説明

画像形成装置

【課題】ロータリ現像装置を有する画像形成装置における、各々の現像器の着脱に際してロータリ現像装置の回転を効果的にロックし得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】静電像が形成される感光ドラムと、回転可能なロータリに着脱可能に装着された複数の現像器4を有し、ロータリを回転して感光ドラムに対向した現像位置に各々の現像器4を移動させて感光ドラムの静電像を現像するロータリ現像装置41と、各々の現像器4をロータリから取り外すとロータリの回転をロックするロック機構と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式によって可視画像を形成する複写機、プリンタ、記録画像表示装置、ファクシミリなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コピー、プリンタ機能を有する複合機や、ファクシミリなどにおいては、電子写真方式の画像形成装置が広く利用されており、且つ、近年は特に電子写真方式のフルカラー画像形成装置の普及が著しい。
【0003】
フルカラー画像形成装置によるカラー画像の再現が普及するにつれ、フルカラー画像形成装置は、従来の、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色画像形成から、その他の色を用いることが行われている。例えば、主に色再現範囲を広げる目的で、二次色である、グリーン、レッド、ブルー等の特色を更に有し、画像形成するものがある。さらに、画像の粒状感を低減し写真調に画像を表現するための、薄いマゼンタ、薄いシアンなど淡色を更に有し、画像形成するものなどがある。特にインクジェット画像形成装置の分野でこのようなことが急速に普及しつつあり、また一部、電子写真の分野においても製品化あるいは提案がためされている。
【0004】
また、前述したような、色再現範囲の向上や、画像の粒状感の低減による高画質化の流れとは別に、画像全域に光沢感を付与し、写真調に仕上げ、画像中の光沢感(グロス感)に変化を与えることが行われている。これは、光沢差(グロス差)という、色とは異なる新しい表現を付与する印刷物も近年普及しはじめているためである。
【0005】
また、光沢文字によって印刷物の一部を更に強調し、光沢差(グロス差)を利用した文字を埋め込み、印刷物の原本証明等に利用するなど、プレゼン(印象付与)、及びセキュリティーの分野にも数多くの応用事例が見込まれている表現手段である。
【0006】
この様な表現を電子写真方式の画像形成装置で実現するために、従来から提案されているものの中に、特許文献1で示されるような、透明トナー現像器を有した1ドラムロータリ現像装置による画像形成装置がある。
【0007】
ロータリ現像装置は、ドラム上の同一位置にて現像器が配置される(切り替わる)ため、現像位置におけるドラム上電位は常に同一に保たれることとなり、結果として濃度が安定する構成である。また、感光ドラムの大型化も生じ難く、ロータリ径に応じて、現像器の大きさ、現像剤の容量も適正に設定ができるため、バランスの取れた形態といえる。
【0008】
ところが一般的に、現像器に他色の現像剤が混入する、所謂混色が発生すると、安定した画像濃度が得られなかったり、不適当な色が転写されてしまったりと、画質品位を著しく低下させる結果となり得る。透明トナー現像器への有色現像剤の混色は、有色現像剤同士の混色と比較して、画質への影響が特に大きいとされている。
【0009】
一方、ロータリ現像装置は、現像動作時の回転により現像器各々の姿勢が天地逆転することで現像剤が飛散・落下し易い。また、サービスメンテナンス時の現像器交換作業における現像剤落下のおそれも有る。
【0010】
すなわち、現像剤カートリッジ中の現像剤を現像器に補給するための補給口や、現像器からの現像剤排出口において、現像器の取り外しによってこれらが開口することとなる。この開口状態でロータリが回転すると、開口部から現像剤が落下し、ロータリ現像装置の下部に蓄積される。更に、現像スリーブはキャリアを保持するための磁力を有しており、この磁力によって落下現像剤を回収してしまう可能性がある。これは、ロータリの回転により、現像スリーブが非現像領域を、特にロータリ下部を通過する際に、キャリアを含んだ他色現像剤を引き寄せる結果、混色してしまうことを表している。
【0011】
上述のようにクリアトナー現像器を有するロータリ現像装置は特に混色対策の必要性が大きいが、一般的に、ロータリ現像装置の混色に対して、従来から様々な対策が提案されている。
