油圧駆動作業車の変速制御装置
【課題】油圧無段変速装置を動力伝動系に用いた油圧駆動作業車で、減速時や機体が左右に傾いている時に変速操作具で普通の変速操作を行っても、急激な速度変化をすることなく状況に応じた走行速度の変更が行われ、停止時にも急停止が無く、簡単な操作で機体が安定した状態で操縦運転が出来るようにする。
【解決手段】油圧無段変速装置1の出力回転を変速するアクチュエータ3の作動速度を制御する変速制御手段Aを設けると共に、変速操作具Bの変速位置を検出する変速位置検出手段Cと機体の走行状態を検出する走行状態検出手段Dを設け、該変速位置検出手段Cと走行状態検出手段Dで検出した速度設定と走行条件に基いて変速制御手段Aでアクチュエータ3の作動速度を制御して速度変化率を変更すべくしたことを特徴とする油圧駆動作業車の変速制御装置の構成とする。
【解決手段】油圧無段変速装置1の出力回転を変速するアクチュエータ3の作動速度を制御する変速制御手段Aを設けると共に、変速操作具Bの変速位置を検出する変速位置検出手段Cと機体の走行状態を検出する走行状態検出手段Dを設け、該変速位置検出手段Cと走行状態検出手段Dで検出した速度設定と走行条件に基いて変速制御手段Aでアクチュエータ3の作動速度を制御して速度変化率を変更すべくしたことを特徴とする油圧駆動作業車の変速制御装置の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインやトラクタ等の作業車で油圧無段変速装置を用いて走行速度を制御する油圧駆動作業車の変速制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインやトラクタ及びブルドーザ等の作業車において、エンジンから走行装置への走行駆動経路に組み込んだ油圧無段変速装置とギア変速装置の組み合わせで、走行速度を低速から高速まで細かく変速出来るようにしている。
【0003】
例えば、特開2006−64011号公報や特開2001−59573号公報に油圧無段変速装置を用いた作業車の変速制御機構が記載されている。
【特許文献1】特開2006−64011号公報
【特許文献2】特開2001−59573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧無段変速装置は、内部に組み込んだ油圧ポンプの可動斜板の傾斜角を変更して油圧モータの出力回転数を変更して変速する構成で、変速レバー等の変速操作具の変速指示位置を制御装置に読み込み、その変速指示位置に対応する速度で走行するように油圧シリンダや電動モータ等のアクチュエータを作動させて可動斜板の傾斜角変更を行っている。そして、変速操作具を増速側或いは減速側の適宜位置へ操作することで走行速度の変更が行われる。
【0005】
従来の油圧無段変速装置の増減速の速度変化率は一定であるために、減速時や機体が左右に傾いている時には急に速度が変化しないように、変速レバーをゆっくりと操作して速度変化を緩やかにする操縦テクニックが必要であった。この操縦テクニックは熟練が必要である。また、変速レバーを段階的に変速位置へ移動するようにした構成では、前記の操縦テクニックが使えない。
【0006】
そこで、本発明では、油圧無段変速装置を動力伝動系に用いた油圧駆動作業車で、減速時や機体が左右に傾いている時に変速操作具で普通の変速操作を行っても、急激な速度変化をすることなく状況に応じた走行速度の変更が行われ、停止時にも急停止が無く、簡単な操作で機体が安定した状態で操縦運転が出来るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、以下のような技術的手段を講じる。即ち、請求項1記載の発明では、油圧無段変速装置(1)の出力回転を変速するアクチュエータ(3)の作動速度を制御する変速制御手段(A)を設けると共に、変速操作具(B)の変速位置を検出する変速位置検出手段(C)と機体の走行状態を検出する走行状態検出手段(D)を設け、該変速位置検出手段(C)で検出した変速位置と走行状態検出手段(D)で検出した走行状態とに基いて変速制御手段(A)でアクチュエータ(3)の作動速度を制御して速度変化率を変更すべくしたことを特徴とする油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【0008】
この構成で、変速操作具Bを増減速操作した場合に、変速位置検出手段Cと走行状態検出手段Dで検出した速度設定と走行条件に基づいて最適の速度変化率に自動で調整されて、特別な操作注意を払わなくても、安全な走行速度の変更が出来る。
【0009】
請求項2記載の発明では、変速操作具(B)の増減速操作を検出する増減速検出手段(E)を設け、該増減速検出手段(E)が減速を検出した場合には変速制御手段(A)で増速時の速度変化率よりも適宜に速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【0010】
また、請求項3記載の発明では、機体の左右傾きを検出する傾き検出手段(F)を設け、該傾き検出手段(F)による機体の傾き検出値が大きくなるに従って変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【0011】
