説明

無線通信機能付ヘッドセット、無線通信システム及びコンピュータプログラム

【課題】
接続した携帯電話機を視認することなく携帯電話機の通話相手の情報を確認することのできる無線通信機能付ヘッドセットを提供すること。
【解決手段】
本発明における無線通信機能付ヘッドセットは、通話相手と通話網を介して音声通話可能な通信機器と無線通信可能に接続され、当該通話相手と当該通信機器を介して音声通話可能な無線通信機能付ヘッドセットであって、通信機器の着呼に応じて当該通信機器より送信された発呼者情報を受信する受信手段と、受信手段により受信した発呼者情報を表示する表示手段を備えた無線通信機能付ヘッドセットである。このような構成により、利用者は接続した電子機器を視認することなく電子機器の通話相手の情報を確認することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信機能付ヘッドセット、無線通信システム及びコンピュータプログラムに関するものであり、より詳細には、外部機器と無線通信を行う無線通信機能付ヘッドセット、無線通信システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線LAN(Local Area Network)やブルートゥース(Bluetooth:登録商標)などの様々な無線通信技術が発展してきている。無線LANは高速転送が可能であることから主にPC(Personal Computer)間の通信手段の1つとして使用されている。一方、ブルートゥースは低消費電力であることを特長に、欧州の携帯電話機で標準搭載されるようになり、普及が始まっている。欧州の携帯電話機にこのような無線通信機能が普及するようになった背景として、車を運転する際の携帯電話の使用を規制する法律の制定などにより、運転中に携帯電話を使用する場合にハンズフリー機能を備えたヘッドセットなどが必要になったことがある。日本国内でもこのような法規制が進み、無線通信機能を備えた携帯電話機が発売されるようになってきた。
【0003】
ここでヘッドセットとはマイクとヘッドフォンの機能を有するものである。ハンズフリー機能とは機器を手で持たなくても、スピーカやマイクを通して通話可能にする機能である。特に車載用の製品の場合に、ハンドルを持ったままで通話可能にする機能をハンズフリー機能と呼ぶ場合が多い。ハンズフリー機能を備えたヘッドセットにはモノラル音声を出力する片耳タイプと、ステレオ音声を出力する両耳タイプとがある。
【0004】
従来、携帯電話とケーブルで接続して使用するヘッドセットがあったが、取り出すときにケーブルが絡まってしまい、短時間で装着できないなどの問題があった。ブルートゥースによる無線通信機能を有するヘッドセットは容易に装着が可能であり、使い勝手が良い。特許文献1では、ヘッドセットを無線で携帯電話と接続し、ヘッドセットで送受話が可能であると共に、ヘッドセットにおいて携帯電話の様々な状態(バッテリー、電波、着呼の内容、等)を認識可能として、携帯電話がかばんの中等に入れたままにしても使い勝手を失わないようにしている。
【特許文献1】特開2002−10358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話機では電話がかかってきたときに、相手の電話番号が液晶画面に表示されたり、あるいはアドレス帳に登録された電話番号の場合は登録された名前が液晶画面に表示されたりする。それにより、発呼者が誰かを電話に出ることなく確認することができるため、特にいたずら電話等の対策に有効である。無線通信機能付ヘッドセットを使うメリットの一つとして、携帯電話機を落しやすいポケットではなく、かばんの中に入れてヘッドセットだけを身につけておけばよいというメリットがある。しかし、従来までのヘッドセットは表示手段を持たないので、携帯電話機をかばんの中に入れてしまうと、携帯電話機の液晶画面を見れば知ることができる情報が確認することができないという問題点があった。
【0006】
