説明

物品検索システム、放送受信装置、物品検索方法及びICタグ

【課題】
検索対象の物品を広範囲で高速かつ精度よく検索することが可能な物品検索システム、放送受信装置、物品検索方法及びICタグを提供すること。
【解決手段】
放送局1は、各車両に貼付されたICタグ5に記憶された車両属性情報のうち、検索対象である盗難車両の属性情報を追跡用車両属性情報10として契約者情報12と共に放送受信装置3へ放送衛星2を介して送信する。それらの情報を受信した放送受信装置3は、CAS処理部27により正規契約者であることが認証された場合には、追跡用車両属性情報10を再生条件フラグに従って再生し、近傍に存在する車両に貼付されたICタグ5から車両属性情報を読み取り、それと上記追跡用車両属性情報10とを照合することで盗難車両の検索を行なう。盗難車両を発見した場合には警察署6等の関係官庁に発見位置情報や画像情報とともに発見情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両等の物品を検索することが可能な物品検索システム、放送受信装置、物品検索方法及びICタグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紛失物等の物品を検索するための技術としては、例えば、物品を識別するための物品識別情報とメールアドレスとを含む識別コードを、該物品に装着されるICタグに登録し、通信端末から物品検索依頼と共に送られてくる上記識別コードを検索システムサーバが取得し、上記通信端末から取得した上記識別コードに対応する識別コードが登録された物品を上記検索システムサーバと接続された調査サーバが探査機により探査し、調査サーバは、得られた探索結果を、上記通信端末から取得した上記識別コードに含まれるメールアドレス宛に送信する、という物品検索システムが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−0215848号公報(段落[0086]〜[0109]、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記文献に記載の技術においては、調査範囲を指定して物品検索を行なうため、仮に当該指定した調査範囲において物品が検索されなかった場合には、再度別の調査範囲を指定して物品検索を行なわなければならない。また、複数の調査範囲を指定するにしても、上記検索システムサーバが調査範囲内のそれぞれの調査サーバへ上記物品検索依頼をインターネットを介して送信し、更に各調査サーバが管轄する各探査機へ物品検索を指示しなければならない。
【0004】
このように、当該技術においては、物品の検索が開始されるまでに手間と時間を要してしまい、物品が検索されるまでにタイムラグが生じてしまうという課題があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、検索対象の物品を広範囲で高速かつ精度よく検索することが可能な物品検索システム、放送受信装置、物品検索方法及びICタグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明の物品検索システムは、物品に取り付けられ、該物品の属性情報が記憶されたICタグと、少なくとも、前記物品のうち検索対象の物品の前記属性情報と、該属性情報の再生権限を認証するための認証情報とを放送衛星を介して放送する放送手段を有する放送局と、前記放送された認証情報及び属性情報を受信する受信手段と、前記受信された認証情報により前記受信された属性情報の再生権限を認証する認証手段と、前記認証手段により前記再生権限が認証された場合に前記属性情報を再生する再生手段と、前記再生された属性情報を基に、前記物品に取り付けられた前記ICタグから前記再生された属性情報と一致する属性情報を読み取る読み取り手段とを有する放送受信装置とを具備する。
【0007】
ここで物品とは、例えば車両等の市場に流通する製品のほか、人間やそれ以外の動物等も含む。また属性情報とは、例えば上記物品の製造番号やメーカー名、当該物品の所有者に関する情報、当該物品の名前(製品名や氏名)等を含む。また放送受信装置は複数存在してもよく、例えば全国の店舗や施設等に設置される。また上記認証情報とは、換言すれば上記放送局から放送される衛星放送の受信契約をした契約者を識別するための情報(ID)である。当該認証には、例えばCAS(Conditional Access Systems、限定受信方式)を用いることができる。
【0008】
この構成によれば、上記属性情報を放送局から放送衛星を介して放送するため、放送受信装置はどのような場所に存在していても瞬時に属性情報を受信することができ、当該属性情報を基に、当該放送受信装置の近傍の、上記ICタグが通信を行える範囲内に存在する(若しくは通過する)物品を瞬時に検索することができる。
【0009】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記放送受信装置は、前記読み取った属性情報を出力する出力手段を有する。ここで出力とは、表示や外部への送信等を含む。これにより、検索対象の物品の属性情報を出力して、当該物品の検索結果を欲する者に報知することが可能となる。
【0010】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記出力手段は、前記読み取った属性情報を表示する表示手段を有する。これにより、例えば放送受信装置の操作者が当該表示を確認することで、検索された物品の所有者に報知することが可能となる。
【0011】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記放送受信装置は、該放送受信装置が存在する位置情報を検出する位置検出手段を有し、前記出力手段は、前記属性情報と共に前記位置情報を出力するようにしてもよい。ここで位置検索手段としては、例えばGPS(Global Positioning System)を利用することができる。これにより、当該位置情報を基に、物品の回収や追跡等、検索後の処置を採ることが可能となる。
