説明

現像カートリッジ

【課題】タンデム型感光体ユニットに対して容易に着脱することができるとともに、画像形成装置本体に対してタンデム型感光体ユニットをスライドさせるときに、周辺の部材と干渉して破損することを防止することができる現像カートリッジを提供すること。
【解決手段】
本体ケーシング2に対して引出位置と装着位置とにスライド可能なプロセスユニット9に対して着脱自在な現像カートリッジ13において、左右方向に沿って延びる現像ローラ17を下端部において回転自在に支持する現像ケーシング61の上端部に、左右方向に互いに間隔を隔てて配置され、現像ケーシング61の上端部から上側に向かって延びる1対の立設部68と、左右方向に延び、両立設部68を連結する弾性変形可能な連結部69とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーレーザプリンタなどの画像形成装置に備えられる現像カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラープリンタとして、所定方向に並列配置され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーにそれぞれ対応する複数の感光体と、各感光体にそれぞれ対応し、トナーを供給する複数の現像カートリッジとを備えるタンデム型カラーレーザプリンタが知られている。
このようなタンデム型カラーレーザプリンタに備えられる現像カートリッジとして、たとえば、トナーが収容される現像フレームと、現像フレームの上壁に設けられる現像カートリッジ把持部とを備える現像カートリッジが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この現像カートリッジでは、現像カートリッジ把持部は、現像フレームの上壁が下方に向かって窪む凹部と、凹部の後端部に設けられる取手とを備えており、取手は、凹部の幅方向両端部から上方に向かって延びる把持側壁と、把持側壁の上端部間に架設される把持中央部とを備えている。そして、この現像カートリッジは、本体ケーシングに着脱自在に装着されるドラムユニットに対して、並列配置されるように装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】2007−101637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1に記載の現像カートリッジでは、取手は、上方に向かって延びる把持側壁と、把持側壁の上端部間に架設される把持中央部とを備えている。すなわち、取手は、上方に向かって突出するように形成されている。
そのため、ドラムユニットを本体ケーシングに装着するときなどに、周辺の部材が、上方から取手に干渉する場合がある。その場合には、取手や、取手と干渉した周辺の部材が破損する場合がある。
【0006】
取手が周辺の部材に干渉しにくくするには、たとえば、現像フレームの凹部を大きく形成し、その分、取手の上方への突出を低減することが検討される。
しかし、現像フレームの凹部を大きく形成し、取手の上方への突出を低減すると、現像カートリッジがドラムユニットにおいて並列配置されているため、取手を把持するときに、隣接する現像カートリッジとの間に指を差し込むことになり、取手へのアクセスが困難になる場合がある。
【0007】
また、現像フレームの凹部を大きく形成すると、その分、現像フレームのトナー収容室が小さくなり、トナーの収容量が低減する。
そこで、本発明の目的は、タンデム型感光体ユニットに対して容易に着脱することができるとともに、画像形成装置本体に対してタンデム型感光体ユニットをスライドさせるときに、周辺の部材と干渉して破損することを防止することができる現像カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明は、画像形成装置本体に対して引出位置と装着位置とにスライド可能なタンデム型感光体ユニットに対して着脱自在な現像カートリッジであって、ケーシングと、前記ケーシングの一端部に回転自在に支持され、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記ケーシングの他端部において、前記現像剤担持体の軸方向に互いに間隔を隔てて配置され、前記ケーシングの他端部から、前記現像カートリッジの離脱方向に向かって延びる1対の立設部と、前記現像剤担持体の軸方向に延び、両前記立設部を連結する弾性変形可能な連結部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、連結部は、ケーシングの他端部から現像カートリッジの離脱方向に向かって延びる1対の立設部を連結している。すなわち、連結部は、ケーシングの他端部よりも現像カートリッジの離脱方向に配置されている。
そのため、画像形成装置本体に対してタンデム型感光体ユニットをスライドさせるときに、現像カートリッジの離脱方向から、周辺の部材が現像カートリッジに干渉したとしても、弾性変形可能な連結部が撓むことによって、その干渉による衝撃を緩和することができる。
【0010】
また、ユーザーは、連結部を容易に把持することができ、現像カートリッジを、タンデム型感光体ユニットに対して容易に着脱することができる。
その結果、タンデム型感光体ユニットに対して容易に着脱することができるとともに、画像形成装置本体に対してタンデム型感光体ユニットをスライドさせるときに、周辺の部材と干渉して破損することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタを示す側断面図である。
【図2】図1に示すプロセスユニットを右上側から見た斜視図である。
【図3】図1に示すプロセスユニットの平面図である。
【図4】図3に示す左側の側板の右側面図である。
【図5】図1に示す現像カートリッジの右上側から見た斜視図である。
【図6】図1に示す現像カートリッジの右前側から見た斜視図である。
【図7】図1に示すプロセスカートリッジの本体ケーシングへの装着を説明する説明図であって、プロセスユニットが引出位置に配置されており、マゼンタ現像カートリッジが離脱位置に、それ以外の現像カートリッジが作像位置に配置されている状態を示す。
【図8】図7に続くプロセスカートリッジの本体ケーシングへの装着を説明する説明図であって、マゼンタ現像カートリッジの取っ手が当接部材に前側から当接された状態を示す。
【図9】図8に続くプロセスカートリッジの本体ケーシングへの装着を説明する説明図であって、マゼンタ現像カートリッジが離脱位置から作像位置に回動された状態を示す。
【図10】図9に続くプロセスカートリッジの本体ケーシングへの装着を説明する説明図であって、マゼンタ現像カートリッジの取っ手が撓み、マゼンタ現像カートリッジが当接部材の下側を通過する状態を示す。
【図11】図1に示すプロセスカートリッジの本体ケーシングからの離脱を説明する説明図であって、マゼンタ現像カートリッジの取っ手が当接部材に後側から当接された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.カラーレーザプリンタの全体構成