【0012】
例えば特許文献2では、現像器交換時の現像剤飛散・落下対策として、次のような構成を提案している。ロータリ現像装置において、交換すべき現像器を予め交換位置に回転移動させる前に、少なくとも一回以上停止させることで、現像器に付着した現像剤に加速度を与えて振り落とすことを意図した構成である。落下した現像剤はロータリ現像装置下部の現像剤受け容器に蓄積させる。また、特許文献3も同様にロータリ現像装置下部に設けた現像剤受け容器を配置し、落下現像剤を捕捉する構成である。
【0013】
また、現像器交換時の作業性向上のために、ロータリを一時的に回転不能にする構成が特許文献4で提案されている。これは、現像剤カートリッジあるいは現像器を交換する際、本体カバーの開閉に連動してロータリをロック・解除するものである。これにより、現像剤カートリッジあるいは現像剤が取り外された状態や、これらの交換途中であっても、本体カバーが開いている限り、ロータリが回転してしまうことが無いため、ロータリ現像装置内での現像剤の飛散・落下を防止することができる。
【0014】
【特許文献1】特開2006−220815
【特許文献2】特許03885752
【特許文献3】特開平08−220881
【特許文献4】特開昭62−44781
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、上述したような混色対策は次のような問題がある。特許文献2、3に示したような、ロータリ下部に落下した現像剤を回収する容器を設けた構成は、装置本体の小型化には適さない。すなわち、現像ロータリ下部のスペースは、下方に転写体あるいは中間転写体などがある場合が多く、また、現像器の小型化には限度があることから、回収容器のスペースを確保するためには、装置本体を大型化しなければならない。
【0016】
また、現像器からの現像剤飛散及び落下を許容した場合、必ずしもロータリ現像装置下部へ落下するとは限らず、他現像器への直接落下の可能性も十分に考えられる。更に、ロータリ現像装置内部を飛散している現像剤に対して、ロータリ回転により現像スリーブが突入することで、前述したような磁力による捕集効果のために混色を防止することはできない。現像スリーブの磁力は、高画質化の目的で大きくなる傾向があり、現像剤を飛散・落下させることは好ましい構成ではない。
【0017】
特許文献4に示したような本体カバーに連動したロータリロック構成では、例えば、現像剤カートリッジあるいは現像器を取り外した状態で本体カバーを閉じた場合、ロータリのロックは解除されて回転が可能となる。このため、現像器等から現像剤が落下することになる。つまり、現像剤補給口等の現像剤搬送経路が開口したままロータリが回転可能な構成では、現像剤の落下は避けられないのである。
【0018】
また、本体カバーと連動したロータリロック構成では、以下の問題も有する。複数の現像器を交換する際、ロータリのロックを解除するためにその都度本体カバーを閉じる必要が有る。また、ロータリ現像装置における現像器が一部取り外された状態では、ロータリの重量バランスが失われ、自重によりロータリが容易に回転してしまうために、現像器交換時の作業性が低下する。
【0019】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータリ現像装置を有する画像形成装置における、各々の現像器の着脱に際してロータリ現像装置の回転を効果的にロックし得る画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、静電像が形成される静電像担持体と、回転可能なロータリに着脱可能に装着された複数の現像器を有し、前記ロータリを回転して前記静電像担持体に対向した現像位置に各々の現像器を移動させて前記静電像担持体の静電像を現像するロータリ現像装置と、前記各々の現像器を前記ロータリから取り外すと前記ロータリの回転をロックするロック機構と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明にあっては、ロータリに装着された現像器を着脱する際、現像器の取り外しに応じてロータリの回転をロックすることができる。これにより、ロータリ現像装置内部への現像剤の漏れや飛散、落下が避けられ、他色現像器への現像剤の混色を防止することが可能となる。特に混色に対して不利とされる透明トナーを有するロータリ現像装置において、混色を未然に防止する効果は極めて大きい。現像器への混色を防止することで、適切な濃度の高品位な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に本発明を実施するための最良の一形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0023】
