説明

画像形成装置

【課題】 電源装置の低コスト化、小型化を図りつつ、複数のモータを適切に駆動し得るモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】 プリンタ1は、ポリゴンミラーへ回転駆動力を供給するスキャナモータ25と、ポリゴンミラー以外の被駆動体への駆動力を供給するメインモータ118とを備えている。スキャナモータ25の駆動に使用する第1最大電流値をA1とメインモータ118の駆動に使用する第2最大電流値をB1とを加算した値Cよりも電源手段の最大供給電流値Dのほうが小さくなるように構成されている。そして、スキャナモータ25とメインモータ118を駆動する際には、電流制御部232による制御により、スキャナモータ25に供給される電流値A2とメインモータ118に供給される電流値B2とを加算した加算電流値Eが、最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくともメインモータ118に供給される電流値B2を第2最大電流値B1よりも小さく抑えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のモータを駆動するモータ駆動装置が提供されている。このようなモータ駆動装置では、各モータにどの程度の電流を供給するのかが問題とされることが多い。例えば、特許文献1の技術では、あるモータが既に定常駆動状態にあるときに、さらに新たにモータを駆動する際、駆動装置から所定値以上の電流が供給されないように新たに駆動するモータへの電流供給量を抑制する技術が開示されている。
【特許文献1】特許第2905935号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このように複数のモータを備えた装置では、電源装置の設計において最大でどの程度の電流を供給可能とするのかが問題となる。その一例としては、例えば、全てのモータを同時に最大電流値で駆動できるような電源装置とすることが考えられる。しかしながら、供給可能となる電流量を大きくしようとすると、電源装置が大型化、高コスト化してしまうという問題がある。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、画像形成装置において電源装置の低コスト化、小型化を図りつつ、複数のモータを適切に駆動し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、ポリゴンミラーへ回転駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第1モータ手段と、前記ポリゴンミラー以外の被駆動体への駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第2モータ手段と、前記第1モータ手段及び前記第2モータ手段に電流を供給する電源手段と、を備えた画像形成装置であって、前記第1モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第1最大電流値をA1とし、前記第2モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第2最大電流値をB1とし、その第1最大電流値A1と第2最大電流値B1とを加算した値をCとし、さらに、前記電源手段から供給し得る最大供給電流値をDとした場合、前記電源手段は、D<Cとなるように構成されており、前記第1モータ手段に供給される電流値をA2とし、前記第2モータ手段に供給される電流値をB2とした場合に、それらA2とB2とを加算した加算電流値が、前記最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも前記第2モータ手段に供給される電流値B2を前記第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように制御を行う電流制御手段を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、ポリゴンミラーへ回転駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第1モータ手段と、現像剤担持体或いは搬送手段への駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第2モータ手段と、前記第1モータ手段及び前記第2モータ手段に電流を供給する電源手段と、を備えた画像形成装置であって、前記第1モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第1最大電流値をA1とし、前記第2モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第2最大電流値をB1とし、その第1最大電流値A1と第2最大電流値B1とを加算した値をCとし、さらに、前記電源手段から供給し得る最大供給電流値をDとした場合、前記電源手段は、D<Cとなるように構成されており、前記第1モータ手段に供給される電流値をA2とし、かつその回転を開始する際に前記第2モータ手段に供給される電流値をB2とした場合に、それらA2とB2とを加算した加算電流値が、前記最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも前記第2モータ手段に供給される電流値B2を前記第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように制御を行う電流制御手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、前記電流制御手段は、A2/A1>B2/B1となるように制御を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電流制御手段は、前記ポリゴンミラーが停止した状態、又は所定速度に達していない状態から駆動を開始する際の、前記第1モータ手段に供給される電流値A2と、前記第2モータ手段に供給される電流値B2とを加算した加算電流値が、前記最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも前記第2モータ手段に供給される電流値B2を前記第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように制御を行うことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4に記載の画像形成措置において、前記電流制御手段は、前記ポリゴンミラーが停止した状態、又は所定速度に達していない状態から駆動を開始する際の、前記第1モータ手段に供給される電流値A2が、前記第1最大電流値A1となるように制御を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置において、前記電流制御手段は、前記ポリゴンミラーが停止した状態、又は所定速度に達していない状態から駆動を開始した後において、前記第1モータ手段の回転が定常状態となった場合に当該第1モータ手段に供給される電流値が、当該第1モータ手段における前記ポリゴンミラーの回転開始の際の電流値よりも低い値となるように前記第1モータ手段への電流供給を抑制し、かつ、前記第2モータ手段に供給される電流値が、当該第2モータ手段における前記ポリゴンミラーの回転開始の際の電流値よりも高くなるように、当該第2モータ手段への電流供給を増加させるよう制御を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記ポリゴンミラーが停止した状態、又は所定速度に達していない状態から駆動を開始する際に、前記第2モータ手段は、前記第1モータ手段の駆動開始タイミングよりも遅いタイミングで駆動を開始するように構成されており、その第2モータ手段の駆動開始の際に、前記電流制御手段により前記第2モータ手段への電流が抑えられることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電流制御手段は、前記第1モータ手段に対する第1PWM信号と、前記第2モータ手段に対する第2PWM信号とを生成可能に構成されており、前記第1PWM信号及び前記第2PWM信号の各々のパルス幅を調整することにより前記第1モータ手段及び前記第2モータ手段への供給電流をそれぞれ制御することを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記第1モータ手段おけるモータの回転速度を検出する第1回転速度検出手段と、前記第2モータ手段におけるモータの回転速度を検出する第2回転速度検出手段とを備え、前記電流制御手段は、前記第1PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値と、前記第2PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値と、前記第1回転速度検出手段及び前記第2回転速度検出手段による回転速度の検出結果と、基づいて前記第1モータ及び前記第2モータへの供給電流の制御を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記ポリゴンミラーが停止した状態から回転を開始する際に前記第1モータ手段へ供給される電流値A2と、その回転を開始する際に前記第2モータ手段へ供給される電流値B2とを設定する設定値を記憶する記憶手段を備え、前記電流制御手段は、前記記憶手段に記憶される設定値に基づいて前記第1モータ手段への供給電流と、前記第2モータ手段への供給電流とを制御し、さらに、前記記憶手段に記憶される前記設定値を設定変更する設定変更手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明は、第1の被駆動体に回転駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第1モータ手段と、前記第1の被駆動体とは異なる第2の被駆動体への駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第2モータ手段と、前記第1モータ手段及び前記第2モータ手段に電流を供給可能に構成された電源手段と、
を備えた画像形成装置であって、前記第1モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第1最大電流値をA1とし、前記第2モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第2最大電流値をB1とし、その第1最大電流値A1と第2最大電流値B1とを加算した値をCとし、さらに、前記電源手段から供給し得る最大供給電流値をDとした場合、前記電源手段は、D<Cとなるように構成されており、さらに、前記第1モータ手段に供給される電流値をA2とし、前記第2モータ手段に供給される電流値をB2とした場合に、それらA2とB2とを加算した加算電流値が、前記最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも前記第2モータ手段に供給される電流値B2を前記第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように制御を行う電流制御手段と、前記第1モータ手段へ供給される電流値A2と、前記第2モータ手段へ供給される電流値B2とを設定する設定値を記憶する記憶手段を備え、前記電流制御手段は、前記記憶手段に記憶される設定値に基づいて前記第1モータ手段への供給電流と、前記第2モータ手段への供給電流とを制御し、さらに、前記記憶手段に記憶される前記設定値を設定変更する設定変更手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項12の発明は、請求項10又は請求項11に記載の画像形成装置において、前記第1モータ手段の立ち上がり時間を検出する時間検出手段を備え、前記設定変更手段は、前記時間検出手段による検出結果に基づいて前記設定値を変更することを特徴とする。
【0017】
