説明

核内ホルモン受容体化合物、それを用いた製品及び方法

ネズミ、すなわち哺乳類の皮膚の刺激及び/又は改善のために、核内ホルモン受容体として単独で及び/又は組み合わせて機能する新規で自明でない化合物。詳細には、RXR、RAR及び/又はPPAR受容体配位子として機能し、皮膚の分化を助け、過剰の皮膚増殖を抑えると考えられているβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物。本発明は、本明細書に開示される新規な核内ホルモン受容体配位子を含む1以上の製品(消費者製品及びそれ以外のもの)にさらに関する。本発明は、本発明の化合物と、本化合物を組み込む製品との両方の使用方法をさらに包含しようとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類、特にヒトの皮膚の刺激及び/又は改善のために、核内ホルモン受容体配位子として単独で及び/又は組み合わせて機能する新規で自明でない化合物に関する。本発明は、本明細書に開示される新規な核内ホルモン受容体配位子を含む1以上の製品(消費者製品及びそれ以外のもの)にさらに関する。本発明は、本発明の化合物と、本化合物を組み込む製品との両方の使用方法をさらに包含する。
【背景技術】
【0002】
人は一般に、外観、特に顔であるが、皮膚及び体の外観に対してもますますこだわりを示し続けている。事実、多くの人が、外観は自尊心、大切な相手の選択、職業上の昇進及び社会全体の許容に本質的に関連していると考えている。従って、多くの新しい製品及びサービスの登場からも明らかなように、それらのそれぞれが所望の外観を向上させる結果をもたらすと主張しており、外観を向上させる選択肢に対する要求は大きくなり続けている。とは言うものの、このようなますます大きくなる要求に対処するために開発された大多数の製品及びサービスは、皮膚の外観を改善するよりもむしろ、外観を隠すように設計されている。すなわち、そのような難題に対する従来の解決策は一般に、例えば皮膚の視覚的外観だけを向上させる不透明な化学品を用いて、哺乳類の皮膚の欠陥を隠すことを目指したものである。
【0003】
外観に関する難題に対してある意味で解決策を与えるにも拘わらず、従来の皮膚向上製品はそれでもなお、所与の皮膚状態と関連した身体的な病気の段階的な拡大に対処しなければならない。確かに、人にとって、特に老化が進んでいると感じる人にとって、皮膚の欠陥がより多く見られるのと同様に、身体的な病気及び疾患が発生する場合もそうである。そのため当業者は、単に皮膚の欠陥を隠すことよりむしろ、皮膚の外観を真に改善する(すなわち見た目よりも本質(esse,quam videsse))組成物を開発しようとする、より複雑な試みにますます従事するようになっている。こうした組成物は、皮膚の視覚的外観を向上させ、及び/又は本当の皮膚疾患の発生、例えば皮膚萎縮(副腎皮質ホルモンの投与から生じる)及び閉経後の皮膚の薄化に対処することを目的とする。
【0004】
当業者が行う計り知れない努力にも拘わらず、この範囲のスキンケアではほとんど進歩がみられない。この限られた進歩は主に、ヒトの皮膚の外観及び状態に影響するプロセスの理解不足によるものである。事実、当該技術分野における多数の手法は、一般に、哺乳類の皮膚の悪化に抵抗するために、理論及び相乗効果を基礎とする技法よりもむしろ、目的とする皮膚を向上させる選択肢の偶然の発見に頼ってきた。哺乳類の皮膚の状態を真に改善する試みは、消費者の特定の多彩な要求に対処できていない。従って、消費者は、カラー化粧品のような外観を隠す選択肢の使用と開発に頼り続けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今般、哺乳類、特にヒトの皮膚保護に基づいた理論を徹底的に理解することによって、驚くべきことに、哺乳類の皮膚に真の美容及び改善効果を実際に与える化合物を同定した。特に驚くべきことに、特定の2種類の化合物−すなわちβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物が、哺乳類の皮膚を美しくし、その状態を向上させるのに適していることを見出した。理論に束縛されるものではないが、本発明の化合物は、哺乳類の皮膚を刺激し改善する、RXR、RAR及び/又はPPAR核内ホルモン受容体配位子として、単独で及び組み合わせて機能すると考えられている。本発明の化合物は、哺乳類の皮膚の分化を助け、過剰な皮膚の増殖を抑えるのに適している。さらに驚くべきことに、上述した化合物の同一又は異なる群からの2以上の類似体を組み合わせて投与することによって、著しい相乗効果を達成することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、従来のスキンケア組成物及び製品の使用に関連した問題に対処し、解決する。繰り返して言うが、驚くべきことに、特定の核内ホルモン受容体配位子の単独で及び組み合わせての使用が、哺乳類、特にヒトの皮膚を向上させ、美しくするように働くことを見出した。事実、特に現在のスキンケア組成物が哺乳類の皮膚の状態を改善することよりむしろ、単に隠そうとするものなので、本発明の化合物はスキンケアの領域に真に現実的な進歩をもたらす。詳細には、驚くべきことに、分化せずに増殖した状態と分化状態とのインビトロでの細胞分配を変更する本発明の化合物は、皮膚疾患及び刺激の発生を抑えると共にヒトの皮膚に多数の美容効果を送達するように働くことを見出した。
【0007】
このため、本発明の第1の態様によれば、哺乳類の皮膚を美しくし、その状態を改善する新規な化合物が開示される。理論に束縛されるものではないが、この化合物は、哺乳類の皮膚を刺激し、及び/又は改善する核内ホルモン受容体配位子として、単独で及び組み合わせて機能すると考えられている。本願では、本発明のβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物は、哺乳類の皮膚を美しくし、その状態を改善する、RXR、RAR及び/又はPPAR受容体の配位子として機能する。詳細には、本明細書に開示される化合物は、哺乳類の皮膚に適用する際に、皮膚の分化を助け、過剰な皮膚増殖を抑えるのに適している。本発明の別の実施形態では、本化合物の組み合わせが、哺乳類の皮膚を美しくし、その状態を改善するために使用される。事実、驚くべきことに、特定のβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物は、その両方がインビトロで皮膚向上活性を個々に示し、組み合わせて使用される際には相乗効果をもたらすことを見出した。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、本発明の美容化合物を組み込む製品(消費者製品及びそれ以外のもの)が開示される。このような製品は、当該製品の展開が望まれる明確な用途、並びに配合者の需要及び/又は能力に応じて、様々な種類の形状及び形態をとってよい。いかなる場合でも、本発明の製品は、基質の皮膚の分化を助け、その増殖を抑えることによって、哺乳類の皮膚を美しくし、改善するのに有効である。本発明の製品はまた、従来のスキンケア製品のように皮膚の欠陥を単に隠すのではなくむしろ、それらが適用される基質に真のスキンケア効果を与えるのに適している。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、本発明のスキンケア化合物及び製品を用いる方法が開示される。本発明の方法は、哺乳類、特にヒトの皮膚に向上した永続的な美容効果を与えるのに適している。さらに本発明の別の態様では、本化合物の新規な自明でない組み合わせを用いる、ガンを治療する方法が開示される。明らかになるように、本発明の化合物は、そのいくつかは個々に使用される場合には抗ガン活性を示し、組み合わせて投与される場合には増大した抗ガン相乗効果を与える。事実、驚くべきことに、従来の抗ガン化合物(例えば、ベキサロテン(bexarotene))における多数の新規な相乗効果が本開示を通じて見出され、提供されてきた。本発明は、本明細書に開示される化合物を用いて刺激の必要なRXR−含有哺乳類組織を処置する方法をさらに包含する。
【0010】
前述及びその他の目的、特徴、並びに利点は、以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を読めば当業者には明らかになろう。特に指定のない限り、本明細書のパーセンテージ、比率、及び割合は、全て重量による。温度は、特に指定しない限り、全て摂氏(℃)で示す。全ての引用文献は、関連部分において参考として本明細書に組み込まれる。さらに、本発明の特定の実施形態を記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示された組成物に対して種々の変更や修正を行い得ることは当業者には明白であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(用語の定義及び用法)
本明細書で使用するとき、「β−イオノール類似体」とは、少なくとも1つのシクロヘキセニル環、少なくとも1つのgem−ジメチル基、及び少なくとも1個の他の非環炭素原子を含有する側鎖を含有する化合物を指すことを意図する。さらに、「β−イオノール類似体」とは、縮合されるか又は縮合されなくても、芳香族又はそうでなくても、第2又は第3の環を含有する化合物を包含することを意図する。さらに、本明細書で使用するとき、「β−イオノール類似体」とは、ベキサロテンのような化合物を特徴とする2対のようにgem−ジメチル基の1より多い対を有する化合物を包含することを意図する。
【0012】
本明細書で使用するとき、「低級アルキル」とは、0〜約6個の構成原子を含有する炭素原子の非環式鎖を指すことを意図し、各構成原子は、任意選択的に0〜3個の置換基で置換され、各置換基は任意選択的に、ヒドロキシ、メトキシ、アセトキシ、エトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、チオールイル、アリール、置換アリール、フラニル、置換フラニル及びチオフラニル、置換フラニル、カルボキシル、アミノ、カルボニル部分、アルケニル部分、アルキニル部分、置換アルケニル又はアルキル部分から選択されるが、分子は全ての原子について原子価の法則に従わなければならないことが理解される。
【0013】
本明細書で使用するとき、「置換」とは、構成原子が、原子価が取り去られ、置換基によって交換されることを確実にするのに必要な1個以上の水素原子を有することを意味し、各置換基は、任意選択的に、ヒドロキシ、メトキシ、アセトキシ、エトキシ、クロロ、フルオロ、ブロモ、チオールイル、アリール、アリール、フラニル、フラニル、及びチオフラニル、フラニル、カルボキシル、アミノ、カルボニル部分、アルケニル部分、アルキニル部分、置換アルケニル又はアルキル部分から成る群から選択されるが、分子は全ての原子について原子価の法則に従わなければならないことが理解される。置換基自体は、分子の全分子量が1000未満のままである限り、さらに置換されてもよい。
【0014】
本明細書で使用するとき、「ユロリジン(julolidine)類似体」とは、2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン部分を含有し、少なくとも1個の他の非環炭素原子を含有する化合物を指すことを意図する。さらに、「ユロリジン類似体」とは、縮合されるか又は縮合されなくても、芳香族でもそうでなくても、追加の環を含有する化合物を包含することを意図する。
【0015】
本明細書で使用するとき、「脂肪酸類似体」とは、中心炭素主鎖に沿って約10〜約24個の炭素原子を有する化合物を包含することを意図する。本明細書に開示される脂肪酸類似体は、約2個以下の官能基、約2個以下の分枝又は付随環、及び約25個以下の総炭素原子を含む。本明細書に開示される脂肪酸類似体化合物は、飽和又は不飽和(例えば、単又は複不飽和)であってもよい。本明細書に開示される脂肪酸類似体化合物は、酸の酸化状態以外の酸化状態で存在してもよく、例えばそれはアルコール若しくはアルデヒドの状態であってもよく、又はエステル、アミド及び/若しくはエーテルの一部として投与されてもよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、「美容」とは、哺乳類の皮膚に対する、小じわ、しわ、萎縮、組織異常、皮膚の色素過剰及びたるみの低減、並びに若さ及び活力の全体への現れを包含することを意図する。
【0017】
本明細書で使用するとき、「ガン」とは、未分化細胞の制御されない増殖によって特徴付けられる全ての疾患を包含することを意図する。t−細胞リンパ腫及びその他の白血病のようなガン、及び黒色腫のような皮膚ガンが具体的に想定される。
【0018】
本明細書で使用するとき、「皮膚疾患」とは、年齢又は光損傷による皮膚機能の消失と、障害又は機能不全の皮膚によって特徴付けられる特定の状態との両方を包含することを意図する。湿疹様皮膚炎(eczematous dermatitides)、アレルギー性又は接触性皮膚炎、光毒性皮膚炎、植物光毒性皮膚炎(phytophotodematitis)、放射線皮膚炎、うっ帯性皮膚炎、潰瘍及び糜爛(erosions)、火傷による創傷、切り傷、トラウマ、水疱性疾患、感染、虚血、魚鱗癬(ichthosis)、乾癬及び皮膚萎縮、ステロイド誘導又は未知の病因によるものが具体的に想定される。
【0019】
本明細書で使用するとき、「RXR配位子」及び「核内ホルモン受容体配位子」とは、HL−60又はB16−F10細胞株のいずれかのインビトロ非制御増殖を1000マイクロモーラー以下に阻害するか、あるいは独立して又はリノレン酸若しくはジホモリノレン酸と組み合わせて、局所適用する際にSkh−1マウスにおける副腎皮質ホルモン誘導萎縮の反転を生じるβ−イオノール部類、メラフルール(melafleur)部類及びユロリジン部類の化合物;あるいはそのプロドラッグを指すことを意図する。これは、こうした試剤の作用機構の仮定であるけれども、「RXR配位子」が、それらの化合物のRXR、RAR、PPAR、VDR、TR、ER、AR、FXR及びLXR受容体を含む核内ホルモン受容体族の1つとの測定可能な結合を含意していることを意図しない。
【0020】
本明細書で使用するとき、「プロドラッグ」とは、配位子の酸化状態全て(例えばアルコールは、ケトン又はアルデヒドのプロドラッグである)、並びにエステル及びアミド及びケタール及びアセタールを含むがこれらに限定されない、一般に使用される生加水分解性基を包含することを意図する。プロドラッグは、1を超えるプロドラッグサイトを有していてもよく、レチニルパルミテートがそのアルコールにまず開裂し、次いで微生物酸化されて(bio-oxidized)アルデヒド及び酸になるように、プロドラッグ自体がプロドラッグであってもよい。
【0021】
(第1態様:主題組成物)
本発明の第1の態様によれば、哺乳類の皮膚を永続的に美しくし、その外観及び/又は状態を改善する新規で自明でない化合物が開示される。事実、本発明の化合物は、分化せずに増殖した状態と分化状態とのインビトロでの細胞分配を変更するのに適しているので、皮膚疾患の発生を抑えると共にヒトの皮膚に多数の美容効果を送達する。理論に束縛されるものではないが、皮膚の分化を助け、皮膚の増殖を抑える本化合物の能力は、所望でない非分化細胞の数を最小にしつつ、有用で生産的な細胞の数を最大にするという基本的な目的を果たすと考えられている。分化細胞の数を最大にする本発明の化合物の能力は、次にそれらが適用された哺乳類の皮膚の厚さを増大させるように作用する。増殖した(すなわち未分化)皮膚細胞の割合が最小になるので、本化合物が適用された哺乳類の皮膚は、哺乳類の肉の周りがよりぴったりとフィットし、時間が経つにつれてたるみ及びしわの減少を感じる。有用な分化皮膚細胞を最大にすることで、皮膚のバリア機能を改善し、それによって磨耗、切り傷、はれ、及び良好でない皮膚状態に関連するその他の身体的病気に対する抵抗性をさらに改善する。単独で使用されても、組み合わせて使用されても、本発明の化合物は、哺乳類の皮膚を美しくし、改善するという高められた性能及び相乗効果を示す。
【0022】
(β−イオノール類似体化合物)
それらが適用された哺乳類の皮膚に実質的な美容及び改善効果をもたらす特定のβ−イオノール類似体化合物を同定し、展開することは、本発明の基本的な目的である。本明細書に開示されるβ−イオノール類似体化合物は、単に皮膚の欠陥を隠すのではなくむしろ、哺乳類の皮膚を真に改善するのに適しているので、本発明の特に新規な態様を構成する。本化合物及びそれらの実施によって達成される広大な効果は、分化細胞の数を最大にし、皮膚のバリア機能を改善することによって、それらが適用された哺乳類の皮膚の身体的病気及び刺激の発生を防止するという基本的な目的をさらに果たす。そのため、本発明の第1態様によれば、次の一般構造、
【0023】
【化1】

