機能膜形成方法、配線基板の製造方法および配線基板
【課題】液体に対し金属膜の表面の濡れ性を改質し、金属表面と液体との接触角を増加させて液体の濡れ広がりを抑制し、信頼性の高い機能膜を低コストで実現すること。
【解決手段】基材1の平板面1aに金属膜2を形成する(金属膜形成工程)。次いで、金属膜2の表面2aに機能材料を含有する液体3を付与し、液体3を固化させて機能膜3Aを形成する(機能膜形成工程)。金属膜形成工程では、平板面1aに対する成膜入射角αが5°以上15°以下となる条件で平板面1aに金属を真空蒸着し、金属膜2を平板面1aに対して20°以上45°以下に傾斜する柱状結晶構造に形成する。
【解決手段】基材1の平板面1aに金属膜2を形成する(金属膜形成工程)。次いで、金属膜2の表面2aに機能材料を含有する液体3を付与し、液体3を固化させて機能膜3Aを形成する(機能膜形成工程)。金属膜形成工程では、平板面1aに対する成膜入射角αが5°以上15°以下となる条件で平板面1aに金属を真空蒸着し、金属膜2を平板面1aに対して20°以上45°以下に傾斜する柱状結晶構造に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属膜の表面と機能膜となる液体との接触角を増加させて機能膜を形成する機能膜形成方法、機能膜として、第1の電極と第2の電極とを導通させる導電膜を形成する配線基板の製造方法、および導電膜を有する配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細パターニングを特殊な構造体に形成することが求められている。微細パターニングを形成する方法にフォトリソグラフィ工程を採用することが非常に多い。フォトリソグラフィ工程はレジスト塗布、乾燥、露光、現像、機能膜形成、レジスト剥離、レジスト残渣除去工程等非常に煩雑な工程が必要である。そこで、フォトリソグラフィ工程をできるだけ簡便化することが望まれている。特に機能膜形成に対し、必要な箇所のみに形成する方法が採用されつつある。必要なところにのみに材料を付与する方法には、スクリーン印刷やディスペンサ法あるいはインクジェット法等がある。スクリーン印刷法は、平板構造体に形成するには良い方法である。しかし、段差を持つものや孔形状の基体に対しては、容易ではない。その点、ディスペンサ法やインクジェット法は段差や孔形状の基体に対しても比較的容易に材料を塗布し、膜を形成することが可能である。
【0003】
ディスペンサ法やインクジェット法では液状材料を使用する。液状材料は、ドライ工程とは異なり、表面の化学的状態や微細な凹凸の物理的状態で液と表面との濡れ性が大きく異なる。そのため、目的の塗布状態を達成する為に表面状態を制御することが非常に重要である。
【0004】
そのため、微細パターニング等を行う為に、パターニング面での液状材料に対し、撥液性を持たせることが求められる。一般には、パターニング面にフルオロアルキル基(CF3(CF2)n−)等を含有する撥液材料を形成する方法が取られている。そのためには、撥液膜の形成には真空蒸着法等のドライの方法やスピンコート等のウェットの方法が採用される。さらに、必要な箇所のみ撥液性を持たせるため、不必要なところには撥液剤が形成されないようにするか、形成した後に除去するパターニング工程が必要である。
【0005】
そこで、撥液剤のパターニング工程を行い、配線を形成する方法が採用されている(特許文献1参照)。また、相対的に親液部の親液性を向上させ塗布する方法も採用されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−26014号公報
【特許文献2】特開2008−294244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に機能材料を含有する液(ペーストあるいはインク)を必要な箇所のみに塗布するために機能膜を塗布しない箇所に撥液剤をパターニング塗布する方法が用いられる。例えば特許文献1に記載されている方法では、撥液剤として自己組織化膜を利用している。また、パターニングには、フォトリソグラフィ工程を利用したマスクを用いた紫外線露光で行っている。このように基板に全面撥インク膜を形成した後、不必要な部分の撥インク膜の機能を除去する工程は、パターニング位置精度や工程が増えることによるコストの観点から問題となってしまう。
【0008】
また、特許文献2に記載の方法において、貫通孔部の内壁面を機能インクに対して親インク処理にするために表面粗さを大にする方法が採用されている。一般に表面を粗にすると撥インク性のモノはより撥インク性を示し、親インク性のモノはより親インク性を示す。これは、表面積が多くなることによる効果(wenzel効果)である。このように表面形態が比較的平坦な状態で親インク性を示す場合には、表面を粗にすることでさらに親インク性を示す。つまり、インク対して親インク性を持つ基材に対して撥インク性を付与することは容易ではない。
【0009】
そこで、本発明は、液体に対し金属膜の表面の濡れ性を改質し、金属表面と液体との接触角を増加させて液体の濡れ広がりを抑制し、信頼性の高い機能膜を低コストで実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の機能膜形成方法は、基材の平板面に金属膜を形成する金属膜形成工程と、前記金属膜の表面に機能材料を含有する液体を付与し、前記液体を固化させて機能膜を形成する機能膜形成工程と、を有し、前記金属膜形成工程では、前記平板面に対する成膜入射角が5°以上15°以下となる条件で前記平板面に金属を真空蒸着し、前記金属膜を前記平板面に対して傾斜する柱状結晶構造に形成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の配線基板の製造方法は、底面を第1の電極とする微細穴が形成された基材の平板面に、第2の電極を構成する金属膜を形成する金属膜形成工程と、吐出ヘッドにより導電性材料を含有する液体を前記微細穴に吐出する液体吐出工程と、前記液体を固化させて前記第1の電極と前記第2の電極とを導通させる導電膜を形成する導電膜形成工程と、を備えた配線基板の製造方法において、前記金属膜形成工程では、前記平板面に対する成膜入射角が5°以上15°以下となる条件で前記平板面に金属を真空蒸着し、前記金属膜を前記平板面に対して傾斜する柱状結晶構造に形成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の配線基板は、底面を第1の電極とする微細穴が形成された基材の平板面に、第2の電極を構成する金属膜が形成され、前記第1の電極と前記第2の電極とを導通させる導電膜が前記微細穴の側壁面に形成された配線基板において、前記金属膜は、前記平板面に対して20°以上45°以下に傾斜する柱状結晶構造に形成され、前記導電膜は、導電性材料を含有する液体が前記側壁面に塗布されて固化することにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の機能膜形成方法によれば、金属膜が基材の平板面に対し斜め柱状結晶構造に形成されるので、液体の濡れ広がりのピン止め効果を有するように金属膜における濡れ性が改質される。それによって、液体に対し親液性の度合いが低減され、液体の広がりを抑制することが可能となる。したがって、信頼性の高い機能膜を形成することができる。また、このように形成された金属膜をフォトリソグラフィ工程でパターニングする必要がないので、工程数を削減でき、コストダウンを図ることができる。
【0014】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、微細穴からの平板面への液体の濡れ広がりを抑制することができるので、微細穴において導電膜の膜厚が均一となり、導電膜の断線が防止される。