<画像形成装置>
図1は本発明を適用した画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は、電子写真フルカラー画像形成装置であり、上部にデジタルカラー画像リーダ部R、下部にデジタルカラー画像プリンタ部Pを有する。
【0024】
デジタルカラー画像リーダ部Rにおいて、31は原稿台ガラス、32はそのガラス31に対して開閉可能な原稿圧着板である。ガラス31上にカラー原稿Oを画像面下向きで所定の載置基準に従って載置し、その上に原稿圧着板32を被せることでカラー原稿Oをセットする。
【0025】
原稿圧着板32を原稿自動送り装置(ADF、RDF)にして、ガラス31上にシート状原稿を自動的に送る構成にすることもできる。
【0026】
33はガラス31の下面に沿って移動駆動される移動光学系である。この移動光学系33によりガラス31上のカラー原稿Oの下向き画像面が光学的に走査される。その走査光が光電変換素子(固体撮像素子)であるCCD34に結像されてRGB(レッド・グリーン・ブルー)の三原色で色分解読取りされる。
【0027】
読取られたRGBの各信号が(図示しない)画像処理部に入力される。
【0028】
デジタルカラー画像プリンタ部Pは、ドラム、ロータリ現像構成、及び中間転写構成を有する電子写真画像形成機構である。
【0029】
このデジタルカラー画像プリンタ部Pの動作概略は次の通りである。
【0030】
静電像担持体としての電子写真感光ドラム(以下、感光ドラムという)1上に、画像信号を、レーザースキャナ3にて、露光画像として形成する。
【0031】
感光ドラム上に形成された露光画像は、所望の色の現像剤を収容し、(図示しない)トナーカートリッジ部より現像剤としてのトナーを必要時随時補給されるべく、補給パイプ400を備える。そして現像ロータリ内部に配置された複数の現像器により、1色毎、露光画像上にトナー像を順次形成する。
【0032】
この感光ドラム1上の各色のトナー像を更に中間転写ベルト(以下、ベルトという)5上に1色毎に一次転写することを繰り返して、ベルト5上に未定着の必要色のトナー像を合成形成する。その後、このトナー像を一括で記録材であるシートS上に二次転写し、次いで定着してフルカラー画像形成物を出力するものである。
【0033】
以下に、更に詳しく説明する。
【0034】
感光ドラム1は矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動され、その表面が帯電手段としての帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電される。その帯電処理面が露光手段としてのレーザースキャナ3によりレーザー走査露光される。
【0035】
レーザースキャナ3は、レーザー出力部、ポリゴンミラー、結像レンズ、折り返しミラー等を有し、画像処理部35から入力される画像情報信号に対応して変調されたレーザー光(光信号)を出力して、回転する感光ドラム1の帯電処理面を走査露光する。これにより、感光ドラム1の面に走査露光パターンに対応した静電像が形成される。
【0036】
尚、上記画像情報信号は、前述のデジタルカラー画像リーダ部Rから読み込まれた画像情報以外にも、パソコンなどの外部機器より電送される画像情報より合成、形成されたものでももちろん構わない。
【0037】
その静電像がロータリ現像装置41によりトナー像として現像される。
【0038】
ロータリ現像装置41は、ロータリに、各々の色現像剤(トナー)を収容させた複数の現像器4を装着したものである。
【0039】
ロータリ現像装置41が所定の制御タイミングにて所定の角度、図示矢印方向に回転されることによって、各々の現像器が感光ドラム1と対向する現像位置に切り換えられて配置される。現像位置において、感光ドラム1と、現像器側の現像スリーブとの距離(SD距離)が或る決められた範囲内に保たれる。
【0040】
ベルト5は可撓性を有する誘電材製のエンドレスベルトであり、複数のローラ5a〜5g間に懸回張設されている。ベルト5の外面はローラ5b・5c間において感光ドラム1に接触している。その接触部が一次転写ニップ部T1である。
【0041】
この一次転写ニップ部T1において、ベルト5の感光ドラム1側と反対側に一次転写ローラ6が配設されていて、ベルト5の内面に接している。
【0042】
