説明

画像形成装置

【課題】移動する人間に対しても画像の存在および内容を認識させやすくするとともに、対象となる人間を所望の地点(誘導地点)へ誘導することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置1は、誘導すべき誘導地点の周辺に設置された表示面91に形成される描画領域911に、光を走査することにより画像を表示するとともに、描画領域911の位置を変更し得るように構成されたプロジェクター2と、表示面91近傍に設定された検知領域内に人間が存在するか否かを検知するとともに、検知領域内に人間が存在する場合にその人間の移動状態を検知する検知手段7と、検知手段7の検知結果に基づいて、検知領域内に存在する人間を誘導地点に誘導するように、プロジェクター2の駆動を制御する制御手段8とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン等の対象物の表面に光を投影し、スクリーンの投影面に所望の画像を表示する装置としてプロジェクターが知られている。このようなプロジェクターとして、光を1次元または2次元に走査する光スキャナーを用いたものが実用に供されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクターは、光反射部を有する可動板がx軸周りに回動する第1の光スキャナーと、光反射部を有する可動板がx軸に直交するy軸まわりに回動する第2の光スキャナーと、レーザーなどの光を出射する光源装置とを有している。このようなプロジェクターにおいては、光源装置から出射された光を第1の光スキャナーによって走査し、その走査した光をさらに第2の光スキャナーにより走査することにより、2次元的に光を走査し、スクリーンに所望の画像を表示する。
ところで、近年、デジタルサイネージの分野において、例えば、店舗の周辺に、スクリーンを設置し、このスクリーンに上述のようなプロジェクターを用いて所定の画像を表示することにより、スクリーン周囲の人間に宣伝・広告を行うことが提案されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクターは、画像の表示位置(画像が表示される領域である描画領域の位置)が固定であるため、画像の存在や内容が人間に認識されにくいと言う問題があった。特に、人間が移動している場合、その人間に対しては、画像の存在や内容を認識可能な時間が短くなるため、画像の存在や内容が認識されにくい。
また、スクリーンの設置位置が店舗(誘導したい地点)に対して比較的遠い場合、画像の存在や内容を人間に対して認識させることができたとしても、その人間を店舗に誘導することが難しいと言う問題があった。そのため、例えば、宣伝・広告の効果(訴求効果)を十分に得ることができないと言う問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−116668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、移動する人間に対しても画像の存在および内容を認識させやすくするとともに、対象となる人間を所望の地点(誘導地点)へ誘導することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の画像形成装置は、誘導すべき誘導地点の周辺に設置された表示面に形成される描画領域に、光を投影することにより画像を表示するとともに、前記描画領域の位置を変更し得るように構成されたプロジェクターと、
前記表示面近傍に設定された検知領域内に人間が存在するか否かを検知するとともに、前記検知領域内に人間が存在する場合にその人間の移動状態を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて、前記検知領域内に存在する人間を前記誘導地点に誘導するように、前記プロジェクターの駆動を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0007】
これにより、人間が移動している場合であっても、その人間に対して見やすい位置に画像を表示させることができる。そのため、移動する人間に対しても画像の存在および内容を認識させやすくすることができる。
また、検知領域内に存在する人間を誘導地点に誘導するように、例えば、対象となる人間に対して誘導地点への誘導を促すような位置および内容で画像を表示させることができる。そのため、対象となる人間を所望の地点(誘導地点)へ誘導することができる。
【0008】
本発明の画像形成装置では、前記プロジェクターは、前記描画領域の位置を連続的または断続的に変更し得るように構成されていることが好ましい。
これにより、移動する人間に対して画像の存在および内容が認識されやすくなる。
本発明の画像形成装置では、前記制御手段は、前記人間が前記検知領域内を移動している場合、前記描画領域の中心が前記人間の移動方向前方側でかつ前記誘導地点側に位置した状態を維持しつつ変更されるように、前記プロジェクターの駆動を制御することが好ましい。
これにより、移動する人間の正面側(視界)に画像が表示されるので、移動する人間に対して画像の存在および内容が認識されやすくなる。また、移動する人間の移動方向に対して誘導地点側の位置に画像を表示させることにより、対象となる人間の視線を誘導地点側に向かせることができる。その結果、対象となる人間が意識的または無意識に誘導地点へ誘導されることとなる。
【0009】
本発明の画像形成装置では、前記制御手段は、前記人間が前記検知領域内を移動している場合、前記描画領域の位置が前記人間の位置に対して一定の離間距離を維持するように、前記プロジェクターの駆動を制御することが好ましい。
これにより、移動する人間が画像の存在および内容を見やすくなる。
本発明の画像形成装置では、前記検知手段は、前記人間の移動状態として、前記人間の位置、移動方向および移動速度を検知することが好ましい。
これにより、人間の移動を予測することができる。そのため、移動する人間に対して所望の位置に画像を表示させることができる。
【0010】
本発明の画像形成装置では、前記検知手段は、前記検知領域内に人間が存在するか否かを検知するとともに前記検知領域内に人間が存在する場合にその人間の位置を検知する人感センサと、該人感センサによって検知された位置を位置情報として所定時間毎に記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された位置情報に基づいて前記人間の移動方向および移動速度を算出する演算部とを備えることが好ましい。
これにより、検知手段は、比較的簡単かつ安価な構成で、人間の位置、移動方向および移動速度を検知することができる。
【0011】
本発明の画像形成装置では、前記プロジェクターは、前記描画領域および前記画像の歪みを補正する歪み補正手段を備えており、
前記制御手段は、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記歪み補正手段の駆動を制御することが好ましい。
これにより、描画領域の位置を変更しても、人間に対して見やすいように画像を表示させることができる。
【0012】
本発明の画像形成装置では、前記制御手段は、前記描画領域および前記画像の向きが前記人間に対して一定となるように、前記歪み補正手段の駆動を制御することが好ましい。
これにより、移動する人間が画像の内容を見やすくなる。
本発明の画像形成装置では、前記制御手段は、前記描画領域の形状が一定となるように、前記歪み補正手段の駆動を制御することが好ましい。
これにより、移動する人間が画像の内容を見やすくなる。
【0013】
本発明の画像形成装置では、前記制御手段は、前記描画領域の寸法が一定となるように、前記歪み補正手段の駆動を制御することが好ましい。
これにより、移動する人間が画像の内容を見やすくなる。
本発明の画像形成装置では、前記プロジェクターは、レーザー光を出射する光出射部と、前記光出射部から出射したレーザー光を互いに直交する第1の方向および第2の方向にそれぞれ走査する光走査部とを備えることが好ましい。
これにより、プロジェクターは、レーザー光を用いるので、フォーカスフリーであり、近接投射が可能であるとともに、描画領域の位置をプロジェクターの設置位置に制限されずに任意の位置に調整することができる。また、レーザー光を用いると、平行光とするためのレンズ等の光学系を省略または簡略化することができるため、光出射部の小型化、ひいては、画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0014】
本発明の画像形成装置では、前記プロジェクターは、前記光出射部および前記光走査部を一体的に、互いに直交する2つの軸線のうちの少なくとも1つの軸線まわりに回動させるユニット回動手段とを備えることが好ましい。
これにより、画像の表示位置(描画領域の位置)の変更可能な範囲(画像を表示可能な範囲)を大きくすることができる。また、光出射部および光走査部のアライメント調整を描画領域の位置の変更のために別途行う必要がなく、プロジェクターの設計および製造が容易となる。
【0015】
本発明の画像形成装置では、前記光走査部は、前記光出射部から出射した光を反射させる光反射部を備えた可動板が一軸または互いに直交する二軸まわりに回動可能に設けられ、当該回動によって前記光反射部で反射した光を走査する光スキャナーを備えることが好ましい。
これにより、プロジェクターを比較的簡単かつ小型な構成とすることができる。
【0016】
本発明の画像形成装置では、前記プロジェクターは、前記光出射部に対して前記光スキャナー全体を、互いに直交する2つの軸線のうちの少なくとも1つの軸線まわりに回動させるスキャナー回動手段を備えることが好ましい。
これにより、画像の表示位置(描画領域の位置)の変更可能な範囲(画像を表示可能な範囲)を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す画像形成装置に備えられたプロジェクターの概略構成を示す図である。
【図4】図3に示すプロジェクターに備えられた光スキャナーの部分断面斜視図である。
【図5】図4に示す光スキャナーの動作を説明する断面図である。
【図6】図3に示すプロジェクターの制御系(作動制御部、光走査部および光源ユニット)を示すブロック図である。
【図7】図3に示すプロジェクターの動作を説明するための図(aは、側面図、bは、正面図)である。
【図8】図3に示すプロジェクターの作動時における光スキャナー(水平走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフである。
【図9】図3に示すプロジェクターの作動時における光スキャナー(垂直走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフである。
【図10】図3に示すプロジェクターの動作の変形例を示す図(aは、側面図、bは、正面図)である。
【図11】図2に示す画像形成装置に備えられたプロジェクターおよび支持部回動手段を示す部分断面側面図である。
【図12】図11に示す支持部回動手段の作用を説明するための上視図である。
【図13】図11に示すプロジェクターの光走査部に備えられたスキャナー回動手段を示す斜視図である。
【図14】図1に示す画像形成装置の動作を説明するための上視図である。
【図15】図14に示す描画領域の位置を説明するための図である。
【図16】図14に示すプロジェクターの制御(描画領域の位置および画像の内容の変更)を説明するためのフローチャートである。
【図17】図16に示す描画領域の位置の設定を説明するためのフローチャートである。
【図18】図14に示す描画領域に表示される画像の一例を示す図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に備えられたプロジェクターの光スキャナーを示す模式的平面図である。
【図20】図19中のB−B線断面図である。
【図21】図19に示す光スキャナーに備えられた駆動手段の電圧印加手段を示すブロック図である。
【図22】図21に示す電圧印加手段に備えられた第1の電圧発生部および第2の電圧発生部で発生する電圧の一例を示す図である。
【図23】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に備えられたプロジェクターの動作を説明するための図(aは、側面図、bは、正面図)である。
【図24】本発明の画像形成装置の第3実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の画像形成装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の画像形成装置の第1実施形態を示す図、図2は、図1に示す画像形成装置の概略構成を示すブロック図、図3は、図2に示す画像形成装置に備えられたプロジェクターの概略構成を示す図、図4は、図3に示すプロジェクターに備えられた光スキャナーの部分断面斜視図、図5は、図4に示す光スキャナーの動作を説明する断面図、図6は、図3に示すプロジェクターの制御系(作動制御部、光走査部および光源ユニット)を示すブロック図、図7は、図3に示すプロジェクターの動作を説明するための図(aは、側面図、bは、正面図)、図8は、図3に示すプロジェクターの作動時における光スキャナー(水平走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(振れ角の経時的変化)を示すグラフ、図9は、図3に示すプロジェクターの作動時における光スキャナー(垂直走査用の光スキャナー)の可動板の振れ角の変遷(角度の経時的変化)を示すグラフ、図10は、図3に示すプロジェクターの動作の変形例を示す図(aは、側面図、bは、正面図)、図11は、図2に示す画像形成装置に備えられたプロジェクターおよび支持部回動手段を示す部分断面側面図、図12は、図11に示す支持部回動手段の作用を説明するための上視図、図13は、図11に示すプロジェクターの光走査部に備えられたスキャナー回動手段を示す斜視図、図14は、図1に示す画像形成装置の動作を説明するための上視図、図15は、図14に示す描画領域の位置を説明するための図、図16は、図14に示すプロジェクターの制御(描画領域の位置および画像の内容の変更)を説明するためのフローチャート、図17は、図16に示す描画領域の位置の設定を説明するためのフローチャート、図18は、図14に示す描画領域に表示される画像の一例を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、図4、図5、図7、図10中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0019】
