説明

画像形成装置および画像形成装置のキャリブレーション方法

【課題】 確実なキャリブレーション処理が可能で、過度なキャリブレーション処理の実行を抑える。
【解決手段】 補正値算出部9bは、所定の間隔枚数でキャリブレーション用補正値を算出する。履歴保存部5は、算出されたキャリブレーション用補正値に係る履歴データを保存する。判別部9cは、算出されたキャリブレーション用補正値の算出される毎に、当該キャリブレーション用補正値が直近の数回以下の保存キャリブレーション用補正値に対して差異を有するか否か判別する。判別部9cは、差異がないと判別されたときその間隔枚数を増加させ、又は差異があって間隔枚数が所定の基準値より多いときその間隔枚数を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置および画像形成装置のキャリブレーション方法に係り、特に、画像品質を維持するためのキャリブレーション機能を有するプリンタ、複写機又は複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等の画像形成装置およびこれに搭載されるキャリブレーション方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置、特にカラー画像形成装置においては、画像品質を維持するために、一定枚数を印刷(印字)した後、又は装置内の温度や湿度等の印刷環境が変化したとき、色合い調整や色ずれ調整(カラーレジストレーション)等のキャリブレーション動作を自動的に実行する機能を搭載し、印刷後の色再現性や色ずれが生じないようにしている。
【0003】
ところが、それらキャリブレーション機能の実行には一定期間が必要であり、その間は印刷動作を実行できず、ユーザに対して出力を待たせてしまう結果となる。
【0004】
そこで、例えば特開2005−111913号公報(特許文献1)の印刷制御装置が提案されている。
【0005】
すなわち、この特許文献1は、キャリブレーション機能を有する印刷装置であって、前回の前記キャリブレーション実行後の印刷枚数を測定する測定手段と、測定した印刷枚数が規定枚数に達したかを判定する判定手段と、現在の印刷、通信制御部が印刷データを受信していない時間を計る計測手段と、計測した時間がユーザの設定した時間に達したかを判定する判定手段と、この判定手段より印刷枚数が規定枚数に達したと判定し、かつ、その判定手段よりデータを受信していない時間が設定した時間に達成したと判定された場合、キャリブレーションを実行させる制御手段とを具備し、印刷実行時のキャリブレーションを起こりにくくしたものである。
【特許文献1】特開2005−111913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1では、一定時間印刷が行われないことを条件にキャリブレーション処理を行うため、一定時間毎に頻繁に印刷が行われるようなシステムでは、ユーザに待ち時間を多く与え易く、効果が半減するという問題がある一方、逆に、頻繁に印刷が行われ場合には、いつまでもキャリブレーション処理が行われずに画像品質の劣化が顕著になる難点がある。
【0007】
さらに、一定期間後にキャリブレーション処理が行われるため、ユーザが使用していない時に画像形成装置がスリープ状態にならず、消費電力を低下させて省電力化を図る観点から不利という問題がある。
【0008】
そこで、本発明者は、画像形成装置の動作や使い方、キャリブレーション処理等について鋭意観察検討を行った結果、ユーザの使用環境によってはキャリブレーション処理を行った結果、印刷条件の設定変更の必要がない場合があり得る点に着目し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、確実なキャリブレーション処理が可能で、過度なキャリブレーション処理の実行を抑えて速やかな画像形成処理の確保が可能な画像形成装置および画像形成装置のキャリブレーション方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのような課題を解決するために本発明の請求項1に係る画像形成装置は、キャリブレーション機能を有する画像形成装置であって、所定の間隔枚数でキャリブレーション用補正値を算出する補正値算出部と、算出されたキャリブレーション用補正値に係る履歴データを保存する履歴保存部と、算出されたキャリブレーション用補正値の算出される毎に、当該キャリブレーション用補正値が直近の数回以下の保存キャリブレーション用補正値に対して所定範囲を超えた差異を有するか否か判別し、その差異がないと判別されたとき、又は差異があって間隔枚数が所定の基準値より多いとき、その間隔枚数を可変する判別部と、を具備している。