請求項13の発明は、第1の被駆動体に回転駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第1モータ手段と、前記第1の被駆動体とは異なる第2の被駆動体への駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第2モータ手段と、前記第1モータ手段及び前記第2モータ手段に電流を供給可能に構成された電源手段と、を備えた画像形成装置であって、前記第1モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第1最大電流値をA1とし、前記第2モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第2最大電流値をB1とし、その第1最大電流値A1と第2最大電流値B1とを加算した値をCとし、さらに、前記電源手段から供給し得る最大供給電流値をDとした場合、前記電源手段は、D<Cとなるように構成されており、さらに、前記第1モータ手段に供給される電流値をA2とし、前記第2モータ手段に供給される電流値をB2とした場合に、それらA2とB2とを加算した加算電流値が、前記最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも前記第2モータ手段に供給される電流値B2を前記第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように制御を行う電流制御手段と、前記第1モータ手段おけるモータの回転速度を検出する第1回転速度検出手段と、前記第2モータ手段におけるモータの回転速度を検出する第2回転速度検出手段とを備え、前記電流制御手段は、前記第1PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値と、前記第2PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値と、前記第1回転速度検出手段及び前記第2回転速度検出手段による回転速度の検出結果と、に基づいて前記第1モータ及び前記第2モータへの供給電流の制御を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項14の発明は、請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電流制御手段は、前記第2モータ手段へ供給される電流値B2が、前記第2最大電流値B1よりも小さくなるように制御を行う抑制制御期間において、前記第2モータ手段へ供給される電流を次第に増加させるように制御を行うことを特徴とする。
【0019】
請求項15の発明は、請求項14に記載の画像形成装置において、前記電流制御手段は、遅くとも前記抑制制御期間が終了するまでに、前記最大供給電流値Dから、当該抑制制御期間において第1モータ手段に供給される電流値をA2を差し引いた値の電流が供給されるように、前記第2モータ手段に供給される電流を次第に増加させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
<請求項1、2の発明>
請求項1の構成では、2つのモータ手段の両方に同時に最大電流値を供給し得る電源手段を用いるのではなく、供給可能となる最大供給電流値Dが、2つのモータ手段の最大電流値を加算した値Cよりも小さく設定された電源手段を用いるようにしているため、装置の低コスト化、小型化が図られることとなる。また、このように構成すると、両モータ手段に対し同時に最大電流値を供給できなくなるが、このような場合に、第2モータ手段への供給電流を抑制するよう制御することにより、高速及び高精度の駆動が求められるポリゴンミラーの駆動を司る第1モータ手段の駆動性を良好なものとすることができる。
【0021】
<請求項3の発明>
請求項3の構成によれば、第1モータ手段へ供給する電流の削減度合が、第2モータ手段へ供給する電流の削減度合よりも小さくなるため、第2モータ手段の駆動を効果的に抑制できる構成となる。
【0022】
<請求項4の発明>
請求項4の構成によれば、スキャナモータにおいて多くの電流供給が望まれる回転開始時において、適切な設定が可能となる。
【0023】
<請求項5の発明>
請求項5の構成によれば、ポリゴンミラーが停止した状態、または所定速度に達していない状態から駆動を開始する際において、両モータ手段へ供給される電流の加算値を最大供給電流値内に収めつつ、その一方で、第1モータ手段には第1最大電流値を供給するように構成されているため、第1モータ手段の駆動性を極めて良好なものとすることができる。
【0024】
<請求項6の発明>
請求項6の構成によれば、ポリゴンミラーの駆動開始の際には、第1モータ手段の駆動を駆動性高く良好に行いつつ、第2モータ手段についてもある程度の駆動を確保することができ、他方、定常状態となって第1モータ手段への負荷が減少した際には第2モータ手段の駆動性を高めることができるため、状況に応じた適切な制御が可能となる。
【0025】
<請求項7の発明>
請求項7の構成によれば、第2モータ手段の騒音を効果的に抑制できる構成となる。
【0026】
<請求項8の発明>
請求項8の構成によれば、第1及び第2モータ手段の電流制御を簡易に実現できる構成となる。
【0027】
<請求項9の発明>
請求項9の構成によれば、速度制御を行う上で必要となる供給電流値を、特別な電流検出手段を別途設けることなく電流制御手段にて適切に把握できる構成となる。
【0028】
<請求項10の発明>
請求項10の構成によれば、最大供給電流値Dの範囲内で電流値A2と電流値B2とのバランスを変更できるようになるため、状況に応じた自由度の高い電流制御が可能となる。
【0029】
<請求項11の発明>
請求項11の構成によれば、2つのモータ手段の両方に同時に最大電流値を供給し得る電源手段を用いるのではなく、供給可能となる最大供給電流値Dが、2つのモータ手段の最大電流値を加算した値Cよりも小さく設定された電源手段を用いるようにしているため、装置を低コスト化、小型化が図られることとなる。また、このように構成すると、両モータ手段に対し同時に最大電流値を供給できなくなるが、このような場合に、第2モータ手段への供給電流を抑制するよう制御することにより、第1モータ手段の駆動性を良好なものとすることができる。さらに、本請求項の構成によれば、最大供給電流値Dの範囲内で電流値A2と電流値B2とのバランスを変更できるため、状況に応じた自由度の高い電流制御が可能となる。
【0030】
<請求項12の発明>
請求項12の構成によれば、モータの立ち上がり時間に応じて電流値A2と電流値B2とのバランスを変更できるため、モータの立ち上がり状況に応じた適切な電流制御が可能となる。
【0031】
<請求項13の発明>
請求項13の構成によれば、2つのモータ手段の両方に同時に最大電流値を供給し得る電源手段を用いるのではなく、供給可能となる最大供給電流値Dが、2つのモータ手段の最大電流値を加算した値Cよりも小さく設定された電源手段を用いるようにしているため、装置を低コスト化、小型化が図られることとなる。また、このように構成すると、両モータ手段に対し同時に最大電流値を供給できなくなるが、このような場合に、第2モータ手段への供給電流を抑制するよう制御することにより、第1モータ手段の駆動性を良好なものとすることができる。さらに、各モータ手段の速度制御を行う上で必要となる供給電流値の把握を、パルス幅の指定値を読み取ることで行うようにしているため、特別な電流検出手段を別途設けることなくモータ手段の速度制御を好適に行うことができる。
【0032】
<請求項14の発明>
請求項14の構成によれば、第2モータ手段の騒音を効果的に抑制できる構成となる。
【0033】
<請求項15の発明>
請求項15の構成によれば、抑制制御期間において、最終的に、第2モータ手段に対し、最大供給電流値Dから当該抑制制御期間において第1モータ手段に供給される電流値をA2を差し引いた値の電流が供給されることとなるため、電源手段からの電力を、第2モータ手段に割り当てられた範囲内で有効利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図13を参照しつつ説明する。
まず、図1及び図2を参照し、全体構成について説明する。図1は、画像形成装置の一例たるレーザプリンタ1(以下、単にプリンタ1ともいう)を例示する斜視図である。また、図2は、プリンタ1の要部側断面図である。なお、図2においては、プリンタ1を後述する各種ローラの軸方向から見た図となっており、この図における右側を手前側、左側を奥側と呼ぶこととする。
【0035】
(全体構成)
図1に示すように、プリンタ1には本体ケーシング2が設けられており、その本体ケーシング2の内部には、図2に示すように、用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に所定の画像を形成するための画像形成部5などを備えている。また、図1、図2に示すように、プリンタ1の上部には、プリンタ1により画像形成され、排出された用紙3を保持するために用いられる排紙トレイ46を備えている。
【0036】
図2に示すように、フィーダ部4は、給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7と、給紙トレイ6の一端側端部の上方に設けられる送出ローラ11、給紙ローラ8および分離パッド9と、給紙ローラ8に対向するピンチローラ10と、紙粉取りローラ50と、紙粉取りローラ50に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ12とを備えている。なお、給紙ローラ8やレジストローラ12が搬送手段、ポリゴンミラー以外の被駆動体、第2の被駆動体に相当する。
【0037】
給紙トレイ6は、本体ケーシング2内の底部に着脱可能に装着されており、この中に用紙3を積層して収納するために用いられる。この給紙トレイ6は、内部に用紙3を補給する際等に、プリンタ1の手前側(図2においては右側)に引き出される。このとき、フィーダ部4は、給紙ローラ8と分離パッド9との間で分離され、ピンチローラ10と分離パッド9と分離パッド9の裏側に配設されるバネ13とが、給紙トレイ6と一体となって引き出される。
【0038】
用紙押圧板7は、給紙ローラ8に対して遠い方の端部において揺動可能に支持されることによって、給紙ローラ8に対して近い方の端部が上下方向に移動可能とされ、図示しないバネにより上方向に付勢されている。このため、用紙押圧板7は、用紙3の積層量が増えるに従って、給紙ローラ8に対して遠い方の端部を支点として、バネの付勢力に抗して下向きに揺動される。
【0039】
送出ローラ11は、用紙押圧板7により給紙トレイ6内の最上位に積層された用紙3に当接するよう設定されており、給紙ローラ8により用紙3を搬送可能な位置(給紙ローラ8と分離パッド9の間の位置)まで送る。
【0040】
次に、分離パッド9は、給紙ローラ8に対向する位置に配設されている。そして分離パッド9の裏側に配設されるバネ13によって、給紙ローラ8に向かって押圧されている。また、この分離パッド9は、複数の用紙3が重なった状態で搬送経路内に供給されることを防止するための機能を備えている。即ち、送出ローラ11により送られてきた用紙3は、給紙ローラ8と分離パッド9とに接触する。このとき、分離パッド9と用紙3との間には、適度な摩擦力が加えられるので、送出ローラ11により複数の用紙3が分離パッドまで送られてきたとしても、最上位に位置する用紙3以外の用紙3は分離パッド9により係止される。このため、給紙ローラ8からは1枚毎に用紙3が供給される。
【0041】
そして、給紙ローラ8により給紙された用紙3は、用紙3の搬送経路(図2の2点鎖線にて表示)に送られる。このとき用紙3は、紙粉取りローラ50によって、紙粉が取り除かれた後、レジストローラ12に送られる。また、この搬送経路は、給紙ローラ8の上端から画像形成位置Pまでの全区間においては、水平方向よりも下向きに形成されている。そして、この搬送経路のうち、給紙ローラ8から画像形成位置Pまでの大部分は、プリンタ1の本体側に形成されたガイド部材51と、プロセスユニット17の底面部とにより形成されている。
【0042】
ここで、給紙ローラ8は、用紙3を約180度方向転換させてレジストローラ12に送るが、このとき、給紙ローラ8により用紙3を湾曲させる曲率が大きいと、用紙3が、はがき等の厚みのあるものである場合には、用紙3が折れ曲がってしまうか、或いは用紙3が曲げられる際の抵抗により用紙3はレジストローラ12まで搬送されない虞がある。
【0043】
このため、給紙ローラ8は感光体ドラム27(感光体ドラム27は現像剤担持体に相当する)や、定着ローラ41等のローラと比べて、直径が大きく設定されている(例えば、感光体ドラム27の直径24mm、定着ローラ41の直径25mmに対して、給紙ローラ8の直径は33mm)。このように給紙ローラ8の直径を比較的大きく設定し、用紙3が湾曲させられる曲率を小さくすれば、給紙ローラ8により用紙3を折り曲げることなく良好に搬送することができる。
【0044】
