説明

液処理装置

【課題】薬液処理中あるいは天板の洗浄中に、天板に付着した薬液または洗浄液が望ましくない態様で飛散することを防止する。
【解決手段】液処理装置は、基板(W)を水平に保持して回転させる基板保持部(21)と、基板保持部に保持された基板に対して処理液を供給する処理液ノズル(82)と、基板保持部に保持されたときの基板の周縁の外方に位置するよう設けられた、処理液ノズルにより基板に供給された後の処理液を受けるためのカップ(40)と、基板保持部に保持された基板を上方から覆う天板(32)と、天板を回転させる天板回転駆動機構と、天板の周縁を囲んで天板の外方に位置するように設けられ、天板から飛散する液体を受ける環状の液受け空間(132)を有する液受け部材(130)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を水平状態に保持した状態で回転させながら当該基板に処理液を供給することにより基板に洗浄処理やエッチング処理等の所定の液処理を行う液処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、半導体ウエハ等の基板(以下、単に「ウエハ」ともいう)に形成された処理対象膜の上に所定のパターンでレジスト膜が形成され、このレジスト膜をマスクとしてエッチング、イオン注入等の処理が処理対象膜に施されるようになっている。処理後、不要となったレジスト膜はウエハ上から除去される。
【0003】
レジスト膜の除去方法として、SPM処理がよく用いられている。SPM処理は、硫酸と過酸化水素水とを混合して得たSPM(Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)液を加熱してレジスト膜に供給することにより行われる。
【0004】
ウエハに対してSPM処理を含む一連の液処理を行う装置が特許文献1に記載されている。ここに記載された装置は、ウエハを水平に保持して回転させるスピンチャックと、ウエハにSPM液およびリンス液(純水)等の処理液を供給するノズルと、遠心力によりウエハ上から半径方向外側に飛散する処理液を受け止めるスプラッシュガード(以下、本明細書では「カップ」と称する。)を有している。SPM処理においては、一般に、高温に加熱されたSPM液がウエハに向けて吐出されるため、SPM液およびSPM液とレジストの反応生成物の蒸気およびミストなどからなるヒューム(fume)が発生する。
【0005】
特許文献1の装置は、ヒュームが拡散して処理チャンバ内を汚染することを防止するために、遮蔽板(以下、本明細書では「天板」と称する。)を備えている。SPM処理の実行中、遮蔽板は回転させずにウエハに近接させてウエハの上方に配置される。
【0006】
天板の下面(ウエハに対向する面)にヒュームが付着することは避けられない。凝縮したヒュームの液滴がウエハ上に落下するとウエハを汚染してしまうので、これを防止するために1枚のウエハの処理が終了する毎に天板の洗浄が行われる。特許文献1の装置では、天板の洗浄は、天板を回転させながら天板の下面に洗浄専用のノズルから洗浄液(例えば純水)を吹き付けることにより行う。しかし、特許文献1の装置では、天板の洗浄時に天板の半径方向外側には何も存在しないため、ヒューム成分が溶け込んだ洗浄液がカップの外側の空間に飛散して、処理チャンバ内を汚染するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−35866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、薬液処理中あるいは天板の洗浄中に、天板に付着した薬液または洗浄液が望ましくない態様で飛散することを防止することができる液処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基板を水平に保持して回転させる基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板に対して処理液を供給する処理液ノズルと、前記基板保持部に保持されたときの基板の周縁の外方に位置するよう設けられた、前記処理液ノズルにより基板に供給された後の処理液を受けるためのカップと、前記基板保持部に保持された基板を上方から覆う天板と、前記天板を回転させる天板回転駆動機構と、前記天板の周縁を囲んで前記天板の外方に位置するように設けられ、前記天板から飛散する液体を受ける環状の液受け空間を有する液受け部材と、を備えた液処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、天板から飛散する液体を環状の液受け空間が受けるため、天板から飛散した液体の挙動を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る液処理装置を含む液処理システムを上方から見た上面図である。
【図2】図1に示す液処理装置の全体構成を概略的に示す側面図である。
【図3】図2に示す液処理装置のA−A矢視による上面図である。
【図4】図2に示す液処理装置のB−B矢視による上面図である。
【図5】図2に示す液処理装置における基板保持部およびその周辺に位置する構成要素を示す縦断面図である。
【図6A】図2に示す液処理装置における天板およびその周辺に位置する構成要素を示す縦断面図である。
【図6B】図6Aにおける領域VIBを拡大して示す縦断面図である。
【図7】図2に示す液処理装置におけるエアフードおよびその周辺に位置する構成要素を示す縦断面図である。
【図8】図2に示す液処理装置における各ノズルおよび各ノズル支持アームの構成を示す説明図である。
【図9】(a)〜(f)は、図2に示す液処理装置により行われるウエハの洗浄処理の一連の工程を順次示す説明図である。
【図10】(g)〜(l)は、図2に示す液処理装置により行われるウエハの洗浄処理の一連の工程を順次示す説明図である。
【図11】(m)〜(o)は、図2に示す液処理装置により行われるウエハの洗浄処理の一連の工程を順次示す説明図である。
【図12】他の実施形態に係る液処理装置の液受け部材の周辺の構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
まず、図1を用いて、一実施形態に係る液処理装置10を含む液処理システムについて説明する。図1に示すように、液処理システムは、外部から被処理基板としての半導体ウエハ等の基板W(以下、ウエハWともいう)を収容したキャリアを載置するための載置台101と、キャリアに収容されたウエハWを取り出すための搬送アーム102と、搬送アーム102によって取り出されたウエハWを載置するための棚ユニット103と、棚ユニット103に載置されたウエハWを受け取り、当該ウエハWを液処理装置10内に搬送する搬送アーム104と、を備えている。図1に示すように、液処理システムには、複数(図1に示す態様では4個)の液処理装置10が設けられている。
【0014】
次に、液処理装置10の概略的な構成について図2乃至図4を用いて説明する。
【0015】
図2乃至図4に示すように、液処理装置10は、ウエハWが収容され、この収容されたウエハWの液処理が行われるチャンバ20と、チャンバ20に隣接して形成された待機領域80と、を備えている。なお、本実施の形態による液処理装置10では、チャンバ20と待機領域80とを隔てる区画壁は設けられておらず、チャンバ20および待機領域80は連通している。図2に示すように、チャンバ20内には、ウエハWを水平状態で保持して回転させるための基板保持部21が設けられており、この基板保持部21の周囲にはリング状の回転カップ40が配設されている。回転カップ40は、ウエハWの液処理を行う際に当該ウエハWに供給された後の処理液を受けるために設けられている。また、図2および図3に示すように、チャンバ20内において回転カップ40の周囲には円筒状のカップ外周筒50が配設されている。後述するように、このカップ外周筒50はウエハWの処理状況に応じて昇降可能となっている。これらの基板保持部21、回転カップ40およびカップ外周筒50の構成の詳細については後に説明する。
【0016】
