説明

炭素ナノチューブ薄膜を利用したSRAM

【課題】炭素ナノチューブ(CNT:Carbon NanoTube)薄膜を利用したSRAMを提供する。
【解決手段】少なくとも第1CNTトランジスタを備える第1CNTインバータと、少なくとも第2CNTトランジスタを備え、第1CNTインバータに連結された第2CNTインバータと、少なくとも第1CNTインバータに連結された第1スイッチングトランジスタと、少なくとも第2CNTインバータに連結された第2スイッチングトランジスタと、を備えるSRAMである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体メモリ素子に係り、さらに詳細には、炭素ナノチューブ(CNT:Carbon Nano Tube)薄膜を利用したSRAM(Static Random Access Memory)に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン(Si)を基にした半導体素子の利点は、高集積、高性能及び低コスト化が可能であるということである。このような利点を元にしてシリコンを基にした半導体素子の微細化工程が続けて発展されてきたが、今後5〜10年後には、シリコン物質の特性限界及び工程の困難さによって、前記微細化工程がそれ以上発展され難いと予想される。
【0003】
最近、このような微細化限界を克服する代案の一つとして、CNTを利用した電子素子の研究が進められている。CNTの直径は、数nm(=10−9m)レベルであって、非常に小さい。したがって、CNTを利用すれば、シリコンを基にした微細化工程では達し難い微細なチャンネルを形成できる。また、CNTは、構造的特徴に起因した優れた物理的特性、例えば、電荷移動度、電流密度、熱伝導度、機械的強度を有しているところ、CNTを利用する場合、シリコン基板の半導体素子の微細化工程の限界を克服する可能性がある。
【0004】
しかし、CNTを電子素子に利用するためには、多様な問題が解決されねばならないが、代表的な問題点としては、CNT素材の特性信頼性を確保し難いという点と、所望の位置にCNTを配列し難いという点とである。CNT電子素子の場合、CNT固有の優れた特性を利用するためには、直径がnmレベルである単一壁半導性CNTを製作せねばならないが、前述したように、チューブ直径の変化に起因した特性変動の制御及び工程が難しくて実用化の障害となってきた。最近では、CNTを薄膜形態に製作して、これを電子素子として利用する研究が進められてきたが、既存の一体の単一壁CNTに比べて、電荷移動度(10〜200cm/Vs)が低いが、特性安定性に優れており、製作が容易であるという長所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許第2008−003889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、製造工程が相対的に単純で、フレキシブル基板やガラス基板にも形成できるSRAMを提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、CNT薄膜からなるインバータを含むSRAMを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を達成するために、本発明の一実施形態によるSRAMは、少なくとも第1CNTトランジスタを備える第1CNTインバータと、少なくとも第2CNTトランジスタを備え、前記第1CNTインバータに連結された第2CNTインバータと、少なくとも前記第1CNTインバータに連結された第1スイッチングトランジスタと、少なくとも前記第2CNTインバータに連結された第2スイッチングトランジスタと、を備える。
【0009】
このようなSRAMにおいて、前記第1及び第2CNTインバータは、それぞれ異なる型の2つのCNTトランジスタを備えるか、または同一型の2つのCNTトランジスタを備えうる。この時、前記異なる型のCNTトランジスタは、双極性型(Ambipolar)CNTトランジスタでありうる。また、前記同一型のCNTトランジスタは、n型またはp型CNTトランジスタでありうる。
【0010】
前記第1及び第2CNTインバータのうち少なくとも一つが前記同一型の2つのCNTトランジスタを備える場合、前記同一型の2つのCNTトランジスタのうち一つは、供給電圧に連結されたソースと前記ソースに連結されたゲートとを有しうる。
【0011】
前記第1及び第2CNTインバータの論理しきい電圧Vmは、入力電圧範囲の50±5%でありうる。また、前記第1及び第2CNTインバータはいずれも、電圧遷移特性曲線の接線の傾きが−1である電圧は、0.8Vmと1.2Vmでありうる。
【0012】