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタ1は、横置きタイプのダイレクトタンデム型カラーレーザプリンタである。カラーレーザプリンタ1は、画像形成装置本体の一例としての本体ケーシング2内に、用紙Pを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、給紙部3および画像形成部4を収容する側面視略矩形状のボックス状に形成されており、その一方側壁には、後述するプロセスユニット9を着脱させるための着脱口30が形成されている(図7参照)。また、一方側壁には、着脱口30を被覆するフロントカバー5が設けられている。フロントカバー5は、本体ケーシング2に対して下端部を支点として揺動自在に設けられており、一方側に傾倒されることにより、着脱口30を露出させる。
【0013】
なお、以下の説明において、フロントカバー5が設けられる側(図1における左側)を前側とし、その反対側(図1における右側)を後側とする。また、カラーレーザプリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
(2)給紙部
給紙部3は、用紙Pを収容する給紙トレイ6を備えている。給紙トレイ6は、本体ケーシング2内の底部に着脱自在に装着されている。給紙トレイ6の前端部上側には、1対のレジストローラ7が設けられている。
【0014】
給紙トレイ6に収容されている用紙Pは、両レジストローラ7間に向けて1枚ずつ給紙され、所定のタイミングで、画像形成部4(感光ドラム14(後述)と搬送ベルト22(後述)との間)に向けて搬送される。
(3)画像形成部
画像形成部4は、スキャナユニット8、タンデム型感光体ユニットの一例としてのプロセスユニット9、転写ユニット10、および定着ユニット11を備えている。
(3−1)スキャナユニット
スキャナユニット8は、本体ケーシング2の上部に配置されている。スキャナユニット8は、破線で示すように、4つの感光ドラム14(後述)に向けて、画像データに基づいて、レーザービームをそれぞれ出射し、感光ドラム14(後述)を露光する。
(3−2)プロセスユニット
(3−2−1)プロセスユニットの構成
プロセスユニット9は、スキャナユニット8の下側であって、転写ユニット10の上側に配置されており、1つのフレームの一例としてのプロセスフレーム12と、各色に対応する複数(4つ)の現像カートリッジ13とを備えている。また、プロセスユニット9は、本体ケーシング2に対して画像形成可能に装着される装着位置(図1参照)と、本体ケーシング2から引き出された引出位置(図7参照)とに、着脱口30を通過してスライド可能に設けられている。
【0015】
プロセスフレーム12は、本体ケーシング2に対して、前後方向に沿ってスライド可能であり、感光体の一例としての感光ドラム14、スコロトロン型帯電器15およびドラムクリーニングローラ16を支持している。
感光ドラム14は、左右方向に沿うように、前後方向に間隔を隔てて、複数(4つ)、並列配置されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラック感光ドラム14K、イエロー感光ドラム14Y、マゼンタ感光ドラム14Mおよびシアン感光ドラム14Cが、順次配置されている。
【0016】
スコロトロン型帯電器15は、感光ドラム14の斜め後側上側に、感光ドラム14と間隔を隔てて対向配置されている。
ドラムクリーニングローラ16は、感光ドラム14の後側において、感光ドラム14と対向して接触するようにそれぞれ配置されている。
各現像カートリッジ13は、各感光ドラム14に対応するように、それぞれ感光ドラム14の上側において、プロセスフレーム12に着脱自在に支持されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラック現像カートリッジ13K、イエロー現像カートリッジ13Y、マゼンタ現像カートリッジ13Mおよびシアン現像カートリッジ13Cが、順次配置されている。また、各現像カートリッジ13は、それぞれ、現像剤担持体の一例としての現像ローラ17を備えている。
【0017】
現像ローラ17は、後述するが、現像カートリッジ13の下端において、後側から露出されるように回転可能に支持されており、感光ドラム14に対して上側から対向し、接触されている。
なお、現像カートリッジ13は、現像ローラ17にトナーを供給する供給ローラ18、現像ローラ17に供給されたトナーの厚みを規制する層厚規制ブレード19を備え、それらの上側の空間には、各色に対応する現像剤の一例としてのトナーが収容されている。
(3−2−2)プロセスユニットでの現像動作
現像カートリッジ13内のトナーは、供給ローラ18に供給され、さらに、現像ローラ17に供給され、供給ローラ18と現像ローラ17との間で正極性に摩擦帯電される。
【0018】
現像ローラ17に供給されたトナーは、現像ローラ17の回転に伴って、層厚規制ブレード19によって厚さが規制され、一定厚さの薄層として現像ローラ17の表面に担持される。
一方、感光ドラム14の表面は、感光ドラム14の回転に伴って、スコロトロン型帯電器15により一様に正帯電された後、スキャナユニット8からのレーザービーム(図1破線参照。)の高速走査により露光される。これにより、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光ドラム14の表面に形成される。
【0019】
感光ドラム14がさらに回転すると、現像ローラ17の表面に担持され、かつ、正帯電されているトナーが、感光ドラム14の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム14の静電潜像は可視像化され、感光ドラム14の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
(3−3)転写ユニット
転写ユニット10は、本体ケーシング2内において、給紙部3の上側であって、プロセスユニット9の下側において、前後方向に沿って配置されている。この転写ユニット10は、駆動ローラ20、従動ローラ21、搬送ベルト22、および4つの転写ローラ23を備えている。
【0020】
駆動ローラ20および従動ローラ21は、前後方向に間隔を隔てて対向配置されている。
搬送ベルト22は、各感光ドラム14に対して上下方向に対向し、その上側部分が各感光ドラム14と接触するように、駆動ローラ20および従動ローラ21の周りに巻回されている。また、搬送ベルト22は、駆動ローラ20の駆動により、各感光ドラム14と接触する搬送ベルト22の上側部分が前側から後側に向かって移動するように、周回移動されている。
【0021】
各転写ローラ23は、各感光ドラム14と、それぞれ搬送ベルト22の上側部分を挟んで対向するように、設けられている。
そして、給紙部3から給紙された用紙Pは、搬送ベルト22によって、前側から後側に向かって、各感光ドラム14と各転写ローラ23とが対向する転写位置を順次通過するように搬送される。その搬送中に、各感光ドラム14に担持されている各色のトナー像が、用紙Pに順次転写され、カラー画像が形成される。