また、図2に示すように、液処理装置10には、基板保持部21に保持されたウエハWに対して上方から処理液を供給するためのノズル(進退ノズル)82aおよびこのノズル82aを支持するノズル支持アーム82が設けられている。図3に示すように、1つの液処理装置10には複数(具体的には例えば4つ)のノズル支持アーム82が設けられており、各ノズル支持アーム82の先端にそれぞれノズル82aが設けられている。また、図2に示すように、各ノズル支持アーム82にはアーム支持部82bが設けられており、各アーム支持部82bは図示しない駆動機構によって図2における左右方向に駆動されるようになっている。このことにより、各ノズル支持アーム82は、後述する側面開口50mを介してカップ外周筒50内に進出した進出位置と、カップ外周筒50から退避した退避位置との間で水平方向に直線運動を行うようになっている(図2および図3における各ノズル支持アーム82に設けられた矢印参照)。
【0017】
また、図2および図4に示すように、基板保持部21に保持されたウエハWを上方から覆うための天板32が水平方向に移動自在に設けられている。より具体的には、天板32は、図4の実線に示すような、基板保持部21により保持されたウエハWを上方から覆う進出位置と、図4の二点鎖線に示すような、水平方向において進出位置から退避した位置である退避位置との間で往復移動を行うようになっている。天板32の構成の詳細については後に説明する。
【0018】
また、図2に示すように、基板保持部21に保持されたウエハWを上方から覆うためのエアフード70が昇降自在に設けられている。このエアフード70から、Nガス(窒素ガス)やクリーンエア等の清浄化されたガスが下方向に流されるようになっている。より具体的には、エアフード70は、基板保持部21により保持されたウエハWを上方から覆う下降位置と、下降位置よりも上方に位置する上昇位置との間で昇降自在に設けられている。なお、図2では、エアフード70が上昇位置に位置しているときの状態を示している。エアフード70の構成の詳細については後に説明する。
【0019】
また、図2および図3に示すように、カップ外周筒50の外側における待機領域80の底部には排気部58が設けられており、この排気部58により待機領域80内の雰囲気の排気が行われるようになっている。具体的には、各ノズル支持アーム82を駆動するための駆動機構(図示せず)から発生するパーティクルを排気部58により引くことができるようになっている。
【0020】
また、図3および図4に示すように、液処理装置10のチャンバ20および待機領域80のメンテナンス用の開口にはシャッター60、62がそれぞれ設けられている。チャンバ20および待機領域80にそれぞれメンテナンス用のシャッター60、62が設けられていることにより、これらのチャンバ20内や待機領域80内の機器を個別にメンテナンスすることができる。
【0021】
また、図3に示すように、液処理装置10の側壁には、搬送アーム104によりチャンバ20内へウエハWを搬入したりチャンバ20からウエハWを搬出したりするための開口94aが設けられており、この開口94aには、当該開口94aを開閉するためのシャッター94が設けられている。
【0022】
次に、図2乃至図4に示すような液処理装置10の各構成要素の詳細について図5乃至図8を用いて説明する。
【0023】
まず、図5を参照して、基板保持部21について説明する。図5は、液処理装置10の各構成要素のうち、基板保持部21およびその周辺に位置する構成要素を示す縦断面図である。
【0024】
図5に示すように、基板保持部21は、ウエハWを保持するための円板形状の保持プレート26と、保持プレート26の上方に設けられた円板形状のリフトピンプレート22とを備えている。リフトピンプレート22の上面には、ウエハWを下方から支持するためのリフトピン23が周方向に等間隔で3つ設けられている。なお、図5では2つのリフトピン23のみを表示している。また、リフトピンプレート22の下方にはピストン機構24が設けられており、このピストン機構24によりリフトピンプレート22が昇降するようになっている。より具体的には、搬送アーム104(図1参照)によりウエハWをリフトピン23上に載置したりリフトピン23上からウエハWを取り出したりするときには、ピストン機構24によりリフトピンプレート22が図5に示すような位置から上方に移動させられ、このリフトピンプレート22は回転カップ40よりも上方に位置するようになる。一方、チャンバ20内でウエハWの液処理や乾燥処理等を行う際には、ピストン機構24によりリフトピンプレート22が図5に示すような下降位置に移動させられ、ウエハWの周囲に回転カップ40が位置するようになる。
【0025】
保持プレート26には、ウエハWを側方から支持するための保持部材25が周方向に等間隔で3つ設けられている。なお、図5では2つの保持部材25のみを表示している。各保持部材25は、リフトピンプレート22が上昇位置から図5に示すような下降位置に移動したときにこのリフトピン23上のウエハWを側方から支持し、このウエハWをリフトピン23からわずかに離間させるようになっている。
【0026】
また、リフトピンプレート22および保持プレート26の中心部分にはそれぞれ貫通穴が形成されており、これらの貫通穴を通るよう処理液供給管28が設けられている。この処理液供給管28は、保持プレート26の各保持部材25により保持されたウエハWの裏面に薬液や純水等の様々な種類の処理液を供給するようになっている。また、処理液供給管28はリフトピンプレート22と連動して昇降するようになっている。処理液供給管28の上端には、リフトピンプレート22の貫通穴を塞ぐよう設けられたヘッド部分28aが形成されている。また、図5に示すように、処理液供給管28には処理液供給部29が接続されており、この処理液供給部29により処理液供給管28に様々な種類の処理液が供給されるようになっている。
【0027】
また、保持プレート26にはリング状の回転カップ40が取り付けられており、これによって、図示しない接続部により、回転カップ40は、保持プレート26と一体的に回転するようになっている。回転カップ40は、図5に示すように、保持プレート26の各保持部材25により支持されたウエハWを側方から囲うよう設けられている。このため、回転カップ40は、ウエハWの液処理を行う際にこのウエハWから側方に飛散した処理液を受けることができるようになっている。
【0028】
また、回転カップ40の周囲には、ドレインカップ42および案内カップ44がそれぞれ設けられている。ドレインカップ42および案内カップ44はそれぞれリング状に形成されている。また、ドレインカップ42および案内カップ44はそれぞれ上部に開口を有している。ここで、ドレインカップ42はチャンバ20内においてその位置が固定されている。一方、案内カップ44には昇降シリンダ(図示せず)が連結されており、この案内カップ44は昇降シリンダにより昇降させられるようになっている。
【0029】
図5に示すように、ドレインカップ42や案内カップ44の下方には、第1排出部46aおよび第2排出部46bがそれぞれ設けられている。そして、案内カップ44の上下方向における位置により、ウエハWの液処理を行う際にこのウエハWから側方に飛散した処理液が、この処理液の種類に基づいて、2つの排出部46a、46bのうちいずれか一つの排出部に選択的に送られるようになっている。具体的には、案内カップ44が上昇位置(図5に示すような状態)にあるときには、ウエハWから側方に飛散した所定の処理液、例えば後述するSC−1液が第2排出部46bに送られるようになっている。一方、案内カップ44が下降位置にあるときには、ウエハWから側方に飛散した所定の処理液、例えば後述するSPM液が第1排出部46aに送られるようになっている。また、図5に示すように、第1排出部46aおよび第2排出部46bには気液分離部48a、48bがそれぞれ接続されている。そして、第1排出部46aおよび第2排出部46bにおいて排液のみならず排気も行われるようになっており、図5に示すように、気液分離部48a、48bにおいて第1排出部46aおよび第2排出部46bから送られた処理液およびガスが分離されてそれぞれ排液および排気が行われるようになっている。
【0030】
また、図5に示すように、ドレインカップ42には、ウエハWの中心に向かって純水を供給する固定リンスノズル43が設けられている。この固定リンスノズル43により、ウエハWの中心に向かって純水等のリンス液が放物線状に吐出されるようになっている(図5の二点鎖線参照)。
