現像装置、プロセスユニット、画像形成装置及び現像装置の組立方法
【課題】組立性と使用時の封止部材除去性を向上すると共に、装置の小型化及びコスト低減を図れる現像装置を提供する。
【解決手段】現像剤を担持する現像剤担持体34と、現像剤担持体34が装着されると共に内部に現像剤を収容する現像ハウジング32と、現像剤担持体34の表面とその表面に対して隙間を介して配設された現像ハウジング32の対向部321,322との間を未使用時に封止する封止部材50を備えた現像装置におけるものである。封止部材50を現像剤担持体34の表面に巻き付けた。
【解決手段】現像剤を担持する現像剤担持体34と、現像剤担持体34が装着されると共に内部に現像剤を収容する現像ハウジング32と、現像剤担持体34の表面とその表面に対して隙間を介して配設された現像ハウジング32の対向部321,322との間を未使用時に封止する封止部材50を備えた現像装置におけるものである。封止部材50を現像剤担持体34の表面に巻き付けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、その現像装置を備えたプロセスユニットと画像形成装置、及び現像装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、工場出荷時に予め現像剤を現像装置内に封入し、それを画像形成装置に組み込むことが広く行われている。このような現像装置においては、一般に、現像剤を収容した現像ハウジングとそれに装着した現像ローラとの隙間から現像剤が漏出しないように、封止部材を設けている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の現像装置は、図15に示すように、現像ハウジング100の、現像ローラ200を装着した内部空間100aと、現像剤を収容した内部空間部100b(現像剤収容部)とを、シート材300で仕切ることで現像ハウジング100の開口部(内部空間部100a側)から現像剤が漏出するのを防止している。
【0004】
また、特許文献2に記載の現像装置は、図16に示すように、弾性体400によって、現像ローラ200と現像ハウジング100の開口部との間を封止し、シート材600によって、トナーの厚さを規制する規制部材500と現像ローラ200との間を封止している。
【0005】
また、上記画像形成装置を受け取ったユーザーは、現像装置に挟んである封止部材を引き抜いてから画像形成装置の使用を開始する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図15に示す現像装置では、現像剤としてトナーとキャリアから成る2成分現像剤を使用している。この場合、現像剤が回転する搬送スクリュー700によって現像ローラ200に供給され、画像形成により現像剤のトナーが消費された後、現像剤は現像剤収容部100bに戻される。そして、戻された現像剤は、再度、搬送スクリュー700によって現像ローラ200に供給される。このように、現像剤は搬送スクリュー700によって搬送される間に現像ローラ200に繰り返し供給される。このため、現像剤中のトナー量は搬送方向の下流側に向かうにつれて少なくなり、搬送方向の上流側と下流側(又は現像ローラの長手方向の両端)において画像の濃度に差異が生じやすいといった問題がある。
【0007】
上記問題を解決するため、近年、図17に示すような現像装置が提案されている。図17に示す現像装置は、ハウジング100内に、現像ローラ200に現像剤を供給する供給路100cと、現像ローラ200に供給された後の現像剤を回収する回収路100dとが形成されており、供給路100cと回収路100dにはそれぞれ現像剤を搬送するためのスクリュー800,900が配設されている。この現像装置では、供給路100cから現像ローラ200に一度供給された現像剤は、回収路100dに回収される。従って、図15に示す現像装置と異なり、トナーを消費した後の現像剤を繰り返し使用しないので、現像ローラの長手方向の両端で画像の濃度に差が生じるのを抑制できる。
【0008】
しかしながら、図17に示す現像装置において現像剤漏れを防止するために、例えば、図15に示す現像装置の封止技術を採用すると、供給路100cの開口部と回収路100dの開口部のそれぞれを別のシート材で封止する必要がある。このように、封止用のシート材を2つ以上設けることは、現像装置の組立性や使用時のシート材除去性の低下、装置の大型化やコスト増大に繋がる。また、図16に示す現像装置においても、封止部材を少なくとも2つ使用しているため、同様の課題がある。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑み、組立性と使用時の封止部材除去性を向上すると共に、装置の小型化及びコスト低減を図れる現像装置、その現像装置を備えたプロセスユニットと画像形成装置、及び現像装置の組立方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体が装着されると共に内部に現像剤を収容する現像ハウジングと、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジングの対向部との間を未使用時に封止する封止部材を備えた現像装置において、前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に巻き付けたものである。
【0011】
これにより、1つの封止部材によって現像剤担持体の表面と現像ハウジングの対向部との間を容易に封止することができ、現像剤の漏出を防止することが可能である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記現像剤担持体の表面に担持される現像剤の厚さを規制する規制部材を備えた現像装置であって、前記封止部材は前記現像剤担持体の表面の一部を露出させる貫通孔を有し、前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に巻き付けて当該現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した状態で、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記前記規制部材の対向部との間を前記封止部材で封止すると共に、前記貫通孔を前記規制部材の対向部に対向する位置から対向しない位置に移動可能に構成したものである。
【0013】
封止部材の貫通孔を規制部材の対向部に対向する位置に配置した状態では、貫通孔から露出した現像剤担持体の表面と規制部材の対向部とが対向する。この状態で、現像剤担持体の露出した表面と規制部材の対向部とに隙間調整部材を当接させることにより、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を調整することができる。このように、請求項2の発明によれば、現像剤担持体に封止部材を巻き付けた状態で、隙間調整部材を現像剤担持体と規制部材とに直接当接させることができ、これらの間の隙間を高精度に調整すること可能である。また、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を調整した後は、貫通孔を規制部材に対向しない位置へ移動させることによって、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を封止部材で封止することができ、現像剤の漏出を防止できる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の現像装置において、前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に対して間隔をあけて巻き付けることにより、前記封止部材を前記対向部に対して接触させるように構成したものである。
【0015】
このようにすることで、封止部材が現像剤担持体の表面と対向部との隙間より薄い部材で構成されていても、封止部材を対向部に接触させて封止することができる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の現像装置において、前記現像剤担持体の表面に巻き付けられた前記封止部材の一端部を当接させる当接部を設け、当該当接部に前記封止部材の一端部を当接させて封止部材を撓ませることにより、前記封止部材を巻付け方向と逆方向に変位させると共に現像剤担持体の表面から離間する方向に変位させて、封止部材を前記対向部に対して接触させるように構成したものである。
【0017】
このようにすることで、封止部材が現像剤担持体の表面と対向部との隙間より薄い部材で構成されていても、封止部材を対向部に接触させて封止することができる。しかも、この場合は、撓みによる力が封止部材の巻き付け部に伝播して、封止部材を像剤担持体の表面から離間する方向に変位させるので、封止部材が対向部に対して接触する力が強くなり、密封性を向上させることが可能である。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の現像装置において、前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に少なくとも一周に渡って巻き付け、封止部材が重なり合う部分を剥離性を有する接着剤で接着したものである。
【0019】
封止部材が重なり合う部分を接着剤で接着することにより、現像装置の組立時に封止部材が現像剤担持体から分離するのを防止でき、組立作業性が向上する。また、剥離性を有する接着剤を使用することにより、封止部材の接着部を容易に剥離して、封止部材を現像剤担持体から分離することができる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項5に記載の現像装置において、前記接着剤による前記封止部材の接着を一箇所で行うようにしたものである。
【0021】
封止部材の接着を一箇所で行うことにより、良好な剥離性を確保することができる。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の現像装置において、前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した状態で、前記現像ハウジングから露出する把持部を前記封止部材に設けたものである。
【0023】
現像ハウジングから露出する把持部を把持して引っ張ることにより、封止部材を現像剤担持体から容易に分離させることができる。
【0024】
請求項8の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体上の潜像に現像剤を供給して現像する現像装置とを少なくとも備えたプロセスユニットにおいて、前記現像装置として請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置を備えたものである。
【0025】
プロセスユニットが、請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置を備えているので、これらの現像装置による上記効果が得られる。
【0026】
請求項9の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置、又は、請求項8に記載のプロセスユニットを備えた画像形成装置である。
【0027】
画像形成装置が、請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置、又は、請求項8に記載のプロセスユニットを備えているので、これらの現像装置又はプロセスユニットによる上記効果が得られる。
【0028】
請求項10の発明は、現像剤を担持する現像剤担持体の表面に封止部材を巻き付ける工程と、前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を、内部に現像剤を収容可能な現像ハウジングに装着して、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジングの対向部との間に前記封止部材を介在させる工程とを有する現像装置の組立方法である。
【0029】
この方法により、1つの封止部材によって現像剤担持体の表面と現像ハウジングの対向部との間を容易に封止することができ、現像剤の漏出を防止することが可能である。
【0030】
