説明

新規光酸発生剤並びにこれを用いたレジスト材料及びパターン形成方法

【解決手段】紫外線、遠紫外線、電子線、EUV、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線の高エネルギー線に感応し、下記一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤。
1−COOCH(CF3)CF2SO3-+ (1a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3-+ (1c)
(R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。)
【効果】本発明の光酸発生剤は、レジスト材料中の樹脂類との相溶性がよく、酸拡散制御を行うことができる。また、これらスルホン酸を発生する光酸発生剤はデバイス作製工程での塗布、露光前焼成、露光、露光後焼成、現像の工程に問題なく使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト材料の光酸発生剤等として好適に用いられる新規光酸発生剤、これを用いたレジスト材料、及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィー及び真空紫外線リソグラフィーが有望視されている。中でもArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーは、0.13μm以下の超微細加工に不可欠な技術である。
【0003】
ArFリソグラフィーは130nmノードのデバイス製作から部分的に使われ始め、90nmノードデバイスからはメインのリソグラフィー技術となった。次の45nmノードのリソグラフィー技術として、当初F2レーザーを用いた157nmリソグラフィーが有望視されたが、諸問題による開発遅延が指摘されたため、投影レンズとウエハーの間に水、エチレングリコール、グリセリン等の空気より屈折率の高い液体を挿入することによって、投影レンズの開口数(NA)を1.0以上に設計でき、高解像度を達成することができるArF液浸リソグラフィーが急浮上してきた(例えば、非特許文献1:Journal of photopolymer Science and Technology Vol.17, No.4, p587(2004)参照)。
【0004】
ArFリソグラフィーでは、精密かつ高価な光学系材料の劣化を防ぐために、少ない露光量で十分な解像性を発揮できる感度の高いレジスト材料が求められており、実現する方策としては、その各成分として波長193nmにおいて高透明なものを選択するのが最も一般的である。例えばベース樹脂については、ポリアクリル酸及びその誘導体、ノルボルネン−無水マレイン酸交互重合体、ポリノルボルネン及び開環メタセシス重合体、開環メタセシス重合体水素添加物等が提案されており、樹脂単体の透明性を上げるという点ではある程度の成果を得ている。
【0005】
また、光酸発生剤も種々の検討がなされてきた。従来のKrFエキシマレーザー光を光源とした化学増幅型レジスト材料に用いられてきたようなアルカンあるいはアレーンスルホン酸を発生する光酸発生剤を上記のArF化学増幅型レジスト材料の成分として用いた場合には、樹脂の酸不安定基を切断するための酸強度が十分でなく、解像が全くできない、あるいは低感度でデバイス製造に適さないことがわかっている。
【0006】
このため、ArF化学増幅型レジスト材料の光酸発生剤としては、酸強度の高いパーフルオロアルカンスルホン酸を発生するものが一般的に使われている。これらのパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する光酸発生剤は既にKrFレジスト材料として開発されてきたものであり、例えば、特許文献1:特開2000−122296号公報や特許文献2:特開平11−282168号公報には、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸を発生する光酸発生剤が記載されている。また新規な酸発生剤として、特許文献3〜5:特開2002−214774号公報、特開2003−140332号公報、米国特許第2002/0197558号明細書においてパーフルオロアルキルエーテルスルホン酸が発生する酸発生剤が提案されている。
【0007】
一方でパーフルオロオクタンスルホン酸、あるいはその誘導体は、その頭文字をとりPFOSとして知られており、C−F結合に由来する安定性(非分解性)や疎水性、親油性に由来する生態濃縮性、蓄積性が問題となっている。米国環境庁(EPA)は最重要新規利用規則(Significant New Use Rule)にPFOS関連の13物質を制定し、同75物質にもフォトレジスト分野における利用は免除項目となっているものの制定を行った。更にパーフルオロアルカンスルホン酸、あるいはその誘導体の183物質にも最重要新規利用規則の適用が提案されている。
【0008】
このようなPFOSに関する問題に対処するため、各社よりフッ素の置換率を下げた部分フッ素置換アルカンスルホン酸の開発が行われている。例えば、特許文献6:特表2004−531749号公報には、α,α−ジフルオロアルケンと硫黄化合物によりα,α−ジフルオロアルカンスルホン酸塩を開発し、露光によりこのスルホン酸を発生する光酸発生剤、具体的にはジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム=1,1−ジフルオロ−2−(1−ナフチル)エタンスルホネートを含有するレジスト材料が公開されており、更に、特許文献7:特開2004−2252号公報には、α,α,β,β−テトラフルオロ−α−ヨードアルカンと硫黄化合物によるα,α,β,β−テトラフルオロアルカンスルホン酸塩の開発とこのスルホン酸を発生する光酸発生剤及びレジスト材料が公開されている。また、特許文献3:特開2002−214774号公報には、合成方法の記載が無いものの、明細書中にはジフルオロスルホ酢酸アルキルエステル(1−(アルコキシカルボニル)−1,1−ジフルオロメタンスルホネート)、ジフルオロスルホ酢酸アミド(1−カルバモイル−1,1−ジフルオロメタンスルホンネート)などを有する光酸発生剤が開示され、更に、特許文献8:特開2005−266766号公報には、パーフルオロアルキレンジスルホニルジフルオリドから誘導されるスルホニルアミド構造を有する部分フッ素化アルカンスルホン酸を発生する化合物を含有する感光性組成物が開示されている。
【0009】
しかし、上記特許文献の物質は、共にフッ素置換率は下げられているものの、基本骨格が分解し難い炭化水素骨格であり、エステル基等の容易に分解可能な置換基を持たないため分解性に乏しく、アルカンスルホン酸の大きさを変化させるための分子設計に制限があり、更にフッ素含有の出発物質が高価である等の問題を抱えている。
【0010】
また、特許文献9:特開2007−145797号公報には、トリフェニルスルホニウム 2−(アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネ−トなどの炭素数1〜20のアルカンカルボニルオキシあるいはアレーンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネ−トが開示されているが、拡散性の制御はまだ不十分である。
【0011】
なお、特許文献10:特開2007−161707号公報には、多環式炭化水素基を有する部分フッ素化アルカンスルホン酸を発生する光酸発生剤が開示されているが、本発明者らの検討ではレジスト溶剤への溶解性に劣り実用に耐えない。
【0012】
また、液浸露光においては、露光後のレジストウエハー上に微少な水滴が残ることによる欠陥に起因するレジストパターン形状の不良、現像後のレジストパターンの崩壊やT−top形状化といった問題点があり、液浸リソグラフィーにおいても、現像後に良好なレジストパターンを得られるパターン形成方法が求められている。
【0013】
更に、微細なパターンを形成しようとする場合、光学コントラストの異なる疎なパターン、密なパターンでの寸法差(疎密依存性)の問題が大きくなってきた。疎密依存性の改善には低拡散性の酸を発生する光酸発生剤の使用などである程度目的は達せられるが満足できるものはない。また実際のデバイス作成の際にはある程度の露光量のズレが有り得るため、露光量が多少ずれた時でもほぼ同一のパターン形状を保つ露光余裕度を持つことが求められている。パターンルールのより一層の微細化が求められる中、感度、基板密着性、エッチング耐性において優れた性能を発揮することに加え、解像性の劣化を伴わない、疎密依存性の改善策や露光余裕度を有することが必要とされているのである。
【0014】
【特許文献1】特開2000−122296号公報
【特許文献2】特開平11−282168号公報
【特許文献3】特開2002−214774号公報
【特許文献4】特開2003−140332号公報
【特許文献5】米国特許第2002/0197558号明細書
【特許文献6】特表2004−531749号公報
【特許文献7】特開2004−2252号公報
【特許文献8】特開2005−266766号公報
【特許文献9】特開2007−145797号公報
【特許文献10】特開2007−161707号公報
【非特許文献1】Journal of photopolymer Science and Technology Vol.17, No.4, p587(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
光酸発生剤の発生酸としては、レジスト材料中の酸不安定基を切断するのに十分な酸強度があること、レジスト材料中で保存安定性が良好であること、レジスト材料中で適当な拡散があること、揮発性が少ないこと、水への溶出が少ないこと、現像後、剥離後の異物が少ないこと、リソグラフィー用途終了後は環境に負荷をかけずに良好な分解性を持つこと等が望まれるが、従来の光酸発生剤から発生した酸はこれらを満足していない。
更に従来の光酸発生剤を用いたレジスト材料では解像性の劣化を伴わず、疎密依存性、露光余裕度の問題を解決できない。
【0016】
本発明は、上記従来の光酸発生剤の問題点を解決したもので、特にArF液浸露光の際の水への溶出を抑えることができ、かつ液浸露光特有の異物の生成を抑え、疎密依存性、露光余裕度の問題を満足し、有効に使用し得るなど、レジスト材料の光酸発生剤として好適な新規光酸発生剤、これを用いたレジスト材料、並びにパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、工業的に入手容易な1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを出発原料とし、ステロイド骨格を有する1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アシルオキシプロパン−1−スルホネート又は1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アルキルオキシカルボニルオキシプロパン−1−スルホネートを有するオニウム塩、オキシム、イミドに代表される化合物が化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤として有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0018】
即ち、本発明は、下記の新規光酸発生剤並びにこれを用いたレジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
請求項1:
紫外線、遠紫外線、電子線、EUV、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線の高エネルギー線に感応し、下記一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤。
1−COOCH(CF3)CF2SO3-+ (1a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3-+ (1c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。)
請求項2:
下記構造式(1d)又は(1e)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する請求項1記載の光酸発生剤。
【化1】


請求項3:
下記一般式(2a)又は(2c)のいずれかで示されるスルホニウム塩。
1−COOCH(CF3)CF2SO3-234+ (2a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3-234+ (2c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
請求項4:
下記一般式(3a)又は(3c)のいずれかで示されるスルホニウム塩。
1−COOCH(CF3)CF2SO3- (R5(O)nmPh’S+Ph2 (3a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3- (R5(O)nmPh’S+Ph2 (3c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。R5は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。mは1〜5の整数、nは0(零)又は1を示す。Phはフェニル基を示す。Ph’はフェニル基の水素原子m個をR5(O)n−基に置換した基を示す。)
請求項5:
下記一般式(4a)又は(4c)のいずれかで示されるヨードニウム塩。
1−COOCH(CF3)CF2SO3- ((R5(O)nmPh’)2+ (4a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3- ((R5(O)nmPh’)2+ (4c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。R5は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。mは1〜5の整数、nは0(零)又は1を示す。Ph’はフェニル基の水素原子m個をR5(O)n−基に置換した基を示す。)
請求項6:
下記一般式(5a)又は(5c)のいずれかで示されるN−スルホニルオキシイミド化合物。
【化2】


(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。X、Yは相互に独立に水素原子、又は置換もしくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示すか、あるいはX及びYが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に飽和もしくは不飽和の炭素数6〜12の環を形成してもよい。Zは単結合、二重結合、メチレン基、又は酸素原子を示す。)
請求項7:
下記一般式(6a)又は(6c)のいずれかで示されるオキシムスルホネート化合物。
【化3】


(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。qは0又は1を示すが、qが0の場合、pは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜15のアリール基を示し、qが1の場合には、pは単結合、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜15のアリーレン基を示す。EWGはシアノ基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、5H−パーフルオロペンチル基、6H−パーフルオロヘキシル基、ニトロ基又はメチル基を示し、qが1の場合、互いのEWGが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に炭素数6の環を形成してもよい。)
請求項8:
ベース樹脂、酸発生剤及び有機溶剤を含有してなるレジスト材料において、前記酸発生剤が、請求項1記載の一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤であることを特徴とするレジスト材料。
請求項9:
ベース樹脂、酸発生剤及び有機溶剤を含有してなるレジスト材料において、前記酸発生剤が、請求項2記載の下記構造式(1d)又は(1e)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤であることを特徴とするレジスト材料。
【化4】


