説明

画像形成装置、画像形成方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】記憶された画像情報を印刷部が故障していない他機に送信して印刷を指示する画像形成装置、画像形成方法、プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】MFP1は、印刷ジョブが与えられると、自機の印刷部が故障していないかどうかを確認し、自機の印刷ジョブ数を確認し、故障判断部に印刷部が故障していないMFPがあるかを調べさせる。印刷部が故障していない他機であるMFP2が見つかると、データ送信部にMFP2に画像データを送信させ、画像データを、MFP2に送信し、印刷命令を出す。全ての機器が故障中である場合、一定の間隔で故障から回復した機器があるかどうか確認し、回復した機器が見つかり、自機であるか確認したら自機の印刷部が一番最初に修理された場合、自機で印刷し、先にMFP2の印刷部が修理されると画像データをMFP2の印刷部から印刷させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自機以外の複写機とネットワークで接続されているネットワークの印刷を管理する画像形成装置、画像形成方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、学校やオフィス環境において、資源としてのプリント機能を有するデジタル複写機やプリンタの有効利用を図るため、プリント機能を有する複数の機器ワークステーションなどの情報処理装置と相互に接続する、いわゆるLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)などのネットワークシステムを構築することが行われている。
【0003】
この種のネットワークシステムに接続されている複写機としては、ワークステーション等で作成した原稿のデータ等を印刷したりコピーしたりするためデジタル複写機や複写機能やファクシミリ機能、プリント機能およびスキャナ機能を有するデジタル複合機が使用されている。この種のデジタル複合機でワークステーション等で作成した原稿のデータ等を印刷する場合は、生産性または処理量を増やすと共に、プリンタまたはスキャナの休止時間を短縮したいというオペレータの希望に応じて、操作される。このオペレータの願望である、生産性や処理量を増やすことや、その一方で印刷時間を短縮することなどを目指して、様々な発明が開示されている。
【0004】
例えば特許文献1では、ソフトウェアにより制御されるバックグラウンド機能に発生する故障をオペレータに対して表示し、故障を一掃するためにオペレータに命令が可能な場合に代替のシステム機能を使ってどの様にジョブを行うことが出来るかを助言し、メニューにオペレータに対するその様な指示を包含し、関連する他の全ての故障を、故障記述、故障が発生したページ、故障コード、及びこれらの他の故障についての除去の手順と共に表示している。また、このシステムは、故障の発生について該システムを監視し、システムに送られるジョブの処理及び印刷に先立ってその故障のことをオペレータに知らせ、ジョブに故障が発生した場合にオペレータの介在無しで他のジョブをシステムが処理することを許し、ユーザインタフェース上のメニューに設けられることの出来る指示の表示によって該故障の修正に関する情報をオペレータに提供し、該印刷システムの最大効率と抵触しない時に該故障をオペレータが修正するのを許すことが可能な電子リプログラフィー・システムを提供している。この文献において、「プリント・ジョブ」又は「ジョブ」は、1つ又は複数の文書から構成され、ジョブ・パラメータ(処理の記述)を含むものである。
【0005】
また特許文献2のように、従来、この種の印刷装置として、複数の拡張コントローラボードを拡張ボードとして任意に増設することができるものが知られている。このような印刷装置では、拡張コントローラなどの故障が起動時の自己診断で発見された場合、その時点でパネルなどにその旨を表示して印刷装置を一切使えなくすることが通常であった。しかしながら、上記従来の印刷装置では、拡張コントローラが1つでも故障している場合、印刷装置として全く利用できなくなり、大変不便であった。そこで、故障した拡張コントローラボードが接続されていたとしても、自動的にそれを排除して印刷処理を行うことができる印刷装置、故障処理方法および記憶媒体が提供されている。
【0006】
特許文献3では、ネットワークを介して印刷サービスセンタと通信可能な印刷装置のジョブ転送システムにおいて、印刷装置が故障した場合に、印刷装置に出力要求している印刷ジョブを印刷サービスセンタに転送する。これにより、印刷サービスシステムは、顧客の印刷装置が故障した場合に、故障した印刷装置に出力要求している印刷ジョブをネットワークを介して速やかに印刷サービスセンタに転送できる。ジョブ転送システムは、印刷装置に印刷不良が生じた場合に、印刷不良が印刷装置の故障により生じたか否かを検知する不良検知部と、不良検知部が印刷装置の故障を検知した場合に、印刷ジョブを印刷サービスセンタに送信するデータ送信部とを備えてもよい。これにより、ジョブ転送システムは、印刷装置が故障したことを確認してから、印刷ジョブを印刷サービスセンタシステムに送信できる。不良検知部は、印刷不良が印刷装置の消耗品の消耗により生じたか、または印刷装置への操作不良により生じたかを検知し、ジョブ転送システムは、不良検知部が消耗品の消耗を検知した場合に、消耗品の購入を案内する購入案内を表示する購入案内表示部と、不良検知部が操作不良を検知した場合に、操作不良の改善を案内する操作案内部とをさらに備えてもよい。これにより、ジョブ転送システムは、記録装置に生じた印刷不良の原因に応じて、顧客に対してその対処を明確に示すことができる。また、ネットワーク経由で顧客の印刷要求を受け付ける印刷サービスセンタシステムは、顧客の印刷装置からネットワーク経由で送られてきた印刷ジョブを実行し、出力された印刷物を顧客へ配送するよう指示する。これにより、印刷サービスセンタシステムは、顧客から要求された印刷を速やかに代行し、かつ、出力された印刷物を確実に顧客へ配送できる。さらに、ネットワークに接続された印刷装置の印刷リカバリーシステムにおいて、ジョブ転送システムは、印刷装置の型式を識別する型式識別情報を取得する型式識別情報取得部と、印刷装置が故障した場合、印刷装置に出力要求している印刷ジョブに型式識別情報を添付する型式識別情報添付部と、型式識別情報を添付した印刷ジョブを印刷サービスセンタに送信するデータ送信部とを備え、印刷サービスセンタシステムは、印刷可能な代理印刷装置の型式識別情報を装置識別情報に対応付けて格納する代理印刷装置型式格納部を備え、送信された型式識別情報に基づいて、同一の型式または同等の機能を有する代理印刷装置を選択し、代理印刷を行う。これにより、印刷リカバリーシステムは、顧客の印刷装置が故障した場合に、故障した印刷装置に出力要求している印刷ジョブを、ネットワークを介して速やかに印刷サービスセンタに転送でき、かつ、印刷装置と同じ機能を有する代理印刷装置で代理印刷するので、代理印刷した印刷物の質を保証できるジョブ転送システムおよび印刷サ−ビスセンタシステム、ならびにこれらのシステムに用いられる装置、方法およびプログラムを提供している。