請求項11の発明は、現像剤を担持する現像剤担持体の表面に封止部材を巻き付け、当該封止部材に設けた貫通孔から前記現像剤担持体の表面の一部を露出させる工程と、前記現像剤担持体の表面に担持される現像剤の厚さを規制する規制部材を、内部に現像剤を収容可能な現像ハウジングに取り付ける工程と、前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着し、現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジング及び前記規制部材の各対向部との間に前記封止部材を介在させる工程と、前記規制部材の対向部に前記貫通孔を対向させて配設すると共に、前記貫通孔から露出した前記現像剤担持体の表面と前記規制部材の対向部とに隙間調整部材を当接させて前記現像剤担持体の表面と前記規制部材の対向部との間の隙間を調整する工程と、前記隙間の調整後、前記貫通孔を前記規制部材の対向部に対向する位置から対向しない位置に移動させる工程とを有する現像装置の組立方法である。
【0031】
この方法により、1つの封止部材によって現像剤担持体の表面と現像ハウジングの対向部との間を容易に封止することができ、現像剤の漏出を防止することが可能である。また、封止部材の貫通孔を規制部材の対向部に対向する位置に配置することにより、封止部材を現像剤担持体に巻き付けた状態で、現隙間調整部材を像剤担持体の露出した表面と規制部材とに直接当接させることができ、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を高精度に調整することができる。また、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を調整した後は、封止部材の貫通孔を規制部材に対向しない位置へ移動させることによって、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を封止部材で封止することができ、現像剤の漏出を防止できる。
【0032】
請求項12の発明は、請求項10又は11に記載の現像装置の組立方法において、前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した後、前記封止部材の一端部を当接部に当接させて封止部材を撓ませることにより、前記封止部材を巻付け方向と逆方向に変位させると共に現像剤担持体の表面から離間する方向に変位させて、封止部材を前記対向部に対して接触させる。
【0033】
このようにすることで、封止部材が現像剤担持体の表面と対向部との隙間より薄い部材で構成されていても、封止部材を対向部に接触させて封止することができる。しかも、この場合は、撓みによる力が封止部材の巻き付け部に伝播して、封止部材を像剤担持体の表面から離間する方向に変位させるので、封止部材が対向部に対して接触する力が強くなり、密封性を向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、1つの封止部材によって現像剤担持体の周囲に存在する隙間を封止することができるので、複数の封止部材を設ける必要がない。このため、組立コストの低減や組立工程数の削減を図ることができると共に、装置の小型化を図ることができる。また、サービスマンやユーザー等による封止部材の除去作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の一形態を適用した画像形成装置の外観斜視図である。
【図2】前記画像形成装置の内部構成の一例を示す概略的な縦断面図である。
【図3】前記画像形成装置に搭載されたプロセスユニットの概略断面図である。
【図4】本発明に係る封止部材を展開した状態を示す斜視図である。
【図5】前記封止部材を現像ローラに巻き付けた状態を示す斜視図である。
【図6】前記封止部材を現像ローラに巻き付ける方法を説明するための図であって、(a)は封止部材に接着剤を付した状態を示す図、(b)は封止部材上に現像ローラを置いた状態を示す図、(c)は封止部材を現像ローラに巻き付ける途中の状態を示す図である。
【図7】現像ローラを現像ハウジングに装着する前の状態を示す図である。
【図8】現像ローラを現像ハウジングに装着した状態を示す図である。
【図9】現像ローラを現像ハウジングに装着した状態の断面図である。
【図10】現像ローラとドクタブレードとの間に隙間調整部材を差し込んだ状態を示す図である。
【図11】封止部材を回転させて位置を変化させた状態を示す図である。
【図12】感光体ハウジングと現像ハウジングとを組み付ける前の状態を示す図である。
【図13】感光体ハウジングと現像ハウジングと組み付けた状態の断面図である。
【図14】前記画像形成装置の上カバーを開放した状態を示す図である。
【図15】従来の現像装置の概略断面図である。
【図16】別の従来の現像装置の概略断面図である。
【図17】さらに別の従来の現像装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態及び変形例等に亘り、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0037】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施の一形態を適用した画像形成装置の全体構成と共に動作を説明する。図1は、本発明の実施の一形態を適用した画像形成装置の外観斜視図、図2は、その画像形成装置の内部構成の一例を示す概略的な縦断面図である。両図に示した画像形成装置は、タンデムタイプのカラー画像形成装置である。
【0038】
図1及び図2に示す画像形成装置は、装置本体1のほぼ中央に配置され、シートに画像を形成する後述の画像形成手段等を備えた画像形成部2と、この画像形成部2の下方に配置され、画像形成部2にシートもしくはシート状記録媒体の一例としての用紙Sを給送する給紙部20と、画像形成部2にて画像形成された用紙を装置本体1の手前(両図の右側前方であり、装置正面側である)から奥側(両図の左側後方であり、装置背面側である)に排出するシート排出部としてのシート排紙部25と、画像形成部2の上部に配置され、シート排紙部25から排出される用紙を積載するシート積載部40とを有する。ここで、シートとは、例えば転写紙や記録紙等の用紙(厚紙、はがき、封筒、普通紙、薄紙等を含む)、塗工紙(コート紙やアート紙等を含む)、OHPシートもしくはOHPフィルム、トレーシングペーパ等を含み、画像転写可能な被画像形成媒体を意味する。なお、画像形成部2は用紙Sに画像を記録する画像記録部2とも呼ばれ、シート積載部40は排出されたシートを載置・積載するシート載置部40とも呼ばれる。
【0039】
画像形成部2には、図2に示すように、像担持体ないし潜像担持体として構成された複数のドラム状の感光体3a,3b,3c,3dを有し、その各感光体3a〜3dには、互いに異なった色のトナー像がそれぞれ形成される。図示した例では、感光体3a〜3dの表面に、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成される。各感光体3a〜3dは、所定の間隔をあけて互いに平行に配置され、これらの感光体3a〜3dの下部に対向して中間転写体として構成された中間転写ベルト4が配置されている。この像担持体・中間転写体としては、ドラムを用いることもできるが、図示した例では複数の支持ローラ5,6に巻き掛けられて矢印方向(図2中反時計方向)に駆動される無端ベルトからなる中間転写ベルト4が用いられている。
【0040】
各感光体3a〜3dの周囲の構成は、同様であるため、図2において一番右側に配置されたイエロートナー像が形成される感光体3aを代表して説明する。すなわち、感光体3aには、感光体3aの表面に一様な帯電処理を行う帯電手段としての帯電ローラ7と、画像情報に基づいて感光体3aの表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する光走査装置(LSU)8と、感光体3aの表面に形成された静電潜像を可視像化する現像装置9と、中間転写ベルト4を介して感光体3aと対向配置された転写装置10と、中間転写ベルト4に転写後の感光体3aの表面に残留するトナー等を除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレード11とがこの順に設けられている。現像装置9の上方には、円筒形状のトナー容器と補給機構が配置され、現像装置9でのトナー消費に応じて補給機構が駆動し、トナー容器から現像装置にトナーが供給される。
【0041】
かかる画像形成装置において画像形成が開始されると、感光体3aが図2における時計方向に回転駆動され、この時、帯電ローラ7によって感光体3の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、その帯電面に、光走査装置8から画像情報に基づくレーザ光が照射され、これによって感光体3aに静電潜像が形成される。そして、感光体3aの表面に形成された静電潜像は、現像装置9によってイエロートナー像として可視像化され、そのイエロートナー像は転写装置10によって中間転写ベルト4上に転写される。
【0042】
フルカラー画像形成時は上記した画像形成動作が残りの全ての感光体3b〜3dで同様に行われ、これによって各感光体3a〜3dにそれぞれ形成されたイエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像が中間転写ベルト4上に順次重ねて転写される。また、画像形成装置には、中間転写ベルト4を挟んで、支持ローラ6に対向して2次転写ローラ12が配置されている。
【0043】
一方、画像形成部2の下方に配置された給紙部20には、転写紙、記録紙または樹脂フィルムなどから成るシートとしての用紙Sを積載するシート収容部としての給紙トレイ21と、該給紙トレイ21に積載された用紙Sを送り出す給紙コロ22と、重送された用紙を1枚に分離する分離手段としてのフリクションパッド23等が設けられている。
【0044】
給紙部20から給送された用紙Sは、レジストローラ13に向けて送り出され、その先端が停止しているレジストローラ13に一旦突き当てられる。これによって用紙S先端の斜めずれなどが修正・整合された後、レジストローラ13は、上記中間転写ベルト4上に形成されたカラートナー像が2次転写ローラ12を設けた2次転写部で用紙Sの先端部と合致するような所定のタイミングで回転を再開し、2次転写ローラ12を備えた2次転写部に向けて用紙Sを送り出す。
【0045】
2次転写部で未定着のカラートナー像が転写された用紙Sは、定着装置である定着部14に送られ、定着部14による加熱・加圧によって未定着のカラートナー像が定着された後、シート排紙部25の排紙ローラ対25a,25bにより装置本体1の上面に設けられたシート積載部40に、画像面が下向き(フェースダウン)で排出・排紙される。上記定着部(定着装置)14は、定着ローラ14a、定着ローラ14aに巻き掛けられた定着ベルト14c、定着ベルト14cを介して定着ローラ14aに圧接する加圧ローラ14bとからなる。定着部14は、上記したものに限らず、ヒータを内蔵したローラ式のもの、また加熱方式もIHを採用したものなど、適宜採用することができる。なお、カラートナー像転写後の中間転写ベルト4の表面に付着する転写残トナー等は、ベルトクリーニング装置15によって除去され、次の作像・転写工程に備える。
【0046】
装置本体1の上部には、画像形成部2を覆う上カバー部材としての上カバー18が設けられ、この上カバー18の上面部分をシート積載部40のシート排出台としての排紙トレイ(シート積載面)41として用いている。上カバー18の後端側の辺には支持部を設けていない。この構成によって、上カバー18の排紙トレイ41の前後方向幅より長い長尺シートであってもその一部が排紙トレイ41を越えて後側へ垂らすことで支障なくその長尺シートをストックすることができる。
【0047】
また、上カバー18は、図2に示すように、その下部に画像形成部(画像形成手段)2の一部である光走査装置8を支持しており、装置の後端側に設けたヒンジ17を中心に上方へ開放可能に構成されている。この上カバー18は、後述するロック手段としてのロックレバー60によって装置本体1にロックされ、このロックを解除すると揺動・開閉可能な状態になる。そして、図示を省略しているが、上カバー18を反時計方向へ揺動・開放すると、下部の光走査装置8が一緒に揺動上昇され、画像形成ユニットにアクセスすることが可能となり、メンテナンス等を容易に行うことができる。さらに、本例では上カバー18を開放した部分から画像形成部2の感光体3a〜3d、これらの周囲にそれぞれ配置された帯電ローラ7、現像装置9およびクリーニング装置11が一体化された4つのプロセスユニットを交換等のため取り出し・装着可能である。
【0048】
