説明

残渣除去装置及び残渣除去方法

【課題】ブラシの回転により残渣を除去する方法において、柔らかい材質で構成されたブラシ用いて残渣を十分に除去できる残渣除去装置及び残渣除去方法を提供する。
【解決手段】基板に残存した異方性導電膜の残渣を除去する残渣除去装置であって、残渣に当接して所定の駆動力を受けて回転し、残渣に当接する部分が植物樹脂で構成されるブラシと、残渣を除去するための圧力を、ブラシと残渣との当接部分に加える加圧手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に残存した異方性導電膜の残渣を除去するための残渣除去装置及び残渣除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電膜(ACF層)を介して電気的に接続された2つの基板を分離して再生(リペア)する技術において、2つの基板を異方性導電膜層部分で分離した後で、各基板に残存した異方性導電膜の残渣を除去する必要がある。その残渣除去の例として、化学薬品(剥離剤)を使用する方法がある。この方法では、剥離剤を残渣に塗布して軟化させた後で、スクレーバ等を用いて残渣を削り取る。しかし、この方法は、残渣が軟化するまでに時間がかかるという問題がある。また、剥離剤が残渣以外の部分に付着するとその部分が劣化して不具合等が発生するおそれがあるため、剥離剤を残渣に塗布する際には残渣以外の部分に付着しないように注意しなくてはならないという問題もある。
【0003】
このような剥離剤を使用する方法における問題を解決する技術として、例えば特許文献1に開示されている方法がある。この特許文献1の方法では、ブラシを異方性導電膜の残渣に当接させ、そのブラシを回転させることで残渣を一定の厚みまで削り取る。これにより、剥離剤を使用することなく残渣の除去を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−306947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようにブラシの回転により残渣を除去する方法では、ブラシが柔らかい材質である必要がある。その理由は、ブラシの材質が金属又は電極より硬度が高いものであると、残渣を除去する際に電極や基材に損傷を与えるという問題があるためである。
【0006】
しかしながら、ブラシの材質が柔らかいものであると、回転の際にブラシが摩耗してしまい、ブラシが残渣に当接しなくなる。その結果、残渣を十分に除去できないという問題が生じる。特許文献1にはブラシの材質について開示されていないため、このような問題が生じうる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ブラシの回転により残渣を除去する方法において、柔らかい材質で構成されたブラシ用いて残渣を十分に除去できる残渣除去装置及び残渣除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の残渣除去装置は、基板に残存した異方性導電膜の残渣を除去する残渣除去装置であって、残渣に当接して所定の駆動力を受けて回転し、残渣に当接する部分が植物樹脂で構成されるブラシと、残渣を除去するための圧力を、ブラシと残渣との当接部分に加える加圧手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の残渣除去方法は、基板に残存した異方性導電膜の残渣を除去する残渣除去方法であって、植物樹脂で構成されたブラシに対して所定の駆動力を与え、ブラシを残渣に当接させて回転させ、残渣を除去するための圧力を、ブラシと残渣との当接部分に加えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ブラシの回転により残渣を除去する方法において、柔らかい材質で構成されたブラシ用いて残渣を十分に除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板接合体の構成例を示す前側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る分離後の基板の構成例を示す前側面図、右側面図及び上面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る治具の構成例を示す上面図及び前側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る残渣除去方法の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る残渣除去方法において基板が保持台に載置された例を示す上面図及び前側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る残渣除去方法で用いられるマスキングプレートの例を示す上面図及び前側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る残渣除去方法において基板がマスキングプレートに被覆された例を示す上面図、左側側面図及び前側面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る残渣除去方法における残渣に対するブラシの軌道の例を示す上面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るブラシの外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
