
吸光度が0.44となっていることを確認した後、各50μLのイソプロピル−β−D−チ
オガラクトピラノシド(1mol/L)を添加し、20℃にて18時間振盪培養を行った。この培養液を9000rpmで20分間遠心して大腸菌ペレットを回収し、4gずつ4本に分けて使用
時まで−80℃で凍結保存した。
【0341】
(8)GST融合組換えヒトCOMTのトロンビン処理
(7)から得られた大腸菌ペレットに40mLのBugBuster溶液(Novagen)、30μLのBenzonase(Novagen)および1μLのrLysozyme(Novagen)を添加し、15分間室温にて穏やかに撹拌しながら処理した。得られたライゼートを12000rpm、4℃、20分間遠心し、上澄み液を回収した。次いで、予めD−PBS(Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline)にて平衡化し、D−PBSで50%に再懸濁させた、20mLのグルタチオン4BSepharose(レジンベッドボリューム10mL)を上記上澄み溶液に加え、得られた混合物を4℃にて1時間振盪した。振盪後の混合物をフィルターによりレジンと濾液に分別した。得られたレジンを30mLのD−PBSで5回洗浄し、30mLのトロンビン処理用緩衝液(150mmol/L NaCl、50mmol/L Tris−HCl、pH8.0、10%glycerol、2.5mmol/L CaCl、0.5% β−オクチル−D−グルコピラノシド)で3回洗浄した。次いで、レジンにトロンビン処理用緩衝液を加え30mLとし、トロンビン(アマシャムバイオサイエンス)30ユニットを加えた。レジン混合液を4℃で15時間穏やかに撹拌した後、レジンを濾過し、濾液として得られた組換えヒトCOMTの溶液を使用時まで−80℃で保管した。
【0342】
2)ヒトCOMT阻害作用の測定
ヒトCOMT阻害作用の測定は、Zurcher Gらの方法(J. Neurochem., 1982年, 38巻, P.191-195)を一部改変して実施した。1)で調製した組換えヒトCOMT(約1mg/mL)0.25μL、リン酸カリウム緩衝液(500mmol/L、pH7.6)40μL、塩化マグネシウム(100mmol/L)10μL、ジチオスレイトール(62.5mmol/L)10μL、アデノシンデアミナーゼ(2550ユニット/mL)0.5μLと試験化合物の混合物を37℃で5分間プレインキュベートした。対照サンプルは同様の方法で調製したが、試験化合物の代わりにジメチルスルホキシド(5μL)を加えた。[3H]-S-アデノシル-L-メチオニン(12.5mmol/L、1.2Ci/mol;アマシャムバイオサイエンス社製)20μLの添加後、カテコール基質(7mmol/L)25μLを加えることにより反応を開始した。反応混合液(終容量0.25mL)は、37℃で30分間インキュベートした。反応は氷冷した0.1g/Lのグアイアコールを含む1mol/L塩酸(0.25mL)を加えることで停止させた。シンチレーター(オプティフロー(登録商標)0;パッカード社製)2.5mLを加え、次いで1分間勢い良く振とうした後、パッカード社製液体シンチレーションカウンター(TRICARB 1900CA)で有機層に存在する放射活性を直接計数した。ブランクはカテコール基質の非存在下でインキュベートした(基質を反応停止後に加えた)。IC50値は酵素活性を50%阻害するのに要した濃度を示す。比較例として、トルカポン、エンタカポン、ならびに特許文献3記載の3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロフェニル)フェニルメタノン;(6−ベンゾイル−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロフェニル)フェニルメタノン;および炭酸 4,5−ジベンゾイル−2−エトキシカルボニルオキシ−3−ニトロフェニル エステル エチルエステルをそれぞれ比較例1、2および3として、同様に試験した。これらの結果を表11に示した。
【0343】
【表11】

【0344】
実施例2
COMT阻害剤によるラット脳および肝臓のCOMT活性阻害
1)投薬とサンプリング
7週齢(体重200gから250g)の雄性Sprague-Dawley ラット(日本チャールス・リバー
)を16時間絶食した。すべての試験化合物は、ジメチルスルホキシド/ポリエチレングリコール400/0.1mol/Lアルギニン水溶液=0.5/20/79.5に経口投与直前に溶解した
(2mg/mL)。化合物投与(10mg/kg)から1時間後および5時間後に動物を断頭によって
屠殺し、COMT活性測定用に脳および肝臓を摘出した。未処置の動物から採取した臓器サンプルを対照とした。すべての臓器は直ちに液体窒素にて凍結させた。 凍結臓器を4倍量