【0015】
また、本発明の配線基板によれば、導電膜の断線が防止されるので、配線基板に実装される装置の動作が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る機能膜形成方法を説明するための模式図であり、(a)は金属膜形成工程を説明するための図、(b)は機能膜形成工程を説明するための図である。
【図2】金属膜のSEM観察結果を示す図であり、(a)は金属膜の断面観測結果を示す図、(b)は金属膜の表面観測結果を示す図である。
【図3】比較例の機能膜形成方法を説明するための模式図であり、(a)は金属膜形成工程を説明するための図、(b)は機能膜形成工程を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る機能膜形成方法により形成される金属膜及び機能膜の実測結果を示すグラフである。(a)は成膜入射角に対する金属膜の柱状角を示す図、(b)は金属膜の柱状角に対する機能膜となるインクの接触角と液ドット径を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る機能膜形成方法を説明するための模式図であり、(a)は金属膜形成工程を説明するための図、(b)は機能膜形成工程を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る機能膜形成方法を説明するための模式図であり、(a)〜(c)は機能膜形成工程を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る機能膜形成方法を説明するための模式図であり、機能膜形成工程を説明するための図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る機能膜形成方法としての配線基板の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は微細穴形成工程を説明するための図、(b)は金属膜形成工程を説明するための図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る機能膜形成方法としての配線基板の製造方法を説明するための模式図であり、(a)及び(b)は液体吐出工程を説明するための図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る機能膜形成方法としての配線基板の製造方法を説明するための模式図であり、導電膜形成工程を説明するための図である。
【図11】比較例の配線基板を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る機能膜形成方法を説明するための模式図である。まず、図1(a)に示すように、基材1の平板面1aに金属膜2を形成する(金属膜形成工程)。本第1実施形態では、基材1は、Si基板である。この基材1に真空蒸着法にて金属としてのAuを基材1の平板面1aに対して斜めに傾けて成膜したものである。金属膜2は、真空蒸着法のEB加熱法により、Auを平板面1aに膜厚100nmで真空蒸着により形成される。成膜時の雰囲気の圧力は2〜5×10−3Paで行う。Si基板である基材1と金属膜2との密着力を上げる為に、図1には図示していないが、基材1と金属膜2との間に平板面1aに対しほぼ垂直に入射するように50nmTi膜を成膜するのがよい。
【0019】
次に、図1(b)に示すように、この金属膜2の表面2aに機能材料を含有する液体3を付与する。液体3としては、金属微粒子インクである銀ナノ粒子インクを用いている。銀ナノ粒子インクは、主溶媒にはウンデカンやテトラデカン等を用いた油性インクであり、表面張力は30〜35mN/mであり比較的小さい材料である。銀ナノ粒子の銀の濃度は40wt%である。塗布にはディスペンサを用いる。塗布量は1μlである。金属膜2の表面状態により、図1(b)のような濡れ広がり状態となる。その後、液体3を乾燥させた後、焼成して導電性粒子インクの焼結体である固化した機能膜3Aを形成する(機能膜形成工程)。
【0020】
ここで、本第1実施形態では、金属膜形成工程において、金属膜2を平板面1aに対して傾斜した柱状結晶構造に形成するものである。なお、このときの不図示のAu蒸発源と基材1の平板面1aの角度を成膜入射角αとする。また、平板面1aに対する柱状結晶構造の金属膜2の傾斜角である柱状角をΘとする。図2に、成膜入射角αが15°の条件でのSEM観察結果を示す。装置は、JEOL−5600LVを使用した。図2(a)は金属膜の断面観察結果であり、加速電圧は10kVである。柱状結晶構造の金属膜2の柱状角は45°であった。図2(b)は金属膜の表面観察結果であり、加速電圧は20kVである。
【0021】
比較例として、Si基板である基材1の表面に成膜入射角αが90°の条件でのAuを成膜した結果を図3(a)に示す。このときは、金属膜は、連続膜4となり柱状結晶構造とはならない。また、この連続金属膜4上に液体5を塗布したものが図3(b)である。塗布にはディスペンサを用いた。塗布量は本第1実施形態と同一の1μlである。本実施形態における図1(b)の状態での液の接触角は9.4°であった。これに対し、比較例における図3(b)での状態での液の接触角は3.0°であった。このように、金属膜2を斜め柱状結晶構造に形成することで液の濡れ広がり性を抑制することが可能となる。
【0022】
また、成膜入射角αと斜め柱状結晶の柱状角Θの関係を図4(a)に示す。成膜入射角αが5°未満では、斜め柱状結晶が形成されなかった為、図4(a)に記載していない。また、液体3として、銀ナノ粒子インクを用いてディスペンサを用いて同様に斜め柱状結晶構造の金属膜2上に1μl塗布し、接触角を計測した結果を図4(b)に示した。さらに、この銀ナノ粒子インクをインクジェットにより、10pl塗布した場合の液ドット径も図4(b)に示した。図4(b)に記載していないが、連続金属膜に同様にインクジェットにより液滴を10pl塗布した結果のドット径は80μmであった。これによると、液体の接触角は柱状角が45°以下になると高くなることがわかる。また、前述したように柱状角Θは20°未満の斜め柱状結晶膜は形成することが困難である。同様に、インクジェットによる液滴のドット径の変化を見ると斜め柱状結晶の柱状角Θが45°以下になると従来例のドット径80μmに比べて、−10μmドット径の広がりを低減できる。
【0023】
つまり、柱状角Θが45°を超えると濡れのピン止め効果が少なくなり、液体の濡れ広がりを抑制する効果が薄くなる。また、斜め柱状結晶の平板面に対する結晶方向が20°未満の柱状結晶構造を形成することが非常に困難である。
【0024】
したがって、金属膜形成工程では、平板面1aに対する成膜入射角αが5°以上15°以下となる条件で平板面1aに金属Auを真空蒸着することで、柱状角Θが20°以上45°以下となる斜め柱状結晶構造の金属膜2を形成することができる。このように、斜め柱状結晶膜の柱状角Θを20°以上45°以下とすることで、液体3の濡れ広がりのピン止め効果を有するように金属膜2が改質される。それによって、液体に対し親液性の度合いが低減され、金属膜2の表面2aにおける液体3の濡れ広がりを抑制することが可能となる。したがって、信頼性の高い機能膜3Aを形成することができる。また、このように形成された金属膜2をフォトリソグラフィ工程でパターニングする必要がないので、工程数を削減でき、コストダウンを図ることができる。
【0025】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る機能膜形成方法について、図5〜図7を参照しながら説明する。本第2実施形態では、基材6は、図5(a)に示すように、平板面6aと、平板面6aに略直角(本実施形態では直角)な壁面6bとを有している直角構造体である。基材6は、例えばSi基板である。