(式中、「X」は、0〜約12個の置換又は非置換炭素原子と、置換、非置換、シクロアルキル又は芳香族部分のNH、S、O及びこれらの組み合わせから選択される0〜2個のヘテロ原子とを含む単結合又は二重結合部分である。「Z」は、鎖に0〜約12個の炭素原子を含有する単結合、二重結合又は三重結合部分であり、任意選択的にシクロアルキル又は芳香環(いずれもさらに置換されてもよい)を含む。「Y」は、(CH2nであり、ここで「n」は0〜約3の値を有する変数である。「R」は、環が2以上で存在する場合にいずれかの環に置換され得る基であり、かつ、3個まで独立して選択されるCH3、CH2CH3、NR12、SR、OR及びこれらの組み合わせを含む置換及び非置換アルキル、シクロアルキル、又は芳香族部分から選択される。)によって示されるβ−イオノール類似体化合物が開示される。本発明の別の態様では、上記で示した式の光学異性体、ジアステレオマー及びエナンチオマー、並びにそれらの製薬上許容できる塩、それらの生加水分解性アミド、エステル及びイミドは、本明細書に好適なスキンケア剤として包含される。前記化合物も、身体的病気及び刺激の発生を防止しつつ、哺乳類の皮膚に適用される際に向上した美容及び改善効果を示す。
【0024】
本発明の別の態様では、上記で示した一般式によって包含され、腫瘍細胞株、特にHL−60細胞の増殖を阻害する高められた能力によって特徴付けられるβ−イオノール類似体化合物が開示される。理論に束縛されるものではないが、腫瘍細胞株の増殖を阻害する前記化合物の能力は、未分化細胞の過剰な増殖を阻害するという基本的な目的を果たす。この過剰な増殖は、老化する哺乳類、特にヒトの皮膚に特徴的であることが多いしわ及びたるみを促す。さらに、この過剰の増殖は、ガン細胞の増殖の開始を促進し、株化ガンのこの増殖速度を低下させる。
【0025】
(代表的なβ−イオノール類似体化合物)
さらに、本β−イオノール類似体化合物に関連して上記で示された一般式によって包含される本明細書に有用な多数の化合物が存在する。上記で示されたβ−イオノール類似体の一般式は、本発明の好ましい分化誘導化合物の明らかな変更物を包含することを意図することに留意し、理解すべきである。以下に示される化合物は、本発明に使用するのに特に望ましい代表的な構造の化合物として作用することを意図する。上記で示された一般式及び/又は化合物によって記載されることができ、その明らかな変更物を構成する他の化合物も、本発明に使用するのに好適である。
【0026】
以下の非限定例は、本発明の化合物、組成物、及び使用を説明するものである。本開示の目的のために、本明細書に示される好適なβ−イオノール類似体化合物の例は、単環式コア化合物、二環式コア化合物及び三環式コア化合物の下位分類に分類されている。前述の下位分類は、本発明の範囲を限定することを意図しない。むしろ、この下位分類は、上記で示した一般構造の範囲を明確にするためだけに与えられている。
【0027】
【表1−1】

【0028】
【表1−2】

【0029】
【表1−3】

【0030】
【表1−4】

【0031】
【表2−1】

【0032】
【表2−2】

【0033】
【表3】

【0034】
(既知のβ−イオノール化合物)
本発明に使用するためのβ−イオノール類似体化合物として機能するいくつかのその他の既知化合物が存在する。この化合物は、他のβ−イオノール類似体化合物又は脂肪酸類似体化合物と組み合わせて、哺乳類の皮膚に向上した美容効果を送達できる。このような既知のβ−イオノール化合物のいくつかの例は、以下の表IVに示される:
【0035】
【表4−1】

【0036】
【表4−2】

【0037】
【表4−3】

【0038】
【表4−4】

【0039】
【表4−5】

【0040】
【表4−6】

【0041】
【表4−7】

【0042】
【表5−1】

【0043】
【表5−2】

【0044】
【表5−3】

【0045】
【表5−4】

【0046】
(脂肪酸類似体化合物)
本発明の別の態様では、哺乳類の皮膚の永続的な美容に有用な脂肪酸類似体化合物が開示される。この化合物は、単独で、又は他のβ−イオノール及び脂肪酸類似体と組み合わせて使用されて、皮膚疾患の発生を抑えつつ、哺乳類の皮膚に多数の美容効果を与えることができる。繰り返して言うが、本明細書に開示される脂肪酸類似体化合物、同様にそれらのβ−イオノール類似体対応物は、過剰な皮膚増殖を抑えつつ、皮膚分化を助けるという基本的な目的を果たす。理論に束縛されるものではないが、本明細書に開示される脂肪酸類似体化合物は、細胞に入り、1以上の核内ホルモン受容体又はそれらの補助タンパク質との複合相互作用にかかることによって機能する。この複合相互作用が、相対的な生成速度、従って細胞のmRNAの比の変更を導く。このような変更が、最終的により「生産的な」細胞を形成するので、皮膚の平方センチメートルあたりの皮膚マトリックスを増大させる−それによって処置された皮膚に若々しく、健康的な外観を与える。
【0047】
本発明の脂肪酸類似体化合物は、次の一般構造
【0048】
【化2】