(w/v)の氷冷ホモジナイズバッファー(0.5mmol/Lのジチオスレイトールを含むダルベッコリン酸緩衝食塩液)でホモジナイズした。ホモジネートを、900gで10分間遠心分離(4℃)した(クボタ社製、ハイキャパシティー冷却遠心機8800使用)。上清画分はS-COMT(可溶性COMT)とMB-COMT(膜結合型COMT)の両方を含み(すなわち総COMT画分)、測定するまで−80℃で保存した。各サンプルのタンパク濃度はBCAタンパク定量法(ピアス社製)により測定した。
【0345】
2)COMT活性の測定
COMTアッセイは、Zurcher Gらの方法(J. Neurochem., 1982年, 38巻, P.191-195)を
一部改変して実施した。ホモジネート標品(標品のタンパク濃度は脳、肝臓それぞれで約15mg/mLおよび約35mg/mL)の一部(脳、肝臓でそれぞれ約50mLおよび約3.5mL)、リン酸
カリウム緩衝液(500mmol/L, pH7.6)40mL、塩化マグネシウム(100mmol/L)10mL、ジチ
オスレイトール(62.5mmol/L)10mLおよびアデノシンデアミナーゼ(2550ユニット/mL)0.5mLの混合物を37℃、5分間プレインキュベートした。20mLの[H]-S-アデノシル-L-
メチオニン(12.5mmol/L、44.4GBq/mol;アマシャムバイオサイエンス社製)の添加後、
カテコール基質(7mmol/L)25mLを加えることにより反応を開始した。反応混合液(終容
量0.25mL)は、37℃で90分間(脳)または30分間(肝臓)インキュベートした。反応は氷冷した0.1g/Lのグアイアコールを含む1mol/L塩酸(0.25mL)を加えることで停止させた。シンチレーター(オプティフロー(登録商標)0;パッカード社製)2.5mLを加え、次いで1分間勢い良く振とうした後、パッカード社製液体シンチレーションカウンター(TRICARB 1900CA)で有機層に存在する放射活性を直接計数した。対照サンプルはカテコール基質の非存在下でインキュベートした(基質を反応停止後に加えた)。COMT活性%はブランクを100%としたときのCOMT活性の割合を示す。比較例として、トルカポンおよびエンタカポンを同様に試験した。これらの結果を表12に示した。
【0346】
【表12】

【0347】
これらの試験の結果、本発明の医薬組成物に有効成分として含有される化合物は、トルカポンおよびエンタカポンに比べて、より持続的かつ強力な肝COMT阻害作用を示した。
【0348】
実施例3
ラット肝細胞毒性
-150℃に保存されたラット凍結肝細胞3x10−6cells/vialを37℃に暖め、グルコース含有thawing medium(10mL)に加えて混合した後、1000rpmで1分間遠心した。上清を除
去した後、細胞沈査をWilliams E.medium(15mL)に懸濁させた。薬物はジメチルスルホキ
シド用いて45、15、4.5、1.5、0.45mmol/Lに調製後、各薬物溶液およびコントロール(ジメチルスルホキシド)を2.0μLずつ試験管に分注した、この試験管に上記の細胞の懸濁液(300μL)を分注して混合させた。各懸濁液を96ウェルプレートに100μLずつ分注し、37℃にて4時間COインキュベータ中でインキュベートした。Promega社のCell Viability Assay法に従いATP活性を測定した。コントロールの50%ATP活性を示す濃度をEC50値として表した。これらの結果を表13に示した。
【0349】
【表13】

【0350】
これらの試験の結果、本発明の医薬組成物に有効成分として含有される化合物は、トルカポンまたはエンタカポンに比べて極めて軽微な肝細胞毒性しか示さないことが示唆された。
【0351】
実施例4
片側性6−ヒドロキシドパミン損傷の片側パーキンソン病ラットにおけるL−ドパ薬効増
強作用
(1)薬物
以下の薬物を使用した:
6−ヒドロキシドパミン塩酸塩(6−OHDA,シグマ);デシプラミン塩酸塩(デシプラミン,シグマ);L−アスコルビン酸(シグマ);ペントバルビタールナトリウム(ネンブタール注,大日本住友製薬);アポモルヒネ塩酸塩1/2水和物(アポモルヒネ,シグマ);ジヒドロキシフェニルアラニン(L−ドパ,シグマ);カルビドパ一水和物(カルビドパ,ケンプロテック);0.5%メチルセルロース(和光純薬工業)。
6−OHDAは、0.2%のL−アスコルビン酸を含んだ生理食塩水中に、2mg/mLで溶解した。デシプラミンは、温水浴中で蒸留水中に10mg/mLで溶解した。アポモルヒネ
は、生理食塩水中に0.1mg/mLで溶解した。L−ドパ/カルビドパは、0.5%メチルセル
ロース水溶液中に懸濁した。試験化合物は、0.5%のジメチルスルホキシド、20%のポリエチレングリコールおよび79.5%の0.1mol/Lのアルギニン水溶液を含んだ溶液中に溶解した。
【0352】
(2)6−OHDA損傷モデルの作成
6−OHDA損傷モデルの作成は、非特許文献6の方法を一部改変して実施した。雄性のSprague−Dawley系ラット(6週齢、日本チャールスリバー)を腹膜内ペ
ントバルビタールナトリウム(45mg/kg)で麻酔して、定位フレーム(ナリシゲ、東京、
