説明

液晶表示装置

【課題】表示領域最外周画素部に設けられた画素電極のパターニング不良を無くし、表示品位の向上した液晶表示装置を提供することにある。
【解決手段】表示領域の最外周に沿って位置した画素部の着色層25Bを黒着色層からなる額縁パターン32側へ延在させて延在部27を形成することにより、着色層と額縁パターンとの段差部分を画素電極30から離して配置する。また、着色層の延出部の下方に、液晶表示素子を構成する金属配線を配置して、画素電極と額縁パターンとの間の領域を遮光する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置に関し、特に、アレイ基板側に着色層が設けられた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、配向膜を有する2枚の基板を配向膜が対向するように配置し、これら2枚の基板間に液晶層を挟持して構成されている。これら2枚の基板は、シール材および封止材によって周辺領域同士が貼り合わされ、この2枚の基板間には、基板間距離を所定の値に保持するために粒状スペーサ、またはフォトリソグラフィー法により形成された樹脂からなる柱状スペーサが配置されている。液晶表示装置によりカラー表示する場合、一般に、基板の一方に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)からなる着色層が配置されている。
【0003】通常、基板の表示領域の外側には、バックライトからの光漏れを防止するために額縁状のブラックマトリクス(BM)が形成される。このBM材料としては、Cr、MoW等の金属薄膜や、樹脂が使用されている。
【0004】また、アレイ基板側に着色層を形成する場合、R、G、Bの各着色層の他に黒の着色層で柱状スペーサと額縁パターンを同時に形成する。この際、黒着色層をRGB着色層上に形成することにより所望のセルギャップを得ることができる。黒着色層は上記のように、額縁パターンとしても使用されるため、高い遮光性を有する必要があり、厚く形成される。
【0005】また、着色層をアレイ基板側に形成する場合、高い開口率を確保できるように、着色層上に画素電極を配置し、スイッチング素子を形成する遮光性金属により画素電極間の隙間を遮光する画素構造をとっている。更に、この遮光性金属の割合を少なくすることにより、一層開口率の高い製品を作る努力がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような液晶表示装置において、黒着色層と表示領域とを連続的に遮光する場合、黒着色層と画素を形成する画素電極とは隙間なく配置されていることが望ましい。すなわち、このような場合、額縁パターンを構成する表示領域外周の黒着色層と、RGB着色層上に形成された最外周縁側の画素電極とは接近して配置される。
【0007】上記画素電極を形成する場合、RGB着色層および黒着色層上に導電膜を形成し、更に、導電膜に重ねてレジストを形成した後、フォトリソグラフィーによりレジストをパターニングし、所望のエッチング材料によりパターン形成される。
【0008】しかし、黒着色層はRGB着色層よりかなり厚く形成されるため、これらの境界には段差部が形成され、この段差部でレジストの膜厚が厚く不均一となる。そして、この部分では、レジストのパターニング不良が発生し易い。そのため、最外周画素の画素電極が黒着色層に接近して、すなわち、段差部に接近して設けられていると、レジストのパターニング不良に起因して、最外周画素の画素電極の黒着色層側がショートし、点欠陥不良を発生するという問題がある。
【0009】上記問題を対策するために、画素電極形成後に黒着色層を形成するプロセス改善も考えられるが、今度は、RGB着色層の最外周縁部でレジストに膜厚が薄くなり、パターニング不良が発生する。この場合、画素電極の端部が消失してしまい所望形状の画素電極を得ることができない。