前記第1及び第2CNTトランジスタのうち少なくとも一つは、基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、相互離隔されたソース及びドレイン電極と、前記ソースと前記ドレインとの間に形成されたCNTチャンネルと、前記CNTチャンネルと前記ソース及びドレイン電極との上に形成され、前記ソース及びドレイン電極と部分的に重畳されるゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極と、を備えうる。
【0013】
前記第1スイッチングトランジスタのゲートは、ワードラインに連結され、前記第1スイッチングトランジスタの入力端は、第1ビットラインに連結され、前記第1スイッチングトランジスタの出力端は、前記第2CNTインバータの入力端に連結されうる。
【0014】
前記第2スイッチングトランジスタのゲートは、ワードラインに連結され、前記第2スイッチングトランジスタの入力端は、第2ビットラインに連結され、前記第2スイッチングトランジスタの出力端は、前記第1CNTインバータの入力端に連結されうる。
【0015】
本発明の他の実施形態によるSRAMは、相互連結された少なくとも2つのCNTインバータを備え、それぞれのインバータは、少なくとも2つのCNTトランジスタを備え、前記少なくとも2つのCNTトランジスタは、供給電圧とグラウンドとの間に直列に連結される。
【0016】
このようなSRAMにおいて、前記少なくとも2つのCNTトランジスタは、異なる型のCNTトランジスタまたは同じ型のCNTトランジスタでありうる。また、前記少なくとも2つのCNTトランジスタのうち少なくとも一つは、前述したような構成を有しうる。
【0017】
また、前記SRAMは、前記少なくとも2つのCNTインバータのうちの一方に連結された第1スイッチングトランジスタと、前記少なくとも2つのCNTインバータのうちの他方に連結された第2スイッチングトランジスタと、をさらに備えうる。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態によるSRAMは、少なくとも2つのCNTインバータを備え、それぞれのCNTインバータは、少なくとも2つのCNTトランジスタを備え、前記少なくとも2つのCNTトランジスタは、供給電圧とグラウンドとの間に直列に連結され、前記少なくとも2つのCNTトランジスタは、前記各CNTインバータがCMOS型とエンハンスメントロード型とのインバータのうち一つとなるように配列されている。
【0019】
このようなSRAMで、前記少なくとも2つのCNTトランジスタのうち少なくとも一つの構成は、前記と同一でありうる。また、前記SRAMは、前記少なくとも2つのCNTインバータのうちの一方に連結された第1スイッチングトランジスタと、前記少なくとも2つのCNTインバータのうちの他方に連結された第2スイッチングトランジスタと、をさらに備えうる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態によるSRAMは、チャンネルがCNT薄膜で構成されたトランジスタを備える。したがって、既存に一体のCNTを利用する時より、製造工程が非常に容易であり、特性の均一化も高められる。すなわち、同一製造工程で形成されるSRAM毎に特性が変わることを最小化できる。
【0021】
また、一つのCNT薄膜は、n型及びp型特性を共に表す双極特性を有している。本発明の実施形態によるSRAMは、このようなCNT薄膜を使用して形成されたCMOS型インバータを備えるところ、優れた動作特性を有しうる。
【0022】
また、CNT薄膜を備えるSRAMは、Si基板のSRAMより低い温度で製作できる。これにより、本発明の一実施形態によるSRAMは、フレキシブル基板やガラス基板に形成できるところ、広い分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態によるCNTを利用したSRAMの回路図である。
【図2】図1及び図4のCNTインバータに含まれたトランジスタの断面図である。
【図3】図1のSRAMの動作特性を示すグラフである。
【図4】本発明の他の実施形態によるCNTを利用したSRAMの回路図である。
【図5】図4のSRAMの動作特性を示すグラフである。
【図6】図1及び図4のSRAMのCNTインバータから測定できる電圧遷移特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態によるCNT(CNT:Carbon Nano Tube)を利用したSRAM(Static Random Access Memory)を、添付された図面を参照して詳細に説明する。この過程で、図面に示された層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して示した。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態によるSRAM(以下、第1SRAM)を示す回路図である。
【0026】