日本)に固定した。ノルアドレナリンニューロンの6−OHDAによる損傷を防ぐために、腹膜内デシプラミン注射(25mg/kg)を6−OHDA注入の30分前に施した。頭頂部中央部切開を経たブレグマ識別の後、6−OHDA注入部位に歯科用ドリルを用いて頭蓋骨に穴を開けた。損傷は左側の内側前脳束にマイクロシリンジ(ハミルトン)に接続した注入用カニューレ(30ゲージの針)を用いて6−OHDA(1分間あたり1μLの速度で4μL中の8μg)を注入することによって行った(損傷部位の座標;ブレグマ点および頭蓋骨表面から前後−2.5mm、左右−1.8mm、深さ−8.0mm)。カニューレは損傷部位に5分間静置した後、動物から慎重に取り除いた。頭蓋骨の穴に歯科用セメントを補充し、消毒後、頭皮の切開部位を外科的に縫合した。麻酔から回復した動物は、実験日まで通常通り飼育した。
【0353】
(3)回転行動の評価
損傷の3週間後、皮下投与された0.1mg/kgのアポモルヒネに反応した対側回転(一回転は360度の回転と定義)に基づいて、ラットを試験した。行動観察の際には、ラットを半径20センチメートルのプラスチック製円筒内に入れ、回転行動をビデオ撮影し、ラット旋回運動自動計測装置R−RACS(キッセイウェルコム)によって定量化した。一時間に100カウント以上回転した動物を更なる実験に用いた。実験日には、動物は一晩絶食され、試験化合物は、10mg/kgの用量で経口投与され、同時にL−ドパ 5mg/kgおよびカ
ルビドパ 30mg/kgが経口投与された。投与後、対側回転数を測定した。10分間あたりの回転数が10カウント以上となったときを作用が発現、10カウント以下となる状態が60分間持続したときを作用が消失したものとみなし、作用の持続時間と総回転数を薬効の強さの指標とした。作用の持続時間は、10分間あたりの回転数が10カウント以上となった時間から10カウント以下の時間帯が60分間持続する時間帯の直前の時間までとした。総回転数は、作用持続中の回転数の総和とした。
総回転数および持続時間を表14に示した。同様にL−ドパおよびカルビドパのみの群
をコントロールとして示した。
【0354】
【表14】

【0355】
これらの試験の結果、L−ドパ/カルビドパのみのコントロールに比べて、本発明の医
薬組成物に有効成分として含有される化合物と、L−ドパ/カルビドパとを組み合わせて
使用することにより顕著な薬効の増強が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0356】
本発明の医薬組成物は、優れたCOMT阻害作用を有するので、パーキンソン病、うつ病、高血圧症の治療または予防剤として有用である。特に本発明の医薬組成物と、L−ドパとを組み合わせて使用することにより、L−ドパの生体内利用率を増加させることができるので、パーキンソン病の治療および予防に好適である。
【配列表フリーテキスト】
【0357】
<配列番号1>
配列番号1は、組換えヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼの配列である。<配列番号2>
配列番号2は、配列番号1の組換えヒトカテコール−O−メチルトランスフェラーゼを発現するように配列番号3および4のプライマーを用いて増幅されたDNA配列である。<配列番号3>
配列番号3は、配列番号2のDNAを増幅するために使用された5’プライマーの配列
である。
<配列番号4>
配列番号4は、配列番号2のDNAを増幅するために使用された3’プライマーの配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

〔式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、低級アシル基、低級アルコキシカルボニル基、または−C(O)NR1112を表すか、あるいはRおよびRが一緒になって−C(O)−を形成し;
は、以下のa)〜m):
a)低級アルキル基、
b)ハロ低級アルキル基、
c)シクロアルキル基、
d)ヒドロキシシクロアルキル基、
e)ヘテロシクロアルキル基、
f)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シアノ基、低級アシル基、低級アルコキシ基、水酸基および低級アルコキシカルボニル基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリール基、
g)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、低級アルコキシ基、および水酸基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、
h)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、
i)低級アルコキシ基
j)ハロ低級アルコキシ基、
k)低級アルコキシ低級アルコキシ基、
l)シクロアルキルオキシ基、または
m)−NR1112であり;
は、以下のa)〜f):
a)シアノ基、
b)低級アルコキシカルボニル基、
c)ハロ低級アルコキシカルボニル基、
