説明

液封防止機構内蔵逆止弁

【課題】集合管が液封状態になることを防止する液封防止機構内蔵逆止弁を提供する。
【解決手段】液封防止機構内蔵逆止弁1は、LPガス容器3,5,7,9側の圧力が集合管11側の圧力より低くなり、LPガス容器3,5,7,9側の圧力と集合管11側の圧力との圧力差が第1の設定値を超えると作動してLPガス容器3,5,7,9側への逆流を防止する逆止弁17と、上記圧力差が第1の設定値より大きい第2の設定値を超えると作動して逆流を許容するリリーフ弁19と、を備えている。逆止弁17は、貫通孔29が形成され、リリーフ弁19は、逆止弁17の貫通孔29に移動自在に配置された弁体31を有している。弁体31は、上記圧力差が第2の設定値を超えない場合に貫通孔29の一端を封止するように位置し、上記圧力差が第2の設定値を超える場合に貫通孔29の一端を開放する方向へ移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、集合住宅などで、複数のLPガス容器から集合管と自動切替調整器とを介してLPガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas:液化ガス)を消費側(例えば、各家庭)に供給するLPガス供給システムに用いられる液封防止機構内蔵逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に「高圧ガス容器の安全装置」が記載されている。この装置はガス容器へのガスの逆流を防止する逆止弁で実施されている。
【0003】
図8は、業務用、あるいは、集合住宅などにおいて、複数のLPガス容器から集合管と自動切替調整器とを介してLPガスを消費側に供給するLPガス供給システムに用いられている逆止弁301を示している。この逆止弁301は、弁体303と、弁座305と、弁体303を弁座305から離れる方向に付勢するスプリング307とを備えている。
【0004】
この逆止弁301は、各LPガス容器に設けられた開閉弁に一端が連結された高圧ホースの他端と集合管との間に設置され、開閉弁と高圧ホースとが未接続状態の時に逆止弁の上流側と下流側に所定の差圧が生じると、弁体303がスプリング307の付勢力に抗して弁座305に押圧され、LPガスが大気放出することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭57−139800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の逆止弁301を用いたLPガス供給システムでは、消費側がLPガスを使用していない場合、下記のような不具合が発生する恐れがある。
【0007】
例えば、晴天の昼間にLPガス供給システムが日光に晒されると、集合管より集熱面積の広いLPガス容器の温度と圧力(蒸気圧)が先に上昇し、集合管との間に温度差が生じる。LPガスの場合は、温度差が3°以上になると飽和蒸気圧を超えた分だけガスが液化する再液化現象が生じることが知られており、LPガス容器より低温の集合管では、再液化現象によって生じたLPガスが下部に滞留し、この状態が30分〜1時間続くと、集合管は内部がLPガスで充満した状態になる恐れがある。
【0008】
LPガス供給システムにおいて、LPガス容器は所定の配送計画に従って交換されるから、上記のように集合管がLPガスで充満した状態でLPガス容器の交換作業が行われることがあり、その際、手動の開閉弁309を閉止し、高温の使用済みLPガス容器を取り外し、新しいLPガス容器を取り付けた後、開閉弁309を開放する。
【0009】
使用済みのLPガス容器のように長時間日光に晒されていない新しいLPガス容器は集合管より低温で低圧の状態にあり、一般に、逆止弁301は集合管とLPガス容器との圧力差が0.02MPa以上になると閉止されるように設定されており、高圧側の集合管から低圧側のLPガス容器に向かって流入するLPガスによって逆止弁301が瞬間的に閉止される。逆止弁301は集合管と各LPガス容器との間にそれぞれ取り付けられており、交換された全てのLPガス容器で逆止弁301が閉止されるから、集合管は各逆止弁301によって閉塞され、LPガスが充満する液封状態になる。
【0010】
閉塞されて液封状態になった集合管は、日光に晒され続けると内圧(液圧)が異常に上昇して5MPaを超える高圧に達する恐れがあり、集合管に接続された自動切替調整器にこのような高圧が掛かると、精密な調整部がダメージを受けて圧力調整機能などに不具合が生じる。
【0011】
従来の逆止弁301は、集合管が液封状態になることを防止する機能を備えていない。
【0012】