また、請求項4記載の発明では、圃場の乾湿を検出或いは入力する乾湿判断手段(G)を設け、該乾湿判断手段(G)による判断結果が湿田の場合に変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【0012】
また、請求項5記載の発明では、油圧無段変速装置(1)の他にギア変速による変速比を変更する副変速装置(2)の副変速設定検出手段(H)を設け、該副変速設定検出手段(H)による高変速比検出時に変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【0013】
また、請求項6記載の発明では、実走行速度を検出する走行速度検出手段(J)を設け、該走行速度検出手段(J)による検出速度が低速である場合および高速である場合に速度変化率制御手段(A)によって速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によると、変速位置検出手段Cで変速操作具Bの変速位置を検出し、走行状態検出手段Dで機体の傾きや走行速度を検出して、変速制御手段Aで増減速の速度変化率を安全な走行が行えるように自動的に制御するので、特別な操縦テクニックを用いなくても安全に運転が出来るようになる。
【0015】
請求項2記載の発明によると、変速操作具Bを増減速操作した場合に、特別な操作注意を払わなくても、増減速検出手段Eで減速を検出した場合に減速が緩やかとなって停止ショックが無くなる。
【0016】
請求項3記載の発明によると、機体が左右に傾いて変速をゆっくりと行う必要がある時に傾き検出手段Fで傾き程度を検出して自動的に速度変化率を低下させ、安全な速度変化率で変速することが出来る。
【0017】
請求項4記載の発明によると、湿田を走行させる場合には乾湿判断手段Gで湿田を判断して自動的に速度の変化率を低下させて変速時の走行スリップを防ぐことが出来る。
請求項5記載の発明によると、走行速度の変化が大きい高変速時に、副変速設定検出手段Hで高変速を検出して自動的に速度の変化率を低下させて変速ショックを少なく出来る。
【0018】
請求項6記載の発明によると、走行速度検出手段Jで実際の走行速度が極低速或いは極高速を検出すると自動的に速度の変化率を低下させて微妙な速度調整が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
本明細書では、左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向いたときの方向を言う。
【0020】
図1と図2に示すように、コンバインの車体10の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ11を有するクローラ走行装置9を配設し、車体10の前端側に分草杆12を備えた刈取部13が設けられている。刈取部13の後方には操縦席14を備えた運転台16があり、また車体10の上方には刈取部13から搬送されてくる穀桿を引き継いで搬送して脱穀・選別する脱穀装置(図示せず)が運転台16の左後方に設けられ、該脱穀装置で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク17が脱穀装置の右側に配置されている。グレンタンク17の後部にオーガ18を連接して、グレンタンク17内の穀粒をコンバインの外部に排出する構成としている。
【0021】
上記コンバインはオペレータが操縦席14に着座して左側に立設する主変速レバーB1と副変速レバーB2(図5参照、これらが本発明の変速操作具Bに相当する)を操作し、エンジンの動力をトランスミッションケース内の油圧無段変速装置(以下、「HST」と略記)1とギア変速からなる副変速装置2を介して変速し、左右の走行クローラ11,11に動力を伝動して任意の速度で走行する。穀稈の収穫を行う場合には、脱穀レバーを脱穀クラッチ入にして脱穀装置を駆動しながら走行する。
【0022】
また、操縦席14の前側に立設する操向レバー21を左右に傾倒操作することにより急旋回等の各種旋回走行をすることができる。すなわち、操向レバー21をコンバインを旋回させようとする方向に傾倒操作することにより、左右の走行クローラ11,11に速度差或いは逆回転が与えられて走行方向の変更が行われる構成としている。
【0023】
運転台16の足元フロアー上には、アクセルペダルとブレーキペダル及び掻込ペダルをオペレータが足で踏み込むことによって作動するように設けている。アクセルペダルは、エンジンの回転を上昇させて出力を増大させ、ブレーキペダルは、トランスミッションケース内のブレーキデスクを締めてクローラ走行装置9の回転を停止する。さらに、掻込ペダルは、トランスミッションケース内の左右サイドクラッチを切り作動してクローラ走行装置9への動力伝動を切るもので、畦際の穀稈を刈り取る際に使用する。
【0024】