これに対して、特許文献1の方法では、携帯電話機を視認することなく携帯電話機の状態や音声通話の着呼をヘッドセットにより認識する方法が提案されたが、特許文献1に開示された方法によれば発信音により携帯電話機の状態等を通知するため、発信音が聞こえるようにヘッドセットを装着しておかなければならなかった。また、発信音により音声通話の着呼を認知することができても、発呼者が誰かまでは認知することができなかった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、接続した携帯電話機を視認することなく携帯電話機の通話相手の情報を確認することのできる無線通信機能付ヘッドセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における無線通信機能付ヘッドセットは、通話相手と通話網を介して音声通話可能な通信機器と無線通信可能に接続され、当該通話相手と当該通信機器を介して音声通話可能な無線通信機能付ヘッドセットであって、前記通信機器の着呼に応じて当該通信機器より送信された発呼者情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した発呼者情報を表示する表示手段を備えた無線通信機能付ヘッドセットである。このような構成により、利用者は接続した電子機器を視認することなく電子機器の通話相手の情報を確認することが可能となる。
【0009】
前記無線通信機能付ヘッドセットは、更に、前記電子機器の着呼に応じて前記電子機器に対して受話を行う指示を入力する入力手段を備え、前記受話を行う指示の入力に応じて、前記無線通信手段により前記電子機器に対して受話を行う指示を送信することを特徴としてもよい。こうすることにより、受話時にも携帯電話機を手に取る必要が無く、利便性が増す。
【0010】
前記表示手段は、少なくとも1つ以上のLED(Light Emitting Diode)の点灯状態の変化によって表示を実行することを特徴としてもよい。こうすることにより、小型化が可能となる。
【0011】
前記発呼者情報は発呼者の電話番号及び/又は発呼者の名前であることを特徴としてもよい。
【0012】
前記無線通信機能付ヘッドセットは、音声入力者の発生した音声による振動を当該音声入力者の骨の振動により検出する骨伝導マイクを有することを特徴としてもよい。こうすることにより、小型化が可能となる。
【0013】
本発明における無線通信システムは、通話相手と通話網を介して音声通話可能な通信機器と、前記通信機器と無線通信可能に接続され、当該通話相手と前記通信機器を介して音声通話可能な無線通信機能付ヘッドセットを備えた無線通信システムであって、前記通信機器は、着呼に応じて発呼者情報を受信する手段と、前記無線通信機能付ヘッドセットに対して、前記受信する手段により受信した発呼者情報を送信する手段を有し、前記無線通信機能付ヘッドセットは、前記通信機器の着呼に応じて当該通信機器より送信された発呼者情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した発呼者情報を表示する表示手段を有する無線通信システムである。このような構成により、利用者は接続した携帯電話機を視認することなく携帯電話機の通話相手の情報を確認することが可能となる。
【0014】
前記無線通信機能付ヘッドセットは、更に、前記通信機器に対して受話を実行させる受話要求を入力する入力手段と、前記入力手段によって受話要求が入力された場合に、前記通信機器に対して前記入力手段により入力された受話要求を送信する送信手段を有し、前記通信機器は、前記無線通信機能付ヘッドセットから受話要求を受信する手段と、前記受信する手段により受信した受話要求に応じて受話を実行する手段を有することを特徴としてもよい。こうすることにより、受話時にも携帯電話機を手に取る必要が無く、利便性が増す。
【0015】
前記表示手段は、少なくとも1つ以上のLEDの点灯状態の変化によって表示を実行することを特徴としてもよい。こうすることにより、小型化が可能となる。
【0016】
前記発呼者情報は発呼者の電話番号及び/又は発呼者の名前であることを特徴とを特徴としてもよい。
【0017】
前記無線通信機能付ヘッドセットは、音声入力者の発生した音声による振動を当該音声入力者の骨の振動により検出する骨伝導マイクを有することを特徴としてもよい。こうすることにより、小型化が可能となる。
【0018】
