説明

無線通信装置

【課題】対象装置からの信号に基づいて当該対象装置と同期をとる構成において、非同期状態から同期状態へ早期に復帰することが可能な無線通信装置を提供する。
【解決手段】無線通信装置201は、対象装置から受信した受信データに基づいて生成された再生タイミング信号に基づいて第1の制御電圧を生成し、電圧制御発振器25に第1の制御電圧を供給することにより、再生タイミング信号の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分が減衰された周波数成分を有し、かつ再生タイミング信号に同期する基準タイミング信号を生成するためのジッタ抑圧部12と、タイミング信号生成部22によって生成される再生タイミング信号の異常を検知し、異常を検知した場合には、第1の制御電圧の代わりに、第1の所定範囲内の電圧である第2の制御電圧を電圧制御発振器25に供給するための発振器制御部13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関し、特に、対象装置からの信号に基づいて当該対象装置と同期をとる機能を有する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信サービスを高い品質で保つために、無線基地局装置の配置は重要な要素である。近年では、柔軟に無線基地局装置を配置できるように、無線基地局装置から、無線信号の送受信を行なう部分を独立させた小型の屋外型無線部であるリモートラジオヘッド(RRH)が開発されている。
【0003】
このようなリモートラジオヘッドによって分割構造とした無線基地局装置では、基地局本体とリモートラジオヘッドとを光ファイバケーブルで接続し、リモートラジオヘッドを、基地局本体の近傍から数十kmの範囲の場所に設置することが可能である。
【0004】
リモートラジオヘッドにおいて用いられる筐体の一例として、たとえば、特開2008―118106号公報(特許文献1)には、以下のような構成が開示されている。すなわち、屋外用通信筐体において、通信装備の各機能モジュールを、その内部に固定するベースと、該ベースと結合され、上記通信装備の各機能モジュールのうち、発熱部品が直接接触するように、その内部が上記通信装備の各機能モジュールの発熱部品の高低に応じて加工形成された前面蓋と、上記通信装備の各機能モジュールの発熱部品によって発生した熱を外気を用いて冷却させるために、上記ベースおよび上記前面蓋の外面に一体に形成された複数の冷却フィンとを備える。
【0005】
また、基地局本体とリモートラジオヘッドとの通信インタフェースとして、CPRI(Common Public Radio Interface)が規格化されている(たとえば、非特許文献1("CPRI Specification V4.1"、[online]、2009年2月18日、<http://www.cpri.info/downloads/CPRI_v_ 4_1_2009 -02 -18.pdf>)参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】"CPRI Specification V4.1"、[online]、2009年2月18日、<http://www.cpri.info/downloads/CPRI_v_ 4_1_2009 -02 -18.pdf>
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008―118106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、リモートラジオヘッドは、基地局本体と同期して動作する必要がある。このため、リモートラジオヘッドは、たとえば、基地局本体から送信される何らかの信号に基づいて基準タイミング信号たとえば基準クロックを生成する。このようなタイミング信号を生成するために、リモートラジオヘッドにはたとえばPLL(Phase Locked Loop)回路が設けられる。
【0009】
ここで、リモートラジオヘッドにおいて、光ファイバケーブルの断線などにより基地局本体からの信号を受信できなくなると、PLL回路が非同期状態になってしまう。そうすると、PLL回路の時定数によっては、同期状態への復帰に時間がかかり、通信への影響が大きくなる場合がある。
【0010】
しかしながら、特許文献1および非特許文献1には、このような問題点を解決するための構成は開示されていない。
【0011】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、対象装置からの信号に基づいて当該対象装置と同期をとる構成において、非同期状態から同期状態へ早期に復帰することが可能な無線通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる無線通信装置は、対象装置から受信した受信データに基づいて再生タイミング信号を生成するためのタイミング信号生成部と、電圧制御発振器を含み、上記タイミング信号生成部によって生成された上記再生タイミング信号に基づいて第1の制御電圧を生成し、上記電圧制御発振器に上記第1の制御電圧を供給することにより、上記再生タイミング信号の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分が減衰された周波数成分を有し、かつ上記再生タイミング信号に同期する基準タイミング信号を生成するためのジッタ抑圧部と、上記タイミング信号生成部によって生成される上記再生タイミング信号の異常を検知し、異常を検知した場合には、上記第1の制御電圧の代わりに、第1の所定範囲内の電圧である第2の制御電圧を上記電圧制御発振器に供給するための発振器制御部とを備える。
【0013】