であり、
式中、「A」は、水素、メチル基、エチル基及びこれらの混合物から選択される;さらに式中、「n」、「o」、「p」及び「m」は、約0〜約8の値を含む変数であり;さらに式中、メチレンは、飽和又は不飽和、置換又は非置換、及び/又は環状構造の構成要素であり、それには複素環が含まれる)によって示されることができる。
【0049】
本発明の別の態様では、上記で示した式の光学異性体、ジアステレオマー及びエナンチオマー、並びにそれらの製薬上許容できる塩、それらの生加水分解性アミド、エステル及びイミドが開示され、特許請求される。前記化合物も、哺乳類、特にヒトの皮膚に適用される際に向上した美容及び改善効果を示す。本発明のさらに別の態様では、本明細書に用いるのに特に望ましい脂肪酸類似体化合物は、減少した飽和によって特徴付けられるものである。理論に束縛されるものではないが、前記化合物のそれらの回転を制限する能力は、活性コンホメーションにおける分子の割合を増大させ、それによって主題分子のエントロピーを低下させて、それによって分子を哺乳類の皮膚の老化触媒に対してより有効にするという基本的な目的を果たす。
【0050】
(好適な脂肪酸類似体化合物の代表例)
さらに、上記で示した一般式によって記載され得る多くの好適な脂肪酸類似体化合物が存在する。以下で議論される化合物は、本発明に使用するのに好ましい脂肪酸類似体化合物の代表的な構造としてのみ作用することを意図する。上記で示された一般式又は以下で示される代表的な化合物からの明らかな変更物を構成する他の化合物も、本発明によって包含されることを意図する。
【0051】
本発明の1つの態様では、ジホモリノレン酸、α−リノレン酸及びそれらの類似化合物は、本発明に用いられるのに特に好ましい脂肪酸類似体化合物を示す。本発明の別の態様では、γリノレン酸、共役リノレン酸、アラキドン酸、共役リノール酸、ジホモγ−リノレニル−エタノールアミド、ドコサヘキサエン酸;ドコサペンタエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサトリエン酸、リノーライジン酸(linolaidic acid)、ステレオドン酸(stereodonic acid)及びそれらの明らかな変更物は、本発明の好適な脂肪酸類似体化合物を構成する。本発明のさらに別の態様では、ドコサエン酸、オレイン酸、ステアリン酸(steric acid)、エライジン酸、ミリスチン酸(myrstic acid)、フィタン酸及びそれらの明らかな変更物は、本明細書に用いるのに好適な脂肪酸類似体化合物として使用される。繰り返して言うが、本発明は、本発明の好適な脂肪酸類似体化合物として、本明細書に議論されるものから明らかな変更物を構成する他の化合物を包含するものとする。
【0052】
(β−イオノール類似体及び脂肪酸類似体の組み合わせ)
本発明のさらに別の態様では、本明細書に開示されるβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物は、組み合わせて使用されて、それらが適用された哺乳類の皮膚を美しくし、その状態を改善する。事実、明確な類似体化合物及びそれらが組み合わせられる量は、本発明を実行しようとする人の特定の需要及び/又は能力に左右される。とは言うものの、驚くべきことに、脂肪酸分類とβ−イオノール分類との物質のモルによる量比は、増殖を誘導する個々の能力と対応するはずであり、いずれにしても、モル基準で最適な活性について約1:100以上、かつ、約100:1以下である。本発明のβ−イオノール及び脂肪酸類似体化合物を組み合わせて使用することによって達成される相乗効果は、哺乳類の皮膚を美しくし、改善するだけでなく、さらに抗ガン効果も送達するように作用する。
【0053】
本β−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物の種々の組み合わせが開示されることは、本発明の基本的な目的であることに留意し、理解すべきである。本発明の1つの態様では、本明細書に開示されるようなβ−イオノール類似体分類からの2以上の化合物は、組み合わせて使用されて種々の哺乳類の美容及び抗ガン効果を達成する。本発明の別の態様では、本明細書に開示される脂肪酸類似体分類の2以上の化合物は、組み合わせて使用されて哺乳類の皮膚を美しくし、皮膚疾患の発生を抑える。事実、驚くべきことに、いくつかのこのような組み合わせは、哺乳類の皮膚の処置にて非常に大きな相乗効果を示す。以下に示される組み合わせは、本発明の代表的な例としてのみ作用することを意図する。本化合物のその他の組み合わせも、哺乳類の皮膚の美容、並びに抗ガン治療に相乗効果を示すことが想定される。
【0054】
【表6】

