説明

温度安定化された電圧制御発振器

【課題】温度安定化された電圧制御発振器を提供する。
【解決手段】セルラー電話のような電池から電力を得る装置中の集積回路電圧制御発振器(VCO)は、比較的狭い制御電圧範囲を使用して非常に広い周波数範囲にわたって同調するように構成されることができる。VCOの周波数応答は、VCO共振回路の一部を形成するバラクタ310a、310bに温度可変電圧ソースを与えることにより温度補償されることができる。バラクタのレファレンス端部は、バラクタ温度依存性を実質的に補償する温度依存性を有する温度依存電圧ソース370、380により供給されることができる。温度依存電圧ソース370、380は、絶対温度比例(PTAT)装置であることができる。VCOは、基板上に製造されたCMOS発振器、基板上のLC共振タンク、および共通の陽極接続を有する少なくとも一対のバラクタ310a、310b、320a、320bを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度安定化された電圧制御発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
本特許出願は、2004年3月30日に出願され、本出願人にその権利を譲渡され、この明細書において参考文献とされている仮出願第 60/557,984号(“発振周波数の温度補償”)に基づいて優先権を主張している。
【0003】
無線通信装置は、典型的に、利用可能な周波数帯の割当てられたスペクトル内の割当てられた周波数帯において動作するように構成される。この割当てられたスペクトルは1つの連続した(contiguous)周波数スパン(span)であることができ、あるいはマルチプルな(multiple)互いに素の(disjoint)周波数スパンから成るものであってもよい。あるシステムにおいては、周波数割当ては動的であることができ、また、マルチモードセルラー(cellular)通信システムにおけるハンドオフの場合におけるように、通信の進行中に変化することができる。
【0004】
無線通信装置は、典型的に、その装置がマルチプル周波数帯からの任意の割当てられた周波数帯において動作することを可能にする同調範囲にわたって同調されることのできる電圧制御発振器(VCO)を組入れる。VCOは、典型的に、VCO出力周波数を所望の周波数に同調させる値にVCOの制御電圧を維持するように構成された位相同期ループ(PLL)を含むことのできる周波数シンセサイザ中に組入れられる。
【0005】
VCOの周波数応答は、典型的に、そのVCOの動作温度範囲にわたって変化するため、PLLは、典型的に、同じ所望のVCO周波数を得るために温度にわたって異なった制御電圧値を提供する。与えられた制御電圧値に関するフリーランニング(free running)VCO出力周波数の変化は、温度ドリフトと呼ばれることができ、ppm/℃のターム(terms)により特徴づけられてもよい。大きいVCO温度ドリフトは、与えられたVCO出力周波数を温度にわたって維持するために必要とされる制御電圧の範囲を増加させる。
【0006】
無線通信装置の設計は、携帯装置(devices)のフォームファクタ(form factor)を減少させることが頻繁に求められることにより複雑化する。たとえば、セルラー電話機のサイズは、小型のブリーフケースのサイズの大きさ(volume)から、掌に容易に納まる大きさに減少している。無線通信装置のフォームファクタの減少は、典型的に電池である携帯電力源のために利用可能な大きさを減少させる。このように、消費電力は、典型的に、無線通信装置において重要であり、装置は、消費電力を最小にし、それによって電池寿命を最大にするように設計される。
【0007】
電池パワーが減少されることのできる1つのやり方は、低い電圧レベルで動作する内部コンポーネントを設計することである。セルラー電話機内の集積回路が2.2ボルト以下で動作するのは珍しいことではない。
【0008】
減少された消費電力と共に減少されたサイズおよび減少された動作電圧の設計制約は、さらに、無線通信装置中のVCOに関する問題を生じさせる。VCOのサイズは、集積回路内にVCOを構成することにより最小にされることができる。VCO設計は、VCOの残りのものと比較して比較的大きい可能性のある、VCOの共振回路中で使用されるリアクティブ(reactive)コンポーネントのような、外部コンポーネントを使用している。
【0009】
しかしながら、ステップアップ(step up)電圧コンバータが使用されるのでなければ、VCO出力周波数を同調させるための制御電圧は、供給電圧より低いものに制限される。しかしながら、ステップアップ電圧コンバータの使用は、典型的に、追加スペースが必要とされるために、望ましくない。さらに、そのコンバータは100%の効率で動作することができず、その結果、追加の消費電力となる。したがって、VCO出力周波数を同調させるために利用可能な制御電圧は、典型的に、供給電圧より低い。
【発明の概要】
【0010】
VCO周波数ドリフトの問題は、制御電圧同調範囲の一部分が周波数ドリフトを補償することを別にして定められる(set aside)ため、所望のスペクトルにわたって同調するVCOの能力に悪影響を及ぼす。
【0011】
セルラー電話のような電池からパワーを供給される(battery-powered)装置中の電圧制御発振器(VCO)は、比較的狭い制御電圧範囲を使用して非常に広い周波数範囲にわたって同調するように構成されることができる。VCOの周波数応答は、VCO共振回路の一部を形成するバラクタに温度可変電圧ソースを与えることにより温度補償されることができる。バラクタのレファレンス(reference)端部は、バラクタ温度依存性を実質的に補償する温度依存性を有する温度依存電圧ソースにより供給されることができる。温度依存電圧ソースは、絶対温度比例(Proportional To Absolute Temperature)(PTAT)装置であることができる。
【0012】
この開示は、半導体基板と、この基板上に製造され、可変周波数共振回路を有する発振器とを含む集積回路(IC)温度補償されたVCOであって、その共振回路の周波数は、部分的に、少なくとも1つのバラクタダイオードに与えられる制御電圧に基づいて制御され、また、基板上に製造され、その少なくとも1つのバラクタのレファレンス端部に結合された出力を有し、その少なくとも1つのバラクタが原因の温度感受性(temperature sensitive)周波数ドリフトを実質的に補償するように構成された可変電圧ソースを含むIC温度補償されたVCOを含んでいる。
【0013】
