説明

液処理方法、その液処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体及び液処理装置

【課題】表面及び裏面にチタン含有膜が形成された基板の裏面からチタン含有膜を除去するときに、基板の裏面に残留するチタン元素を従来より短い時間で除去することができる液処理方法を提供する。
【解決手段】処理液により基板の裏面を処理する液処理方法において、回転可能に設けられた、基板を支持する支持部により、表面及び裏面にチタン含有膜が形成されている基板を支持し、支持部に支持されている基板を、支持部とともに回転させ、回転する基板の裏面にアンモニア過水を含む第1の処理液を供給し、供給した第1の処理液により基板の裏面を処理する第1の工程S11を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を用いて処理する液処理方法、その液処理方法を実行させるためのプログラムを記録した記録媒体及び液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスやフラットパネルディスプレー(FPD)の製造プロセスにおいては、被処理基板である半導体ウェハやガラス基板に処理液を供給して液処理を行う液処理プロセスが多用されている。
【0003】
このような液処理プロセスの一つとして、基板の裏面に処理液を供給し、供給した処理液により、基板の裏面に液処理を行う液処理プロセスがある。
【0004】
例えば、半導体デバイス等の製造プロセスにおいては、基板の表面に各種薄膜を形成するために成膜工程が行われることがある。成膜工程では、基板の表面のみならず基板の裏面にも薄膜が成膜されることがある。基板の裏面に形成された薄膜は、その後の製造工程の中で、例えば熱処理等の際に基板に反りを発生させる要因ともなるため、除去することが好ましい。そのため、基板の裏面に処理液を供給し、供給された処理液により、基板の裏面をエッチング処理する液処理プロセスを行うことがある。
【0005】
このような液処理プロセスを行う液処理装置として、基板の下面に処理液を供給することにより、基板の下面に対して液処理を行う基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に示す例では、基板処理装置は、基板保持手段(支持部)、第1駆動手段(回転部)及びエッチング液供給手段(処理液供給部)を有している。基板保持手段は、基板を水平姿勢で支持した状態で保持する。第1駆動手段は、基板保持手段に保持された基板を鉛直方向の軸芯周りで回転させる。エッチング液供給手段は、基板保持手段に保持され、第1駆動手段により回転される基板の下面に処理液を供給する。
【0006】
また、基板の表面及び裏面に、チタンを含有するチタン含有膜が形成された基板から、チタン含有膜をエッチング処理し、除去するための処理液として、フッ酸を含むエッチング液を用いることが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−235948号公報
【特許文献2】特開2005−97715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、フッ酸を含むエッチング液を処理液として用い、表面及び裏面にチタン含有膜が形成された基板の裏面からチタン含有膜を除去するための液処理方法及び液処理装置では、次のような問題がある。
【0009】
フッ酸を含む処理液を回転する基板の裏面に供給し、基板の裏面からチタン含有膜を除去する際に、基板の裏面におけるチタン含有膜の膜厚が略0に等しくなったときでも、元素分析により検出されるチタン元素の検出値が許容される所定の値以下に減少しない。従って、チタン元素の検出値を所定の値以下にするために、基板の裏面におけるチタン含有膜の膜厚が略0に等しくなった後、更に長時間処理液により処理しなくてはならない。すなわち、発明者は基板の表面及び裏面にチタン含有膜が形成された基板の裏面からチタン含有膜を除去するときに、基板の裏面に残留するチタン元素を短時間で除去することができないことを発見した。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、表面及び裏面にチタン含有膜が形成された基板の裏面からチタン含有膜を除去するときに、基板の裏面に残留するチタン元素を従来より短い時間で除去することができる液処理方法及び液処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一実施例によれば、処理液により基板の裏面を処理する液処理方法において、回転可能に設けられた、基板を支持する支持部により、表面及び裏面にチタン含有膜が形成されている基板を支持し、前記支持部に支持されている前記基板を、前記支持部とともに回転させ、回転する前記基板の前記裏面にアンモニア過水を含む第1の処理液を供給し、供給した前記第1の処理液により前記基板の前記裏面を処理する第1の工程を有する、液処理方法が提供される。
【0013】
また、本発明の一実施例によれば、処理液により基板の裏面を処理する液処理装置において、回転可能に設けられた、基板を支持する支持部と、前記支持部を回転させる回転部と、前記支持部に支持されている基板の裏面にアンモニア過水を含む第1の処理液を供給する処理液供給部と、前記支持部により、表面及び裏面にチタン含有膜が形成されている基板を支持し、前記支持部に支持されている前記基板を、前記回転部により前記支持部とともに回転させ、回転する前記基板の前記裏面に、前記処理液供給部により前記第1の処理液を供給し、供給した前記第1の処理液により前記基板の前記裏面を処理する制御部とを有する、液処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表面及び裏面にチタン含有膜が形成された基板の裏面からチタン含有膜を除去するときに、基板の裏面に残留するチタン元素を従来より短い時間で除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態に係る液処理装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】実施の形態に係る液処理装置の回転カップ近傍を拡大した概略断面図である。