【0011】
本発明の請求項2に係る画像形成装置は、上記判別部が、算出されたキャリブレーション用補正値と直近の数回以下の全ての保存キャリブレーション用補正値との差異を判別する構成を有している。
【0012】
本発明の請求項3に係る画像形成装置は、上記判別部が、そのキャリブレーション用補正値としての複数の全ての補正値が差異を有するか否か判別する構成を有している。
【0013】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、上記判別部が、その差異がないと判別したとき、その間隔枚数を増加させる構成を有している。
【0014】
本発明の請求項5に係る画像形成装置は、上記判別部が、その差異があって間隔枚数が所定の基準値より多いとき、その間隔枚数を減少させる構成を有している。
【0015】
本発明の請求項6に係る画像形成装置は、上記履歴データを表示する表示部と、可変枚数の入力設定を受ける入力部とを有し、上記判別部が、その入力部から入力された可変枚数に基づき上記間隔枚数を可変する構成を有している。
【0016】
本発明の請求項7に係る画像形成装置のキャリブレーション方法は、所定の間隔枚数でキャリブレーション用補正値を算出する補正値算出工程と、算出されたキャリブレーション用補正値に係る履歴データを保存する履歴保存工程と、算出されたキャリブレーション用補正値の算出される毎に、当該キャリブレーション用補正値が直近の数回以下の保存キャリブレーション用補正値に対して所定範囲を超えた差異を有するか否か判別し、その差異がないと判別されたとき、又は差異があって間隔枚数が所定の基準値より多いとき、その間隔枚数を可変する判別工程と、を具備している。
【0017】
本発明の請求項8に係る画像形成装置のキャリブレーション方法は、上記判別工程が、算出されたキャリブレーション用補正値と直近の数回以下の全ての保存キャリブレーション用補正値との差異を判別する構成を有している。
【0018】
本発明の請求項9に係る画像形成装置のキャリブレーション方法は、上記判別工程が、そのキャリブレーション用補正値としての複数の全ての補正値が差異を有するか否か判別する構成を有している。
【0019】
本発明の請求項10に係る画像形成装置のキャリブレーション方法は、上記判別工程が、その差異がないと判別したとき、その間隔枚数を増加させる構成を有している。
【0020】
本発明の請求項11に係る画像形成装置のキャリブレーション方法は、上記判別工程が、その差異があって間隔枚数が所定の基準値より多いとき、その間隔枚数を減少させる構成を有している。
【0021】
本発明の請求項12に係る画像形成装置のキャリブレーション方法は、上記履歴データを表示する表示工程と、可変枚数の入力設定を受け入力工程とを有し、上記判別工程が、入力された可変枚数に基づきその間隔枚数を可変する構成を有している。
【発明の効果】
【0022】
このような本発明の請求項1、7に係る画像形成装置およびキャリブレーション方法では、所定の間隔枚数でキャリブレーション用補正値を算出する毎に、これを保存するとともに、当該キャリブレーション用補正値が直近の数回以下の保存キャリブレーション用補正値に対して差異を有するか否か判別し、その差異がないと判別されたとき、又はその差異があって間隔枚数が所定の基準値より多いとき、その間隔枚数を可変するから、次回以降において、確実なキャリブレーション処理が可能で、過度なキャリブレーション処理の実行も抑えて速やかな画像形成処理の確保が可能である。
【0023】
本発明の請求項2、8に係る画像形成装置およびキャリブレーション方法では、算出されたキャリブレーション用補正値と直近の数回以下の全ての保存キャリブレーション用補正値との差異を判別するから、判別精度が良好である。
【0024】
本発明の請求項3、9に係る画像形成装置およびキャリブレーション方法では、そのキャリブレーション用補正値としての複数の全ての補正値が差異を有するか否か判別するから、種々のキャリブレーション機能の実行が可能である。
【0025】
本発明の請求項4、10に係る画像形成装置およびキャリブレーション方法では、その差異がないと判別したとき、その間隔枚数を増加させるから、過度なキャリブレーション処理の実行を確実に抑えることが可能である。
【0026】
本発明の請求項5、11に係る画像形成装置およびキャリブレーション方法では、その差異があって間隔枚数が所定の基準値より多いとき、その間隔枚数を減少させるから、効果的なキャリブレーション処理の実行を確保することが可能である。
【0027】
