説明

画像処理装置及び画像処理方法

【課題】本発明は画像処理装置における撮影画面中の計測範囲設定の調整を容易にすることを目的とする。
【解決手段】視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像手段と、2次元画像を画面に表示する表示手段と、得られた2次元画像から対象物の輪郭を表す輪郭線を抽出する形状抽出手段と、輪郭線上の複数の点の位置を抽出する点位置抽出手段と、複数の点から2次元画像上の対象物の搬送方向における輪郭線の位置を代表する代表点の位置を決定する代表位置決定手段と、少なくとも代表点の位置と2次元画像上の対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて輪郭線を含む計測領域を得られた2次元画像上に設定する計測領域設定手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ウエハなどの対象物を撮像し、得られた2次元画像から対象物の位置などを計測する画像処理装置や画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶装置などの製造プロセスにおいては、ウエハやガラスなどの基板に複数のプロセス処理を施すために基板を半導体製造装置間にて移動させる。各半導体製造装置では、例えば、基板を所定の治具や処理位置に固定して、パターン露光、プラズマ処理、スパッタリング、CVD、エッチング処理などを行っている。このため、半導体製造装置では所要のプロセスにおいて搬送された基板が所定の位置、例えば前述の治具への取り付け位置や処理位置に正しく位置決めされるように監視し、必要により基板の停止位置や向きのずれを調整する機構を備えているものがある。この基板の位置の監視には、例えば、撮像装置と画像処理装置などが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮像カメラで搬送対象物としてのウエハを観察し、画像処理によってウエハの位置ずれを計測する画像処理装置が提案されている。また、特許文献2には、ウエハ外周の切り欠き(ノッチ)部を含む3箇所の外周の計測点を2次元画像処理装置により観察してウエハの2次元的な位置やウエハの回転位置を計測してウエハの位置ずれを修正可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−88184号公報
【特許文献2】特開平9−186061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、半導体製造装置などには搬送対象物としての基板(ウエハ)の位置を計測するために所定の位置に撮像装置(カメラ)が設けられている。画像処理装置は、例えば、撮像装置の視野内に入った対象物の画像の一部を切り出し、当該画像に含まれる対象物の輪郭または対象物の位置・形状を特定可能な計測点、即ちマークを抽出し、これに基づいて基準位置とのずれなどを計測する。画像処理装置が撮影画像全体ではなく、その一部の領域(計測領域)を処理対象とするのは、データ処理量を減らして計測時間の短縮を図ること、画像上のノイズの取り込みを減らして、ノイズによる誤計測を回避することなどの理由による。このため、画像処理において予め撮影画像内に計測領域が設定される。
【0006】
ところで、撮像装置(カメラ)を半導体製造装置などに設置する場合に組み立て上のわずかな誤差が生じ得る。それにより、対象物(基板)が所定の位置に正しく存在する場合であっても撮影画面上での対象物の画像が画面上に設定された計測領域内の予定位置からずれて映る場合が生じ得る。したがって、撮像装置を半導体製造装置などに設置した場合には、組み立て時の調整などにおいて、画像処理装置の撮像画面上に計測領域を適切に設定する作業が必要となる。
【0007】
しかしながら、この調整作業は画面上に表示されている画像の寸法を測るなどして行うために案外に面倒である。
例えば、撮像画面上のマーク等の画像処理対象物は、撮像装置の真下に搬送する際に設置誤差が生じる。画像処理対象物の設置誤差が生じる方向は通常予想できないため、全方向にずれることを想定すると、画像処理対象物の基準位置は計測領域の中心にあることが望ましい。
このため、画像処理装置の設定をする作業者は、撮像画面上で計測領域の端辺から画像処理対象物までの長さを測定し、画像処理対象物の各端辺と計測領域の各端辺との距離が均等になるよう、すなわち計測領域の中心に画像処理対象物がくるように、計測領域の位置を調整する。
【0008】
作業者は長さ測定と計測領域位置変更を繰り返して、計測領域の位置を追い込む作業が発生するため、案外に面倒である。さらに、画像処理対象物の形状が一般的なマークのように円や正方形等ならば、画像処理対象物の中心位置が容易にわかるため、比較的簡単になるが、半導体ウエハの一部視野、例えば円弧のような形状が画像処理対象物の場合、その中心位置が容易にわからないため、計測領域位置を決定するための長さ測定も煩雑になり、面倒である。
【0009】
また、このような撮像装置の位置誤差に起因する撮影画面中の画像処理を行うべき計測領域の設定調整は、半導体製造装置のみならず、撮像装置と画像処理装置を使用する計測システムや搬送システムにおいても生じ得る。
【0010】