【図3】実施の形態に係る液処理装置の回転カップの斜視図である。
【図4】実施の形態に係る液処理方法の手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態に係る液処理方法におけるウェハの状態を模式的に示す断面図である。
【図6】比較例に係る液処理方法におけるウェハの状態を模式的に示す断面図である。
【図7】チタン含有膜の膜厚の時間変化を、実施の形態と比較例との間で比較して模式的に示すグラフである。
【図8】実施の形態に係る液処理方法を行った後のウェハの表面の写真を、比較例に係る液処理方法を行った後のウェハの表面の写真と比較して示す図である。
【図9】実施の形態に係る液処理方法においてチタン含有膜がエッチングされる様子を、比較例に係る液処理方法においてチタン含有膜がエッチングされる様子と比較して示す図である。
【図10】実施の形態の変形例に係る液処理装置の構成を示す概略断面図である。
【図11】実施の形態の変形例に係る液処理方法の手順を説明するためのフローチャートである。
【図12】実施の形態の変形例に係る液処理方法におけるウェハの状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。ここでは、本発明を半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」と記す。)の裏面処理を行う液処理装置に適用した場合について示す。
(実施の形態)
初めに、図1から図3を参照し、実施の形態に係る液処理装置について説明する。本実施の形態の液処理装置は、被処理体である半導体ウェハW(以下、ウェハWと呼ぶ)の下面に処理液を供給して、ウェハWの下面を処理するものである。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る液処理装置100の構成を示す概略断面図である。図2は、本実施の形態に係る液処理装置100の回転カップ30近傍を拡大した概略断面図である。図3は、本実施の形態に係る液処理装置100の回転カップ30の斜視図である。
【0018】
図1に示すように、液処理装置100は、処理液供給機構10、排出機構20、回転カップ30、支持ピン35、トッププレート40、ベースプレート(ベース)50、回転駆動部60、及び制御部70を有している。
【0019】
なお、処理液供給機構10及び回転駆動部60は、本発明における処理液供給部及び回転部に相当する。また、回転カップ30及び支持ピン35は、本発明における支持部に相当する。
【0020】
処理液供給機構10は、ウェハWの下面に処理液を供給する。排出機構20は、ウェハWを処理した処理液を排出する。回転カップ30は、ウェハWの周縁外方に設けられ、ウェハWを処理した処理液を排出機構20へと導く。
【0021】
処理液供給機構10は、図1に示すように、処理液供給部11a、純水供給部11b、開閉機構11c及び処理液供給管12を有している。処理液供給部11aは、第1の処理液E1を供給し、純水供給部11bは、純水(DIW)を供給する。開閉機構11cは、処理液供給部11aと純水供給部11bとを切替え可能に処理液供給管12に接続する。処理液供給管12は、処理液供給部11aから切替え可能に供給された第1の処理液E1及び純水供給部11bから切替え可能に供給された純水(DIW)をウェハWの下面側まで導く。処理液供給管12の上面は、処理液供給口12aを構成している。
【0022】
本実施の形態では、処理液供給機構10は、例えば、まず、処理液供給部11aによりアンモニア過水(SC1)を含む第1の処理液E1を供給し、その後、純水供給部11bにより純水(DIW)を供給するように構成することができる。
【0023】
排出機構20は、図1に示すように、排液カップ21及び排液管22を有している。排液カップ21は、回転カップ30によって導かれた処理液を受ける。排液管22は、排液カップ21によって受けられた処理液を排出する。また、排液カップ21の周りには、排気カップ23が設けられ、排気カップ23には、排気カップ23内の窒素ガスなどの気体を吸引して排出する排気管24が設けられている。なお、排気管24には、吸引力を付与する排出吸引部(図示せず)が連結されている。
【0024】
支持ピン35は、図1から図3に示すように、回転カップ30の下端において、周縁内方に突出するように複数設けられている。支持ピン(支持部)35は、ウェハWの周縁部の下面を支持する。
【0025】
トッププレート40は、図1に示すように、支持ピン35によって支持されたウェハWの上面側に、ウェハWを覆うように設けられている。トッププレート40の内部には、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス(本実施の形態では窒素ガス)を供給する不活性ガス供給部46に連結された不活性ガス供給管47が延在している。なお、不活性ガス供給管47は、トッププレート40の中心部で端部となっており、当該端部が不活性ガス供給口47aを構成している。また、図1に示すように、トッププレート40には、トッププレート40を上下方向に移動させるトッププレート駆動部49が連結されている。
【0026】
