説明

液晶表示装置

【課題】表示品位の良好な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1波長範囲の光を透過する第1カラーフィルタCF1と、第1波長範囲よりも長波長の第2波長範囲の光を透過する第2カラーフィルタCF2と、前記第2カラーフィルタの上に配置された第1スイッチング素子SW1と、前記第2カラーフィルタの上に配置された第2スイッチング素子SW2と、前記第1スイッチング素子と電気的に接続され、前記第1カラーフィルタの上方に位置する第1画素電極PE1と、前記第2スイッチング素子と電気的に接続され、前記第2カラーフィルタの上方に位置する第2画素電極PE2と、を備えたアレイ基板を具備することを特徴とする液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置が盛んに開発されており、中でも液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力等の利点から特に注目を集めている。特に、各画素にスイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)を組み込んだアクティブマトリクス型液晶表示装置においては、透過型の液晶表示パネルと、バックライトとを組み合わせた構成がある。
【0003】
スイッチング素子として、ポリシリコン半導体層を備えたトップゲート型ポリシリコンTFTを適用した構成においては、バックライトの高輝度化に伴い、オフ電流の増加が問題となっている。すなわち、ポリシリコン半導体層がバックライト光を吸収することにより、TFTのドレイン電流が増加する。このドレイン電流の増加は、TFTがオフの状態で顕著に現れ、光リーク電流と呼ばれる。近年では、画面の高輝度化の要求により、バックライトの輝度を増加させる傾向にあり、これに伴い光リーク電流の増加によりクロストークやフリッカーなどによって表示品位に悪影響を及ぼす恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平8−508114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、
第1波長範囲の光を透過する第1カラーフィルタと、第1波長範囲よりも長波長の第2波長範囲の光を透過する第2カラーフィルタと、前記第2カラーフィルタの上に配置された第1スイッチング素子と、前記第2カラーフィルタの上に配置された第2スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子と電気的に接続され、前記第1カラーフィルタの上方に位置する第1画素電極と、前記第2スイッチング素子と電気的に接続され、前記第2カラーフィルタの上方に位置する第2画素電極と、を備えたアレイ基板を具備することを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0007】
本実施形態によれば、
絶縁基板と、前記絶縁基板上に配置された第1半透過層と、前記第1半透過層上に配置されるとともに、第1膜厚の第1透過層、第1膜厚とは異なる第2膜厚の第2透過層、及び、第1膜厚及び第2膜厚とは異なる第3膜厚の第3透過層と、前記第1透過層上に配置され第1波長範囲の光を透過する第1カラーフィルタを構成し、前記第2透過層上に配置され第1波長範囲よりも長波長の第2波長範囲の光を透過する第2カラーフィルタを構成し、前記第3透過層上に配置され第2波長範囲よりも長波長の第3波長範囲の光を透過する第3カラーフィルタを構成する第2半透過層と、前記第2カラーフィルタまたは前記第3カラーフィルタを構成する前記第2半透過層上に配置された第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、及び、第3スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子と電気的に接続され、前記第1カラーフィルタの上方に位置する第1画素電極と、前記第2スイッチング素子と電気的に接続され、前記第2カラーフィルタの上方に位置する第2画素電極と、前記第3スイッチング素子と電気的に接続され、前記第3カラーフィルタの上方に位置する第3画素電極と、を備えたアレイ基板を具備することを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【0008】
本実施形態によれば、
絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成され青色波長の光を前記絶縁基板側に反射する誘電体膜積層体と、前記誘電体膜積層体上に配置されたシリコン半導体層を備えたトップゲート型の薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと電気的に接続された画素電極と、を備えたアレイ基板と、前記アレイ基板に対向配置された対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に保持された液晶層と、を備えたことを特徴とする液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶表示パネルの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【図3】図3は、図2に示した液晶表示パネルの断面構造を概略的に示す図である。
【図4】図4は、第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタ、及び、第3カラーフィルタを構成する5層構造の誘電体膜積層体を概略的に示す断面図である。
【図5】図5は、第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタ、及び、第3カラーフィルタを構成する7層構造の誘電体膜積層体を概略的に示す断面図である。
【図6】図6は、第1カラーフィルタ、第2カラーフィルタ、及び、第3カラーフィルタを構成する9層構造の誘電体膜積層体を概略的に示す断面図である。