【0031】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、チャンバ20内においてドレインカップ42や案内カップ44の周囲にカップ外周筒50が設けられている。図5に示すように、カップ外周筒50の上部には、このカップ外周筒50を支持するための支持部材53が連結されており、支持部材53には当該支持部材53を昇降させる駆動機構54が設けられている。そして、駆動機構54により支持部材53を昇降させることにより、カップ外周筒50は、図5に示すような、カップ外周筒50の上端が回転カップ40の上方にあるような上昇位置と、上昇位置よりも下方に位置する下降位置との間で昇降可能となっている。また、図3および図5に示すように、カップ外周筒50の側面には、ノズル支持アーム82が通過可能な側面開口50mが設けられている。また、図5に示すように、カップ外周筒50の上部にも上部開口50nが形成されている。この上部開口50nは、カップ外周筒50が上昇位置にあるとともに天板32が進出位置にあるときに、当該天板32により塞がれるようになっている。
【0032】
また、図5に示すように、チャンバ20内には、カップ外周筒50を洗浄するための洗浄部52が設けられている。この洗浄部52は、純水等の洗浄液を貯留するための貯留部分52aを有しており、カップ外周筒50が下降位置にあるときにこのカップ外周筒50が貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになっている。洗浄部52は、貯留部分52aに貯留された洗浄液にカップ外周筒50が浸されることにより、このカップ外周筒50の洗浄を行うようになっている。
【0033】
貯留部分52aには図示しない洗浄液供給管が接続されており、この洗浄液供給管により貯留部分52aに洗浄液が連続的に送られるようになっている。また、貯留部分52aの側部にはドレイン管52bが設けられており、このドレイン管52bにより貯留部分52a内の洗浄液が排出されるようになっている。すなわち、洗浄液供給管により貯留部分52aに洗浄液が連続的に送られ、この貯留部分52a内の洗浄液がドレイン管52bにより排出されることにより、貯留部分52aに貯留される洗浄液が清浄化されるようになっている。
【0034】
図3に示すように、本実施形態においては、1つの液処理装置10に複数(具体的には例えば4つ)のノズル支持アーム82が設けられており、各ノズル支持アーム82の先端にノズル82aが設けられている。また、図2に示すように、各ノズル支持アーム82にはアーム支持部82bが設けられており、各アーム支持部82bは図示しない駆動機構によって図2における左右方向に駆動されるようになっている。このことにより、各ノズル支持アーム82は、側面開口50mを通過してカップ外周筒50内に進出した進出位置と、カップ外周筒50内から退避した退避位置との間で水平方向に直線運動を行うようになっている(図2および図3における各ノズル支持アーム82に設けられた矢印参照)。
【0035】
また、図2に示すように、液処理装置10内にはアーム洗浄部88が設けられており、このアーム洗浄部88により各ノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。より詳細には、アーム洗浄部88の位置は固定されるとともに、洗浄液が収容される収容部分(図示せず)がアーム洗浄部88に設けられている。そして、各ノズル支持アーム82が進出位置から退避位置に移動するとき、または退避位置から進出位置に移動するときに、収容部分に収容された洗浄液に各ノズル支持アーム82の一部が接触しながら当該ノズル支持アーム82が移動することによりノズル支持アーム82の洗浄が行われるようになっている。
【0036】
4つのノズル支持アーム82(82p〜82s)のノズル82aからそれぞれ吐出される流体の詳細について、図8を参照して以下に説明する。
【0037】
図8(a)に示すように、4つのノズル支持アーム82のうち第1のノズル支持アーム82pのノズル82aは下向きとなっており、この第1のノズル支持アーム82pのノズル82aからは硫酸と過酸化水素水とを混合して得たSPM液がウエハWに向かって下方に吐出されるようになっている。より詳細には、第1のノズル支持アーム82p内にはノズル82aに接続された処理液供給管83aが設けられており、並列に設けられた過酸化水素水供給部83bおよび硫酸供給部83cがそれぞれ流量調整弁および開閉弁を介して処理液供給管83aに接続されている。また、硫酸供給部83cから供給された硫酸を加熱するためのヒータ83dが設けられている。そして、過酸化水素水供給部83bおよび硫酸供給部83cから供給された過酸化水素水および硫酸が混合され、この硫酸と過酸化水素水とを混合して得たSPM液が処理液供給管83aを介して第1のノズル支持アーム82pのノズル82aに送られるようになっている。また、硫酸供給部83cから供給された硫酸をヒータ83dにより加熱するとともに、硫酸と過酸化水素水とが混合したときの化学反応により反応熱が生じる。それによって、第1のノズル支持アーム82pのノズル82aから吐出されるSPM液は、例えば100℃以上、好ましくは170℃程度の高温となる。
【0038】
また、図8(b)に示すように、4つのノズル支持アーム82のうち第2のノズル支持アーム82qのノズル82aは上向きとなっており、このノズル支持アーム82qのノズル82aからは天板32を洗浄するための純水等の天板洗浄液が上方に吐出されるようになっている。より詳細には、第2のノズル支持アーム82q内にはノズル82aに接続された天板洗浄液供給管84aが設けられており、天板洗浄液供給部84bが流量調整弁および開閉弁を介して天板洗浄液供給管84aに接続されている。そして、天板洗浄液供給部84bから供給された純水等の天板洗浄液が天板洗浄液供給管84aを介して第2のノズル支持アーム82qのノズル82aに送られるようになっている。
【0039】
また、図8(c)に示すように、4つのノズル支持アーム82のうち第3のノズル支持アーム82rのノズル82aは下向きとなっており、この第3のノズル支持アーム82rのノズル82aからはアンモニア水と過酸化水素水との混合液(以下、「SC−1液」ともいう)や、加熱された純水がウエハWに向かって下方に吐出されるようになっている。より詳細には、第3のノズル支持アーム82r内にはノズル82aに接続された処理液供給管85aが設けられており、並列に設けられた過酸化水素水供給部85b、アンモニア水供給部85c、純水供給部85dおよび純水供給部85fがそれぞれ流量調整弁および開閉弁を介して処理液供給管85aに接続されている。また、純水供給部85dから供給された純水を加熱するためのヒータ85eが設けられている。そして、純水供給部85d、85fに対応する開閉弁が閉止された状態で、過酸化水素水供給部85bおよびアンモニア水供給部85cから供給された過酸化水素水およびアンモニア水が混合してSC−1液が生成され、このSC−1液が処理液供給管85aを介して第3のノズル支持アーム82rのノズル82aに送られるようになっている。また、過酸化水素水供給部85b、アンモニア水供給部85cおよび純水供給部85fに対応する開閉弁をそれぞれ閉止した状態で、純水供給部85dから供給された純水をヒータ85eにより加熱して、処理液供給管85aを介して第3のノズル支持アーム82rのノズル82aに加熱された純水を送ることもできる。また、過酸化水素水供給部85b、アンモニア水供給部85cおよび純水供給部85dに対応する開閉弁をそれぞれ閉止した状態で、純水供給部85fから供給された常温の純水を第3のノズル支持アーム82rのノズル82aに送ることもできる。なお、第3のノズル支持アーム82rのノズル82aから吐出されるSC−1液や純水は、第1のノズル支持アーム82pのノズル82aから吐出されるSPM液よりも低温となっており、具体的には例えば80℃未満となっている。
【0040】