よって、本発明は画像処理装置における撮影画面中の計測範囲設定の調整を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像処理装置の一態様は、視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像手段と、上記2次元画像を画面に表示する表示手段と、得られた2次元画像から上記対象物の輪郭を表す輪郭線を抽出する形状抽出手段と、上記輪郭線上の複数の点の位置を抽出する点位置抽出手段と、上記複数の点から上記2次元画像上の対象物の搬送方向における上記輪郭線の位置を代表する代表点の位置を決定する代表位置決定手段と、少なくとも上記代表点の位置と上記2次元画像上の上記対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて上記輪郭線を含む計測領域を得られた上記2次元画像上に設定する計測領域設定手段と、を備える。
これ等の手段は、コンピュータによる制御プログラム、画像処理プログラムの実行によって実現されるものを含む。また、電気回路、装置などによって実現されるものも含む。
【0012】
かかる構成とすることによって、対象物の輪郭を読み取る撮像画像に最適な計測領域を自動的に設定することが可能となる。
【0013】
好ましくは、上記画面上の上記対象物の搬送方向と交差する方向における上記計測領域の幅は、上記画面における上記2次元画像の表示領域の大きさに対応して設定される。
【0014】
好ましくは、上記複数の点には上記2次元画像の座標系における上記輪郭線と上記視野の枠との交点が含まれる。
【0015】
好ましくは、上記複数の点には上記2次元画像の座標系における上記輪郭線の凸部又は凹部に位置する点が含まれる。
【0016】
好ましくは、上記代表点の位置には、上記2次元画像の座標系における、上記複数の点の上記対象物の搬送方向における平均位置が含まれる。
【0017】
好ましくは、上記代表点の位置には、上記2次元画像の座標系における上記複数の点のうち上記対象物の搬送方向において最大離間距離となる2つの点の中間位置が含まれる。
【0018】
好ましくは、上記計測領域設定手段は、更に上記対象物の搬送誤差分に基づいて上記輪郭線を含む計測領域を上記2次元画像上に設定する。
【0019】
また、本発明の画像処理装置の一態様は、視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像手段と、上記2次元画像を画面に表示する表示手段と、得られた上記2次元画像から上記対象物に表示されたマークを抽出する形状抽出手段と、上記マークの重心点の上記2次元画像の座標系における位置を抽出する重心位置抽出手段と、少なくとも上記重心の位置と上記2次元画像上の上記対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて上記重心点を含む計測領域を得られた画像上に設定する計測領域設定手段と、を備える。
【0020】
かかる構成とすることによって、対象物の(アライメント)マークを読み取る最適な計測領域の設定を自動化することが可能となる。
【0021】
好ましくは、上記計測領域設定手段は、更に上記対象物の搬送誤差分に基づいて上記マークを含む計測領域を上記2次元画像上に設定する。
【0022】
また、本発明の画像処理方法の一態様は、視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像過程と、上記2次元画像を画面に表示する表示過程と、得られた2次元画像から上記対象物の輪郭を表す輪郭線を抽出する形状抽出過程と、上記輪郭線上の複数の点の位置を抽出する点位置抽出過程と、上記複数の点から上記2次元画像上の対象物の搬送方向における上記輪郭線の位置を代表する代表点の位置を決定する代表位置決定過程と、少なくとも上記代表点の位置と上記2次元画像上の上記対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて上記輪郭線を含む計測領域を得られた上記2次元画像上に設定する計測領域設定過程と、を備える。
【0023】
かかる構成とすることによって、対象物の輪郭を読み取る撮像画像に最適な計測領域を自動的に設定することが可能となる。
【0024】
また、本発明の画像処理方法の一態様は、視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像過程と、上記2次元画像を画面に表示する表示過程と、得られた上記2次元画像から上記対象物に表示されたマークを抽出する形状抽出過程と、上記マークの重心点の上記2次元画像の座標系における位置を抽出する重心位置抽出過程と、少なくとも上記重心の位置と上記2次元画像上の上記対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて上記重心点を含む計測領域を得られた画像上に設定する計測領域設定過程と、を備える。
【0025】
かかる構成とすることによって、対象物の(アライメント)マークを読み取る最適な計測領域の設定を自動化することが可能となる。
【0026】
また、本発明の半導体製造装置の一態様は、上述した画像処理装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、画像処理装置における計測対象となる範囲の設定が画像処理装置によって可及的に最適な範囲に自動的に設定されるので作業員の負担が減少して好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】撮像カメラ、画像処理装置を備える半導体製造装置の例を説明する説明図である。
【図2】画像処理装置の構成例を説明するブロック図である。
【図3】本発明のキャプチャ画像に計測領域を設定する手順を説明するフローチャートである。
【図4】対象上に設定された撮像カメラの視野の例を説明する説明図である。
【図5】撮像カメラの位置が対象物(ウエハ)に対して縦方向にずれた場合のキャプチャ画像を説明する説明図である。
【図6】キャプチャ画像を画面に表示した例を説明する説明図である。