まず、再生(リペア)前の基板の構成(基板接合体)の例について、図1を参照して説明する。
【0014】
再生前の基板接合体は、図1に示すように、基板1と基板2とが異方性導電膜(以下、ACF層という)3を介して接続されている。
【0015】
基板1は、基材10と電極11を有する。基材1は、例えば、ガラス基板又はガラスフロスエポキシ基板等のリジットな基材で形成されたリジット基板である。電極11は、基材10の一面にパターニングにより形成されている。電極11の例としては、Al電極が挙げられる。なお、電極11は、基板1の長手方向に沿って複数配置されており、それら複数の電極11は所定の間隔で並列に配置されている(後述の図2(c)参照)。
【0016】
基板2は、基材20と電極21を有する。基材2は、例えば、樹脂フィルム等のフレキシブルな基材で形成されたフレキシブル基板(FPC)である。電極21は、基材20の一面にパターニングにより形成されている。電極21の例としては、Cu電極が挙げられる。なお、図1の例では、基板1の電極をAl、基板2の電極をCuとしたが、これに限定されない。例えば両方とも金メッキされたCu電極であってもよい。
【0017】
ACF層3は、電極11と電極21とを接続している。これにより、基板1と基板2は電気的に接続されている。
【0018】
なお、図1の例では、基板1をリジット基板、基板2をフレキシブル基板としたが、これに限定されない。例えば、基板1と基板2は両方とも、リジット基板であってもよいし、又は、フレキシブル基板であってもよい。
【0019】
以上説明した図1の基板接合体に対して基板の再生が行われる。この基板の再生では、各基板を分離する分離工程と、分離した基板の残渣を除去する除去工程とが行われる。
【0020】
まず、分離工程について説明する。分離工程では、図1に示す基板接合体において、基板1と基板2とがACF層3で分離される。例えば、作業者は、ACF層3を加熱して軟化させた後、スクレーパ等をACF層3に挿入してACF層3を分断し、基板1と基板2とを分離させる。分離させた基板1の状態を図2に示す。図2(b)は図2(a)の矢印xの方向から見た右側面図であり、図2(c)は図2(a)の矢印yの方向から見た上面図である。図2(a)〜(c)に示すように、分離した基板1には、ACF層3の残渣3aが複数の電極11の上面及び各電極11の間に残存する。このように残渣3aがあると基板1を再使用することはできないので、次の除去工程にて残渣3aを除去する。
【0021】
次に、除去工程について説明する。除去工程では、上記分離工程で分離した基板1に対して本実施形態の残渣除去装置(以下治具という)を用いることで、残渣が除去される。
【0022】
まず、図3を参照して治具について説明する。図3は治具の上面図及び前側面図である。以下の説明では、図3の上面図において、治具の長手方向(図面上の横方向)をX軸と言い、治具の長手方向に垂直な方向(図面上の縦方向)をY軸と言う。
【0023】
治具は、図3に示すように、保持台4、リュータ5、ブラシ6、圧力バネ7、電動スライダ8、トグルクランプ9、防塵カバー12、集塵装置13を有する。
【0024】
保持台4(基板載置手段の一例)は、分離された基板1が載置される台である。保持台4は、電動スライダ8の駆動力を受けることで、X軸において左方向及び右方向に移動可能である。これにより、保持台4は、基板載置位置aから残渣除去位置bへの移動(X軸における右方向への移動)、及び、残渣除去位置bから基板載置位置aへの移動(X軸における左方向への移動)が可能となる。基板載置位置aとは、基板1が保持台4に載置される位置であり、残渣除去位置bとは、ブラシ6の回転により残渣3aが除去される位置である。なお図3では、保持台4が基板載置位置aと残渣除去位置bの両方に存在して図示されているが、実際には保持台4は1つである。すなわち、図3では、保持台4が基板載置位置aにあるとき及び保持台4が残渣除去位置bにあるときの2つの場合をそれぞれ示す図示となっている。
【0025】
