説明

現像装置および画像形成装置

【課題】画像メモリの発生を防止するとともに、キャリア消費を抑えられる現像装置を提供する。
【解決手段】現像装置は、第1の領域88に対応する磁極を有する搬送ローラ54と、第1の領域88を介して搬送ローラ54に対向する現像ローラ48とを備え、第1の領域88に対応する第1磁極部N1に対向し且つ第1磁極部N1とは異極の第2磁極部Sを現像ローラ48内に配置し、第2磁極部Sの磁束密度ピーク位置が搬送ローラ54と現像ローラ48の各中心を結ぶ直線59に対して現像ローラ回転方向上流側に位置し、第1磁極部N1の磁束密度ピーク位置が、第2磁極部Sの磁束密度ピーク位置よりも搬送ローラ回転方向に関して上流側であり且つ前記直線59に対して搬送ローラ回転方向上流側であって搬送ローラ54上に保持された現像剤が現像ローラ48に接触している領域に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、及びこの画像形成装置に使用される現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に採用されている現像方式では、現像剤としてトナーのみを用いる1成分現像方式と、現像剤としてトナーおよびキャリアを用いる2成分現像方式とが知られている。
【0003】
1成分現像方式では、一般に、トナー担持体とトナー担持体に押圧して設けられた規制板との間の規制部にトナーを通過させることでトナーを摩擦帯電するとともに所望厚みのトナー薄層をトナー担持体外周面に保持させることができため、現像装置の構成簡略化、小型化、低コスト化の面で有利である。また、トナー担持体上には厚さ十数μmを上限とするトナー層が形成されるために、トナー担持体を像担持体との間に微小隙間を保った状態に設定することができ、その結果、トナー担持体および像担持体間に強電界を形成して高いトナー移動速度を得て、高精細な高品質画像を得ることができる。しかしながら、1成分現像方式では、規制部で受ける強いストレスによってトナーの劣化が促進されやすく、トナーの帯電量が耐久とともに低下しやすく、また、規制板表面やトナー担持体表面がトナーや他の外添剤によって汚染されることでトナーへの電荷付与性が低下し、その結果、かぶり等の問題を引き起こすことから現像装置の長寿命化が困難である。
【0004】
これに対し、2成分現像方式は、トナーをキャリアとの混合・攪拌による摩擦接触により帯電させるため、トナーが受けるストレスが小さく、トナー劣化の面で有利である。また、トナーへの電荷付与部材であるキャリアも、その表面積がトナー粒子に比べて大きいため、トナーや他の外添剤による汚染に対しても相対的に強く、現像剤の長寿命化に有利である。しかしながら、現像剤搬送ローラ上でキャリアにより形成される磁気ブラシは、その長さが1成分現像方式におけるトナー担持体上のトナー層厚の20〜50倍にも及ぶうえに、ミクロ的には不均一に形成されている。その結果、リーク防止等を考慮して像担持体との間の電界を1成分現像方式の場合よりも弱く設定しなければならず、且つ像担持体に磁気ブラシの少なくとも一部が接触するように像担持体との間の隙間を設定する必要があるため、像担持体へのトナー移動速度が遅く、しかも磁気ブラシによる像担持体上のトナー像の掻き取りが生じることから、画像品質は1成分現像方式に劣るものとなる。
【0005】
前記1成分現像方式と2成分現像方式の両方の長所を取り入れた現像方式として、特許文献1には、2成分現像方式と同様に2成分現像剤の状態でトナー帯電を行った後、磁極体を内包した供給ローラで現像剤を磁力によって外周面上に磁気ブラシ状態で保持しながらその回転によって現像ローラに対向する領域に搬送し、この領域に形成された電界の作用によって供給ローラ上の現像剤からトナーだけを現像ローラに供給して現像ローラ上にトナー薄層を形成し、このトナー層を現像ローラの回転によって像担持体との対向する領域(現像領域)に搬送して、像担持体上の静電潜像の現像に供する1成分現像を行う所謂ハイブリッド現像方式が提案されている。この現像方式によれば、現像装置の長寿命化と高画質化の両立が可能となる。
【0006】
しかしながら、前記ハイブリッド現像方式では、現像に供されることなく現像ローラ上に残っているトナーを現像装置内において現像ローラから充分に分離・回収しないと、画像メモリ(または現像履歴現象)が発生するという問題があった。この問題は、供給ローラと現像ローラとの対向領域において、新規トナーを供給ローラから現像ローラに供給しつつ、現像後の現像ローラ上にあるトナーを供給ローラ上の磁気ブラシで掻き取って回収するという相反する機能を両立させることの困難さから生じており、画像形成速度の高速化対応等のために前記対向領域に形成される電界をトナー供給寄りに設定した場合に特に画像メモリが顕著に発生する。
【0007】
この画像メモリの問題への対策として、特許文献2や特許文献3では、現像ローラ内に磁極を配置し、この磁極とこれに対向配置された供給ローラ内の磁極とで形成される磁力線に現像剤磁気ブラシを拘束させることによって、現像剤磁気ブラシの現像ローラへの接触面積を拡大して、現像ローラからのトナー回収機能を向上させて、画像メモリを解消することが提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−15380号公報
【特許文献2】特開2006−106027号公報
