説明

映像表示装置

【課題】異なる視角に応じて別々に映像を表示可能な表示器を含む映像表示装置において、操作者を判別することが可能な映像表示装置を提供する。
【解決手段】 異なる視角に応じて別々に映像を表示可能な表示器と、映像を表示する表示画面上に設置され、その表示画面に対するユーザの接触操作により所定の入力を行なうタッチパネルと、接触操作が行なわれる位置を検出する接触操作位置検出手段と、接触操作位置のタッチパネルにおける領域に応じて、所定の入力がどの映像に対して行なわれたかを判別する入力判別手段と、を備えることを特徴とする映像表示装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視角に応じて別々の映像を表示可能な映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、左右視角に応じて別々の映像を表示可能なステレオ表示器が普及しつつある。この表示器では、視角を調節することにより、例えば車両の運転席と助手席というように、異なる視角方向から別々の映像を楽しむことができる。(非特許文献1参照)。
【0003】
例えば、車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車両用ナビゲーション装置にも、ステレオ表示器の普及が期待される。
【0004】
この車両用ナビゲーション装置の表示装置は、運転者が操作し易く、かつ観察し易いように、一般的に運転者と助手席者との間のインストルメントパネル等に設置されている。また、前記道路地図を拡大する等のナビゲーションに必要最小限の入力操作を除き、走行中は目的地を設定する等の所定の入力が自動的に禁止されるようになっている。
【0005】
しかし、車両の運転に直接関与しない助手席者がスイッチ操作を行った場合においても、目的地を設定する等の所定の入力が受けつけられず、したがってこのような入力を行なう場合には、その都度車両を一時停止させて入力しなければならないという問題があった。
【0006】
また、表示装置においては、表示切換・選択,チャンネル切換等の操作をするためのユーザインターフェースの一つとして、表示画面上に表示されたスイッチ、いわゆるタッチパネルが用いられている。左右に同じ画面が表示されているステレオ表示器をタッチパネルにより操作する場合、左側の画面を見ている人が操作しているのか、右側の画面を見ている人が操作しているのか判断することができないという問題点があり、そのために車両等に搭載されたタッチスイッチ入力による表示機器では操作する人に関わりなく、車両が走行を開始したら走行強制をかけて一部機能を操作できなくする必要性があった。
【0007】
そこで、表示装置において、運転者の操作不可能な箇所に運転者以外のキー入力の受け付けを可能とするスイッチを設置し、そのスイッチを操作することで車両が走行中でも運転者以外のキー入力を受け付ける車載用表示制御装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平05−164565号公報
【非特許文献1】ASCII24 ニュース/トピックス,2005年4月20日「『Display 2005レポート Vol.3』運転席と助手席で異なる映像を全画面表示!! 2画面表示ディスプレイを参考出展」平成17年4月24日検索インターネット<URL:http://ascii24.com/news/i/topi/article/2005/04/20/655512-000.html?geta>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の例は、メカニカルキーが設置された表示装置についてのもので、タッチパネルの操作については言及されていない。また、例えば計器パネル左端に走行中に運転者以外のキー入力の受け付けを可能とするスイッチを設置する必要があり、車載用表示制御装置の組付けを困難なものとし、製造コストの上昇につながる。また、計器パネルの意匠が制約を受けるという問題もある。
【0010】
上記問題を背景として、本発明の課題は、異なる視角に応じて別々に映像を表示可能な表示器を含む映像表示装置において、操作者を判別することが可能な映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための映像表示装置を提供するものである。即ち、請求項1によれば、異なる視角に応じて別々に映像を表示可能な表示器と、映像を表示する表示画面上に設置され、その表示画面に対するユーザの接触操作により所定の入力を行なうタッチパネルと、接触操作が行なわれる位置を検出する接触操作位置検出手段と、接触操作位置のタッチパネルにおける領域に応じて、所定の入力がどの映像に対して行なわれたかを判別する入力判別手段と、を備えることを特徴とする映像表示装置として構成される。
【0012】
本発明は、異なる視角に応じて別々に映像を表示可能な表示器を有する映像表示装置において、タッチパネルに表示されるスイッチの押される位置を検出することにより、スイッチ操作がどの映像に対して行なわれたかを判別するものである。上記構成によって、タッチパネル以外の他のスイッチを用いることなくスイッチ操作の判別を行なうことができるので、映像表示装置の組付けも容易となり、映像表示装置の製造コストを抑制することが可能となる。
