説明

検査装置及び方法

【課題】
サーモリフレクタンス法による高速検査可能な測定装置及び方法の提供。
【解決手段】
ニポウディスク120を有する共焦点光学系を備え、共焦点光学系を介して被検査対象のサンプルの複数の箇所に、検査用と加熱用レーザ光を照射し、被検査対象のサンプルからの複数の箇所からの反射光に基づき複数の箇所の熱物性情報を同時に取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置と方法に関し、特に、半導体装置の欠陥検査等に用いて好適な装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプルの微小領域に加熱用レーザを照射加熱し、ほぼ同一位置に検査用のレーザを集光させ、検査用のレーザの反射光を利用してサンプルの熱物性値を算出する測定装置が知られている。図3に、従来のサーマルマイクロスコープの構成の一例を示す(特許文献1)。XYZステージ202は、X、Y方向の二次元に移動自在な機構になっており、マイクロメータ(不図示)により上下方向(Z方向)の高さが微調整可能になっている。サンプル201はステージ202に載置され、レーザ光が試料表面に集光するように高さ調整される。サンプル201の表面には、顕微鏡光学系(対物レンズ)207を通過した後に同一光軸上に重なった加熱用レーザと検出用レーザが照射される。加熱用レーザビームは、加熱用レーザ発生部204から出力され、変調器(交流変調器)215により変調される。検出用レーザビームは検出用レーザ発生部203から出力される。ドライバ214は関数発生器(ファンクションジェネレータ)213から出力される所定周波数の交流信号を加熱用レーザビームの変調に必要なパワーに処理して変調器215に出力する。変調器215は、加熱用レーザ発生部204からの加熱用レーザビームをドライバ214から出力される交流信号により変調する。顕微鏡光学系(対物レンズ)207の光軸上には、第1ハーフミラー205と第2ハーフミラー206が配置されている。第1ハーフミラー205は、加熱用レーザビームを顕微鏡光学系207の光軸に一致して反射させ、検出用レーザビームを顕微鏡光学系207の光軸に一致して通過させるよう作用する。第2ハーフミラー206は、第1ハーフミラー205により反射された加熱用レーザビームと第1ハーフミラー205を通過した検出用レーザビームを、顕微鏡光学系(対物レンズ)207の光軸に一致して通過させると共に、サンプル201の表面で反射した加熱用レーザビームと検出用レーザビームの反射光を、光検出器210の入射光軸に一致して反射するように作用する。光検出器210は、例えばフォトダイオード等で構成される。第2ハーフミラー206で反射したレーザ光は、フィルタ(バンドパスフィルタ)209に入力され、フィルタ209によって加熱用レーザビームの反射光が遮断され、検出用レーザビームの反射光のみが通過され、検出用レーザビームの反射光を光検出器210で検出する。
【0003】
第2ハーフミラー206とフィルタ209との間には、第3ハーフミラー208が反射光の光軸から外れた位置と反射光の一部をCCDカメラ211の方向に反射させる位置に回動自在に配置されている。CCDカメラ211に入射した反射光によりパソコン(PC)のモニタ230上に像を表示し、この像を見ながら、加熱用レーザビームと検出用レーザビームの試料表面上のスポットサイズ、位置合わせが行われる。なお、ロックインアンプ212は、光検出器210で検出された検出用レーザビームの強度変化に応じた検出信号のうち、加熱用レーザビームの強度変化に比例する参照信号に同期した成分を増幅し、参照信号に対する反射光の位相遅れδを得る。なお、図3の検査装置においては、レーザ熱物性顕微鏡を用いて基板の熱物性値が既知の薄膜材料の薄膜の特性時間に対する加熱光変調周波数Hと位相遅れδの関係(δ−H曲線)を測定し、極大値又は極小値を持つδ−H曲線を求め、前記極大値又は極小値を持つδ−H曲線から極値をとる点における位相遅れを求め、予め計算された熱浸透率比と極値をとる点における位相遅れの関係を用いて、求めた位相遅れから熱浸透率比を求めるものである。なお、特許文献2にも、同様の測定装置が開示されている。
【0004】
図3の熱物性測定装置を用いて、半導体装置の配線等に集光し、欠陥箇所と正常箇所では温度変化の特性が異なり、温度変化により、観測点の反射率が異なることを利用して、欠陥箇所を特定することもできる。
【0005】
サーモリフレクタンス法として、サンプルに光をあて、周期的な励起パルスを与え、反射光を光検出器で検出し、温度変化を高空間分解能で検出する熱反射法が知られている(非特許文献1)。
【0006】
ここで、サーモリフレクタンス法の原理を概説しておく(非特許文献2参照)。単位温度あたりの反射係数Rの変化をサーモリフレクタンス定数Cthといい、Cthは次式(1)で与えられる。
Cth=(1/R)(dR/dT) …(1)
【0007】