【0012】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記放送手段は、前記検索対象の物品が検索された場合の連絡先に関する情報を更に放送し、前記出力手段は、前記読み取った属性情報及び前記位置情報を前記連絡先へ送信する送信手段を有していてもよい。ここで連絡先に関する情報とは、例えば検索結果を欲する者(例えば警察署や物品の所有者)の電話番号やメールアドレス等である。これにより、物品の所有者や関係者等、検索結果を欲する者に対して検索結果及び検索された位置を報知して、それらの者に検索された物品を回収させたり、届けたりすることが可能となる。
【0013】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記放送受信装置は、前記検索対象の物品が検索された場合の連絡先に関する情報を予め記憶する記憶手段を有し、前記出力手段は、前記読み取った属性情報及び前記位置情報を前記記憶された連絡先へ送信する送信手段を有していてもよい。これにより、例えば検索対象の物品が車両等の移動体である場合に、一の放送受信装置が当該車両を検索したものの当該車両が通過してしまった場合等でも、予め当該一の放送受信装置の周辺に存在する施設や店舗等の連絡先を記憶しておき、検索されたときに上記各情報を送信することで、通過していった車両を待ち伏せして発見することができる。
【0014】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記放送受信装置は、前記属性情報を読み取った物品を撮像する撮像手段を有し、前記出力手段は、前記撮像手段により撮像された物品の画像情報を出力するようにしても構わない。これにより、検索された物品を撮像して、当該画像を当該物品の所有者や関係者に送信する等して、検索後の処置を施すことが可能となる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記出力手段は、前記読み取った属性情報を前記放送局へ送信する送信手段を有し、前記放送局は、前記検索対象の物品の属性情報を記憶する記憶手段と、前記放送受信装置から受信された属性情報により前記記憶された属性情報を更新する更新手段とを有する。これにより、検索対象の物品が検索された場合には上記属性情報を更新することで、属性情報の不必要な重複放送を防止して、効率よく物品の検索を行なうことができる。
【0016】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記物品は車両であり、前記属性情報は、前記車両の製造番号又はナンバープレート情報を含んでいてもよい。これにより、例えば、上記検索対象の物品が盗難車両である場合には、放送局から当該盗難車両の製造番号又はナンバープレート情報を放送して、放送受信装置が、近傍を通過する車両に取り付けられたICタグから製造番号又はナンバープレート情報を逐次読み取っていき、上記盗難車両の製造番号又はナンバープレート情報と一致する情報を読み取ることで、盗難車両を特定することができる。また、上記検索対象の物品がリコール対象車両である場合にも、同様にしてリコール対象車両を特定することが可能となる。
【0017】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記ICタグは、該自動車の自動車検査証の有効期限に関する情報が記載され該自動車の外装面又は内装面に貼付可能な粘着面を有し、該自動車の自動車検査標章として機能するものであってもよい。これにより、自動車に貼付が義務付けられている自動車検査標章を、例えば盗難車両やリコール対象車両の特定するためにも利用することが可能となり、利便性が向上する。特に、自動車を盗んだ者によって盗難車両のナンバープレートが付け替えられたり、製造番号が消されたりした場合でも確実に当該盗難車両を検索することが可能となる。
【0018】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記放送受信装置は高速道路の料金所に設置されていてもよい。これにより、当該料金所を検索対象の車両が通過する場合に確実に特定することが可能となる。また、例えばある料金所において検索対象の車両を特定したものの当該車両が通過していってしまったような場合でも、上記出力手段により次の料金所に連絡をしておくことで、当該次の料金所において、盗難車両を待ち伏せして停止させたり、またリコール対象車両の運転者に対してリコール情報を報知したりすることが可能となる。
【0019】
本発明の一の形態によれば、上記物品検索システムにおいて、前記放送受信装置は給油所に設置されていてもよい。これにより、検索対象の車両が当該給油所に立ち寄っている間に上記放送受信装置が当該車両のICタグから製造番号又はナンバープレート情報を読み取って車両を特定することができる。そして、例えば盗難車両の場合には当該給油所にて停止させて、読み取った情報を警察署に送信したり、またリコール対象車両の場合にはその場でリコール情報を報知したりする等の処置をとることができる。
【0020】
本発明の他の観点に係る放送受信装置は、物品の属性情報が記憶されたICタグが取り付けられた物品のうち、検索対象の物品の属性情報と、該属性情報の再生権限を認証するための認証情報とを放送局から放送衛星を介して受信する受信手段と、前記受信された認証情報により前記受信された属性情報の再生権限を認証する認証手段と、前記認証手段により前記再生権限が認証された場合に前記属性情報を再生する再生手段と、前記再生された属性情報を基に、前記物品に取り付けられたICタグから、前記再生された属性情報と一致する属性情報を読み取る読み取り手段とを具備する。
【0021】
また本発明の更に別の観点に係る物品検索方法は、物品の属性情報が記憶されたICタグが取り付けられた物品のうち、検索対象の物品の属性情報と、該属性情報の再生権限を認証するための認証情報とを放送局から放送衛星を介して放送するステップと、前記放送された属性情報及び認証情報を放送受信装置で受信するステップと、前記受信された認証情報により前記受信された属性情報の再生権限を認証するステップと、前記認証手段により前記再生権限が認証された場合に前記属性情報を再生するステップと、前記再生された属性情報を基に、前記物品に取り付けられたICタグから、前記再生された属性情報と一致する属性情報を読み取るステップとを具備する。