前記主変速レバーB1は、トランスミッションケース内のHST1の回転出力を変速するもので、クローラ走行装置9を前進、中立、後進に切り替えると共に走行速度を一定範囲で変速する。副変速レバーB2は、前記HST1の回転をギア変速からなる副変速装置2で高・低の二段に切換える。
【0025】
本実施例のコンバインは、エンジン出力を高・低に切換えられるコモンレール燃料噴射のディゼルエンジンを使用していて、走行移動時には低出力とし収穫作業時には高出力となるようにしている。収穫作業の判断は、脱穀クラッチの入や刈取クラッチの入で判断するようにしている。また、旋回走行時にもエンジンが高出力になるようにもしている。また、湿田走行時に湿田スイッチG1を入にすることで、エンジンが高出力になるようにもしている。さらに、エンジン負荷率を検出し、高負荷率の時にエンジンが高出力になるようにするのも良い。
【0026】
図3は、前記操縦席14の取付構造を示している。
操縦席14は、座席22と背凭れ23で構成され、座席22の下側を取付フレーム24に前後の取付板25,26で取り付けている。下側の車体10に支持したダンパ27の上板28と取付フレーム24の間にゴム板からなる弾性体29を挟んでボルト30で固定している。ボルト30は、弾性体29が弾力を保った状態で締め付けているので、弾性体29が座席の振動を吸収すると共に座席22に加わる垂直方向以外の荷重をうまくダンパ27に伝えてダンパ27が良好に上下するようになる。
【0027】
図4は、操縦席14の近傍を示す側面図で、オペレータの足元前側をフロントカバー31で覆い、その上部に操向レバー21を設けている。フロントカバー31の内側上部にリレーやヒューズ及び制御ボックス等の電装品を収納する電装品収納ケース32をそのカバーを開閉可能に取り付けている。この電装品収納ケース32の左右中央下側には空間33を設けて、その空間33内に足置き台38を立設し、オペレータの足先を電装品収納ケース32の下へ差し込んで足置き台38上に置けるようにしている。これにより、オペレータが足元の窮屈感を無くして、機体の前方に寄って操縦でき、前方視界が良くなり刈取状況を確認し易くなる。
【0028】
なお、図示を省略したが、運転台16には車体10の前側を上昇させて後傾姿勢にする後傾スイッチを設けて、この後傾スイッチを押すと、前側の刈取部13が上昇しその後機体後部が上昇して全体の車高が高くなって、畦の乗り越えが容易になるようにしている。
【0029】
次に、変速操作具B(主変速レバーB1と副変速レバーB2)によるクローラ走行装置9の変速制御状態を制御ブロック図と制御フローチャート図で説明する。
図5は、コントローラ34の制御信号の入力と出力を示す制御ブロック図である。
【0030】
まず、入力信号は、主変速レバーB1の変速位置が主変速ポジションセンサC1からコントローラ34へ入力し、副変速レバーB2の変速位置が副変速ポジションセンサC2からコントローラ34へ入力し、操向レバー21の傾き位置が操向レバーポジションセンサ35からコントローラ34へ入力する。主変速ポジションセンサC1と副変速ポジションセンサC2が本発明の変速位置検出手段Cに相当する。
【0031】
さらに、本発明の乾湿判断手段Gに相当する湿田スイッチG1から湿田信号が、本発明の傾き検出手段Fに相当する左右傾斜センサF1から機体の左右傾きが、前後傾斜センサ36から機体の前後傾きが、HST出力センサ37からHST1の変速回転数が、本発明の走行速度検出手段Jに相当する走行速度センサG2からクローラ走行装置9の走行速度がそれぞれコントローラ34へ入力する。
【0032】
コントローラ34からは、増速ソレノイドA1へ増速スピードが電流値の大小で出力され、増速比例弁A3を作動してアクチュエータ3を作動し、HST1を変速する。また、減速ソレノイドA2へ減速スピードが電流値の大小で出力され、減速比例弁A4を作動してアクチュエータ3を作動し、HST1を変速する。増速ソレノイドA1と減速ソレノイドA2と増速比例弁A3及び減速比例弁A4が本発明の変速制御手段Aに相当する。
【0033】
さらに、コントローラ34から変速ソレノイド39へ副変速レバーB2の変速位置に応じた出力がなされ、切換弁40を介して副変速装置2を作動させる。
図6は、減速時に速度変化率を低下させる制御のフローチャート図で、ステップS1で主変速ポジションセンサC1と副変速ポジションセンサC2による目標速度を読み込み、ステップS2で走行速度センサG2からの現在車速を読み込み、ステップS3で目標速度と現在車速を比較し、目標速度が現在車速よりも遅い(NOの判定)であれば、ステップS4で現在速度を所定速度(例えば、1.5km/h)と比較する。所定速度以下(YESの判定)であればステップS6の緩減速制御を行い、所定速度以上(NOの判定)であればステップS6の急減速制御を行い、ステップS8の現在速度と目標速度の比較を行い、目標速度になる(YESの判定)ならば、制御を終了し、まだ目標速度に達していなければステップS3の前に移行する。ステップS3の判定で、目標速度が現在車速よりも速い(YESの判定)であれば、ステップS7の標準増速制御を行い、ステップS8の前に移行する。ステップ3の現在車速と目標速度の比較判断が本発明の増減速検出手段Eに相当する。