図1を参照すれば、第1SRAMは、第1ないし第6トランジスタQ〜Qを備える。第1及び第2トランジスタQ,Qは、第1インバータ40を形成するように配列されている。図1に示したように、第1トランジスタQと第2トランジスタQとは、供給電圧VDDとグラウンドとの間に直列に連結されている。第3及び第4トランジスタQ,Qは、第2インバータ42を形成するように配列されている。第3トランジスタQと第4トランジスタQとは、供給電圧VDDとグラウンドとの間に直列に連結されている。第1及び第2インバータ40,42は、フリップフロップ回路を形成するように配列されている。すなわち、第1インバータ40の出力は、第2インバータ42の入力に連結される。そして、第2インバータ42の出力は、第1インバータ40の入力に連結される。図1に示したように、第1インバータ40と第2インバータ42とは、供給電圧VDDとグラウンドとの間に連結される。第5及び第6トランジスタQ,Qは、前記第1SRAMでオン/オフスイッチとして寄与する。第5トランジスタQのゲートは、ワードラインWに連結されている。また、第5トランジスタQの一端またはターミナルは、第1ビットラインB1に連結される。第5トランジスタQの他端またはターミナルは、第1インバータ40の出力及び第2インバータ42の入力に連結される。第6トランジスタQの一端またはターミナルは、第2ビットラインB2に連結される。一方、第6トランジスタQの他端またはターミナルは、第2インバータ42の出力及び第1インバータ40の入力に連結される。第6トランジスタQのゲートは、ワードラインWに連結される。第1ビットラインB1がハイならば、第2ビットラインB2は、ローとなり、その逆も成立する。例えば、第1ビットラインB1に流れる信号値を1とすれば、第2ビットラインB2に流れる信号値は、0であり、その逆の場合も成立できる。
【0027】
第1インバータ40に備えられた第1及び第2トランジスタQ,Qは、それぞれn型トランジスタ及びp型トランジスタでありうる。第2インバータ42に備えられた第3及び第4トランジスタQ,Qも、それぞれn型トランジスタ及びp型トランジスタでありうる。第1ないし第4トランジスタQ〜Qは、チャンネルが薄膜CNTで形成されるCNTトランジスタでありうる。したがって、第1及び第2インバータ40,42は、CNTインバータでありうる。薄膜CNTは、少なくとも2つの単一壁CNTを含みうる。第1ないし第4トランジスタQ〜Qが、これと同一である場合、供給電圧VDDによって第1ないし第4トランジスタQ〜Qの型は、変わりうる。例えば、供給電圧VDDが正電圧である時、第1ないし第4トランジスタQ〜Qは、それぞれ図1に示したように、それぞれn型、p型、n型及びp型トランジスタの役割を行える。一方、供給電圧VDDが負電圧である時には、第1ないし第4トランジスタQ〜Qは、それぞれp型、n型、p型及びn型トランジスタの役割を行える。結果的に、第1及び第2インバータ40,42のトランジスタが、図2に示したようなCNTトランジスタである時、第1及び第2インバータ40,42のトランジスタは、それぞれ電源電圧VDDによってP型またはN型トランジスタとなりうる。すなわち、第1及び第2インバータ40,42のトランジスタは、それぞれ双極性型CNTトランジスタでありうる。これについてのさらに詳細な内容は、特許文献1を参照できる。
【0028】
図2は、第1ないし第4トランジスタQ〜Qとして使われるCNTトランジスタを示す。
【0029】
図2を参照すれば、基板10上に絶縁膜12が形成されている。基板10は、例えば、シリコン基板またはこれと類似した基板でありうる。絶縁膜12は、例えば、シリコン酸化膜でありうる。絶縁膜12上にソース及びドレイン電極21,22が存在する。ソース及びドレイン電極21,22は、ソース及びドレイン電極21,22間の絶縁膜12上に形成されたCNTチャンネル30によって相互離隔されている。CNTチャンネル30は、複数の単一壁CNTを含みうる。この場合に、前記複数の単一壁CNTは、絶縁膜12上に薄膜状に形成されることもあり、ソース及びドレイン電極21,22は、前記薄膜状に形成された複数の単一壁CNTとオーバーラップされることもある。CNTチャンネル30上にゲート絶縁膜35が形成されている。ゲート絶縁膜35は、ソース及びドレイン電極21,22とオーバーラップされることもある。ゲート絶縁膜35は、例えば、アルミニウム酸化膜でありうる。ゲート絶縁膜35上にゲート電極50が備えられている。
【0030】
前記第1SRAMは、CNT薄膜をチャンネルとして使用するトランジスタを備えるところ、Si基板のSRAMより低い温度で製作できる。したがって、前記第1SRAMは、ハード基板はもとより、フレキシブル基板やガラス基板にも形成できるところ、広い分野に適用できる。
【0031】
