物品検査方法
【解決手段】 判定手段6は、カメラ5で撮影した4000回の画像のデータに基づいて、タイヤ2の内面2A全体についての三次元の基本画像8を作成する。
判定手段6の第1演算部6Bは、上記基本画像8を基にしてノイズを除去したタイヤ2の内面2の輪郭線11の画像(G1)を求める。
次に、判定手段6の第2演算部は、上記基本画像8を基にして、ノイズと不良部分を除去した輪郭線11だけの画像(G2)を求める。
次に、比較部6Dは上記G1とG2とを比較して、不良部分を強調した画像(G3)を求める。判定部6Fは、上記不良部分を強調した画像(G3)を基にしてタイヤ2の内面2Aの外観の良否を判定する。
【効果】 タイヤ2の内面2Aの外観の良否を正確に判定することができる。
判定手段6の第1演算部6Bは、上記基本画像8を基にしてノイズを除去したタイヤ2の内面2の輪郭線11の画像(G1)を求める。
次に、判定手段6の第2演算部は、上記基本画像8を基にして、ノイズと不良部分を除去した輪郭線11だけの画像(G2)を求める。
次に、比較部6Dは上記G1とG2とを比較して、不良部分を強調した画像(G3)を求める。判定部6Fは、上記不良部分を強調した画像(G3)を基にしてタイヤ2の内面2Aの外観の良否を判定する。
【効果】 タイヤ2の内面2Aの外観の良否を正確に判定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品検査方法に関し、より詳しくは、タイヤなど表面に湾曲部を有する物品の外観を検査する場合に好適な物品検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの外観を検査する検査方法は知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
このような従来の検査方法においては、先ずタイヤの側面に向けてライン状のレーザ光を照射するとともにタイヤを回転させながら上記レーザ光の反射光をカメラによって撮影する。次に、カメラによって得たレーザ光の画像から被検査物としてのタイヤの形状を検出して、該タイヤの形状を予め判定手段に記憶した正当な基準データと比較することでタイヤの外観の良否を判定するようにしている。
【特許文献1】特開平11−138654号公報
【特許文献2】特開2003−240521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の検査装置においては、予め良否判定の基準となる判定基準データを検査対象であるタイヤの全域について作成する必要があるので、そのような判定基準データの作成作業が極めて煩雑であるという欠点があった。
また、従来の検査方法においては、予め作成した判定基準データと実測したデータとを画像データを構成する全ての画素について比較しているので、実測データを得る際にタイヤの検査対象領域の位置を正確に把握しなければならない。そのため、タイヤを移動させる際の位置決め精度を厳密にする必要があり、位置決め精度の高い位置決め手段を必要とする分だけ検査装置の構成が複雑になるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した事情に鑑み、本発明は、被検査物にライン状の光を照射しながら被検査物とライン状の光とを相対移動させて、上記被検査物に光が照射されている箇所を撮影手段によって複数回にわたって撮影して、上記撮影手段が撮影した画像のデータを基にして被検査物の外観の良否を判定するようにした物品検査方法において、
上記撮影手段が撮影した複数回の被検査物の画像のデータを基にして、該被検査物についての三次元の基本画像を作成し、次に、上記三次元の基本画像を構成する各画素毎に、その画素の位置を含めた周囲の第1の所定数の画素について、高さの平均値である第1平均値を算出して、上記基本画像を構成する各画素を全てそれらについて求めた上記第1次平均値に置き換えて、ノイズを除去した第1平均画像データを求め、次に、上記三次元の基本画像または上記第1平均画像データを構成する各画素毎に、その画素の位置を含めた周囲の第2の所定数の画素について、高さの平均値である第2平均値を算出して、上記基本画像を構成する各画素を全てそれらについて求めた上記第2平均値に置き換えて、不良部分およびノイズを除去した第2平均画像データを求め、次に、第1平均画像データと第2平均画像データとの高さの差を求めて、該高さの差に関する強調画像データを作成し、該強調画像データにおける高さの差に基づいて被検査物の良否を判定するようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
このような構成によれば、検査の実施前に判定基準データを作成する必要がないので、従来と比較して検査実施前の準備作業を簡略化することができるとともに、被検査物の外観の良否を正確に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において1は被検査物としてのタイヤ2の内面2Aの外観を検査するタイヤ検査装置である。このタイヤ検査装置1は、検査対象となるタイヤ2を保持して回転する回転テーブル3と、所定位置に配置されて回転テーブル3上のタイヤ2の内面2Aに向けてライン状のレーザ光Lを照射する投光手段4と、図示しないロボットハンドに取り付けられて、レーザ光Lが照射されている箇所のタイヤ2の内面2Aを撮影するカメラ5と、このカメラ5が撮影した画像のデータを基にしてタイヤ2の内面2Aの外観の良否を判定する判定手段6とを備えている。
回転テーブル3は水平に支持されるとともに、モータ7に連動して時計方向に回転できるようになっている。上記回転テーブル3を停止させた状態において、検査対象となるタイヤ2が回転テーブル3上に横転状態で供給されると、回転テーブル3上に設けた図示しない固定手段によってタイヤ2の軸心を回転テーブル3の回転中心とほぼ一致するようにタイヤ2が位置決めされて、その位置に保持されるようになっている。