そこで、この発明は、複数個のLPガス容器から集合管と自動切替調整器とを介してLPガスを消費側に供給するLPガス供給システムにおいて、集合管が液封状態になることを防止する液封防止機構内蔵逆止弁の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の液封防止機構内蔵逆止弁は、LPガスを供給する複数のLPガス容器と、LPガス容器からのガスが集合する集合管と、集合管上に配置されLPガスを消費側に供給する自動切替調整器とを有するLPガス供給システムの各LPガス容器と集合管との間に配置される液封防止機構内蔵逆止弁であって、LPガス容器側の圧力が集合管側の圧力より低くなり、LPガス容器側の圧力と集合管側の圧力との圧力差が第1の設定値を超えると作動してLPガス容器側への逆流を防止する逆止弁と、圧力差が第1の設定値より大きい第2の設定値を超えると作動して逆流を許容するリリーフ弁と、を備え、逆止弁は、貫通孔が形成され、リリーフ弁は、逆止弁の貫通孔に移動自在に配置されたリリーフ用弁体を有し、リリーフ用弁体は、圧力差が第2の設定値を超えない場合に貫通孔の一端を封止するように位置し、圧力差が第2の設定値を超える場合に貫通孔の一端を開放する方向へ移動することを特徴とする。
【0014】
この液封防止機構内蔵逆止弁によれば、逆止弁は貫通孔が形成され、リリーフ用弁体は、LPガス容器側の圧力が集合管側の圧力より低くなり、LPガス容器側の圧力と集合管側の圧力との圧力差が第2の設定値を超えない場合に貫通孔の一端を封止するように位置し、その圧力差が第2の設定値を超える場合に貫通孔の一端を開放する方向へ移動する。このため、圧力差が第2の設定値を超えない場合には貫通孔が閉じられることとなる。よって、圧力差が第1の設定値を超える場合に逆止弁によって逆流が防止れる。一方、圧力差が第2の設定値を超える場合には貫通孔の一端が開放されるため、貫通孔を介して逆流が許容される。これらより、逆流を防止しつつ、集合管内が液封状態になってより高圧となると逆流が許容される。従って、複数個のLPガス容器から集合管と自動切替調整器とを介してLPガスを消費側に供給するLPガス供給システムにおいて、集合管が液封状態になることを防止することができる。
【0015】
また、本発明の液封防止機構内蔵逆止弁において貫通孔は、小径部と当該小径部よりも内径が大きい大径部とを有し、リリーフ弁は、貫通孔の他端側に固定された中空状の筒体と、筒体とリリーフ用弁体との間に介在された付勢手段と、をさらに有し、リリーフ用弁体は、圧力差が第2の設定値を超えない場合に付勢手段により小径部へ押しつけられて貫通孔の一端を封止するように位置し、圧力差が第2の設定値を超える場合に付勢手段の付勢力に抗して小径部から大径部へ移動して貫通孔の一端を開放することが好ましい。
【0016】
この液封防止機構内蔵逆止弁によれば、リリーフ用弁体は、圧力差が第2の設定値を超える場合に付勢手段の付勢力に抗して小径部から大径部へ移動して貫通孔を開放する。このため、液封状態となったLPガスは貫通孔の一端から侵入し、大径部及び筒体の中空部位を介して、貫通孔の他端へ抜けることとなる。これにより、集合管が液封状態になることを防止することができる。
【0017】
また、本発明の液封防止機構内蔵逆止弁において、付勢手段は、コイルスプリングであって、リリーフ用弁体は、コイルスプリングのコイル内に挿入される突起部を有することが好ましい。
【0018】
この液封防止機構内蔵逆止弁によれば、付勢手段はコイルスプリングであって、リリーフ用弁体は、コイルスプリングのコイル内に挿入される突起部を有する。このため、リリーフ弁体はコイルスプリングによって固定状態となり、回転等が防止されることとなる。これにより、リリーフ弁体が回転等により傷ついて、貫通孔の一端を塞ぐ際の気密性が低下してしまうことを防止することができる。
【0019】
また、本発明の液封防止機構内蔵逆止弁において、小径部とリリーフ用弁体の一方は樹脂製であり、他方が金属製であることが好ましい。
【0020】
この液封防止機構内蔵逆止弁によれば、小径部とリリーフ用弁体の一方は樹脂製であり、他方が金属製であるため、双方が金属製である場合に比較して貫通孔の一端を塞ぐ際の気密性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の液封防止機構内蔵逆止弁によれば、集合管が液封状態になることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁を含むLPガス供給システムの構成図である。
【図2】図1に示した液封防止機構内蔵逆止弁1の詳細を示す外観図である。
【図3】図2に示した液封防止機構内蔵逆止弁1のA−A断面図である。
【図4】図2に示した液封防止機構内蔵逆止弁1のA−A断面図であって、逆止弁17が閉止された状態を示す断面図である。
【図5】図2に示した液封防止機構内蔵逆止弁1のA−A断面図であって、リリーフ弁19が開放された状態を示す断面図である。
【図6】第2実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁1のリリーフ弁19を示す拡大図である。
【図7】第3実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁1のリリーフ弁19を示す拡大図である。
【図8】関連技術を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る液封防止機構内蔵逆止弁の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁を含むLPガス供給システムの構成図である。