この開示はまた、基板、その基板上に製造されたCMOS発振器、その基板上に製造され、そのCMOS発振器の発振の周波数を制御するようにCMOS発振器に結合され、共通の陽極接続を有する一対のバラクタダイオードの各陰極に与えられる制御電圧により決定される共振周波数の少なくとも一部分を有するLC共振タンク、その基板上に製造され、共通の陽極接続に結合された出力を有する温度可変電圧ソースを含むIC温度補償されたVCOを含んでいる。
【0014】
この開示はまた、温度可変電圧ソースを発生すること、およびVCOの共振回路中の少なくとも1つのバラクタダイオードのレファレンス側に温度可変電圧ソースの出力を与えることを含む、VCOを温度補償する方法を含んでいる。
【0015】
この開示の実施形態の特徴、目的および利点は、以下の詳細な説明および添付図面から明らかになるであろう。なお、図面において類似のエレメントは同じ参照符号を付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】無線通信装置内に組入れられたVCOの1実施形態の機能ブロック図。
【図2】温度補償されたVCOの1実施形態の機能ブロック図。
【図3】温度補償された同調キャパシタモジュールの1実施形態の機能ブロック図。
【図4】温度補償された電圧ソースの1実施形態の機能ブロック図。
【図5A】VCOを温度安定化するプロセスの1実施形態のフローチャート。
【図5B】VCOを温度安定化するプロセスの1実施形態のフローチャート。
【図6】温度にわたって補償されていないVCO周波数応答曲線の1実施形態のグラフ。
【図7】温度にわたって温度補償されたVCO周波数応答曲線の1実施形態のグラフ。
【図8】温度安定化されたVCOの1実施形態のマイクロ写真。
【発明を実施するための形態】
【0017】
周波数安定性はVCO設計において重要な問題である。VCOの周波数安定性は、CDMA受信機のような無線通信装置にとって、とくに重要である可能性があり、それは信号を連続的に受信し、また、VCOのディスクリート(discrete)周波数制御を再較正(recalibrate)するために割込まれることができない。複数のディスクリート周波数ステップを使用してVCO位相雑音と同調範囲を結合解除(decouple)する試みは、典型的に、VCO周波数ドリフトに関連した問題を解決しない。何故ならそれは、最小の連続した同調範囲が、典型的に、VCOの最大周波数ドリフトにより決定されるためである。セルラー電話の内部において、VCO周波数ドリフトは、自己加熱または環境温度変化を含む種々のファクタによるものであることのできる温度変動により発生される可能性が最も高い。VCO周波数ドリフトはまた、または電池サプライ(supply)の変動の影響を受ける可能性がある。
【0018】
たとえば、1.7GHz CDMA VCOは、−30℃から90℃に及ぶ温度範囲にわたって15MHzを超えて容易にドリフトする可能性がある。この大きさのVCO周波数ドリフトは、VCOの連続した同調範囲が十分に高くない場合には、位相同期ループ(PLL)にロック(lock)を失わせる可能性がある。位相雑音を犠牲にして連続した同調範囲を増加する代わりに、開示された装置および方法は温度にわたる周波数ドリフトを減少させる。
【0019】
温度変動によるVCO周波数ドリフトを補償するための装置および方法が開示されている。記載されている装置は、ゼロ-IF CDMA受信機適用に関して典型的な厳しい位相雑音要求を満足させることのできる、温度およびサプライ変動に対して非常な低い感度を有する完全に集積されたCMOS VCOを含んでいる。VCOおよび温度補償モジュールは、同じIC半導体基板上に製造されることができ、また、そのICは、1.1V、2.2V、または3.3Vのような比較的低い供給電圧で動作するように構成されることができる。
【0020】
開示されている装置および方法は、コンポーネントの温度変動を補償することによりVCO周波数ドリフトを補償する。とくに、代わりにVCOタンク回路とも呼ばれるVCO共振回路内のコンポーネントの温度依存性は、補償されることができる。共振回路が誘導性および容量性コンポーネントを含んでいる場合、温度補償は容量性素子上で行われることができる。たとえば、共振回路は、1以上の固定値インダクターおよび1以上の同調可能な(tunable)キャパシタを含む同調可能な回路であることができる。同調可能なキャパシタは、典型的にバラクタと簡単に呼ばれるバラクタダイオードであることができる。バラクタはしばしば、素子の電圧バイアシング(biasing)を容易にするために2個のバラクタ間に共通のリターン(return)を有する背中合わせ(back to back)構造に配置される。
【0021】
温度可変電圧ソースは、VCOの温度感受性周波数変動を補償するためにバラクタの後部(backside)に与えられることができる。温度可変電圧ソースは、たとえば、絶対温度比例(PTAT)モジュールとして構成されることができる。PTATモジュールは、選択可能な抵抗負荷を駆動するように構成された定電流源を含むことができる。抵抗負荷は選択可能なコンポジット(composite)抵抗のアレイを含むことができ、各コンポジット抵抗は2つの抵抗の直列接続を含んでいる。その抵抗の1つは負の温度係数(TC)を示すことができ、その直列構成における別の抵抗は正のTCを示すことができる。2つの抵抗の割合を変更することにより、そのコンポジット抵抗全体のTCを変更することができる。温度にわたるVCO周波数ドリフトは、適切なTCを有するコンポジット抵抗を選択することにより補償されることができる。
【0022】
PTATソースを使用して行われる温度補償が以下に説明されるが、そのソースは絶対温度に厳密に比例する必要はなく、また、所望の動作温度範囲にわたって温度に、実質的に、あるいは概して、比例することができる。したがって、PTATという用語は、ニア(near)PTAT、事実上(substantially)PTAT、ならびに予め定められた温度範囲に対するPTATまたはニアPTATだけでなくPTAもまた指している。さらに、補償されている温度ドリフト特徴に応じて、その補償は、ニアPTAT、絶対温度相補(Complementary To Absolute Temperature)(CTAT)、ニアCTAT、PTATとCTATソースの組合せに基づいて行われてよい。
【0023】
図1は、無線通信装置100内に組入れられたVCO120の1実施形態の機能ブロック図である。無線通信装置100は、たとえば、セルラーまたはパーソナル通信サービス(PCS)バンドにおいて動作するセルラー電話のようなポータブル無線電話であることができる。
【0024】
