説明

画像出力システム

【課題】合成画像の再生が容易となるように記録媒体への出力を行う。
【解決手段】制御装置20では、制御部により患者が撮影された各撮影画像を用いて合成画像を生成し、当該合成画像とともに、合成画像をフィルムに分割して出力する分割領域を示し、当該分割領域より大きい出力範囲が定められている出力枠を表示部により表示させる。操作部によりフィルムへの出力指示操作がなされると、合成画像からその出力枠に定められた出力範囲内の画像を抽出する。そして、出力条件等を指示する出力制御情報を生成し、抽出した画像上に分割領域の境界を示す指標としてカットラインのマーカ画像を合成し、これを出力画像として出力制御情報とともに通信部24によりフィルム出力装置40に送信させ、フィルム出力装置40によりフィルム出力を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を複数領域に分けて撮影した各撮影画像を合成し、その合成画像を複数領域に分割してシート状記録媒体上に出力する画像出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、サイズが大きい被写体を検査撮影し、その撮影画像を読影する際には、複数枚のカセッテを用いて撮影対象の被写体を複数領域毎に分けて撮影し、後にそれぞれのカセッテから読み取った各画像を画像処理により合成してモニタ上に表示している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、図10に示すように、3枚のカセッテを用いて足部分の撮影を行った場合、全ての領域について漏れなく撮影するため、通常はカセッテを部分的に重ねて撮影することが多い。よって、カセッテから読み取られた各撮影画像には重複部分が生じるため、これらの撮影画像の合成時には、3つの画像の重ね合わせ処理を行い、重複部分を排除していた。
【0004】
このように生成された合成画像は、縮小処理を施すことにより1枚のフィルムに収めて出力することが可能であるが、撮影画像を観察して人体に埋め込むボルトのサイズを決定する等、診断目的により実際のサイズが重要となる場合にはライフサイズ(実際の撮影画像と等倍のサイズをいう)でフィルムに出力する場合がある。
【0005】
ライフサイズで出力する場合には、図10に示すように合成前の各撮影画像をそれぞれ別のフィルムに出力し、それを技師がフィルム上に出力された撮影画像を確認しながら、各フィルムの重複部分を重ね合わせる位置を目視で決定し、その位置でフィルムをカットしてテープ等で接着することにより、合成画像を再生していた。以下、一連のフィルムが結合されて合成画像が再生されたものを結合フィルムという。
【特許文献1】特開平10−268451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、フィルム出力装置によっては、図10に示すようにフィルムの先端又は後端部分に、画像を記録しない領域や、撮影条件又は出力条件等を記録するための領域(図中、色を付した領域。以下、非画像領域という)を設けるものもある。このような場合には、フィルム同士を接着する際に、つなぎ目部分に存在する非画像領域を除去(カット)しなければならないため、技師にとっては作業工程が増え、結合フィルムの作成は煩雑な作業となっていた。
【0007】
また、各撮影画像には、例えば素抜け領域(人体を介さずにX線が透過した領域。画像上では高濃度で現れる。)や、非照射野領域(鉛板等のX線遮蔽手段によりX線の照射を遮蔽した領域)等のように、読影の主対象とならない領域が含まれている場合がある。従来は、このような読影に不必要な領域も含めて全てフィルムに出力していたので、作成した結合フィルムの量が増えてかさばるとともに、フィルム資源に無駄が生じていた。
【0008】
本発明の課題は、合成画像の再生が容易となるように出力を行うことができる画像出力システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、画像出力システムにおいて、
被写体を複数領域に分けて撮影することにより得られた各撮影画像を用いて被写体に対応する合成画像を生成する合成画像生成手段と、その合成画像を複数のシート状記録媒体に分割して出力する出力手段とを備えた画像出力システムにおいて、
前記合成画像を表示する表示手段と、
前記表示された合成画像上に、記録媒体へ分割して出力する分割領域を示し、当該分割領域より大きい出力範囲が定められている出力枠を表示させる表示制御手段と、