d)低級アルコキシ低級アルコキシカルボニル基、
e)シクロアルキルオキシカルボニル基、または
f)カルボキシ基であり、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基またはアラルキル基を表すか、あるいはR11およびR12が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、環状アミノ基を形成する〕で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項2】
およびRが、水素原子である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
が、以下のa)〜i):
a)低級アルキル基、
b)ハロ低級アルキル基、
c)シクロアルキル基、
d)ヘテロシクロアルキル基、
e)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シアノ基、低級アシル基、低級アルコキシ基、および低級アルコキシカルボニル基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリール基、
f)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基、
g)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアラルキル基、
h)低級アルコキシ基、または
i)−NR1112である、請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
が、以下のa)〜c):
a)シアノ基、
b)低級アルコキシカルボニル基、または
c)カルボキシ基である、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
が、以下のa)〜c):
a)シクロアルキル基、
b)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、シアノ基、低級アシル基、低級アルコキシ基、および低級アルコキシカルボニル基から独立して選択される1〜5個の基で環が置換されるアリール基、または
c)非置換もしくは以下からなる群:ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロ低級アルキル基、および低級アルコキシ基から独立して選択される1〜3個の基で環が置換されるヘテロアリール基である、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
以下からなる群:
2−ベンゾイル−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸エチル;
2−ベンゾイル−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸メチル;
4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロ−2−(チオフェン−2−カルボニル)安息香酸エチル;
4,5−ジヒドロキシ−2−(4−メチルベンゾイル)−3−ニトロベンゾニトリル; 2−シクロヘキサンカルボニル−4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロベンゾニトリル;
4,5−ジヒドロキシ−2−(イソオキサゾール−5−カルボニル)−3−ニトロ安息香酸エチル;
4,5−ジヒドロキシ−2−(イソオキサゾール−5−カルボニル)−3−ニトロ安息香酸イソプロピル;
4,5−ジヒドロキシ−3−ニトロ−2−(チアゾール−2−カルボニル)安息香酸エチル;および
4,5−ジヒドロキシ−2−イソブチリル−3−ニトロベンゾニトリルから選択される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項7】
パーキンソン病、うつ病または高血圧症の治療または予防用である、請求項1〜6記載の医薬組成物。
【請求項8】
パーキンソン病の治療または予防用である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物と、L−ドパおよび芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ阻害剤から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬。
【請求項10】
パーキンソン病の治療または予防用である、請求項9記載の医薬。

【公開番号】特開2011−148782(P2011−148782A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285525(P2010−285525)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】