無線通信装置100は、1以上の予め定められた周波数帯内の一つの周波数に選択的にプログラムされることのできる周波数シンセサイザ110を含むことができる。周波数シンセサイザ110は、プログラム可能なディバイダレイショ(ratio)を有する位相同期ループ(PLL)において動作するVCO120を含むことができる。
【0025】
VCO120は周波数シンセサイザ110の出力周波数で動作することができ、その後の図面に関連してさらに詳細に説明される温度補償モジュール122を使用して、部分的に、周波数安定化されることができる。VCO120の出力は、可能なディバイダレイショの範囲に基づいて1つの特定のディバイダレイショを実施するように構成されることのできるプログラム可能なディバイダ112の入力に結合されることができる。そのディバイダレイショの選択は、部分的に、VCO120の出力周波数を決定する。
【0026】
プログラム可能なディバイダ112からの出力は、位相検出器114の第1の入力に結合されることができる。レファレンス発振器116からの出力は、位相検出器114の第2の入力に結合されることができる。
【0027】
レファレンス発振器116は、典型的に、非常に安定した単一周波数発振器である。レファレンス発振器116は、周波数および温度安定化された発振器であることができ、たとえば、温度補償された水晶振動子(TCXO)であることができる。
【0028】
位相検出器114はスケール(scale)されたVCO周波数の位相をレファレンス発振器116の出力信号の位相と比較するように構成されることができ、また、その比較に基づいて制御信号を出力するように構成されることができる。位相検出器114の出力はループフィルタ118の入力に結合されることができる。ループフィルタ118は、周波数シンセサイザ110のループ帯域幅を構成するように使用されることができ、それは周波数シンセサイザ110の獲得および同調率ならびにVCO120の出力の位相雑音に影響を与える。ループフィルタ118は、位相検出器114からの信号出力の転移を滑らかにするように動作することができる。ループフィルタ118の出力は、VCO120を所望の出力周波数にロックするようにVCO120の制御入力に結合されることができる。
【0029】
周波数シンセサイザ110の出力は、受信機130および送信機140に結合されることができる。周波数シンセサイザ110からの出力は、たとえば、受信機130のための局部発振器(LO)であることができる。
【0030】
1実施形態において、受信機130は、代わりにゼロ中間周波数(IF)受信機と呼ばれる直接ダウンコンバージョン(downconversion)受信機であるように構成されることができる。ゼロIF受信機において、LOは、ダブルサイデッド(double-sided)変調を実施する実施形態に関する動作周波数帯の中心周波数と実質的に同じ周波数に同調されることができる。受信機130は、周波数シンセサイザ110の出力を使用して実質的にベースバンド周波数に入力RF信号を周波数変換することができる。
【0031】
受信機130の出力は、付加的な処理のためにベースバンドプロセッサ150に結合されることができる。たとえば、ベースバンドプロセッサ150は、受信されたデータの出力および復調を行うことができる。
【0032】
ベースバンドプロセッサ150はまた、入力された信号またはデータを受取るために外部入力装置(示されていない)とインターフェースするように構成されることができる。ベースバンドプロセッサ150は、その入力されたデータおよび信号を処理して、アップコンバージョン(upconversion)および送信のために送信機140に結合されることのできる送信出力信号を発生するように構成されることができる。1実施形態において、送信信号はベースバンド信号であることができ、送信機は周波数シンセサイザ110からの出力を使用して送信帯域にその信号をアップコンバート(upconvert)する。送信機140は、送信周波数帯が受信周波数帯と同じでない場合に、その周波数を周波数シンセサイザからオフセットするように構成された付加的な固定された周波数発振器を含むように構成されることができる。別の実施形態においては、ベースバンドプロセッサ150からの送信出力は、送信周波数帯と受信周波数帯との間におけるオフセットされた周波数に中心を置かれたIF信号であることができる。
【0033】
1実施形態において、周波数シンセサイザ110の実質的に全ての素子は、単一のIC内に構成されることができる。別の実施形態においては、単一のICはまた受信機130および送信機140の特徴のいくつかまたは全てを実施するように構成されることができる。消費される電池パワーを最小にするために、ICは比較的低い供給電圧から動作するように設計されることができる。たとえば、供給電圧は3.3ボルト、2.2ボルト、1.1ボルトまたは別の比較的低い電圧であることができる。ICは、典型的に低電圧装置に関連したその比較的低い電圧消費を維持するために、どのタイプのステップアップレギュレーション(step up regulation)も実施しなくてもよい。さらに、ステップアップ電力変換器の除去は、電力源の非効率性のために失われるであろう電力を保存する。
【0034】
このような低電圧ICにおいて動作する周波数シンセサイザ110は、VCO120の制御電圧が動作してもよい制限された電圧範囲を有する。典型的に、VCO120の制御電圧のような内部で制御される電圧は、供給電圧範囲全体をトラバース(traverse)することができない。電圧供給レール(rails)と達成可能な内部電圧との間に存在する若干量のマージンが典型的に存在する。したがって、典型的に、VCO120の制御電圧のような内部IC電圧は供給電圧範囲のサブセット(subset)に制限される。たとえば、2.2ボルトのICにおいて、VCO制御電圧は0.4−2.0ボルトの範囲に制限される可能性がある。
【0035】
位相検出器114の、および、したがって、ループフィルタ118からの出力は、電圧レールの付近の内部電圧を発生させる能力および供給電圧によって制限される範囲を有する可能性がある。したがって、VCO120の出力周波数範囲はまた、制御電圧ソースから出力されることのできるその制限された同調範囲により制限されることができる。
【0036】
VCO120の周波数ドリフトが実質的に存在する場合、その利用可能な制御電圧範囲の実質的な部分は、PLLがその周波数ドリフトを補償することを可能にするためにリザーブ(reserve)される必要がある可能性がある。温度補償モジュール122はVCO120の周波数ドリフトを補償するように構成されることができ、それによって実質的に制御電圧範囲全体がVCO120の出力周波数を選択するために利用可能であることを可能にする。
【0037】
