説明

新規MAO−Bインヒビター

本発明は、一般式(I)[式中、R、Rは、互いに独立して水素又はC−C−アルキルであり;R、Rは、互いに独立して水素又はC−C−アルキルであり;Rは、ハロゲン、CN、(C−C)−アルキル又は(C−C)−アルコキシであり;n、m又はoは、0、1又は2である]で示される化合物及びそれらの薬学的に許容される塩に関するものである。この化合物はアルツハイマー病又は老年認知症の治療及び予防に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式:
【化13】


[式中、
、Rは、互いに独立して水素又はC−C−アルキルであり;
、Rは、互いに独立して水素又はC−C−アルキルであり;
は、ハロゲン、CN、(C−C)−アルキル又は(C−C)−アルコキシであり;
n、m又はoは、0、1又は2である]
で示されるベンジルオキシ誘導体及びそれらの薬学的に許容される塩に関するものである。
【0002】
本発明は、式Iの化合物の個々の異性体ならびにそれらのラセミ及び非ラセミ混合物を包含する。
【0003】
式Iの化合物の個々の異性体ならびにそれらのラセミ及び非ラセミ混合物としての式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩(以後、薬用化合物)は薬理活性を有し、薬剤として有用である。特に、薬用化合物はモノアミンオキシダーゼBの活性を阻害する。
【0004】
モノアミンオキシダーゼ(MAO)は、内因性モノアミン神経伝達物質、例えばドパミン、セロトニン、アドレナリン、又はノルアドレナリン、及び微量アミン、例えばフェニルエチルアミン、ならびに幾つかの生体異物アミンの酸化的脱アミノ化に関わるフラビン含有酵素である。この酵素は、異なる遺伝子によりコードされる二つの形態、MAO−A及びMAO−Bとして存在し(A. W. Bachら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1988, 85, 4934-4938)、組織分布、構造及び基質特異性が異なっている。MAO−Aはセロトニン、オクトパミン、アドレナリン、及びノルアドレナリンに高い親和性を持ち、これに対してMAO−Bの天然基質はフェニルエチルアミン及びチラミンである。ドパミンはいずれのアイソフォームによっても酸化されると考えられる。MAO−Bは脳をはじめとする幾つかの臓器に広く分布している(A. M. Cesura and A. Pletscher, Prog. Drug Research 1992, 38, 171-297)。脳のMAO−B活性は年齢と共に増大する。この増大は加齢に伴うグリオーシスのためであるとされてきた(C. J. Fowlerら、J. Neural. Transm. 1980, 49, 1-20)。さらに、MAO−B活性はアルツハイマー病患者の脳で有意に高く(P. Dostertら、Biochem. Pharmacol. 1989, 38, 555-561)、老人斑周囲の星状細胞で高度に発現されることが判明した(Sauraら、Neuroscience 1994, 70, 755-774)。このような状況において、MAOによる第一級モノアミンの酸化的脱アミノ化は、立証された又は潜在的な毒性を有する物質であるNH、アルデヒド及びHを産生するため、認知症及びパーキンソン病の処置に選択的MAO−Bインヒビターを使用することには論理的根拠があると示唆される。MAO−Bの阻害は酵素によるドパミン不活性化の低下を惹起し、よってドパミン作動性ニューロンにおける神経伝達物質の利用可能性の延長をもたらす。加齢ならびにアルツハイマー病及びパーキンソン病に付随する変性プロセスは、MAO活性増大による酸化的ストレス及び結果として生じるMAO−BによるHの生成増加にも帰することができる。故に、MAO−Bインヒビターは、酸素ラジカル生成を低下させ、脳のモノアミンレベルを上げることの両方によって作用し得る。
【0005】
上述のような神経疾患にMAO−Bが関係しているとすれば、この酵素活性を制御できる強力且つ選択的インヒビターの取得には多大な関心が寄せられる。幾つかの既知MAO−Bインヒビターの薬理が、例えばD. Bentue-Ferrerら、CNS Drugs 1996, 6, 217-236で検討されている。食餌由来のチラミンを摂取する場合の高血圧性クリーゼを誘発する危険性の故に、そして他の医薬との相互作用の可能性の故に、非可逆的及び非選択的MAOインヒビター活性の大幅な制限は、食餌上の注意を守らなければならないことである(D. M. Gardnerら、J. Clin. Psychiatry 1996, 57, 99-104)一方で、可逆的及び選択的MAOインヒビター、特にMAO−Bインヒビターではこれらの副作用の懸念が小さい。したがって、高い選択性があり、この酵素に対する選択性が低い非可逆的MAOインヒビターに典型的な望ましくない副作用の無い、MAO−Bインヒビターに対する必要性がある。
【0006】
したがって、薬用化合物は、例えばモノアミンオキシダーゼBの働きが役割を果たす、又は関わっている疾病及び状態の治療又は予防において、モノアミンオキシダーゼBの選択的インヒビターとして有用である。このような状態は特に、急性及び/又は慢性神経疾患を包含する。
【0007】
急性及び/又は慢性神経疾患は、精神病、統合失調症、アルツハイマー病、軽度認識障害のような認知障害及び記憶障害、加齢による認知低下、血管性認知症、パーキンソン病、鬱又は不安に伴う記憶障害、ダウン症候群、卒中、脳外傷、及び注意欠陥障害を包含する。処置され得るその他の適応は、バイパス手術又は移植、脳への血液供給不足、脊髄損傷、頭部損傷、妊娠による低酸素症、心停止及び低血糖により引き起こされる脳機能の限定である。更なる処置可能な適応は、急性及び慢性疼痛、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる認知症、目の損傷、網膜症、特発性パーキンソン病又は薬剤により惹起されたパーキンソン病、及び、グルタミン酸欠乏機能を導く状態、例えば筋痙攣、痙攣、偏頭痛、尿失禁、ニコチン嗜癖、精神病性エピソード、アヘン剤嗜癖、不安、嘔吐、ジスキネジア及び鬱である。
【0008】
或る態様では、急性及び/又は慢性神経疾患はアルツハイマー病である。別の態様では、急性及び/又は慢性神経疾患は軽度認識障害又は老年認知症である。
【0009】
故に本発明の目的は、上に述べた有利な性質を有するに相違ない化合物を提供することである。本発明に係る式Iの化合物及び薬学的に許容されるその塩は、高度に選択的なMAO−Bインヒビターである可能性を示す。本発明の対象はさらに、本発明に従う式Iの化合物に基づく医薬、式Iの化合物及び薬学的に許容されるその塩の製造方法、及びモノアミンオキシダーゼBインヒビターにより仲介される疾患の制御又は予防における式Iの化合物の使用、ならびに、それぞれ対応する医薬の製造のための使用である。
【0010】
本特許出願に使用される一般用語について、問題の用語が単独で現れるか組み合わされて現れるかに拘わらず、以下の定義を適用する。明細書及び添付の請求の範囲で使用される時、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確にそれに反する旨を述べていない限り、複数形を包含する。
【0011】
本出願で使用される用語「C−C−アルキル」(「低級アルキル」)は、1ないし6個の炭素原子、好ましくは1ないし4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルなどを指す。
【0012】
「ハロゲン」という語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0013】
「アルコキシ」又は「(C−C)−アルコキシ」とは、残基−O−R[式中、Rは、本明細書に定義の低級アルキル残基である]を意味する。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどを包含するが、これらに限定される訳ではない。
【0014】
ある化合物の「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される塩を意味し、これは一般に、安全であり、非毒性であり、そして生物学的にもその他の点でも有害でなく、また、親化合物の望ましい薬理活性を有する。これらの塩は、無機又は有機の酸又は塩基から誘導される。
【0015】
そのような塩は以下を包含する:
(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などといった無機酸によって形成される、又は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸、2,2,2−トリフルオロ酢酸などといった有機酸によって形成される酸付加塩;あるいは、
【0016】
(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンに置き換わるか;又は有機若しくは無機塩基と配位している時に形成される塩。許容される有機塩基は、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミンなどを包含する。許容される無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを包含する。
【0017】
薬学的に許容される塩への言及は全て、その酸付加塩の溶媒付加型(溶媒和物)又は結晶型(多形)を包含すると理解すべきである。
【0018】
「薬学的に許容される」、例えば薬学的に許容される担体、賦形剤などは、薬理学的に許容される、そして、その化合物が投与される対象に対して実質上非毒性である事を意味する。
【0019】
「治療有効量」とは、疾患の症状の予防、軽減又は改善に有効な、又は処置される対象の生存を延長する量を意味する。
【0020】
さらに、本明細書中使用する、急性及び/又は慢性神経疾患の処置を必要とする哺乳動物とは、急性及び/又は慢性神経疾患に罹患している、又は罹患の危険性のある、哺乳動物、例えばヒトを意味する。
【0021】
本明細書中使用する、急性及び/又は慢性神経疾患に適用する場合の「処置する」、「処置している」及び「処置」という語は、その時対象が苦しんでいる前記疾患又はその疾患に随伴する任意の症状を減速させ、改善し、低減し又は回復させる方法、及び、そうした疾患又はその任意の症状が起こるのを予防する方法を指す。
【0022】
本発明化合物のなかでも、式Iの特定の化合物又は薬学的に許容されるその塩が好ましい。
【0023】
好ましい式Iの化合物は、oが1でありmが0である化合物、例えば以下の化合物である:
2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド、
2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド、
2−[4−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド、
2−[4−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド、
2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド、
2−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド、
(RS)−2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
(RS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
(S又はR)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド、
(RS)−2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド、
(RS)−2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド、
(RS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド又は
(RS)−2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド。
【0024】
oが2でありmが0である式Iの更なる化合物、例えば、
3−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオンアミド、
が好ましい。
【0025】
式Iの化合物の更なる好ましい群は、oが0でありmが2である化合物、例えば、
カルバミン酸2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−エチルエステル、
である。
【0026】
oが0でありmが1である式Iの化合物、例えば、
メチル−カルバミン酸4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンジルエステル、
もまた好ましい。
【0027】
式Iの化合物の更なる好ましい群は、oが1でありmが1である化合物、例えば、
2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンジルオキシ]−アセトアミド、
である。
【0028】
一般式Iで示される本化合物及びその薬学的に許容される塩は、当分野で公知の方法、例えば以下に記載の方法により製造でき、その方法は、
【0029】
a)式:
【化14】