本発明における無線通信システムは、電子メール機能を有する通信機器と、当該通信機器と無線通信可能に接続された無線通信機能付ヘッドセットを備えた無線通信システムであって、前記通信機器は、自身に対して電子メール送信を行った送信者に関する送信者情報を受信する受信手段と、前記無線通信機能付ヘッドセットに対して、前記送信者情報を送信する無線通信手段を有し、前記無線通信機能付ヘッドセットは、前記通信機器から前記送信者情報を受信する無線通信手段と、前記送信者情報を表示する表示手段を有する無線通信システムである。このような構成により、利用者は接続した電子機器を視認することなく電子機器のメール送信者の情報を確認することが可能となる。
【0019】
本発明における無線通信システムは、電子メール機能を有する通信機器と、当該通信機器と無線通信可能に接続された無線通信機能付ヘッドセットを備えた無線通信システムであって、前記通信機器は、前記無線通信機能付ヘッドセットに対して、当該通信機器が受信した電子メールの一部または全部を送信する送信手段を有し、前記無線通信機能付ヘッドセットは、前記通信機器から前記電子メールの一部または全部を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した電子メールの一部または全部の表示を行う表示手段を有する無線通信システムである。このような構成により、利用者は接続した電子機器を視認することなく電子機器のメール内容についての情報を確認することが可能となる。
【0020】
本発明におけるコンピュータプログラムは、通話相手と通話網を介して音声通話可能な通信機器に、前記通信機器と無線通信可能に接続され当該通話相手と前記通信機器を介して音声通話可能な無線通信機能付ヘッドセットに対し情報を送信させるコンピュータプログラムであって、当該通信機器の着呼を認識するステップと、着呼時に発呼者情報を受信するステップと、前記受信するステップにより受信した発呼者情報に基づいて当該通信機器の記憶手段に備えた発呼者に関する情報と関連付けられた発呼者情報を取得するステップと、取得した発呼者情報を前記ヘッドセットに送信するステップとを通信機器に実行させるコンピュータプログラムである。このような構成により、利用者は接続した携帯電話機を視認することなく携帯電話機の通話相手の情報を確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、接続した携帯電話機を視認することなく携帯電話機の通話相手の情報を確認することのできる無線通信機能付ヘッドセットを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる無線通信システムの構成例を示す図である。無線通信機能付ヘッドセット1(以下、ヘッドセット1)と携帯電話機2が無線通信により接続されている。携帯電話機2は、ヘッドセット1と無線通信を行う無線通信機能を内蔵する。ヘッドセット1は、携帯電話機2を介して無線による音声通信を行うことが可能である。また、図1の例では、ヘッドセット1と携帯電話機2は1:1で接続されているが、1:n、つまりヘッドセット1の他に他の無線通信機器との間で無線通信を行うことができるような構成であってもよい。
【0023】
ここでの無線通信の方法は特に限定されないが、代表的なものとしてブルートゥースによる無線通信が挙げられる。ブルートゥースは、近距離の無線通信方式の代表的なものであり、例えば携帯電話機やヘッドセットのブルートゥース規格に準拠した無線通信手段を備えた装置間を2.4GHz帯域の微弱電波による無線通信リンクで接続し、音声やデータ等の信号を無線通信により送受信する。
【0024】
基地局3は、携帯電話機2と公衆回線との接続を行う装置であり、携帯電話機2と無線通信を行う機能を有する。一般に、基地局3は全国各地の電柱やビルの屋上、電話ボックス、地下鉄ホームの天井などに設置されており、基地局3と無線通信可能なエリアが携帯電話機2の通話可能エリアである。
【0025】
携帯電話機2を使用する場合は、基地局3と無線通信を行うことで、公衆回線に接続できるようになり、公衆回線に接続された他の携帯電話や一般の固定電話の通話相手4と通話が可能となる。事前にヘッドセット1を携帯電話機2と接続しておくことにより、通話相手4から携帯電話機2に電話がかかってきたときに、ヘッドセット1で通話を行うことが可能である。または、携帯電話機2にヘッドセット1を初期登録してあれば、普段は携帯電話機2とヘッドセット1を接続しておかなくても、携帯電話機2に電話がかかってきたときにヘッドセット1の受話ボタンを押すことで、通話を行うことも可能である。この場合、ヘッドセット1が携帯電話機2を探しにいき、見つかった携帯電話機2の初期登録済みデバイスのリストにヘッドセット1が存在したときに、ヘッドセット1と携帯電話機2が接続され、通話が可能となる。
