説明

環状に配置されているワークピースストッカ

本発明は、製造設備においてワークピースを保管するための改善されたストッカに関する。ワークピースがロボット把持アセンブリの周囲に固定的に保管されている。3つの自由度を有するようにロボットハンドラが設計されている。ストッカには周端グリップロボット把持アセンブリが設けられており、このロボット把持アセンブリはワークピースにアクセスし、周端部からワークピースを取り出し、したがって密にワークピースを保管することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年6月9日出願の米国特許明細書第11/811,372号、2006年11月15日出願の米国仮出願第60/859,202号、発明の名称「環状に配置されているワークピースストッカ」および2006年6月9日出願のドイツ連邦共和国特許明細書第10 2006 028 057.1号、発明の名称「汚染に敏感なディスク状のアーティクル、殊に半導体ウェハを保管するための装置」の優先権を主張するものであり、それらの開示内容は参照により本願に取り入れられる。
【0002】
本発明は、対象を保管および搬送するための装置および方法に関し、より詳細には、半導体ウェハ、レチクルまたはキャリアボックスのためのストッカのようなワークピースストッカに関する。
【0003】
背景技術
ストッカは一般的にワークピース、例えばウェハ、フラットパネルディスプレイ、LCD、フォトリソグラフィレチクルまたはマスクなどを一時的に保管するために半導体製造設備内に設置されている。半導体デバイス、LCDパネルなどの製造プロセスにおいては数百の処理装置が存在し、したがって数百の製造ステップが存在する。ステップ毎またツール毎にウェハ、フラットパネルまたはLCD(以下ではこれらをワークピースと称す)の流れに関してばらつきをなくすことは困難である。プランナが最高であっても、ツールの故障、緊急のロットの提供、計画よりも長く続く周期的なメンテナンスなどの予期せぬシナリオは常に存在するので、所定のツールに関する所定のステップにおいてワークピースが様々に蓄積される。蓄積されたワークピースをストッカに保管し、処理されるまで待機させなければならなくなる。
【0004】
さらには、多数のフォトリソグラフィマスクまたはレチクル(これらを以下ではレチクルと称する)を有している半導体製造設備においてフォトリソグラフィ処理は非常に重要な処理である。したがって通常の場合、レチクルはストッカに保管されており、必要に応じてリソグラフィ露光装置に運ばれる。
【0005】
ワークピースおよびレチクル(これらを以下ではアーティクルと称する)の保管は清浄度の要求に基づき一層複雑になる。アーティクルの損傷として粒子による物理的な損傷または汚染による化学的な損傷が考えられる。半導体デバイスのクリティカルディメンジョン(CD)は0.1ミクロンを上回るので、0.1ミクロンの大きさの粒子および反応活性種のアーティクルへの接近を阻止することが必要となる。一般的に、処理間のより少ないクリーニングを保証するために、保管領域は処理設備よりも一層クリーンであることが必要とされる。
【0006】
したがって通常の場合、ストッカ保管領域は外部の環境に対して密閉されており、有利には一定のパージングが用いられ、さらには起こり得る化学反応を阻止するために不活性のガス流も用いられる。保管領域へのアクセスはクリーンな保管環境と外部環境との隔離を保証するためにロードロック方式である。
【0007】
発明の概要
本発明は、製造設備においてワークピースを保管するための改善されたストッカ、殊に半導体処理のためのウェハストッカまたはレチクルストッカに関する。1つの実施例においては、ワークピースがロボット把持アセンブリの周囲に、有利には環状に固定的に保管されている。この構成においては、3つの自由度を有するように、例えば半径方向の運動、回転運動、垂直方向の運動をするようにロボットハンドラを設計することができ、これにより速度およびスループットを改善することができる。3つの自由度を有するロボットは最小限の粒子しか生じないように良好に設置されており、したがってこの構成によりワークピースの保管に関してクリーンな環境を提供することができる。さらにストッカ保管領域は固定式であり、移動可能な複数のコンポーネントはロボットアセンブリであるので、これは保管ストッカのクリーンな環境にさらに寄与する。
【0008】
1つの実施形態において、ストッカには、アクセスを容易にするために裸で保管されているワークピースを有する開放された保管領域が設けられている。裸のワークピースを保管することによりアクセスが速くなり、空間が節約され、またクリーンな空気のパージングが容易になる。ロボット把持アセンブリの周囲に配置されており、また垂直方向にも配置されている複数の開放式のコンパートメントを備えるように保管領域を構成することができる。
【0009】