前記出力枠の移動操作を行うための操作手段と、
前記移動された位置で出力枠に定められた出力範囲内の合成画像を前記出力手段により記録媒体上に出力させるとともに、当該出力範囲内の合成画像上に前記出力枠により示される分割領域の境界を示す指標を出力させる出力制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像出力システムにおいて、
前記出力制御手段は、前記指標として、前記出力枠に対応する画像領域とその他の領域との境界を示すマーカ画像を当該合成画像とともに出力させることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像出力システムにおいて、
前記出力制御手段は、前記指標として、前記出力枠に対応する画像領域以外の領域に所定の画像処理を施して出力させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、記録媒体に合成画像とともに出力された指標により、出力枠内の分割領域の境界を判別することができる。合成画像が分割されて出力された各記録媒体を合成方向に結合し、合成画像を再生する際には、撮影画像の重複部分や、撮影条件等が記録される領域等、合成画像の再生に不要な領域が存在する場合がある。このような場合には、記録媒体上に出力された指標に従って、各記録媒体における分割領域の境界部分を裁断することにより、合成画像の再生に不要な領域を正確に、かつ容易に除去することができる。よって、合成画像を容易に再生することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、マーカ画像を指標として、記録媒体を容易に裁断することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、分割領域と所定の画像処理が施された領域との境界を指標として、記録媒体を容易に裁断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における画像出力システム1のシステム構成を示す。
図1に示すように、画像出力システム1は、画像生成装置10、制御装置20、読影端末30、フィルム出力装置40を備えて構成されている。各装置10〜40は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNを介して接続されている。なお、図1では、画像生成装置10、フィルム出力装置40が2台づつ、制御装置20、読影端末30が1台づつ接続された例を示したが、台数は特に限定しない。
【0016】
画像生成装置10は、患者の撮影画像のデジタルデータを生成するものである。画像生成装置10としては、カセッテから撮影画像を読み取ってそのデジタルデータを生成するカセッテ専用の読取装置や、X線を検出する検出手段を内蔵して撮影を行うとともにその撮影画像のデジタルデータを生成するCR(Computed Radiography)、CT(Computed Tomography)等の撮影読取装置、或いはX線に限らず、MRI装置や超音波撮影装置等の撮影読取装置等が適用可能である。
【0017】
また、フラットパネルディテクタ(以下、FPD;Flat Panel Detectorという)も適用可能である。FPDは、例えば特開平6−342098号に記載されているように、照射されたX線の強度に応じた電荷を生成するX線検出素子と、このX線検出素子による生成された電荷を蓄積するコンデンサとが2次元的に配列されたものであり、被写体のX線画像を撮像して電気信号として出力する。
【0018】
また、フィルムに記録された撮影画像をスキャンしてデジタルデータとして読み取るフィルムディジタイザ等も適用可能である。
【0019】
画像生成装置10は、制御装置20の制御に従って、患者が撮影された撮影画像の読取処理を実行し、当該読み取られた撮影画像を制御装置20に転送する。
【0020】
制御装置20は、画像生成装置10の撮影画像の読取動作を制御し、各画像生成装置10により読み取られた撮影画像のデータを取得して当該取得された撮影画像をデータベース化して管理するとともに、その撮影画像のフィルム出力を制御する。
【0021】