【0026】
図2は、本発明におけるヘッドセット1の構成を示すブロック図である。ヘッドセット1は、制御手段100、表示手段101、入力手段102、近距離無線通信手段103、アンテナ104、近距離無線コーデック105、マイク106、A/D変換手段107、スピーカ108、D/A変換手段109を備える。
【0027】
制御手段100は、ヘッドセット1における各種制御を実行する手段であり、CPU(Central Processing Unit)等により構成される。各種制御はプログラムにより行われる。表示手段101は、携帯電話機2から受信した情報を表示するための手段である。表示手段101は、携帯電話機2から受信した情報を表示可能であればその表示方法は特に限定されないが、屋外での利用も想定されるため、屋外でも視認性に優れるものが好ましい。本実施例では、表示手段101は、液晶ディスプレイである。
【0028】
入力手段102は、利用者がヘッドセット1への指示や要求を入力するための手段である。指示や要求を入力することができれば具体的な手段は限定されないが、キーボードや入力ボタン等の簡単に入力できる手段であることが好ましい。
【0029】
近距離無線通信手段103は、携帯電話機2との間で無線通信により音声及びデータの送受信を行うための手段である。アンテナ104は近距離無線通信手段103と接続されており、近距離無線通信手段103から入力した信号を電波信号に変換して送信し、受信した電波信号を電気信号に変換して近距離無線通信手段103に出力する。近距離無線コーデック105は、近距離無線通信手段103により受信した電気信号をデジタル信号に復号化し、D/A変換手段109へ出力する。また、近距離無線コーデック105は、A/D変換手段107から入力したデジタル信号の符号化を行い、近距離無線通信手段103に出力する。
【0030】
マイク106は、音声入力を行う手段であり、入力された音声をアナログ音声信号に変換する。変換したアナログ音声信号はA/D変換手段107へ出力される。A/D変換手段107は、マイク106から入力したアナログ音声信号をデジタル信号に変換する。スピーカ108は、D/A変換手段109から入力したアナログ音声信号に基づき、実際の音声を出力する手段である。D/A変換手段109は、近距離無線コーデック105から入力したデジタル信号をアナログ音声信号へ変換し、スピーカ108へ出力する。
【0031】
図3は、本発明における携帯電話機2の構成を示すブロック図である。携帯電話機2は、制御手段200、表示手段201、入力手段202、近距離無線通信手段203、アンテナ204、近距離無線コーデック205、マイク206、A/D変換手段207、スピーカ208、D/A変換手段209、移動体無線通信手段210、アンテナ211、移動体無線通信コーデック212、セレクタ213、記憶手段214を備える。
【0032】
制御手段200は、携帯電話機2における各種制御を実行する手段であり、CPU(Central Processing Unit)等により構成される。各種制御はプログラムにより行われる。表示手段201は、携帯電話機2の備える各種情報を表示するための手段である。表示手段201は、携帯電話機2の備える各種情報を表示可能であればその表示方法は特に限定されないが、屋外での利用も想定されるため、屋外でも視認性に優れるものが好ましい。本実施例では、表示手段201は、液晶ディスプレイである。
【0033】
入力手段202は、利用者が携帯電話機2への指示や要求を入力するための手段である。指示や要求を入力することができれば具体的な手段は限定されないが、キーボードや入力ボタン等の簡単に入力できる手段であることが好ましい。
【0034】