【特許文献3】特開2006−15380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、現像ローラ内に磁極を配置すると、現像ローラには磁性キャリアを引き付ける磁力が生じることになり、供給ローラから現像ローラへのキャリアの転移(キャリア消費)が生じやすくなる。特に、画像形成装置の高速化時にはこの問題が顕著になる。特許文献2では、現像ローラ内に配置する磁極の周方向縁部(供給ローラ上に保持された現像剤に対する現像ローラ表面の離れ際に対応する部分)の磁力を弱くするよう着磁設定する提案がなされているが、着磁設定の難易度が上がり、生産性にも影響を及ぼすことになる。
【0010】
そこで、本発明は、前記ハイブリッド現像方式の現像装置において、画像メモリを防止しつつキャリア消費を抑制することができる現像装置、およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明の現像装置は、非磁性トナーと磁性キャリアとを含み、相互の摩擦接触によって前記トナーが第1の極性に帯電すると共に前記キャリアが前記第1の極性とは異なる第2の極性に帯電する現像剤と、
複数の磁極部を有する磁極体およびその外周を回転駆動される円筒部材を含んで構成され、前記現像剤を前記円筒部材の外周面に保持しつつ搬送する搬送ローラと、
第1の領域を介して前記搬送ローラに対向するとともに第2の領域を介して像担持体に対向し、前記搬送ローラと同方向に回転駆動される現像ローラと、
前記搬送ローラと前記現像ローラとの間に第1の電界を形成して、前記搬送ローラが保持している現像剤中のトナーを前記現像ローラに移動させる第1の電界形成部と、
前記現像ローラと前記像担持体との間に第2の電界を形成して、前記現像ローラが保持している前記トナーを前記像担持体の静電潜像に移動させて現像することによりトナー像を形成する第2の電界形成部とを備え、
前記磁極体の磁極部のうち前記第1の領域に対応する第1磁極部に対向し且つ前記第1磁極部とは異極の第2磁極部を前記現像ローラ内に配置し、前記第2磁極部の磁束密度ピーク位置が前記搬送ローラと前記現像ローラの各中心を結ぶ直線に対して現像ローラ回転方向上流側に位置し、前記第1磁極部の磁束密度ピーク位置が、前記第2磁極部の磁束密度ピーク位置よりも搬送ローラ回転方向に関して上流側であり且つ前記直線に対して搬送ローラ回転方向上流側であって前記搬送ローラ上に保持された現像剤が前記現像ローラに接触している領域に位置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる現像装置によれば、搬送ローラおよび現像ローラは同方向に回転駆動されており、前記第1の領域において搬送部剤の円筒部材表面と現像ローラ表面は逆方向にそれぞれ移動しているが、搬送ローラ内の第1磁極部および現像ローラ内の第2磁極部を、両ローラの各中心を結ぶ直線に対して各ローラ回転方向上流側にそれぞれずらして配置したことで、第1および第2磁極部の各磁束密度ピーク位置が前記直線上にそれぞれ位置している場合に比べて、第1の領域において現像ローラ表面が搬送ローラ上に保持された現像剤から離れる際の領域で、搬送ローラの第1磁極部によるキャリア保持力が強くなる一方で現像ローラの第2磁極部によるキャリア吸引力が弱くなる。
【0013】
これにより、キャリアの現像ローラへの転移を抑制でき、キャリア消費を低減できるとともに、キャリア転移に伴って生じる像担持体の打痕に起因する画像上の白斑点や像担持体用クリーニングブレードの損傷によるトナー拭き残しに起因する画像上の筋状ノイズの発生を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本願発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本願発明は限定的に解釈されるべきものでない。また、以下に説明する画像形成装置及び現像装置では、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0015】
〔1.画像形成装置〕
図1は、本発明に係る電子写真式画像形成装置の画像形成に関連する部分を示す。画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびそれらの機能を複合的に備えた複合機のいずれであってもよい。画像形成装置1は、像坦持体である感光体12を有する。実施形態において、感光体12は円筒体で構成されているが、本願発明はそのような形態に限定されるものでなく、代わりに無端ベルト式の感光体も使用可能である。感光体12は、図示しないモータに駆動連結されており、モータの駆動に基づいて矢印14方向に回転するようにしてある。感光体12の周囲には、感光体12の回転方向に沿って、帯電ステーション16、露光ステーション18、現像ステーション20、転写ステーション22、およびクリーニングステーション24が配置されている。
【0016】