また、図8(d)に示すように、4つのノズル支持アーム82のうち第4のノズル支持アーム82sのノズル82aは下向きの二流体ノズルとなっている。より詳細には、第4のノズル支持アーム82sのノズル82aには純水供給管86aおよびN2ガス供給管86cがそれぞれ接続されており、純水供給管86aには純水供給部86bが接続されるとともにN2ガス供給管86cにはN2ガス供給部86dが接続されている。そして、純水供給部86bから純水供給管86aを介して供給された純水と、N2ガス供給部86dからN2ガス供給管86cを介して供給されたN2ガスとが二流体ノズル内で混合することにより、この二流体ノズルから純水の液滴が下方に噴霧されるようになっている。
【0041】
また、本実施の形態においては、第2のノズル支持アーム82qの高さレベルは、第3のノズル支持アーム82rの高さレベルよりも高くなっており、第2のノズル支持アーム82qおよび第3のノズル支持アーム82rが同時にカップ外周筒50内に進出したときにアーム同士が衝突または干渉しないようになっている。このため、第2のノズル支持アーム82qのノズル82aにより天板32に対して洗浄液を供給する工程と、第3のノズル支持アーム82rのノズル82aによりウエハWに対してSC−1液や純水を供給する工程を同時に行うことができるようになっている。
【0042】
また、各ノズル支持アーム82が退避位置にあるときに、当該ノズル支持アーム82の先端部分が、上昇位置にあるときのカップ外周筒50の側面開口50mを塞ぐようになっている。このことにより、カップ外周筒50内の雰囲気が側面開口50mからカップ外周筒50の外部に漏れ出ることを防止することができる。
【0043】
次に、天板32およびその周辺に位置する構成要素の詳細の構造について図4、図6Aおよび図6Bを用いて説明する。
【0044】
図6Aに示すように、天板32は天板保持アーム35により保持されるようになっている。また、天板32の上部には回転軸34が取り付けられており、この回転軸34と天板保持アーム35との間にはベアリング34aが設けられている。このため、回転軸34は天板保持アーム35に対して回転することができるようになっている。また、回転軸34にはプーリ34bが取り付けられている。一方、天板保持アーム35の基端部にはサーボモータ36が設けられており、このサーボモータ36の先端にもプーリ36bが設けられている。そして、回転軸34のプーリ34bおよびサーボモータ36のプーリ36bには1本の無端状のタイミングベルト36aが張架されており、このタイミングベルト36aにより、サーボモータ36による回転駆動力が回転軸34に伝達され、天板32が回転軸34を中心として回転するようになっている。なお、サーボモータ36にはケーブル36cが接続されており、このケーブル36cにより液処理装置10の筐体の外部からサーボモータ36に電力が供給されるようになっている。これらの回転軸34、タイミングベルト36a、サーボモータ36等により、水平面上で天板32を回転させる天板回転機構が構成されている。
【0045】
天板32の周縁に隣接して、天板32の裏面に付着した後に遠心力により半径方向外側に飛散する液体(例えばヒュームの凝縮物)を受け止めるためのリング状の液受け部材130が設けられている。液受け部材130は、その内部にリング状の液受け空間132を有しており、この液受け空間132は天板32の周縁に向けて開口している。液受け部材130は、液受け空間132の内周端を形成する上方向に延びる縁部材134を有しており、天板32から飛散する液体が確実に液受け空間132に落ちるように、天板32の周縁は縁部材134よりも半径方向外側に位置していることが好ましい。
【0046】
液受け部材130には、液受け空間132に接続された1つまたは複数の排出口136が形成されている。排出口136には、ミストセパレータ137aおよびイジェクタ137bが介設された排出管137cが接続されており、必要に応じて液受け空間132内を吸引することができるようになっている。液受け空間132を吸引することにより、液受け空間132内にある液体を排出管137cに効率よく排出することができる。また、液受け空間132を吸引することにより、天板32の周縁部下面近傍において液受け空間132内に向かう気流が生じ、この気流により天板32の周縁部に到達した液体が液受け空間132内に引きずり込まれるので、液体を確実に液受け空間132内に導くことができる。なお、ミストセパレータ137aにより分離された液体は工場廃液系(DR)に排液され、イジェクタ137bからの排気は工場排気系(EXH)に排気される。なお、排出口136を1つだけ設ける場合には、排液管137cの取り回しを簡略化するために、排出口136はアーム35の下方(図4を参照)に設けることが好ましい。
【0047】
回転可能な天板32の上方には、回転不能な円形の整流板140が設けられている。天板32の上面と整流板140の下面との間には、空間141が設けられている。整流板140の下面の周縁部は、液受け部材130の液受け空間132を画成する内側上面138と接続されている。従って、イジェクタ137bにより液受け空間132を吸引すると、天板32と整流板140との間の空間141内を半径方向外側に向けて流れる気流が生じ、この気流は、天板32の周縁と液受け部材130の内側上面138との間の隙間を通って液受け空間132に流れ込むため、天板32の周縁と液受け部材130の縁部材134との間を通って液受け空間132に流れ込む液体が、天板32の周縁と液受け部材130の内側上面138との間の隙間を通って天板32の上方に吹き出すことはない。
【0048】
液受け部材130および整流板140は、天板保持アーム35に固定されて天板保持アーム35から放射状に延びる複数(本例では4本)の支持腕146により支持されている。支持腕146の先端部下面には、取付けリング150、整流板140の外周縁部144、液受け部材130がこの順で上から順に積層され、ボルト148aにより互いに締結されている。また、支持腕146の基端部下面には、整流板140の内周縁部142がボルト148bにより締結されている。従って、図示された構成例においては、天板32、液受け部材130および整流板140は共通の支持部材である天板保持アーム35により支持されて一緒に一体的に移動し、また、天板32だけが鉛直軸線周りに回転可能であり、液受け部材130および整流板140は回転しない。
【0049】
図6Bに示すように、天板32が進出位置にあるときに、液受け部材130の下面はカップ外周筒50の上面に接触するかあるいは両者の間に僅かな隙間が生じるように近接しており、これにより、カップ外周筒50、液受け部材130および天板32によりウエハWを包囲する密閉または閉鎖空間が画成されている。なお、液受け部材130の下面およびカップ外周筒50の上面の少なくとも一方にシール部材を設けて、液受け部材130の下面およびカップ外周筒50の上面の間を密封してもよい。
【0050】
また、図4および図6に示すように、天板保持アーム35の基端には旋回軸37が設けられており、天板保持アーム35は旋回軸37を中心として回動するようになっている。このことにより、天板32は、図4の実線に示すような、基板保持部21により保持されたウエハWを上方から覆う進出位置と、図4の二点鎖線に示すような、水平方向において進出位置から退避した位置である退避位置との間で往復移動を行うようになる。
【0051】
また、図2および図4に示すように、液処理装置10の待機領域80には、天板32が退避位置に退避したときに当該天板32を収納する天板収納部38が設けられている。この天板収納部38の側方には開口が形成されており、天板32が進出位置から退避位置に移動したときにこの天板32は天板収納部38の側方の開口を介して天板収納部38内に完全に収納されるようになっている。また、天板収納部38には排気部39が設けられており、天板収納部38内の雰囲気は常に排気部39により排気されるようになっている。このことにより、ウエハWの液処理を行う際に天板32の下面にSPM液等の処理液の液滴が付着した場合でも、この天板32が天板収納部38内に収納されたときにはSPM液等の処理液の雰囲気は排気部39により排気されるので、処理液の雰囲気が待機領域80やチャンバ20内に流出することはない。
【0052】
次に、エアフード70およびその周辺に位置する構成要素の詳細の構造について図7を用いて説明する。図7は、エアフード70およびその周辺に位置する構成要素の構造を示す側断面図である。