上記した上カバー18を揺動・開放するとき、排紙トレイ41の後端側が下となるように揺動上昇されるが、排紙トレイ41上にシートがストックされているときに誤って揺動・開放してしまうと、ストックしていたシートが装置の後側に落下するという問題が生じる。すなわち、ストックしたシートSを取り忘れて上カバー18を回動してしまうと、排紙トレイ41にストックしたシートSが装置本体1の裏側に落ちてしまうという問題が発生する。この問題は、図示しない支持部を上カバー18の後端側にも設けることによって解決できるが、長尺シートの場合その後端支持部に当たりストックに支障がでてしまう。
【0049】
そこで、本実施例では、ロックレバー60のロックを解除して上カバー18を揺動・開放可能状態にする操作部61を排紙トレイ41上で、しかもストックされたシートSで隠れる位置に設けている。このロックレバー60には、一端側にユーザーが操作する操作部61が、他端側に装置本体1に固着された突起64に係合するロック爪62がそれぞれ一体的に設けられている。ロックレバー60は、上カバー18に固着されたピン63を中心に回転可能に支持されており、またピン63の回りに装着された図示しないねじりコイルばねによって、ロック爪62が常に突起64に係合する向きの揺動付勢力が付与されている。ロックレバー60の操作部61は、排紙トレイ41と同一面上に沿うような面を備えた板材で形成されていて、排紙トレイ41にはその操作部61に手を掛けられるようにするための扇状の図1に示す凹部44が形成されている。
【0050】
前記構成のとおり、上カバー18を開放するときには凹部44から手を差し込み、図示しないねじりコイルばねの前記付勢力に抗してロックレバー60の操作部61を上に持ち上げることにより、ロックレバー60がピン63を中心に時計方向に回転し、ロック爪62が突起64から外れる。そして、そのまま操作部61を持ち上げることで、上カバー18はヒンジ17を中心として揺動される。
【0051】
このように、上カバー18を揺動・開閉可能にするロックレバー60の操作部61をシートSのストックされる排紙トレイ41に配置しているので、排紙トレイ41上にシートSがある状態で上カバー18を揺動・開放してしまうことが確実に防止される。
【0052】
図3は、上記各感光体3a〜3dを備えるプロセスユニットの概略断面図である。4プロセスユニットの構成は、同様であるため、図2において一番右側に配置されたプロセスユニットを例にその構成を詳しく説明する。
【0053】
図3に示すように、プロセスユニット30は、感光体3a等が装着された感光体ハウジング31と、現像装置9を構成する各種部品が装着された現像ハウジング32とを有する。感光体ハウジング31と現像ハウジング32は、組付け・分離可能に構成されている。また、互いに組み付けられた感光体ハウジング31と現像ハウジング32との間には、図1に示す光走査装置8から感光体3aに照射されるレーザ光を通すレーザ光路空間33が形成されている。
【0054】
感光体ハウジング31には、感光体3a以外に、帯電ローラ7、帯電ローラの表面をクリーニングする帯電ローラ清掃部材26、クリーニングブレード11、クリーニングブレード11で感光体3aの表面から除去したトナーを図示しない廃トナー回収部へと搬送する廃トナー回収スクリュー27、潤滑剤28、潤滑剤28を削り取って感光体3aの表面に塗布する潤滑剤塗布ブラシ29が装着されている。
【0055】
一方、現像ハウジング32には、現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ34、現像剤を供給する供給路35内に配設された供給スクリュー36、現像剤を回収する回収路37内に配設された回収スクリュー38、現像ローラ34の表面に担持される現像剤の厚さを規制する規制部材としてのドクタブレード39、トナーの濃度を検知するトナー濃度センサ42が装着されている。また、本実施形態の現像装置では、トナーとキャリアから成る2成分現像剤を使用している。
【0056】
供給路35内の現像剤は、供給スクリュー36によって搬送され、供給路35の開口部から落下して現像ローラ34上に担持される。現像ローラ34上に担持された現像剤は、ドクタブレード39と現像ローラ34の表面との間の所定の隙間を通過することによって所定の厚さに規制される。そして、現像剤が現像ローラ34と感光体3aとの対向位置(感光体ギャップ)に搬送された際、現像剤のトナーが感光体3aへ静電的に転移して感光体3a上の静電潜像が現像化される。その後、現像ローラ34上の現像剤は回収路37へ回収される。回収路37に回収された現像剤は、回収スクリュー38によって搬送されその搬送方向の下流側で堆積し、堆積した現像剤は図示しない搬送手段によって再び供給路35内へ搬送される。供給路35内では、消費されたトナー量に応じて図示しないトナー補給部からトナーが補給される。また、トナー濃度センサ42によって回収路37内の現像剤のトナー濃度が磁気的に検知され、その検知情報に基づいてトナー濃度調整が行われる。
【0057】
上記のように、本実施例の現像装置では、現像ローラに供給されトナーを消費した現像剤は、そのまま現像ローラへ繰り返し供給されずに一旦回収され、その後トナーが補給される。すなわち、現像ローラには、未使用の現像剤が供給されるか、又は使用後にトナーが補給された現像剤が供給されるため、図15に示す上記特許文献1に記載の現像装置と異なり、現像ローラの長手方向の両端において画像の濃度に差異が生じるのを抑制できる。
【0058】
以下、本発明の特徴部分である封止部材について説明する。
図4は、封止部材50を展開した状態を示す斜視図であり、図5は、封止部材50を現像ローラ34に巻き付けた状態を示す斜視図である。
【0059】
図4に示すように、封止部材50は略矩形のシート材で構成されている。このシート材としては、厚さ0.1mm〜0.2mm程度の紙や、厚さ0.2mm以下のマイラ等を用いる。ただし、封止部材50はこれらに限定されること0はなく、紙やマイラ以外のシート材も封止部材として適用可能である。封止部材50には貫通孔51が形成されている。本実施形態では、貫通孔51は3つ形成されているが、貫通孔51の個数は少なくとも1つ形成されていればよい。また、封止部材50の一端の中間部には、凸状の把持部52が設けられている。
【0060】
上記封止部材50を現像ローラ34に巻き付けるには、まず、図6(a)に示すように、封止部材50の把持部52を設けた端部とは反対側の端部側の裏面(図の下面)に剥離性を有する接着剤53を付する。次いで、図6(b)に示すように、封止部材50上に現像ローラ34を置き、図6(c)に示すように、封止部材50の上記接着剤53を付した端部側から現像ローラ34に巻き付ける。そして、封止部材50を現像ローラ34に少なくとも一周に渡って巻き付け、接着剤53を付着した面を別の面に重ね合わせて接着し、封止部材50の巻付けを完了する。
【0061】
図5に示すように、封止部材50の巻付けを完了した状態では、貫通孔51を通して現像ローラ34の表面の一部が露出した状態となっている。また、巻付けを完了した状態で、把持部52を含む所定の部分54は現像ローラ34に巻き付けられていない。封止部材50の巻き付けられていない非巻付け部54は、現像ローラ34から舌状に伸びて配設されている。
【0062】
図7〜図11に基づいて、現像装置を組み立てる方法について説明する。
図7は、現像ローラ34を現像ハウジング32に装着する前の状態を示す。図7に示す状態では、現像ハウジング32には、供給スクリュー36と回収スクリュー38とが内装されている。また、現像ハウジング32の現像ローラ34を装着する位置である開口部320の図の上方には、ドクタブレード39が2本のネジ47によって仮止めされている。他方、現像ローラ34には、上記のようにして封止部材50が巻き付けられている。
【0063】
現像ハウジング32への現像ローラ34の装着は、図7に示すように、封止部材50の非巻付け部54を現像ハウジング32とは反対側に向け、かつ、封止部材50の貫通孔51を図の上方に向けて、現像ローラ34を現像ハウジング32の開口部320に嵌め込む。そして、現像ローラ34を開口部320に嵌め込む際、貫通孔51がドクタブレード39に対向するように配置する。あるいは、現像ローラ34を開口部320に嵌め込んだ後に、封止部材50又は現像ローラ34を回転させて貫通孔51をドクタブレード39に対向させてもよい。
【0064】
図7において、符号45及び46に示す部材は、現像ローラ34を現像ハウジング32に対して取り付けて支持するための支持部材である。これら支持部材45,46には、それぞれ、現像ローラ34の軸340を挿通する1つの軸挿通孔450,460と、取付用のネジ48を挿通する2つのネジ挿通孔451,461が形成されている。そして、上記のように現像ハウジング32に現像ローラ34を嵌め込んだ後、現像ローラ34の軸340の両端部を各支持部材45,46の軸挿通孔450,460に挿通し、さらに、各支持部材45,46のネジ挿通孔451,461にネジ48を挿通して各支持部材45,46を現像ハウジング32に固定する(図8参照)。これにより、現像ローラ34が現像ハウジング32に対して位置決めされる。また、現像ローラ34の露出する軸340の端部には、現像ローラ34に駆動力を伝達するための図示しないギアが取り付けられる。
【0065】
図9は、現像ローラ34を現像ハウジング32に装着した状態の断面図である。
図9に示すように、現像ローラ34を嵌め込んだ状態で、現像ローラ34に対向する現像ハウジング32の対向部321,322と現像ローラ34の表面との間、及び現像ローラ34に対向するドクタブレード39の対向部390と現像ローラ34の表面との間には、それぞれ所定の隙間がある。また、これらの隙間には、現像ローラ34に巻き付けた封止部材50が存在している。ただし、封止部材50の貫通孔51がドクタブレード39に対向している位置では、ドクタブレード39と現像ローラ34との間に封止部材50は介在していない。すなわち、貫通孔51から露出した現像ローラ34の表面が、ドクタブレード39に対向している。
【0066】
図10に示すように、貫通孔51から露出した現像ローラ34の表面とドクタブレード39との間に、隙間調整部材49(ドクタギャップ調整部材)を差し込む。そして、ドクタブレード39を隙間調整部材49に突き当てながらネジ47を締めて固定する。これにより、ドクタブレード39が位置決めされ、ドクタブレード39と現像ローラ34との間の隙間D(ドクタギャップ)が所定の大きさに調整される。その後、現像ローラ34とドクタブレード39との間から隙間調整部材49を取り除く。
【0067】
上記のように、本発明では、封止部材50を現像ローラ34に巻き付けた状態で、現像ローラ34の露出した表面とドクタブレード39とに隙間調整部材49を直接当接させることができる。これにより、現像ローラ34とドクタブレード39との間の隙間(ドクタギャップ)を高精度に調整することができる。また、図9に示すように、封止部材50の非巻付け部54を、現像ローラ34のドクタブレード39に近接した位置とは反対側の位置から伸びるようにしているので、隙間調整部材49を現像ローラ34とドクタブレード39との間に差し込む際に、非巻付け部54が差し込みの邪魔にならないようになっている。
【0068】
ドクタブレード39と現像ローラ34との間の隙間D(ドクタギャップ)の調整を行った後、図11に示すように、封止部材50を図の反時計回りに回転させ、貫通孔51をドクタブレード39に対向する位置から対向しない位置へ移動させる。その結果、ドクタブレード39の対向部390と現像ローラ34の表面とが対向する全域に渡って封止部材50が介在する。なお、封止部材50を回転させた後も、現像ハウジング32の対向部321,322と現像ローラ34の表面との間には封止部材50が介在している。
【0069】
本実施例では、封止部材50として、0.1mm〜0.2mm程度の厚さの紙、又は0.2mm以下の厚さのマイラを用いる。また、ドクタブレード39と現像ローラ34との間の隙間(ドクタギャップ)は0.2mm〜0.6mm程度、現像ハウジング32と現像ローラ34との間の隙間は0.3mm〜1mm程度である。従って、封止部材50として使用する紙やマイラは前記各隙間よりも薄く形成されているが、図11に示すように、現像ローラ34に対する封止部材50の巻付けを緩くすることで、封止部材50をドクタブレード39の対向部390や現像ハウジング32の対向部321,322に接触させることができ隙間を封止することが可能である。
【0070】