ベースプレート(ベース)50は、図1に示すように、回転カップ30の下方側に設けられている。ベースプレート(ベース)50は、中空形状からなり、下方に向かって延在する中空構造の回転軸51が設けられている。
【0027】
回転駆動部60は、回転軸51を回転させるものである。回転駆動部60は、回転軸51に連結されている。回転駆動部60により回転軸51を回転させることによって、ベースプレート50および回転カップ30を回転させることができ、回転カップ30に設けられた支持ピン35上のウェハWを回転させることができる。
【0028】
回転駆動部60は、図1に示すように、モータ61、プーリ62及び駆動ベルト63を有する。プーリ62は、回転軸51の周縁外方に配置されている。駆動ベルト63は、プーリ62に巻きかけられている。モータ61は、駆動ベルト63に駆動力を付与することによって、プーリ62を介して回転軸51を回転させるものである。回転軸51の周縁外方にはベアリング52が配置されている。
【0029】
また、図1に示すように、回転カップ30と回転軸51の中空内には、リフトピン55aを有し、中空形状からなるリフトピンプレート55と、このリフトピンプレート55から下方に延在し、中空形状からなるリフト軸56が配置されている。また、図1に示すように、リフトピンプレート55およびリフト軸56の内部(中空空間内)には、処理液供給管12が上下方向に延在している。なお、リフト軸56には、このリフト軸56を上下方向に移動させるリフト軸駆動部(図示せず)が連結されている。
【0030】
また、図2に示すように、ベースプレート50と回転カップ30との間にはスペーサ31が配置されており、このスペーサ31内には、回転カップ30とベースプレート50とを締結するネジなどの締結部材32が設けられている。また、図3に示すように、回転カップ30には締結部材32を貫通させるための孔部30aが設けられている。
【0031】
なお、本実施の形態では、支持ピン35と回転カップ30とは一体に構成されている。また、スペーサ31と回転カップ30も一体に構成されている。
【0032】
制御部70は、例えば、図示しない演算処理部、記憶部及び表示部を有する。演算処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータである。記憶部は、演算処理部に、各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、例えばハードディスクにより構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。表示部は、例えばコンピュータの画面よりなる。演算処理部は、記憶部に記録されたプログラムを読み取り後述する液処理方法を実行する。
【0033】
次に、本実施の形態に係る液処理装置100の作用について述べる。
【0034】
まず、搬送ロボット(図示せず)によって、キャリア(図示せず)から取り出されたウェハWが、リフト軸駆動部(図示せず)により受け渡し位置(上方位置)に位置づけられたリフトピンプレート55のリフトピン55a上に載置される。このとき、トッププレート40は、トッププレート駆動部49によって、ウェハWの受け渡し位置よりも上方位置に位置づけられている。
【0035】
次に、リフト軸駆動部(図示せず)によって、リフトピンプレート55が下方に移動させられてウェハ処理位置に位置づけられる(図1参照)。このようにリフトピンプレート55が下方に移動させられている間に、回転カップ30に設けられた支持ピン35によって、ウェハWの周縁部が支持される。その後、トッププレート駆動部49によって、トッププレート40が下方位置に位置づけられる。
【0036】
なお、本実施の形態では、回転カップ30の内周面30fが下方に向かって傾斜している(図2参照)。このため、所定の位置にウェハWを下方へ滑らせることができ、ウェハWを支持ピン35によって確実に支持させることができる。
【0037】
次に、回転駆動部60により回転軸51が回転駆動されることによって、ベースプレート50および回転カップ30が回転され、この結果、回転カップ30に設けられた支持ピン35上のウェハWが回転される(図1参照)。ここで、回転軸51は、モータ61から駆動ベルト63を介してプーリ62に駆動力が付与されることによって、回転駆動される。
【0038】
このとき、ウェハWの下面には、処理液供給機構10により第1の処理液E1が供給される(図1参照)。そして、ウェハWの下面に供給された第1の処理液E1は、ウェハWが回転することによって発生する遠心力によって周縁外方に向かって移動される。
【0039】
他方、トッププレート40の中心部に設けられた不活性ガス供給口47aからは窒素(N)ガスが供給される(図1参照)。そして、この窒素ガスは、ウェハWの上面を経た後、ウェハWの外周部に流れる。
【0040】
次に、図4及び図5を参照し、制御部70により液処理装置100を用いて行われる液処理方法について説明する。図4は、本実施の形態に係る液処理方法の手順を説明するためのフローチャートである。図5は、本実施の形態に係る液処理方法におけるウェハWの状態を模式的に示す断面図である。なお、図5では、図示を容易にするため、ウェハWと処理液供給機構10のみを示している(後述する図7においても同様)。
【0041】
本実施の形態に係る液処理方法は、上面(表面)TS及び下面(裏面)BSにチタン含有膜TFが形成されているウェハWを回転させ、回転するウェハWの下面(裏面)BSにアンモニア過水を含む第1の処理液E1を供給し、下面(裏面)BSからチタン含有膜TFを除去するものである。
【0042】
