説明

液晶パネルの検査方法および画像処理装置

【課題】偏光板の無い液晶パネルを検査する方法において、検査装置の偏光板や拡散板に付着した異物と液晶パネルの欠陥とを識別し得る検査方法を提供する。
【解決手段】光源からの光が一対の偏光板を透過するように、液晶パネルの液晶の配向を保持した状態で、撮影手段により、これに向き合う偏光板の出射面を撮影する第1の撮影ステップと、検査装置から液晶パネルを除去し、両偏光板の偏光方向を互いに直角に保持し光源を点灯した状態で、撮影手段に向き合う偏光板の出射面を撮影する第2の撮影ステップと、検査装置から液晶パネルおよび他方の偏光板を除去し、光源を点灯した状態で、撮影手段により該撮影手段に向き合う拡散板の出射面を撮影する第3の撮影ステップと、各撮影により得られた画像に基づいて、液晶パネルの欠陥部位を抽出する抽出ステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶パネルの欠陥の有無を検査する方法およびその検査に用いる画像処理装置に関し、特に、偏光板が組み込まれていない状態の液晶パネルのための検査方法およびその画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルの欠陥の検査方法の1つとして、次の特許文献1に記載の方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−170495号公報
【0004】
特許文献1に記載の検査方法によれば、偏光板が両面に組み込まれた液晶パネルの背面にバックライト光源からの光が照射される。このバックライト光の照射によって、この液晶パネルがいわゆる白表示画面を表示した状態で、バックライト光源が配置された側と反対側に配置された撮影手段により、液晶パネルの白表示画面が撮影される。
【0005】
液晶パネルの内部にゴミのような異物が存在し、また液晶パネルの撮影手段側の表面に同様な異物が付着していると、これらの異物でバックライト光の散乱が生じるものの、それ自体は、背景となる白表示画面よりも低輝度の点(黒点)として、白表示画面に現れる。
【0006】
液晶パネルの内部に異物が存在すると、液晶パネルの画素自体の欠陥と同様に、液晶パネルの欠陥とみなされる。しかしながら、液晶パネルに前記表面に付着した異物は、清掃によって液晶パネルから容易に除去できることから、この表面に付着した異物による黒点と、液晶パネルの欠陥による黒点とを識別する必要がある。
【0007】
そこで、一対の偏光板が組み込まれた液晶パネルと、撮影手段との間に、さらに偏光フィルタが挿入される。この偏光フィルタは、その偏光方向が表示パネルの表面に組み込まれた前記偏光板のそれと直角方向に設置される。この状態で表示パネルを白表示させてその表示画面が前記偏光フィルタを通して撮影される。
【0008】
表示パネルの表面に組み込まれた前記偏光板を透過する光の偏向方向は前記偏光フィルタのそれと直角であることから、表示パネルの表面の前記偏光板を透過するバックライト光の偏光成分は、前記偏光フィルタを透過することはない。そのため、撮影手段によって新たに挿入された前記偏光フィルタを通して撮影された前記表示パネルの表面は、黒表示画面となる。しかし、表示パネルの表面に組み込まれた前記偏光板上に異物が付着していると、この異物によって前記偏光成分が散乱されることから、この散乱光が前記偏光フィルタを透過する。他方、表示パネル内部の異物によって生じる散乱光は偏光方向を相互に直交させる前記偏光板および偏光フィルタによって遮断される。そのため、前記黒表示画面には、表示パネルの表面に組み込まれた前記偏光板上の異物がその背景よりも高い輝度の点(白点)として撮影される。
【0009】
したがって、両画像の比較により、前記白表示画面上の黒点のうち、該黒点と前記白点との重複部分を前記偏光板上の異物の画像として除去することにより、この偏光板上の異物が液晶パネルの欠陥であると誤判定されることを防止することができる。
【0010】