1実施形態において、温度補償モジュール122は、開ループ方式で周波数ドリフトを補正するためにVCO120と関連して動作することができる。別の実施形態において、温度補償モジュール122は、閉ループ温度補正プロセスにおいてVCO120と関連して動作することができる。後続する図面に見られるように、温度補償モジュール122は、周波数ドリフトのソース(sources)を独立的に補償するように動作してもよいマルチプルな温度補正コンポーネントを含むことができる。
【0038】
図2は、図1の無線通信装置において使用されることのできる温度補償されたVCO120の1実施形態の機能ブロック図である。図2のVCO120の実施形態は、可変LCタンク回路を有する交差結合(cross-couple)されたCMOS VCOとして構成されている。
【0039】
VCO120は、第2のPMOSおよびNMOSトランジスタ212bおよび210bを含む第2のCMOSインバータに交差(cross)結合された第1のPMOSおよびNMOSトランジスタ212aおよび210aを含む第1のCMOSインバータとして見られることができる。インダクター222と同調可能なキャパシタモジュール224の並列の組合せを含む同調可能なLCタンク回路は、インバータのそれぞれの出力を(もとの)その入力に結合する。同調可能なキャパシタモジュール224は、以下説明するように、温度補償されたキャパシタモジュールであることができる。
【0040】
VCO120は、直流リターンまたは電圧コモン(common)と呼ばれてもよい、接地端子に負荷トランジスタ234を結合するRFチョーク236と直列の負荷トランジスタ234を有するアクティブ(active)負荷を駆動するように構成された絶対温度比例(PTAT)電流源232を含む温度補償されたバイアスモジュール230を含むことができる。この構成において、RTAT電流源232および負荷トランジスタ234はPTAT電圧ソースに相当する。RFチョーク236はまた、CMOSトランジスタのためのリターンを接地端子に結合することができる。
【0041】
PTAT電流源232はまた、直列の抵抗242およびシャント(shunt)キャパシタ244を有するローパスフィルタ(LPF)に結合されることができる。LPFの出力は、差動増幅器240の入力に結合されることができる。差動増幅器240のレファレンス入力は、タンクインダクター222の中間地点に結合されることができ、それは仮想接地(virtual ground)を表す。差動増幅器240の出力は、RFチョーク250を通ってインバータにバイアス電流を供給するバイアストランジスタ246を制御する。バイアストランジスタ246の出力は、バイパス (bypass)キャパシタ252により濾波されることができる。
【0042】
発振の周波数は、LCタンク回路の共振周波数を変化させることにより変えられることができる。インダクターは、半導体基板上に製造されることのできる固定値インダクターであることができる。典型的に、温度にわたるインダクター変動は大きくないため、無視されてもよい。
【0043】
同調可能なLCタンク回路におけるキャパシタは、それらのキャパシタンスを決定する電圧にバイアスされる1以上のバラクタを含むことができる。カップリングキャパシタ(coupling capacitors)は、LCタンクの残りの部分にバラクタを結合し、VCO120の残りのものからバラクタに与えられる直流バイアスを分離するために使用されてもよい。カップリングキャパシタは、たとえば、IC内に製造された金属・絶縁体・金属(Metal Insulator Metal)(MIM)キャパシタであることができる。
【0044】
VCO120はまた、LCタンクにおけるバラクタに並列に結合された1以上の選択可能な固定値キャパシタを含むことができる。固定値キャパシタは、VCO120の動作をディスクリートな周波数帯に変化させるためにLCタンクに選択的に結合されることができる。
【0045】
さらに、VCO120の発振周波数は、CMOSインバータにおけるトランジスタのそれぞれにより与えられる接合容量の影響を受ける可能性がある。したがって、タンクキャパシタンスの実効値は、マルチプルキャパシタ値の組合せである可能性がある。
【0046】
発振の周波数に影響を与える(contribute to)種々のキャパシタは大きい温度係数を有することができるため、VCO120の周波数ドリフトはキャパシタンスの変動を補償することにより実質的に補償されることができる。
【0047】
図3は、温度補償された同調キャパシタモジュール224の1実施形態の機能ブロック図である。温度補償された同調キャパシタモジュール224は、PTAT電圧ソース370および380を使用して温度補償される複数のバラクタ310a-310bおよび320a-320bを含むことができる。
【0048】
第1および第2のバラクタ310aおよび310bは、共通の陽極を有する背中合わせ構造に構成されることができる。第1および第2のバイアス抵抗340aおよび340bは、たとえば、図1に示されているシンセサイザにおけるループフィルタの出力であることができる周波数制御電圧ソース(示されていない)に第1および第2のバラクタ310aおよび310bの陽極をそれぞれ結合する。第1および第2のバラクタ310aおよび310bのキャパシタンスは、逆電圧バイアスの大きさに基づいて変化する。したがって、周波数制御電圧を変化させることにより、タンクのキャパシタンスは変化され、VCOに関する動作の周波数は変化されることができる。
【0049】
第1および第2の直流ブロッキング(blocking)キャパシタ330aおよび330bは、LCタンクの残りのものにバラクタを結合し、そうでなければ周波数制御電圧がVCOの動作に影響を及ぼすことを阻止する。直流ブロッキングキャパシタ330aおよび330bは、とくに、VCOが完全に半導体基板上に製造されるときに、MIMキャパシタとして製造されることができる。
【0050】
第1および第2のバラクタ310aおよび310bの温度変動は、バラクタ310aおよび310bの後部または陽極に温度変化電圧を与えることにより少なくとも部分的に補償されることができる。温度変化電圧は、出力が第1の緩衝増幅器350によってバッファされる第1のPTAT電圧ソース370により発生されることができる。第1のキャパシタ374にシャントされて(in shunt)結合される直列の第1の抵抗372を含むローパスフィルタは、第1のPTAT電圧ソース370の出力を第1の緩衝増幅器350の入力に結合する。RCフィルタは、第1および第2のバラクタ310aおよび310bの後部に対する雑音の影響(contribution)を減少するように構成された帯域幅を提供することができる。RCフィルタの帯域幅は、たとえば、数(a few to several)kHzであることができる。第1の緩衝増幅器350は、RCフィルタの低ポール(pole)周波数がPLLループフィルタを妨害するのを避けるためにバラクタ対の共通ノードにおいて低いインピーダンスを与えるために低雑音電圧ホロワとして使用される。