なお、本実施の形態に係る液処理方法では、表面が上面TSとなり、裏面が下面BSとなるようにウェハWを支持する例について説明する。しかし、ウェハWの上面TSに第1の処理液E1を供給するように構成された液処理装置を用いてもよく、その場合には、ウェハWの裏面が上面TSとなり、表面が下面BSとなるようにウェハWを支持してもよい。
【0043】
本実施の形態に係る液処理方法は、図4に示すように、第1の工程(ステップS11)、リンス工程(ステップS12)及び乾燥工程(ステップS13)を有する。
【0044】
第1の工程(ステップS11)では、回転するウェハWの下面(裏面)BSにアンモニア過水を含む第1の処理液E1を供給する。
【0045】
まず、上面(表面)TS及び下面(裏面)BSにチタン含有膜TFが形成されているウェハWをキャリアから取り出す。そして、キャリアから取り出したウェハWを、リフトピンプレート55のリフトピン55a上に載置する。更に、リフトピンプレート55をウェハ処理位置まで下方に移動することによって、回転可能に設けられた、ウェハWを支持するための支持ピン35により、ウェハWの周縁部を支持する。その後、トッププレート駆動部49によりトッププレート40を下方位置に下降させる。
【0046】
次に、回転カップ30の支持ピン35に支持されているウェハWを、回転カップ30とともに回転させる。そして、ウェハWを回転させた状態で、開閉機構11cを切替え、回転するウェハWの下面(裏面)BSに、処理液供給機構10の処理液供給部11aによりアンモニア過水を含む第1の処理液E1を供給する。第1の処理液E1の供給を開始した直後、及び第1の処理液E1の供給を停止する直前のウェハWの状態を、それぞれ図5(a)及び図5(b)に示す。
【0047】
図5(a)に示すように、ウェハWの下面(裏面)BSに供給された第1の処理液E1は、ウェハWが回転することによって発生する遠心力によりウェハWの下面(裏面)BSを周縁外方に向かって移動する。その結果、ウェハWの下面(裏面)BSが第1の処理液E1により処理される。
【0048】
また、図5(a)に示すように、ウェハWの下面(裏面)BSを周縁外方に向かって移動した第1の処理液E1は、一部がウェハWの下面(裏面)BSから上面(表面)TSに回り込む。その結果、ウェハWの上面(表面)TSの周縁部にも第1の処理液E1が供給され、ウェハWの上面(表面)TSの周縁部も第1の処理液E1により処理される。
【0049】
なお、第1の処理液E1がウェハWの周縁部を下面(裏面)BSから上面(表面)TSに回り込む量は、回転カップ30の回転数及び窒素ガスの流量を調節することによって、調整することができる。
【0050】
また、実施の形態の変形例を用いて説明するように、第2の処理液供給機構により、ウェハWの周縁部(ベベル)に第2の処理液を供給してもよい。
【0051】
その後、第1の処理液E1の供給を継続すると、図5(b)に示すように、ウェハWの下面(裏面)BSからチタン含有膜TFが除去される。また、ウェハWの側面及び上面(表面)TSの周縁部からもチタン含有膜TFが除去される。
【0052】
チタン含有膜TFとして、チタンを含む膜であればよく、例えば酸化チタン(TiO)を用いることができる。また、チタン含有膜TFの膜厚は特に限定されないが、例えば40nmとすることができる。
【0053】
ウェハWの回転数は、1000rpm以上2000rpm以下であることが好ましい。ウェハWの回転数が1000rpm未満の場合は、ウェハWの下面(裏面)BSに均一に第1の処理液E1を供給できないからである。また、ウェハWの回転数が2000rpmを超える場合は、第1の処理液E1が回転カップ30に当たって液跳ねが大量に発生し、第1の処理液E1によりウェハWの上面(表面)TSを汚染してしまうからである。
【0054】
第1の処理液E1として、アンモニア水(NHOH)と過酸化水素水(H)とよりなるアンモニア過水(SC1)を使用することができる。すなわち、第1の処理液E1として、アンモニア及び過酸化水素を含む。
【0055】
第1の処理液E1におけるアンモニア及び過酸化水素の濃度としては、アンモニアの濃度が重量比で3wt%以上であって、かつ、過酸化水素の濃度が重量比で30wt%であることが好ましい。アンモニアの濃度が重量比で3wt%未満であるか、または、過酸化水素の濃度が重量比で30wt%未満であると、チタン含有膜TFをエッチングするエッチングレートが低下するためである。
【0056】
第1の処理液E1の供給量は、500sccm以上1500sccm以下であることが好ましい。第1の処理液E1の供給量が500sccm未満の場合は、ウェハWの下面(裏面)BSに均一に第1の処理液E1を供給できないからである。また、第1の処理液E1の供給量が1500sccmを超える場合は、第1の処理液E1が回転カップ30に当たって液跳ねが大量に発生し、第1の処理液E1によりウェハWの上面(表面)TSを汚染してしまうからである。
【0057】
供給する第1の処理液E1の温度は、60℃以上80℃以下であることが好ましい。温度が60℃未満の場合、エッチングレートが小さくなって実用的でないからである。また、温度が80℃を超える場合、液処理装置の各部材の耐熱性を高める必要があり、製造コストが増大するからである。
【0058】
第1の工程(ステップS11)の後、リンス工程(ステップS12)では、回転するウェハWの下面(裏面)BSに純水(DIW)を供給する。
【0059】
回転カップ30の支持ピン35に支持されているウェハWを、回転カップ30とともに回転させた状態で、開閉機構11cを切替え、処理液供給部11aによる第1の処理液E1の供給を停止し、純水供給部11bによる純水(DIW)の供給を開始する。そして、回転するウェハWの下面(裏面)BSに、純水供給部11bにより純水(DIW)を供給する。
【0060】
リンス工程(ステップS12)の後、乾燥工程(ステップS13)では、ウェハWを乾燥する。
【0061】