しかしながら、液晶パネルとバックライト光源との間には、一般的に、該バックライト光の輝度むらを防止するための光拡散板が挿入されており、この拡散板に異物が付着していると、この異物が前記白表示画面の黒点として観察される。また、この拡散板に付着する異物は前記偏光フィルタを通した黒画面でも観察されない。そのため、従来の前記方法では、拡散板が設けられる場合、この拡散板に付着する異物と前記液晶パネルの欠陥とを識別することはできない。
【0011】
さらに、液晶パネルの両面に偏光板が組み込まれていない液晶パネルの検査では、この液晶パネルの両面にそれぞれ偏光板が配置された状態で、前記したと同様な白表示画面が撮影手段により撮影される。この両偏光板のうち、液晶パネルの裏面すなわち、液晶パネルと拡散板との間に配置された一方の偏光板に付着した異物は、前記白画面上の欠陥と同様な黒点として撮影される。しかも、この異物は、撮影手段とこれに近接する偏光板との間に挿入される前記偏光フィルタを通した黒画面でも観察されないことから、前記一方の偏光板に付着した異物と、液晶パネルの欠陥とを識別することはできない。
【0012】
また、歩留まりの向上および資源の節約の点で、液晶パネルに一対の偏光板を貼り付ける前に、これら偏光板が設けられていない状態で液晶パネルに欠陥検査を施すことが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明の目的は、偏光板が設けられていない液晶パネルの欠陥を検査する方法において、その検査装置に含まれる偏光板や拡散板に付着した異物と液晶パネルの欠陥とを識別し得る検査方法およびこの検査に用いられる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る検査方法は、互いに向き合うように間隔をおいて配置される光源および撮影手段と、前記光源および撮影手段間で相互に間隔をおいてほぼ平行に配置されかつ偏光方向を所定の関係に保持可能の一対の偏光板と、前記光源と該光源側に配置される一方の前記偏光板との間に配置される拡散板とを備える検査装置を用いて、偏光板が設けられていない液晶パネルをその欠陥について検査する方法であって、前記光源からの光が前記両偏光板を透過するように該両偏光板間に配置された前記液晶パネルの液晶の配向を保持した状態で、前記撮影手段により、他方の前記偏光板の出射面を撮影する第1の撮影ステップと、前記検査装置に前記液晶パネルが存在しない状態で、しかも前記両偏光板の偏光方向を互いに直角に保持しかつ前記光源を点灯した状態で、前記他方の偏光板の前記出射面を撮影する第2の撮影ステップと、さらに、前記検査装置に前記液晶パネルおよび前記他方の偏光板が存在しない状態でしかも前記光源を点灯した状態で、前記撮影手段により該撮影手段に向き合う前記拡散板の出射面を撮影する第3の撮影ステップと、前記各撮影ステップにより得られた画像に基づいて、前記液晶パネルの欠陥部位を抽出する抽出ステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の前記検査方法では、第1の撮影ステップにより得られた第1の画像は、前記光源からの光が前記両偏光板を透過するように前記液晶パネルの液晶の配向が保持されていることから、背景が高輝度のいわゆる白画面となる。前記液晶パネルの内部に異物が存在し、また前記光源側に配置された前記一方の偏光板および前記拡散板に異物が付着していると、それらの異物による影が、この白画面上に、背景の輝度よりも低い輝度点(黒点)としてそれぞれ観察される。
【0016】
また、第2の撮影ステップにより得られた第2の画像上には、前記液晶パネルが除去されていることから、該液晶パネルについての情報は含まれず、前記光源側に配置された前記一方の偏光板の液晶パネルに対向する面に付着した異物がその散乱光によって、他方の偏光板を通して、背景の輝度よりも高い輝度点(白点)として観察される。また、前記拡散板に異物が付着していても、その影は両偏光板を通して観察されることから、この影は背景に紛れる。そのため、この拡散板上に例え異物が存在したとしても、この影を明確に捉えることはできない。このことから、第2の画像上には、前記一方の偏光板上に異物が付着していると、この異物による白点のみが、低輝度背景中に観察される、
【0017】