これにより、光ファイバケーブルの遮断状態が解消されて対象装置からのデータを受信できるようになってから、正常な基準タイミング信号を生成するまでの収束時間を大幅に短縮することができる。したがって、対象装置からの信号に基づいて当該対象装置と同期をとる構成において、非同期状態から同期状態へ早期に復帰することができる。また、再生タイミング信号の異常発生時に、対象装置からのデータに依存せず、基準タイミング信号によって動作を継続することができる。たとえば、異常であることを他の装置に通知する動作を行なうことができる。また、光ファイバケーブルの遮断状態等、無線通信装置の外部における異常状態に限らず、タイミング信号生成部の誤動作等、無線通信装置の内部において異常が発生した場合にも、通常状態への迅速な復帰が可能である。
【0014】
(2)好ましくは、上記発振器制御部は、上記第1の制御電圧を測定し、上記第1の制御電圧が第2の所定範囲外になった場合には、異常が発生したと判定する。
【0015】
このように、ジッタ抑圧部において生成される第1の制御電圧を測定する構成により、再生タイミング信号の異常を簡易な構成で検知することができる。
【0016】
(3)より好ましくは、上記発振器制御部は、上記第1の制御電圧を測定し、上記第1の制御電圧が上記第2の所定範囲における最大値を超えた場合には、上記第1の所定範囲における最大値の電圧を上記第2の制御電圧として上記電圧制御発振器に供給し、上記第1の制御電圧が上記第2の所定範囲における最小値を下回った場合には、上記第1の所定範囲における最小値の電圧を上記第2の制御電圧として上記電圧制御発振器に供給する。
【0017】
このように、異常検出時の第1の制御電圧に近いレベルの電圧を、異常状態において電圧制御発振器に供給する制御電圧として選択する構成により、制御電圧の切り替え時にジッタ抑圧部におけるコンデンサを大幅に放電したり蓄電したりする必要がなくなり、ジッタ抑圧部の動作を安定させることができる。
【0018】
(4)より好ましくは、上記第1の所定範囲および上記第2の所定範囲は一致する。
【0019】
このような構成により、2つの電圧によって各範囲を規定することができるため、回路構成の簡易化を図ることができる。
【0020】
(5)好ましくは、上記発振器制御部は、上記第1の制御電圧と第1の閾値電圧とを比較するための第1の比較器と、上記第1の閾値電圧と異なる第2の閾値電圧と上記第1の制御電圧とを比較するための第2の比較器とを含み、上記第1の比較器による比較結果および上記第2の比較器による比較結果に基づいて、上記再生タイミング信号の異常を検知する。
【0021】
このように、発振器制御部として、比較器によって構成されるアナログ回路を用いることにより、異常検出および制御電圧の切り替えを迅速に行なうことができる。
【0022】
(6)より好ましくは、上記発振器制御部は、さらに、上記第1の比較器による比較結果および上記第2の比較器による比較結果に基づいて、上記第1の閾値電圧を上記第2の制御電圧として上記電圧制御発振器へ出力するか、上記第2の閾値電圧を上記第2の制御電圧として上記電圧制御発振器へ出力するか、あるいは、上記第1の制御電圧を上記電圧制御発振器へ出力するかを切り替えるためのスイッチを含む。
【0023】
このように、発振器制御部において、スイッチを用いて各電圧を選択する構成により、簡易な構成で制御電圧の切り替えを行なうことができる。
【0024】
(7)好ましくは、上記無線通信装置は、さらに、上記ジッタ抑圧部によって生成された上記基準タイミング信号に応答して、上記受信データを保持するとともに出力するためのリタイミング部を備える。
【0025】
このように、ジッタの抑圧された基準タイミング信号を用いて対象装置からの受信データをリタイミングすることにより、無線通信装置における受信特性を良好にすることができる。
【0026】
(8)好ましくは、上記無線通信装置は、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)規格に従う無線信号を送受信する。
【0027】
このように、TDD方式のWiMAXにおいて本発明を適用することにより、フレーム構成でデータをやり取りするTDD方式における時間的制約の厳しい状況下で、本発明の有用性を活かすことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、対象装置からの信号に基づいて当該対象装置と同期をとる構成において、非同期状態から同期状態へ早期に復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るリモートラジオヘッドの機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るリモートラジオヘッドにおける同期処理部の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る同期処理部における異常検出動作を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る同期処理部における閾値電圧および制御電圧の関係の変形例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るリモートラジオヘッドにおける同期処理部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0031】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置の構成を示す図である。
【0032】
図1を参照して、無線通信装置201は、たとえば無線基地局装置であり、1または複数のリモートラジオヘッド(RRH)101と、本体装置102とを備える。
【0033】
無線通信装置201は、たとえばWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)システムにおいて設けられる。IEEE802.16規格に従うWiMAXでは、TDD(時分割複信:Time Division Duplex)方式が採用されている。すなわち、WiMAXシステムでは、無線端末装置から無線基地局装置へ通信データを送信するための上り送信期間と、無線基地局装置から無線端末装置へ通信データを送信するための下り送信期間とが切り替えられ、交互に繰り返される。