【0051】
第1の緩衝増幅器350は、第1および第2のバラクタ310aおよび310bの共通の陽極接続を駆動する。第1のPTAT電圧ソース370は、温度が原因のキャパシタンス変動を実質的に補償するように構成されることができる。第1の緩衝増幅器350はまた、第1および第2のバラクタ310aおよび310bの陽極からレファレンス(reference)への低インピーダンス接続を提供するように構成されることができる。
【0052】
1実施形態において、第1のPTAT電圧ソース370は、温度にわたってその出力バイアス電圧を増加するように構成されることができる。第1のPTAT電圧ソース370からのバイアス電圧の増加は、第1および第2のバラクタ310aおよび310bのキャパシタンスが同調電圧を変化させずに減少されることを可能にすることができる。第1および第2のバラクタ310aおよび310bは、その第1および第2のバラクタ310aおよび310bを横切る電圧の揺れ(swing)が非線形平均化効果(non-linear averaging effect)を無視するように十分に小さいことが可能であるように、MIM直流ブロッキングキャパシタ330aおよび330bを通ってVCOタンクに結合されることができる。
【0053】
第1および第2のバラクタ310aおよび310bが比較的急峻な電圧対キャパシタンス変動(relatively steep voltage to capacitance variation)を有する場合、温度補償のために必要とされるオフセットキャパシタンスは、同調電圧に基づいて変化することができる。その補償は同調電圧に大きく依存するため、これは望ましくない。同調電圧の影響を減少するために、第3および第4のバラクタ320aおよび320bは、第1および第2のバラクタ310aおよび310bに並列に追加されることができる。第3および第4のバラクタ320aおよび320bは背中合わせ構造に構成されることができ、その第3および第4のバラクタ320aおよび320bの陽極は一緒になるように結合されている。第3および第4のバラクタ320aおよび320bの陰極は、第1および第2のバラクタ310aおよび310bの陰極とそれぞれ共通していることができる。
【0054】
第3および第4のバラクタ320aおよび320bの後部は、出力が第2の緩衝増幅器360によってバッファされる第2のPTAT電圧ソース380によって発生された温度変化電圧によりバイアスされることができる。第2のキャパシタ384にシャントされて結合される直列の第2の抵抗382を含むローパスフィルタは、第2のPTAT電圧ソース380の出力を第2の緩衝増幅器360の入力に結合する。RCフィルタの帯域幅は、第1のPTAT電圧ソース370と共に使用されたRCフィルタのものに類似していることができ、たとえば、数kHzであることができる。第2の緩衝増幅器360は、第3および第4のバラクタ320aおよび320bの共通の陽極接続を駆動する。第2のPTAT電圧ソース380は、温度が原因のキャパシタンス変動を実質的に補償するように構成されることができる。第2のバッファ360はまた、第3および第4のバラクタ320aおよび320bの陽極からレファレンスへの低インピーダンス接続を提供するように構成されることができる。第2のPTAT電圧ソース380は、第1のPTAT電圧ソース370から独立して動作してもよい。
【0055】
第3および第4のバラクタ820aおよび820bとの第1および第2のバラクタ810aおよび810bの並列の組合せは、温度補償された同調キャパシタモジュール224がもっと小さい同調電圧範囲を使用して所望のキャパシタンス範囲を達成することを可能にし、また、組合せられたキャパシタンスの温度感度を減少させることができる。
【0056】
1実施形態において、異なったバイアス電圧は、2つのバラクタ対の後部に与えられることができる。たとえば、第1のPTAT電圧ソース370により発生された第1の電圧バイアスは、第1および第2のバラクタ310aおよび310bの後部に与えられることができる。第1の電圧バイアスは、たとえば、比較的小さい電圧であることができる。たとえば、第2のPTAT電圧ソース380によって発生された第2の電圧バイアスは、第3および第4のバラクタ320aおよび320bの後部に与えられることができる。第2の電圧バイアスは、たとえば、比較的大きい電圧であることができ、その結果、第3および第4のバラクタ320aおよび320bを横切る比較的小さい逆バイアスとなる。したがって、第1のPTAT電圧ソース370からの温度係数は、各バラクタ対を横切る異なる逆バイアス電圧のために、第2のPTAT電圧ソース380の温度係数と異なる可能性がある。そのオフセットキャパシタンスは第1のPTAT電圧ソース370の出力から第2のPTAT電圧ソース380の出力までの範囲にわたって平均化されることができる。相対的な温度補償は、より広い同調電圧範囲にわたって行われることができる。
【0057】
図4は、図3に示されているPTAT電圧ソースのいずれかとして構成されてもよい、PTAT電圧ソース400の1実施形態の機能ブロック図である。さらに、抵抗負荷がPTAT電圧ソース400から除去された場合、残りの回路は、図2に示されているPTAT電流源として使用されてもよいPTAT電流源を特定する。
【0058】
PTAT電圧ソース400は、差動増幅器410の入力に結合された第1および第2の接合ダイオード420および430を有する差動増幅器410を含んでいる。第1の接合ダイオード420は第1の抵抗422に結合される。第1の抵抗422は、差動増幅器410の非反転入力に結合される。第2の接合ダイオード430は、差動増幅器410の反転入力に結合される。第1および第2の接合ダイオード420および430は、たとえば、バイポーラダイオード、バイポーラトランジスタからのベース・エミッタ接合、CMOS回路において生成された寄生バイポーラトランジスタからのベース・エミッタ接合、逆に(in inversion)動作されるMOSトランジスタ、およびこれと同様なもの、あるいは他の接合ダイオードであることができる。
【0059】