図1に示す画像形成装置1は、例えばビル等の建物内の床9の床面に設置された表示面91に、静止画や動画(特に、コマーシャル、プロモーションビデオ)等の所定の画像gを表示する装置である。
特に、表示面91は、誘導すべき誘導地点P1の周辺に設置されており、画像形成装置1は、床9上を移動する人間Hの移動状態に応じて、人間Hを誘導地点P1に誘導するように、画像gが表示される領域である描画領域911の位置が変更されるようになっている。例えば、図1に示すように、人間Hの正面側の所定位置に描画領域911が位置した状態を維持しながら、誘導地点P1へ向けて人間Hの移動Mが行われるように、描画領域911の移動Mが行われる。
【0020】
そのため、人間Hが移動していても、その人間Hの見やすい位置に画像gを表示させることができる。したがって、画像形成装置1は、例えば、表示画像としてコマーシャル、プロモーションビデオ等の宣伝用の画像を用いた場合、優れた宣伝広告機能を発揮することができる。
また、画像形成装置1は、対象となる人間Hを誘導地点P1に誘導するように、例えば、その人間Hに対して誘導地点P1への誘導を促すような位置および内容で画像を表示させることができる。そのため、対象となる人間Hを所望の地点(誘導地点P1)へ誘導することができる。
【0021】
本実施形態では、誘導地点P1は、例えばショッピングモール内の店舗の入口Pに設定されている。これにより、画像形成装置1は、店舗に人間Hを誘導することにより、集客を行うことができる。なお、誘導地点P1の設置位置は、これに限定されず、例えば、各種入口、各種出口、避難場所等であってもよい。
なお、画像gが表示される対象となる表示面91は、床9の床面自体であってもよいし、床9の床面上に敷設したスクリーンの表面であってもよい。床9の床面上に敷設したスクリーンの表面を表示面91とする場合、表示面91を画像gの表示に適した光学的特性とすることができる。そのため、画像を表示させた場所(本実施形態では床)の材質等に関係なく、画像の視認性を向上させることができる。かかるスクリーンの構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、アクリル系樹脂、ABS樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
図2に示すように、画像形成装置1は、表示面91に光を走査させて画像を表示する(描画する)2つのプロジェクター2(2a、2b)と、表示面91の付近の人間の存在の有無および移動状態を検知する検知手段7と、検知手段7の検知結果に基づいてプロジェクター2の駆動を制御する制御手段8とで構成されている。また、画像形成装置1は、2つの筐体11(11a、11b)を有しており、一方の筐体11a内にプロジェクター2aが収納され、他方の筐体11b内にプロジェクター2bが収納されている。
このような画像形成装置1は、光走査型のプロジェクター2を用いて画像を表示するため、LEDパネル、液晶パネル、有機ELパネル等のフラットパネルディスプレイを用いたものに比し、装置が安価であり、また、設置が容易である。
【0023】
以下、画像形成装置1を構成する各部を順次詳細に説明する。
(プロジェクター)
まず、プロジェクター2について説明する。なお、プロジェクター2a(2)およびプロジェクター2b(2)は、互いに同様の構成である。
プロジェクター2は、表示面91に形成される描画領域911に、光を走査することにより画像gを表示するとともに、描画領域911の位置および画像gの内容を変更し得るように構成されている。
具体的には、図3に示すように、プロジェクター2は、光を出射する光源ユニット(光出射部)3と、表示面91に対して光源ユニット3から出射した光を走査する光走査部4と、表示面91に表示される画像の歪みを補正する歪み補正手段(作動制御装置)5と、描画領域911の位置を変更する描画位置変更手段6とを有している。
【0024】
[光源ユニット(光出射部)]
図3に示すように、光源ユニット3は、各色のレーザー光源31r、31g、31bと、各色のレーザー光源31r、31g、31bに対応して設けられたコリメーターレンズ32r、32g、32bおよびダイクロイックミラー33r、33g、33bとを備えている。
【0025】
また、各色のレーザー光源31r、31g、31bは、それぞれ、駆動回路310r、310g、310bと、赤色の光源320r、緑色の光源320g、青色の光源320bとを有しており(図6参照)、図3に示すように、赤色、緑色および青色のレーザー光RR、GG、BBを出射する。レーザー光RR、GG、BBは、それぞれ、歪み補正手段5の後述する光源変調部54から送信される駆動信号に対応して変調された状態で出射され、コリメート光学素子であるコリメーターレンズ32r、32g、32bによって平行化されて細いビームとされる。
ダイクロイックミラー33r、33g、33bは、それぞれ、赤色レーザー光RR、緑色レーザー光GG、青色レーザー光BBを反射する特性を有し、各色のレーザー光RR、GG、BBを結合して1つのレーザー光(光)LLを出射する。
【0026】
なお、コリメーターレンズ32r、32g、32bに代えてコリメーターミラーを用いることができ、この場合も、平行光束の細いビームを形成することができる。また、各色のレーザー光源31r、31g、31bから平行光束が出射される場合、コリメーターレンズ32r、32g、32bは、省略することができる。さらに、レーザー光源31r、31g、31bについては、同様の光束を発生する発光ダイオード等の光源に置換することができる。また、図3の各色のレーザー光源31r、31g、31b、コリメーターレンズ32r、32g、32b、およびダイクロイックミラー33r、33g、33bの順番はあくまで1例であり、各色の組み合わせ(赤色はレーザー光源31r、コリメーターレンズ32r、ダイクロイックミラー33r、緑色はレーザー光源31g、コリメーターレンズ32g、ダイクロイックミラー33g、青色はレーザー光源31b、コリメーターレンズ32b、ダイクロイックミラー33b)を保持したままその順序は自由に設定できる。例えば、光走査部4に近い順に、青色、赤色、緑色という組み合わせも可能である。
【0027】
[光走査部]
次に、光走査部4について説明する。
光走査部4は、光源ユニット3から出射したレーザー光LLを表示面91に対し、水平方向(第1の方向)に走査(水平走査:主走査)すると共に、水平方向の走査速度よりも遅い走査速度で垂直方向(第1の方向に直交する第2の方向)に走査(垂直走査:副走査)することで2次元的に走査するものである。
【0028】
この光走査部4は、光源ユニット3から出射したレーザー光LLを表示面91に対し、水平方向に走査する水平走査用ミラーである光スキャナー(第1の方向走査部)41と、光スキャナー41の後述する可動板411aの角度(挙動)を検出する角度検出手段(挙動検出手段)43と、光源ユニット3から出射したレーザー光LLを表示面91に対し、垂直方向に走査する垂直走査用ミラーである光スキャナー(第2の方向走査部)42と、光スキャナー42の後述する可動板421aの角度(挙動)を検出する角度検出手段(挙動検出手段)44とを有している。
【0029】
以下、光スキャナー41、42の構成について説明するが、光スキャナー41、42は、互いに同様の構成であるため、以下では光スキャナー41について代表して説明し、光スキャナー42については、その説明を省略する。
図4に示すように、光スキャナー41は、いわゆる1自由度振動系(1次元走査)のものであり、基体411と、基体411の下面に対向するよう設けられた対向基板413と、基体411と対向基板413との間に設けられたスペーサー部材412とを有している。
【0030】
基体411は、可動板411aと、可動板411aを回動可能に支持する支持部411bと、可動板411aと支持部411bとを連結する1対の連結部411c、411dとを有している。
可動板411aは、その平面視にて、略長方形状をなしている。このような可動板411aの上面には、光反射性を有する光反射部(ミラー)411eが設けられている。光反射部411eの表面(上面)は、光を反射する反射面を構成している。光反射部411eは、例えば、Al、Ni等の金属膜で構成されている。また、可動板411aの下面には、永久磁石414が設けられている。
【0031】
支持部411bは、可動板411aの平面視にて、可動板411aの外周を囲むように設けられている。すなわち、支持部411bは、枠状をなしていて、その内側に可動板411aが位置している。
連結部411cは、可動板411aの左側にて、可動板411aと支持部411bとを連結し、連結部411dは、可動板411aの右側にて、可動板411aと支持部411bとを連結している。
連結部411c、411dは、それぞれ、長手形状をなしている。また、連結部411c、411dは、それぞれ、弾性変形可能である。このような1対の連結部411c、411dは、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下「回動中心軸J1」と言う)を中心として、可動板411aが支持部411bに対して回動する。
【0032】
このような基体411は、例えば、シリコンを主材料として構成されていて、可動板411aと支持部411bと連結部411c、411dとが一体的に形成されている。このように、シリコンを主材料とすることにより、優れた回動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、シリコンは微細な加工が可能であるため、基体411をシリコンを主材料として構成することにより、基体411の寸法精度を優れたものとし、光スキャナー41の振動特性を優れたものとすることができる。また、光スキャナー41の小型化を図ることができる。
【0033】
スペーサー部材412は、枠状をなしていて、その上面が基体411の下面と接合している。また、スペーサー部材412は、可動板411aの平面視にて、支持部411bの形状とほぼ等しくなっている。このようなスペーサー部材412は、例えば、各種ガラス、各種セラミックス、シリコン、SiOなどで構成されている。
なお、スペーサー部材412と基体411との接合方法としては、特に限定されず、例えば、接着剤等の別部材を介して接合してもよいし、スペーサー部材412の構成材料などによっては直接接合や陽極接合などを用いてもよい。
【0034】
対向基板413は、スペーサー部材412と同様に、例えば、各種ガラス、シリコン、SiOなどで構成されている。このような対向基板413の上面であって、可動板411aと対向する部位には、コイル415が設けられている。
永久磁石414は、板棒状をなしていて、可動板411aの下面に沿って設けられている。このような永久磁石414は、可動板411aの平面視にて、回動中心軸J1に対して直交する方向に磁化(着磁)されている。すなわち、永久磁石414は、両極(S極、N極)を結んだ線分が、回動中心軸J1に対して直交するよう設けられている。
このような永久磁石414としては、特に限定されず、例えば、ネオジウム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石などを用いることができる。
【0035】
コイル415は、可動板411aの平面視にて、永久磁石414の外周を囲むように設けられている。
また、光スキャナー41は、コイル415に電圧を印加する電圧印加手段416を有している。電圧印加手段416は、印加する電圧の電圧値や周波数等の各条件を調整(変更)し得るように構成されている。電圧印加手段416、コイル415および永久磁石414により、可動板411aを回動させる駆動手段417が構成される。
コイル415には、電圧印加手段416から所定の電圧が印加され、所定の電流が流れる。
【0036】
例えば、電圧印加手段416からコイル415に交番電圧を印加すると、それに応じて電流が流れ、可動板411aの厚さ方向(図4中上下方向)の磁界が発生し、かつ、その磁界の向きが周期的に切り換わる。すなわち、コイル415の上側付近がS極、下側付近がN極となる状態Aと、コイル415の上側付近がN極、下側付近がS極となる状態Bとが交互に切り換わる。その際、電圧印加手段416は、後述する歪み補正手段5により駆動制御される。
状態Aでは、図5(a)に示すように、永久磁石414の右側の部分が、コイル415への通電により発生する磁界との反発力により上側へ変位するとともに、永久磁石414の左側の部分が、前記磁界との吸引力により下側へ変位する。これにより、可動板411aが反時計回りに回動して傾斜する。
【0037】
一方、状態Bでは、図5(b)に示すように、永久磁石414の右側の部分が下側へ変位するとともに、永久磁石414の左側の部分が上側へ変位する。これにより、可動板411aが時計回りに回動して傾斜する。