このようにタイヤ2が回転テーブル3上に固定決めされたら、上記投光手段4からタイヤ2の内面2Aに向けてライン状のレーザ光Lが照射されるとともに、モータ7が作動されて回転テーブル3が等速度で時計方向に1回転されるようになっている。
【0007】
上記投光手段4からライン状のレーザ光Lがタイヤ2の内面2Aに向けて照射されると、そのレーザ光Lの照射方向に対して45度の角度をなす方向からレーザ光Lの照射箇所からの反射光をカメラ5で撮影するようになっている。これにより、カメラ5によって撮影されたレーザ光Lの照射箇所(タイヤ2の内面2A)は、概略弓形となる。図3はカメラ5による1回の撮影によって得られるタイヤ2の内面2Aの画像のデータをイメージとして示したものである。
このようにしてカメラ5によって撮影した内面2Aの画像のデータは判定手段6の一次画像保存部6Aに保存されるようになっている。本実施例においては、タイヤ2がモータ7に連動して1回転される間にタイヤ2とレーザ光Lとの相対移動距離の0.5mmごとにタイヤ2の内面2Aのレーザ光Lが照射されている箇所を合計4000回にわたってカメラ5で撮影するようにしている。
判定手段6の一次画像保存部6Aは、カメラ5から順次伝達される4000回の撮影による画像のデータを保存するとともに、保存した画像のデータを基にして、三角測量の原理を用いて図4にイメージとして示したような三次元の基本画像8を作成する(図2のS1参照)。そして、判定手段6は、この基本画像8を認識した上で、後述する2回の平均化処理等を行ってからタイヤ2の内面2Aの外観の良否を判定するようになっている。
【0008】
ところで、検査対象となるタイヤ2の内面2Aには、肉眼では容易に判別しにくい直径2mm前後の膨出部(膨らみ)が形成される場合があり、このような膨出部は不良部分であり、したがってこのような不良部分がある場合には不良品のタイヤ2であると判定する必要がある。一方、タイヤ2の内面2Aには、タイヤ2の成形時に小さな突起である『ひげ』が生じており、またその他にタイヤ2の内面2Aには材料などの『粉』が付着していることがある。こうした『ひげ』や『粉』は不良部分とはならないが、カメラ5で撮影した各回のタイヤ2の内面2Aの画像のデータと上記基本画像8には、このような『ひげ』や『粉』がノイズとして含まれることになる。
このようなノイズが含まれた画像のデータおよび三次元の基本画像8に基づいてタイヤ2の内面2Aに上記不良部分である膨出部があるか否かを判定しようとすると、このようなノイズまで不良部分であると誤った判定をする虞がある。
そこで、本実施例の判定手段6は、先ず、一次画像保存部6Aに保存した各回の画像のデータと三次元の基本画像8とをもとに平均化処理を施すことにより、各回のカメラ5による画像のデータと上記三次元の基本画像8からノイズ(ひげや粉)を除去するようにしている。
【0009】
すなわち、図5は一次画像保存部6Aに記憶したカメラ5による1回目の撮影による画像のデータを示した概念図であり、ここで山形に連続する曲線がタイヤ2の内面2Aの輪郭を示す輪郭線11である。この図5における左右方向がタイヤ2の幅方向に相当し、上下方向が高さ方向を示している。
そして、この図5において、輪郭線11の複数箇所から高さ方向に伸びる細い線が上述した『ひげ』や『粉』の箇所となるノイズ12を示しており、また輪郭線11の高さ方向に伸びる細長い三角形が不良部分である膨出部13を示している。このように、一次画像保存部6Aに保存した各回の撮影時の画像には、不良部分である膨出部13と不良部分ではないノイズ12とが混在した状態となっている。
そこで、本実施例では、上記『ひげ』や『粉』であるノイズ12は膨出部13を判定する際の誤判定の原因となるので、ノイズ12を取り除くために平均化処理を行う。
【0010】
すなわち、図9は、一次画像保存部6Aに保存した各回の画像を横一列分の画素として表し、カメラ5により順次撮影された各回の画像を縦方向に並べて表現したものである。つまり、図4に示した三次元の基本画像8を画素の配列として表現したものである。本実施例においては、タイヤ2を一回転させる際にカメラ5によって合計4000回の撮影を行うので、1回目と4000回目の画像が上下に隣接した状態となっている。また、実際には、横方向である各回の画素は1280であり、縦方向の画素数は4000となるが、便宜上、この図9では一部分のみを示している。
ところで、不良部分となる膨出部13の大きさは、この図9に想像線の円14で示したように、縦横で合計数個分の画素よりも大きいのが普通である。そこで、判定手段6の第1演算部6Bは、一次画像保存部6Aに保存した1回目の画像のデータにおいて、先ずa1の画素の位置について、その位置を含めた周辺の9箇所の画素について、それらの高さの平均値である第1平均値を求めて、それを保存するとともに、基本画像8のa1の画素の位置について、高さを上述のようにして求めた第1平均値に置き換える(図1、図2参照)。
次に、図9に示す1回目の画像のデータにおいて、a2の画素の位置について、その位置を中心とした縦横で合計9箇所の画素の位置について、それらの高さの平均値である第1平均値を求めて、それを保存するとともに、基本画像8のa2の画素の位置について、高さを上述のようにして求めた第1平均値に置き換える。
このようにして、第1演算部6Bは、1回目の画像における画素a1〜a1280の位置に付いて、それらの周辺の9箇所について高さの平均値である第1平均値を求めて、a1〜a1280の画素の位置について、求めた第1平均値に置き換える。
これにより、1回目の撮影の画像に関して第1平均画像データG1を得ることができる(図6参照)。この第1平均画像データG1では、図5に示した最初の画像のデータからノイズ12が除去されて、輪郭線11とそれから高さ方向に延びる膨出部13が残留した状態となる。このように第1平均画像データG1を得るための処理が第1平均化処理S2である(図2)。
【0011】