【0034】
図7は、前記の制御による走行速度の変化を示すグラフで、増速時には一定の標準増速率で速度が上昇し、減速の場合には所定速度までは急減速し、所定速度以下になれば緩減速でショックを少なくして停止する。
【0035】
図8は、機体が左右どちらかに傾いていた場合の変速制御のフローチャート図で、ステップS1とステップS2は、前記と同じであるが、ステップS10で機体の左右傾きを読み込み、ステップS11でその左右傾きが所定角度(例えば、5°)以上かの判定を行い、所定角度以上(YESの判定)ならばステップS12の緩増減速制御を行い、所定角度以下(NOの判定)ならば、ステップS13の平地増減速制御すなわち図6の制御を行う。
【0036】
図9は、湿田を走行する場合の変速制御のフローチャート図で、ステップS1とステップS2は、前記と同じであるが、ステップS15で湿田スイッチG1を読み込み、ステップS16で湿田スイッチG1がONかの判定を行い、ON(YESの判定)ならばステップS17の緩増減速制御を行い、ONでない(NOの判定)ならば、ステップS18の平地増減速制御すなわち図6の制御を行う。
【0037】
なお、左右傾き検出センサF1と湿田スイッチG1及び走行速度センサG2が、本発明の走行状態検出手段Dに相当する。
図10は、副変速レバーB2の変速位置による変速制御のフローチャート図で、ステップS1とステップS2は、前記と同じであるが、ステップS20で副変速位置を読み込み、ステップS21でその副変速位置が高速かの判定を行い、高速(YESの判定)ならばステップS22の緩増減速制御を行い、高速以外(NOの判定)ならば、ステップS23の標準増減速制御すなわち図6の制御を行う。
【0038】
図11は、走行速度によって変速率を変更する変速制御のフローチャート図で、ステップS1とステップS2は、前記と同じであるが、ステップS25の速度判定で現在の走行速度が3km/h以上か1.5km/h以下であるかの判定を行い、YESであればステップS26の緩増減速制御を行い、NOであればステップS27の急増減速制御を行う。ステップS28で現在速度が目標速度になれば制御を終了する。
【0039】
図12は、前記の制御による走行速度の変化を示すグラフで、1.5km/hから3km/hの範囲で急増減速を行い、それ以外すなわち高速と低速では緩減速でショックを少なくして停止したり高速での速度調整が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施例のコンバイン全体側面図
【図2】本実施例のコンバイン全体正面図
【図3】一部の拡大側面図
【図4】一部の拡大側面図
【図5】制御ブロック図
【図6】制御フローチャート図
【図7】走行速度の変化グラフ
【図8】制御フローチャート図
【図9】制御フローチャート図
【図10】制御フローチャート図
【図11】制御フローチャート図
【図12】走行速度の変化グラフ
【符号の説明】
【0041】
1 油圧無段変速装置
2 副変速装置
3 アクチュエータ
A 変速制御手段
B 変速操作具
C 変速位置検出手段
D 走行状態検出手段
E 増減速検出手段
F 傾き検出手段
G 乾湿判断手段
H 副変速設定検出手段
J 走行速度検出手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインやトラクタ等の作業車で油圧無段変速装置を用いて走行速度を制御する油圧駆動作業車の変速制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインやトラクタ及びブルドーザ等の作業車において、エンジンから走行装置への走行駆動経路に組み込んだ油圧無段変速装置とギア変速装置の組み合わせで、走行速度を低速から高速まで細かく変速出来るようにしている。
【0003】
例えば、特開2006−64011号公報や特開2001−59573号公報に油圧無段変速装置を用いた作業車の変速制御機構が記載されている。
【特許文献1】特開2006−64011号公報
【特許文献2】特開2001−59573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧無段変速装置は、内部に組み込んだ油圧ポンプの可動斜板の傾斜角を変更して油圧モータの出力回転数を変更して変速する構成で、変速レバー等の変速操作具の変速指示位置を制御装置に読み込み、その変速指示位置に対応する速度で走行するように油圧シリンダや電動モータ等のアクチュエータを作動させて可動斜板の傾斜角変更を行っている。そして、変速操作具を増速側或いは減速側の適宜位置へ操作することで走行速度の変更が行われる。
【0005】
従来の油圧無段変速装置の増減速の速度変化率は一定であるために、減速時や機体が左右に傾いている時には急に速度が変化しないように、変速レバーをゆっくりと操作して速度変化を緩やかにする操縦テクニックが必要であった。この操縦テクニックは熟練が必要である。また、変速レバーを段階的に変速位置へ移動するようにした構成では、前記の操縦テクニックが使えない。