で示される化合物を、式:
【化15】


[式中、Yは脱離基である]
で示される化合物と反応させて、式:
【化16】


[式中、置換基は上に記載のとおりである]
で示される化合物を得る、又は、
【0030】
b)式:
【化17】


[式中、RはC−C−アルキルである]
で示される化合物を、式:
【化18】


で示されるアミンと反応させて、式:
【化19】


[式中、置換基は上に記載のとおりである]
で示される化合物を得る、又は、
【0031】
c)式:
【化20】


で示される化合物を、
KOCN 又は
【化21】


と反応させて、式:
【化22】


[式中、置換基は上に記載のとおりである]
で示される化合物を得る、又は、
【0032】
d)式:
【化23】


で示される化合物を、式 HNR
で示される化合物と反応させて、式:
【化24】


[式中、置換基は上に記載のとおりである]
で示される化合物を得る、そして、
所望により、得られた化合物を薬学的に許容される酸付加塩に変換する、
ことを含む。
【0033】
本発明によれば、一般式Iの化合物を製造する可能性は、スキーム1ないし3で示される。
【化25】

【0034】
置換基、n、m及びoは上に記載の意義を有し、Yは脱離基である。
【0035】
一般式Iの化合物は、ウィリアムソンのエーテル合成により、式IIで示される対応p−置換フェノールから、式IIIで示されるベンジル型のハロゲン化物、トシラート、メシラート又はトリフラートとの反応によって製造できる。使用される塩基は例えばアルコラート又はカルボナート(炭酸ナトリウム、カリウム又はセシウム)とすることができる。好ましい溶媒は、20℃及び還流温度の間の温度の低級アルコール、アセトニトリル又は低級ケトンである。もう一つのアプローチは、式IIIで示されるベンジルアルコールと式IIで示される対応フェノールのミツノブカップリングである。通常この反応は、例えばジエチルエーテル又はテトラヒドロフランのような不活性溶媒中、ホスフィン(例えばトリブチル又はトリフェニルホスフィン)の存在下にジアルキルアゾジカルボキシラートを用いて行う。RがNRを意味する場合、上記のアルキル化反応は、直接式Iの所望化合物をもたらす。
【0036】
式IVで示されるエステルは、標準的方法:メタノール、テトラヒドロフランなどのような溶媒中、HNRとのアミノリシスによって、又は対応する酸へのケン化(例えばメタノール中でのLiOH又はKOHによる)、酸塩化物(塩化チオニル又は塩化オキサリル)による酸の活性化又はN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)などによる活性化及びアミンHNRとのカップリング、を用いて一般式Iで示される所望の最終生成物に変換できる。
【0037】
一般式II及びIXで示される化合物は、場合により置換されていてもよいベンジル基(これは水素添加分解により開裂され得る一過性の基として機能し得る)を有する式IV又はIの化合物を用いて取得できる。得られる式II及びIXのフェノールを、次いで異なるベンジル基により前記条件下で再アルキル化することができる。当業者には周知であるように、このプロセスは、他の置換基及び官能基が水素添加分解及びアルキル化反応のための前記反応条件の下で安定である場合にのみ可能である。
【0038】
式Iの化合物のための中間体を製造する方法をスキーム2に示す。前記の方法に酷似した方法で、式IIIで示されるベンジル型のハロゲン化物、トシラート、メシラート又はトリフラートとの反応によるウィリアムソンのエーテル合成によるフェノールXのモノアルキル化が、式XIで示されるヒドロキシ誘導体を生成する。これに代わるアプローチは、式IIIで示されるベンジルアルコールと式Xで示される対応フェノールのミツノブカップリングである。通常この反応は、例えばジエチルエーテル又はテトラヒドロフランのような不活性溶媒中、ホスフィン(例えばトリブチル又はトリフェニルホスフィン)の存在下にジアルキルアゾジカルボキシラートを用いて行う。式XIで示される化合物は、式XIIで示されるエステル誘導体によりさらにアルキル化されて式IVの化合物を生成できる。さらにこのアルキル化反応のためには、既に記載し基本的には当分野で公知の条件を適用できる。
【0039】
式XIVの化合物は、これらの反応条件下で不活性の溶媒、好ましくは純粋なアクリラート中、室温及び還流温度の間の温度で、式XIで示されるヒドロキシ誘導体、各々その塩を、式XIIIで示されるアクリラートにマイケル付加することにより製造できる。アルコラートを形成する塩基は例えばナトリウム又は水素化ナトリウムであってよい。式Iの化合物を得るため、式IV及びXIVで示される前記中間体を、既に述べた方法に従って式Vのアミンで処理する。
【化26】

【0040】
置換基、n及びmは上記の意義を有する。
【0041】
式Ia及びIb[式中、n=0]の化合物の製造をスキーム3に示す。式VIで示されるヒドロキシ誘導体を密封容器中、ジクロロメタン又はトルエンのような溶媒を用いて室温及び100℃の間の温度でシアン酸カリウム又はアルキルイソシアナートと反応させると、式Iaのカルバメートが生成する。
【0042】
式VIで示されるヒドロキシ誘導体とクロロギ酸フェニル、好ましくは置換クロロギ酸フェニル、例えばクロロギ酸4−ニトロフェニルの反応は、式VIIIで示されるカルボナートを生成する。これらのカルボナートを、反応条件下で不活性な溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジオキサン中、好ましくは封管中で、0及び60℃の間の温度で一般式Vのアミンで処理すると、式Ibの化合物が生成する。
【化27】