【0007】
特許文献4では、プリント機能を有する少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続された複写機において、自機の印刷手段が故障しているかどうか判断する手段と、 この判断する手段によって故障が生じていると判断されたときに、原稿を読み取る手段によって原稿の読み取りを実行させる手段と、読み込まれた画像情報を記憶する手段と、 前記印刷手段が故障から回復したときに、前記記憶する手段から前記画像情報を読み出して印刷を実行させる手段と、前記印刷手段があらかじめ設定された時間経過しても故障から回復しないときに、ネットワークに接続された前記他機に前記画像情報を送信し、送信した他機に対して印刷を指示する手段とを備えていることを特徴とする複写機が提案されている。
【特許文献1】特許第3340450号公報
【特許文献2】特開平11−348390号公報
【特許文献3】特開2004−295785号公報
【特許文献4】特許第3479407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、複写機に故障があった際に、オペレータに故障を通知して、そのジョブをどうするかを判断させるというものであるが、これでは、オペレータは常に故障が通知される画面の前にいなければならない上に、故障のない他の複写機を探すという手間がかかる。
【0009】
また、特許文献2では、複写機に故障があった際に、自動的に故障していない部分だけを利用した印刷をするというものであるが、これでは、印刷機能が故障した際に印刷をすることができなくなり、オペレータはその際には手動で複写機を切り替える手間がかかる。
【0010】
特許文献3では、サービスセンタで複写機の故障を監視していて、複写機に故障があった際に、サービスセンタでジョブをどのように処理するかを検討して別の複写機から印刷したり、サービスセンタで印刷して顧客に配送したりするものであるが、これでは、サービスセンタ設置の費用がかかる上に、サービスセンタで印刷してから配送するのでは、印刷物を得るまでにタイムラグが生じてしまう。
【0011】
また、特許文献4では、複写機の故障が一定時間内に修復されない場合に、ジョブを他の複写機に投げるというものであり、ジョブが複数溜まっている場合は全てのジョブが終わるまで印刷を待つことになる。
【0012】
そこで本発明は、原稿の画像情報を読み取り、印刷し、前記画像情報を記憶し、自機と他機が故障中であるかどうかを判断し、自機が故障中であると判断されたときに、記憶しておいた画像情報を他機に送信し、全ての機器が故障中であると判断された場合に、故障から回復した最初の機器に、画像情報を送信し、印刷するように指示する画像形成装置、画像形成方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続された画像形成装置であって、原稿の画像情報を読み取る読取手段と、前記原稿を印刷する印刷手段と、前記原稿の前記画像情報を記憶する記憶手段と、印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信手段と、自機と他機との前記印刷手段が故障中であるかどうかを判断する故障判断手段と、前記故障判断手段によって自機が故障中であると判断された場合に、前記記憶手段により記憶された前記画像情報を他機に送信する画像情報送信手段と、前記故障判断手段によって全ての機器の前記印刷手段が故障中であると判断された場合に、前記印刷手段が故障から回復した最初の機器に、前記画像情報送信手段により、前記記憶手段によって記憶しておいた前記画像情報を送信し、前記印刷手段に印刷するように指示する印刷指示手段とを有する画像形成装置であることを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続された画像形成装置であって、原稿の画像情報を読み取る読取手段と、前記原稿を印刷する印刷手段と、前記原稿の画像情報を記憶する記憶手段と、印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信手段と、自機と他機との前記印刷ジョブ完了までの時間を予測するジョブ完了時間予測手段と、自機と他機との印刷手段が故障中であるかどうかを判断する故障判断手段と、前記故障判断手段によって自機が故障中であると判断された場合に、前記記憶手段により記憶された前記画像情報を他機に送信する画像情報送信手段と、前記故障判断手段により、自機が故障中でないと判断された場合に、自機の印刷ジョブ終了までの時間がジョブ完了時間予測手段により予測した時間より長いときに、前記画像情報送信手段により、前記記憶手段によって記憶しておいた前記画像情報を前記印刷手段が故障していない他機に送信して印刷を指示する印刷指示手段とを有する画像形成装置であることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記印刷ジョブ送信手段は、自機を除いた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる他機に送信することを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記印刷ジョブ送信手段は、自機を含めた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる機器に送信することを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記印刷ジョブ送信手段は、全ての機器の印刷手段が故障している場合に、修理が最も早く終わった機器に前記印刷ジョブを送信することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記印刷ジョブ送信手段は、与えられた印刷ジョブがカラー印刷の場合に、カラー印刷可能な機器に前記印刷ジョブを送信することを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続された画像形成方法であって、原稿の画像情報を読み取る読取工程と、前記原稿を印刷する印刷工程と、前記原稿の前記画像情報を記憶する記憶工程と、印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信工程と、自機と他機とが故障中であるかどうかを判断する故障判断工程と、前記故障判断工程によって自機が故障中であると判断された場合に、自機により記憶された前記画像情報を他機に送信する画像情報送信工程と、前記故障判断工程によって全ての機器が故障中であると判断された場合に、故障から