この一次転写ローラ6には、所定の制御タイミングにて、トナーと逆極性の一次転写電圧が印加される。ベルト5は、例えばローラ5aを駆動ローラとして、感光ドラム1の回転速度とほぼ同じ速度で矢印の時計方向に回転駆動される。
【0043】
まず、感光ドラム1に対して、1色目のトナー像が、上記の帯電・露光・現像の画像形成工程により形成される。そして、そのトナー像が一次転写ニップ部T1においてベルト5上に転写される。
【0044】
ベルト5に転写されないで感光ドラム1の面に残った一次転写残トナーはドラムクリーニング装置7により感光ドラム面から除去される。ドラムクリーニング装置7により清掃された感光ドラム1は繰り返して画像形成に供される。
【0045】
上記と同様の画像形成工程が、2色目〜N色目について、同様に随時繰り返えされる。これにより、ベルト5上に、各現像色のトナー像の順次重畳転写からなる未定着のトナー画像が合成形成される。
【0046】
一方、所定の制御タイミングで、第1〜第4の給送カセット81〜84、或いはマルチ手差しトレイ85の複数の給送部のうち、予め選択された給送部の給送ローラ11が駆動される。これにより、その給送部に収容されたシートSが1枚分離されて送り出されてシートパス13からレジストローラ14へ送られる。
【0047】
レジストローラ14は、シートSの斜行補正と、ベルト5からシートSへのトナー像の二次転写のタイミングを制御するもので、給送部側から給送されたシートSの先端を受け止めて一旦停止させる。
【0048】
15は二次転写ローラである。この二次転写ローラ15は、ベルト5の複数のローラ5a〜5gの内のローラ5gを対向ローラとして、該ローラ5gに対してベルト5を挟んで所定に圧接した第1状態と、ベルト5の外面から離間した第2状態とを有する。そして、(図示しない)加圧制御機構によりこれらの状態は、切り換えられ、脱着制御される。
【0049】
二次転写ローラ15は常時はベルト5の外面から離間した第2状態に切り換えられて保持されている。尚、第1状態に切り換えられることで、ベルト5の外面との間に二次転写ニップ部T2が形成される。
【0050】
二次転写ローラ15は所定の制御タイミングで第1状態に切り変えられる。また、レジストローラ14の位置で一旦停止されているシートSは所定の制御タイミングでレジストローラ14から再給送され、第1状態に切り変えられた二次転写ローラ15とベルト5との間の二次転写ニップ部T2に導入される。
【0051】
そして、シートSはこの二次転写ニップ部T2を挟持搬送されていく。その間、二次転写ローラ15には所定の二次転写電圧が印加されて、ベルト5上の複数色からなるトナー像がシートS上に静電的に一括転写され、シートS上には未定着のトナー像が形成(転写)される。
【0052】
シートSに転写されないでベルト5の面に残った二次転写残トナーはベルトクリーニング装置16によりベルト面から除去される。このベルトクリーニング装置16により清掃されたベルト5は繰り返して画像形成に供される。
【0053】
ベルトクリーニング装置16は、常時はベルト5の外面から離間した状態に保持されている。二次転写ニップ部T2にてベルト5からシートSに対するトナー像の二次転写がなされるときに、所定の制御タイミングにてベルト5の外面に接触した状態に切り換えられる。
【0054】
二次転写ニップ部T2を出たシートSはベルト5の面から分離して、搬送ベルトユニット17によって定着器18へ搬送され、未定着トナー像は熱及び圧力によりシートS上に融着されて定着画像となる。定着器18を出たシートSは搬送パス19を通って排出トレイ20上に排出される。
【0055】
21、22、25は、再度、シートSに画像を転写、定着させる際のシート搬送パスである。このシート搬送パスは、両面画像形成モードや多重画像形成モードが選択された場合に、定着器18を出た、片面画像形成済みの記録材又は1回目画像形成済みの記録材を表裏反転させて、もしくは表裏反転させないで、二次転写ニップ部T2へ再搬送する。
【0056】
次に、以下に両面画像形成モードについて詳細に説明する。
【0057】
定着器18を出たシートは、切り替えフラッパ26にて、図中下方の搬送パスへ導かれる。そして、反転ローラ22にて反転し、シート後端側を先端として、切り替えフラッパ27にて、図中右方向へ搬送される。そして、デカーラ23にて、カール補正され、主走査方向(奥・手前方向)のシート位置を横レジ検知センサ24にて検出され、搬送パス25へと送られる。
【0058】
