説明

洗浄装置

【課題】 大型マスク基板を容易に洗浄、搬送することができ、且つコンパクトな洗浄槽により、広い作業スペースを必要とせず、操作性の良い洗浄装置を提供する。
【解決手段】 洗浄装置の門方基板操作部は、洗浄槽60を跨いで門方を形成し、大型ガラス基板85を洗浄槽60内に降下させ、且つ降下した大型ガラス基板85を洗浄槽60内から上昇させる基板昇降部と、洗浄槽60に対して移動動作を行う基板搬送部とを有し、洗浄槽60の両側に設置された2本のガイドレール40−1、2上を移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産工程における、大型基板の洗浄を行う洗浄装置に係り、詳しくは、コンパクトな洗浄槽に大型基板を安定して搬送する搬送手段を具備した洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ及びプラズマディスプレイの表示画面は年々大型化し、そのマスク基板も1.5m×1.5m×5mmを越える大きさになっている。このためマスク基板の洗浄工程において、大型マスク基板を人手により洗浄槽に出し入れする取り扱いが次第に困難となっている。またマスク基板の大型化に伴い洗浄槽も大型化し、より広い作業スペースが必要となっている。これらのことから、大型マスク基板の取り扱いが容易で、操作性の良い、コンパクトな洗浄装置が求められている。
【0003】
特許文献1には、枚葉式洗浄装置の下部筐体の上部に、多数の小孔を有するステンレス板または多孔質板を設け、小孔または多孔からの洗浄水圧によってガラス基板を支持し、搬送ロールによってガラス基板を搬送しながら洗浄することにより、搬送ロールの間隔を広げてもガラス基板が搬送ロール間で垂れず、約1m大のガラス基板においても処理能力を低下させることなく洗浄できる洗浄方法についての記載がされている。
【特許文献1】特開2002−280340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、大型ガラス基板を容易に洗浄、搬送することができ、且つコンパクトな洗浄槽により、広い作業スペースを必要とせず、操作性の良い洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の洗浄装置は、大型ガラス基板を洗浄する門方基板操作部を有する洗浄装置であって、門方基板操作部は、洗浄槽を跨いで門方を形成し、基板を洗浄槽内に降下させ、且つ降下した基板を洗浄槽内から上昇させる基板昇降部と、洗浄槽に対して移動動作を行う基板搬送部とを有し、洗浄槽の両側に設置された2本のガイドレール上を移動することを特徴とする。
【0006】
本発明の洗浄装置の門方基板操作部は、洗浄槽の両側に立つ2本の支柱と、2本の支柱を上部で連結する連結シャフトとを有し、基板昇降部は、2本の支柱のそれぞれに設置されて基板を上下動させる2本の昇降軸と、2本の昇降軸に設置され基板を保持して上下動する基板保持アームと、2本の支柱のいずれかに設置されて基板保持アームを上下動させる上下動モータと、2本の昇降軸と上下動モータとを連結して上下動モータの回転トルクを2本の昇降軸に伝達する上下動用同期シャフトとを有し、基板搬送部は、2本の支柱のいずれかに設置されて門方基板操作部を移動させる横送りモータと、2本の支柱のそれぞれに設置され2本のガイドレール上を回転して移動する2つの回転体と、2つの回転体と横送りモータとを連結して横送りモータの回転トルクを2つの回転体に伝達する横送り用同期シャフトとを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の洗浄装置の洗浄槽は、基板を洗浄液に浸漬させて洗浄する洗浄部と、洗浄液を回収して浄化する浄化部とから成り、洗浄部と浄化部とが一体化されて構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の洗浄装置の洗浄槽の洗浄部は、洗浄液を振動させて洗浄力を与える超音波発生部を有し、洗浄槽の浄化部は、洗浄槽の洗浄液の一部を蓄え、該一部の洗浄液を浄化するフィルターと洗浄部へ循環させるポンプとを備えた循環部を有し、基板が洗浄部の洗浄液に浸漬されている間、循環部は連続して動作し、超音波発生部は設定された時間に応じて超音波の発生と停止とを繰り返す間欠動作をし、停止時間中に洗浄液が所定の状態に浄化されることを特徴とする。
【0009】