さらに、第3の撮影ステップにより得られた第3の画像は、前記液晶パネルに加えて前記一方の偏光板が除去されることから、第1の画像におけると同様な背景が高輝度のいわゆる白画面となる。したがって、第3の撮影ステップでは、前記光源からの光が前記拡散板および前記一方の偏光板を通して前記撮影手段によって撮影されることから、前記拡散板に付着した異物あるいは該拡散板と前記一方の偏光板との間に存在する異物の影がそれぞれ背景の輝度より低輝度の黒点として観察される。
【0018】
したがって、第1の画像上の黒点のうち、第2の画像上の白点および第3の画像用の黒点と重複する位置の黒点を除去した残りの黒点を液晶パネル自体の欠陥と判定することにより、液晶パネルの欠陥と、前記一方の偏光板あるいは拡散板に付着した異物とを識別することが可能となる。
【0019】
前記抽出ステップは、前記第1の撮影ステップにより得られた第1の画像から特定された所定の輝度を超えない箇所のうち、前記第2の撮影ステップにより得られた第2の画像から特定された所定の輝度を超える箇所および前記第3の撮影ステップにより得られた第3の画像から特定された所定の輝度を超えない箇所と重複しない部位を抽出することを含むことができる。この抽出ステップで抽出された抽出部位が液晶パネルの欠陥であると判定することができる。
【0020】
前記液晶パネルが例えばTN型である場合、第1の撮影ステップでは、例えば前記両偏光板の偏向軸は相互に直角に保持され、また前記液晶パネルは液晶の配向に90度の捩れを示す状態で前記一対の偏光板間に配置される。これにより、前記両偏光板の偏向軸が相互に直角に保持された状態では、前記両偏光板および液晶パネルが、いわゆるノーマリホワイト型の動作をするように組合せられている。したがって、この組合せで行われる第1の撮影ステップでは、前記液晶パネルの液晶に電界を付与しない状態で、一対の偏光板が組み込まれたノーマリホワイト型の表示パネルにおける白表示画面と同等の第1の画像が得られる。
【0021】
第1の撮影ステップでは、前記両偏光板および前記液晶をこれらがノーマリブラック型を示すように組合せることができる。このノーマリブラック型では、液晶パネルの液晶に電界を付与した状態で白表示画面が得られる。したがって、このノーマリブラック型の組合せでは、液晶パネルの液晶に電界を付与した状態で、第1の撮影ステップでの白画面が得られる。
【0022】
本発明に係る画像処理装置は、前記第1の画像の各部位の輝度情報を第1のしきい値と比較する第1の比較部と、前記第2の画像の各部位の輝度情報を第2のしきい値と比較する第2の比較部と、前記第3の画像の各部位の輝度情報を第3のしきい値と比較する第3の比較部と、前記第1ないし第3の比較部からの出力情報に対応する位置情報を格納するための記憶部と、前記第1の比較部からの出力情報に対応する位置情報から前記第2及び第3の比較部からの出力情報に対応する位置情報に重複しない位置情報を欠陥部位として出力する判定部とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る前記画像処理装置によれば、本発明に係る前記検査方法を効率的に実施することができる。また、前記画像処理装置の各比較部および情報処理部は、コンピュータのCPUのプログラム処理によって実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の前記検査方法によれば、各撮影ステップにより得られた画像から液晶パネルの欠陥と、検査装置の前記一方の偏光板あるいは拡散板に付着した異物とを識別することができ、これら異物を欠陥として誤判定することを確実に防止することができる。
また、本発明の前記装置によれば、効率的に本発明の前記検査方法を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は本発明に係る検査方法の手順を示し、図2および図3は本発明の検査方法を実施するのに好適な検査装置を示す。図1に沿った説明に先立って、本発明に係る検査装置10を図2および図3に沿って説明する。
【0026】