【0013】
請求項2によれば、上記課題を解決するための映像表示装置は、異なる2方向の視角に応じて別々に映像を表示可能なステレオ表示器と、映像を表示する表示画面上に設置され、ユーザの接触操作により所定の入力を行なうタッチパネルと、接触操作が行なわれる位置を検出する接触操作位置検出手段と、接触操作位置のタッチパネルにおける領域に応じて、所定の入力が別々に表示された映像のどちらに対して行なわれたかを判別する入力判別手段と、を備えることを特徴とする映像表示装置として構成される。
【0014】
本発明は、異なる2方向の視角に応じて別々に映像を表示可能なステレオ表示器を有する映像表示装置において、タッチパネルに表示されるスイッチの押される位置を検出することにより、接触操作がどちらの映像に対して行なわれたかを判別するものである。上記構成によって、タッチパネル以外の他のスイッチを用いることなく接触操作の判別を行なうことができるので、映像表示装置の組付けも容易となり、映像表示装置の製造コストを抑制することが可能となる。
【0015】
請求項3によれば、請求項2の映像表示装置におけるタッチパネル上には異なる2方向のうち第一の方向に表示された映像を見るユーザが操作する第一の接触操作部と、第二の方向に表示された映像を見るユーザが操作する第二の接触操作部とが位置をずらして配置され、第一の方向に表示された映像には第一の接触操作部のみが表示され、第二の方向に表示された映像には第二の接触操作部のみが表示される構成をとることができる。
【0016】
タッチパネルの接触操作を行なった場合に、第一の接触操作部の操作であるか第二の接触操作部の操作であるかを判別するための情報を付加して、例えば映像表示装置に含まれる制御部へ送る方法がある。しかし、この方法では制御部へ送られる情報量が増加したり、制御部での入力判別処理が複雑になるという問題点がある。また、異なる視角が3方向以上となって表示される映像の数すなわちスイッチの数が増えれば、制御部へ送られる情報量はさらに増加して入力判別処理も複雑になる。
【0017】
本発明の構成では、同じ操作を行なうための第一の接触操作部と第二の接触操作部がタッチパネル上の異なる位置に配置されるので、タッチパネルの接触操作を判別するために制御部へ送られる情報量は増加せず、タッチパネルの接触操作位置とスイッチの機能が1対1の対応関係にあるので制御部の入力判別処理も複雑にならない。また、第一の方向に表示された映像には第一の接触操作部のみが表示され、第二の方向に表示された映像には第二の接触操作部のみが表示されるので、タッチパネルの誤操作・誤検出もなく、画面表示の妨げとなることもない。
【0018】
請求項4によれば、本発明の映像表示装置におけるステレオ表示器は車両に搭載され、第一の接触操作部は運転者以外が操作することができ、第二の接触操作部は運転者が操作することができ、車両の状態を取得する車両状態取得手段と、取得された車両の状態が所定の状態であるかを判定する車両状態判定手段を含み、車両の状態が所定の状態であると判定され、かつ第一の接触操作部の操作が行なわれたと判別された場合には当該操作を有効とし、車両の状態が所定の状態であると判定され、かつ第二の接触操作部の操作が行なわれたと判別された場合には当該入力操作を無効とする操作制御手段を備える構成をとることができる。
【0019】
上記構成により、従来技術では車両の状態によって特定の入力操作以外は無効となっていたものを、車両の状態によっては運転者以外は通常の操作ができるようになり、運転者から見ることのできる画面表示は変わらないので、運転者に負担をかけることなく車内で快適に過ごすことが可能となる。
【0020】
請求項5によれば、本発明の映像表示装置における車両状態取得手段は車両が走行中であるかを判定する走行判定手段を含み、車両が走行中と判定された場合に車両の状態が所定の状態であると判定される構成をとることができる。
【0021】
上記構成により、従来技術では例えば車両の走行中は操作者によらず特定の入力操作以外は無効となっていたものを、走行中でもタッチパネルの接触操作位置を判別し、走行中でも助手席側の乗員が操作した場合に通常の操作ができるようになる。そして、助手席側から見ることのできる第一の方向に表示された映像のみは常に操作でき、車両用ナビゲーション装置,テレビ,DVD再生等の画面の切り換え操作ができるため、快適にドライブを楽しむことができる。一方、運転席側から見ることのできる第二の方向に表示された映像は、走行中は例えば経路案内画面を表示し続けるため、運転に集中することができる。そして、映像表示装置の組付けも容易となり、映像表示装置の製造コストを抑制することが可能となる。また、計器パネル周辺の意匠を制約しないという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