なお、制御装置20は、図示しないRIS(Radiology Information System;放射線科内の情報を管理する情報システム)やHIS(Hospital Information System;病院内の情報を管理する情報システム)に接続可能であり、これら情報システムから撮影に関する指示情報である撮影オーダ情報を受信する。撮影オーダ情報とは、医師からの依頼を受け付けて発行されたものであり、撮影対象の患者の患者ID、氏名、性別等の患者情報や、検査を示す検査ID、その検査で指定された撮影部位、撮影方法等の検査に関する検査情報等を含むものである。制御装置20は、この撮影オーダ情報を、画像生成装置10から受信された撮影画像に付帯させて、各撮影画像のデータベース化及び管理を行う。
【0022】
図2に、制御装置20の内部構成を示す。
図2に示すように、制御装置20は、制御部21、操作部22、表示部23、通信部24、プログラムメモリ25、画像メモリ26を備えて構成されている。
【0023】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、プログラムメモリ25に記憶されるシステムプログラムや、本発明に係る合成出力処理プログラム(図3参照)等の各種制御プログラムをRAMに展開し、当該展開された制御プログラムに従って各部を集中制御する。
【0024】
合成出力処理では、患者が撮影された各撮影画像を用いて合成画像を生成し、表示部23により表示させる。また、合成画像上に、フィルムに分割して出力する画像領域(以下、分割領域という)を示す出力枠を表示させる。この出力枠には、出力枠より大きい所定の出力範囲を予め定めておき、操作部22を介して技師により選択操作されたフィルム枚数分だけ表示させる。そして、操作部22を介して出力枠の移動操作が行われると、制御部21はその操作に応じて各出力枠を移動して表示させる。
【0025】
そして、移動した先で操作部22によりフィルムへの出力指示操作がなされると、合成画像からその出力枠に定められた出力範囲内の画像を抽出する。そして、抽出した画像上に出力枠に対応する分割領域とその他の領域との境界を示す指標としてカットラインのマーカ画像を合成し、これを出力画像として出力制御情報とともに通信部24によりフィルム出力装置40に送信させ、フィルム出力装置40によりフィルム出力を行わせる。
すなわち、合成出力処理プログラムと制御部21との協働により、合成画像生成手段、表示制御手段及び出力制御手段を実現することができる。
【0026】
操作部22は、数字キー、文字キー、各種機能キーを含むキーボードや、表示部23と一体に構成されるタッチパネル、マウス等を備えて構成される操作手段であり、これらの操作に対応する操作信号を生成して制御部21に出力する。
【0027】
表示部23は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される表示手段であり、制御部21の表示制御に従って、合成画像の操作画面やフィルムへの出力範囲の設定画面等の各種操作画面や、制御部21による処理結果等を表示する。
【0028】
通信部24は、NIC(Network Interface Card)、モデム等により構成され、画像装置10、読影端末30、フィルム出力装置40の各外部装置と通信ネットワークNを介してデータの送受信を行う。
【0029】
プログラムメモリ25は、システムプログラム、合成出力処理プログラム等の各種制御プログラムや、それらプログラムの実行に必要なパラメータ、或いはプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶する。
【0030】
画像メモリ26は、大容量メモリから構成され、撮影画像、或いは合成画像をデータベース化して記憶する。
【0031】
図1に戻り、他の装置について説明する。
読影端末30は、読影医が撮影画像を読影するための表示装置であり、LCD等の表示手段を備えて、制御装置20により配信された撮影画像の画像データを表示する。
【0032】
フィルム出力装置40は、制御装置20により配信された撮影画像をフィルム上に出力する出力手段である。フィルム出力装置40は、複数のサイズのフィルムに出力可能であり、制御装置20から撮影画像とともに受信された出力制御情報に従って、指定されたサイズのフィルムに指定された出力条件で撮影画像を出力する。
【0033】
次に、上記画像出力システム1の動作について説明する。
まず、画像出力システム1では、RIS、HIS等において発行された撮影オーダ情報に従って、技師の撮影操作により対象患者の撮影が行われる。本実施形態では、結合フィルムを作成するために3枚のカセッテを用いて撮影が行われたこととする。次いで、画像生成装置10において各カセッテから画像読取が行われて撮影画像のデータが生成される。生成された各撮影画像のデータは制御装置20に送信され、制御装置20では、各撮影画像と対応する撮影オーダ情報が検索され、当該撮影オーダ情報が画像に関する関連情報として撮影画像に付帯される。