また、保持台4は、残渣除去位置bにあるときに、電動スライダ8の駆動力を受けることで、X軸における左右方向の移動に加えて、Y軸における上下方向にも移動可能である。また、保持台4には、載置された基板1を被覆するマスキングプレート14(詳細は後述)を固定するためのトグルクランプ9が設けられている。トグルクランプ9の先端にはボルト18が備えられている。なお図3では、保持台4上にマスキングプレート14がセットされ、基板1が載置されていない状態を示しているが、実際には、保持台4に基板1を載置した上でマスキングプレート14がセットされる(詳細は後述)。
【0026】
リュータ5は、モータを内蔵しており、そのモータの駆動力を、シャフト部16を介してブラシ6に与えることで、ブラシ6を回転させる。また、リュータ5のシャフト部16の下方には、圧力バネ7が設けられている。リュータ5がこのシャフト部16を下方に押し下げる動作を行うことで、シャフト部16が(シャフト部16と圧力バネ7との間にある部材を介して)圧力バネ7を押下し、この押下を受けて圧力バネ7が収縮する。これにより、シャフト部16の先端にあるブラシ6もシャフト部16と同様に下方に押し下げられることになる。よって、ブラシ6の回転による残渣3aの除去中においては、上記ブラシ6の押し下げ動作により、残渣3aとブラシ6の当接部分に対し、ブラシ6による圧力が加えられることになる(詳細は後述)。この意味で、リュータ5及び圧力バネ7は加圧手段と呼ぶことができる。
【0027】
ブラシ6は、保持台4に載置された基板1の残渣3aに当接し、リュータ5のモータの駆動力を受けて回転することで、残渣3aを削り取る。ブラシ6の外観例を図9に示す。ブラシ6は略円形状であり、その中央部分には、シャフト部16の先端が挿入される挿入口が設けられており、また、その挿入口の周囲にブラシ部分が設けられている。図9において、ブラシ部分の幅は5〜10mmが好ましく、また、ブラシ6全体の直径は20〜25mmが好ましい。図9に示すブラシ部分が残渣3aと当接する部分である。このブラシ部分の材質は、上述したように、金属又は電極11より硬度が高いものであると、残渣3aを除去する際に電極11や基材10に損傷を与えるおそれがあるので、柔らかい材質であることが好ましい。よって、本実施形態では、ブラシ部分の材質として植物樹脂を用いる。植物樹脂の例としては、麻系のタンピコが挙げられる。なお、その他の柔らかい材質としては、動物の毛ブラシ等も適用できるが、摩擦熱による異臭が発生するという問題があるため好ましくない。
【0028】
防塵カバー12(防塵手段の一例)は、残渣除去位置bの周辺を取り囲むように配置される略直方体状のカバーである。この防塵カバー12により、ブラシ6の回転による残渣3aの除去中において、保持台4とブラシ6が被覆された状態になる。ブラシ6の回転中には、ブラシ6と残渣3aとの当接部分に摩擦が生じ、ブラシ6の一部や除去された残渣3aなどの塵が飛散するが、この防塵カバー12を用いることで塵の飛散を残渣除去位置bの周辺に抑えることができる。よって、残渣除去位置bの周辺以外の部分や作業者を、飛散する塵から保護できる。
【0029】
集塵装置13(集塵手段の一例)は、防塵カバー12の一面を介して接続され、防塵カバー12内に飛散したブラシ6の一部や除去された残渣3aなどの塵を、例えば吸気により回収する。集塵装置13は、ブラシ6の回転中に動作してもよいし、ブラシ6の回転後に動作してもよい。
【0030】
また、図3には図示していないが、除去工程の動作を制御するための制御部が備えられる。制御部は、作業者等により予めなされた設定値に基づき、例えば電動スライダ8による保持台4の移動やリュータ5によるブラシ6の回転及びシャフト部の押し下げなどの動作を実行、制御する。また、図3には図示していないが、作業者が、上記設定値の設定や上記動作の実行指示などを行うための操作部も備えられている。
【0031】
以上のように構成された治具を用いて除去工程が行われる。以下、除去工程の具体例について、図4のフローチャートを基に、図2、図3、図5〜図8も参照しながら説明する。
【0032】
作業者は、図3に示す治具において、保持台4が基板載置位置aにあることを確認した後、図2に示す分離後の基板1を、治具の保持台4に載置する(図4のS1)。このときの状態を図5に示す。図5に示すように、基板1は、保持台4上において、残渣3aが存在する面を表にして載置される。保持台4には基板1の載置位置の基準となる基板位置決めピン19が備えられている。よって、基板1は、保持台4に載置される際、この基板位置決めピン19で決められた位置に載置されることになる。また、図5の上面図に示すように、基板1が載置される箇所には、基板の取り外しを行いやすくするためのニゲ17が設けられている。
【0033】
次に、作業者は、保持台4に載置した基板1の表面(残渣3aが存在する面)を被覆するように、マスキングプレート14(基板被覆手段の一例)を配置する(図4のS2)。ここで、マスキングプレート14の例を図6に示す。マスキングプレート14は、プレート(金属以外の板状部材)が2つの金属プレート(金属の板状部材)に挟まれてネジで固定されている。また、マスキングプレート14には開口部15が設けられている。この開口部15は、基板1の残渣3aを外部に露出させるためのものである。