本発明の請求項6、12に係る画像形成装置およびキャリブレーション方法では、入力部から入力された可変枚数に基づき上記間隔枚数を可変するから、ユーザが外部からキャリブレーション処理間隔の可変が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る画像形成装置およびこれに用いるキャリブレーション方法の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本発明に係るキャリブレーション方法は本発明の画像形成装置を説明する過程で説明する。
【0029】
本発明の画像形成装置Aは、図1に示すように、主制御部1を中心にして画像読取部3、記憶部5、操作パネル部7、ASIC(application specific integrated circuit)部9および印刷部11を有し、例えば複合機(MFP)を構成している。なお、画像形成装置Aは、これ以外にも構成を有するが、本発明の要旨ではないので説明および図示を省略する。
【0030】
画像読取部3は、主制御部1の制御の下、例えば印刷された複数頁の原稿から画像を光学的に読み込み、フィルタ処理等をして電子的画像データを生成する公知のスキャナ等であり、図2中の本体ケース13の上部に配置され、頁毎の画像データを記憶部5に記憶制御されている。
【0031】
図1の記憶部5は、画像読取部3からの読取り印刷データ、後述するキャリブレーション用補正値の算出に必要な係数データ、印刷部11で用紙に印刷した印刷枚数、算出したキャリブレーション用補正値を含むこれに係る履歴データ、間隔枚数に係る基準値等を記憶する他、主制御部1の動作プログラムを記憶した読み書き可能な例えばハードディスクである。すなわち、記憶部5は、キャリブレーション用補正値に係る履歴データを保存する履歴保存部等としての機能を有している。
【0032】
図1の操作パネル部7は、図2の本体ケース13の上部に配置され、主制御部1の制御の下、例えば、種々の動作状態の表示が可能な表示部としての公知の液晶表示パネルと、装置の動作に係る画像が表示された箇所をタッチすることによって操作の受付ける入力部としての機能を有している。
【0033】
操作パネル部7は、例えば図3に示すように、印刷(コピー)処理、プリンタ処理、スキャナ処理、ファクシミリ送受信処理等の種々の操作指示や選択をする選択キー7aの他、それらの操作に係る設定項目の設定変更を入力する公知の例えばテンキー7b、スタートキー7cの他、装置の動作状況を表示する表示パネル部7d等を有するタッチ式キーボードを有している。入力情報は主制御部1に出力され、上述した履歴データや基準値等が表示パネル部7dに表示される。
【0034】
ASIC部9は、例えばいわゆるカスタムICであり、主制御部1の制御の下、印刷部11で印刷する印刷枚数をカウントするカウント部9aとしての機能、所定の間隔枚数毎にキャリブレーション用補正値を算出する補正値算出部9bとしての機能、算出されたキャリブレーション用補正値の算出される毎に、当該キャリブレーション用補正値が直近3回の保存キャリブレーション用補正値に対して差異を有するか否か判別し、その差異がないと判別されたとき、又はその差異があって間隔枚数が所定の基準値より多いとき、その間隔枚数を可変する判別部9cとしての機能を有している。
【0035】
すなわち、カウント部9aは、印刷部11で用紙に印刷する都度、印刷枚数をカウントアップして印刷枚数(カウント値)を記憶部5に更新保存する機能を有している。
【0036】
補正値算出部9bは、カウント部9aによってカウントされた印刷枚数が所定の間隔枚数に到達する都度、キャリブレーション用補正値を算出するとともに、その補正値を算出した日付、時間、印刷枚数(累積印刷枚数)および補正値を履歴データとして記憶部5にテーブル状にして更新保存する機能を有している。なお、補正値算出部9bによるキャリブレーション用補正値の算出は後述する。
【0037】
履歴データは、例えば間隔枚数Pが500枚に設定されていれば、図4に示すように、……、15000、15500、16000、16500、……毎に、日付、時間、印刷枚数および補正値を更新して作成される。
【0038】
判別部9cは、キャリブレーション用補正値の算出される毎に、当該キャリブレーション用補正値が直近3回の保存キャリブレーション用補正値に対して所定範囲を超えた差異を有するか否か判別し、その差異がないと判別したとき、その間隔枚数を増加(500枚に例えば250枚加算)変更して記憶部5に更新設定する機能を有している。
【0039】
そのため、次回のキャリブレーション用補正値の算出は、750枚(500枚+250枚)後に行われる。
【0040】
判別部9cは、3回の全てに差異があると判別しても、間隔枚数が所定の基準値(例えば250枚)より多いとき、その間隔枚数を減少(500枚から例えば250枚減算)変更して記憶部5に更新設定する機能を有している。
【0041】