このような状態Aと状態Bとを交互に繰り返すことにより、連結部411c、411dを捩り変形させながら、可動板411aが回動中心軸J1まわりに回動(振動)する。
【0038】
また、後述する歪み補正手段5の制御により、電圧印加手段416からコイル415に印加する電圧を調整することにより、流れる電流を調整することができ、これにより、可動板411a(光反射部411eの反射面)の回動中心軸J1まわりの回動の振れ角(振幅)を調整することができる。
なお、このような光スキャナー41の構成としては、可動板411aを回動させることができれば、特に限定されず、例えば、2自由度振動系を有するものであってもよく、また、光スキャナー41の駆動方式は、コイル415と永久磁石414とを用いた電磁駆動に代えて、例えば、圧電素子を用いた圧電駆動や、静電引力を用いた静電駆動等であってもよい。
【0039】
図3に示すように、上述のような構成の光スキャナー41、42は、互いの回動中心軸J1、J2の方向が直交するように設けられている。光スキャナー41、42をこのように設けることにより、表示面91に対し、光源ユニット3から出射したレーザー光LLを2次元的に(互いに直交する2方向に)走査することができる。これにより、比較的簡単な構成で、表示面91に2次元画像を描画することができる。
【0040】
具体的に説明すれば、光源ユニット3から出射した光は、光スキャナー41の光反射部411eの反射面で反射し、次いで、光スキャナー42の光反射部421eの反射面で反射し、表示面91に投射(照射)される。このとき、光スキャナー41の光反射部411eを回動させるとともに、その角速度(速度)よりも遅い角速度で光スキャナー42の光反射部421eを回動させる。これにより、光源ユニット3から出射したレーザー光LLは、表示面91に対し、水平方向に走査されるとともに、その水平方向の走査速度よりも遅い走査速度で垂直方向に走査される。このようにして、光源ユニット3から出射したレーザー光LLは、表示面91に対し、2次元的に走査され、表示面91に画像が描画される。
【0041】
ここで、光スキャナー41の光反射部411eの角速度よりも遅い角速度で光スキャナー42の光反射部421eを回動させるために、例えば、光スキャナー41を共振を利用した共振駆動とし、光スキャナー42を共振を利用しない非共振駆動としてもよい。また、光スキャナー41、42をともに共振駆動とする場合には、光スキャナー41の共振周波数(可動板411aおよび連結部411c、411dからなる振動系の共振周波数)が、光スキャナー42の共振周波数よりも高くなるように光スキャナー41、42を設計すればよい。
なお、光源ユニット3から出射した光が、先に、光スキャナー42の光反射部421eで反射し、次に、光スキャナー41の光反射部411eで反射するようになっていてもよい。すなわち、先に、垂直走査がなされ、次に、水平走査がなされるように構成されていてもよい。
【0042】
次に、光スキャナー41の可動板411aの角度を検出する角度検出手段43について説明する。なお、光スキャナー42の可動板421aの角度を検出する角度検出手段44は、角度検出手段43と同様の構成であるため、その説明を省略する。
図4に示すように、角度検出手段43は、光スキャナー41の連結部411c上に設けられた圧電素子431と、圧電素子431から発生する起電力を検出する起電力検出部432と、起電力検出部432の検出結果に基づいて可動板411aの角度を求める(挙動を検知する)角度検知部433とを有している。
【0043】
圧電素子431は、可動板411aの回動に伴って連結部411cが捩り変形すると、それに伴って変形する。圧電素子431は、外力が付与されていない自然状態から変形すると、その変形量に応じた大きさの起電力を発生する性質を有しているため、角度検知部433は、起電力検出部432で検出された起電力の大きさに基づいて、連結部411cの捩れの程度を求め、さらに、その捩れの程度から可動板411a(光反射部411eの反射面)の角度を求める。また、角度検知部433は、可動板411aの回動中心軸J1を中心とする振れ角を求める。この可動板411aの角度および振れ角の情報を含む信号は、角度検知部433から歪み補正手段5に送信される。
【0044】
なお、前記検出する可動板411aの角度の基準(0°)は、光スキャナー41の状態がいかなるものであってもよいが、例えば、光スキャナー41が初期状態(コイル415に電圧が印加されていない状態)であるときに設定することができる。
また、前記可動板411aの角度の検出は、リアルタイムで(連続的に)行ってもよく、また、間欠的に行ってもよい。また、角度検出手段43としては、可動板411aの角度を検出することができれば、本実施形態のような圧電素子を用いたものに限定されず、例えば、光学センサを用いてもよい。
【0045】
[歪み補正手段]
次に、歪み補正手段5について説明する。
プロジェクター2では、前述のような1対の光スキャナー41、42を用いて表示面91に画像を表示(描画)する際、表示面91までの光路差に起因する歪み、例えば、表示面91に表示された画像の上側と下側とで、横方向(水平方向)の長さが異なる「台形歪み」と呼ばれる歪みが発生する。
【0046】
特に、後述するように描画領域911の位置を変更すると、表示面91に表示される画像gや描画領域911の姿勢(向き)、形状および面積(寸法)のうちの少なくとも1つが歪んでしまう。
歪み補正手段5は、これらのような画像gや描画領域911の歪みを補正する機能を有している。
これにより、表示面91に歪みが補正された画像を表示することができる。そのため、人間に対して認識させやすい所望の内容の画像を表示させることができる。
【0047】
以下、歪み補正手段5について詳述する。
図6に示すように、歪み補正手段5は、画像を描画する際に用いられる映像データ(画像データ)を記憶する映像データ記憶部(映像データ記憶手段)51と、映像データ演算部52と、描画タイミング生成部53と、光源変調部(光変調部)54と、振れ角演算部(振幅演算部)55と、角度指示部56と、検量線を記憶する検量線記憶部(検量線記憶手段)57とを有している。
プロジェクター2は、垂直方向の走査(以下、単に「垂直走査」とも言う)を往路および復路のそれぞれで行い、その垂直走査の往路および復路のそれぞれにおいて、水平方向の走査(以下、単に「水平走査」とも言う)を往路および復路のそれぞれで行うことにより表示面91に画像を表示(描画)する。
【0048】
また、プロジェクター2は、水平走査を行うに際し、光源ユニット3からレーザー光LLを出射した光出射状態(以下、単に「光出射状態」とも言う)で表示面91上でのレーザー光LLの水平方向の振れ幅(以下、単に「レーザー光(光)LLの振れ幅」とも言う)が、可動板411aの回動中心軸J1を中心とする振れ角(以下、単に「可動板411aの振れ角」とも言う)の調整(調整手段による調整)を行わない場合に比べて、垂直方向に沿って揃うように、可動板411aの振れ角を調整するよう構成されている。特に、光出射状態でレーザー光LLの振れ幅が垂直方向に沿って一定になるように、可動板411aの振れ角を調整するよう構成されているのが好ましい。これにより、時間開口率を高くしつつ、画像の台形歪みを防止することができる。本実施形態では、代表的に、前記振れ幅が垂直方向に沿って一定になるように調整する場合について説明する。
【0049】
なお、前記振れ幅(走査範囲)とは、光出射状態で、可動板411aが時計回り(所定方向)に最大角度まで回動したときの表示面91と同一平面上でのレーザー光LLの位置と、それに続いて可動板411aが反時計回り(前記と逆方向)に最大角度まで回動したときの表示面91と同一平面上でのレーザー光LLの位置との水平方向の距離(間隔)、すなわち、図7に示すように、光出射状態でそのレーザー光LLを表示面91上に2次元的に走査したときの、表示面91上でのレーザー光LLの軌跡である複数の描画ライン(走査ライン)Lのそれぞれの水平方向の長さである。
【0050】
図7に示すように、前記複数の描画ラインLは、ジグザグに配置される。各描画ラインLのうち、左側の端部および右側端部は、それぞれ、光スキャナー41の光反射部411eの角速度(速度)が小さく、描画に適さない。このため、その左側端部および右側端部を除いて、画像を描画(表示)する領域である描画領域(表示領域)911を設定する。なお、描画領域911は、例えば、長方形(正方形を含む)をなすように設定される。また、図7は、説明の便宜上、簡略的に図示している。また、図7では、説明の便宜上、描画領域911は、描画ラインLが走査可能な領域とほぼ一致しているが、後述するように、描画領域911の位置や、対象となる人間Hの移動方向等によっては、描画領域911の姿勢(向き)、大きさ、形状等は、描画ラインLが走査可能な領域の姿勢(向き)、大きさ、形状等に対して異なるものとなる。すなわち、描画領域911は、描画ラインLが走査可能な領域内の任意の領域に設定可能であり、その姿勢(向き)、大きさ、形状等が、描画領域911の位置や、対象となる人間Hの移動方向等に応じて変化する。
【0051】
光スキャナー41の可動板411aの振れ角が一定の場合は、光出射状態でのレーザー光LLの振れ幅は、光スキャナー42の可動板421aの角度に応じて変化し、レーザー光LLが走査される表示面91上の垂直方向の位置(描画ラインLの垂直方向の位置)がプロジェクター2から遠いほど長くなる。そこで、プロジェクター2では、可動板421aの角度に応じて可動板411aの振れ角を調整する。すなわち、レーザー光LLが走査される表示面91上の垂直方向の位置(描画ラインLの垂直方向の位置)がプロジェクター2から遠いほど、可動板411aの振れ角を小さくすることにより、光出射状態でのレーザー光LLの振れ幅を垂直方向に沿って一定にする。
【0052】
検量線記憶部57には、光出射状態でレーザー光LLの振れ幅が垂直方向に沿って一定になる、表示面91に走査するレーザー光LLの表示面91上の垂直方向の位置(描画ラインLの垂直方向の位置)と、可動板411aの振れ角との関係を示すテーブルや演算式(関数)等の検量線が記憶(格納)される。画像を描画する際は、その検量線を用い、表示面91に走査するレーザー光LLの表示面91上の垂直方向の位置に基づいて、前記振れ角の目標値(目標振れ角)を求める。なお、検量線は、計算で求めることができ、予め、検量線記憶部57に記憶される。
【0053】
また、このプロジェクター2では、描画領域911において、上側から奇数番目の各描画ラインLについて、隣り合う描画ラインL同士の垂直方向の間隔が一定になり、同様に、上側から偶数番目の各描画ラインLについて、隣り合う描画ラインL同士の垂直方向の間隔が一定になるように、可動板421aの角度や角速度を調整するのが好ましい。これにより、画像の垂直方向の歪みを防止することができる。
【0054】
本実施形態では、例えば、各描画ラインLの描画開始の際における描画領域911の左側の端部および右側の端部において、それぞれ、隣り合う描画ラインLの垂直方向の間隔が一定になるように可動板421aの角度を調整し、可動板421aの角速度を所定の値に設定する。すなわち、各描画ラインLについて、隣り合う描画開始点の垂直方向の間隔が一定になるように可動板421aの角度を調整し、可動板421aの角速度は、描画ラインL毎に一定の値に設定する。なお、描画ラインLの垂直方向の位置がプロジェクター2から遠いほど、可動板421aの角速度は、小さく設定される。これにより、比較的簡単な制御で、画像の垂直方向の歪みを防止することができる。
【0055】
次に、表示面91上に画像を描画する際のプロジェクター2の動作(作用)について説明する。
まず、プロジェクター2に映像データが入力される。この映像データは、後述する制御手段8が検知手段7の検知結果に応じて決定したものである。入力された映像データは映像データ記憶部51に一時的に記憶され、その映像データ記憶部51から読み出された映像データを用いて画像の描画が行われる。この場合、映像データのすべてが映像データ記憶部51に記憶された後に、画像の描画を開始してもよく、また、映像データの一部が映像データ記憶部51に記憶された後に、画像の描画を開始し、その画像の描画と並行して続きの映像データを映像データ記憶部51に記憶するようにしてもよい。
【0056】
映像データの一部が映像データ記憶部51に記憶された後に画像の描画を開始する場合は、初めに、少なくとも1フレーム分、好ましくは、2フレーム分以上(例えば、2フレーム分)の映像データを映像データ記憶部51に記憶し、その後に画像の描画を開始する。その理由は、このプロジェクター2では、垂直走査の往路および復路のそれぞれにおいて水平走査を行って画像を描画(以下、単に「垂直方向で往復描画」とも言う)し、後述するように、垂直走査の往路において画像を描画する際と、垂直走査の復路において画像を描画する際とで、映像データ記憶部51からの映像データの読み出し順序を逆にするので、垂直走査の復路において画像の描画を開始する際、映像データを反対側から読み出すためには、少なくともその復路における画像の描画に用いる1フレーム分の映像データが映像データ記憶部51に記憶されている必要があるためである。
【0057】
描画タイミング生成部53では、描画タイミング情報および描画ライン情報がそれぞれ生成される。描画タイミング情報は、映像データ演算部52に送出され、描画ライン情報は、振れ角演算部55に送出される。
描画タイミング情報には、描画を行うタイミングの情報等が含まれる。また、描画ライン情報には、描画を行う描画ラインLの垂直方向の位置(可動板421aの角度)の情報等が含まれる。なお、描画ラインLのいずれの部位の位置を前記描画ラインLの垂直方向の位置として設定してもよいが、例えば、左側の先端、右側の先端、中央等が挙げられる。
【0058】