回復した最初の機器に、前記画像情報送信工程により、前記記憶工程によって記憶しておいた前記画像情報を送信し、印刷するように指示する印刷指示工程とを有する画像形成方法であることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続された画像形成方法であって、原稿の画像情報を読み取る読取工程と、前記原稿を印刷する印刷工程と、前記原稿の画像情報を記憶する記憶工程と、印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信工程と、自機と他機の前記印刷ジョブ完了までの時間を予測するジョブ完了時間予測工程と、自機と他機が故障中であるかどうかを判断する故障判断工程と、前記故障判断工程によって自機が故障中であると判断された場合に、前記記憶工程により記憶された前記画像情報を他機に送信する画像情報送信工程と、前記故障判断工程により、自機が故障中でないと判断された場合に、自機の印刷ジョブ終了までの時間がジョブ完了時間予測工程により予測した時間より長いときに、前記画像情報送信工程により、前記記憶工程によって記憶しておいた前記画像情報を他機に送信して印刷を指示する印刷指示工程とを有する画像形成方法であることを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成方法において、前記印刷ジョブ送信工程は、自機を除いた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる他機に送信することを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成方法において、前記印刷ジョブ送信工程は、自機を含めた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる機器に送信する工程を有することを特徴とする。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項7から10のいずれか1項に記載の画像形成方法において、前記印刷ジョブ送信工程は、全ての機器の印刷手段が故障している場合に、修理が最も早く終わった機器に前記印刷ジョブを送信することを特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項7から11のいずれか1項に記載の画像形成方法において、前記印刷ジョブ送信工程は、与えられた印刷ジョブがカラー印刷の場合に、カラー印刷可能な機器に前記印刷ジョブを送信することを特徴とする。
【0025】
請求項13に記載の発明は、少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続されたプログラムであって、原稿の画像情報を読み取る読取処理と、前記原稿を印刷する印刷処理と、前記原稿の前記画像情報を記憶する記憶処理と、印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信処理と、自機と他機とが故障中であるかどうかを判断する故障判断処理と、
前記故障判断処理によって自機が故障中であると判断された場合に、自機により記憶された前記画像情報を他機に送信する画像情報送信処理と、前記故障判断処理によって全ての機器が故障中であると判断された場合に、故障から回復した最初の機器に、前記画像情報送信処理により、前記記憶処理によって記憶しておいた前記画像情報を送信し、印刷するように指示する印刷指示処理とをコンピュータに実行させるプログラムであることを特徴とする。
【0026】
請求項14に記載の発明は、少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続されたプログラムであって、原稿の画像情報を読み取る読取処理と、前記原稿を印刷する印刷処理と、前記原稿の画像情報を記憶する記憶処理と、印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信処理と、自機と他機の前記印刷ジョブ完了までの時間を予測するジョブ完了時間予測処理と、自機と他機が故障中であるかどうかを判断する故障判断処理と、前記故障判断処理によって自機が故障中であると判断されたときに、前記記憶工程により記憶しておいた前記画像情報を他機に送信する画像情報送信処理と、前記故障判断処理により、自機が故障中でないと判断された場合に、自機の印刷ジョブ終了までの時間がジョブ完了時間予測処理により予測した時間より長いときに、前記画像情報送信処理により、前記記憶処理によって記憶しておいた前記画像情報を他機に送信して印刷を指示する印刷指示処理とをコンピュータに実行させるプログラムであることを特徴とする。
【0027】
請求項15に記載の発明は、請求項13に記載のプログラムにおいて、前記印刷ジョブ送信処理は、自機を除いた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる他機に送信する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0028】
請求項16に記載の発明は、請求項14に記載のプログラムにおいて、前記印刷ジョブ送信処理は、自機を含めた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる機器に送信する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0029】
請求項17に記載の発明は、請求項13から16のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、前記印刷ジョブ送信処理は、全ての機器の印刷手段が故障している場合に、修理が最も早く終わった機器に前記印刷ジョブを送信する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0030】
請求項18に記載の発明は、請求項13から17のいずれか1項に記載のプログラムにおいて、前記印刷ジョブ送信処理は、与えられた印刷ジョブがカラー印刷の場合に、カラー印刷可能な機器に前記印刷ジョブを送信する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0031】
請求項19に記載の発明は、請求項13から18のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、自機に故障があった場合や複数のジョブが溜まっている、または同時にジョブを投げた場合に修理や他の人の印刷が終了するのを待つことなく、ジョブを他機に投げることができ、しかも一番早く印刷できる機器に自動的にジョブを送信することで、速やかに印刷物を得る画像形成装置、画像形成方法、プログラムおよび記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を用いて本発明を実施する上での最良の形態について説明する。なお本実施形態では画像形成装置として、複写機またはデジタル複合機を用いて説明する。