【図7】キャプチャ画像に最適な計測範囲を設定して例を説明する説明図である。
【図8】キャプチャ画像内に計測領域を設定する例を説明する説明図である。
【図9】計測領域のP0の座標を決定する例を説明する説明図である。
【図10】カメラ位置が対象物に対して近い位置にある場合のキャプチャ画像例を説明する説明図である。
【図11】カメラ位置が対象物に対して遠い位置にある場合のキャプチャ画像例を説明する説明図である。
【図12】ウエハ上のアライメントマークのキャプチャ画像Aを説明する説明図である。
【図13】アライメントマークに計測領域を設定する場合の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、以下の実施形態では、本発明の画像処理装置を半導体製造装置に適用したものを例に説明するが、本発明の画像処装置が適用されるものはこれに限られず、例えば、ワーク搬送装置等にも使用できる。
【0030】
(実施例1)
以下の発明の実施の形態においては、説明の便宜上、まず、本発明の画像処理措置を用いた半導体装置の概要を説明し、その後に画像処理措置の構成と画像処理装置における計測領域の設定について説明する。
【0031】
(半導体処理装置)
図1は、本発明の実施形態による画像処理装置及びこれを利用した半導体製造装置の構成を概略的に示す図である。同図に示すように、画像処理装置1は、枚葉式搬送の半導体製造装置において、ウエハ3の中心位置及びオリフラ部やノッチ部を基準としたウエハ3の回転位置(回転角)を計測する。この半導体製造装置は、トランスファチャンバ(搬送用真空チャンバ)4、プロセスチャンバ(処理チャンバ)5、ロード・アンロード装置6及び制御装置8を備える。
【0032】
トランスファチャンバ4には、ウエハ3搬送用のロボットアーム(搬送機構)9が内部に設けられており、ロボットアーム9を用いてプロセスチャンバ5へのウエハ3の出し入れ、ロード・アンロード装置6との間でのウエハ3の受け渡しが行われる。プロセスチャンバ5は複数も受けられるがここでは一つのみを示している。また、トランスファチャンバ4の上部及び下部には、カメラが内部を除くためのビューポート(図示せず)が設けられている。
【0033】
図1の例では、トランスファチャンバ4の上部に設けたビューポートを介したトランスファチャンバ4の外側に撮像カメラ2が取り付けられる。また、トランスファチャンバ4の下部に設けたビューポートを介したトランスファチャンバ4の外側には、図2で後述する透過照明が取り付けられる。この透過照明は、撮像カメラ2の視野A内に位置するウエハ3の外周の一部を、下部のビューポートを介して真下から照らすことができる。これにより、撮像カメラ2は、真下から透過照明で照らされたウエハ3の外周の一部を、上部のビューポートを介して真上から撮像可能である。
【0034】
なお、図1では、説明の簡単のために、トランスファチャンバ4において、撮像カメラ2と透過照明をプロセスチャンバ5に対応して1つ設けた場合を示しているが、撮像カメラは、図示しない複数のプロセスチャンバ5、ロード・アンロード装置6等に対応して複数設けられる。
【0035】
プロセスチャンバ5は、スパッタ、PVD(Physical Vapor Deposition)、エッチャ、CVD等の真空処理の種類ごとに設けられ、トランスファチャンバ4から搬入したウエハ3に対して真空処理が実行される。また、プロセスチャンバ5には、外乱光を避ける等の理由からビューポートは設けられていない。なお、トランスファチャンバ4及びプロセスチャンバ5は、不図示の排気系によって内部が真空状態となっている。
ロード・アンロード装置6は、真空状態のトランスファチャンバ4と外部の間でウエハ3の出し入れを行う。
【0036】
制御装置8は、ウエハ搬送用のロボットアーム(搬送機構)9を制御してプロセスチャンバ5へのウエハ3の出し入れ、ロード・アンロード装置6との間でのウエハ3の受け渡し等を行っている。
【0037】
(画像処理装置)
図2は、図1中の画像処理装置1の構成を示すブロック図である。同図において、画像処理装置1は、信号変換部102、撮像画像記憶部104、表示画像記憶部106、信号変換部108、入力インタフェース110、データベース部112、通信制御部114、ROM部116、メインメモリ部118、CPU部120、表示部130、入力部140などによって構成されている。
【0038】
図2に示すように、チャンバに設けられた図示しないビューポート(のぞき窓)を介してウエハ3の下方から照明光源42によって撮影用の照明がなされる。この照明によってウエハの輪郭が明瞭になる。撮像カメラ2はウエハのエッジ部に視野Aを設定している。この撮像カメラ2の視野Aに関する設定は後述する。撮像カメラ2はCCDアレイなどの2次元センサを備えており、ウエハの画像を画像信号として信号変換部102に送る。信号変換部12は画像信号をウエハ画像の各画素のデータに変換して撮像画像記憶部104に送る。撮像画像記憶部104は画像データを一時的に記憶するメモリである。なお、信号変換器102及び撮像画像記憶部部104は撮像カメラ2側に設けることができる。撮像画像記憶部104の画像データはメインメモリ部118に送られてCPUによる画像処理が行われ、ウエハのエッジの位置、傾きなどの制御装置8により必要とされる制御パラメータが抽出される。
【0039】
表示画像記憶部106は、メインメモリ部118から出力された表示部130に表示すべき画像データを一時的に記憶するメモリである。信号変換部108はこの画像データを画像信号に変換して表示部130に出力する。表示部130は、例えば、2次元画像を表示するLCD(液晶)表示器であるが、プラズマディスプレイやCRT表示器であっても良く、いわゆるタッチパネル等を画面上に備えるものがより望ましい。なお、表示画像記憶部106及び信号変換部108は表示部130側に設けることができる。