【0055】
(第2態様−本化合物を組み込む製品及び製剤)
本発明は、本発明のβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物を含む製品及び製剤、並びにこのような製品及び製剤の組み合わせにさらに関する。事実、本発明の化合物を含有する製品及び製剤の組み合わせた系統的な使用は、それらが適用される哺乳類の皮膚、特にヒトの皮膚を美しくし、その状態を改善する。本発明のこの態様によれば、前記製品及び製剤は、本発明の実行者の特定の需要及び/又は能力、並びにそれらの使用が求められる目的によって決まり、種々の形状及び形態をとる。どのような場合でも、本発明に従う化合物及びそれを組み込む製品の使用は、小じわ及びしわを顕著に低減させ、並びに哺乳類、特にヒトの皮膚の外観全体を改善する。
【0056】
さらに、本発明の製品及び製剤に組み込まれるβ−イオノール及び/又は脂肪酸類似体の量は、主題製品及び/又は製剤の使用が所望される目的によって決まる。とは言うものの、本発明の1つの態様では、本明細書に開示される製品及び製剤は、約0.0001%〜約10%、好ましくは0.05%〜約10%、より好ましくは約0.1%〜約5%、最も好ましくは約0.5%〜約3%のβ−イオノール類似体化合物を含む。本発明の別の態様では、本明細書に開示される製品及び製剤は、約0.5%〜約20%、好ましくは約1%〜約10%、より好ましくは約3%〜約5%の脂肪酸類似体化合物を含む。本発明のさらに別の態様では、本明細書に開示される製品及び製剤は、脂肪酸類似体化合物とβ−イオノール類似体化合物と両方の組み合わせを含む。このような場合、本製品及び製剤は、約0.05%〜20%、好ましくは約0.1%〜約3%の脂肪酸類似体化合物、及び約0.01%〜約5%、好ましくは約0.05%〜約1%のβ−イオノール類似体化合物を含む。
【0057】
(パーソナルケア製品)
故に、本発明の第1態様によれば、本発明のβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物を含むパーソナルケア製品が開示される。好適であるが、非限定的製品の形態には、エマルション、ゲル、ローション、クリーム、軟膏、ムース、スプレー、ミスト、スティック、粉末及びこれらの組み合わせが含まれる。本化合物を含む好適なパーソナルケア製品には、ハンドソープ、手の除菌剤、身体洗浄剤、口腔洗浄剤、練り歯磨き、シャワージェル、シャンプー、ヘアコンディショナー、ハンド及び/又はボディローション、顔用ローション、顔用クリーム、ファンデーション、リップスティック、口紅、防臭剤、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のさらに別の態様では、本明細書に開示のパーソナルケア製品は、拭き取り製品、特に哺乳類の皮膚の一部を拭き取る又は乾燥させるのに好適な拭き取り製品の形態をとる。このような場合、本発明のβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物を、前記拭き取り製品中に組み込むか、又は含浸させるのが好ましい。本発明のなおさらに別の態様では、本明細書に開示のパーソナルケア製品は、やはり哺乳類の皮膚の一部を拭き取る又は乾燥させるのに好適な、ティッシュ又はタオルの形態をとる。本発明の別の態様では、パーソナルケア製品は、炎症を起こした皮膚、負傷した皮膚、若しくはざ瘡に冒された皮膚のため、及び/又は術前若しくは術後使用のための、応急消毒剤の形態をとる。本発明の別の態様では、パーソナルケア製品は、包帯、パッド、マスク又は貼付剤(閉塞性、半閉塞性又は非閉塞性)の形態をとる。本発明のさらに別の態様では、パーソナルケア製品は、おむつの形態をとる。本発明の化合物と組み合わせて使用するのに特に好ましいおむつは、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter and Gamble Company)(オハイオ州シンシナティ)によって販売されるものである。
【0058】
(家庭用品ケア製品)
本発明の別の態様では、本発明の化合物は、1以上の家庭用品ケア製品に組み込まれる。実際に、本発明の目的に好適な家庭用品ケア製品には、硬質表面クリーナー、消臭剤、布地ケア組成物、布地洗浄組成物、食器手洗い用洗剤、自動食器洗い器用洗剤、フロアケア組成物、台所クリーナー若しくは消毒剤、浴室クリーナー若しくは消毒剤、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の別の態様では、家庭用品ケア製品は、家庭用品クリーニング及び/又はケアに好適な拭き取り用品又はタオルの形態をとる。本発明のさらに別の態様では、本明細書に開示の家庭用品ケア製品は、特定の補助成分を含む。前記補助剤には、洗浄性酵素、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、遷移金属漂白触媒、酸素運搬剤及び前駆体、汚れ放出剤、粘土汚れ除去及び/又は再付着防止剤、ポリマー分散剤、増白剤、ポリマー染料移行阻害剤、キレート剤、消泡剤、アルコキシル化ポリカルボキシレート、布地用柔軟剤、香料、キャリア、向水性物質、加工助剤、染料又は顔料、液体調製用溶媒、固体充填剤、洗浄性界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
(スキンケア製品)
本発明の特に好ましい態様では、本発明のβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物は、スキンケア製品に、単独で及び組み合わせの両方で(上述したように)組み込まれる。本発明の1つの態様では、スキンケア製品は、哺乳類の皮膚の所望領域への本化合物の安全な移動を促進するために、皮膚科学的に許容可能なキャリアを組み込む。本発明の別の態様では、本発明のスキンケア製品は、特定の補助成分を含む。前記補助剤には、抗菌及び抗カビ活性物質、界面活性剤、落屑活性物質、抗ざ瘡活性物質、抗しわ剤、抗皮膚萎縮剤、酸化防止剤、ラジカルスカベンジャー、キレート剤、フラボノイド、抗炎症剤、抗セルライト剤、局所麻酔剤、日焼け活性物質、日焼け止め活性物質、コンディショニング剤、増粘剤、粘着性除去剤、賦香剤、皮膚感覚剤、制汗剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。事実、前述した各補助成分の詳細な説明及び例が、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Company)(オハイオ州シンシナティ)に譲渡された米国特許第6,294,186号に記載されており、その特許を本明細書に参考として組み込む。
【0060】
事実、本発明の別の態様では、本明細書に開示される化合物は、織物又は不織拭き取り用品形態のスキンケア製品に組み込まれ、特にこのような製品は、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter and Gamble Company)(オハイオ州シンシナティ)によって販売される。本発明のさらに別の態様では、本明細書に開示される化合物は局所用スキンケア製品に組み込まれ、それには、ローション、クリーム、ゲル及び軟膏、特にプロクター・アンド・ギャンブル社(Procter and Gamble Company)(オハイオ州シンシナティ)によって販売されるものが挙げられるが、これらに限定されない。事実、本発明の分化誘導化合物と組み合わせて使用されるのに好適な、明確な形態のスキンケア製品は、この製品の配合者の要求及び能力に左右される。
【0061】
繰り返して言うが、本発明の1つの態様では、本明細書に開示される化合物を含む局所用組成物は、皮膚科学的に許容可能なキャリアをさらに含有する。本明細書において使用される「皮膚科学的に許容可能なキャリア」という語句は、キャリアがケラチン組織への局所適用に好適であり、美的にも優れた性質を有し、本発明の活性物質及びその他のいずれの構成成分とも適合性があり、そして安全性又は毒性についていかなる問題も起こさないことを意味することを意図する。安全でかつ有効な量のキャリアは、組成物の約50〜約99.99%、好ましくは約80〜約99.9%、さらに好ましくは約90〜約98%、さらに一層好ましくは約90〜約95%である。キャリアは、多種多様な形態をとることができる。例えば、本明細書においては水中油型、油中水型、水中油中水型及びシリコーン中水中油型エマルションなどのエマルションキャリアが有用であるが、これらに限定されない。本発明に基づいたエマルションは一般に、前述の溶液及び脂質又は油を含有する。脂質及び油は、動物、植物、又は石油に由来してもよく、天然又は合成(人工的)でもよい。好ましいエマルションは、グリセリンのような湿潤剤もさらに含有する。エマルションは、キャリアの重量に基づいて、好ましくは約0.01%〜約10%、さらに好ましくは約0.1%〜約5%の乳化剤をさらに含有する。乳化剤は、非イオン性、陰イオン性又は陽イオン性であってよい。好適な乳化剤は、例えば、米国特許第3,755,560号(ディッカート(Dickert)ら、1973年8月28日発行);米国特許第4,421,769号(ディクソン(Dixon)ら、1983年12月20日発行);及び「マカッチャンの洗剤と乳化剤(McCutcheon's Detergents and Emulsifiers)」北アメリカ版、317〜324頁(1986年)に開示されている。エマルションは、ケラチン組織へ適用する際に泡の発生を最小にするために消泡剤をさらに含有してもよい。消泡剤としては、高分子量のシリコーン類、及びそのような利用について周知のその他の物質が挙げられる。
【0062】
(スキンケア活性物質)
本発明の組成物は、任意選択的に1以上の追加のスキンケア活性物質、又はスキンケア活性物質の組み合わせを含有してもよい。このようなスキンケア活性物質は、実質的には純粋な物質として、又は天然(例えば、植物)原料から適した物理的及び/若しくは化学的分離によって得られる抽出物として含まれることもできる。好ましい実施形態では、その組成物がヒトのケラチン組織に接触して存在するべきである場合、その追加のスキンケア活性物質(1つ又は複数)はケラチン組織への適用に好適であるべきであり、すなわち、上記組成物中に組み込む時に、それらは正しい医学的判断の範囲内で、不適当な毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを示すことなく、ヒトのケラチン組織に接触させて使用するのに好適である。「CTFA化粧品成分ハンドブック(CTFA Cosmetic Ingredient Handbook)」、第2版(1992年)には、スキンケア業界で通常使用される多種多様な化粧品及び医薬品の成分が記載されており、それらは本発明の組成物への使用に適している。このような成分分類の例としては:研磨剤、吸収剤、香水などの美容的構成成分、顔料、着色料/着色剤、精油、皮膚への刺激剤、収れん剤(例えば、丁子油、メンソール、カンファー、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、マンサク属の留出物)、抗ざ瘡剤、固化防止剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルガーバメート)、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、充填剤、キレート剤、化学的添加物、着色剤、化粧用収れん剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬用収れん剤、外用鎮痛剤、皮膜形成剤又は物質、例えば、前記組成物の皮膜形成性及び実質性を補助するポリマー(例えば、エイコセン及びビニルピロリドンのコポリマー)、乳白剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、スキンブリーチング剤及び美白剤(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコサミン)、スキンコンディショニング剤(その他のもの及び閉鎖性のものを含めた湿潤剤)、皮膚鎮静剤及び/又は治療剤(例えば、パンテノール及び誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸及びその誘導体、アラントイン、ビサボロール、及びグリチルリチン酸二カリウム)、皮膚処置剤、増粘剤及びビタミン及びその誘導体が挙げられる。
【0063】
(抗しわ剤/抗皮膚萎縮剤)
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の1以上の抗しわ剤又は抗皮膚萎縮剤を含有してよい。本発明の組成物において使用される好適な抗しわ剤/抗萎縮剤の例としては、硫黄を含有するD型及びL型アミノ酸及びそれらの誘導体及び塩、特にそれらのN−アセチル誘導体であって、好ましい例はN−アセチル−L−システイン;チオール、例えばエタンチオール;ヒドロキシ酸(例えば乳酸及びグリコール酸などのα―ヒドロキシ酸又はサリチル酸及びオクタノイル誘導体のようなサリチル酸誘導体などのβ―ヒドロキシ酸)、フィチン酸、リポ酸;リソフォスファチジル酸、皮膚剥離剤(例えばフェノールなど)が挙げられ、これらは本発明のケラチン組織の外観に関する効果を高め、特にケラチン組織の状態、例えば皮膚の状態の調整に関する効果を高める。
【0064】
(酸化防止剤/ラジカルスカベンジャー)
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーを、組成物の好ましくは約0.1%〜約10%、より好ましくは約1%〜約5%含んでよい。酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーは、角質層における鱗屑又は肌ざわり変化を増加させ得るような紫外線照射から、及び皮膚の損傷を起こし得るようなその他の環境化学物質から保護するために特に有用である。アスコルビン酸(ビタミンC)及びその塩、脂肪酸のアスコルビルエステル、アスコルビン酸誘導体(例えば、アスコルビルリン酸マグネシウム、アスコルビルリン酸ナトリウム、アスコルビルソルビンベート)、トコフェロール(ビタミンE)、トコフェロールアセテート、その他のトコフェロールエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸及びその塩、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(商品名トロロックス(Trolox)(商標登録)で市販されている)、没食子酸及びそのアルキルエステル、とりわけ没食子酸プロピル、尿酸及びその塩及びアルキルエステル、ソルビン酸及びその塩、リポ酸、アミン(例えば、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、アミノ−グアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えば、グルタチオン)、ジヒドロキシフマル酸及びその塩、リシンピドレート、アルギニンピロレート、ノルジヒドログアヤレト酸、バイオフラボノイド、クルクミン、リジン、メチオニン、プロリン、スーパーオキシドジスムターゼ、シリマリン、茶抽出物、ブドウの皮/種の抽出物、メラニン、及びローズマリー抽出物のような酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーを用いてもよい。好ましい酸化防止剤/ラジカルスカベンジャーは、トコフェロールアセテート、トコフェロールの他のエステル、及びこれらの混合物から選択される。酢酸トコフェロールが特に好ましい。
【0065】
(キレート剤)
本発明の組成物は、安全かつ有効な量のキレーター又はキレート剤を含有してもよい。本明細書で使用するとき、「キレーター」又は「キレート剤」とは、金属イオンが容易に化学反応に加わったり、化学反応を触媒したりしないように、錯体を形成することによって系から金属イオンを除くことができる活性物質を意味する。安全かつ有効な量のキレート剤を主題発明の組成物に加えてもよく、好ましくは組成物の約0.1%〜約10%、より好ましくは約1%〜約5%加えてもよい。本発明に有用な代表的なキレート剤の例は、米国特許第5,487,884号(ビセット(Bissett)ら、1996年1月30日発行)、国際公開91/16035(International Publication No.91/16035)(ブッシュ(Bush)ら、1995年10月31日発行)、及び国際公開91/16034(International Publication No.91/16034)(ブッシュ(Bush)ら、1995年10月31日発行)に開示されている。主題発明の組成物に有用な好ましいキレート剤は、フリルジオキシム、フリルモノオキシム、及びこれらの誘導体である。
【0066】
(フラボノイド)
本発明の組成物は、安全かつ有効な量のフラボノイド化合物を含有してよい。フラボノイドは、米国特許第5,686,082号及び第5,686,367号に広範に開示されており、これらを共に本明細書に参考として組み込む。本発明での使用に好適なフラボノイドは、非置換フラバノン、モノ−置換フラバノン及びこれらの混合物から選択されるフラバノン、非置換カルコン、モノ−置換カルコン、ジ−置換カルコン、トリ−置換カルコン及びこれらの混合物から選択されるカルコン、非置換フラボン、モノ−置換フラボン、ジ−置換フラボン及びこれらの混合物から選択されるフラボン、1以上のイソフラボン、非置換クマリン、モノ−置換クマリン、ジ−置換クマリン及びこれらの混合物から選択されるクマリン、非置換クロモン、モノ−置換クロモン、ジ−置換クロモン及びこれらの混合物から選択されるクロモン、1以上のジクマロール、1以上のクロマノン、1以上のクロマノール、これらの異性体(例えばシス/トランス異性体)、及びこれらの混合物である。本明細書で使用するとき、「置換した」という用語は、フラボノイドの1個又は複数個の水素原子が独立して、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、C1〜C4アルコキシル、O−グリコシド等、又はこれら置換基の混合で置換されるフラボノイドを意味する。
【0067】
(抗炎症剤)
安全かつ有効な量の抗炎症剤を本発明の組成物に加えることができ、その量は、好ましくは組成物の約0.1%〜約10%、さらに好ましくは約0.5%〜約5%である。ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、アルファ−メチルデキサメサゾン、デキサメサゾン−ホスフェート、ジプロピオン酸ベクロメサゾン、クロベタゾールバレレート、デソニド、デソキシメサゾン、デソキシコルチコステロンアセテート、デキサメサゾン、ジクロリソン、ジ酢酸ジフロラソン、ジフルコルトロンバレレート、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、フルメタゾンピバレート、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)アセテート、フルランドレノロン、ハルシノニド、ハイドロコルチゾンアセテート、酪酸ハイドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジ酢酸ジフルオロソン、フルラドレノロン、フルドロコルチゾン、ジ酢酸ジフルロソン、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメサゾン、及びそのエステルバランス、クロロプレドニゾン、酢酸クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメサロン、フルペロロン、フルプレニソロン、ヒドロコルチゾンバレレート、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、ヒドロコルタメート、メプレドニゾロン、パラメサゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメサゾンジプロピオネート、トリアムシノロンのようなコルチコステロイド、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されないステロイド系抗炎症剤を使用してもよい。
【0068】
組成物に有用な第二の分類の抗炎症剤は、非ステロイド性抗炎症剤を含む。当業者に周知の、この群に含まれる様々な化合物がある。非ステロイド系抗炎症剤の化学構造、合成、副作用などの詳細な開示については、標準教科書を参照してもよく、これには例えば、抗炎症・抗リウマチ薬(Anti-inflammatory and Anti-Rheumatic Drugs)、K.D.レインスフォード(Rainsford)、第I〜III巻、CRCプレス(ボーカラトーン)(1985年)、並びに、抗炎症の薬剤、化学、薬理学(Anti-inflammatory Agents,Chemistry and Pharmacology)、1、R.A.シェラー(Scherrer)ら、アカデミック・プレス(Academic Press)(ニューヨーク)(1974年)がある。これらの非ステロイド系抗炎症剤の混合物と同様に、これらの薬剤の皮膚科学的に許容可能な塩及びエステルもまた使用してよい。
【0069】
最後に、いわゆる「天然の」抗炎症剤が、本発明の方法に有用である。このような抗炎症剤は、天然原料(例えば、植物、真菌、微生物の副生成物)から適した物理的及び/又は化学的単離による抽出物として好適に得ることができ、あるいは合成して調製することができる。本明細書において有用な追加の抗炎症剤には、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、及びそれらの誘導体(例えば、塩及びエステル)を含めて、カンゾウの化合物(植物属/種名グリチルリチア・グラブラ(Glycyrrhiza glabra))族が挙げられる。前記化合物の好適な塩としては、金属及びアンモニウム塩が挙げられる。好適なエステルとしては、C2〜C24、好ましくはC10〜C24、より好ましくはC16〜C24の酸の飽和又は不飽和エステルが挙げられる。
【0070】
(抗セルライト剤)
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の抗セルライト剤を含有してもよい。好適な抗セルライト剤としては、キサンチン化合物(例えば、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、及びアミノフィリン)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0071】
(局所麻酔剤)
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の局所麻酔剤を含有してもよい。局所麻酔剤の例としては、ベンゾカイン、リドカイン、ブピバカイン、クロルプロカイン、ジブカイン、エチドカイン、メピバカイン、テトラカイン、ジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、プロモキシン、フェノール、及び製薬上許容できるこれらの塩が挙げられる。
【0072】
(日焼け活性物質)
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の日焼け活性物質、好ましくは約0.1%〜約20%の人工日焼け剤としてのジヒドロキシアセトンを含むことができる。
【0073】
(美白剤)
本発明の組成物は、美白剤を含有してもよい。使用するとき、前記組成物は、組成物の好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約2重量%の美白剤を含有する。好適な美白剤としては、コウジ酸、アルブチン、アスコルビン酸及びこれらの誘導体(例えば、アスコルビルリン酸マグネシウム又はアスコルビルリン酸ナトリウム)、及び抽出物(例えば、くわの実抽出物、胎盤抽出物)を含め、当業界で既知のものが挙げられる。本明細書に用いるのに好適な美白剤にはまた、PCT国際公開特許WO95/34280(PCT publication No.95/34280)(ヒレブランド(Hillebrand)、PCT出願US95/07432(PCT Application No.U.S.95/07432)、1995年6月12日出願に対応)、並びに同時係属米国特許出願第08/390,152号(クヴァルネス(Kvalnes)、ミッチェル.A.デロング(Mitchell A.DeLong)、バートン.J.ブラッドベリー(Barton J.Bradbury)、カーチス.B.モトリー(Curtis B.Motley)、及びジョン.D.カーター(John D.Carter)による出願、PCT公開95/23780(PCT Publication No.95/23780)(1995年9月8日発行)に対応)に記載されているものも挙げられる。
【0074】
(皮膚沈静剤及び皮膚治療剤)
本組成物に、安全かつ有効な量の皮膚沈静剤及び皮膚治療剤を、生成する組成物の好ましくは約0.1重量%〜約30重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約20重量%、さらにより好ましくは約0.5重量%〜約10重量%加えることができる。本明細書の使用に適した皮膚沈静又は皮膚治療剤としては、パンテノール酸誘導体(パンテノール、デクスパンテノール、エチルパンテノールを含む)、アロエベラ、アラントイン、ビサボロール、及びグリチルリチン酸二カリウムが挙げられる。
【0075】
(抗菌活性物質及び抗カビ活性物質)