【0053】
図7に示すように、エアフード70は、下部が開口したケーシング72と、ケーシング72の下部に設けられ複数の開口77aを有するパンチング板等の下板77とを備えており、ケーシング72内にはフィルター76が一層または複数層設けられている。また、ケーシング72の上部には可撓性のダクト74が接続されており、このダクト74は液処理装置10の筐体の外部の環境に連通している。また、ダクト74の基端部にはケーシング72内にガスを送り込むためのファン(図示せず)が設けられている。また、下板77には、ケーシング72内のガスを下方に流すための開口77aが設けられている。このことにより、液処理装置10の筐体の外部の環境からダクト74を経由してケーシング72内にガスが送られ、ケーシング72内においてフィルター76によりガスに含まれるパーティクルが除去された後、下板77の開口77aにより清浄化されたガスが下方に流れるようになっている。
【0054】
また、図7に示すように、エアフード70には、当該エアフード70を昇降させるエアフード昇降機構78が設けられている。このエアフード昇降機構78により、エアフード70は、基板保持部21に保持されたウエハWを上方から覆う下降位置と、下降位置よりも上方に位置する上昇位置との間で昇降するようになっている。なお、前述したように、図2では、エアフード70が上昇位置に位置しているときの状態を示している。
【0055】
また、図2に示すように、液処理装置10は、その全体の動作を統括制御するコントローラ200を有している。コントローラ200は、液処理装置10の全ての機能部品(例えば、基板保持部21、ピストン機構24、サーボモータ36、エアフード昇降機構78等)の動作を制御する。コントローラ200は、ハードウエアとして例えば汎用コンピュータと、ソフトウエアとして当該コンピュータを動作させるためのプログラム(装置制御プログラムおよび処理レシピ等)とにより実現することができる。ソフトウエアは、コンピュータに固定的に設けられたハードディスクドライブ等の記憶媒体に格納されるか、あるいはCD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の着脱可能にコンピュータにセットされる記憶媒体に格納される。このような記憶媒体が図2において参照符号201で示されている。プロセッサ202は必要に応じて図示しないユーザーインターフェースからの指示等に基づいて所定の処理レシピを記憶媒体201から呼び出して実行させ、これによってコントローラ200の制御の下で液処理装置10の各機能部品が動作して所定の処理が行われる。コントローラ200は、図1に示す液処理システム全体を制御するシステムコントローラであってもよい。
【0056】
次に、上述した液処理装置10を用いて、ウエハWの上面にある不要なレジスト膜を除去する洗浄処理の一連の工程について図9〜図11を用いて説明する。以下に示す洗浄処理の一連の工程は、コントローラ200が液処理装置10の各機能部品の動作を制御することにより行われる。なお、図9〜図11では、図面の見やすさを重視して液処理装置の各構成部材は大幅に簡略化されて記載されている。
【0057】
まず、図9(a)に示すように、天板32を退避位置に移動させ、この天板32を天板収納部38に収納させる。また、エアフード70を図2に示す上昇位置から下降させ、下降位置に位置させる。また、カップ外周筒50を下降位置に移動させ、基板保持部21の側方を開くようにする。このような状態で、基板保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図5に示す位置から上方に移動させることと、チャンバ20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開くことを行う。そして、液処理装置10の外部からウエハWが搬送アーム104により開口94aを介してチャンバ20内に搬送され、このウエハWがリフトピンプレート22のリフトピン23上に載置され、その後、搬送アーム104はチャンバ20から退避する。この際に、各ノズル支持アーム82はチャンバ20から退避した退避位置に位置している。すなわち、各ノズル支持アーム82は待機領域80で待機している。また、エアフード70からチャンバ20内にクリーンエア等のガスが常にダウンフローで送られ、このガスが排気されることにより、チャンバ20内の雰囲気の置換が行われるようになっている。
【0058】
次に、リフトピンプレート22および処理液供給管28を下方に移動させ、これらのリフトピンプレート22および処理液供給管28を図5に示すような下降位置に位置させる。この際に、保持プレート26に設けられた各保持部材25が、リフトピン23上のウエハWを側方から支持し、このウエハWをリフトピン23からわずかに離間させる。
【0059】
その後に、またはリフトピンプレート22が下降した後に、図9(b)に示すように、エアフード70を下降位置から上昇位置に移動させ、その後、天板32を退避位置から進出位置に移動させる。このことにより、基板保持部21により保持されたウエハWは天板32によって覆われるようになる。また、天板32が進出位置に移動した後、サーボモータ36によって天板32に回転駆動力を与えることにより、天板32を水平面に沿って回転軸34を中心として回転させる。その後、図9(c)に示すように、カップ外周筒50を下降位置から上昇させて上昇位置に位置させる。このことにより、ウエハWの周囲には、天板32とカップ外周筒50とによって外部から隔離された空間が形成される。以下の説明において、天板32およびカップ外周筒50の内側に形成される、外部から隔離された空間のことを「第1の処理空間」と称する。後述するように、この第1の処理空間は、硫酸と過酸化水素水とを混合して得たSPM液によりウエハWに対して液処理が行われる空間である。なお、このときのカップ外周筒50の上端部と天板32およびその周辺部品との正確な位置関係は、図6Bに示された通りである(図9(d)〜(f)、図10(g)および図11(o)に示す状態においても同じ)。
【0060】
そして、カップ外周筒50が上昇位置に移動した後、待機領域80で待機している4つのノズル支持アーム82のうち第1のノズル支持アーム82pがカップ外周筒50の側面開口50mを介してチャンバ20内に進出する(図9(d)参照)。この際に、第1のノズル支持アーム82pは直線運動を行う。
【0061】
次に、基板保持部21における保持プレート26およびリフトピンプレート22を回転させる。このことにより、保持プレート26の各保持部材25により支持されているウエハWも回転する。そして、ウエハWが回転した状態で、カップ外周筒50内に進出した第1のノズル支持アーム82pのノズル82aからウエハWの上面にSPM液を供給する。ここで、ウエハWの上面に供給されるSPM液は高温、具体的には例えば100℃以上、好ましくは170℃程度となっている。このようにして、ウエハWの上面にSPM液が供給され、ウエハWのSPM処理が行われる。この液処理工程によって、ウエハWの表面のレジストがSPM液によって剥離され、SPM液とともに剥離されたレジストが、回転するウエハWの遠心力によって第1排出部46aに送られて回収される。具体的には、ウエハWに対してSPM処理が行われる際には、案内カップ44が下降位置に位置するようになっており、このことにより、SPM液や剥離されたレジストは、第1排出部46aに送られて回収される。ここで、第1のノズル支持アーム82pのノズル82aからウエハWに向かってSPM液を吐出させながらこのノズル82aを図9(d)における左右方向に移動させることにより、ウエハWの全域にわたってまんべんなく均一にSPM液を供給することができるようになる。
【0062】
ウエハWに対してSPM処理が行われるときに、天板32およびカップ外周筒50の内側に第1の処理空間が形成されていることにより、この第1の処理空間内の雰囲気が外部に出ることを防ぐことができ、かつ、外部の雰囲気が第1の処理空間内に入るのを防ぐことができる。また、天板32が水平面に沿って回転していることにより、天板32の下面に付着したSPM液等の処理液の液滴は遠心力によって天板32の周縁に向かって流れ、液受け部材130の液受け空間132内に流れ込み、さらにこの液受け空間132から排出口136、ミストセパレータ137aおよびイジェクタ137bが介設された排出管137cを介して、工場排液系に排出される。また、カップ外周筒50の内壁面に付着した処理液の液滴は、カップ外周筒50の内壁面に沿って自重により落下する。従って、SPM液等の処理液の液滴がウエハWに再付着することが抑制される。