請求項10:
ベース樹脂が、ポリ(メタ)アクリル酸及びその誘導体、シクロオレフィン誘導体−無水マレイン酸交互重合体、シクロオレフィン誘導体と無水マレイン酸とポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元以上の共重合体、シクロオレフィン誘導体−α−トリフルオロメチルアクリル酸誘導体共重合体、ポリノルボルネン、開環メタセシス重合体、並びに開環メタセシス重合体水素添加物から選択される1種又は2種以上の高分子重合体であることを特徴とする請求項8又は9記載のレジスト材料。
請求項11:
ベース樹脂が、珪素原子を含有する高分子構造体であることを特徴とする請求項8又は9記載のレジスト材料。
請求項12:
ベース樹脂が、フッ素原子を含有する高分子構造体であることを特徴とする請求項8又は9記載のレジスト材料。
請求項13:
請求項10、11又は12記載のベース樹脂、請求項1記載の一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤及び溶剤を含有し、上記ベース樹脂が現像液に不溶あるいは難溶であって、酸の作用によって現像液に可溶となる化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項14:
請求項10、11又は12記載のベース樹脂、請求項2記載の構造式(1d)又は(1e)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤及び溶剤を含有し、上記ベース樹脂が現像液に不溶あるいは難溶であって、酸の作用によって現像液に可溶となる化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項15:
更に、クエンチャーを添加してなることを特徴とする請求項13又は14記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項16:
更に、溶解阻止剤を含有することを特徴とする請求項13、14又は15記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項17:
請求項8乃至16のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項18:
波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、レジスト材料が塗布された基板と投影レンズの間に水、グリセリン、エチレングリコールなどの液体を挿入する液浸リソグラフィー法であることを特徴とする請求項17記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光酸発生剤は、スルホネートに、嵩高いステロイド構造を有しているため、適度な酸拡散制御を行うことができる。また、レジスト材料中の樹脂類との相溶性もよく、これらスルホン酸を発生する光酸発生剤はデバイス作製工程での塗布、露光前焼成、露光、露光後焼成、現像の工程に問題なく使用でき、疎密依存性、露光余裕度の問題も解決できる。更にはArF液浸露光の際の水への溶出も抑えることができるのみならず、ウエハー上に残る水の影響も少なく、欠陥も抑えることができる。デバイス作製後のレジスト廃液処理の際には、β位のアシルオキシ基、又はアルキルカーボネート基がアルカリ加水分解されるため、より低分子量で低蓄積性のフッ素化合物へと変換が可能であるし、燃焼による廃棄の際もフッ素置換率が低いため、燃焼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
光酸発生剤
本発明の光酸発生剤は、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、オキシムスルホネート、スルホニルオキシイミドに代表される化合物であり、これは紫外線、遠紫外線、電子線、EUV、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線の高エネルギー線に感応し、下記一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生し、化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤として有効である。
1−COOCH(CF3)CF2SO3-+ (1a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3-+ (1c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。)
【0021】
なお、本明細書中におけるステロイド骨格とは、3つの六員環及び1つの五員環がつながった下記一般式(7)に示される骨格を有する化合物の総称である。
【化5】

【0022】
上記一般式(1a)又は(1c)におけるR1は、ステロイド骨格を有する置換もしくは非置換の炭素数20〜50の炭化水素基を示す。上記一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸は、コレスタノール、コレステロール、あるいはコール酸の誘導体であることが好ましい。上記R1は、官能基として水酸基、アルコキシル基、アシル基、カルボニル基などを含んでいてもよい。
【0023】
上記一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸として、具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。なお、下記式中Acはアセチル基である。
【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
なお、R1としては、特に下記式(1d’)、(1e’)又は(1f’)で示されるものが好ましい。なお、下記構造式において結合位置は点線で示したものである。
【化9】


(式中、kは1〜5の整数である。)
【0028】
スルホニウム塩
本発明に係るスルホニウム塩は、下記一般式(2a)又は(2c)のいずれかで示されるものである。
1−COOCH(CF3)CF2SO3-234+ (2a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3-234+ (2c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【0029】
上記一般式(2a)又は(2c)におけるR1は上記の通りである。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソプロピル基、2−オキソエチル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、チエニル基等や、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−tert−ブトキシフェニル基、3−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。また、R2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して硫黄原子を介して環状構造を形成する場合には、これらの環状構造を形成する基としては、1,4−ブチレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン等の二価の有機基が挙げられる。R2、R3、R4の置換基としてアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の重合可能な置換基を有するアリール基も挙げられ、具体的には4−アクリロイルオキシフェニル基、4−メタクリロイルオキシフェニル基、4−アクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル基、4−メタクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル基、4−ビニルオキシフェニル基、4−ビニルフェニル基等が挙げられる。
【0030】
より具体的にスルホニウムカチオンを示すと、トリフェニルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3,4−ジ−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−n−ヘキシルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、ジメチル(2−ナフチル)スルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、ジフェニル2−チエニルスルホニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、4−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられる。より好ましくはトリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム等が挙げられる。更には4−メタクリロイルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−アクリロイルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−メタクリロイルオキシフェニルジメチルスルホニウム、4−アクリロイルオキシフェニルジメチルスルホニウム、(4−メタクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−アクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム等が挙げられる。これら重合可能なスルホニウムカチオンに関しては特開平4−230645号公報、特開2005−84365号公報等を参考にすることができ、これら重合可能なスルホニウム塩は後述する高分子量体の構成成分のモノマーとして用いることができる。
【0031】
この場合、スルホニウム塩として、特に下記一般式(3a)又は(3c)のいずれかで示されるものが挙げられる。
1−COOCH(CF3)CF2SO3- (R5(O)nmPh’S+Ph2 (3a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3- (R5(O)nmPh’S+Ph2 (3c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。R5は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。mは1〜5の整数、nは0(零)又は1を示す。Phはフェニル基を示す。Ph’はフェニル基の水素原子m個をR5(O)n−基に置換した基を示す。)
【0032】
上記一般式(3a)又は(3c)中のR1は上記の通りであり、R5−(O)n−基の置換位置は特に限定されるものではないが、フェニル基の4位あるいは3位が好ましい。より好ましくは4位である。R5としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、トリフルオロメチル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、更にn=1の場合にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基が挙げられる。mは1〜5の整数であり、好ましくは1である。nは0(零)又は1である。
【0033】
具体的なスルホニウムカチオンとしては、4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−エチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム、4−n−ヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム、4−n−オクチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−エトキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−シクロヘキシルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−n−ヘキシルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−n−オクチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−ドデシルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−トリフルオロメチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−トリフルオロメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−メタクリロイルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−アクリロイルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、(4−n−ヘキシルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム)、(4−メタクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−アクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0034】
ヨードニウム塩
本発明は、ヨードニウム塩をも提供するが、本発明のヨードニウム塩は、下記一般式(4a)又は(4c)のいずれかで示されるものである。
1−COOCH(CF3)CF2SO3- ((R5(O)nmPh’)2+ (4a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3- ((R5(O)nmPh’)2+ (4c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。R5は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。mは1〜5の整数、nは0(零)又は1を示す。Ph’はフェニル基の水素原子m個をR5(O)n−基に置換した基を示す。)
【0035】
上記一般式(4a)又は(4c)中のR1、R5、n、mは上記の通りである。R5−(O)n−基の置換位置は特に限定されるものではないが、フェニル基の4位あるいは3位が好ましい。より好ましくは4位である。具体的なヨードニウムカチオンとしては、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−エチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル)ヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−アクリロイルオキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メタクリロイルオキシフェニルフェニルヨードニウム等が挙げられるが、中でもビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムが好ましく用いられる。
【0036】
N−スルホニルオキシイミド化合物
本発明は、下記一般式(5a)又は(5c)のいずれかで示されるN−スルホニルオキシイミド化合物をも提供する。
【化10】


(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。X、Yは相互に独立に水素原子、又は置換もしくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示すか、あるいはX及びYが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に飽和もしくは不飽和の炭素数6〜12の環を形成してもよい。Zは単結合、二重結合、メチレン基、又は酸素原子を示す。)
【0037】
上記一般式(5a)又は(5c)中のX、Yは相互に独立に水素原子、又は置換もしくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示すか、あるいはX及びYが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に飽和もしくは不飽和の炭素数6〜12の非芳香環及び芳香環を形成してもよい。Zは単結合、二重結合、メチレン基、又は酸素原子を示す。R1は上記と同様である。スルホネート部を除くイミド骨格を具体的に下記に示す。また、イミド骨格は特開2003−252855号公報を参考にできる。
【0038】
【化11】

【0039】
オキシムスルホネート化合物
また、本発明は、下記一般式(6a)又は(6c)のいずれかで示されるオキシムスルホネート化合物を提供する。
【化12】


(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。qは0又は1を示すが、qが0の場合、pは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜15のアリール基を示し、qが1の場合には、pは単結合、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜15のアリーレン基を示す。EWGはシアノ基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、5H−パーフルオロペンチル基、6H−パーフルオロヘキシル基、ニトロ基又はメチル基を示す。)
【0040】
上記一般式(6a)又は(6c)中のR1は上記と同様であるが、qが0の場合、pは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜15のアリール基を示し、qが1の場合には、pは単結合、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜15のアリーレン基を示す。EWGはシアノ基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、5H−パーフルオロペンチル基、6H−パーフルオロヘキシル基、ニトロ基又はメチル基を示し、qが1の場合、互いのEWGが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に炭素数6の環を形成してもよい。これらオキシムスルホネートの骨格は、米国特許第6261738号明細書、特開平9−95479号公報、特開平9−208554号公報、特開平9−230588号公報、特許第2906999号公報、特開平9−301948号公報、特開2000−314956号公報、特開2001−233842号公報、国際公開第2004/074242号パンフレットに記載されている。
【0041】
スルホネート部位を除くより具体的なオキシムスルホネートの骨格を下記に示す。
【化13】