1つの実施形態において、ストッカは垂直の状態または水平の状態でワークピースを高密度に保管することができる。ストッカには周端グリップロボット把持アセンブリが設けられており、このロボット把持アセンブリはワークピースにアクセスし、周端部からワークピースを取り出し、したがって密にワークピースを保管することができる。
【0010】
保管領域は中心に向かって、例えばロボット把持システムに向かって内向きに空気を流すクリーンエア供給システムを有することができる。このように内向きに空気を流すことにより粒子による汚染は低減される。何故ならば、クリーンな気流の上流側では粒子が発生しないからである。さらには、保管領域を清浄度に基づき複数のセクション、例えば非常に高い清浄度で保管するための上段セクション、通常の清浄度で保管するための中段セクションおよび低い清浄度で保管するための下段セクションに分割することができる。それらのセクション間の相互汚染が最小になるように空気の流れを設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】発明によるストッカの実施例を示す。
【図2】コンテナを手動で引き出すためにドアが開かれた状態のストッカの実施例を示す。
【図3】ストッカ用のコンテナの断面図(図4における線分III−III)を示す。
【図4】コンテナの別の図を示す。
【図5】ロボット把持アセンブリユニットの平面図を示す。
【図6】ロボット把持ユニットの側面図を示す。
【図7】発明によるストッカの別の実施例の平面図を示す。
【図8】発明によるストッカの別の実施例の平面図を示す。
【図9】2つの位置にロボットが設けられているストッカの実施例の側面図を示す。
【図10】クリーンなガス流形成部を有するストッカの実施例の側面図を示す。
【図11】別の例示的なストッカの平面図を示す。
【図12】別の例示的なストッカの側面図を示す。
【図13】別の例示的なコンテナの平面図を示す。
【図14】別の例示的なストッカの側面図を示す。
【0012】
詳細な説明
本発明の1つの実施例によるストッカは半導体ウェハおよびレチクルのような汚染に敏感なウェハ形状のアーティクルを保管するために設計されている。そのように設計されたストッカは有利には空間を節約した保管およびフレキシブルな把持を実現するために構成されている。殊に、ストッカはクリーンな状況下にある小さい保管空間において300mm以上の大きさのウェハを多数保管することに適している。
【0013】
1つの実施形態においてストッカには、クリーンな保管領域内に開放的に保管することができる半導体ウェハのようなアーティクルがロボット把持アセンブリと共に設けられている。したがってロボット把持ユニットは非常に迅速に個々のアーティクルにアクセスすることができ、それらのアーティクルをキャリアボックスから取り出し、またキャリアボックスに配置することができる。開放式の保管コンセプトにより小さいフットプリントでも高密度の保管が達成される。
【0014】
相互汚染の危険を低減するために、開放式の保管部をコンパートメントに区画化することができる。コンパートメントはキャリアラックに固定されている複数の保管コンテナを有することができる。キャリアラック、保管コンテナ、コンパートメントおよびアーティクルの固定は生じた粒子の動きを防止し、したがって摩耗、移動および相互汚染的な気流によって粒子が発生する危険を低減する。
【0015】
保管コンテナは有利には開放式のボックス状のコンテナとして成形されており、ロボット把持ユニットは保管コンテナへのアーティクルの差し込みおよび保管コンテナからのアーティクルの取り出しに最適に適合させることができる。有利な実施形態においては、コンテナが、アーティクル、例えば半導体ウェハを5mm以下、有利には約2.5mm以下の間隔でより高い密度で保管するために設計されている。保管コンテナはロボット把持ユニットを包囲するような棚状の構成で、有利には略環状に配置されている。保管コンテナをXYアレイで配置することもでき、この場合には棚の開放部がアーティクルを搬送するためのロボットメカニズムと対面する。固定のストッカは、各々が複数のアーティクルを保管する、垂直方向および水平方向に間隔をあけて設けられている複数の棚を有する。またこれらの棚を複数のコンテナの保管のために設計することができ、それらのコンテナ内に複数のアーティクルが保管される。
【0016】
この構成により空間を節約した配置構成を提供することができ、またそれと同時に大きい保管容量も提供することができる。さらにこの構成においては保管されているアーティクルに非常に迅速にアクセスすることができる。保管コンテナの環状の配置の殊に有利な構成は、SCARAロボットのような3つの自由度を有するロボットに非常に適している。ロボットは関節アームを有し、この関節アームは水平面において中心点について回転し、且つ半径方向に移動する。ロボットは6軸ロボットであってもよい。
【0017】
ロボットアセンブリはオートメーション、殊に製造設備および製造装置においては重要な構成要素である。例えば、半導体工場においては、ロボットアームが半導体ウェハ、フラットパネルディスプレイ、LCD、レチクル、マスクまたはキャリアボックスを把持するために使用される。