特に、描画タイミング生成部53は、描画領域911の位置に応じた描画タイミング情報を生成するようになっている。例えば、描画タイミング生成部53には、描画領域911の位置ごとに対応する複数の描画タイミング情報が予め設定(記憶)されており、描画領域911の位置(検知手段7の検知結果)に基づいて、描画領域911の位置に対応する描画タイミング情報を選択し送出する。なお、描画タイミング生成部53は、描画タイミング情報を演算するための演算部を有し、その演算部が描画領域911の位置(検知手段7の検知結果)に基づいて描画タイミング情報を演算して生成してもよい。
【0059】
また、描画タイミング情報は、表示面91上における描画領域911の姿勢、形状および面積のうちの少なくとも1つを調整するように設定されている。これにより、描画する画素毎に映像データの描画タイミングを所望のタイミングに設定し、表示面91上における描画領域911および画像gの姿勢、形状および面積のうちの少なくとも1つを調整することができる。そのため、表示面91上における描画領域911および画像gの歪みを補正することができる。
【0060】
本実施形態では、描画タイミング情報は、描画領域911および画像gの形状および面積(寸法)が一定となるように設定されている。これにより、表示面91(描画領域911)に表示される画像gの内容を人間に対して認識させやすくすることができる。
また、本実施形態では、描画タイミング情報は、表示面91に表示される画像gの向きが人間Hの向き(人間Hの移動方向)に対して一定となるように設定されている。これによっても、表示面91(描画領域911)に表示される画像gの内容を人間に対して認識させやすくすることができる。
【0061】
映像データ演算部52は、描画タイミング生成部53から入力された描画タイミング情報および描画ライン情報と、検知手段7から得られた対象となる人間Hの移動方向の情報と、ユニット回動機構61での回動角度情報とに基づいて、画像gが対象となる人間Hから見やすいように、映像データ記憶部51から映像データを読み出す順番(アドレス)を算出し、その算出結果に基づいて、映像データ記憶部51から描画する画素に対応する映像データを読み出し、各種の補正演算等を行った後、各色の輝度データを光源変調部54に送出する。
【0062】
光源変調部54は、映像データ演算部52から入力された各色の輝度データに基づいて、各駆動回路310r、310g、310bを介して各光源320r、320g、320bの変調を行う。すなわち、各光源320r、320g、320bのオン/オフや、出力の調整(増減)等を行う。
光スキャナー41側の角度検出手段43は、その可動板411aの角度および振れ角を検出し、その角度および振れ角の情報(可動板411aの角度情報)を歪み補正手段5の描画タイミング生成部53および振れ角演算部55に送出する。また、光スキャナー42側の角度検出手段44は、その可動板421aの角度を検出し、その角度の情報(可動板421aの角度情報)を歪み補正手段5の角度指示部56に送出する。
【0063】
描画タイミング生成部53は、現在の描画ラインLの描画が終了し、角度検出手段43から可動板411aの振れ角の情報が入力されると、それに同期して、角度指示部56に、次に描画を行う描画ラインLの描画開始点にレーザー光LLが照射されるときの可動板421aの目標角度を示す目標角度情報(角度指示)を送出する。その可動板421aの目標角度は、隣り合う描画開始点の垂直方向の間隔が一定になるように設定される。角度指示部56は、角度検出手段44で検出された可動板421aの角度と、前記可動板421aの目標角度とを比較して、その差が0になるような補正を行い、光スキャナー42の駆動手段427に駆動データを送出する。
【0064】
駆動手段427は、前記駆動データに基づいて、光スキャナー42を駆動する(コイルに電圧を印加する)。これにより、描画開始点にレーザー光LLが照射されたとき、可動板421aの角度は、前記目標角度になる。
なお、本実施形態では、各描画ラインLにおいて、描画開始点から描画終了点まで、可動板421aの角速度を一定とし、レーザー光LLの垂直方向の走査速度を一定としてもよく、また、可動板421aの角速度を徐々に変化させ、レーザー光LLの垂直方向の走査速度を徐々に変化さてもよい。
【0065】
また、描画タイミング生成部53は、振れ角演算部55に、描画ライン情報、すなわち、次に描画を行う描画ラインLの垂直方向の位置の情報を送出する。
振れ角演算部55では、検量線記憶部57から読み出された検量線を用い、描画タイミング生成部53から入力された次に描画を行う描画ラインLの垂直方向の位置の情報に基づいて、次に描画を行う描画ラインLにおける可動板411aの目標振れ角を求める。そして、角度検出手段43から入力された可動板411aの振れ角の情報と、前記可動板411aの目標振れ角とに基づいて、可動板411aの振れ角が目標振れ角となるように、光スキャナー41の駆動手段417に駆動データを送出する。
【0066】
駆動手段417は、前記駆動データに基づいて、コイル415に、光スキャナー41の共振周波数と同じ周波数の実効電圧を印加して電流を流し、所定の磁界を発生させ、実効電流の大きさや光スキャナー41と駆動波形との位相差を変化させる事で、光スキャナー41にエネルギーを供給したり、逆に、光スキャナー41からエネルギーを奪ったりする。これにより、共振運動している可動板411aの振れ角は、前記目標振れ角になる。このようにして、角度検出手段43により検出された可動板411aの振れ角の情報(検出結果)と、前記目標振れ角(目標値)とに基づいて、可動板411aの振れ角が目標振れ角になるようにその可動板411aの振れ角を調整しつつ、描画領域911の各描画ラインL上に、順次、レーザー光LLを走査し、画像を描画してゆく。
【0067】
また、描画タイミング生成部53では、描画を行うフレームが、奇数フレーム(奇数番目のフレーム)と偶数フレーム(偶数番目のフレーム)とのいずれであるかの管理を行い、それにより、可動板421aの回動方向(移動方向)と、映像データ記憶部51からの映像データの読み出し順序を決定している。すなわち、奇数フレーム(垂直方向の走査の往路)において画像を描画する際と、偶数フレーム(垂直方向の走査の復路)において画像を描画する際とで、映像データの読み出し順序を逆にする。
【0068】
また、奇数フレームと偶数フレームとで、表示面91の同じライン上にレーザー光LLを走査する。すなわち、奇数フレームの各描画ラインLと偶数フレームの各描画ラインLとが一致するように、レーザー光LLを走査する。
具体的には、例えば、図7に示すように、1番目のフレーム(奇数番目のフレーム)については、左上から描画を開始し、ジグザグに右下まで描画し、2番目のフレーム(偶数番目のフレーム)については、可動板421aの回動方向を前記と逆にし、前記と逆に右下から左上まで描画を行う。以降、同様にして、奇数番目のフレームについては、左上から右下まで描画し、偶数番目のフレームについては、右下から左上まで描画を行う。
【0069】
なお、本実施形態では、垂直方向の走査の往路を奇数フレームとし、垂直方向の走査の復路を偶数フレームとしているが、これに限らず、垂直方向の走査の復路を奇数フレームとし、垂直方向の走査の往路を偶数フレームとしてもよい。
また、本実施形態では、1番目のフレームについて描画を開始する位置は、左上であるが、これに限らず、例えば、右上、左下、右下等であってもよい。
また、奇数フレームと偶数フレームとで、表示面91の異なるライン上にレーザー光LLを走査してもよい。
【0070】
ここで、前記画像の描画の際の可動板411aの振れ角の経時的変化および可動板421aの振れ角の経時的変化は、下記の通りである。
水平走査では、図8に示すように、可動板411aの振れ角は、最小振れ角から徐々に増大し、最大振れ角に到達した後、徐々に減少し、最小振れ角に到達した後、再び、徐々に増大し、以降、同様に、前記動作を繰り返す。このように、プロジェクター2では、可動板411aの振れ角が急激に変化しないので、容易かつ確実に、共振を利用して動作させる形態の光スキャナー41の可動板411aの振れ角を調整することができる。
【0071】
また、垂直走査では、図9に示すように、可動板421aの振れ角は、最小振れ角から徐々に増大し、最大振れ角に到達した後、徐々に減少し、最小振れ角に到達した後、再び、徐々に増大し、以降、同様に、前記動作を繰り返す。このように、プロジェクター2では、可動板421aの振れ角が急激に変化しないので、容易かつ確実に、光スキャナー42の可動板421aの振れ角を調整することができる。また、奇数フレーム(垂直方向の走査の往路)において画像の描画を行う表示期間(描画期間)と、偶数フレーム(垂直方向の走査の復路)において画像の描画を行う表示期間との間に、画像の描画を行わない非表示期間(非描画期間)が設けられている。この表示期間において、次のフレームの描画を開始するタイミング等の各タイミングを調整することができる。
【0072】
そして、垂直方向の走査の往路および復路、すなわち、可動板421aを所定方向に回動させる際と、前記と逆方向に回動させる際との両方で、画像の描画を行うので、従来のような垂直帰線期間が不要になり、前記非表示期間を短くすることができる。これにより、時間開口率(画像の描画を行う期間の割合)を高くすることができる。
すなわち、1フレーム中の垂直方向の非表示期間を往復描画することで短くすることができ、これにより、垂直時間開口率が高くなり、垂直走査の往路のみで水平走査を行って画像を描画する場合と可動板411aの角速度(速度)が同じときは、その往路のみで画像を描画する場合に比べ、単位時間当たりのフレーム数(コマ数)を多くすることができる。これによって、動画における早い動きにも容易に対応することができる。逆に言えば、垂直走査の往路のみで水平走査を行って画像を描画する場合と単位時間当たりのフレーム数が同じときは、その往路のみで画像を描画する場合に比べ、可動板411aの角速度を小さくすることができ、これによって、安定的に画像を描画することができる。また、上記の場合で、可動板411aの角速度を変化させない時には、より垂直解像度の高い描画が可能となる。
ここで、実際には、例えば、光スキャナー41、42の可動板411a、421aの慣性(慣性モーメントが)が大きく、可動板411a、421aが瞬時には追従しない場合がある。このような場合は、例えば、光スキャナー41、42の駆動電流をゼロにするか、または光スキャナー41、42を逆相(制動)で駆動する場合もある。
【0073】
以上説明したような歪み補正手段5によれば、時間開口率を高くしつつ、可動板411a、421aの振れ角を急激に変化させることなく、画像の台形歪みを防止することができる。
また、垂直走査の往路および復路のそれぞれにおいて、水平走査を行って画像を描画するので、垂直走査において往路から復路に切り替わる際や、復路から往路に切り替わる際に、可動板421aの振れ角を急激に変化させる必要がなくなり、これにより、容易かつ確実に、可動板421aの振れ角を調整することができる。
【0074】
(歪み補正手段の動作の変形例)
次に、図10に基づいて、歪み補正手段5の動作の変形例を説明する。
図10に示すプロジェクター2では、光出射状態でレーザー光LLの振れ幅は、垂直方向に沿って一定になっていないが、光出射状態でレーザー光LLの振れ幅が、可動板411aの振れ角の調整を行わない場合に比べて、垂直方向に沿って揃うように、可動板411aの振れ角を調整するよう構成されている。これにより、画像を描画することが可能な描画可能領域912の上側の幅が減少し、描画可能領域912の形状は、長方形(正方形を含む)に近づき、非描画領域を小さくすることができる。
このプロジェクター2では、表示面91上、すなわち、描画可能領域912内に長方形の描画領域911を設定し、光源ユニット3から出射したレーザー光LLがその描画領域911内に投射(照射)されるように光源ユニット3の駆動を制御する。これにより、画像の台形歪みを防止することができる。
【0075】
[描画位置変更手段]
次に、描画位置変更手段6について説明する。
描画位置変更手段6は、図3に示すように、ユニット回動機構61と、スキャナー回動機構62とを有している。
ユニット回動機構61は、前述した光源ユニット(光出射部)3および光走査部4を一体(ユニット)として回動させる機能を有するものである。本実施形態では、ユニット回動機構61は、光源ユニット(光出射部)3および光走査部4を回動させることにより、主に前述した水平走査の方向に描画領域911および画像gを移動させる。
【0076】
このユニット回動機構61は、図11に示すように、光源ユニット3および光走査部4を回動可能に支持する支持部611と、この支持部611を回動させるモーター612とを有している。
支持部611は、軸線X1を中心軸とする軸部613を有し、この軸部613が軸受614を介して、筐体11の取付部111に取り付けられている。
これにより、光源ユニット3および光走査部4を支持部611ごと所定の軸線X1まわりに回動することができる。このように光源ユニット3および光走査部4を一体的に回動させることにより、光源ユニット3および光走査部4のアライメントの調整を要することなく、描画領域911および画像gの位置を変更することができる。
【0077】
前記所定の軸線X1は、本実施形態では、鉛直方向に沿って設定されている。これにより、描画領域911の位置の変更に起因する歪みを抑えつつ、水平走査の方向に描画領域911および画像gを移動させることができる。
また、支持部611には、第1ギア615が設けられている。この第1ギア615は、軸部613(軸線X1)の周方向に沿って並ぶ複数の歯が設けられている。
【0078】
一方、モーター612は、軸線まわりに回転する軸部616を有し、その軸部616には、前述した第1ギア615に噛合する第2ギア617が取り付けられている。この第2ギア617は、軸部616の周方向に沿って並ぶ複数の歯が設けられている。