【0022】
なお、感光ドラム14から用紙Pへのトナー像の転写後に感光ドラム14の外周面上にトナーが残留する場合がある。その場合には、この残留した廃トナーは、感光ドラム14の回転により、ドラムクリーニングローラ16と対向したときに、ドラムクリーニングローラ16に印加されるクリーニングバイアスによって、ドラムクリーニングローラ16の外周面に転写され、ドラムクリーニングローラ16に保持される。
(3−4)定着ユニット
定着ユニット11は、転写ユニット10の後側に配置され、加熱ローラ24、および加熱ローラ24に対向する加圧ローラ25を備えている。転写ユニット10において、用紙Pに転写されたカラー画像は、用紙Pが加熱ローラ24と加圧ローラ25との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Pに熱定着される。
(4)排紙
トナー像が定着した用紙Pは、各排紙ローラ26によって、図示しないUターンパスを通過するように搬送され、スキャナユニット8の上側に形成される排紙トレイ27上に排紙される。
2.プロセスユニットの詳細
(1)プロセスフレーム
プロセスフレーム12は、図2および図3に示すように、前後方向に長手の平面視略矩形枠形状に形成されている。
【0023】
プロセスフレーム12は、フロントビーム31と、リヤビーム32と、左右1対の側板33とを備えている。
フロントビーム31は、両側板33の前端間に架設されている。また、フロントビーム31の前面の左右方向中央には、前ハンドル34が設けられている。
また、フロントビーム31には、左右方向に延びる位置決め軸35が挿通されており、位置決め軸35の左右方向両端部は、両側板33の前端部を貫通して左右方向外側へ突出されている。
【0024】
リヤビーム32は、両側板33の後端間に架設されている。リヤビーム32の上端の左右方向中央には、前上側へ傾斜して延びる後ハンドル36が設けられている。
両側板33は、互いに左右方向において間隔を隔てて対向配置されている。両側板33は、略垂直に延び、前後方向に長手の略矩形状に形成されている。また、両側板33の上端縁には、ガイドレール37およびころ38が設けられている。
【0025】
ガイドレール37は、前後方向に沿って延びるとともに、側板の左右方向外面から左右方向外側へ突出する突条である。ガイドレール37は、側板33の上端縁すべてにわたって形成されている。
ころ38は、ガイドレール37の後端部の下側において、回転自在に設けられている。
また、両側板33には、図4に示すように、ガイド溝39が形成されている。
【0026】
なお、本実施形態では、ガイド溝39、押圧カム44(後述)および、離間カム45(後述)に関する構成は、両側板33において同様である。そこで、以下の説明において、側板33については、左側の側板33を詳細に説明し、右側の側板33についての説明を省略する。そして、左側の側板33を、単に側板33と記載する。
ガイド溝39は、側板33の左右方向内側面において、前後方向に等しい間隔を隔てて4つ形成されている。各ガイド溝39は、側板33の上端縁と感光ドラム14との間において、側板33の上端縁から後側斜め下側(以下、第1傾斜方向Xとし、図4中において、太い実線で示す。)に向かって延びている。
【0027】
詳しくは、側板33の左右方向内側面には、各ガイド溝39を区画するように、1対のガイドリブ40が、ガイド溝39の数に応じて4対形成されている。
両ガイドリブ40(以下、両ガイドリブ40の前後方向に言及するときには、前側のリブを前リブ40Fとし、後側のリブを後リブ40Bとする。)は、前後に互いに間隔を隔てて第1傾斜方向Xに沿って延びるとともに、左右方向内側に向かって突出形成されている。また、両ガイドリブ40の下端部は、感光ドラム14に対して、わずかに間隔を隔てて対向配置されている。
【0028】
前リブ40Fは、側板33の上端縁から、第1傾斜方向Xに沿って略一直線状に延び、その後、後側に向かって屈曲して、感光ドラム14の径方向に沿う方向(以下、第2傾斜方向Yとし、図4において、太い破線で示す。)に向かって延びている。
後リブ40Bは、側板33の上端縁から第1傾斜方向Xに沿って略一直線状に延び、その後、後側へ向かって略円弧状に膨出するように屈曲している。また、後リブ40Bの下端部は、前リブ40Fの下端部に対して、所定の間隔(後述する現像ローラ軸28の直径にほぼ相当する。)を隔てて対向配置されている。また、後リブ40Bの下端部の後端面には、前リブ40Fの下端部に対向する部分において、第2傾斜方向Yに沿って延びる対向面41が形成されている。
【0029】
つまり、各ガイド溝39は、側板33の上端部から第1傾斜方向Xに沿って延びる第1ガイド溝39Aと、第1ガイド溝39Aに連続して、第1ガイド溝39Aの下端部から第2傾斜方向Yに沿って延びる第2ガイド溝39Bとを含んでいる。
なお、第1ガイド溝39Aの下端に対して第2ガイド溝39Bが直接連続していなくてもよく、ガイド溝39は、第2ガイド溝39Bおよび第1ガイド溝39Aだけでなく、第2ガイド溝39Bと第1ガイド溝39Aとをつなぐ第3部(図示せず)を含んでいてもよい。
【0030】
また、左側の側板33において、各ガイド溝39の下端部近傍(対応する後リブ40Bにおける後側へ円弧状に膨出した部分の近傍)には、側板33を左右方向に貫通してガイド溝39内に臨む挿通穴29が形成されている。なお、挿通穴29には、本体ケーシング2に設けられるモータ(図示せず)の駆動力を伝達するためのカップリング部材(図示せず)が挿通されて、現像カートリッジ13に駆動伝達可能に連結される。これにより、現像カートリッジ13が駆動される。
【0031】
また、側板33の左右方向内側面には、隣り合うガイド溝39間において、延設部42が設けられている。延設部42は、前後方向に沿って延び、後側のガイド溝39を形成する前リブ40Fの上端縁と、前側のガイド溝39を形成する後リブ40Bの上端縁とを連結している。延設部42の上面には、下側へ窪む凹部43が形成されている。側面視において、凹部43の前側を区画する部分は、略垂直面であり、凹部43の下側を区画する部分は、略水平面であり、凹部43の後側を区画する部分は、後上側へ延びる傾斜面である。
【0032】
また、側板33の左右方向内側面には、各延設部42に対して上側から隣接するように、押圧部の一例としての押圧カム44と、離間カム45とが設けられている。押圧カム44および離間カム45は、側板33において各ガイド溝39に対応するように、それぞれ4つ設けられている(図2参照)。すなわち、押圧カム44および離間カム45は、現像カートリッジ13をプロセスフレーム12に装着したときに、現像カートリッジ13の左右方向両端部と一致する位置に設けられている。
【0033】
押圧カム44は、左右方向から見て、略扇形状をなしている。詳しくは、押圧カム44は、後上側へ向かって互いの間隔が広くなる上下1対の平面部分46と、両平面部分46の後側上端をつなぎ、後上側へ略円弧状に膨出する曲面部分47とを備えている。