【0043】
置換基、n及びmは上記の意義を有する。
【0044】
一般式Iの化合物は光学的に純粋な形態でも存在する。対掌体への分離は、それ自体既知の方法に従い、式XIIの化合物から出発する合成の初期段階で、光学活性アミン、例えば(+)−若しくは(−)−1−フェニルエチルアミン又は(+)−若しくは(−)−1−ナフチルエチルアミンによる塩形成及び分別結晶によるジアステレオマー塩の分離により、又は、キラル補助物質、例えば(+)−若しくは(−)−2−ブタノール、(+)−若しくは(−)−1−フェニルエタノール、又は(+)−若しくは(−)−メントールによる誘導体形成及びクロマトグラフィー及び/又は結晶化によるジアステレオマー生成物の分離及びそれに続くキラル補助物質との結合の開裂により;あるいは、最終段階で、キラル相のクロマトグラフィーによる式Iのエナンチオマーの分離によって実施できる。さらに、式Iの化合物は、生物学的変換、例えば、酵素、例えばヒドロラーゼ又はリパーゼによる式IV、IX、XII、又はXIVで示されるエステルの加水分解によって得られるエナンチオ純粋中間体から取得することもできる。得られた誘導体の絶対配置を決定するため、純粋なジアステレオマー塩又は誘導体を常套的分光法で分析できるが、単結晶によるX線分光法が特に好適な方法である。
【0045】
式Iの化合物の薬学的に許容される塩は、それ自体既知の方法に従い、塩に変換される化合物の性質を考慮して容易に製造することができる。無機又は有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸又はクエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが、式Iの塩基性化合物の薬学的に許容される塩の形成に好適である。アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む化合物、塩基性アミン又は塩基性アミノ酸が、酸性化合物の薬学的に許容される塩の形成に好適である。
【0046】
式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩は、既に上で述べたように、モノアミンオキシダーゼBインヒビターであり、MAO−Bインヒビターが有益となり得る疾患の治療又は予防に使用できる。これらは急性及び慢性神経疾患、認知障害及び記憶障害を包含する。処置可能な神経疾患は、例えば外傷性又は慢性の神経系変性プロセス、例えばアルツハイマー病、他の型の認知症、軽度認識障害又はパーキンソン病である。その他の適応は、精神疾患、例えば、鬱、不安、パニック発作、社会恐怖、統合失調症、摂食及び代謝障害(例えば肥満)、ならびにアルコール、ニコチン及びその他の依存性薬物乱用により誘発される離脱症状の予防及び治療を包含する。その他の処置可能な適応は、報酬欠乏症候群(reward deficiency syndrome; G. M. Sullivan、国際特許出願WO 01/34172A2)、癌化学療法により惹起される末梢神経障害(G. Bobotas、国際特許出願WO 97/33572 A1)、又は多発性硬化症(R. Y. Harris、国際特許出願WO 96/40095 A1)及びその他の神経炎症疾患の処置である。
【0047】
本化合物の薬理活性を以下の方法を用いて試験した:
【0048】
薬用化合物の薬理活性を、例えば以下のように立証できる:
【0049】
ヒトMAO−A及びMAO−BをコードしているcDNAをSchlaeger及びChristensen[Cytotechnoloogy 15:1-13(1998)]に記載の方法を用いてEBNA細胞に一過性トランスフェクションした。トランスフェクション後、細胞を、ポリトロンホモジナイザーにより0.5mM EGTA及び0.5mMフェニルメタンスルホニルフルオリドを含有する20mM トリスHCl緩衝液(pH8.0)中でホモジナイズした。45000xgで遠心して細胞膜を得、0.5mM EGTAを含有する20mMトリスHCl緩衝液(pH8.0)で2回すすいだ後、膜を最終的に上の緩衝液に再懸濁し、使用するまでアリコートを−80℃で保存した。
【0050】
MAO−A及びMAO−B酵素活性をZhou及びPanchuk-Voloshina[Analytical Biochemistry 253:169-174(1997)]に記載の方法から適合させた分光学的定量法を用いて96ウェルプレートで検定した。簡潔に述べると、膜のアリコートを0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中、種々の濃度の当該化合物を加えて又は加えずに、37℃で30分間インキュベートした。この時間の後、1U/mlのセイヨウワサビペルオキシダーゼ(Roche Biochemicals)及び80μMのN−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン(Amplex Red、Molecular Probes)と共にMAO基質チラミンを添加することにより酵素反応を開始させた。試料を最終容量200μlで37℃でさらに30分間インキュベートし、次いでSpectraMaxプレートリーダー(Molecular Devices)を用いて波長570nmで吸光度を測定した。MAO−Aについては10μMクロルジリン、そしてMAO−Bについては10μM L−デプレニルの存在下でバックグラウンド(非特異的)吸光度を測定した。
【0051】
9種類のインヒビター濃度(n=2)を使用し、コンピュータープログラムを用いて4パラメータロジスティック方程式にデータをフィッティングさせることにより、得られた阻害曲線からIC50値を決定した。
【0052】
本発明化合物は特異的MAO−Bインヒビターである。上記の検定で測定された式Iの化合物のIC50値は、1μM又はそれ以下、理想的には0.1μM又はそれ以下の範囲である。下の表は、式Iで示される化合物のエナンチオマー型の一つのIC50値の例を示す:
【表1】