また、レジストローラ12は、1対のローラから構成されており、給紙ローラ8の近傍に配置された位置センサ64による検知タイミングに基づいて、駆動および停止の動作が後述する基板90内に配置された制御装置(図示省略)により制御される。そして、この制御により用紙3の斜行が修正される。即ち、制御装置は、給紙ローラ8による用紙3の搬送時において、レジストローラ12は駆動している状態とし、位置センサ64が用紙3の先端を検知すると、レジストローラ12を停止させる。そして、用紙3がレジストローラ12に接触し、弛んだ状態になった頃に、制御装置は再びレジストローラを駆動し、用紙3を画像形成部5に送るようにしている。
【0045】
なお、位置センサ64は、機械式のものであり、用紙3と接触し、用紙3に押されると、用紙3が接触する前の所定の位置から変位するよう構成されている。
また、給紙ローラ8のやや上方には、プリンタ1の手前側からレジストローラ12の位置に直接用紙3を給紙するための手差給紙口14が形成されており、給紙トレイ6に用紙3を収納することなく搬送経路に用紙3を供給することができる。
【0046】
次に、画像形成部5は、スキャナユニット16、プロセスユニット17、定着ユニット18などを備えている。
スキャナユニット16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示省略)、スキャナモータ25により回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20および21、反射鏡22および23などを備えており、レーザ発光部から発光される所定の画像データに基づくレーザビームを、図2における一点鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22、レンズ21、反射鏡23の順に通過あるいは反射させて、後述するプロセスユニット17における感光体ドラム27の表面上に高速走査にて照射させている。なおスキャナモータ25は、ブラシレスDCモータとして構成されており、第1モータ手段に相当している。また、ポリゴンミラー19は、第1の被駆動体に相当している。
【0047】
より詳しくは、このスキャナユニット16において、ポリゴンミラー19は、感光体ドラム27および後述する画像形成位置Pの真上に配置されており、ポリゴンミラー19に反射されたレーザビームは、反射鏡22に向かって略水平方向に進行する。そして、このレーザビームは、反射鏡22によりポリゴンミラー19のすぐ下方に位置する反射鏡23に向かって反射される。即ち、反射鏡22は入射されるレーザビームを水平方向から15度程度下方に向けて鋭角に反射する。そして、これらの各部(ポリゴンミラー19、レンズ20、21、反射鏡22、23)を備えるスキャナユニット16は、レーザビームの光路を妨げない程度の大きさおよび形状に設定されている。即ち、このスキャナユニット16の上面(上板)は、略水平方向(厳密には給紙ローラ8から遠い方が低くなるよう傾斜して)配置されている。また、スキャナユニット16の下面(下板)は、給紙ローラ8から遠い方がより低くなるよう、上面よりも大きく傾斜している。このため、スキャナユニット16の形状は、ポリゴンミラー19が位置する画像形成位置P側が厚く、給紙ローラ8側が薄い先細り形状となっている。
【0048】
プロセスユニット17は、スキャナユニット16の下方に配設され、本体ケーシング2に対して略水平方向且つ前後方向(図2では左右方向:脱着方向)に着脱自在に装着されており、プロセスユニット17は、ドラムカートリッジ26と、現像カートリッジ28とから構成されている。また、プロセスユニット17とスキャナユニット16との間には、空間が形成されている。
【0049】
プロセスユニット17のうち、ドラムカートリッジ26には、感光体ドラム27、スコロトロン型帯電器29、転写ローラ30を備えている。
また、現像カートリッジ28には、現像ローラ31、層厚規制ブレード32、トナー供給ローラ33およびトナーボックス34などを備えている。そして、この現像カートリッジ28は、ドラムカートリッジ26に対して着脱自在に装着されている。
【0050】
ここで、プロセスユニット17を構成する構成要素のうち、感光体ドラム27およびトナーボックス34は、比較的大きなスペースを必要とするものである。このため、この感光体ドラム27およびトナーボックス34は、プロセスユニット17近傍で比較的大きなスペースを必要とする給紙ローラ8、およびレジストローラ12の真上に配置されることがないよう設定されている。
【0051】
また、トナーボックス34内には、トナー(現像剤)が充填されている。そして、トナーボックス34内のトナーは、トナーボックス34の中心に設けられる回転軸35に支持されるアジテータ36の矢印方向(時計方向)への回転により、攪拌されて、トナーボックス34に設けられたトナー供給口37から放出される。
【0052】
トナー供給口37の側方位置には、トナー供給ローラ33が反時計方向に回転可能に配設されており、また、このトナー供給ローラ33に対向して、現像ローラ31が反時計方向に回転可能に配設されている。そして、これらトナー供給ローラ33と現像ローラ31とは、そのそれぞれがある程度圧縮するような状態で互いに当接されている。
【0053】
トナー供給ローラ33は、金属製のローラ軸に、導電性の発泡材料からなるローラが被覆されている。また、現像ローラ31は、金属製のローラ軸に、磁気特性を持たない導電性のゴム材料からなるローラが被覆されている。より具体的には、現像ローラ31のローラ部分は、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラ本体の表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。なお、現像ローラ31には、現像バイアスが印加される。
【0054】
また、現像ローラ31の近傍には、層厚規制ブレード32が配設されている。この層厚規制ブレード32は、金属の板バネ材からなるブレード本体の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部40を備えており、現像ローラ31の近くにおいて現像カートリッジ28に支持されて、押圧部40がブレード本体の弾性力によって現像ローラ31上に圧接されるように構成されている。
【0055】
そして、トナー供給口37から放出されるトナーは、トナー供給ローラ33の回転により、現像ローラ31に供給され、この時、トナー供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電され、さらに、現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の回転に伴って、層厚規制ブレード32の押圧部40と現像ローラ31との間に進入し、ここでさらに十分に摩擦帯電されて、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0056】
感光体ドラム27は、現像ローラ31の側方位置において、その現像ローラ31と対向するような状態で時計方向に回転可能に配設されている。この感光体ドラム27は、ドラム本体が接地されるとともに、その表面部分が、ポリカーボネートなどから構成される正帯電性の感光層により形成されている。なお、この感光体ドラム27は、後述するメインモータ118(図4参照)からの動力によって回転駆動されるように構成されている。
【0057】
スコロトロン型帯電器29は、感光体ドラム27に接触しないように、所定の間隔を隔てて配設されている。このスコロトロン型帯電器29は、感光体ドラム27の半径方向において、水平方向から約30度上方に配置されている。また、このスコロトロン型帯電器29は、このタングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム27の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。
【0058】
そして、感光体ドラム27の表面は、その感光体ドラム27の回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナユニット16からのレーザビームの高速走査により露光され、所定の画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0059】
次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光体ドラム27に対向して接触する時に、感光体ドラム27の表面上に形成される静電潜像、即ち、一様に正帯電されている感光体ドラム27の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給され、選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像が達成される。
【0060】
転写ローラ30は、感光体ドラム27の下方において、この感光体ドラム27に対向するように配置され、ドラムカートリッジ26に反時計方向に回転可能に支持されている。この転写ローラ30は、金属製のローラ軸に、イオン導電性のゴム材料からなるローラが被覆されており、転写時には、転写バイアス(転写順バイアス)が印加されるように構成されている。そのため、感光体ドラム27の表面上に担持された可視像は、用紙3が感光体ドラム27と転写ローラ30との間(画像形成位置P)を通る間に用紙3に転写される。
【0061】
定着ユニット18は、プロセスユニット17よりも用紙搬送方向下流側(奥側)に配設され、ギヤが形成された定着ローラ41、定着ローラ41を押圧する押圧ローラ42、および、サーモスタット18aを備えている。また、これらの定着ローラ41、およびサーモスタット18aは、カバー18bにより覆われている。
【0062】
定着ローラ41は、金属製で、加熱のためのハロゲンランプを備えている。
押圧ローラ42には、この押圧ローラ42を下方から定着ローラ41の中心軸方向に回転可能に押圧(付勢)するバネ42aを備えている。また、この押圧ローラ42は、定着ローラ41または用紙3と密着し、定着ローラ41と同期して回転するよう構成されている。
【0063】
サーモスタット18aは、例えばバイメタルからなり、定着ローラ41から発生される熱に応じて、定着ローラ41を加熱するためのヒータの電源をON・OFFし、加熱ローラ42が異常な高温に加熱されないようにしている。
【0064】
また、このサーモスタット18aは、定着ローラ41の上方であって、押圧ローラ42および定着ローラ41の回転中心を結んだ延長線(仮想線)上に配置されている。このため、サーモスタット18aが定着ローラ41の真上や、定着ローラ41の真上よりも奥側(図2においては左側:用紙3の搬送方向下流側)に配置されていると比べて、排紙トレイ46の凹部46aを位置を低く設定することを可能にしている。
【0065】
カバー18bは、定着ローラ41から発生される熱が定着ユニット18から定着ユニット18外に放出され、本体ケーシング2内の他の機器(例えば、スキャナユニット16等)に悪影響を与えることがないように、定着ローラ41の側方および上方を覆うような形状を有している。ここで、このカバー18bは、押圧ローラ42については、その中心軸(図示省略)のみをバネ42aの付勢方向に移動可能、且つ回転可能に支持しているのみであり、この押圧ローラ42の下半分は、カバー18bから露出した状態になっている。このため、プリンタ1は、カバー18bが押圧ローラ42の下方を覆っている場合と比較して、このカバー18bの厚みの分だけ高さが低く設定されている。
【0066】
このような定着ユニット18において、定着ローラ41は、プロセスユニット17において用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が定着ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に加熱および加圧することにより定着させる。さらに、定着ローラ41は、画像定着後の用紙3を、ガイド部材52、53により形成される排紙パスを介して、排出ローラ45まで搬送する。そして、排出ローラ45は、送られてきた用紙3を排紙トレイ46上に排紙する。なお、一対の排出ローラ45は、用紙3をプリンタ1の外部に排出するための排出口24として機能する。
【0067】
ここで、用紙3が定着ローラ41により加熱された状態で急に湾曲させられると、用紙3が湾曲した状態から元の湾曲していない状態に戻らなくなる虞がある。このため、定着ローラ41通過後の用紙3が接するガイド部材52、53は、過熱された状態で定着ローラ41通過後には、用紙3を緩やかに湾曲し、排出ローラ45に近づくにつれて、急に湾曲するよう設定されている。