【0042】
ここで、本発明の上記一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤の例の一つとして上記一般式(2a)又は(2c)で示されるスルホニウム塩の合成方法について述べる。
【0043】
後述するようにして合成されるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを、ステロイド構造を有する脂肪族カルボン酸ハライドと塩基性条件下反応させることにより、カルボン酸エステル構造及びステロイド構造を有する上記一般式(2a)のスルホニウム塩を得ることができる。
【0044】
後述するようにして合成されるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを、ステロイド構造を有するハロギ酸エステルと塩基性条件下反応させることにより、カーボネート構造及びステロイド構造を有する上記一般式(2c)のスルホニウム塩を得ることができる。
【0045】
本発明の上記一般式(3a)又は(3c)のいずれかで示されるスルホニウム塩、上記一般式(4a)又は(4c)のいずれかで示されるヨードニウム塩は上述の方法と同様に合成することができる。
【0046】
本発明の上記一般式(5a)又は(5c)のいずれで示されるイミドスルホネートや、上記一般式(6a)又は(6c)のいずれで示されるオキシムスルホネートを合成する場合には、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート部位を有するイミドスルホネートやオキシムスルホネートを、ステロイド構造を有する脂肪族カルボン酸ハライドと塩基性条件下反応させることにより、カルボン酸エステル構造及びステロイド構造を有するイミドスルホネートやオキシムスルホネートを得ることができる。
【0047】
なお、トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートの合成を簡単に述べる。
中井らにより1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを出発原料として開発された1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イルベンゾエートに代表される1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル脂肪族カルボン酸エステルあるいは芳香族カルボン酸エステルと亜硫酸水素ナトリウムあるいは亜硫酸ナトリウムを、水あるいはアルコール及びその混合物中で反応させることにより、対応する1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アシルオキシプロパンスルホン酸塩あるいは1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アレーンカルボニルオキシプロパンスルホン酸塩を得た後に、適宜スルホニウム塩とイオン交換することにより、トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アシルオキシプロパンスルホネートあるいはトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アレーンカルボニルオキシプロパンスルホネートを得ることができ、更にスルホネートのカルボン酸エステル部位を水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを用いて加水分解又はアルコールと塩基を用いて加溶媒分解しすることで、目的のトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを得ることができる。
トリフェニルスルホニウム以外のスルホニウム、ヨードニウムの合成も同様に行うことができる。
【0048】
また、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート部位を有するイミドスルホネートやオキシムスルホネートの合成について述べる。
1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アシルオキシプロパンスルホン酸塩あるいは1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アレーンカルボニルオキシプロパンスルホン酸塩を塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リン等のクロル化剤と反応させることで、対応するスルホニルクロリドあるいはスルホン酸無水物とし、常法によりN−ヒドロキシジカルボキシルイミドや、オキシム類と反応させ、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アシルオキシプロパンスルスルホネートあるいは1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アレーンカルボニルオキシプロパンスルホネートを得る。次いでアシルオキシ基あるいはアレーンカルボニルオキシ基の加水分解を行うことで、目的の中間原料である、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート部位を有するイミドスルホネートやオキシムスルホネート得ることができる。
【0049】
原料のスルホニウム塩やヨードニウム塩は、The Chemistry of sulfonium group Part 1 John−Wiley & Sons (1981)、Advanced Photochemistry, vol.17 John−Wiley & Sons (1992)、J.Org.Chem.,1988.53.5571−5573あるいは特開平8−311018号公報、特開平9−15848号公報、特開2001−122850号公報、特開平7−25846号公報、特開2001−181221号公報、特開2002−193887号公報、特開2002−193925号公報等を参考に合成することができる。また、重合可能な置換基としてアクリロイルオキシ基あるいはメタクリロイルオキシ基を有するオニウムカチオンは、特開平4−230645号公報、特開2005−84365号公報等記載の方法で、既存のヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムハライドを塩基性条件下でアクリロイルクロリドあるいはメタクリロイルクロリドと反応させることで合成できる。
【0050】
イミドスルホネートやオキシムスルホネートの合成は、上記の特開2003−252855号公報、米国特許第6261738号明細書、特開平9−95479号公報、特開平9−208554号公報、特開平9−230588号公報、特許第2906999号公報、特開平9−301948号公報、特開2000−314956号公報、特開2001−233842号公報、国際公開第2004/074242号パンフレットを参考にすることができる。
【0051】
本発明は、第1には、高エネルギー線照射により上記一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤を提供する。第2には、化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤として有用なスルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジカルボキシルイミドスルホネート、オキシムスルホネートを提供し、第3には、高エネルギー線照射により上記一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤及び酸の作用でアルカリ現像液への溶解性が変化する樹脂を含有するレジスト材料を提供する。
【0052】
ここで、本発明のレジスト材料は、
(A)上記光酸発生剤(即ち、上記一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤)、
(B)有機溶剤、
(C)酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が変化するベース樹脂、
必要により
(D)クエンチャー、
更に必要により
(E)上記光酸発生剤以外の光酸発生剤、
更に必要により
(F)有機酸誘導体及び/又はフッ素置換アルコール、
更に必要により
(G)重量平均分子量3,000以下の溶解阻止剤、
を含有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料、
更に必要により
(H)水不溶又は難溶でアルカリ現像液可溶な界面活性剤及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤
あるいは
(A)上記光酸発生剤、
(B)有機溶剤、
(C’)アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤によってアルカリ難溶となるベース樹脂、
(I)酸によって架橋する架橋剤、
必要により
(D)クエンチャー、
更に必要により
(E)上記光酸発生剤以外の光酸発生剤、
更に必要により
(H)水不溶又は難溶でアルカリ現像液可溶な界面活性剤及び/又は水及びアルカリ現像液に不溶又は難溶な界面活性剤
を含有することを特徴とする化学増幅ネガ型レジスト材料である。
【0053】
本発明の(A)成分の光酸発生剤は上述の通りであるが、より具体的には上記一般式(2a)、(2c)、(3a)、(3c)、(4a)、(4c)、(5a)、(5c)、(6a)、(6c)のいずれかの化合物が挙げられ、その配合量は、レジスト材料中のベース樹脂100部(質量部、以下同じ)に対し0.1〜10部、特に1〜7部である。
【0054】
本発明で使用される(B)成分の有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0056】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100部に対して200〜3,000部、特に400〜2,000部が好適である。
【0057】
本発明において、ベース樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸及びその誘導体、シクロオレフィン誘導体−無水マレイン酸交互重合体、シクロオレフィン誘導体と無水マレイン酸とポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元以上の共重合体、シクロオレフィン誘導体−α−トリフルオロメチルアクリル酸誘導体共重合体、ポリノルボルネン、開環メタセシス重合体、並びに開環メタセシス重合体水素添加物から選択される1種又は2種以上の高分子重合体を用いることができる。
この場合、ベース樹脂が珪素原子を含有するものであってもよく、またフッ素原子を有するものでもよい。
【0058】
本発明で使用される(C)成分又は(C’)成分のベース樹脂は、KrFエキシマレーザーレジスト材料用としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)及びPHSとスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、その他重合性オレフィン化合物などとの共重合体、ArFエキシマレーザーレジスト材料用としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系、シクロオレフィンと無水マレイン酸との交互共重合系及び更にビニルエーテル類又は(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合系、ポリノルボルネン系、シクロオレフィン開環メタセシス重合系、シクロオレフィン開環メタセシス重合体水素添加物等が挙げられ、F2エキシマレーザーレジスト材料用として上記KrF、ArF用ポリマーのフッ素置換体等が挙げられるが、これらの重合系ポリマーに限定されることはない。更に重合可能な置換基を有する本発明のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、具体的には(4−アクリロイルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムカチオン、(4−メタクリロイルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウムカチオン、(4−アクリロイルオキシフェニル)フェニルヨードニウムカチオン、(4−メタクリロイルオキシフェニル)フェニルヨードニウムカチオン等のオニウムカチオンとシクロヘキサンジカルボン酸水素1−(ジフルオロスルホメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル等のアニオンの組み合わせによるスルホニウム塩、ヨードニウム塩をこれらのベース樹脂の重合成分として用いることができる。ベース樹脂は単独で又は2種以上混合して用いることができる。ポジ型レジスト材料の場合、フェノールあるいはカルボキシル基、あるいはフッ素化アルキルアルコールの水酸基を酸不安定基で置換することによって、未露光部の溶解速度を下げる場合が一般的である。
【0059】
また、本発明で使用される(C)成分は、下記一般式(8)で示される酸不安定基以外に下記一般式(9)〜(11)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することができる。
【0060】
【化14】


(式中、R11は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。VAは炭素数1〜20の極性基含有置換基を示す。XAは酸不安定基を示す。YLはラクトン構造を有する置換基を示す。ZAは水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基、又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。)
【0061】
上記一般式(8)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる重合体を与える。酸不安定基XAとしては種々用いることができるが、具体的には下記一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0062】
【化15】

【0063】
ここで、破線は結合手を示す(以下、同様)。
また、式(L1)において、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等が例示できる。RL03は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0064】
【化16】

【0065】
L01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはRL01、RL02、RL03のうち環形成に関与する基はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0066】
式(L2)において、RL04は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示し、三級アルキル基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示でき、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。yは0〜6の整数である。
【0067】
式(L3)において、RL05は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、置換されていてもよいアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示でき、置換されていてもよいアリール基としては、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。mは0又は1、nは0、1、2、3のいずれかであり、2m+n=2又は3を満足する数である。
【0068】
式(L4)において、RL06は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL05と同様のもの等が例示できる。RL07〜RL16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の一価の炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。RL07〜RL16はそれらの2個が互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合にはその結合に関与するものは炭素数1〜15の二価の炭化水素基を示し、具体的には上記一価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
【0069】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【化17】

【0070】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
【0071】
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0072】
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−n−プロピルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−n−ブチルシクロペンチル、1−sec−ブチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルシクロペンチル、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル等が例示できる。
【0073】
上記式(L4)の酸不安定基としては、下記式(L4−1)〜(L4−4)で示される基が特に好ましい。
【化18】

【0074】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)中、破線は結合位置及び結合方向を示す。RL41はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。
【0075】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るが、前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、これらの立体異性体の全てを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0076】
例えば、前記一般式(L4−3)は下記一般式(L4−3−1)、(L4−3−2)で示される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
【化19】

【0077】
また、上記一般式(L4−4)は下記一般式(L4−4−1)〜(L4−4−4)で示される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
【化20】

【0078】
上記一般式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)及び(L4−4−1)〜(L4−4−4)は、それらのエナンチオ異性体及びエナンチオ異性体混合物をも代表して示すものとする。
【0079】
なお、(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)及び(L4−4−1)〜(L4−4−4)の結合方向がそれぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開2000−336121号公報参照)。これらビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する3級exo−アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記一般式(L4−1−endo)〜(L4−4−endo)で示されるendo−アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50モル%以上であることが好ましく、exo比率が80モル%以上であることが更に好ましい。
【0080】
【化21】


(特開2000−336121号公報参照)
【0081】
上記式(L4)の酸不安定基としては、具体的には下記の基が例示できる。
【化22】

【0082】
また、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、具体的にはRL04で挙げたものと同様のもの等が例示できる。
【0083】
前記一般式(8)で表される繰り返し単位として具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化23】

【0084】
【化24】

【0085】
【化25】

【0086】
【化26】

【0087】
【化27】

【0088】
【化28】

【0089】
前記一般式(9)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化29】

【0090】
【化30】

【0091】
【化31】

【0092】
前記一般式(10)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。なお、酸不安定基を有する繰り返し単位も存在する。具体的には上記酸不安定基として説明した式(L2)と重複するが、ラクトン単位として使用してもよいし、酸不安定基を有する単位として用いてもよい。
【0093】
【化32】

【0094】
【化33】

【0095】
【化34】

【0096】
また、下記一般式(5L−1)のものも好適に用いることができる。
【化35】

【0097】
ここで、上記一般式(5L−1)中のR21は、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。より好ましくはメチル基である。R22は水素原子又はCO223を示す。R23は水素原子、ハロゲン原子、又は酸素原子を有していてもよい炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価炭化水素基を示す。Wは、CH2、O又はSを示す。Mは1〜3の整数である。
【0098】
23として具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、2−メチルアダマンタン−2−イル基、2−エチルアダマンタン−2−イル基、8−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、8−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル基、4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、及び下記の基等が例示できる。
【0099】
【化36】


(ここで、鎖線は結合手を示す。)
【0100】
この中でR23として好ましくはメチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、2−メチルアダマンタン−2−イル基、2−エチルアダマンタン−2−イル基、8−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、8−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル基等が挙げられる。Wとして好ましくはCH2が挙げられる。
【0101】
上記一般式(5L−1)で示される繰り返し単位を構成するためのモノマーとして、具体的には下記のものを例示できる。
【0102】
【化37】


(式中、R21は上記と同様である。)
【0103】
【化38】


(式中、R21は上記と同様である。)
【0104】
【化39】


(式中、R21は上記と同様である。)
【0105】
なお、上記一般式(5L−1)で示される繰り返し単位を構成するためのモノマー類でM=1の化合物に関しては特開2008−031298号公報に詳しい。また、M=3の化合物に関してはM=1の化合物における原料のクロロアセチルクロリドをクロロ酪酸クロリドとすることで同様に合成ができる。
【0106】
前記一般式(11)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化40】

【0107】
【化41】

【0108】
本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物は、上記以外の炭素−炭素二重結合を含有する単量体から得られる繰り返し単位、例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン誘導体などの環状オレフィン類、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、その他の単量体から得られる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0109】
なお、本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物は、ArF露光以外のリソグラフィー、例えばKrFリソグラフィー、電子線リソグラフィー、EUVリソグラフィーなどにも適用が可能である。
【0110】
この場合、本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物は下記一般式(12)〜(14)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することができ、更に上述した一般式(8)〜(11)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有していてもよい。
【化42】


(式中、R11、XAは上記と同様である。Gは酸素原子又はカルボキシル基(−C(=O)O−)を示す。)
【0111】
上記一般式(12)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してフェノール性水酸基及び/又はカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる重合体を与える。酸不安定基XAとしては種々用いることができるが、具体的には上述した一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0112】
前記一般式(12)で表される繰り返し単位として具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化43】

【0113】
更に、上記一般式(12)〜(14)で示される繰り返し単位のいずれか1種に加えて上記一般式(8)〜(11)で示される繰り返し単位の中で、特に上記一般式(8)で示される繰り返し単位を含有するものを好ましく用いることができる。
【0114】
従って、本発明に用いるベース樹脂としては、下記一般式(8)及び/又は(12)で示される繰り返し単位と、下記一般式(9)〜(11)並びに(13)及び(14)から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有する高分子重合体であることが好ましい。
【0115】
【化44】


(式中、R11は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。VAは炭素数1〜20の極性基含有置換基を示し、例えば
【化45】


で示されるものが挙げられる。R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す。XAは酸不安定基を示す。YLはラクトン構造を有する置換基を示す。ZAは水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基、又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。)
【0116】
【化46】