近距離無線通信手段203は、ヘッドセット1との間で無線通信により音声及びデータの送受信を行うための手段である。アンテナ204は近距離無線通信手段203と接続されており、近距離無線通信手段203から入力した信号を電波信号に変換して送信し、受信した電波信号を電気信号に変換して近距離無線通信手段203に出力する。近距離無線コーデック205は、近距離無線通信手段203により受信した電気信号をデジタル信号に復号化し、D/A変換手段209へ出力する。また、近距離無線コーデック205は、A/D変換手段207から入力したデジタル信号の符号化を行い、近距離無線通信手段203に出力する。
【0035】
マイク306は、音声入力を行う手段であり、入力された音声をアナログ音声信号に変換する。変換したアナログ音声信号はA/D変換手段307へ出力される。A/D変換手段307は、マイク306から入力したアナログ音声信号をデジタル信号に変換する。スピーカ308は、D/A変換手段309から入力したアナログ音声信号に基づき、実際の音声を出力する手段である。D/A変換手段309は、近距離無線コーデック305から入力したデジタル信号をアナログ音声信号へ変換し、スピーカ308へ出力する。
【0036】
移動体無線通信手段210は、基地局3を介して公衆回線に接続された他の端末と音声やデータの通信を行うための手段である。アンテナ211は、移動体無線通信手段210と接続されており、移動体無線通信手段210から入力した電気信号を電波信号に変換して送信し、受信した電波信号を電気信号に変換して移動体無線通信手段210に対して出力する。移動体無線通信コーデック212は、移動体無線通信手段210から出力された電気信号をデジタル信号に復号化する。また、入力したデジタル信号を符号化し、移動体無線通信手段210へ出力する。セレクタ213は、携帯電話機2が備える2種類の無線通信手段のどちらに指示を送るかを決定するセレクタである。
【0037】
記憶手段214は、主として、電話帳の情報等の情報を格納する手段である。記憶手段214は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のように、携帯電話機2の電源を落としても内容が消えないものが望ましい。
【0038】
ここで、携帯電話機2の備える電話帳機能について簡単に説明する。電話帳機能は、近年、ほとんどの携帯電話機が備えている機能である。図4は、記憶手段214に格納される電話帳情報の一例である。図4に示すように記憶手段214には、名前と電話番号が関連付けて格納されている。記憶手段214に格納された名前が表示手段201による表示され、利用者は表示された名前の中から電話をかけたい相手を入力手段202により選択し、決定することにより、制御手段200は記憶手段214に格納された、選択した名前と関連付けられた電話番号に対する発呼処理を行う。このようにして、利用者は、電話番号を調べたり入力したりすることなくかけたい相手に電話をかけることが可能となる。また、着呼時には逆に、発呼者電話番号が記憶手段214に格納されているかを確認し、格納されている場合は、その電話番号と関連付けられた名前を携帯電話機2の備える表示手段201に表示することにより、利用者に発呼者が誰であるかを電話番号よりも分かりやすい名前を表示することにより通知する。
【0039】
続いて、図5に示すシーケンス図を用いて、本発明の実施の形態1におけるヘッドセット1及び携帯電話機2の処理の流れについて説明する。ヘッドセット1と携帯電話機2は無線通信が可能な状態にあり、携帯電話機2は通話エリア圏内にある、つまり基地局3を介して公衆回線と接続可能な状態にある。
【0040】
まず、携帯電話機2が着呼を確認する(S101)。着呼の確認は、公衆回線網から基地局3を介して着呼情報を受信することにより行われる。このとき、発呼者側が番号通知を行っていれば、発呼者の電話番号の情報も合わせて受信される。このようにして、携帯電話機2は発呼者の電話番号の取得を行う(S102)。番号通知が行われていない場合、携帯電話機2は、「番号非通知」「番号通知不可能」などを示す情報を発呼者の電話番号の代わりに受信する。
【0041】