【0006】
そこで、本発明では、油圧無段変速装置を動力伝動系に用いた油圧駆動作業車で、減速時や機体が左右に傾いている時に変速操作具で普通の変速操作を行っても、急激な速度変化をすることなく状況に応じた走行速度の変更が行われ、停止時にも急停止が無く、簡単な操作で機体が安定した状態で操縦運転が出来るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、以下のような技術的手段を講じる。即ち、請求項1記載の発明では、油圧無段変速装置(1)の出力回転を変速するアクチュエータ(3)の作動速度を制御する変速制御手段(A)を設けると共に、変速操作具(B)の変速位置を検出する変速位置検出手段(C)と機体の走行状態を検出する走行状態検出手段(D)を設け、該変速位置検出手段(C)で検出した変速位置と走行状態検出手段(D)で検出した走行状態とに基いて変速制御手段(A)でアクチュエータ(3)の作動速度を制御して速度変化率を変更すべくしたことを特徴とする油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【0008】
この構成で、変速操作具Bを増減速操作した場合に、変速位置検出手段Cと走行状態検出手段Dで検出した速度設定と走行条件に基づいて最適の速度変化率に自動で調整されて、特別な操作注意を払わなくても、安全な走行速度の変更が出来る。
【0009】
請求項2記載の発明では、変速操作具(B)の増減速操作を検出する増減速検出手段(E)を設け、該増減速検出手段(E)が減速を検出した場合には変速制御手段(A)で増速時の速度変化率よりも適宜に速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【0010】
また、請求項3記載の発明では、機体の左右傾きを検出する傾き検出手段(F)を設け、該傾き検出手段(F)による機体の傾き検出値が大きくなるに従って変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【0011】
また、請求項4記載の発明では、圃場の乾湿を検出或いは入力する乾湿判断手段(G)を設け、該乾湿判断手段(G)による判断結果が湿田の場合に変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【0012】
また、請求項5記載の発明では、油圧無段変速装置(1)の他にギア変速による変速比を変更する副変速装置(2)の副変速設定検出手段(H)を設け、該副変速設定検出手段(H)による高変速比検出時に変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【0013】
また、請求項6記載の発明では、実走行速度を検出する走行速度検出手段(J)を設け、該走行速度検出手段(J)による検出速度が低速である場合および高速である場合に速度変化率制御手段(A)によって速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置とした。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によると、変速位置検出手段Cで変速操作具Bの変速位置を検出し、走行状態検出手段Dで機体の傾きや走行速度を検出して、変速制御手段Aで増減速の速度変化率を安全な走行が行えるように自動的に制御するので、特別な操縦テクニックを用いなくても安全に運転が出来るようになる。
【0015】
請求項2記載の発明によると、変速操作具Bを増減速操作した場合に、特別な操作注意を払わなくても、増減速検出手段Eで減速を検出した場合に減速が緩やかとなって停止ショックが無くなる。
【0016】
請求項3記載の発明によると、機体が左右に傾いて変速をゆっくりと行う必要がある時に傾き検出手段Fで傾き程度を検出して自動的に速度変化率を低下させ、安全な速度変化率で変速することが出来る。
【0017】
請求項4記載の発明によると、湿田を走行させる場合には乾湿判断手段Gで湿田を判断して自動的に速度の変化率を低下させて変速時の走行スリップを防ぐことが出来る。
請求項5記載の発明によると、走行速度の変化が大きい高変速時に、副変速設定検出手段Hで高変速を検出して自動的に速度の変化率を低下させて変速ショックを少なく出来る。
【0018】
請求項6記載の発明によると、走行速度検出手段Jで実際の走行速度が極低速或いは極高速を検出すると自動的に速度の変化率を低下させて微妙な速度調整が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
本明細書では、左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向いたときの方向を言う。
【0020】