【0034】
具体的には、無線通信装置201は、無線端末装置301との間の通信データの送信および受信を時間的に切り替えて行なう。ここで、無線通信装置201および無線端末装置301においてそれぞれ生成された通信データは、WiMAX規格に従い、無線通信装置201および無線端末装置301によってそれぞれ種々の信号処理が施され、最終的に無線信号に変換された後、無線端末装置301および無線通信装置201へそれぞれ送信される。
【0035】
リモートラジオヘッド101は、ビルの屋上等に設置されたアンテナポール104に取り付けられる。また、このアンテナポール104にアンテナ103が取り付けられる。
【0036】
リモートラジオヘッド101は、アンテナ103経由で無線端末装置301から受信した無線信号をデジタル信号に変換し、光ファイバ105経由で本体装置102へ出力する。また、リモートラジオヘッド101は、光ファイバ105経由で本体装置102から受けたデジタル信号を無線信号に変換し、アンテナ103経由で無線端末装置301へ送信する。
【0037】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るリモートラジオヘッドの機能ブロック図である。
【0038】
図2を参照して、リモートラジオヘッド101は、信号処理部81と、無線送信部71と、無線受信部72と、送受信切り替えスイッチ86とを備える。無線送信部71は、デジタル/アナログ変換器(DAC)82と、変調器83と、ドライバアンプ84と、パワーアンプ85と、発振器87とを含む。無線受信部72は、受信アンプ89,90と、ミキサ91と、BPF(Band Pass Filter)92と、アナログ/デジタル変換器(ADC)93と、発振器94とを含む。信号処理部81は、同期処理部51を含む。
【0039】
信号処理部81は、光ファイバ105経由で本体装置102から受けたデジタル信号に対して信号処理を行い、無線送信部71へ出力する。
【0040】
信号処理部81において、同期処理部51は、本体装置102から受けたデジタル信号である受信データに基づいて、リモートラジオヘッド101が本体装置102と同期して動作するための基準タイミング信号を生成する。
【0041】
無線送信部71は、信号処理部81から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変換したアナログ信号を無線信号すなわちRF(Radio Frequency)帯の信号に変換して無線端末装置301へ送信する。
【0042】
無線受信部72は、無線端末装置301から無線信号を受信してIF(Intermediate Frequency)信号に変換し、変換したIF信号をデジタル信号に変換して信号処理部81へ出力する。
【0043】
信号処理部81は、無線受信部72から受けたデジタル信号に対して種々の信号処理を行い、光ファイバ105経由で本体装置102へ出力する。
【0044】
より詳細には、デジタル/アナログ変換器82は、信号処理部81から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、変調器83へ出力する。
【0045】
発振器87は、局部発振信号を生成して変調器83へ出力する。変調器83は、デジタル/アナログ変換器82から受けたベースバンドのアナログ信号と発振器87から受けた局部発振信号とを乗算することにより、デジタル/アナログ変換器82から受けたアナログ信号をたとえば直交変調して無線信号に変換し、ドライバアンプ84へ出力する。
【0046】
ドライバアンプ84は、変調器83から受けた無線信号を増幅し、パワーアンプ85へ出力する。
【0047】
パワーアンプ85は、ドライバアンプ84から受けた無線信号をさらに増幅する。パワーアンプ85によって増幅された無線信号は、送受信切り替えスイッチ86およびアンテナ103を介して無線端末装置301へ送信される。
【0048】
受信アンプ89は、たとえばLNA(Low Noise Amplifier)であり、アンテナ103および送受信切り替えスイッチ86を介して無線端末装置301から無線信号を受信し、受信した無線信号を増幅して受信アンプ90へ出力する。
【0049】
受信アンプ90は、たとえばLNAであり、受信アンプ89から受けた無線信号をさらに増幅してミキサ91へ出力する。
【0050】
発振器94は、局部発振信号を生成してミキサ91へ出力する。ミキサ91は、受信アンプ90から受けた無線信号と発振器94から受けた局部発振信号とを乗算することにより、受信アンプ90から受けた無線信号をIF信号に変換し、バンドパスフィルタ92へ出力する。
【0051】
バンドパスフィルタ92は、ミキサ91から受けたIF信号の周波数成分のうち、所定の周波数帯域外の成分を減衰させた信号をアナログ/デジタル変換器93へ出力する。
【0052】
アナログ/デジタル変換器93は、バンドパスフィルタ92から受けたIF信号をデジタル信号に変換し、信号処理部81へ出力する。
【0053】
信号処理部81は、アナログ/デジタル変換器93から受けたIF帯のデジタル信号をたとえば直交復調してベースバンドのデジタル信号に変換し、光ファイバ105経由で本体装置102へ出力する。
【0054】
送受信切り替えスイッチ86は、信号処理部81から受けた図示しない制御信号に基づいて、パワーアンプ85から受けた無線信号をアンテナ103へ出力するか、アンテナ103から受けた無線信号を受信アンプ89へ出力するかを切り替える。
【0055】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るリモートラジオヘッドにおける同期処理部の構成を示す図である。
【0056】