異なる視角に応じて別々に映像を表示可能な表示器を含む映像表示装置において、操作者を判別することが可能な映像表示装置を提供するという目的を、異なる視角に応じて別々に映像を表示可能な表示器の表示画面上に設置されたタッチパネルにおいて、接触操作が行なわれる位置を検出し所定の入力がどの映像に対して行なわれたかを判別する構成により実現した。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図1は本発明の映像表示装置を車両用ナビゲーション装置に適用した場合の全体構成を示すブロック図である。なお、本発明の映像表示装置の適用範囲を車両用ナビゲーション装置に限定するものではなく、テレビ受像機等の他の音響映像機器に適用してもよい。
【0024】
車両用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称する)100は、位置検出器1,DVD再生装置6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なう音声合成回路24とスピーカ15aおよび15b,不揮発メモリ9,表示器10,ハードディスク装置(HDD)21,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12を備えている。
【0025】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPSのためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部センサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサすなわち車速センサ23等を用いてもよい。
【0026】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になった本発明の接触操作位置検出手段であるタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上を使用者がタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、縦横に微細に配置された赤外線センサ、赤外線センサが検出した指等の接触を電気信号に変えるパネル部分、電気信号を外部機器へ送るための信号処理回路、および、これらを制御するコントローラを含んで構成され、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が2次元座標値(X,Y)として検出される方式を用いてもよい。あるいは、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。
【0027】
メカニカルスイッチ,タッチパネルの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、音声認識ユニット30に接続されるマイク31から音声を入力することによって、その音声信号を周知の音声認識技術により音声認識処理して、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。音声認識ユニット30は、マイク31から入力された音声信号を適切なレベルに増幅する増幅器と、増幅後の音声信号をA/D変換した後、周知の隠れマルコフモデル等の音声認識アルゴリズムにより音声を識別するための音声信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)、音声を識別するための基準データが記憶されているメモリ等で構成されており、DSPにより音声信号がその音声に対応した数値情報に変換された後、制御回路8に送られる。これら本発明の字幕設定手段,音声設定手段でもある操作スイッチ群7、リモコン端末12、マイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0028】
送受信機13は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信するための装置である。
【0029】
また、ETC(自動料金収受システム,ETC:Electronic Toll Collection)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14との通信を行なう構成をとってもよい。
【0030】
本発明の入力判別手段,車両状態判定手段,操作制御手段である制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0031】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図映像情報を記憶すると共に、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0032】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他に使用者が独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。これらのユーザデータ21uは、操作スイッチ群7,タッチパネル22およびリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報をデータベース21dとして記憶してもよい。
【0033】
また、地図データ21mおよびユーザデータ21uは、地図データ入力器を兼ねるDVD再生装置6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。