(式中、R11、XAは上記と同様である。Gは酸素原子又はカルボキシル基(−C(=O)O−)を示す。)
【0117】
本発明のレジスト材料に用いられる上記一般式(12)〜(14)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有する高分子化合物には、上記以外の炭素−炭素二重結合を含有する単量体から得られる繰り返し単位、例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン誘導体、ノルボルナジエン類などの環状オレフィン類、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、スチレン、アセナフチレン、ビニルナフタレン、ヒドロキシビニルナフタレン、その他の単量体から得られる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0118】
なお、本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物の重量平均分子量は、1,000〜500,000、好ましくは3,000〜100,000である。この範囲を外れると、エッチング耐性が極端に低下したり、露光前後の溶解速度差が確保できなくなって解像性が低下したりすることがある。分子量の測定方法はポリスチレン換算でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)や光散乱法などが挙げられる。
【0119】
本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物において、各単量体から得られる各繰り返し単位の好ましい含有割合は、例えば以下に示す範囲(モル%)とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0120】
(I)上記式(8)及び/又は(12)で示される構成単位の1種又は2種以上を1モル%を超え50モル%以下、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは10〜30モル%含有し、
(II)上記式(9)〜(11)、及び/又は(13)、(14)で示される構成単位の1種又は2種以上を50〜99モル%、好ましくは60〜95モル%、より好ましくは70〜90モル%含有し、必要に応じ、
(III)その他の単量体に基づく構成単位の1種又は2種以上を0〜80モル%、好ましくは0〜70モル%、より好ましくは0〜50モル%含有することができる。
【0121】
本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物を製造する共重合反応は種々例示することができるが、好ましくはラジカル重合、アニオン重合又は配位重合である。
【0122】
ラジカル重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール等のアルコール類、又はメチルイソブチルケトン等のケトン類を用い、(イ)重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、又は過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0123】
アニオン重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、又は液体アンモニアを用い、(イ)重合開始剤としてナトリウム、カリウム等の金属、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等のアルキル金属、ケチル、又はグリニャール反応剤を用い、(ウ)反応温度を−78〜0℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とし、(オ)停止剤としてメタノール等のプロトン供与性化合物、ヨウ化メチル等のハロゲン化物、その他求電子性物質を用いるのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0124】
配位重合の反応条件は、(ア)溶剤としてn−ヘプタン、トルエン等の炭化水素類を用い、(イ)触媒としてチタン等の遷移金属とアルキルアルミニウムからなるチーグラー−ナッタ触媒、クロム及びニッケル化合物を金属酸化物に担持したフィリップス触媒、タングステン及びレニウム混合触媒に代表されるオレフィン−メタセシス混合触媒等を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0125】
また、上記重合方法により製造した高分子化合物の酸不安定基の一部あるいは全部を脱保護し、後述するネガ型材料に用いることができる。更には酸不安定基を脱保護した高分子化合物に再び酸不安定基を導入し、重合時に導入した酸不安定基とは異なる置換基を導入することもできる。
【0126】
例えば、4−エトキシエトキシスチレンを上述のラジカル重合により高分子化合物とし、次いで酢酸、ピリジニウムトシレートなどによりエトキシエトキシ基を外し、ポリヒドロキシスチレンとのコポリマーとすることができる。これはネガ型レジスト材料のベース樹脂として用いることができる。また、上記コポリマーのヒドロキシスチレン単位をジtert−ブチルジカーボネート、クロロ酢酸tert−ブチル、種々のビニルエーテルなどと反応させることにより重合時の酸不安定基(エトキシエトキシ基)とは異なる酸不安定基の導入をすることができる。
【0127】
また、開環メタセシス重合体の水素添加物の合成法は特開2003−66612号公報の実施例に具体的な記載がある。また、具体例としては以下の繰り返し単位を有するものを挙げることができるが、これに限定されない。
【0128】
【化47】

【0129】
【化48】

【0130】
なお、上記高分子化合物は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0131】
更に、本発明のレジスト材料には、(D)成分のクエンチャーを1種又は2種以上配合することができる。
【0132】
クエンチャーとは、本技術分野において広く一般的に用いられる用語であり、酸発生剤より発生する酸などがレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物を言う。クエンチャーの配合により、レジスト感度の調整が容易となることに加え、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0133】
このようなクエンチャーとしては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類、アンモニウム塩類等が好適に用いられる。
【0134】
更に、下記一般式(B)−1で示されるアミン化合物が例示される。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
【化49】


(上記式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、上記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の水素原子、又は直鎖状、分岐状又は環状の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。
ここで、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。)
【0135】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つアミン化合物が例示される。
【化50】


(上記式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよいアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0136】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含むアミン化合物が例示される。
【化51】


(上記式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0137】
更に、下記一般式(B)−7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有するアミン化合物が例示される。
【化52】


(上記式中、R310は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数2〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、エステル基、アセタール基、シアノ基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基などの極性官能基を一つ以上含んでいてもよい。R311、R312、R313は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
【0138】
更に、下記一般式(B)−8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有するアミン化合物が例示される。
【化53】


(上記式中、R314は水素原子、炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。R315は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、エステル基、アセタール基、シアノ基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基などの極性官能基を一つ以上含んでいてもよい。)
【0139】
更に、下記一般式(B)−9及び(B)−10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
【化54】


(上記式中、Aは窒素原子又は≡C−R322である。Bは窒素原子又は≡C−R323である。R316は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数2〜50の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、エステル基、アセタール基、シアノ基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基などの極性官能基を一つ以上含んでいてもよい。R317、R318、R319、R320は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基であるか、又はR317とR318、R319とR320はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R321は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R322、R323は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R321とR323は結合してこれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
【0140】
更に、下記一般式(B)−11〜(B)−11−14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有するアミン化合物が例示される。
【化55】


(上記式中、R324は炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、又は、炭素数1〜10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R325はCO2326、OR327又はシアノ基である。R326は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。R327は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基である。R328は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は−O(CH2CH2O)n−基である。n=0,1,2,3又は4である。R329は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Xは窒素原子又はCR330である。Yは窒素原子又はCR331である。Zは窒素原子又はCR332である。R330、R331、R332はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR330とR331又はR331とR332が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数6〜20の芳香環又は炭素数2〜20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0141】
更に、下記一般式(B)−15で示される7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸エステル構造を有するアミン化合物が例示される。
【化56】


(上記式中、R333は水素又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。R334及びR335はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、スルフィド、ニトリル、アミン、イミン、アミドなどの極性官能基を一つ又は複数含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であって水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R334とR335は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に炭素数2〜20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0142】
以下、本発明に好適に用いられるクエンチャーを具体的に例示するが、これらに限定されるものではない。
【0143】
第一級の脂肪族アミン類として、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N’−ジメチルメチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0144】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0145】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、1−シクロヘキシルピロリドン等が例示される。イミド類としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。カーバメート類としては、N−t−ブトキシカルボニル−N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、オキサゾリジノン等が例示される。
【0146】
アンモニウム塩類としては、ピリジニウム=p−トルエンスルホナート、トリエチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、トリオクチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、トリエチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、トリオクチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、トリエチルアンモニウム=カンファースルホナート、トリオクチルアンモニウム=カンファースルホナート、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、テトラブチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウム=カンファースルホナート、テトラブチルアンモニウム=カンファースルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウム=カンファースルホナート、テトラメチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、テトラブチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、酢酸=テトラメチルアンモニウム、酢酸=テトラブチルアンモニウム、酢酸=ベンジルトリメチルアンモニウム、安息香酸=テトラメチルアンモニウム、安息香酸=テトラブチルアンモニウム、安息香酸=ベンジルトリメチルアンモニウム等が例示される。
【0147】
第3級アミン類としては、更に、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−ベンゾイルオキシエチル)アミン、トリス[2−(4−メトキシベンゾイルオキシ)エチル]アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトン等が例示される。
【0148】
更に、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]イミダゾール、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、4−[2−{2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル、2−メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−メトキシ酢酸2−ピペリジノエチル、2−メトキシ酢酸2−モルホリノエチル、2−メトキシ酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−メトキシ酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−メトキシ酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−ピペリジノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−モルホリノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−ピペリジノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−モルホリノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、酪酸2−モルホリノエチル、ヘキサン酸2−モルホリノエチル、オクタン酸2−モルホリノエチル、デカン酸2−モルホリノエチル、ラウリン酸2−モルホリノエチル、ミリスチン酸2−モルホリノエチル、パルミチン酸2−モルホリノエチル、ステアリン酸2−モルホリノエチル、ベヘン酸2−モルホリノエチル、コール酸2−モルホリノエチル、トリス(O−アセチル)コール酸2−モルホリノエチル、トリス(O−ホルミル)コール酸2−モルホリノエチル、デヒドロコール酸2−モルホリノエチル、シクロペンタンカルボン酸2−モルホリノエチル、シクロヘキサンカルボン酸2−モルホリノエチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(1−ピロリジニル)エチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−ピペリジノエチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−モルホリノエチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(1−イミダゾリル)エチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、アダマンタンカルボン酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、安息香酸2−(1−ピロリジニル)エチル、安息香酸2−ピペリジノエチル、安息香酸2−モルホリノエチル、安息香酸2−(1−イミダゾリル)エチル、安息香酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、安息香酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−ピペリジノエチル、4−メトキシ安息香酸2−モルホリノエチル、4−メトキシ安息香酸2−(1−イミダゾリル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−フェニル安息香酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−フェニル安息香酸2−ピペリジノエチル、4−フェニル安息香酸2−モルホリノエチル、4−フェニル安息香酸2−(1−イミダゾリル)エチル、4−フェニル安息香酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−フェニル安息香酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(1−ピロリジニル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−ピペリジノエチル、1−ナフタレンカルボン酸2−モルホリノエチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(1−イミダゾリル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−ピペリジノエチル、2−ナフタレンカルボン酸2−モルホリノエチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル等が例示される。
【0149】
更に、3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)等が例示される。
【0150】
なお、クエンチャーの配合量は全ベース樹脂100部に対して0.001〜5部、特に0.01〜3部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果がなく、5部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0151】
また、本発明の式(1a)又は(1b)の光酸発生剤以外に、(E)成分の光酸発生剤を添加する場合は、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでもかまわない。好適な光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、N−スルホニルオキシジカルボキシイミド、オキシム−O−アリ−ルスルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0152】
スルホニウム塩は、スルホニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、スルホニウムカチオンとしてトリフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3,4−ジ−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−メチルフェニル)フェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、トリス(フェニルメチル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル(2−ナフチル)スルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソプロピルチアシクロペンタニウム、2−オキソブチルチアシクロペンタニウム、2−オキソ−3,3−ジメチルブチルチアシクロペンタニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサンスルホネート、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチルエタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしてはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミド、パーフルオロ(1,3−プロピレンビススルホニル)イミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドが挙げられ、これらの組み合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
【0153】
ヨードニウム塩は、ヨードニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、ヨードニウムカチオンとしてはジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等が挙げられ、スルホネートとしてはトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサンスルホネート、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチルエタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしてはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミド、パーフルオロ(1,3−プロピレンビススルホニル)イミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドが挙げられ、これらの組み合わせのヨードニウム塩が挙げられる。
【0154】
N−スルホニルオキシジカルボキシイミド型光酸発生剤としては、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボキシイミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボキシイミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシイミド等のイミド骨格とトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサンスルホネート、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチルエタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート等の組み合わせの化合物が挙げられる。
【0155】
O−アリールスルホニルオキシム化合物あるいはO−アルキルスルホニルオキシム化合物(オキシムスルホネート)型光酸発生剤としては、トリフルオロメチル基のような電子吸引基で化合物の安定性を増した下記式(Ox−1)で示されるオキシムスルホネートが挙げられる。
【化57】


(上記式中、R401は置換又は非置換の炭素数1〜10のハロアルキルスルホニル又はハロベンゼンスルホニル基を表す。R402は炭素数1〜11のハロアルキル基を表す。Ar401は置換又は非置換の芳香族基又はヘテロ芳香族基を表す。)
【0156】
具体的には、2−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ペンチル)フルオレン、2−(2,2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ブチル)フルオレン、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ヘキシル)フルオレン、2−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ペンチル)−4−ビフェニル、2−(2,2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ブチル)−4−ビフェニル、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ヘキシル)−4−ビフェニル等が挙げられ、更に上記骨格に2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネートを置換した化合物が挙げられる。
【0157】
中でもより好ましく用いられるのは下記一般式(E)−1で示される酸発生剤である。
【化58】

【0158】
ここで、式中、R405、R406、R407はそれぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の一価の炭化水素基、特にアルキル基又はアルコキシ基を示し、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基として具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エチルシクロペンチル基、ブチルシクロペンチル基、エチルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、エチルアダマンチル基、ブチルアダマンチル基、及びこれらの基の任意の炭素−炭素結合間に−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NH−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−等のヘテロ原子団が挿入された基や、任意の水素原子が−OH、−NH2、−CHO、−CO2H等の官能基に置換された基を例示することができる。R408はヘテロ原子を含んでもよい炭素数7〜30の直鎖状、分岐状又は環状の一価の炭化水素基を示し、具体的には以下のものが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0159】
【化59】