【図7】図7は、バックライトの発光スペクトルと、本実施形態のカラーフィルタの反射スペクトルとの関係の一例を示す図である。
【図8】図8は、各画素のスイッチング素子における光リーク量と誘電体膜積層体の積層数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本実施形態における液晶表示装置の構成を概略的に示す図である。
【0012】
すなわち、液晶表示装置1は、アクティブマトリクスタイプの透過型の液晶表示パネルLPN、液晶表示パネルLPNに接続された駆動ICチップ2及びフレキシブル配線基板3、液晶表示パネルLPNを照明するバックライト4などを備えている。
【0013】
液晶表示パネルLPNは、アレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された対向基板CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された図示しない液晶層と、を備えている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数である)。
【0014】
バックライト4は、アレイ基板ARの背面側に配置されている。このようなバックライト4としては、光源として発光ダイオード(LED)を備えたものや冷陰極管(CCFL)を備えたものなどが適用されるが、詳細な構造については説明を省略する。
【0015】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNの構成及び等価回路を概略的に示す図である。
【0016】
アレイ基板ARは、アクティブエリアACTにおいて、複数のゲート配線G(G1〜Gn)、複数の補助容量線C(C1〜Cn)、複数のソース配線S(S1〜Sm)などを備えている。各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。
【0017】
各画素PXは、アレイ基板ARに配置されたスイッチング素子SW及び画素電極PEや、対向電極CEなどを備えている。スイッチング素子SWは、ゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。対向電極CEは、液晶層LQを介して複数の画素電極PEに対して共通に形成されている。この対向電極CEは、給電部VSと電気的に接続されている。
【0018】
本実施形態において、対向電極CEは、アレイ基板ARに配置されても良いし、対向基板CTに配置されても良い。対向電極CEが画素電極PEとともにアレイ基板ARに配置された構成の液晶表示パネルLPNでは、これらの画素電極PEと対向電極CEとの間に形成される横電界を主に利用して液晶層LQを構成する液晶分子をスイッチングする。また、対向電極CEが対向基板CTに配置された構成の液晶表示パネルLPNでは、これらの画素電極PEと対向電極CEとの間に形成される縦電界あるいは斜め電界を主に利用して液晶層LQを構成する液晶分子をスイッチングする。
【0019】
図3は、図2に示した液晶表示パネルLPNの断面構造を概略的に示す図である。なお、ここでは、青色を表示する第1画素PX1、緑色を表示する第2画素PX2、及び、赤色を表示する第3画素PX3の断面構造を示している。
【0020】
すなわち、第1画素PX1は、第1カラーフィルタCF1、第1スイッチング素子SW1、第1画素電極PE1などを備えている。第2画素PX2は、第2カラーフィルタCF2、第2スイッチング素子SW2、第2画素電極PE2などを備えている。第3画素PX3は、第3カラーフィルタCF3、第3スイッチング素子SW3、第3画素電極PE3などを備えている。
【0021】
アレイ基板ARは、ガラス基板などの光透過性を有する第1絶縁基板10を用いて形成されている。第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3は、第1絶縁基板10の上に配置されている。第1カラーフィルタCF1は、青色波長を含む第1波長範囲(例えば、400nm〜500nmの波長範囲)の光を透過する。第2カラーフィルタCF2は、第1波長範囲よりも長波長の緑色波長を含む第2波長範囲(例えば、500nm〜580nmの波長範囲)の光を透過する。第3カラーフィルタCF3は、第2波長範囲よりも長波長の赤色波長を含む第3波長範囲(例えば、580nm〜700nmの波長範囲)の光を透過する。
【0022】
これらの第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3は、透過させる波長範囲以外の波長は主に反射する。第1カラーフィルタCF1は、第2波長範囲及び第3波長範囲での反射率が第1波長範囲での反射率よりも高い。第2カラーフィルタCF2は、第1波長範囲及び第3波長範囲での反射率が第2波長範囲での反射率よりも高い。第3カラーフィルタCF1は、第1波長範囲及び第2波長範囲での反射率が第3波長範囲での反射率よりも高い。
【0023】
後に詳述するが、本実施形態で適用するバックライト4は、その発光スペクトルが第1波長範囲に発光ピーク(約450nm)を有している。第2カラーフィルタCF2及び第3カラーフィルタCF3は、バックライト4の発光ピークである450nm付近での反射率が第2波長範囲及び第3波長範囲での反射率よりも高い反射率特性を有している。
【0024】
図示した例では、第1カラーフィルタCF1は、第1スイッチング素子SW1の下層を除いて第1画素PX1に対応して配置されている。第2カラーフィルタCF2は、第2スイッチング素子SW2の下層を除いて第2画素PX2に対応して配置されている。第3カラーフィルタCF3は、第3画素PX2に対応して配置されている。また、この第3カラーフィルタCF3は、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2、及び、第3スイッチング素子SW3の下層にも配置されている。なお、図示した例では、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2、及び、第3スイッチング素子SW3の下地として、第3カラーフィルタCF3を適用したが、第1波長範囲の光を反射する第2カラーフィルタCF2を適用しても良い。