【0063】
その後、ウエハWに対するSPM処理が終了すると、図9(e)に示すように、カップ外周筒50内に進出した第1のノズル支持アーム82pはこのチャンバ20から退避して待機領域80で待機するようになる。この際に、ウエハWおよび天板32は回転し続けている。また、第1のノズル支持アーム82pがカップ外周筒50内から退避して退避位置に移動する際に、アーム洗浄部88により第1のノズル支持アーム82pの洗浄が行われる。このことにより、第1のノズル支持アーム82pに付着したSPM液等の汚れを除去することができる。
【0064】
次に、待機領域80で待機している4つのノズル支持アーム82のうち第3のノズル支持アーム82rがカップ外周筒50の側面開口50mを介してチャンバ20内に進出する(図9(f)参照)。この際に、第3のノズル支持アーム82rは直線運動を行う。そして、ウエハWおよび天板32が回転した状態で、カップ外周筒50内に進出した第3のノズル支持アーム82rのノズル82aからウエハWの中心に向けて、加熱された純水(例えば、80℃)を供給する。この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28から加熱された純水を供給する。このことにより、ウエハWに対してホットリンス処理が行われる。
【0065】
なお、ウエハWに対するSPM処理(図9(d)参照)とホットリンス処理(図9(f)参照)との間には、以下に示すような中間処理工程が行われるようになっている。この中間処理工程は、第1の中間処理工程、振切処理工程、および第2の中間処理工程から構成されている。具体的には、まず、第1の中間処理工程において、SPM液の液温未満かつリンス液の液温よりも高い温度の第1の中間処理液をウエハWの表面に供給する。より詳細には、図8(a)に示すような第1のノズル支持アーム82pにおいて、硫酸供給部83c側の開閉弁を開放状態としたまま過酸化水素水83b側の開閉弁だけを閉止状態として、ヒータ83dで加熱した硫酸だけを第1のノズル支持アーム82pのノズル82aからウエハWの表面中心部に向けて所定時間吐出させる。このときに、過酸化水素水が供給されないために、過酸化水素水と硫酸との化学反応が生じず、ウエハWの表面には、SPM液の液温(例えば、170℃)未満で、かつ、リンス液(純水)の液温(例えば、80℃)以上の温度(例えば、140℃)の硫酸が供給されることになる。この第1の中間処理工程を行うことで、ウエハWの温度をSPM処理における温度からリンス処理における温度へと急激に下降させるのではなく、その中間の温度に徐々に下降させることができる。その結果、ウエハWの急激な温度変化に伴う熱変形を防止することができる。これにより、ウエハWを基板保持部21により良好に保持することができる。
【0066】
次に、ウエハWを回転させることで、ウエハWの表面から硫酸を振り切って除去する振切処理工程を行う。この際に、SPM処理および第1の中間処理工程よりも高速でウエハWを所定時間回転させる。その後、第1の中間処理液(硫酸)の液温未満かつリンス液の液温以上の温度の第2の中間処理液をウエハWの裏面に供給する第2の中間処理工程を実行する。より詳細には、処理液供給部29から処理液供給管28に、第1の中間処理液(硫酸)の液温(例えば、140℃)未満かつリンス液の液温(例えば、80℃)以上の温度(例えば、80℃)の純水を供給することにより、この処理液供給管28のヘッド部分28aからウエハWの裏面に80℃の純水が吐出されるようになる。この第2の中間処理工程を行うことで、ウエハWの裏面からこのウエハWの温度をリンス処理における温度近傍へゆるやかに下降させることができる。特に、ウエハWの裏面に純水を供給しているために、ウエハWの表面に第1の中間処理液(硫酸)が残留していたとしてもリンス液(純水)との急激な化学反応の発生を抑制することができ、これにより、化学反応に伴う反応生成物の飛散を防止してカップ外周筒50内の汚染を防止することができる。
【0067】
以上のように、ウエハWに対するSPM処理とホットリンス処理との間に、第1の中間処理工程、振切処理工程、および第2の中間処理工程から構成されている中間処理工程を行うことにより、SPM液とリンス液(純水)との急激な化学反応の発生を抑制することができ、これにより、化学反応に伴う反応生成物の飛散を防止してカップ外周筒50内の汚染を防止することができる。
【0068】
ウエハWに対するホットリンス処理が終了すると、図10(g)に示すように、カップ外周筒50内に進出した第3のノズル支持アーム82rはこのカップ外周筒50内から退避して待機領域80で待機するようになる。この際に、ウエハWは回転し続けている。また、第3のノズル支持アーム82rがカップ外周筒50内から退避して退避位置に移動する際に、アーム洗浄部88により第3のノズル支持アーム82rの洗浄が行われる。このことにより、第3のノズル支持アーム82rに付着した汚れを除去することができる。また、第3のノズル支持アーム82rがカップ外周筒50内から退避する前から、固定リンスノズル43によりウエハWの中心に向かって純水(例えば、80℃)が供給されるようになる。固定リンスノズル43によりウエハWの表面に液膜が形成されるので、ウエハWの表面が露出しないようになり、ウエハWの表面にパーティクルが付着することを防止することができるようになる。
【0069】
そして、図10(h)に示すように、カップ外周筒50が上昇位置から下降して下降位置に位置するようになる。その後、天板32の回転を止める。この際に、固定リンスノズル43はウエハWの中心に向かって純水(例えば、80℃)を供給し続けている。カップ外周筒50が下降位置に移動すると、このカップ外周筒50は洗浄部52の貯留部分52aに貯留された洗浄液に浸されるようになる。このことにより、カップ外周筒50の洗浄が行われ、ウエハWのSPM処理を行う際に飛散したSPM液等の処理液の液滴がカップ外周筒50の内側壁に残留してしまうことを防止することができる。
【0070】
その後、図10(i)に示すように、天板32を進出位置から退避位置に移動させ、この天板32を天板収納部38に収納させる。ここで、天板収納部38内の雰囲気は常に排気部39により排気されるようになっているため、ウエハWのSPM処理を行う際に天板32の下面にSPM液等の処理液の液滴が付着した場合でも、この天板32が天板収納部38内に収納されたときにはSPM液等の処理液の雰囲気は排気部39により排気されるので、SPM液の雰囲気が待機領域80やチャンバ20内に流出することはない。
【0071】
そして、図10(j)に示すように、洗浄部52により洗浄されたカップ外周筒50が下降位置から上昇して上昇位置に位置するようになる。この際に、固定リンスノズル43はウエハWの中心に向かって純水(例えば、80℃)を供給し続けている。その後、図10(k)に示すように、エアフード70が上昇位置から下降して下降位置に位置するようになる。より詳細には、カップ外周筒50の上端が、エアフード70の下板77の下面に接触または近接するようにする。このことにより、ウエハWの周囲には、エアフード70とカップ外周筒50とによって外部から隔離された空間が形成される。以下の説明において、エアフード70およびカップ外周筒50の内側に形成される、外部から隔離された空間のことを「第2の処理空間」と称する。後述するように、この第2の処理空間は、エアフード70により清浄化されたガスが下方向に流れる空間である。
【0072】
その後、待機領域80で待機している4つのノズル支持アーム82のうち第3のノズル支持アーム82rがカップ外周筒50の側面開口50mを介してチャンバ20内に進出する(図10(l)参照)。この際に、第3のノズル支持アーム82rは直線運動を行う。そして、ウエハWが回転するとともにエアフード70により清浄化されたガスが第2の処理空間内で流れている状態で、カップ外周筒50内に進出した第3のノズル支持アーム82rのノズル82aからウエハWの中心に向けてSC−1液を供給する。このことにより、ウエハWの表面に残るレジスト残渣を取り除くことができる。なお、ウエハWに対してSC−1液による液処理が行われる際には、案内カップ44が上昇位置に位置するようになっており、このことにより、SC−1液やレジスト残渣は、第2排出部46bに送られて排出される。