【0160】
より具体的には、以下のものが例示できる。
【化60】

【0161】
【化61】

【0162】
本発明の化学増幅型レジスト材料における(E)成分として添加する光酸発生剤の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲であればいずれでもよいが、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し0.1〜10部、好ましくは0.1〜5部である。(E)成分の光酸発生剤の割合が多すぎる場合には、解像性の劣化や、現像/レジスト剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。上記(E)成分の光酸発生剤は、単独でも2種以上混合して用いることもできる。更に、露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量でレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
【0163】
なお、光酸発生剤を2種以上混合して用い、一方の光酸発生剤がいわゆる弱酸を発生するオニウム塩である場合、酸拡散制御の機能を持たせることもできる。即ち、強酸(例えばフッ素置換されたスルホン酸)を発生する光酸発生剤と弱酸(例えばフッ素置換されていないスルホン酸もしくはカルボン酸)を発生するオニウム塩を混合して用いた場合、高エネルギー線照射により光酸発生剤から生じた強酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると塩交換により弱酸を放出し強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
ここで強酸を発生する光酸発生剤がオニウム塩である場合には上記のように高エネルギー線照射により生じた強酸が弱酸に交換することはできるが、高エネルギー線照射により生じた弱酸は未反応の強酸を発生するオニウム塩と衝突して塩交換を行うことはできない。これらはオニウムカチオンがより強酸のアニオンとイオン対を形成し易いとの現象に起因する。
【0164】
また、本発明のレジスト材料に、酸により分解し酸を発生する化合物(酸増殖化合物)を添加してもよい。これらの化合物については、J.Photopolym.Sci.and Tech.,8.43−44,45−46(1995)、J.Photopolym.Sci.and Tech.,9.29−30(1996)において記載されている。
【0165】
酸増殖化合物の例としては、tert−ブチル−2−メチル−2−トシロキシメチルアセトアセテート、2−フェニル−2−(2−トシロキシエチル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。公知の光酸発生剤の中で安定性、特に熱安定性に劣る化合物は酸増殖化合物的な性質を示す場合が多い。
【0166】
本発明のレジスト材料における酸増殖化合物の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し2部以下、好ましくは1部以下である。添加量が多すぎる場合は拡散の制御が難しく、解像性の劣化、パターン形状の劣化が起こる。
【0167】
(F)成分である有機酸誘導体の例としては、特に限定されるものではないが、具体的にフェノール、クレゾール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フロログリシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−ヒドロキシフェニル酢酸、2−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、2,5−ジヒドロキシフェニル酢酸、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸、1,2−フェニレン二酢酸、1,3−フェニレン二酢酸、1,4−フェニレン二酢酸、1,2−フェニレンジオキシ二酢酸、1,4−フェニレンジプロパン酸、安息香酸、サリチル酸、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸、4−tert−ブトキシフェニル酢酸、4−(4−ヒドロキシフェニル)酪酸、3,4−ジヒドロキシマンデル酸、4−ヒドロキシマンデル酸等が挙げられ、中でもサリチル酸、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0168】
また、フッ素置換アルコールとしては、アルコールのα位以外がフッ素により置換された化合物を用いることができ、特に限定されるものではないが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール末端を有する化合物が望ましい。具体的には下記の化合物を例示することができる。
【0169】
【化62】

【0170】
【化63】

【0171】
【化64】

【0172】
【化65】

【0173】
本発明の化学増幅型レジスト材料中の有機酸誘導体及び/又はフッ素置換アルコールの添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し5部以下、好ましくは1部以下である。添加量が5部より多い場合は、解像性を劣化させる可能性がある。なお、レジスト材料中の組成の組み合わせによりこの有機酸誘導体等は添加しなくてもよい。
【0174】
(G)成分の酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が変化する重量平均分子量3,000以下の化合物(溶解阻止剤)としては、2,500以下の低分子量のフェノールあるいはカルボン酸誘導体、フッ素置換アルコールのヒドロキシル基の水素原子の一部あるいは全部を酸に不安定な置換基で置換した化合物を添加することができる。
【0175】
重量平均分子量2,500以下のフェノールあるいはカルボン酸誘導体としては、ビスフェノールA、ビスフェノールH、ビスフェノールS、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、コール酸、デオキシコール酸、リトコール酸等が挙げられ、フッ素置換アルコールとしては、上記1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール末端を有する化合物として具体的に例示したものと同様の化合物が挙げられる。酸に不安定な置換基としては上記ポリマーの酸不安定基として例示したものを再び挙げることができる。
【0176】
好適に用いられる溶解阻止剤の例としては、ビス(4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ))プロパン、2,2−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)プロパン、4,4−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、トリス(4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシメチルフェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)エタン、コール酸tert−ブチルエステル、デオキシコール酸tert−ブチルエステル、リトコール酸tert−ブチルエステル等が挙げられる。あるいは特開2003−107706号公報記載の化合物が挙げられる。
【0177】
本発明のレジスト材料中の(G)成分の溶解阻止剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し20部以下、好ましくは15部以下である。20部より多いとモノマー成分が増えるためレジスト材料の耐熱性が低下する。
【0178】
本発明のネガ型のレジスト材料に用いられる(C’)成分のアルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤によってアルカリ難溶となる樹脂としては、上述の(C)成分の樹脂の酸不安定基を置換する前のベース樹脂を用いることが好適である。
【0179】
例えば、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシ−2−メチルスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン)、ポリ(α−メチル−p−ヒドロキシスチレン)、部分水素加ポリ(p−ヒドロキシスチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−α−メチル−p−ヒドロキシスチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−α−メチルスチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−m−ヒドロキシスチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−メチルアクリレート)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−メチルアクリレート)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリ(アクリル酸−メチルアクリレート)コポリマー、ポリ(メタクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、ポリ(アクリル酸−マレイミド)コポリマー、ポリ(メタクリル酸−マレイミド)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸−マレイミド)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸−マレイミド)コポリマー等が挙げられるがこれらの組み合わせに限定されるものではない。
【0180】
また、種々の機能をもたせるため、上記酸不安定基保護化ポリマーのフェノール性水酸基、カルボキシル基の一部に置換基を導入してもよい。例えば、基板との密着性を向上するための置換基やエッチング耐性向上のための置換基、特に未露光部、低露光部のアルカリ現像液への溶解速度が高すぎないように制御するため酸やアルカリに比較的安定な置換基を導入することが好ましい。置換基の例として、例えば2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、メトキシメチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、4−メチル−2−オキソ−4−オキソラニル基、4−メチル−2−オキソ−4−オキサニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、アセチル基、ピバロイル基、アダマンチル基、イソボロニル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、酸分解性の置換基、例えばtert−ブトキシカルボニル基や、tert−ブチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等の比較的酸分解しにくい置換基を導入することできる。
【0181】
本発明のレジスト材料中における上記(C’)成分の樹脂の添加量としては任意であるが、レジスト材料中の全固形分100部に対し65〜99部、好ましくは65〜98部である。
【0182】
また、(I)成分の酸の作用により架橋構造を形成する酸架橋剤としては、分子内に2個以上のヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、エポキシ基又はビニルエーテル基を有する化合物が挙げられ、置換グリコウリル誘導体、尿素誘導体、ヘキサ(メトキシメチル)メラミン等が本発明の化学増幅ネガ型レジスト材料の酸架橋剤として好適に用いられる。例えばN,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメトキシメチルメラミン、テトラヒドロキシメチル置換グリコールウリル類及びテトラメトキシメチルグリコールウリルのようなテトラアルコキシメチル置換グリコールウリル類、置換及び未置換ビス−ヒドロキシメチルフェノール類、ビスフェノールA等のフェノール性化合物とエピクロロヒドリン等の縮合物が挙げられる。特に好適な架橋剤は、1,3,5,7−テトラメトキシメチルグリコールウリルなどの1,3,5,7−テトラアルコキシメチルグリコールウリル又は1,3,5,7−テトラヒドロキシメチルグリコールウリル、2,6−ジヒドロキシメチルp−クレゾール、2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,2’,6,6’−テトラヒドロキシメチル−ビスフェノールA及び1,4−ビス−[2−(2−ヒドロキシプロピル)]−ベンゼン、N,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。
【0183】
本発明の化学増幅型レジスト材料中の(I)成分の酸架橋剤の添加量は任意であるが、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し1〜20部、好ましくは5〜15部である。これら架橋剤は単独でも2種以上を併用してもよい。
【0184】
本発明のレジスト材料には、上記成分以外に任意成分として塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤(H)を添加することができる。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0185】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352((株)ジェムコ製)、メガファックF171,F172,F173,R08,R30,R90,R94(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−430,FC−431,FC−4430,FC−4432(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−381,S−382,S−386,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106,サーフィノールE1004,KH−10,KH−20,KH−30,KH−40(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341,X−70−092,X−70−093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)が挙げられ、また、下記構造式(surf−1)の部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤も好ましく用いられる。
【0186】
【化66】


ここで、R、Rf、A、B、C、m’、n’は、上述の界面活性剤以外の記載に拘わらず、上記式(surf−1)のみに適用される。Rは2〜4価の炭素数2〜5の脂肪族基を示し、具体的には2価のものとしてエチレン、1,4−ブチレン、1,2−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,5−ペンチレンが挙げられ、3又は4価のものとしては下記のものが挙げられる。
【化67】


(式中、破線は結合手を示し、それぞれグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールから派生した部分構造である。)
これらの中で好ましく用いられるのは、1,4−ブチレン又は2,2−ジメチル−1,3−プロピレンである。
【0187】
Rfはトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基を示し、好ましくはトリフルオロメチル基である。m’は0〜3の整数、n’は1〜4の整数であり、m’とn’の和はRの価数を示し2〜4の整数である。Aは1、Bは2〜25の整数、Cは0〜10の整数を示す。好ましくはBは4〜20の整数を示し、Cは0又は1である。また、上記構造の各構成単位はその並びを規定したものではなくブロック的でもランダム的に結合してもよい。部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤の製造に関しては米国特許第5,650,483号明細書などに詳しい。
【0188】
上記界面活性剤の中でもFC−4430,サーフロンS−381,サーフィノールE1004,KH−20,KH−30、及び上記構造式(surf−1)にて示したオキセタン開環重合物が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0189】
本発明の化学増幅型レジスト材料中の界面活性剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し2部以下、好ましくは1部以下であり、配合する場合は0.01部以上とすることが好ましい。
【0190】
本発明のレジスト材料には、水を用いた液浸露光において特にはレジスト保護膜を用いない場合、スピンコート後のレジスト表面に配向することによって水のしみ込みやリーチングを低減させる機能を有する界面活性剤を添加することができる。この界面活性剤は高分子型の界面活性剤であり、水に溶解せずアルカリ現像液に溶解する性質であり、特に撥水性が高く滑水性を向上させるものが好ましい。このような高分子型の界面活性剤は下記に示すことができる。
【0191】
【化68】