次に、上述したようにカメラ5の1回目の画像に対して第1平均化処理S2を行ったら、判定手段6の第2演算部6Cは、一次画像保存部6Aに記憶した画像のデータを基にして、1回目の画像に関して、上記a1の画素の位置について、その位置を含めた隣接位置の縦横各9個分の合計81個の画素について高さの平均値である第2平均値を求めて、それを保存するとともに、基本画像8のa1の画素の位置について、高さを上述のようにして求めた第2平均値に置き換える(図1、図2、図9参照)。
次に、第2演算部6Cは、a2の画素の位置について、その位置を含めた隣接位置の縦横各9個分で合計81個の画素について高さの平均値である第2平均値を求めて、それを保存するとともに、基本画像8のa2の画素の位置について、高さを上述のようにして求めた第2平均値に置き換える。
このようにして、第2演算部6Cは、1回目の画像における画素a1〜a1280の位置に付いて、それらの周辺の81箇所の画素について高さの平均値である第2平均値を求めて、a1〜a1280の画素の位置について、それぞれ上述のようにして求めた第2平均値に置き換える。
これにより、1回目の撮影の画像に関して第2平均画像データG2を得ることができる(図7参照)。この第2平均画像データG2では、図5に示した最初の画像のデータからノイズ12と不良部分である膨出部13が除去されて、輪郭線11のみが残留した状態となる。このように第2平均画像データG2を得るための処理が第2平均化処理S3である(図2)。
【0012】
第2平均化処理S3において合計81個分の画素について第2平均値を求める理由は、図9に想像線の円14で示したように、不良部分である膨出部13の大きさは、数個分の画素の大きさよりも少し大きい程度となる。そこで、その膨出部13である円14を完全に包含可能な縦横各9個分で合計81個分の画素を対象として上述のように第2平均値を求めるようにしている。
図6に示した第1平均画像データG1では、ノイズ12が除去されて不良部分の膨出部13だけを含んだタイヤ2の輪郭線11のデータが得られており、一方、図7に示した第2平均画像データG2では、ノイズ12と不良部分である膨出部13が除去されたタイヤ2の輪郭線11だけのデータが得られている。
【0013】
そこで、次に、判定手段6の比較部6Dは、1回目の撮影についての各画素a1〜a1280の位置について、図6に示す第1平均画像データG1と図7に示した第2平均画像データG2とを比較して、G1からG2を差し引いた輪郭線11の高さの差を求める(図1、図2参照)。そして、比較部6Dは、各画素a1〜a1280に付いて両画像データG1、G2の輪郭線11の高さの差を求めたら、それをもとにして強調画像データG3を作成して、保存する(図2、図8)。この強調画像データG3を作成して保存する処理は画像強調化処理S4である。この強調画像データG3では、不良部分である膨出部13の高さが強調されるようになっている。
本実施例の判定手段6は、以上のようにして1回目のカメラ5の撮影画像に対して2回の平均化処理S2、S3とその後の画像強調化処理S4を行い、この後、判定手段6は、残りの2回〜4000回の撮影の画像のデータに対して、上述した1回目の撮影の画像のデータに対するものと同様に、2回の平均化処理S2、S3とその後の画像強調化処理S4を行う(図2参照)。
これにより、図10にイメージとして示したように、強調画像データG3が同一ピッチで4000枚同じ高さで配列された状態のデータを得ることができる。この図10において、例えば4箇所の円弧状に示す箇所が不良部分となる膨出部13であることを示す。
本実施例では、このようにして4000回の撮影による画像のデータを基にして、基本画像8における各々の画素の位置において2回の平均化処理S2、S3と画像強調化処理S4を行うことで、検査対象となったタイヤ2の内面2Aについての三次元のデータである強調画像データG3を4000個得るようにしている。
【0014】
上述のようにして得た4000の強調画像データG3は三次元のデータとなっている。そこで、次に判定手段6の画像処理部6Eは、三次元データである4000の強調画像データG3を二次元の画像データに置き換える(図1、図2のS5)。
その際、強調画像データG3は、図11に示すように、それぞれ水平面において相互に直交するXY方向とこれらと直交する高さ方向(Z方向)のデータとを備えているので、本実施例においては、各回分の強調画像データG3の高さ方向(Z方向)の大小を輝度の大小に置き換えている(図12)。
各回の強調画像データG3においては、不良部分となる膨出部13はその他の正常部分と比較して高さ方向(Z方向)の値が大きくなっているので、画像処理部6Eが上記二次元化処理S5を行うことによって、不良部分である膨出部13の輝度は、その他の正常部分と比較して大きな輝度として判定手段6の判定部6Fに認識されるようになっている(図1、図2)。
この後、判定手段6の判定部6Fは、二次元化された各回の強調画像データG3における輝度が大きい箇所(不良部分である膨出部13)を白に置き換えるとともに、輝度が小さい箇所(正常部分)を黒に置き換える二値化処理を行う(図1、図2)。
この後、判定手段6の判定部6Fは、二値化処理した後の各回の強調画像データG3について、白の箇所が存在することを認識した場合には、検査対象となったタイヤ2に不良部分である膨出部13があると判定して、該タイヤ2は不良である旨を図示しない表示装置に表示する。一方、判定手段6は、二値化処理した後の各回の強調画像データG3について、白の箇所が無く全体が黒である場合には、検査対象となったタイヤ2は良品であると判定して、その旨を表示装置に表示するようになっている。
【0015】
上述した本実施例によれば、検査対象となるタイヤ2の内面2Aの全域について良否の判定基準となる判定基準データを検査前に作成する必要がない。そのため、本実施例によれば、上述した従来の検査方法と比較して、検査を実施する前の準備作業を簡略化することができる。
また、予め記憶した判定基準データとカメラで撮影した実測データとを比較してタイヤ2の内面2Aの良否を判定するものではないので、タイヤ2を回転させる際の回転方向における位置決め手段を必要としない。そのため、そのような位置決め手段を必要としていた従来と比較して、タイヤ検査装置1全体の構成を簡略化することができる。