温度変化(ΔT)に対するサンプルの反射係数R(T)は、次式(2)で与えられる。
R(T)=R0+(dR/dT)ΔT …(2)
【0008】
サンプルで反射され検出器で検出された光のパワーPrefは、サンプルの入射光のパワーをPinとすると、次式(3)で与えられる。
Pref=Pin(R0+(dR/dT)ΔT) …(3)
【0009】
温度変化ΔTの周波数をωとすると(ωは加熱用レーザの変調周波数)、変調された信号のパワーPωは、
Pω=Pin(dR/dT)ΔT …(4)
となる。(4)から、Pωより、温度変化ΔTに対する反射係数の変化(dR/dT)ΔTがわかる。
【0010】
温度変化ΔTは、次式(5)で与えられる。
【0011】
ΔT=Pω/(Pin*R0*Cth) …(5)
【0012】
すなわち、ΔTは、光検出器で検出された変調信号のパワーPωを、検出光のDC成分のパワーPin*R0にサーモリフレクタンス定数Cthを乗じた値で、除したものである。
【0013】
サンプルを、電流加熱、加熱物体の接触による加熱、電子ビーム、レーザ(パルス)光照射等によって周期的に加熱し、サンプルから発生される赤外線を高感度検出器で検出する場合、赤外線の波長が長いため、空間分解能が低い。
【0014】
【特許文献1】特開2004−117286号公報(第9図)
【特許文献2】特開2002−5860号公報(第9図)
【特許文献3】特開2003−344778号公報(第3図)
【非特許文献1】Naoyuki Taketoshi, Tetsuya Baba and Akira Ono, "Development of a thermal diffusivity measurement system for metal thin films using picosecond thermoreflectance technique," Measurement Science and technology 12 (2001)、第2064-2073頁
【非特許文献2】James Christofferson, Daryoosh Vashaee, Ali Shakouri, Philip Melese, and Edward T Croke III, "Thermoreflectance Imaging of Superlattice Micro Refrigerators" 平成17年4月4日検索 インターネット<URL:http://quantum.soe.ussc.edu/publications/01_02/AC4.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
レーザ光をサンプルの検査領域のある箇所に照射した後、つぎの照射箇所に位置するように、サンプルを光学系に対して移動し(XYステージを移動)、レーザ光を照射する手順を繰り返す。このため、欠陥箇所を特定するためには、サンプルを搭載したステージをX-Y方向に掃引する必要があり、検査時間が長くなる、という課題がある。
【0016】
なお、レーザ光の走査に音響光学素子(音波と光波の相互作用により屈折率が変化しレーザ光を偏向あるいは変調させる)を用いた場合、検査用と加熱用のビームでは波長が異なるため、同軸で走査することはできない。すなわち、2本のビームを同時に走査することはできない。
【0017】
また、周囲に一連の平面反射鏡を持つポリゴンミラーで同軸走査しても、走査した後の反射光の反射角がたえず変わるため、正確に反射光を検出することは困難である。
【0018】
XYステージにサンプルを搭載した場合、XYステージの重量、及び、求められる精度に応じた位置決め制御等の点から、掃引スピードをあげることは難しい。
【0019】
また、ピエゾ素子を備え精密位置決めを行うステージを用い、サンプルを該ピエゾ素子に載せて位置決めする場合にも、実時間での観測は難しい。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願で開示される発明は、概略以下の構成とされる。
【0021】
本発明は、サーモリフレクタンス測定装置の光学系として共焦点顕微鏡を備えたものである。すなわち、集光点とピンホールが共焦点関係をなすニポウディスクを有する共焦点(conforcal)光学系を備え、該共焦点光学系を介して、被検査対象の試料の複数の箇所に光を照射し、前記被検査対象の試料からの前記複数の箇所からの反射光に基づき前記複数の箇所の熱情報を同時に採取可能としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、共焦点光学系を備え、サンプルの異なる箇所の反射率を同時に採取可能としており、高速測定を可能としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