【0053】
薬用化合物は、例えば薬学的調製物の形態で医薬として使用できる。薬学的調製物は、経口的に、例えば錠剤、被覆錠剤、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、溶液、乳剤又は懸濁剤の形態で投与できる。しかしながら投与は、直腸内、例えば坐剤の形態で、又は非経口的に、例えば注射溶液の形態でも実施できる。
【0054】
薬用化合物は、薬学的調製物の製造のための薬学的に不活性な無機又は有機担体を用いて加工できる。乳糖、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などが、例えば錠剤、被覆錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の担体として使用できる。軟ゼラチンカプセル剤に好適な担体は、例えば植物油、ろう、脂肪、半固体及び液体ポリオールなどである。しかしながら活性物質の性質によっては、軟ゼラチンカプセル剤の場合、担体は通常不要である。溶液及びシロップ剤の製造に好適な担体は、例えば水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコースなどである。アジュバント、例えばアルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などを、式Iの化合物の水溶性塩を含む水性注射溶液に使用できるが、原則としてそれらは不要である。坐剤に好適な担体は、例えば天然又は硬化油、ろう、脂肪、半液体又は液体ポリオールなどである。
【0055】
さらに、この薬学的調製物は、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香料、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤、マスキング剤又は抗酸化剤を含有させることができる。さらに、その他の治療上価値ある物質を含有させることもできる。
【0056】
用量は広範囲に変えることができ、無論、各症例の個別的要件に適合させる。一般に、経口又は非経口投与のための有効用量は0.01−20mg/kg/日であり、0.1−10mg/kg/日が記載した全ての適応に対して好ましい。したがって体重70kgの成人に対する日用量は、1日あたり0.7−1400mg、好ましくは7及び700mgの間である。
【0057】
本発明を例示するため以下の実施例を供する。これらは本発明の範囲を限定するものと考えてはならず、単に本発明の代表例であると考えるべきである。
【0058】
実施例1
2−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−アセトアミド
a)4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノール
アセトニトリル90ml中のヒドロキノン10gの溶液を、4−フルオロベンジルブロミド8.58g及び炭酸カリウム15.7gで処理した。混合物を90℃に加熱し、18時間撹拌した。後処理のため、反応混合物を室温に冷却し、冷水で処理した。形成した固体物質を濾過し、冷水で2回洗浄し、乾燥させた。ビス−エーテルからの精製及び分離のため、粗物質を、ヘプタン及び酢酸エチルの4:1の混合物を溶離剤として使用するシリカゲルでクロマトグラフィーに付した。4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノール4.05g(理論値27%)を白色の固体として得た;MS:m/e=218(M)+
【0059】
b)[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−酢酸エチルエステル
2−ブタノン40ml中の4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノール3gの溶液を、炭酸カリウム2.5g及びブロモ酢酸エチル1.6mlで処理した。混合物を80℃で3時間撹拌し、次に、反応を完了させるために、炭酸カリウム1.7g及びブロモ酢酸エチル1.9mlを4回に分けて24時間の間に順次加えた。後処理のため、反応混合物を室温に冷却し、次に水で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−酢酸エチルエステル2.95g(理論値71%)を褐色を帯びた結晶として得た。その結晶は、更に精製しないで次の工程で使用できるほど純粋であった;MS:m/e=304(M)+
【0060】
c)2−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−アセトアミド
テトラヒドロフラン10ml中の[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−酢酸エチルエステル500mgの溶液を、水酸化ナトリウム溶液(1N)3.3mlで処理した。混合物を50℃で2時間加熱し、次にそれを室温に冷却し、塩酸(1N)3.3mlを加えた。テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させる間に沈殿した酸を、その後フィルタ漏斗上に回収した。水で洗浄し、減圧下で乾燥させた後、[4−(4−フルオロベンジルオキシ)−フェノキシ]酢酸376mgを得て、それを更なる変換に直接使用した。
粗酸をN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶解し、1,1'−カルボニル−ジイミダゾール293mgを加え、得られた溶液を50℃で1時間加熱した。次に、混合物を室温に冷却し、水酸化アンモニウム溶液(25%)0.16mlを加え、撹拌を室温で18時間続けた。後処理のため、反応混合物を水で処理し、生成物を沈殿させ、それをフィルタ漏斗上に回収し、水で洗浄した。水から結晶化させた後、2−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−アセトアミド337mg(理論値74%)を白色の固体として得た;MS:m/e=276(M+H)+
【0061】
実施例2
2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド
a)4−ベンジルオキシ−フェノール
実施例1a)に記載の手順と同様にして、ヒドロキノンを臭化ベンジルでアルキル化して、4−ベンジルオキシ−フェノールを無色の固体として得た。
【0062】
b)(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−酢酸メチルエステル
実施例1b)に記載の手順と同様にして、炭酸セシウムを塩基として使用して、4−ベンジルオキシ−フェノールをブロモ酢酸メチルでアルキル化して、(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−酢酸メチルエステルを白色の結晶として得た;MS:m/e=272(M)+
【0063】
c)2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド
実施例1c)に記載の手順と同様にして、1,1'−カルボニル−ジイミダゾールを縮合試薬として使用して、(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−酢酸をメチルアミンと反応させた。2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=272(M+H)+
【0064】
実施例3
2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド
a)2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド
テトラヒドロフラン150ml中の2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド[実施例2c)]4.7gの溶液を、触媒としてパラジウム担持炭(10%)470mgを使用して、大気圧ならびに室温で水素化した。後処理のため、反応混合物をDicalite層で濾過し、得られた溶液を減圧下で蒸発させた。残渣をエーテルで粉砕し、固体をフィルタ漏斗上に回収した。乾燥後、2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド2.95g(理論値93%)を白色の結晶として得た;MS:m/e=181(M)+
【0065】
b)2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド
2−ブタノン25ml中の2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド500mgの溶液を炭酸カリウム762mg及び4−ブロモメチル−ベンゾニトリル595mgで処理した。反応混合物を室温で60時間撹拌した。後処理のため、反応混合物を水で処理し、次に酢酸エチルで抽出した。水層を酢酸エチルで再抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣をエーテルで粉砕し、得られた結晶をフィルタ漏斗上に回収した。乾燥後、2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド744mg(理論値95%)を白色の結晶として得た;MS:m/e=297(M+H)+
【0066】
実施例4
2−[4−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド[実施例3a)]を2−ブタノン中で1−ブロモメチル−4−クロロ−ベンゼンによりアルキル化して、2−[4−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=306(M+H)+
【0067】
実施例5
2−[4−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド[実施例3a)]を2−ブタノン中の1−ブロモメチル−2−フルオロ−ベンゼンとアルキル化して、2−[4−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=290(M+H)+
【0068】
実施例6
2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド[実施例3a)]を2−ブタノン中で1−ブロモメチル−3−フルオロ−ベンゼンによりアルキル化して、2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=290(M+H)+
【0069】
実施例7
2−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド
[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−酢酸エチルエステル[実施例1b)]500mg及びメチルアミン(エタノール中、約8M)2mlの混合物を80℃で18時間撹拌した。後処理のため、溶液を室温に冷却し、水で処理した。純粋な生成物を沈殿させ、フィルタ漏斗上に回収した。乾燥後、2−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド398mg(理論値86%)を白色の結晶として得た;MS:m/e=290(M+H)+
【0070】
実施例8
2−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N,N−ジメチル−アセトアミド
実施例7に記載の手順と同様にして、[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−酢酸エチルエステルをジメチルアミンでアミノ分解して、2−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N,N−ジメチル−アセトアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=304(M+H)+