回転カップ30の支持ピン35に支持されているウェハWを、回転カップ30とともに回転させた状態で、開閉機構11cを切替え、純水供給部11bによる純水(DIW)の供給を停止する。その結果、ウェハWの下面(裏面)BSに残留する純水(DIW)は遠心力により周縁外方に振り切られ、ウェハWは振り切り乾燥される。
【0062】
乾燥工程(ステップS13)の後、回転カップ30の回転が停止され、支持ピン35に支持されているウェハWの回転も停止され、液処理が終了する。
【0063】
次に、比較例と比較して、本実施の形態に係る液処理方法が、ウェハWの下面(裏面)BSに残留するチタン元素をより短い時間で除去することができ、ウェハWの上面(表面)TSでフレーク状に剥離することを防止できることについて説明する。
【0064】
図6は、比較例に係る液処理方法におけるウェハWの状態を模式的に示す断面図である。
【0065】
比較例に係る液処理方法は、上面(表面)TS及び下面(裏面)BSにチタン含有膜TFが形成されているウェハWを回転させ、回転するウェハWの下面(裏面)BSにフッ酸を含む処理液E0を供給し、下面(裏面)BSからチタン含有膜TFを除去するものである。また、処理液の種類以外は、本実施の形態に係る液処理方法と同様である。
【0066】
回転カップ30の支持ピン35に支持されている、上面(表面)TS及び下面(裏面)BSにチタン含有膜TFが形成されているウェハWを回転カップ30とともに回転させ、回転するウェハWの下面(裏面)BSに、処理液供給機構10によりフッ酸を含む処理液E0を供給する。処理液E0の供給を開始した直後、及び処理液E0の供給を停止する直前のウェハWの状態を、それぞれ図6(a)及び図6(b)に示す。
【0067】
図6(a)に示すように、ウェハWの下面(裏面)BSに供給された処理液E0は、ウェハWが回転することによって発生する遠心力によりウェハWの下面(裏面)BSを周縁外方に向かって移動する。また、図6(a)に示すように、ウェハWの下面(裏面)BSを周縁外方に向かって移動した処理液E0は、一部がウェハWの下面(裏面)BSから上面(表面)TSに回り込む。その結果、ウェハWの上面(表面)TSの周縁部にも処理液E0が供給され、ウェハWの上面(表面)TSの周縁部も処理液E0により処理される。
【0068】
その後、処理液E0の供給を継続すると、図6(b)に示すように、ウェハWの下面(裏面)BSからチタン含有膜TFが除去される。また、ウェハWの側面からもチタン含有膜TFが除去される。そして、ウェハWの上面(表面)TSの周縁部からもチタン含有膜TFが除去される。
【0069】
図7は、チタン含有膜TFの膜厚の時間変化を、実施の形態と比較例との間で比較して模式的に示すグラフである。図7(a)及び図7(b)は、それぞれ実施の形態及び比較例における時間変化を示す。チタン含有膜TFの膜厚は、例えばX線反射率法により測定することができる。
【0070】
通常、フッ酸を含む処理液E0を用いた場合、アンモニア過水を含む第1の処理液E1を用いた場合よりもエッチングレートは速い。従って、処理を開始した後、チタン含有膜TFの膜厚が0になる時刻t1は、図7(b)に示す比較例の方が、図7(a)に示す実施の形態よりも早い。
【0071】
しかし、図9を用いて後述するように、フッ酸を含む処理液E0を用いた場合、ウェハWの下面(裏面)BSにおけるチタン含有膜TFの膜厚が略0に等しくなった後、チタン元素の検出値を基準値以下にするために、更に長時間処理しなくてはならない。条件にもよるが、例えば、時刻t1から時刻t2までの間の時間が、処理を開始した後、時刻t1までの時間に対して数100%に達する場合もある。
【0072】
一方、アンモニア過水を含む第1の処理液E1を用いた場合、ウェハWの下面(裏面)BSにおけるチタン含有膜TFの膜厚が略0に等しくなった後、チタン元素の検出値を基準値以下にするために、更に長時間処理する必要はない。条件にもよるが、例えば、時刻t1から時刻t2までの間の時間が、処理を開始した後、時刻t1までの時間に対して10%程度で十分である。
【0073】
従って、チタン元素の検出値が基準値以下になる時刻t2は、図7(a)に示す実施の形態の方が、図7(b)に示す比較例よりも早い。よって、本実施の形態によれば、ウェハWの下面(裏面)BSに残留するチタン元素をより短い時間で除去することができる。
【0074】
次に、液処理方法を行った後、上面(表面)TSにおけるチタン含有膜TFが除去される部分(周縁部)とチタン含有膜TFが除去されない部分(中心部)との境界付近におけるウェハWの上面(表面)TSを電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)により観察した。実施の形態及び比較例における結果を、それぞれ図8(a)及び図8(b)に示す。図8は、本実施の形態に係る液処理方法を行った後のウェハWの表面の写真を、比較例に係る液処理方法を行った後のウェハWの表面の写真と比較して示す図である。
【0075】
図8(a)に示すように、実施の形態に係る液処理方法では、周縁部と中心部との境界付近で上面(表面)TSが平坦であることが分かる。一方、図8(b)に示すように、比較例に係る液処理方法では、周縁部と中心部との境界付近で上面(表面)TSに細かな凹凸が観察され、チタン含有膜TFが多数の箇所で剥離していることが分かる。
【0076】
すなわち、フッ酸を含む処理液E0を用いる比較例によれば、ウェハWの上面(表面)TSでチタン含有膜TFがフレーク状に剥離するが、アンモニア過水を含む第1の処理液E1を用いる本実施の形態によれば、ウェハWの上面(表面)TSでチタン含有膜TFがフレーク状に剥離することを防止できる。
【0077】