デカーラ23は、シートが再度二次転写ニップ部T2に送られる際、下向き(上凸形態)のカールになる様、カール補正の向きが設定されている。これは、逆の上向き(下凸形態)のカールの際、シート先端がニップ部入り口に引っかかる、或いは入り難い、及び、搬送され難い、ニップへのシートの入りと出の際のシートの跳ねが大きい、などが原因の二次転写不良(画像不良)が生じるためである。
【0059】
また、横レジ検知センサ24にて検知されたシート端部の位置情報は、裏面の画像の主走査方向の書き込み位置の補正用に用いられる。このため、両面搬送パス中にシートの主走査方向の位置に変動が生じても、1面目の画像とほぼ同じ主走査位置に画像を形成することが可能となる。
【0060】
その後、シートSは再度定着器を通過し、搬送パス19を経由し、排出ローラ200にて、排出トレイ20上に排出される。
【0061】
また、デカーラ29は、シートを反転し表裏逆向きに排出する際に使用する搬送パス中に構成され、排出トレイ上に下向きのカールを形成し排出する役割を有する。すなわち、シートが反転ローラ22にて反転された後、フラッパ27を作動させず図中上方へ反転搬送した後、フラッパ28にて排出ローラ側にシート搬送向きを切り替え、デカーラ29により下向きのカールが形成される。ここで、下向きのカールを形成し排出するのは、トレイ上のシートの積載状態を良好に保つためである。
【0062】
尚、本画像形成装置は、画像安定性を確保するために、ロータリ現像装置41の切り替え速度及び回転駆動トルク、更に配置空間の制約の中で、現像器4の容積を可能な限り増やした構成としている。
【0063】
このため、(図示しない)トナーカートリッジはロータリ現像装置41の外部に配置され、ロータリ現像装置41内にはトナーを受け取り、現像器へ搬送する補給パイプ400のみ有する構成である。
【0064】
また、ロータリ現像装置41下部はベルトクリーニング装置16が近接しており、現像ロータリ下部の敷居板401とロータリ現像装置41の最外周である現像スリーブの軌跡(図1中のロータリ部,二点鎖線の円周)との距離は6mm程度としている。
【0065】
この6mmという値は、敷居板401が金属であるため、現像スリーブの磁極に影響を与えない(干渉しない)距離から設定しているものである。
【0066】
以上のような現像器及び現像ロータリの構成、つまり可能な限り大容量とした現像器と、露光から現像位置が色に因らず常に同じであるロータリ現像構成と合わせて、画像の濃度などの安定性を高いレベルで実現した形態としている。
【0067】
<ロータリ現像装置>
【0068】
次に本実施形態の画像形成装置におけるロータリ現像装置41について、トナーの混色対策とともに説明する。
【0069】
図2と図3はそれぞれ、全ての現像器4を装着した状態のロータリ現像装置41の正面図及び斜視図であり、図4は現像器4を1つのみ取り外した状態のロータリ現像装置41の正面図である。また、図5、図6はそれぞれ、ロータリ現像装置41の現像剤補給部及び排出部の断面図である。
【0070】
まず、図2及び図3を用いて、ロータリ現像装置41の構成の概略を説明する。ロータリ前側板50、ロータリ後側板51が、回転中心軸(回転中心線)となるロータリステイ405にて支持されており、ロータリステイ405を中心としてロータリ42が回転可能に設けられている。そして、このロータリ42には前記ロータリステイ405の周りに複数個の現像器4が放射状に配設されている。各々の現像器4はロータリ42に対して着脱可能に装着されている。
【0071】
次に、画像形成にて消費したトナーを現像器4内へ補填するための構成を説明する。前述したように、色毎に(図示しない)トナーカートリッジから受け取ったキャリア入り現像剤は、ロータリ現像装置41の補給パイプ400内をスクリューで搬送され、現像剤補給口403を介して現像器4に補給される。一方、現像剤の長寿命化を目的に、現像器4内の現像剤を少量ずつ現像器外へと排出し、キャリア入り補給現像剤と入れ替えることで、現像剤をリフレッシュしている。現像剤排出口404から排出された現像剤は中空の排出パイプであるロータリステイ405内を通り、トナー回収BOX(図示しない)へと搬送される。
【0072】
次に、サービスメンテナンス時の現像器交換について説明する。現像器交換作業は、現像器4の寿命に伴う交換だけでなく、画像不良対応のためのユニット交換としても必要となっているのが現実である。これは、現像器4はわずかな異物の混入でも画像不良に直結する、非常に敏感なユニットであるからである。現像器4は色毎に個別に着脱可能である。図4に示すように、本実施形態ではまず、ロータリ現像装置41を含むプロセスユニット全体を本体から手前側に引き出した状態で、現像ロータリ上カバー402を取り外す。そして複数の現像器4a〜4fのうち、所望の現像器4aが現れるまでロータリ42を回転させる。現像器4の固定を解除し、現像器4aを上方に持ち上げることで取り外し作業が完了となる。また、取り付け作業は取り外しと逆の作業となる。