【0024】
図1に示すように、LPガス供給システム15は、複数のLPガス容器3,5,7,9と、集合管11と、自動切替調整器13と、液封防止機構内蔵逆止弁1とを備えている。
【0025】
複数のLPガス容器3,5,7,9は、それぞれLPガスが納められた容器であって、LPガスを消費側(例えば、各家庭)に供給するものである。集合管11は、LPガス容器3,5,7,9からのLPガスが集合する配管である。
【0026】
自動切替調整器13は、集合管11上に配置され、自動切替調整器13は流出ポートを介して各家庭側に接続されている。この自動切替調整器13は、集合管11の中央部に配置されており、左右の集合管11(LPガス容器3,5とLPガス容器7,9)の切替を行うと共に、圧力調整機能によって家庭に送られるLPガスの圧力を適正に維持する。
【0027】
液封防止機構内蔵逆止弁1は、各LPガス容器3,5,7,9と集合管11との間に配置された弁であって、詳細には各LPガス容器3,5,7,9の開閉弁37から伸びる高圧ホース39と、集合管11との間に配置されている。作業員等は、LPガス容器3,5,7,9の交換の際に、液封防止機構内蔵逆止弁1を操作して逆流を防止した状態とし、この状態でLPガス容器3,5,7,9を取り換えることとなる。
【0028】
なお、図1に示す例においてLPガス供給システム15は、4つのLPガス容器3,5,7,9を備えているが、特に4つに限らず、3個以下であってもよいし、5個以上であってもよい。
【0029】
図2は、図1に示した液封防止機構内蔵逆止弁1の詳細を示す外観図である。図2に示すように、液封防止機構内蔵逆止弁1は、プラグ23と、ケース本体45とを備えている。プラグ23及びケース本体45はそれぞれ別部材であって、これら別部材を組み合わせることで、液封防止機構内蔵逆止弁1が構成される。
【0030】
また、ケース本体45は、開閉弁51と、レバー53とを備えている。作業者等は、レバー53を操作することにより、開閉弁51を弁閉して液封防止機構内蔵逆止弁1を操作して逆流を防止した状態とし、この状態でLPガス容器3,5,7,9を取り換えることとなる。
【0031】
図3は、図2に示した液封防止機構内蔵逆止弁1のA−A断面図である。図3に示すように、液封防止機構内蔵逆止弁1は、逆止弁17と、リリーフ弁19とを備えている。逆止弁17は、LPガス容器3,5,7,9側の圧力が集合管11側の圧力より低くなり、LPガス容器3,5,7,9側の圧力と集合管11側の圧力との圧力差が第1の設定値を超えると作動してLPガス容器3,5,7,9側への逆流を防止するものである。リリーフ弁19は、液封状態の場合など、上記圧力差が第1の設定値より大きい第2の設定値を超える場合に作動して逆流を許容するものである。
【0032】
以下、逆止弁17及びリリーフ弁19について詳細に説明する。逆止弁17は、弁体21とコイルスプリング27とパッキン43とを備えている。弁体21は、逆止弁17の本体部位であって、略円錐形状となっている。この弁体21の円錐先端側は、プラグ23に形成された弁座25に合致する形状となっている。コイルスプリング27は、弁座25に形成された切り欠き部25aと弁体21との間に配置された付勢部材である。また、パッキン43は弁体21の先端側に設けられたゴム等の弾性部材である。
【0033】
上記のような構成であるため、上記圧力差が第1の設定値以下である場合、図3に示すように弁体21と弁座25はコイルスプリング27の付勢力により離間状態となる。このため、LPガス容器3,5,7,9側からのガスは集合管11に供給されることとなる。
【0034】
図4は、図2に示した液封防止機構内蔵逆止弁1のA−A断面図であって、逆止弁17が閉止された状態を示す断面図である。一方、上記圧力差が第1の設定値を超える場合、コイルスプリング27の付勢力に抗して弁体21が弁座25側に移動して流路を塞ぐこととなる。これにより、集合管11側からの逆流が防止されることとなる。
【0035】
また、逆止弁17の弁体21には貫通孔29が形成されており、リリーフ弁19は弁体(リリーフ用弁体)31を備えている。弁体31は、貫通孔29に移動自在に配置された球体である。この弁体31は、上記圧力差が第2の設定値を超えない場合に貫通孔29の一端を封止するように位置し、上記圧力差が第2の設定値を超える場合に貫通孔29の一端を開放する方向へ移動する。
【0036】
より詳細に説明すると、貫通孔29は、小径部29aと、小径部29aよりも内径が大きい大径部29bとを有し、リリーフ弁19は、筒体35と、コイルスプリング(付勢手段)41とを有している。筒体35は、貫通孔29の他端に固定された中空状の部材である。コイルスプリング41は、筒体35と弁体31との間に介在された付勢部材である。
【0037】
このような構成であるため、弁体31は、上記圧力差が第2の設定値を超えない場合にコイルスプリング41により小径部29aへ押しつけられて貫通孔29の一端を封止するように位置する。
【0038】