また、本実施例においては、2回の平均化処理S2、S3を行ってから強調画像データG3を得て、それをもとにしてタイヤ2における内面2Aの外観の良否を判定しているので、内面2Aの外観の良否を正確に判定することができる。
また、本実施例によれば、二次元検査(2D検査)では正確に検出できない緩やかな膨出部13(膨らみ)がタイヤ2の内面2Aに生じているような場合であっても、そのような不良部分としての膨出部13があることを正確に判定することができる。
【0016】
なお、上記実施例においては、強調画像データG3を二次元化した後に二値化処理を行っているが、二値化処理の代わりにグレースケール処理あるいはパターンマッチング処理を行っても良い。つまり、グレースケール処理は、二次元化した画像の輝度の違いを256階調の明るさで認識するものであり、上述した強調画像データG3を二次元化した後の画像の明るさを予め定めたしきい値と比較することで、タイヤの良否を判定することができる。また、パターンマッチング処理を行う場合には、二次元化した画像の基本画像を予め記憶しておき、上述した強調画像データG3を二次元化した画像と予め記憶した基本画像とを比較することで、タイヤの良否を判定することができる。
さらに、上記実施例においては、強調画像データG3を求めた後に、それに対して二次元化処理S5と二値化処理S6を順次行っているが、これらの処理は省略しても良い。つまり、図2に想像線で示すように、画像強調化処理S4で強調画像データG3を求めたら、図13に示すように、強調画像データG3において予め定めた所定のしきい値δを越えている箇所があるか否かを確認して、しきい値を越えている箇所がある場合にタイヤ2が不良品であると判定するようにしても良い。
また、上記実施例では、一次画像保存部6Aに保存されている各回の画像データと基本画像8を基に第1平均画像データG1および第2平均画像データG2を求めているが、第2平均画像データG2については、各回の画像データと基本画像8ではなく、先に求めた第1平均画像データG1を基にして求めても良い。すなわち、第1平均化処理において求めた第1平均値を各画素に置き換えて、その第1平均値を基に第2平均化処理を行うことで第2平均画像データG2を求めても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例を示す全体の構成図。
【図2】図1に示した判定手段6による処理工程を示す図。
【図3】図1に示したカメラ5による1回の撮影による画像を示す概念図。
【図4】図1に示した判定手段6によって作成した基本画像8を示す概念図。
【図5】図1に示したカメラ5による1回の撮影による画像を示す概念図。
【図6】図1に示した判定手段6による第1平均化処理後の画像を示す概念図。
【図7】図1に示した判定手段6による第2平均化処理後の画像を示す概念図。
【図8】図1に示した判定手段6による画像強調化処理後の画像を示す概念図。
【図9】図1に示したカメラ5による撮影画像を画素の配列として示した図。
【図10】図1に示した判定手段6による画像強調化処理後の画像の連続状態を示す概念図。
【図11】図1に示した判定手段6による画像強調化処理後の画像における所要箇所を三次元の位置で表現した図。
【図12】図11に示した画像を二次元化処理した後の状態を示す図。
【図13】本発明の他の実施例における要部を示す概念図。
【符号の説明】
【0018】
2…タイヤ 2A…タイヤ2の内面
5…カメラ 6…判定手段
8…基本画像 G1…第1平均画像データ
G2…第2平均画像データ G3…強調画像データ
【技術分野】
【0001】
本発明は物品検査方法に関し、より詳しくは、タイヤなど表面に湾曲部を有する物品の外観を検査する場合に好適な物品検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの外観を検査する検査方法は知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
このような従来の検査方法においては、先ずタイヤの側面に向けてライン状のレーザ光を照射するとともにタイヤを回転させながら上記レーザ光の反射光をカメラによって撮影する。次に、カメラによって得たレーザ光の画像から被検査物としてのタイヤの形状を検出して、該タイヤの形状を予め判定手段に記憶した正当な基準データと比較することでタイヤの外観の良否を判定するようにしている。
【特許文献1】特開平11−138654号公報
【特許文献2】特開2003−240521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の検査装置においては、予め良否判定の基準となる判定基準データを検査対象であるタイヤの全域について作成する必要があるので、そのような判定基準データの作成作業が極めて煩雑であるという欠点があった。
また、従来の検査方法においては、予め作成した判定基準データと実測したデータとを画像データを構成する全ての画素について比較しているので、実測データを得る際にタイヤの検査対象領域の位置を正確に把握しなければならない。そのため、タイヤを移動させる際の位置決め精度を厳密にする必要があり、位置決め精度の高い位置決め手段を必要とする分だけ検査装置の構成が複雑になるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した事情に鑑み、本発明は、被検査物にライン状の光を照射しながら被検査物とライン状の光とを相対移動させて、上記被検査物に光が照射されている箇所を撮影手段によって複数回にわたって撮影して、上記撮影手段が撮影した画像のデータを基にして被検査物の外観の良否を判定するようにした物品検査方法において、