【0010】この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、表示領域最外周画素部に設けられた画素電極のパターニング不良を無くし、表示品位の向上した液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明に係る液晶表示装置は、基板の一主面上に互いに平行に設けられた複数の第1配線と、上記第1配線と交差して設けられた互いに平行な複数の第2配線と、上記第1および第2配線の交差部毎に配置されたスイッチング素子と、上記第1配線、第2配線、およびスイッチング素子の少なくとも一部を覆うように配置された複数色の着色層と、上記第1および第2配線で囲まれた領域で、かつ、上記着色層上に重ねて配置されているとともに上記スイッチング素子にそれぞれ接続され、それぞれ画素部を形成した複数の画素電極と、を有した表示領域と、上記基板の一主面上で上記表示領域を囲んで設けられ、上記着色層よりも厚い膜厚と高い遮光性を有し、上記表示領域周縁の光漏れを防止する額縁パターンと、を備えたアレイ基板と、上記アレイ基板と対向して配置された対向基板と、上記アレイ基板と上記対向基板との間に設けられ、上記アレイ基板と上記対向基板との間に所定の隙間を保持した複数の柱状スペーサと、上記アレイ基板と上記対向基板との間に挟持された液晶層と、を具備し、上記表示領域の最外周に沿って位置した各画素部の上記着色層と上記額縁パターンとの間に、着色層からなる延出部が設けられていることを特徴としている。
【0012】また、この発明の液晶表示装置によれば、上記表示領域の最外周に沿って位置した画素部を構成する着色層は、他の画素部を構成する着色層よりも上記額縁パターン側に延在し、それぞれ上記延出部を形成していることを特徴としている。
【0013】更に、この発明に係る液晶表示装置によれば、上記延出部は、上記表示画素領域の外周に沿って枠状に形成された少なくとも1色の着色層により構成されていることを特徴としている。
【0014】上記のように構成されたこの発明に係る液晶表示装置によれば、表示領域の最外周に位置した画素部の着色層と額縁パターンとの間に着色層からなる延出部を設けることにより、着色層と額縁パターンとの段差部分を画素電極から離して配置することが可能となる。そのため、段差部によるレジスト膜厚変動の影響を無くし、画素電極の良好なパターン形成が行える。
【0015】更に、この発明に係る液晶表示装置によれば、上記第1および第2配線の内、上記表示領域の最外周に沿って位置した第1配線および第2配線は、他の配線よりも太く形成され、上記延出部を遮光していることを特徴としている。
【0016】すなわち、着色層を延在させた領域を、液晶表示素子を構成するアレイ基板側の金属配線等によって遮光することができ、対向基板側からブラックマトリックスを削除でき安価な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置について詳細に説明する。図1ないし図3に示すように、液晶表示装置10は、カラーフィルタとしての着色層が設けられたアレイ基板12と、このアレイ基板に所定のセルギャップを置いて対向配置された対向基板20と、を備え、これらアレイ基板と対向基板との間に液晶層70が挟持されている。
【0018】アレイ基板12および対向基板20は、液晶表示装置の表示領域40の外周を囲むように配置されたシール材19により周縁部同士が接合されている。シール材19の一部には液晶注入口35が形成され、この液晶注入口35は、液晶注入後、封止材34により封止されている。
【0019】対向基板20は、ガラスからなる透明基板21上にITOからなる透明電極22、配向膜13を順に形成して構成されている。
【0020】図1ないし図8に示すように、アレイ基板12は、ガラスからなる透明基板11上に複数の走査線17、これと平行に設けられた補助容量配線18、および絶縁膜23を介してこれらと直交する複数の信号線14が配置され、走査線と信号線の各交点近傍にはスイッチング素子として図示しないNch型LDD構造のTFT(薄膜トランジスタ)素子と、このスイッチング素子のソース電極と電気的に接続された補助容量の上部電極15と、が配置されている。また、補助容量配線18と信号線14とで囲まれた領域には、それぞれほぼ矩形状の画素電極30が設けられ、それぞれ画素部を構成している。
【0021】また、アレイ基板12の透明基板11上には、スイッチング素子と同時に、図示しない液晶駆動回路が表示領域40周辺に形成され、表示領域近傍には、この液晶駆動回路を動作させるために必要な複数の配線16が設けられている。
【0022】そして、スイッチング素子および液晶駆動回路を覆うように保護絶縁膜24が設けられ、更にその上部に、それぞれY方向に延びたストライプ状の緑色(G)の着色層25G、青色(B)の着色層25B、赤色(R)の着色層25Rが配置されている。そして、緑色の着色層25Gの両側縁が青色着層25Bや赤色着色層25Rによって覆われている。このような構成は、各着色層を加工する際に用いる遮光マスクを適合するように作製することで達成される。