図3を参照して、同期処理部51は、CDR(Clock and Data Recovery)部11と、ジッタ抑圧部12と、発振器制御部13とを含む。CDR部11は、リタイミング部21と、タイミング信号生成部22とを含む。ジッタ抑圧部12は、位相比較器23と、ループフィルタ24と、VCXO(Voltage Controlled Crystal Oscillator)25とを含む。発振器制御部13は、スイッチ26と、比較器27,28,29と、ローパスフィルタ30とを含む。
【0057】
CDR部11は、本体装置102から受信した受信データのリシェーピングを行なうとともに、当該受信データからタイミングを抽出する。具体的には、CDR部11は、本体装置102から受信したデジタル信号である受信データから再生タイミング信号を生成して出力する。
【0058】
より詳細には、CDR部11において、タイミング信号生成部22は、本体装置102から受信した受信データに基づいてたとえばクロックである再生タイミング信号を生成する。タイミング信号生成部22は、たとえば、本体装置102から受信したデジタル信号の立ち上がりおよび立ち下がりを監視することにより、タイミングを抽出する。
【0059】
また、リタイミング部21は、ジッタ抑圧部12によってジッタの抑圧された基準タイミング信号を用いて、本体装置102からの受信データをリタイミングすることにより、当該受信データをリシェーピングする。すなわち、リタイミング部21は、ジッタ抑圧部12によって生成された基準タイミング信号に応答して、受信データを保持するとともに出力する。
【0060】
ジッタ抑圧部12は、CDR部11によって抽出されたタイミングを基準に、VCXO25を制御する。より詳細には、ジッタ抑圧部12は、VCXO25を含み、タイミング信号生成部22によって生成された再生タイミング信号に基づいて制御電圧VC1を生成し、VCXO25に供給する。これにより、ジッタ抑圧部12は、再生タイミング信号の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分が減衰された周波数成分を有し、かつ再生タイミング信号に同期する基準タイミング信号を生成する。
【0061】
具体的には、ジッタ抑圧部12は、PLL回路を構成する。すなわち、ジッタ抑圧部12において、位相比較器23は、タイミング信号生成部22から受けた再生タイミング信号の位相とVCXO25から受けた基準タイミング信号の位相とを比較し、比較結果を示す位相差信号を出力する。この位相差信号が、同期状態におけるVCXO25の制御電圧VC1に対応する。
【0062】
ループフィルタ24の時定数により、PLL回路の追従性が設定される。具体的には、高調波などの高い周波数成分を持つノイズに対してはPLL回路が追従しないように、ループフィルタ24の時定数が設定される。
【0063】
VCXO25は、発振信号を生成し、基準タイミング信号として出力する。VCXO25は、発振器制御部13から受けた制御電圧に応じて発振信号の周波数を変更する。VCXO25から出力された発振信号は、リタイミング部21、位相比較器23およびリモートラジオヘッド101における各回路へ出力される。
【0064】
また、発振器制御部13は、タイミング信号生成部22によって生成される再生タイミング信号の異常を検知し、異常を検知した場合には、制御電圧VC1の代わりに、制御範囲CRG内の電圧である制御電圧VC2をVCXO25に供給する。
【0065】
具体的には、発振器制御部13において、比較器27は、バッファとして機能し、ジッタ抑圧部12におけるループフィルタ24を通過した位相差信号をローパスフィルタ30へ出力する。
【0066】
ローパスフィルタ30は、比較器27から受けた位相差信号の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分を減衰させた信号を出力する。
【0067】
比較器28は、ローパスフィルタ30を通過した位相差信号と閾値電圧Vth1とを比較し、比較結果を示す信号をスイッチ26へ出力する。
【0068】
比較器29は、ローパスフィルタ30を通過した位相差信号と閾値電圧Vth2とを比較し、比較結果を示す信号をスイッチ26へ出力する。
【0069】
発振器制御部13は、比較器28による比較結果および比較器29による比較結果に基づいて、再生タイミング信号の異常を検知する。
【0070】
スイッチ26は、比較器28および比較器29から受けた信号に基づいて、ループフィルタ24を通過した位相差信号、閾値電圧Vth1および閾値電圧Vth2のいずれか1つを選択し、制御電圧としてVCXO25に供給する。すなわち、スイッチ26は、比較器28による比較結果および比較器29による比較結果に基づいて、閾値電圧Vth1を制御電圧VC2としてVCXO25へ出力するか、閾値電圧Vth2を制御電圧VC2としてVCXO25へ出力するか、あるいは、タイミング信号生成部22によって生成された制御電圧VC1をVCXO25へ出力するかを切り替える。
【0071】
[動作]
次に、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置が異常処理を行なう際の動作について図面を用いて説明する。
【0072】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る同期処理部における異常検出動作を示す図である。
【0073】
図4を参照して、閾値電圧Vth2は、閾値電圧Vth1よりも大きい。また、閾値電圧Vth1および閾値電圧Vth2は、VCXO25に供給される制御電圧がこの閾値電圧Vth1から閾値電圧Vth2の範囲内に収まっていれば、ジッタ抑圧部12によって構成されるPLL回路が非同期状態とならないような値に設定される。すなわち、PLL回路の正常範囲NRGとして、閾値電圧Vth1から閾値電圧Vth2の範囲が設定される。
【0074】
発振器制御部13は、ジッタ抑圧部12において生成された制御電圧VC1を測定し、制御電圧VC1が正常範囲NRG外になった場合には、異常が発生したと判定する。
【0075】