【0022】
本発明のまた更に別の観点に係るICタグは、自動車の外装面又は内装面に貼付可能であり、該自動車の自動車検査証の有効期限に関する情報が記載された粘着面と、前記自動車の属性情報を記憶する記憶手段と、前記属性情報を外部に送信するための送信手段とを具備する。すなわち、当該ICタグは、自動車検査標章として機能すると共に、当該自動車を検索する際の情報源としても利用することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、検索対象の物品を広範囲で高速かつ精度よく検索することが可能な物品検索システム、放送受信装置、物品検索方法及びICタグを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0025】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態として、本発明を盗難車両の検索システムに適用した場合について説明する。図1は、本実施形態に係る盗難車両検索システムの概略的な構成を示した図である。
【0026】
本実施形態の盗難車両検索システムは、番組データ等を放送する放送局1、当該放送を受信する放送受信装置3及び車両4に取り付けられたICタグ5により構成される。番組データ等は、放送局1から放送衛星2へ送信され、当該放送衛星2がデジタル衛星放送波として地上の放送受信装置3へ送信される。車両4には、当該車両4の属性情報を記憶したICタグ5が貼付されており、放送受信装置3は、ICタグ5から属性情報を読み取ることが可能である。また放送受信装置3は、例えば電話回線網やインターネット等のネットワーク7を介して、警察署6(のコンピュータ)等の、盗難車両の捜索を行なう関係省庁に接続されている。
【0027】
なお、本実施形態におけるデジタル衛星放送は、オフィス、家庭等など非移動型受信装置(端末)は勿論のこと、車載、携帯等の移動体受信装置(端末)に対してSバンド衛星により全国同報で、音声、画像から成るマルチチャネルサービスを提供するものである。デジタル衛星放送では、例えば、有料放送の契約者に視聴を制限するためにCAS(Conditional Access System)が利用されている。CASは、放送信号をスクランブル化することで、有料放送の受信を契約したユーザのみ受信できるようにユーザ個別の視聴制御を行うシステムである。本実施の形態は、このCASのインフラを活用するものである。
【0028】
図2は、本実施形態における放送局1の構成を示した図である。放送局1は、符号化処理部11、多重化処理部13及び変調部14、記憶部15等を有し、それらはインターフェース111、112、113、114、115、116及び117等を介して接続されている。
【0029】
記憶部15は、放送するための追跡用車両属性情報10や契約者情報12等のデータを記憶し、放送の際にはそれらの情報を符号化処理部11へ送信する。
【0030】
符号化処理部11は、例えばアナログ信号からなる追跡用車両属性情報10をインターフェース111を介して記憶部15から受信し、デジタル信号に変換しインターフェース112を介して多重化処理部13に送信する。追跡用車両属性情報10の詳細については後述する。
【0031】
多重化処理部13は、符号化処理部11でデジタル化された信号と、インターフェース113を介して受信した、衛星放送の再生権限を認証するための契約者情報12とを多重化して、インターフェース114を介して変調部14に送信する。契約者情報12は例えば数字やアルファベットが羅列されたものである。
【0032】
変調部14は、多重化処理部13で多重化された信号を変調して追跡用車両属性情報・契約者情報211とし、インターフェース115を介して送信部(図示せず)に送信する。この送信部は、追跡用車両属性情報・契約者情報211を放送衛星2へ送信する機能を備えている。
【0033】
なお、図示しないが、放送局1は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)等、コンピュータを構成するために必要な構成要素を具備し、上記各部の制御を行い、また各部の処理に必要なプログラムやデータ等を記憶している。
【0034】
図3は本実施形態に係る放送受信装置3の構成を示した図である。放送受信装置3は、例えば高速道路の料金所やガソリンスタンド等に設置される。放送受信装置3は、復調部21及び多重分離部22で構成される受信部20、追跡用車両属性情報再生処理部23、契約者情報再生処理部24、マイクロプロセッサ25、属性情報検出部26、CAS処理部27、位置情報検出部28、操作入力部29、撮像装置30、主記憶装置32、補助記憶装置31及び出力装置33と、インターフェース212〜225とを備えている。
【0035】
受信部20の復調部21は、放送局1から放送衛星2を介して送信された追跡用車両属性情報・契約者情報211を受信して復調し、インターフェース212を介して多重分離部22に送信する。多重分離部22は、追跡用車両属性情報・契約者情報211を追跡用車両属性情報10と契約者情報12とに分離しインターフェース213を介してそれぞれ追跡用車両属性情報再生処理部23、契約者情報再生処理部24に伝達する。
【0036】
追跡用車両属性情報再生処理部23は、インターフェース215を介してマイクロプロセッサ25の命令を受け取り、追跡用車両属性情報10をデコードしてマイクロプロセッサ25へ伝達したり、また検出された盗難車両の属性情報を出力装置33へ伝達したりする等の各種処理を実行する。また、契約者情報再生処理部24は、契約者情報12をデコードして当該情報をマイクロプロセッサ25へ伝達する。
【0037】
マイクロプロセッサ25は、更に主記憶装置32、補助記憶装置31、属性情報検出部26、CAS処理部27、位置情報検出部28、操作入力部29及び撮像装置30に接続され、各部及び各装置の処理に必要なプログラムを実行する。