本発明の組成物は、抗菌又は抗カビ活性物質を含有してもよい。安全かつ有効な量の抗菌又は抗カビ活性物質を、本発明の組成物に、好ましくは約0.001%〜約10%、より好ましくは約0.01%〜約5%、さらにより好ましくは約0.05%〜約2%加えてもよい。抗菌及び抗カビ活性物質の例としては、β−ラクタム剤、キノロン剤、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アミカシン、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロバニライド、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、ドキシサイクリン、カプレオマイシン、クロルヘキシジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クリンダマイシン、エタンブトール、ヘキサミジン、イセチオネート、メトロニダゾール、ペンタミジン、ゲンタマイシン、カナマイシン、リネオマイシン、メタサイクリン、メテナミン、ミノサイクリン、ネオマイシン、ネチルミシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ミコナゾール、塩酸テトラサイクリン、エリスロマイシン、亜鉛エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、ステアリン酸エリスロマイシン、硫酸アミカシン、塩酸ドキシサイクリン、硫酸カプレオマイシン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩酸クロルテトラサイクリン、塩酸オキシテトラサイクリン、塩酸クリンダマイシン、塩酸エタンブトール、塩酸メトロニダゾール、塩酸ペンタミジン、硫酸ゲンタマイシン、硫酸カナマイシン、塩酸リネオマイシン、塩酸メタサイクリン、馬尿酸メテナミン、マンデル酸メテナミン、塩酸ミノサイクリン、硫酸ネオマイシン、硫酸ネチルミシン、硫酸パロモマイシン、硫酸ストレプトマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸ミコナゾール、ケタコナゾール、塩酸アマンファジン、硫酸アマンファジン、オクトピロックス、パラクロロメタキシレノール、ナイスタチン、トルナフテート、ジンクピリチオン、及びクロトリマゾールが挙げられる。
【0076】
(日焼け止め活性物質)
紫外線に曝されると、角質層の過剰な鱗屑と肌ざわりの変化を招くことがある。故に、主題発明の組成物は、安全かつ有効な量の日焼け止め活性物質を含有してもよい。本明細書で使用するとき、「日焼け止め活性物質」とは、日焼け止め剤及び物理的日焼け防止剤の両方を含む。好適な日焼け止め活性物質は、有機又は無機であってよい。本明細書で有用な無機日焼け止め剤としては、次の金属酸化物;約15nm〜100nmの平均一次粒径を有する二酸化チタン、約15nm〜150nmの平均一次粒径を有する酸化亜鉛、約15nm〜150nmの平均一次粒径を有する酸化ジルコン、約15nm〜500nmの平均一次粒径を有する酸化鉄、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用するとき、無機日焼け止め剤は、組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の量で存在する。多種多様な、従来の有機日焼け止め活性物質が、本明細書に用いられるのに好適である。サガリン(Sagarin)らの「化粧品の科学及び技術(Cosmetics Science and Technology)」(1972年)VIII章189頁以下では、多数の適切な活性物質が開示されている。具体的な適した日焼け止め活性物質としては、例えば、p−アミノ安息香酸、その塩及びその誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル、P−ジメチルアミノ安息香酸)、アントラニレート(すなわち、o−アミノベンゾエート;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、及びシクロヘキシニルエステル);サリチレート(アミル、フェニル、オクチル、ベンジル、メンチル、グリセリル、及びジ−プロ−ピレングリコールエステル);ケイ皮酸誘導体(メンチル及びベンジルエステル、α−フェニルシナモニトリル、ブチルピルビン酸シナモイル);ジヒドロキシケイ皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト−ウンベリフェロン);トリヒドロキシケイ皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、及びグルコシド、エスクリン及びダフニン);炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザールアセトン及びベンザールアセトフェノン;ナフトールスルホネート(2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸及び2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸のナトリウム塩);ジ−ヒドロキシナフトエ酸及びその塩;o−及びp−ヒドロキシビフェニルジスルホネート;クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル);ジアゾール(2−アセチル−3−ブロムインダゾール、フェニルベンゾキサゾール、メチルナフトキサゾール、様々なアリールベンゾチアゾール);キニン塩(二硫酸塩、硫酸塩、塩化物、オレイン酸塩、及びタンニン酸塩);キノリン誘導体(8−ヒドロキシキノリン塩、2−フェニルキノリン);ヒドロキシ−又はメトキシ−置換ベンゾフェノン;尿酸及びビオルル酸;タンニン酸及びその誘導体(例えば、ヘキサエチルエーテル);(ブチルカルボトール)(6−プロピルピペロニル)エーテル;ヒドロキノン;ベンゾフェノン(オキシベンゼン、スルイソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール、2,2’−,4,4’−テトラヒドロオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン;ブチルメトキシジベンゾイルメタン;エトクリレン;オクトクリレン;[3−(4’−メチルベンジリデンボルナン−2−オン)、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、及び4−イソプロピル−ジ−ベンゾイルメタンが挙げられる。
【0077】
さらに当該組成物に特に有用であるのは、米国特許第4,937,370号(サバテリ(Sabatelli)、1990年6月26日発行)、並びに米国特許第4,999,186号(サバテリ(Sabatelli)及びスピルナク(Spirnak)、1991年3月12日発行)に開示されているような日焼け止め活性物質である。これらに開示されている日焼け止め剤は、単一の分子中に、異なる紫外線吸収スペクトルを示す2つの別個の発色団部分を有する。発色団部分の一方は、主としてUVB放射線範囲において吸収し、他方は、UVA放射線範囲において強く吸収する。通常は、組成物の約1重量%〜約20重量%、より典型的には約2重量%〜約10重量%の、安全かつ有効な量の有機日焼け止め活性物質が使用される。正確な量は、選択される1種又は複数種の日焼け止め剤、並びに所望の太陽光線保護指数(SPF)によって異なる。
【0078】
(粒子状物質)
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の粒子状物質、好ましくは金属酸化物を含有してもよい。これらの粒子状物質は、コーティングされたもの又はコーティングされていないものであってもよく、荷電したもの又は荷電していないものであってもよい。荷電した粒子状物質は、米国特許第5,997,887号(ハー(Ha)他)に開示されており、これを参照により本明細書に組み込む。本明細書で有用な粒子状物質には、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄、雲母、硫酸バリウム及びTiO2で処理した雲母、シリカ、ナイロン、ポリエチレン、タルク、スチレン、ポリプロピレン、エチレン/アクリル酸のコポリマー、二酸化チタン、酸化鉄、オキシ塩化ビスマス、セリサイト、酸化アルミニウム、シリコン樹脂、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酢酸セルロース、ポリメチルメタクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0079】
(コンディショニング剤)
本発明の組成物は、湿潤剤、保湿剤、又は皮膚コンディショナーから選択される、安全かつ有効な量のコンディショニング剤を含有してもよい。多様なこれらの物質を使用することができ、それぞれ組成物の約0.01重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、さらにより好ましくは約0.5重量%〜約7重量%の濃度で存在し得る。これらの物質としては、グアニジン、尿素、グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び第四級アルキルアンモニウム)、サリチル酸、乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び第四級アルキルアンモニウム)、種々の形態のアロエベラ(例えば、アロエベラゲル)、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのポリヒドロキシアルコール、ポリエチレングリコール、糖(例えばメリビオース)及び澱粉、糖及び澱粉誘導体(例えば、アルコキシ化グルコース、フコース)、ヒアルロン酸、モノエタノールアミンラクタミド、モノエタノールアミンアセトアミド、パンテノール、アラントイン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、米国特許第4,976,953号(オル(Orr)他、1990年12月11日発行)に記載されているプロポキシル化グリセロールも本明細書に有用である。また、糖及び関連物質の、種々のC1〜C30のモノエステル及びポリエステルも有用である。
【0080】
(増粘剤成分(増粘剤及びゲル化剤を含む))
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の1種以上の増粘剤成分を、組成物の好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約4重量%、さらにより好ましくは約0.25重量%〜約3重量%含有してもよい。本発明に使用するのに好適な分類の増粘剤成分には、カルボン酸ポリマー、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、多糖類、ゴム類及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
(本化合物を含む局所用製剤)
本発明のさらに別の極めて好ましい態様では、本明細書に開示されるβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物は、哺乳類、特にヒトの皮膚に局所適用するための組成物に処方される。本発明の別の態様では、本明細書に開示される局所用製剤は、それらが適用された哺乳類の皮膚の外観を向上させるのに適した、安全かつ有効な量の分化誘導剤及びその他の成分を含む。
【0082】
「安全かつ有効な量」とは、化合物又は組成物の組み込み量が、皮膚の外観を顕著に改善するのに十分高いが、実際に皮膚の外観及び美しさを低減させるかもしれない副作用を抑えるのに十分低いことを意図する。事実、本発明の化合物及び/又は組成物に使用するのに安全かつ有効な量の試剤は、次の1以上の要因によって変化する:処置が求められる皮膚の特性、処置が求められる皮膚の年齢及び身体状態、現在の何らかの皮膚状態の重症度、処置の目的とする期間、何らかの同時治療の存在及び特性、使用が求められる特定試剤、利用される特定賦形剤、並びに本化合物及び組成物の配合者の需要及び/又は能力。それにもかかわらず、本組成物に組み込まれるべき試剤、好ましくは本明細書に開示されるβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物の適切な量は、定常的な動物モデル試験によって決定されてもよい。事実、このようなモデルの1つには、哺乳類の損なわれていない加齢したネズミモデル、特にヒトの皮膚が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明の分化促進化合物は、組織的に、例えば経口及び/又は非経口的に投与されてもよく、それには皮下又は静脈注射、及び/又は鼻腔などが含まれるが、特に経皮的である。本発明の1つの態様では、本明細書に開示される分化促進化合物は、単位剤形で、処置が求められる哺乳類の皮膚に直接適用される。本開示の「製剤」の項で議論されるように、単位剤形に組み込まれる本化合物の明確な量は、以上で開示された1以上の要因、特に本化合物の配合者の需要及び/又は能力、並びに処置が所望される哺乳類の皮膚の特性に左右される。
【0084】
本発明のさらに別の態様では、本化合物及び組成物に関して使用される剤形には、鼻腔、経皮、直腸、舌下、経口及びこれらの組み合わせが含まれる。本発明の別の態様では、本発明に用いるのに好適な1以上のキャリアが使用されて、特に注射又は外科移植のために本化合物及び組成物の送達を達成できる。前記キャリアとしては、ヒドロゲル、制御又は持続放出性手段、ポリ乳酸、コラーゲンマトリックス及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の別の態様では、移植手段は、本明細書に開示される分化促進化合物及び/又は製剤でコーティングされる。本発明の別の態様では、本明細書に開示される分化促進化合物及び/又は製剤は、緩衝剤に溶解され、移植手段の多孔質末端部にコーティングされるためのコラーゲンゲルと混合される。
【0085】
事実、本発明のさらなる態様では、本明細書に開示される化合物は経口投与される。この点において、本化合物及び製剤の投与に好適な経口形態としては、リポソーム、脂質エマルション、タンパク質ケージ、その他の賦形剤及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で「賦形剤」という用語を使用することは、当業者に既知の生理学的に不活性で、薬理学的に不活性な物質を包含することを意図する。本発明に用いるのに好適な賦形剤は、使用が求められる特定の分化促進成分の物理的及び化学的特性、並びに適用が所望される哺乳類の皮膚基質に適合性である。本発明の1つの態様では、本明細書に用いるのに好適な賦形剤としては、ポリマー、樹脂、可塑剤、充填剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、溶媒、共溶媒、緩衝系、界面活性剤、防腐剤、甘味剤、着香料、芳香剤、製薬等級染料、顔料及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
本発明の組成物に着香賦形剤を使用することが所望される場合、そのような好適な試剤は、本明細書に参考として組み込まれるレミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第18版、マック・パブリッシング社(Mack Publishing Company)、1990年、1288〜1300頁に記載されるものから選択されてもよい。本発明に用いるのに好適な染料又は色素には、「製薬賦形剤のハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients)」(第2版、126〜134頁、1994年、米国製薬協会及び製薬出版(the American Pharmaceutical Association & the Pharmaceutical Press)に記載されているものが含まれるが、これらに限定されず、この文献は参照として本明細書に組み込まれている。
【0087】
本発明に用いるのに好適な溶媒及び共溶媒としては、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の賦形剤(excepients)として用いるのに好適な緩衝系としては、酢酸カリウム、ホウ酸、カルボン酸、リン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、酢酸、安息香酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルタル酸、グルタミン酸及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の1つの態様では、本明細書に用いるのに好適な緩衝系は、リン酸、酒石酸、クエン酸及び酢酸カリウムである。
【0088】
本発明の賦形剤(excepients)として使用するのに好適な界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、スクロースモノエステル及びラノリンエステル、エーテル及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明の賦形剤として使用するのに好適な防腐剤には、フェノール、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、安息香酸及びそれらの塩、ホウ酸及びそれらの塩、ソルビン酸及びそれらの塩、クロロブタノール、ベンジルアルコール、チメロゾール(thimerosol)、酢酸フェニル水銀及び硝酸フェニル水銀、ニトロメルソール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、メチルパラベン、及びプロピルパラベンが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましいものは、安息香酸の塩、塩化セチルピリジニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びこれらの組み合わせである。
【0089】
本明細書に開示される分化誘導化合物と共に用いられる好適な甘味剤としては、スクロース、グルコース、サッカリン、アスパルテーム、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の別の態様では、スクロース、サッカリン及びこれらの組み合わせは、本化合物と共に使用するための特に好ましい甘味剤である。本化合物と併せて用いるのに好適な結合剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、プロジオン(prodione)、アカシア、グアーガム、キサンタンガム、トラカント(tragcanth)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のさらに別の態様では、本明細書に用いるのに特に好ましい結合剤としては、メチルセルロース、カルボマー、キサンタンガム、グアーガム、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
本明細書に開示されるβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物と共に用いられるのに好適な充填剤としては、ラクトース、スクロース、マルトデキストリン、マンニトール、デンプン、微結晶セルロース、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本化合物と共に用いられるのに好適な可塑剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチルフタレート及びヒマシ油、アセチル化モノグリセリド、トリアクチン(triactin)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の別の態様では、本明細書に用いるのに好適な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。事実、本発明の化合物と共に用いるのに好適な崩壊剤としては、クロスポビドン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、デンプングリコラートナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、粘土、イオン交換樹脂及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の賦形剤として用いるのに好適なポリマーには、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂(例えば、オイドラギット(Eudragit)(登録商標)RL30D、ローム・ファーマ社(Rohm Pharma GmbH)(西ドイツ、ウェイダスタッド(Weiderstadt))製造)、メチルセルロース、エチルセルロース、及びポリビニルピロリドン、市販されているフィルムコーティング調製剤(例えば、ドリ−クレア(Dri-Klear)(クロンプトン・アンド・ノーウェルズ社(Crompton & Knowles Corp.)(ニュージャージー州、マーワ)製造)、又はオパドライ(Opadry)(カラーコン(Colorcon)(ペンシルベニア州、ウエストポイント)製造)、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本発明の化合物と共に用いられる明確な成分及び好適な賦形剤は、いくつかの要因、特に配合者の需要及び/又は能力並びに本化合物による処置が望まれる皮膚の特性に左右されることを繰り返し、理解されるべきである。それにもかかわらず、上記の議論は、当業者にとって指針として作用することだけを目的とする。無論、上記で示したものと類似又は同様の化合物も、本発明の化合物と共に使用するのに好適である。
【0091】
(製造物品及びキット)
さらに、本発明のβ−イオノール類似体及び脂肪酸化合物を含む製造物品及び/又は1以上の上述した製品は、パーソナルケア、スキンケア、及び家庭用品ケア用途を対象とする。本発明の製造物品には、消費者のための1組の使用説明と共に容器又はディスペンサー内に包装できる、前述の1以上の製品が包含される。本発明の製造物品は、通常は、(a)容器又はディスペンサーと、(b)製品と、(c)前記製品を適切な基質に適用して真に永続的な美容及び改善効果を哺乳類の皮膚に送達する、1組の使用説明とを含む。本発明の製造物品に好適な容器及び/又はディスペンサーには、PETボトル及びタブ(tub)、フローラップ・パウチ、フォーミングディスペンサー、スプレーディスペンサー、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。繰り返して言うが、本発明の製造物品は、容器に関連付けられた1組の使用説明をさらに含む。「関連付けられた」とは、製造物品の消費者に1組の使用説明を伝えるために、当該使用説明が、容器若しくはディスペンサー自体の上に直接印刷されること、又はこれだけに限定するものではないが、パンフレット、印刷広告、電子広告、及び/若しくは口頭伝達を含めた様々な方式で提示されることを意味する。
【0092】
1組の使用説明は、通常は、処置が求められる好適な基質上に本発明のβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物を適用させるための、製品の使用に関する使用説明を含む。1組の使用説明は、処置された基質から前記化合物をすすいだり、又は他の何らかの方法で除去することなく、本化合物を処置された基質上に維持させる使用説明をさらに含んでよい。とは言うものの、本発明の製造物品と共に含まれる明確な使用説明は、特定化合物及び当該使用説明を含めることが望まれる製品、並びに当該製品の適用が意図される基質によって異なる。本発明の別の態様では、本製造物品に含まれる使用説明は、本開示の「本化合物及び製品の使用方法」の項で記載される方法と一致する。
【0093】
(第3態様−本化合物及び製品の使用方法)
本発明のさらに別の好ましい態様では、本明細書に議論されるβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物の使用方法が開示される。本発明の化合物は、哺乳類、特にヒトの皮膚に真に永続的な美容及び改善効果を与えるのに有用である。事実、本発明に従って実行する場合、本明細書に開示される分化誘導化合物及び組成物は、それらが適用される哺乳類の皮膚の魅力を向上させつつ、その若々しい外観を維持するように働く。さらに引き付けられることに、本発明の化合物及び製品は、本化合物の適用の後に、現在の皮膚状態から生じた身体的病気の発生を抑え、哺乳類の皮膚に刺激を与えない。本発明の基本的な態様では、本明細書に開示される化合物、組成物及び製品は、化粧品、クリーム及びオイル、並びに種々の皮膚機能障害及びガンの治療のための組成物に使用するのに有用である。
【0094】
本発明の1つの態様では、本明細書に開示される化合物及び/又は製品は、処置が所望される哺乳類の皮膚に直接適用される。本発明の別の態様では、本明細書に開示される化合物及び/又は製品は、処置が求められる哺乳類の皮膚に経皮的に適用される。分化誘導化合物の正確な量及び/又は製品の特性は、配合者及び本方法の実践者の需要及び能力によって決まる。本発明の1つの態様では、本発明の化合物は、処置が所望される哺乳類の皮膚に少なくとも1日1回は送達される。適用されたら、組成物は被覆が確実となる間、処置表面にこすりつけられる。本発明の別の態様では、経皮的用量は、薬物動態学の分野の当業者及び配合者に既知の技術に基づいて最小血清又は血漿レベルを達成するように設計され、それを目的とする。以下の非限定実施例は、本発明の試剤の使用をさらに説明するために役立つ。
【0095】
本発明の抗菌組成物及び抗菌製品は、様々な用途に好適である。事実、本組成物の好適な使用としては、哺乳類の皮膚を美しくすること、哺乳類の皮膚の小じわ及びしわを減らすこと、並びにガンを治療することが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の1つの態様では、本明細書に開示される方法は、組成物又はそれを含む製品を、処置が望まれる哺乳類、特にヒトの皮膚に局所適用する工程を含む。本発明の化合物及び組成物が有効である、処置が必要な領域及び/又は表面の例としては、顔、首、片手又は両手、鼻、鼻腔又は鼻道、衣料品、硬質表面、炎症を起こした皮膚、ざ瘡に冒された皮膚、又は負傷した皮膚、術前又は術後の領域、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
(調製例)
(新規なβ−イオノール類似体化合物の調製)
化合物は、必要に応じて、プロトン及び炭素NMR分光法、元素分析、マススペクトル分析、高解像度マススペクトル分析、及び/又は赤外線スペクトル分析を用いて分析される。精製は、再結晶又は圧力クロマトグラフィーによって達成される。薄層クロマトグラフィーは、シリカゲルプレートを据え付けたガラス上で行い、紫外線(UV)光及び/又はエタノール中5%のリンモリブンデン酸溶液を用いて視覚化される。
【0097】
(実施例1)
(4−(8,8−ジメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−ナフタレン−2−カルボニル)−安息香酸メチルエステル(1I)の調製)
(実施例1:調整ダイアグラム)
【0098】
【化3】