【0018】
半導体製造設備においては、通常の場合キャリアボックスに保管されているワークピースをある場所から別の場所、またある装置から別の装置に運ぶためにロボットを使用することができる。処理システムにおいては、ロボットが典型的にはキャリアボックスからワークピースを取り外し、ロードロックに積み込むために使用される。別のロボットをワークピースのロードロックから処理チャンバへの移動、またある処理チャンバから別の処理チャンバへの移動のために使用することができる。したがって処理システム内には、それぞれが特定のタスクのために設計されている複数のロボットが存在することも考えられる。処理システムとしてデポジションシステム、エッチングシステム、リソグラフィシステム、計測システム、検査システム、注入システム、処理システムまたはいずれかのワークピース処理システムが考えられる。
【0019】
一般的に、ロボット把持アセンブリは真空システムと大気システムとでは異なる。必要とされるまでワークピースを保管するよう設計されているストッカは通常では大気システムであり、ロボットは通常の場合キャリアボックスからワークピースを取り出し、ロードロックに積み込むために使用される。別のロボットをワークピースのロードロックから保管チャンバへの移動に使用することができ、ワークピースはオリジナルのキャリアボックスを要とすることなく保管される。ボックスストッカシステムに関しては、ワークピースがキャリアボックスと一緒に保管されるので、キャリアボックスからワークピースを取り外す必要はない。
【0020】
ロボットメカニズムはアーティクルを固定のストッカ内に移動させるため、またアーティクルを固定のストッカから移動させるために関節アームジョイントを有することができる。さらにロボットアームアセンブリは、ストッカの棚に達するよう設計されているフレキシブルな多重連結メカニズムを有する。アームアセンブリはストッカの整列されている空間に達するために半径方向に移動し且つ回転する独立した可動部を有することができる。
【0021】
本発明のストッカには、ロボット把持デバイスの周囲に実質的に環状のキャビネットを形成する保管コンテナが設けられている。ロボットアセンブリは有利には固定式であり、アーティクルを移送するために固定のストッカの内部に達する関節ジョイントアームを有する。
【0022】
ロボットを例えば環状に包囲するストッカの配置構成により真空ロボットの使用が可能になり、したがってロボットアセンブリがストッカ保管領域において粒子を生じさせることは殆ど無い。さらにストッカは外部環境からの隔離のためにロードロックステーションを有する。この構成によりロボットの放射状の経路内にアーティクルを保管することができ、したがってアーティクルを迅速に取り出し、また迅速に配置することができる。さらに、ロボット把持アセンブリの制御は非常に単純化され、またプログラミングされている。
【0023】
保管されているアーティクルを環状に配置することができ、したがって表面の内側の間隔は外側の間隔に比べて狭くなる。この場合、アーティクルは保管コンテナ内に相互にV字状に配置されているので、外側から内側へのクリーンなガス流によってアーティクルを効果的にクリーニングすることができる。
【0024】
ロボット把持ユニットは垂直な保管コンテナにアクセスするための垂直方向可動部を有する。ストッカはコンテナにアーティクルを移送するため、またはコンテナからアーティクルを移送するための別のロボット把持ユニットを有することもできる。ストッカはアーティクルコンテナの後方にアクセスするための後部ドアを有することができる。後部ドアにより、システムクラッシュのような緊急時にアーティクルにアクセスすることができる。ストッカはコンテナに向かう連続的なクリーンなガス流を形成するための送風機を有することができ、有利には汚染物質を効果的に下方に向かって流す。
【0025】
ストッカ10の実施例が図1および図2に示されている。ストッカ10はハウジング12を有し、このハウジング12内にはロボット把持ユニット14と、複数のアーティクルコンテナ18を支持するためのキャリアラック16とが収容されている。ハウジング12はロボット把持ユニット14、キャリアラック16およびコンテナ18を包囲し、クリーンな環境のための完全なエンクロージャを形成する。ハウジング12内において頂部から底面へのクリーンな空気の流れを形成するために、ハウジングの頂部に送風機およびフィルタ(図示せず)を設けることができる。
【0026】
各コンテナ18は汚染に敏感な複数のアーティクルを保管するために設計されている。有利な実施形態においてアーティクルは半導体ウェハである。これらの半導体ウェハをコンテナ18内に垂直に保管することができる。1つの実施例において、各コンテナは300mmのウェハを100個保管することができる。保管されているウェハの間隔を最小で2.5mmにすることができる。
【0027】