【0068】
このように構成することによって、用紙3の排出経路の全てを緩やかに湾曲させた場合よりも排出口24の位置を下方にすることができ、用紙3の恒久的な湾曲を防止しつつもプリンタ1の高さを低くし易くなる。
【0069】
また、排紙トレイ46は、プリンタ1の手前側から奥側(図2においては左側)に向かうにつれて、徐々に落ち込んだ形状を有している。この排紙トレイ46の最も落ち込んだ部分(凹部46a)においては、定着ユニット18の上端よりも低い位置になるよう設定されている。このため、排紙トレイ46に積層可能な用紙3の枚数を減らすことなく、排出ローラ45をより低い位置に配置可能にしている。このため、スキャナユニット16が配置されている部分におけるプリンタ1の高さと、排出ローラ45が配置されている位置におけるプリンタ1の高さとを近づけることができ、デザイン性(見栄え)がよいものとなっている。
【0070】
また、このプリンタ1において、前述の各種ローラ、ポリゴンミラー19等を駆動制御するための制御装置が搭載された基板90は、図2における破線にて示すように、用紙3が搬送される搬送経路の両側面(プロセスユニット17を側面から挟むような位置:一側)に配置されている。
【0071】
(メインモータ関連部分の構成)
図1に示す本体ケーシング2の内部には、図3にて示すような本体フレーム100が設けられている。本体フレーム100は、図2に示される各種部品を保持するように構成されており、一側面には図3に示す回路基板ユニット等の各種ユニットが配置されている。なお、図3は本体フレーム100及び回路基板ユニット等の配置を斜視図にて示すものである。
【0072】
図3に示すように、画像形成部5等のレーザプリンタ1の構成要素を支持する本体フレーム100の一側面には、感光体ドラム27に回転駆動力を伝達するギアユニット110,AC商用電源を入力しDC電源に変換する低圧電源基板ユニット140,画像形成動作を制御するエンジン基板160,画像データ処理を行うメイン基板ユニット170,低圧電源基板ユニット140を取り付けるための取付板130が取り付けられている。
【0073】
尚、低圧電源基板ユニット140,エンジン基板160,メイン基板ユニット170の中では低圧電源基板ユニット140が最も重く、この低圧電源基板ユニット140がギアユニット110の下部と対向するように取付位置が決められている。そして、エンジン基板160は、ギアユニット110の上部と対向する位置に取り付けられている。
【0074】
また、低圧電源基板ユニット140は、電磁シールドカバー142,電磁シールド板144,後述する低圧電源基板150(図6)等から構成され、メイン基板ユニット170は、カバー172,後述するメイン基板174(図6)等から構成されている。尚、電磁シールドカバー142,電磁シールド板144は、低圧電源基板ユニット140の外部で発生した電磁ノイズが低圧電源基板150(図6)に影響を及ぼすのを抑制したり、この低圧電源基板150で発生した電磁ノイズが外部の機器等に影響を与えるのを抑制するためのものである。
【0075】
まず、ギアユニット110の配置および構成を図4と図5に基づいて説明する。図4はギアユニット110の配置を示す斜視図、図5は図4のA−A断面部を示す図である。
図4に示すように、ギアユニット110は、本体フレーム100の一側面に、ネジにより固定されている。そして、ギアユニット110には、感光体ドラム27(図2)を回転駆動するためのメインモータ118,感光体ドラム27(図2)の駆動軸(図示せず)に連結してメインモータ118からの駆動力を感光体ドラム27(図2)に伝達するギア114,メインモータ118からの駆動力をギア114に伝達するギア116が備えられており、これらはギアフレーム112により支持されている。なお、メインモータ118は第2モータ手段に相当する。
【0076】
尚、ギア114,ギア116,メインモータ118の中ではメインモータ118が最も重く、このメインモータ118がギアユニット110の下方に位置するように取付位置が決められている。
【0077】
また、低圧電源基板ユニット140は、その一部分がギアユニット110と対向しており(図3参照)、その対向していない部分を固定するための取付板130が、本体フレーム100の一側面に、ギアフレーム112と同じ高さになるように固定される。
【0078】
また、図5に示すように、ギア114,116はそれぞれ、ギアフレーム112に固定されたギア軸120,122に回転可能に支持され、メインモータ118は、ギアフレーム112に固定された取付板124に支持されている。
【0079】
さらに、ギア114は、それぞれ直径が異なるギアである大径ギア114aと小径ギア114bとが、同軸に配置されて一体に回転するように構成され、同様に、ギア116は、大径ギア116aと小径ギア116bとが同軸に配置されて一体に回転するように構成されている。
【0080】
そして、メインモータ118のモータピニオン118aは、ギア116の大径ギア116aと噛合し、ギア116の小径ギア116bはギア114の大径ギア114aと噛合し、ギア114の小径ギア114bは感光体ドラム27(図2)の駆動軸(図示せず)と噛合しており、メインモータ118で発生した回転駆動力は感光体ドラム27(図2)の駆動軸に伝達される。
【0081】
尚、図5に示すように、ギア114における小径ギア114bが、本体フレーム100の側面におけるギアユニット110が取り付けられた面とは反対側に突出するように、本体フレーム100の側面に空孔が設けられている。これは、本体フレーム100の側面におけるギアユニット110が取り付けられた面とは反対側にプロセスユニット17(図2)が着脱可能に装着され、プロセスユニット17内の感光体ドラム27の駆動軸を小径ギア114bと噛合させるためである。
【0082】
また、メインモータ118は、ギアフレーム112におけるギア114,116が取り付けられた面と同じ側に配置されており、レーザプリンタ1の外部からは、ギアフレーム112により隠れて見えないようになっている。
【0083】
次に、図3に示す低圧電源基板ユニット140,エンジン基板160,メイン基板ユニット170の内部構成を図6に基づいて説明する。図6は、図3において電磁シールドカバー142およびカバー172を取り外した状態を示す斜視図である。
【0084】
図6に示すように、電磁シールド板144は、ギアユニット110と後述する低圧電源基板150との間に位置するように、ネジによりギアフレーム112および取付板130に当接面を通してネジにより密着して固定され、さらに電磁シールド板144上には、電磁シールド板144と後述する低圧電源基板150との間の電気的接触を防止するための絶縁シート146が密着して固定されている。
【0085】
そして、電磁シールド板144には、低圧電源基板150と電磁シールド板144との間で隙間ができるように低圧電源基板150を取り付けるためのスペーサ148が形成されており、低圧電源基板150はスペーサ148を介して電磁シールド板144にネジ止めされる。
【0086】
また、低圧電源基板150は、AC商用電源を入力し、メインモータ118の電源として使用される24VのDC電源に変換するためのものであり、一次側トランス154,平滑コンデンサ156,二次側トランス158等を備えている。また、電源入力側に関連した部品である一次側トランス154,平滑コンデンサ156は低圧電源基板150の左側(図6における左側)に、電源出力側に関連した部品であるトランス158は低圧電源基板150の右側(図6における右側)に配置するようにしているために、低圧電源基板150は重量において位置的な偏りがある。
【0087】
そして、低圧電源基板150の主要な構成要素である上記の一次側トランス154,平滑用コンデンサ156,二次側トランス158の中で一次側トランス154が最も重く、この一次側トランス154がメインモータ118と対向するように低圧電源基板ユニット140の取付位置が決められている。
【0088】
次に、エンジン基板160は、メインモータ118等を制御することにより画像形成動作を制御するためのものであり、ASIC200等を備えている。そして、図6に示すように、エンジン基板160とギアフレーム112との間で隙間ができるようにエンジン基板160を取り付けるためのスペーサ164がギアフレーム112上に固定されており、エンジン基板160はスペーサ164を介してギアフレーム112にネジ止めされる。
【0089】
また、メイン基板174は、画像形成のための画像データの処理を行うためのものであり、ASIC176等を備えている。そして、図6に示すように、メイン基板174と本体フレーム100との間で隙間ができるようにメイン基板174を取り付けるためのスペーサ178が本体フレーム100の一側面上に固定されており、メイン基板174はスペーサ178を介して本体フレーム100にネジ止めされる。
【0090】
(モータ駆動装置の構成)
1.全体構成
次に、上述のスキャナモータ25やメインモータ118を駆動するモータ駆動装置について説明する。図7は、モータ駆動装置の全体的構成を概念的に説明する説明図である。図8は、モータ駆動装置のうち、主としてスキャナモータ25を駆動する部分を説明する説明図である。
【0091】
図7に示すように、本実施形態に係るモータ駆動装置は、ASIC200と、2つのモータドライバ250a、250bとを備えた構成をなしている。ASIC200とモータドライバ250a、250bとはそれぞれ別々の基板に設けられている。ASIC200は制御回路に相当するものであり、デジタル入出力が可能に構成され、デジタル処理を行うように構成されている。また、モータドライバ250a,250bは、ASIC200からのデジタル信号出力に基づいて、それぞれスキャナモータ25、メインモータ118の駆動を行うように構成されている。また、ASIC200内には図8のようにCPU230が設けられており、外部にはROM260、RAM262等の記憶手段が接続されている。なお、モータドライバ250a,250bを総してモータドライバ250とも称するものとする。
【0092】
また、図8に示すように、各モータに対応して速度検出部236、相切換部234、フィードバック制御部201、PWM信号生成部240が設けられている。図8では、スキャナモータ25に対応したもののみを例示しているが、メインモータ118についても同様の速度検出部(図示略)、相切換部(図示略)、フィードバック制御部201b(図7参照)、PWM信号生成部240b(図7)が設けられている。以降の説明では、これら構成についてスキャナモータ25に対応したものを例として説明する。
【0093】
2.速度検出部
スキャナモータ25には、FG(Frequency Generator)信号生成部252が設けられており、速度検出部236は、FG信号生成部252からの出力に基づくFG信号によってスキャナモータ25の速度が検出できるようになっている。
【0094】
FG信号生成部252は、基板上にパターニングされたFGパターンと、スキャナモータ25のロータ基板側に設けられた磁石とを備えて構成されており、これらFGパターンと磁石とにより回転周波数に応じた波形をなす信号がモータドライバ250aに入力されるようになっている。モータドライバ250aは、このFG信号生成部252からの信号を増幅し、かつデジタル信号に変換し、回転速度に応じた波形のFG(Frequency Generator)信号としてASIC200に出力する。一方、ASIC200における速度検出部236では、このFG信号に基いてスキャナモータ25の回転速度が検出できるように構成されている。
【0095】
また、スキャナモータ25は、上述したようにポリゴンミラー19を回転させるためのモータとして構成されるものであるが、このスキャナモータ25には、さらに、ポリゴンミラー19にて反射されるレーザ光を検出可能に構成されたBDセンサ(Beam Detector センサ)254が設けられている。
【0096】
BDセンサ254では、スキャナモータ25の回転に応じた信号が検出されるようになっており、具体的には、ポリゴンミラーが所定角度となった場合に反射光が検出されるように構成されている。例えば、6面のポリゴンミラーが用いられる場合には、1回転で6回の反射光の検出が行われる。そして、反射光の検出に応じた出力がBDセンサからモータドライバ250aに入力され、モータドライバ250aにおいてデジタル信号に変換され、回転速度に応じた波形のBD信号としてASIC200に出力される。このように構成されることにより、ASIC200における速度検出部236では、BD信号に基いてスキャナモータ25の回転速度を検出できるように構成されている。
【0097】