上記した本発明についてさらに詳細に説明すべく添付図面を参照して以下に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施例の構成を示す図である。検査対象のサンプル101と、サンプル101を載置するステージ102と、検出光レーザ発生部103と、周期的に変調した加熱用レーザ光(ポンプレーザ)を生成する変調器(交流変調器)104と、加熱用レーザを反射させ検出用レーザを通過させる第1ハーフミラー105と、第1ハーフミラー105からのレーザ光を受ける第2ハーフミラー106(ハーフプリズム)と、ニポウディスク(微小開口回転盤)120と、対物レンズ107を含む顕微鏡光学系と、結像レンズ108と、サンプル101からの反射光のうち検出用レーザのみを透過させるフィルタ109と、CCDカメラ110と、PC(パソコン)等のコンピュータからなる画像処理装置130とモニタ131を備えている。フィルタ109で透過された検出用レーザはCCDカメラ110で検出され、検出された光信号は電気信号に変換され、画像処理装置130で画像処理され、モニタ131に出力される。なお、変調器104の前段には、図3に示したような不図示の加熱用レーザ発生部、関数発生器等を備えている。なお、ステージ102は、XY方向に位置決め自在なXYステージであっても、Z方向に位置決め自在なXYZステージであってもよい。
【0025】
特に制限されないが、サンプル101の熱物性情報として温度分布像をモニタ131に出力する場合、前述したように、CCDカメラ110で検出された検出用レーザの変調交流成分Pωが、サンプル101の温度変化に対応しており、画像処理装置130は、各測定箇所のパワーPωに対応して、上式(5)より、ΔTが導出される。あるいは、上式(4)より、変調交流成分Pωが集光点の反射率の変化に対応しており、反射率の変化を画像表示することもできる。
【0026】
本実施例において、ニポウディスク120のピンホール121とサンプル101上の集光点は共焦点関係になっている。すなわち、ニポウディスク120の1つのピンホールを出たあと、サンプル101上で集光された後の戻り光は再びもとのピンホール121を通過する。
【0027】
加熱用のレーザ光と検査用のレーザ光は、ニポウディスク120の各ピンホール121を通過すると、ニポウディスク120の底面にて平面上に並んだ点光源群となる。点光源群からの各光は、対物レンズ107によって集光され、サンプル101上で、レーザ光の光軸と直交する平面状に並ぶ集光点群を形成する。各集光点での反射光は、対物レンズ107で集められ、ニポウディスク120の下面に集光され、それぞれの反射光(戻り光)は元のピンホール121を通り抜ける。そして、ピンホール121を通り抜けた戻り光は、第2ハーフミラー106を介して結像レンズ108で平面状に結像され、フィルタ109に入力される。フィルタ109は、加熱用のレーザ光をカットし、検出用レーザ光のみを透過させる(通過した検出用レーザの変調交流成分が、サンプルの温度変化に対応している)。CCDカメラ110にて検出用レーザを撮像し、CCDカメラ110からのデジタル画像データが、画像処理装置130に転送され、モニタ131に表示される。この温度変化の良品と欠陥部との差により、欠陥を検出する。なお、サンプル101上での集光点(スポット)の径は、ピンホール121の径に、対物レンズ107での縮小率を乗じた大きさとなる(ただし、回折限界による制限あり)。検出用レーザ、加熱用レーザは、例えばそれぞれのレーザ発生部にてビームの幅(口径)をビーム拡大器(beam-expander)等にて拡大させるようにしてもよい。これにより、ニポウディスク120の面に対して平行光を照射することができる。
【0028】
ニポウディスクは、よく知られているように、アルキメデスの螺旋に沿って、中心の周りに等角度で分布し、中心からの距離が等間隔で減少するように並んだ多数のピンホール(微小開口)を持つ円盤であり、レーザ光走査用では、像の観察は、接眼レンズを通して直接に、あるいは、撮像器を用いて行われる。螺旋(図2のL参照)は1本である必要はなく、複数本の螺旋上に、ピンホール121を配している。共焦点顕微鏡は、平面方向、及び光軸方向の分解能が高い、鮮明な像を得ることができる。図2に典型的なニポウディスクの構成を模式的に示す(上記特許文献3参照)。図2において、例えば30度の開き角の部分(図2の斜線部分)が顕微鏡の視野に相当するとすると、CCDカメラ110は、ニポウディスクの30度の回転で、ニポウディスク120の対向する領域のピンホール121の個数に相当する数の走査線(ピンホールが1000個程度形成されている場合、一画面は1000本程度の走査線)からなる画像を1つ構成でき、ニポウディスク120の一回転で、合計12(360/30=12)枚の画像が得られる。ニポウディスク120の回転速度を60回転毎秒とすると、毎秒720枚の画像を得ることができる(上記特許文献3参照)。
【0029】