【0025】
このような第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3は、光吸収型のもの(例えば、着色樹脂からなるもの)でも良いが、図示した例では、光干渉の原理を利用したファブリ・ペロー型フィルタを採用している。すなわち、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3は、屈折率の異なる複数の薄膜を積層することによって構成され、第1絶縁基板10の内面10Aに配置された第1半透過層31、第1半透過層31に対向する第2半透過層32、及び、第1半透過層31と第2半透過層32との間に配置された透過層(あるいはスペーサ層)33を備えている。
【0026】
より具体的には、第1半透過層31及び第2半透過層32は、それぞれ第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3に共通に設けられている。このような第1半透過層31及び第2半透過層32は、銀(Ag)などを数十nmオーダの膜厚で形成した金属薄膜であっても良いし、屈折率の異なる複数の誘電体膜を積層した構成であっても良い。一例として、第1半透過層31及び第2半透過層32は、それぞれシリコン窒化物(SiN)層と、シリコン酸化物(SiO)層とを交互に積層した積層体によって形成可能である。このような積層体における誘電体膜の積層数は、2層以上であるが、層数が増えるほど、製造工程が増加し製造コストの増加を招くため、4層以下程度とすることが望ましい。
【0027】
透過層33は、単一の誘電体膜であり、シリコン窒化物層、または、シリコン酸化物層によって形成可能である。この透過層33は、膜厚の異なる第1透過層331、第2透過層332、及び、第3透過層333を含んでいる。
【0028】
第1カラーフィルタCF1は、第1半透過層31と第2半透過層32との間に配置される透過層33として、第1膜厚T1の第1透過層331を備えている。第2カラーフィルタCF2は、第1半透過層31と第2半透過層32との間に配置される透過層33として、第1膜厚T1とは異なる第2膜厚T2の第2透過層332を備えている。第3カラーフィルタCF3は、第1半透過層31と第2半透過層32との間に配置される透過層33として、第1膜厚T1及び第2膜厚T2とは異なる第3膜厚T3の第3透過層333を備えている。これらの第1透過層331、第2透過層332、及び、第3透過層333は、それぞれ膜厚が異なるものの、互いに繋がっている。
【0029】
第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2、及び、第3スイッチング素子SW3は、いずれもトップゲート型の薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、実質的に同一構成である。ここでは、第1スイッチング素子SW1についてより具体的に説明し、第2スイッチング素子SW2及び第3スイッチング素子SW3の構成についての説明は省略する。
【0030】
すなわち、第1スイッチング素子SW1は、第3カラーフィルタCF3の上(厳密には第2半透過層32の上)に配置されたシリコン半導体層SCを備えている。シリコン半導体層は、ポリシリコンによって形成されているが、アモルファスシリコンによって形成される場合もありうる。このシリコン半導体層SCは、第1絶縁膜11によって覆われている。また、この第1絶縁膜11は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3を覆っている。
【0031】
第1スイッチング素子SW1のゲート電極WGは、第1絶縁膜11の上に形成され、シリコン半導体層SCの直上に位置している。このゲート電極WGは、図示しないゲート配線に電気的に接続され、第2絶縁膜12によって覆われている。また、この第2絶縁膜12は、第1絶縁膜11の上にも配置されている。
【0032】
第1スイッチング素子SW1のソース電極WS及びドレイン電極WDは、第2絶縁膜12の上に形成されている。ソース電極WSは、図示しないソース配線に電気的に接続されている。これらのソース電極WS及びドレイン電極WDは、それぞれ第1絶縁膜11及び第2絶縁膜12を貫通するコンタクトホールを通してシリコン半導体層SCにコンタクトしている。
【0033】
このような構成の第1スイッチング素子SW1は、第3絶縁膜13によって覆われている。同様に、第2スイッチング素子SW2及び第3スイッチング素子SW3も第3絶縁膜13によって覆われている。また、この第3絶縁膜13は、第2絶縁膜12の上にも配置されている。
【0034】
第1画素電極PE1は、第3絶縁膜13の上に形成され、第1カラーフィルタCF1の上方に位置している。この第1画素電極PE1は、第3絶縁膜13を貫通するコンタクトホールを介して第1スイッチング素子SW1のドレイン電極WDに電気的に接続されている。
【0035】
同様に、第2画素電極PE2は、第3絶縁膜13の上に形成され、第2カラーフィルタCF2の上方に位置している。この第2画素電極PE2は、第2スイッチング素子SW2のドレイン電極WDに電気的に接続されている。同様に、第3画素電極PE3は、第3絶縁膜13の上に形成され、第3カラーフィルタCF3の上方に位置し、第3スイッチング素子SW3のドレイン電極WDに電気的に接続されている。
【0036】
このような第1画素電極PE1、第2画素電極PE2、及び、第3画素電極PE3は、光透過性を有する導電材料、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などによって形成されている。これらの第1画素電極PE1、第2画素電極PE2、及び、第3画素電極PE3は、第1配向膜AL1によって覆われている。
【0037】