図3は、図1に示した第1SRAMの動作特性を示す図面であって、第1SRAMにデータを記録するための信号を印加した後、電気的に外部と孤立されたSRAMの動作特性を出力電圧の特性として示す。図3で、第1グラフG1は、電気的に孤立されたSRAMの第1及び第2インバータ40,42のうちいずれか一側の出力電圧を表し、第2グラフG2は、残りの一側の出力電圧を表すことができる。
【0032】
図3を参照すれば、前記第1SRAMの出力電圧は、ハイ状態(第2プロットG2)またはロー状態(第1プロットG1)において経時的に維持されている。前記第1SRAMの前記ハイ状態とロー状態とは、前記第1SRAMに記録されたデータを表している。したがって、図3の結果は、前記第1SRAMに記録されたデータが経時的に一定に、または実質的に一定に維持されることを意味する。
【0033】
図4は、本発明の他の実施形態によるSRAM(以下、第2SRAM)を示す回路図である。図4では、便宜上、図1の第5及び第6トランジスタQ5,Q6は、図示していない。
【0034】
図4を参照すれば、第2SRAMは、第1インバータ60と第2インバータ70とを備える。入力信号Vinは、第1インバータ60の入力に印加されうる。一例として、第1インバータ60の入力端は、前記入力信号Vinを発生させるように配列された第1オン/オフスイッチングトランジスタ(図示せず)に連結される。前記第1オン/オフスイッチングトランジスタは、図1の第5トランジスタQ5に対応できる。第2インバータ70の出力端は、出力信号Voutを出力できる。一例として、第2インバータ70の出力端は、第2オン/オフスイッチングトランジスタ(図示せず)に連結される。前記第2オン/オフスイッチングトランジスタは、図1の第6トランジスタQ6に対応できる。第1インバータ60は、第1及び第2トランジスタ60A,60Bを備えうる。第1及び第2トランジスタ60A,60Bは、図2に示したCNTトランジスタでありうる。この時、第1及び第2トランジスタ60A,60Bは、n型CNTトランジスタでありうる。
【0035】
第2インバータ70は、第3及び第4トランジスタ70A,70Bを備えうる。第3及び第4トランジスタ70A,70Bは、図2のCNTトランジスタでありうる。この時、第3及び第4トランジスタ70A,70Bは、n型CNTトランジスタでありうる。
【0036】
図4に示したように、第2トランジスタ60Bのゲートは、供給電圧VDDにも連結された第2トランジスタ60Bのターミナル(例えば、ソース)に連結される。また、第4トランジスタ70Bのゲートは、第4トランジスタ70Bのターミナル(例えば、ソース)に連結される。したがって、第1及び第2インバータ60,70は、エンハンスメントロード型インバータとなりうる。第1ないし第4トランジスタ60A,60B,70A,70Bは、CNTチャンネルを含むところ、前記第2SRAMは、抵抗1個の一般電界効果トランジスタ1個で構成されるレジスタロード型インバータを備える既存のSRAMに比べて、移動度は高く、消費電力は低い。
【0037】
図5は、図4に示した第2SRAMの動作特性を示した図面であって、入力信号Vinの高低による出力信号Voutの変化を示す。
【0038】
図5で、第1プロットG11は、入力信号Vinの変化を示し、第2プロットG22は、入力信号Vinの変化による出力信号Voutの変化を示す。
【0039】
第1及び第2グラフG11,G22を参照すれば、入力信号Vinがハイである時、出力信号Voutは、ローであり、入力信号Vinがローである時、出力信号Voutは、ハイである。入力信号と出力信号とのこのような関係は、経時的に規則的に反復されつつ、維持される。図5の結果は、入力信号Vinの入力位置と関係ない。図5の結果から第2SRAMの場合、入力信号Vinの入力位置に関係なく、入力信号による出力信号のスイッチング特性は、経時的に維持されることが分かる。
【0040】
図6は、本発明の第1及び第2SRAMのCNTインバータから測定できる電圧遷移特性を示す。
【0041】
図6で、L1は、傾きが+1である直線を表す。Vmは、論理しきい電圧を表す。前記論理しきい電圧は、入力電圧Vinがハイなのかローなのかを決定するために使用するしきい電圧である。論理しきい電圧Vmは、電圧遷移特性曲線L2と傾きが+1である直線L1とが出合う電圧を表す。論理しきい電圧Vmの付近で安定的なスイッチング動作を得るために、あるいはスイッチング動作の信頼性を確保するために、論理しきい電圧Vmを特定電圧、すなわち、単一値に設定するより、与えられた範囲を有する電圧に設定できる。例えば、論理しきい電圧Vmを入力電圧Vin(または出力電圧Vout)の50±5%に設定できる。図6のように、入力電圧Vinの範囲が0〜2.5Vである時、論理しきい電圧Vmは、前記入力電圧Vinの範囲の約45%〜55%でありうる。この場合に、前記論理しきい電圧Vmは、約1Vより高く、約1.5Vより低い。
【0042】