上記のように、現像ローラ34と現像ハウジング32との間、及び現像ローラ34とドクタブレード39との間を、封止部材50によって封止した状態にしてから、現像ハウジング32内に現像剤を充填する。具体的には、図8に示す現像ハウジング32の、供給スクリュー36が露出する孔部323と、回収スクリュー38が露出する孔部324とから現像剤を充填する。これら孔部323,324は大きく開口されているため、現像剤を迅速に充填することができ、充填作業時間を短縮することが可能である。また、図8において、符号55で示す部材は、供給スクリュー36と回収スクリュー38とを支持すると共に孔部323,324を閉塞するための支持蓋部材である。この支持蓋部材55には、供給スクリュー36と回収スクリュー38の各軸を挿通する2つの軸挿通孔550,551と、取付用のネジ56を挿通する1つのネジ挿通孔552が形成されている。現像ハウジング32内に現像剤を充填した後、供給スクリュー36と回収スクリュー38の各軸を軸挿通孔550,551に挿通し、さらに、ネジ56をネジ挿通孔552に挿通して、支持蓋部材55を現像ハウジング32に固定する。これにより、供給スクリュー36と回収スクリュー38とが支持されると共に孔部323,324が閉塞される。そして、供給スクリュー36及び回収スクリュー38の露出した軸部には、それぞれに駆動力を伝達するためのギア57,58が取り付けられる。
【0071】
以上のようにして、現像装置の組立が完了する。さらに、プロセスユニットの組立を行うには、上記組立が完了した現像装置の現像ハウジングに感光体ハウジングを組み付ける。図12に示すように、感光体ハウジング31の図の手前側の端部と奥側の端部には、それぞれ、ネジ孔が形成されたリブ310が2つずつ設けてある。さらに、感光体ハウジング31の図の手前側の端部には、溝が形成された係合部311が設けられている。また、組み付け前の感光体ハウジング31には、図3に示す感光体3a、帯電ローラ7、帯電ローラ清掃部材26、クリーニングブレード11、廃トナー回収スクリュー27、潤滑剤28、潤滑剤塗布ブラシ29等の各種部材が既に装着されている。
【0072】
また、感光体ハウジング31の図の上部には、凹部313と、その凹部313の両側に配設された当接部312(凸部)が設けてある。また、凹部313と当接部312は、感光体ハウジング31と現像ハウジング32とを組み付けた際に、感光体ハウジング31の現像ハウジング32と対向する面側に設けられている。
【0073】
そして、感光体ハウジング31と現像ハウジング32との組付けを行うときは、感光体ハウジング31の係合部311の溝に、現像ハウジング32から露出した現像ローラの軸340が係合させ、上記リブ310のネジ孔にネジを取り付けてハウジング同士を固定する。また、ハウジング同士の組付けを行う際、封止部材50の把持部52が感光体ハウジング31の凹部313から図の上方に露出するように配設する。
【0074】
図13は、感光体ハウジング31と現像ハウジング32とを組み付けた状態の断面図である。
図13に示すように、現像ローラ34の表面には封止部材50が巻き付けられているため、ハウジング同士の組み付けた場合、感光体3aと現像ローラ34との間に封止部材50を挟むことができる。これにより、組み付け時に現像ローラ34が感光体3aに衝突することによる傷付きの発生を防止することが可能である。さらに、本実施形態では、封止部材50の非巻付け部54を、現像ローラ34のドクタブレード39に近接した位置とは反対側の位置から伸びるようにしているので、感光体3aと現像ローラ34との間に非巻付け部54を介在させることができ、現像ローラ34と感光体3aとの衝突による傷付きをより確実に防止できる。
【0075】
図13に示すように、封止部材50の非巻付け部54は、感光体ハウジング31と現像ハウジング32との間に形成されるレーザ光路空間33を通って図の上方に伸びるように配設される。このように非巻付け部54を配設することで、感光体ハウジング31の凹部313(図12参照)からは把持部52が露出して配設される。また、感光体ハウジング31の図の上部に設けた当接部312には、封止部材50の把持部52を除く端部501(図12参照)を当接させている。
【0076】
また、封止部材を接着剤によって接着していない場合は、封止部材の一端を図13に示す当接部312に当接させることによって、封止部材による密封性を向上させることが可能である。以下、このことについて説明する。
【0077】
図13に示すように、封止部材50の非巻付け部54を図の上方に伸びるように配設した際、封止部材50の把持部52を除く端部501(図12参照)を当接部312の図の下面に当接させることによって、非巻付け部54は撓んだ状態で配設される。このように非巻付け部54を撓ませることにより、その撓みによる力が封止部材50の巻き付け部に伝播して、封止部材50が巻付け方向と逆方向に変位する。これにより、封止部材50が現像ローラ34の表面から離間する方向に変位し、現像ハウジング32の対向部321,322やドクタブレード39の対向部390に対する封止部材50の接触力が強くなる。その結果、現像ローラ34と各対向部321,322,390との間の密封性を向上させることができる。また、紙よりもコシ(曲げ剛性)の強いマイラを封止部材50として使用した場合は、密封性をより向上させることができる。
【0078】
また、封止部材は未使用時に現像ローラの周囲を封止するものであるので、画像形成装置の使用前にはサービスマンやユーザー等によって封止部材は除去される。
【0079】
本実施形態において現像装置から封止部材を除去する場合は、図14に示すように、画像形成装置の上カバー18を開ける。そして、プロセスユニットから露出する封止部材50の把持部52(図13参照)を摘んで引っ張ることにより、接着部を剥離させて封止部材50を除去することができる。
【0080】
また、接着剤による封止部材の接着を複数箇所で行うことも可能である。しかし、その場合は、剥離性が低下して、封止部材を除去する際に封止部材が破れてプロセスユニット内に残る虞がある。他方、本実施形態のように、接着剤による封止部材の接着を一箇所で行った場合は、良好な剥離性を確保することができ、封止部材が破れるなどの不具合を防止することができる。
【0081】
以上のように、本発明によれば、現像ローラに封止部材を巻き付けることによって、現像ローラの周囲に存在する(1つ以上の)隙間を容易に封止することが可能である。また、複数の封止部材を設ける必要はなく、1つの封止部材によって封止することが可能であるので、組立コストの低減や組立工程数の削減を図ることができると共に、装置の小型化を図ることができる。また、封止部材の除去作業も容易に行うことができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、図12又は図13に示すように、封止部材50の端部を当接させる当接部312は、感光体ハウジング31に設けているが、同様の当接部を現像ハウジング32に設けることも可能である。また、上記実施形態の画像形成装置は、図14に示すように上部を開放してプロセスユニットを上方に引き出す構成となっているが、例えば、画像形成装置の側面部を開放してプロセスユニットを側方に引き出す構成であってもよい。この場合は、プロセスユニットを側方に引き出し、そのプロセスユニットから封止部材を上方に引っ張って抜き取ればよい。また、本発明に係る画像形成装置としては、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、それ以外の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
3a,3b,3c,3d 感光体(潜像担持体)
30 プロセスユニット
31 感光体ハウジング
32 現像ハウジング
34 現像ローラ(現像剤担持体)
39 ドクタブレード(規制部材)
49 隙間調整部材
50 封止部材
51 貫通孔
52 把持部
53 接着剤
312 当接部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2005−189423号公報
【特許文献2】特開平7−311536号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、その現像装置を備えたプロセスユニットと画像形成装置、及び現像装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、工場出荷時に予め現像剤を現像装置内に封入し、それを画像形成装置に組み込むことが広く行われている。このような現像装置においては、一般に、現像剤を収容した現像ハウジングとそれに装着した現像ローラとの隙間から現像剤が漏出しないように、封止部材を設けている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の現像装置は、図15に示すように、現像ハウジング100の、現像ローラ200を装着した内部空間100aと、現像剤を収容した内部空間部100b(現像剤収容部)とを、シート材300で仕切ることで現像ハウジング100の開口部(内部空間部100a側)から現像剤が漏出するのを防止している。
【0004】
また、特許文献2に記載の現像装置は、図16に示すように、弾性体400によって、現像ローラ200と現像ハウジング100の開口部との間を封止し、シート材600によって、トナーの厚さを規制する規制部材500と現像ローラ200との間を封止している。
【0005】
また、上記画像形成装置を受け取ったユーザーは、現像装置に挟んである封止部材を引き抜いてから画像形成装置の使用を開始する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図15に示す現像装置では、現像剤としてトナーとキャリアから成る2成分現像剤を使用している。この場合、現像剤が回転する搬送スクリュー700によって現像ローラ200に供給され、画像形成により現像剤のトナーが消費された後、現像剤は現像剤収容部100bに戻される。そして、戻された現像剤は、再度、搬送スクリュー700によって現像ローラ200に供給される。このように、現像剤は搬送スクリュー700によって搬送される間に現像ローラ200に繰り返し供給される。このため、現像剤中のトナー量は搬送方向の下流側に向かうにつれて少なくなり、搬送方向の上流側と下流側(又は現像ローラの長手方向の両端)において画像の濃度に差異が生じやすいといった問題がある。
【0007】
上記問題を解決するため、近年、図17に示すような現像装置が提案されている。図17に示す現像装置は、ハウジング100内に、現像ローラ200に現像剤を供給する供給路100cと、現像ローラ200に供給された後の現像剤を回収する回収路100dとが形成されており、供給路100cと回収路100dにはそれぞれ現像剤を搬送するためのスクリュー800,900が配設されている。この現像装置では、供給路100cから現像ローラ200に一度供給された現像剤は、回収路100dに回収される。従って、図15に示す現像装置と異なり、トナーを消費した後の現像剤を繰り返し使用しないので、現像ローラの長手方向の両端で画像の濃度に差が生じるのを抑制できる。
【0008】
しかしながら、図17に示す現像装置において現像剤漏れを防止するために、例えば、図15に示す現像装置の封止技術を採用すると、供給路100cの開口部と回収路100dの開口部のそれぞれを別のシート材で封止する必要がある。このように、封止用のシート材を2つ以上設けることは、現像装置の組立性や使用時のシート材除去性の低下、装置の大型化やコスト増大に繋がる。また、図16に示す現像装置においても、封止部材を少なくとも2つ使用しているため、同様の課題がある。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑み、組立性と使用時の封止部材除去性を向上すると共に、装置の小型化及びコスト低減を図れる現像装置、その現像装置を備えたプロセスユニットと画像形成装置、及び現像装置の組立方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体が装着されると共に内部に現像剤を収容する現像ハウジングと、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジングの対向部との間を未使用時に封止する封止部材を備えた現像装置において、前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に巻き付けたものである。
【0011】
これにより、1つの封止部材によって現像剤担持体の表面と現像ハウジングの対向部との間を容易に封止することができ、現像剤の漏出を防止することが可能である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記現像剤担持体の表面に担持される現像剤の厚さを規制する規制部材を備えた現像装置であって、前記封止部材は前記現像剤担持体の表面の一部を露出させる貫通孔を有し、前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に巻き付けて当該現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した状態で、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記前記規制部材の対向部との間を前記封止部材で封止すると共に、前記貫通孔を前記規制部材の対向部に対向する位置から対向しない位置に移動可能に構成したものである。