対向基板CTは、ガラス基板などの光透過性を有する第2絶縁基板20を用いて形成されている。対向基板CTは、第2絶縁基板20のアレイ基板ARと対向する内面20AにブラックマトリクスBMを備えている。このブラックマトリクスBMは、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2、第3スイッチング素子SW3や、ソース配線、ゲート配線、補助容量線などの配線部に対向するように配置されている。
【0038】
図示した例では、対向基板CTは、第2絶縁基板20の内面20Aに、第1着色層CF11、第2着色層CF12、及び、第3着色層CF13を備えているが、省略しても良い。第1着色層CF11は、第1波長範囲の光を透過する着色樹脂(例えば、青色樹脂)によって形成されている。第2着色層CF12は、第2波長範囲の光を透過する着色樹脂(例えば、緑色樹脂)によって形成されている。第3着色層CF13は、第3波長範囲の光を透過する着色樹脂(例えば、赤色樹脂)によって形成されている。
【0039】
また、図示した例では、対向基板CTは、第1着色層CF11、第2着色層CF12、及び、第3着色層CF13のアレイ基板ARと対向する面に、対向電極CEを備えている。なお、上記の通り、この対向電極CEはアレイ基板ARに備えられても良い。このような対向電極CEは、例えば、ITOやIZOなどの光透過性を有する導電材料によって形成されている。対向基板CTのアレイ基板ARと対向する面は、第2配向膜AL2によって覆われている。
【0040】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、それぞれの第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が対向するように配置されている。このとき、アレイ基板ARと対向基板CTとの間には、例えば、樹脂材料によって一方の基板に一体的に形成された柱状スペーサが配置され、所定のセルギャップ、例えば2〜7μmのセルギャップが形成される。
【0041】
液晶層LQは、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に形成されたセルギャップに保持され、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に配置されている。
【0042】
アレイ基板ARを構成する第1絶縁基板10の外面10Bには、第1偏光板PL1などを含む第1光学素子OD1が配置されている。この第1光学素子OD1は、液晶表示パネルLPNのバックライト4と対向する側に位置しており、バックライト4から液晶表示パネルLPNに入射する入射光の偏光状態を制御する。
【0043】
対向基板CTを構成する第2絶縁基板20の外面20Bには、第2偏光板PL2などを含む第2光学素子OD2が配置されている。この第2光学素子OD2は、液晶表示パネルLPNの表示面側に位置しており、液晶表示パネルLPNから出射した出射光の偏光状態を制御する。
【0044】
このような構成によれば、バックライト4から放射されたバックライト光のうち、第1カラーフィルタCF1を経て第1画素電極PE1を通る光路の液晶表示パネルLPNからの透過光は青色(B)を呈し、第2カラーフィルタCF2を経て第2画素電極PE2を通る光路の液晶表示パネルLPNからの透過光は緑色(G)を呈し、第3カラーフィルタCF3を経て第3画素電極PE3を通る光路の液晶表示パネルLPNからの透過光は赤色(R)を呈する。なお、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3を透過しなかった光は、ほぼ全て反射され、バックライト4側に戻され、再利用される。すなわち、バックライト4は光源等を覆う高反射率面を有しており、バックライト4に向けて反射された反射光は、高反射率面においてほとんど光損失なく再度液晶表示パネルLPNに向けて反射される。このため、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3からの反射光は再利用され、光の利用効率を向上している。
【0045】
次に、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3のより具体的な構成例について説明する。
【0046】
図4は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3を構成する5層構造の誘電体膜積層体41を概略的に示す断面図である。
【0047】
すなわち、誘電体膜積層体41は、第1絶縁基板10の内面10Aに配置された第1シリコン窒化物層311と、第1シリコン窒化物層311上に積層された第1シリコン酸化物層312と、第1シリコン酸化物層312上に積層された第2シリコン窒化物層33と、第2シリコン窒化物層33上に積層された第2シリコン酸化物層321と、第2シリコン酸化物層321上に積層された第3シリコン窒化物層322と、によって構成されている。
【0048】
第1シリコン窒化物層311及び第1シリコン酸化物層312は、第1半透過層31として機能する。第2シリコン窒化物層33は、透過層33として機能する。第2シリコン酸化物層321及び第3シリコン窒化物層322は、第2半透過層32として機能する。つまり、第1半透過層31及び第2半透過層32は、それぞれ2層の誘電体の積層体である。
【0049】
第1絶縁基板10は、ガラス基板であり、可視光波長範囲における屈折率は約1.5である。第1シリコン窒化物層311、第2シリコン窒化物層33、及び、第3シリコン窒化物層322は、例えばSiNからなり、可視光波長範囲における屈折率は2.0から2.7程度である。つまり、第1シリコン窒化物層311、第2シリコン窒化物層33、及び、第3シリコン窒化物層322は、第1絶縁基板10よりも高屈折率の高屈折率層として機能する。第1シリコン酸化物層312及び第2シリコン酸化物層321は、例えばSiOからなり、可視光波長範囲における屈折率は約1.5である。つまり、第1シリコン酸化物層312及び第2シリコン酸化物層321は、高屈折率層よりも低屈折率の低屈折率層として機能する。