2−(4−ブロモ−ベンジルオキシ)−テトラヒドロピラン(1B)の調製:
1Aの塩化メチレン溶液に、ジエチルエーテル溶液中の1.2当量のジヒドロピラン及び触媒量の1M HClを添加する。物質を室温で攪拌し、反応をTLCでモニターする。1時間後、固体の重炭酸ナトリウムを添加し、続いて一部のブラインを添加する。層を分離させ、有機層を濃縮し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、フラッシュ・クロマトグラフィーによって精製して、無色のオイルである2−(4−ブロモ−ベンジルオキシ)−テトラヒドロピラン1Bを得る。
【0099】
1E生成のためのリチウム化及び添加:
1Bの無水THF溶液に、−78℃で2当量の1.6Mのt−BuLi溶液を滴下する。これを1時間攪拌し、その場で化合物1Cを製造し、それを単離せずに、次の工程ですぐに使用する。この溶液に、市販のメラフルール1D(インターナショナル・フレイバー・アンド・フラグランス(International Flavors and Fragrances))を注意深く添加し、溶液を1時間かけて室温に到達させる。次いでNH4Clの飽和水溶液中の1当量の1M HClを、酢酸エチル中の1%ヘキサン部分と共に添加する。層を分離させ、有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。フラッシュ・クロマトグラフィーによって粗物質を精製して、無色の油1Eを得る。
【0100】
(8,8−ジメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−ナフタレン−2−イル)−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−メタノール1Fの調製:
1Eの1:1HOAc及びMeOH溶液を室温で一晩攪拌する。次の日に反応物に酢酸エチルの一部及び十分な水性1N NaOHを添加し、酸を中和する。層を分離させ、有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。フラッシュ・クロマトグラフィーによって粗物質を精製して、無色の油1Fを得る。
【0101】
4−(8,8−ジメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−ナフタレン−2−カルボニル)−ベンズアルデヒド1Gの調製:
1Fの塩化メチレン攪拌溶液に、2.4当量の塩化クロム酸ピリジン(PCC、アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company))及びセライトの一部を添加する。混合物を攪拌し、反応の進行をTLCでモニターする。2時間後、反応がTLC分析によって完了したと判断されるとき、溶液をフルオロシル(Fluorosil)のカラムを通して真空ろ過し、白色固体に濃縮する。粗固体をさらにフラッシュ・クロマトグラフィーで精製し、白色固体1Gを得る。
【0102】
4−(8,8−ジメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−ナフタレン−2−カルボニル)−安息香酸1Hの調製:
攪拌溶液を、tert−ブチルアルコール、水、2−メチル−2−ブテン及びリン酸一ナトリウムから調製する。この溶液に、固体のNaClO2及びアルデヒド1Gを添加する。この溶液を室温で攪拌し、TLC分析によってアルデヒドの消失を追跡する。反応が完了したと判断されるとき、酢酸エチルを添加し、反応混合物をブラインで3回洗浄する。層を分離させ、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮する。租物質をフラッシュ・クロマトグラフィー(1%のギ酸を通常のクロマトグラフィー溶媒に添加する)によって精製し、白色固体である4−(8,8−ジメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−ナフタレン−2−カルボニル)−安息香酸1Hを得る。
【0103】
4−(8,8−ジメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−ナフタレン−2−カルボニル)−安息香酸メチルエステル1Iの調製:
1Hのメタノール溶液に、過剰のTMS−ジアゾメタン溶液(アルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Company))を添加する。混合物を少なくとも2時間攪拌して、窒素ガスの発生を観察する。TLC分析にて反応が完了したことがわかったとき、溶媒を除去し、租生成物をフラッシュ・クロマトグラフィーによって精製し、1Hを得る。
【0104】
(実施例2)
(単環式及び二環式β−イオノール類似体コア化合物の調製)
本発明の新規な単環式及び二環式コアβ−イオノール類似体化合物を、実施例1に記載されるものと実質的に同一の手順を用い、適切な出発物質に代えて調製する。当業者は、必要に応じて温度、圧力、雰囲気、溶媒又は反応工程の順序を調整してもよい。さらに、当業者は、副反応を防止するために、又は収率を上げるために必要に応じて保護基を使用してもよい。当業者は、主として1つのエナンチオマーを単離するために、又は一方のエナンチオナーを他方のものに比べてエナンチオ過剰で得るために、種々の既知の技術を使用してもよい。有機合成分野の当業者は、このような全ての変更を容易に実行し得るので、そのような変更は全て本発明の範囲内である。本明細書に詳述される調製手順を介して製造される新規な単環式及び二環式β−イオノール類似体コア化合物の代表的なリストは、本開示の表I及びIIに見出される。
【0105】
(実施例3)
(E−1−メトキシ−4−[1−メチル−3−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−プロペニル]−ベンゼン(3B)及びZ−1−メトキシ−4−[1−メチル−3−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−プロペニル]−ベンゼン(3C)β−イオノール類似体化合物の調製)
(実施例3:調整ダイアグラム)
【0106】
【化4】