上述したように、ASIC200には、FG信号、BD信号がそれぞれ入力されるようになっており、速度検出部236ではこれら信号のうち少なくともいずれかの信号に基いてスキャナモータ25の回転速度を検出することとなる。
【0098】
具体的には、スキャナモータ25の回転速度が所定速度以下の場合(即ちポリゴンミラー19の回転速度が所定速度以下の場合)には、速度検出用の信号としてFG信号が採用され、所定速度を超える場合にはBD信号が採用されるようになっている。所定速度としては、例えば起動状態と定常状態とを区別する基準回転速度Na(図13参照)を用いることができ、このようにすれば、起動状態ではFG信号が用いられ、定常状態ではBD信号が用いられることとなる。このようにして検出されたスキャナモータ25の回転速度は、後述の処理(フィードバック演算処理部202における速度指令値算出処理、ゲイン切換制御部におけるゲイン切換処理、或いは相切換部における相切換処理など)に用いられることとなる。
【0099】
なお、上述したように、図8ではスキャナモータ25に対応した速度検出部236を説明したが、メインモータ118(図7参照)にも対応して速度検出部(図示略)が設けられている。ただし、メインモータ118(図7)には同様のFG信号生成部(図示略)が設けられているもののBDセンサが設けられておらず、FG信号によって回転速度を検出するようにしている。なお、このように構成される、メインモータ118(図7)に対応した図示しない速度検出部は第2回転速度検出手段に相当する。他方、図8に示すスキャナモータ25に対応した速度検出部236は第1回転速度検出手段に相当している。
【0100】
3.相切換部
図8に示すように、スキャナモータ25には、3つのホール素子256が設けられている。ホール素子256は、スキャナモータ25のロータの位置に応じて出力する構成をなすものであり、これらホール素子256からの出力はモータドライバ250aに入力されるようになっている。モータドライバ250aでは、ホール素子256からの出力がホール素子信号アンプ271(図7参照)にて増幅され、さらに図示しないA/D変換器にてデジタル信号に変換される。そして、このデジタル化されてなるホール素子信号がASIC200に出力されるようになっている。なお、このホール素子256からの出力は回転状況信号に相当し、ホール素子アンプ271及びA/D変換器が変換手段に相当している。
【0101】
ホール素子信号は、スキャナモータ25のロータの回転位置が特定可能となる波形の信号であり、このホール素子信号がASIC200に入力されることにより、ASIC200内でロータの回転位置(ステータに対するロータの相対的な回転位置)が把握できるようになっている。なお、ホール素子信号をFG信号として使用することも可能である(即ち、ホール素子信号によって回転速度を検出することも可能である)。
【0102】
そして、ASIC200では、入力されるホール素子信号に基いてロータの位置を把握しつつスキャナモータ25の相切換タイミングを決定し、かつ、その決定した相切換タイミングに基づくデジタル信号をスキャナモータ25を駆動するモータドライバ250aに出力することとなる。以下、相切換タイミングの決定を行う相切換部234の機能について具体的に説明する。
【0103】
図9は、ホール素子信号がASIC200に入力されるタイミングと、モータドライバ250aにおいて出力段が切り替わるタイミングとの関係を示すタイミングチャートである。図9に示すように、スキャナモータ25は3相モータとして構成されており、モータ巻線は、図示はしていないが3相のスター結線にて構成されている。一方、ホール素子256(図8)は、スキャナモータ25のロータの周囲に等間隔(例えば120°おき)に配置されており、各ホール素子からのホール素子信号がそれぞれASIC200に入力されるようになっている。
【0104】
相切換部234は、ホール素子信号の立ち上がり又は立ち下がりを検出した場合、U相、V相、W相のうちのいずれか2つの相が互いに逆極に励磁される巻線電流が流れるように相切換信号を生成、出力する。図9の例では、相切換部234は、ホール素子信号IN1の立下りが検出された場合に、U相を正、V相を負、W相をオフとする相切換信号を生成、出力し、モータドライバ250a(図7)の巻線駆動部273(図7)ではその相切換信号に応じたスイッチングが行われる。
【0105】
なお、モータ駆動用の巻線電流の値は、後述する制御によって決められる。巻線電流が供給されるとロータが所定角度回転することとなり、さらに、その回転位置変更を別のホール素子が検出すると、その別のホール素子からのホール素子信号がASIC200に入力され、それに伴って相切替部234から新たな相切替信号が出力されることとなる。即ち、ホール素子信号IN1の立ち下がりが検出された後には、次の検出(ホール素子信号IN3の立ち上がりの検出)がなされ、相切換部234は、その検出に応じてU相を正、W相を負、V相をオフとする相切換信号を生成、出力する。同様にしてさらに次の検出(ホール素子信号IN2の立ち下がりの検出)がされた場合にはV相を正、W相を負、U相をオフとする相切換信号を生成、出力する。このようにして、相切換部234からモータドライバ250aに対し順次相切換信号が出力され、モータドライバ250a(図7)の巻線駆動部273(図7)では相切換信号に応じてスイッチング動作が順次行われることとなる。
【0106】
また、図10のようにしてもよい。図10は、図9とは異なる相の切換方法を用いた場合のタイミングチャートの一例である。図10の例では、スキャナモータ25ブラシレスDCモータの回転速度に応じて生じるモータ駆動回路の遅延に基づいてブラシレスDCモータの相切換タイミングを決定するようにしている。
【0107】
即ち、上述した図9の例では、ASIC200がホール素子信号を検出すると、モータドライバ250aに対して相切換信号が出力され、モータドライバ250aにおいて相切換信号に応じた切り換えが行われるが、このホール素子信号の検出してから実際に相が切り換わるまでの間、ホール素子及びモータドライバの特性に応じた固有の遅延が生じる。例えば、図9では、IN2の立ち下がりが検出されてからV相がONされるまでの間tdだけ遅延が生じる例を示している。
【0108】
これに対し、図10の方法では、この遅延を考慮した相の切換制御を行うようにしている。即ち、ホール素子信号の検出タイミングと、実際に相が切り換わるタイミングとのズレを抑制するため、相切換部234において遅延を考慮した補正信号を生成し出力するようにしている。補正信号は、ホール素子信号が検出される予定のタイミングよりも所定時間tdだけ前に出力されるようになっており、この補正信号に応じて相が切り換わるようになっている。所定時間tdはホール素子及びモータドライバの特性に応じた固有の遅延時間の値である。即ち、当該モータ駆動装置では、相切換部234からの出力タイミングと、実際に相が切り換わるタイミングとでtdだけ遅延が生じるため、実際に相を切り換えるべきタイミングよりも時間tdだけ前に補正信号を出力することにより、切り換えるべきタイミングで精度高く切り換えを行うことができることとなる。
【0109】
負荷やモータ自体のイナーシャの影響で速度が急激に変動することは考えにくいため、ホール素子信号IN3の立ち上がりからホール素子信号IN2の立ち下がりまでの期間T0と、その次の期間T1(ホール素子信号IN2の立ち下がりからホール素子信号IN1の立ち上がりまでの期間T1)はほぼ同じと考えられる。したがって、ホール素子信号IN1の立ち上がりとほぼ同じタイミングで実際に相の切り換わりが生じるようにするには、ホール素子信号IN1の立ち上がりが検出される予定のタイミングから時間tdだけ前に相切換を行うための補正信号を出力すればよい。そして、ホール素子信号IN1の立ち上がりが検出されるタイミングは、上述したようにホール素子信号IN2の立ち下がりが検出されてからほぼ時間T0後と考えられるため、IN2が検出されたT0−td時間後に補正信号を出力すればホール素子信号IN1の立ち上がりとほぼ同タイミングで相が切り換わることとなる。
【0110】
なお、モータ回転速度が速い場合には期間T1に対するtdの割合が大きくなるため、補正の効果が大きくなる。一方、モータ回転速度が遅い場合には、T0−Td>T1となる場合(補正信号の出力タイミングよりもホール素子信号の検出タイミングが前となる場合)が想定されるが、このような場合には、ホール素子信号の検出を条件として、補正信号の出力タイミングを待たずに相切換信号を出力すればよい。
【0111】
4.フィードバック制御部
次に、図7、図8に戻り、フィードバック制御部201について説明する。なお、ASIC200には、図7に示すように、スキャナモータ25に対応したフィードバック制御部201aと、メインモータ118に対応したフィードバック制御部201bが設けられており、双方ともほぼ同様の構成をなし、各モータに対応する制御量(速度指令値)F1,F2を算出するように構成されている(なお、これらをフィードバック制御部201とも総称するものとする)。ここでは、図8を参照し、スキャナモータ25に対応したフィードバック制御部201aを例に挙げて説明する。
【0112】
図8に示すように、フィードバック制御部201は、ゲイン切換部206、ゲイン切換制御部218、フィードバック演算処理部202を有している。ゲイン切換制御部218は、ゲイン切換部210に対して所定の設定条件に応じた切換指令を出力し、ゲイン切換部206は、切換指令に応じたゲインを複数のゲイン設定部204a,204b,204c,及び204dから選択する。ゲイン設定部204a,204b,204c、204dは、ゲインの設定値を選択可能な状態で保持する構成をなしており、ゲイン切換部206によっていずれかのゲイン設定部に保持される設定値が選択されるように構成されている。なお、図8では4種類のゲインが選択可能となる例を示しているが、あくまで一例であり、ゲインの種類はこれに限らず、2、3種類、或いは5種類以上であってもよい。
【0113】
ゲイン切換制御部218は、スキャナモータ25の回転状況に基づいて、ゲイン切換部206にいずれかのゲインを選択する選択指令を出力するように構成されている。具体的には、スキャナモータ25が停止した状態から回転を開始した際に、所定の定常状態となるまでの間は起動用ゲインを選択する選択指令を出力し、定常状態となった場合には、起動用ゲインとは異なる定常用ゲインを選択する選択指令を出力する。所定の定常状態は、予め定められた基準回転速度Na(図13:後述)に到達したか否かに基づいて判断されるようになっており、停止状態から基準回転速度Na(図13)に到達するまでの間は起動用ゲインを選択する指令がゲイン切換部に指令が出力され、基準回転速度Na(図13)に到達した場合には定常用ゲインを選択する指令が出力されるようになっている。なお、本実施形態では、制御量(速度指令値)の算出において比例ゲイン及び積分ゲインが用いられるようになっており、起動用ゲインとしては起動用の比例ゲイン(図8では、ゲイン設定部1のゲイン)及び積分ゲイン(図8では、ゲイン設定部2のゲイン)がそれぞれ選択され、定常用ゲインとしては定常用の比例ゲイン(図8では、ゲイン設定部3のゲイン)及び積分ゲイン(図8では、ゲイン設定部4のゲイン)がそれぞれ選択されるようになっている。このようにしてゲイン切換部206にて選択されたゲインはフィードバック演算処理部202において制御量(速度指令値)の算出に用いられることとなる。
【0114】
なお、上記の例では、スキャナモータ25が基準回転速度Na(図13)に到達したか否かに基づいて定常状態に達したか否かの判断を行っているが、スキャナモータ25が停止した状態から駆動(回転)を開始した際に、回転開始時点から予め定められた基準時間を経過したか否かに基づいて定常状態に達したか否かの判断を行ってもよい。即ち、駆動開始時点から予め定められた基準時間を経過したか否かに基づいてゲインの切り換えを行ってもよい。この場合、駆動開始時点から基準時間を経過するまでの間は起動用ゲインが選択され、基準時間を経過した場合には定常用ゲインが選択されるようにすることができる。
【0115】