【0071】
実施例9
(RS)−2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
a)(RS)−2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−プロピオン酸メチルエステル
実施例1b)に記載の手順と同様にして、炭酸セシウムを塩基として使用して、4−ベンジルオキシ−フェノール[実施例2a)]をアセトン中の(RS)−2−ブロモプロピオン酸メチルでアルキル化して、(RS)−2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−プロピオン酸メチルエステルを明黄色の油状物として得た;MS:m/e=304(M+NH4+
【0072】
b)(RS)−2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−N−メチル−プロピオンアミド:
実施例7に記載の手順と同様にして、(RS)−2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミドをメチルアミンでアミノ分解して、(RS)−2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=286(M+H)+
【0073】
実施例10
(RS)−2−[4−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
a)(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−プロピオンアミド
実施例3a)に記載の手順と同様にして、(RS)−2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミドを水素化分解して、(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−プロピオンアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=194(M−H)-
【0074】
b)(RS)−2−[4−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−プロピオンアミドを2−ブタノン中で2−フルオロ−ベンジルブロミドによりアルキル化して、(RS)−2−[4−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=304(M+H)+
【0075】
実施例11
(RS)−2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−プロピオンアミドを2−ブタノン中で3−フルオロ−ベンジルブロミドによりアルキル化して、(RS)−2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=304(M+H)+
【0076】
実施例12
(RS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−プロピオンアミドを2−ブタノン中で3−クロロ−ベンジルブロミドによりアルキル化して、(RS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=320(M+H)+
【0077】
実施例13
(R又はS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド及び(S又はR)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
2個の異性体(RS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド(実施例12)300mgの分離を、n−ヘプタン及びエタノールの85:15の混合物を溶離剤として使用する分取キラルHPLCカラム(CHIRALPAK(登録商標)AD、圧力:20bar、流速:35ml/分)で実施した。第一の溶離異性体(R又はS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド122mg(理論値41%)及び後の溶離異性体(S又はR)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド860mg(理論値39%)を、各々白色の固体として得た。
【0078】
実施例14
(RS)−2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−プロピオンアミドを2−ブタノン中で4−ブロモメチル−ベンゾニトリルによりアルキル化して、(RS)−2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=311(M+H)+
【0079】
実施例15
(RS)−2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド
a)(RS)−2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−酪酸エチルエステル
実施例1b)に記載の手順と同様にして、炭酸セシウムを塩基として使用して、4−ベンジルオキシ−フェノール[実施例2a)]をアセトン中で(RS)−2−ブロモ酪酸エチルによりアルキル化して、(RS)−2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−酪酸エチルエステルを褐色の油状物として得た;MS:m/e=314(M)+
【0080】
b)(RS)−2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド
実施例7に記載の手順と同様にして、(RS)−2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−酪酸エチルエステルをメチルアミンでアミノ分解して、(RS)−2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=300(M+H)+
【0081】
実施例16
(RS)−2−[4−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド
a)(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−ブチルアミド
実施例3a)に記載の手順と同様にして、(RS)−2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミドを水素化分解して、(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−ブチルアミドを白色の結晶として得た;MS:m/e=210(M+H)+
b)(RS)−2−[4−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−ブチルアミドを2−ブタノン中の2−フルオロ−ベンジルブロミドでアルキル化して、(RS)−2−[4−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=318(M+H)+
【0082】
実施例17
(RS)−2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−ブチルアミドを2−ブタノン中で3−フルオロ−ベンジルブロミドによりアルキル化して、(RS)−2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=318(M+H)+
【0083】
実施例18
(RS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−ブチルアミドを2−ブタノン中で3−クロロ−ベンジルブロミドによりアルキル化して、(RS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=334(M+H)+
【0084】
実施例19
(RS)−2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、(RS)−2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−N−メチル−ブチルアミドを2−ブタノン中で4−ブロモメチル−ベンゾニトリルによりアルキル化して、(RS)−2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=325(M+H)+
【0085】
実施例20
2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−2,N−ジメチル−プロピオンアミド
実施例7に記載の手順と同様にして、2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸エチルエステルをメチルアミンでアミノ分解して、2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−2,N−ジメチル−プロピオンアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=300(M+H)+
【0086】
実施例21
2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−2,N−ジメチル−プロピオンアミド
a)2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−2,N−ジメチル−プロピオンアミド
実施例3a)に記載の手順と同様にして、2−(4−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−2,N−ジメチルプロピオンアミド[実施例20]を水素化分解して、2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−2,N−ジメチル−プロピオンアミドを白色の固体として得た;MS:m/e=209(M)+
【0087】
b)2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−2,N−ジメチル−プロピオンアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−2,N−ジメチル−プロピオンアミドを2−ブタノン中で3−フルオロ−ベンジルブロミドによりアルキル化して、2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−2,N−ジメチル−プロピオンアミドを褐色の油状物として得た;MS:m/e=318(M+H)+
【0088】
実施例22
2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−2,N−ジメチル−プロピオンアミド
実施例3b)に記載の手順と同様にして、炭酸カリウムを塩基として使用して、2−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−2,N−ジメチル−プロピオンアミドを2−ブタノン中で3−クロロ−ベンジルブロミドによりアルキル化して、2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−2,N−ジメチル−プロピオンアミドを褐色の油状物として得た;MS:m/e=334(M+H)+
【0089】
実施例23
3−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオンアミド
a)3−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオン酸メチルエステル