【0023】そして、画素電極30は、これらの着色層25G、25B、25R上にそれぞれ配置され、着色層および保護絶縁膜24に形成されたコンタクトホール26および上部電極15を介してそれぞれ対応するスイッチング素子のソース電極に接続されている。更に、画素電極30および着色層25G、25B、25Rを覆うように、ガラス基板11全面には配向膜13が形成されている。着色層材料には、紫外線硬化型アクリル樹脂を、配向膜材料には、ポリイミドをそれぞれ用いている。
【0024】また、アレイ基板12のガラス基板11上には、表示領域40の周縁を囲むように、所定幅を持った黒色の着色層からなる矩形状の額縁パターン32が形成されている。この額縁パターン32は、他の着色層25G、25B、25Rよりも厚く形成されている。更に、この額縁パターン32と同時に、画素電極30上には所望の密度で多数の柱状スペーサ31が形成されている。シール材19は、表示領域40の周縁部で額縁パターン32の外側に設けられている。
【0025】そして、アレイ基板12および対向基板20は、シール材19により周縁部同士が接着されているとともに、これらの基板間のセルギャップは、多数の柱状スペーサ31によって所定の値に維持されている。
【0026】次に、上記アクティブマトリクス型の液晶表示装置の一層詳しい構成をその製造方法と併せて説明する。まず、高歪点ガラス基板や石英基板などの透光性絶縁性基板11上にCVD法などによりa−Si膜を50nm程度被着する。これを450℃で1時間炉アニールを行った後、XeClエキシマレーザを照射し、a−Si膜を多結晶化しポリシリコン膜とする。その後に、ポリシリコン膜をフォトエッチング法によりパターンニングして、図示しない表示領域内画素部のTFT(以下、画素TFTと称する)のチャネル層、および図示しない液晶駆動回路領域のTFT(以下、回路TFTと称する)のチャネル層を形成し、更に、補助容量素子の下部電極を形成する。
【0027】次に、CVD法により絶縁基板11の全面に図示しないゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜を100nm程度被着する。続いて、このシリコン酸化膜上全面にTa、Cr、Al、Mo、W、Cuなどの単体又はその積層膜あるいは合金膜を400nm程度被着し、フォトエッチング法により所定の形状にパターニングし、走査線17と、走査線を延在して成る画素TFTのゲート電極17a、補助容量配線18、回路TFTのゲート電極、および駆動回路領域内の各種配線を形成する。この時、液晶駆動回路を駆動させるために必要となる配線16も同時に形成する。
【0028】また、この際、図4および図5に示すように、表示領域40最外周の上端縁に沿って位置した画素部の補助容量配線18aを、通常の画素部に設けられている他の補助容量配線18よりも太く形成して額縁パターン32側に延在させ、後工程にて形成される表示領域40外周の上端縁に沿って位置した画素部の画素電極30と黒着色層からなる額縁パターン32との間の領域を遮光する遮光部として機能させる。
【0029】補助容量配線18aを他の補助容量配線18よりも太くした場合、補助容量が増加してしまう。このような容量の増加を抑えるため、補助容量配線18aに、スリット状の開口35を設け、補助容量の均一化を図っている。
【0030】更に、図7および図8に示すように、表示領域40最外周の下端縁に沿って位置した画素部にダミー補助容量配線18bを形成する。このダミー補助容量配線18bは、通常の画素部に設けられている他の補助容量配線18よりも太く形成して額縁パターン32側に延在させ、後工程にて形成される表示領域40外周の下端縁に沿って位置した画素の画素電極と額縁パターン32との間の領域を遮光する遮光部として機能させる。
【0031】続いて、イオン注入やイオンドーピング法により、ゲート電極17aをマスクとして上述したチャネル層に不純物の注入を行い、図示しない画素TFTのソース電極およびドレイン電極、並びに図示しないNch型の回路TFTのソース電極およびドレイン電極を形成する。不純物の注入は、例えば加速電圧80keVで5×1015atoms/cmのドーズ量で、PH3/H2によりリンを高濃度注入した。