【0026】
Si基板である基材6の平板面6aに対しては、成膜入射角α1が5°以上15°以下の範囲内である5°で真空蒸着法にてAuである金属を成膜したものである。この斜め成膜により、平板面6a上には斜め柱状結晶構造である金属膜7が形成される(金属膜形成工程)。同時に、平板面6aに対して直角な壁面6bに対しては、成膜入射角α2が75°以上85°以下の範囲内である85°で真空蒸着法にてAuである金属を成膜したものである。この真空蒸着により金属膜7に接続された連続金属膜8が形成される。Auは抵抗加熱法で蒸着させた。成膜時の圧力は5〜8×10−4Paで行った。柱状結晶構造の金属膜7の膜厚は150nmであった。
【0027】
なお、Si基板である基材6と金属膜7との密着力を上げる為に、図5には図示していないが、基材6と金属膜7との間にTi膜を基材6の平板面6aに対して、ほぼ入射角45°になるように50nm成膜した。同時に、平板面6aに対して略直角な壁面6bに対しては、入射角45°で密着層であるTi膜を成膜した。
【0028】
基材6の平板面6aには、成膜入射角α1が5°であったので、柱状角Θが20°の斜め柱状結晶構造の金属膜7が形成される。基材6の壁面6bには、成膜入射角α2が85°であったので、柱状結晶構造とはならない連続金属膜8が形成される。
【0029】
次に、基材6に対して液体を塗布する工程を、図5(b)を用いて説明する。液体10としては、金属微粒子インクとしての銀ナノ粒子インクを用いる。銀ナノ粒子インクは、主溶媒にはウンデカンやテトラデカン等を用いた油性インクであり、表面張力は30〜35mN/mであり比較的小さい材料である。銀ナノ粒子の銀の濃度は50wt%である。塗布にはディスペンサ9を用いる。塗布量は0.2μlである。ディスペンサ9にて液体10を連続金属膜8における金属膜7との境界となる側の端部8bに塗布する。液体10は、連続金属膜8に対して、非常に濡れ性が良い為、図6(a)、図6(b)、及び図6(c)の過程で金属膜7側にも広がっていくが、最終的には図6(c)のように、平板面6a上の金属膜7上に一部広がり安定する。
【0030】
最終的には、図7に示すように、液体10の揮発成分が蒸発し、機能膜10Aが形成される。なお、本実施形態では、機能膜10Aの機能を持たせるために、200℃、30分の焼成工程を加える。
【0031】
以上より、同一種の金属材料Auであっても膜の状態を斜め柱状結晶構造の金属膜7と連続金属膜8とでは液体10の濡れ性が異なり、連続金属膜8に対して金属膜7を改質することが可能となる。このように、平板面6a上に斜め柱状結晶構造の金属膜7を成膜することで、平板面6a上への液体3の濡れ広がりを抑制することができる。
【0032】
そして、平板面6a上には斜め柱状結晶構造の金属膜7が形成されるのに対し、壁面6b上には、略直角の成膜入射角となるため、柱状結晶膜は形成されにくく、連続金属膜8が形成される。
【0033】
そのため、壁面6b上の連続金属膜8では液体10に対しては濡れ易い表面となる。よって、液体10は、壁面方向に広がって壁面6bに機能膜10Aが形成され、斜め柱状結晶の金属膜7が形成された平板面6aには広がり難くなる。したがって、均一な膜厚の機能膜10Aを形成することが可能となる。
【0034】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る機能膜形成方法としての配線基板の製造方法について、図8〜図10を参照しながら説明する。本第3実施形態は微細穴24を持つ基材23に適用したものである。まず、微細穴24の形成方法を、図8(a)を参照しながら説明する。図8(a)は配線基板の微細穴24の断面図である。Si基板21には、微細穴24が形成されており、下部電極25まで連通されている。
【0035】
まず、Si基板21の片面に下部電極25や半導体素子(不図示)などをパターニングした後、その裏面をバックグラインド加工及びポリッシュ加工により研磨し、200μmの厚さとした。次にSi基板21の研磨された面に対し、CVD法によりSiO2膜を成膜し、マスク層(不図示)とした。
【0036】
その後マスク層を、ポジレジストをマスクとしてRIE法によりパターニングを実施し、微細穴24を形成する際の位置を規定する開口を形成した(不図示)。なおこの開口はΦ50μmとした。次に、マスク層及びポジレジストをマスクとし、ボッシュ法を用いて微細穴24を形成した。ボッシュ法とは、プラズマエッチング工程とプラズマデポジション工程とを交互に行うことによりマスクの垂直方向をエッチング加工し、孔を形成する方法である。具体的にはプラズマエッチング工程の条件は基板温度23℃、圧力8Pa、SF6流量750scc/min、13.56MHzのプラズマソース用高周波出力2.5kWであり時間は3secとした。またプラズマデポジション工程の条件は基板温度23℃、圧力3Pa、C4F8流量200scc/min、13.56MHzのプラズマソース用高周波出力2.5kWであり時間は3secとした。この工程を繰り返すことでΦ50μm、深さ200μmの微細穴24を形成した。
【0037】
微細穴24の側壁部からSi基板21の上面部を覆うように絶縁膜22が形成されている。絶縁膜22はポジレジストを剥離除去し、続いてCVD法にて1.5μm厚のパラキシリレンを成膜し形成した。この後、RIEにより下部電極25上のポリパラキシリレンを選択的に除去した。
【0038】
次に図8(b)により、下地導電層の形成方法について説明する。図8(b)では下地電極層は下部電極25上に形成される下地導電膜26と、平板面23a上に形成される下地導電膜27とからなる。下部電極25の材質にアルミニウムを用いたため、上記一連の工程後にはその表面に自然酸化膜が生成していた。したがって逆スパッタ処理により下部電極25上の自然酸化膜を除去した。直ちに平板面23aに対して、ほぼ金属ターゲット面が垂直になるように、まずTi層を成膜した後、Au層のスパッタ成膜を行った。これにより、下部電極25上に、Ti膜、その上にAu膜が積層された下地導電膜26、平板面23a上に、Ti膜、その上にAu膜が積層された下地導電膜27を同時に形成した。Ti層は50nm、Au層は200nm成膜した。
【0039】
以上、下地導電膜を形成したことにより、基材23の裏面には、下部電極25及び下地導電膜27からなる第1の電極28が形成されたことになる。また、第1の電極28が微細穴24の底面24aとなり、絶縁膜22が微細穴24の側壁面24bとなる。この側壁面24bは、平板面23aに対して略直角(本第3実施形態では直角)な壁面である。
【0040】
次に、図8(b)に示すように、基材23の平板面23a上に更に金属膜29が形成される(金属膜形成工程)。具体的には、下地導電膜27上に金属膜29が形成される。このとき、平板面23aに対する成膜入射角が5°以上15°以下の条件でSi基板21を保持し、平板面23aに金属であるAuをEB蒸発加熱により真空蒸着することで、平板面23aに対して傾斜する柱状結晶構造の金属膜29が形成される。具体的には、平板面23aに対して20°以上45°以下に傾斜する柱状結晶構造の金属膜29が形成される。本実施形態では、成膜入射角を15°とし、柱状角を45°に形成した。圧力は1〜3×10−3Paで行った。斜め柱状結晶の金属膜29の膜厚は200nmである。このとき、微細穴24の側壁面24bの開口端部側には、この真空蒸着により金属膜29に連続して接続された連続金属膜30が同時に形成される。これら下地導電膜27、金属膜29及び連続金属膜30により、第1の電極31が構成される。金属の柱状結晶は抵抗値が高くなってしまう傾向があるが、斜め柱状結晶の金属膜29を、斜め柱状結晶の金属膜29と同一材料の下地導電膜27の上に形成することで、導電性を向上させることができる。