図6で、第1及び第2入力電圧VIL,VIHは、ゲインが1となるポイントの入力電圧に当たる。言い換えれば、第1及び第2入力電圧VIL,VIHは、電圧遷移特性曲線L2で接線の傾きが−1である地点の入力電圧を表す。電圧遷移特性曲線L2において、入力電圧が第1入力電圧VILより高くなる時、出力電圧Voutは、急に低くなる。入力電圧Vinが第1入力電圧VILとなる時、入力電圧Vinは、ローからハイになり始める一方、出力電圧Voutは、ハイからローになり始めることが分かる。そして、入力電圧Vinが第2入力電圧VIHとなるまで、出力電圧Voutは、急に低下する。入力電圧Vinが第2入力電圧VIHより高いかまたは同じである時、出力電圧Voutの低下幅は、小さくなり、最終的に、出力電圧Voutは0となる。したがって、入力電圧Vinが第2入力電圧VIHより高いかまたは同じである時、入力電圧Vinは、ハイ(例えば、完全にハイ)となり、出力電圧Voutは、ロー(例えば、完全にロー)となる。入力電圧Vinが第1入力電圧VILより高い時、出力電圧Voutが急に低下するが、出力電圧Voutが完全にローとなるのは、入力電圧Vinが第2入力電圧VIHより高いかまたは同じである時である。逆に、入力電圧Vinが初期にハイである時、出力電圧Voutはローであり、このように、入力電圧Vinが第1入力電圧VILより低いかまたは同じとなる時、出力電圧Voutは、ハイとなる。したがって、入力電圧Vinが第1入力電圧VILと第2入力電圧VIHとの間である時には、出力電圧Voutのハイ、ロー状態は、以前の状態に維持される。第1入力電圧VILは、論理しきい電圧Vmより低く、第2入力電圧VIHは、論理しきい電圧Vmより高い。第1入力電圧VILは、例えば、論理しきい電圧Vmの80%、すなわち、0.8Vmでありうる。そして、第2入力電圧VIHは、例えば、論理しきい電圧Vmの120%、すなわち、1.2Vmでありうる。
【0043】
前記説明で多くの事項が具体的に記載されているが、それらは、本発明の範囲を限定するものではなく、望ましい実施形態の例示として解釈されねばならない。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態によって決定されず、特許請求の範囲に記載された技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、SRAMが使われるすべての電子装置に使われうる。
【符号の説明】
【0045】
40 第1インバータ
42 第2インバータ
〜Q 第1ないし第6トランジスタ
DD 供給電圧
W ワードライン
B1,B2 第1及び第2ビットライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1CNTトランジスタを備える第1CNTインバータと、
少なくとも第2CNTトランジスタを備え、前記第1CNTインバータに連結された第2CNTインバータと、
少なくとも前記第1CNTインバータに連結された第1スイッチングトランジスタと、
少なくとも前記第2CNTインバータに連結された第2スイッチングトランジスタと、を備えるSRAM。
【請求項2】
前記第1及び第2CNTインバータは、それぞれ異なる型のCNTトランジスタ2個を備えるか、または同一型のCNTトランジスタ2個を備えることを特徴とする請求項1に記載のSRAM。
【請求項3】
前記異なる型のCNTトランジスタは、双極性型CNTトランジスタであることを特徴とする請求項2に記載のSRAM。
【請求項4】
前記同一型のCNTトランジスタは、n型またはp型CNTトランジスタであることを特徴とする請求項2に記載のSRAM。
【請求項5】
前記第1及び第2CNTインバータのうち少なくとも一つが前記同一型のCNTトランジスタ2個を備える場合、前記同一型のCNTトランジスタ2個のうち一つは、供給電圧に連結されたソースと前記ソースに連結されたゲートとを有することを特徴とする請求項1に記載のSRAM。
【請求項6】
前記第1及び第2CNTインバータの論理しきい電圧Vmは、入力電圧の範囲の50±5%であることを特徴とする請求項1に記載のSRAM。
【請求項7】
前記第1及び第2CNTインバータはいずれも、電圧遷移特性曲線で接線の傾きが−1である電圧が、0.8Vmと1.2Vmであることを特徴とする請求項6に記載のSRAM。
【請求項8】
前記第1及び第2CNTインバータはいずれも、電圧遷移特性曲線で接線の傾きが−1である電圧が、0.8Vmと1.2Vmとであることを特徴とする請求項1に記載のSRAM。
【請求項9】
前記第1及び第2CNTトランジスタのうち少なくとも一つは、
基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されて相互離隔されたソース及びドレイン電極と、
前記ソースと前記ドレインとの間に形成されたCNTチャンネルと、
前記CNTチャンネルと前記ソース及びドレイン電極との上に形成され、前記ソース及びドレイン電極と部分的に重畳されるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のSRAM。