【0038】
主記憶装置32は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等でなり、インターフェース214、216及び223を介してそれぞれ追跡用車両属性情報再生処理部23、契約者情報再生処理部24及びマイクロプロセッサ25に接続されており、デコード前の追跡用車両属性情報及びデコード前の契約者情報を一時的に記憶したりするために用いられる。
【0039】
補助記憶装置31は例えばROMでなり、放送局1からの放送を受信するためのプログラムやデータ等を固定的に格納し、それらのプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する不揮発性のメモリである。
【0040】
属性情報検出部26は、図示しないアンテナやコイル等からなり、車両に取り付けられたICタグ5から、当該ICタグ5に記憶された車両属性情報を読み取り、当該車両属性情報をマイクロプロセッサ25へ伝達することが可能となっている。なお、ICタグ5には、電源を内蔵するアクティブ型と、無電源で、読取装置側から照射される電波により発電するパッシブ型の2種類があり、また周波数帯も2.4GHz、13.56MHz、125kHz等複数の周波数帯を用いることが可能である。本実施形態におけるICタグ5はどの型及び周波数帯でも利用することができるが、例えばパッシブ型の形態をとった場合には、属性情報検出部26は、ICタグに対して特定周波数(例えば13.56MHz)の電波を照射し、それに応答してICタグ5から発射される、車両属性情報を含む電波を受信することで属性情報の読み取りを行なう。この読み取られた車両属性情報が、マイクロプロセッサ25へ伝達され、上記受信された追跡用車両属性情報と照合されることで盗難車両の特定が行なわれる。13.56MHzの周波数帯をとった場合には、ICタグ5と属性情報検出部26との通信範囲は数m程度である。
【0041】
CAS処理部27は、上記デコードされた契約者情報12により、上記受信した追跡用車両属性情報10の再生権限の認証を行なう。換言すれば、CAS処理部27は、当該放送受信装置3が、追跡用車両属性情報の放送の視聴契約者の受信装置であるか否かの判別を行なう。契約者の判別は、例えば個々の契約者毎に配布されるCASカードに記憶された認証番号により行う。放送受信装置3のユーザは、上記追跡用車両属性情報10を再生する際には、放送受信装置3にCASカードを挿入しておき、CAS処理部27は当該CASカードに記憶された契約者情報(認証番号)を読み取り、更に当該CASカードの契約者情報と上記受信部20が受信した契約者情報12とを照合することにより、契約の有無を判断する。CASカードの契約者情報は、予め放送局1側に登録される。
【0042】
位置情報検出部28は、当該放送受信装置3の設置場所(すなわち盗難車両の発見場所)の位置を検出し、当該位置情報をマイクロプロセッサ25へ伝達する。当該位置情報は、情報送信装置35を介して警察署6等の関係官庁へ送信される。当該位置情報検出部28としては、例えばGPSを利用することができる。
【0043】
操作入力部29は、例えば操作ボタン等でなり、上記追跡用車両属性情報・契約者情報211を受信するチャンネルの他、衛星放送の各チャンネルを選択する際等に用いられる。
【0044】
撮像装置30は、発見した盗難車両を撮像するために用いられる。撮像された画像は出力装置33へ伝達される。
【0045】
出力装置33は、表示装置34及び情報送信装置35からなる。表示装置34は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等でなり、発見された盗難車両の属性情報や、上記撮像装置30により撮像された盗難車両の画像を、マイクロプロセッサ25を介して入力して表示する。情報送信装置35は、例えば電話回線網、光ケーブル、電灯線及び無線LAN等によるインターネット等のネットワーク7への接続機能を有し、当該ネットワーク7を介して、上記発見された盗難車両の属性情報や画像情報等を警察署6等の関係官庁へ送信する。
【0046】
なお、当該放送受信装置3は、例えば携帯電話のような携帯端末機の形態をとってもよいし、据え置き型の形態をとってもよい。
【0047】
次に、上記放送局1から放送され、放送受信装置3で再生される追跡用車両属性情報10及び契約者情報12について説明する。図4は、当該追跡用車両属性情報・契約者情報211のフォーマットを示した図である。
【0048】
図4(a)に示すように、上記放送局1の変調部14で変調されて送信された追跡用車両属性情報・契約者情報211の基本フォーマットには、追跡用車両属性情報の詳細及び契約者情報に加えて、番組番号、番組の放送開始日時及び放送終了日時、再生条件フラグが含まれる。
【0049】
番組番号は、衛星放送のチャンネルを示すものであり、例えば、各都道府県または各地域の管轄警察署がそれぞれ自署の管轄で起きた車両盗難事件についての追跡用車両属性情報を放送するような場合に、各警察署を識別するために用いられる。
【0050】
放送開始日時及び放送終了日時の情報は、例えば、番組の放送時間を決定したり、番組の再生時間を判断したりするために用いられている。番組番号、番組の放送開始日時、放送終了日時の情報は、各情報を主記憶装置32内のどこに記憶するかを決定するために利用される。例えば、番組を日付順に並べるとき等に使用される。
【0051】