帯電ステーション16は、感光体12の外周面である感光体層を所定の電位に帯電する帯電装置26を備えている。実施形態では、帯電装置26は円筒形状のローラとして表されているが、これに代えて他の形態の帯電装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式帯電装置、ワイヤ放電式帯電装置)も使用できる。露光ステーション18は、感光体12の近傍又は感光体12から離れた場所に配置された露光装置28から出射された画像光30が、帯電された感光体12の外周面に向けて進行するための通路32を有する。露光ステーション18を通過した感光体12の外周面には、画像光が投射されて電位の減衰した部分とほぼ帯電電位を維持する部分からなる、静電潜像が形成される。実施形態では、電位の減衰した部分が静電潜像画像部、ほぼ帯電電位を維持する部分が静電潜像非画像部である。現像ステーション20は、粉体現像剤を用いて静電潜像を可視像化する現像装置34を有する。現像装置34の詳細は後に説明する。転写ステーション22は、感光体12の外周面に形成された可視像を紙やフィルムなどのシート38に転写する転写装置36を有する。実施形態では、転写装置36は円筒形状のローラとして表されているが、他の形態の転写装置(例えば、ワイヤ放電式転写装置)も使用できる。クリーニングステーション24は、転写ステーション22でシート38に転写されることなく感光体12の外周面に残留する未転写トナーを感光体12の外周面から回収するクリーニング装置40を有する。実施形態では、クリーニング装置40は板状のブレードとして示されているが、代わりに他の形態のクリーニング装置(例えば、回転型又は固定型のブラシ式クリーニング装置)も使用できる。
【0017】
このような構成を備えた画像形成装置1の画像形成時、感光体12はモータ(図示せず)の駆動に基づいて時計周り方向に回転する。このとき、帯電ステーション16を通過する感光体外周部分は、帯電装置26で所定の電位に帯電される。帯電された感光体外周部分は、露光ステーション18で画像光30が露光されて静電潜像が形成される。静電潜像は、感光体12の回転と共に現像ステーション20に搬送され、そこで現像装置34によって現像剤像として可視像化される。可視像化された現像剤像は、感光体12の回転と共に転写ステーション22に搬送され、そこで転写装置36によりシート38に転写される。現像剤像が転写されたシート38は図示しない定着ステーションに搬送され、そこでシート38に現像剤像が固定される。転写ステーション22を通過した感光体外周部分はクリーニングステーション24に搬送され、そこでシート38に転写されることなく感光体12の外周面に残存する現像剤が回収される。
【0018】
〔2.現像装置〕
現像装置34は、第1の成分粒子である非磁性トナーと第2の成分粒子である磁性キャリアを含む2成分現像剤と以下に説明する種々の部材を収容するハウジング42を備えている。図面を簡略化することで発明の理解を容易にするため、ハウジング42の一部は削除してある。本実施形態で用いる現像剤では、相互の摩擦接触によりトナーが負極性、キャリアが正極性に帯電されるものとする。ただし、本願発明に用いるトナーおよびキャリアの帯電性は、そのような組み合わせに限るものでなく、相互の摩擦接触によりトナーが正極性、キャリア4が負極性に帯電される組合せも考えられる。
【0019】
ハウジング42は感光体12に向けて開放された開口部44を備えており、この開口部44の近傍に形成された空間46にトナー搬送部材である現像ローラ48が設けてある。現像ローラ48は、感光体12と平行に且つ感光体12の外周面と所定の現像ギャップ50を介して配置されている。
【0020】
現像ローラ48は、矢印78方向に回転駆動可能に支持されている円筒状のトナー搬送スリーブ45と、このスリーブ内に回転不能に固定配置された円柱状の磁石体47とを有している。導電性を有する磁石体47は、後述する電界形成装置110に電気的に接続されており、これにより現像ローラ48に所定の現像バイアスが印加されるようになっている。また、磁石体47の外周部には、対向磁極S(第2磁極部)が設けられている。対向磁極Sは、現像ローラ48の中心軸方向に沿って伸びている。図1において、現像ローラ48の中心49から対向磁極Sに向かって延びる実線は、対向磁極Sの磁束密度のピーク位置およびその方向を示している。この対向磁極Sの着磁位置については、後に詳述する。なお、本実施形態では、現像ローラ48の内部に設けられた対向磁極Sは、円筒状のトナー搬送スリーブ45の内径とほぼ同等の直径を有する円柱状の磁石体47の外周部の一部分に着磁して設けられているが、これに限定されるものではなく、スリーブ45内にかなりの内部空間を余す程度に細い棒状の磁石をスリーブ内周面にS極が対向するように固定配置して前記対向磁極Sとしてもよい。
【0021】
現像ローラ48は、表面処理が施された例えばアルミニウム等の金属からなる円筒状部材で構成されることができる。前記表面処理としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂コーティングや、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のゴムコーティングが用いられるが、これらに限定されない。また、前記コーティングの内部または表面に導電剤が添加されてもよい。前記導電剤としては、電子導電剤またはイオン導電剤が使用可能である。前記導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック粒子や、金属粉、金属酸化物の微粒子等が例示されるが、これらに限定されない。また、前記イオン導電剤としては、四級アンモニウム塩等のカチオン性化合物、両性化合物、そのたのイオン性高分子材料等が例示されるが、これらに限定されない。
【0022】