このようなモーター612は、前述した取付部111に取り付けられ、第2ギア617を回転させる。
【0079】
より具体的に説明すると、図12(a)に示すように、モーター612が第2ギア617を反時計回りに回転させることにより、支持部611を軸部613まわりに時計回りに回転させる。これにより、レーザー光LLの出射方向(すなわち描画領域911の位置)を図12にて右側に移動させることができる。一方、図12(b)に示すように、モーター612が第2ギア617を時計回りに回転させることにより、支持部611を軸部613まわりに反時計回りに回転させる。これにより、レーザー光LLの出射方向(すなわち描画領域911の位置)を図12にて左側に移動させることができる。
【0080】
以上説明したようなユニット回動機構(ユニット回動手段)61は、光源ユニット3および光走査部4を一体的に回動させるので、画像gの表示位置(描画領域911の位置)の変更可能な範囲(画像gを表示可能な範囲)を大きくすることができる。また、光源ユニット3および光走査部4のアライメント調整を描画領域911の位置の変更のために別途行う必要がなく、プロジェクター2の設計および製造が容易となる。なお、ユニット回動機構(ユニット回動手段)61は、光源ユニット3および光走査部4を一体的に、軸線X1まわりに回動させるだけでなく、軸線X1に直交する軸線まわりにも回動させるように構成してもよい。この場合、後述するスキャナー回動機構62を省略しても、2次元的に描画領域911を移動させることができる。
【0081】
一方、スキャナー回動機構62は、前述した垂直走査用の光スキャナー42を回動させる機能を有するものである。本実施形態では、スキャナー回動機構62は、光スキャナー42を回動させることにより、主に前述した垂直走査の方向に描画領域911および画像gを移動させる。
このスキャナー回動機構62は、図13に示すように、前述した垂直走査用の光スキャナー42を支持する支持部621と、この支持部621を回動させるモーター622とを有している。
【0082】
モーター622は軸線まわりに回転する軸部623を有しており、この軸部623に、支持部621が取り付けられている。
このモーター622は、図示しないが、前述したユニット回動機構61の支持部611に取り付けられている(固定されている)。
そして、モーター622は、光スキャナー42を支持部621ごと軸部623の軸線(具体的には回動中心軸J2に一致する軸線)まわりに回動させる。これにより、レーザー光LLの出射方向(すなわち描画領域911の位置)を垂直走査の方向に移動させることができる。
【0083】
以上説明したようなスキャナー回動機構(スキャナー回動手段)62は、光源ユニット3に対して光スキャナー42全体を回動させるので、画像gの表示位置(描画領域911の位置)の変更可能な範囲(画像を表示可能な範囲)を大きくすることができる。特に、本実施形態では、スキャナー回動機構62が光スキャナー41、42のうちレーザー光LLの進行方向前方側の光スキャナー42を回動させるので、描画領域911の位置の変更可能な範囲を比較的簡単に大きくすることができる。なお、スキャナー回動機構(スキャナー回動手段)62は、光スキャナー42を回動中心軸J2まわりに回動させるだけでなく回動中心軸J2に直交する軸線まわりに回動させるように構成してもよい。この場合、前述したユニット回動機構61を省略してもよい。また、スキャナー回動機構62は、光スキャナー41を回動させるように構成してもよい。この場合、光スキャナー42の光反射部421eの面積により描画領域911の変更可能な範囲が制限されるので、かかる範囲を大きくするには、光反射部421eの面積を大きくする必要がある。
【0084】
以上のようにして、描画位置変更手段6は、描画領域911の位置を表示面91上に2次元的に変更することができる。この描画位置変更手段6は、後述する制御手段8により駆動制御される。
以上説明したようなプロジェクター2は、前述したような光源ユニット3および光走査部4を備え、レーザー光を用いるので、フォーカスフリーであり、近接投射が可能であるとともに、描画領域911の位置をプロジェクター2の設置位置に制限されずに任意の位置に調整することができる。また、レーザー光を用いると、平行光とするためのレンズ等の光学系を省略または簡略化することができるため、光源ユニット3の小型化、ひいては、画像形成装置1の小型化を図ることができる。
【0085】
また、プロジェクター2は、前述したような光スキャナー41、42を用いているので、構成が比較的簡単となる。
また、本実施形態では、前述したように表示面91が床9の床面に設置されているが、プロジェクター2(筐体11)は、床9に直交する壁Wの壁面W1に設置されている。
これにより、例えばプロジェクター2を天井の天井面に設置するとともに表示面91を床9の床面に設置する場合に比し、プロジェクター2から出射される光の光路長を短くすることができる。そのため、プロジェクター2から出射された光が、例えば歩行者等に遮られるのを防止または抑制することができる。その結果、周囲の環境(人口密度等)に影響されずに、表示面91に所望の画像を表示することができる。また、プロジェクター2の設置面が壁面W1であるので、プロジェクター2が歩行者の歩行等の邪魔になるのを防止または抑制することもできる。
【0086】
また、プロジェクター2を壁面W1に設置するとともに表示面91を床9の床面に設置することにより、建物の内部または外部において、画像形成装置1の周囲に存在する人間に対して画像の存在を認識させやすくすることができる。そのため、例えば、表示画像としてコマーシャル、プロモーションビデオ等の宣伝用の画像を用いた場合、優れた宣伝広告機能を発揮することができる。
【0087】
(検知手段)
検知手段7は、表示面91近傍に設定された検知領域S内に人間Hが存在するか否かを検知するとともに、検知領域S内に人間Hが存在する場合にその人間Hの移動状態を検知する機能を有する(図14参照)。
図2に示すように、検知手段7は、人感センサ71と、記憶部72と、演算部73とを有する。
【0088】
人感センサ71は、検知領域S内に人間Hが存在するか否かを検知するとともに検知領域S内に人間Hが存在する場合にその人間Hの位置を検知する機能を有する。
このような人感センサ71は、2つのセンサ部71a、71bを有している。センサ部71aは、前述した一方の筐体11aに取り付けられ、一方、センサ部71bは、他方の筐体11bに取り付けられている。なお、本実施形態では、センサ部71a、71bが筐体11a、11bに取り付けられているが、これに限定されず、センサ部71a、71bは筐体11a、11bに取り付けずに独立した状態で壁面W1等に設置されていてもよい。また、センサ部71aまたはセンサ部71bのいずれかを省略してもよい。
【0089】
センサ部71aは、センサ部71a付近の人間の存在の有無を検知することができ、さらに、センサ部71aと検知した人間との離間距離および方向を計測できるようになっている。また、センサ部71bは、センサ部71b付近の人間の存在の有無を検知することができ、さらに、センサ部71bと検知した人間との離間距離および方向を計測できるようになっている。
【0090】
このような2つのセンサ部71a、71bを用いることにより、1つのセンサ部で人間を検知する場合に比し、人間を検知可能な領域(検知領域)を広くすることができるとともに、検知領域内に複数の人間が存在する場合であっても、その人間の存在や位置を正確に検知することができる。
このようなセンサ部71a、71bとしては、それぞれ、上述した機能を発揮することができれば特に限定されず、例えば、赤外線を利用した赤外線型センサ、超音波を利用した超音波型センサ、レーザー光を利用したレーザー型センサ(レーザー変位計)、CCDイメージセンサ等を1つまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
【0091】
また、このような人感センサ71は、図14に示すように、人間の存在の有無および位置を判断する領域である検知領域Sが設定されている。
検知領域Sは、第1の検知領域S1、第2の検知領域S2および第3の検知領域S3を含んで構成されている。
第1の検知領域S1は、鉛直線方向(上方)から見たときに、センサ部71aを中心とする半円形をなしている。
また、鉛直線方向(上方)から見たときに、第1の検知領域S1は、プロジェクター2aによる描画領域911の位置の移動可能な範囲を含むように設定されている。本実施形態では、鉛直線方向(上方)から見たときに、第1の検知領域S1は、プロジェクター2aによる描画領域911の位置の移動可能な範囲にほぼ一致するように設定されている。
【0092】
本実施形態では、第1の検知領域S1は、センサ部71aの有効検知領域(人間の存在の有無および存在している位置および方向が検知可能な領域)と一致している。なお、第1の検知領域S1は、センサ部71aの有効検知領域と一致していなくてもよく、センサ部71aまたはセンサ部71bの有効検知領域内に含まれていればよい。その場合、第1の検知領域S1内に人間が存在しているか否かの検知は、例えば、センサ部71aによって検知された人間の位置および方向に基づいて判断することにより行うことができる。
【0093】
同様に、第2の検知領域S2は、鉛直線方向(上方)から見たときに、センサ部71bを中心とする半円形をなしている。
また、鉛直線方向(上方)から見たときに、第2の検知領域S2は、プロジェクター2bによる描画領域911の位置の移動可能な範囲を含むように設定されている。本実施形態では、鉛直線方向(上方)から見たときに、第2の検知領域S2は、プロジェクター2bによる描画領域911の位置の移動可能な範囲にほぼ一致するように設定されている。
【0094】
本実施形態では、第2の検知領域S2は、センサ部71bの有効検知領域(人間の存在の有無および存在している位置および方向が検知可能な領域)と一致している。なお、第2の検知領域S2は、センサ部71bの有効検知領域と一致していなくてもよく、センサ部71aまたはセンサ部71bの有効検知領域内に含まれていればよい。その場合、第2の検知領域S2内に人間が存在しているか否かの検知は、例えば、センサ部71bによって検知された人間の位置および方向に基づいて判断することにより行うことができる。
【0095】
また、本実施形態では、第2の検知領域S2は、前述した第1の検知領域S1と形状および大きさが等しくなっている。
また、本実施形態では、第1の検知領域S1および第2の検知領域S2は、互いに重なる部分を有し、かかる部分が第3の検知領域S3を構成している。第3の検知領域S3内に人間が存在するか否かの検知は、第1の検知領域S1および第2の検知領域S2の双方に人間が存在するか否かにより判断することができる。
【0096】
なお、検知領域Sの位置、形状および大きさは、プロジェクター2の設置位置や、表示される画像の内容や大きさ等の条件に応じて決められるものであり、特に限定されない。例えば、検知領域Sの形状は、それぞれ、長方形、正方形等であってもよい。
このような検知領域Sが設定された人感センサ71では、センサ部71aまたはセンサ部71bが人間Hの存在を検知した場合に、人間Hが第1の検知領域S1および第2の検知領域S2のどちらの領域内(すなわち検知領域S内)に人間が存在していると判断する。そして、この判断結果(検知領域S内に人間Hが存在しているか否か)を制御手段8に送信する。このような判断は、リアルタイムで(連続的に)行ってもよく、また、間欠的に行ってもよい。
【0097】
また、人感センサ71では、センサ部71aまたはセンサ部71bが人間Hの存在を検知した場合に、その人間Hとセンサ部71a、71bの離間距離(以下、単に「離間距離L1」とも言う)、および、センサ部71aまたはセンサ部71bと人間とを結ぶ線分の方向に基づいて、人間Hの位置を演算する。そして、この演算結果を記憶部72および制御手段8に送信する。
【0098】
記憶部72は、前述した人感センサ71によって検知された位置を位置情報として所定時間毎に記憶する機能を有する。このような所定時間毎の位置情報を用いることにより、人間Hの移動状態(具体的には移動方向および移動速度)を演算することができる。
このような記憶部72に記憶された情報は、演算部73に入力される。
演算部73は、記憶部72に記憶された位置情報に基づいて人間Hの移動方向および移動速度を演算する機能を有する。そして、演算部73は、演算結果(人間Hの移動方向および移動速度)を制御手段8に送出する。このような演算は、リアルタイムで(連続的に)行ってもよく、また、間欠的に行ってもよい。
【0099】
以上説明したような検知手段7は、人間Hの移動状態として、人間Hの位置、移動方向および移動速度を検知する。これにより、人間Hの移動を予測することができる。そのため、移動する人間Hに対して所望の位置に画像gを表示させることができる。
また、検知手段7は、前述したようなセンサ部71a、71b、記憶部72および演算部73を有しているので、比較的簡単かつ安価な構成で、人間Hの位置、移動方向および移動速度を検知することができる。
【0100】
以上、検知手段7について説明したが、検知手段7の構成としては、上記の構成に限定されない。例えば、センサ部71a、71bとして、検知領域Sの床下に設置された1つまたは複数の圧力センサを用いてもよい。
また、センサ部の数としては、本実施形態のような2つに限定されず、1つであってもよいし、3以上であってもよい。
【0101】
(制御手段)
制御手段8は、前述した検知手段7の検知結果に基づいて、プロジェクター2の駆動を制御するものである。
特に、この制御手段8は、検知手段7の検知結果に基づいて、検知領域S内に存在する人間Hを誘導地点P1に誘導するように、前述したプロジェクター2による描画領域911の位置を変更する機能を有する。
【0102】