図5は、図2に示した液封防止機構内蔵逆止弁1のA−A断面図であって、リリーフ弁19が開放された状態を示す断面図である。一方、弁体31は、上記圧力差が第2の設定値を超える場合にコイルスプリング41の付勢力に抗して小径部29aから大径部29bへ移動して貫通孔29の一端を開放する。これにより、液封状態となったLPガスは貫通孔29の一端から侵入し、大径部29b及び筒体35の中空部位を介して、貫通孔29の他端へ抜けることとなる。これにより、集合管11が液封状態になることを防止することができる。
【0039】
なお、上記において、第1の設定値はコイルスプリング27の付勢力を調整することによって設定され、第2の設定値はコイルスプリング41の付勢力を調整することによって設定される。また、第1の設定値は従来の逆止弁と同様の設定値(例えば、0.01〜0.02MPa程度)であり、第2の設定値は第1の設定値より適度に大きい値(例えば、1.5〜1.6MPa程度)に設定されている。
【0040】
次に、本実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁1の作用を説明する。まず、消費側でLPガスが使用されている場合など、上記圧力差が第1の設定値以下である場合、コイルスプリング27により逆止弁17が開放されてLPガス容器3,5,7,9から集合管11にLPガスが供給される(図3参照)。
【0041】
そして、上記圧力差が第1の設定値を超えたとすると、コイルスプリング27の付勢力に抗して逆止弁17が閉止され、集合管11からLPガス容器3,5,7,9への逆流が防止される(図4参照)。
【0042】
さらに、上記圧力差が第2の設定値を超えたとすると、コイルスプリング41の付勢力に抗してリリーフ弁19が開放され、集合管11からLPガス容器3,5,7,9への逆流を許容する(図5参照)。このため、集合管11内が液封状態になることが回避され、集合管11が日光に晒されても内圧が異常に上昇することはなく、自動切替調整器13の機能がダメージを受けることはない。
【0043】
このようにして、本実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁1によれば、逆止弁17は貫通孔29が形成され、弁体31は、LPガス容器3,5,7,9側の圧力が集合管11側の圧力より低くなり、LPガス容器3,5,7,9側の圧力と集合管11側の圧力との圧力差が第2の設定値を超えない場合に貫通孔29の一端を封止するように位置し、上記圧力差が第2の設定値を超える場合に貫通孔29の一端を開放する方向へ移動する。このため、上記圧力差が第2の設定値を超えない場合には貫通孔29が閉じられることとなる。よって、上記圧力差が第1の設定値を超える場合に逆止弁17によって逆流が防止れる。一方、上記圧力差が第2の設定値を超える場合には貫通孔29の一端が開放されるため、貫通孔29を介して逆流が許容される。これらより、逆流を防止しつつ、集合管11内が液封状態になってより高圧となると逆流が許容される。従って、複数個のLPガス容器3,5,7,9から集合管11と自動切替調整器13とを介してLPガスを消費側に供給するLPガス供給システム15において、集合管11が液封状態になることを防止することができる。
【0044】
また、弁体31は、上記圧力差が第2の設定値を超える場合にコイルスプリング41の付勢力に抗して小径部29aから大径部29bへ移動して貫通孔29を開放する。このため、液封状態となったLPガスは貫通孔29の一端から浸入し、大径部29b及び筒体35の中空部位を介して、貫通孔29の他端へ抜けることとなる。これにより、集合管11が液封状態になることを防止することができる。
【0045】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁1は、第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が異なっている。
【0046】
図6は、第2実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁1のリリーフ弁19を示す拡大図である。図6に示すように、第2実施形態に係るリリーフ弁19は、弁体31が球体に突起部31aが接続された形状となっている。また、突起部31aは、貫通孔29の他端側に伸びており、コイルスプリング41のコイル内に挿入されている。
【0047】
このため、弁体31コイルスプリング41によって固定状態となり、回転等が防止されることとなる。ここで、弁体31が球体である場合、弁体31が樹脂製で、コイルスプリング41が金属製であったとすると、弁体31が傷ついてしまい、傷による気密性の低下が生じてしまう。しかし、第2実施形態に係る構成によれば、気密性の低下を防止することができる。
【0048】
このようにして、第2実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁1によれば、集合管11が液封状態になることを防止することができる。
【0049】