【0034】
図1を用いて、本実施形態の複写機のジョブ転送のシステムについて簡潔に説明する。図1は、本実施形態の複写機のジョブ転送印刷のイメージを示す図である。
【0035】
本実施形態で用いる印刷ジョブとは、原稿の読み取りによる印刷命令や、電子データの印刷命令などを示す。本実施形態の複写機とは、多機能プリンタを示す。ここで言う多機能プリンタとは、スキャン、FAX、コピー、プリンタ機能を統合的に搭載している印刷装置を示す。また、図1に示す複写機(MFP)は全て同様の構成要素を持っている。本実施形態のジョブ転送印刷のイメージは、図1に示すように、自機に故障している場合やジョブが集中した場合に、ジョブを他の故障していない機器にジョブを投げるというシステムである。
【0036】
本実施形態における複写機を有する分散処理システムついて図3を用いて説明する。図3は、本実施形態における分散処理システムを示すブロック図である。本実施形態では、複数の複写機を用いて処理を行なう分散処理システムを用いる。
【0037】
本実施形態の分散処理システムは、ネットワーク101と、PC(パーソナルコンピュータ)100と、プリンタ103と、スキャナ104と、複合機(MFP−Multi Function Printer)7と、ブローカ106(サービス統括制御装置)とを有する。複合機1(MFP1)、複合機2(MFP2)は、プリント機能、複写機能、ファクシミリ機能およびスキャナ機能などを一体に備えた装置であり、ブローカ106は、ネットワーク101に接続されている機器が有する機能情報を維持、管理し、クライアントとサーバの接続を確立する役目を請け負うミドルウエアである。ブローカ106は、CPU102と、ROM105と、RAM107と、通信制御網109と、機能情報データベース1064とを有し、PC100上に構築されるのが一般的である。なお、CPU102は、ブローカ106の全体を管理し、ROM105にはCPU102の各種制御プログラムが格納され、RAM107はデータを記憶したり、CPU102のワークエリアとして機能する。また、通信制御網109は、ネットワーク101に接続されている各構成要素からサービスの要求があったとき、機能情報データベース1064に格納されている機能情報に基づいて、サービス可能な構成要素を選択し、構成要素間の回線を接続するという制御を行う。
【0038】
<ハードウエア構成>
本実施形態におけるハードウエア構成について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態における複合機のハードウエアの構成図を示す。
【0039】
図4に示すように、ネットワーク101に接続された複合機7は、複合機7全体の制御を司るCPU102の制御下にあるROM105と、RAM107と、NVRAM108と、操作パネル705と、スキャン/プリントエンジン706と、記憶装置707と、通信制御部109と、モデム709とを有する。操作パネル705はパネル制御部710を介して、スキャン/プリントエンジン706は、エンジン制御部711を介して、記憶装置707は、ディスク制御部712を介してそれぞれCPU701に接続される。
【0040】
ROM105にはプログラムコード、フォントおよびその他のスタティックな情報が格納され、RAM107はデータを保存したりCPU102のワークエリアとして機能し、一時的な記憶場所として利用される。NVRAM108には不揮発性の情報が格納される。操作パネル705とパネル制御部710は、ユーザとのインタフェイスを図るためのもので、ユーザからの指示が複合機7側(CPU102)に入力され、複合機7側からの情報が表示される。スキャン/プリントエンジン706およびエンジン制御部711は、イメージデータの入出力ユニットとして紙原稿の読み取りや紙への印刷を実行する。記憶装置707およびディスク制御装置712は大量のイメージデータを蓄積するときなどに使用される大容量蓄積デバイスである。通信制御部109はイーサネット(登録商標)などのネットワーク(LAN)101に接続され、外部機器との通信を可能とし、モデム709は公衆回線(WAN)と接続され、外部機器との通信を可能とする。
【0041】
<ソフトウエア構成>
複合機7に代表されるOA機器111のソフトウエア構成について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態におけるパーソナルコンピュータと複合機のソフトウエア構成図を示す。
【0042】
各種ドライバ112はハードウエア113を制御するためのインタフェイスを提供するものであり、リアルタイムOS114では、それらインタフェイスをタスク単位として捉え、それらタスクのスケジューリングや排他制御を実現し、システムコールあるいはアプリケーションAPI(以下、まとめて「API」と称する。)として提供され、このAPIを利用して各種マネージャ群がユーザ(クライアントに同義)とのインタフェイスを実現する。前記各種マネージャ群は、データベースマネージャ115と、サービスマネージャ116と、ジョブマネージャ117と、デバイスマネージャ118およびオペレーションマネージャ119とを有する。
【0043】
このうち、データベースマネージャ115は、OA機器111のリソース1151を管理、アクセスおよび保存するためのプロセスである。ここでリソース1151としては、図にも示しているが、フォント、外字、フォーム、読み取り画像、FAX受信データ、使用履歴データ、課金データなどがある。
【0044】
サービスマネージャ116は、各種サービスの管理、実行、完了通知、監視状態などを実行するプロセスである。なお、ここでいう各種サービスとは、プリンタサービス1161、スキャンサービス1162、FAXサービス1163およびAIサービス1164などである。
【0045】
ジョブマネージャ117は、ユーザが指定する1つのジョブが複数のサービスおよびデバイスによって遂行される場合、それらの1つの単位として状態管理、完了通知を実行するプロセスである。
【0046】
デバイスマネージャ118は、各種物理デバイスを使用するための管理、アクセス、状態監視、属性管理などを実行するプロセスで、各種物理デバイスとは、図6にて後述する印刷装置1181、スキャン装置1182、紙送り装置1183およびメディア装置1184などである。
【0047】
オペレーションマネージャ119は、OA機器111の操作パネル情報1191を有し、ユーザ側に操作パネル705の表示内容や操作内容をインタラクティブに通信するプロセスである。これによってユーザ側では、各種のマネージャ115〜119に対して情報取得、実行指示、状態取得および完了通知取得を行うことができる。
【0048】
<装置構成>
複合機7の装置構成について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態における複合機の構成の概観図を示す。