【0041】
次に、微細穴24の内部に配線となる導電膜を付与し、微細穴24の底面24aとなる第1の電極28と、平板面23a上の第2の電極31とを電気的に接続する工程について図9及び図10を参照しながら説明する。
【0042】
まず、図9(a)及び図9(b)に示すように、液体吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッド40を利用して、導電性材料を含有する液体(Agナノ粒子含有インク)41A〜41Dを微細穴24に吐出する(液体吐出工程)。インクジェットヘッド40には、Agナノ粒子含有インクが充填されている。インクジェットヘッド40は、基材23に対して相対的に移動しており、吐出された液体(液滴)41A〜41Dも吐出方向とは別にこの相対的な速度成分を含んでいる。この吐出方向の速度成分と、相対的な速度成分、インクジェットヘッド40と基材23とのギャップ等を調整することにより、微細穴24内の任意の位置に液滴41A〜41Dを着弾させることができる。
【0043】
飛翔する液滴41Aは、図9(b)に示すように、微細穴24の底面24aである第1の電極28上に着弾させている。続けて、同様に液滴41B,41C,41Dを、インクジェットヘッド40を基材23に対して相対的に移動させることにより付与している。最後の液滴41Dは微細穴上部のAu連続金属膜30上に着弾させている。なお、本実施形態では、液滴は4ドットであったが、これに限定されるものではなく、これよりも少なくても多くても良い。
【0044】
付与された液滴41A〜41Dは微細穴24の中で濡れ広がって繋がる。そして、微細穴24に付与した液滴41A〜41Dを乾燥固化させることで、図10に示す第1の電極28と第2の電極31とを導通させる導電膜42が形成される(導電膜形成工程)。この導電膜42は斜め柱状結晶構造の金属膜29上に一部接触し、濡れ広がりを抑制された状態で留まり乾燥している。この導電膜42を配線として利用する為に、200℃、30分の熱処理工程を実施し、焼成して導電性粒子インクの焼結体を形成する。本工程実施後のこの微細穴24内の配線抵抗を測定すると1.5Ωであった。以上の工程により、配線基板100が製造される。
【0045】
また、比較例の配線基板200を、図11を参照しながら簡単に説明する。Si基板21及び微細穴24の形成方法及び下部電極25及び下地導電膜26,27は第3実施形態と同一方法で形成する。
【0046】
斜め柱状結晶構造の金属膜29の代わりに、連続膜51を真空蒸着法で200nm成膜した。この状態の基材23に、同様にインクジェットヘッドを用いて同一方法で、Agナノ粒子インクの液体を同一ドット塗布した。インクを乾燥させた結果、図11に示す導電膜52となった。この膜52は、図11に示すように、不連続箇所52aが存在した。このため、200℃、30分熱処理工程後の微細穴内の配線抵抗を測定すると抵抗値は1kΩ以上になっている。平板面上の金属膜が通常の連続膜になっている場合は、Agナノ粒子インクのように非常に濡れ易い液では微細穴内部に液は保持されにくく、平板面上に移動し易くなる。さらに、微細穴内部では乾燥が遅い為、ますます平板面上に液が移動し易くなる。
【0047】
以上のように、微細穴24のように特殊な構造体に対しても、平板面上を斜め柱状結晶の金属膜29を形成することにより、液の広がりを抑制する金属膜29を容易に低コストで形成することが確認された。
【0048】
以上、本第3実施形態によれば、直角構造体が微細穴24である場合には、微細穴24の底面24aである第1の電極28と平板面23a上の第2の電極31との電気的コンタクトを形成するのに非常に有利である。微細穴24の中部は、液体が乾燥しにくい状態であるのに対して、平板面23a上は乾燥しやすい雰囲気である。そのため液体の乾燥過程で、液体の移動が発生し、液体が平板面23a上に移動する。その結果、比較例では、微細穴24の上部の膜厚が薄くなり、平板上面と連続膜が形成できなくなってしまう。しかし、本第3実施形態によれば、液体の濡れ広がりが抑制できる為、微細穴24における導電膜42の膜厚を均一にすることができ、導電膜42の断線が防止される。そして、導電膜42の断線が防止されるので、配線基板100に実装される半導体装置等の装置の動作が安定する。
【0049】
なお、上記実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記第1、第2実施形態では、基材がSi基板である場合について説明したがこれに限定するものではなく、絶縁基板等についても適用可能である。また、上記第3実施形態では、Si基板に絶縁膜と形成した基材について説明したが、Si基板の代わりに絶縁基板を用いた場合には、絶縁膜は省略可能である。また、液体に含有する機能材料がAuの金属材料について説明したが、これに限定するものではなく、他の金属材料や絶縁材料等であっても適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…基材、1a…平板面、2…金属膜、2a…表面、3…液体、3A…機能膜、6…基材、6a…平板面、6b…壁面、7…金属膜、8…連続金属膜、10…液体、10A…機能膜、23…基材、23a…平板面、24…微細穴、24a…底面、24b…側壁面、28…第1の電極、29…金属膜、30…連続金属膜、31…第2の電極、40…インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)、42…導電膜、100…配線基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属膜の表面と機能膜となる液体との接触角を増加させて機能膜を形成する機能膜形成方法、機能膜として、第1の電極と第2の電極とを導通させる導電膜を形成する配線基板の製造方法、および導電膜を有する配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細パターニングを特殊な構造体に形成することが求められている。微細パターニングを形成する方法にフォトリソグラフィ工程を採用することが非常に多い。フォトリソグラフィ工程はレジスト塗布、乾燥、露光、現像、機能膜形成、レジスト剥離、レジスト残渣除去工程等非常に煩雑な工程が必要である。そこで、フォトリソグラフィ工程をできるだけ簡便化することが望まれている。特に機能膜形成に対し、必要な箇所のみに形成する方法が採用されつつある。必要なところにのみに材料を付与する方法には、スクリーン印刷やディスペンサ法あるいはインクジェット法等がある。スクリーン印刷法は、平板構造体に形成するには良い方法である。しかし、段差を持つものや孔形状の基体に対しては、容易ではない。その点、ディスペンサ法やインクジェット法は段差や孔形状の基体に対しても比較的容易に材料を塗布し、膜を形成することが可能である。
【0003】
ディスペンサ法やインクジェット法では液状材料を使用する。液状材料は、ドライ工程とは異なり、表面の化学的状態や微細な凹凸の物理的状態で液と表面との濡れ性が大きく異なる。そのため、目的の塗布状態を達成する為に表面状態を制御することが非常に重要である。
【0004】
そのため、微細パターニング等を行う為に、パターニング面での液状材料に対し、撥液性を持たせることが求められる。一般には、パターニング面にフルオロアルキル基(CF3(CF2)n−)等を含有する撥液材料を形成する方法が取られている。そのためには、撥液膜の形成には真空蒸着法等のドライの方法やスピンコート等のウェットの方法が採用される。さらに、必要な箇所のみ撥液性を持たせるため、不必要なところには撥液剤が形成されないようにするか、形成した後に除去するパターニング工程が必要である。