再生条件フラグは、盗難車両の検索の緊急度に応じて追跡用車両属性情報10の再生を行なうために用いられる。図4(b)に示すように、本実施形態においては、0、1、2、3の4つの位置にフラグが備えられている。0の位置のフラグが二進数の1であるときは、番組が緊急放送であることを示し、全ての再生及び出力に優先して(割り込んで)盗難車両の検索を行なう。同様に1の位置のフラグが二進数の1であるときは、番組がリアルタイム放送であることを示し、受信した追跡用車両属性情報10をリアルタイム(ストリーミング)で再生して盗難車両の検索を行なう。また2又は3の位置のフラグが二進数の1であるときは、番組が繰り返し放送1又は繰り返し放送2であることを示し、受信した追跡用車両属性情報10をインターフェース214を介して一旦主記憶装置32に記憶して、各再生条件に従って再生して検索を行なう。例えば、2の位置のフラグが1、3の位置のフラグが0のときは10分間間隔、2の位置のフラグが0、3の位置のフラグが1のときは20分間間隔、2及び3の位置のフラグが共に1のときは1時間間隔で、それぞれ主記憶装置32に記憶された追跡用車両属性情報10を再生して検索動作を行なう。
【0052】
図5は上記フォーマット中の属性情報詳細の例を示した図である。同図に示すように、属性情報には、盗難された自動車のナンバープレート(自動車登録番号標、軽自動車の場合は車両番号標)に記載の情報と、当該自動車が発見された場合の連絡先に関する情報が含まれる。
【0053】
ナンバープレート情報には、当該自動車を登録した運輸支局等の所在地等の自動車の使用の本拠を示す地域名、自動車の種別や用途を示す2桁又は3桁の分類番号、自家用や事業用等の自動車の用途を示す平仮名及び1〜9999までの最大4桁の一連指定番号が含まれる。
【0054】
連絡先情報は、例えば盗難事件を管轄する警察署の電話番号や電子メールのアドレス等であり、盗難車両が発見された場合には上記情報送信装置35を介して当該連絡先に発見情報が送信される。
【0055】
次に、各車両に取り付けられたICタグ5について説明する。図6は、本実施形態におけるICタグ5の外観を示す図である。同図に示すように、ICタグ5は、自動車検査の際に自動車の所有者に対して配布される自動車検査標章(ステッカー)として機能する。当該ICタグ5の片面5aには、当該自動車の自動車検査証の有効期限に関する情報が記載されており、例えば自動車のフロントガラスの内面等に貼付可能な粘着面となっている。また図示しないが、当該ICタグ5の内部には、上記放送受信装置3の属性情報検出部26と通信を行なうためのアンテナ等の通信部、当該属性情報検出部26から照射される電波により起電力を発生させるためのコイル、車両属性情報を記憶するための記憶部、当該記憶部に記憶された車両属性情報を通信部へ伝達するための回路及びそれらの動作を制御する制御部等を備えている。このように、自動車に貼付が義務付けられている自動車検査標章を、盗難車両の検索用のICタグ5としても利用することで、わざわざ検索用のICタグを自動車に取り付ける場合に比べて利便性が向上する。また、自動車を盗んだ者によって盗難車両のナンバープレートが付け替えられたり、製造番号が消されたりした場合でも確実に当該盗難車両を検索することが可能となる。
【0056】
図7は、当該ICタグ5の記憶部に記憶された車両属性情報50の例を示した図である。同図に示すように、車両属性情報50は、上記放送受信装置3で再生される追跡用車両属性情報10のうち、ナンバープレート情報と同様の項目内容となっている。盗難車両が、高速道路料金所や給油所等の各施設や店舗等の設置された放送受信装置3の近傍を通過した場合又はそこで停車している場合に、当該車両属性情報50が放送受信装置3の属性情報検出部26に読み取られ、当該車両属性情報50と、追跡用車両属性情報10のうちナンバープレート情報とがマイクロプロセッサ25によって照合されることで盗難車両の特定が行なわれることになる。
【0057】
次に、以上のように構成された盗難車両検索システムの動作を説明する。図8は、本実施形態における放送受信装置3の動作を示したフローチャートである。
【0058】
同図に示すように、放送受信装置3はまず、放送局1から放送衛星2を介して放送された追跡用車両属性情報・契約者情報211を受信する(ステップ61)。そして当該情報を追跡用車両属性情報10と契約者情報12に分離し、当該契約者情報12と上記CASカードの契約者情報とをCAS処理部27により照合することで正規契約者か否かの認証を行なう(ステップ62)。
【0059】
正規契約者であることが認証された場合(ステップ62のYes)には、上記フォーマットから再生条件フラグを読み出す(ステップ63)。再生条件フラグのうちフラグ0がON(2進数の1)の場合(ステップ64のYes)には、受信した放送は緊急放送を意味するため、受信した追跡用車両属性情報10を他の放送の再生に優先して再生する(ステップ65)。フラグ0がOFFの場合(ステップ64のNo)にはフラグ1が調べられ(ステップ66)、当該フラグ1がONの場合には、受信した放送はリアルタイム放送を意味するため、再生中の放送がある場合には当該放送の再生終了を待って、無い場合には直ぐに再生する(ステップ67)。フラグ1もOFFの場合には、フラグ2及び3が調べられ(ステップ68)、どちらかがON又は両方がONの場合(ステップ68のYes)には、追跡用車両属性情報10を一旦主記憶装置32に記憶しておき、予め定められた上記時間間隔に従い主記憶装置32から呼び出して再生する(ステップ69)。
【0060】
上記各再生条件フラグに従って追跡用車両属性情報10が再生されると、属性情報検出部26による、ICタグ5からの車両属性情報の検出動作(盗難車両の検索動作)が行なわれる(ステップ71)。すなわち、車両が放送受信装置3の近傍を通過した場合または停車している場合には、属性情報検出部26は、当該車両のICタグ5から車両属性情報を検出して、マイクロプロセッサ25が、当該検出された車両属性情報と、上記追跡用車両属性情報10中の車両属性情報との一致を調べる。そして、各車両属性情報が一致した場合(ステップ72)、すなわち盗難車両を発見した場合には、当該車両属性情報やその他の必要情報を出力装置33へ出力する(ステップ73)。
【0061】
具体的には、マイクロプロセッサ25は、発見した盗難車両の属性情報を発見情報として表示装置34に表示する。また、位置情報検出部28により、当該放送受信装置3の設置場所の位置情報を検出し、上記車両属性情報のフォーマットに含まれる連絡先情報(メールアドレスや電話番号)を参照して、当該位置情報を警察署6等の関係官庁等に、上記属性情報とともに発見場所として情報送信装置35によりインターネットや電話回線等のネットワーク7を介して送信する。また、その場合に、発見した盗難車両を撮像装置30により撮像して、画像情報を上記発見情報に添付して送信する。