【0049】
この複合機7は、本実施形態の印刷手段に相当する印刷装置(プロッタ)1181、本実施形態の原稿を読取手段に相当するスキャン装置(スキャナ)1182、紙送り装置(ペーパーフィーダ、ペーパーソータ)1183、FAXモデム709などの物理デバイスと、外部記憶装置707、本実施形態の記憶手段に相当するメモリ(RAM703、NVRAM704)、フォントなどの物理リソースを有し、ユーザインタフェイスのための操作パネル1187を備えている。
【0050】
なお、図6において、1184は給紙トレイ、1185はドキュメントフィーダ、1186は排紙ビン、1187は操作パネルをそれぞれ示す。また、この実施形態では、排紙ビン1186は複数個(複数段)設けられ、排紙ビンごとの表示部およびロック機構が備えられている。
【0051】
(実施形態1)
本実施形態について図7を用いて説明する。図7は本実施形態における第1のフローチャート図を示す。
【0052】
MFP1は、印刷ジョブが与えられると(ステップS101)、自機の印刷部が故障していないかどうかを確認する(ステップS102)。故障をしていない場合には(ステップS102/NO)、自機の印刷ジョブ数を確認し(ステップS103)、あらかじめ設定されていた個数より多い場合には(ステップS103/YES)、故障判断部に印刷部が故障していないMFPがあるかを調べさせる(ステップS104)。自機が故障中の場合も(ステップS102/YES)、故障中でないMFPがあるかどうか調べる(ステップS104)。印刷ジョブ数が、あらかじめ設定されていた個数よりも少ない場合は(ステップS103/NO)、自機により印刷を行う(ステップS107)。
【0053】
印刷部が故障していない他機であるMFP2が見つかると(ステップS105)、故障判断部は、データ送信部にMFP2に画像データを送信するよう命令をする(ステップS106)。この際、印刷指示部には印刷命令を元のMFP2に送信するように命令する。そうすると、データ送信部は画像データ記憶部から読み取った画像データを取り出し、MFP2に送信し、印刷指示部はMFP2に印刷命令を出す。こうしてMFP1から送られた画像データは、MFP2に送信され、MFP2の印刷部から印刷される(ステップS107)。
【0054】
(実施形態2)
本実施形態について図8を用いて説明する。図8は本実施形態における第2のフローチャート図を示す。
【0055】
印刷ジョブが付与されると(ステップS201)、自機印刷手段が故障中であるかどうか判断される(ステップS202)。故障をしていない場合には(ステップS202/NO)、自機の印刷ジョブ数を確認する(ステップS203)。あらかじめ設定されていた個数より多い場合には(ステップS203/YES)、故障判断部に印刷部が故障していないMFPがあるかを調べさせる(ステップS204)。自機が故障中の場合も(ステップS202/YES)、故障中でないMFPがあるかどうか調べる(ステップS204)。印刷ジョブ数が、あらかじめ設定されていた個数よりも少ない場合は(ステップS203/NO)、自機により印刷を行う(ステップS211)。MFP1の印刷部だけでなく、MFP2の印刷部も故障していた場合(ステップS208)、故障判断部は、データ送信部に画像データを送らないように指示し、一定の間隔で故障から回復した機器があるかどうか確認する(ステップS209)。その回復した機器が見つかり、自機であるか確認し(ステップS210)、自機の印刷部が一番最初に修理された場合(ステップS210/YES)、自機で印刷する(ステップS211)。先にMFP2の印刷部が修理されると(ステップS210/NO)、実施形態1のように画像データと印刷命令をMFP2に送信することで(ステップS206)、画像データはMFP2の印刷部から印刷される(ステップS207)。
【0056】
本実施形態の複写機は、故障時に最も早く復旧した複写機を利用することで、最も早く印刷物を得ることができる複写機から自動的に印刷することができる。
【0057】
(実施形態3)
本実施形態について図9を用いて説明する。図9は本実施形態における第3のフローチャート図を示す。
【0058】
実施形態3は実施形態1に加えて、MFP1のジョブ終了予想部がMFP1とMFP2のジョブ終了時間を比較する(ステップS36)。
【0059】
印刷ジョブが付与されると(ステップS301)、自機印刷手段が故障中であるかどうか判断される(ステップS302)。故障をしていない場合には(ステップS302/NO)、自機の印刷ジョブ数を確認する(ステップS303)。あらかじめ設定されていた個数より多い場合には(ステップS303/YES)、故障判断部に印刷部が故障していないMFPがあるかを調べさせる(ステップS304)。(←実施形態2と同じ。)自機が故障中の場合も(ステップS302/YES)、故障中でないMFPがあるかどうか調べる(ステップS304)。印刷ジョブ数が、あらかじめ設定されていた個数よりも少ない場合は(ステップS303/NO)、自機により印刷を行う(ステップS308)。MFP1の方がジョブ終了が早い場合(ステップS306/YES)、MFP1の印刷ジョブが終わるのを待ってから(ステップS307)、MFP1の印刷部から印刷をする(ステップS308)。MFP2の方がジョブ終了が早い場合(ステップS306/NO)、画像データをMFP2に送信し(ステップS309)、MFP2の印刷部より印刷する(ステップS310)。
【0060】
本実施形態によれば、故障時に、ジョブが溜まっている場合に、最も早く印刷物を得ることができる複写機から自動的に印刷することができる。
【0061】
(実施形態4)
本実施形態について図10を用いて説明する。図10は本実施形態における第4のフローチャート図を示す。
【0062】
実施形態4は実施形態3に加えて、MFP1に与えられたジョブがMFP2に印刷可能かを判断する。
【0063】
印刷ジョブが付与されると(ステップS401)、自機印刷手段が故障中であるかどうか判断される(ステップS402)。故障をしていない場合には(ステップS402/NO)、自機の印刷ジョブ数を確認する(ステップS403)。あらかじめ設定されていた個数より多い場合には(ステップS403/YES)、故障判断部に印刷部が故障していないMFPがあるかを調べさせる(ステップS404)。自機が故障中の場合も(ステップS402/YES)、故障中でないMFPがあるかどうか調べる(ステップS404)。印刷ジョブ数が、あらかじめ設定されていた個数よりも少ない場合は(ステップS403/NO)、自機により印刷を行う(ステップS407)。故障中でない他機であるMFP2を確認されると(ステップS405)、MFP1に与えられたジョブがカラー印刷であるかを判断する(ステップS406)。カラー印刷でないと判断された場合(ステップS46/NO)、自機で印刷する(ステップS47)。
【0064】
ジョブ終了予想部は、MFP1に与えられたジョブがカラー印刷である場合に(ステップS46/YES)、MFP2の印刷部がカラー印刷可能であるかを判断する(ステップS48)。