本実施例によれば、多数のピンホール121を通過した光は、ニポウディスク120の底面で平面上に並んだ点光源群となり、ニポウディスクを回転させることで、多数の光ビームにより(一集光点でなく)、複数の集光点よりなる領域を掃引することができる。また、サンプルの検査領域の温度変化像(反射係数の変化の像)を、実時間に取得し動画像として表示することもできる。
【0030】
図1に示した構成の装置は、温度変化により薄膜の反射率が変化することを利用してサンプルの複数箇所での反射率の変化、あるいは温度変化を同時に取得するものであるが、図1の装置は、ニポウディスク120を回転させ、半導体装置の内部相互配線(interconnect)の実時間検査装置に用いて好適とされる。
【0031】
また、半導体装置の内部の相互配線の故障検査に用いた場合について説明する。例えばあらかじめ基準デバイス(KGD(Known Good Device);良品であることがわかっているデバイス)について、配線の検査領域に、多数のピンホール121から、同時に、複数点レーザ光(加熱用レーザと検出用レーザ)を集光させ、例えば温度変化ΔTの画像を取得しておき、被試験デバイスについても、基準デバイスと同様にして取得された温度変化の分布の画像と照合することにより、欠陥の有無、及び、欠陥がある場合の欠陥の箇所を特定することができる。2つの画像(動画像又は静止画)の照合として、例えば2つの画像の差像をとり、各画素での差が所定の閾値以内であれば差は無いものと判定する。
【0032】
半導体装置の相互配線の故障検査に適用した本実施例の利点は、従来装置とは相違して、サンプル上の集光点を変えるたびにXYステージを移動させることを要しなくしており、多数点について同時に温度分布を取得することができるため、故障解析の処理を高速化することができるということである。
【0033】
そして、良品デバイスと被試験デバイスの温度分布画像との照合(差像等)により、自動的に、且つ高速に故障解析を行うことができる。
【0034】
さらに、本実施例においては、故障解析を行うにあたり、デバイスに電源端子から給電する必要はない。
【0035】
ところで、CCDカメラ110にて検出される光の位置(画像表示される画素の位置に対応する)と、光学系に対するステージ102の位置(サンプル101の位置)等に基づき、CCDカメラ110に至る戻り光の光路(サンプル101上での集光点から該集光点に対応して通過するピンホール121、CCDカメラ110への光路)が求まり、CCDカメラ110による検出結果をモニタ131に表示した像の位置と、被試験デバイス(サンプル)における集光点の位置との対応付けが行われる。また、実デバイス(チップ)上での位置座標(配線等の位置)は、該チップのレイアウトデータ(配線配置を行うレイアウト装置で作成される)での位置座標(配線等の位置)に対応付けることができる。この対応付けは、画像処理装置130を構成するコンピュータで実行されるソフトウエアにより実現してもよいし、あるいは他のコンピュータ上で実行されるソフトウエアにより実現してもよい。このように位置座標を相互に関連付けすることで、モニタ131に表示される、配線の欠陥箇所(良品との相違点)について、該半導体装置のレイアウトデータ(例えば最上層の配線層でのレイアウト)における位置情報に関連付けすることができ、故障解析に貢献するものと期待される。
【0036】
以上本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】ニポウディスクの構成の一例を模式的に示す図である。
【図3】従来のサーモリフレクタンス測定装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
101 サンプル
102 XYステージ
103 検出用レーザ発生部
104 変調器
105 第1ハーフミラー
106 第2ハーフミラー
107 対物レンズ
108 結像レンズ
109 フィルタ
110 CCDカメラ
120 ニポウディスク
121 ピンホール
122 回転軸
130 画像処理装置
131 モニタ
201 サンプル
202 XYZステージ
203 検出用レーザ発生部
204 加熱用レーザ発生部
205 第1ハーフミラー
206 第2ハーフミラー
207 顕微鏡光学系(対物レンズ)
208 第3ハーフミラー
209 フィルタ
210 検出器(光検出器)
211 CCDカメラ
212 ロックインアアンプ
213 関数発生器
214 ドライバ
215 変調器(交流変調器)
230 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの検査対象の箇所に加熱用レーザを照射して加熱し検出用レーザを集光させ前記検出用レーザの反射光を利用して前記サンプルの熱物性値を導出する検査装置であって、
合焦時の前記サンプル上のスポットと共役な位置にピンホールを配置してなる共焦点光学系を備え、