【0050】
第1シリコン窒化物層311及び第3シリコン窒化物層322は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3の各々において同一膜厚であり、例えば60nmの膜厚を有している。第1シリコン酸化物層312及び第2シリコン酸化物層321は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3の各々において同一膜厚であり、例えば90nmの膜厚を有している。つまり、第1半透過層31及び第2半透過層32を構成する低屈折率層は高屈折率層よりも厚い。
【0051】
第2シリコン窒化物層33は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3の各々において膜厚が異なる。一例として、第1カラーフィルタCF1において第2シリコン窒化物層33の膜厚は約85nmであり、第2カラーフィルタCF2において第2シリコン窒化物層33の膜厚は約115nmであり、第3カラーフィルタCF3において第2シリコン窒化物層33の膜厚は約150nmである。
【0052】
このような構成の誘電体膜積層体41からなる第1カラーフィルタCF1は、470nm付近に透過率ピークを有し、また、同波長付近に反射率ボトムを有する。同様に、第2カラーフィルタCF2は、540nm付近に透過率ピークを有し、また、同波長付近に反射率ボトムを有する一方で、同波長以外の波長範囲で高反射率となる。同様に、第3カラーフィルタCF3は、610nm付近に透過率ピークを有し、また、同波長付近に反射率ボトムを有する一方で、同波長以外の波長範囲で高反射率となる。
【0053】
第2カラーフィルタCF2あるいは第3カラーフィルタCF3の第3シリコン窒化物層322は、シリコン半導体層の下地となる。シリコン半導体層は、短波長での光吸収係数が高い。一方で、液晶表示パネルに組み合わせられるバックライトは、比較的短波長の光強度が高い発光スペクトルを有している。上記の通り、シリコン半導体層の下層に配置される第2カラーフィルタCF2あるいは第3カラーフィルタCF3は、短波長の波長範囲で比較的高い反射率を有しているため、シリコン半導体層での光吸収を抑制することが可能となる。したがって、このようなシリコン半導体層を備えたスイッチング素子では、光リーク電流を低減することが可能となる。これにより、クロストークやフリッカーなどの発生が抑制され、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0054】
図5は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3を構成する7層構造の誘電体膜積層体42を概略的に示す断面図である。
【0055】
すなわち、誘電体膜積層体42は、第1絶縁基板10の内面10Aに配置された第1シリコン窒化物層311と、第1シリコン窒化物層311上に積層された第1シリコン酸化物層312と、第1シリコン酸化物層312上に積層された第2シリコン窒化物層313と、第2シリコン窒化物層313上に積層された第2シリコン酸化物層33と、第2シリコン酸化物層33上に積層された第3シリコン窒化物層321と、第3シリコン窒化物層321上に積層された第3シリコン酸化物層322と、第3シリコン酸化物層322上に積層された第4シリコン窒化物層323と、によって構成されている。
【0056】
第1シリコン窒化物層311、第1シリコン酸化物層312、及び、第2シリコン窒化物層313は、第1半透過層31として機能する。第2シリコン酸化物層33は、透過層33として機能する。第3シリコン窒化物層321、第3シリコン酸化物層322、及び、第4シリコン窒化物層323は、第2半透過層32として機能する。つまり、第1半透過層31及び第2半透過層32は、それぞれ3層の誘電体の積層体である。
【0057】
第1シリコン窒化物層311、第2シリコン窒化物層313、第3シリコン窒化物層321、及び、第4シリコン窒化物層323は、例えばSiNからなり、高屈折率層(可視光波長範囲における屈折率は2.0から2.7程度である)として機能する。第1シリコン酸化物層312、第2シリコン酸化物層33、及び、第3シリコン酸化物層322は、例えばSiOからなり、低屈折率層(可視光波長範囲における屈折率は約1.5である)として機能する。
【0058】
第1シリコン窒化物層311、第2シリコン窒化物層313、第3シリコン窒化物層321、及び、第4シリコン窒化物層323は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3の各々において同一膜厚であり、例えば60nmの膜厚を有している。第1シリコン酸化物層312及び第3シリコン酸化物層322は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3の各々において同一膜厚であり、例えば90nmの膜厚を有している。
【0059】
第2シリコン酸化物層33は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3の各々において膜厚が異なる。一例として、第1カラーフィルタCF1において第2シリコン酸化物層33の膜厚は約130nmであり、第2カラーフィルタCF2において第2シリコン酸化物層33の膜厚は約180nmであり、第3カラーフィルタCF3において第2シリコン酸化物層33の膜厚は約30nmである。
【0060】
第2カラーフィルタCF2あるいは第3カラーフィルタCF3の第4シリコン窒化物層323は、シリコン半導体層の下地となる。
【0061】