【0065】
MFP2はカラー印刷可能でないため(ステップS408/NO)、MFP1の印刷部が利用可能になるまで印刷ジョブは待機する(ステップS409)。MFP1の印刷部から印刷する(ステップS407)。MFP2はカラー印刷可能である場合(ステップS408/YES)、MFP2により印刷を行う(ステップS410)。
【0066】
本実施形態のカラーの印刷ジョブは、カラー印刷可能な複写機から自動的に印刷することができる。
【0067】
本実施形態によれば、故障時に他の複写機から印刷することができるので、修理を待つことなく印刷物を得ることができる。
【0068】
本実施形態における複写機は、ジョブが溜まっている時に他の複写機から印刷することができるので、他のジョブの終了を待つことなく印刷物を得ることができる。
【0069】
(実施形態1から4の動作について)
実施形態1から4の動作について図1から図5を用いて詳細に説明する。図2は、本実施形態における自機と他機の関係をブロック図で示す。
【0070】
図2において、MFP1は、印刷指示部3と、ジョブ終了予想部4と、故障判断部5と、画像情報読み取り部6と、データ送信部8と、印刷部9と、画像データ記憶部10とを有する。印刷指示部3は、上述したエンジン制御部711にあたり、本実施形態で言う印刷実行手段のことである。画像データ記憶部10は、上述した本実施形態における記憶手段にあたり、ROM105、RAM107、NVRAM108などを有する。画像情報読み取り部6は、上述した本実施形態における読取手段にあたる。
【0071】
複写部数の入力がユーザによって、MFP1の操作パネル705から行われたとき、印刷ジョブが付与され、MFP1のCPU102は、ジョブ終了予想部4により、部数に応じて他機のプリント機能を利用した方が効率的であるかどうか判断し、効率的であると判断すれば、最も効率的なプリント方法を選択し、印刷指示部3によって印刷を実行させる。
【0072】
この選択に際しては、あらかじめMFP1は、他のプリント機能を有する機器、ここではプリンタ103、MFP2であるが、これらの機器に対して処理能力取得要求を出して各機器の処理能力、すなわち、印刷できるサイズ(A5,B5,A4,B4,A3など)、解像度(400dpi,600dpi,800dpiなど)および単位時間当たりの処理枚数(30ppm,50ppmなど)を取得し、これらを勘案して現在使用できるプリント機能を有する機器に、画像情報読み取り部6で読み取った画像情報をデータ送信部8によって送信する。画像情報を受け取った機器、例えばプリンタ103は、RAM107に受信した画像情報を画像データ記憶部8によって記憶し、順次、読み出して指令された部数を印刷部9により、印刷する。これにより、2つの機器で並行して印刷が行われることになる。当然、部数によっては、さらに他の複合機にも画像情報と印刷部数をデータ送信部8によって送信して、複数の機器で印刷を実行することもできる。
【0073】
その際、どの機器に印刷を依頼したかはユーザには分からないので、原稿を読み取った複合機2の操作パネル705の表示部に出力されている機器を表示し、コピー終了後、ユーザが迷うことなくコピーを取りに行くことができるようにする。
【0074】
なお、ここでは、複合機2から直接他の機器に通信して所定の動作を行うように制御しているが、ブローカ106を介して同様の制御を行うこともできる。このようにブローカ106を介すると、ブローカ106に各機器間の制御プログラムを格納して、各機器はブローカ106との間の通信機能さえ備えていればよいので、拡張性に優れた構成となる。
【0075】
また、あらかじめ並行印刷する機器に優先順位を付けておき、並行印刷する場合には、その優先順位に従ってアクセスし、使用できる機器を選択するように構成することもできる。
【0076】
(自機の印刷装置が故障している場合)
<他機による印刷>
自機であるMFP1の印刷部9が故障判断部5により故障中と判断され、MFP2の印刷部でコピーを行おうとしたときに、画像情報読み取り部6は正常に作動するが、印刷部が故障し、コピーが行えない場合がある。このような場合には、従来では、初めからコピー不可と表示し、もしくはコピーキーを赤表示してコピーができないことを示すようになっていることが多い。しかし、このような機器では、画像情報読み取り部6は正常に機能するので、原稿の読み取りは複合機2の画像情報読み取り部6によって行い、印刷を他の機器に代行させることもできる。
【0077】
このような場合には、CPU102はエンジン制御部711に正常か異常かを問い合わせ、正常ならば通常通り原稿を読み取って、読み取った画像情報に基づいて印刷させるが、異常ならば、プリント機能を有するプリンタ103、複合機7に、印刷できる状態かどうかを直接各機器に、もしくはブローカ106を介して問い合わせる。そして、印刷可能な機器があれば、その機器に読み取った原稿の画像情報を送信し、操作パネル705から入力した部数分出力させる。その際、前項で説明したように、一番能率的な方法を選択して出力するようにも構成することができる。
【0078】
<自機による印刷>
自機で印刷する場合、印刷機能が故障した場合、原稿の読み取りは自身の画像情報読み取り部6によって実行して、一旦、画像データ記憶部10で記憶し、印刷可能な機器が決まった時点で読み取った画像情報をデータ送信部8により、依頼する機器に転送して、印刷指示部3により、印刷を行わせるよう指示するように構成しているが、他の印刷機能を有する機器が、全て使用中であると印刷を依頼することはできなくなる。そこで、このような場合には、画像情報読み取り部6によって、原稿の読み取りを実行した後、読み取った画像情報は自機の画像データ記憶部10に保存しておき、自機の画像情報読み取り部6が故障から回復した時点で、自動的に印刷させる。この場合には、原稿読み取り後、すぐに複写物を得ることができる訳ではないが、システムとして最も短い時間で複写物を得ることができる。
【0079】
なお、ここでは、他機が全て使用中の場合として説明しているが、他機で印刷を実行させると、複写物を取りに他の場所に行く必要がでてくるので、特に急ぐ場合でなければ、最初から、他機の状態は関係なく自機の画像情報読み取り部6の回復を待って印刷するように設定することもできる。
【0080】
<故障が回復しない場合>
故障が回復しない場合では、自機の故障の回復を待って印刷するように構成されているが、自機があらかじめ設定された時間経過しても故障から回復しない場合、印刷がいつ行われるか分からなくなる。そこで、このような場合には、あらかじめ待ち時間を設定しておき、その設定した時間が経過しても画像情報読み取り部6が回復しなければ、他機にアクセスしてその使用可能な他機を選択し、当該他機にデータ送信部6により画像情報を転送して印刷させる。このように構成することによって、待ち時間を少なくして効率的に複写物を得ることができる。
【0081】