差動増幅器410の出力は、電流ミラー(current mirror)を制御する。差動増幅器410の出力は、第1および第2のプルアップ(pull up)抵抗452および454を使用して供給電圧にプルアップされるそれらのドレインを有する第1および第2のFET442および444のゲートを駆動するように構成されることができる。第1のFET442のソースは差動増幅器410の非反転入力に結合され、第2のFET444のソースは差動増幅器410の反転入力に結合される。
【0060】
PTAT電流は、第1および第2のダイオード420および430のエリア(areas)を変化させることにより差動増幅器410と電流ミラーの組合せによって発生されることができる。ダイオードエリアの差は、温度に実質的に比例する順方向電圧変動(forward voltage variation)を生成する。差動増幅器410は、ダイオードの間の差を増幅し、また、その差に基づいて電流ミラーを制御するように構成される。
【0061】
第3のFET446は、第3の抵抗456によって電圧レファレンス(reference)にプルアップされるそのドレインを有する。第3のFET446のゲートは、PTAT電流源を生成するように差動増幅器410の出力によって制御される。PTAT電流源の出力は、PTAT電圧出力を生成するように抵抗負荷460に結合されることができる。
【0062】
抵抗負荷460は、複数のコンポジット抵抗462a-462nの並列の組合せとして構成されることのできる抵抗のアレイを含むことができる。コンポジット抵抗462a-462nのそれぞれは、その抵抗と直列に結合された対応したスイッチ464a-464nを使用して抵抗負荷460に選択的に含まれ、あるいはここから除去されることができる。スイッチ464a-464nは、たとえば、トランジスタ、MEMスイッチ、ヒューズおよびこれと同様なものを含む機械的スイッチ、あるいは他の制御可能な接続、もしくは制御可能な接続の組合せであることができる。ヒューズは、抵抗負荷460に関する抵抗の選択が一度ベースで行われることのできる構造のための制御可能な接続として使用できることに注意されたい。
【0063】
コンポジット抵抗462a-462nのそれぞれは、少なくとも1つの抵抗を含むことができる。2以上の抵抗を有するこれらのコンポジット抵抗に関して、コンポジット抵抗は、正および負の温度係数(TC)を有する2以上の抵抗の直列接続を含むことができる。コンポジット抵抗の全体的TCは、それらTCの1つを有する抵抗の割合を変化させることにより調節されることができる。
【0064】
PTAT電圧ソース400の全体的TCは、抵抗負荷460におけるコンポジット抵抗462a-462nの選択に基づいて変更(modify)されることができる。したがって、抵抗負荷460のTCは、RTAT電流源のTCのいくつかまたは全てを補うか、無効にする(negate)か、あるいは、そうでなければ、変更するために使用されることができる。
【0065】
図5Aは、VCOを温度安定化する方法500の1実施形態のフローチャートである。この方法500は、図1の周波数シンセサイザ内において、あるいは図2のVCOにおいて行われることができる。この方法500は、図2のVCOのような温度補償モジュールを含むVCO内で行われるものとして記載されている。
【0066】
方法500は、温度補償モジュールを使用するVCOが温度可変電圧ソースを発生するブロック510から始まる。温度可変電圧ソースは、共振回路のバラクタが電圧補償されるように構成されることができる。典型的に、温度可変電圧ソースは、予め定められた動作温度範囲にわたって補償されていないVCOまたはバラクタのTCに対して実質的に相補的なものであるTCで構成される。
【0067】
VCOはブロック520に進み、たとえば、ローパスフィルタを使用して電圧ソースからの出力を濾波する。ローパスフィルタは、そうでなければ、位相雑音の劣化(degradation)の一因となる可能性のある、温度可変電圧ソースが原因のどのような雑音影響を減少させるために使用されることができる。
【0068】
電圧ソースからの出力を濾波した後、VCOはブロック530に進み、たとえば、低雑音電圧ホロワを使用して濾波された出力電圧をバッファする。電圧ホロワは、バラクタに低いインピーダンスを与え、VCOを有するPLLにおいて使用されることのできるループフィルタをフィルタの低ポール周波数が妨害しないようにするために使用されることができる。
【0069】
電圧をバッファした後、VCOは、そのVCOの共振回路内に含まれる1以上の同調バラクタの後部またはレファレンス側にそのバッファされた電圧を与える。典型的に、VCO共振回路は、共通の陽極で構成されたバラクタの対を含んでいる。このような構造において、バッファされた電圧はバラクタ対にレファレンスを与えることができる。
【0070】
図5Bは、図5Aの方法において使用される温度可変電圧ソースを発生する方法510の1実施形態のフローチャートである。この方法510は、たとえば、図4に示されている構造を使用して、あるいは、図1の温度補償モジュールを使用して、行われることができる。
【0071】
方法510は、温度補償モジュールが温度可変電流を発生するブロック550から始まる。温度可変電流は、たとえば、非反転および反転入力のそれぞれに電圧レファレンスを提供する異なったエリアの接合ダイオードを有する差動増幅器を使用して、発生されることができる。差動増幅器は、接合ダイオードにおける変動に基づいて温度可変電流を発生する電流ミラーおよび電流源を制御することができる。
【0072】
温度可変電流源の出力は、構成可能な負荷抵抗により負荷をかけられるように設計されることができる。温度補償モジュールはブロック560に進み、補償されていないVCOドリフトを補償する負荷抵抗を決定する。VCOドリフトを補償するために温度可変電流と共同してTCを示す負荷抵抗は、スイッチを閉じること、1以上の抵抗に対応したヒューズをとばすこと、あるいは他の何等かの選択方式によって選択されることができる。
【0073】
適切な負荷抵抗が選択された後、温度補償モジュールはブロック570に進み、選択された負荷抵抗値を有する負荷抵抗に温度可変電流を与えることができる。その後、温度可変電圧は、負荷抵抗を横切る(across)電圧を使用してソース(source)されることができる。
【0074】
図6は、温度にわたって補償されていないVCO周波数応答曲線の1実施形態のグラフ600である。周波数応答曲線は、0.4ボルト乃至2ボルトの制御電圧にわたってプロット(plot)されている。このような制御電圧範囲は、制御電圧もまたオンチップ(on-chip)で発生されるオンチップVCO構造と2.2ボルトの供給電圧を有する集積回路の特徴を表している。
【0075】