(式中、R114はそれぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基、R115はそれぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を示し、同一単量体内のR115はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、その場合、合計して炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基又はフッ素化アルキレン基を示す。R116はフッ素原子又は水素原子で、R117と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数の和が3〜10の非芳香環を形成してもよい。R117は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。R118は1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R117とR118が結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成していてもよく、その場合、R117、R118及びこれらが結合する炭素原子とで炭素数の総和が2〜12の三価の有機基を表す。R119は単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基、R120は同一でも異なってもよく単結合又は−O−、−CR114114−である。R121は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、同一単量体内のR115と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜6の非芳香環を形成してもよい。R122は1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基を示し、Rfは炭素数3〜6の直鎖状のパーフルオロアルキル基又は3H−パーフルオロプロピル基、4H−パーフルオロブチル基、5H−パーフルオロペンチル基、6H−パーフルオロヘキシル基を示す。X2はそれぞれ同一でも異なってもよく−C(=O)−O−、−O−、又は−C(=O)−R123−C(=O)−O−であり、R123は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。また、0≦(a’−1)<1、0≦(a’−2)<1、0≦(a’−3)<1、0<(a’−1)+(a’−2)+(a’−3)<1、0≦b’<1、0≦c’<1であり、0<(a’−1)+(a’−2)+(a’−3)+b’+c’≦1である。)
【0192】
上記高分子型の界面活性剤の添加量は、レジスト材料のベース樹脂100部に対して0.001〜20部、好ましくは0.01〜10部の範囲である。これらは特開2007−297590号公報に詳しい。
【0193】
更に、本発明の化学増幅型レジスト材料には紫外線吸収剤を配合することができる。特に限定されるわけではないが、特開平11−190904号公報記載のものを用いることができ、好ましくはビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)スルホキシド、ビス[4−(1−エトキシエトキシ)フェニル]スルホキシド等のジアリールスルホキシド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)スルホン、ビス[4−(1−エトキシエトキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(1−エトキシプロポキシ)フェニル]スルホン等のジアリールスルホン誘導体、ベンゾキノンジアジド、ナフトキノンジアジド、アントラキノンジアジド、ジアゾフルオレン、ジアゾテトラロン、ジアゾフェナントロン等のジアゾ化合物、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸クロリドと2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとの完全もしくは部分エステル化合物、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロリドと2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノンとの完全もしくは部分エステル化合物等のキノンジアジド基含有化合物等、9−アントラセンカルボン酸tert−ブチル、9−アントラセンカルボン酸tert−アミル、9−アントラセンカルボン酸tert−メトキシメチル、9−アントラセンカルボン酸tert−エトキシエチル、9−アントラセンカルボン酸2−tert−テトラヒドロピラニル、9−アントラセンカルボン酸2−tert−テトラヒドロフラニル等を挙げることができる。
【0194】
上記紫外線吸収剤の配合量は、レジスト材料の種類により添加しても添加されなくてもよいが、添加する場合にはベース樹脂100部に対し0〜10部、より好ましくは0.5〜10部、更に好ましくは1〜5部である。
【0195】
本発明の化学増幅型レジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えば集積回路製造用の基板(Si,SiO2,SiN,SiON,TiN,WSi,BPSG,SOG,有機反射防止膜等)、あるいはマスク回路製造用の基板(Cr,CrO,CrON,MoSi等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.1〜2.0μmとなるように塗布し、ホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜140℃、1〜5分間プリベークする。次いで、紫外線、遠紫外線、電子線、EUV、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線などから選ばれる光源、好ましくは300nm以下の露光波長で目的とするパターンを所定のマスクを通じて露光を行う。
【0196】
この中で更に好ましい光源としては、エキシマレーザー、特にKrFエキシマレーザーや245〜255nmの遠紫外線、ArFエキシマレーザーが挙げられる。露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。ホットプレート上で60〜150℃で1〜5分間、好ましくは80〜140℃で1〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0197】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0198】
なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも254〜193nmの遠紫外線、157nmの真空紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターンニングに最適である。なお、上記範囲の上限及び下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
【0199】
本発明においては、特に露光時に波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、基板と投影レンズの間に水、グリセリン、エチレングリコールなどの液体を挿入する液浸リソグラフィー法が好適に採用される。
【実施例】
【0200】
以下、合成例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0201】
[合成例1−1]トリフェニルスルホニウムクロリドの合成
ジフェニルスルホキシド40g(0.2モル)をジクロロメタン400gに溶解させ、氷冷下撹拌した。トリメチルシリルクロリド65g(0.6モル)を、20℃を超えない温度で滴下し、更にこの温度で30分間熟成を行った。次いで、金属マグネシウム14.6g(0.6モル)とクロロベンゼン67.5g(0.6モル)、テトラヒドロフラン(THF)168gから別途調製したGrignard試薬を、20℃を超えない温度で滴下した。反応の熟成を1時間行った後、20℃を超えない温度で水50gを加えて反応を停止し、更に水150gと12規定塩酸10gとジエチルエーテル200gを加えた。
水層を分取し、ジエチルエーテル100gで洗浄し、トリフェニルスルホニウムクロリド水溶液を得た。これは、これ以上の単離操作をせず水溶液のまま次の反応に用いた。
【0202】
[合成例1−2]4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム臭化物の合成
合成例1−1のクロロベンゼンの代わりに4−tert−ブチルブロモベンゼンを用い、抽出の際に水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0203】
[合成例1−3]4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム塩化物の合成
合成例1−1のクロロベンゼンの代わりに4−tert−ブトキシクロロベンゼンを、溶剤にトリエチルアミンを5質量%含むジクロロメタン溶剤を用い、抽出の際に水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0204】
[合成例1−4]トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム塩化物の合成
合成例1−1のジフェニルスルホキシドの代わりにビス(4−メチルフェニル)スルホキシドを用い、クロロベンゼンの代わりに4−クロロトルエンを用い、抽出の際に水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0205】
[合成例1−5]トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム臭化物の合成
合成例1−1のジフェニルスルホキシドの代わりにビス(4−tert−ブチルフェニル)スルホキシドを、クロロベンゼンの代わりに4−tert−ブチルブロモベンゼンを用い、抽出の際に水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0206】
[合成例1−6]ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロジェンスルフェートの合成
tert−ブチルベンゼン84g(0.5モル)、ヨウ素酸カリウム53g(0.25モル)、無水酢酸50gの混合物を氷冷下撹拌し、無水酢酸35gと濃硫酸95gの混合物を、30℃を超えない温度で滴下した。次いで室温で3時間熟成を行い、再度氷冷して水250gを滴下し、反応を停止した。この反応液を、ジクロロメタン400gを用いて抽出し、有機層に亜硫酸水素ナトリウム6gを加えて脱色した。更にこの有機層を水250gで洗浄することを3回繰り返した。洗浄した有機層を減圧濃縮することで、目的の粗生成物を得た。これ以上の精製はせずこのまま次の反応に用いた。
【0207】
[合成例1−7]ジメチルフェニルスルホニウム硫酸塩の合成
チオアニソール6.2g(0.05モル)とジメチル硫酸6.9g(0.055モル)を室温で12時間撹拌した。反応液に水100gとジエチルエーテル50mlを加えて水層を分取し、目的のジメチルフェニルスルホニウム硫酸塩水溶液を得た。
【0208】
[合成例1−8]フェナシルテトラヒドロチオフェニウムブロミドの合成
フェナシルブロミド88.2g(0.44モル)、テトラヒドロチオフェン39.1g(0.44モル)をニトロメタン220gに溶解し、室温で4時間撹拌を行った。反応液に水800gとジエチルエーテル400gを加え、分離した水層を分取し、目的のフェナシルテトラヒドロチオフェニウムブロミド水溶液を得た。
【0209】
[合成例1−9]2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの合成
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−プロパン−2−イル ベンゾエート10.0gを水72gに分散させ、亜硫酸水素ナトリウム12.0gを加えて100℃で14時間反応を行った。反応液を放冷後、トルエンを加えて分液操作を行い、分取した水層に飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて析出した白色結晶を濾別した。この結晶を少量の飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧乾燥を行うことで目的の2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウムを得た[白色結晶5.85g(収率43%)]。
【0210】
[合成例1−10]トリフェニルスルホニウム−2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成
合成例1−1のトリフェニルスルホニウムクロリド水溶液0.011モル相当の水溶液と合成例1−9で合成した2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウム3.6g(0.01モル)をジクロロメタン50g中で撹拌した。有機層を分取し、水50gで3回有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、残渣にジエチルエーテル25gを加えて結晶化させた。結晶を濾過、乾燥することで目的物を得た[白色結晶4.5g(収率75%)]。
【0211】
[合成例1−11]トリフェニルスルホニウム−2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成(PAG1)
合成例1−10のトリフェニルスルホニウム−2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート34.4gをメタノール72gに溶解させ、氷冷下撹拌した。そこへ5%水酸化ナトリウム水溶液54.0gを10℃を超えない温度で滴下した。この温度で4時間熟成した後、10℃を超えない温度で12規定塩酸6.8gを加えて反応停止し、メタノールを減圧除去した。ジクロロメタン270gを加え、水40gで3回有機層を洗浄した後、有機層を濃縮し、残渣にジエチルエーテル60gを加えて結晶化させた。その結晶を濾過、乾燥することで目的物を得た[白色結晶24.3g(収率85%)]。目的物(PAG1)の構造を下記に示す。
【0212】
【化69】

【0213】
[合成例1−12〜1−18]
合成例1−2〜1−8で調製したスルホニウム塩あるいはヨードニウム塩を用いる以外は合成例1−10及び合成例1−11と同様にして目的物を合成した。これらのオニウム塩(PAG2〜PAG8)を下記に示す。
【0214】
【化70】

【0215】
[合成例1−19]トリフェニルスルホニウム 3,7,12−トリオキソコーラン酸1−ジフルオロスルホメチル−2,2,2−トリフルオロエチルの合成[PAG−A]
合成例1−11のトリフェニルスルホニウム−2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート4.9g(0.01モル)、デヒドロコール酸クロリド4.21g(0.01モル)、ジクロロメタン20gの混合懸濁液に、トリエチルアミン1.0g(0.01モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.24g(0.002モル)、ジクロロメタン5gの混合溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。その後、12規定塩酸2gと水20gから調製した希塩酸水溶液を加えて有機層を分取、次いでこの有機層を水20gで洗浄し、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30g、0.2%水酸化ナトリウム水溶液20gを加え、有機層を分取、次いでこの有機層を水20gで洗浄し、メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にエーテルを加えることで再結晶精製を行い、濾過乾燥して目的物を得た[白色結晶4.0g(収率43%)]。目的物の構造を下記に示す。
【0216】
【化71】

【0217】
得られた目的物のスペクトルデータを示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図1及び図2に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(ジエチルエーテル、水)が観測されている。
【0218】
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1
3465、2969、2875、1770、1708、1477、1448、1380、1332、1265、1251、1216、1184、1168、1120、1070、995、750、684、642、503
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-613(CF3CH(OCO−C23333)CF2SO3-相当)
【0219】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム−2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例1−19と同様の操作を行うことで、PAG−Aのカチオン種が4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかに変わった化合物を合成することができる。
【0220】
[合成例1−20]3,7,12−トリホルミルオキシコーラン酸クロリドの合成
定法によりコール酸とホルマリンを用いて3,7,12−トリホルミルオキシコーラン酸を合成し、次いでオキザリルクロリドを用いてクロル化を行い、粗製物を得た。精製を行わず次工程のエステル化反応を行った
【0221】
[合成例1−21]トリフェニルスルホニウム 3,7,12−トリホルミルオキシコーラン酸1−ジフルオロスルホメチル−2,2,2−トリフルオロエチルの合成[PAG−B]
合成例1−19で用いたデヒドロコール酸クロリドの代わりに合成例1−20で調製した3,7,12−トリホルミルオキシコーラン酸クロリドを用い、クエンチする希塩酸を水10gと12規定塩酸0.2gから調製したものを用いる以外は合成例1−19と同様に合成した。なお、粗製物をジエチルエーテルにて再沈精製し、油状物を減圧乾固することによりアモルファス状物質として目的物を得た[8.0g(収率83%)]。
【0222】
【化72】

【0223】
得られたスルホニウム塩の赤外吸収スペクトル(IR)、飛行時間型質量分析(TOF−MS)の結果を示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、19F−NMR)の結果を図3及び図4に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(ジエチルエーテル、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1
2942、2871、1770、1716、1477、1448、1373、1265、1251、1184、1124、1101、1070、995、750、684、642
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-703(CF3CH(OCO−C26396)CF2SO3-)相当)
【0224】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム−2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例1−25と同様の操作を行うことで、PAG−Bのカチオン種が4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかに変わった化合物を合成することができる。
【0225】
[合成例1−22]トリフェニルスルホニウム 2−コレステリルオキシカルボニルオキシー1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG−C]
合成例1−11のトリフェニルスルホニウム−2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート4.9g(0.01モル)、クロロギ酸コレステリル4.5g(0.01モル)、ジクロロメタン20gの混合溶液に、トリエチルアミン1.0g(0.01モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.24g(0.002モル)、ジクロロメタン5gの混合溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。その後、12規定塩酸2gと水20gから調製した希塩酸水溶液を加えて有機層を分取し、次いでこの有機層を水20gで洗浄し、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加え、これを水20gで洗浄し、メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をヘキサンで洗浄、乾燥し目的物を得た[白色結晶7.9g(収率87%)]。目的物の構造を下記に示す。
【0226】
【化73】