【0032】次に、図示しない画素TFT、および駆動回路領域のNch型の回路TFTには不純物が注入されないようにレジストで被覆した後、図示しないPch型の回路TFTのゲート電極をそれぞれマスクとして、加速電圧加速電圧80keVで5×1015atoms/cmのドーズ量で、B2PH6/H2によりボロンを高濃度注入し、Pch型の回路TFTのソース電極およびドレイン電極を形成する。
【0033】その後、図示しないNch型LDD(Light1y Doped Drain )を形成するための不純物注入を行い、基板をアニールすることにより不純物を活性化する。更に、例えばPECVD法を用いて絶縁基板11の全面にシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜23を500nm程度被着する。
【0034】続いて、フォトエッチング法により、図示しない画素TFTのソース電極に至るコンタクトホール、ドレイン電極に至るコンタクトホール、図示しない回路TFTのソース電極およびドレイン電極に至るコンタクトホールをそれぞれ層間絶縁膜23に形成する。
【0035】次に、層間絶縁膜23上にTa、Cr、Al、Mo、W、Cuなどの単体又はその積層膜あるいは合金膜を500nm程度被着し、フォトエングレイビング法により所定の形状にパターニングして、画素TFTのドレイン電極に接続された信号線14、画素TFTのソース電極に接続された補助容量の上部電極15、および図示しない液晶駆動回路領域内の回路TFTの各種の配線16等を形成する。
【0036】この際、図4および図5に示すように、表示領域40最外周の上端縁に沿って位置した画素部の補助容量配線18aに設けられたスリット状の開口35と対向する位置に、この開口35よりも大きな面積の遮光ランド36を形成する。
【0037】また、図3および図5に示すように表示領域40最外周の右端縁に沿って位置した画素部の信号線14aを他の画素部の信号線14よりも太く形成して額縁パターン32側へ延在させ、後工程にて形成される表示領域40最外周の右端縁に沿って位置した画素部の画素電極と額縁パターン32との間の領域を遮光する遮光部として機能させる。
【0038】更に、図6および図8に示すように、表示領域40最外周の左端縁に沿って位置した画素部にダミー信号線14bを形成する。このダミー信号線14bは、通常の画素部に設けられている他の信号線14よりも太く形成して額縁パターン32側に延在させ、後工程にて形成される表示領域40最外周の左端縁に沿って位置した画素部の画素電極と額縁パターン32との間の領域を遮光する遮光部として機能させる。
【0039】次に、PECVD法により絶縁基板11の全面にSiNxからなる保護絶縁膜24を成膜し、フォトエングレイビング法により、それぞれ上部電極15に至るコンタクトホールを形成する。
【0040】続いて、紫外線硬化型アクリル系緑色レジスト液を、絶縁基板11上にスピンナ塗布により2μm程度の膜厚で塗布する。その後、約90℃で約5分間プリベークし、所定のマスクパターンを用いて、150mJ/cmの強度の紫外線により露光する。ここで用いるフォトマスクパターンは、緑色着色層25Gに対応するストライプ形状パターンと、画素電極30と上部電極15とを接続するためのコンタクトホール26として直径15μmの円形パターンと、を有している。
【0041】続いて、約0.1重量%のTMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)水溶液を用いて約60秒間現像し、更に水洗い後、約20℃で1時間ほどポストベークすることによって、コンタクトホール26を有する緑色着色層25Gを形成した。
【0042】次に、青色着色層25B、赤色着色層25Rを同様の工程にて形成する。この際、緑色着色層25Gのパターン端が青色着色層25Bや赤色着色層25Rによって覆われる構成とした。これは、上記のように、各着色層を加工する際に用いる露光マスクを適合するように作製することで達成される。
【0043】この際、図3ないし図8に示すように、表示領域40最外周の上下左右端縁に沿って位置した画素部に配置する各着色層を、他の画素部の着色層よりも額縁パターン32側に延在させて延出部27を形成し、後工程で形成する額縁パターン32との間に隙間が生じないようにする。