ロボット把持ユニット14はハウジング12の角に配置されており、半径方向および垂直方向への運動および回転運動をするロボットであるか、6軸ロボットである。コンテナ18を有するキャリアラック16はロボット把持ユニット14を包囲するようにC字型の形状を有する。図2においては、ハウジング12の後部からコンテナ18に手動でアクセスするために、ハウジング12のサイドパネルに2つのドア22が設けられている。また図2にはキャリアラックから取り外されたコンテナ18’がドア22の近傍に示されている。外部の汚染物質にさらされることを阻止するために、コンテナ18’が引き出される前に、可動のクリーン領域および適切なエンクロージャ(図示せず)を用意することができる。
【0028】
さらにストッカ10はウェハ20をアライメントするためのプリアライナ28を有することができる。ウェハ20をFOUP32が接続されるドア30の近傍におけるプリアライナ28に配置することができるか、プリアライナ28から取り出すことができる。
【0029】
図3および図4はコンテナ18の実施例を示し、このコンテナ18は後部壁38、底部壁40および2つのサイドパネル42,44を有する。有利には、後部壁38および底部壁40にはウェハ20を斜めに横切るクリーンな空気の流れを解放するための開放部が設けられている。空気の流れ48は個々のウェハ20間を通り、存在するあらゆる粒子および外部物質がコンテナ18から斜め下方に向かって除去されることを保証する。
【0030】
コンポーネント18内には、スプリット50,52,54,56を有する櫛状の4つのコンポーネントが配置されている。スプリット50〜56はその後方および側方によってウェハを保持するように配置されており、これによりロボット把持ユニット14はウェハを取り外すことができる。
【0031】
上部の角の領域には、リテーナ60を挿入するための凹部58が設けられている。リテーナ60はコンテナ18の移動中にウェハを所定の位置に保持するように設計されている。リテーナ60が凹部58内に挿入されているときにのみコンテナ18を引き出せるようにするために、各コンテナ18はリテーナ60に連結されるハンドル(図示せず)を有することができる。
【0032】
図5および図6は、発明によるロボット把持ユニットの実施例を示す。統合グリップアーム14は第1のグリップアーム24および第2のグリップアーム26を有する。第1のグリップアーム24は垂直な状態のウェハ20aを端部で把持できるグリップアームとして設計されている。グリップアーム24は例えばC字型の形状をしており、その外周部においてウェハ20aを包囲する。2つのグリップエレメント64および66はグリップアーム24の自由な端部に設けられている。グリップアーム24は180°以上の円弧「α」に沿ってウェハ20aを包囲する。したがってグリップエレメント64,66は安定した楔迫めを要することなく、実質的に重力だけでウェハ20aを保持することができる。ウェハ20aをキャリアボックス18から取り出し、またキャリアボックス18に配置するために、グリップエレメント64,66を開くことができる。この図においてはグリップエレメント66のみが可動である。
【0033】
第2のグリップアーム26は、端部にグリップエレメント68,70が設けられているY字型のアームを有する。グリップアーム26はグリップアーム24とは異なる平面72においてウェハを保持している。ウェハ20bは平面72においてグリップエレメント68,70によって保持される。グリップアーム26は自由端部を有し、したがってウェハを取り出すため、またはウェハを配置するためにFOUPに入ることができる。
【0034】
グリップアーム24および26は統合グリップアーム14のL字型のアームセグメント74の自由な端部に設けられている。アームセグメント74は軸76に沿って旋回することができ、この軸76はグリップアーム24が設置されているアームセグメント74の脚と同軸である。この配置構成により、ウェハ20aは垂直の状態でキャリアボックス18から取り出されて水平の状態にされるので、軸76に沿った取り出しおよび90°の回転が可能になる。続いて、統合グリップアームはウェハを水平のステーションに移動させることができる。続いて統合グリップアームはグリップアームを切り替え、グリップアーム26がウェハを取り出し、FOUPに移送する。上記の動作とは逆の動作によってFOUPからウェハをキャリアボックス18に運ぶことができる。統合グリップアームはグリップアーム24および26を用いてウェハをFOUPから保管エリアに移動させることができる。
【0035】
ストッカ10においては保管されているウェハに無作為にアクセスすることができ、したがってソータは必要とされない。殊に、ロボット把持ユニット14は任意のコンテナ18からウェハ20を選択し、FOUP32に配置することができる。したがってストッカ10をFOUPフロントエンドローダに組み込むことができる。ウェハの垂直状態での保管またそれに伴う高密度の保管配置構成に基づき、ストッカは小さいフットプリントでも高い保管容量を達成することができる。開放式でボックス状のコンテナに個々のウェハが別個に保管されることにより、開放式の保管構成にかかわらず、異なるウェハ20間の相互汚染は殆ど生じないことが保証される。