現像ローラ48の背後には、別の空間52が形成されている。空間52には、現像剤搬送部材である搬送ローラ54が、現像ローラ48と平行に且つ現像ローラ48の外周面と所定の供給回収ギャップ56を介して配置されている。搬送ローラ54は、回転不能に固定された磁石体58と、磁石体58の周囲を現像ローラ48と同方向である矢印80方向に回転駆動可能に支持された円筒スリーブ60を有する。スリーブ60の上方には、ハウジング42に固定され、スリーブ60の中心軸と平行に伸びる規制板62が、所定の規制ギャップ64を介して対向配置されている。
【0023】
磁石体58は、搬送ローラ54の内面に対向し、搬送ローラ54の中心軸方向に伸びる、複数の磁極を有する。実施形態では、複数の磁極は、規制板62の近傍にある搬送ローラ54の上部内周面部分近傍にある磁極S1、供給回収ギャップ56の近傍にある搬送ローラ54の左側内周面部分に対向する主磁極(第1磁極部)N1、搬送ローラ54の下部内周面部分に対向する磁極S2、搬送ローラ54の右側内周面部分に対向する、2つの隣接する同極性の磁極N2,N3を含む。図1において、搬送ローラ54の中心55から各磁極S1,N1,S2に向かってそれぞれ延びる実線は、各磁極の磁束密度のピーク位置およびその方向をそれぞれ示している。
【0024】
磁石体58の主磁極部N1は、搬送ローラ54と現像ローラ48との間の領域である供給回収領域88に対応して設けられているが、特に、供給回収領域88のうち後述するように搬送ローラ54上に保持された現像剤中のトナーが現像ローラ48に供給される領域である供給領域90に対向している。より詳細には、前記主磁極部N1の磁束密度ピーク位置は、搬送ローラ54の回転方向(矢印80方向)に関して、搬送ローラ54と現像ローラ48の各中心55,49を結ぶ一点鎖線で示す直線59に対して若干上流側にずらして設定してある。また、搬送ローラ54の回転方向に関して、主磁極N1の上流側に隣接する磁極S1は主磁極N1の下流側に隣接する磁極S2よりも近接配置されており、その磁束密度ピーク値は磁極S1の方が磁極S2よりも大きく設定されている。
【0025】
ここで、現像ローラ48の磁石体の対向磁極Sは、前記搬送ローラ54の主磁極N1とは異極性であって、搬送ローラ54と現像ローラ48との間の供給回収領域88、特に、供給回収領域88のうち後述するように現像ローラ48上のトナーが分離・回収される領域である回収領域92に対向して設けられている。より詳細には、対向磁極Sの磁束密度のピーク位置は、現像ローラ48の回転方向(矢印78方向)に関して、搬送ローラ54と現像ローラ48の各中心55,49を結ぶ直線59に対して若干上流側にずらして設定してある。これにより、搬送ローラ54の主磁極N1の磁束密度ピーク位置は、現像ローラ48の対向磁極Sの磁束密度ピーク位置よりも搬送ローラ54回転方向に関して上流側に位置していることになる。また、搬送ローラ54の主磁極N1の磁束密度は、現像ローラ48の対向磁極の磁束密度よりも大きく設定されている。
【0026】
搬送ローラ54の背後には、現像剤攪拌室66が形成されている。攪拌室66は、搬送ローラ54の近傍に形成された前室68と搬送ローラ54から離れた後室70を有する。前室68には図面の表面から裏面に向かって現像剤を攪拌しながら搬送する前攪拌搬送部材である前スクリュー72が回転可能に配置され、後室70には図面の裏面から表面に向かって現像剤を攪拌しながら搬送する後攪拌部材搬送部材である後スクリュー74が回転可能に配置されている。図示するように、前室68と後室70は、両者の間に設けた隔壁76で分離してもよい。この場合、前室68と後室70の両端近傍にある隔壁部分は除かれて連絡通路が形成されており、前室68の下流側端部に到達した現像剤が連絡通路を介して後室70へ送り込まれ、また後室70の下流側端部に到達した現像剤が連絡通路を介して前室68に送り込まれるようにしてある。
【0027】
供給領域90で搬送ローラ54のスリーブ60から現像ローラ48のスリーブ45にトナーを効率的に移動させるために、現像ローラ48と搬送ローラ54は電界形成装置110と電気的に接続されている。
【0028】
図2に電界形成装置110の具体例を示す。電界形成装置110は、第1の電源112と第2の電源114とを有する。ここで、第1および第2の電源112,114が第1の電界形成部を構成し、第1の電源112が第2の電界形成部を構成している。
【0029】
第1の電源112は、現像ローラ48とグランド116との間に接続された直流電源118を含む。直流電源118は、トナー6の帯電極性と同一極性の直流電圧VDC1(例えば、−300ボルト)を現像ローラ48に印加する。第2の電源114は、搬送ローラ54とグランド116との間に直列に接続された直流電源120および交流電源122を有する。これにより、搬送ローラ54には、直流電源120による所定の直流成分VDC2(例えば、−400ボルト)に、交流電源122による所定の交流成分(振幅VP−Pが例えば1,500ボルト)が重畳された振動電圧が印加されるようになっている。
【0030】
上記のように現像ローラ48に電圧VDC1が印加されることによって、感光体12と現像ローラ48との間に電界(第2の電界)が形成されることになる。この電界の作用によって、現像ローラ48上の負極性トナーが、現像ローラ48(VDC1:−300ボルト)と静電潜像画像部(V:−80ボルト)との電位差に基づき、静電潜像画像部に付着する。このとき、負極性トナーは、現像ローラ48(VDC1:−300ボルト)と静電潜像非画像部(V:−600ボルト)との電位差により、静電潜像非画像部に付着することはない。
【0031】