より詳細には、さらに図3を参照して、発振器制御部13は、ジッタ抑圧部12において生成された制御電圧VC1が閾値電圧Vth1から閾値電圧Vth2の範囲に収まっている場合には、ジッタ抑圧部12よって構成されるPLL回路が正常に動作しており、CDR部11から出力される再生タイミング信号は正常であると判断する。この場合、発振器制御部13は、ループフィルタ24を通過した位相差信号すなわち制御電圧VC1をVCXO25に供給する。
【0076】
一方、発振器制御部13は、ジッタ抑圧部12において生成された制御電圧VC1が閾値電圧Vth1から閾値電圧Vth2の範囲外になった場合には、ジッタ抑圧部12よって構成されるPLL回路に異常が発生しており、CDR部11から出力される再生タイミング信号は異常であると判断する。
【0077】
たとえば、発振器制御部13は、ジッタ抑圧部12において生成された制御電圧VC1を測定し、制御電圧VC1が正常範囲NRGにおける最大値を超えた場合には、制御範囲CRGにおける最大値の電圧を制御電圧VC2としてVCXO25に供給する。また、発振器制御部13は、制御電圧VC1が正常範囲NRGにおける最小値を下回った場合には、制御範囲CRGにおける最小値の電圧を制御電圧VC2としてVCXO25に供給する。
【0078】
ここで、同期処理部51では、制御範囲CRGおよび正常範囲NRGは一致する。すなわち、比較器28は、ローパスフィルタ30を通過した位相差信号と閾値電圧Vth1とを比較し、位相差信号が閾値電圧Vth1よりも大きい場合には論理ハイレベルの信号をスイッチ26へ出力し、位相差信号が閾値電圧Vth1よりも小さい場合には論理ローレベルの信号をスイッチ26へ出力する。
【0079】
比較器29は、ローパスフィルタ30を通過した位相差信号と閾値電圧Vth2とを比較し、位相差信号が閾値電圧Vth2よりも小さい場合には論理ハイレベルの信号をスイッチ26へ出力し、位相差信号が閾値電圧Vth2よりも大きい場合には論理ローレベルの信号をスイッチ26へ出力する。
【0080】
スイッチ26は、比較器28から論理ハイレベルの信号を受けており、かつ比較器29から論理ハイレベルの信号を受けている場合には、ループフィルタ24を通過した位相差信号すなわち制御電圧CV1をVCXO25に供給する。
【0081】
また、スイッチ26は、比較器28から論理ローレベルの信号を受けており、かつ比較器29から論理ハイレベルの信号を受けている場合には、閾値電圧Vth1を制御電圧CV2としてVCXO25に供給する。
【0082】
また、スイッチ26は、比較器28から論理ハイレベルの信号を受けており、かつ比較器29から論理ローレベルの信号を受けている場合には、閾値電圧Vth2を制御電圧CV2としてVCXO25に供給する。
【0083】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る同期処理部における閾値電圧および制御電圧の関係の変形例を示す図である。
【0084】
図5を参照して、上記の例では、制御範囲CRGおよび正常範囲NRGは一致する、すなわちCDR部11から出力される再生タイミング信号を異常であると判断した場合にVCXO25へ供給する制御電圧を、正常および異常の判定境界に対応する閾値電圧Vth1または閾値電圧Vth2とする構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御範囲CRGおよび正常範囲NRGの各々の少なくとも一部が重複していればよい。
【0085】
たとえば、ローパスフィルタ30を通過した位相差信号が閾値電圧Vth1未満になると、発振器制御部13は、閾値電圧Vth1より小さい制御電圧VC1をVCXO25に供給する。
【0086】
一方、ローパスフィルタ30を通過した位相差信号が閾値電圧Vth2以上になると、発振器制御部13は、閾値電圧Vth2より大きい制御電圧VC2をVCXO25に供給する。
【0087】
ところで、リモートラジオヘッドにおいて、光ファイバケーブルの断線などにより基地局本体からの信号を受信できなくなると、PLL回路が非同期状態になってしまう。そうすると、PLL回路の時定数によっては、同期状態への復帰に時間がかかり、通信への影響が大きくなる場合がある。
【0088】
具体的には、無線通信装置201において、本体装置102は、リモートラジオヘッド101へクロック等の基準タイミング信号を送信しない。このため、リモートラジオヘッド101は、本体装置102から送信されるデータに基づいて基準タイミング信号を新たに生成し、この基準タイミング信号に基づいて動作する必要がある。
【0089】
ここで、CDR部11によって生成された再生タイミング信号には不要なスプリアス成分すなわちジッタ成分も多く含まれているため、再生タイミング信号をそのまま無線送信部71および無線受信部72等におけるPLL回路の基準タイミング信号として利用することは困難である。
【0090】
そこで、リモートラジオヘッド101では、ジッタ抑圧部12は、再生タイミング信号に含まれる高調波成分など、比較的周波数が高い成分のノイズを低減し、位相雑音を改善する。
【0091】
ここで、本体装置102から送信される光信号は、本体装置102における精度の高いタイミング信号によって生成されたものである。そして、当該光信号には、ゆらぎ成分が含まれる。
【0092】
ジッタ抑圧部12によって構成されるPLL回路は、本体装置102と同期をとるために、このゆらぎに追従する必要がある。このため、ジッタ抑圧部12は、非常に低い周波数成分は除去せずに通過させ、高調波成分およびデジタル信号成分など比較的周波数の高い成分を除去する。したがって、PLL回路におけるループフィルタ24の時定数は大きい値が設定され、PLL回路の応答速度は遅くなる。
【0093】