より具体的に説明すると、まず、検知領域S内に人間Hが進入した場合、制御手段8は、その人間Hを対象者と判断する。そして、その対象者である人間Hが検知領域S内に存在している間、人間Hの位置、移動方向および移動速度に応じて、描画領域911の位置を変更する。なお、検知領域S内に複数人の人間が進入した場合、制御手段8は、最先の1人の人間を対象者と判断すればよい。また、検知領域S内に複数の人間が存在する場合、プロジェクター2aまたはプロジェクター2bに最も近い1人の人間を対象者としてもよい。
【0103】
このとき、図16に示すように、制御手段8は、人間Hの位置(中心位置)H1と誘導地点P1とを結ぶ線分をa1、人間Hの移動方向mに延びる線分をa2、人間Hの位置H1と描画領域911の位置(中心位置)911aとを結ぶ線分をa3としたとき、線分a1と線分a2とのなす角度α[°]と、線分a2と線分a3とのなす角度β[°]とが所定の関係を満たすように、描画領域911の位置を変更する。なお、図15において、人間Hの位置H1と誘導地点P1との離間距離をL1、人間Hの位置H1と描画領域911の位置911aとの離間距離をL2として図示している。
【0104】
以下、検知領域S内に人間Hが存在する場合における描画領域911の位置および画像gの内容の変更について、図16ないし図18に基づいてより具体的に説明する。
まず、制御手段8は、図16に示すように、角度αが90°以下であるか否かを判断する(ステップS1)。
そして、角度αが90°以上である場合、その人間Hは対象者ではないと判断し、画像gの表示を終了する。一方、角度αが未満である場合、その人間Hを対象者と判断し、描画領域911の位置の設定を行う(ステップS2)。
【0105】
描画領域911の位置の設定においては、図17に示すように、まず、対象となった人間Hに画像gを注目させるための所定時間(以下、「アピール期間」とも言う)が経過したか否かが判断される(ステップS21)。ここで、かかるアピール期間は、特に限定されないが、例えば、1〜3秒程度に設定される。
そして、上記アピール期間が経過していない場合、角度βが0[°]、離間距離L2が所定値(一定値)となるように、描画領域911の位置911aを設定する(ステップS22)。したがって、上記アピール期間が経過するまでは、描画領域911の位置911aは、前述した線分a2上に位置することとなる。そのため、対象となった人間Hに画像gを注目させることができる。
【0106】
一方、上記アピール期間が経過した場合、人間Hが移動しているか否かが判断される(ステップS23)。
人間Hが移動している場合、角度αが所定値以下か否かが判断される(ステップS24)。上記所定値は、0〜90[°]の範囲で設定することができるが、10〜45[°]であるのが好ましく、20〜40[°]であるのがより好ましい。これにより、後述するステップS25とステップS26を効果的に切り換えて、人間Hを誘導地点P1へ誘導させることができる。
【0107】
そして、角度αが上記所定値を超えている場合、角度βがkα[°]、離間距離L2が所定値(一定値)となるように、描画領域911の位置911aを設定する(ステップS25)。ここで、上記kは、1/10〜2/3の範囲で設定される定数であるが、1/10〜1/2程度であるのが好ましく、1/10〜1/3程度であるのがより好ましく、1/10〜1/4程度であるのがさらに好ましい。これにより、角度αが大きい場合に、人間Hを誘導地点P1へ効果的に誘導させることができる。
【0108】
一方、角度αが上記所定値以下である場合、角度βが角度α、離間距離L2が所定値(一定値)となるように、描画領域911の位置911aを設定する(ステップS26)。これにより、角度αが小さい場合に、人間Hを誘導地点P1へ効果的に誘導させることができる。
また、上記ステップS23の判断において、人間Hが移動していない(停止している)場合、線分a1上でかつ離間距離L2が0〜L1の範囲で変動するように、描画領域911の位置911aを設定する(ステップS27)。これにより、人間Hが停止している場合に、人間Hを誘導地点P1へ効果的に誘導させることができる。
【0109】
以上のようなステップS22、S25、S26、S27のいずれかにより描画領域911の位置911aが設定された後、図16に示すように、画像gの内容の設定が行われる(ステップS3)。
画像gの内容としては、人間Hを誘導地点P1へ誘導し得るものであれば、特に限定されず、例えば、文字、静止画、動画等が挙げられ、これらのうち1つまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
より具体的に説明すると、このステップS3では、画像gの内容として、例えば、図18に示すように、人間Hを誘導地点P1へ誘導を促す画像(以下、「誘導表示」とも言う)が設定される。
【0110】
図18に示す誘導表示では、例えば、文字「A」が誘導地点P1の店舗名を表わす場合、画像gの内容として、文字「A」からなる画像g1の他に、人間Hの位置から店舗への方向を表わす矢印からなる画像g2や、人間Hの位置から店舗までの距離情報を表わす文字からなる画像g3等の画像を含めることができる。このような画像gの内容の変更を連続的または断続的に行うことにより、店舗の認知度をより高めたり、店舗(誘導地点)へ人間Hを誘導したりすることができる。また、人間Hの移動速度と店舗までの距離とに基づいて、店舗までの到着予定時間を表わす画像を表示することもできる。
【0111】
このような誘導表示の設定を行った後、対象となった人間Hが誘導地点P1へ誘導される可能性が高いか否かを判断するための所定時間(以下、「誘導期間」とも言う)が経過したか否かが判断される(ステップS4)。ここで、かかる誘導期間は、検知領域Sの大きさ等に応じて設定され、特に限定されないが、例えば、10〜60秒程度に設定される。
【0112】
上記誘導期間が経過した場合は、その人間Hは対象者ではないと判断し、画像gの表示を終了する。一方、上記誘導期間が経過していない場合、人間Hが誘導地点P1に到着したか否かが判断される(ステップS5)。人間Hが誘導地点P1に到着したか否かの判断は、離間距離L1の長さが所定距離以下となったか否かにより行うことができる。本実施形態では、離間距離L1が離間距離L2以下となった場合に、人間Hが誘導地点P1に到着したと判断され、離間距離L1が離間距離L2よりも大きい場合に、人間Hが誘導地点P1に到着していないと判断される。
【0113】
そして、人間Hが誘導地点P1へ到着していない場合、上述したステップS1へ移行する。一方、人間Hが誘導地点P1へ到着した場合、画像gの内容として、人間Hが誘導地点P1へ到着したことを知らせる画像(以下、「到着表示」とも言う)が設定される(ステップS6)。その後、画像gの表示を終了する。
かかる到着表示は、所定時間(1〜3秒程度)行われる。また、かかる到着表示は、人間Hが誘導地点P1へ到着した旨を表わすものであれば特に限定されず、文字、静止画、動画等が挙げられ、これらのうち1つまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。また、かかる到着表示は、省略してもよい。
【0114】
以上説明したようにして、制御手段8は、検知手段7の検知結果に基づいて、検知領域S内に存在する人間Hを誘導地点P1に誘導するように、描画領域911の位置およびお画像gの内容を変更する。
このとき、図15に示すように、制御手段8は、人間Hが検知領域S内を移動している場合、描画領域911の位置が人間Hの移動方向m前方側でかつ誘導地点P1側に位置した状態を維持しつつ変更されるように、プロジェクター2の駆動を制御する。これにより、移動する人間Hの正面側に画像gが表示されるので、移動する人間Hに対して画像gの存在および内容が認識されやすくなる。また、対象となる人間Hの位置に応じて画像gの内容を変更することにより、人間Hに対して適切な内容の画像を表示することができる。また、移動する人間Hの移動方向に対して誘導地点P1側の位置に画像gを表示させることにより、対象となる人間Hの視線を誘導地点P1側に向かせることができる。その結果、対象となる人間Hが意識的または無意識に誘導地点P1へ誘導されることとなる。
【0115】
また、制御手段8は、人間Hの移動に応じて、描画領域911の位置を連続的または断続的に変更するように、プロジェクター2の駆動を制御する。これにより、移動する人間Hに対して画像gの存在および内容が認識されやすくなる。
また、制御手段8は、人間Hが検知領域S内を移動している場合、描画領域911の位置が人間Hの位置に対して一定の離間距離L2を維持するように、プロジェクター2の駆動を制御する。これにより、移動する人間Hが画像gの存在および内容を見やすくなる。
【0116】
ここで、描画領域911の位置(中心位置)と人間Hの位置(中心位置)との離間距離L2は、人間Hが画像gの存在および内容を認識し得る程度であればよく、描画領域911の面積等によって異なるものであり、特に限定されないが、50〜300cmであるのが好ましく、70〜200cmであるのがより好ましい。これにより、人間Hに対して画像gの存在および内容が認識されやすくなる。
【0117】
これに対し、かかる離間距離L2が前記下限値未満であると、人間の移動速度が速い場合等、人間の視界に画像が入らなくなる場合がある。一方、かかる離間距離L2が前記上限値を超えると、描画領域911や画像gが小さい場合等、人間が画像の存在や内容を認識するのが難しくなる。
また、制御手段8は、検知手段7の検知結果に基づいて、前述した歪み補正手段5の駆動を制御する。これにより、描画領域911の位置を変更しても、人間Hに対して見やすいように画像gを表示させることができる。
【0118】
このような描画領域911および画像gの歪み補正において、制御手段8は、描画領域911および画像gの向きが人間Hに対して一定となるように、歪み補正手段5の駆動を制御する。本実施形態では、人間Hの位置H1と描画領域911の位置911aとを結ぶ線分a3に対して、長方形をなす描画領域911の上下の各辺が垂直となるように、描画領域911の向きが設定されている。また、画像gの向きは描画領域911の向きに対して一定となっている。これにより、移動する人間Hが画像gの内容を見やすくなる。
【0119】
また、制御手段8は、描画領域911の形状が一定(本実施形態では長方形)となるように、歪み補正手段5の駆動を制御する。これにより、移動する人間Hが画像gの内容を見やすくなる。
また、制御手段8は、描画領域911の寸法が一定となるように、歪み補正手段5の駆動を制御する。これにより、移動する人間Hが画像gの内容を見やすくなる。
【0120】
また、本実施形態では、図14に示すように、人間Hが図14において検知領域S内を右側から左側へ移動する場合、制御手段8は、かかる人間Hが第1の検知領域S1内のみ(第1の検知領域S1内でかつ第3の検知領域S3外)に存在するとき、プロジェクター2aを用いて画像gの表示を行う。また、制御手段8は、かかる人間Hが第2の検知領域S2内のみ第2の検知領域S2内でかつ第3の検知領域S3外)および第3の検知領域S3内に存在するとき、それぞれ、プロジェクター2bを用いて画像gの表示を行う。このような2つのプロジェクター2a、2bの切り換えを行うことにより、プロジェクター2と描画領域911との間に人間Hが存在してプロジェクター2の描画が阻害されるのを防止することができる。
【0121】
なお、人間Hが図14において検知領域S内を左側から右側へ移動する場合、制御手段8は、かかる人間Hが第3の検知領域S3内に存在するとき、プロジェクター2bを用い、かかる人間Hが第1の検知領域S1内のみおよび第2の検知領域S2内のみに存在するとき、それぞれ、プロジェクター2aを用いて画像gの表示を行えばよい。また、前述した例では、人間Hが図14において検知領域S内を右側から左側へ移動する場合と左側から右側へ移動する場合とで、第3の検知領域S3内に人間Hが存在するときに用いるプロジェクターが異なるが、第3の検知領域S3を第1の検知領域S1側(プロジェクター2a側)の第1の部分と第2の検知領域S2側の第2の部分とで分け、かかる第1の部分に人間が存在する場合に、プロジェクター2aを用い、かかる第2の部分に人間が存在する場合に、プロジェクター2bを用いてもよい。
【0122】
以上説明したような本実施形態の画像形成装置1によれば、人間Hが移動しても、その人間Hに対して見やすい位置に画像gを表示させることができる。そのため、移動する人間Hに対しても画像gの存在および内容を認識させやすくすることができる。
また、画像形成装置1は、対象となる人間Hを誘導地点P1に誘導するように、例えば、その人間Hに対して誘導地点P1への誘導を促すような位置および内容で画像を表示させることができる。そのため、対象となる人間Hを所望の地点(誘導地点P1)へ誘導することができる。
【0123】
<第2実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第2実施形態について説明する。
図19は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に備えられたプロジェクターの光スキャナーを示す模式的平面図、図20は、図19中のB−B線断面図、図21は、図19に示す光スキャナーに備えられた駆動手段の電圧印加手段を示すブロック図、図22は、図21に示す電圧印加手段に備えられた第1の電圧発生部および第2の電圧発生部で発生する電圧の一例を示す図、図23は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置に備えられたプロジェクターの動作を説明するための図(aは、側面図、bは、正面図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図19中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図20中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0124】