アクリル酸メチル5ml中の4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノール[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノールのために、実施例1a)に記載の手順とほぼ同様の方法で調製]及びヒドロキノン1.4mgの溶液をナトリウムで処理し、その後それを7.5時間加熱還流した。後処理のため、混合物を室温に冷却し、酢酸で中和した。減圧下で蒸発させた後、残渣をエーテル及び酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を水で3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、次に減圧下で蒸発させた。粗生成物を少量のメタノールで再結晶化させた。3−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオン酸メチルエステル1.1g(理論値54%)を白色の結晶として得た;MS:m/e=304(M+H)+
【0090】
b)3−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオン酸
テトラヒドロフラン5ml及び塩酸(19%)25mlの混合物中の3−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオン酸メチルエステル500mgの溶液を70℃で7時間加熱した。後処理のため、テトラヒドロフランを減圧下で蒸発させ、水層を酢酸エチル40mlで3回抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。粗生成物をエーテル中で粉砕し、固体物質をフィルタ漏斗上に回収した。乾燥後、3−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオン酸114mg(理論値30%)を白色の結晶として得た。
【0091】
c)3−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオンアミド
ジクロロメタン(+N,N−ジメチル−ホルムアミド1滴)4ml中の3−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオン酸70mgの溶液を0℃に冷却し、塩化オキサリル0.03mlで処理した。撹拌を1.5時間続け、その後ほとんどのジクロロメタンを蒸発させた。テトラヒドロフラン1ml中の水酸化アンモニウム水溶液(25%)0.5mlの溶液を調製し、0℃に冷却した。酸塩化物の溶液を上記溶液に加え、週末の間撹拌を続けながら混合物を室温に温めた。後処理のため、反応混合物を減圧下で蒸発させ、残渣をエーテル中で粉砕し、3−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオンアミド42mg(理論値60%)を白色の固体として得た;MS:m/e=307(M+NH4+
【0092】
実施例24
カルバミン酸2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−エチルエステル
a)2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−エタノール
アセトニトリル100ml中の2−(4−ヒドロキシフェニル)−エタノール5.0g及び炭酸カリウム5.0gの混合物をアルゴン雰囲気下0℃にて、3−フルオロベンジルブロミド4.5mlで滴下により処理した。完全に加えた後、撹拌を0℃で15分間続け、次に反応混合物を室温に温めるにまかせ、撹拌を18時間続けた。後処理のため、溶媒を減圧下で蒸発させ、その後残渣を酢酸エチルに溶解し、溶液を水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。精製するため、得られた粗物質(黄色の油状物10.2g)を、溶離剤としてジクロロメタン及びメタノールの95:5の混合物を使用するシリカゲルのクロマトグラフィーに付した。エーテル及びシクロヘキサンの混合物から再結晶化させた後、2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−エタノール4.1g(理論値46%)を白色の固体として得た;MS:m/e=247(M+H)+
【0093】
b)カルバミン酸2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−エチルエステル
アルゴン雰囲気下、室温にて、ベンゼン2ml中の2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−エタノール1.0g及びイソシアン酸カリウム0.66gの懸濁液を、撹拌しながらトリフルオロ酢酸0.62mlで滴下により処理した。室温で18時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、次にジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層を炭酸カリウムで乾燥させ、蒸発させた。カルバミン酸2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−エチルエステル0.52g(理論値44%)を白色の固体として得た;MS:m/e=290(M+H)+
【0094】
実施例25
カルバミン酸4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンジルエステル
a)4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンズアルデヒド
N,N−ジメチルホルムアミド60ml中の4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド6.0g及び炭酸カリウム13.58gの混合物を、室温にて、N,N−ジメチルホルムアミド30ml中の3−フルオロ−ベンジルブロミド11.14gの溶液で滴下により処理した。3時間後、反応混合物を水で希釈し、エーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて、油状物(9.85g)を得て、それを放置して結晶化させた;MS:m/e=230(M)+。粗生成物を更に精製しないで次の工程で使用した。
【0095】
b)[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−メタノール
テトラヒドロフラン10ml中の4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンズアルデヒド3.79gの溶液を、室温で、テトラヒドロフラン40ml中の水素化リチウムアルミニウム1.25gの懸濁液に滴下により加えた。室温で2時間後、冷却しながら順次、水1.25ml、次に水酸化ナトリウム溶液(1N)3.75ml、最後に水1.25mlを滴下により加えた。混合物をDicalite層で濾過し、減圧下で、テトラヒドロフランを溶液から留去した。残留層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。残渣を、エーテル及びn−ヘキサンの混合物から結晶化させて、[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−メタノール2.26g(理論値59%)を白色の固体として得た;MS:m/e=232(M)+
【0096】
c)カルバミン酸4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンジルエステル
実施例24b)に記載の手順と同様にして、[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−メタノールをベンゼン中でイソシアン酸カリウム及びトリフルオロ酢酸と反応させて、カルバミン酸4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンジルエステルを白色の固体として得た;MS:m/e=293(M+NH4+
【0097】
実施例26
メチル−カルバミン酸4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンジルエステル
密閉したガラス管内で、ジクロロメタン40ml中の[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−メタノール[実施例25b)]1.0g、トリエチルアミン0.03ml及びイソシアン酸メチル0.245gの溶液を40℃で3日間加熱した。このとき、NMRにより決定される変換率は50%に達した。後処理のため、反応混合物を冷却し、蒸発させた。残渣をピリジン2ml及び無水酢酸1mlに溶解し、溶液を室温で3時間撹拌した。その後、混合物を減圧下で蒸発させた。精製するため、得られた粗物質を、溶離剤としてヘプタン及び酢酸エチルの2:1の混合物を使用するシリカゲルのクロマトグラフィーに付した。メチル−カルバミン酸4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンジルエステル580mg(理論値47%)を白色の固体として得た;MS:m/e=289(M)+
【0098】
実施例27
2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンジルオキシ]−アセトアミド
テトラヒドロフラン10ml中の[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェニル]−メタノール[実施例25b)]500mgの溶液を、室温にて、水素化ナトリウム(油中分散55%)57mgで処理し、1時間撹拌した。その後、クロロアセトアミド183mgを加え、混合物を48時間加熱還流した。後処理のため、冷却した混合物を水で処理し、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。精製するため、得られた粗物質を、溶離剤としてジクロロメタン〜ジクロロメタン及びメタノールの4:1の混合物の勾配を使用するシリカゲルのクロマトグラフィーに付した。エーテルから結晶化させた後、2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−ベンジルオキシ]−アセトアミド29mg(理論値5%)を白色の固体として得た;MS:m/e=307(M+NH4+
【0099】
実施例A
以下の組成の錠剤を常法により製造した。
mg/錠剤
活性成分 100
粉末ラクトース 95
白色トウモロコシデンプン 35
ポリビニルピロリドン 8
カルボキシメチルデンプンナトリウム 10
ステアリン酸マグネシウム 2
錠剤重量 250
【0100】
実施例B
以下の組成の錠剤を常法により製造した。
mg/錠剤
活性成分 200
粉末ラクトース 100
白色トウモロコシデンプン 64
ポリビニルピロリドン 12
カルボキシメチルデンプンナトリウム 20
ステアリン酸マグネシウム 4
錠剤重量 400
【0101】
実施例C
以下の組成のカプセル剤を製造した。
mg/カプセル剤
活性成分 50
結晶質乳糖 60
微晶質セルロース 34
タルク 5
ステアリン酸マグネシウム 1
カプセル剤充填重量 150
【0102】
適切な粒径の活性成分、結晶質乳糖及び微晶質セルロースを、互いに均質に混合し、ふるい分けした後、タルク及びステアリン酸マグネシウムを混合した。最終混合物を、適切なサイズの硬質ゼラチンカプセル剤に充填した。
【0103】
実施例D
注射用液剤は下記の組成を有することができ、通常の方法で製造した。
活性物質 1.0mg
1N HCl 20.0μl
酢酸 0.5mg
NaCl 8.0mg
フェノール 10.0mg
1N NaOH pH5.0にするのに十分な量
2O 1mlにするのに十分な量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化1】