周波数応答曲線は、セルラー電話のような無線通信装置により経験される典型的な環境を超える−30、+25、および+90℃に関してプロットされている。制御電圧範囲の実質的な部分は、たとえば、1.710GHzの特定の周波数にVCOを維持することが必要とされることが認められる。図6に示されているように、周波数は、何等かの温度補償なしで、−30℃乃至+90℃の温度範囲にわたって1.7GHzにおいてほぼ16MHzより大きく低下(drop)する。
【0076】
図7は、VCOがここに記載されている方法および装置にしたがって温度補償されている、温度にわたって温度補償されたVCO周波数応答曲線の1実施形態のグラフ700である。周波数応答曲線は−30、+25、および+90℃に関してプロットされ、その温度補償が温度にわたってVCO周波数ドリフトを実質的に補償することを示している。
【0077】
図8は、VCOおよび温度補償モジュールが単一の半導体基板上に製造される、温度安定化されたVCOの1実施形態のマイクロ写真800である。VCOは、たとえば、図2の温度補償されたVCOであることができる。VCOは、0.25μmの4-金属1-ポリ(4-metal 1-poly)CMOSプロセスで構成されて32-ピンのクワッド・フラット・ノーリード(Quad Flat No-Lead)(QFN)パッケージにパッケージ化され、また、ダイレクトコンバージョン(direct conversion)CDMA受信機に適した周波数範囲で動作するように構成される。
【0078】
発振器トポロジー(topology)は異なる対(diff-pairs)でスタックされ、レギュレータは図2に示されているものに類似している。レギュレータ基準電圧はNFET(M6)から発生され、基準電圧雑音は一次フィルタ(Rl&C2)によって減衰される。バラクタ温度補償は、図3に示されているように構成される。PTAT電圧ソースにより発生された後部バイアス電圧は室温で0.9Vおよび1.9Vに設定され、それらのTCは適切な抵抗の選択により調節可能である。
【0079】
VCOはまた、LCタンクにおけるバラクタに並列に結合された付加的な固定されたキャパシタの選択的なスイッチングによりいくつかの予め定められた動作帯域にわたって(across)同調するように構成されることができる。粗同調(coarse tuning)トランジスタのためのインバータ供給電圧は2Vに設定されることができ、また、TC=1000ppm/℃を有することができる。この温度補償は、FETのドレインバルク接合ダイオードの接合電圧降下を補償するために使用されることができる。
【0080】
PTAT電圧ソースにより与えられた正のTCのバイアシング電圧により、周波数ドリフトは、10ppm/℃より小さい等価(equivalent)TCに対応した0.6〜1.8Vの微同調範囲にわたって2MHzより低くなる。位相雑音測定は、位相雑音が4.5kHzより下では1/f2の速度で減少し、その速度が再び1/f2に戻るほぼ200kHzまで1/f4の速度で続くことを示す。温度にわたる位相雑音変動は、VCOバイアシング電流のPTAT特性のために1dBより小さい。VCOは、lOOkHz/Vより低い電力源感度を有する6つのディスクリート同調ブランチ(branches)により1.55GHz−1.95GHzをカバーするように同調されることができる。
【0081】
VCOにおける温度感受性周波数ドリフトを補償するための装置および方法が開示されている。その装置および方法は、PTAT電圧ソースのような温度変化電圧ソースを使用して補償電圧を発生する。温度変化電圧ソースの大きさおよびTCは、共振回路内の1以上のバラクタの後部に与えられるときにVCOの周波数ドリフトを実質的に取消すように構成されることができる。バラクタに対する変化する制御電圧の影響を最小にするために、複数のバラクタは並列に構成され、また、バラクタに与えられる補償電圧バイアスは、実質的に制御電圧範囲全体に及ぶように構成されることができる。
【0082】
開示されている実施形態に関連して記載された種々の例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、ここに記載されている機能を行うように設計された汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)または他のプログラム可能な論理装置、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、またはその任意の組合せにより構成され、あるいは行われることができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであることができるが、しかし、別の実施形態において、そのプロセッサは任意のプロセッサ、制御装置、マイクロ制御装置、または状態マシンであってよい。プロセッサはまた、たとえば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ等の計算装置の組合せ、複数のマイクロプロセッサ、1つのDSPコアと関連した1以上のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のこのような構造として構成されてもよい。
【0083】
ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、不揮発性メモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取出し可能なディスク、CD−ROM、あるいは技術的に知られた任意の他の形態の記憶媒体中に存在することができる。一例の記憶媒体は、プロセッサがその記憶媒体から情報を読出し、その記憶媒体に情報を書込むことができるように、そのプロセッサに結合される。別の実施形態において、記憶媒体はプロセッサに統合されていてもよい。
【0084】
ここに開示されている実施形態に関連して記載された方法、プロセス、またはアルゴリズムのステップは、直接ハードウェアにおいて、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュールにおいて、あるいはその2つの組合せで組み入れられることができる。方法またはプロセスにおける種々のステップまたは動作(act)は図示された順序で行われてもよく、あるいは別の順序で行われてもよい。さらに、1以上のプロセスまたは方法ステップは除去されてもよく、あるいは1以上のプロセスまたは方法ステップはそのプロセスまたは方法ステップに付加されてもよい。付加的なステップ、ブロック、またはアクションは方法およびプロセスの始め、終り、または間に現在あるエレメントに付加されてもよい。
【0085】