以下、第2実施形態の画像形成装置について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態の画像形成装置は、プロジェクターが備える光スキャナーの構成が異なる点、および表示面91上の第1の方向の走査(水平走査)の軌跡が直線でない事以外は、第1実施形態とほぼ同様である。なお、図21および図23にて、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0125】
本実施形態に係る光走査部は、いわゆる2自由度振動系(2次元走査)の1つの光スキャナー45を有している。
光スキャナー45は、図19に示すような第1の振動系46aと第2の振動系46bと支持部46cとを備える基体46と、基体46と対向配置された対向基板47と、基体46と対向基板47との間に設けられたスペーサー部材48と、永久磁石491と、コイル492とを備えている。
【0126】
第1の振動系46aは、枠状の支持部46cの内側に設けられた枠状の駆動部461aと、駆動部461aを支持部46cに両持ち支持する1対の第1の連結部462a、463aとで構成されている。
第2の振動系46bは、駆動部461aの内側に設けられた可動板461bと、可動板461bを駆動部461aに両持ち支持する1対の第2の連結部462b、463bとで構成されている。
【0127】
駆動部461aは、図19の平面視にて、円環状をなしている。なお、駆動部461aの形状は、枠状をなしていれば特に限定されず、例えば、図19の平面視にて、四角環状をなしていてもよい。このような駆動部461aの下面には、永久磁石491が接合されている。
第1の連結部462a、463aは、それぞれ、長手形状をなしており、弾性変形可能である。第1の連結部462a、463aは、それぞれ、駆動部461aを支持部46cに対して回動可能とするように、駆動部461aと支持部46cとを連結している。このような、第1の連結部462a、463aは、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下、「回動中心軸J3」という)を中心として、駆動部461aが支持部46cに対して回動するように構成されている。
【0128】
第1の連結部462aには、駆動部461aの角度(回動中心軸J3まわりの回動角)(挙動)を検出するための圧電素子465aが設けられている。
可動板461bは、図19の平面視にて、円形状をなしている。なお、可動板461bの形状は、駆動部461aの内側に形成することができれば特に限定されず、例えば、図19の平面視にて、楕円形状をなしていてもよいし、四角形状をなしていてもよい。このような可動板461bの上面には、光反射性を有する光反射部464bが形成されている。
【0129】
第2の連結部462b、463bは、それぞれ、長手形状をなしており、弾性変形可能である。第2の連結部462b、463bは、それぞれ、可動板461bを駆動部461aに対して回動可能とするように、可動板461bと駆動部461aとを連結している。このような第2の連結部462b、463bは、互いに同軸的に設けられており、この軸(以下、「回動中心軸J4」という)を中心として、可動板461bが駆動部461aに対して回動するように構成されている。
第2の連結部462bには、可動板461bの角度(回動中心軸J4まわりの回動角)(挙動)を検出するための圧電素子465bが設けられている。
【0130】
図19に示すように、回動中心軸J3と回動中心軸J4とは、互いに直交している。また、駆動部461aおよび可動板461bの中心は、それぞれ、図19の平面視にて、回動中心軸J3と回動中心軸J4との交点上に位置している。なお、以下、説明の便宜上、回動中心軸J3と回動中心軸J4との交点を「交点G」ともいう。
図20に示すように、以上のような基体46は、スペーサー部材48を介して対向基板47と接合している。対向基板47の上面には、永久磁石491に作用する磁界を発生させるコイル492が設けられている。
【0131】
永久磁石491は、図19の平面視にて、交点Gを通り、回動中心軸J3および回動中心軸J4のそれぞれの軸に対して傾斜した線分(この線分を「線分M」とも言う)に沿って設けられている。このような永久磁石491は、交点Gに対して長手方向の一方側がS極、他方側がN極となっている。図20では、永久磁石491の長手方向の左側がS極、右側がN極となっている。
【0132】
図19の平面視にて、線分Mの回動中心軸J3に対する傾斜角θは、30〜60度であるのが好ましく、40〜50度であるのがより好ましく、ほぼ45度であるのがさらに好ましい。このように永久磁石491を設けることで、円滑に、可動板461bを回動中心軸J3および回動中心軸J4のそれぞれの軸まわりに回動させることができる。本実施形態では、線分Mは、回動中心軸J3および回動中心軸J4のそれぞれの軸に対して約45度傾斜している。
【0133】
また、図20に示すように、永久磁石491の上面には、凹部491aが形成されている。この凹部491aは、永久磁石491と可動板461bとの接触を防止するための逃げ部である。このような凹部491aを形成することにより、可動板461bが回動中心軸J3まわりに回動する際、永久磁石491と接触してしまうことを防止することができる。
【0134】
コイル492は、図19の平面視にて、駆動部461aの外周を囲むように形成されている。これにより、光スキャナー45の駆動の際、駆動部461aとコイル492との接触を確実に防止することができる。その結果、コイル492と永久磁石491との離間距離を比較的短くすることができ、コイル492から発生する磁界を効率的に永久磁石491に作用させることができる。
コイル492は、電圧印加手段493と電気的に接続されていて、電圧印加手段493によりコイル492に電圧が印加されると、コイル492から回動中心軸J3および回動中心軸J4のそれぞれの軸に直交する軸方向の磁界が発生する。
【0135】
図21に示すように、電圧印加手段493は、可動板461bを回動中心軸J3まわりに回動させるための第1の電圧V1を発生させる第1の電圧発生部493aと、可動板461bを回動中心軸J4まわりに回動させるための第2の電圧V2を発生させる第2の電圧発生部493bと、第1の電圧V1と第2の電圧V2とを重畳し、その電圧をコイル492に印加する電圧重畳部493cとを備えている。
【0136】
第1の電圧発生部493aは、第1実施形態の図9と同様、図22(a)に示すように、フレーム周波数の倍の周期T1で周期的に変化する第1の電圧V1(垂直走査用電圧)を発生させるものである。
第1の電圧V1は、三角波のような波形をなしている。そのため、光スキャナー45は、効果的に光を垂直往復走査(副走査)することができる。なお、第1の電圧V1の波形は、これに限定されない。ここで、第1の電圧V1の周波数(1/T1)は、垂直走査に適した周波数であれば、特に限定されないが、15〜40Hz(30Hz程度)であるのが好ましい。
本実施形態では、第1の電圧V1の周波数は、駆動部461aと1対の第1の連結部462a、463aとで構成された第1の振動系46aのねじり共振周波数と異なる周波数となるように調整されている。
【0137】
一方、第2の電圧発生部493bは、図22(b)に示すように、周期T1と異なる周期T2で周期的に変化する第2の電圧V2(水平走査用電圧)を発生させるものである。
第2の電圧V2は、正弦波のような波形をなしている。そのため、光スキャナー45は、効果的に光を主走査することができる。なお、第2の電圧V2の波形は、これに限定されない。
【0138】
また、第2の電圧V2の周波数は、第1の電圧V1の周波数より高く、かつ、水平走査に適した周波数であれば、特に限定されないが、10〜40kHzであるのが好ましい。このように、第2の電圧V2の周波数を10〜40kHzとし、前述したように第1の電圧V1の周波数を30Hz程度とすることで、スクリーンでの描画に適した周波数で、可動板461bを回動中心軸J3および回動中心軸J4のそれぞれの軸まわりに回動させることができる。ただし、可動板461bを回動中心軸J3および回動中心軸J4のそれぞれの軸まわりに回動させることができれば、第1の電圧V1の周波数と第2の電圧V2の周波数との組み合わせなどは、特に限定されない。
【0139】
本実施形態では、第2の電圧V2の周波数は、可動板461bと1対の第2の連結部462b、463bとで構成された第2の振動系46bのねじり共振周波数と等しくなるように調整されている。これにより、可動板461bの回動中心軸J3まわりの回動角を大きくすることができる。
また、第1の振動系46aの共振周波数をf[Hz]とし、第2の振動系46bの共振周波数をf[Hz]としたとき、fとfとが、f>fの関係を満たすことが好ましく、f≧10fの関係を満たすことがより好ましい。これにより、より円滑に、可動板461bを回動中心軸J3まわりに第1の電圧V1の周波数で回動させつつ、回動中心軸J4まわりに第2の電圧V2の周波数で回動させることができる。
【0140】
第1の電圧発生部493aおよび第2の電圧発生部493bは、それぞれ、歪み補正手段5に接続され、この歪み補正手段5からの信号に基づき駆動する。このような第1の電圧発生部493aおよび第2の電圧発生部493bには、電圧重畳部493cが接続されている。
電圧重畳部493cは、コイル492に電圧を印加するための加算器493dを備えている。加算器493dは、第1の電圧発生部493aから第1の電圧V1を受けるとともに、第2の電圧発生部493bから第2の電圧V2を受け、これらの電圧を重畳しコイル492に印加するようになっている。
【0141】
以上のような構成の光スキャナー45は、次のようにして駆動する。
例えば、図22(a)に示すような第1の電圧V1と、図22(b)に示すような第2の電圧V2とを電圧重畳部493cにて重畳し、重畳した電圧をコイル492に印加する(この重畳された電圧を「電圧V3」ともいう)。
すると、電圧V3中の第1の電圧V1に対応する電圧によって、永久磁石491のS極側をコイル492に引き付けようとするとともに、N極側をコイル492から離間させようとする磁界と、永久磁石491のS極側をコイル492から離間させようとするとともに、N極側をコイル492に引き付けようとする磁界とが交互に切り換わる。これにより、第1の連結部462a、463aを捩れ変形させつつ、駆動部461aが可動板461bとともに、第1の電圧V1の周波数で回動中心軸J3まわりに回動する。
【0142】
なお、第1の電圧V1の周波数は、第2の電圧V2の周波数に比べて極めて低く設定されており、また、第1の振動系46aの共振周波数は、第2の振動系46bの共振周波数よりも低く設計されている。そのため、第1の振動系46aは、第2の振動系46bよりも振動しやすくなっており、第1の電圧V1によって、可動板461bが回動中心軸J4まわりに回動してしまうことを防止することができる。
【0143】
一方、電圧V3中の第2の電圧V2に対応する電圧によって、永久磁石491のS極側をコイル492に引き付けようとするとともに、N極側をコイル492から離間させようとする磁界と、永久磁石491のS極側をコイル492から離間させようとするとともに、N極側をコイル492に引き付けようとする磁界とが交互に切り換わる。これにより、第2の連結部462b、463bを捩れ変形させつつ、可動板461bが第2の電圧V2の周波数で回動中心軸J4まわりに回動する。
なお、第2の電圧V2の周波数が第2の振動系46bのねじり共振周波数と等しいため、第2の電圧V2によって、支配的に、可動板461bを回動中心軸J4まわりに回動させることができる。そのため、第2の電圧V2によって、可動板461bが駆動部461aとともに回動中心軸J3まわりに回動してしまうことを防止することができる。
【0144】
以上のような光スキャナー45によれば、1つのアクチュエーターで2次元的にレーザー光(光)を走査でき、光走査部4の省スペース化を図ることができる。また、例えば、第1実施形態のように1対の光スキャナーを用いる場合には、これら光スキャナーの相対的位置関係を高精度に設定しなければならないが、本実施形態ではその必要がないため、製造の容易化を図ることができる。
【0145】
また、本実施形態では、第1実施形態の図7とは異なり、図23に示すように光源ユニット3からレーザー光(光)LLを出射した光出射状態でそのレーザー光LLを表示面91上に2次元的に走査したときの、表示面91上でのレーザー光LLの軌跡である複数の描画ライン(走査ライン)Lは、ジグザグにかつ歪曲して配置される。
また、走査ラインが歪曲しているため、映像データ演算部52は、これから走査するライン上に描画すべき画素データに相当するデータ算出しながら、映像データ記憶部51から読み出し、描画タイミング生成部53から入力された描画タイミング情報に基づいて、各種の補正演算等を行った後、各色の輝度データを光源変調部54に送出する。
上記以外の処理に関しては、第1実施形態と同様の処理を行う。
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0146】
<第3実施形態>
次に、本発明の画像形成装置の第3実施形態について説明する。
図24は、本発明の画像形成装置の第3実施形態を示す図である。
以下、第3実施形態の画像形成装置について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0147】