【0036】
図7および図8は本発明によるストッカ80の実施例を示し、このストッカ80は環状にロボット把持ユニット82を包囲する複数のコンテナ81を有する。ロボット把持ユニット82は図示されている平面に平行な水平面において放射状に移動できるように、関節アーム84を備えたSCARAロボットとして表されている。関節アーム84はコンテナ81の環状の配置構成を規定する中心点86について旋回する。したがって関節アーム84は水平面において、中心点86について放射状に移動することができ、また回転することができる。関節アーム84は半径方向においてアーティクル20をコンテナ81に配置し、またコンテナ81から取り出すよう構成されている。
【0037】
図8は、断面、例えば図9による断面VIII−VIIIに沿ったストッカ80の平面図を示す。この図においては、環状部の一部にコンテナ81が設けられていない。その空間に別のロボット把持ユニット92およびプリアライナ94を設けることができる。
【0038】
ロボット把持ユニット82はウェハをコンテナ81からプリアライナ94に移送するために設計されている。さらにロボット把持ユニット82は、コンテナ81内に垂直に保管されているウェハを取り出し、ウェハが水平に保管されるプリアライナ94の位置にするためにウェハを回転させることができる。別のロボット把持ユニット92はウェハをプリアライナ94からFOUP32に移送するために使用される。有利には、ロードロックステーション96がハウジング12との密閉式の連結部を有しているので、ウェハ20を汚染無くFOUP32に移送することができる。
【0039】
別のロボット把持ユニット92は、プリアライナとFOUPとの間でウェハを移動させるために中心位置について半径方向に移動可能な関節アームを備えたロボットでよい。
【0040】
ロードロック搬入/搬出ステーション96は2つのFOUP32を有することができる。この構成は、2つのFOUP32間でウェハ20を再配置およびソートするための手段が設けられているソータの機能を提供することができる。
【0041】
ストッカ保管システムは、保管領域において構成要素、回路および汚染を発生させる別の部分の移動が生じないように設計されている。さらに気流は保管領域に入る前にフィルタリングされ、また保管領域は各ワークピースの表面に層流空気流が生じ、したがって汚染の生成源となる上昇気流が存在しないことを保証する。クリーンな気流はワークピースを通過して、このクリーンな気流の下流側にある保管領域の中心に配置されているロボット把持ユニットへと流れる。したがってロボット把持ユニットの移動によって、ワークピースを通過するクリーンな気流の経路内に粒子が発生することはない。ストッカシステムの作業に関連する他の構成要素は保管ユニットの外部で、ワークピースを通過する気流の下流側に配置されている。
【0042】
ワークピースから粒子をさらに除去するために、空気がワークピースから出る際に気流を加速させることができる。したがって、出口よりも大きい入口を有する楔形の保管領域が形成されるようにワークピースを配置することができる。気流がワークピースを通過すると、限定的な開口部を通過することによって加速され、したがって粒子は中央の排出領域に向かって流されて除去される。図7および図8に示されている、垂直に配置されているワークピース20は中心から放射状に配置されており、したがってこれらのワークピースは平行に配置されているのではなく、角度を成すように配置されている。続いて、ワークピース間の隙間に気流を通過させることができる。気流はワークピースを通過し、ロボット把持ユニットのある下流に向かって流れる。
【0043】
クリーンエア供給ユニットは、フィルタリングされた後にワークピースおよびシステムにわたり一様な気流を供給することができる。保管領域は一様でない気流、乱流または、対称的な体積を有する気流が僅かにしか存在しない、または全く存在しないデッドスペースが最小にされるか排除されるよう設計されており、また気流方向、殊に複数の気流方向および調節換気を漸次的に変化させる。保管領域への汚染物質の移動を最小限にする正の内部圧力を達成するために排気レートを制御することができる。
【0044】
保管領域に流れる気流を、保管位置の近傍におけるバッフルを介して、種々の独立した複数の気流に分割することができる。相互汚染を最小にするために各気流が1つのワークピースにしか当たらないように気流を制御することができる。ワークピースを通過するようにクリーンな空気を流す循環系の装置によって、ワークピースを汚染する汚染物質がワークピース上に蓄積されることが阻止される。
【0045】
図9および図10は、垂直方向におけるコンテナ81の例示的な配置構成を示す。ロボット把持ユニット82は、2つのガイドレール88に沿って垂直方向(ビューレベルに垂直)に移動することによってコンテナ81の異なる垂直方向の高さを達成することができる。この例示的なストッカにおけるコンテナ81はクリーンなガスを流すための連結部90を有する。連結部90はコンテナ81の後方に配置されており、したがってクリーンなガスはコンテナ81の後方から前方に向かって流れる。さらに各連結部90は選択的な開閉のための弁91を有することができる。したがって、コンテナに個別にクリーンなガスを流すことができる。