上記撮影手段が撮影した複数回の被検査物の画像のデータを基にして、該被検査物についての三次元の基本画像を作成し、次に、上記三次元の基本画像を構成する各画素毎に、その画素の位置を含めた周囲の第1の所定数の画素について、高さの平均値である第1平均値を算出して、上記基本画像を構成する各画素を全てそれらについて求めた上記第1次平均値に置き換えて、ノイズを除去した第1平均画像データを求め、次に、上記三次元の基本画像または上記第1平均画像データを構成する各画素毎に、その画素の位置を含めた周囲の第2の所定数の画素について、高さの平均値である第2平均値を算出して、上記基本画像を構成する各画素を全てそれらについて求めた上記第2平均値に置き換えて、不良部分およびノイズを除去した第2平均画像データを求め、次に、第1平均画像データと第2平均画像データとの高さの差を求めて、該高さの差に関する強調画像データを作成し、該強調画像データにおける高さの差に基づいて被検査物の良否を判定するようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
このような構成によれば、検査の実施前に判定基準データを作成する必要がないので、従来と比較して検査実施前の準備作業を簡略化することができるとともに、被検査物の外観の良否を正確に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において1は被検査物としてのタイヤ2の内面2Aの外観を検査するタイヤ検査装置である。このタイヤ検査装置1は、検査対象となるタイヤ2を保持して回転する回転テーブル3と、所定位置に配置されて回転テーブル3上のタイヤ2の内面2Aに向けてライン状のレーザ光Lを照射する投光手段4と、図示しないロボットハンドに取り付けられて、レーザ光Lが照射されている箇所のタイヤ2の内面2Aを撮影するカメラ5と、このカメラ5が撮影した画像のデータを基にしてタイヤ2の内面2Aの外観の良否を判定する判定手段6とを備えている。
回転テーブル3は水平に支持されるとともに、モータ7に連動して時計方向に回転できるようになっている。上記回転テーブル3を停止させた状態において、検査対象となるタイヤ2が回転テーブル3上に横転状態で供給されると、回転テーブル3上に設けた図示しない固定手段によってタイヤ2の軸心を回転テーブル3の回転中心とほぼ一致するようにタイヤ2が位置決めされて、その位置に保持されるようになっている。
このようにタイヤ2が回転テーブル3上に固定決めされたら、上記投光手段4からタイヤ2の内面2Aに向けてライン状のレーザ光Lが照射されるとともに、モータ7が作動されて回転テーブル3が等速度で時計方向に1回転されるようになっている。
【0007】
上記投光手段4からライン状のレーザ光Lがタイヤ2の内面2Aに向けて照射されると、そのレーザ光Lの照射方向に対して45度の角度をなす方向からレーザ光Lの照射箇所からの反射光をカメラ5で撮影するようになっている。これにより、カメラ5によって撮影されたレーザ光Lの照射箇所(タイヤ2の内面2A)は、概略弓形となる。図3はカメラ5による1回の撮影によって得られるタイヤ2の内面2Aの画像のデータをイメージとして示したものである。
このようにしてカメラ5によって撮影した内面2Aの画像のデータは判定手段6の一次画像保存部6Aに保存されるようになっている。本実施例においては、タイヤ2がモータ7に連動して1回転される間にタイヤ2とレーザ光Lとの相対移動距離の0.5mmごとにタイヤ2の内面2Aのレーザ光Lが照射されている箇所を合計4000回にわたってカメラ5で撮影するようにしている。
判定手段6の一次画像保存部6Aは、カメラ5から順次伝達される4000回の撮影による画像のデータを保存するとともに、保存した画像のデータを基にして、三角測量の原理を用いて図4にイメージとして示したような三次元の基本画像8を作成する(図2のS1参照)。そして、判定手段6は、この基本画像8を認識した上で、後述する2回の平均化処理等を行ってからタイヤ2の内面2Aの外観の良否を判定するようになっている。
【0008】
ところで、検査対象となるタイヤ2の内面2Aには、肉眼では容易に判別しにくい直径2mm前後の膨出部(膨らみ)が形成される場合があり、このような膨出部は不良部分であり、したがってこのような不良部分がある場合には不良品のタイヤ2であると判定する必要がある。一方、タイヤ2の内面2Aには、タイヤ2の成形時に小さな突起である『ひげ』が生じており、またその他にタイヤ2の内面2Aには材料などの『粉』が付着していることがある。こうした『ひげ』や『粉』は不良部分とはならないが、カメラ5で撮影した各回のタイヤ2の内面2Aの画像のデータと上記基本画像8には、このような『ひげ』や『粉』がノイズとして含まれることになる。
このようなノイズが含まれた画像のデータおよび三次元の基本画像8に基づいてタイヤ2の内面2Aに上記不良部分である膨出部があるか否かを判定しようとすると、このようなノイズまで不良部分であると誤った判定をする虞がある。
そこで、本実施例の判定手段6は、先ず、一次画像保存部6Aに保存した各回の画像のデータと三次元の基本画像8とをもとに平均化処理を施すことにより、各回のカメラ5による画像のデータと上記三次元の基本画像8からノイズ(ひげや粉)を除去するようにしている。
【0009】
すなわち、図5は一次画像保存部6Aに記憶したカメラ5による1回目の撮影による画像のデータを示した概念図であり、ここで山形に連続する曲線がタイヤ2の内面2Aの輪郭を示す輪郭線11である。この図5における左右方向がタイヤ2の幅方向に相当し、上下方向が高さ方向を示している。
そして、この図5において、輪郭線11の複数箇所から高さ方向に伸びる細い線が上述した『ひげ』や『粉』の箇所となるノイズ12を示しており、また輪郭線11の高さ方向に伸びる細長い三角形が不良部分である膨出部13を示している。このように、一次画像保存部6Aに保存した各回の撮影時の画像には、不良部分である膨出部13と不良部分ではないノイズ12とが混在した状態となっている。
そこで、本実施例では、上記『ひげ』や『粉』であるノイズ12は膨出部13を判定する際の誤判定の原因となるので、ノイズ12を取り除くために平均化処理を行う。