また、搬送ローラ54と現像ローラ48との間の供給回収領域88には、図3に例示するような振動電界(第1の電界)が形成される。これにより、搬送ローラ54の電位が現像ローラ48の電位に対してマイナス側の時間帯領域で負極性トナーを搬送ローラ54から現像ローラ48に移動させるトナー供給作用を果たし、逆に、搬送ローラ54の電位が現像ローラ48の電位に対してプラス側の時間帯領域で負極性トナーを現像ローラ48側から搬送ローラ54に戻すトナー回収作用を果たすことになる。また、トナー回収作用の時間帯領域では、搬送ローラ54上の正極性キャリアに対して現像ローラ48側へ移動させる方向(キャリア供給方向)の静電力が作用することになるが、後述するように現像ローラ48へのキャリア移動は抑制される。
【0032】
なお、本実施形態では、搬送ローラ54と現像ローラ48との間に形成される電界を振動電界としたが、これに限定されるものではなく、供給領域90においてスリーブ60から現像ローラ48へのトナー供給が可能である限りにおいて直流電界であってもよい。
【0033】
続いて、上記のように構成される現像装置34の動作を説明する。
画像形成時、図示しないモータの駆動に基づいて、現像ローラ48とスリーブ60はそれぞれ矢印78,80方向に回転する。前スクリュー72は矢印82方向に回転し、後スクリュー74は矢印84方向に回転する。これにより、現像剤攪拌室66に収容されている現像剤2は、前室68と後室70を循環搬送されながら、攪拌される。その結果、現像剤に含まれるトナーとキャリアが摩擦接触し、互いに逆の極性に帯電される。実施形態では、キャリアは正極性、トナーは負極性に帯電されるものとする。キャリア粒子はトナー粒子に比べて相当大きい。そのため、正極性に帯電したキャリアの周囲に、負極性に帯電したトナーが、主として両者の電気的な吸引力に基づいて付着している。
【0034】
帯電された現像剤2は、前スクリュー72によって前室68を搬送される過程で搬送ローラ54に供給される。前スクリュー72から搬送ローラ54に供給された現像剤2は、磁極N3の近傍で、磁極N3の磁力によって、スリーブ60の外周面に保持される。スリーブ60に保持された現像剤2は、磁石体58によって形成された磁力線に沿って磁気ブラシを構成しており、スリーブ60の回転に基づいて反時計周り方向に搬送される。規制板62の対向領域(規制領域)86で磁極S1に保持されている現像剤2は、規制板62により、規制ギャップ64を通過する量が所定量に規制される。規制ギャップ64を通過した現像剤2は、磁極S1の磁力で保持されつつスリーブ60と共に移動し、現像ローラ48と搬送ローラ54が対向する領域(供給回収領域)88に搬送される。
【0035】
この供給回収領域88では、搬送ローラ54内の主磁極N1とこれとは異極である現像ローラ48内の対向磁極Sとの間に、磁力線が比較的高密度に形成されている。これにより、現像回収領域88では、搬送ローラ54上の磁気ブラシが磁力線によってしっかりと拘束されて立つことで、現像ローラ48に対する現像剤2の接触面積が拡大する。その結果、供給回収領域88のうち、主にスリーブ60の回転方向に関して上流側の供給領域90では、搬送ローラ54と現像ローラ48との間に形成されている振動電界の作用によって、キャリア4に付着しているトナー6が現像ローラ48のスリーブ45に電気的に充分に供給される。また、供給回収領域88のうち、主にスリーブ60の回転方向に関して下流側の回収領域92では、現像に供されることなく供給回収領域88に送り戻された現像ローラ48のスリーブ45上のトナーが、前記磁力線によってしっかりと拘束された現像剤2の磁気ブラシで確実に掻き取られて搬送ローラ54に回収され、これにより画像メモリの発生を防止することができる。
【0036】
ここで、本実施形態の現像装置34では、搬送ローラ54および現像ローラ48の各スリーブ60,45が同方向に回転駆動されており、供給回収領域88においては搬送ローラ54のスリーブ60表面と現像ローラ48のスリーブ45表面は逆方向にそれぞれ移動しているが、搬送ローラ54内の主磁極N1および現像ローラ48内の対向磁極Sを、両ローラ54,48の各中心55,49を結ぶ直線59に対して各ローラ回転方向上流側にそれぞれずらして配置してあることで、前記主磁極N1および対向磁極Sの各磁束密度ピーク位置が前記直線59上にそれぞれ位置している場合に比べて、供給回収領域88において現像ローラ48のスリーブ45表面が搬送ローラ54上に保持された現像剤から離れる際の領域(すなわち供給領域90におけるスリーブ45の回転方向下流側)で、搬送ローラ54の主磁極N1の磁力によるキャリア保持力が強くなる一方で現像ローラ48の対向磁極Sの磁力によるキャリア吸引力が弱くなっている。また、本実施形態では、主磁極N1の磁束密度ピーク値を対向磁極Sの磁束密度ピーク値よりも大きく設定することで、搬送ローラ54上でのキャリア保持力を高めている。これにより、前記振動電界においてキャリア供給方向に作用するトナー回収作用の時間帯領域で現像ローラ48側へのキャリアの移動が生じたとしても、前記主磁極N1の磁力によってキャリアが引き戻されて搬送ローラ54に保持されることで現像ローラ48への転移を抑制でき、キャリア消費を低減できる。その結果、キャリア転移に伴って生じる感光体12の打痕に起因する画像上の白斑点や感光体用クリーニングブレード40の損傷によるトナー拭き残しに起因する画像上の筋状ノイズの発生を低減できる。
【0037】