【0034】
次いで、制御装置20では、各撮影画像から合成画像が生成され、その後、フィルムへの出力処理が行われる。以下、このときに制御装置20において実行される合成出力処理について、図3〜図9を参照して説明する。
【0035】
図3に、合成出力処理の流れを示す。
図3に示す合成出力処理では、まず制御部21の表示制御により合成画像を作成するための操作画面d1(図4参照)が表示され、操作画面d1では、図4に示すように各撮影画像g1〜g3がカーソルキーk1とともに表示部23上に表示される。また、これらの各撮影画像g1〜g3が縦に並べて合成された合成画像g4が制御部21により生成されて表示される(ステップS1)。
【0036】
表示当初は、単に各撮影画像が並べて配置されているのみであるが、この状態から技師により操作部22を介してカーソルキーk1が操作されると、制御部21の表示制御により撮影画像g1〜g3が上下左右に移動され、その移動に伴って合成画像g4における撮影画像g1〜g3の合成位置が移動される。よって、技師は、カーソルキーk1を操作して撮影画像g1〜g3の合成位置を移動させることにより、隣接する各撮影画像で重複して撮影された画像領域を重ね合わせるように、合成画像g4を調整することができる。
【0037】
また、操作画面d1では、合成画像の出力に使用するフィルムのサイズ及び向きを選択するための選択キーk3が設けられているととともに、使用するフィルム枚数を入力するための入力領域k4が設けられている。技師は、選択キーk3により所望のフィルムサイズ及び向きを選択操作するとともに、入力領域k4において出力したいフィルム枚数を入力する。本実施形態では、フィルム枚数として「3」枚が選択されたこととする。
【0038】
なお、予め制御部21において合成画像のサイズに基づき、出力可能なフィルムサイズを判断し、出力可能であると判断されたフィルムサイズのみ選択可能に選択キーk2が設けられることとする。また、技師により選択されたフィルムのサイズ及び向きから、入力されたフィルム枚数が過剰であるか否かを制御部21において判断し、過剰である場合はその旨警告表示し、再度フィルム枚数を入力させるものとする。
【0039】
上記設定画面d2において、操作部22によりフィルムのサイズ及び向き、フィルム枚数が選択操作され(ステップS2)、出力ボタンk2が押下操作されると、合成画像g4についてフィルムの出力範囲を設定するための設定画面d2(図5参照)が表示部23上に表示される。設定画面d2では、制御部21の表示制御により、合成画像g4とともに、その合成画像g4上にフィルムへの出力範囲を示す出力枠W1〜W3が表示される(ステップS3)。
【0040】
図6を参照して、出力枠W1〜W3について説明する。なお、各撮影画像が合成された合成方向において、合成を開始する端部を始端、合成を終了する端部を終端とする。
出力枠W1〜W3は、合成画像を分割して出力する分割領域を決定するためのものである。この出力枠W1〜W3には、予めフィルムに出力可能な出力範囲が定められており、出力枠W1〜W3は実際の出力範囲より小さいサイズに設定され、設定画面d2上で表示される。
【0041】
そして、設定画面d2では、このような出力枠W1〜W3を上下左右に移動させるためのカーソルキーk1が合成画像g4の周辺に表示される。技師により操作部22を介してカーソルキーk1が操作されると、制御部21により出力枠W1〜W3が上下左右に移動される。各出力枠W1〜W3は、始端側の出力枠W1から順にその位置が設定されていくが、位置設定の対象となっている出力枠に連動してその下部に位置する出力枠が移動する。
【0042】
例えば、図7(a)に示すように、出力枠W1について出力位置を設定する場合、出力枠W1を移動操作すると、他の出力枠W2、3が出力枠W1の移動に伴って移動する。そして、出力枠W1の位置が設定され、固定されると、図7(b)に示すように、次に出力枠W2が自由に移動操作可能となり、この出力枠W2の移動に伴って出力枠W3が移動する。なお、現在位置の設定対象となっている出力枠を技師が識別できるように、制御部21の表示制御により、設定画面d2では、現在位置設定の対象となっている出力枠は実線で、対象外の出力枠は点線で表示させる。
【0043】