本発明の洗浄装置は、ライン状に設置された複数の洗浄槽との前記門方基板操作部とを有し、門方基板操作部の各々は、基板の洗浄を複数の洗浄槽の順序に従って連続して行うために上下動モータと横送りモータとを制御する制御部を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の洗浄装置は、往路用の2本のガイドレールと同様で、往路用の2本のガイドレールの上方向に設置された復路用の2本のガイドレールと、複数の門方基板操作部の基板の洗浄が終了すると基板を切り離し、門方基板操作部を復路用の2本のガイドレールに設置する門方基板操作部の復路制御手段と、戻ってきた門方基板操作部を復路用の2本のガイドレールから切り離し、洗浄のための基板を門方基板操作部に設定する往路制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の洗浄装置は、洗浄装置の制御部と、洗浄装置の往路制御手段及び復路制御手段とは、無線によるデータ送受信部を有し、無線によるデータ送受信部を有する集中制御装置により制御されて、連続して基板を洗浄することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の洗浄装置によれば、門方基板操作部により大型ガラス基板を容易に洗浄、搬送することができ、且つ洗浄部と浄化部60−2とが一体化されたコンパクトな洗浄槽により、広い作業スペースを必要とせず、操作性の良い洗浄装置を提供することが可能となる。また、制御部を有する複数の門方基板操作部と複数の洗浄槽と1つの集中制御装置とにより、任意に設定された洗浄ラインを自動操作することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明による実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明の洗浄装置の構成を示す装置構成図である。図1において、洗浄装置100−1の門方基板操作部は、洗浄槽60の両側に位置する2本の支柱10−1、2と、2本の支柱10−1、2を上部で連結する連結シャフト15とを有している。また門方基板操作部の基板昇降部は、2本の支柱10−1、2のそれぞれに設置されて大型ガラス基板85を上下動させる2本の昇降軸20−1、2と、2本の昇降軸20−1、2に設置され大型ガラス基板85を保持して上下動する基板保持アーム25と、2本の支柱10−1、2のいずれかに設置されて基板保持アーム25を上下動させる上下動モータ30と、2本の昇降軸20−1、2と上下動モータ30とを連結して上下動モータ30の回転トルクを2本の昇降軸20−1、2に伝達する上下動用同期シャフト35とを有している。
【0014】
さらに門方基板操作部の基板搬送部は、2本の支柱10−1、2のいずれかに設置されて門方基板操作部を移動させる横送りモータ45と、2本の支柱10−1、2のそれぞれに設置され2本のガイドレール40−1、2上を回転して移動する2つの回転体50−1、2と、2つの回転体50−1、2と横送りモータ45とを連結して横送りモータ45の回転トルクを2つの回転体50−1、2に伝達する横送り用同期シャフト47とを有し、洗浄槽60の両側に設置され洗浄槽60に対して門方基板操作部の移動方向を決める2本のガイドレール40−1、2上を移動する。
【0015】
大型ガラス基板85は、洗浄前に基板保持アーム25にセットされる。大型ガラス基板85が基板保持アーム25にセットされ洗浄動作がスタートすると、基板搬送部の横送りモータ45は、横送り用同期シャフト47を介して2つの回転体50−1、2に回転トルクを伝達する。これにより門方基板操作部は、移動方向を決める2本のガイドレール40−1、2上に沿って移動を開始する。
【0016】
門方基板操作部が洗浄槽60上に到達すると、横送りモータ45は停止し、基板昇降部の上下動モータ30が動作を開始する。上下動モータ30は、上下動用同期シャフト35と2本の昇降軸20−1、2とを介して基板保持アーム25に回転トルクを伝達する。これにより基板保持アーム25は降下し、大型ガラス基板85は洗浄槽60の洗浄部60−1に浸漬され洗浄が開始する。洗浄が終了すると再び上下動モータ30により大型ガラス基板85は洗浄部60−1の洗浄液80−1に対し所定に位置まで上昇した後、基板搬送部により横移動して洗浄槽60から取り出される。
【0017】
さらに図1において、洗浄槽60は、基板85を洗浄液80−1に浸漬させて洗浄する洗浄部60−1と、洗浄液80−1を回収して浄化する浄化部60−2とから成り、洗浄部60−1と浄化部60−2とが一体化されて構成されている。これにより、洗浄槽がよりコンパクトに構成されるため、要求されていた広い作業スペースの確保が不要となる。洗浄槽60の洗浄部60−1は、洗浄液80−1を振動させて洗浄力を与える超音波発生部65を有している。洗浄槽60の浄化部60−2は、洗浄槽60の洗浄液80−1の一部を蓄え、その一部の洗浄液80−2を浄化するフィルター75と洗浄部60−1へ循環させるポンプ70とを備えた循環部を有している。