複数の前記ピンホールから、前記サンプルの複数のスポットに、少なくとも前記検出用レーザを集光し、前記サンプルの前記複数のスポットからの前記検出用レーザの反射光に基づき、前記サンプルの前記複数のスポットにおける熱物性値を採取可能としてなる、ことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記熱物性値が、温度変化又は反射率の変化である、ことを特徴とする請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記共焦点光学系が、複数の前記ピンホールが螺旋状に並んで形成された円盤状の微小開口回転盤(「ニポウディスク」という)を有し、
前記検出用レーザ及び前記加熱用レーザをあわせた光を、複数の前記ピンホールから、前記サンプルの複数のスポットに同時に集光し、
前記サンプルの前記複数のスポットからの、前記検出用レーザ及び前記加熱用レーザをあわせた光の反射光が、それぞれもとのピンホールを通過し、
前記検出用レーザ及び前記加熱用レーザをあわせた光の反射光を受け前記検出用レーザを選択的に通過させるフィルタと、
前記フィルタから出力される前記検出用レーザを検出する光検出器と、
を備えている、ことを特徴とする請求項1記載の検査装置。
【請求項4】
前記光検出器からの信号を受け表示装置に出力する手段を備えている、ことを特徴とする請求項3記載の検査装置。
【請求項5】
前記加熱用レーザは所定の周波数で交流変調されており、
前記光検出器で検出された前記検出用レーザの反射光から、前記変調周波数による成分に基づき、前記熱物性値として、温度変化又は反射率の変化を像として出力する手段を備えている、ことを特徴とする請求項3記載の検査装置。
【請求項6】
前記サンプルが半導体装置であり、前記半導体装置の導電部材の複数のスポットに、前記加熱用レーザ及び前記検出用レーザをあわせた光をそれぞれ同時に集光する、ことを特徴とする請求項3記載の検査装置。
【請求項7】
前記ニポウディスクを回動させ、前記サンプルの検査領域を実時間で観測可能としている、ことを特徴とする請求項3又は6記載の検査装置。
【請求項8】
良品の基準サンプルについて取得した像と、検査対象のサンプルについて取得した像を比較照合し、欠陥の有無、及び、欠陥がある場合には欠陥箇所を判別する手段を備えている、ことを特徴とする請求項6記載の検査装置。
【請求項9】
サンプルの検査対象の箇所に加熱用レーザを照射して加熱し、検出用レーザを集光させ前記検出用レーザの反射光を利用して前記サンプルの熱物性値を導出する検査方法であって、
合焦時の前記サンプル上のスポットと共役な位置にピンホールを配置してなる共焦点光学系を用い、
複数の前記ピンホールから前記サンプルの複数のスポットに、少なくとも前記検出用レーザを集光し、前記サンプルの前記複数のスポットからの、前記検出用レーザの反射光に基づき、前記サンプルの前記複数のスポットにおける熱物性値を採取する工程を含む、ことを特徴とする検査方法。
【請求項10】
前記熱物性値が、温度変化又は反射率の変化である、ことを特徴とする請求項9記載の検査方法。
【請求項11】
前記共焦点光学系が、複数の前記ピンホールが螺旋状に並んで形成された円盤状の微小開口回転盤(「ニポウディスク」という)を有し、
前記検出用レーザ及び前記加熱用レーザをあわせた光を前記サンプルの複数のスポットに複数の前記ピンホールから同時に集光し、
前記サンプルの前記複数のスポットからの、前記検出用レーザ及び前記加熱用レーザをあわせた光の反射光が、それぞれもとのピンホールを通過し、前記検出用レーザ及び前記加熱用レーザをあわせた光の反射光のうち、フィルタにて、前記検出用レーザが選択され、光検出器で検出される、ことを特徴とする請求項9記載の検査方法。
【請求項12】
前記加熱用レーザは、所定の周波数で交流変調されており、
前記光検出器で検出された前記検出用レーザの反射光から、前記変調周波数による成分に基づき、前記熱物性値として、温度変化又は反射率の変化を像として出力する工程を含む、ことを特徴とする請求項11記載の検査方法。
【請求項13】
前記サンプルが半導体装置であり、前記半導体装置の導電部材の複数のスポットに、前記加熱用レーザ及び前記検出用レーザをあわせた光をそれぞれ同時に集光する、ことを特徴とする請求項11記載の検査方法。
【請求項14】
前記ニポウディスクを回動させ、前記サンプルの検査領域を実時間で観測可能としている、ことを特徴とする請求項13記載の検査方法。
【請求項15】
良品の基準サンプルについて取得した像と、検査対象のサンプルについて取得した像を比較照合し、欠陥の有無、及び、欠陥がある場合には欠陥箇所を判別する手段を備えている、ことを特徴とする請求項9記載の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−308513(P2006−308513A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134085(P2005−134085)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】