技師は、移動後の出力枠W1〜W3の位置を見てさらに移動が必要であればカーソルキーk1を操作する。そして、出力枠W1〜W3により出力範囲を確認して、その出力範囲で出力するか否かを決定し、フィルムへ出力する場合はOKキーk5を押下し、出力を指示する。
【0044】
制御部21では、カーソルキーk1の操作に応じた出力枠W1〜W3の移動が繰り返され、移動の操作が終了すると、制御部21により各出力枠W1〜W3の位置が移動後の位置に固定される(ステップS4)。その後、OKキーk5が押下操作され、フィルムへの出力指示がなされると、合成画像から各出力枠W1〜W3に定められた出力範囲内の画像が抽出され、当該抽出された画像上に出力枠W1〜W3に対応する分割領域とその他の領域の境界を示すカットラインのマーカ画像が合成され、これが出力画像としてフィルム出力装置40に出力される。このとき、制御部21によりフィルムサイズや向き等の出力条件を指示する出力制御情報が生成され、出力画像とともにフィルム出力装置40に送信される(ステップS5)。フィルム出力装置40では、出力制御情報に従って、出力画像がフィルム上に出力される。
【0045】
図8を参照して、出力画像のフィルム出力について説明する。
図8(a)に示すように、出力枠W1〜W3(図中、実線で示す)の位置が設定された場合、各出力枠により決定される出力範囲(図中、点線で囲む領域)内の画像が合成画像から抽出されてフィルムに順次出力される。
図8(b)に、出力されたフィルム例を示す。各フィルムF1〜F3には、フィルム全体に出力範囲内の合成画像が出力されており、出力枠W1〜W3に対応する分割領域とその他の領域との境界に、つまり出力枠W1〜W3の先端及び後端のエッジに、カットラインが出力されている。
【0046】
よって、技師は、このカットラインに沿ってフィルムF1〜F3を裁断して分割領域以外の領域を除去後、フィルムF1〜F3の先端又は後端を合成方向に結合することにより、図8(c)に示すように、合成画像が再生された結合フィルムF4を作成することができる。
【0047】
なお、出力枠W1〜W3により分割領域とその他の領域との境界を示す指標となるのであれば、カットラインではなく、図9に示すように、枠内画像の領域以外は全て黒く塗りつぶす、或いは何も出力せず低濃度とするように制御部21において画像処理を施した後、出力することとしてもよい。この場合、技師は黒く塗りつぶされた、或いは低濃度の領域と、分割領域との境界部分を目印として裁断し、黒く塗りつぶされた、或いは低濃度の領域を除去後、フィルムF1〜F3を結合して結合フィルムF4を作成すればよい。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、合成画像を分割して複数のフィルムに出力する際に、実際の出力範囲より小さいサイズの出力枠W1〜W3を合成画像上に表示させる。そして合成画像から出力枠W1〜W3により決定された出力範囲内の画像を抽出し、当該抽出画像上に出力枠W1〜W3に対応する分割領域とその他の領域との境界を示すカットラインのマーカ画像を合成し、これをフィルム出力装置40によりフィルム出力させる。これにより、技師はフィルム上に表示されたカットラインに沿ってフィルムF1〜F3を正確な位置で裁断することができる。また、裁断部分もカットラインに沿って直線とすることができ、フィルム同士を正確に結合して、容易に、かつ正確に合成画像を再生することができる。
【0049】
フィルム上には、常に画像が正立して出力されるとは限らず、画像の書き出し位置のズレや、フィルムの位置ズレにより、フィルムに対して画像が若干傾斜して出力される場合もある。このような場合には、上記のように分割領域のみが得られるようにフィルムを裁断することにより、正確に合成画像を再現することができる。
【0050】
また、フィルム出力装置40によっては、出力するフィルム全てに無条件に非画像領域を設け、撮影条件等の各種情報を画像とともに出力するものがある。このような場合、始端と終端のフィルムにより挟まれる中央部分のフィルムについては、非画像領域部分を裁断して除去しなければならないため、技師の作業が煩雑となる。しかし、本発明によれば、出力枠W1〜W3により抽出される分割領域以外は裁断されるようにカットラインを出力するので、非画像領域が設けられている場合であっても、カットラインに沿って裁断することにより不要な領域として除去することができる。
【0051】