【0034】
不揮発メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態(即ち、ナビゲーション装置100がオフ状態)になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0035】
また、不揮発メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。この場合、HDD21よりも不揮発メモリ9へのアクセス速度の方が速いため、読み書きの頻度が比較的多いものを不揮発メモリ9に記憶し、読み書きの頻度が比較的少ないものをHDD21に記憶するとよい。不揮発メモリ9に記憶された内容をHDD21にバックアップ保存するようにしてもよい。
【0036】
本発明のステレオ表示器でもある表示器10は、異なる2つの方向から別々の映像が全画面表示される2画面表示ディスプレイである。また、表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行なうためのドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。また、表示器として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。
【0037】
図7および図8を用いて、表示器10の構成例について、周知の3D表示器を用いたものを例に挙げて説明する。図7および図8は表示器10を上方から見た模式図である。3D表示器は、同じ場所から同じものを一方の目で見た場合のずれである視差を利用し、平面的な印刷物を立体や動いているように見せるレンチキュラー技術を用いている。まず、図7のように、異なる2方向であるA方向(本発明の第二の方向)から見ることができる映像A、B方向(本発明の第一の方向)から見ることができる映像Bを、それぞれ画面の縦方向に短冊状に分割し、交互に組み合わせて1枚の映像に再合成したものをLCD10c上に作成する。
【0038】
そして、図8のように、その映像を、LCDの全面に貼り付けられた、断面が蒲鉾状で縦長のレンチキュラーレンズシート10dを通して表示する。レンチキュラーレンズシート10dのレンズの曲率を調整することで、A方向から見ることのできる画面10aでは本発明の第二の方向に表示された映像である映像Aのみを、B方向からから見ることのできる画面10bでは第一の方向に表示された映像である映像Bのみを見ることができる。
【0039】
上記方法の他に、A方向,B方向の視角に対応してバックライトの照射方向を制御して2画面表示を行なう方法を用いてもよい。なお、映像A,映像Bは静止画像,動画のいずれでもよい。また、映像A,映像Bは同一の映像が表示されても異なる映像が表示されてもよい。
【0040】
音声合成回路24は音声案内等の音声メッセージの送出のために用いられる。ナビプログラム21pの指令によって不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データを、音声合成回路24においてアナログ音声に変換したものが音声出力回路27を経由してスピーカ15a,15bから送出される。
【0041】
本発明の車両状態取得手段である車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0042】
外部機器接続装置26は、センサや他の制御機器等の外部機器とデータ伝送可能に接続するための入出力回路,コネクタを含むものである。以下の機能の一つあるいは少なくとも二つ以上を実現可能な構成となっている。
(1)不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶された内容をバックアップするためのデータバックアップ装置の接続
(2)他の車載機器とデータ伝送を行なうための車内LAN(Local Area Network)の通信インターフェース回路
(3)携帯電話機17を介しての外部ネットワーク接続
(4)テレビ,ラジオ等の他の音響映像機器の接続
【0043】
また、外部機器接続装置26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行なってもよい。
【0044】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0045】
即ち、使用者が地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、使用者が設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、GPS受信機5から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、車両が案内実施点に到達すると、スピーカ15a,15bから案内メッセージを送出する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15a,15bの少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0046】