塩酸と共に加熱することによって実施例1の化合物から実施例3の化合物を直接合成する。βイオノール類似体E−1−メトキシ−4−[1−メチル−3−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−プロペニル]−ベンゼン(3B)及びZ−1−メトキシ−4−[1−メチル−3−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキサ−1−エニル)−プロペニル]−ベンゼン(3C)を製造する。
【0107】
【化5】

【0108】
(実施例4:調整ダイアグラム)
【0109】
【化6】

特に明記しない限り、全ての反応は火炎乾燥フラスコにて窒素雰囲気下で行った。溶媒は全て無水物であり、アルドリッチ(Aldrich)から得られた。
【0110】
(実施例4A)
(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリンの調製)
温度計、オーバーヘッド攪拌機、及び圧力等化漏斗を備えた3つ口フラスコを4A°シーブで満たし、凝縮器を取り付け、アニリン(analine)(1当量)、1−ブロモ−3−クロロプロパン(15当量)及び無水炭酸ナトリウム(4当量)を添加し、150℃で4時間加熱する。反応混合物を水に注ぎ、1N HClで中和し、CH2Cl2で3回抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空濃縮する。精製をシリカクロマトグラフィーによって行う。
【0111】
(実施例4B)
(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−9−カルバルデヒド)
POCl3(1.1当量)を冷水浴を用いてDMF(1M)に溶解させ、15分間攪拌する。4AのDMF(1M)溶液を滴下し、30分間攪拌する。温度を1時間かけて100℃まで上昇させ、次いで室温まで冷却する。反応混合物を水に注ぎ、飽和Na2CO3でpHを7.0に調整し、CH2Cl2で4回抽出し、ブラインで2回すすぎ、H2Oで5回すすぎ、DMFを除去し、MgSO4で乾燥させ、真空濃縮する。精製をシリカクロマトグラフィーによって行う。
【0112】
(実施例4C)
((4−フルオロ−フェニル)−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−9−イル)−メタノール)
還流凝縮器を取り付けたフラスコにて4B(1.1当量)のTHF(1M)溶液に、ユロリジン−9−カルボキシアルデヒド(1当量)を滴下する。反応物を室温で1時間攪拌する。溶液のpHを7.0にするのに十分な量の1N HClと共に50mLの飽和NH4Clに反応混合物を注ぐ。溶液をEtOAc(5%ヘキサン含有)で3回抽出し、ブラインですすぎ、MgSO4で乾燥させ、真空濃縮する。精製をシリカクロマトグラフィーによって行う。
【0113】
(実施例4D)
(4−フルオロ−フェニル)−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−9−イル)−メタノン
ユロリジン−9−(4−フルオロ−フェニル)−9−ヒドロキシ(1当量)及びセライト(PCCの質量当量)のCH2Cl2(0.2M)溶液に、塩化クロム酸ピリジン(PCC 1.1当量)を添加する。混合物を4時間攪拌する。反応混合物をフルオロシル(Fluorosil)を通してろ過し、CH2Cl2で洗浄する。溶液をEtOAc(5%ヘキサン含有)で3回抽出し、ブラインですすぎ、MgSO4で乾燥させ、真空濃縮する。精製をシリカクロマトグラフィーによって行う。
【0114】
(実施例4E)
(1−(4−フルオロ−フェニル)−1−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−9−イル)−エタノール)
還流凝縮器を取り付けたフラスコにて、メチルリチウム(1.4Mのエーテル溶液1.1当量(アルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)))のTHF(1M)溶液に、ユロリジン−9−(4−フルオロ−フェニル)−9−ケトン(1当量)を滴下する。反応物を室温で1時間攪拌する。溶液のpHを7.0にするのに十分な量の1N HClと共に50mLの飽和NH4Clに反応混合物を注ぐ。溶液をEtOAc(5%ヘキサン含有)で3回抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空濃縮する。精製をシリカクロマトグラフィーによって行う。
【0115】
(実施例5:調製ダイアグラム)
【0116】
【化7】

実施例5の化合物は全て、実施例4に使用されるものと同様の方法によって合成される。
【0117】
(実施例6)
(β−イオノール類似体化合物の局所適用)
β−イオノール類似体、メラフルールアルコールを、美容を必要とする皮膚の領域にて直接ヒトに局所投与する。毎日の処置を2週間続けた後、皮膚の処置領域は、健康及び活力が増大する。
【0118】
(実施例7)
(β−イオノール類似体化合物を含有する錠剤の調製)
錠剤の形態の製剤(組成物)を、従来の方法(例えば、混合及び直接圧縮)により調製し、以下のように処方する。
【0119】
(実施例7:調整表)
【0120】
【表7】

上記の錠剤は、1日1回経口投与される場合、適用される哺乳類の皮膚の美しさを実質的に増大させる。
【0121】
(実施例8)
(本化合物を含む液体組成物の処方)
液状の組成物を従来の方法により調製し、以下のように処方する。
【0122】
(実施例8:調整表)
【0123】
【表8】

1.0mLの上記組成物は、1日に1回投与する場合、適用される哺乳類の皮膚の美しさと健康を実質的に増大させる。
【0124】
(実施例9)
(本化合物を含むスキンケア局所用製品の調製)
スキンケア局所用製品は、実施例3の液体組成物をかかる製品に処方することによって調製される。事実、このような製品の好ましい例は、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter and Gamble Company)(オハイオ州シンシナティ)が所有し、販売するオレイ局所用スキンケアラインのオイル(Oil of Olay topical skin care line)から得られるものである。
【0125】
(実施例10)
(本化合物を含むスキンケア拭き取り製品の調製)
スキンケア拭き取り製品を、実施例3の液体組成物をかかる拭き取り用品に含浸させることによって調製する。このような拭き取り用品を、当業者に既知で容易に利用可能な技術によって含浸させることができる。事実、拭き取り製品の好ましい例は、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter and Gamble Company)(オハイオ州シンシナティ)が所有し、販売するオレイ顔用拭き取り用品のオイル(Oil of Olay Facial Wipes)から得られるものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式、
【化1】