【0040】
表示部130の近くに入力部140が配置されている。入力部140は指令コードを入力するキーボード(コード入力装置)、画面上に表示されるポインタの位置と画面上の表示情報(アイコンなど)との組み合わせによって所定の指令を入力するマウス(画面入力装置)、画面上の座標を入力するタッチパネル、電源スイッチなどを備える。
【0041】
インタフェース110は、入力部140からの操作指令信号を各種の指令や入力データなどに変換して図示しない入出力処理プログラムに伝える。
【0042】
データベース部112は、ウエハなどのカメラ計測の対象となる対象物の形状、輪郭形状、中心位置、形状(輪郭)を示す近似式、アライメントマークの形状、形状認識の特徴点の位置、各種マークの重心位置などのデータを予めデータベースとして記憶している。また、各種の対象物に対応した画像処理プログラム、サブルーチンプログラムなどを記憶している。半導体製造装置が取り扱う、ウエハや基板は予め全体形状や寸法、マーカーの位置、アライメントマークの形状など(設計情報)が予め判っている。
【0043】
通信制御部114は、画像処理装置1と外部の装置である制御装置8やその他ネットワークに接続された装置(例えば、図示しないプロセス制御装置、サーバー装置、ネットワーク記憶装置など)との間のデータ通信を行う。ROM部116は画像処理装置の動作に必要な基本的なプログラムなどを継続的に保持する。
【0044】
メインメモリ部118は、CPUのオペレーティングシステム、画像処理制御プログラム、位置ずれ検出プログラム、画像データなどを記憶し、随時更新する。CPU部120はコンピューターシステムの演算処理部であり、プログラムを実行して撮像した対象物の画像処理を行って所定の出力を行う。CPU部120は同時並行的に複数のプログラムを実行することができる。図示の例では、撮像カメラ2が1台であるが、複数の場所に設けられた各カメラの画像データを処理することができる。その結果は制御装置8などに送られ、ロボットアーム9の停止位置の制御などに使用される。
【0045】
(キャプチャ画像への計測領域設定)
図3は、画像処理装置1において、CPU部120が実行する画像処理のうちキャプチャ画像に計測領域を設定する処理を説明するフローチャートである。
前述したように、半導体製造装置に撮像カメラ2が組み立てられた後などに、撮像カメラ2の視野内に計測領域を設定する。前述したように、カメラ画像の一部を画像処理の対象とすることによって計測時間を短縮することができる。また、対象領域を狭く設定することによって領域内に存在する画像のノイズを減らして誤測定を減らすことができる。
【0046】
図3に示すように、制御プログラムを実行しているCPUは、待機状態や割り込み処理などにおいてキャプチャ画像に計測領域を設定するプログラムの実行の指令を受けると本ルーチンを実行する(ステップS100)。
【0047】
(1−1) 画像キャプチャ
このプロセスでは、視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像過程と、2次元画像を画面に表示する表示過程とが行われる(ステップS110)。
まず、ロボットアーム9によって撮像カメラ2の視野A内に搬送されたウエハ3の画像が撮像カメラ2によってキャプチャ(撮像)され、信号変換部102、撮像画像記憶部104を介してメインメモリ部118内にビットマップ画像として取り込まれる。取り込まれた画像は、表示画像記憶部106、信号変換部108を介して表示部130に送られ、キャプチャ画像(モニタ画像)が表示される。なお、必ずしも表示部130はキャプチャ画像そのものを表示する必要はなく、例えば本実施例において後述する処理を行った結果得られる計測領域のみを表示してもよく、また、必要な時以外何らの表示を行わないようにするなど、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0048】
図4は、ウエハ3上に設定される撮像カメラ2の2つの視野A,Bの例を示している。画像のビットマップのX,Y座標上にウエハ3の中心O(a,b)が存在し、中心Oを通直線を領域内に含むように視野A,Bが設定される。視野A’は撮像カメラ2の視野Aの設定がずれた場合を示している。
【0049】
図5(A)は、撮像カメラ2の視野Aの位置がウエハ3に対してずれていない場合のモニタ画面の画像例を示している。同図(B)は、撮像カメラ2の視野Aの位置がウエハ3に対してY軸方向にずれている場合A’(図4参照)の画像例を示している。ウエハ3が相対的にモニタ画面の上方向(Y方向)に移動している。
【0050】
図6は、表示部130の画面に表示されたキャプチャ画像の例を示している。画面の左側領域及び中央領域は予め選択された撮像カメラ2の視野A内に入ったウエハ3のキャプチャ画像(以後、キャプチャ画像Aともいう。)を表示している。画面の右側領域では選択された撮像カメラの画像処理用のパラメータを表示するパラメータ表示領域132が撮像カメラ2の台数分設けられている。このキャプチャ画像A全体を計測の対象領域とするとデータ処理に時間がかかる。そこで、後述の図7のようにキャプチャ画像Aの一部に最適な計測領域Qを設定し、当該領域の画像データを使用して計測を行うようにするのが本プロセスの目的である。
【0051】
(1−2) 対象物の輪郭計算
このプロセスでは、得られた2次元画像から対象物の輪郭を表す輪郭線を抽出する形状抽出過程が行われる(ステップS112)。
計測対象物の輪郭を表す式(近似式)を求める。図4に示したように、対象物がウエハ3の場合には形状が円形である。ウエハ3のビットマップ画像から輪郭線を抽出する輪郭処理を行い、輪郭線の線を構成する任意の点の座標を求め、真円の式(=(x−a)2+(y−b)2=r2)で近似して、ウエハ3の輪郭を表す(円の)方程式Rを求める。