【0018】
大型ガラス基板85が洗浄部60−1の洗浄液80−1に浸漬されている間、循環部は連続して動作し、浄化部60−2の洗浄液80−2を浄化して洗浄部60−1へ戻す。超音波発生部65は所定の時間だけ動作した後、所定の時間だけ停止する。この停止時間中に洗浄液80−1は所定の状態まで浄化され、超音波発生部65は再び所定の時間だけ動作する。これを所定の回数だけ繰り返し、洗浄が終了する。また、大型ガラス基板85が洗浄部60−1の洗浄液80−1に浸漬されていない間も、洗浄液80−1を一定の清浄度に保つため、上記動作が継続して行われても良い。
【0019】
図2は、本発明の他の実施例を示す洗浄装置のレイアウト図である。洗浄装置100−1と洗浄槽60とが複数ライン状に設置され、各門方基板操作部の連結シャフト15には、大型ガラス基板85の洗浄を複数の洗浄槽60の順序に従って連続して行うために、上下動モータ30と横送りモータ45とを制御する制御部90が設置されている。これにより各々の門方基板操作部の大型ガラス基板85は、制御部90に設定された制御手順に従って、それぞれの洗浄槽60において洗浄され、全ての洗浄槽60を経由して洗浄を完了する。また洗浄装置100−1及び洗浄槽60は、洗浄条件に対応して1台であっても良い。
【0020】
さらに往路用の2本のガイドレール40−1、2と同様で、往路用の2本のガイドレール40−1、2の上方向に設置された復路用の2本のガイドレール93−1、2と、複数の門方基板操作部のそれぞれの基板85の洗浄が終了すると各基板85を切り離しその門方基板操作部を復路用の2本のガイドレール93−1、2に設置する門方基板操作部の復路制御手段と戻ってきた門方基板操作部を復路用の2本のガイドレール93−1、2から切り離し洗浄のための大型ガラス基板85を門方基板操作部に設定する往路制御手段と(いずれも図示されず)、集中制御装置97とを具備することにより、枚葉式の自動洗浄装置100−2が構成される。門方基板操作部の固定脚95−1、2は、往路制御手段の一部をなし、戻ってきた門方基板操作部に大型ガラス基板85を設定するための固定脚である。また門方基板操作部の固定脚95−3、4は、復路制御手段の一部をなし、洗浄が完了した門方基板操作部の大型ガラス基板85を取り外すための固定脚である。
【0021】
往路制御手段は、門方基板操作部を門方基板操作部の固定脚95−1、2に設定して大型ガラス基板85を基板保持アーム25に取り付けると、門方基板操作部を往路用の2本のガイドレール40−1、2上にセットする。セットされた門方基板操作部の制御部90は、設定された洗浄手順に従い、各洗浄槽60を経由して洗浄を完了する。復路制御手段は、ガイドレール40−1、2から門方基板操作部を取り外し、門方基板操作部の固定脚95−1、2にセットする。引き続き、大型ガラス基板85を取り外した後、復路用の2本のガイドレール93−1、2にセットする。門方基板操作部の制御部90は、再び設定された手順に従い、スターと地点に戻る。往路制御手段は、戻ってきた門方基板操作部を門方基板操作部の固定脚95−1、2に設定して大型ガラス基板85を基板保持アーム25に取り付け、往路用の2本のガイドレール40−1、2上にセットする。これらの動作を繰り返すことで、大型ガラス基板85が連続して洗浄される。
【0022】
また、制御部90と、往路制御手段及び復路制御手段と、集中制御装置97とが、無線によるデータ送受信部を具備することにより、各制御部90と、往路制御手段及び復路制御手段とが集中制御装置97の無線により制御され、連続して大型ガラス基板85を洗浄することが可能となる。
【0023】
以上説明したように、本発明の洗浄装置によれば、大型マスク基板の人手による取り扱いを削減でき、基板を容易に洗浄、搬送することができる。またコンパクトな洗浄槽により、広い作業スペースを必要とせず、操作性の良い洗浄装置を提供することが可能となる。さらに本発明の洗浄装置を複数ライン状にレイアウトし無線制御することにより、連続した枚葉式の自動洗浄装置を構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の洗浄装置の構成を示す装置構成図。
【図2】本発明の他の実施例を示す洗浄装置のレイアウト図。
【符号の説明】
【0025】
10−1、2 支柱
15 連結シャフト
20−1、2 昇降軸
25 基板保持アーム
30 上下動モータ
35 上下動用同期シャフト
40−1、2 ガイドレール
45 横送りモータ
47 横送り用同期シャフト