供給領域90で現像ローラ48のスリーブ45上に保持されたトナー6は、スリーブ45の回転と共に反時計周り方向に搬送され、感光体12と現像ローラ48が対向する領域(現像領域)96で、感光体12の外周面に形成されている静電潜像画像部に付着する。実施形態の画像形成装置では、感光体12の外周面は帯電装置26で負極性の所定の電位Vが付与され、露光装置28で画像光30が投射された静電潜像画像部が所定の電位Vまで減衰し、露光装置28で画像光30が投射されていない静電潜像非画像部はほぼ帯電電位Vを維持している。したがって、現像領域96では、感光体12と現像ローラ48との間に形成されている電界(第2の電界)の作用を受けて、負極性に帯電したトナー6が静電潜像画像部に飛翔して付着し、この静電潜像をトナー像として現像する。なお、現像領域96では、現像ローラ48上のトナー層が感光体12に直に接触する接触現像であってもよい。
【0038】
このようにして現像剤2からトナーが消費されると、消費された量に見合う量のトナーが現像剤2に補給されることが好ましい。そのために、現像装置34は、ハウジング42に収容されているトナーとキャリアの混合比を測定する手段を備えている。また、後室70の上方にはトナー補給部98が設けてある。トナー補給部98は、トナーを収容するための容器100を有する。容器100の底部には開口部102が形成されており、この開口部102に補給ローラ104が配置されている。補給ローラ104は図示しないモータに駆動連結されており、トナーとキャリアの混合比を測定する手段の出力に基づいてモータが駆動し、トナーが後室70に落下補給するようにしてある。
【0039】
〔3.現像剤の具体的な材料〕
現像剤を構成するトナー、キャリア、荷電粒子、および現像剤に含まれる他の粒子の具体的な材料を説明する。
【0040】
〔トナー〕
トナーには、画像形成装置で従来から一般に使用されている公知のトナーを使用できる。トナー粒径は、例えば約3〜15μmである。バインダー樹脂中に着色剤を含有させたトナー、荷電制御剤や離型剤を含有するトナー、表面に添加剤を保持するトナーも使用できる。
【0041】
トナーは、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の方法で製造できる。
【0042】
トナーに使用されるバインダー樹脂は、限定的ではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、またはそれらの樹脂を任意に混ぜ合わせたものである。バインダー樹脂は、軟化温度が約80〜160℃の範囲、ガラス転移点が約50〜75℃の範囲であることが好ましい。
【0043】
また、トナーに用いられる着色剤は、公知の材料、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができる。着色剤の添加量は、一般に、バインダー樹脂100重量部に対して、2〜20重量部であることが好ましい。
【0044】
荷電制御剤は、従来から荷電制御剤として知られている材料が使用できる。具体的に、正極性に帯電するトナーには、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂が荷電制御剤として使用できる。負極性に帯電するトナーには、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレーン化合物が荷電制御剤として使用できる。荷電制御剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0045】
離型剤は、従来から離型剤として使用されている公知のものを使用できる。離型剤の材料には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス、又はそれらを適宜組み合わせた混合物が用いられる。離型剤は、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
【0046】
その他の添加剤として、現像剤の流動化を促進する流動化剤を添加してもよい。流動化剤には、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粒子や、アクリル樹脂、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂微粒子が使用できる。特にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、およびシリコーンオイル等で疎水化した材料を用いるのが好ましい。流動化剤は、トナー100重量部に対して、0.1〜5重量部の割合で添加させることが好ましい。これら添加剤の個数平均一次粒径は9〜100nmであることが好ましい。
【0047】
〔キャリア〕
キャリアは、従来から一般に使用されている公知のキャリアを使用できる。バインダー型キャリアやコート型キャリアのいずれを用いてもよい。キャリア粒径は、限定的ではないが、約15〜100μmが好ましい。
【0048】
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、表面に正極性または負極性に帯電する微粒子又はコーティング層を有するものが使用できる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御できる。
【0049】
バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の硬化性樹脂が例示される。
【0050】