[式中、
、Rは、互いに独立して水素又はC−C−アルキルであり;
、Rは、互いに独立して水素又はC−C−アルキルであり;
は、ハロゲン、CN、(C−C)−アルキル又は(C−C)−アルコキシであり;
n、m又はoは、0、1又は2である]
で示される化合物又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
oが1であり、mが0である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
2−(4−ベンジルオキシ−フェノキシ)−N−メチル−アセトアミド、
2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド、
2−[4−(4−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド、
2−[4−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド、
2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド、
2−[4−(4−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−アセトアミド、
(RS)−2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
(RS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド
(S又はR)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド、
(RS)−2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−プロピオンアミド、
(RS)−2−[4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド、
(RS)−2−[4−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド又は
(RS)−2−[4−(4−シアノ−ベンジルオキシ)−フェノキシ]−N−メチル−ブチルアミド
である、請求項2に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
oが2であり、mが0である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
3−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−フェノキシ]−プロピオンアミドである、請求項4に記載の式Iの化合物。
【請求項6】
oが0であり、mが2である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
カルバミン酸2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−フェニル]−エチルエステルである、請求項6に記載の式Iの化合物。
【請求項8】
oが0であり、mが1である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項9】
メチルカルバミン酸4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルエステルである、請求項8に記載の式Iの化合物。
【請求項10】
oが1であり、mが1である、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項11】
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−ベンジルオキシ]−アセトアミドである、請求項10に記載の式Iの化合物。
【請求項12】
a)式:
【化2】