本発明に係る検査装置10は、図2に示されているように、液晶パネル12の欠陥の有無を検査するのに用いられる。この液晶パネル12は、図示しないが従来よく知られているように、一対のガラス板であって互いに対向する面に例えばそれぞれの配向軸を直交させた配向面が形成された一対のガラス板間に液晶が封入された液晶パネル本体である。この液晶パネル本体の両面には偏光板が貼り付けられていない。この液晶パネル12は、例えばTN型液晶パネルである。このTN型液晶パネルでは、従来よく知られているように、一対のガラス板間に電圧が印加されておらず、したがって一対の配向膜間に電界が付与されていない状態では、一対の配向膜間での液晶分子の配列に90度のねじれが与えられる。また、一対の配向面間に電界が付与されると、液晶のねじれは解消される。
【0027】
この偏光板が設けられていない液晶パネル12を検査する検査装置10は、互いに間隔をおいて配置される光源14および撮影手段16と、光源14および撮影手段16間に相互に間隔をいてほぼ平行に配置された一対の偏光板18、20と、光源14および該光源に隣接して配置された一方の偏光板18との間に配置された光拡散板22とを備える。
【0028】
撮影手段16は、例えばCCD(電荷結合素子)カメラであり、その撮影レンズ面16aを光源14の発光面14aに対向させて配置されている。CCDカメラ16には、撮影画像を処理するための画像処理装置24が接続されている。光源14は、従来よく知られた液晶用バックライト光源である。
【0029】
一対の偏光板18、20は、互いに偏光軸を直交させて配置されており、これにより、一対の偏光板18、20と、その間に配置された液晶パネル12との組合せは、ノーマルホワイトタイプの液晶パネル組立体として機能する。一方の偏光板18および光源14間に配置された光拡散板22は、従来よく知られているように、光源14の輝度むらを防ぎ、均一なバックライト光の照射を可能とする。
【0030】
画像処理装置24は、図3に示すように、CCDカメラ16から取り込まれた画像をスキャンすることにより、画像のスキャン部位のセル座標(x、y)毎にその位置データおよび輝度データを生成する画像読み取り処理部26と、第1ないし第3の比較部28aないし28cと、該比較部からの出力データに基づく位置情報を処理する抽出部30と、記憶部32と、各部の動作を制御する制御部34とを備える。
【0031】
記憶部32には、画像読み取り処理部26により生成された前記データが制御部34の制御下で格納される。各第1ないし第3の比較部28aないし28cには、輝度についての第1ないし第3のしきい値がそれぞれ設定されている。第1ないし第3の比較部28aないし28cは、制御部34の制御下で、画像読み取り処理部26により得られた輝度データと各第1ないし第3のしきい値とを比較する。
【0032】
第1の比較部28aは、制御部34の制御下で、比較対象の輝度データが第1のしきい値を超ないとき、その比較データに対応する位置データを記憶部32に出力する。また、第2の比較部28bは、制御部34の制御下で、比較対象の輝度データが第2のしきい値を超えるとき、その比較データに対応する位置データを記憶部32に出力する。さらに、第3の比較部28cは、制御部34の制御下で、比較対象の輝度データが第3のしきい値を超ないとき、その比較データに対応する位置データを記憶部32に出力する。
【0033】
抽出部30は、制御部34の制御下で、各第1ないし第3の比較部28aないし28cの出力情報から得られる前記位置情報を演算処理する。この演算処理により、抽出部30は、第1の比較部28aにより得られた位置情報から、第2の比較部28bおよび第3の比較部28cにより得られた位置情報を除去した結果、残る位置情報を演算結果として出力する。
【0034】
各第1ないし第3の比較部28aないし28cおよび抽出部30の作動を本発明の方法の手順を示す図1のフローチャートに沿って説明する。
【0035】
本発明の方法の第1の撮影ステップS1では、図4に示されているように、一対の偏光板18、20間に液晶パネル12が保持された状態で、光源14が点灯される。この光源14から光拡散板22を経て光度が均一化された照射光の照射を受ける前記液晶パネル組み合わせ(12、18、20)は、一対の偏光板18、20がそれらの偏光軸を直角に配置されていることから、ノーマリホワイト型として動作する。したがって、液晶パネル12に電界を付与することなく、CCDカメラ16側に位置する他方の偏光板20を通して液晶パネル12を観察すると、全体が輝度の高い白表示として観察される。そのため、CCDカメラ16で他方の偏光板20の出射面20aすなわち偏光板20のCCDカメラ16に近接する面20aを撮影すると、その画面は白表示画面となる。