図1と図2に示すように、コンバインの車体10の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ11を有するクローラ走行装置9を配設し、車体10の前端側に分草杆12を備えた刈取部13が設けられている。刈取部13の後方には操縦席14を備えた運転台16があり、また車体10の上方には刈取部13から搬送されてくる穀桿を引き継いで搬送して脱穀・選別する脱穀装置(図示せず)が運転台16の左後方に設けられ、該脱穀装置で脱穀選別された穀粒を一時貯溜するグレンタンク17が脱穀装置の右側に配置されている。グレンタンク17の後部にオーガ18を連接して、グレンタンク17内の穀粒をコンバインの外部に排出する構成としている。
【0021】
上記コンバインはオペレータが操縦席14に着座して左側に立設する主変速レバーB1と副変速レバーB2(図5参照、これらが本発明の変速操作具Bに相当する)を操作し、エンジンの動力をトランスミッションケース内の油圧無段変速装置(以下、「HST」と略記)1とギア変速からなる副変速装置2を介して変速し、左右の走行クローラ11,11に動力を伝動して任意の速度で走行する。穀稈の収穫を行う場合には、脱穀レバーを脱穀クラッチ入にして脱穀装置を駆動しながら走行する。
【0022】
また、操縦席14の前側に立設する操向レバー21を左右に傾倒操作することにより急旋回等の各種旋回走行をすることができる。すなわち、操向レバー21をコンバインを旋回させようとする方向に傾倒操作することにより、左右の走行クローラ11,11に速度差或いは逆回転が与えられて走行方向の変更が行われる構成としている。
【0023】
運転台16の足元フロアー上には、アクセルペダルとブレーキペダル及び掻込ペダルをオペレータが足で踏み込むことによって作動するように設けている。アクセルペダルは、エンジンの回転を上昇させて出力を増大させ、ブレーキペダルは、トランスミッションケース内のブレーキデスクを締めてクローラ走行装置9の回転を停止する。さらに、掻込ペダルは、トランスミッションケース内の左右サイドクラッチを切り作動してクローラ走行装置9への動力伝動を切るもので、畦際の穀稈を刈り取る際に使用する。
【0024】
前記主変速レバーB1は、トランスミッションケース内のHST1の回転出力を変速するもので、クローラ走行装置9を前進、中立、後進に切り替えると共に走行速度を一定範囲で変速する。副変速レバーB2は、前記HST1の回転をギア変速からなる副変速装置2で高・低の二段に切換える。
【0025】
本実施例のコンバインは、エンジン出力を高・低に切換えられるコモンレール燃料噴射のディゼルエンジンを使用していて、走行移動時には低出力とし収穫作業時には高出力となるようにしている。収穫作業の判断は、脱穀クラッチの入や刈取クラッチの入で判断するようにしている。また、旋回走行時にもエンジンが高出力になるようにもしている。また、湿田走行時に湿田スイッチG1を入にすることで、エンジンが高出力になるようにもしている。さらに、エンジン負荷率を検出し、高負荷率の時にエンジンが高出力になるようにするのも良い。
【0026】
図3は、前記操縦席14の取付構造を示している。
操縦席14は、座席22と背凭れ23で構成され、座席22の下側を取付フレーム24に前後の取付板25,26で取り付けている。下側の車体10に支持したダンパ27の上板28と取付フレーム24の間にゴム板からなる弾性体29を挟んでボルト30で固定している。ボルト30は、弾性体29が弾力を保った状態で締め付けているので、弾性体29が座席の振動を吸収すると共に座席22に加わる垂直方向以外の荷重をうまくダンパ27に伝えてダンパ27が良好に上下するようになる。
【0027】
図4は、操縦席14の近傍を示す側面図で、オペレータの足元前側をフロントカバー31で覆い、その上部に操向レバー21を設けている。フロントカバー31の内側上部にリレーやヒューズ及び制御ボックス等の電装品を収納する電装品収納ケース32をそのカバーを開閉可能に取り付けている。この電装品収納ケース32の左右中央下側には空間33を設けて、その空間33内に足置き台38を立設し、オペレータの足先を電装品収納ケース32の下へ差し込んで足置き台38上に置けるようにしている。これにより、オペレータが足元の窮屈感を無くして、機体の前方に寄って操縦でき、前方視界が良くなり刈取状況を確認し易くなる。
【0028】
なお、図示を省略したが、運転台16には車体10の前側を上昇させて後傾姿勢にする後傾スイッチを設けて、この後傾スイッチを押すと、前側の刈取部13が上昇しその後機体後部が上昇して全体の車高が高くなって、畦の乗り越えが容易になるようにしている。
【0029】
次に、変速操作具B(主変速レバーB1と副変速レバーB2)によるクローラ走行装置9の変速制御状態を制御ブロック図と制御フローチャート図で説明する。
図5は、コントローラ34の制御信号の入力と出力を示す制御ブロック図である。
【0030】
まず、入力信号は、主変速レバーB1の変速位置が主変速ポジションセンサC1からコントローラ34へ入力し、副変速レバーB2の変速位置が副変速ポジションセンサC2からコントローラ34へ入力し、操向レバー21の傾き位置が操向レバーポジションセンサ35からコントローラ34へ入力する。主変速ポジションセンサC1と副変速ポジションセンサC2が本発明の変速位置検出手段Cに相当する。
【0031】