【請求項10】
前記第1スイッチングトランジスタのゲートは、ワードラインに連結され、前記第1スイッチングトランジスタの入力端は、第1ビットラインに連結され、前記第1スイッチングトランジスタの出力端は、前記第2CNTインバータの入力端に連結されることを特徴とする請求項1に記載のSRAM。
【請求項11】
前記第2スイッチングトランジスタのゲートは、ワードラインに連結され、前記第2スイッチングトランジスタの入力端は、第2ビットラインに連結され、前記第2スイッチングトランジスタの出力端は、前記第1CNTインバータの入力端に連結されることを特徴とする請求項10に記載のSRAM。
【請求項12】
相互連結された少なくとも2つのCNTインバータを備え、それぞれのインバータは、少なくとも2つのCNTトランジスタを備え、前記少なくとも2つのCNTトランジスタは、供給電圧とグラウンドとの間に直列に連結されたSRAM。
【請求項13】
前記少なくとも2つのCNTトランジスタは、異なる型のCNTトランジスタであることを特徴とする請求項12に記載のSRAM。
【請求項14】
前記少なくとも2つのCNTトランジスタは、同じ型のCNTトランジスタであることを特徴とする請求項12に記載のSRAM。
【請求項15】
前記少なくとも2つのCNTトランジスタのうち少なくとも一つは、
基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されて相互離隔されたソース及びドレイン電極と、
前記ソースと前記ドレインとの間に形成されたCNTチャンネルと、
前記CNTチャンネルと前記ソース及びドレイン電極との上に形成され、前記ソース及びドレイン電極と部分的に重畳されるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極と、を備えることを特徴とする請求項12に記載のSRAM。
【請求項16】
前記少なくとも2つのCNTインバータのうちの一方に連結された第1スイッチングトランジスタと、
前記少なくとも2つのCNTインバータのうちの他方に連結された第2スイッチングトランジスタと、をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載のSRAM。
【請求項17】
前記少なくとも2つのCNTトランジスタのうち少なくとも一つは、
基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されて相互離隔されたソース及びドレイン電極と、
前記ソースと前記ドレインとの間に形成されたCNTチャンネルと、
前記CNTチャンネルと前記ソース及びドレイン電極との上に形成され、前記ソース及びドレイン電極と部分的に重畳されるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極と、を備えることを特徴とする請求項16に記載のSRAM。
【請求項18】
少なくとも2つのCNTインバータを備え、それぞれのCNTインバータは、少なくとも2つのCNTトランジスタを備え、前記少なくとも2つのCNTトランジスタは、供給電圧とグラウンドとの間に直列に連結され、前記少なくとも2つのCNTトランジスタは、前記各CNTインバータがCMOS型及びエンハンスメントロード型のインバータのうち一つとなるように配列されたSRAM。
【請求項19】
前記少なくとも2つのCNTトランジスタのうち少なくとも一つは、
基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されて相互離隔されたソース及びドレイン電極と、
前記ソースとドレイン電極との間に形成されたCNTチャンネルと、
前記CNTチャンネルと前記ソース及びドレイン電極との上に形成され、前記ソース及びドレイン電極と部分的に重畳されるゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極と、を備えることを特徴とする請求項18に記載のSRAM。
【請求項20】
前記少なくとも2つのCNTインバータのうちの一方に連結された第1スイッチングトランジスタと、
前記少なくとも2つのCNTインバータのうちの他方に連結された第2スイッチングトランジスタと、をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載のSRAM。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−192901(P2010−192901A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33589(P2010−33589)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【出願人】(507076931)成均▲館▼大學校 産學協力團 (12)
【Fターム(参考)】