【0052】
(1−3) 最適な計測領域の設定
このプロセスでは、輪郭線上の複数の点の位置を抽出する点位置抽出過程と、複数の点から2次元画像上の対象物の搬送方向における輪郭線の位置を代表する代表点の位置を決定する代表位置決定過程と、少なくとも代表点の位置と2次元画像上の対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて輪郭線を含む計測領域を得られた2次元画像上に設定する計測領域設定過程と、が行われる(ステップS114)。
【0053】
図8に示すように、キャプチャ画像A内に横幅(横画素数)m×縦幅(縦画素数)nで画定される四角形の計測領域Qを設定する。計測領域QのX方向の横幅mは、例えば、測定精度向上のためにキャプチャ画像Aの領域の横幅値とする。計測領域QのY方向の縦幅nは、例えば、計測時間の短縮などのため、なるべく小さい方が望ましい。縦幅nの最小値は、対象物(ウエハ)のY方向における搬送精度を考慮して定める。対象物の位置にばらつきがあったとしても、対象物の輪郭線(近似円)Rが縦幅n内に収まるようにする。計測領域Qは、例えば、四角形の領域の左上の角部P0の座標位置と、横幅m,縦幅nで表すことができる。
【0054】
次に、角部P0の座標位置P0(x,y)を求める。図9に示すように、視野A内で輪郭線R上の3つの点P1,P2,P3の座標を求める。点P1は、計測領域QのX方向左端の直線と近似円Rとの交点の座標(a1,b1)に設定する。点P2は、計測領域のX方向右端の直線と近似円Rとの交点の座標(a2,b2)に設定する。点P3は、近似円Rの中心Oの座標を(a,b)としたとき(図4参照)、直線X=aと近似円Rとの交点P3の座標(a3,b3)に設定する。点P3は輪郭線の凸部又は凹部に相当する。
【0055】
この場合、計測領域の左上の座標P0のX位置はa1である。座標P0のy位置は、上記nについての必要条件を満たすように、予め定めた式により計算する。一例を挙げれば、点P1,P2,P3のY軸方向の各位置b1,b2,b3の分布の中間的値(輪郭線上の複数の点P1,P2,P3の代表点PRのy値に相当)に縦幅nの半分(n/2)を加えたものとする。
【0056】
例えば、「点P1,P2の平均値」と「点P3」との平均値(代表点PRのy値に相当)に半幅(n/2)を加えてP0のy位置を求める、式〈[{(b1+b2)/2}+b3]/2〉+(n/2) により計算する。当該式はデータベース部112に対象物に対応して予め記憶されている。
【0057】
また、計測領域の横幅mについては、図中に示すように、近似円Rがキャプチャ画像Aの両側端縁と交差する場合、キャプチャ画像Aにおける最大の幅と等しい値とすることが好ましい。仮にmが当該最大の幅未満の値を取る場合、近似円Rの一部が計測領域から外れることとなり、測定精度の低下を招くおそれがあるためである。これに対して、近似円Rがキャプチャ画像Aの上側縁と交差し、両側端縁のいずれか又は両方と交差しない場合であれば、近似円Rとキャプチャ画像Aとが交差する2点間の幅の大きさに、更に必要に応じて対象物(ウエハ)のX方向における搬送精度を加えて決定すれば良い。以降、特に指摘のない限りは近似円Rがキャプチャ画像Aの両側端縁と交差する場合のみに限定して説明する。
(1) 上記第1の例の場合の計測領域Qは、次のように定義される。
(a)計測領域の横幅m:予め作業者指定(キャプチャ領域最大)
(b)計測領域の縦幅n:予め作業者指定(通常、搬送装置が対象物(ウエハ)を撮像カメラ2の下へ設置する精度から決まる)
(c)計測領域の左上座標P0(x,y)=(a1,〈[{(b1+b2)/2}+b3]/2〉+(n/2))
【0058】
計測領域Qについての最適位置の定義は様々な考え方があっても良く、例えば、以下のような例でも良い。
(2) 第2の例の場合
点P1とP2がb1≧b2である場合、左上座標P0のyを、b1とb3の平均値(代表点PRのy値に相当)に半幅(n/2)を加えたものとする。
(a)計測領域の横幅m:予め作業者指定(キャプチャ領域最大)
(b)計測領域の縦幅n:予め作業者指定(通常、装置がウエハをカメラの下へ設置する精度から決まる)
(c)計測領域の左上座標P0(x,y)=(a1,{(b1+b3)/2}+(n/2))
【0059】
(3) 第3の例の場合
点P1とP2がb1≦b2である場合、左上座標P0のyを、b2とb3の平均値(代表点PRのy値に相当)に半幅(n/2)を加えたものとする。
(a)計測領域の横幅m:予め作業者指定(キャプチャ領域最大)
(b)計測領域の縦幅n:予め作業者指定(通常、装置がウエハをカメラの下へ設置する精度から決まる)
(c)計測領域の左上座標P0(x,y)=(a1,{(b2+b3)/2}+(n/2))
【0060】
(4) 第4の例の場合
左上座標P0のyを、点P1,P2,P3のY座標値b1,b2,b3の単純平均値(代表点PRのy値に相当)に半幅(n/2)を加えたものとする。
(a)計測領域の横幅m:予め作業者指定(キャプチャ領域最大)
(b)計測領域の縦幅n:予め作業者指定(通常、装置がウエハをカメラの下へ設置する精度から決まる)
(c)計測領域の左上座標P0(x,y)=(a1,{(b1+b2+b3)/3}+(n/2))
このようにして、輪郭線上の複数の点の代表点PRのY軸上の位置に上下に(n/2)の縦幅を設定し、X軸方向に横幅mを設定して撮像カメラのキャプチャ画像に計測領域Qが設定される。
【0061】
(1−4) 実値変換係数計算
次に、図3に戻り、CPUは実値変換係数を計算する(ステップS116)。