ここで、光ファイバケーブルの遮断など、本体装置102からの光信号を受信できなくなってしまった場合には、CDR部11からの再生タイミング信号たとえば抽出クロックが不正確になり、その上、本体装置102との同期がとれなくなってしまう。そして、上記のようにジッタ抑圧部12によって構成されるPLL回路の時定数が大きいことから、光ファイバケーブルの遮断状態が解消されても、早期に再生タイミング信号を生成し、正常な基準タイミング信号を生成することは困難である。
【0094】
たとえば、PLL回路が、同期状態への復帰に数10msかかってしまう場合には、WiMAXシステムでは1フレームが5msであるため、同期状態への復帰に少なくとも数フレーム分の時間を要してしまい、通信への影響が大きくなる。
【0095】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、タイミング信号生成部22は、本体装置102から受信した受信データに基づいて再生タイミング信号を生成する。ジッタ抑圧部12は、VCXO25を含み、タイミング信号生成部22によって生成された再生タイミング信号に基づいて制御電圧VC1を生成し、VCXO25に供給する。これにより、ジッタ抑圧部12は、再生タイミング信号の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分が減衰された周波数成分を有し、かつ再生タイミング信号に同期する基準タイミング信号を生成する。そして、発振器制御部13は、タイミング信号生成部22によって生成される再生タイミング信号の異常を検知し、異常を検知した場合には、制御電圧VC1の代わりに、制御範囲CRG内の電圧である制御電圧VC2をVCXO25に供給する。
【0096】
すなわち、ジッタ抑圧部12において生成される制御電圧VC1をモニタしておき、制御電圧VC1に対して上下に閾値電圧を設ける。そして、光ファイバケーブルの遮断などで本体装置102からのデジタル信号を受信できなくなった場合には、たとえば上記閾値電圧を制御電圧としてVCXO25に供給することにより、制御電圧をロックレンジすなわちPLL回路が追従できる範囲内に保持し、ロックレンジ外へ制御電圧が振り切れることを防ぐ。
【0097】
これにより、光ファイバケーブルの遮断状態が解消されて本体装置102からのデジタル信号を受信できるようになってから、PLL回路がロックして正常な基準タイミング信号を生成するまでの収束時間を大幅に短縮することができる。
【0098】
また、再生タイミング信号の異常発生時に、本体装置102からの信号に依存せず、基準タイミング信号によって動作を継続することができる。たとえば、異常であることを他の装置に通知する動作を行なうことができる。
【0099】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、光ファイバケーブルの遮断状態等、リモートラジオヘッド101の外部における異常状態に限らず、CDR部11の誤動作等、リモートラジオヘッド101の内部において異常が発生した場合にも、通常状態への迅速な復帰が可能である。
【0100】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、発振器制御部13は、ジッタ抑圧部12において生成された制御電圧VC1を測定し、制御電圧VC1が正常範囲NRG外になった場合には、異常が発生したと判定する。
【0101】
このように、ジッタ抑圧部12において生成される制御電圧を測定する構成により、再生タイミング信号の異常を簡易な構成で検知することができる。
【0102】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、発振器制御部13は、ジッタ抑圧部12において生成された制御電圧VC1を測定し、制御電圧VC1が正常範囲NRGにおける最大値を超えた場合には、制御範囲CRGにおける最大値の電圧を制御電圧VC2としてVCXO25に供給する。また、発振器制御部13は、制御電圧VC1が正常範囲NRGにおける最小値を下回った場合には、制御範囲CRGにおける最小値の電圧を制御電圧VC2としてVCXO25に供給する。
【0103】
このように、異常検出時たとえばPLL回路の同期外れ検出時の制御電圧に近いレベルの電圧を、異常状態においてVCXO25に供給する制御電圧として選択する構成により、制御電圧の切り替え時にPLL回路におけるコンデンサを大幅に放電したり蓄電したりする必要がなくなり、PLL回路の動作を安定させることができる。
【0104】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、制御範囲CRGおよび正常範囲NRGは一致する。
【0105】
このような構成により、2つの電圧によって各範囲を規定することができるため、回路構成の簡易化を図ることができる。
【0106】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、発振器制御部13において、比較器28は、制御電圧VC1と閾値電圧Vth1とを比較する。比較器29は、閾値電圧Vth1と異なる閾値電圧Vth2と制御電圧VC1とを比較する。そして、発振器制御部13は、比較器28による比較結果および比較器29による比較結果に基づいて、再生タイミング信号の異常を検知する。
【0107】
このように、発振器制御部13として、比較器によって構成されるアナログ回路を用いることにより、異常検出および制御電圧の切り替えを迅速に行なうことができる。
【0108】
また、発振器制御部13として、A/DコンバータおよびD/Aコンバータ等によって構成されるデジタル回路を用いる場合には、再生タイミング信号の異常時でも動作可能とするために、基準タイミング信号に依存しない自走クロックを出力可能な回路が必要になる。これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、比較器によって構成されるアナログ回路を用いることにより、このような発振回路が不要となり、構成の簡易化を図ることができる。