そのため、次回のキャリブレーション用補正値の算出は、250枚(500枚−250枚)後に行われる。
【0042】
判別部9cは、3回のうち2回には差異がないと判別したとき、予め設定された間隔枚数P(500枚)のまま変更しないように機能する。
【0043】
印刷部11は、上述した図2に示すように、本体ケース13の下部に配置された大きさの異なるシート材15がセットされる複数の給紙部17(図中1個のみ示す。)と、画像データから印刷画像イメージデータに展開してトナーカセット19aからのトナーで転写(感光体)ドラム19bにトナー現像して中間転写ベルト21に転写する転写部19と、転写された中間転写ベルト21からトナー像の転写されたシート材15の転写画像を定着する定着部23と、定着されたシート材15を排紙する排紙部25等を有するカラー又はモノクロ印刷エンジンである。図2における転写部19は、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)およびブラック(K)のカラー用転写ドラムを有している。
【0044】
印刷部11は、印刷枚数が上述した間隔枚数に達したとき、例えば中間転写ベルト21や転写部19を調整し、色合い調整や色ずれ調整(カラーレジストレーション)等のキャリブレーション機能動作を実行するキャリブレーション実行部27を有している。
【0045】
キャリブレーション機能動作は、例えば図5に示すように、所定の印字パターン29を各色(M、C、Y、K)毎に転写部19で中間転写ベルト21に転写し、そのベルト21上に転写された印字パターン29を図2の検出用センサ部31で検出し、色(M、C、Y、K)毎の検出値をASIC部9に出力し、この検出値に基づき補正値を決定する。
【0046】
ASIC部9の補正値算出部9bは、予め記憶部5に設定された計数データに基づきカラー設定値との差を小さくするような補正値を算出し、上述したキャリブレーション用補正値を相対値や絶対値で求める機能を有している。
【0047】
図4の履歴データ中のキャリブレーション用補正値は、各色(M、C、Y、K)毎に「±0」は前回と変化なし、「+1」は1ステップ増加するような変化、「−1」は1ステップ減少するような変化で、次回のキャリブレーション用補正値を示している。
【0048】
主制御部1は、CPUやこのCPUの動作プログラムを格納したROM、演算動作用のRAMを有して形成されており、上述した画像読取部3、記憶部5、操作パネル部7、ASIC部9および印刷部11等を制御するとともに、複合機の図示しない機能部を制御している。
【0049】
次に、本発明の画像形成装置Aに係る動作を図6のフローチャートを参照して説明する。
【0050】
画像形成装置Aの電源が投入されてプログラムが開始されると、ステップS1でカウント部9aが印刷部11で印刷する印刷枚数をカウントしてキャリブレーション間隔枚数毎に到達したか否か判別し、到達せずにNOであれば到達するまで待機する。
【0051】
到達してステップS1がYESになれば、ステップS2にてキャリブレーション実行部27がキャリブレーション機能を実行し、ステップS3にて補正値算出部9bがキャリブレーション用補正値を算出し(補正値算出工程)、ステップS3にて補正値算出部9bが履歴データを記憶部5に保存する(履歴保存工程)。
【0052】
続く、ステップS5にて判別部9cが記憶部5に保存された前回および前々回のキャリブレーション用補正値と今回算出したキャリブレーション用補正値とを比較し、ステップS6にて判別部9cが所定範囲を超えない判別が3回連続している(補正の必要がない。)か否か判別する(判別工程)。
【0053】
3回とも補正が行われずにステップS6がYESであれば、ステップS7にて判別部9cが間隔枚数Pに例えば250を加算して記憶部5に変更設定し(判別工程)、ステップS1に戻る。
【0054】
この動作は、今回算出したキャリブレーション用補正値が直近の履歴データとの間で差異がない(補正の必要がない。)ので、頻繁にキャリブレーション動作を実行する必要がなくて、キャリブレーション動作のインターバルを長くする場合である。
【0055】
他方、その差異があってステップS6がNOであれば、ステップS8にて判別部9cが3回とも異なる補正値か否か判別し、3回とも異なる補正値であってステップS8がYESであれば、ステップS9にて間隔枚数Pが基準値より大きいか否か判別する(判別工程)。
【0056】
間隔枚数Pが基準値より大きくてステップS9がYESであれば、ステップS10にて間隔枚数P(500枚)から例えば最小値としての250枚を減算した間隔枚数P(250)を記憶部5に設定してステップS1に戻る(判別工程)。
【0057】
この動作は、今回算出したキャリブレーション用補正値が直近の履歴データとの間で差異が頻繁にあり、キャリブレーション動作をより短いインターバルで制御する場合である。