【0010】
すなわち、図9は、一次画像保存部6Aに保存した各回の画像を横一列分の画素として表し、カメラ5により順次撮影された各回の画像を縦方向に並べて表現したものである。つまり、図4に示した三次元の基本画像8を画素の配列として表現したものである。本実施例においては、タイヤ2を一回転させる際にカメラ5によって合計4000回の撮影を行うので、1回目と4000回目の画像が上下に隣接した状態となっている。また、実際には、横方向である各回の画素は1280であり、縦方向の画素数は4000となるが、便宜上、この図9では一部分のみを示している。
ところで、不良部分となる膨出部13の大きさは、この図9に想像線の円14で示したように、縦横で合計数個分の画素よりも大きいのが普通である。そこで、判定手段6の第1演算部6Bは、一次画像保存部6Aに保存した1回目の画像のデータにおいて、先ずa1の画素の位置について、その位置を含めた周辺の9箇所の画素について、それらの高さの平均値である第1平均値を求めて、それを保存するとともに、基本画像8のa1の画素の位置について、高さを上述のようにして求めた第1平均値に置き換える(図1、図2参照)。
次に、図9に示す1回目の画像のデータにおいて、a2の画素の位置について、その位置を中心とした縦横で合計9箇所の画素の位置について、それらの高さの平均値である第1平均値を求めて、それを保存するとともに、基本画像8のa2の画素の位置について、高さを上述のようにして求めた第1平均値に置き換える。
このようにして、第1演算部6Bは、1回目の画像における画素a1〜a1280の位置に付いて、それらの周辺の9箇所について高さの平均値である第1平均値を求めて、a1〜a1280の画素の位置について、求めた第1平均値に置き換える。
これにより、1回目の撮影の画像に関して第1平均画像データG1を得ることができる(図6参照)。この第1平均画像データG1では、図5に示した最初の画像のデータからノイズ12が除去されて、輪郭線11とそれから高さ方向に延びる膨出部13が残留した状態となる。このように第1平均画像データG1を得るための処理が第1平均化処理S2である(図2)。
【0011】
次に、上述したようにカメラ5の1回目の画像に対して第1平均化処理S2を行ったら、判定手段6の第2演算部6Cは、一次画像保存部6Aに記憶した画像のデータを基にして、1回目の画像に関して、上記a1の画素の位置について、その位置を含めた隣接位置の縦横各9個分の合計81個の画素について高さの平均値である第2平均値を求めて、それを保存するとともに、基本画像8のa1の画素の位置について、高さを上述のようにして求めた第2平均値に置き換える(図1、図2、図9参照)。
次に、第2演算部6Cは、a2の画素の位置について、その位置を含めた隣接位置の縦横各9個分で合計81個の画素について高さの平均値である第2平均値を求めて、それを保存するとともに、基本画像8のa2の画素の位置について、高さを上述のようにして求めた第2平均値に置き換える。
このようにして、第2演算部6Cは、1回目の画像における画素a1〜a1280の位置に付いて、それらの周辺の81箇所の画素について高さの平均値である第2平均値を求めて、a1〜a1280の画素の位置について、それぞれ上述のようにして求めた第2平均値に置き換える。
これにより、1回目の撮影の画像に関して第2平均画像データG2を得ることができる(図7参照)。この第2平均画像データG2では、図5に示した最初の画像のデータからノイズ12と不良部分である膨出部13が除去されて、輪郭線11のみが残留した状態となる。このように第2平均画像データG2を得るための処理が第2平均化処理S3である(図2)。
【0012】
第2平均化処理S3において合計81個分の画素について第2平均値を求める理由は、図9に想像線の円14で示したように、不良部分である膨出部13の大きさは、数個分の画素の大きさよりも少し大きい程度となる。そこで、その膨出部13である円14を完全に包含可能な縦横各9個分で合計81個分の画素を対象として上述のように第2平均値を求めるようにしている。
図6に示した第1平均画像データG1では、ノイズ12が除去されて不良部分の膨出部13だけを含んだタイヤ2の輪郭線11のデータが得られており、一方、図7に示した第2平均画像データG2では、ノイズ12と不良部分である膨出部13が除去されたタイヤ2の輪郭線11だけのデータが得られている。
【0013】
そこで、次に、判定手段6の比較部6Dは、1回目の撮影についての各画素a1〜a1280の位置について、図6に示す第1平均画像データG1と図7に示した第2平均画像データG2とを比較して、G1からG2を差し引いた輪郭線11の高さの差を求める(図1、図2参照)。そして、比較部6Dは、各画素a1〜a1280に付いて両画像データG1、G2の輪郭線11の高さの差を求めたら、それをもとにして強調画像データG3を作成して、保存する(図2、図8)。この強調画像データG3を作成して保存する処理は画像強調化処理S4である。この強調画像データG3では、不良部分である膨出部13の高さが強調されるようになっている。
本実施例の判定手段6は、以上のようにして1回目のカメラ5の撮影画像に対して2回の平均化処理S2、S3とその後の画像強調化処理S4を行い、この後、判定手段6は、残りの2回〜4000回の撮影の画像のデータに対して、上述した1回目の撮影の画像のデータに対するものと同様に、2回の平均化処理S2、S3とその後の画像強調化処理S4を行う(図2参照)。
これにより、図10にイメージとして示したように、強調画像データG3が同一ピッチで4000枚同じ高さで配列された状態のデータを得ることができる。この図10において、例えば4箇所の円弧状に示す箇所が不良部分となる膨出部13であることを示す。
本実施例では、このようにして4000回の撮影による画像のデータを基にして、基本画像8における各々の画素の位置において2回の平均化処理S2、S3と画像強調化処理S4を行うことで、検査対象となったタイヤ2の内面2Aについての三次元のデータである強調画像データG3を4000個得るようにしている。