【0227】
得られた目的物のスペクトルデータを示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図5及び図6に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(ジエチルエーテル、水)が観測されている。
【0228】
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1
3419、2950、2867、2852、1768、1477、1448、1373、1332、1249、1187、1166、1132、1072、993、970、944、748、684、640、551、522、501
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-641(CF3CH(OCOO−C2745)CF2SO3-相当)
【0229】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム−2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例1−22と同様の操作を行うことで、PAG−Cのカチオン種が4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかに変わった化合物を合成することができる。
【0230】
[合成例1−23]トリフェニルスルホニウム 2−{4−〔4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソ−ヘキサデカヒドロ−シクロペンタ〔a〕フェナントレン−17−イル)−ペンタノイルオキシ〕−アセトキシ}−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG−F]
【0231】
[合成例1−23−1]トリフェニルスルホニウム 2−(2−クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG中間体1]
合成例1−11のトリフェニルスルホニウム−2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート148g(0.30モル)、クロロアセチルクロリド37.3g(0.33モル)、アセトニトリル600gの混合溶液に、ピリジン28.5g(0.36モル)を滴下し、室温で3時間撹拌した。その後、反応溶液を濃縮し、5%希塩酸水溶液300g及びジクロロメタン600gを加え有機層を分取し、次いでこの有機層を水300gで洗浄し、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン600gを加え、水300g、次いで希アンモニア水300g、更に水300gで三回洗浄し、メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にエーテルを加えることで再結晶精製を行い、濾過乾燥して目的物を得た[白色結晶158g(収率92%)]。目的物の構造を下記に示す。
【0232】
【化74】

【0233】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図11及び図12に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の水が観測されている。
【0234】
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1
1781、1479、1448、1407、1371、1263、1249、1216、1197、1143、1124、1068、995、943、750、682、642、501
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-305(CF3CH(OCO−CH2Cl)CF2SO3-相当)
【0235】
[合成例1−23−2]トリフェニルスルホニウム 2−{4−〔4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソ−ヘキサデカヒドロ−シクロペンタ〔a〕フェナントレン−17−イル)−ペンタノイルオキシ〕−アセトキシ}−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG−F]
合成例1−23−1で得られたトリフェニルスルホニウム 2−(2−クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート5.69g(0.01モル)、デヒドロコール酸ナトリウム4.67g(0.01モル)、ヨウ化ナトリウム0.30g(0.002モル)、ジメチルホルムアミド35gを加え、90℃で15時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻した後、水50gとジクロロメタン100gを加えて有機層を分取し、水75gを加えて洗浄、次いでジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン60gを加え、水50g、次いで0.1%水酸化ナトリウム水溶液50g、更に水50gで三回洗浄し、メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー精製した後、ジイソプロピルエーテルを加えて再結晶を行うことで目的物であるトリフェニルスルホニウム 2−{4−〔4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソ−ヘキサデカヒドロ−シクロペンタ〔a〕フェナントレン−17−イル)−ペンタノイルオキシ〕−アセトキシ}−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートを得た[白色結晶2.3g(収率24%)]。目的物の構造を下記に示す。
【0236】
【化75】

【0237】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図13及び図14に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(ジイソプロピルエーテル、水)が観測されている。
【0238】
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1
3434、2971、2875、1789、1749、1706、1477、1448、1382、1324、1251、1216、1186、1168、1143、1108、1072、997、750、684、642、503
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-671(CF3CH(OCO−C25355)CF2SO3-相当)
【0239】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム−2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例1−23と同様の操作を行うことで、PAG−Fのカチオン種が4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかに変わった化合物を合成することができる。
【0240】
[合成例1−24]トリフェニルスルホニウム 2−{4−〔4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソ−ヘキサデカヒドロ−シクロペンタ〔a〕フェナントレン−17−イル)−ペンタノイルオキシ〕−ブチリルオキシ}−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG−G]
【0241】
[合成例1−24−1]トリフェニルスルホニウム 2−(4−クロロブチリルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG中間体2]
トリフェニルスルホニウム−2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート7.39g(0.015モル)、クロロ酪酸クロリド2.33g(0.017モル)、アセトニトリル37gの混合溶液に、ピリジン1.42g(0.018モル)を滴下し、室温で3時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液18gを加え、系中のアセトニトリルを減圧留去した。その後ジクロロメタン40gを加え有機層を分取し、次いでこの有機層を水30gで洗浄し、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン40gを加え、水30g、次いで希アンモニア水30g、更に水30gで三回洗浄し、メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にエーテルを加えることでデカンテーションを行い、真空乾燥して目的物を得た[褐色オイル7.94g(収率87%)]。目的物の構造を下記に示す。
【0242】
【化76】

【0243】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図15及び図16に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の水が観測されている。
【0244】
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1
3446、1772、1477、1448、1373、1326、1253、1216、1186、1128、1072、995、750、684、642、503
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-333(CF3CH(OCO−C36Cl)CF2SO3-相当)
【0245】
[合成例1−24−2]トリフェニルスルホニウム 2−{4−〔4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソ−ヘキサデカヒドロ−シクロペンタ〔a〕フェナントレン−17−イル)−ペンタノイルオキシ〕−ブチリルオキシ}−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG−G]
合成例1−24−1で得られたトリフェニルスルホニウム 2−(2−クロロブチリルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート7.94g(0.013モル)、デヒドロコール酸ナトリウム6.21g(0.015モル)、ヨウ化ナトリウム0.40g(0.003モル)、ジメチルホルムアミド48gを加え、80℃で11時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻した後、水75gとジクロロメタン150gを加えて有機層を分取し、水75gを加えて洗浄、次いでジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン80gを加え、水60g、次いで0.1%水酸化ナトリウム水溶液60g、更に水60gで三回洗浄し、メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー精製した後、ジエチルエーテルを加えて再結晶を行うことで目的物であるトリフェニルスルホニウム 2−{4−〔4−(10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソ−ヘキサデカヒドロ−シクロペンタ〔a〕フェナントレン−17−イル)−ペンタノイルオキシ〕−ブチリルオキシ}−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートを得た[白色結晶6.39g(収率50%)]。目的物の構造を下記に示す。
【0246】
【化77】

【0247】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図17及び図18に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(ジエチルエーテル、水)が観測されている。
【0248】
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1
2967、2877、1772、1706、1477、1448、1380、1321、1251、1216、1170、1139、1103、1072、995、750、684、642、501
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-699(CF3CH(OCO−C27395)CF2SO3-相当)
【0249】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム−2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例1−24と同様の操作を行うことで、PAG−Gのカチオン種が4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかにかわった化合物を合成することができる。
【0250】
[参考例1−1]ジフルオロスルホ酢酸コレスタニルエステル ナトリウム塩の合成
ジフルオロスルホ酢酸ナトリウムとコレスタノールを特開2006−257078号公報記載の方法によりエステル化して目的物を得た。精製を行わず粗製物として次工程のカチオン交換反応を行った。
【0251】
[参考例1−2]トリフェニルスルホニウム ジフルオロスルホ酢酸コレスタニルエステルの合成[PAG−D]
合成例1−1のトリフェニルスルホニウムクロリド水溶液(0.018モル相当)と参考例1−1のジフルオロスルホ酢酸コレスタニルエステル ナトリウム塩粗製物(0.018モル)をジクロロメタン50gとメチルイソブチルケトン50gに溶解させ、水50gで5回有機層を洗浄した後、有機層を濃縮し、残渣にジエチルエーテル40gを加えて結晶化させた。その結晶を濾過、乾燥することで目的物を得た[白色結晶1.5g(二段階収率10%)]。目的物の構造を下記に示す。
【0252】
【化78】

【0253】
得られたスルホニウム塩の赤外吸収スペクトル(IR)、飛行時間型質量分析(TOF−MS)の結果を示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、19F−NMR)の結果を図7及び図8に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(ジエチルエーテル、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1
2929、2867、2850、1752、1477、1446、1301、1265、1251、1147、1132、1070、995、754、686、653
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-545(C2747OCOCF2SO3-相当)
【0254】
[参考例1−3]4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム ジフルオロスルホ酢酸コレスタニルエステルの合成[PAG−E]
合成例1−2の4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム臭化物水溶液を用いる以外は参考例1−2と同様にして目的物を得た[白色結晶1.2g(二段階収率4%)]。目的物の構造を下記に示す。
【0255】
【化79】

【0256】
得られたスルホニウム塩の赤外吸収スペクトル(IR)、飛行時間型質量分析(TOF−MS)の結果を示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、19F−NMR)の結果を図9及び図10に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(ジエチルエーテル、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1
2950、2867、1756、1477、1446、1332、1299、1265、1249、1147、1130、1070、997、754、686、655
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+319((C1013)(C652+相当)
NEGATIVE M-545(C2747OCOCF2SO3-相当)
【0257】
参考例1−2に示したPAG−Dは、特開2007−161707号公報に記載されており、参考例1−3に示したPAG−Eはこれより容易に推定される化合物であるが、これらはレジスト材料に用いられるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートやシクロヘキサノンに対する溶解性が極めて悪く、実用に耐えない。本発明者らの検討によると、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとシクロヘキサノンの混合溶剤(質量比7:3)に1質量%溶解することができない。一方で、合成例1−19、合成例1−21、合成例1−22に示されたPAG−A、PAG−B、PAG−Cは前述の溶剤に対して可溶であり、実用的である。
【0258】
本発明のレジスト材料に用いる高分子化合物を以下に示す処方で合成した。
[合成例2−1]ポリマー1の合成
窒素雰囲気としたフラスコに168.6gのメタクリル酸2−エチルアダマンタン−2−イル、85.5gのメタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、172.1gのメタクリル酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、510gのPMA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)をとり単量体溶液を調製した。14.86gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2.6gの2−メルカプトエタノール、127gのPMA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)をとり、開始剤溶液とした。窒素雰囲気とした別のフラスコに292gのPMA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)をとり、撹拌しながら80℃まで加熱した後、上記単量体溶液と開始剤溶液を同時に4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合液の温度を80℃に保ったまま2時間撹拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液を、激しく撹拌した12kgのメタノールに滴下し、析出した共重合体を濾別した。共重合体をメタノール3kgで2回洗浄した後、50℃で20時間真空乾燥して384gの白色粉末状の共重合体を得た。共重合体を13C−NMRで分析したところ、開始剤溶液、共重合組成比は上記の単量体順で33/18/49モル%であった。GPCにて分析したところポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は6,000であった。
【0259】
【化80】

【0260】
[合成例2−2〜25]ポリマー2〜25、36〜39の合成
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、合成例2−1と同様の手順により、表1に示した樹脂を製造した。表1中、各単位の構造を表2〜6に示す。なお、下記表1において、導入比はモル比を示す。
【0261】
[合成例2−26〜32]ポリマー26〜32の合成
上述した処方により得られたポリマー19〜25をメタノール、テトラヒドロフラン混合溶剤に溶解し、シュウ酸を加えて40℃で脱保護反応を行った。ピリジンにて中和処理した後に通常の再沈精製を行うことによりヒドロキシスチレン単位を有する高分子化合物を得た。
[合成例2−33〜35]ポリマー33〜35の合成
ポリマー26〜28に酸性条件下でエチルビニルエーテルあるいは塩基性条件下で1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパンを反応させて目的のポリマー33〜35を得た。
合成例2−26〜35のポリヒドロキシスチレン誘導体の脱保護と保護に関しては特開2004−115630号公報、特開2005−8766号公報などに詳しい。
【0262】
【表1】

【0263】
【表2】

【0264】
【表3】

【0265】
【表4】

【0266】
【表5】

【0267】
その他、公知技術により下記ポリマーを調製した。
【化81】

【0268】
[実施例1〜36及び比較例1〜4]
レジスト材料の調製
上記合成例で示した光酸発生剤とポリマーをベース樹脂として使用し、クエンチャーを表6に示す組成でKH−20(セイミケミカル(株)製)0.01質量%を含む溶媒中に溶解してレジスト材料を調合し、更にレジスト材料を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過することにより、レジスト液をそれぞれ調製した。
【0269】
なお、表6において、溶剤及びクエンチャー、比較例で用いた光酸発生剤、酸架橋剤は下記の通りである。
P−01はポリマー1を示し、他のP−02〜P42はそれぞれポリマー2〜ポリマー42を示す。
PGMEA :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
CyHO :シクロヘキサノン
EL :乳酸エチル
Base−1 :トリエタノールアミン
Base−2 :トリス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミン
PAG−I :トリフェニルスルホニウム パーフルオロ−1−ブタンスルホネート
PAG−II :トリフェニルスルホニウム 2−(アダマンタン−1−カルボニルオキ
シ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネー
ト(特開2007−145797号公報記載化合物)
PAG−III:トリフェニルスルホニウム (アダマンタン−1−イル)メトキシカル
ボニルジフルオロメタンスルホネート(特開2004−4561号公報
記載化合物)
TMGU :1,3,4,6−テトラメトキシメチルグリコールウリル
【0270】
【表6】