このように、ウェハWの下面(裏面)BSに残留するチタン元素をより短い時間で除去することができ、ウェハWの上面(表面)TSでフレーク状に剥離することを防止できることは、例えば図9を用いて説明することができる。図9は、本実施の形態に係る液処理方法においてチタン含有膜TFがエッチングされる様子を、比較例に係る液処理方法においてチタン含有膜TFがエッチングされる様子と比較して示す図である。
【0078】
図9(a)及び図9(c)のそれぞれは、本実施の形態に係る液処理方法において、第1の処理液E1の供給を開始した直後及び第1の処理液E1の供給を停止する直前のウェハWの下面(裏面)BSの状態を示す。また、図9(b)は、第1の処理液E1の供給を停止する直前のチタン含有膜TFが除去されている部分とチタン含有膜TFが除去されていない部分との境界付近におけるウェハWの上面(表面)TSの状態を示す。
【0079】
一方、図9(d)及び図9(f)のそれぞれは、比較例に係る液処理方法において、処理液E0の供給を開始した直後及び処理液E0の供給を停止する直前のウェハWの下面(裏面)BSの状態を示す。また、図9(e)は、処理液E0の供給を停止する直前のチタン含有膜TFが除去されている部分とチタン含有膜TFが除去されていない部分との境界におけるウェハWの上面(表面)TSの状態を示す。なお、図9(e)は、ウェハWの下面(裏面)BSにおいて、処理液E0による処理の途中の状態も示す。
【0080】
チタン含有膜TFは、例えば図9(a)及び図9(d)に示すように、例えば結晶粒Gと粒界GB、あるいは結晶化している部分Gと結晶化していない部分GBとが混在していると考えられる。そして、フッ酸を含む処理液E0を用いるときは、それぞれの部分においてエッチングレートが異なるものと考えられる。従って、比較例に係る液処理方法においては、処理液E0の供給に伴って、例えば図9(e)に示すように、エッチングレートが大きい例えば粒界GBや結晶化していない部分GBが先に除去される。そして、チタン含有膜TFが全面に亘り一様にエッチングされないため、膜厚測定により膜厚が0と測定される場合でも、図9(f)に示すように、エッチングレートが小さい結晶粒G又は結晶化している部分Gが残存する。このため、元素分析により検出されるチタン元素の検出値が基準値よりも大きくなると考えられる。
【0081】
一方、アンモニア過水を含む第1の処理液E1を用いるときは、結晶粒Gと粒界GB、あるいは結晶化している部分Gと結晶化していない部分GBとのそれぞれの部分において、エッチングレートは略等しいものと考えられる。すなわち、実施の形態に係る液処理方法においては、第1の処理液E1の供給に伴って、例えば粒界GBや結晶化していない部分GBが先に除去されることはない。従って、図9(c)に示すように、チタン含有膜TFが全面に亘り一様にエッチングされる。このため、膜厚測定により膜厚が0と測定される場合には、元素分析により検出されるチタン元素の検出値も基準値以下になると考えられる。
【0082】
更に、ウェハWの上面(表面)TSの周縁部では、周縁側から中心側に向かって徐々に第1の処理液E1の供給量が少なくなる。このため、図9(b)に示すように、チタン含有膜TFが除去されている部分と除去されていない部分との境界付近では、周縁側から中心側に向かって徐々に膜厚が増大すると考えられる。
【0083】
換言すれば、上面(表面)TSにおけるチタン含有膜TFが除去されない部分(中心部)からチタン含有膜TFが除去される部分(周縁部)にかけて、チタン含有膜TFの膜厚が一様に減少するように、チタン含有膜TFをエッチングすることができる。そして、上面(表面)TSにおけるチタン含有膜TFが除去される部分(周縁部)とチタン含有膜TFが除去されない部分(中心部)との境界付近において、チタン含有膜TFが脆くなってフレーク状に剥離することを防止できる。
(実施の形態の変形例)
次に、図10を参照し、実施の形態の変形例に係る液処理装置について説明する。本変形例に係る液処理装置は、ウェハWの周縁部にも処理液を供給する点で、実施の形態に係る液処理装置と相違する。すなわち、本変形例に係る液処理装置は、ウェハWの下面及び上面の周縁部に処理液を供給して、ウェハWの下面及び上面の周縁部を処理するものである。
【0084】
図10は、本変形例に係る液処理装置100aの構成を示す概略断面図である。
【0085】
図10に示すように、液処理装置100aは、処理液供給機構10、排出機構20、回転カップ30、支持ピン35、トッププレート40、ベースプレート(ベース)50、回転駆動部60、制御部70、及び第2の処理液供給機構80を有している。第2の処理液供給機構80以外の部分は、図1を用いて説明した実施の形態に係る液処理装置と同様であり、図1と同一の符号を付して説明を省略する。なお、第2の処理液供給機構80は、本発明における第2の処理液供給部に相当する。
【0086】
第2の処理液供給機構80は、図10に示すように、第2の処理液供給部81a、第2の純水供給部81b、開閉機構81c及び第2の処理液供給管82を有している。第2の処理液供給部81aは、第2の処理液E2を供給し、第2の純水供給部81bは、純水(DIW)を供給する。開閉機構81cは、第2の処理液供給部81aと第2の純水供給部81bとを切替え可能に第2の処理液供給管82に接続する。第2の処理液供給管82は、第2の処理液供給部81aから切替え可能に供給された第2の処理液E2及び第2の純水供給部81bから切替え可能に供給された純水(DIW)をウェハWの周縁部まで導く。第2の処理液供給管82の下面は、第2の処理液供給口82aを構成している。
【0087】
本変形例では、第2の処理液供給機構80も、処理液供給機構10と同様に、例えば、まず、第2の処理液供給部81aによりアンモニア過水(SC1)を含む第2の処理液E2を供給し、その後、第2の純水供給部81bにより純水(DIW)を供給するように構成することができる。