【0013】
封止部材の貫通孔を規制部材の対向部に対向する位置に配置した状態では、貫通孔から露出した現像剤担持体の表面と規制部材の対向部とが対向する。この状態で、現像剤担持体の露出した表面と規制部材の対向部とに隙間調整部材を当接させることにより、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を調整することができる。このように、請求項2の発明によれば、現像剤担持体に封止部材を巻き付けた状態で、隙間調整部材を現像剤担持体と規制部材とに直接当接させることができ、これらの間の隙間を高精度に調整すること可能である。また、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を調整した後は、貫通孔を規制部材に対向しない位置へ移動させることによって、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を封止部材で封止することができ、現像剤の漏出を防止できる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の現像装置において、前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に対して間隔をあけて巻き付けることにより、前記封止部材を前記対向部に対して接触させるように構成したものである。
【0015】
このようにすることで、封止部材が現像剤担持体の表面と対向部との隙間より薄い部材で構成されていても、封止部材を対向部に接触させて封止することができる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の現像装置において、前記現像剤担持体の表面に巻き付けられた前記封止部材の一端部を当接させる当接部を設け、当該当接部に前記封止部材の一端部を当接させて封止部材を撓ませることにより、前記封止部材を巻付け方向と逆方向に変位させると共に現像剤担持体の表面から離間する方向に変位させて、封止部材を前記対向部に対して接触させるように構成したものである。
【0017】
このようにすることで、封止部材が現像剤担持体の表面と対向部との隙間より薄い部材で構成されていても、封止部材を対向部に接触させて封止することができる。しかも、この場合は、撓みによる力が封止部材の巻き付け部に伝播して、封止部材を像剤担持体の表面から離間する方向に変位させるので、封止部材が対向部に対して接触する力が強くなり、密封性を向上させることが可能である。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の現像装置において、前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に少なくとも一周に渡って巻き付け、封止部材が重なり合う部分を剥離性を有する接着剤で接着したものである。
【0019】
封止部材が重なり合う部分を接着剤で接着することにより、現像装置の組立時に封止部材が現像剤担持体から分離するのを防止でき、組立作業性が向上する。また、剥離性を有する接着剤を使用することにより、封止部材の接着部を容易に剥離して、封止部材を現像剤担持体から分離することができる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項5に記載の現像装置において、前記接着剤による前記封止部材の接着を一箇所で行うようにしたものである。
【0021】
封止部材の接着を一箇所で行うことにより、良好な剥離性を確保することができる。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の現像装置において、前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した状態で、前記現像ハウジングから露出する把持部を前記封止部材に設けたものである。
【0023】
現像ハウジングから露出する把持部を把持して引っ張ることにより、封止部材を現像剤担持体から容易に分離させることができる。
【0024】
請求項8の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体上の潜像に現像剤を供給して現像する現像装置とを少なくとも備えたプロセスユニットにおいて、前記現像装置として請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置を備えたものである。
【0025】
プロセスユニットが、請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置を備えているので、これらの現像装置による上記効果が得られる。
【0026】
請求項9の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置、又は、請求項8に記載のプロセスユニットを備えた画像形成装置である。
【0027】
画像形成装置が、請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置、又は、請求項8に記載のプロセスユニットを備えているので、これらの現像装置又はプロセスユニットによる上記効果が得られる。
【0028】
請求項10の発明は、現像剤を担持する現像剤担持体の表面に封止部材を巻き付ける工程と、前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を、内部に現像剤を収容可能な現像ハウジングに装着して、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジングの対向部との間に前記封止部材を介在させる工程とを有する現像装置の組立方法である。
【0029】
この方法により、1つの封止部材によって現像剤担持体の表面と現像ハウジングの対向部との間を容易に封止することができ、現像剤の漏出を防止することが可能である。
【0030】
請求項11の発明は、現像剤を担持する現像剤担持体の表面に封止部材を巻き付け、当該封止部材に設けた貫通孔から前記現像剤担持体の表面の一部を露出させる工程と、前記現像剤担持体の表面に担持される現像剤の厚さを規制する規制部材を、内部に現像剤を収容可能な現像ハウジングに取り付ける工程と、前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着し、現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジング及び前記規制部材の各対向部との間に前記封止部材を介在させる工程と、前記規制部材の対向部に前記貫通孔を対向させて配設すると共に、前記貫通孔から露出した前記現像剤担持体の表面と前記規制部材の対向部とに隙間調整部材を当接させて前記現像剤担持体の表面と前記規制部材の対向部との間の隙間を調整する工程と、前記隙間の調整後、前記貫通孔を前記規制部材の対向部に対向する位置から対向しない位置に移動させる工程とを有する現像装置の組立方法である。
【0031】
この方法により、1つの封止部材によって現像剤担持体の表面と現像ハウジングの対向部との間を容易に封止することができ、現像剤の漏出を防止することが可能である。また、封止部材の貫通孔を規制部材の対向部に対向する位置に配置することにより、封止部材を現像剤担持体に巻き付けた状態で、現隙間調整部材を像剤担持体の露出した表面と規制部材とに直接当接させることができ、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を高精度に調整することができる。また、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を調整した後は、封止部材の貫通孔を規制部材に対向しない位置へ移動させることによって、現像剤担持体と規制部材との間の隙間を封止部材で封止することができ、現像剤の漏出を防止できる。
【0032】
請求項12の発明は、請求項10又は11に記載の現像装置の組立方法において、前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した後、前記封止部材の一端部を当接部に当接させて封止部材を撓ませることにより、前記封止部材を巻付け方向と逆方向に変位させると共に現像剤担持体の表面から離間する方向に変位させて、封止部材を前記対向部に対して接触させる。
【0033】
このようにすることで、封止部材が現像剤担持体の表面と対向部との隙間より薄い部材で構成されていても、封止部材を対向部に接触させて封止することができる。しかも、この場合は、撓みによる力が封止部材の巻き付け部に伝播して、封止部材を像剤担持体の表面から離間する方向に変位させるので、封止部材が対向部に対して接触する力が強くなり、密封性を向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、1つの封止部材によって現像剤担持体の周囲に存在する隙間を封止することができるので、複数の封止部材を設ける必要がない。このため、組立コストの低減や組立工程数の削減を図ることができると共に、装置の小型化を図ることができる。また、サービスマンやユーザー等による封止部材の除去作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の一形態を適用した画像形成装置の外観斜視図である。
【図2】前記画像形成装置の内部構成の一例を示す概略的な縦断面図である。
【図3】前記画像形成装置に搭載されたプロセスユニットの概略断面図である。
【図4】本発明に係る封止部材を展開した状態を示す斜視図である。
【図5】前記封止部材を現像ローラに巻き付けた状態を示す斜視図である。
【図6】前記封止部材を現像ローラに巻き付ける方法を説明するための図であって、(a)は封止部材に接着剤を付した状態を示す図、(b)は封止部材上に現像ローラを置いた状態を示す図、(c)は封止部材を現像ローラに巻き付ける途中の状態を示す図である。
【図7】現像ローラを現像ハウジングに装着する前の状態を示す図である。
【図8】現像ローラを現像ハウジングに装着した状態を示す図である。
【図9】現像ローラを現像ハウジングに装着した状態の断面図である。
【図10】現像ローラとドクタブレードとの間に隙間調整部材を差し込んだ状態を示す図である。
【図11】封止部材を回転させて位置を変化させた状態を示す図である。
【図12】感光体ハウジングと現像ハウジングとを組み付ける前の状態を示す図である。
【図13】感光体ハウジングと現像ハウジングと組み付けた状態の断面図である。
【図14】前記画像形成装置の上カバーを開放した状態を示す図である。
【図15】従来の現像装置の概略断面図である。
【図16】別の従来の現像装置の概略断面図である。
【図17】さらに別の従来の現像装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態及び変形例等に亘り、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0037】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施の一形態を適用した画像形成装置の全体構成と共に動作を説明する。図1は、本発明の実施の一形態を適用した画像形成装置の外観斜視図、図2は、その画像形成装置の内部構成の一例を示す概略的な縦断面図である。両図に示した画像形成装置は、タンデムタイプのカラー画像形成装置である。
【0038】
図1及び図2に示す画像形成装置は、装置本体1のほぼ中央に配置され、シートに画像を形成する後述の画像形成手段等を備えた画像形成部2と、この画像形成部2の下方に配置され、画像形成部2にシートもしくはシート状記録媒体の一例としての用紙Sを給送する給紙部20と、画像形成部2にて画像形成された用紙を装置本体1の手前(両図の右側前方であり、装置正面側である)から奥側(両図の左側後方であり、装置背面側である)に排出するシート排出部としてのシート排紙部25と、画像形成部2の上部に配置され、シート排紙部25から排出される用紙を積載するシート積載部40とを有する。ここで、シートとは、例えば転写紙や記録紙等の用紙(厚紙、はがき、封筒、普通紙、薄紙等を含む)、塗工紙(コート紙やアート紙等を含む)、OHPシートもしくはOHPフィルム、トレーシングペーパ等を含み、画像転写可能な被画像形成媒体を意味する。なお、画像形成部2は用紙Sに画像を記録する画像記録部2とも呼ばれ、シート積載部40は排出されたシートを載置・積載するシート載置部40とも呼ばれる。