【0046】
図9は、相互に重なっており、且つロボット把持ユニット82の周囲に環状に配置されているコンテナ81を示す。図9において、ウェハ20はコンテナ102内に水平に保管されている。ウェハが水平に保管されているので、ロボット把持ユニット82はコンテナからウェハ20を取り出す際、またはコンテナにウェハ20を配置する際にウェハ20を回転させる必要はない。ロボット把持ユニット82は垂直方向における2つの位置、すなわち参照番号82が付された最上部と参照番号82’が付された最低部に示されている。
【0047】
また図9にはクリーンなガス、有利にはフィルタリングされたクリーンな空気をハウジング12の内部に供給するための送風機およびフィルタユニット104が示されている。送風機およびフィルタユニット104は周囲の空気を取り込む。取り込まれた空気は浄化および乾燥され、その後にハウジングの内部へと流される。図10において、浄化された空気は個々のコンテナ102の後方にある連結部90を介して流れる。したがって空気流およびクリーンなガスはコンテナ102の後方から、開かれた前方に向かって流れ、その後に下方106へと流れる。上述したように、この流れは垂直の保管に対するノズル効果を提供し、したがって浄化効率を高める。良好な流れをこの図に示されているような水平方向での保管によっても達成することができる。択一的に、内側から外側への流れを達成することができる。
【0048】
ストッカは、垂直方向(上方および下方)に移動可能であり且つ回転するロボットハンドラが設けられている固定のストッカである。ストッカにはアーティクルを保管するための複数の棚が設けられており、またロードロックステーションと固定のストッカとの間でアーティクルを移送するために内向きに配置されている。
【0049】
図11および図13は、発明によるストッカの2つの実施例の平面図を示す。図11に示されているストッカは平行に配置されているワークピースを有し、したがってワークピースコンパートメントの内側の間隔は外側の間隔よりも狭い。図13に示されているストッカは放射状に配置されているワークピースを有し、したがってコンパートメントは平行であり、ワークピースは外周部よりも内周部の方が近くなるように配置されている。図11には、環状に配置されているワークピースにおいて2つの把持アームを備えたロボットが示されており、他方、図13には把持アームを1つだけ備えたロボットが示されている。ワークピースコンパートメントはシステムコンポーネントを配置することができる角において隔てられる。図11および図13に示されているストッカは、保管領域の壁からワークピースを通過してロボット把持ユニットに向かい、さらに排気部に向かって下方へと流れる内向きのクリーンな気流を有する。
【0050】
一連の送風機はクリーンな空気を水平方向においてラックおよびラックのスロットを通過させ、またワークピースにわたりクリーンな空気を循環させることができる。送風機を上部領域または下部領域に配置することができ、空気は水平方向にワークピースに向かって流れる前に下方または上方へと送られる。気流はラックの近傍において垂直に下方に向かって排出される。閉鎖可能なルーバを介して空気の一部を保管領域の底部の近傍において排出させ、且つ空気の一部を再循環させることができる。
【0051】
ワークピースを通過する水平方向の気流により、ワークピースおよびワークピースラック上に粒子が残留することが阻止され、また垂直に下方に向かう気流はストッカ保管領域から粒子を除去する。水平方向の気流は有利には、外側からストッカ保管領域の中心に向かって内向きに流れている。通常の場合、外側とはエンクロージャの壁を意味し、したがって粒子が発生することはない。ロボット把持システムはストッカの中心に配置されており、したがってワークピースからの気流の下流側に位置しており、粒子によるワークピースの損傷を阻止する。
【0052】
気流に関する下向きの経路を生じさせるために、ロボット把持ユニットの中心領域は頂部に空気供給ユニットを有し、且つ底部に排気ユニットを有することができる。気流はワークピースを通過した後にこの下方への流れと合流し、排出ユニットを介して排出される。
【0053】
図12および図14は、発明によるストッカの2つの実施例の側面図を示す。図12に示されているストッカは水平方向に配置されているワークピースを有し、他方図14に示されているストッカは垂直に配置されているワークピースを有する。ロボットユニットは粒子の再堆積を回避するためにワークピースの下流側において、下向きの気流が存在するワークピースコンパートメントの中央に配置されている。また気流は外壁からワークピースを通過して流れる。
【0054】