【0073】
現像器4は現像剤や現像スリーブ等を有しており、ある程度の重量があるため、1個の現像器を取り外しただけでもロータリ42のバランスが崩れ、意図せずとも自重で回転してしまう場合があるので注意が必要な作業である。
【0074】
図5及び図6に示すように、前述した現像剤補給口403、現像剤排出口404は、ウレタン製のシール材407及び408をそれぞれ備えている。現像器4の装着により、上方から押さえつけることで、シール材407及び408を圧縮させ、現像剤の漏れや飛散を防止するシール構造となっている。現像剤補給口403、現像剤排出口404のそれぞれにシャッタを設けることも不可能では無いが、ある程度のスペースが必要となるために装置が大きくなる傾向がある。また、異物の混入を避けるためにもできるだけ可動部は設けない方が好ましい。
【0075】
以上で説明したロータリ現像装置41では、現像器4が取り外された状態でロータリ42を回転させると、必然的に現像剤補給口403あるいは現像剤排出口404から現像剤がこぼれ落ちることになる。更に現像剤補給部は、安定的に補給するために、現像剤補給口403まで現像剤を充填させており、また、排出部は自重で排出パイプであるロータリステイ405へ落下させているために排出口付近での残留現像剤が多い。このためロータリ42の若干の回転でも容易に現像剤がこぼれ落ちてしまう。
【0076】
こぼれ落ちた現像剤はロータリ下部の敷居板401へ溜まり、前述したように現像スリーブ406との距離が6mm程度と接近しているために、落下現像剤が磁力により現像スリーブ406表面に付着し、混色の原因となる。特に、前述したような透明トナーでは他色の混色の影響が非常に大きく、わずかな混色でも画質品位が損なわれるおそれがある。
【0077】
本実施形態では、現像剤補給口403、現像剤排出口404を有するロータリ現像装置41において、現像器4が取り外された時にはロータリ42の回転を不能とし、現像器4を取り付けることで回転を可能とする構成にすることで、混色対策を行う。なお、現像剤補給口403、現像剤排出口404は各々の現像器4の取り外しにより露出する構成となっている。
【0078】
<ロック機構>
次に本実施形態に係るロータリ現像装置における回転ロック機構について説明する。
【0079】
図7は、ロータリ前側板50とロータリステイ405とロータリロック部材60とからなるロータリ現像装置41と、本体側板(固定部材)52を示しており、ここでは各色の現像器4は省略している。ロータリロック部材(ロック機構)60はレバー(レバー部材)600とフック(フック部材)601と軸(回転軸)602とねじりばね(バネ部材)603とから構成されており、フック601はねじりばね603の力によって一方向に付勢されている。レバー600と軸602、フック601と軸602はそれぞれ、平行ピン604a、604bにて回転方向に固定されている。このため、レバー600とフック601とは軸602を回転軸として一体的に回転可能となっている。また、本体側板52は非回転に固定されており、ロータリロック部材60が所定の回転角度だけ回転することで本体側板52の切り欠き部52aに引っ掛かること(係合すること)でロータリ現像装置41はロックされる。図7では省略のため、ロータリロック部材60を一つのみ示したが、実際には現像器の個数だけロータリ前側板50に設けることになる。
【0080】
次にロータリ現像装置41のロック時の正面図を図8に、非ロック時の正面図を図9に示すが、ここでもロータリロック部材60は一つのみを示す。
【0081】
現像器4を上方に持ち上げて取り外したとき、ロータリロック部材60はねじりばね603の力によって図8の反時計周りに付勢されている。本体側板52は図8のようにロータリ回転軸に沿って多数の切り欠きを備えており、フック601が切り欠きに引っ掛かることでロータリ現像装置41は両回転方向共に回転不能となる。7
一方、図9は現像器4が装着されたときの図である。オペレータが現像器4を装着すると、現像器4がレバー600を、軸602を中心に時計回りに回転され、フック601も同様に時計回りに回転され、本体側板52の切り欠き部からはずれることでロックが解除される。つまりロータリ現像装置41が回転可能になる。
【0082】