また、待ち時間と他機の状態を監視しておき、他機のプリント機能の使用が終了した時点で、その他機に対して読み取った画像情報を転送して印刷を実行させるようにすることもできる。これらの指示は、印刷指示部3により、操作パネル705に表示されたモードを選択して行われた後に指示される。
【0082】
<ウォーミングアップ中の読み取り時に、自機の読み取り部が使用できない場合>
画像情報読み取り部6の故障の他に機器の立ち上がり時の待ち時間がある。すなわち、使用開始時にメインスイッチをオンにした後、画像情報読み取り部6が使用可能になるまで、一般には、数分の時間がかかる。これは、定着装置が定着設定温度に上昇に安定した状態を保持するまでの時間であり、画像情報読み取り部6、すなわち、スキャン装置1182や画像データ記憶部10はこのような待ち時間が不要である。そこで、メインスイッチをオンにして複合機7を立ち上げた後、スキャン装置1182が使用可能になった時点で原稿を読み取らせ、読み取った画像情報を自機の画像データ記憶部10に保持させておく。そして、自機の印刷装置1181が使用可能になった時点で、印刷指示部3により、印刷を実行させ、複写物を得るようにする。
【0083】
なお、さらに急ぐ場合は、原稿を読み取った時点で使用可能か他機に読み取った画像情報を転送し、当該他機で印刷を実行するように設定することもできる。
【0084】
いずれにしてもこれらの機能は、操作パネル705からのユーザの入力により、ユーザの指示に応じて、もしくは自動的に選択され、実行される。
【0085】
本実施形態の複写機によれば、原稿を読み取らせた後、オペレータが複写機の側に待機していなくとも、画像情報読み取り部6が故障から回復したときに自動的に印刷が実行され、オペレータ(ユーザ)に無駄な時間を費やさせることはない。
【0086】
本実施形態によれば、印刷手段があらかじめ設定された時間経過しても故障から回復しないときに、ネットワークに接続された他機に画像情報を送信し、送信した他機に対して印刷を指示する手段を備えているので、あらかじめ設定した時間経過しても故障から回復しない場合にも、確実に複写物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施形態におけるジョブ転送印刷を示すイメージ図である。
【図2】本実施形態における自機と他機の関係を示すブロック図である。
【図3】本実施形態におけるネットワークシステムを示す接続図である。
【図4】本実施形態における複合機のハードウエアの構成を示す図である。
【図5】本実施形態におけるパーソナルコンピュータと複合機のソフトウエア構成を示す図である。
【図6】本実施形態における複合機の構成を示す概観図である。
【図7】本実施形態における第1のフローチャートを示す図である。
【図8】本実施形態における第2のフローチャートを示す図である。
【図9】本実施形態における第3のフローチャートを示す図である。
【図10】本実施形態における第4のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1 MFP1(複合機1)
2 MFP2(複合機2)
3 印刷指示部
4 ジョブ終了予想部
5 故障判断部
6 画像情報予想部
7 複合機
8 データ送信部
9 印刷部
10 画像データ記憶部
100 PC
101 ネットワーク
102 CPU
103 プリンタ
104 スキャナ
105 ROM
106 ブローカ
107 RAM
108 NVRAM
109 通信制御網
115 データベースマネージャ
116 サービスマネージャ
117 ジョブマネージャ
118 デバイスマネージャ
119 オペレーションマネージャ
705、1187 操作パネル
706、1182 スキャン/プリントエンジン
707 記憶装置
709 モデム
710 パネル制御網
711 エンジン制御部
712 ディスク制御部
1064 機能情報データベース
1181 印刷装置
1183 紙送り装置
1184 給紙トレイ
1185 ドキュメントフィーダ
1186 排紙ビン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続された画像形成装置であって、
原稿の画像情報を読み取る読取手段と、
前記原稿を印刷する印刷手段と、
前記原稿の前記画像情報を記憶する記憶手段と、
印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信手段と、
自機と他機との前記印刷手段が故障中であるかどうかを判断する故障判断手段と、
前記故障判断手段によって自機が故障中であると判断された場合に、前記記憶手段により記憶された前記画像情報を他機に送信する画像情報送信手段と、
前記故障判断手段によって全ての機器の前記印刷手段が故障中であると判断された場合に、前記印刷手段が故障から回復した最初の機器に、前記画像情報送信手段により、前記記憶手段によって記憶しておいた前記画像情報を送信し、前記印刷手段に印刷するように指示する印刷指示手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続された画像形成装置であって、
原稿の画像情報を読み取る読取手段と、
前記原稿を印刷する印刷手段と、
前記原稿の画像情報を記憶する記憶手段と、
印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信手段と、
自機と他機との前記印刷ジョブ完了までの時間を予測するジョブ完了時間予測手段と、
自機と他機との印刷手段が故障中であるかどうかを判断する故障判断手段と、
前記故障判断手段によって自機が故障中であると判断された場合に、前記記憶手段により記憶された前記画像情報を他機に送信する画像情報送信手段と、
前記故障判断手段により、自機が故障中でないと判断された場合に、自機の印刷ジョブ終了までの時間がジョブ完了時間予測手段により予測した時間より長いときに、前記画像情報送信手段により、前記記憶手段によって記憶しておいた前記画像情報を前記印刷手段が故障していない他機に送信して印刷を指示する印刷指示手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷ジョブ送信手段は、自機を除いた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる他機に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷ジョブ送信手段は、自機を含めた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる機器に送信することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷ジョブ送信手段は、全ての機器の印刷手段が故障している場合に、修理が最も早く終わった機器に前記印刷ジョブを送信することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷ジョブ送信手段は、与えられた印刷ジョブがカラー印刷の場合に、カラー印刷可能な機器に前記印刷ジョブを送信することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続された画像形成方法であって、