また、押圧カム44は、両平面部分46の前側下端同士の連結部分の近傍に、左右方向外側に延びる回動軸48を有している。回動軸48は、対応する側板33の左右方向内側面に支持されている。これにより、押圧カム44は、回動軸48を中心として回動自在である。
【0034】
そして、押圧カム44は、図示しない付勢部材によって、常には、右側面視時計回りに付勢されている。
これにより、押圧カム44は、常には、付勢部材(図示せず)の付勢力によって後側に傾倒された待機位置(図4において破線で示す。)に配置されており、付勢部材(図示せず)の付勢力に抗して回動されることによって起立されて、押圧位置(図4において実線で示す。)に移動される。
【0035】
離間カム45は、対応する押圧カム44に対して、後側かつ左右方向外側から、非接触状態で隣接している。離間カム45は、左右方向から見て、前上端に直角部分を有する略直角三角形状である。離間カム45は、略垂直に延びる垂直部51と、垂直部51の上端から略水平に後側へ延びる水平部52と、水平部52の後端から連続して前下側へ延びて垂直部51の下端に接続される傾斜部53とを備えている。水平部52は、対応する側板33の上端縁に設けられたガイドレール37よりも上側に位置している(図2参照)。
【0036】
傾斜部53の下端には、離間部54が一体的に設けられている。離間部54は、離間カム45から左右方向内側へ突出しており、側面視において、上端部の前側が切り欠かれた略台形状である。離間部54は、押圧カム44と前後方向に対向している。
また、離間カム45の水平部52の後端には、上側かつ左右方向外側へ突出する凸部56が一体的に設けられている(図2参照)。
【0037】
また、離間カム45は、傾斜部53における離間部54の上側に、左右方向外側に延びる回動軸55を有している。回動軸55は、対応する側板33の左右方向内側面に支持されている。これにより、離間カム45は、回動軸55を中心として回動自在である。
そして、離間カム45は、図示しない付勢部材によって、常には、右側面視反時計周りに付勢されている。
【0038】
これにより、離間カム45は、常には、離間部54が、対応する延設部42の凹部43に嵌り、凹部43の後側を区画する傾斜面に沿って後上側へ傾斜する待機位置に配置されている。
また、離間カム45は、付勢部材(図示せず)の付勢力に抗して回動されて、離間位置(図示せず)に配置される。
【0039】
そして、押圧カム44および離間カム45がともに待機位置にあるとき、押圧カム44の曲面部分47の下端部は、離間カム45の離間部54の前側面に対して、僅かな間隔を隔てて前側から対向している(図4参照)。
(2)現像カートリッジ
現像カートリッジ13は、図5に示すように、その外郭をなすケーシングの一例としての現像ケーシング61および現像ローラ17(図1参照)を備えている。
【0040】
現像ケーシング61は、左右方向に長手の略ボックス形状に形成されている。また、現像ケーシング61の後側下端部には、左右方向すべてにわたって、開口部62(図1参照)が形成されている。
また、現像ケーシング61は、開口部62内に現像ローラ17を収容するように、現像ローラ17の現像ローラ軸28の左右方向両端部を回転可能に支持している。
【0041】
現像ローラ軸28は、現像ローラ17の回転軸であり、現像ケーシング61の左右方向両端部から左右方向外側に突出するように支持されている。
これにより、現像ローラ17は、現像ケーシング61の下端部において、左右方向に沿って回転可能に支持されている。
また、現像ケーシング61は、左右1対の被押圧部の一例としてのボス63を備えている。
【0042】
ボス63は、現像ケーシング61の左右両端面の前側上端部において、左右方向外側へ向かって突出する略円筒形状に形成されている。
また、現像ケーシング61は、取っ手部材の一例としての取っ手64を一体的に備えている。また、現像ケーシング61には、取っ手64の下側に切欠部65が形成されている。
【0043】
取っ手64は、現像ケーシング61の前側上端部の左右方向中央部において、左右方向に延びるように形成されている。また、取っ手64は、プロセスユニット9を本体ケーシング2に装着するときに、本体ケーシング2の当接部材81(後述)に当接される被当接部であり、膨出部66と対向部67とを備えている。
膨出部66は、現像ケーシング61の上端部から上側に向かって膨出するように形成されている。膨出部66は、1対の立設部68と連結部69とを備えている。
【0044】
立設部68は、膨出部66の左右両脚部であって、左右方向に互いに間隔を隔てて配置されており、現像ケーシング61の上端部から上側に向かって延びている。
連結部69は、左右方向に延び、前後方向に弾性を有さず上下方向に弾性を有するように、上下方向に薄手の弾性変形可能な平面視略矩形平板形状に形成されている。
詳しくは、連結部69は、両立設部68の上端部に対して湾曲状に連続して、両立設部68を連結している。また、連結部69は、左右方向中央部と左右方向両端部との間において、段差部70を備えており、段差部70を境界として、その左右方向中央部が左右方向両端部よりも上側に向かって膨出するように形成されている。
【0045】
各段差部70は、連結部69の左右方向中央部と左右方向端部とを連結するように、右斜め上側または左斜め上側に向かって延びている。
また、連結部69の左右方向中央部の上面には、リブ71が形成されている。
リブ71は、左右方向に沿って延びる略直線状に形成されている。また、リブ71は、連結部69の左右方向中央部のほぼすべてにわたる左右方向長さに形成されている。
【0046】
対向部67は、連結部69よりも剛性が高く、左右方向に延びる平面視略矩形の平板形状に形成されている。また、対向部67は、切欠部65の左右両側壁の上端部間に架設されるように、両立設部68の下端部間において、連結部69に対して下側に間隔を隔てて対向配置されている。また、対向部67の上面は、現像ケーシング61の上面と略面一に形成されている。また、対向部67の上端面には、ストッパーリブ72が設けられている。
【0047】
ストッパーリブ72は、図6に示すように、対向部67の上面から連結部69に向かって上側に突出し、前後方向に延びる突条である。ストッパーリブ72は、連結部69の左右方向両端部の下側に1つずつ設けられている。また、ストッパーリブ72の上下方向長さは、対向部67と、連結部69の左右方向両端部との上下方向間隔の約半分である。
切欠部65は、取っ手64の下側において、連結部69と上下方向に対向するように、現像ケーシング61の上端縁から下側に向かって、上側に向かって開放される正面視略U字形状に切り欠かれるとともに、現像ケーシング61の前端縁から後側に向かって、前側に向かって開放される正面視略U字形状に切り欠かれている。また、切欠部65の上下方向長さは、現像カートリッジの上下方向長さの約1/5であり、切欠部65の前後方向長さは、取っ手64の前後方向長さの約2倍である(図2参照)。
3.本体ケーシングの詳細
本体ケーシング2には、図1に示すように、当接部の一例としての当接部材81が設けられている。
【0048】