図2を用いて、DVDを例に挙げて映像・音声の再生形態について説明する。ユーザがDVDである記憶媒体20をDVD再生装置6にセットして、操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューからDVD20の再生動作を選択すると、制御回路8からDVD再生装置6に字幕・音声の設定を含む指令が送られ、DVD20の再生が開始される。
【0047】
また、DVD再生装置6の他に周知のオーディオ装置を用いてもよい。オーディオ装置は音声映像再生部,ラジオ・テレビを視聴するためのチューナ部,DVD,CD(コンパクトディスク),MD(ミニディスク)等の再生部,ナビゲーション装置100との接続回路等を含んで構成され、ナビゲーション装置の一部に含まれる構成としてもよいし、外部機器接続装置26を介して接続される構成としてもよい。
【0048】
DVD再生装置6からの映像信号あるいはHDD21からの地図データ21m等の画面表示用データは、I/O84を経由して表示器10に送られ、使用者の操作内容にしたがって表示器10に含まれる図示しないドライバ回路によって映像が図8のようなA方向すなわち運転席側からのみ見ることができる映像A、あるいはB方向すなわち助手席側からのみ見ることができる映像Bとして表示される。また、音声信号はDVD再生装置6あるいはHDD21等からI/O84を経由して、周知の信号処理回路および増幅回路を含む音声出力回路27に送られ、映像Bに対応する音声がスピーカ15aから、映像Aに対応する音声が15bから送出される。
【0049】
図4から図6を用いて、表示装器10すなわちタッチパネル22における操作スイッチ表示の詳細について説明する。図4は表示器10の映像Aと映像Bに表示される操作スイッチを、本発明の構成を説明するために同時に表したものである。映像B上に表示される本発明の第一の接触操作部である映像B用スイッチ22a,22c,22eの表示位置と、映像Aに表示される本発明の第二の接触操作部である映像A用スイッチ22b,22d,22fとは、例えば22a,22bのように同じテレビ機能選択用スイッチでも位置をずらして、すなわち、スイッチを示す座標の範囲が異なるように配置されている。ラジオ機能選択用スイッチ22c,22d、DVD機能選択用スイッチ22e,22fも同様である。
【0050】
図5は例えば助手席側から見ることのできる映像Bに表示されるスイッチの表示状態である。映像Bには映像B用スイッチ22a,22c,22eのみが表示され、映像B用スイッチの右側に隣接する点線部分の映像A用スイッチはいずれも表示されない。図6は例えば運転席側から見ることのできる映像Aに表示されるスイッチの表示状態で、同様に映像A用スイッチ22b,22d,22fのみが表示され、映像A用スイッチの左側に隣接する点線部分の映像B用スイッチはいずれも表示されない。
【0051】
なお、上述の映像B用スイッチ22a,22c,22eおよび映像A用スイッチ22b,22d,22fの表示処理は、ナビプログラム21pに含まれ、他のプログラムとともに繰り返し実行される。映像B用スイッチ22a,22c,22eおよび映像A用スイッチ22b,22d,22fの配置は、HDD21あるいはROM82に予め記憶された表示位置データに基づいて、表示器10の表示画面上に表示される。
【0052】
スイッチの配置は図4から図6のようにそれぞれの機能毎に隣り合う配置としてもよいし、映像B用スイッチ22a,22c,22eを映像Bの左端に表示し、映像A用スイッチ22b,22d,22fを映像Aの右端に表示してもよい。上述の例は、視角が左右の2方向で異なる映像が表示される例であるが、視角が例えば上下左右のように3方向以上で異なる映像が示される場合も同様である。各視角においてそれぞれの機能毎のスイッチが、スイッチを示す座標の範囲が異なるように配置される。
【0053】
図3のフロー図を基に、各接触操作部の入力判別処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、他のプログラムとともに繰り返し実行される。まず、車速センサ23から取得した車速データを基に、車両が走行中であるかを判定する。車速が例えば5km/hを上回る場合は車両が走行中であると判定する。車速が5km/hを下回り車両が走行中でないと判定された場合(S1:No)は、映像B用スイッチ22a,22c,22eおよび映像A用スイッチ22b,22d,22fによる全ての入力操作を有効とする(S6)。
【0054】
車両が走行中である場合(S1:Yes)に、接触操作があった場合(S2:Yes)、その接触操作されたスイッチの座標から、タッチパネルの操作が、映像B用スイッチ22a,22c,22e、映像A用スイッチ22b,22d,22fのいずれによるものどうかを判別する。
【0055】
タッチパネルの接触操作が、例えば助手席乗員による映像B用スイッチ22a,22c,22eの接触操作であると判定された場合(S3:Yes)は、その入力操作に応じた処理を行ない、必要に応じて映像Bの表示内容を変更する(S4)。一方、運転者による映像A用スイッチ22b,22d,22fの接触操作であると判定された場合(S3:No)は、その入力操作を無効とする(S5)。
【0056】