さらに、第2実施形態によれば、弁体31は、コイルスプリング41のコイル内に挿入される突起部31aを有する。このため、弁体31はコイルスプリング41によって固定状態となり、回転等が防止されることとなる。これにより、弁体31が回転等により傷ついて、貫通孔29の一端を塞ぐ際の気密性が低下してしまうことを防止することができる。
【0050】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁1は、第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が異なっている。
【0051】
図7は、第3実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁1のリリーフ弁19を示す拡大図である。図7に示すように、第2実施形態に係るリリーフ弁19は、第1実施形態の小径部29aに相当する箇所に、樹脂製の台座29cが設けられている。この台座29cは、中空の筒体であって、内径が大径部29bよりも小さくなっている。
【0052】
また、第3実施形態において弁体31は金属製となっている。このため、金属製の弁体31と樹脂製の台座29cとによって機密性の向上を図れることとなる。なお、コイルスプリング41は金属製であるため、弁体31が樹脂製でなく金属製である方が、弁体31に傷がつかず望ましい。しかし、これに限らず、弁体31が樹脂製で台座29cが金属製であってもよい。
【0053】
このようにして、第3実施形態に係る液封防止機構内蔵逆止弁1によれば、集合管11が液封状態になることを防止することができる。
【0054】
さらに、第3実施形態によれば、小径部29aと弁体31の一方は樹脂製であり、他方が金属製であるため、双方が金属製である場合に比較して貫通孔29の一端を塞ぐ際の気密性を向上させることができる。
【0055】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 液封防止機構内蔵逆止弁
3,5,7,9 LPガス容器
11 集合管
13 自動切替調整器
15 LPガス供給システム
17 逆止弁
19 リリーフ弁
21 弁体
23 プラグ
25 弁座
27 コイルスプリング
29 貫通孔
29a 小径部
29b 大径部
29c 台座
31 弁体(リリーフ用弁体)
31a 突起部
35 筒体
41 コイルスプリング(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LPガスを供給する複数のLPガス容器と、前記LPガス容器からのガスが集合する集合管と、前記集合管上に配置されLPガスを消費側に供給する自動切替調整器とを有するLPガス供給システムの前記各LPガス容器と集合管との間に配置される液封防止機構内蔵逆止弁であって、
前記LPガス容器側の圧力が前記集合管側の圧力より低くなり、前記LPガス容器側の圧力と前記集合管側の圧力との圧力差が第1の設定値を超えると作動して前記LPガス容器側への逆流を防止する逆止弁と、
前記圧力差が第1の設定値より大きい第2の設定値を超えると作動して逆流を許容するリリーフ弁と、を備え、
前記逆止弁は、貫通孔が形成され、
前記リリーフ弁は、前記逆止弁の前記貫通孔に移動自在に配置されたリリーフ用弁体を有し、
前記リリーフ用弁体は、前記圧力差が前記第2の設定値を超えない場合に前記貫通孔の一端を封止するように位置し、前記圧力差が前記第2の設定値を超える場合に前記貫通孔の一端を開放する方向へ移動する
ことを特徴とする液封防止機構内蔵逆止弁。
【請求項2】
前記貫通孔は、小径部と当該小径部よりも内径が大きい大径部とを有し、
前記リリーフ弁は、前記貫通孔の他端側に固定された中空状の筒体と、前記筒体と前記リリーフ用弁体との間に介在された付勢手段と、をさらに有し、
前記リリーフ用弁体は、前記圧力差が前記第2の設定値を超えない場合に前記付勢手段により前記小径部へ押しつけられて前記貫通孔の一端を封止するように位置し、前記圧力差が前記第2の設定値を超える場合に前記付勢手段の付勢力に抗して前記小径部から前記大径部へ移動して前記貫通孔の一端を開放する
ことを特徴とする請求項1に記載の液封防止機構内蔵逆止弁。
【請求項3】
前記付勢手段は、コイルスプリングであって、
前記リリーフ用弁体は、前記コイルスプリングのコイル内に挿入される突起部を有する
こと特徴とする請求項2に記載の液封防止機構内蔵逆止弁。
【請求項4】
前記小径部と前記リリーフ用弁体の一方は樹脂製であり、他方が金属製である
ことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれか1項に記載の液封防止機構内蔵逆止弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−252565(P2011−252565A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127941(P2010−127941)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】