当接部材81は、左右方向に所定の長さを有し、下辺が上辺よりも短い側面視略台形状に形成されている。また、当接部材81は、スキャナユニット8の下後側において、現像カートリッジ13の取っ手64の左右方向中央部に当接するように、本体ケーシング2の左右方向略中央に配置されている。また、当接部材81は、第1当接面82と、水平面87と、第2当接面83とを備えている。
【0049】
第1当接面82は、当接部材81の前端面であり、垂直面86と第1傾斜面84とを備えている。
垂直面86は、当接部材81の前側上端部から下側に向かって延びる側面視略直線状に形成されている。また、垂直面86は、現像カートリッジ13の取っ手64に当接しない上下方向長さに形成されている。具体的には、垂直面86の上下方向長さは、当接部材81の上下方向長さの約半分以下である。
【0050】
第1傾斜面84は、垂直面86の下端部から連続して、後側に向かうに従って下側に傾斜するように延びる側面視略直線状に形成されている。また、第1傾斜面84の水平面に対する斜度は、約45°である。また、第1傾斜面84の下端部には、後側に向かうに従って下側に向かうように湾曲された曲面88が形成されている。
曲面88は、現像カートリッジ13の取っ手64が当接されたときに、取っ手64が当接されている点における法線が下側へ向かうように湾曲形成されている。
【0051】
水平面87は、第1傾斜面84の下端部に連続して、前後方向に延びる側面視略直線状に形成されている。また、水平面87の前端部は、第1傾斜面84の下端部に対して、側面視において滑らかな湾曲形状を形成するように、連続されている。
第2当接面83は、当接部材81の後端面であり、第2傾斜面85を備えている。
第2傾斜面85は、水平面87の後端部に連続して、前側に向かうに従って下側に傾斜するように延びる側面視略直線状に形成されている。また、第2傾斜面85の水平面に対する斜度は、第1傾斜面84の水平面に対する斜度よりも小さく、約30°である。なお、第2傾斜面85の前端部は、水平面87の後端部に対して、側面視において滑らかな湾曲形状を形成するように、連続されている。
4.本体ケーシングに対する現像カートリッジの着脱動作
(1)プロセスフレームに対する現像カートリッジの着脱
本体ケーシング2に現像カートリッジ13を装着するには、図7に示すように、まず、プロセスフレーム12に現像カートリッジ13を装着する。
【0052】
プロセスフレーム12に現像カートリッジ13を装着するには、まず、カラーレーザプリンタ1のフロントカバー5を前側に揺動させて、着脱口30を露出させた後、プロセスフレーム12を本体ケーシング2から前側に引き出す。
次いで、現像カートリッジ13の取っ手64を把持し、現像カートリッジ13を、プロセスフレーム12の上側において、対応する感光ドラム14と前後方向で一致する位置に配置する。
【0053】
このとき、ユーザーは、現像カートリッジ13の切欠部65に前側から指を挿入し、対向部67の下側から取っ手64を把持する。
次いで、現像カートリッジ13を下降させて、下端部からプロセスフレーム12内に挿入する。
すると、現像カートリッジ13がプロセスフレーム12内に挿入されるに従って、現像ローラ軸28の左右方向両端部が、プロセスフレーム12の両側板33において対応するガイド溝39の第1ガイド溝39Aに対して上側から嵌め込まれる。つまり、現像ローラ軸28の左端部が、左側の側板33の第1ガイド溝39Aに対して上側から嵌め込まれるとともに、現像ローラ軸28の右端部が、右側の側板33の第1ガイド溝39Aに対して上側から嵌め込まれる。
【0054】
これにより、図4に示すように、現像カートリッジ13は、現像ローラ軸28の左右方向両端部がガイド溝39の第1ガイド溝39Aにガイドされることによって、第1傾斜方向Xに沿って、下側に向かうに従ってやや後側に向かうように、プロセスフレーム12内に挿入される。つまり、第1傾斜方向Xは、プロセスフレーム12に対する現像カートリッジ13の装着方向に沿っている。
【0055】
次いで、現像ローラ軸28の左右方向両端部がガイド溝39の第1ガイド溝39Aの下端部に到達した後、引き続き現像カートリッジ13をプロセスフレーム12内に挿入する。
すると、現像ローラ軸28の左右方向両端部が、対応するガイド溝39の第2ガイド溝39Bにガイドされることによって、第2傾斜方向Yに沿って移動され、第2ガイド溝39Bの最深部に到達する。
【0056】
これにより、現像カートリッジ13は、離脱位置に配置される。
このとき、押圧カム44と離間カム45とは、ともに待機位置にあり、押圧カム44の曲面部分47の下端部と、離間カム45の離間部54の前側面とは、現像カートリッジ13の左右の各ボス63(図4において破線で示す。)の径方向長さよりも短い間隔を隔てて対向している。また、現像ローラ17は、対応する感光ドラム14に対して、第2傾斜方向Yに沿って前上側から感光ドラム14の径方向に沿うように、接触している。
【0057】
また、現像カートリッジ13のボス63は、押圧カム44と離間カム45との対向部分に前上側から対向するように、押圧カム44と離間カム45とに上側から接触している。
すなわち、ボス63は、押圧カム44から外れており、ボス63に対する押圧カム44の押圧は、解除されている。よって、現像カートリッジ13は、離脱位置に配置されているときには、プロセスフレーム12から離脱可能である。
【0058】
次いで、現像カートリッジ13が離脱位置にある状態で、取っ手64を把持し、現像カートリッジ13を前側へ回動させる。
このとき、ユーザーは、引き続き、現像カートリッジ13の切欠部65の後端部に上側から指を挿入して、後側から取っ手64を把持しながら取っ手64を前側に向かって引くように操作する。すると、現像カートリッジ13が、現像ローラ軸28を中心として、前側へ回動し、ボス63は、現像カートリッジ13の回動に伴って、現像ローラ軸28を中心として、待機位置にある押圧カム44と離間カム45との間に向かって、前下側へ移動する。
【0059】
このとき、ボス63は、押圧カム44と離間カム45との間隔を押し広げるように、待機位置にある押圧カム44の曲面部分47の下端部を前上側へ押圧する。
すると、押圧カム44は、前上側へ回動し、押圧位置へ移動される。押圧カム44が押圧位置に配置されると、押圧カム44が離間カム45から離間され、押圧カム44の曲面部分47と、離間カム45の離間部54の前側面との間隔が広がり、押圧カム44と離間カム45との間にボス63が進入する。
【0060】
なお、現像カートリッジ13が離間位置から作像位置に移動するときに、ボス63が押圧カム44を押圧する方向には、押圧カム44の回動軸48が存在しないように、ボス63と押圧カム44(曲面部分47)との接触位置が設定されている。そのため、押圧カム44は、ボス63に押圧されることによって円滑に前上側へ回動される。
なお、現像カートリッジ13が回動するときには、押圧カム44は、ボス63に対して、最初は前側から接触した状態で、その後、接触した状態を保ちながら前上側へ回り込む(図4参照)。そのため、現像カートリッジ13が回動する間、押圧カム44は、現像カートリッジ13のボス63を、少なくとも、上向きに押圧することがなく、現像カートリッジ13が不意に浮き上がることを防止することができる。
【0061】