【0058】
そして、間隔枚数Pが基準値以下であってステップS9がNOであればそのままステップS1に戻る。
【0059】
さらに、3回のうち1回は異なる補正値ではなくてステップS8がNOであれば、ステップS11にて間隔枚数Pをそのまま記憶部5に更新してステップS1に戻る。
【0060】
これらの処理が本発明に係る画像形成装置のキャリブレーション方法に該当する。
【0061】
このように本発明の画像形成装置Aは、キャリブレーション動作を実行するキャリブレーション実行部27に加えて、所定の間隔枚数でキャリブレーション用補正値を算出する補正値算出部9bと、算出されたキャリブレーション用補正値に係る履歴データを保存する記憶部(履歴保存部)5と、算出されたキャリブレーション用補正値の算出される毎に、当該キャリブレーション用補正値が直近3回の保存キャリブレーション用補正値に対して差異を有するか否か判別し、その差異がないと判別されたときその間隔枚数を増加させ、又は差異があって間隔枚数が所定の基準値より多いときその間隔枚数を減少させる判別部9cと、を具備している。
【0062】
そのため、次回以降において、確実なキャリブレーション処理が可能で、その差異がないと判別したときその間隔枚数を増加させるから、過度なキャリブレーション処理の実行を確実に抑えて速やかな画像形成処理が可能である一方、その差異があって間隔枚数が所定の基準値より多いとき、その間隔枚数を減少させるから、効果的なキャリブレーション処理の実行を確保することが可能である。
【0063】
しかも、算出されたキャリブレーション用補正値と直近3回の全ての保存キャリブレーション用補正値との差異を判別するから、判別精度が良好であるし、そのキャリブレーション用補正値としての複数の全ての補正値が差異を有するか否か判別すれば、種々のキャリブレーション機能の実行が可能である。
【0064】
もっとも、本発明においては、直近3回の全てのキャリブレーション用補正値との差異を判別する構成に限定されず、少なくとも数回以下の保存キャリブレーション用補正値に対して差異を有するか否かを判別する構成であれば、本発明に目的達成が可能である。
【0065】
さらに、算出されたキャリブレーション用補正値と保存キャリブレーション用補正値との差異も、同一値でないとき差異があると判別する構成に限らず、誤差や許容範囲(例えば上述した±1)といった所定範囲を超えた差を差異とする構成も可能である。
【0066】
また、本発明においては、操作パネル部(表示部)7に、履歴データ等を表示する一方、操作パネル部(入力部)7から増減する可変枚数を入力し、この可変枚数に基づき間隔枚数を増減可変する構成も可能であるから、ユーザによる確認が可能で、ユーザが望む画像品質を得られように、ユーザが外部からキャリブレーション処理間隔を可変することが可能である。
【0067】
上述した実施の形態では、キャリブレーション処理の間隔枚数を±250枚単位で設定する構成であったが、本発明ではこれに限定されず、例えば図7に示すようなテーブルを用意し、操作パネル部(入力部)7から増減する可変枚数をステップ番号で入力設定し、キャリブレーション処理の間隔枚数を等間隔、等比的又は任意間隔で増減する構成も可能である。
【0068】
ところで、上述したカウント部9a、補正値算出部9bおよび判別部9cは、ASIC部9で形成する構成の他、主制御部1や任意の要素で構成可能である。
【0069】
また、本発明におけるキャリブレーション機能は、色合い調整や色ずれ調整(カラーレジストレーション)等の他、種々の画像調整を含むものである。
【0070】
なお、本発明に係る画像形成装置のキャリブレーション方法においても、本発明の画像形成装置と同様の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の内部構成を説明する概略構成図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の操作パネル部を説明する図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置における履歴データを説明する図である。
【図5】本発明における印字パターンを説明する図である。
【図6】本発明の画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明に係る画像形成装置における間隔枚数の他の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0072】
1 主制御部
3 画像読取部
5 記憶部(履歴保存部)
7 操作パネル部(入力部、表示部)
7a 選択キー(入力部)
7b テンキー(入力部)