【0073】
ウエハWに対してSC−1液による液処理が行われるときに、エアフード70およびカップ外周筒50の内側に第2の処理空間が形成されていることにより、この第2の処理空間内の雰囲気が外部に出ることを防ぐことができ、かつ、外部の雰囲気が第2の処理空間内に入るのを防ぐことができる。また、第2の処理空間が閉じた空間となっていることにより、処理が実施される空間の容積を小さくすることができる。これによって、第2の処理空間内における、清浄化されたガスの置換効率を向上させることができる。
【0074】
ウエハWに対するSC−1液による液処理が終了すると、図11(m)に示すように、カップ外周筒50内に進出した第3のノズル支持アーム82rはこのカップ外周筒50内から退避して待機領域80で待機するようになる。この際に、ウエハWは回転し続けている。また、第3のノズル支持アーム82rがカップ外周筒50内から退避して退避位置に移動する際に、アーム洗浄部88により第3のノズル支持アーム82rの洗浄が行われる。このことにより、第3のノズル支持アーム82rに付着したSC−1液等の汚れを除去することができる。また、第3のノズル支持アーム82rがカップ外周筒50内から退避した後も、エアフード70により清浄化されたガスが第2の処理空間内で流れ続けている。その後、待機領域80で待機している4つのノズル支持アーム82のうち第3のノズル支持アーム82rがカップ外周筒50の側面開口50mを介してチャンバ20内に進出する。この際に、第3のノズル支持アーム82rは直線運動を行う。そして、ウエハWおよび天板32が回転した状態で、カップ外周筒50内に進出した第3のノズル支持アーム82rのノズル82aからウエハWの中心に向けて、常温の純水を供給する。この際に、ウエハWの下面(裏面)に向かって処理液供給管28から常温の純水を供給する。このことにより、ウエハWに対してリンス処理が行われる。その後、ウエハWを高速回転させることにより、第2の処理空間内でウエハWの乾燥処理が行われる。
【0075】
なお、ウエハWに対するSC−1液による液処理が終了し、第3のノズル支持アーム82rがカップ外周筒50内から退避した後、ウエハWの乾燥処理を行う前に、第4のノズル支持アーム82sをカップ外周筒50内に進出させ、この第4のノズル支持アーム82sの二流体ノズルによりウエハWに対して純水の液滴を噴霧することによってウエハWのリンス処理を行ってもよい。この場合には、ウエハWに対するリンス処理が終了し、第4のノズル支持アーム82sがカップ外周筒50内から退避した後も、エアフード70により清浄化されたガスが第2の処理空間内で流れ続けている。その後、ウエハWを高速回転させることにより、第2の処理空間内でウエハWの乾燥処理が行われる。
【0076】
ウエハWの乾燥処理が終了すると、図11(n)に示すように、カップ外周筒50が上昇位置から下降して下降位置に位置するようになり、基板保持部21の側方が開かれるようになる。その後、基板保持部21におけるリフトピンプレート22および処理液供給管28を図5に示す位置から上方に移動させることと、チャンバ20の開口94aに設けられたシャッター94をこの開口94aから退避させることにより開口94aを開くことを行う。そして、開口94aを介して液処理装置10の外部から搬送アーム104がチャンバ20内に入り、リフトピンプレート22のリフトピン23上にあるウエハWが搬送アーム104に移載される。その後、搬送アーム104により取り出されたウエハWは液処理装置10の外部に搬送される。このようにして、一連のウエハWの液処理が完了する。
【0077】
次に、天板32の洗浄処理について図11(o)を用いて説明する。天板32を洗浄する際には、エアフード70を下降位置から上昇位置に移動させ、その後、天板32を退避位置から進出位置に移動させる。また、天板32が進出位置に移動した後、サーボモータ36によって天板32に回転駆動力を与えることにより、天板32を水平面に沿って回転軸34を中心として回転させる。その後、カップ外周筒50を下降位置から上昇させて上昇位置に位置させる。
【0078】
そして、カップ外周筒50が上昇位置に移動した後、待機領域80で待機している4つのノズル支持アーム82のうち第2のノズル支持アーム82qがカップ外周筒50の側面開口50mを介してチャンバ20内に進出する。この際に、第2のノズル支持アーム82qは直線運動を行う。
【0079】
その後、天板32が回転した状態で、カップ外周筒50内に進出した第2のノズル支持アーム82qのノズル82aから天板32に向かって純水等の天板洗浄液を吐出する。このことにより、天板32に付着したSPM液等が除去されるようになる。ここで、第2のノズル支持アーム82qのノズル82aから天板32に向かって純水等の天板洗浄液を吐出させながらこのノズル82aを図11(o)における左右方向に移動させることにより、天板32の全域にわたってまんべんなく均一に洗浄を行うことができるようになる。また、天板32に対して洗浄処理が行われるときに、天板32およびカップ外周筒50の内側には閉じた空間が形成されていることにより、第2のノズル支持アーム82qのノズル82aから吐出された天板洗浄液がカップ外周筒50の外部に出ることを防ぐことができる。また、天板洗浄処理時においても、ウエハWのSPM処理時と同様に、天板32の下面に付着した洗浄液は遠心力によって天板32の周縁に向かって流れ、液受け部材130の液受け空間132内に流れ込み、さらにこの液受け空間132から排出口136、ミストセパレータ137aおよびイジェクタ137bが介設された排出管137cを介して、工場排液系に排出される。また、カップ外周筒50の内壁面に付着した洗浄液の液滴は、カップ外周筒50の内壁面に沿って自重により落下する。
【0080】
上述したような天板32の洗浄処理は、ウエハWに対するレジスト膜の除去処理および洗浄処理の後に毎回行ってもよく、あるいは定期的に行うようにしてもよい。また、天板32の洗浄処理は、図9(f)に示すようなウエハWのホットリンス処理と並行して行うことができる。天板32の洗浄処理とウエハWのホットリンス処理を同時に行う場合には、カップ外周筒50内に第2のノズル支持アーム82qおよび第3のノズル支持アーム82rが同時に進出する。この際に、第2のノズル支持アーム82qの高さレベルは、第3のノズル支持アーム82rの高さレベルよりも高くなっており、第2のノズル支持アーム82qおよび第3のノズル支持アーム82rが同時にカップ外周筒50内に進出したときにアーム同士が衝突または干渉しないようになっている。このため、第2のノズル支持アーム82qのノズル82aにより天板32に対して純水等の天板洗浄液を供給する工程と、第3のノズル支持アーム82rのノズル82aによりウエハWに対して加熱された純水を供給する工程を同時に行うことができる。
【0081】
上記の実施形態においては、天板32には、水平面上で当該天板32を回転させる天板回転機構(具体的には、回転軸34、タイミングベルト36a、サーボモータ36等)が設けられており、さらに天板32の周縁に近接して当該周縁の外方に液受け部材130が設けられている。このことにより、ウエハWに対してSPM処理を行う際に、天板回転機構により天板32を水平面に沿って回転させることにより、天板32の下面に付着したSPM液は遠心力によって天板32の周縁まで流れた後に液受け空間132内に捕捉されるため、SPM液がウエハWに再付着することを抑制することができる。しかも液受け空間132が吸引されているため、液受け空間132内に一旦入ったSPM液がウエハW向けて飛散したり、天板32の半径方向外側または天板32の上方に飛散することはない。また、天板32の周縁と液受け部材130との間の隙間は比較的小さく設定されるため、液受け空間132内を強く吸引しなくてもよい。
【0082】