【0044】次に、3〜6μm程度の黒色着色層により表示領域40の外側に位置した額縁パターン32、および複数の柱状ペーサ31を形成する。続いて、図9に示すように、着色層25R、25G、25B、および額縁パターン32上にスパッタリング法によりインジウム・すず酸化物(ITO)38を堆積し、更に、ITOに重ねてレジスト42を形成した後、フォトリソグラフィーによりレジスト40をパターニングし、所望のエッチング材料によりパターン形成する。そして、レジスト42を用いてITO38をパターニングすることにより、それぞれ着色層上に位置した画素電極30を形成する。
【0045】この場合、表示領域40の最外周に沿って位置した画素部の着色層は、他の画素部の着色層よりも額縁パターン32側に延在した延出部27を有していることから、表示領域40の最外周に位置した画素部の画素電極30と額縁パターン32とは10μm以上、望ましくは20μm以上離れている。そのため、着色層と額物パターン32と間の段差部でレジスト40の膜厚が厚くなった場合でも、画素電極30はこの部分から離間しているため影響を受けることがなく、画素電極のパターニング不良発生を防止することができる。
【0046】その後、ポリイミドからなる配向膜材料を絶縁基板11全面に塗布し、配向処理を施して配向膜13を形成する。これにより、カラーフィルタを有するアレイ基板12を得ることができる。
【0047】一方、透明絶縁基板21上にスパッタ法によりITOを約100nmの厚さに堆積して対向電極22を形成し、続いてポリイミドからなる配向膜材料を基板全面に塗布し、配向処理を施して配向膜13を形成することにより、対向基板20を得る。
【0048】このようにして形成された対向基板20の外周縁部に、液晶注入口35を除いてシール材19を塗布する。この対向基板20、およびカラーフィルタの設けられたアレイ基板12をシール材19により貼り合わせることにより、空状態のセルが完成する。
【0049】次に、カイラル材が添加されたネマティック液晶材料を、液晶注入口35からセル内に真空注入し、注入後、液晶注入口35を封止材34としての紫外線硬化樹脂を用いて封止する。その後、セルの両側にそれぞれ偏光板を貼付することにより、液晶表示装置が完成する。
【0050】このように構成された液晶表示装置によれば、表示領域40の最外周に沿って位置した画素部の着色層は、他の画素部の着色層よりも額縁パターン32側に延在し延出部27を構成していることから、表示領域40の最外周に位置した画素部の画素電極30と額縁パターン32との間に10μm以上、望ましくは20μm以上の隙間を形成することができる。そのため、表示領域40の最外周に位置した画素部においても、画素電極30の下地を平坦化でき、着色層と額物パターン32と間の段差部でレジストの膜厚が厚くなった場合でも、画素電極がこの部分の影響を受けることがなく、画素電極のパターニング不良発生を防止することができる。従って、表示領域周辺部に点欠点の塊がなく、良好な表示性能を有した液晶表示装置を得ることができる。
【0051】また、表示領域40の最外周に位置した画素部の画素電極30と額縁パターン32との隙間の下方に設けられている補助容量配線18a、ダミー補助容量配線18b、信号線14a、およびダミー信号線14bは、他の補助容量配線あるいは他の信号線よりもそれぞれ太く形成され額縁パターン32側に延在しているため、上記隙間を遮蔽し、バックライトの漏洩を防止することができる。
【0052】この場合、対向基板上に遮光層を設けてもよいが、アレイ基板上に遮光性金属層を着色層下に配置して遮光した方が、工程数が少なく液晶表示装置を安価に製造することが可能となる。
【0053】更に、他の補助容量配線18よりも太く形成した補助容量配線18aに開口35を設けることにより、補助容量の増加を抑制し、補助容量の均一化を図ることができる。この最、開口35に重ねて遮蔽ランド36を設けていることから、光の漏洩を防止することができる。
【0054】図10に示す第2の実施の形態に係る液晶表示装置によれば、アレイ基板12の補助容量配線18は各画素の中央部に設けられ、代わって、走査線17が各画素の下端部に沿って設けられている。そして、図10R>0(a)に示すように、表示領域40の下端縁に沿って設けられた画素部の走査線17bは、通常の画素に設けられている他の走査線17よりも太く形成され額縁パターン32側に延在している。これにより、表示領域40外周の上端縁に沿って位置した画素の画素電極30と黒着色層からなる額縁パターン32との隙間を遮光している。