【0034】
図5に示すように、保持台4にはマスキングプレート14の配置位置の基準となるマスキングプレート位置決めピン20が備えられている。よって、マスキングプレート14は、保持台4に配置される際、このマスキングプレート位置決めピン20で決められた位置に配置されることになる。この位置決めによる配置により、マスキングプレート14の開口部15は、基板1の残渣3aの部分に一致するようになる。
【0035】
マスキングプレート14を配置した後、作業者はトグルクランプ9を操作する。これにより、トグルクランプ9の先端のボルト18がマスキングプレート14の表面を押さえつける形となり、マスキングプレート14は基板1の表面を被覆した状態で保持台4上に固定される。
【0036】
このときの状態を図7に示す。図7の上面図に示すように、マスキングプレート14で基板1を被覆したときは、残渣3aの部分が開口部15を介して露出し、残渣3aの部分の周辺部分は被覆された状態となる。この開口部15を介して、ブラシ6が残渣3aに当接し回転することになる。従って、マスキングプレート14による基板1の被覆により、基板1において、残渣3aの部分以外の周辺部分に対する影響(損傷)を防ぐことができる。
【0037】
なお、マスキングプレート14は、厚みがありすぎると、開口部15の厚さも増すので、その開口部15を介したときにブラシ6が残渣3aに十分に当接できず、残渣3aの除去が不十分になるおそれがある、逆に、厚みがないと、残渣3aの除去中に何らかの原因によりマスキングプレート14がずれてしまい、基板1の残渣3a以外の部分に影響が及ぶおそれがある。このようなことから、マスキングプレート14の厚さは、50〜150ミクロンが好ましい。
【0038】
次に、作業者は、図示しない操作部において、残渣3aの除去を開始するように指示する。この指示を受けた図示しない制御部は、まず、電動スライダ8を駆動させ、保持台4を基板載置位置aから残渣除去位置bへ移動させる(図4のS3)。保持台4が残渣除去位置bに達したときに、ブラシ6は開口部15の左端に位置する。
【0039】
次に、制御部は、リュータ5を駆動させ、リュータ5のシャフト部16を下方に押し下げる。これにより、シャフト部16に押下された圧力バネ7が収縮し、ブラシ6も下方に押し下げられる。これにより、ブラシ6は開口部15を介して残渣3aに当接する(図4のS4)。このとき、ブラシ6と残渣3aの当接部分には、ブラシ6による圧力が加えられる。この圧力は、ブラシ6が残渣3aに当接した状態を維持可能な値であり、例えば200〜800gが好ましい。よって、ブラシ6が当接する面積を例えば幅5mm×長さ3mmとすると、圧力は、約1.3kg/cm2〜約5.3kg/cm2となる。
【0040】
次に、制御部は、リュータ5を駆動させ、ブラシ6の回転を開始させるとともに、電動スライダ8を駆動させ、保持台4を開口部15に沿って移動させる(図4のS5)。この保持台4の移動は、例えば図8に示すようにブラシ6がコの字の軌道を描くようにする。すなわち、制御部は、ブラシ6が開口部15の左端に位置した状態から、保持台4を、まずX軸の左方向に開口部15の横の長さ分(長手方向分)移動させ、次にY軸の上方向に開口部15の縦の長さ分移動させ、次にX軸の右方向に開口部15の横の長さ分移動させる。このようにして、ブラシ6を固定したまま保持台4を移動させることで、回転するブラシ6が開口部15を介して当接した残渣3aを削り取っていく。なお、ブラシ6の回転は、8000〜12000rpmが好ましい。また、保持台4の移動例及びブラシ6の軌道例は、上記に限定されるものではない。
【0041】
以上説明したブラシ6の回転及び保持台4の移動により、電極11の表面上の残渣3aだけでなく、電極11と電極11の間の残渣3aも削り取られて除去される。以上が除去工程の説明である。
【0042】
なお、上記除去工程の後で、少量のアルコール等を用いて除去部分を拭き取る程度であれば、環境負荷の点で問題はない。
【0043】
また、上記説明では、基板1の残渣を除去する例について説明したが、基板2の残渣の除去も上記同様にして実行でき、上記同様の効果が得られる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、植物樹脂で構成されたブラシをACF層の残渣に当接させて回転させるときに、ブラシが残渣に当接した状態を維持するためのブラシによる圧力を、ブラシと残渣の当接部分に加えることを特徴とする。この特徴により、ブラシの回転により残渣を除去する方法において、植物樹脂で構成されたブラシ用いて残渣を十分に除去することができる。なお、ブラシの材質が動物系の毛ブラシであると、摩擦熱による異臭が発生するという問題があるが、本実施形態によれば、ブラシの材質を植物樹脂製とすることで、摩擦熱による異臭の発生もない。