【0088】
本変形例に係る液処理装置100aの作用も、実施の形態に係る液処理装置100の作用と略同様である。ただし、本変形例に係る液処理装置100aは、第2の処理液供給機構80を有する。従って、回転駆動されるウェハWの上面の周縁部には、第2の処理液供給機構80により処理液が供給される。
【0089】
次に、図11及び図12を参照し、制御部70により液処理装置100aを用いて行われる液処理方法について説明する。図11は、本変形例に係る液処理方法の手順を説明するためのフローチャートである。図12は、本変形例に係る液処理方法におけるウェハWの状態を模式的に示す断面図である。なお、図12では、図示を容易にするため、ウェハWと処理液供給機構10と第2の処理液供給機構80のみを示している。
【0090】
本変形例に係る液処理方法は、上面(表面)TS及び下面(裏面)BSにチタン含有膜TFが形成されているウェハWを回転させ、回転するウェハWの下面(裏面)BSにアンモニア過水を含む第1の処理液E1を供給し、回転するウェハWの上面(表面)TSの周縁部にアンモニア過水を含む第2の処理液E2を供給し、下面(裏面)BS及び上面(表面)TSの周縁部からチタン含有膜TFを除去するものである。
【0091】
なお、本変形例に係る液処理方法でも、表面が上面TSとなり、裏面が下面BSとなるようにウェハWを支持する例について説明する。しかし、ウェハWの上面TSに第1の処理液E1を供給するように構成された液処理装置を用いてもよく、その場合には、ウェハWの裏面が上面TSとなり、表面が下面BSとなるようにウェハWを支持してもよい。
【0092】
本変形例に係る液処理方法は、図11に示すように、第1の工程(ステップS21)、第2の工程(ステップS22)、リンス工程(ステップS23)及び乾燥工程(ステップS24)を有する。
【0093】
第1の工程(ステップS21)では、回転するウェハWの下面(裏面)BSにアンモニア過水を含む第1の処理液E1を供給する。第1の工程(ステップS21)は、実施の形態における第1の工程(ステップS11)と同様にすることができる。
【0094】
ただし、本変形例では、第2の工程(ステップS22)によりウェハWの周縁部に第2の処理液E2を供給する。このため、第1の工程(ステップS21)では、供給された第1の処理液E1の一部がウェハWの下面(裏面)BSから上面(表面)TSに回り込むようにしなくてもよい。
【0095】
第2の工程(ステップS22)では、回転するウェハWの上面(表面)TSの周縁部にアンモニア過水を含む第2の処理液E2を供給する。ウェハWを回転させた状態で、開閉機構81cを切替え、回転するウェハWの上面(表面)TSの周縁部に、第2の処理液供給機構80の第2の処理液供給部81aによりアンモニア過水を含む第2の処理液E2を供給する。第2の工程(ステップS22)は、第1の工程(ステップS21)と同時に行ってもよく、同時に行わなくてもよい。ここでは、以下、第2の工程(ステップS22)を第1の工程(ステップS21)と同時に行う例について説明する。
【0096】
第1の処理液E1の供給及び第2の処理液E2の供給を開始した直後、及び第1の処理液E1の供給及び第2の処理液E2の供給を停止する直前のウェハWの状態を、それぞれ図12(a)及び図12(b)に示す。
【0097】
図12(a)に示すように、ウェハWの下面(裏面)BSに供給された第1の処理液E1は、ウェハWが回転することによって発生する遠心力によりウェハWの下面(裏面)BSを周縁外方に向かって移動する。また、図12(a)に示すように、ウェハWの上面(表面)TSの周縁部に供給された第2の処理液E2も、ウェハWが回転することによって発生する遠心力によりウェハWの上面(表面)TSを周縁外方に向かって移動する。その結果、ウェハWの下面(裏面)BS、側面、及び上面(表面)TSの周縁部が第1の処理液E1及び第2の処理液E2により処理される。
【0098】
その後、第1の処理液E1及び第2の処理液E2の供給を継続すると、図12(b)に示すように、ウェハWの下面(裏面)BSからチタン含有膜TFが除去される。また、ウェハWの側面からもチタン含有膜TFが除去される。そして、ウェハWの上面(表面)TSの周縁部からもチタン含有膜TFが除去される。
【0099】
このとき上面(表面)TSにおけるチタン含有膜TFが除去される部分(周縁部)とチタン含有膜TFが除去されない部分(中心部)との境界付近において、チタン含有膜TFが脆くなってフレーク状に剥離することがない。従って、上面(表面)TSにおけるチタン含有膜TFが除去されない部分(中心部)からチタン含有膜TFが除去される部分(周縁部)にかけて、チタン含有膜TFの膜厚が一様に減少するように、チタン含有膜TFをエッチングすることができる。
【0100】
また、実施の形態に係る液処理方法と同様に、フッ酸を含む処理液E0を用いる場合に比べ、ウェハWの下面(裏面)BSに残留するチタン元素をより短い時間で除去することができる。
【0101】
第2の処理液E2として、第1の処理液E1と同様に、アンモニア水(NHOH)と過酸化水素水(H)とよりなるアンモニア過水(SC1)を使用することができる。すなわち、第2の処理液E2として、アンモニア及び過酸化水素を含む。
【0102】
第2の処理液E2におけるアンモニア及び過酸化水素の濃度としては、第1の処理液E1と同様に、アンモニアの濃度が重量比で3wt%以上であって、かつ、過酸化水素の濃度が重量比で30wt%であることが好ましい。また、第2の処理液E2は、アンモニア及び過酸化水素の濃度が、第1の処理液E1におけるアンモニア及び過酸化水素の濃度と等しいものでもよく、あるいは、第1の処理液E1におけるアンモニア及び過酸化水素の濃度と異なるものでもよい。