【0005】
そこで、撥液剤のパターニング工程を行い、配線を形成する方法が採用されている(特許文献1参照)。また、相対的に親液部の親液性を向上させ塗布する方法も採用されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−26014号公報
【特許文献2】特開2008−294244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に機能材料を含有する液(ペーストあるいはインク)を必要な箇所のみに塗布するために機能膜を塗布しない箇所に撥液剤をパターニング塗布する方法が用いられる。例えば特許文献1に記載されている方法では、撥液剤として自己組織化膜を利用している。また、パターニングには、フォトリソグラフィ工程を利用したマスクを用いた紫外線露光で行っている。このように基板に全面撥インク膜を形成した後、不必要な部分の撥インク膜の機能を除去する工程は、パターニング位置精度や工程が増えることによるコストの観点から問題となってしまう。
【0008】
また、特許文献2に記載の方法において、貫通孔部の内壁面を機能インクに対して親インク処理にするために表面粗さを大にする方法が採用されている。一般に表面を粗にすると撥インク性のモノはより撥インク性を示し、親インク性のモノはより親インク性を示す。これは、表面積が多くなることによる効果(wenzel効果)である。このように表面形態が比較的平坦な状態で親インク性を示す場合には、表面を粗にすることでさらに親インク性を示す。つまり、インク対して親インク性を持つ基材に対して撥インク性を付与することは容易ではない。
【0009】
そこで、本発明は、液体に対し金属膜の表面の濡れ性を改質し、金属表面と液体との接触角を増加させて液体の濡れ広がりを抑制し、信頼性の高い機能膜を低コストで実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の機能膜形成方法は、基材の平板面に金属膜を形成する金属膜形成工程と、前記金属膜の表面に機能材料を含有する液体を付与し、前記液体を固化させて機能膜を形成する機能膜形成工程と、を有し、前記金属膜形成工程では、前記平板面に対する成膜入射角が5°以上15°以下となる条件で前記平板面に金属を真空蒸着し、前記金属膜を前記平板面に対して傾斜する柱状結晶構造に形成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の配線基板の製造方法は、底面を第1の電極とする微細穴が形成された基材の平板面に、第2の電極を構成する金属膜を形成する金属膜形成工程と、吐出ヘッドにより導電性材料を含有する液体を前記微細穴に吐出する液体吐出工程と、前記液体を固化させて前記第1の電極と前記第2の電極とを導通させる導電膜を形成する導電膜形成工程と、を備えた配線基板の製造方法において、前記金属膜形成工程では、前記平板面に対する成膜入射角が5°以上15°以下となる条件で前記平板面に金属を真空蒸着し、前記金属膜を前記平板面に対して傾斜する柱状結晶構造に形成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の配線基板は、底面を第1の電極とする微細穴が形成された基材の平板面に、第2の電極を構成する金属膜が形成され、前記第1の電極と前記第2の電極とを導通させる導電膜が前記微細穴の側壁面に形成された配線基板において、前記金属膜は、前記平板面に対して20°以上45°以下に傾斜する柱状結晶構造に形成され、前記導電膜は、導電性材料を含有する液体が前記側壁面に塗布されて固化することにより形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の機能膜形成方法によれば、金属膜が基材の平板面に対し斜め柱状結晶構造に形成されるので、液体の濡れ広がりのピン止め効果を有するように金属膜における濡れ性が改質される。それによって、液体に対し親液性の度合いが低減され、液体の広がりを抑制することが可能となる。したがって、信頼性の高い機能膜を形成することができる。また、このように形成された金属膜をフォトリソグラフィ工程でパターニングする必要がないので、工程数を削減でき、コストダウンを図ることができる。
【0014】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、微細穴からの平板面への液体の濡れ広がりを抑制することができるので、微細穴において導電膜の膜厚が均一となり、導電膜の断線が防止される。
【0015】
また、本発明の配線基板によれば、導電膜の断線が防止されるので、配線基板に実装される装置の動作が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る機能膜形成方法を説明するための模式図であり、(a)は金属膜形成工程を説明するための図、(b)は機能膜形成工程を説明するための図である。
【図2】金属膜のSEM観察結果を示す図であり、(a)は金属膜の断面観測結果を示す図、(b)は金属膜の表面観測結果を示す図である。
【図3】比較例の機能膜形成方法を説明するための模式図であり、(a)は金属膜形成工程を説明するための図、(b)は機能膜形成工程を説明するための図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る機能膜形成方法により形成される金属膜及び機能膜の実測結果を示すグラフである。(a)は成膜入射角に対する金属膜の柱状角を示す図、(b)は金属膜の柱状角に対する機能膜となるインクの接触角と液ドット径を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る機能膜形成方法を説明するための模式図であり、(a)は金属膜形成工程を説明するための図、(b)は機能膜形成工程を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る機能膜形成方法を説明するための模式図であり、(a)〜(c)は機能膜形成工程を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る機能膜形成方法を説明するための模式図であり、機能膜形成工程を説明するための図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る機能膜形成方法としての配線基板の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は微細穴形成工程を説明するための図、(b)は金属膜形成工程を説明するための図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る機能膜形成方法としての配線基板の製造方法を説明するための模式図であり、(a)及び(b)は液体吐出工程を説明するための図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る機能膜形成方法としての配線基板の製造方法を説明するための模式図であり、導電膜形成工程を説明するための図である。
【図11】比較例の配線基板を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る機能膜形成方法を説明するための模式図である。まず、図1(a)に示すように、基材1の平板面1aに金属膜2を形成する(金属膜形成工程)。本第1実施形態では、基材1は、Si基板である。この基材1に真空蒸着法にて金属としてのAuを基材1の平板面1aに対して斜めに傾けて成膜したものである。金属膜2は、真空蒸着法のEB加熱法により、Auを平板面1aに膜厚100nmで真空蒸着により形成される。成膜時の雰囲気の圧力は2〜5×10−3Paで行う。Si基板である基材1と金属膜2との密着力を上げる為に、図1には図示していないが、基材1と金属膜2との間に平板面1aに対しほぼ垂直に入射するように50nmTi膜を成膜するのがよい。