【0014】
上述のようにして得た4000の強調画像データG3は三次元のデータとなっている。そこで、次に判定手段6の画像処理部6Eは、三次元データである4000の強調画像データG3を二次元の画像データに置き換える(図1、図2のS5)。
その際、強調画像データG3は、図11に示すように、それぞれ水平面において相互に直交するXY方向とこれらと直交する高さ方向(Z方向)のデータとを備えているので、本実施例においては、各回分の強調画像データG3の高さ方向(Z方向)の大小を輝度の大小に置き換えている(図12)。
各回の強調画像データG3においては、不良部分となる膨出部13はその他の正常部分と比較して高さ方向(Z方向)の値が大きくなっているので、画像処理部6Eが上記二次元化処理S5を行うことによって、不良部分である膨出部13の輝度は、その他の正常部分と比較して大きな輝度として判定手段6の判定部6Fに認識されるようになっている(図1、図2)。
この後、判定手段6の判定部6Fは、二次元化された各回の強調画像データG3における輝度が大きい箇所(不良部分である膨出部13)を白に置き換えるとともに、輝度が小さい箇所(正常部分)を黒に置き換える二値化処理を行う(図1、図2)。
この後、判定手段6の判定部6Fは、二値化処理した後の各回の強調画像データG3について、白の箇所が存在することを認識した場合には、検査対象となったタイヤ2に不良部分である膨出部13があると判定して、該タイヤ2は不良である旨を図示しない表示装置に表示する。一方、判定手段6は、二値化処理した後の各回の強調画像データG3について、白の箇所が無く全体が黒である場合には、検査対象となったタイヤ2は良品であると判定して、その旨を表示装置に表示するようになっている。
【0015】
上述した本実施例によれば、検査対象となるタイヤ2の内面2Aの全域について良否の判定基準となる判定基準データを検査前に作成する必要がない。そのため、本実施例によれば、上述した従来の検査方法と比較して、検査を実施する前の準備作業を簡略化することができる。
また、予め記憶した判定基準データとカメラで撮影した実測データとを比較してタイヤ2の内面2Aの良否を判定するものではないので、タイヤ2を回転させる際の回転方向における位置決め手段を必要としない。そのため、そのような位置決め手段を必要としていた従来と比較して、タイヤ検査装置1全体の構成を簡略化することができる。
また、本実施例においては、2回の平均化処理S2、S3を行ってから強調画像データG3を得て、それをもとにしてタイヤ2における内面2Aの外観の良否を判定しているので、内面2Aの外観の良否を正確に判定することができる。
また、本実施例によれば、二次元検査(2D検査)では正確に検出できない緩やかな膨出部13(膨らみ)がタイヤ2の内面2Aに生じているような場合であっても、そのような不良部分としての膨出部13があることを正確に判定することができる。
【0016】
なお、上記実施例においては、強調画像データG3を二次元化した後に二値化処理を行っているが、二値化処理の代わりにグレースケール処理あるいはパターンマッチング処理を行っても良い。つまり、グレースケール処理は、二次元化した画像の輝度の違いを256階調の明るさで認識するものであり、上述した強調画像データG3を二次元化した後の画像の明るさを予め定めたしきい値と比較することで、タイヤの良否を判定することができる。また、パターンマッチング処理を行う場合には、二次元化した画像の基本画像を予め記憶しておき、上述した強調画像データG3を二次元化した画像と予め記憶した基本画像とを比較することで、タイヤの良否を判定することができる。
さらに、上記実施例においては、強調画像データG3を求めた後に、それに対して二次元化処理S5と二値化処理S6を順次行っているが、これらの処理は省略しても良い。つまり、図2に想像線で示すように、画像強調化処理S4で強調画像データG3を求めたら、図13に示すように、強調画像データG3において予め定めた所定のしきい値δを越えている箇所があるか否かを確認して、しきい値を越えている箇所がある場合にタイヤ2が不良品であると判定するようにしても良い。
また、上記実施例では、一次画像保存部6Aに保存されている各回の画像データと基本画像8を基に第1平均画像データG1および第2平均画像データG2を求めているが、第2平均画像データG2については、各回の画像データと基本画像8ではなく、先に求めた第1平均画像データG1を基にして求めても良い。すなわち、第1平均化処理において求めた第1平均値を各画素に置き換えて、その第1平均値を基に第2平均化処理を行うことで第2平均画像データG2を求めても良い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例を示す全体の構成図。
【図2】図1に示した判定手段6による処理工程を示す図。
【図3】図1に示したカメラ5による1回の撮影による画像を示す概念図。
【図4】図1に示した判定手段6によって作成した基本画像8を示す概念図。
【図5】図1に示したカメラ5による1回の撮影による画像を示す概念図。
【図6】図1に示した判定手段6による第1平均化処理後の画像を示す概念図。
【図7】図1に示した判定手段6による第2平均化処理後の画像を示す概念図。
【図8】図1に示した判定手段6による画像強調化処理後の画像を示す概念図。
【図9】図1に示したカメラ5による撮影画像を画素の配列として示した図。
【図10】図1に示した判定手段6による画像強調化処理後の画像の連続状態を示す概念図。
【図11】図1に示した判定手段6による画像強調化処理後の画像における所要箇所を三次元の位置で表現した図。
【図12】図11に示した画像を二次元化処理した後の状態を示す図。
【図13】本発明の他の実施例における要部を示す概念図。
【符号の説明】
【0018】
2…タイヤ 2A…タイヤ2の内面
5…カメラ 6…判定手段
8…基本画像 G1…第1平均画像データ