【0271】
[実施例37〜62及び比較例5〜7]
解像性及びマスク忠実性の評価:ArF露光
シリコン基板上に反射防止膜溶液(日産化学工業(株)製、ARC−29A)を塗布し、200℃で60秒間ベークして作製した反射防止膜(78nm膜厚)基板上にレジスト溶液をスピンコーティングし、ホットプレートを用いて120℃で60秒間ベークし、160nm膜厚のレジスト膜を作製した。これをArFエキシマレーザーマイクロステッパー((株)ニコン製、NSR−S307E、NA=0.85、4/5輪帯照明、Crマスク)を用いて露光し、表7内に示した温度で60秒間ベーク(PEB)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で60秒間現像を行った。
【0272】
レジストの評価は、80nmのグループのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(Eop、mJ/cm2)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅(nm)を評価レジストの解像度とした。疎密依存性の評価として、上記最適露光量においてマスク上寸法130nmの孤立ラインパターン(1:10の孤立ラインパターン)のウエハー上実寸法を測定し、マスク忠実性(ウエハー上寸法、寸法が大きいほど良好)とした。露光余裕度の評価は、上記最適露光量を変化させた際にパターンサイズが80nm±10%を許容する露光量幅を求め、この値を最適露光量で割って百分率表示した。値が大きいほど露光量変化による性能変化が小さく、露光余裕度が良好である。
各レジスト材料の評価結果を表7に示す。
【0273】
【表7】

【0274】
[実施例63〜65及び比較例8]
次に、本発明のレジスト材料(R−01、R−04、R−05)、及び比較用のレジスト材料(R−101)を用いて、疑似的な液浸露光を行った。具体的には上記と同様なプロセスで125nmのレジスト膜を形成し、ArFエキシマレーザーマイクロステッパー((株)ニコン製、S307E、dipole)を用いて露光した。露光を行った直後にウエハー全面に純水を盛り、60秒間レジスト露光面を純水に浸漬した(パドル)。ウエハースピンにより純水を振り切った後、通常通りのPEB工程、次いで現像を行った。現像後に形成されたパターン中の欠陥数を欠陥検査装置WINWIN50−1200L(東京精密(株)製)により検査し、次式に従って欠陥密度を求めた。結果を表8に示す。
欠陥密度(個/cm2)=検出された総欠陥数/検査面積
形成したパターン:
80nm/ピッチ160nmラインアンドスペースの繰り返しパターン
欠陥検査条件:
光源UV、検査ピクセルサイズ0.125μm、セルツーセルモード
また、走査型電子顕微鏡を用いてレジスト断面のパターンの形状を観察した。
各レジスト材料の評価結果を表8に示す。
【0275】
【表8】

【0276】
表7,8の結果より、本発明のレジスト材料が高感度及び高解像性で、疎密依存性が低く従来品に比べて水による長時間のリンスに対しても形状変化、欠陥の発現がなく、液浸露光に十分対応できることが確認された。
【0277】
[実施例66〜68及び比較例9]
レジスト膜溶出量の測定
上記で調製したレジスト材料(R−01、R−02、R−03)100部に対し0.2部の割合で水に不溶でアルカリ現像液に可溶な下記界面活性剤[Surfactant−1]を添加したレジスト材料(R−01’、R−02’、R−03’)及び比較例(R−102)を各々スピンコート法によってシリコン基板上に塗布し、100℃で60秒間ベークし、厚さ120nmのフォトレジスト膜を作成した。このフォトレジスト膜全面に、ニコン製ArFスキャナーS305Bを用いてオープンフレームにて50mJ/cm2のエネルギーを照射した。
【0278】
[Surfactant−1]
メタクリル酸=3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−1,1−ジメチル−2−トリフルオロメチルプロピル・メタクリル酸=2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル共重合物、(モル比80:20)重量平均分子量8,000。
【化82】

【0279】
次いで、この照射されたフォトレジスト膜上に内径10cmの真円状のテフロン(登録商標)リングを置き、その中に10mLの純水を注意深く注いで、室温にて60秒間レジスト膜と純水を接触させた。
その後、純水を回収し、純水中の光酸発生剤(PAG)の陰イオン成分濃度をAgilent社製LC−MS分析装置にて定量した。
測定した陰イオン濃度から、60秒間の陰イオン溶出量の測定結果を下記表9に示す。
【0280】
【表9】

【0281】
この結果より、本発明のレジスト材料は、水を用いた液浸露光に際しても発生酸の溶出がないことが確認された。液浸露光によるパターン形状の変化が少なく、露光機へのダメージが少ないことが期待される。
【0282】
[実施例69,70及び比較例10]
解像性の評価:EB露光
本発明のレジスト材料(R−25、R−32)、及び比較用のレジスト材料(R−104)を、有機反射防止膜(ブリューワーサイエンス社製、DUV−44)を610Åに塗布した8インチシリコンウエハー上へスピンコーティングし、100℃,60秒間の熱処理を施して、厚さ2,000Åのレジスト膜を形成した。更に、電子線露光装置((株)日立ハイテクノロジーズ製、HL−800D、加速電圧50keV)を用いて露光し、120℃,60秒間の熱処理(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ポジ型のパターン(実施例69、比較例10)及びネガ型のパターン(実施例70)を得ることができた。
【0283】
得られたレジストパターンを次のように評価した。
0.12μmのラインアンドスペースのトップとボトムを1:1で解像する露光量を最適露光量(感度:Eop)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。また、解像したレジストパターンの形状は、走査型電子顕微鏡を用いてレジスト断面を観察した。
真空中のPED(post exposure delay)を評価するには、電子線露光装置により露光した後、24時間真空に引かれた装置内に放置し、その後にPEB及び現像を行った。得られた0.12μmのラインアンドスペースパターンのライン部の寸法変化率を示す。例えば0.012μm増加した場合には+10%と記す。この変化が少ないほど安定性に優れる。評価結果を表10に示す。
【0284】
【表10】

【0285】
表10中の結果から、本発明のレジスト材料が、EB露光においても、解像性能、真空中のPEDに優れることが確認された。従って、ポリヒドロキシスチレン誘導体を用いたEUVリソグラフィー、KrFリソグラフィーなどでも同様に機能することが期待できる。
【0286】
[実施例71,72及び比較例11,12]
感度、解像性の評価:EUV露光
本発明のレジスト材料(R−35、R−36)、及び比較用のレジスト材料(R−101、102)を、HMDS処理したシリコンウエハー上へスピンコーティングし、110℃,60秒間の熱処理を施して、厚さ50nmのレジスト膜を形成した。更に、EUVマイクロステッパー(NA0.3、ダイポール照明)を用いて露光し、95℃,60秒間の熱処理(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行うと、ポジ型のパターンを得ることができた。
【0287】
得られたレジストパターンを次のように評価した。
32nmのラインアンドスペースのトップとボトムを1:1で解像する露光量を最適露光量(感度:Eop)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。結果を表11に示す。
【0288】
【表11】

【0289】
表11中の結果から、本発明の光酸発生剤を使用したレジスト材料が、EUV露光においても、高感度で解像性能に優れることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0290】
【図1】合成例1−19のPAG−Aの1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図2】合成例1−19のPAG−Aの19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図3】合成例1−21のPAG−Bの1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図4】合成例1−21のPAG−Bの19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図5】合成例1−22のPAG−Cの1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図6】合成例1−22のPAG−Cの19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図7】参考例1−2のPAG−Dの1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図8】参考例1−2のPAG−Dの19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図9】参考例1−3のPAG−Eの1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図10】参考例1−3のPAG−Eの19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図11】合成例1−23−1のPAG中間体1の1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図12】合成例1−23−1のPAG中間体1の19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図13】合成例1−23−2のPAG−Fの1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図14】合成例1−23−2のPAG−Fの19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図15】合成例1−24−1のPAG中間体2の1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図16】合成例1−24−1の中間体2の19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図17】合成例1−24−2のPAG−Gの1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図18】合成例1−24−2のPAG−Gの19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線、遠紫外線、電子線、EUV、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線の高エネルギー線に感応し、下記一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤。
1−COOCH(CF3)CF2SO3-+ (1a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3-+ (1c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。)
【請求項2】
下記構造式(1d)又は(1e)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する請求項1記載の光酸発生剤。
【化1】

【請求項3】
下記一般式(2a)又は(2c)のいずれかで示されるスルホニウム塩。
1−COOCH(CF3)CF2SO3-234+ (2a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3-234+ (2c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【請求項4】
下記一般式(3a)又は(3c)のいずれかで示されるスルホニウム塩。
1−COOCH(CF3)CF2SO3- (R5(O)nmPh’S+Ph2 (3a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3- (R5(O)nmPh’S+Ph2 (3c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。R5は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。mは1〜5の整数、nは0(零)又は1を示す。Phはフェニル基を示す。Ph’はフェニル基の水素原子m個をR5(O)n−基に置換した基を示す。)
【請求項5】
下記一般式(4a)又は(4c)のいずれかで示されるヨードニウム塩。
1−COOCH(CF3)CF2SO3- ((R5(O)nmPh’)2+ (4a)
1−O−COOCH(CF3)CF2SO3- ((R5(O)nmPh’)2+ (4c)
(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。R5は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。mは1〜5の整数、nは0(零)又は1を示す。Ph’はフェニル基の水素原子m個をR5(O)n−基に置換した基を示す。)
【請求項6】
下記一般式(5a)又は(5c)のいずれかで示されるN−スルホニルオキシイミド化合物。
【化2】


(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。X、Yは相互に独立に水素原子、又は置換もしくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示すか、あるいはX及びYが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に飽和もしくは不飽和の炭素数6〜12の環を形成してもよい。Zは単結合、二重結合、メチレン基、又は酸素原子を示す。)
【請求項7】
下記一般式(6a)又は(6c)のいずれかで示されるオキシムスルホネート化合物。
【化3】


(式中、R1はステロイド骨格を有する炭素数20〜50の炭化水素基を示す。qは0又は1を示すが、qが0の場合、pは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜15のアリール基を示し、qが1の場合には、pは単結合、置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜15のアリーレン基を示す。EWGはシアノ基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、5H−パーフルオロペンチル基、6H−パーフルオロヘキシル基、ニトロ基又はメチル基を示し、qが1の場合、互いのEWGが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に炭素数6の環を形成してもよい。)
【請求項8】
ベース樹脂、酸発生剤及び有機溶剤を含有してなるレジスト材料において、前記酸発生剤が、請求項1記載の一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤であることを特徴とするレジスト材料。
【請求項9】
ベース樹脂、酸発生剤及び有機溶剤を含有してなるレジスト材料において、前記酸発生剤が、請求項2記載の下記構造式(1d)又は(1e)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤であることを特徴とするレジスト材料。
【化4】

【請求項10】
ベース樹脂が、ポリ(メタ)アクリル酸及びその誘導体、シクロオレフィン誘導体−無水マレイン酸交互重合体、シクロオレフィン誘導体と無水マレイン酸とポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元以上の共重合体、シクロオレフィン誘導体−α−トリフルオロメチルアクリル酸誘導体共重合体、ポリノルボルネン、開環メタセシス重合体、並びに開環メタセシス重合体水素添加物から選択される1種又は2種以上の高分子重合体であることを特徴とする請求項8又は9記載のレジスト材料。
【請求項11】
ベース樹脂が、珪素原子を含有する高分子構造体であることを特徴とする請求項8又は9記載のレジスト材料。
【請求項12】
ベース樹脂が、フッ素原子を含有する高分子構造体であることを特徴とする請求項8又は9記載のレジスト材料。
【請求項13】
請求項10、11又は12記載のベース樹脂、請求項1記載の一般式(1a)又は(1c)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤及び溶剤を含有し、上記ベース樹脂が現像液に不溶あるいは難溶であって、酸の作用によって現像液に可溶となる化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項14】
請求項10、11又は12記載のベース樹脂、請求項2記載の構造式(1d)又は(1e)のいずれかで示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤及び溶剤を含有し、上記ベース樹脂が現像液に不溶あるいは難溶であって、酸の作用によって現像液に可溶となる化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項15】
更に、クエンチャーを添加してなることを特徴とする請求項13又は14記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項16】
更に、溶解阻止剤を含有することを特徴とする請求項13、14又は15記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項17】
請求項8乃至16のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して波長300nm以下の高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項18】
波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、レジスト材料が塗布された基板と投影レンズの間に水、グリセリン、エチレングリコールなどの液体を挿入する液浸リソグラフィー法であることを特徴とする請求項17記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−80474(P2009−80474A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219101(P2008−219101)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】