さらに、本発明の乾湿判断手段Gに相当する湿田スイッチG1から湿田信号が、本発明の傾き検出手段Fに相当する左右傾斜センサF1から機体の左右傾きが、前後傾斜センサ36から機体の前後傾きが、HST出力センサ37からHST1の変速回転数が、本発明の走行速度検出手段Jに相当する走行速度センサG2からクローラ走行装置9の走行速度がそれぞれコントローラ34へ入力する。
【0032】
コントローラ34からは、増速ソレノイドA1へ増速スピードが電流値の大小で出力され、増速比例弁A3を作動してアクチュエータ3を作動し、HST1を変速する。また、減速ソレノイドA2へ減速スピードが電流値の大小で出力され、減速比例弁A4を作動してアクチュエータ3を作動し、HST1を変速する。増速ソレノイドA1と減速ソレノイドA2と増速比例弁A3及び減速比例弁A4が本発明の変速制御手段Aに相当する。
【0033】
さらに、コントローラ34から変速ソレノイド39へ副変速レバーB2の変速位置に応じた出力がなされ、切換弁40を介して副変速装置2を作動させる。
図6は、減速時に速度変化率を低下させる制御のフローチャート図で、ステップS1で主変速ポジションセンサC1と副変速ポジションセンサC2による目標速度を読み込み、ステップS2で走行速度センサG2からの現在車速を読み込み、ステップS3で目標速度と現在車速を比較し、目標速度が現在車速よりも遅い(NOの判定)であれば、ステップS4で現在速度を所定速度(例えば、1.5km/h)と比較する。所定速度以下(YESの判定)であればステップS6の緩減速制御を行い、所定速度以上(NOの判定)であればステップS6の急減速制御を行い、ステップS8の現在速度と目標速度の比較を行い、目標速度になる(YESの判定)ならば、制御を終了し、まだ目標速度に達していなければステップS3の前に移行する。ステップS3の判定で、目標速度が現在車速よりも速い(YESの判定)であれば、ステップS7の標準増速制御を行い、ステップS8の前に移行する。ステップ3の現在車速と目標速度の比較判断が本発明の増減速検出手段Eに相当する。
【0034】
図7は、前記の制御による走行速度の変化を示すグラフで、増速時には一定の標準増速率で速度が上昇し、減速の場合には所定速度までは急減速し、所定速度以下になれば緩減速でショックを少なくして停止する。
【0035】
図8は、機体が左右どちらかに傾いていた場合の変速制御のフローチャート図で、ステップS1とステップS2は、前記と同じであるが、ステップS10で機体の左右傾きを読み込み、ステップS11でその左右傾きが所定角度(例えば、5°)以上かの判定を行い、所定角度以上(YESの判定)ならばステップS12の緩増減速制御を行い、所定角度以下(NOの判定)ならば、ステップS13の平地増減速制御すなわち図6の制御を行う。
【0036】
図9は、湿田を走行する場合の変速制御のフローチャート図で、ステップS1とステップS2は、前記と同じであるが、ステップS15で湿田スイッチG1を読み込み、ステップS16で湿田スイッチG1がONかの判定を行い、ON(YESの判定)ならばステップS17の緩増減速制御を行い、ONでない(NOの判定)ならば、ステップS18の平地増減速制御すなわち図6の制御を行う。
【0037】
なお、左右傾き検出センサF1と湿田スイッチG1及び走行速度センサG2が、本発明の走行状態検出手段Dに相当する。
図10は、副変速レバーB2の変速位置による変速制御のフローチャート図で、ステップS1とステップS2は、前記と同じであるが、ステップS20で副変速位置を読み込み、ステップS21でその副変速位置が高速かの判定を行い、高速(YESの判定)ならばステップS22の緩増減速制御を行い、高速以外(NOの判定)ならば、ステップS23の標準増減速制御すなわち図6の制御を行う。
【0038】
図11は、走行速度によって変速率を変更する変速制御のフローチャート図で、ステップS1とステップS2は、前記と同じであるが、ステップS25の速度判定で現在の走行速度が3km/h以上か1.5km/h以下であるかの判定を行い、YESであればステップS26の緩増減速制御を行い、NOであればステップS27の急増減速制御を行う。ステップS28で現在速度が目標速度になれば制御を終了する。
【0039】
図12は、前記の制御による走行速度の変化を示すグラフで、1.5km/hから3km/hの範囲で急増減速を行い、それ以外すなわち高速と低速では緩減速でショックを少なくして停止したり高速での速度調整が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施例のコンバイン全体側面図
【図2】本実施例のコンバイン全体正面図
【図3】一部の拡大側面図
【図4】一部の拡大側面図
【図5】制御ブロック図
【図6】制御フローチャート図
【図7】走行速度の変化グラフ
【図8】制御フローチャート図
【図9】制御フローチャート図
【図10】制御フローチャート図
【図11】制御フローチャート図
【図12】走行速度の変化グラフ
【符号の説明】
【0041】
1 油圧無段変速装置
2 副変速装置
3 アクチュエータ
A 変速制御手段