本発明の車両状態取得手段として、車両のシフトレバー位置を検出する図示しないシフトポジションセンサを用い、シフトレバーの位置が「N(ニュートラル)」および「P(パーキング)」以外の場合は運転者による映像A用スイッチ22b,22d,22fの接触操作を無効とするようにしてもよい。また、車速条件とシフトレバーの位置条件を合わせて用いてもよい。
【0057】
車両が走行中でも、運転者は音声入力を行なうことが可能である。この場合、本発明の構成に合わせて、車両が走行中はマイク31からの音声入力による操作を無効とする方法や、予め、運転者とそれ以外の乗員の音声を音声認識ユニット30等に登録し、入力された音声が運転者の音声である場合には入力操作を無効とする方法を用いてもよい。また、車両が走行中は操作スイッチ群7のうちのメカニカルスイッチおよびリモコン端末12からの操作を無効としてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】車両用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図2】映像表示に関する構成を示すブロック図。
【図3】入力判別処理について説明するためのフロー図。
【図4】表示画面上(タッチパネル)の操作スイッチの配置を示す図。
【図5】映像Bの表示例。
【図6】映像Aの表示例。
【図7】表示器の構成例を示す図。
【図8】図7に続く表示器の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0060】
1 位置検出器
7 操作スイッチ群
8 制御回路(入力判別手段,車両状態判定手段,操作制御手段,走行判定手段)
9 不揮発メモリ
10 表示器(ステレオ表示器)
12 リモコン端末
15a,15b スピーカ
20 記憶媒体
21 ハードディスク装置
22 タッチパネル(接触操作位置検出手段)
22a,22c,22e 映像B用スイッチ
22b,22d,22f 映像A用スイッチ
23 車速センサ(車両状態取得手段)
31 マイク
100 車両用ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる視角に応じて別々に映像を表示可能な表示器と、
前記映像を表示する表示画面上に設置され、その表示画面に対するユーザの接触操作により所定の入力を行なうタッチパネルと、
前記接触操作が行なわれる位置を検出する接触操作位置検出手段と、
前記接触操作位置の前記タッチパネルにおける領域に応じて、前記所定の入力がどの映像に対して行なわれたかを判別する入力判別手段と、
を備えることを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
異なる2方向の視角に応じて別々に映像を表示可能なステレオ表示器と、
前記映像を表示する表示画面上に設置され、ユーザの接触操作により所定の入力を行なうタッチパネルと、
前記接触操作が行なわれる位置を検出する接触操作位置検出手段と、
前記接触操作位置の前記タッチパネルにおける領域に応じて、前記所定の入力が前記別々に表示された映像のどちらに対して行なわれたかを判別する入力判別手段と、
を備えることを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
前記タッチパネル上には前記異なる2方向のうち第一の方向に表示された映像を見るユーザが操作する第一の接触操作部と、第二の方向に表示された映像を見るユーザが操作する第二の接触操作部とが位置をずらして配置され、
前記第一の方向に表示された映像には前記第一の接触操作部のみが表示され、前記第二の方向に表示された映像には前記第二の接触操作部のみが表示される請求項2に記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記ステレオ表示器は車両に搭載され、
前記第一の接触操作部は運転者以外が操作することができ、前記第二の接触操作部は運転者が操作することができ、
前記車両の状態を取得する車両状態取得手段と、
前記取得された車両の状態が所定の状態であるかを判定する車両状態判定手段を含み、
前記車両の状態が前記所定の状態であると判定され、かつ前記第一の接触操作部の操作が行なわれたと判別された場合には当該操作を有効とし、前記車両の状態が前記所定の状態であると判定され、かつ前記第二の接触操作部の操作が行なわれたと判別された場合には当該入力操作を無効とする操作制御手段を備える請求項3に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記車両状態取得手段は前記車両が走行中であるかを判定する走行判定手段を含み、
前記車両が走行中と判定された場合に前記車両の状態が前記所定の状態であると判定される請求項4に記載の映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−1342(P2007−1342A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180741(P2005−180741)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】