そして、ボス63が押圧カム44と離間カム45との間に入り込むと、押圧カム44は、ボス63に上方から係合し、付勢部材(図示せず)の付勢力により、ボス63を後下側へ向けて押圧する。すなわち、現像カートリッジ13は、押圧カム44により後下側へ向けて押圧される。
このとき、現像カートリッジ13は、押圧カム44により後下側へ向けて押圧されるとともに、現像ローラ軸28が側板33の第2ガイド溝Bにガイドされることにより、第2傾斜方向Yに沿って、対応する感光ドラム14に向かって前上側から圧接される。
【0062】
なお、現像カートリッジ13は、押圧カム44がボス63を押圧する押圧力における第2傾斜方向Y成分の分力により、対応する感光ドラム14に向かって前上側から圧接されている。
また、現像カートリッジ13は、押圧カム44がボス63を押圧する押圧力における下側成分の分力により、上側に浮き上がることを防止されている。
【0063】
これにより、現像カートリッジ13は、離脱位置から作像位置へ移動されて、押圧カム44に押圧されることにより、プロセスフレーム12に対して完全に装着される。
そして、同様の手順によって、すべての現像カートリッジ13を、プロセスフレーム12に装着する。
なお、現像カートリッジ13をプロセスフレーム12から離脱させる場合には、現像カートリッジ13をプロセスフレーム12に装着したときと逆の手順で操作する。
【0064】
つまり、まず、取っ手64を把持して現像カートリッジ13を作像位置から離脱位置へ回動させる。
次いで、現像カートリッジ13が離脱位置にある状態において、取っ手64を把持して、現像カートリッジ13を上側に引き抜き、プロセスフレーム12から離脱させる。
(2)本体ケーシングに対するプロセスユニットの着脱
次いで、本体ケーシング2にプロセスユニット9(すべての現像カートリッジ13が装着されたプロセスフレーム12)を装着する。
【0065】
本体ケーシング2に対してプロセスユニット9を装着位置にスライドさせるには、図7に示すように、プロセスユニット9を、本体ケーシング2内に後側に向かって挿入する。
このとき、プロセスフレーム12の左右のガイドレール37およびころ38(図2参照)が、本体ケーシング2内のガイド部材(図示せず)に係合している。また、プロセスユニット9は、各感光ドラム14が搬送ベルト22から僅かに上側へ離間した状態(プロセスユニット9自体が搬送ベルト22に接触していない状態)で、本体ケーシング2に受け入れられる。また、当接部材81は、着脱口30から露出されている。
【0066】
そして、前ハンドル34を掴んでプロセスユニット9を後側へ押し込むと、プロセスユニット9は、ガイドレール37およびころ38(図2参照)がガイド部材(図示せず)にガイドされながら、搬送ベルト22に接触していないように、略水平方向に後側へ向かい、本体ケーシング2内に挿入される。
このとき、図7に示すように、現像カートリッジ13が作像位置に配置されておらず、現像カートリッジ13が離脱位置に配置されている場合がある(マゼンタ現像カートリッジ13M参照)。なお、現像カートリッジ13が離脱位置にある状態で、プロセスユニット9が本体ケーシング2に対して装着位置に配置されると、現像カートリッジが、対応する感光ドラム14へのスキャナユニット8からのレーザービームに干渉するため、カラーレーザプリンタ1は、画像形成不能である。
【0067】
この場合には、図8に示すように、プロセスユニット9を本体ケーシング2内に挿入するときに、現像カートリッジ13の取っ手64が本体ケーシング2の当接部材81に前側から当接することにより、現像カートリッジ13は、後側に向かって回動されて、離脱位置から作像位置へ移動される。
詳しくは、まず、現像カートリッジ13の取っ手64の左右方向中央部が、前側から、当接部材81の第1傾斜面84に当接する。
【0068】
すると、取っ手64は、第1傾斜面84からの反力R1により、第1傾斜面84に対して垂直な前側斜め下側に向かって押圧される。
これにより、図9に示すように、現像カートリッジ13が前側に向かって回動されて、上述したように、離脱位置から作像位置へ移動される。なお、現像カートリッジ13が作像位置に配置されることにより、プロセスユニット9が本体ケーシング2に対して装着位置に配置されたときには、現像カートリッジ13は、対応する感光ドラム14へのスキャナユニット8からのレーザービームから退避され、カラーレーザプリンタ1は、画像形成可能となる。
【0069】
このとき、現像カートリッジ13の取っ手64は、その前端部において、第1傾斜面84の曲面88に当接している。取っ手64の連結部69は、曲面88からの押圧力が作用していない第1位置の一例としての無負荷位置に配置されている。
そして、さらにプロセスユニット9が本体ケーシング2内に挿入されると、現像カートリッジ13の取っ手64は、曲面88によって下側に向かって押圧される。
【0070】
すると、図10に示すように、取っ手64は、その左右方向中央部において下側に向かって撓んで、無負荷位置よりも下側の第2位置の一例としての負荷位置へ移動する。そして、取っ手64は、曲面88の湾曲に沿って当接部材81の下側に潜り込み、水平面87に摺擦されながら、当接部材81の下側を通過する。
なお、プロセスフレーム12に現像カートリッジ13を装着したときに、作像位置に配置され、そのまま作像位置に配置された状態で本体ケーシング2に挿入された現像カートリッジ13(図7におけるブラック現像カートリッジ13K、イエロー現像カートリッジ13Yおよびシアン現像カートリッジ13C)は、図9に示すマゼンタ現像カートリッジ13Mと同様に、取っ手64の前端部において、第1傾斜面84の曲面88に前側から当接し、その後、図10に示すように、取っ手64が下側に向かって撓む(無負荷位置よりも下側の負荷位置へ移動する)ことによって、当接部材81の下側を通過する。
【0071】
また、取っ手64の連結部69が下側へ過度に撓んだときには、連結部69の下面がストッパーリブ72の上端部に当接され、それ以上の撓みが規制される。すなわち、取っ手64の下側への撓みは、ストッパーリブ72によって、下側から規制されている。
そして、図1に示すように、プロセスユニット9が本体ケーシング2内に完全に挿入されると、プロセスユニット9の上述したガイドレール37およびころ38が、本体ケーシング2内の上述したガイド部材(図示せず)から外れる。
【0072】
すると、プロセスユニット9は下降し、各感光ドラム14が、搬送ベルト22に対して上から接触する。
このようにして、プロセスユニット9が装着位置へスライドされ、プロセスユニット9の本体ケーシング2への装着が完了する。
また、本体ケーシング2に装着されたプロセスユニット9を、本体ケーシング2に対して引出位置にスライドさせる場合には、図7に示すように、フロントカバー5を前側に揺動させ、着脱口30を露出させてから、前ハンドル34を掴んでプロセスユニット9を前側へ引き出す。
【0073】
このとき、カラーレーザプリンタ1に外部から衝撃が加わることにより、本体ケーシング2内において、現像カートリッジ13が作像位置から離脱位置へ移動されてしまう場合がある。