7c スタートキー(入力部)
7d 表示パネル部(表示部)
9 ASIC部(カウント部、補正値算出部、判別部)
9a カウント部
9b 補正値算出部
9c 判別部
11 印刷部
13 本体ケース
15 シート材
17 給紙部
19 転写部
19a トナーカセット
19b 転写ドラム
21 中間転写ベルト
23 定着部
25 排紙部
27 キャリブレーション実行部
29 印字パターン
31 検出センサ
A 画像形成装置(複合機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリブレーション機能を有する画像形成装置であって、
所定の間隔枚数でキャリブレーション用補正値を算出する補正値算出部と、
算出された前記キャリブレーション用補正値に係る履歴データを保存する履歴保存部と、
算出された前記キャリブレーション用補正値の算出される毎に、当該キャリブレーション用補正値が直近の数回以下の保存キャリブレーション用補正値に対して所定範囲を超えた差異を有するか否か判別し、前記差異がないと判別されたとき、又は前記差異があって前記間隔枚数が所定の基準値より多いとき、前記間隔枚数を可変する判別部と、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判別部は、算出された前記キャリブレーション用補正値と直近の数回以下の全ての前記保存キャリブレーション用補正値との前記差異を判別する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判別部は、前記キャリブレーション用補正値としての複数の全ての補正値が前記差異を有するか否か判別する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判別部は、前記差異がないと判別したとき、前記間隔枚数を増加させる請求項1〜3いずれか1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記差異があって前記間隔枚数が所定の基準値より多いとき、前記間隔枚数を減少させる請求項1〜3いずれか1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記履歴データを表示する表示部と、可変枚数の入力設定を受ける入力部とを有し、前記判別部は、前記入力部から入力された前記可変枚数に基づき前記間隔枚数を可変する請求項1〜5いずれか1記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置のキャリブレーション方法であって、
所定の間隔枚数でキャリブレーション用補正値を算出する補正値算出工程と、
算出された前記キャリブレーション用補正値に係る履歴データを保存する履歴保存工程と、
算出された前記キャリブレーション用補正値の算出される毎に、当該キャリブレーション用補正値が直近の数回以下の保存キャリブレーション用補正値に対して所定範囲を超えた差異を有するか否か判別し、前記差異がないと判別されたとき、又は前記差異があって前記間隔枚数が所定の基準値より多いとき、前記間隔枚数を可変する判別工程と、
を具備することを特徴とする画像形成装置のキャリブレーション方法。
【請求項8】
前記判別工程は、算出された前記キャリブレーション用補正値と直近の数回以下の全ての前記保存キャリブレーション用補正値との前記差異を判別する請求項7記載の画像形成装置のキャリブレーション方法。
【請求項9】
前記判別工程は、前記キャリブレーション用補正値としての複数の全ての補正値が前記差異を有するか否か判別する請求項7又は8記載の画像形成装置のキャリブレーション方法。
【請求項10】
前記判別工程は、前記差異がないと判別したとき、前記間隔枚数を増加させる請求項7〜9いずれか1記載の画像形成装置のキャリブレーション方法。
【請求項11】
前記判別工程は、前記差異があって前記間隔枚数が所定の基準値より多いとき、前記間隔枚数を減少させる請求項7〜9いずれか1記載の画像形成装置のキャリブレーション方法。
【請求項12】
前記履歴データを表示する表示工程と、可変枚数の入力設定を受け入力工程とを有し、前記判別工程は、入力された前記可変枚数に基づき前記間隔枚数を可変する請求項7〜11いずれか1記載の画像形成装置のキャリブレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−141463(P2010−141463A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314072(P2008−314072)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】