このような構成の誘電体膜積層体42からなる第1カラーフィルタCF1は、470nm付近に透過率ピーク及び反射率ボトムを有するとともに、誘電体膜積層体41からなる第1カラーフィルタCF1と比較して透過率ピーク及び反射率ボトム付近での波長範囲が狭くなる一方で、高反射率の波長範囲がより広くなる。同様に、誘電体膜積層体42からなる第2カラーフィルタCF2は、540nm付近に透過率ピーク及び反射率ボトムを有するとともに、誘電体膜積層体41からなる第2カラーフィルタCF2と比較して透過率ピーク及び反射率ボトム付近での波長範囲が狭くなる一方で、高反射率の波長範囲がより広くなる。同様に、誘電体膜積層体42からなる第3カラーフィルタCF3は、610nm付近に透過率ピーク及び反射率ボトムを有するとともに、誘電体膜積層体41からなる第3カラーフィルタCF3と比較して透過率ピーク及び反射率ボトム付近での波長範囲が狭くなる一方で、高反射率の波長範囲がより広くなる。
【0062】
このように、誘電体膜積層体の積層数を増やすことにより、透過率ピーク付近の波長範囲が狭くなるため、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3のそれぞれの色純度を向上することが可能となる。また、シリコン半導体層の下層に配置される第2カラーフィルタCF2あるいは第3カラーフィルタCF3は、高反射率の波長範囲が拡大するため、シリコン半導体層での光吸収をさらに抑制することが可能となる。したがって、より表示品位の良好な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0063】
図6は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3を構成する9層構造の誘電体膜積層体43を概略的に示す断面図である。
【0064】
すなわち、誘電体膜積層体43は、第1絶縁基板10の内面10Aに配置された第1シリコン窒化物層311と、第1シリコン窒化物層311上に積層された第1シリコン酸化物層312と、第1シリコン酸化物層312上に積層された第2シリコン窒化物層313と、第2シリコン窒化物層313上に積層された第2シリコン酸化物層314と、第2シリコン酸化物層314上に積層された第3シリコン窒化物層33と、第3シリコン窒化物層33上に積層された第3シリコン酸化物層321と、第3シリコン酸化物層321上に積層された第4シリコン窒化物層322と、第4シリコン窒化物層322上に積層された第4シリコン酸化物層323と、第4シリコン酸化物層323上に積層された第5シリコン窒化物層324と、によって構成されている。
【0065】
第1シリコン窒化物層311、第1シリコン酸化物層312、第2シリコン窒化物層313、及び、第2シリコン酸化物層314は、第1半透過層31として機能する。第3シリコン窒化物層33は、透過層33として機能する。第3シリコン酸化物層321、第4シリコン窒化物層322、第4シリコン酸化物層323、及び、第5シリコン窒化物層324は、第2半透過層32として機能する。つまり、第1半透過層31及び第2半透過層32は、それぞれ4層の誘電体の積層体である。
【0066】
第1シリコン窒化物層311、第2シリコン窒化物層313、第3シリコン窒化物層33、第4シリコン窒化物層322、及び、第5シリコン窒化物層324は、例えばSiNからなり、高屈折率層(可視光波長範囲における屈折率は2.0から2.7程度である)として機能する。第1シリコン酸化物層312、第2シリコン酸化物層314、第3シリコン酸化物層321、及び、第4シリコン酸化物層323は、例えばSiOからなり、低屈折率層(可視光波長範囲における屈折率は約1.5である)として機能する。
【0067】
第1シリコン窒化物層311、第2シリコン窒化物層313、第4シリコン窒化物層322、及び、第5シリコン窒化物層324は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3の各々において同一膜厚であり、例えば60nmの膜厚を有している。第1シリコン酸化物層312、第2シリコン酸化物層314、第3シリコン酸化物層321、及び、第4シリコン酸化物層323は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3の各々において同一膜厚であり、例えば90nmの膜厚を有している。
【0068】
第3シリコン酸化物層33は、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3の各々において膜厚が異なる。一例として、第1カラーフィルタCF1において第3シリコン酸化物層33の膜厚は約80nmであり、第2カラーフィルタCF2において第3シリコン酸化物層33の膜厚は約115nmであり、第3カラーフィルタCF3において第3シリコン酸化物層33の膜厚は約30nmである。
【0069】
第2カラーフィルタCF2あるいは第3カラーフィルタCF3の第5シリコン窒化物層324は、シリコン半導体層の下地となる。
【0070】
このような構成の誘電体膜積層体43からなる第1カラーフィルタCF1は、470nm付近に透過率ピーク及び反射率ボトムを有するとともに、誘電体膜積層体42からなる第1カラーフィルタCF1と比較して透過率ピーク及び反射率ボトム付近での波長範囲が狭くなる一方で、高反射率の波長範囲がより広くなる。同様に、誘電体膜積層体43からなる第2カラーフィルタCF2は、540nm付近に透過率ピーク及び反射率ボトムを有するとともに、誘電体膜積層体42からなる第2カラーフィルタCF2と比較して透過率ピーク及び反射率ボトム付近での波長範囲が狭くなる一方で、高反射率の波長範囲がより広くなる。同様に、誘電体膜積層体43からなる第3カラーフィルタCF3は、610nm付近に透過率ピーク及び反射率ボトムを有するとともに、誘電体膜積層体42からなる第3カラーフィルタCF3と比較して透過率ピーク及び反射率ボトム付近での波長範囲が狭くなる一方で、高反射率の波長範囲がより広くなる。
【0071】
このため、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3のそれぞれの色純度をさらに向上することが可能となる。また、シリコン半導体層での光吸収をさらに抑制することが可能となる。したがって、より表示品位の良好な液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0072】