原稿の画像情報を読み取る読取工程と、
前記原稿を印刷する印刷工程と、
前記原稿の前記画像情報を記憶する記憶工程と、
印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信工程と、
自機と他機とが故障中であるかどうかを判断する故障判断工程と、
前記故障判断工程によって自機が故障中であると判断された場合に、自機により記憶された前記画像情報を他機に送信する画像情報送信工程と、
前記故障判断工程によって全ての機器が故障中であると判断された場合に、故障から回復した最初の機器に、前記画像情報送信工程により、前記記憶工程によって記憶しておいた前記画像情報を送信し、印刷するように指示する印刷指示工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続された画像形成方法であって、
原稿の画像情報を読み取る読取工程と、
前記原稿を印刷する印刷工程と、
前記原稿の画像情報を記憶する記憶工程と、
印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信工程と、
自機と他機の前記印刷ジョブ完了までの時間を予測するジョブ完了時間予測工程と、
自機と他機が故障中であるかどうかを判断する故障判断工程と、
前記故障判断工程によって自機が故障中であると判断された場合に、前記記憶工程により記憶された前記画像情報を他機に送信する画像情報送信工程と、
前記故障判断工程により、自機が故障中でないと判断された場合に、自機の印刷ジョブ終了までの時間がジョブ完了時間予測工程により予測した時間より長いときに、前記画像情報送信工程により、前記記憶工程によって記憶しておいた前記画像情報を他機に送信して印刷を指示する印刷指示工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
前記印刷ジョブ送信工程は、自機を除いた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる他機に送信することを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記印刷ジョブ送信工程は、自機を含めた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる機器に送信する工程を有することを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記印刷ジョブ送信工程は、全ての機器の印刷手段が故障している場合に、修理が最も早く終わった機器に前記印刷ジョブを送信することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記印刷ジョブ送信工程は、与えられた印刷ジョブがカラー印刷の場合に、カラー印刷可能な機器に前記印刷ジョブを送信することを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
【請求項13】
少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続されたプログラムであって、
原稿の画像情報を読み取る読取処理と、
前記原稿を印刷する印刷処理と、
前記原稿の前記画像情報を記憶する記憶処理と、
印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信処理と、
自機と他機とが故障中であるかどうかを判断する故障判断処理と、
前記故障判断処理によって自機が故障中であると判断された場合に、自機により記憶された前記画像情報を他機に送信する画像情報送信処理と、
前記故障判断処理によって全ての機器が故障中であると判断された場合に、故障から回復した最初の機器に、前記画像情報送信処理により、前記記憶処理によって記憶しておいた前記画像情報を送信し、印刷するように指示する印刷指示処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
少なくとも1つの他機にネットワークを介して接続されたプログラムであって、
原稿の画像情報を読み取る読取処理と、
前記原稿を印刷する印刷処理と、
前記原稿の画像情報を記憶する記憶処理と、
印刷ジョブを送信する印刷ジョブ送信処理と、
自機と他機の前記印刷ジョブ完了までの時間を予測するジョブ完了時間予測処理と、
自機と他機が故障中であるかどうかを判断する故障判断処理と、
前記故障判断処理によって自機が故障中であると判断されたときに、前記記憶工程により記憶しておいた前記画像情報を他機に送信する画像情報送信処理と、
前記故障判断処理により、自機が故障中でないと判断された場合に、自機の印刷ジョブ終了までの時間がジョブ完了時間予測処理により予測した時間より長いときに、前記画像情報送信処理により、前記記憶処理によって記憶しておいた前記画像情報を他機に送信して印刷を指示する印刷指示処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
前記印刷ジョブ送信処理は、自機を除いた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる他機に送信する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項16】
前記印刷ジョブ送信処理は、自機を含めた機器の中で前記印刷ジョブが最も早く終わる機器に送信する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項14に記載のプログラム。
【請求項17】
前記印刷ジョブ送信処理は、全ての機器の印刷手段が故障している場合に、修理が最も早く終わった機器に前記印刷ジョブを送信する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項18】
前記印刷ジョブ送信処理は、与えられた印刷ジョブがカラー印刷の場合に、カラー印刷可能な機器に前記印刷ジョブを送信する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項19】
請求項13から18のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−65788(P2008−65788A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246132(P2006−246132)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】