【0055】また、図10(b)に示すように、表示領域40外周の上端縁に沿ってダミー走査線17cが設けられている。このダミー走査線17cは、通常の画素に設けられている他の走査線17よりも太く形成され額縁パターン32側に延在している。これにより、表示領域40外周の下端縁に沿って位置した画素の画素電極30と額縁パターン32との隙間を遮光している。
【0056】他の構成は前述した実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、上記第2の実施の形態においても、前述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】上述した実施の形態では、表示領域40の最外周に沿って位置した画素部の着色層を、他の画素部の着色層よりも額縁パターン32側に延在させて延出部27を構成しているが、図11に示すように、延在部27は、表示領域40の最外周の各画素部に配置した着色層と額縁パターン32との間に設けられた、枠状の着色層50によって構成してもよい。この場合、着色層50としては、赤色、青色、緑色のいずれでも、また、複数色の組合わせでもよい。
【0058】他の構成は前述した実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、上記第2の実施の形態においても、前述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0059】その他、この発明は上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、前述した実施の形態では、額縁パターン32および柱状スペーサ31を黒色着色層のみで形成したが、これらは、着色層を2色または3色重ねて形成してもよい。
【0060】また、上記実施の形態では、黒色着色層により額縁パターン32および柱状スペーサ31を形成した後、ITO38を成膜し画素電極30を形成したが、画素電極を形成した後に、額縁パターンおよび柱状スペーサを形成するようにしてもよい。この場合、RGB着色層の最外周縁部でレジストに膜厚が薄くなるが、最外周の着色層は延出部を備えていることから、レジストの不均一部に影響されることなく、最外周の画素電極を所望の形状に形成することができる。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば、表示領域の最外周に位置した画素部の着色層と額縁パターンとの間に着色層からなる延出部を設けることにより、着色層と額縁パターンとの段差部分を画素電極から離して配置する事ができるため、段差部によるレジスト膜厚変動の影響を無くし、画素電極の良好なパターン形成が行える。さらに、着色層を延在させた領域を、液晶表示素子を構成するアレイ基板側の金属配線等によって遮光する事により、対向基板側からブラックマトリックスを削除でき安価な液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るアクティブマトリクス型の液晶表示装置を示す斜視図。
【図2】上記液晶表示装置の平面図。
【図3】図2および図5の線A−Aに沿った断面図。
【図4】図2および図5の線B−Bに沿った断面図。
【図5】図2の(1)部分を拡大して示すアレイ基板の平面図。
【図6】図2および図8の線C−Cに沿った断面図。
【図7】図2および図8の線D−Dに沿った断面図。
【図8】図2の(2)部分を拡大して示すアレイ基板の平面図。
【図9】上記液晶表示装置の製造工程において、レジスト層を形成した状態におけるアレイ基板の断面図。
【図10】この発明の第2の実施の形態に係る液晶表示装置のアレイ基板を示す平面図。
【図11】この発明の第3の実施の形態に係る液晶表示装置のアレイ基板を示す平面図。従来の液晶表示装置における平面図及び縦断面図。
【符号の説明】
10…液晶表示装置
11…ガラス基板
12…アレイ基板
13…配向膜
14…信号線
14a…最外周部信号線
14b…ダミー信号線
15…上部電極
16…液晶駆動回路用配線
17…走査線
17a…ゲート電極
17b…最外周部走査線線
17c…ダミー走査線
18…補助容量配線
18a…ダミー補助容量配線
20…対向基板
21…対向側ガラス基板
22…対向電極
23…層間絶縁膜
24…保護絶縁膜
25R、25G、25B…着色層
26…コンタクトホール
30…画素電極
31…柱状スペーサ
32…額縁パターン
34…封止材
40…表示領域