その場合には、図11に示すように、プロセスユニット9を本体ケーシング2から引き出すときに、現像カートリッジ13の取っ手64が本体ケーシング2の当接部材81に後側から当接する。
【0074】
詳しくは、現像カートリッジ13の取っ手64の左右方向中央部が、後側から、当接部材81の第2傾斜面85に当接する。
すると、取っ手64の前端部は、第2傾斜面85からの反力R2により、第2傾斜面85に対して垂直に押圧される。具体的には、取っ手64は、下側に向かうに従ってやや後側に傾斜する方向に向かって押圧される。
【0075】
すると、第2傾斜面85によって、取っ手64の前端部が上側から下側に向かって押圧され、現像カートリッジ13が前側に向かって回動される。
これにより、現像カートリッジ13は、上述したように、離脱位置から作像位置へ移動される。
そして、さらにプロセスユニット9を本体ケーシング2内から引き出すと、図10に示すように、現像カートリッジ13は、取っ手64の左右方向中央部が下側に向かって撓むことにより、曲面88の湾曲に沿って当接部材81の下側に潜り込み、当接部材81の下側を通過する。
【0076】
このようにして、すべての現像カートリッジ13が当接部材81の下側を通過して、プロセスユニット9が本体ケーシング2から完全に引き出されると、プロセスユニット9は本体ケーシング2に対して引出位置に配置される。
5.現像カートリッジの感光ドラムに対する接離動作
以下、図4を参照して、現像カートリッジ13の感光ドラム14に対する接離動作を説明する。
【0077】
カラーレーザプリンタ1では、カラー画像を形成するカラーモードと、黒色の画像を形成するモノクロモードとを切り替えることができる。
カラーモードでは、上述したように、すべての現像カートリッジ13と、すべての感光ドラム14とが接触されている。
モノクロモードでは、図示しないが、ブラック現像カートリッジ13Kとブラック感光ドラム14Kとが接触される一方、ブラック以外の現像カートリッジ13(イエロー現像カートリッジ13Y、マゼンタ現像カートリッジ13Mおよびシアン現像カートリッジ13C)と、ブラック以外の感光ドラム14(イエロー感光ドラム14Y、マゼンタ感光ドラム14Mおよびシアン感光ドラム14C)とが離間されている。
【0078】
現像カートリッジ13と感光ドラム14とを離間させるためには、本体ケーシング2内に設けられる図示しない直動カム機構などにより、感光ドラム14から離間させる現像カートリッジ13に対応する離間カム45の凸部56を押圧する。
すると、離間カム45は、回動軸55を中心に、付勢部材(図示せず)の付勢力に抗して右側面視時計回りに回動される。
【0079】
すると、離間カム45の離間部54が、回動軸55を中心に前側斜め上側に向かって回動され、現像カートリッジ13のボス63を、前側斜め上側に向かって押圧する。
なお、このとき、現像カートリッジ13のボス63は、離間カム45によって前側斜め上側に向かって押し上げられるとともに、下側から押圧カム44を押し上げる。
すると、現像カートリッジ13は、前側斜め上側に向かって持ち上げられる。同時に、現像ローラ軸28は、側板33の第2ガイド溝にガイドされて、第2傾斜方向Yに沿って前側斜め上側に向かって移動される。
【0080】
これにより、現像カートリッジ13は、感光ドラム14から離間される。
また、感光ドラム14から離間された現像カートリッジ13を、再び感光ドラム14に接触させるには、離間カム45の凸部56への押圧を解除する。
すると、現像カートリッジ13のボス63は、上述したように、再び押圧カム44によって押圧される。
【0081】
これにより、現像カートリッジ13は、現像ローラ軸28が側板33の第2ガイド溝にガイドされることにより、第2傾斜方向Yに沿って前側斜め上側から感光ドラム14に圧接される。
6.作用効果
(1)この現像カートリッジ13によれば、図5に示すように、連結部69は、現像ケーシング61の上端部から現像カートリッジ13の離脱方向(上側)に向かって延びる1対の立設部68を連結している。すなわち、連結部69は、現像ケーシング61の上端部よりも上側に配置されている。
【0082】
そのため、本体ケーシング2に対してプロセスユニット9をスライドさせるときに、上側から、当接部材81などの周辺の部材が現像カートリッジ13に干渉したとしても、弾性変形可能な連結部69が撓むことによって、その干渉による衝撃を緩和することができる。
また、ユーザーは、連結部69を容易に把持することができ、現像カートリッジ13を、プロセスユニット9に対して容易に着脱することができる。
【0083】
その結果、プロセスユニット9に対して容易に着脱することができるとともに、当接部材81などの周辺の部材と干渉して破損することを防止することができる。
(2)また、この現像カートリッジ13によれば、図5に示すように、現像ケーシング61の上端部には、連結部69と対向するように、現像ケーシング61の上端部から下側に向かって切り欠かれる切欠部65が形成されている。
【0084】
そのため、ユーザーが取っ手64を把持するときに、切欠部65と取っ手64との間に指を入れて、容易に取っ手64を把持することができる。
(3)また、この現像カートリッジ13によれば、図6に示すように、取っ手64は、連結部69に対して、現像ケーシング61側に間隔を隔てて対向配置され、連結部69よりも剛性が高い対向部67を備えている。
【0085】
そのため、取っ手64は、対向部67により、剛性を確保しながら、連結部69により、弾性を確保することができる。
(4)また、この現像カートリッジ13によれば、図6に示すように、対向部67の上面は、現像ケーシング61の上面と略面一に形成されている。
そのため、取っ手64の構成を簡略化することができるとともに、ユーザーが対向部67の位置を容易に把握することができる。
(5)また、この現像カートリッジ13によれば、図6に示すように、対向部67には、対向部67の上端部から連結部69に向かって突設され、連結部69の弾性変形を下側から規制するためのストッパーリブ72が備えられている。
【0086】
そのため、上側から当接部材81などの周辺の部材が現像カートリッジ13に干渉することにより、連結部69が撓んだときには、連結部69の撓みを、下側から規制することができる。
その結果、連結部69が過度に撓み、破損してしまうことを防止することができる。
(6)また、この現像カートリッジ13によれば、図5に示すように、連結部69は、左右方向において、中央部が両端部よりも上側に向かって膨出するように形成され、中央部と両端部との間において、段差部70を備えている。
【0087】
そのため、上側から当接部材81などの周辺の部材が現像カートリッジ13に干渉し、連結部69が撓むときには、当接部材81などの周辺の部材との当接により中央部が撓む。そして、中央部の撓みを、両端部が吸収する。
その結果、中央部が撓んだことにより発生する応力を、中央部に集中させることなく、分散させることができる。
(7)また、この現像カートリッジ13によれば、図5に示すように、連結部69は、中央部の上端部において、左右方向に沿って延びるリブ71を備えている。
【0088】
そのため、中央部の剛性を確保し、中央部が過度に撓んで破損してしまうことを防止することができる。