50−1、2 回転体
60 洗浄槽
60−1 洗浄部
60−2 浄化部
65 超音波発生部
70 ポンプ
75 フィルター
80−1 洗浄液
80−2 洗浄液の一部
85 大型ガラス基板
90 制御部
93−1、2 復路用ガイドレール
95−1〜4 門方基板操作部の固定脚
97 集中制御装置
100−1、2 洗浄装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型ガラス基板を洗浄する門方基板操作部を有する洗浄装置であって、
前記門方基板操作部は、洗浄槽を跨いで門方を形成し、
前記基板を前記洗浄槽内に降下させ、且つ前記降下した基板を前記洗浄槽内から上昇させる基板昇降部と、前記洗浄槽に対して移動動作を行う基板搬送部とを有し、
前記洗浄槽の両側に設置された2本のガイドレール上を移動することを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記門方基板操作部は、前記洗浄槽の両側に立つ2本の支柱と、前記2本の支柱を上部で連結する連結シャフトとを有し、
前記基板昇降部は、前記2本の支柱のそれぞれに設置されて前記基板を上下動させる2本の昇降軸と、前記2本の昇降軸に設置され前記基板を保持して上下動する基板保持アームと、前記2本の支柱のいずれかに設置されて前記基板保持アームを上下動させる上下動モータと、前記2本の昇降軸と前記上下動モータとを連結して前記上下動モータの回転トルクを前記2本の昇降軸に伝達する上下動用同期シャフトとを有し、
前記基板搬送部は、前記2本の支柱のいずれかに設置されて門方基板操作部を移動させる横送りモータと、前記2本の支柱のそれぞれに設置され前記2本のガイドレール上を回転して移動する2つの回転体と、前記2つの回転体と前記横送りモータとを連結して前記横送りモータの回転トルクを前記2つの回転体に伝達する横送り用同期シャフトとを有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄槽は、前記基板を洗浄液に浸漬させて洗浄する洗浄部と、前記洗浄液を回収して浄化する浄化部とから成り、前記洗浄部と前記浄化部とが一体化されて構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄槽の洗浄部は、前記洗浄液を振動させて洗浄力を与える超音波発生部を有し、
前記洗浄槽の浄化部60−2は、前記洗浄槽の前記洗浄液の一部を蓄え、該一部の洗浄液を浄化するフィルターと前記洗浄部へ循環させるポンプとを備えた循環部を有し、
前記基板が前記洗浄部の前記洗浄液に浸漬されている間、前記循環部は連続して動作し、前記超音波発生部は設定された時間に応じて超音波の発生と停止とを繰り返す間欠動作をし、
前記停止時間中に前記洗浄液が所定の状態に浄化されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項5】
ライン状に設置された複数の前記洗浄槽と複数の前記門方基板操作部とを有し
前記門方基板操作部の各々は、前記基板の洗浄を前記複数の洗浄槽の順序に従って連続して行うために前記上下動モータと前記横送りモータとを制御する制御部を具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄装置は、往路用の前記2本のガイドレールと同様で、前記往路用の2本のガイドレールの上方向に設置された復路用の2本のガイドレールと、
前記複数の門方基板操作部の前記基板の洗浄が終了すると前記基板を切り離し、前記門方基板操作部を前記復路用の2本のガイドレールに設置する前記門方基板操作部の復路制御手段と、
戻ってきた前記門方基板操作部を前記復路用の2本のガイドレールから切り離し、洗浄のための前記基板を前記門方基板操作部に設定する往路制御手段とを有することを特徴とする請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄装置の前記制御部と、前記洗浄装置の前記往路制御手段及び復路制御手段とは、無線によるデータ送受信部を有し、無線によるデータ送受信部を有する集中制御装置により制御されて、連続して前記基板を洗浄することを特徴とする請求項6に記載の洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−207116(P2008−207116A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47260(P2007−47260)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】