【0045】
上記特許文献1の方法では、異方性導電膜の残渣を一定の厚みまで削り取るために、削り取り中の残渣の厚みを監視したり、残渣を削るためのブラシの摩耗状況を監視したりする制御が必要となる。このような制御を行うためには、高価な治具が必要となり、また、作業も煩雑になるという問題がある。これに対し、本実施形態によれば、回転中のブラシに対し、そのブラシが残渣に当接した状態を維持するための圧力を加える制御だけであるので、高価な治具や煩雑な作業を必要とすることなく、ACF層の残渣を除去することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、電極の表面(上面)上の残渣だけでなく、電極間の残渣も除去できるので、分離した2つの基板を両方とも再生できる。よって、コストの削減を実現できる。
【0047】
また、本実施形態によれば、開口部を設けたマスキングプレートを用い、残渣以外の部分を被覆して除去作業(ブラシ回転)を行うので、残渣以外の部分に対して除去作業による損傷を与えることがない。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 基板
2 基板
3 ACF層(異方性導電膜)
3a ACF層の残渣
4 保持台
5 リュータ
6 ブラシ
7 圧力バネ
8 電動スライダ
9 トグルクランプ
10、20 基材
11、21 電極
12 防塵カバー
13 集塵装置
14 マスキングプレート
15 開口部
16 シャフト部
17 ニゲ
18 ボルト
19 基板位置決めピン
20 マスキングプレート位置決めピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に残存した異方性導電膜の残渣を除去する残渣除去装置であって、
前記残渣に当接して所定の駆動力を受けて回転し、前記残渣に当接する部分が植物樹脂で構成されるブラシと、
前記残渣を除去するための圧力を、前記ブラシと前記残渣との当接部分に加える加圧手段と、
を有することを特徴とする残渣除去装置。
【請求項2】
前記基板の前記残渣が残存する面を被覆し、前記残渣を露出させるための開口部が設けられた基板被覆手段を有し、
前記ブラシは、
前記開口部を介して前記残渣に当接して回転することを特徴とする請求項1記載の残渣除去装置。
【請求項3】
前記基板被覆手段により被覆された前記基板が載置され、所定の駆動力を受けて移動する基板載置手段を有し、
前記基板載置手段は、
前記ブラシが前記開口部を介して前記残渣に当接して回転している時に、前記開口部に沿って移動することを特徴とする請求項2記載の残渣除去装置。
【請求項4】
前記ブラシが前記残渣に当接して回転している時に、前記ブラシ及び前記基板を被覆する防塵手段を有し、
前記防塵手段は、
前記ブラシと前記残渣との当接部分から生じる、前記ブラシの一部及び除去された前記残渣の飛散を抑えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の残渣除去装置。
【請求項5】
前記ブラシが前記残渣に当接して回転している時に、前記ブラシと前記残渣との当接部分から生じる、前記ブラシの一部及び除去された前記残渣を回収する集塵手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の残渣除去装置。
【請求項6】
前記ブラシは、
8000〜12000rpmの回転数で回転し、
前記加圧手段は、
前記残渣を除去するための圧力として、1.3kg/cm2〜5.3kg/cm2の圧力を加えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の残渣除去装置。
【請求項7】
基板に残存した異方性導電膜の残渣を除去する残渣除去方法であって、
植物樹脂で構成されたブラシに対して所定の駆動力を与え、前記ブラシを前記残渣に当接させて回転させ、
前記残渣を除去するための圧力を、前記ブラシと前記残渣との当接部分に加えることを特徴とする残渣除去方法。
【請求項8】
開口部が設けられた部材を前記基板の前記残渣が残存する面に被覆させ、前記開口部から前記残渣を露出させた状態にし、
前記ブラシを、前記開口部を介して前記残渣に当接させて回転させることを特徴とする請求項7記載の残渣除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−15208(P2012−15208A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148193(P2010−148193)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(302069930)NECエンベデッドプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】