これはX−Y平面に存在するウエハ3に対してウエハ3の上方(Z軸方向)に存在する撮像カメラ2の高さ位置(ウエハとカメラとの距離)に誤差がある場合、撮像画像の大きさ(一画素の大きさ)が異なってくるのでこれを修正できるようにするものである。
図10は、撮像カメラ2とウエハ3との距離が相対的に近い場合の対象物の撮像例を示している。距離が近いと撮像された画像は相対的に大きくなる。また、図11は、カメラ2とウエハ3との距離が相対的に遠い場合の対象物の撮像例を示している。距離が遠いと画像は相対的に小さくなる。撮像カメラにこのようなZ方向の誤差(ばらつき)があると、複数の撮像カメラを用いた場合、画像の一画素に相当する対象物(ウエハ)上の寸法(長さ)が撮像カメラによって異なることになる。半導体製造においては、撮像カメラを用いた複数の半導体製造装置が使用される。また、一つの半導体製造装置内において複数の撮像カメラが使用されるのが一般的である。したがって、各撮像カメラの画像から対象物の寸法や対象物の位置のずれ量などを正確に測定できるようにする必要があり、各撮像カメラの実値変換係数が計算される。
【0062】
実値変換係数は、対象物の実際の寸法r0[mm]と、画面座標系(画像)における同一対象物の寸法r[画素数]の比kによって定義される。なお、対象物の実際の寸法の単位はcmやμmなど適宜に選定される。
実値変換係数kは、k=(r0/r) [mm/pix]によって計算される。
対象物の実際の寸法r0(mm)は、例えば、ウエハの場合、ウエハの半径が150mm(12インチ)、100mm(8インチ)など予め判っており、データベース部112に記憶されている。また、必要により対象物の所定寸法を実測してデータベース部112に記憶しておく。画像における対象物の寸法は、上述した対象物の輪郭計算において求めた方程式Rのrを使用することができる。
【0063】
(1−5) 画像処理パラメータ保存
CPUは、上記ステップで決定した画像処理の各種パラメータを保存する(ステップS118)。
図7は、CPUが上述した処理を行って、撮像カメラ2のキャプチャ画像Aから対象物の輪郭を略中央に含む最適な計測領域Q(左上座標P0,表示領域m×n)を切り出して、当該部分を表示器130に表示した状態を示している。パラメータ表示領域132には、各撮像カメラについての最適な計測領域の左上座標P0(x,y)、縦幅n、実値変換係数kなどのパラメータが表示される。作業員は、表示器130の表示内容を確認し、問題なければ画像処理のパラメータ保存をCPUに指令する。このパラメータはROM部116、あるいはデータベース部112などに不揮発に記憶される。問題があれば、ステップS110乃至S118を繰り返して最適な計測領域Qを設定する。
【0064】
このようなパラメータ設定操作を各撮像カメラについて行う。各処理の終了後、CPUはメインプログラムに戻る(ステップS120)。
【0065】
このようにして設定された計測領域Qによって、例えば、特開2009−88184号公報に記載されるような画像処理装置によるウエハの輪郭位置の計測などが行われる。
【0066】
本発明の第1の実施例によれば、撮像カメラによる観察対象物のキャプチャ画像中に計測領域Qを簡単に設定することができるので、作業員の負担が軽減されて具合がよい。
【0067】
(実施例2)
次に、本発明をアライメントマークの認識に適用した例について図12及び図13を参照して説明する。上述した本発明の第1の実施例では対象物の輪郭線がキャプチャ画像Aと交差する場合について述べたが、本実施例においては対象物の輪郭線がキャプチャ画像Aと交差しない場合について述べるものであり、両者は2次元画像上において対象物の(アライメント)マークを読み取るための最適な計測領域の設定に係るものである点において共通する。
【0068】
図12は対象物(ウエハ)上に形成されたアライメントマークを撮像カメラでキャプチャした例を説明する説明図である。図13は、アライメントマークに対する計測領域の設定手順を図3に対応して説明するフローチャートである。
上述した本発明の第1の実施例では、半導体装置の製造工程のうち、回路パターン形成前のウエハを対象としているが、本発明は、アライメントマークが形成されたウエハの画像処理をする場合や、液晶ガラス基板などに形成されているマークを使用して画像処理をする場合にも応用が可能である。
【0069】
図12に示すように、画像処理装置1は撮像カメラ2で対象物のアライメントマークMを含む領域をキャプチャし、メインメモリ内に取り込む。また、キャプチャ画像Aを表示部130に表示する。この例ではアライメントマークMは円形で、大きさ(直径)がaである。なお、後述のように像カメラ2の視野A内へ対象物を設置する精度は、±b[mm]とする。
【0070】
このアライメントマークMを略中央部に含んで計測領域(例えば、四角形の領域)Qが設定される。計測領域Qの左上角P0の座標(x,y)、横幅m、縦幅nを実施例1と同様に適切に設定する。それによって計測におけるデータ処理量を減らして計測時間を短縮する。また、対象領域を狭く設定することによって領域内に存在する画像のノイズを減らして誤測定を減らす。
【0071】
次に、CPUによる画像処理手順を説明する。図13に示すように、制御プログラムを実行しているCPUは、待機状態や割り込み処理などにおいてキャプチャ画像に計測領域を設定するプログラムの実行の指令を受けると本ルーチンを実行する(ステップS200)。
【0072】
(2−1) 画像キャプチャ
このプロセスでは、視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像過程と、2次元画像を画面に表示する表示過程とが行われる(ステップS210)。