【0109】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、スイッチ26は、比較器28による比較結果および比較器29による比較結果に基づいて、閾値電圧Vth1を制御電圧VC2としてVCXO25へ出力するか、閾値電圧Vth2を制御電圧VC2としてVCXO25へ出力するか、あるいは、タイミング信号生成部22によって生成された制御電圧VC1をVCXO25へ出力するかを切り替える。
【0110】
このように、発振器制御部13において、スイッチを用いて各電圧を選択する構成により、簡易な構成で制御電圧の切り替えを行なうことができる。
【0111】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、リタイミング部21は、ジッタ抑圧部12によって生成された基準タイミング信号に応答して、受信データを保持するとともに出力する。
【0112】
このように、ジッタの抑圧された基準タイミング信号を用いて本体装置102からの受信データをリタイミングすることにより、リモートラジオヘッド101における受信特性を良好にすることができる。
【0113】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置は、WiMAX規格に従う無線信号を送受信する。
【0114】
このように、TDD方式のWiMAXにおいて本発明を適用することにより、フレーム構成でデータをやり取りするTDD方式における時間的制約の厳しい状況下で、本発明の有用性を活かすことができる。
【0115】
なお、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、発振器制御部13は、異常状態における制御電圧VC2として、固定電圧である閾値電圧Vth1または閾値電圧Vth2を選択する構成であるとしたが、これに限定するものではない。異常状態における制御電圧VC2は、固定電圧である必要はなく、所定範囲内で変動する電圧であってもよい。
【0116】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置では、発振器制御部13は、ジッタ抑圧部12において生成される制御電圧VC1を測定することにより、再生タイミング信号の異常を検出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。発振器制御部13は、再生タイミング信号または基準タイミング信号の状態に応じて変化する何らかの値を監視することにより、再生タイミング信号の異常を検出する構成であればよい。
【0117】
たとえば、発振器制御部13は、基準タイミング信号の周波数を監視し、これに基づいて再生タイミング信号の異常を検出する構成であってもよい。具体的には、VCXO25とは別の自走可能な発振器を設け、当該発振器の発振周波数と基準タイミング信号の周波数とを比較することにより、再生タイミング信号の異常を検出する。
【0118】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置は、リモートラジオヘッドを備えた無線基地局装置であるとしたが、これに限定するものではなく、対象装置からの信号に基づいて対象装置と同期をとる装置であればどのような装置であってもよい。
【0119】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0120】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る無線通信装置と比べて発振器制御部の構成を変更した無線通信装置に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る無線通信装置と同様である。
【0121】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るリモートラジオヘッドにおける同期処理部の構成を示す図である。
【0122】
図6を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るリモートラジオヘッドは、同期処理部51の代わりに同期処理部52を備える。同期処理部52は、CDR部11と、ジッタ抑圧部12と、発振器制御部14とを含む。発振器制御部14は、スイッチ31と、比較器32と、ローパスフィルタ33と、A/Dコンバータ34と、判定部35と、D/Aコンバータ36とを含む。
【0123】
発振器制御部14において、比較器32は、バッファとして機能し、ジッタ抑圧部12におけるループフィルタ24を通過した位相差信号をローパスフィルタ33へ出力する。
【0124】
ローパスフィルタ33は、比較器32から受けた位相差信号の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分を減衰させた信号を出力する。
【0125】
A/Dコンバータ34は、ローパスフィルタ33を通過したアナログ信号である位相差信号をデジタル信号に変換し、判定部35へ出力する。
【0126】
判定部35は、A/Dコンバータ34から受けたデジタル信号に基づいて、再生タイミング信号の異常を検出し、異常状態における制御電圧VC2の生成、およびスイッチ31の制御を行なう。
【0127】
D/Aコンバータ36は、判定部35から受けたデジタル信号をアナログ信号に変換し、スイッチ31へ出力する。
【0128】
スイッチ31は、判定部35から受けた制御信号に基づいて、ループフィルタ24を通過した位相差信号、およびD/Aコンバータ36から受けた信号のいずれかを選択し、制御電圧としてVCXO25に供給する。
【0129】
より詳細には、判定部35は、ジッタ抑圧部12において生成された制御電圧VC1が閾値電圧Vth1から閾値電圧Vth2の範囲に収まっている場合には、ジッタ抑圧部12よって構成されるPLL回路が正常に動作しており、CDR部11から出力される再生タイミング信号は正常であると判断する。この場合、判定部35は、スイッチ31を制御して、ループフィルタ24を通過した位相差信号すなわち制御電圧VC1をVCXO25に供給する。