42…レジスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】基板の一主面上に互いに平行に設けられた複数の第1配線と、上記第1配線と交差して設けられた互いに平行な複数の第2配線と、上記第1および第2配線の交差部毎に配置されたスイッチング素子と、上記第1配線、第2配線、およびスイッチング素子の少なくとも一部を覆うように配置された複数色の着色層と、上記第1および第2配線で囲まれた領域で、かつ、上記着色層上に重ねて配置されているとともに上記スイッチング素子にそれぞれ接続され、それぞれ画素部を形成した複数の画素電極と、を有した表示領域と、上記基板の一主面上で上記表示領域を囲んで設けられ、上記着色層よりも厚い膜厚と高い遮光性を有し、上記表示領域周縁の光漏れを防止する額縁パターンと、を備えたアレイ基板と、上記アレイ基板と対向して配置された対向基板と、上記アレイ基板と上記対向基板との間に設けられ、上記アレイ基板と上記対向基板との間に所定の隙間を保持した複数の柱状スペーサと、上記アレイ基板と上記対向基板との間に挟持された液晶層と、を具備し、上記表示領域の最外周に沿って位置した各画素部の上記着色層と上記額縁パターンとの間に、着色層からなる延出部が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】上記表示領域の最外周に沿って位置した画素部を構成する着色層は、他の画素部を構成する着色層よりも上記額縁パターン側に延在し、それぞれ上記延出部を形成していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】上記延出部は、上記表示画素領域の外周に沿って枠状に形成された着色層により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】上記第1および第2配線の内、上記表示領域の最外周に沿って位置した第1配線および第2配線は、上記延出部に重ねて配置され延出部を遮光していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】上記第1および第2配線の内、上記表示領域の最外周に沿って位置した第1配線および第2配線は、他の配線よりも太く形成され、上記延出部を遮光していることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】上記第1配線は遮光性金属からなる信号線を有し、上記第2配線は遮光性金属からなる補助容量配線を有していることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】上記補助容量配線の内、上記表示領域の最外周に沿って位置した補助容量配線は、他の補助容量配線よりも太く形成されているとともに、他の補助容量配線と補助容量を一致させるための開口部を有していることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】上記第1配線は遮光性金属からなる信号線を有し、上記第2配線は遮光性金属からなる走査線を有していることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項9】上記延出部と上記額縁パターンとは隙間無く設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】上記表示領域の最外周に沿って位置した各画素部の画素電極と上記額縁パターンとの間隔は、10μm以上であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】上記表示領域の最外周に沿って位置した各画素部の画素電極と上記額縁パターンとの間隔は、20μm以上であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2001−142060(P2001−142060A)
【公開日】平成13年5月25日(2001.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−324265
【出願日】平成11年11月15日(1999.11.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221339)東芝電子エンジニアリング株式会社 (238)
【Fターム(参考)】