バインダー型キャリアの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。キャリアの形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリア中に50〜90重量%の量で添加することが適当である。
【0051】
バインダー型キャリアの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられる。これらの樹脂をキャリア表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、キャリアの電荷付与能力を向上できる。
【0052】
バインダー型キャリアの表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリアと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリアの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与えることにより微粒子を磁性樹脂キャリア中に打ち込むことで行われる。この場合、微粒子は、磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部が磁性樹脂キャリア表面から突出するように固定される。帯電性微粒子には、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的に、有機系の絶縁性材料としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂およびこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子がある。電荷付与能力および帯電極性は、帯電性微粒子の素材、重合触媒、表面処理等に調整できる。無機系の絶縁性材料としては、シリカ、二酸化チタン等の負極性に帯電する無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正極性に帯電する無機微粒子が用いられる。
【0053】
コート型キャリアは、磁性体からなるキャリアコア粒子を樹脂で被覆したキャリアであり、バインダー型キャリア同様に、キャリア表面に正極性または負極性に帯電する帯電性微粒子を固着することができる。コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子の選択により調整できる。コーティング樹脂は、バインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
【0054】
トナーとキャリアの混合比は所望のトナー帯電量が得られるよう調整されれば良く、トナー比はトナーとキャリアとの合計量に対して3〜50重量%、好ましくは6〜30重量%が好ましい。
【0055】
〔4.実験〕
次に、本実施形態の画像形成装置1で行った実験例について説明する。これらの実験では、下記のトナーおよびキャリアを用いた。
【0056】
湿式造粒法により作製された体積平均粒径約6.5μmのトナー母材100重量部に対し、第1の疎水性シリカ0.2重量部と、第2の疎水性シリカ0.5重量部と、疎水性酸化チタン0.5重量部とを、ヘンシェルミキサ(三井金属鉱山社製)を用いて40m/sの速度で3分間表面処理を行って外添処理して得られた負帯電性トナーを用いた。ここで用いた第1の疎水性シリカは、個数平均一次粒径16nmのシリカ(♯)130:日本アエロジル社製)を疎水化剤であるヘキサメチルジシラザン(HMDS)により表面処理を施したものである。疎水性酸化チタンは、個数平均一次粒径約30nmのアナターゼ型酸化チタンを水系湿式中で疎水化剤であるイソブチルトリメトキシシランにより表面処理したものである。
【0057】
また、キャリアには、磁性体からなるキャリアコア粒子にアクリル樹脂コートがなされてなるコート型キャリアで、平均粒径約33μmのコニカミノルタテクノロジーズ社製bizhub C350用キャリアを用いた。
【0058】
そして、実験例で用いた現像剤は、トナー比率を8%とした。トナー比率は、現像剤全量に対するトナー、外添剤の合計量の割合である。
【0059】
また、搬送ローラ54と現像ローラ48との間には振動電界を形成し、この振動電界の形成するための搬送ローラ54および現像ローラ48の各電位は図3に例示するように設定した。搬送ローラ54には、直流電圧VDC2−250ボルトに、周波数2kHz、振幅1500ボルト、トナー供給側デューティ比60%(トナー回収側デューティ比40%)の矩形波の交流電圧VACを重畳した交番電圧を印加し、現像ローラ48には直流電圧VDC1−300ボルトを印加した。なお、この電位設定は、あくまで一例であって、環境条件や画像条件によって変更されるものである。また、後述するキャリア消費は、トナー回収側の時間帯領域、すなわちVminと回収デューティ比との積との間に相関が見られ、この積が200v以下となるように設定することが望ましい。
【0060】