【0062】
以上の動作は、上記受信した追跡用車両属性情報・契約者情報211に含まれる全ての追跡用車両属性情報10について、盗難車両を発見するまで繰り返し行なわれる(ステップ70)。
【0063】
以上の動作により、放送受信装置3がどのような場所に設置していても瞬時に追跡用車両属性情報10を受信することができ、当該追跡用車両属性情報10を基に、放送受信装置3の近傍に存在する盗難車両を広範囲で高速に検索し、警察署6等の関係官庁に発見情報を送信することができる。また、CASを利用しているため、放送という送信先を特定しない(ブロードキャストの)送信手段を利用しながらも、特定の場所(料金所や給油所)に設置された放送受信装置3にのみ選択的に追跡用車両属性情報10を再生させることができるため、盗難情報が漏洩することを防ぐことができる。
【0064】
なお、放送受信装置3は、上記警察署6等の関係官庁以外にも、盗難車両を発見した場合の連絡先を予め記憶するようにしておいてもよい。例えば放送受信装置3が高速道路の料金所に設置されている場合には、盗難車両の発見はできるものの、そのまま当該料金所を走り去っていくような場合が想定される。そこで、高速道路上の次の料金所の連絡先を予め記憶しておき、盗難車両を発見した場合には当該次の料金所へ上記発見情報を送信するように設定しておいてもよい。これにより次の料金所で盗難車両を待ち伏せして確保することができる。
【0065】
ところで、盗難車両が発見された場合には、当該盗難車両の追跡用車両属性情報10の放送はもはや不要となるが、放送局1側が当該発見の事実を知らない場合には、当該追跡用車両属性情報10が重複放送されてしまう。そこで、本実施形態においては、放送受信装置3及び放送局1は、当該重複放送を防止するために、盗難車両が発見された場合には、追跡用車両属性情報10を更新することとしている。以下、当該動作について説明する。
【0066】
上述したように、放送局1においては、放送するための追跡用車両属性情報10を記憶している。図9は、当該記憶部15に記憶された追跡用車両属性情報10の詳細を示した図である。
【0067】
放送受信装置3において盗難車両が発見された場合には、放送受信装置3は、当該盗難車両の属性情報を含む発見情報を情報送信装置35によりインターネット等のネットワーク7を介して放送局1へ送信する。放送局1では、当該発見情報中の属性情報を記憶部15の発見済み車両属性情報82として記憶し、検索対象の盗難車両の属性情報を記憶してある対象車両マスタ81と当該発見済み車両属性情報82とをつき合わせて、重複する車両属性情報を削除することにより対象車両マスタ81を更新して更新対象車両マスタ83を生成する。そして、当該更新対象車両マスタ83を基に、新たに追跡用車両属性情報10を生成して放送する。
【0068】
図10は当該更新動作の流れを詳細に示したフローチャートである。同図に示すように、放送局1のCPUは、追跡用車両属性情報の放送を開始する前に、まず対象車両マスタ81から属性情報を呼び出し(ステップ91)、続いて発見済み車両属性情報82を呼び出して(ステップ92)、両情報を照合することで新規発見車両が有るか否かを確認する(ステップ93)。新規発見車両がある場合(ステップ93のYes)には、対象車両マスタ81を更新して(ステップ94)、当該更新後の属性情報を基に、追跡用車両属性情報10を生成して放送する(ステップ95)。新規発見車両が無い場合(ステップ93のNo)には、対象車両マスタ81を更新することなく追跡用車両属性情報10を生成して放送する(ステップ95)。
【0069】
以上の動作により、発見済みの盗難車両に関する追跡用車両属性情報10の重複放送を防いで無駄を省くことができ、その分、放送受信装置3に対して未発見の盗難車両の追跡用車両属性情報10を放送して当該盗難車両の検索の催促を行なうことができるため、検索効率を向上させることができる。
【0070】
なお、検索対象の車両が追加される場合にも同様に対象車両マスタ81を更新することで新たに追跡用車両属性情報10を生成することができる。このように、本実施形態においては検索対象車両の変化に柔軟に対応して効率よく検索を行なうことができる。したがって、放送局1側では、検索対象の車両の属性情報を常時記憶させておく必要は無く、車両盗難事件が発生して盗難車両が発見されるまでの間のみ記憶すればよいため、記憶部15の記憶容量を最低限に抑えることができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。上記第1実施形態においては、盗難車両を検索対象としていたが、本実施形態においては、検索対象をリコール対象車両として、本発明をリコール対象車両検索システムに適用する。
【0072】
なお、本実施形態においても、放送局1、放送衛星2、放送受信装置3、ICタグ5といった基本的な構成は変わらないが、盗難車両に代わりリコール対象車両を検索対象とするため、放送局1から放送される属性情報の内容、ICタグ5に記憶される属性情報の内容及びリコール対象車両が発見された場合の連絡先等が上記第1実施形態とは異なる。従って、本実施形態においては当該異なる部分を中心に説明して、上記第1実施形態と同様の構成となる部分については同一の符号を付し、説明を簡略化又は省略する。
【0073】
図11は、本実施形態におけるリコール対象車両検索システムの概略的な構成を示した図である。同図に示すように、リコール対象車両を発見した場合の連絡先として、上記第1実施形態における警察署6の代わりに、当該リコール対象車両の購入元であるディーラー8のコンピュータや、当該リコール対象車両の所有者の携帯電話等のユーザ端末9が放送受信装置3と接続されている。
【0074】