G2…第2平均画像データ G3…強調画像データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物にライン状の光を照射しながら被検査物とライン状の光とを相対移動させて、上記被検査物に光が照射されている箇所を撮影手段によって複数回にわたって撮影して、上記撮影手段が撮影した画像のデータを基にして被検査物の外観の良否を判定するようにした物品検査方法において、
上記撮影手段が撮影した複数回の被検査物の画像のデータを基にして、該被検査物についての三次元の基本画像を作成し、
次に、上記三次元の基本画像を構成する各画素毎に、その画素の位置を含めた周囲の第1の所定数の画素について、高さの平均値である第1平均値を算出して、上記基本画像を構成する各画素を全てそれらについて求めた上記第1次平均値に置き換えて、ノイズを除去した第1平均画像データを求め、
次に、上記三次元の基本画像または上記第1平均画像データを構成する各画素毎に、その画素の位置を含めた周囲の第2の所定数の画素について、高さの平均値である第2平均値を算出して、上記基本画像を構成する各画素を全てそれらについて求めた上記第2平均値に置き換えて、不良部分およびノイズを除去した第2平均画像データを求め、
次に、第1平均画像データと第2平均画像データとの高さの差を求めて、該高さの差に関する強調画像データを作成し、該強調画像データにおける高さの差に基づいて被検査物の良否を判定することを特徴とする物品検査方法。
【請求項2】
上記強調画像データの高さの差と予め定めた所定のしきい値とを比較することにより、被検査物の良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の物品検査方法。
【請求項3】
上記強調画像データにおける高さの差の違いを輝度の大きさに置き換えて、上記強調画像データを二次元画像のデータに変換した後、この二次元画像のデータを基にして、被検査物の良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の物品検査方法。
【請求項4】
上記二次元画像のデータを二値化処理して、被検査物の良否を判定することを特徴とする請求項3に記載の物品検査方法。
【請求項5】
上記二次元画像のデータをグレースケール処理して、被検査物の良否を判定することを特徴とする請求項3に記載の物品検査方法。
【請求項6】
上記二次元画像における基本データを記憶するとともに、上記二次元画像のデータと基本データとを比較することにより、被検査物の良否を判定することを特徴とする請求項3に記載の物品検査方法。
【請求項1】
被検査物にライン状の光を照射しながら被検査物とライン状の光とを相対移動させて、上記被検査物に光が照射されている箇所を撮影手段によって複数回にわたって撮影して、上記撮影手段が撮影した画像のデータを基にして被検査物の外観の良否を判定するようにした物品検査方法において、
上記撮影手段が撮影した複数回の被検査物の画像のデータを基にして、該被検査物についての三次元の基本画像を作成し、
次に、上記三次元の基本画像を構成する各画素毎に、その画素の位置を含めた周囲の第1の所定数の画素について、高さの平均値である第1平均値を算出して、上記基本画像を構成する各画素を全てそれらについて求めた上記第1次平均値に置き換えて、ノイズを除去した第1平均画像データを求め、
次に、上記三次元の基本画像または上記第1平均画像データを構成する各画素毎に、その画素の位置を含めた周囲の第2の所定数の画素について、高さの平均値である第2平均値を算出して、上記基本画像を構成する各画素を全てそれらについて求めた上記第2平均値に置き換えて、不良部分およびノイズを除去した第2平均画像データを求め、
次に、第1平均画像データと第2平均画像データとの高さの差を求めて、該高さの差に関する強調画像データを作成し、該強調画像データにおける高さの差に基づいて被検査物の良否を判定することを特徴とする物品検査方法。
【請求項2】
上記強調画像データの高さの差と予め定めた所定のしきい値とを比較することにより、被検査物の良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の物品検査方法。
【請求項3】
上記強調画像データにおける高さの差の違いを輝度の大きさに置き換えて、上記強調画像データを二次元画像のデータに変換した後、この二次元画像のデータを基にして、被検査物の良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の物品検査方法。
【請求項4】
上記二次元画像のデータを二値化処理して、被検査物の良否を判定することを特徴とする請求項3に記載の物品検査方法。
【請求項5】
上記二次元画像のデータをグレースケール処理して、被検査物の良否を判定することを特徴とする請求項3に記載の物品検査方法。
【請求項6】
上記二次元画像における基本データを記憶するとともに、上記二次元画像のデータと基本データとを比較することにより、被検査物の良否を判定することを特徴とする請求項3に記載の物品検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−115512(P2009−115512A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286605(P2007−286605)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【出願人】(000138200)株式会社モリテックス (120)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【出願人】(000138200)株式会社モリテックス (120)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】
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