上記の開示された実施形態の説明は、当業者がこの開示を形成し、あるいは使用することを可能にするために与えられている。これらの実施形態への種々の修正は、当業者に容易に明らかになるであろう。また、ここに規定されている一般的な原理は本発明の技術的範囲を逸脱することなく他の実施形態に適用されてもよい。したがって、この開示はここに示されている実施形態に制限されるものではなく、ここに開示されている原理および新しい特徴に一致した広い技術的範囲を与えられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を具備している集積回路(IC)温度補償された電圧制御発振器(VCO):
半導体基板;
その基板上に製造され、可変周波数共振回路を有する発振器、その共振回路の周波数は、部分的に、少なくとも1つのバラクタダイオードに与えられる制御電圧に基づいて制御される;
その少なくとも1つのバラクタのレファレンス端部に結合された出力を有する基板上に製造され、その少なくとも1つのバラクタが原因の温度感受性周波数ドリフトを実質的に補償するように構成された可変電圧ソース。
【請求項2】
発振器は、CMOS発振器を含んでいる請求項1記載のVCO。
【請求項3】
可変周波数共振回路は、
基板上に製造され、第1の端部および第2の端部を有する固定値インダクター;
共通の陽極接続を有する第1の対のバラクタダイオード、を含み、
その第1の対のバラクタダイオードの第1のバラクタの陰極は、固定値インダクターの第1の端部に結合され、その第1の対のバラクタダイオードの第2のバラクタの陰極は、固定値インダクターの第2の端部に結合される請求項1記載のVCO。
【請求項4】
可変周波数共振回路は、さらに、
固定値インダクターの第1の端部に第1のバラクタの陰極を結合するように構成された第1のカップリングキャパシタ;
固定値インダクターの第2の端部に第2のバラクタの陰極を結合するように構成された第2のカップリングキャパシタ、を含んでいる請求項3記載のVCO。
【請求項5】
可変周波数共振回路は、さらに、基板上に製造され、固定値インダクターの第1の端部に第1のバラクタの陰極を結合するMIMキャパシタを含んでいる請求項3記載のVCO。
【請求項6】
可変周波数共振回路は、さらに、その共振回路に選択的に結合され、動作の周波数帯を粗同調するように構成された少なくとも1つの固定値キャパシタを含んでいる請求項3記載のVCO。
【請求項7】
可変周波数共振回路は、さらに、
第1のバラクタダイオード対の共通の陽極とは異なる共通の陽極接続を有する第2の対のバラクタダイオード、その第2の対のバラクタダイオードの第1のバラクタの陰極は、第1のバラクタダイオード対の第1のバラクタの陰極に結合され、その第2の対のバラクタダイオードの第2のバラクタの陰極は、第1のバラクタダイオード対の第2のバラクタの陰極に結合される;
第2のバラクタダイオード対の共通の陽極接続に結合された温度感受性出力電圧を有する付加的な可変電圧ソース、を含んでいる請求項3記載のVCO。
【請求項8】
可変電圧ソースの出力は、共通の陽極接続に結合される請求項3記載のVCO。
【請求項9】
可変電圧ソースは、PTAT電圧ソースを含んでいる請求項1記載のVCO。
【請求項10】
可変電圧ソースは、
PTAT電流源;
PTAT電流源の出力に結合され、選択可能な温度係数を有する抵抗負荷、を含んでいる請求項1記載のVCO。
【請求項11】
抵抗負荷は、並列に結合された複数のコンポジット抵抗を含んでいる、その複数のコンポジット抵抗のそれぞれは、異なる温度係数を有し、PTAT電流源に選択的に負荷をかけるように構成される請求項10記載のVCO。
【請求項12】
以下を具備している集積回路(IC)温度補償された電圧制御発振器(VCO):
基板;
その基板上に製造されたCMOS発振器;
その基板上に製造され、そのCMOS発振器の発振の周波数を制御するようにCMOS発振器に結合され、共通の陽極接続を有する一対のバラクタダイオードの各陰極に与えられる制御電圧により決定される共振周波数の少なくとも一部分を有するLC共振タンク; その基板上に製造され、共通の陽極接続に結合された出力を有する温度可変電圧ソース。
【請求項13】
さらに、CMOS発振器をバイアスするように構成された温度可変電流源を含んでいる請求項12記載のVCO。
【請求項14】
温度可変電流源は、PTAT電流源である請求項13記載のVCO。
【請求項15】
温度可変電圧ソースは、PTAT電圧ソースである請求項12記載のVCO。
【請求項16】
温度可変電圧ソースは、
PTAT電流源;
そのPTAT電流源の出力に結合され、選択可能な温度係数を有するように構成された負荷抵抗、を含んでいる請求項12記載のVCO。
【請求項17】
以下を含んでいる電圧制御発振器(VCO)を温度補償する方法:
温度可変電圧ソースを発生する;
VCOの共振回路中の少なくとも1つのバラクタダイオードのレファレンス側にその温度可変電圧ソースの出力を与える。
【請求項18】
さらに、温度可変電圧ソースの出力を濾波して、濾波された電圧を発生すること;
その濾波された電圧をバッファすること、を含んでいる請求項17記載の方法。
【請求項19】
温度可変電圧ソースを発生することは、PTAT電圧ソースを発生することを含んでいる請求項17記載の方法。
【請求項20】
温度可変電圧ソースを発生することは、
PTAT電流を発生すること;
選択可能な温度係数を有する抵抗負荷をPTAT電流にかけること、を含んでいる請求項17記載の方法。
【請求項21】
以下を含んでいる集積回路(IC)温度補償された電圧制御発振器(VCO):
基板;
その基板上に製造された温度可変電圧を発生させるための手段;
VCOの共振回路中の少なくとも1つのバラクタダイオードのレファレンス側に温度可変電圧を発生させるための手段の出力を与えるための手段。
【請求項22】
出力を与えるための手段は、
温度可変電圧を発生させるための手段の出力を濾波するための手段;
その濾波するための手段からの出力をバッファするための手段、を含む、そのバッファするための手段の出力は、少なくとも1つのバラクタダイオードのレファレンス側に結合される請求項21記載のVCO。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−10343(P2011−10343A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−178020(P2010−178020)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2007−506232(P2007−506232)の分割
【原出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】