【0130】
一方、判定部35は、ジッタ抑圧部12において生成された制御電圧VC1が閾値電圧Vth1から閾値電圧Vth2の範囲外になった場合には、ジッタ抑圧部12よって構成されるPLL回路に異常が発生しており、CDR部11から出力される再生タイミング信号は異常であると判断する。この場合、判定部35は、スイッチ31を制御して、D/Aコンバータ36から出力される信号を制御電圧VC2としてVCXO25に供給する。
【0131】
本発明の第2の実施の形態に係る無線通信装置では、発振器制御部14として、A/DコンバータおよびD/Aコンバータ等によって構成されるデジタル回路を用いる構成により、異常判定基準、および異常状態における制御電圧をより柔軟に設定することが可能となる。
【0132】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る無線通信装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0133】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0134】
11 CDR部
12 ジッタ抑圧部
13 発振器制御部
14 発振器制御部
21 リタイミング部
22 タイミング信号生成部
23 位相比較器
24 ループフィルタ
25 VCXO
26 スイッチ
27,28,29 比較器
30 ローパスフィルタ
31 スイッチ
32 比較器
33 ローパスフィルタ
34 A/Dコンバータ
35 判定部
36 D/Aコンバータ
51 同期処理部
52 同期処理部
71 無線送信部
72 無線受信部
81 信号処理部
82 デジタル/アナログ変換器
83 変調器
84 ドライバアンプ
85 パワーアンプ
86 送受信切り替えスイッチ
87 発振器
89,90 受信アンプ
91 ミキサ
92 BPF
93 アナログ/デジタル変換器
94 発振器
101 リモートラジオヘッド
102 本体装置
201 無線通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象装置から受信した受信データに基づいて再生タイミング信号を生成するためのタイミング信号生成部と、
電圧制御発振器を含み、前記タイミング信号生成部によって生成された前記再生タイミング信号に基づいて第1の制御電圧を生成し、前記電圧制御発振器に前記第1の制御電圧を供給することにより、前記再生タイミング信号の周波数成分のうち、所定の周波数以上の成分が減衰された周波数成分を有し、かつ前記再生タイミング信号に同期する基準タイミング信号を生成するためのジッタ抑圧部と、
前記タイミング信号生成部によって生成される前記再生タイミング信号の異常を検知し、異常を検知した場合には、前記第1の制御電圧の代わりに、第1の所定範囲内の電圧である第2の制御電圧を前記電圧制御発振器に供給するための発振器制御部とを備える、無線通信装置。
【請求項2】
前記発振器制御部は、前記第1の制御電圧を測定し、前記第1の制御電圧が第2の所定範囲外になった場合には、異常が発生したと判定する、請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記発振器制御部は、前記第1の制御電圧を測定し、前記第1の制御電圧が前記第2の所定範囲における最大値を超えた場合には、前記第1の所定範囲における最大値の電圧を前記第2の制御電圧として前記電圧制御発振器に供給し、前記第1の制御電圧が前記第2の所定範囲における最小値を下回った場合には、前記第1の所定範囲における最小値の電圧を前記第2の制御電圧として前記電圧制御発振器に供給する、請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1の所定範囲および前記第2の所定範囲は一致する、請求項2または請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記発振器制御部は、
前記第1の制御電圧と第1の閾値電圧とを比較するための第1の比較器と、
前記第1の閾値電圧と異なる第2の閾値電圧と前記第1の制御電圧とを比較するための第2の比較器とを含み、
前記第1の比較器による比較結果および前記第2の比較器による比較結果に基づいて、前記再生タイミング信号の異常を検知する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記発振器制御部は、さらに、
前記第1の比較器による比較結果および前記第2の比較器による比較結果に基づいて、前記第1の閾値電圧を前記第2の制御電圧として前記電圧制御発振器へ出力するか、前記第2の閾値電圧を前記第2の制御電圧として前記電圧制御発振器へ出力するか、あるいは、前記第1の制御電圧を前記電圧制御発振器へ出力するかを切り替えるためのスイッチを含む、請求項5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記無線通信装置は、さらに、
前記ジッタ抑圧部によって生成された前記基準タイミング信号に応答して、前記受信データを保持するとともに出力するためのリタイミング部を備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記無線通信装置は、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)規格に従う無線信号を送受信する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−142756(P2012−142756A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293483(P2010−293483)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】