図11は、フィードバック演算処理部202の内部構成、及びフィードバック演算処理部202と他の部分との接続状態を概念的に示すものである。フィードバック演算処理部202(フィードバック演算部202はフィードバック演算手段に相当する)では、ゲイン切換部206にて選択されたゲインと、速度検出部236によって検出されるスキャナモータ25の現在の回転速度とに基づいて、スキャナモータ25の制御量(速度指令値)が定められるようになっている。本実施形態では、速度検出部236にて検出された現在の回転速度と目標速度との速度偏差を求める減算器271を備え、その速度偏差に対してそれぞれ積分ゲインを乗算する積分演算器275と、その積分演算器275による演算値の積分値を求めて積分制御値を算出する積分器273とを備えている。また、速度偏差に比例ゲインを乗算して比例制御値を算出する比例演算器277を有している。そして、積分制御値と比例制御値との和が制御量(速度指令値)として算出されるようになっている。この制御量(速度指令値)は後述する電流制御部232に入力されることとなる。なお、比例演算器277で用いる比例ゲイン及び積分演算器275で用いる積分ゲインは、上述のゲイン切換部206によって選択される、起動用の比例ゲイン、定常用の比例ゲイン、起動用の積分ゲイン、定常用の積分ゲインが状況に応じて用いられるようになっている。
【0116】
そして、算出された制御量(速度指令値)は、電流制御部232に入力され、条件に応じて所定の抑制がなされ、その後PWM信号生成部240に入力される。そして、速度指令値に基くPWM信号、或いは電流制御部232によって抑制された速度指令値に基くPWM信号が、PWM信号生成部240aにて生成されてデジタル信号としてモータドライバ250aに対して出力されることとなる。電流制御部232、PWM信号生成部の機能については後に詳述する。
【0117】
5.電流抑制部、PWM信号生成部
次に、電流抑制部、PWM信号生成部について説明する。
本実施形態に係るモータ駆動装置では、ポリゴンモータ25の駆動に使用する最大の駆動電流値である第1最大電流値をA1とし、メインモータ118の駆動に使用する最大の駆動電流値である第2最大電流値をB1とし、その第1最大電流値A1と第2最大電流値B1とを加算した値をCとし、さらに、図示しない電源回路(電源手段に相当する)から供給し得る最大供給電流値をDとした場合、電源回路は、D<Cとなるように構成されている。
【0118】
上記のような電流設定を可能とするため、ASIC200には電流制御部232が設けられている。この電流制御部232は、ポリゴンモータ25に供給される電流値をA2とし、メインモータ118に供給される電流値をB2とした場合に、それらA2とB2とを加算した加算電流値Eが、電源手段からの最大供給電流値D以下となるように供給電流の制御(具体的には、各PWM信号生成部に出力する速度指令値の制御)を行う。この制御は、少なくともポリゴンモータ118に供給される電流値B2が第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように行われる。本実施形態では、電流制御部232及び後述するPWM信号生成部が電流制御手段に相当する。
【0119】
電流制御部232は、図12(a)にて概念的に示すように、条件毎の設定に基づいてスキャナモータ25(図7)を駆動するための制御量(速度指令値)と、メインモータ118(図7)を駆動するための制御量(速度指令値)とをそれぞれ制御する。例えば、条件1が成立した場合には、その条件1に対応して設定される制御量Ia1、Ib1が各々のPWM信号生成部に出力され、その制御量に応じたPWM信号が図7に示す各々のPWM信号生成部240a,240bにて生成されることとなる。同様にして、条件2が成立した場合には、対応する制御量がIa2、Ib2が出力されるといった具合に、各モータへの制御量(速度指令値)の割り振り(即ち、各モータへの供給電流の割り振り)が行われる。
【0120】
図12(b)は本実施形態で用いられる具体例を示すものである。ここでは、スキャナモータ25(図7)が停止した状態から駆動を開始する際(即ち、ポリゴンミラー19が停止した状態から駆動を開始する際)には、スキャナモータ25に供給される電流値A2と、メインモータ118(図7)に供給される電流値B2とを加算した加算電流値Eが、最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも第2モータ手段に供給される電流値B2を第2最大電流値B1よりも小さく抑える制御がなされ、具体的にはA2/A1>B2/B1となるように制御が行われる。即ち、メインモータ118(図7)のほうが抑制度合いが大きく、スキャナモータ25(図7)の駆動を手厚く保護するように制御が行われる。
【0121】
ここでは、スキャナモータ25(図7)が停止した状態から駆動を開始する際には、スキャナモータ25(図7)が定常状態となるまでの間は、スキャナモータ25(図7)に対し第1最大電流値A1が供給可能となるように、スキャナモータ25の駆動が優先的に確保される。より具体的には、図13に示すように、駆動開始時点t0から、スキャナモータ25(図7)の回転速度N1が定常状態の基準として定められる基準回転速度Naに達する時間t1までの間は、図12(b)に示すように、電流制御部232においてスキャナモータ25(図7)に対し第1最大供給電流値A1(図12(b)では1.0A)に相当する速度指令値が設定可能となり、メインモータ118(図7)には、最大供給電流値Dからスキャナモータ25に対して供給される電流値A2を差し引いた残りの電流の範囲内で供給できるように速度指令値が定められる。つまりこの期間は、スキャナモータ25の駆動が手厚く確保され、残りの電流の範囲内でメインモータ118が駆動されることとなる。
【0122】
図13には、経過時間と回転速度との関係、モータロック信号の出力タイミング、及び供給可能となる最大電流値を、各モータ毎に示しており、上段はスキャナモータ25(図7)について示し、下段はメインモータ118(図7)について示している。
【0123】
図13において、各々のモータについての各最下段には、図12で示す電流設定の具体例を示しており、スキャナモータに対し最大1.0Aの電流が供給されるように設定されている際(即ちt0〜t1の期間)には、メインモータ118には最大1.2Aの範囲内で電流が供給されるように電流抑制部232において制御量(速度指令値)が定められている。即ち、当該期間においてメインモータ118の電流値は、図12(b)に示すように、D−A2の範囲内であればよく、図13の例では、この範囲内での設定例としてD−A1(1.2A)の電流供給が可能とされている。なお、本実施形態では、基準回転速度Na、Nbはそれぞれ目標速度の90%の回転速度として定められている。一例としては、スキャナモータ25の目標速度が30000ppmである場合、基準回転速度Naは27000ppm程度に設定され、メインモータ118の目標速度が3000ppmである場合には、基準回転速度Nbは2700ppmに設定されるようになっている。
【0124】
また、図13において、各々のモータについての説明の各最上段では、モータが駆動してからの経過時間と回転速度との関係を示し、中段ではモータロック信号のタイミングをしており、本実施形態では、各モータの回転速度N1、N2がそれぞれ基準回転速度Na、Nbに到達した時点で、モータロック信号が発生するように構成されている。
【0125】
一方、スキャナモータ25が停止した状態から駆動を開始した後においてスキャナモータ25の回転が定常状態となった場合(即ち、回転速度N1が基準回転速度Naに達した場合)には、電流制御部232(図7)において、スキャナモータ25(図7)に供給される電流値が回転開始の際の電流値(1.0A)よりも低い値となるように抑制制御がなされる。図12(b)の例では、この抑制と並行し、メインモータ118に供給される電流値B2がポリゴンミラーの回転開始の際の電流値よりも高くなるように制御を行うようになっており、第2最大供給電流値B1に相当する速度指令値が設定可能となるように制御を行う。スキャナモータ25は、定常状態となってそれほど大きな電流値が必要とならないため、スキャナモータに25に対しては残りの電流の範囲内(即ちD−B2の範囲内)で供給されるように速度指令値が定められる。なお、より具体的には、図13に示すように、t1〜t2の範囲において、メインモータ118には、最大で、第2最大供給電流値B1に相当する1.8Aの電流供給が可能となり、スキャナモータ25には、0.4Aの電流供給が可能となるように設定される。即ち、スキャナモータ25の電流値は、図12(b)に示すように、D−B2の範囲内であればよく、図13の例では、この範囲内での設定例としてD−B1(0.4A)の電流供給が可能とされている。
【0126】
さらにメインモータ118(図7)の回転が定常状態となり(即ち、図13のようにメインモータ118(図7)の回転速度N2が基準回転速度Nbに到達したt2以降の期間)、スキャナモータ25、メインモータ118の双方が定常状態となった場合には、図12(b)のように、スキャナモータ25への供給電流を最大A3(A3<A1)となるように抑え、メインモータ118(図7)への最大供給電流をB3(B3<B1)に抑えるようにしている。なお、図12(b)の例では、いずれの状態においてもA2+B2が2.2以下となっており、電源回路において供給可能となる最大供給電流値Dは、D<(A1+B1)であって2.2A以上の値とされる。
【0127】
このようにして、図7に示す電流制御部232において、各モータへの制御量(速度指令値)が条件に応じて設定され、PWM信号生成部240に伝達されることとなる。そして、図7に示す各々のPWM信号生成部240a、240bにおいて、スキャナモータ25に対する第1PWM信号と、メインモータ118に対する第2PWM信号とが生成可能される。PWM信号生成部240a、240bでは、電流制御部232から出力される各々の速度指令値に基づいて第1PWM信号、第2PWM信号の各々のパルス幅を調整する。
【0128】
なお、図8に示すように、電流制御部232では、速度検出部236による回転速度の検出結果に基づいてフィードバック制御部202にて算出される制御量(速度指令値)に応じて各々のモータに対する制御量(速度指令値)を再設定するようにしているが、これらの制御量(速度指令値)は、PWM信号生成部240aにおいて第1PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値と、PWM信号生成部240bにおいて第2PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値として構成されるものである。そして、これらのパルス幅の指令値によって各モータへ供給されるべき電流値が推定できるが、電流制御部232では、各々の指定値に応じて推定される各々の推定電流値の和が、電源回路からの最大供給電流Dの範囲内となるように、各々のパルス幅の指定値を定めるようにしている。このように、パルス幅の指定値によって供給される電流を推定することにより、実際に供給電流を検出せずとも適切な割り振りを可能としている。
【0129】
このようにして、速度検出部236による回転速度の検出結果、第1PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値、及び第2PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値に基づいてスキャナモータ25第1モータ及び第2モータへの供給電流の制御が行なわれることとなる。
【0130】
<第2実施形態>
次に、図14及び図15を参照して実施形態2について説明する。実施形態2では、スキャナモータ25へ供給される電流値A2と、第2モータ手段へ供給される電流値B2とを設定する、図14のような設定値を記憶する記憶手段を備え、この記憶手段に記憶される設定値を設定変更可能としている。
【0131】
図15の構成では、電流制御部232には、タイマ281と、割り振り設定部283a,283bが接続されており、いずれかの割り振り設定部のデータを用いるかを特定する設定値が図示しない記憶手段に記憶されている。タイマ281は時間検出手段に相当している。割り振り設定部283aには図14(a)のような設定データが記憶されており、割り振り設定部283aには、図14(b)のような設定データが記憶されている。そして、電流制御部232では条件に応じていずれかの設定データを選択するようにしている。この電流制御部232が設定変更手段に相当する。
【0132】
具体的には、スキャナモータ25の立ち上がり時間をタイマ281にて検出し、その検出結果に基づいて設定値を変更するようにしている。即ち、スキャナモータ25が停止状態から駆動を開始した場合において、定常状態となるまでの時間t1が所定の基準時間taを超えるか否かを判断し、超えない場合には図14(a)の設定データを用いて実施形態1と同様の処理を行う。一方、t1が基準時間taよりも長くなる場合には、図14(b)の設定データを用いるように記憶手段に記憶される設定値を変更する。即ち、経年劣化等により立ち上がりが遅くなった場合に、それに応じて割り振りを変更するようにしている。図14(b)の設定データでは、図14(a)の設定データよりもスキャナモータ25を駆動する際の供給可能電流を大きく設定している。例えば、駆動開始の際、定常状態となるまでの間、最大1.2Aの電流が供給可能となる。そして、この電流増加分を考慮して、駆動電流の和が、電源手段から供給される最大供給電流Dを超えないように図14(a)の設定データよりもメインモータの駆動電流を若干小さく定めている。なお、本実施形態では、実施形態1と異なり、第1最大供給電流値A1は1.2Aであり、第2最大供給電流値B1は1.8Aとされる例を示している。