このような条件の下で、画像面積率5%の画像チャートを30万枚耐久印刷して、その前後でのキャリア消費量と画像メモリの発生の有無を調べた。その結果を表1に示す。なお、表1において、Brは磁束密度(磁束密度ピーク値)、画像メモリ○は目視による確認で画像メモリの発生がなかったことを示している。また、キャリア付着による感光体打痕に起因する白斑点や感光体用クリーニングブレードの損傷による拭き残しに起因する筋状ノイズといった画像ノイズの発生を防止するためには、キャリア消費量を40g未満に抑える必要があることが経験的にわかっている。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示すように、実験番号1と実験番号2−6との対比において、主磁極N1の磁束密度を対向磁極Sの磁束密度より大きく設定することで、キャリア消費量が大きく低減していることがわかる。また、実験番号2と実験番号5,6との対比及び実験番号2と実験番号3,4との対比において、主磁極N1および対向磁極Sをそれぞれのローラ54,48の回転方向上流側にずらして配置することで、キャリア消費がより改善されていることがわかる。さらに、磁束密度について、実験番号4と実験番号5,6との対比において、主磁極N1に対して搬送ローラ回転方向上流側に隣接する磁極S1の方を同下流側に隣接する磁極S2よりも大きく設定し、磁極位置について、磁極S1から磁極N1までの周方向角度を磁極S2から磁極N1までの周方向角度よりも小さく設定することでもキャリア消費が改善されていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】画像形成装置および現像装置の概略構成図。
【図2】電界形成装置の具体例を示す図。
【図3】搬送ローラと現像ローラとの電位関係を示す図。
【符号の説明】
【0064】
1:画像形成装置、2:現像剤、4:キャリア、6:トナー、8:荷電粒子、10:スペント、12:感光体、16:帯電ステーション、18:露光ステーション、20:現像ステーション、22:転写ステーション、24:クリーニングステーション、26:帯電装置、28:露光装置、30:画像光、32:通路、34:現像装置、36:転写装置、38:シート、40:クリーニング装置、42:ハウジング、44:開口部、45:スリーブ、46:第2の空間、47:磁石体、48:現像ローラ、49:現像ローラ中心、50:現像ギャップ、52:第2の空間、54:搬送ローラ、55:搬送ローラ中心、56:供給回収ギャップ、58:磁石体、59:各中心を結ぶ直線、60:スリーブ、63:規制板、64:規制ギャップ、66:現像剤攪拌室、68:前室、70:後室、72:前スクリュー、74:後スクリュー、76:隔壁、86:規制領域、88:供給回収領域、90:供給領域、92:回収領域、94:放出領域、96:現像領域、98:トナー補給部、100:容器、102:開口部、104:補給ローラ、110:電界形成装置、112:第1の電源、114:第2の電源、116:グランド、118:直流電源、120:直流電源、122:交流電源、N1:主磁極(第1磁極部)、S:対向磁極(第2磁極部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性トナーと磁性キャリアとを含み、相互の摩擦接触によって前記トナーが第1の極性に帯電すると共に前記キャリアが前記第1の極性とは異なる第2の極性に帯電する現像剤と、
複数の磁極部を有する磁極体およびその外周を回転駆動される円筒部材を含んで構成され、前記現像剤を前記円筒部材の外周面に保持しつつ搬送する搬送ローラと、
第1の領域を介して前記搬送ローラに対向するとともに第2の領域を介して像担持体に対向し、前記搬送ローラと同方向に回転駆動される現像ローラと、
前記搬送ローラと前記現像ローラとの間に第1の電界を形成して、前記搬送ローラが保持している現像剤中のトナーを前記現像ローラに移動させる第1の電界形成部と、
前記現像ローラと前記像担持体との間に第2の電界を形成して、前記現像ローラが保持している前記トナーを前記像担持体の静電潜像に移動させて現像することによりトナー像を形成する第2の電界形成部とを備え、
前記磁極体の磁極部のうち前記第1の領域に対応する第1磁極部に対向し且つ前記第1磁極部とは異極の第2磁極部を前記現像ローラ内に配置し、前記第2磁極部の磁束密度ピーク位置が前記搬送ローラと前記現像ローラの各中心を結ぶ直線に対して現像ローラ回転方向上流側に位置し、前記第1磁極部の磁束密度ピーク位置が、前記第2磁極部の磁束密度ピーク位置よりも搬送ローラ回転方向に関して上流側であり且つ前記直線に対して搬送ローラ回転方向上流側であって前記搬送ローラ上に保持された現像剤が前記現像ローラに接触している領域に位置することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第1磁極部の磁束密度が前記第2磁極部の磁束密度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記磁極体において、前記搬送ローラ回転方向に関して、前記第1磁極部の上流側に隣接する磁極部が前記第1磁極部の下流側に隣接する磁極部よりも近接配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記上流側に隣接する磁極部の磁束密度ピーク値が前記下流側に隣接する磁極部の磁束密度ピーク値よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−192787(P2009−192787A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32983(P2008−32983)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】