で示される化合物を、式:
【化3】


[式中、Yは脱離基である]
で示される化合物と反応させて、式:
【化4】


[式中、置換基は請求項1に記載のとおりである]
で示される化合物を得る、又は、
b)式:
【化5】


[式中、RはC−C−アルキルである]
で示される化合物を、式:
【化6】


で示されるアミンと反応させて、式:
【化7】


[式中、置換基は請求項1に記載のとおりである]
で示される化合物を得る、又は、
c)式:
【化8】


で示される化合物を、KOCN 又は
【化9】


と反応させて、式:
【化10】


[式中、置換基は請求項1に記載のとおりである]
で示される化合物を得る、又は、
d)式:
【化11】


で示される化合物を、式:HNR
で示される化合物と反応させて、式:
【化12】


[式中、置換基は請求項1に記載のとおりである]
で示される化合物を得る、そして、
所望により、得られた化合物を薬学的に許容される酸付加塩に変換する、
ことを含む、請求項1に記載の式Iの化合物を製造する方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法により製造される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項14】
モノアミンオキシダーゼBインヒビターにより仲介される疾患の治療及び予防のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物1以上及び薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬。
【請求項15】
アルツハイマー病及び老年認知症の治療及び予防のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物1以上及び薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬。
【請求項16】
疾患の治療又は予防のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
モノアミンオキシダーゼBインヒビターにより仲介される疾患の治療及び予防のための医薬を製造するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項18】
疾患がアルツハイマー病又は老年認知症である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
本明細書前記に記載の発明。

【公表番号】特表2008−503514(P2008−503514A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517146(P2007−517146)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006398
【国際公開番号】WO2006/000324
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】