図12は、本実施形態において放送局1から放送される追跡用車両属性情報10に含まれる属性情報の詳細を示した図である。同図に示すように、属性情報には、リコール対象車両のメーカー名、製造番号、ナンバープレート情報、ディーラー又はユーザ等の連絡先情報、リコールの処置区分及び当該処置の理由等の項目が設けられる。製造番号は同一メーカーの同一の年式及び車種でもそれぞれ異なる番号が付与されているため、当該製造番号によって個々のユーザの車両を特定することができる。ナンバープレート情報は上記第1実施形態の場合と同様である。処置区分は、例えばリコール(回収)、点検、修理、廃棄等の処置の種類を示しており、理由はその処置が必要な理由又その処置箇所を示している。なお、上述したように、各メーカーが専用のチャンネルを用いて追跡用車両属性情報10の放送を行なう場合には、複数のメーカーの情報が混在することはない。
【0075】
また、図示しないが、本実施形態においては、上記第1実施形態の図4の基本フォーマットにおける番組番号は、追跡用車両属性情報10を提供する、リコール対象車両のメーカーを識別するための情報である。追跡用車両属性情報10の放送は、各メーカーの専用チャンネルを用意して行ってもよいし、複数メーカーの追跡用車両属性情報10を一のチャンネルでまとめて行ってもよい。
【0076】
また、本実施形態における再生条件フラグは、例えば処置区分が回収等の場合には緊急放送(フラグ0がON)、点検等の場合にはリアルタイム放送(フラグ1がON)というように、リコールの緊急度に応じて設定される。これにより生命の安全に関わるようなリコール対象車両を優先して発見することができる。
【0077】
図13は、本実施形態においてICタグ5に記憶される車両属性情報50の詳細を示した図である。同図に示すように、車両属性情報50には、上記放送される車両属性情報の詳細項目のうち、リコールの有無に関係なく当該車両に特有の情報、すなわち上記メーカー名、製造番号、ナンバープレート情報と同様の情報が含まれている。
【0078】
以上のような構成を基に、上記第1実施形態の場合と同様の動作が行なわれる。すなわち、放送局1から追跡用車両属性情報10及び契約者情報12が送信され、それを受信した放送受信装置3は、その近傍に存在する車両から車両属性情報を読み取り、当該車両属性情報が、受信した車両属性情報と一致する場合には、当該車両属性情報リコール対象車両の発見情報として表示装置34に表示したり、情報送信装置35によりディーラー8やユーザ端末9等の関係者に位置情報や画像情報等の各種発見情報を送信したりする。なお、放送局1から放送される追跡用車両属性情報10に複数の車両の情報が含まれる場合には、全ての車両について発見されるまで検索を行い、また、同一メーカーの同一車種及び年式の車両でも、製造番号又はナンバープレート情報を参照して、個々の所有者の車両を全て発見するまで検索を行なう。
【0079】
また、放送局1の記憶部15には、複数のメーカーの異なる車種毎に、更には同一車種及び年式でも製造番号及びナンバープレート情報毎(すなわち所有者毎)に属性情報が記憶されている。そして、上記第1実施形態と同様、リコール対象車両が発見される度、又はリコール情報が発生する度に、当該情報を更新して追跡用車両属性情報10を再生成することが可能である。
【0080】
以上の動作により、各自動車メーカーにおいてリコールが申請された場合に、瞬時に当該リコール対象車両を発見し、関係者に連絡して適切な処置を行なうことが可能となる。なお、リコール対象車両を発見した場合には、放送受信装置3の操作者(料金所や給油所の人員)が予め用意しておいたリコール情報記載の紙媒体を手渡したり、口頭で伝えたりすることも可能となる。また、料金所で発見しながら当該発見車両が通過してしまったような場合でも、次の料金所に発見情報を送信し、そこでリコール情報を手渡したり伝えたりすることもできる。
【0081】
なお、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0082】
例えば、上記第1実施形態において、ICタグ5は、車両属性情報50として、ナンバープレート情報の代わりに、又はそれらに加えて、自動車のメーカー名、車種名、年式、製造番号等を記憶するようにし、また放送局1はそれらの情報を追跡用車両属性情報10として放送するようにしてもよい。またICタグ5は、車両属性情報50の他に車両の所有者に関する情報を記憶するようにしても構わない。第2実施形態においても、車両属性情報に車種名、年式等及び所有者に関する情報を更に加えてもよい。
【0083】
また、上記2つの実施形態においては自動車を検索対象としていたが、検索対象はこれに限られず、例えば自転車等の他の車両や流通過程にあるコンテナや食料品梱包箱、パスポートや免許証等、どのような物品でも検索対象として本発明を適用することができる。また、クレジットカードやキャッシュカードにICタグを埋め込むことで、不正使用防止に応用すること等も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1実施形態に係る盗難車両検索システムの概略的な構成を示した図である。
【図2】第1実施形態における放送局1の構成を示した図である。
【図3】第1実施形態に係る放送受信装置3の構成を示した図である。
【図4】追跡用車両属性情報10と契約者情報12のフォーマットを示した図である。
【図5】図4のフォーマット中の、属性情報詳細の例を示した図である。
【図6】第1実施形態におけるICタグ5の外観を示す図である。
【図7】ICタグ5の記憶部に記憶された車両属性情報50の例を示した図である。
【図8】第1実施形態における放送受信装置3の動作を示したフローチャートである。
【図9】記憶部15に記憶された追跡用車両属性情報10の詳細を示した図である。
【図10】追跡用車両属性情報の更新動作の流れを示したフローチャートである。
【図11】第2実施形態に係るリコール対象車両検索システムの概略的な構成を示した図である。
【図12】第2実施形態において放送される属性情報詳細の例を示した図である。
【図13】第2実施形態においてICタグ5に記憶された車両属性情報50の例を示した図である。
【符号の説明】
【0085】
1…放送局
2…放送衛星
3…放送受信装置
4…車両
5…ICタグ
6…警察署
7…ネットワーク
8…ディーラー
9…ユーザ端末
10…追跡用車両属性情報
11…符号化処理部