なお、第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3のそれぞれの反射スペクトルでの反射率ボトムの位置、あるいは、透過スペクトルでの透過率ピークの位置は、透過層33の膜厚を変えることによって調整が可能である。第1カラーフィルタCF1、第2カラーフィルタCF2、及び、第3カラーフィルタCF3の要求される性能と、光リーク耐性を考慮しながら、層数及び透過層の膜厚を決定することができる。
【0073】
図7は、バックライト4の発光スペクトルと、本実施形態のカラーフィルタの反射スペクトルとの関係の一例を示す図である。この図7では、横軸は波長(nm)であり、縦軸はバックライト4の光強度及びカラーフィルタの反射率である。これらの光強度及び反射率は、それぞれの最大値を1としたときの相対値である。
【0074】
ここに示したカラーフィルタの反射スペクトルは、第1絶縁基板上に第3カラーフィルタCF3を配置し、この第3カラーフィルタCF3の上にスイッチング素子のポリシリコン半導体層を50nmの膜厚で配置し、このポリシリコン半導体層を酸化シリコン(SiO)からなる80nmの膜厚の第1絶縁膜(ゲート絶縁膜)11で覆い、この第1絶縁膜の上にモリブデン(Mo)からなる300nmの膜厚のゲート電極を配置したモデルについて、第1絶縁基板10側から入射した光の第1絶縁基板10側での反射率を計算したものである。
【0075】
図中において、「BL強度」とはバックライト4の発光スペクトルである。第3カラーフィルタCF3の構成としては、図4に示した5層構造の誘電体膜積層体41を適用した場合(図中の「TFT on 5層CF3」)、図5に示した7層構造の誘電体膜積層体42を適用した場合(図中の「TFT on 7層CF3」)、図6に示した9層構造の誘電体膜積層体43を適用した場合(図中の「TFT on 9層CF3」)のそれぞれの反射スペクトルを図示している。比較例として、スイッチング素子の下層に第3カラーフィルタを配置する代わりにアンダーコート層(SiN/SiO)のみを配置した場合(図中の「TFT/UC」)の反射スペクトルを図示している。
【0076】
図示したように、バックライト4の発光スペクトルは450nm付近に発光ピークを有しているのに対して、比較例である「TFT/UC」の反射スペクトルでは波長450nmにおける反射率が極めて低いことが分かる。一方で、本実施形態である「TFT on 5層CF3」の反射スペクトルは、450nm付近で50%程度の反射率を有している。また、「TFT on 7層CF3」の反射スペクトルは、450nm付近で70%程度の反射率を有している。また、「TFT on 8層CF3」の反射スペクトルは、450nm付近で80%程度の反射率を有している。このように、誘電体膜積層体の積層数が増えるほど、特定波長(ここでは450nm)付近の光に対する反射率が増加することが確認された。
【0077】
なお、図示しないが、発明者は、スイッチング素子の下層に第2カラーフィルタCF2を配置した場合についても同様の計算を行い、450nm付近で50%以上の反射率が得られること、さらには、第2カラーフィルタCF2を構成する誘電体膜積層体の総数が増えるほど特定波長付近の光に対する反射率が増加することも確認した。
【0078】
図8は、各画素のスイッチング素子における光リーク量と誘電体膜積層体の積層数との関係を示す図である。図8の横軸は、スイッチング素子の下層に配置される誘電体膜積層体(第3カラーフィルタCF3)の積層数であり、縦軸は、スイッチング素子の下層に第3カラーフィルタを配置する代わりにアンダーコート層(SiN/SiO)のみを配置した場合の光リーク量を1とした場合の比率である。
【0079】
5層構造の誘電体膜積層体41からなる第3カラーフィルタCF3の上にスイッチング素子を配置した場合には光リーク量は65%程度となり、また、7層構造の誘電体膜積層体42からなる第3カラーフィルタCF3の上にスイッチング素子を配置した場合には光リーク量は45%程度となり、また、9層構造の誘電体膜積層体43からなる第3カラーフィルタCF3の上にスイッチング素子を配置した場合には光リーク量は40%程度となることが確認された。
【0080】
5層構造、7層構造、9層構造それぞれに高屈折層として用いられるSiN層は、SiH4とNH3を主原料ガスとするプラズマCVD法により、その膜中水素量が2×1021cm−3以上となるような条件で形成される。高屈折率の膜を得るためには、スパッタ法等によりSiN膜を形成することが考えられる。一般に、スパッタ法で形成したSiN膜の膜中水素量は非常に低い。膜中に水素を含有するSiN膜を用いることで、スイッチング素子となるトップゲート型薄膜トランジスタの特性を向上させることが可能である。例えば、スイッチング素子のシリコン半導体SCにポリシリコンを用いた場合、スパッタ法で形成したSiN膜とSiO膜の積層でカラーフィルタ層を形成した薄膜トランジスタの閾値電圧が平均5.0Vであったのに対し、プラズマCVD法で形成した膜中水素量2×1021cm−3以上のSiNとSiO膜の積層とした場合の閾値電圧は2.1Vまで低下した。これにより、アクティブマトリックス回路を低い電圧で駆動することが可能となり、消費電力の低減に寄与することができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0082】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
LPN…液晶表示パネル
AR…アレイ基板 CT…対向基板 LQ…液晶層
SW1…第1スイッチング素子 SW2…第2スイッチング素子 SW3…第3スイッチング素子 SC…シリコン半導体層
PE1…第1画素電極 PE2…第2画素電極 PE3…第3画素電極
CF1…第1カラーフィルタ CF2…第2カラーフィルタ CF3…第3カラーフィルタ
31…第1半透過層 32…第2半透過層 33…透過層
41、42、43…誘電体膜積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長範囲の光を透過する第1カラーフィルタと、