携帯電話機2の制御手段200は着呼を確認し、発呼者の電話番号を取得すると、取得した電話番号が記憶手段214に格納した電話帳情報に含まれる電話番号と一致するかどうかを確認する(S103)。例えば、記憶手段214に格納された電話帳情報が図4に示すような内容であり、発呼者の電話番号が「123−4567−8900」であった場合、「山田 太郎」の名前と関連付けて格納された電話番号が発呼者の電話番号と一致する。制御手段200は、発呼者の電話番号が電話帳の情報に備えられた電話番号と一致すると判定した場合(S104)、電話帳の情報の中から発呼者の電話番号と関連付けられた名前の情報を発呼者情報として取得する(S105)。制御手段200は、一致する電話番号がないと判定した場合、発呼者の電話番号をそのまま発呼者情報として取得する(S106)。そして、発呼者の名前または電話番号が含まれた発呼者情報を近距離無線通信手段203等により、着呼情報と共にヘッドセット1へ送信する(S107)。このとき、着信メロディ等の着呼時にヘッドセット1側で鳴らす音声データを同時に送信するようにしてもよい。
【0042】
ヘッドセット1は、携帯電話機2から近距離無線通信手段103により着呼情報と発呼者情報を受信すると、表示手段101により発呼者情報の表示を行う(S108)。この時、携帯電話機2の電話帳情報に格納された電話番号と発呼者の電話番号が一致した場合は、携帯電話機2の記憶手段214に格納された発呼者の名前が表示され、一致しなかった場合は、発呼者の電話番号が表示される。また、このとき、音声データを同時に受信していた場合は、音声データを鳴らすことによりユーザーに着信通知を行う。図6は、表示手段101により発呼者情報が表示されたヘッドセット1の概略図である。図6(a)は、発呼者の電話番号が表示された場合、図6(b)は、発呼者の名前が表示された場合である。可能であれば、発呼者の電話番号と名前を同時に表示するようにしてもよい。このようにしてヘッドセット1に表示手段を設け、名前や電話番号を表示することにより、利用者は携帯電話機2の表示手段を視認することなく、発呼者を確認することが可能となる。
【0043】
着呼者つまりヘッドセット1の利用者は、表示手段101に表示された発呼者情報を視認することにより、受話の必要の有無を判断することができる。利用者が通話をしたいと判断した場合は、入力手段102により受話の要求を入力する。入力手段102としては、単に押すだけでよいボタン等の操作が容易な手段であることが望ましい。受話の要求が入力された場合(S109)、受話指示の信号を近距離無線通信手段103により、携帯電話機2へ送信する(S110)。
【0044】
携帯電話機2は、ヘッドセット1からの受話要求の信号を受信すると(S111)、携帯電話機2側の受信処理を行う(S112)。携帯電話機2側の受信処理が完了すると、携帯電話機2は通話可能な状態となる。
【0045】
図7は通話中及び通話終了時のヘッドセット1及び携帯電話機2の処理の流れを示すシーケンス図である。通話中は、ヘッドセット1と携帯電話機2間で音声データの送受信が行われる(S201)。具体的には、携帯電話機2は、公衆回線網から基地局3を介して受信した通話相手の音声データを近距離無線通信手段203によりヘッドセット1へ送信する。ヘッドセット1は、近距離無線通信手段103により携帯電話機2から受信した通話相手の音声の電気信号を近距離無線コーデック105によりデジタル信号へ復号する。復号されたデジタル信号は、D/A変換手段109によりアナログ音声信号へ変換され、スピーカ108により音声として出力される。逆に利用者の音声は、マイク106により入力されA/D変換手段107によりデジタル信号へ変換される。変換されたデジタルデータは近距離無線コーデック105により符号化され、近距離無線通信手段103により電気信号として携帯電話機2へ送信される。携帯電話機2は、近距離無線通信手段203によりヘッドセット1からの音声の電気信号を受信すると、近距離無線コーデック205によりデジタル信号への復号化が行われる。復号されたデジタル信号は移動体通信コーデックで再度符号化され、移動体無線通信手段210により基地局3を介して公衆回線網へ送信される。このようにして、ヘッドセット1から入力した音声データが通話相手へ送信される。
【0046】
利用者が通話を終了したい場合、入力手段102により終了の指示を入力する。終了の指示が入力された場合(S202)、終了指示の信号を近距離無線通信手段103により、携帯電話機2へ送信する(S203)。携帯電話機2は、近距離無線通信手段203によりヘッドセット1から終了の指示を入力すると(S204)、携帯電話機2側の通話終了の処理を行う(S205)。これで通話が完了となる。
【0047】
発明の実施の形態2.