【0036】
このとき、液晶パネル12内にゴミのような異物Aが存在すると、この異物によって散乱光が生じるが、この散乱光は白表示画面の輝度に比較して極めて低い。そのため、異物Aは、白表示画面の背景では、該背景の輝度より低い影(黒点)として観察される。また、異物Aに加えて、一方の偏光板18の液晶パネル12に対向する一方の面18a上に異物Bが付着していると、この異物Bによって散乱光が生じるが、白表示画面の輝度に比較して極めて低いことから、異物Aと同様に、異物Bはその影(黒点)として観察される。さらに、光拡散板22の例えば一方の偏光板18に対向する一方の面22aに同様な異物Cが付着していると、この異物Cの影も同様に、黒点として観察される。
【0037】
その結果、第1の撮影ステップS1で、CCDカメラ16により撮影された白表示画面上には、これら異物AないしCの黒点が表れる。これら黒点を含む前記白表示画面の輝度は、画像読み取り処理部26により、その位置情報と共にデータ化される。この画像データの輝度は、第1の比較部28aにより適正に設定された第1のしきい値と比較されることにより、異物AないしCに対応する位置情報が抽出され、記憶部32に格納される。
【0038】
第2の撮影ステップS2では、図5に示されているように、一対の偏光板18、20間から液晶パネル12が除去される。その結果、一対の偏光板18、20間に液晶パネル12がない状態で、一対の偏光板18、20を通して光源14から光拡散板22を経た照射光がCCDカメラ16により捉えられる。ここで、一対の偏光板18、20は、前記したように、その偏向軸を相互に直交して配置されていることから、一方の偏光板18を透過した偏光が他方の偏光板20を透過することがない。そのため、CCDカメラ16により撮影される他方の偏光板20の出射面20aの画像は、全体にその輝度が著しく低い黒表示画面となる。
【0039】
このとき、一方の偏光板18を透過した偏向が前記一方の面18aに付着した異物Bに当たる散乱を受けることから、この散乱光の他方の偏光板20の偏向軸に沿った偏光成分が他方の偏光板20を透過する。この透過光は、黒表示画面の輝度すなわち背景の輝度に比較して高い輝度を示す。そのため、この異物Bが背景よりも輝度の高い輝点(白点)として、前記黒表示画面上に表れる。他方、光拡散板22上の異物Cでも、散乱光が生じるが、この散乱光は一方の偏光板18を経ることにより偏光され、その偏光が他方の他方の偏光板20によって遮蔽されることから、異物Bにおけるような輝点として観察されることはなく、黒表示画面の背景とほぼ一体になる。
【0040】
その結果、第2の撮影ステップS2で、CCDカメラ16により撮影された前記黒表示画面上には、異物Bのみの白点が表れる。この白点を含む前記黒表示画面の輝度は、画像読み取り処理部26により、その位置情報と共にデータ化される。この画像データの輝度は、第2の比較部28bにより適正に設定された第2のしきい値と比較されることにより、異物Bに対応する位置情報が抽出され、記憶部32に格納される。
【0041】
第3の撮影ステップS3では、図6に示されているように、液晶パネル12に加えて、さらに他方の偏光板20が除去される。これにより、CCDカメラ16は、光源14から光拡散板22および残った一方の偏光板18を経た光を捉える。このとき、残った偏光板18を通る光は該偏光板の偏光軸に沿った偏光となるが、この偏光は偏光板18を透過する。そのため、CCDカメラ16によって撮影される偏光板18の出射面18aは白表示画面となる。また、偏光板18の一方の面18a上の異物Bの散乱光は除去された他方の偏光板20を経ることなくCCDカメラ16に捉えられることから、輝点として白表示画面上に表れるため、その背景とほぼ一体となる。
【0042】