【0039】
画像形成部2には、図2に示すように、像担持体ないし潜像担持体として構成された複数のドラム状の感光体3a,3b,3c,3dを有し、その各感光体3a〜3dには、互いに異なった色のトナー像がそれぞれ形成される。図示した例では、感光体3a〜3dの表面に、イエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像がそれぞれ形成される。各感光体3a〜3dは、所定の間隔をあけて互いに平行に配置され、これらの感光体3a〜3dの下部に対向して中間転写体として構成された中間転写ベルト4が配置されている。この像担持体・中間転写体としては、ドラムを用いることもできるが、図示した例では複数の支持ローラ5,6に巻き掛けられて矢印方向(図2中反時計方向)に駆動される無端ベルトからなる中間転写ベルト4が用いられている。
【0040】
各感光体3a〜3dの周囲の構成は、同様であるため、図2において一番右側に配置されたイエロートナー像が形成される感光体3aを代表して説明する。すなわち、感光体3aには、感光体3aの表面に一様な帯電処理を行う帯電手段としての帯電ローラ7と、画像情報に基づいて感光体3aの表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する光走査装置(LSU)8と、感光体3aの表面に形成された静電潜像を可視像化する現像装置9と、中間転写ベルト4を介して感光体3aと対向配置された転写装置10と、中間転写ベルト4に転写後の感光体3aの表面に残留するトナー等を除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレード11とがこの順に設けられている。現像装置9の上方には、円筒形状のトナー容器と補給機構が配置され、現像装置9でのトナー消費に応じて補給機構が駆動し、トナー容器から現像装置にトナーが供給される。
【0041】
かかる画像形成装置において画像形成が開始されると、感光体3aが図2における時計方向に回転駆動され、この時、帯電ローラ7によって感光体3の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、その帯電面に、光走査装置8から画像情報に基づくレーザ光が照射され、これによって感光体3aに静電潜像が形成される。そして、感光体3aの表面に形成された静電潜像は、現像装置9によってイエロートナー像として可視像化され、そのイエロートナー像は転写装置10によって中間転写ベルト4上に転写される。
【0042】
フルカラー画像形成時は上記した画像形成動作が残りの全ての感光体3b〜3dで同様に行われ、これによって各感光体3a〜3dにそれぞれ形成されたイエロートナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像及びブラックトナー像が中間転写ベルト4上に順次重ねて転写される。また、画像形成装置には、中間転写ベルト4を挟んで、支持ローラ6に対向して2次転写ローラ12が配置されている。
【0043】
一方、画像形成部2の下方に配置された給紙部20には、転写紙、記録紙または樹脂フィルムなどから成るシートとしての用紙Sを積載するシート収容部としての給紙トレイ21と、該給紙トレイ21に積載された用紙Sを送り出す給紙コロ22と、重送された用紙を1枚に分離する分離手段としてのフリクションパッド23等が設けられている。
【0044】
給紙部20から給送された用紙Sは、レジストローラ13に向けて送り出され、その先端が停止しているレジストローラ13に一旦突き当てられる。これによって用紙S先端の斜めずれなどが修正・整合された後、レジストローラ13は、上記中間転写ベルト4上に形成されたカラートナー像が2次転写ローラ12を設けた2次転写部で用紙Sの先端部と合致するような所定のタイミングで回転を再開し、2次転写ローラ12を備えた2次転写部に向けて用紙Sを送り出す。
【0045】
2次転写部で未定着のカラートナー像が転写された用紙Sは、定着装置である定着部14に送られ、定着部14による加熱・加圧によって未定着のカラートナー像が定着された後、シート排紙部25の排紙ローラ対25a,25bにより装置本体1の上面に設けられたシート積載部40に、画像面が下向き(フェースダウン)で排出・排紙される。上記定着部(定着装置)14は、定着ローラ14a、定着ローラ14aに巻き掛けられた定着ベルト14c、定着ベルト14cを介して定着ローラ14aに圧接する加圧ローラ14bとからなる。定着部14は、上記したものに限らず、ヒータを内蔵したローラ式のもの、また加熱方式もIHを採用したものなど、適宜採用することができる。なお、カラートナー像転写後の中間転写ベルト4の表面に付着する転写残トナー等は、ベルトクリーニング装置15によって除去され、次の作像・転写工程に備える。
【0046】
装置本体1の上部には、画像形成部2を覆う上カバー部材としての上カバー18が設けられ、この上カバー18の上面部分をシート積載部40のシート排出台としての排紙トレイ(シート積載面)41として用いている。上カバー18の後端側の辺には支持部を設けていない。この構成によって、上カバー18の排紙トレイ41の前後方向幅より長い長尺シートであってもその一部が排紙トレイ41を越えて後側へ垂らすことで支障なくその長尺シートをストックすることができる。
【0047】
また、上カバー18は、図2に示すように、その下部に画像形成部(画像形成手段)2の一部である光走査装置8を支持しており、装置の後端側に設けたヒンジ17を中心に上方へ開放可能に構成されている。この上カバー18は、後述するロック手段としてのロックレバー60によって装置本体1にロックされ、このロックを解除すると揺動・開閉可能な状態になる。そして、図示を省略しているが、上カバー18を反時計方向へ揺動・開放すると、下部の光走査装置8が一緒に揺動上昇され、画像形成ユニットにアクセスすることが可能となり、メンテナンス等を容易に行うことができる。さらに、本例では上カバー18を開放した部分から画像形成部2の感光体3a〜3d、これらの周囲にそれぞれ配置された帯電ローラ7、現像装置9およびクリーニング装置11が一体化された4つのプロセスユニットを交換等のため取り出し・装着可能である。
【0048】
上記した上カバー18を揺動・開放するとき、排紙トレイ41の後端側が下となるように揺動上昇されるが、排紙トレイ41上にシートがストックされているときに誤って揺動・開放してしまうと、ストックしていたシートが装置の後側に落下するという問題が生じる。すなわち、ストックしたシートSを取り忘れて上カバー18を回動してしまうと、排紙トレイ41にストックしたシートSが装置本体1の裏側に落ちてしまうという問題が発生する。この問題は、図示しない支持部を上カバー18の後端側にも設けることによって解決できるが、長尺シートの場合その後端支持部に当たりストックに支障がでてしまう。
【0049】
そこで、本実施例では、ロックレバー60のロックを解除して上カバー18を揺動・開放可能状態にする操作部61を排紙トレイ41上で、しかもストックされたシートSで隠れる位置に設けている。このロックレバー60には、一端側にユーザーが操作する操作部61が、他端側に装置本体1に固着された突起64に係合するロック爪62がそれぞれ一体的に設けられている。ロックレバー60は、上カバー18に固着されたピン63を中心に回転可能に支持されており、またピン63の回りに装着された図示しないねじりコイルばねによって、ロック爪62が常に突起64に係合する向きの揺動付勢力が付与されている。ロックレバー60の操作部61は、排紙トレイ41と同一面上に沿うような面を備えた板材で形成されていて、排紙トレイ41にはその操作部61に手を掛けられるようにするための扇状の図1に示す凹部44が形成されている。
【0050】
前記構成のとおり、上カバー18を開放するときには凹部44から手を差し込み、図示しないねじりコイルばねの前記付勢力に抗してロックレバー60の操作部61を上に持ち上げることにより、ロックレバー60がピン63を中心に時計方向に回転し、ロック爪62が突起64から外れる。そして、そのまま操作部61を持ち上げることで、上カバー18はヒンジ17を中心として揺動される。
【0051】
このように、上カバー18を揺動・開閉可能にするロックレバー60の操作部61をシートSのストックされる排紙トレイ41に配置しているので、排紙トレイ41上にシートSがある状態で上カバー18を揺動・開放してしまうことが確実に防止される。
【0052】
図3は、上記各感光体3a〜3dを備えるプロセスユニットの概略断面図である。4プロセスユニットの構成は、同様であるため、図2において一番右側に配置されたプロセスユニットを例にその構成を詳しく説明する。
【0053】
図3に示すように、プロセスユニット30は、感光体3a等が装着された感光体ハウジング31と、現像装置9を構成する各種部品が装着された現像ハウジング32とを有する。感光体ハウジング31と現像ハウジング32は、組付け・分離可能に構成されている。また、互いに組み付けられた感光体ハウジング31と現像ハウジング32との間には、図1に示す光走査装置8から感光体3aに照射されるレーザ光を通すレーザ光路空間33が形成されている。
【0054】
感光体ハウジング31には、感光体3a以外に、帯電ローラ7、帯電ローラの表面をクリーニングする帯電ローラ清掃部材26、クリーニングブレード11、クリーニングブレード11で感光体3aの表面から除去したトナーを図示しない廃トナー回収部へと搬送する廃トナー回収スクリュー27、潤滑剤28、潤滑剤28を削り取って感光体3aの表面に塗布する潤滑剤塗布ブラシ29が装着されている。
【0055】
一方、現像ハウジング32には、現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ34、現像剤を供給する供給路35内に配設された供給スクリュー36、現像剤を回収する回収路37内に配設された回収スクリュー38、現像ローラ34の表面に担持される現像剤の厚さを規制する規制部材としてのドクタブレード39、トナーの濃度を検知するトナー濃度センサ42が装着されている。また、本実施形態の現像装置では、トナーとキャリアから成る2成分現像剤を使用している。
【0056】
供給路35内の現像剤は、供給スクリュー36によって搬送され、供給路35の開口部から落下して現像ローラ34上に担持される。現像ローラ34上に担持された現像剤は、ドクタブレード39と現像ローラ34の表面との間の所定の隙間を通過することによって所定の厚さに規制される。そして、現像剤が現像ローラ34と感光体3aとの対向位置(感光体ギャップ)に搬送された際、現像剤のトナーが感光体3aへ静電的に転移して感光体3a上の静電潜像が現像化される。その後、現像ローラ34上の現像剤は回収路37へ回収される。回収路37に回収された現像剤は、回収スクリュー38によって搬送されその搬送方向の下流側で堆積し、堆積した現像剤は図示しない搬送手段によって再び供給路35内へ搬送される。供給路35内では、消費されたトナー量に応じて図示しないトナー補給部からトナーが補給される。また、トナー濃度センサ42によって回収路37内の現像剤のトナー濃度が磁気的に検知され、その検知情報に基づいてトナー濃度調整が行われる。
【0057】
上記のように、本実施例の現像装置では、現像ローラに供給されトナーを消費した現像剤は、そのまま現像ローラへ繰り返し供給されずに一旦回収され、その後トナーが補給される。すなわち、現像ローラには、未使用の現像剤が供給されるか、又は使用後にトナーが補給された現像剤が供給されるため、図15に示す上記特許文献1に記載の現像装置と異なり、現像ローラの長手方向の両端において画像の濃度に差異が生じるのを抑制できる。
【0058】
以下、本発明の特徴部分である封止部材について説明する。
図4は、封止部材50を展開した状態を示す斜視図であり、図5は、封止部材50を現像ローラ34に巻き付けた状態を示す斜視図である。
【0059】
図4に示すように、封止部材50は略矩形のシート材で構成されている。このシート材としては、厚さ0.1mm〜0.2mm程度の紙や、厚さ0.2mm以下のマイラ等を用いる。ただし、封止部材50はこれらに限定されること0はなく、紙やマイラ以外のシート材も封止部材として適用可能である。封止部材50には貫通孔51が形成されている。本実施形態では、貫通孔51は3つ形成されているが、貫通孔51の個数は少なくとも1つ形成されていればよい。また、封止部材50の一端の中間部には、凸状の把持部52が設けられている。