上述の例では、表示手段101を液晶ディスプレイであるとしたが、1つあるいは複数のLED(Light Emitting Diode)としてもよい。この場合、条件を満たしている場合にLEDが点滅、点灯、消灯、あるいは色が変化する、即ち、LEDの点灯状態を変化させることにより利用者に通知を行うことが可能となる。このときの条件は、発呼者が番号通知を行っている、発呼者が携帯電話機2の電話帳に登録されている番号である、等携帯電話機2側で設定できるようにすることが可能である。また、条件を複数設定して、それぞれの条件に応じて点滅と点灯を切り替えたり、点滅・点灯の色を変えたり、LEDが複数ある場合はどのLEDを点滅・点灯させるかを切り替えたりしてもよい。表示手段をLEDとすることにより、液晶ディスプレイの場合よりもサイズを小さくすることが可能となる。
【0048】
発明の実施の形態3.
発明の実施の形態2とは逆に表示手段101により表示される情報の種類や量を増やすことも可能である。例えば、発呼者の電話番号や発呼者の名前のみならず、発呼者の写真や似顔絵などの画像データを携帯電話機2より受信し、表示するようにしてもよい。また、通話だけでなく、電子メールの送信者のメールアドレスやメールのタイトル、本文を表示するようにしてもよい。更には、携帯電話機2の備える表示手段201と全く同じ表示手段を用意し、全く同じ内容を表示するようにしてもよい。
【0049】
発明の実施の形態4.
ヘッドセット1の備えるマイク106は、骨伝導マイクでもよい。骨伝導マイクとは、発声者の音声を空気の振動により検出するのではなく、発声者の声帯の振動が頭部に伝わり頭蓋骨などの声帯付近の骨の振動を検出することにより音声入力を行うマイクである。骨伝導マイクは、発声者の口元に備える必要が無く、発声者の耳元に備え、耳元付近の骨の振動を検出することも可能であるため、スピーカと一体化することができるため、ヘッドセット1を小型化することが可能となる。
【0050】
その他の発明の実施の形態.
上述の例では、携帯電話機による音声通話であったが、インターネット回線を利用したIP(Internet Protocol)電話機能を備えた電話機あるいはPDA(Personal Digital Assistant)や、固定電話機との間で無線通信を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明における無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明における無線通信機能付ヘッドセットの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明における携帯電話機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明における電話帳情報の一例を示す図である。
【図5】本発明における無線通信機能付ヘッドセット及び携帯電話機の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図6】本発明における発呼者情報が表示されたヘッドセット1の概略図である。
【図7】本発明における無線通信機能付ヘッドセット及び携帯電話機の処理の流れを示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0052】
1 無線通信機能付ヘッドセット
2 携帯電話機
3 基地局
4 通話相手
100 制御手段
101 表示手段
102 入力手段
103 近距離無線通信手段
104 アンテナ
105 近距離無線コーデック
106 マイク
107 A/D変換手段
108 スピーカ
109 D/A変換手段
200 制御手段
201 表示手段
202 入力手段
203 近距離無線通信手段
204 アンテナ
205 近距離無線コーデック
206 マイク
207 変換手段
208 スピーカ
209 変換手段
210 移動体無線通信手段
211 アンテナ
212 移動体無線通信コーデック
213 セレクタ
214 記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話相手と通話網を介して音声通話可能な通信機器と無線通信可能に接続され、当該通話相手と当該通信機器を介して音声通話可能な無線通信機能付ヘッドセットであって、
前記通信機器の着呼に応じて当該通信機器より送信された発呼者情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した発呼者情報を表示する表示手段を備えた無線通信機能付ヘッドセット。
【請求項2】
前記無線通信機能付ヘッドセットは、更に、
前記通信機器に対して受話を実行させる受話要求を入力する入力手段と、
前記入力手段によって受話要求が入力された場合に、前記通信機器に対して前記入力手段により入力された受話要求を送信する送信手段を有することを特徴とする請求項1記載の無線通信機能付ヘッドセット。