(式中、「X」は、0〜12個の置換又は非置換炭素原子と;置換、非置換、シクロアルキル及び芳香族部分のNH、S、O及びこれらの組み合わせから選択される0〜2個のヘテロ原子とを含む単結合又は二重結合部分であり;「Z」は、鎖中に0〜12個の炭素原子を含有する単結合、二重結合、又は三重結合部分であって、任意選択的にシクロアルキル又は芳香環を含み、これらの両方がさらに置換されてもよく;「Y」は(CH2nであり、ここで「n」は0〜3の値を有する変数であり;「R」は、2以上の環が存在する場合はいずれかの環に置換され得る基であって、かつ、3個以下の独立して選択されるCH3、CH2CH3、NR12、SR、OR及びこれらの組み合わせを含む置換、非置換、アルキル、シクロアルキル又は芳香族部分から選択される)
を含むことを特徴とするβ−イオノール類似体化合物。
【請求項2】
次式、
【化2】

であり、
式中、「A」は、水素、メチル、エチル及びこれらの混合物から選択され;さらに式中、「n」、「o」、「p」及び「m」は0〜8の値を含む変数であり;さらに式中、メチレンは、飽和、不飽和、置換、非置換、環状構造の構成要素及びこれらの組み合わせである)
を含むことを特徴とする脂肪酸類似体化合物。
【請求項3】
(a)次式、
【化3】

(式中、「X」は、0〜約12個の置換又は非置換炭素原子と;置換、非置換、シクロアルキル及び芳香族部分のNH、S、O及びこれらの組み合わせから選択される0〜2個のヘテロ原子とを含む単結合又は二重結合部分であり;「Z」は、鎖中に0〜12個の炭素原子を含有する単結合、二重結合、又は三重結合部分であり、任意選択的にシクロアルキル又は芳香環を含み、これらの両方がさらに置換されてもよく;「Y」は(CH2nであり、ここで「n」は0〜3の値を有する変数であり;「R」は、2以上の環が存在する場合はいずれかの環に置換され得る基であって、かつ、3個以下の独立して選択されるCH3、CH2CH3、NR12、SR、OR及びこれらの組み合わせを含む置換、非置換、アルキル、シクロアルキル又は芳香族部分から選択される)
を有するβ−イオノール類似体化合物を0.001%〜99.99%;
(b)次式、
【化4】

であり、
式中、「A」は、水素、メチル、エチル及びこれらの混合物から選択され;さらに式中、「n」、「o」、「p」及び「m」は0〜8の値を含む変数であり;さらに式中、メチレンは、飽和、不飽和、置換、非置換、環状構造の構成要素及びこれらの組み合わせである)
を有する脂肪酸類似体化合物を99.99%〜0.001%;並びに
(c)好ましくは、製薬上許容できるキャリア、
を含むことを特徴とする化合物の混合物。
【請求項4】
哺乳類の皮膚の美容のためのβ−イオノール類似体化合物であって、前記化合物が次の
【表1−1】

【表1−2】

【表2】

【表3−1】

【表3−2】

【表4】

【表5】

並びにこれらの混合物
から成る群から選択されることを特徴とするβ−イオノール類似体化合物。
【請求項5】
哺乳類の皮膚の美容のための脂肪酸類似体化合物であって、前記化合物が、ジホモリノレン酸、α−リノレン酸、γリノレン酸、共役リノレン酸、アラキドン酸、共役リノール酸、ジホモ−γ−リノレニル−エタノールアミド、ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサトリエン酸、リノーライジン酸(linolaidic acid)、ステレオドン酸(stereodonic acid)、ドコセン酸、オレイン酸、ステアリン酸(steric acid)、エライジン酸、ミリスチン酸(myrstic acid)、フィタン酸及びこれらの組み合わせ
から成る群から選択されることを特徴とする脂肪酸類似体化合物。
【請求項6】
哺乳類の皮膚の美容のためのβ−イオノール類似体及び脂肪酸類似体化合物の混合物であって、前記混合物が、請求項4に記載の少なくとも1つの化合物及び請求項5に記載の少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする混合物。
【請求項7】
皮膚のガン及び疾患を治療するのに有用な新規化合物であって、前記化合物が次の構造
【化5】

(式中、「X」は、置換及び非置換O、N及びSから成る群から選択されるへテロ原子であり;ここでO、N及びSは、分子に単結合又は二重結合してもよいが、ただし、ヘテロ原子が二重結合する場合、R2は存在せず;
さらに式中、R1、R2及びR3及びR4は独立して、H、0〜6個の構成原子の低級アルキル鎖、単環、二環、及び芳香環から成る群から選択され、R1、R2及びR3及びR4は置換されるか又は置換されず;ただし、「X」がヒドロキシル部分である場合、R1及びR2はメチル又は水素となり得ず、ただし、「X」がアリルである場合、R2が低級アルキル、フェニル又はアルキニルである場合、R1はHとなり得ない)
を含むことを特徴とし;
好ましくは、前記化合物が次の
【表6】

【表7】

【表8】

及びこれらの組み合わせ
から成る群から選択されることを特徴とする新規化合物。
【請求項8】
哺乳類の皮膚のガン及び疾患を治療するための新規化合物であって、前記化合物が次の構造
【化6】

(式中、「X」は、H、又はN、O、P、S及びこれらの混合物から成る群から選択されるへテロ原子であり;ここでN、O、P及びSは、置換されるか又は置換されず、かつ、分子に単結合又は二重結合するが、ただし、ヘテロ原子が二重結合する場合、R2は存在せず;
さらに式中、R1及びR2は独立して、H、0〜6個の構成原子の低級アルキル鎖、単環、二環、及び芳香環から成る群から選択され、ここで前記構成原子は置換されるか又は置換されず;ただし、「X」がOHである場合、R1及びR2は同時にH又はメチルとなり得ず、「X」がR2の非存在下でOである場合、R1はHであり;
さらに式中、R3、R4、R5、及びR6は独立して、H、0〜6個の構成原子の低級アルキル鎖、単環、二環、及び芳香環から成る群から選択され、ここで前記構成原子は置換されても又は置換されなくてもよく;ただし、R3はメチルではなく、R4及びR5は同時にメチルではない)
を含むことを特徴とし;
好ましくは、前記化合物が次の
【表9】

【表10】

及びこれらの組み合わせ
から成る群から選択されることを特徴とする新規化合物。
【請求項9】
皮膚のガン及び疾患を治療するのに有用な新規化合物であって、前記化合物が次の構造
【化7】

(式中、「X」は、CH2、又は置換される若しくは置換されない、分子に単結合若しくは二重結合するN、O、Sから成る群から選択されるヘテロ原子であるが、ただし、前記へテロ原子が二重結合する場合、R2は存在せず;
さらに、「X」がケトン部分であり、R3及びR4が同時にHである場合、R1は、H、Me、エチル、CH2CH2Cl、CH2BrMe、OH、CH2NH2、CH2CHPh、(CO)Me、又は(CO)Phとなり得ず;「X」がOHであり、R2、R3及びR4が同時にHである場合、R1はエチル又は(CO)OEtとなり得ず;
さらに式中、R1及びR2は独立して、H、0〜6個の構成原子の低級アルキル鎖、単環、二環及び芳香環から成る群から選択され、ここで前記構成原子は置換されるか又は置換されず;ただし、R1及びR2は、置換されるか又は置換されないアニリン部分で構成され得ず;ただし、R1及びR2は両方とも芳香環となり得ず;ただし、R1及びR2は、窒素含有環となり得ず、窒素含有環を含み得ず、窒素含有環によって置換され得ず、又は窒素含有環内に含まれ得ず、そして、エステル結合を介して「X」を有する環に結合され得ず;さらにただし、R1及びR2は酸無水物部分を含有し得ず;
さらに式中、R3及びR4は独立して、H、0〜6個の構成原子の低級アルキル鎖、単環、及び芳香環から成る群から選択され、ここで前記構成原子は置換され得ず;ただし、「X」が二重結合するOであり、R1、R3、及びR7〜R14がHであり、かつ、R5、R6、R15、R16がMeである場合、R4は、H、OH、OMe、又はOCH2Omeであり得ず;ただし、「X」が二重結合するOであり、R1、R3、及びR5〜R16がHである場合、R4は、H、OH、OMe、OEt、OPh、又はOAcであり得ず;このような場合、R1がMeであり、R3がOHであるならば、R4は、Me、CF3、Ph、CH2CH2Phであり得ず;
さらに式中、R5〜R16は独立して、H、0〜3個の構成原子の低級アルキル鎖から成る群から選択され;ただし、R5〜R16は、不安定な化合物を生成する部分を示し得ず;ただし、R5〜R10及びR13〜R16がHである場合、R11及びR12は一緒になってケトンを形成し得ず;さらにR5〜R16のジェミナル基は一緒になって、シクロプロピル部分又は環外メチレンを形成し得る)
を含むことを特徴とし、
好ましくは、前記化合物が次の
【表11−1】

【表11−2】

及びこれらの組み合わせ
から成る群から選択されることを特徴とする新規化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又は混合物を含むことを特徴とする製品。
【請求項11】
スキンケア活性物質を含むことをさらに特徴とする請求項10に記載の製品であって、前記スキンケア活性物質が、研磨材、吸収剤、芳香剤、顔料、着色料/着色剤、精油、皮膚感覚剤、収れん剤、抗ざ瘡剤、固化防止剤、消泡剤、抗菌剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、充填剤、キレート剤、化学添加剤、着色剤、化粧用収れん剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬用収れん剤、外用鎮痛剤、皮膜形成剤、不透明化剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、スキンブリーチング(skin bleaching)剤及び美白剤、スキン−コンディショニング剤、皮膚沈静及び/又は治療剤、皮膚処置剤、増粘剤、ビタミン、これらの誘導体並びにこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする製品。
【請求項12】
哺乳類の皮膚を美しくする方法であって、前記方法が、請求項1、2、4、5及び7〜9のいずれか一項に記載の化合物を局所適用する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
哺乳類の皮膚の悪化を遅くする方法であって、前記方法が、処置の必要な領域に、請求項1、2、4、5及び7〜9のいずれか一項に記載の化合物を局所適用する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
哺乳類の皮膚機能の消失を低減する方法であって、前記方法が、処置の必要な領域に、請求項1、2、4、5及び7〜9のいずれか一項に記載の化合物を局所適用する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
ガンを治療する方法であって、前記方法が、治療の必要な領域に、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又は混合物を適用する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
接触性又はアレルギー性皮膚炎を治療する方法であって、前記方法が、治療の必要な領域に、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又は混合物を送達する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
刺激を必要とするRXRを含有する哺乳類組織の分化及び/又は増殖を誘導する方法であって、前記方法が、刺激の必要なRXRを含有する哺乳類組織の領域に、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又は混合物を送達する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
哺乳類の皮膚を美しくする方法であって、前記方法が、美容の必要な哺乳類の皮膚の領域に、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又は混合物を送達する工程を含むことを特徴とし;
好ましくは、美しくすることが、小じわを除くこと、しわを除くこと、光によって損傷した皮膚を修復すること、老化した皮膚を修復すること、皮膚表面組織を改善すること、皮膚の色素過剰を低減させること、皮膚のたるみを改善すること、疾患による損傷を修復すること、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする作用のことを指し;
好ましくは、前記疾患が、アレルギー性皮膚炎、接触性皮膚炎、リンパ腫、糖尿病、胃腸疾患、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする方法。


【公表番号】特表2006−507287(P2006−507287A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547235(P2004−547235)
【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/034155
【国際公開番号】WO2004/037213
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】