【0060】
上記封止部材50を現像ローラ34に巻き付けるには、まず、図6(a)に示すように、封止部材50の把持部52を設けた端部とは反対側の端部側の裏面(図の下面)に剥離性を有する接着剤53を付する。次いで、図6(b)に示すように、封止部材50上に現像ローラ34を置き、図6(c)に示すように、封止部材50の上記接着剤53を付した端部側から現像ローラ34に巻き付ける。そして、封止部材50を現像ローラ34に少なくとも一周に渡って巻き付け、接着剤53を付着した面を別の面に重ね合わせて接着し、封止部材50の巻付けを完了する。
【0061】
図5に示すように、封止部材50の巻付けを完了した状態では、貫通孔51を通して現像ローラ34の表面の一部が露出した状態となっている。また、巻付けを完了した状態で、把持部52を含む所定の部分54は現像ローラ34に巻き付けられていない。封止部材50の巻き付けられていない非巻付け部54は、現像ローラ34から舌状に伸びて配設されている。
【0062】
図7〜図11に基づいて、現像装置を組み立てる方法について説明する。
図7は、現像ローラ34を現像ハウジング32に装着する前の状態を示す。図7に示す状態では、現像ハウジング32には、供給スクリュー36と回収スクリュー38とが内装されている。また、現像ハウジング32の現像ローラ34を装着する位置である開口部320の図の上方には、ドクタブレード39が2本のネジ47によって仮止めされている。他方、現像ローラ34には、上記のようにして封止部材50が巻き付けられている。
【0063】
現像ハウジング32への現像ローラ34の装着は、図7に示すように、封止部材50の非巻付け部54を現像ハウジング32とは反対側に向け、かつ、封止部材50の貫通孔51を図の上方に向けて、現像ローラ34を現像ハウジング32の開口部320に嵌め込む。そして、現像ローラ34を開口部320に嵌め込む際、貫通孔51がドクタブレード39に対向するように配置する。あるいは、現像ローラ34を開口部320に嵌め込んだ後に、封止部材50又は現像ローラ34を回転させて貫通孔51をドクタブレード39に対向させてもよい。
【0064】
図7において、符号45及び46に示す部材は、現像ローラ34を現像ハウジング32に対して取り付けて支持するための支持部材である。これら支持部材45,46には、それぞれ、現像ローラ34の軸340を挿通する1つの軸挿通孔450,460と、取付用のネジ48を挿通する2つのネジ挿通孔451,461が形成されている。そして、上記のように現像ハウジング32に現像ローラ34を嵌め込んだ後、現像ローラ34の軸340の両端部を各支持部材45,46の軸挿通孔450,460に挿通し、さらに、各支持部材45,46のネジ挿通孔451,461にネジ48を挿通して各支持部材45,46を現像ハウジング32に固定する(図8参照)。これにより、現像ローラ34が現像ハウジング32に対して位置決めされる。また、現像ローラ34の露出する軸340の端部には、現像ローラ34に駆動力を伝達するための図示しないギアが取り付けられる。
【0065】
図9は、現像ローラ34を現像ハウジング32に装着した状態の断面図である。
図9に示すように、現像ローラ34を嵌め込んだ状態で、現像ローラ34に対向する現像ハウジング32の対向部321,322と現像ローラ34の表面との間、及び現像ローラ34に対向するドクタブレード39の対向部390と現像ローラ34の表面との間には、それぞれ所定の隙間がある。また、これらの隙間には、現像ローラ34に巻き付けた封止部材50が存在している。ただし、封止部材50の貫通孔51がドクタブレード39に対向している位置では、ドクタブレード39と現像ローラ34との間に封止部材50は介在していない。すなわち、貫通孔51から露出した現像ローラ34の表面が、ドクタブレード39に対向している。
【0066】
図10に示すように、貫通孔51から露出した現像ローラ34の表面とドクタブレード39との間に、隙間調整部材49(ドクタギャップ調整部材)を差し込む。そして、ドクタブレード39を隙間調整部材49に突き当てながらネジ47を締めて固定する。これにより、ドクタブレード39が位置決めされ、ドクタブレード39と現像ローラ34との間の隙間D(ドクタギャップ)が所定の大きさに調整される。その後、現像ローラ34とドクタブレード39との間から隙間調整部材49を取り除く。
【0067】
上記のように、本発明では、封止部材50を現像ローラ34に巻き付けた状態で、現像ローラ34の露出した表面とドクタブレード39とに隙間調整部材49を直接当接させることができる。これにより、現像ローラ34とドクタブレード39との間の隙間(ドクタギャップ)を高精度に調整することができる。また、図9に示すように、封止部材50の非巻付け部54を、現像ローラ34のドクタブレード39に近接した位置とは反対側の位置から伸びるようにしているので、隙間調整部材49を現像ローラ34とドクタブレード39との間に差し込む際に、非巻付け部54が差し込みの邪魔にならないようになっている。
【0068】
ドクタブレード39と現像ローラ34との間の隙間D(ドクタギャップ)の調整を行った後、図11に示すように、封止部材50を図の反時計回りに回転させ、貫通孔51をドクタブレード39に対向する位置から対向しない位置へ移動させる。その結果、ドクタブレード39の対向部390と現像ローラ34の表面とが対向する全域に渡って封止部材50が介在する。なお、封止部材50を回転させた後も、現像ハウジング32の対向部321,322と現像ローラ34の表面との間には封止部材50が介在している。
【0069】
本実施例では、封止部材50として、0.1mm〜0.2mm程度の厚さの紙、又は0.2mm以下の厚さのマイラを用いる。また、ドクタブレード39と現像ローラ34との間の隙間(ドクタギャップ)は0.2mm〜0.6mm程度、現像ハウジング32と現像ローラ34との間の隙間は0.3mm〜1mm程度である。従って、封止部材50として使用する紙やマイラは前記各隙間よりも薄く形成されているが、図11に示すように、現像ローラ34に対する封止部材50の巻付けを緩くすることで、封止部材50をドクタブレード39の対向部390や現像ハウジング32の対向部321,322に接触させることができ隙間を封止することが可能である。
【0070】
上記のように、現像ローラ34と現像ハウジング32との間、及び現像ローラ34とドクタブレード39との間を、封止部材50によって封止した状態にしてから、現像ハウジング32内に現像剤を充填する。具体的には、図8に示す現像ハウジング32の、供給スクリュー36が露出する孔部323と、回収スクリュー38が露出する孔部324とから現像剤を充填する。これら孔部323,324は大きく開口されているため、現像剤を迅速に充填することができ、充填作業時間を短縮することが可能である。また、図8において、符号55で示す部材は、供給スクリュー36と回収スクリュー38とを支持すると共に孔部323,324を閉塞するための支持蓋部材である。この支持蓋部材55には、供給スクリュー36と回収スクリュー38の各軸を挿通する2つの軸挿通孔550,551と、取付用のネジ56を挿通する1つのネジ挿通孔552が形成されている。現像ハウジング32内に現像剤を充填した後、供給スクリュー36と回収スクリュー38の各軸を軸挿通孔550,551に挿通し、さらに、ネジ56をネジ挿通孔552に挿通して、支持蓋部材55を現像ハウジング32に固定する。これにより、供給スクリュー36と回収スクリュー38とが支持されると共に孔部323,324が閉塞される。そして、供給スクリュー36及び回収スクリュー38の露出した軸部には、それぞれに駆動力を伝達するためのギア57,58が取り付けられる。
【0071】
以上のようにして、現像装置の組立が完了する。さらに、プロセスユニットの組立を行うには、上記組立が完了した現像装置の現像ハウジングに感光体ハウジングを組み付ける。図12に示すように、感光体ハウジング31の図の手前側の端部と奥側の端部には、それぞれ、ネジ孔が形成されたリブ310が2つずつ設けてある。さらに、感光体ハウジング31の図の手前側の端部には、溝が形成された係合部311が設けられている。また、組み付け前の感光体ハウジング31には、図3に示す感光体3a、帯電ローラ7、帯電ローラ清掃部材26、クリーニングブレード11、廃トナー回収スクリュー27、潤滑剤28、潤滑剤塗布ブラシ29等の各種部材が既に装着されている。
【0072】
また、感光体ハウジング31の図の上部には、凹部313と、その凹部313の両側に配設された当接部312(凸部)が設けてある。また、凹部313と当接部312は、感光体ハウジング31と現像ハウジング32とを組み付けた際に、感光体ハウジング31の現像ハウジング32と対向する面側に設けられている。
【0073】
そして、感光体ハウジング31と現像ハウジング32との組付けを行うときは、感光体ハウジング31の係合部311の溝に、現像ハウジング32から露出した現像ローラの軸340が係合させ、上記リブ310のネジ孔にネジを取り付けてハウジング同士を固定する。また、ハウジング同士の組付けを行う際、封止部材50の把持部52が感光体ハウジング31の凹部313から図の上方に露出するように配設する。
【0074】
図13は、感光体ハウジング31と現像ハウジング32とを組み付けた状態の断面図である。
図13に示すように、現像ローラ34の表面には封止部材50が巻き付けられているため、ハウジング同士の組み付けた場合、感光体3aと現像ローラ34との間に封止部材50を挟むことができる。これにより、組み付け時に現像ローラ34が感光体3aに衝突することによる傷付きの発生を防止することが可能である。さらに、本実施形態では、封止部材50の非巻付け部54を、現像ローラ34のドクタブレード39に近接した位置とは反対側の位置から伸びるようにしているので、感光体3aと現像ローラ34との間に非巻付け部54を介在させることができ、現像ローラ34と感光体3aとの衝突による傷付きをより確実に防止できる。
【0075】
図13に示すように、封止部材50の非巻付け部54は、感光体ハウジング31と現像ハウジング32との間に形成されるレーザ光路空間33を通って図の上方に伸びるように配設される。このように非巻付け部54を配設することで、感光体ハウジング31の凹部313(図12参照)からは把持部52が露出して配設される。また、感光体ハウジング31の図の上部に設けた当接部312には、封止部材50の把持部52を除く端部501(図12参照)を当接させている。
【0076】
また、封止部材を接着剤によって接着していない場合は、封止部材の一端を図13に示す当接部312に当接させることによって、封止部材による密封性を向上させることが可能である。以下、このことについて説明する。
【0077】
図13に示すように、封止部材50の非巻付け部54を図の上方に伸びるように配設した際、封止部材50の把持部52を除く端部501(図12参照)を当接部312の図の下面に当接させることによって、非巻付け部54は撓んだ状態で配設される。このように非巻付け部54を撓ませることにより、その撓みによる力が封止部材50の巻き付け部に伝播して、封止部材50が巻付け方向と逆方向に変位する。これにより、封止部材50が現像ローラ34の表面から離間する方向に変位し、現像ハウジング32の対向部321,322やドクタブレード39の対向部390に対する封止部材50の接触力が強くなる。その結果、現像ローラ34と各対向部321,322,390との間の密封性を向上させることができる。また、紙よりもコシ(曲げ剛性)の強いマイラを封止部材50として使用した場合は、密封性をより向上させることができる。
【0078】
また、封止部材は未使用時に現像ローラの周囲を封止するものであるので、画像形成装置の使用前にはサービスマンやユーザー等によって封止部材は除去される。
【0079】
本実施形態において現像装置から封止部材を除去する場合は、図14に示すように、画像形成装置の上カバー18を開ける。そして、プロセスユニットから露出する封止部材50の把持部52(図13参照)を摘んで引っ張ることにより、接着部を剥離させて封止部材50を除去することができる。
【0080】
また、接着剤による封止部材の接着を複数箇所で行うことも可能である。しかし、その場合は、剥離性が低下して、封止部材を除去する際に封止部材が破れてプロセスユニット内に残る虞がある。他方、本実施形態のように、接着剤による封止部材の接着を一箇所で行った場合は、良好な剥離性を確保することができ、封止部材が破れるなどの不具合を防止することができる。
【0081】