クリーンな空気はワークピースの近くに位置するフィルタエレメント、「ユースポイント」フィルタを用いてフィルタリングされる。通常の場合、クリーンエア供給システムは複数のファン(または送風機)および複数のフィルタエレメントを有するか、ファンフィルタユニット(FFU)を有する。ユニットは生じた空気の圧縮および加速のための調節部または制御部を有することができる。ストッカは、クリーンな空気をフィルタリングし、ストッカ保管領域において循環させ、さらには再循環させ、クリーンな室内環境における系を維持するためのファンフィルタユニットをストッカシステムの頂部または底部に有する。1つの実施例においては、クリーンな空気はファンフィルタユニットから保管領域の外周を介して下方に向かって流れ、保管されているワークピースのスロットに入り、ワークピースからあらゆる粒子を除去する。クリーンな空気は、ワークピースの表面のクリーニングのためにコンパートメントにおけるスロット内に垂直または水平に支持されているワークピースの前面または裏面を通過する。続いて空気は保管領域の中心に向かって下方に流れる。
【0055】
ファンフィルタユニットは、ストッカ保管領域からロボット把持アセンブリへの気流、またそれに続く周囲の環境へと流れ出る気流を保証するために、周囲の環境に比べて高い圧力をストッカ保管領域内に提供することができる。したがってロボット内のあらゆる粒子、例えばロボットの移動またはメンテナンスに起因して生じた粒子がストッカ保管領域に入り込むことはない。
【0056】
このように気流の構成では気流がワークピースを一度だけ通過する。したがって、ワークピースを通過する際に気流によって拾い上げられたいずれの粒子も別のワークピースを通過しないので、粒子の再堆積は阻止される。ファンフィルタユニットからのクリーンな空気は単一のワークピースのみを通過し、その後は中央のロボット把持アセンブリの底部を介して排出される。さらには中央領域にロボット把持アセンブリが配置されていることにより、粒子の多くは接触が行われている場所、例えばロボットアームがワークピースと接触している場所、またはワークピースがスロットと接触している場所において生じる。ワークピースの表面を介する気流系は生じた粒子を保管領域内のワークピースから運び去り、また他のワークピースに向かって流すことはない。
【0057】
択一的な実施形態においては複数のファンフィルタユニットをストッカ内に設けることができ、これによりあるユニットはクリーンな空気を直接的に上部の保管領域に供給し、別のユニットは中部の保管領域に供給し、またさらに別のユニットは下部の保管領域に供給する。ファンフィルタユニットを分けることによりワークピース間の相互汚染を最小限にすることができる。ストッカは、ストッカ保管領域におけるあらゆる所望の方向に気流を配向させるためのバッフルを有することができる。
【0058】
メンテナンスモードの間に、緊急アクセスのためにエンクロージャが開かれると、空気循環システムは外気がストッカ保管領域内に入り込むことを阻止するためにドアへと流れる外向きの気流を提供する。緊急的にドアが開かれている保管領域内に正圧を提供するために気流の容量が大きいと有利である。ドア開放領域は正圧を保証し、且つ逆流を最小にするために有利には小さい。したがってストッカのドアが開かれると、気流が有利には反転し、空気は外に向かって流れ、外気が保管領域内に入り込むことが阻止される。ワークピース保管領域から外側に向かう気流を保証するために中央の排気部を閉鎖することができる。
【0059】
さらには、保管領域を清浄度に基づき複数のセクション、例えば非常に高い清浄度で保管するための上段セクション、通常の清浄度で保管するための中段セクションおよび低い清浄度で保管するための下段セクションに分割することができる。それらのセクション間の相互汚染が最小になるように空気の流れを設計することができる。この分離はバッフル、または穴の開いた隔壁、またはエアカーテンにより達成することができる。非常に高い清浄度を有するセクションは、排気率が高く、且つ粒子が殆ど発生しないという理由から排気部近傍の底部に配置することができる。
【0060】
荷電粒子の引き付けおよび静電放電を阻止するために静電気の増加を抑制する静電気低減アセンブリ、例えばイオン化システムを気流の経路内に付加することができる。ストッカはストッカ保管領域のコンディションを検出するためのアラームを有することができる。例えば、気流センサはアラームを起動するために、弱い気流は存在しないことを検出する。粒子センサは、粒子が限界量を超えたことが検出された場合にアラームを起動することができる。
【0061】
本発明は、固定のストッカの内側に配置されているロボットアセンブリを包囲している複数のアーティクルを保管することができる固定のストッカを有する、アーティクル搬送および保管システムに関する。
【0062】
本発明の第2の実施例による保管ユニットは複数のストッカを有し、またそれらのストッカに組み込まれている棚にキャリアを移送するため、または棚からキャリアを移送させるための移送手段も有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが2つの対向する平坦な表面および外周エッジ部を有している複数の平坦基板を保管するストッカにおいて、