これに対し、光拡散板22上の一方の面上にある異物Cでの散乱光は、残りの偏光板18を経ることにより、その輝度が低減されることから、白表示画面の背景に影として表示される。その結果、第3の撮影ステップS3で、CCDカメラ16により撮影された前記白表示画面上には、図7に示すように、異物Cの影のみが黒点として表れる。この黒点を含む前記白表示画面の輝度は、画像読み取り処理部26により、その位置情報と共にデータ化される。この画像データの輝度は、第3の比較部28cにより適正に設定された第3のしきい値と比較されることにより、異物Cに対応する位置情報が抽出され、記憶部32に格納される。
【0043】
第1および第2の撮影ステップS1、S2でのCCDカメラ16および撮影面間の距離と、第3の撮影ステップS3でのその距離との差による前記各位置情報のずれは、例えば演算処理によりソフト的に補正することができる。
【0044】
第4の撮影ステップS4では、各第1ないし第3の撮影ステップS1ないしS3で得られた第1ないし第3の画像すなわち前記白表示画面および黒表示画面の各画像で特定された各部位の前記位置情報から、抽出部30は、液晶パネル12の欠陥(A)による部位を抽出する。この抽出のために、抽出部30は、制御部34の制御下で、記憶部32に格納された異物Aについての位置情報で特定される部位のうち、異物Bについての位置情報で特定される部位および異物Cについての位置情報で特定される部位と重複しない部位の位置情報を制御部34に出力する。制御部34は、図示しない例えばディスプレイパネルのような表示部に座標あるいは画像として、抽出部30の抽出結果を表示する。
【0045】
この表示結果には、被検査体である液晶パネル12の欠陥(A)のみが示され、検査装置10の一部を構成する偏光板18および光拡散板22の異物(B、C)の影が除去されていることから、液晶パネル12の真の欠陥(A)を識別することができる。
【0046】
前記したところでは、光拡散板22上の一方の面22aに異物Cが付着した例に沿って説明したが、図6に破線で示すとおり、一方の偏光板18の他方の面18bと光源14の発光面14aとの間に存在する異物も異物Cと同様に取り扱うことができるので、液晶パネル12の欠陥(A)を一方の偏光板18の他方の面18bと光源14の発光面14aとの間に存在する異物から識別することができる。
【0047】
また、第1の撮影ステップS1では、一対の偏光板18、20をその偏光軸が相互に直角方向に向くように配置した例を示した。これに代えて、一対の偏光板18、20をその偏光軸が相互に平行となるように、配置することができる。この場合、偏光軸を相互に平行に配置された一対の偏光板18、20と、その間に配置される液晶パネル12とは、いわゆるノーマリブラック型の液晶として機能する。そのため、第1の撮影ステップS1では、液晶パネル12に電界を付与した状態で、CCDカメラ16により偏光板20の出射面20aを撮影することにより、前記した白表示画面と同様な第1の画像が得られる。
また、第1の撮影ステップS1で、偏光軸を相互に平行に配置された一対の偏光板18、20が用いられた場合、第2の撮影ステップS2では、両偏光板18、20は、その偏光軸が相互に直角に向くように配置される。
【0048】
さらに、第1の撮影ステップS1で、ノーマリブラック型の液晶として機能させ、液晶パネル12に電界を付与した状態で白表示画面の第1の画像を得た場合、この白表示画面には、液晶パネル12内の異物Aによる欠陥の他、液晶パネルのセル自体の動作不良による黒欠陥が第1の画像に黒点として検出されることから、この黒欠陥をも液晶パネル12自体の欠陥として検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々に変更することができる。例えば、第1ないし第3の撮影ステップS1ないしS3は、抽出ステップS4の前に行われる限り、ステップS1ないしS3間の相互の順序は、前後しても何ら問題は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る検査方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る検査方法を実施する検査装置を概略的に示す構成図である。