また、出力枠W1〜W3を、実際の出力範囲より小さいサイズで表示するので、各出力枠W1〜W3を別々に移動操作可能な構成とすることができる。出力枠W1〜W3が実際の出力範囲と同じサイズで表示された場合、各出力枠W1〜W3についてそれぞれ別に移動操作可能とすると、技師の操作ミスにより出力枠間で隙間が生じた場合、その隙間の領域の画像は出力されなくなってしまい、合成画像は正確に再現されなくなる。よって、この場合には、出力枠W1〜W3は常に一体としてその位置を設定しなければならない。しかし、出力枠W1〜W3が実際の出力範囲より小さく表示された場合、実際の出力範囲に対して遊びの部分が生じる。よって、技師の操作ミスにより各出力枠W1〜W3間に隙間が生じた場合でも、フィルム出力時には出力枠W1〜W3より大きい出力範囲でフィルム出力されるので、操作ミスによる隙間の領域が実際の出力範囲内に収まっていれば、合成画像の部分的な出力漏れはなくなる。
【0052】
なお、本実施形態における画像出力システム1は、本発明を適用した好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、合成画像は技師の操作によりその合成位置を調整できることとしたが、制御装置20側で合成画像を画像解析して重ね合わせる合成位置を判別し、当該合成位置で各撮影画像を自動的に合成することとしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、制御装置20において表示制御手段及び出力制御手段を実現することとしたが、これに限らず、読影端末30等の他の装置で実現することとしてもよいし、別途これらの手段を実現するための独立装置を設けることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施の形態における画像出力システムのシステム構成を示す図である。
【図2】制御装置の内部構成を示す図である。
【図3】制御装置により実行される合成出力処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】表示部に表示される操作画面例を示す図である。
【図5】表示部に表示される設定画面例を示す図である。
【図6】出力枠のサイズについて説明する図である。
【図7】出力枠の移動操作について説明する図である。
【図8】(a)は出力枠の設定例を示す図であり、(b)はカットラインが出力されたフィルム例を示す図であり、(c)はカットラインで裁断されたフィルムにより作成された結合フィルム例を示す図である。
【図9】裁断により除去する領域が黒く塗りつぶされたフィルム例を示す図である。
【図10】従来の結合フィルムの作成方法について説明する図である。
【符号の説明】
【0055】
1 画像出力システム
10 画像生成装置
20 制御装置
21 制御部
22 操作部
23 表示部
24 通信部
25 プログラムメモリ
26 画像メモリ
30 読影端末
40 フィルム出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を複数領域に分けて撮影することにより得られた各撮影画像を用いて被写体に対応する合成画像を生成する合成画像生成手段と、その合成画像を複数のシート状記録媒体に分割して出力する出力手段とを備えた画像出力システムにおいて、
前記合成画像を表示する表示手段と、
前記表示された合成画像上に、記録媒体へ分割して出力する分割領域を示し、当該分割領域より大きい出力範囲が定められている出力枠を表示させる表示制御手段と、
前記出力枠の移動操作を行うための操作手段と、
前記移動された位置で出力枠に定められた出力範囲内の合成画像を前記出力手段により記録媒体上に出力させるとともに、当該出力範囲内の合成画像上に前記出力枠により示される分割領域の境界を示す指標を出力させる出力制御手段と、
を備えることを特徴とする画像出力システム。
【請求項2】
前記出力制御手段は、前記指標として、前記出力枠に対応する画像領域とその他の領域との境界を示すマーカ画像を当該合成画像とともに出力させることを特徴とする請求項1に記載の画像出力システム。
【請求項3】
前記出力制御手段は、前記指標として、前記出力枠に対応する画像領域以外の領域に所定の画像処理を施して出力させることを特徴とする請求項1に記載の画像出力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−175136(P2006−175136A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373803(P2004−373803)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】