前記平坦基板を保持する保管コンパートメントと、
前記基板の前記保管コンパートメントへの移送および前記保管コンパートメントからの移送を行う基板ハンドラとを有し、該基板ハンドラは前記平坦な表面にまで延びることなく前記外周エッジ部を用いて基板を把持することを特徴とする、ストッカ。
【請求項2】
前記平坦基板が垂直に保管されている、請求項1記載のストッカ。
【請求項3】
前記平坦基板が水平に保管されている、請求項1記載のストッカ。
【請求項4】
2つの隣接する基板の間隔は5mm以下である、請求項1記載のストッカ。
【請求項5】
2つの隣接する基板の間隔は2.5mm以下である、請求項1記載のストッカ。
【請求項6】
前記平坦な表面にまで延びることのない前記外周エッジ部を用いた基板の把持は、前記基板間の隙間を前記基板ハンドラから独立させる、請求項1記載のストッカ。
【請求項7】
前記基板ハンドラは前記外周エッジ部を用いて前記基板を保持する爪状の先端部を有する、請求項1記載のストッカ。
【請求項8】
前記基板ハンドラは180°以上の角度で前記基板を把持する、請求項1記載のストッカ。
【請求項9】
前記保管コンパートメントは180°を下回る角度で張られている複数の把持ポイントにおいて前記基板を把持している、請求項1記載のストッカ。
【請求項10】
前記ストッカは前記基板ハンドラを包囲する複数の保管コンパートメントを有する、請求項1記載のストッカ。
【請求項11】
前記ストッカは垂直方向に配置されている複数の保管コンパートメントを有する、請求項1記載のストッカ。
【請求項12】
それぞれが2つの対向する平坦な表面および外周エッジ部を有している複数の平坦基板を保管するストッカにおいて、
前記平坦基板を垂直に保持する保管コンパートメントを有し、
前記基板の前記保管コンパートメントへの移送および前記保管コンパートメントからの移送を行う基板ハンドラを有し、該基板ハンドラは前記平坦な表面にまで延びることなく前記外周エッジ部を用いて基板を把持し、
前記保管コンポーネントに基板を提供するロードポートを有し、該ロードポートは水平に基板を保持し、該ロードポートにおいて前記基板ハンドラは前記基板にアクセス不可能であり、
基板を受け取るスワッピングモジュールを有し、該スワッピングモジュールにおいて前記基板ハンドラは前記基板を把持することを特徴とする、ストッカ。
【請求項13】
前記基板ハンドラは前記ロードポートにおいて前記基板を把持するためのエンドエフェクタを有する、請求項12記載のストッカ。
【請求項14】
前記スワッピングモジュールは基板支持部を有する、請求項12記載のストッカ。
【請求項15】
2つの隣接する基板の間隔は2.5mm以下である、請求項12記載のストッカ。
【請求項16】
前記平坦な表面にまで延びることのない前記外周エッジ部を用いた基板の把持は、前記基板間の隙間を前記基板ハンドラから独立させる、請求項12記載のストッカ。
【請求項17】
前記基板ハンドラは前記外周エッジ部を用いて前記基板を保持する爪状の先端部を有する、請求項12記載のストッカ。
【請求項18】
それぞれが2つの対向する平坦な表面および外周エッジ部を有している複数の平坦基板を保管する方法において、
基板ハンドラによって基板を相互に実質的に平行に保管し、
前記基板ハンドラによって前記基板を搬送し、
前記基板ハンドラは前記平坦な表面にまで延びることなく前記外周エッジ部を用いて前記基板を把持し、
前記平坦な表面にまで延びることのない前記外周エッジ部を用いた基板の把持により、前記基板間の隙間を前記基板ハンドラから独立させることを特徴とする、複数の平坦基板を保管する方法。
【請求項19】
前記平坦な表面にまで延びることのない前記外周エッジ部を用いた基板の把持により、前記基板間の隙間を前記基板ハンドラから独立させる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記基板ハンドラは前記外周エッジ部を用いて前記基板を保持する爪状の先端部を有する、請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−509784(P2010−509784A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536852(P2009−536852)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054656
【国際公開番号】WO2008/059456
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(506000944)ダイナミック マイクロシステムズ セミコンダクター イクイップメント ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】