第1波長範囲よりも長波長の第2波長範囲の光を透過する第2カラーフィルタと、
前記第2カラーフィルタの上に配置された第1スイッチング素子と、
前記第2カラーフィルタの上に配置された第2スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子と電気的に接続され、前記第1カラーフィルタの上方に位置する第1画素電極と、
前記第2スイッチング素子と電気的に接続され、前記第2カラーフィルタの上方に位置する第2画素電極と、
を備えたアレイ基板を具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタは、屈折率の異なる複数の薄膜を積層することによって構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1カラーフィルタ及び前記第2カラーフィルタは、シリコン窒化物層とシリコン酸化物層とを交互に積層した誘電体膜積層体であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
絶縁基板と、
前記絶縁基板上に配置された第1半透過層と、
前記第1半透過層上に配置されるとともに、第1膜厚の第1透過層、第1膜厚とは異なる第2膜厚の第2透過層、及び、第1膜厚及び第2膜厚とは異なる第3膜厚の第3透過層と、
前記第1透過層上に配置され第1波長範囲の光を透過する第1カラーフィルタを構成し、前記第2透過層上に配置され第1波長範囲よりも長波長の第2波長範囲の光を透過する第2カラーフィルタを構成し、前記第3透過層上に配置され第2波長範囲よりも長波長の第3波長範囲の光を透過する第3カラーフィルタを構成する第2半透過層と、
前記第2カラーフィルタまたは前記第3カラーフィルタを構成する前記第2半透過層上に配置された第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、及び、第3スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子と電気的に接続され、前記第1カラーフィルタの上方に位置する第1画素電極と、
前記第2スイッチング素子と電気的に接続され、前記第2カラーフィルタの上方に位置する第2画素電極と、
前記第3スイッチング素子と電気的に接続され、前記第3カラーフィルタの上方に位置する第3画素電極と、
を備えたアレイ基板を具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1半透過層は、前記絶縁基板上に積層され前記絶縁基板よりも高屈折率の高屈折率層と、前記高屈折率層上に積層され前記高屈折率層よりも低屈折率の低屈折率層と、を備えたことを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記高屈折率層はシリコン窒化物層によって構成され、前記低屈折率層はシリコン酸化物層によって構成されたことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記低屈折率層は、前記高屈折率層よりも厚いことを特徴とする請求項5または6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1半透過層及び前記第2半透過層は、シリコン窒化物層及びシリコン酸化物層の積層体によって構成されたことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記透過層は、シリコン窒化物層またはシリコン酸化物層によって構成されたことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子、及び、前記第3スイッチング素子は、シリコン半導体層を備えたトップゲート型の薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項4乃至9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第1半透過層、もしくは第2半透過層、もしくは透過層に用いられるシリコン窒化物層の膜中水素量が、2×1021cm−3以上であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
さらに、前記アレイ基板の背面側に配置されたバックライトを備え、
前記バックライトの発光スペクトルは、第1波長範囲に発光ピークを有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
第1波長範囲は、青色波長を含むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
絶縁基板と、前記絶縁基板上に形成され青色波長の光を前記絶縁基板側に反射する誘電体膜積層体と、前記誘電体膜積層体上に配置されたシリコン半導体層を備えたトップゲート型の薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタと電気的に接続された画素電極と、を備えたアレイ基板と、
前記アレイ基板に対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板と前記対向基板との間に保持された液晶層と、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項15】
前記誘電体膜積層体は、シリコン窒化物層とシリコン酸化物層とを交互に積層した構成であることを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−24996(P2013−24996A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158425(P2011−158425)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】