また、カップ外周筒50が上昇位置にあるとともに天板32が進出位置にあるときに、ウエハWのSPM処理を行うための空間がカップ外周筒50内に形成されるようになっている。このように、ウエハWに対してSPM処理が行われるときに、天板32およびカップ外周筒50の内側に閉じた空間が形成されていることにより、この空間内の雰囲気が外部に出ることを防ぐことができ、かつ、外部の雰囲気がこの空間内に入るのを防ぐことができる。
【0083】
また、本実施の形態の液処理装置10においては、第1のノズル支持アーム82pのノズル82aにより供給される処理液は硫酸と過酸化水素水との混合液(SPM液)となっている。そして、基板保持部21に保持されたウエハWに対して第1のノズル支持アーム82pのノズル82aにより高温の処理液(SPM液)が供給される。高温の処理液が供給された後であって、エアフード70が下降位置に移動した後、当該エアフード70から清浄化されたガスを下方向に流しながら、高温の処理液(SPM)よりも低温の他の処理液によりウエハWに対して追加の液処理が行われるようになっている。より具体的には、高温の処理液(SPM液)よりも低温の他の処理液は、アンモニア水と過酸化水素水の混合液(SC−1液)である。なお、本実施の形態では、高温の処理液はSPM液に限定されることはない。ヒュームが発生する処理液であれば、高温の処理液として他の薬液を用いてもよい。他の薬液として、例えば、硫酸と硝酸を混合させたもの、硫酸とバッファード・フッ酸(BHF)を混合させたもの、あるいは硫酸と希釈されたバッファード・フッ酸(BHF)を混合させたものが用いられる。
【0084】
なお、本実施の形態による液処理装置は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0085】
天板32の上方に設けられる整流板140は、天板32の上方空間から液受け部材130の液受け空間132内に流れ込む気流を円周方向に関して均一に整流する効果があるので、上記の実施形態のように整流板140は設けることが好ましい。しかしながら、整流板140が無くても、液受け空間132内が吸引されていれば、少なくとも天板32の上面の周縁部近傍の空間から液受け空間132内に流れ込む気流は生じるので、整流板140を省略することは可能である。
【0086】
上記の実施形態においては、排出路136にミストセパレータ137aおよびイジェクタ137bが介設された排出管137cを接続して、液受け空間132からの排気および排液を共通の経路で行っていたが、これには限定されない。排液用の排出路と排気用の排出路を別々に設けてもよい。この場合、例えば、排液用の排出路は、液受け空間132を囲む壁面の下部から下方に延びるように形成し、排液を液体に作用する重力により行うことができる。
【0087】
液受け空間132の吸引は行った方が好ましいが、行わなくてもよい。すなわち液受け空間132内の液体が重力により排液されるようになっていればよい。一般的には処理カップ内は下方から吸引されているので、その吸引力を適宜調節すればミストの飛散は防止することができる。
【0088】
上記の実施形態においては、天板32が回転し、液受け部材130および整流板140は回転しないように天板保持アーム35に取り付けられていたが、これには限定されない。液受け部材130および整流板140のうちの少なくとも一方が、例えば整流板140は回転可能であってもよい。
【0089】
上記の実施形態においては、液受け部材130は天板32は共通の支持部材である天板保持アーム35に固定されてと一緒に移動するようになっていたが、これには限定されず、液受け部材130と天板32が別々に動くように構成されていてもよい。
【0090】
上記の実施形態においては、カップ外周筒50の上端が、液受け部材130の下端に位置するようになっており、かつ、液受け部材130は回転しない部材であったがこれに限定されるものではない。例えば図12に示すように、液受け部材130Aを天板32の周縁部に連結し、かつ、カップ外周筒50が液受け部材130Aの外周を囲んでいてもよい。この場合、天板32から飛散して液受け部材130Aの液受け空間132A内に捕捉された液体は、遠心力により液受け空間132Aの半径方向外側に移動し、排出口136Aから排出され、カップ外周筒50の内周面に衝突する。このとき、排出口136Aからの液体の出射角度(排出口136Aの軸線の角度)を、液体のカップ外周筒50の内周面への入射角が小さく(好ましくは5〜30度程度)なるように設定すれば、カップ外周筒50の内周面に衝突した液体がカップ外周筒50の内周面で反射されてウエハWまたは基板保持部21上に落下することはない。このように液受け空間(132,132A)に一旦液を受け止めることにより、無秩序な液体の飛散、跳ね返りを防止し、液体の挙動を制御することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 液処理装置
21 基板保持部
32 天板
40 カップ(回転カップ)
50 カップ外周筒
82 処理液ノズル
130,130A 液受け部材
132,132A 液受け空間
137c 排出管
137b 吸引機構(イジェクタ)
140 整流板
141 (天板と整流板の間の)空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持して回転させる基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板に対して処理液を供給する処理液ノズルと、
前記基板保持部に保持されたときの基板の周縁の外方に位置するよう設けられた、前記処理液ノズルにより基板に供給された後の処理液を受けるためのカップと、
前記基板保持部に保持された基板を上方から覆う天板と、
前記天板を回転させる天板回転駆動機構と、
前記天板の周縁を囲んで前記天板の外方に位置するように設けられ、前記天板から飛散する液体を受ける環状の液受け空間を有する液受け部材と、
を備えた液処理装置。
【請求項2】
前記液受け空間に接続され、前記液受け空間内の流体を排出するための少なくとも1つの排出管をさらに備えた、請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記排出管に吸引機構が接続されている、請求項2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記天板の上方に設けられた整流板をさらに備え、前記整流板は前記天板と前記整流板との間に空間が形成されるように前記天板の上方を覆っており、前記吸引機構が前記液受け空間を吸引することにより、前記天板と前記整流板との間の前記空間が吸引されるように構成されている、請求項3に記載の液処理装置。
【請求項5】
前記天板および前記液受け部材は共通の支持部材により支持されて一緒に移動するように設けられている、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項6】
前記液受け部材は前記支持部材に回転不能に固定されている、請求項5に記載の液処理装置。
【請求項7】
前記天板の下面に洗浄液を供給する天板洗浄ノズルをさらに備えた、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項8】
前記カップの周囲に配設され、その上端が前記カップの上方にある上昇位置と、前記上昇位置よりも下方に位置する下降位置との間で昇降自在に設けられ、上部に上部開口が形成された筒状のカップ外周筒を更に備え、
前記液受け部材が前記カップ外周筒の上端に近接または密接したときに、前記カップ外周筒および前記天板により囲まれた閉鎖空間が形成される、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の液処理装置。
【請求項9】
前記液受け部材は前記天板と一緒に回転するように前記天板に結合されている、請求項1に記載の液処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−38184(P2013−38184A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172158(P2011−172158)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】