第3実施形態の画像形成装置は、画像を表示する表示面および画像形成装置の配置が異なる以外は、第1実施形態とほぼ同様である。なお、図24にて、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図24に示すように、画像形成装置1Aは、天井Cの天井面C1に表示面91が設定されている。すなわち、画像形成装置1Aは、表示面91である天井面C1に形成される描画領域911に画像gを表示するとともに、検知領域S内に存在する人間Hの移動状態に応じて、描画領域911の位置を変更させる(描画領域911の移動Mを行う)。
【0148】
また、画像形成装置1Aは、壁Wに設けられている。より具体的には、画像形成装置1Aは、壁Wの天井Cとの境界部付近に設けられている。
すなわち、本実施形態では、前述した第1実施形態において、上下を逆にしたように、描画領域911および画像形成装置1が設置されている。
このような本実施形態にあっては、プロジェクター2(2a、2b)から出射されるレーザー光LLの光路を、人間が通過する領域を避けるように設定することができるので、プロジェクター2から出射されたレーザー光LLが、例えば歩行者等に遮られるのをより確実に防止することができる。
【0149】
このような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上、本発明の画像形成装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0150】
また、前記実施形態では、画像を表示する表示面を床面または天井面に設定した場合を例に説明したが、かかる表示面は、これに限定されず、例えば、壁の壁面であってもよい。また、床面、壁面および天井面のうちの少なくとも2つの面にそれぞれ表示面を設定してもよい。例えば、壁面と人間との距離が遠いときには、描画領域を床面または天井面に形成し、壁面と人間との距離が近いときには、描画領域を壁面に形成するようにしてもよい。また、壁面に表示面を設置した場合、壁面と人間との距離が遠いときには、描画領域を人間の目線の高さよりも高くし(例えば高さ180cm以上とし)、壁面と人間との距離が近いときには、描画領域を人間の目線の高さとほぼ同じ高さにする(例えば高さ160cm程度とする)ようにしてもよい。
【0151】
また、プロジェクターおよび表示面が共に同一面(壁面、床面または天井面)に設置されていてもよい。また、互いに平行な面(例えば、壁面同士、床面と天井面)の一方にプロジェクターを設置し、他方に表示面を設置してもよい。
また、前述した実施形態では、ユニット回動手段およびスキャナー回動手段の駆動源としてモーターを用いた例を説明したが、これに限定されず、例えば、ソレノイド等であってもよい。
【0152】
また、前述した実施形態では、ユニット回動手段において、モーターの駆動力を1対のギアを用いて支持部に伝達する例を説明したが、このような駆動力伝達方式は、これに限定されず、例えば、ベルトドライブのような方式であってもよく、また、モーターの軸が直接支持部に取り付けられた方式であってもよい。
また、描画位置変更手段は、光スキャナー41と光スキャナー42との間の光路に、回動可能なミラー、プリズム等の光学部品を設けることによっても、実現することができる。
【0153】
また、描画位置変更手段は、光スキャナー41、42の可動板の回動における振幅の中心位置を変更することによっても実現することができる。この場合、例えば、駆動信号に異なる電圧のバイアスを選択的に重畳させればよい。
また、前記第1実施形態では、光走査部として、1対の光スキャナーを用いたが、これに限定されず、例えば光スキャナーと、ガルバノミラーとを用いてもよい。この場合には、ガルバノミラーを垂直走査用とするのが好ましい。
【0154】
また、前述した実施形態では、画像形成装置が2つのプロジェクターを備える場合を説明したが、これに限定されず、画像形成装置が備えるプロジェクターの数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
また、本実施形態では、第1の方向を「水平方向」、第2の方向を「垂直方向」としたが、本発明では、これに限らず、例えば、第1の方向を「垂直方向」、第2の方向を「水平方向」としてもよい。
【0155】
また、前記実施形態では、3つのダイクロイックミラーを用いて、赤色レーザー光、緑色レーザー光、青色レーザー光を結合して1つのレーザー光(光)を出射しているが、ダイクロイックプリズム等を用いて結合しても良い。
また、前述した実施形態では、光源ユニット3が、赤色のレーザーを出射するレーザー光源と、青色のレーザーを出射するレーザー光源と、緑色のレーザーを出射するレーザー光源とを有する構成について説明したが、これに限定されず、例えば、赤色のレーザーを出射するレーザー光源と、青色のレーザーを出射するレーザー光源と、紫外のレーザーを出射するレーザー光源とを備えていてもよい。この場合、スクリーンに、紫外レーザーが照射されることにより緑色の蛍光を発生する蛍光体を含んでおく。これにより、表示面にフルカラーの画像を表示することができる。
【0156】
また、前述した実施形態では、ラスタースキャンにより画像を表示するプロジェクターを用いた場合を説明したが、ベクタースキャンにより画像を表示するプロジェクターを用いることもできる。
また、前述した実施形態では、光走査型のプロジェクターを用いた場合を説明したが、液晶パネルやDMD(Digital Micromirror Device)等を用いて画像を表示面に投影する他のプロジェクターを用いることもできる。
【符号の説明】
【0157】
1……画像形成装置 1A……画像形成装置 2……プロジェクター 2a……プロジェクター 2b……プロジェクター 3……光源ユニット 4……光走査部 5……歪み補正手段 6……描画位置変更手段 7……検知手段 8……制御手段 9……床 11……筐体 11a……筐体 11b……筐体 31b……レーザー光源 31g……レーザー光源 31r……レーザー光源 32b……コリメーターレンズ 32g……コリメーターレンズ 32r……コリメーターレンズ 33b……ダイクロイックミラー 33g……ダイクロイックミラー 33r……ダイクロイックミラー 41……光スキャナー 42……光スキャナー 43……角度検出手段 44……角度検出手段 45……光スキャナー 46……基体 46a……第1の振動系 46b……第2の振動系 46c……支持部 47……対向基板 48……スペーサー部材 51……映像データ記憶部 52……映像データ演算部 53……描画タイミング生成部 54……光源変調部 55……振れ角演算部 56……角度指示部 57……検量線記憶部 61……ユニット回動機構 62……スキャナー回動機構 71……人感センサ 71a……センサ部 71b……センサ部 72……記憶部 73……演算部 91……表示面 111……取付部 310b……駆動回路 310g……駆動回路 310r……駆動回路 320b……光源 320g……光源 320r……光源 411……基体 411a……可動板 411b……支持部 411c……連結部 411d……連結部 411e……光反射部 412……スペーサー部材 413……対向基板 414……永久磁石 415……コイル 416……電圧印加手段 417……駆動手段 421a……可動板 421e……光反射部 427……駆動手段 431……圧電素子 432……起電力検出部 433……角度検知部 461a……駆動部 461b……可動板 462a、463a……第1の連結部 462b、463b……第2の連結部 464b……光反射部 465a……圧電素子 465b……圧電素子 491……永久磁石 491a……凹部 492……コイル 493……電圧印加手段 493a……第1の電圧発生部 493b……第2の電圧発生部 493c……電圧重畳部 493d……加算器 611……支持部 612……モーター 613……軸部 614……軸受 615……ギア 616……軸部 617……ギア 621……支持部 622……モーター 623……軸部 911……描画領域 911a……位置 912……描画可能領域 a1、a2、a3……線分 BB……青色レーザー光 C……天井 C1……天井面 D……離間距離 g……画像 g1……画像 g2……画像 g3……画像 G……交点 GG……緑色レーザー光 H……人間 H1……位置 J1……回動中心軸 J2……回動中心軸 J3……回動中心軸 J4……回動中心軸 L……描画ライン LL……レーザー光 L1、L2……離間距離 m……移動方向 M……線分 M……移動 M……移動 P……店舗の入口 P1……誘導地点 RR……赤色レーザー光 S……検知領域 S1……第1の検知領域 S2……第2の検知領域 S3……第3の検知領域 T1……周期 T2……周期 V1……第1の電圧 V2……第2の電圧 V3……第3の電圧 W……壁 W1……壁面 X1……軸線 θ……傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導すべき誘導地点の周辺に設置された表示面に形成される描画領域に、光を投影することにより画像を表示するとともに、前記描画領域の位置を変更し得るように構成されたプロジェクターと、
前記表示面近傍に設定された検知領域内に人間が存在するか否かを検知するとともに、前記検知領域内に人間が存在する場合にその人間の移動状態を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて、前記検知領域内に存在する人間を前記誘導地点に誘導するように、前記プロジェクターの駆動を制御する制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プロジェクターは、前記描画領域の位置を連続的または断続的に変更し得るように構成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記人間が前記検知領域内を移動している場合、前記描画領域の中心が前記人間の移動方向前方側でかつ前記誘導地点側に位置した状態を維持しつつ変更されるように、前記プロジェクターの駆動を制御する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記人間が前記検知領域内を移動している場合、前記描画領域の位置が前記人間の位置に対して一定の離間距離を維持するように、前記プロジェクターの駆動を制御する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記人間の移動状態として、前記人間の位置、移動方向および移動速度を検知する請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知手段は、前記検知領域内に人間が存在するか否かを検知するとともに前記検知領域内に人間が存在する場合にその人間の位置を検知する人感センサと、該人感センサによって検知された位置を位置情報として所定時間毎に記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された位置情報に基づいて前記人間の移動方向および移動速度を算出する演算部とを備える請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記プロジェクターは、前記描画領域および前記画像の歪みを補正する歪み補正手段を備えており、
前記制御手段は、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記歪み補正手段の駆動を制御する請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記描画領域および前記画像の向きが前記人間に対して一定となるように、前記歪み補正手段の駆動を制御する請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記描画領域の形状が一定となるように、前記歪み補正手段の駆動を制御する請求項7または8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記描画領域の寸法が一定となるように、前記歪み補正手段の駆動を制御する請求項7ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記プロジェクターは、レーザー光を出射する光出射部と、前記光出射部から出射したレーザー光を互いに直交する第1の方向および第2の方向にそれぞれ走査する光走査部とを備える請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記プロジェクターは、前記光出射部および前記光走査部を一体的に、互いに直交する2つの軸線のうちの少なくとも1つの軸線まわりに回動させるユニット回動手段とを備える請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記光走査部は、前記光出射部から出射した光を反射させる光反射部を備えた可動板が一軸または互いに直交する二軸まわりに回動可能に設けられ、当該回動によって前記光反射部で反射した光を走査する光スキャナーを備える請求項11または12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記プロジェクターは、前記光出射部に対して前記光スキャナー全体を、互いに直交する2つの軸線のうちの少なくとも1つの軸線まわりに回動させるスキャナー回動手段を備える請求項13に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−170658(P2011−170658A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34384(P2010−34384)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】