B 変速操作具
C 変速位置検出手段
D 走行状態検出手段
E 増減速検出手段
F 傾き検出手段
G 乾湿判断手段
H 副変速設定検出手段
J 走行速度検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧無段変速装置(1)の出力回転を変速するアクチュエータ(3)の作動速度を制御する変速制御手段(A)を設けると共に、変速操作具(B)の変速位置を検出する変速位置検出手段(C)と機体の走行状態を検出する走行状態検出手段(D)を設け、該変速位置検出手段(C)で検出した変速位置と走行状態検出手段(D)で検出した走行状態とに基いて変速制御手段(A)でアクチュエータ(3)の作動速度を制御して速度変化率を変更すべくしたことを特徴とする油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項2】
変速操作具(B)の増減速操作を検出する増減速検出手段(E)を設け、該増減速検出手段(E)が減速を検出した場合には変速制御手段(A)で増速時の速度変化率よりも適宜に速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項3】
機体の左右傾きを検出する傾き検出手段(F)を設け、該傾き検出手段(F)による機体の傾き検出値が大きくなるに従って変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項4】
圃場の乾湿を検出或いは入力する乾湿判断手段(G)を設け、該乾湿判断手段(G)による判断結果が湿田の場合に変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項5】
油圧無段変速装置(1)の他にギア変速による変速比を変更する副変速装置(2)の副変速設定検出手段(H)を設け、該副変速設定検出手段(H)による高変速比検出時に変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項6】
実走行速度を検出する走行速度検出手段(J)を設け、該走行速度検出手段(J)による検出速度が低速である場合および高速である場合に速度変化率制御手段(A)によって速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項1】
油圧無段変速装置(1)の出力回転を変速するアクチュエータ(3)の作動速度を制御する変速制御手段(A)を設けると共に、変速操作具(B)の変速位置を検出する変速位置検出手段(C)と機体の走行状態を検出する走行状態検出手段(D)を設け、該変速位置検出手段(C)で検出した変速位置と走行状態検出手段(D)で検出した走行状態とに基いて変速制御手段(A)でアクチュエータ(3)の作動速度を制御して速度変化率を変更すべくしたことを特徴とする油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項2】
変速操作具(B)の増減速操作を検出する増減速検出手段(E)を設け、該増減速検出手段(E)が減速を検出した場合には変速制御手段(A)で増速時の速度変化率よりも適宜に速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項3】
機体の左右傾きを検出する傾き検出手段(F)を設け、該傾き検出手段(F)による機体の傾き検出値が大きくなるに従って変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項4】
圃場の乾湿を検出或いは入力する乾湿判断手段(G)を設け、該乾湿判断手段(G)による判断結果が湿田の場合に変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項5】
油圧無段変速装置(1)の他にギア変速による変速比を変更する副変速装置(2)の副変速設定検出手段(H)を設け、該副変速設定検出手段(H)による高変速比検出時に変速制御手段(A)で速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置。
【請求項6】
実走行速度を検出する走行速度検出手段(J)を設け、該走行速度検出手段(J)による検出速度が低速である場合および高速である場合に速度変化率制御手段(A)によって速度変化率を低下させて制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧駆動作業車の変速制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−275046(P2008−275046A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118788(P2007−118788)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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