(8)また、この現像カートリッジ13によれば、連結部69は、上下方向に弾性を有し、前後方向に弾性を有さない。
そのため、確実に、連結部69を下側に撓ませて、当接部材81などの周辺の部材の上側からの干渉による衝撃を緩和することができる。
(9)また、この現像カートリッジ13によれば、図5に示すように、両立設部68と連結部69とは、現像カートリッジ13をプロセスユニット9に対して着脱させるときに把持するための取っ手64を構成する。
【0089】
そのため、別途取っ手64を設けることなく、現像カートリッジ13の構成を簡略化することができる。
また、取っ手64は、プロセスユニット9が引出位置に配置されているときには、当接部材81などの周辺の部材からの押圧力が作用していない無負荷位置に配置されており、プロセスユニット9が引出位置から装着位置へ移動する途中で、弾性変形することにより、無負荷位置よりも下側の負荷位置へ移動する。
【0090】
そのため、プロセスユニット9が引出位置から装着位置へ移動する途中で、現像カートリッジ13の上側から、当接部材81などの周辺の部材が取っ手部材に干渉したとしても、確実に、取っ手64を無負荷位置から下側の負荷位置へ撓ませて、現像カートリッジの上側からの干渉による衝撃を緩和することができる。
(10)また、この現像カートリッジ13によれば、図5に示すように、取っ手64は、左右方向において、現像ケーシング61の中央に配置されている。
【0091】
そのため、現像カートリッジ13をプロセスユニット9に対して着脱させるときに、左右方向における現像カートリッジ13の中央部を把持することができる。
その結果、簡易な構成で、左右方向における現像カートリッジ13のバランスを保持しながら、現像カートリッジ13をプロセスユニット9に対して着脱させることができる。
(11)また、この現像カートリッジ13によれば、図5に示すように、現像ケーシング61は、取っ手64を一体的に備えている。
【0092】
そのため、現像ケーシング61と取っ手64とを一体成形することができ、現像カートリッジ13を安価に製造することができる。
7.変形例
図1に示すように、このプリンタ1では、レーザービームによって感光ドラム14を露光させるためのレーザービームを発生させるスキャナユニット8を備えたが、スキャナユニット8の代わりに、感光ドラム14を露光させるLEDを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 カラーレーザプリンタ
2 本体ケーシング
9 プロセスユニット
12 プロセスフレーム
13 現像カートリッジ
14 感光ドラム
17 現像ローラ
30 着脱口
44 押圧カム
61 現像ケーシング
63 ボス
64 取っ手
65 切欠部
67 対向部
68 立設部
69 連結部
70 段差部
71 リブ
72 ストッパーリブ
81 当接部材
82 第1当接面
83 第2当接面
84 第1傾斜面
85 第2傾斜面
88 曲面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して引出位置と装着位置とにスライド可能なタンデム型感光体ユニットに対して着脱自在な現像カートリッジであって、
ケーシングと、
前記ケーシングの一端部に回転自在に支持され、現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記ケーシングの他端部において、前記現像剤担持体の軸方向に互いに間隔を隔てて配置され、前記ケーシングの他端部から、前記現像カートリッジの離脱方向に向かって延びる1対の立設部と、
前記現像剤担持体の軸方向に延び、両前記立設部を連結する弾性変形可能な連結部と
を備えることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項2】
前記ケーシングの他端部には、前記連結部と対向するように、前記ケーシングの他端部から前記ケーシングの一端部側に向かって切り欠かれる切欠部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の現像カートリッジ。
【請求項3】
両前記立設部間において、前記連結部に対して、前記ケーシング側に間隔を隔てて対向配置される対向部を備え、
前記対向部は、前記連結部よりも剛性が高いことを特徴とする、請求項1または2に記載の現像カートリッジ。
【請求項4】
前記対向部の他端面は、前記ケーシングの他端面と略面一に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の現像カートリッジ。
【請求項5】
前記対向部には、前記対向部の他端部から前記連結部に向かって突設され、前記連結部の弾性変形を一端部側から規制するためのストッパーリブが備えられていることを特徴とする、請求項3または4に記載の現像カートリッジ。
【請求項6】
前記連結部は、前記現像剤担持体の軸方向において、中央部が両端部よりも前記離脱方向に向かって膨出するように形成され、前記中央部と前記両端部との間において、段差部を備えていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の現像カートリッジ。
【請求項7】
前記連結部は、前記中央部の他端部において、前記タンデム型感光体ユニットのスライド方向と直交する方向に沿って延びるリブを備えていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の現像カートリッジ。
【請求項8】
前記連結部は、前記現像カートリッジの着脱方向に弾性を有し、前記スライド方向に弾性を有さないことを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の現像カートリッジ。
【請求項9】
両前記立設部と前記連結部とは、前記現像カートリッジを前記タンデム型感光体カートリッジに対して着脱させるときに把持するための取っ手部材を構成し、
前記取っ手部材は、
前記タンデム型感光体ユニットが前記引出位置に配置されているときには、第1位置に配置されており、
前記タンデム型感光体ユニットが前記引出位置から前記装着位置へ移動する途中で、弾性変形することにより、前記第1位置よりも一端部側の第2位置へ移動することを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記載の現像カートリッジ。
【請求項10】
前記取っ手部材は、前記現像剤担持体の軸方向において、前記ケーシングの中央に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載の現像カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−59511(P2011−59511A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210653(P2009−210653)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】