【0133】
<第3実施形態>
本実施形態では、上記実施形態とは異なるゲインの切り替え方法をとる構成について示している。なお、モータ駆動装置の構成は上記実施形態と同様の構成を用いることができるため、上記実施形態の図も参照して説明する。ここでは、ブラシレスDCモータ(ここではメインモータ118)が、第1速度及び第2速度の少なくとも2つの速度にて定速動作が行われるようになっており、ゲイン選択手段(ゲイン切換部206、ゲイン切換制御部218)は、メインモータ118の回転速度が第1速度Ncで定速動作を行っている際に、第1速度Ncから第2速度Ndへの速度変更が生じた場合には、速度変更時ゲインを選択するようにしている。この場合、動作モード設定部212にゲイン切換の条件となる動作モードを設定しておき、この動作モード条件を満たした場合にゲイン切換制御が行われるようにすることができる。一方、第1速度Ncから第2速度Ndへの速度変更後において、第2速度Ndに応じた第2速度条件が満たされた場合に定速動作用ゲインを選択するように構成されている。
【0134】
具体的には、第1速度Ncから第2速度Ndへの速度変更する際に、速度変更指令が発生した時点で、速度変更用ゲインを選択し、その後、メインモータ118の回転速度N2が、第2速度Ndに応じて予め定められる基準速度範囲内(Nd1〜Nd2の範囲)となった場合に、定速動作用ゲインを選択するように構成されている。
【0135】
また、このように第1速度Ncと第2速度Ndとで速度変更可能な構成において、同様に、速度変更指令が発生した時点で、速度変更用ゲインを選択する一方、第1速度Ncから第2速度Ndへの速度変更する際に、速度変更指令が発生してから所定時間経過した場合に定速動作ゲインを選択するようにしてもよい。この場合、図8に示すタイマ208を用いて時間を計測し、時間設定部216にて定められる基準時間(所定時間)を経過したか否かに基づいて判断することができる。
【0136】
また、メインモータ118が定速動作を行う場合には定速動作用ゲインを選択し、メインモータ118の回転速度が、定速動作の目標速度に応じて予め定められた回転速度範囲を外れた場合に、定速動作用ゲインとは異なる第2ゲインを選択するように構成してもよい。例えば、メインモータ118が回転速度Ncに対応した定速動作を行う場合には定速動作用ゲインを選択し、メインモータ118の回転速度が、定速動作の目標速度Ncに応じて予め定められた回転速度範囲(Nc1〜Nc2の範囲)を外れた場合に、定速動作用ゲインとは異なる第2ゲインを選択するように構成してもよい。この場合、図8の速度範囲設定部214に回転速度範囲を設定しておき、メインモータ118の回転速度がこの設定される速度範囲を超えるか否かに基づいて判断できる。
【0137】
<第4実施形態>
次に、実施形態4について説明する。
実施形態4では、前述の時間t0からt1の間におけるメインモータ118の騒音を効果的に抑制し得る構成について説明する。なお、本実施形態では、電流の制御方法が実施形態1と異なり、その他の具体例(図1ないし図11に示す例)は実施形態1と同様であるので、同一の部分についてはこれらの図を参照し、異なる部分については図17、図18を参照して説明する。なお、図17、図18においても、経過時間と回転速度との関係、モータロック信号の出力タイミング、及び供給可能となる最大電流値を、各モータ毎に示しており、上段はスキャナモータ25(図7)について示し、下段はメインモータ118(図7)について示している。
【0138】
図17の例では、スキャナモータ25(図7)については図13と同様の電流制御方法を用いており、メインモータ118(図7)に対する電流制御方法が図13とは異なっている。具体的には図17に示すように、電流制御部232(図7)は、メインモータ118(図7)へ供給される電流値B2が、第2最大電流値B1よりも小さくなるように制御を行う抑制制御期間(即ち、図13に示すt0〜t1の期間)において、メインモータ118(図7)へ供給される電流を次第に増加させるように制御を行うようになっている。
【0139】
図17の例では、スキャナモータ25(図7)の駆動とほぼ同時にメインモータ118(図7)が駆動するようになっており、スキャナモータ25(図7)に対しては、駆動開始時点t0から、供給可能電流値に相当する1.0Aの電流が供給可能となっており、メインモータ118(図7)に対しては供給可能となる電流値が駆動開始時点t0から次第に増加するようになっている。図17の例では、抑制制御期間t0〜t1において、メインモータ118(図7)に供給可能となる電流値と時間との関係が線形関数とされている(即ち、時間の経過に伴い供給可能となる電流値がリニアに増加するようになっている)。なお、このように線形関数的に増加させずに、曲線的に(例えば、指数関数的な曲線、2時関数的な曲線等として)増加させてもよい。
【0140】
そして、図17の例では、遅くとも抑制制御期間が終了するまでに(即ち、t1の時点までに)、最大供給電流値Dから、当該抑制制御期間おいてスキャナモータ25(図7)へ供給される電流値A2(最大1.0Aの電流値)を差し引いた値の電流(即ち最大1.2Aの電流)が供給されるように、メインモータ118(図7)に供給される電流を次第に増加させる。このように、メインモータ118(図7)に対し、D−A2の範囲で供給可能となる電流を徐々に増加させることで、メインモータ118に供給される電力量が減少し、それに伴い、騒音を抑制することが可能となる。
【0141】
また、図18の例を用いてもよい。 図18の例でも、スキャナモータ25(図7)については図13と同様の電流制御方法を用いており、メインモータ118(図7)に対する電流制御方法が図13とは異なっている。図18の例では、ポリゴンミラーが停止した状態から駆動を開始する際に、メインモータ118(図7)がスキャナモータ25(図7)の駆動開始タイミングよりも遅いタイミングで駆動を開始するように構成されている。そして、そのメインモータ118(図7)の駆動開始の際に、電流制御部232(図7)によりメインモータ118(図7)への電流が抑えられるようになっている。なお、図18の例では、メインモータ118(図7)の駆動開始タイミングt3が、スキャナモータ25(図7)の駆動開始タイミングt0よりも所定時間遅れたタイミングとされており、電流制御部232は、この駆動開始タイミングt3から抑制制御期間の終了時点t1までの間、メインモータ118(図7)に供給可能となる電流を次第に増加させるように制御を行っている。なお、図18のように、メインモータ118(図7)の駆動開始タイミングをスキャナモータ25(図7)の駆動開始タイミングよりも遅いタイミングとする方法を用いた場合においては、図18のように供給可能となる電流を次第に増加させずに、t3〜t1の期間の間、最大供給電流値Dからスキャナモータ25(図7)への供給が許容される供給可能電流値(1.0A)を差し引いた値(即ち1.2A)の電流が供給可能とするように制御を行ってもよい(即ち、t3〜t1の期間を通して1.2Aの電流が供給可能とされていてもよい)。
【0142】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば以下に示すような種々の態様を採ることができる。
(1)上記実施形態においては、レーザプリンタ1に本発明の画像形成装置としての構成を適用したものを例示した。しかし、本発明の画像形成装置としての構成を適用する装置は、画像形成の機能を有していれば、コピー機,ファクシミリ等についても同様に適用可能である。
【0143】
(2)上記実施形態では、ASIC200においてブラシレスDCモータの回転速度を検出する構成として、FG信号又はBD信号を用いて検出する構成を例示したが、ブラシレスDCモータの回転位置を特定する回転位置信号に基いて行ってもよい。例えば、ホール素子信号に基いて回転速度情報を生成してもよい。この場合、FG信号生成部252やBDセンサ254を省略することもできる。
【0144】
(3)第1モータ手段をスキャナモータ25とし、第2モータ手段をメインモータ118とした例を説明したが、いずれか一方、又は双方のモータ手段をこれら以外としてもよい。即ち、第1の被駆動体をポリゴンミラー以外のものとすることもでき、第2の被駆動体を現像剤担持体や搬送手段以外のものとすることもできる。
(4)上記実施形態では、第1モータ手段や第2モータ手段として単一のモータを例に挙げて説明したが、複数のモータからなるモータ群として構成されていてもよい。例えば、カラーレーザプリンタのように各色毎にスキャナモータが設けられるような構成において、全てのスキャナモータを第1モータ手段とするような構成であってもよい。同様に、第2モータ手段についても複数のモータによって構成されていてもよい。
(5)上記実施形態では、スキャナモータ25が停止した状態から駆動を開始する際に、電流制御手段(電流制御部232及びPWM信号生成部240)によって加算電流値Eが、最大供給電流値Dよりも小さくなるように制御する構成を例示したが、完全に停止した状態からの駆動以外でもこのような制御を用いることができる。例えば、ポリゴンミラーが所定速度に達していない状態(即ち、所定の低速状態)から駆動を開始する際に、電流制御部232及びPWM信号生成部240によって加算電流値Eが、最大供給電流値Dとなるように制御を行っても。例えば、所定の低速状態にあるスキャナモータ25を、最大供給電流値A1の電流にて駆動し、一方、メインモータについてはD−A1以下の電流に抑えつつ駆動開始制御を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の実施形態1に係るレーザプリンタを例示する斜視図。
【図2】実施形態1のレーザプリンタの概略側断面図。
【図3】実施形態1における回路基板ユニットの配置を概念的に説明する斜視図。
【図4】実施形態1におけるギアユニットの配置を概念的に説明する斜視図。
【図5】実施形態1におけるギアユニットの構成を概念的に説明する概略側断面図。
【図6】実施形態1における回路基板ユニットの構成を概念的に説明する斜視図。
【図7】実施形態1に係るモータ駆動装置の構成を概念的に例示するブロック図
【図8】モータ駆動装置においてスキャナモータを駆動する部分について主に説明する説明図
【図9】ホール素子信号の検出タイミングと相の切り換わるタイミングとを説明するタイミングチャート
【図10】遅延を考慮した制御を行う場合について説明するタイミングチャート
【図11】フィードバック制御部の内部構成及び接続部分について説明する説明図
【図12】電流制御部での設定例を例示する説明図
【図13】スキャナモータとメインモータの駆動例について説明する説明図
【図14】実施形態2における電流制御部での設定例を例示する説明図
【図15】図8の変形例を示す図であり、実施形態2における電流制御部及び関連部分について説明する説明図
【図16】実施形態3におけるメインモータの駆動例について説明する説明図
【図17】図13とは異なる制御例を示す図であり、実施形態4における電流制御方法について説明する説明図
【図18】実施形態4に関し、図17とは異なる制御例を示す説明図
【符号の説明】
【0146】
1…レーザプリンタ(画像形成装置)
8…給紙ローラ(第2の被駆動体)
12…レジストローラ(第2の被駆動体)
19…ポリゴンミラー(第1の被駆動体)
25…スキャナモータ(ブラシレスDCモータ、第1モータ手段)
118…メインモータ(ブラシレスDCモータ、第2モータ手段)
200…ASIC(制御回路)
201…フィードバック制御部(フィードバック演算手段)
204a,204b,204c,204d…ゲイン設定部
206…ゲイン切換部
218…ゲイン切換制御部
232…電流制御部(電流制御手段)
234…相切換部
236…速度検出部(第1回転速度検出手段)
240…PWM信号生成部
250…モータドライバ(モータ駆動回路)
252…FG信号生成部
254…BDセンサ
256…ホール素子
281…タイマ(時間検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリゴンミラーへ回転駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第1モータ手段と、