12…契約者情報
23…追跡用車両属性情報再生処理部
24…契約者情報再生処理部
25…マイクロプロセッサ
26…属性情報検出部
27…CAS処理部
28…位置情報検出部
30…撮像装置
32…主記憶装置
33…出力装置
34…表示装置
35…情報送信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に取り付けられ、該物品の属性情報が記憶されたICタグと、
少なくとも、前記物品のうち検索対象の物品の前記属性情報と、該属性情報の再生権限を認証するための認証情報とを放送衛星を介して放送する放送手段を有する放送局と、
前記放送された認証情報及び属性情報を受信する受信手段と、前記受信された認証情報により前記受信された属性情報の再生権限を認証する認証手段と、前記認証手段により前記再生権限が認証された場合に前記属性情報を再生する再生手段と、前記再生された属性情報を基に、前記物品に取り付けられた前記ICタグから前記再生された属性情報と一致する属性情報を読み取る読み取り手段とを有する放送受信装置と
を具備することを特徴とする物品検索システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物品検索システムにおいて、
前記放送受信装置は、前記読み取った属性情報を出力する出力手段を有することを特徴とする物品検索システム。
【請求項3】
請求項2に記載の物品検索システムにおいて、
前記出力手段は、前記読み取った属性情報を表示する表示手段を有することを特徴とする物品検索システム。
【請求項4】
請求項2に記載の物品検索システムにおいて、
前記放送受信装置は、該放送受信装置が存在する位置情報を検出する位置検出手段を有し、
前記出力手段は、前記属性情報と共に前記位置情報を出力することを特徴とする物品検索システム。
【請求項5】
請求項4に記載の物品検索システムにおいて、
前記放送手段は、前記検索対象の物品が検索された場合の連絡先に関する情報を更に放送し、
前記出力手段は、前記読み取った属性情報及び前記位置情報を前記連絡先へ送信する送信手段を有することを特徴とする物品検索システム。
【請求項6】
請求項4に記載の物品検索システムにおいて、
前記放送受信装置は、前記検索対象の物品が検索された場合の連絡先に関する情報を予め記憶する記憶手段を有し、
前記出力手段は、前記読み取った属性情報及び前記位置情報を前記記憶された連絡先へ送信する送信手段を有することを特徴とする物品検索システム。
【請求項7】
請求項2に記載の物品検索システムにおいて、
前記放送受信装置は、前記属性情報を読み取った物品を撮像する撮像手段を有し、
前記出力手段は、前記撮像手段により撮像された物品の画像情報を出力することを特徴とする物品検索システム。
【請求項8】
請求項2に記載の物品検索システムにおいて、
前記出力手段は、前記読み取った属性情報を前記放送局へ送信する送信手段を有し、
前記放送局は、
前記検索対象の物品の属性情報を記憶する記憶手段と、
前記放送受信装置から受信された属性情報により前記記憶された属性情報を更新する更新手段とを有することを特徴とする物品検索システム。
【請求項9】
請求項2に記載の物品検索システムにおいて、
前記物品は車両であり、
前記属性情報は、前記車両の製造番号又はナンバープレート情報を含むことを特徴とする物品検索システム。
【請求項10】
請求項9に記載の物品検索システムにおいて、
前記ICタグは、該自動車の自動車検査証の有効期限に関する情報が記載され該自動車の外装面又は内装面に貼付可能な粘着面を有し、該自動車の自動車検査標章として機能することを特徴とする物品検索システム。
【請求項11】
請求項9に記載の物品検索システムにおいて、
前記放送受信装置は高速道路の料金所に設置されることを特徴とする物品検索システム。
【請求項12】
請求項9に記載の物品検索システムにおいて、
前記放送受信装置は給油所に設置されることを特徴とする物品検索システム。
【請求項13】
物品の属性情報が記憶されたICタグが取り付けられた物品のうち、検索対象の物品の属性情報と、該属性情報の再生権限を認証するための認証情報とを放送局から放送衛星を介して受信する受信手段と、
前記受信された認証情報により前記受信された属性情報の再生権限を認証する認証手段と、
前記認証手段により前記再生権限が認証された場合に前記属性情報を再生する再生手段と、
前記再生された属性情報を基に、前記物品に取り付けられたICタグから、前記再生された属性情報と一致する属性情報を読み取る読み取り手段と
を具備することを特徴とする放送受信装置。
【請求項14】
物品の属性情報が記憶されたICタグが取り付けられた物品のうち、検索対象の物品の属性情報と、該属性情報の再生権限を認証するための認証情報とを放送局から放送衛星を介して放送するステップと、
前記放送された属性情報及び認証情報を放送受信装置で受信するステップと、
前記受信された認証情報により前記受信された属性情報の再生権限を認証するステップと、
前記認証手段により前記再生権限が認証された場合に前記属性情報を再生するステップと、
前記再生された属性情報を基に、前記物品に取り付けられたICタグから、前記再生された属性情報と一致する属性情報を読み取るステップと
を具備することを特徴とする物品検索方法。
【請求項15】
自動車の外装面又は内装面に貼付可能であり、該自動車の自動車検査証の有効期限に関する情報が記載された粘着面と、
前記自動車の属性情報を記憶する記憶手段と、
前記属性情報を外部に送信するための送信手段と
を具備することを特徴とする自動車検査標章型のICタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−221475(P2006−221475A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35215(P2005−35215)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(598167327)モバイル放送株式会社 (18)
【Fターム(参考)】