【0019】
次に、図1(b)に示すように、この金属膜2の表面2aに機能材料を含有する液体3を付与する。液体3としては、金属微粒子インクである銀ナノ粒子インクを用いている。銀ナノ粒子インクは、主溶媒にはウンデカンやテトラデカン等を用いた油性インクであり、表面張力は30〜35mN/mであり比較的小さい材料である。銀ナノ粒子の銀の濃度は40wt%である。塗布にはディスペンサを用いる。塗布量は1μlである。金属膜2の表面状態により、図1(b)のような濡れ広がり状態となる。その後、液体3を乾燥させた後、焼成して導電性粒子インクの焼結体である固化した機能膜3Aを形成する(機能膜形成工程)。
【0020】
ここで、本第1実施形態では、金属膜形成工程において、金属膜2を平板面1aに対して傾斜した柱状結晶構造に形成するものである。なお、このときの不図示のAu蒸発源と基材1の平板面1aの角度を成膜入射角αとする。また、平板面1aに対する柱状結晶構造の金属膜2の傾斜角である柱状角をΘとする。図2に、成膜入射角αが15°の条件でのSEM観察結果を示す。装置は、JEOL−5600LVを使用した。図2(a)は金属膜の断面観察結果であり、加速電圧は10kVである。柱状結晶構造の金属膜2の柱状角は45°であった。図2(b)は金属膜の表面観察結果であり、加速電圧は20kVである。
【0021】
比較例として、Si基板である基材1の表面に成膜入射角αが90°の条件でのAuを成膜した結果を図3(a)に示す。このときは、金属膜は、連続膜4となり柱状結晶構造とはならない。また、この連続金属膜4上に液体5を塗布したものが図3(b)である。塗布にはディスペンサを用いた。塗布量は本第1実施形態と同一の1μlである。本実施形態における図1(b)の状態での液の接触角は9.4°であった。これに対し、比較例における図3(b)での状態での液の接触角は3.0°であった。このように、金属膜2を斜め柱状結晶構造に形成することで液の濡れ広がり性を抑制することが可能となる。
【0022】
また、成膜入射角αと斜め柱状結晶の柱状角Θの関係を図4(a)に示す。成膜入射角αが5°未満では、斜め柱状結晶が形成されなかった為、図4(a)に記載していない。また、液体3として、銀ナノ粒子インクを用いてディスペンサを用いて同様に斜め柱状結晶構造の金属膜2上に1μl塗布し、接触角を計測した結果を図4(b)に示した。さらに、この銀ナノ粒子インクをインクジェットにより、10pl塗布した場合の液ドット径も図4(b)に示した。図4(b)に記載していないが、連続金属膜に同様にインクジェットにより液滴を10pl塗布した結果のドット径は80μmであった。これによると、液体の接触角は柱状角が45°以下になると高くなることがわかる。また、前述したように柱状角Θは20°未満の斜め柱状結晶膜は形成することが困難である。同様に、インクジェットによる液滴のドット径の変化を見ると斜め柱状結晶の柱状角Θが45°以下になると従来例のドット径80μmに比べて、−10μmドット径の広がりを低減できる。
【0023】
つまり、柱状角Θが45°を超えると濡れのピン止め効果が少なくなり、液体の濡れ広がりを抑制する効果が薄くなる。また、斜め柱状結晶の平板面に対する結晶方向が20°未満の柱状結晶構造を形成することが非常に困難である。
【0024】
したがって、金属膜形成工程では、平板面1aに対する成膜入射角αが5°以上15°以下となる条件で平板面1aに金属Auを真空蒸着することで、柱状角Θが20°以上45°以下となる斜め柱状結晶構造の金属膜2を形成することができる。このように、斜め柱状結晶膜の柱状角Θを20°以上45°以下とすることで、液体3の濡れ広がりのピン止め効果を有するように金属膜2が改質される。それによって、液体に対し親液性の度合いが低減され、金属膜2の表面2aにおける液体3の濡れ広がりを抑制することが可能となる。したがって、信頼性の高い機能膜3Aを形成することができる。また、このように形成された金属膜2をフォトリソグラフィ工程でパターニングする必要がないので、工程数を削減でき、コストダウンを図ることができる。
【0025】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る機能膜形成方法について、図5〜図7を参照しながら説明する。本第2実施形態では、基材6は、図5(a)に示すように、平板面6aと、平板面6aに略直角(本実施形態では直角)な壁面6bとを有している直角構造体である。基材6は、例えばSi基板である。
【0026】
Si基板である基材6の平板面6aに対しては、成膜入射角α1が5°以上15°以下の範囲内である5°で真空蒸着法にてAuである金属を成膜したものである。この斜め成膜により、平板面6a上には斜め柱状結晶構造である金属膜7が形成される(金属膜形成工程)。同時に、平板面6aに対して直角な壁面6bに対しては、成膜入射角α2が75°以上85°以下の範囲内である85°で真空蒸着法にてAuである金属を成膜したものである。この真空蒸着により金属膜7に接続された連続金属膜8が形成される。Auは抵抗加熱法で蒸着させた。成膜時の圧力は5〜8×10−4Paで行った。柱状結晶構造の金属膜7の膜厚は150nmであった。
【0027】
なお、Si基板である基材6と金属膜7との密着力を上げる為に、図5には図示していないが、基材6と金属膜7との間にTi膜を基材6の平板面6aに対して、ほぼ入射角45°になるように50nm成膜した。同時に、平板面6aに対して略直角な壁面6bに対しては、入射角45°で密着層であるTi膜を成膜した。
【0028】
基材6の平板面6aには、成膜入射角α1が5°であったので、柱状角Θが20°の斜め柱状結晶構造の金属膜7が形成される。基材6の壁面6bには、成膜入射角α2が85°であったので、柱状結晶構造とはならない連続金属膜8が形成される。
【0029】
次に、基材6に対して液体を塗布する工程を、図5(b)を用いて説明する。液体10としては、金属微粒子インクとしての銀ナノ粒子インクを用いる。銀ナノ粒子インクは、主溶媒にはウンデカンやテトラデカン等を用いた油性インクであり、表面張力は30〜35mN/mであり比較的小さい材料である。銀ナノ粒子の銀の濃度は50wt%である。塗布にはディスペンサ9を用いる。塗布量は0.2μlである。ディスペンサ9にて液体10を連続金属膜8における金属膜7との境界となる側の端部8bに塗布する。液体10は、連続金属膜8に対して、非常に濡れ性が良い為、図6(a)、図6(b)、及び図6(c)の過程で金属膜7側にも広がっていくが、最終的には図6(c)のように、平板面6a上の金属膜7上に一部広がり安定する。
【0030】
最終的には、図7に示すように、液体10の揮発成分が蒸発し、機能膜10Aが形成される。なお、本実施形態では、機能膜10Aの機能を持たせるために、200℃、30分の焼成工程を加える。
【0031】
以上より、同一種の金属材料Auであっても膜の状態を斜め柱状結晶構造の金属膜7と連続金属膜8とでは液体10の濡れ性が異なり、連続金属膜8に対して金属膜7を改質することが可能となる。このように、平板面6a上に斜め柱状結晶構造の金属膜7を成膜することで、平板面6a上への液体3の濡れ広がりを抑制することができる。
【0032】
そして、平板面6a上には斜め柱状結晶構造の金属膜7が形成されるのに対し、壁面6b上には、略直角の成膜入射角となるため、柱状結晶膜は形成されにくく、連続金属膜8が形成される。
【0033】