以上のように、本発明によれば、現像ローラに封止部材を巻き付けることによって、現像ローラの周囲に存在する(1つ以上の)隙間を容易に封止することが可能である。また、複数の封止部材を設ける必要はなく、1つの封止部材によって封止することが可能であるので、組立コストの低減や組立工程数の削減を図ることができると共に、装置の小型化を図ることができる。また、封止部材の除去作業も容易に行うことができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。例えば、図12又は図13に示すように、封止部材50の端部を当接させる当接部312は、感光体ハウジング31に設けているが、同様の当接部を現像ハウジング32に設けることも可能である。また、上記実施形態の画像形成装置は、図14に示すように上部を開放してプロセスユニットを上方に引き出す構成となっているが、例えば、画像形成装置の側面部を開放してプロセスユニットを側方に引き出す構成であってもよい。この場合は、プロセスユニットを側方に引き出し、そのプロセスユニットから封止部材を上方に引っ張って抜き取ればよい。また、本発明に係る画像形成装置としては、図1に示すカラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置や、それ以外の複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
3a,3b,3c,3d 感光体(潜像担持体)
30 プロセスユニット
31 感光体ハウジング
32 現像ハウジング
34 現像ローラ(現像剤担持体)
39 ドクタブレード(規制部材)
49 隙間調整部材
50 封止部材
51 貫通孔
52 把持部
53 接着剤
312 当接部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開2005−189423号公報
【特許文献2】特開平7−311536号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体が装着されると共に内部に現像剤を収容する現像ハウジングと、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジングの対向部との間を未使用時に封止する封止部材を備えた現像装置において、
前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に巻き付けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体の表面に担持される現像剤の厚さを規制する規制部材を備えた現像装置であって、
前記封止部材は前記現像剤担持体の表面の一部を露出させる貫通孔を有し、
前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に巻き付けて当該現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した状態で、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記前記規制部材の対向部との間を前記封止部材で封止すると共に、前記貫通孔を前記規制部材の対向部に対向する位置から対向しない位置に移動可能に構成した請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に対して間隔をあけて巻き付けることにより、前記封止部材を前記対向部に対して接触させるように構成した請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤担持体の表面に巻き付けられた前記封止部材の一端部を当接させる当接部を設け、当該当接部に前記封止部材の一端部を当接させて封止部材を撓ませることにより、前記封止部材を巻付け方向と逆方向に変位させると共に現像剤担持体の表面から離間する方向に変位させて、封止部材を前記対向部に対して接触させるように構成した請求項1から3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に少なくとも一周に渡って巻き付け、封止部材が重なり合う部分を剥離性を有する接着剤で接着した請求項1から4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記接着剤による前記封止部材の接着を一箇所で行うようにした請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した状態で、前記現像ハウジングから露出する把持部を前記封止部材に設けた請求項1から6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体上の潜像に現像剤を供給して現像する現像装置とを少なくとも備えたプロセスユニットにおいて、
前記現像装置として請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置、又は、請求項8に記載のプロセスユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
現像剤を担持する現像剤担持体の表面に封止部材を巻き付ける工程と、
前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を、内部に現像剤を収容可能な現像ハウジングに装着して、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジングの対向部との間に前記封止部材を介在させる工程とを有することを特徴とする現像装置の組立方法。
【請求項11】
現像剤を担持する現像剤担持体の表面に封止部材を巻き付け、当該封止部材に設けた貫通孔から前記現像剤担持体の表面の一部を露出させる工程と、
前記現像剤担持体の表面に担持される現像剤の厚さを規制する規制部材を、内部に現像剤を収容可能な現像ハウジングに取り付ける工程と、
前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着し、現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジング及び前記規制部材の各対向部との間に前記封止部材を介在させる工程と、
前記規制部材の対向部に前記貫通孔を対向させて配設すると共に、前記貫通孔から露出した前記現像剤担持体の表面と前記規制部材の対向部とに隙間調整部材を当接させて前記現像剤担持体の表面と前記規制部材の対向部との間の隙間を調整する工程と、
前記隙間の調整後、前記貫通孔を前記規制部材の対向部に対向する位置から対向しない位置に移動させる工程とを有することを特徴とする現像装置の組立方法。
【請求項12】
前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した後、前記封止部材の一端部を当接部に当接させて封止部材を撓ませることにより、前記封止部材を巻付け方向と逆方向に変位させると共に現像剤担持体の表面から離間する方向に変位させて、封止部材を前記対向部に対して接触させる請求項10又は11に記載の現像装置の組立方法。
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体が装着されると共に内部に現像剤を収容する現像ハウジングと、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジングの対向部との間を未使用時に封止する封止部材を備えた現像装置において、
前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に巻き付けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体の表面に担持される現像剤の厚さを規制する規制部材を備えた現像装置であって、
前記封止部材は前記現像剤担持体の表面の一部を露出させる貫通孔を有し、
前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に巻き付けて当該現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した状態で、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記前記規制部材の対向部との間を前記封止部材で封止すると共に、前記貫通孔を前記規制部材の対向部に対向する位置から対向しない位置に移動可能に構成した請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に対して間隔をあけて巻き付けることにより、前記封止部材を前記対向部に対して接触させるように構成した請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤担持体の表面に巻き付けられた前記封止部材の一端部を当接させる当接部を設け、当該当接部に前記封止部材の一端部を当接させて封止部材を撓ませることにより、前記封止部材を巻付け方向と逆方向に変位させると共に現像剤担持体の表面から離間する方向に変位させて、封止部材を前記対向部に対して接触させるように構成した請求項1から3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記封止部材を前記現像剤担持体の表面に少なくとも一周に渡って巻き付け、封止部材が重なり合う部分を剥離性を有する接着剤で接着した請求項1から4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記接着剤による前記封止部材の接着を一箇所で行うようにした請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した状態で、前記現像ハウジングから露出する把持部を前記封止部材に設けた請求項1から6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体上の潜像に現像剤を供給して現像する現像装置とを少なくとも備えたプロセスユニットにおいて、
前記現像装置として請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の現像装置、又は、請求項8に記載のプロセスユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
現像剤を担持する現像剤担持体の表面に封止部材を巻き付ける工程と、
前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を、内部に現像剤を収容可能な現像ハウジングに装着して、前記現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジングの対向部との間に前記封止部材を介在させる工程とを有することを特徴とする現像装置の組立方法。
【請求項11】
現像剤を担持する現像剤担持体の表面に封止部材を巻き付け、当該封止部材に設けた貫通孔から前記現像剤担持体の表面の一部を露出させる工程と、
前記現像剤担持体の表面に担持される現像剤の厚さを規制する規制部材を、内部に現像剤を収容可能な現像ハウジングに取り付ける工程と、
前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着し、現像剤担持体の表面とその表面に対して隙間を介して配設された前記現像ハウジング及び前記規制部材の各対向部との間に前記封止部材を介在させる工程と、
前記規制部材の対向部に前記貫通孔を対向させて配設すると共に、前記貫通孔から露出した前記現像剤担持体の表面と前記規制部材の対向部とに隙間調整部材を当接させて前記現像剤担持体の表面と前記規制部材の対向部との間の隙間を調整する工程と、
前記隙間の調整後、前記貫通孔を前記規制部材の対向部に対向する位置から対向しない位置に移動させる工程とを有することを特徴とする現像装置の組立方法。
【請求項12】
前記封止部材を巻き付けた前記現像剤担持体を前記現像ハウジングに装着した後、前記封止部材の一端部を当接部に当接させて封止部材を撓ませることにより、前記封止部材を巻付け方向と逆方向に変位させると共に現像剤担持体の表面から離間する方向に変位させて、封止部材を前記対向部に対して接触させる請求項10又は11に記載の現像装置の組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−53528(P2011−53528A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203613(P2009−203613)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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