前記ポリゴンミラー以外の被駆動体への駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第2モータ手段と、
前記第1モータ手段及び前記第2モータ手段に電流を供給する電源手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記第1モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第1最大電流値をA1とし、前記第2モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第2最大電流値をB1とし、その第1最大電流値A1と第2最大電流値B1とを加算した値をCとし、さらに、前記電源手段から供給し得る最大供給電流値をDとした場合、前記電源手段は、D<Cとなるように構成されており、
前記第1モータ手段に供給される電流値をA2とし、前記第2モータ手段に供給される電流値をB2とした場合に、それらA2とB2とを加算した加算電流値が、前記最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも前記第2モータ手段に供給される電流値B2を前記第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように制御を行う電流制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ポリゴンミラーへ回転駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第1モータ手段と、
現像剤担持体或いは搬送手段への駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第2モータ手段と、
前記第1モータ手段及び前記第2モータ手段に電流を供給する電源手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記第1モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第1最大電流値をA1とし、前記第2モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第2最大電流値をB1とし、その第1最大電流値A1と第2最大電流値B1とを加算した値をCとし、さらに、前記電源手段から供給し得る最大供給電流値をDとした場合、前記電源手段は、D<Cとなるように構成されており、
前記第1モータ手段に供給される電流値をA2とし、かつその回転を開始する際に前記第2モータ手段に供給される電流値をB2とした場合に、それらA2とB2とを加算した加算電流値が、前記最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも前記第2モータ手段に供給される電流値B2を前記第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように制御を行う電流制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記電流制御手段は、A2/A1>B2/B1となるように制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電流制御手段は、前記ポリゴンミラーが停止した状態、又は所定速度に達していない状態から駆動を開始する際の、前記第1モータ手段に供給される電流値A2と、前記第2モータ手段に供給される電流値B2とを加算した加算電流値が、前記最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも前記第2モータ手段に供給される電流値B2を前記第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように制御を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電流制御手段は、前記ポリゴンミラーが停止した状態、又は所定速度に達していない状態から駆動を開始する際の、前記第1モータ手段に供給される電流値A2が、前記第1最大電流値A1となるように制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電流制御手段は、
前記ポリゴンミラーが停止した状態、又は所定速度に達していない状態から駆動を開始した後において、前記第1モータ手段の回転が定常状態となった場合に当該第1モータ手段に供給される電流値が、当該第1モータ手段における前記ポリゴンミラーの回転開始の際の電流値よりも低い値となるように前記第1モータ手段への電流供給を抑制し、
かつ、前記第2モータ手段に供給される電流値が、当該第2モータ手段における前記ポリゴンミラーの回転開始の際の電流値よりも高くなるように、当該第2モータ手段への電流供給を増加させるよう制御を行うことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ポリゴンミラーが停止した状態、又は所定速度に達していない状態から駆動を開始する際に、前記第2モータ手段は、前記第1モータ手段の駆動開始タイミングよりも遅いタイミングで駆動を開始するように構成されており、その第2モータ手段の駆動開始の際に、前記電流制御手段により前記第2モータ手段への電流が抑えられることを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記電流制御手段は、前記第1モータ手段に対する第1PWM信号と、前記第2モータ手段に対する第2PWM信号とを生成可能に構成されており、前記第1PWM信号及び前記第2PWM信号の各々のパルス幅を調整することにより前記第1モータ手段及び前記第2モータ手段への供給電流をそれぞれ制御することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1モータ手段おけるモータの回転速度を検出する第1回転速度検出手段と、
前記第2モータ手段におけるモータの回転速度を検出する第2回転速度検出手段とを備え、
前記電流制御手段は、前記第1PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値と、前記第2PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値と、前記第1回転速度検出手段及び前記第2回転速度検出手段による回転速度の検出結果と、に基づいて前記第1モータ及び前記第2モータへの供給電流の制御を行うことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ポリゴンミラーが停止した状態から回転を開始する際に前記第1モータ手段へ供給される電流値A2と、その回転を開始する際に前記第2モータ手段へ供給される電流値B2とを設定する設定値を記憶する記憶手段を備え、
前記電流制御手段は、前記記憶手段に記憶される設定値に基づいて前記第1モータ手段への供給電流と、前記第2モータ手段への供給電流とを制御し、
さらに、前記記憶手段に記憶される前記設定値を設定変更する設定変更手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
第1の被駆動体に回転駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第1モータ手段と、
前記第1の被駆動体とは異なる第2の被駆動体への駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第2モータ手段と、
前記第1モータ手段及び前記第2モータ手段に電流を供給可能に構成された電源手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記第1モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第1最大電流値をA1とし、前記第2モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第2最大電流値をB1とし、その第1最大電流値A1と第2最大電流値B1とを加算した値をCとし、さらに、前記電源手段から供給し得る最大供給電流値をDとした場合、前記電源手段は、D<Cとなるように構成されており、
さらに、前記第1モータ手段に供給される電流値をA2とし、前記第2モータ手段に供給される電流値をB2とした場合に、それらA2とB2とを加算した加算電流値が、前記最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも前記第2モータ手段に供給される電流値B2を前記第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように制御を行う電流制御手段と、
前記第1モータ手段へ供給される電流値A2と、前記第2モータ手段へ供給される電流値B2とを設定する設定値を記憶する記憶手段を備え、
前記電流制御手段は、前記記憶手段に記憶される設定値に基づいて前記第1モータ手段への供給電流と、前記第2モータ手段への供給電流とを制御し、
さらに、前記記憶手段に記憶される前記設定値を設定変更する設定変更手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記第1モータ手段の立ち上がり時間を検出する時間検出手段を備え、
前記設定変更手段は、前記時間検出手段による検出結果に基づいて前記設定値を変更することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
第1の被駆動体に回転駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第1モータ手段と、
前記第1の被駆動体とは異なる第2の被駆動体への駆動力を供給する1又は複数のモータからなる第2モータ手段と、
前記第1モータ手段及び前記第2モータ手段に電流を供給可能に構成された電源手段と、
を備えた画像形成装置であって、
前記第1モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第1最大電流値をA1とし、前記第2モータ手段の駆動に使用する最大の駆動電流値である第2最大電流値をB1とし、その第1最大電流値A1と第2最大電流値B1とを加算した値をCとし、さらに、前記電源手段から供給し得る最大供給電流値をDとした場合、前記電源手段は、D<Cとなるように構成されており、
さらに、前記第1モータ手段に供給される電流値をA2とし、前記第2モータ手段に供給される電流値をB2とした場合に、それらA2とB2とを加算した加算電流値が、前記最大供給電流値Dよりも小さくなるように、少なくとも前記第2モータ手段に供給される電流値B2を前記第2最大電流値B1よりも小さく抑えるように制御を行う電流制御手段と、
前記第1モータ手段おけるモータの回転速度を検出する第1回転速度検出手段と、
前記第2モータ手段におけるモータの回転速度を検出する第2回転速度検出手段とを備え、
前記電流制御手段は、前記第1PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値と、前記第2PWM信号を生成する際のパルス幅の指定値と、前記第1回転速度検出手段及び前記第2回転速度検出手段による回転速度の検出結果と、に基づいて前記第1モータ及び前記第2モータへの供給電流の制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記電流制御手段は、前記第2モータ手段へ供給される電流値B2が、前記第2最大電流値B1よりも小さくなるように制御を行う抑制制御期間において、前記第2モータ手段へ供給される電流を次第に増加させるように制御を行うことを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記電流制御手段は、遅くとも前記抑制制御期間が終了するまでに、前記最大供給電流値Dから、当該抑制制御期間において第1モータ手段に供給される電流値をA2を差し引いた値の電流が供給されるように、前記第2モータ手段に供給される電流を次第に増加させることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−3755(P2006−3755A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181834(P2004−181834)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】