更に、ロータリ現像装置41と本体側板52の切り欠き部の位相が任意の位置で現像器をはずした場合、フック601が切り欠き部以外に乗り上げる可能性がある。しかし、この場合もロータリ42に若干の回転を与えることで、ねじりばね603の付勢力により切り欠き部に勘合され、結果としてロータリ現像装置41はロックされる。ロックされるまでの回転を最小限に抑えるためには、本体側板52の切り欠き間隔を狭くすることで達成される。
【0083】
以上説明した機構により、現像器4を取り外した時にロータリ42の回転をロックすることが可能となるが、現像器4の未装着時でも、ロータリ42の回転ロック機構が不要な場合もある。例えば、工場組立て時には、ロータリ42の回転がロックされていては複数現像器の装着ができない。そのために、各現像器位置に備えたロックを一括で解除する機構(図示しない)を設ける。ただし、この場合は、現像剤補給口403、現像剤排出口404には現像剤が搬送されてくる前段階であるために、ロータリ42を回転させても現像剤落下の心配は無い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【図2】図1のロータリ現像装置の詳細正面図である。
【図3】図1のロータリ現像装置の斜視図である。
【図4】図1のロータリ現像装置において、1つの現像器を取り外した状態の正面図である。
【図5】図1のロータリ現像装置において、現像剤補給口における断面図である。
【図6】図1のロータリ現像装置において、現像剤排出口における断面図である。
【図7】図1のロータリ現像装置において、ロータリロック機構を説明するための斜視図である。
【図8】図4のロータリロック機構において、現像器取り外しによるロック時の正面図である。
【図9】図4のロータリロック機構において、現像器装着によるロック解除時の正面図である。
【符号の説明】
【0085】
4 …現像器
41 …ロータリ現像装置
42 …ロータリ
50 …現像ロータリ前側板
51 …現像ロータリ後側板
52 …本体側板
52a …切り欠き部
60 …ロータリロック部材
403 …現像剤補給口
404 …現像剤排出口
600 …レバー
601 …フック
603 …ねじりばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電像が形成される静電像担持体と、
回転可能なロータリに着脱可能に装着された複数の現像器を有し、前記ロータリを回転して前記静電像担持体に対向した現像位置に各々の現像器を移動させて前記静電像担持体の静電像を現像するロータリ現像装置と、
前記各々の現像器を前記ロータリから取り外すと前記ロータリの回転をロックするロック機構と、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記ロータリに前記各々の現像器を装着すると前記ロータリの回転のロックを解除することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ロータリ現像装置における前記各々の現像器への現像剤補給口及び前記各々の現像器からの現像剤排出口の少なくとも一方が、前記各々の現像器の取り外しにより露出する構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、
前記ロータリ現像装置の外部に設けられ、切り欠き部を有する固定部材と、
回転軸を中心として回転可能に設けられたレバー部材と、
前記回転軸を中心として前記レバー部材と一体的に回転可能に設けられ、所定の回転角度で前記切り欠き部に係合するフック部材と、
前記フック部材を前記固定部材の切り欠き部と係合する方向に付勢するバネ部材とを具備し、
前記各々の現像器を前記ロータリから取り外したときに、前記バネ部材の付勢力により前記フック部材が前記切り欠き部に係合してロックがかかり、
前記各々の現像器を前記ロータリへ装着したときに、前記各々の現像器が前記バネ部材の付勢力に抗して前記レバー部材を回転させ、前記フック部材が前記切り欠き部から離れてロックが解除されること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の現像器のうち少なくとも1つは透明トナーを用いた現像器であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−44292(P2010−44292A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209483(P2008−209483)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】