【0103】
また、第2の工程(ステップS22)の後、リンス工程(ステップS23)では、回転するウェハWの下面(裏面)BSに純水(DIW)を供給する。
【0104】
回転カップ30の支持ピン35に支持されているウェハWを、回転カップ30とともに回転させた状態で、開閉機構11cを切替え、処理液供給部11aによる第1の処理液E1の供給を停止し、純水供給部11bによる純水(DIW)の供給を開始する。そして、回転するウェハWの下面(裏面)BSに、純水供給部11bにより純水(DIW)を供給する。
【0105】
また、本変形例では、開閉機構81cを切替え、第2の処理液供給部81aによる第2の処理液E2の供給を停止し、第2の純水供給部81bによる純水(DIW)の供給を開始する。そして、回転するウェハWの上面(表面)TSの周縁部に、第2の純水供給部81bにより純水(DIW)を供給する。
【0106】
リンス工程(ステップS23)の後、乾燥工程(ステップS24)では、ウェハWを乾燥する。
【0107】
回転カップ30の支持ピン35に支持されているウェハWを、回転カップ30とともに回転させた状態で、開閉機構11c及び開閉機構81cを切替え、純水供給部11b及び第2の純水供給部81bによる純水(DIW)の供給を停止する。その結果、ウェハWの下面(裏面)BSに残留する純水(DIW)及びウェハWの上面(表面)TSの周縁部に残留する純水(DIW)は遠心力により周縁外方に振り切られ、ウェハWは振り切り乾燥される。
【0108】
乾燥工程(ステップS24)の後、回転カップ30の回転が停止され、支持ピン35に支持されているウェハWの回転も停止され、液処理が終了する。
【0109】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
10 処理液供給機構
30 回転カップ
35 支持ピン
60 回転駆動部
70 制御部
100 液処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液により基板の裏面を処理する液処理方法において、
回転可能に設けられた、基板を支持する支持部により、表面及び裏面にチタン含有膜が形成されている基板を支持し、前記支持部に支持されている前記基板を、前記支持部とともに回転させ、回転する前記基板の前記裏面にアンモニア過水を含む第1の処理液を供給し、供給した前記第1の処理液により前記基板の前記裏面を処理する第1の工程を有する、液処理方法。
【請求項2】
前記第1の工程は、供給した前記第1の処理液により前記基板の前記裏面を処理することによって、前記基板の前記裏面から前記チタン含有膜を除去し、前記チタン含有膜が除去された前記基板の前記裏面に残留するチタン元素を除去するものである、請求項1に記載の液処理方法。
【請求項3】
前記裏面は下面であり、前記表面は上面である、請求項1又は請求項2に記載の液処理方法。
【請求項4】
前記第1の工程は、前記下面に供給した前記第1の処理液を前記下面から前記上面に回り込ませ、回り込ませた前記第1の処理液により前記上面の周縁部を処理するものである、請求項3に記載の液処理方法。
【請求項5】
回転する前記基板の周縁部にアンモニア過水を含む第2の処理液を供給し、供給した前記第2の処理液により前記上面の周縁部を処理する第2の工程を有する、請求項3に記載の液処理方法。
【請求項6】
コンピュータに請求項1から請求項5のいずれかに記載の液処理方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
処理液により基板の裏面を処理する液処理装置において、
回転可能に設けられた、基板を支持する支持部と、
前記支持部を回転させる回転部と、
前記支持部に支持されている基板の裏面にアンモニア過水を含む第1の処理液を供給する処理液供給部と、
前記支持部により、表面及び裏面にチタン含有膜が形成されている基板を支持し、前記支持部に支持されている前記基板を、前記回転部により前記支持部とともに回転させ、回転する前記基板の前記裏面に、前記処理液供給部により前記第1の処理液を供給し、供給した前記第1の処理液により前記基板の前記裏面を処理する制御部と
を有する、液処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、供給した前記第1の処理液により前記基板の前記裏面を処理することによって、前記基板の前記裏面から前記チタン含有膜を除去し、前記チタン含有膜が除去された前記基板の前記裏面に残留するチタン元素を除去するものである、請求項7に記載の液処理装置。
【請求項9】
前記裏面は下面であり、前記表面は上面である、請求項7又は請求項8に記載の液処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記下面に供給した前記第1の処理液を前記下面から前記上面に回り込ませ、回り込ませた前記第1の処理液により前記上面の周縁部を処理するものである、請求項9に記載の液処理装置。
【請求項11】
前記支持部に支持されている基板の周縁部にアンモニア過水を含む第2の処理液を供給する第2の処理液供給部を有し、
前記制御部は、回転する前記基板の周縁部に、前記第2の処理液供給部により前記第2の処理液を供給し、供給した前記第2の処理液により前記上面の周縁部を処理するものである、請求項9に記載の液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−64893(P2012−64893A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210008(P2010−210008)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】