CPUは、ロボットアーム9によって撮像カメラ2の視野A内に搬送されたウエハ3の画像を撮像カメラ2にキャプチャ(撮像)させ、メインメモリ部118内にビットマップ画像として取り込む。取り込まれた画像は表示部130にも送られ、キャプチャ画像(モニタ画像)が表示される。
【0073】
(2−2) マークの重心位置演算
CPUはアライメントマークMの重心位置を計算する(ステップS212)。このプロセスでは、2次元画像から対象物に表示されたマークを抽出する形状抽出過程と、マークの重心点の2次元画像の座標系における位置を抽出する重心位置抽出過程とが行われる(ステップS212)。
【0074】
例えば、アライメントマークMの2次元形状が略真円ならば真円近似でも良いが、マークMの形が真円以外、例えば多角形を含む不特定形状の場合、重心位置演算を用いると都合がよい。重心位置演算は、例えば、アライメントマークMの面積を構成する画素データを抽出し、画素の輝度や色情報に2値化処理を施してマークMの部分が黒、その他の部分(背景)が白となるように分離する。そして、周知の重心の計算式によって黒部分の各画素位置を代表する重心位置Pgを計算することにより求めることができる。
なお、さらに重心位置の精度を上げるために、アライメントマークMのエッジ近傍の画素の輝度値から線形補間等の処理により詳細なエッジ位置座標を求め、その重心を求めることとしても良い。
【0075】
(2−3) 最適な計測領域の計算
CPUはアライメントマークMの周りの最適な計測領域Qを計算する(ステップS214)。このプロセスでは、重心の位置と2次元画像上の対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて重心点を含む計測領域を読み取り画像上に設定する計測領域設定過程が行われる(ステップS214)。
【0076】
アライメントマークMの重心位置Pgの座標(x,y)、アライメントマークの大きさa [pix]、カメラの下へ計測対象物を設置する精度±b、とすると、例えば、最適な計測領域は以下のように表される。
(a)計測領域の横幅m: m=a+2b
(b)計測領域の縦幅n: n=a+2b
(c)計測領域の中心位置Pgの座標:(x,y)
(d)計測領域の左上P0の座標:(x−(m/2),y+(n/2))
CPUは、このようにして定められた計測領域Qをキャプチャ画面A内に表示する。
【0077】
(2−4) 実値変換係数の計算
CPUは実値変換係数の計算を行う(ステップS216)。
まず、画像処理により読み取り画像からアライメントマークMの大きさ(画像座標系)を求める。例えば、画像データの2値化処理にてアライメントマークMを黒とした場合、例えば、最も左端にある黒画素と最も右端にある黒画素との距離b[pix]がアライメントマークの大きさに相当すると見ることができる。この距離情報と既知のアライメントマークの大きさa [mm]から実値変換係数kを求めることができる。対象物のアライメントマークMの大きさaは予め設計情報としてデータベース部112に記憶されている。なお、対象物のアライメントマークの寸法の単位はcmやμmなど適宜に選定される。
実値変換係数k=a/b [mm/pix]
【0078】
(2−5) 画像処理装置のパラメータ保存
CPUは、上記ステップで決定した画像処理の各種パラメータを保存する(ステップS218)。作業員は、表示器130の表示内容を確認し、問題なければ画像処理のパラメータ保存をCPUに指令する。このパラメータはROM部116、あるいはデータベース部112などに不揮発に記憶される。問題があれば、ステップS210乃至S218を繰り返して最適な計測領域Qを設定する。
【0079】
このようなパラメータ設定操作を各撮像カメラについて行う。各処理の終了後、CPUはメインプログラムに戻る(ステップS220)。
【0080】
(実施例3)
(カメラの下へ計測対象物を設置する精度を求める方法及び計測対象物の基準位置を求める方法)
実施例1及び2では、計測の対象物をカメラの視野内に搬送する際の設置位置について、対象物を設置すべき、または当該対象物におけるマークが位置すべき絶対位置座標(基準位置)と、実際に計測対象物が設置された、またはマークが位置する位置座標との誤差が既知であったが、誤差が既知でない場合に、位置誤差を求める過程も含めて自動化することも可能である。例えば、
【0081】
(1) 対象物を搬送前の位置からカメラの下へ搬送し、所定位置に対象物を設置する。
(2) この位置で対象物のアライメントマークMの重心位置計測(真円近似計測)を行う。
(3) 対象物を搬送前の位置へ搬送する(元に戻す)。
【0082】
上記(1)〜(3)の処理を、任意の回数(サンプル数が大きい程精度が良い)、例えば100回程度繰り返し、(2)で求めた重心位置の最大値と最小値との差をカメラの下へ計測対象物を設置する場合の精度とする。この値に余裕を持たせるために更に+α増加することとしても良い。
【0083】
さらに、(2)で求めた、例えば100個の重心位置座標に対し、さらに各座標の重心となる位置又は単に各座標の平均となる点(代表点)を算出することで、これを基準位置とすることができ、当該基準位置はそのまま最適な計測領域の中心位置座標とすることができる。これは画像処理対象物の外形状が例えば円弧状であったとしても、その凸部もしくは凹部の座標を基準にすることで、本発明の各種計算への応用が可能である。
【0084】
このように、本発明の実施例によれば、画像処理装置がキャプチャ画像A内に最適な計測領域を設定するので、画像処理におけるデータ処理量を減らして計測時間の短縮を図ること、画像上のノイズの取り込みを減らして、ノイズによる誤計測を回避することなどの利点を享受しつつ作業員の労力を減少させることが可能となるので好ましい。
【0085】