【請求項3】
前記表示手段は、少なくとも1つ以上のLED(Light Emitting Diode)の点灯状態の変化によって表示を実行することを特徴とする請求項1または2記載の無線通信機能付ヘッドセット。
【請求項4】
前記発呼者情報は発呼者の電話番号及び/又は発呼者の名前であることを特徴とする請求項1または2記載の無線通信機能付ヘッドセット。
【請求項5】
前記無線通信機能付ヘッドセットは、音声入力者の発生した音声による振動を当該音声入力者の骨の振動により検出する骨伝導マイクを有することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の無線通信機能付ヘッドセット。
【請求項6】
通話相手と通話網を介して音声通話可能な通信機器と、前記通信機器と無線通信可能に接続され、当該通話相手と前記通信機器を介して音声通話可能な無線通信機能付ヘッドセットを備えた無線通信システムであって、
前記通信機器は、着呼に応じて発呼者情報を受信する手段と、
前記無線通信機能付ヘッドセットに対して、前記受信する手段により受信した発呼者情報を送信する手段を有し、
前記無線通信機能付ヘッドセットは、
前記通信機器の着呼に応じて当該通信機器より送信された発呼者情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した発呼者情報を表示する表示手段を有する無線通信システム。
【請求項7】
前記無線通信機能付ヘッドセットは、更に、
前記通信機器に対して受話を実行させる受話要求を入力する入力手段と、
前記入力手段によって受話要求が入力された場合に、前記通信機器に対して前記入力手段により入力された受話要求を送信する送信手段を有し、
前記通信機器は、
前記無線通信機能付ヘッドセットから受話要求を受信する手段と、
前記受信する手段により受信した受話要求に応じて受話を実行する手段を有することを特徴とする請求項6記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記表示手段は、少なくとも1つ以上のLEDの点灯状態の変化によって表示を実行することを特徴とする請求項6記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記発呼者情報は発呼者の電話番号及び/又は発呼者の名前であることを特徴とする請求項6記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記無線通信機能付ヘッドセットは、音声入力者の発生した音声による振動を当該音声入力者の骨の振動により検出する骨伝導マイクを有することを特徴とする請求項6乃至9いずれかに記載の無線通信システム。
【請求項11】
電子メール機能を有する通信機器と、当該通信機器と無線通信可能に接続された無線通信機能付ヘッドセットを備えた無線通信システムであって、
前記通信機器は、
自身に対して電子メール送信を行った送信者に関する送信者情報を受信する受信手段と、
前記無線通信機能付ヘッドセットに対して、前記送信者情報を送信する無線通信手段を有し、
前記無線通信機能付ヘッドセットは、
前記通信機器から前記送信者情報を受信する無線通信手段と、
前記送信者情報を表示する表示手段を有する無線通信システム。
【請求項12】
電子メール機能を有する通信機器と、当該通信機器と無線通信可能に接続された無線通信機能付ヘッドセットを備えた無線通信システムであって、
前記通信機器は、前記無線通信機能付ヘッドセットに対して、当該通信機器が受信した電子メールの一部または全部を送信する送信手段を有し、
前記無線通信機能付ヘッドセットは、
前記通信機器から前記電子メールの一部または全部を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した電子メールの一部または全部の表示を行う表示手段を有する無線通信システム。
【請求項13】
通話相手と通話網を介して音声通話可能な通信機器に、前記通信機器と無線通信可能に接続され当該通話相手と前記通信機器を介して音声通話可能な無線通信機能付ヘッドセットに対し情報を送信させるコンピュータプログラムであって、
当該通信機器の着呼を認識するステップと、
着呼時に発呼者情報を受信するステップと、
前記受信するステップにより受信した発呼者情報に基づいて当該通信機器の記憶手段に備えた発呼者に関する情報と関連付けられた発呼者情報を取得するステップと、
取得した発呼者情報を前記ヘッドセットに送信するステップと、
を通信機器に実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−86581(P2006−86581A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266711(P2004−266711)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】