【図3】本発明に係る検査装置の画像処理装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】本発明に係る検査方法の第1撮影ステップの撮影状態を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明に係る検査方法の第2撮影ステップの撮影状態を模式的に示す図4と同様な図面である。
【図6】本発明に係る検査方法の第3撮影ステップの撮影状態を模式的に示す図4と同様な図面である。
【図7】第3撮影ステップにより得られる第3の画像の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
10 検査装置
12 液晶パネル
14 光源
16 CCDカメラ(撮影手段)
18 一方の偏光板
20 他方の偏光板
22 光拡散板
24 画像処理装置
26 画像読み取り処理部
28a〜28c 第1ないし第3の比較部
30 抽出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向き合うように間隔をおいて配置される光源および撮影手段と、前記光源および撮影手段間で相互に間隔をおいてほぼ平行に配置されかつ偏光方向を所定の関係に保持可能の一対の偏光板と、前記光源及び該光源側に配置される一方の前記偏光板間に配置される拡散板とを備える検査装置を用いて、偏光板が設けられていない液晶パネルをその欠陥について検査する方法であって、
前記光源からの光が前記両偏光板を透過するように該両偏光板間に配置された前記液晶パネルの液晶の配向を保持した状態で、前記撮影手段により、他方の前記偏光板の出射面を撮影する第1の撮影ステップと、
前記検査装置に前記液晶パネルが存在しない状態で、しかも前記両偏光板の偏光方向を互いに直角に保持しかつ前記光源を点灯した状態で、前記他方の偏光板の前記出射面を撮影する第2の撮影ステップと、
さらに、前記検査装置に前記液晶パネルおよび前記他方の偏光板が存在しない状態でしかも前記光源を点灯した状態で、前記撮影手段により該撮影手段に向き合う前記拡散板の出射面を撮影する第3の撮影ステップと、
前記各撮影ステップにより得られた画像に基づいて、前記液晶パネルの欠陥部位を抽出する抽出ステップとを含む、液晶パネルの検査方法。
【請求項2】
前記抽出ステップは、前記第1の撮影ステップにより得られた第1の画像から特定された所定の輝度を超えない箇所のうち、前記第2の撮影ステップにより得られた第2の画像から特定された所定の輝度を超える箇所および前記第3の撮影ステップにより得られた第3の画像から特定された所定の輝度を超えない箇所と重複しない部位を抽出することを含み、該抽出部位が欠陥であると判定される、請求項1に記載の検査方法。
【請求項3】
前記第1の撮影ステップでは、前記液晶パネルは、前記一対の偏光板と共にノーマリホワイト型に組み合わされ、前記液晶パネルの液晶に電界が付与されていない状態で前記一対の偏光板間に配置される、請求項1に記載の検査方法。
【請求項4】
前記第1の撮影ステップでは、前記液晶パネルは、前記一対の偏光板と共にノーマリブラック型に組み合わされ、前記液晶パネルの液晶に電界が付与されている状態で前記一対の偏光板間に配置される、請求項1に記載の検査方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法に使用される画像処理装置であって、前記第1の画像の各部位の輝度情報を第1のしきい値と比較する第1の比較部と、前記第2の画像の各部位の輝度情報を第2のしきい値と比較する第2の比較部と、前記第3の画像の各部位の輝度情報を第3のしきい値と比較する第3の比較部と、前記第1ないし第3の比較部からの出力情報に対応する位置情報を格納するための記憶部と、前記第1の比較部からの出力情報に対応する位置情報から前記第2及び第3の比較部からの出力情報に対応する位置情報に重複しない位置情報を欠陥部位として出力する抽出部とを備える画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−20588(P2008−20588A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−191210(P2006−191210)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】