上記発明の実施の形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施形態の記載に限定されるものではない。そのような組み合わせ又は変更若しくは改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0086】
1 画像処理装置、2 撮像カメラ、3 ウエハ(対象物)、4 トランスファチャンバ、5 プロセスチャンバ、6 ロード・アンロード装置、8 制御装置、102 信号変換部、104 撮像画像記憶部、106 表示画像記憶部、108 信号変換部、110 インタフェース、112 データベース部、114 通信制御部、116 ROM部、118 メインメモリ部、120 CPU部、130 表示部、140 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像手段と、
前記2次元画像を画面に表示する表示手段と、
得られた2次元画像から前記対象物の輪郭を表す輪郭線を抽出する形状抽出手段と、
前記輪郭線上の複数の点の位置を抽出する点位置抽出手段と、
前記複数の点から前記2次元画像上の対象物の搬送方向における前記輪郭線の位置を代表する代表点の位置を決定する代表位置決定手段と、
少なくとも前記代表点の位置と前記2次元画像上の前記対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて前記輪郭線を含む計測領域を得られた前記2次元画像上に設定する計測領域設定手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記画面上の前記対象物の搬送方向と交差する方向における前記計測領域の幅は、前記画面における前記2次元画像の表示領域の大きさに対応して設定される、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の点には、前記2次元画像の座標系における前記輪郭線と前記視野の枠との交点が含まれる、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の点には、前記2次元画像の座標系における前記輪郭線の凸部又は凹部に位置する点が含まれる、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記代表点の位置は、前記2次元画像の座標系における、前記複数の点の前記対象物の搬送方向における平均位置である、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記代表点の位置は、前記2次元画像の座標系における前記複数の点のうち前記対象物の搬送方向において最大離間距離となる2つの点の中間位置である、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記計測領域設定手段は、更に前記対象物の搬送誤差分に基づいて前記輪郭線を含む計測領域を前記2次元画像上に設定する、請求項1乃至6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像手段と、
前記2次元画像を画面に表示する表示手段と、
得られた前記2次元画像から前記対象物に表示されたマークを抽出する形状抽出手段と、
前記マークの重心点の前記2次元画像の座標系における位置を抽出する重心位置抽出手段と、
少なくとも前記重心の位置と前記2次元画像上の前記対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて前記重心点を含む計測領域を得られた画像上に設定する計測領域設定手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項9】
前記計測領域設定手段は、更に前記対象物の搬送誤差分に基づいて前記マークを含む計測領域を前記2次元画像上に設定する、請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像過程と、
前記2次元画像を画面に表示する表示過程と、
得られた2次元画像から前記対象物の輪郭を表す輪郭線を抽出する形状抽出過程と、
前記輪郭線上の複数の点の位置を抽出する点位置抽出過程と、
前記複数の点から前記2次元画像上の対象物の搬送方向における前記輪郭線の位置を代表する代表点の位置を決定する代表位置決定過程と、
少なくとも前記代表点の位置と前記2次元画像上の前記対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて前記輪郭線を含む計測領域を得られた前記2次元画像上に設定する計測領域設定過程と、
を備える画像処理方法。
【請求項11】
視野内に搬送された対象物を撮像して2次元画像を得る撮像過程と、
前記2次元画像を画面に表示する表示過程と、
得られた前記2次元画像から前記対象物に表示されたマークを抽出する形状抽出過程と、
前記マークの重心点の前記2次元画像の座標系における位置を抽出する重心位置抽出過程と、
少なくとも前記重心の位置と前記2次元画像上の前記対象物の搬送方向において予め設定された計測幅とに基づいて前記重心点を含む計測領域を得られた画像上に設定する計測領域設定過程と、
を備える画像処理方法。
【請求項12】
請求項1乃至9のいずれかに記載の画像処理装置を備える半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−93118(P2012−93118A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238641(P2010−238641)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】