そのため、壁面6b上の連続金属膜8では液体10に対しては濡れ易い表面となる。よって、液体10は、壁面方向に広がって壁面6bに機能膜10Aが形成され、斜め柱状結晶の金属膜7が形成された平板面6aには広がり難くなる。したがって、均一な膜厚の機能膜10Aを形成することが可能となる。
【0034】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る機能膜形成方法としての配線基板の製造方法について、図8〜図10を参照しながら説明する。本第3実施形態は微細穴24を持つ基材23に適用したものである。まず、微細穴24の形成方法を、図8(a)を参照しながら説明する。図8(a)は配線基板の微細穴24の断面図である。Si基板21には、微細穴24が形成されており、下部電極25まで連通されている。
【0035】
まず、Si基板21の片面に下部電極25や半導体素子(不図示)などをパターニングした後、その裏面をバックグラインド加工及びポリッシュ加工により研磨し、200μmの厚さとした。次にSi基板21の研磨された面に対し、CVD法によりSiO2膜を成膜し、マスク層(不図示)とした。
【0036】
その後マスク層を、ポジレジストをマスクとしてRIE法によりパターニングを実施し、微細穴24を形成する際の位置を規定する開口を形成した(不図示)。なおこの開口はΦ50μmとした。次に、マスク層及びポジレジストをマスクとし、ボッシュ法を用いて微細穴24を形成した。ボッシュ法とは、プラズマエッチング工程とプラズマデポジション工程とを交互に行うことによりマスクの垂直方向をエッチング加工し、孔を形成する方法である。具体的にはプラズマエッチング工程の条件は基板温度23℃、圧力8Pa、SF6流量750scc/min、13.56MHzのプラズマソース用高周波出力2.5kWであり時間は3secとした。またプラズマデポジション工程の条件は基板温度23℃、圧力3Pa、C4F8流量200scc/min、13.56MHzのプラズマソース用高周波出力2.5kWであり時間は3secとした。この工程を繰り返すことでΦ50μm、深さ200μmの微細穴24を形成した。
【0037】
微細穴24の側壁部からSi基板21の上面部を覆うように絶縁膜22が形成されている。絶縁膜22はポジレジストを剥離除去し、続いてCVD法にて1.5μm厚のパラキシリレンを成膜し形成した。この後、RIEにより下部電極25上のポリパラキシリレンを選択的に除去した。
【0038】
次に図8(b)により、下地導電層の形成方法について説明する。図8(b)では下地電極層は下部電極25上に形成される下地導電膜26と、平板面23a上に形成される下地導電膜27とからなる。下部電極25の材質にアルミニウムを用いたため、上記一連の工程後にはその表面に自然酸化膜が生成していた。したがって逆スパッタ処理により下部電極25上の自然酸化膜を除去した。直ちに平板面23aに対して、ほぼ金属ターゲット面が垂直になるように、まずTi層を成膜した後、Au層のスパッタ成膜を行った。これにより、下部電極25上に、Ti膜、その上にAu膜が積層された下地導電膜26、平板面23a上に、Ti膜、その上にAu膜が積層された下地導電膜27を同時に形成した。Ti層は50nm、Au層は200nm成膜した。
【0039】
以上、下地導電膜を形成したことにより、基材23の裏面には、下部電極25及び下地導電膜27からなる第1の電極28が形成されたことになる。また、第1の電極28が微細穴24の底面24aとなり、絶縁膜22が微細穴24の側壁面24bとなる。この側壁面24bは、平板面23aに対して略直角(本第3実施形態では直角)な壁面である。
【0040】
次に、図8(b)に示すように、基材23の平板面23a上に更に金属膜29が形成される(金属膜形成工程)。具体的には、下地導電膜27上に金属膜29が形成される。このとき、平板面23aに対する成膜入射角が5°以上15°以下の条件でSi基板21を保持し、平板面23aに金属であるAuをEB蒸発加熱により真空蒸着することで、平板面23aに対して傾斜する柱状結晶構造の金属膜29が形成される。具体的には、平板面23aに対して20°以上45°以下に傾斜する柱状結晶構造の金属膜29が形成される。本実施形態では、成膜入射角を15°とし、柱状角を45°に形成した。圧力は1〜3×10−3Paで行った。斜め柱状結晶の金属膜29の膜厚は200nmである。このとき、微細穴24の側壁面24bの開口端部側には、この真空蒸着により金属膜29に連続して接続された連続金属膜30が同時に形成される。これら下地導電膜27、金属膜29及び連続金属膜30により、第1の電極31が構成される。金属の柱状結晶は抵抗値が高くなってしまう傾向があるが、斜め柱状結晶の金属膜29を、斜め柱状結晶の金属膜29と同一材料の下地導電膜27の上に形成することで、導電性を向上させることができる。
【0041】
次に、微細穴24の内部に配線となる導電膜を付与し、微細穴24の底面24aとなる第1の電極28と、平板面23a上の第2の電極31とを電気的に接続する工程について図9及び図10を参照しながら説明する。
【0042】
まず、図9(a)及び図9(b)に示すように、液体吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッド40を利用して、導電性材料を含有する液体(Agナノ粒子含有インク)41A〜41Dを微細穴24に吐出する(液体吐出工程)。インクジェットヘッド40には、Agナノ粒子含有インクが充填されている。インクジェットヘッド40は、基材23に対して相対的に移動しており、吐出された液体(液滴)41A〜41Dも吐出方向とは別にこの相対的な速度成分を含んでいる。この吐出方向の速度成分と、相対的な速度成分、インクジェットヘッド40と基材23とのギャップ等を調整することにより、微細穴24内の任意の位置に液滴41A〜41Dを着弾させることができる。
【0043】
飛翔する液滴41Aは、図9(b)に示すように、微細穴24の底面24aである第1の電極28上に着弾させている。続けて、同様に液滴41B,41C,41Dを、インクジェットヘッド40を基材23に対して相対的に移動させることにより付与している。最後の液滴41Dは微細穴上部のAu連続金属膜30上に着弾させている。なお、本実施形態では、液滴は4ドットであったが、これに限定されるものではなく、これよりも少なくても多くても良い。
【0044】
付与された液滴41A〜41Dは微細穴24の中で濡れ広がって繋がる。そして、微細穴24に付与した液滴41A〜41Dを乾燥固化させることで、図10に示す第1の電極28と第2の電極31とを導通させる導電膜42が形成される(導電膜形成工程)。この導電膜42は斜め柱状結晶構造の金属膜29上に一部接触し、濡れ広がりを抑制された状態で留まり乾燥している。この導電膜42を配線として利用する為に、200℃、30分の熱処理工程を実施し、焼成して導電性粒子インクの焼結体を形成する。本工程実施後のこの微細穴24内の配線抵抗を測定すると1.5Ωであった。以上の工程により、配線基板100が製造される。
【0045】
また、比較例の配線基板200を、図11を参照しながら簡単に説明する。Si基板21及び微細穴24の形成方法及び下部電極25及び下地導電膜26,27は第3実施形態と同一方法で形成する。
【0046】
斜め柱状結晶構造の金属膜29の代わりに、連続膜51を真空蒸着法で200nm成膜した。この状態の基材23に、同様にインクジェットヘッドを用いて同一方法で、Agナノ粒子インクの液体を同一ドット塗布した。インクを乾燥させた結果、図11に示す導電膜52となった。この膜52は、図11に示すように、不連続箇所52aが存在した。このため、200℃、30分熱処理工程後の微細穴内の配線抵抗を測定すると抵抗値は1kΩ以上になっている。平板面上の金属膜が通常の連続膜になっている場合は、Agナノ粒子インクのように非常に濡れ易い液では微細穴内部に液は保持されにくく、平板面上に移動し易くなる。さらに、微細穴内部では乾燥が遅い為、ますます平板面上に液が移動し易くなる。
【0047】
以上のように、微細穴24のように特殊な構造体に対しても、平板面上を斜め柱状結晶の金属膜29を形成することにより、液の広がりを抑制する金属膜29を容易に低コストで形成することが確認された。
【0048】
以上、本第3実施形態によれば、直角構造体が微細穴24である場合には、微細穴24の底面24aである第1の電極28と平板面23a上の第2の電極31との電気的コンタクトを形成するのに非常に有利である。微細穴24の中部は、液体が乾燥しにくい状態であるのに対して、平板面23a上は乾燥しやすい雰囲気である。そのため液体の乾燥過程で、液体の移動が発生し、液体が平板面23a上に移動する。その結果、比較例では、微細穴24の上部の膜厚が薄くなり、平板上面と連続膜が形成できなくなってしまう。しかし、本第3実施形態によれば、液体の濡れ広がりが抑制できる為、微細穴24における導電膜42の膜厚を均一にすることができ、導電膜42の断線が防止される。そして、導電膜42の断線が防止されるので、配線基板100に実装される半導体装置等の装置の動作が安定する。
【0049】
なお、上記実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記第1、第2実施形態では、基材がSi基板である場合について説明したがこれに限定するものではなく、絶縁基板等についても適用可能である。また、上記第3実施形態では、Si基板に絶縁膜と形成した基材について説明したが、Si基板の代わりに絶縁基板を用いた場合には、絶縁膜は省略可能である。また、液体に含有する機能材料がAuの金属材料について説明したが、これに限定するものではなく、他の金属材料や絶縁材料等であっても適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…基材、1a…平板面、2…金属膜、2a…表面、3…液体、3A…機能膜、6…基材、6a…平板面、6b…壁面、7…金属膜、8…連続金属膜、10…液体、10A…機能膜、23…基材、23a…平板面、24…微細穴、24a…底面、24b…側壁面、28…第1の電極、29…金属膜、30…連続金属膜、31…第2の電極、40…インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)、42…導電膜、100…配線基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の平板面に金属膜を形成する金属膜形成工程と、
前記金属膜の表面に機能材料を含有する液体を付与し、前記液体を固化させて機能膜を形成する機能膜形成工程と、を有し、
前記金属膜形成工程では、前記平板面に対する成膜入射角が5°以上15°以下となる条件で前記平板面に金属を真空蒸着し、前記金属膜を前記平板面に対して傾斜する柱状結晶構造に形成することを特徴とする機能膜形成方法。
【請求項2】
前記基材は、前記平板面に対して略直角な壁面を有し、
前記金属膜形成工程では、前記真空蒸着により連続金属膜を前記壁面に同時に形成し、
前記機能膜形成工程では、前記連続金属膜における前記金属膜との境界となる側の端部に前記液体を塗布することを特徴とする請求項1に記載の機能膜形成方法。
【請求項3】
前記基材には、前記平板面の側に開口する微細穴が形成されており、
前記壁面が、前記微細穴の側壁面であることを特徴とする請求項2に記載の機能膜形成方法。
【請求項4】
底面を第1の電極とする微細穴が形成された基材の平板面に、第2の電極を構成する金属膜を形成する金属膜形成工程と、
吐出ヘッドにより導電性材料を含有する液体を前記微細穴に吐出する液体吐出工程と、
前記液体を固化させて前記第1の電極と前記第2の電極とを導通させる導電膜を形成する導電膜形成工程と、を備えた配線基板の製造方法において、
前記金属膜形成工程では、前記平板面に対する成膜入射角が5°以上15°以下となる条件で前記平板面に金属を真空蒸着し、前記金属膜を前記平板面に対して傾斜する柱状結晶構造に形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項5】
底面を第1の電極とする微細穴が形成された基材の平板面に、第2の電極を構成する金属膜が形成され、前記第1の電極と前記第2の電極とを導通させる導電膜が前記微細穴の側壁面に形成された配線基板において、
前記金属膜は、前記平板面に対して20°以上45°以下に傾斜する柱状結晶構造に形成され、
前記導電膜は、導電性材料を含有する液体が前記側壁面に塗布されて固化することにより形成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項6】
前記柱状結晶構造の金属膜は、前記基材の平板面に形成された、前記柱状結晶構造の金属膜と同一材料の導電膜の上に形成されていることを特徴とする請求項5記載の配線基板。
【請求項1】
基材の平板面に金属膜を形成する金属膜形成工程と、
前記金属膜の表面に機能材料を含有する液体を付与し、前記液体を固化させて機能膜を形成する機能膜形成工程と、を有し、
前記金属膜形成工程では、前記平板面に対する成膜入射角が5°以上15°以下となる条件で前記平板面に金属を真空蒸着し、前記金属膜を前記平板面に対して傾斜する柱状結晶構造に形成することを特徴とする機能膜形成方法。
【請求項2】
前記基材は、前記平板面に対して略直角な壁面を有し、
前記金属膜形成工程では、前記真空蒸着により連続金属膜を前記壁面に同時に形成し、
前記機能膜形成工程では、前記連続金属膜における前記金属膜との境界となる側の端部に前記液体を塗布することを特徴とする請求項1に記載の機能膜形成方法。
【請求項3】
前記基材には、前記平板面の側に開口する微細穴が形成されており、
前記壁面が、前記微細穴の側壁面であることを特徴とする請求項2に記載の機能膜形成方法。
【請求項4】
底面を第1の電極とする微細穴が形成された基材の平板面に、第2の電極を構成する金属膜を形成する金属膜形成工程と、
吐出ヘッドにより導電性材料を含有する液体を前記微細穴に吐出する液体吐出工程と、
前記液体を固化させて前記第1の電極と前記第2の電極とを導通させる導電膜を形成する導電膜形成工程と、を備えた配線基板の製造方法において、
前記金属膜形成工程では、前記平板面に対する成膜入射角が5°以上15°以下となる条件で前記平板面に金属を真空蒸着し、前記金属膜を前記平板面に対して傾斜する柱状結晶構造に形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項5】
底面を第1の電極とする微細穴が形成された基材の平板面に、第2の電極を構成する金属膜が形成され、前記第1の電極と前記第2の電極とを導通させる導電膜が前記微細穴の側壁面に形成された配線基板において、
前記金属膜は、前記平板面に対して20°以上45°以下に傾斜する柱状結晶構造に形成され、
前記導電膜は、導電性材料を含有する液体が前記側壁面に塗布されて固化することにより形成されていることを特徴とする配線基板。
【請求項6】
前記柱状結晶構造の金属膜は、前記基材の平板面に形成された、前記柱状結晶構造の金属膜と同一材料の導電膜の上に形成されていることを特徴とする請求項5記載の配線基板。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【公開番号】特開2012−253267(P2012−253267A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126384(P2011−126384)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]