説明

画像形成装置

【課題】複数のビームを用いて被露光面の露光制御を行う際、濃度むらを低減する。
【解決手段】画像形成装置は複数の光源LD1〜LD8と、複数の光源から出力された光ビームを偏向走査するポリゴンミラーとを有し、これら光ビームによって感光体を露光して画像形成を行う。ポリゴンミラー制御回路102はポリゴンミラーの回転速度を制御して感光体の回転方向における倍率の調整を行う。CPU105は、ポリゴンミラーの回転速度を基準速度とは異なる回転速度に変化させる場合、複数の光ビームが同時に走査されることにより感光体に形成される複数の走査線のうち回転方向外側に位置する一方の走査線あるいは両方の走査線を形成する光ビームの光量をポリゴンミラーの回転速度の変化量に応じて制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体を露光して画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機及びプリンター等の画像形成装置において、所謂電子写真プロセスを用いて画像形成を行うものが知られている。近年、この種の画像形成装置においては、複数種類の記録紙(転写紙)に対して、高速、高画質、かつ高精度に画像形成することが求められている。
【0003】
電子写真プロセスを用いた画像形成装置には、光ビーム(例えば、レーザービーム)を出射する露光装置が備えられており、露光装置から出射されるレーザービームによって感光体を露光して、感光体に静電潜像を形成する。このレーザービームは、駆動モーター(以下、「スキャナーモーター」と呼ぶ)により回転駆動される回転多面鏡(以下、「ポリゴンミラー」と呼ぶ)によって偏向される。ポリゴンミラーによって偏向されることによって、レーザービームのスポットは感光体上を所定の方向に移動する。偏向されたレーザービームによって感光体が露光されて、感光体に静電潜像が形成される。感光体の静電潜像はトナーによってトナー像として可視化され、そのトナー像は記録媒体に転写される。記録媒体上のトナー像は定着装置によって記録媒体に加熱・定着される。
【0004】
トナー像が記録紙上に加熱・定着されると、記録紙に含まれる水分が蒸発する。記録紙に含まれる水分量が減少することによって記録紙のサイズが縮小する。両面印刷を行う場合、記録紙の表面上の画像を定着した後、記録紙の裏面に画像形成を行うので、記録紙の表と裏とで画像のサイズが異なるという問題点がある。また、記録紙が置かれた環境の湿度が上昇すると記録紙に含まれる水分量が増えるため、記録紙のサイズが拡大する。そのため、高湿状態で形成した画像と低湿状態で形成した画像との間で記録紙に対するサイズが異なるという課題が生じる。
【0005】
近年、画像形成装置においては、高画質化のために、記録紙に対して画像を形成する位置を高精度に合わせること、例えば、記録紙上における画像の位置の精度を上げること、カラー画像形成装置であれば複数色の画像を重ね合わせる際の色ずれを小さくすることが要求されている。
【0006】
そこで、例えば、記録紙の裏面に画像を形成する際、記録紙の表面に形成された画像の伸縮に対応させて画像倍率の補正を行って両面の画像のサイズを一致させるような画像形成装置がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の画像形成装置では、スキャナーモーターの回転速度を制御することによってポリゴンミラーの回転速度を制御する。ポリゴンミラーの回転速度を変化させることによって副走査方向(感光体の回転方向)の画像の倍率を変更し、画像の位置ずれ補正を行うようにしている。そして、両面印刷の場合に、このような画像倍率の調整(補正)を行うことによって出力画像の表裏の画像サイズを整える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004―25841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の装置で感光体上に静電潜像を形成すると次のような課題が生じる。
【0009】
図22(A)、(B)は、従来の画像形成装置において、ポリゴンミラーの回転速度を変更した前後における走査スポット(露光スポット)の副走査方向のピッチ間隔を示す図である。ここで、図22(A)は、露光装置が備える1つの光源から出射されるレーザービーム(シングルビーム)によって感光体を露光する装置の走査スポット間隔を示す図である。図22(B)は、露光装置が備える複数の光源から出射される複数のレーザービーム(マルチビーム)によって感光体を露光する装置の走査スポット間隔を示す図である。
【0010】
シングルビームで感光体を露光する装置(図22(A))において、副走査方向の画像の倍率を補正するべくポリゴンミラーの回転速度を上げると、感光体上に形成される各走査ライン(走査線ともいう)の間隔は均一に縮小する。そのため、ポリゴンミラーの回転速度を上げると、それに伴い画像の濃度も上がる。従って、同一の画像データによって記録媒体の表裏に画像を形成する場合に、表裏の画像間で濃度が異なってしまうという課題が生じる。
【0011】
一方、複数のレーザービーム(マルチビーム)で感光体を露光する装置(図22(B))において、副走査方向の画像の倍率を補正するべくポリゴンミラーの回転速度を上げると、副走査方向において、1つの走査で感光体に形成される最終走査ラインと次の走査において感光体に形成される最初の走査ラインとの間隔(以下、この間隔を走査間ライン間隔と呼ぶ)が、一つの走査において感光体に形成される走査ラインの間隔と異なってしまう。つまり、ポリゴンミラーの回転速度の変更を行った場合には、走査間毎に、走査ラインの間隔がポリゴンミラーの回転速度に応じて縮小又は拡大することになる。従って、ポリゴンミラーの回転速度を変更することによって感光体上に形成される走査ラインの間隔が均一にならない。即ち、倍率縮小の際には走査ラインの間隔が密になる箇所が生じ、倍率拡大の際には走査ラインの間隔が粗になる箇所が生じてしまい、出力画像の濃度にむらが生じてしまうことになる。
【0012】
このように、ポリゴンミラーの回転速度を変更することによって記録媒体上に形成される画像の画質が低下する。
【0013】
本発明の目的は、光ビームを用いて感光体を露光して画像形成を行う装置において、ポリゴンミラーまたは感光体の回転速度が変化した場合の画質の低下を抑制することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像形成装置は、回転する感光体上に形成される静電潜像をトナーによって現像することによってトナー像を形成する画像形成装置であって、前記感光体上に前記静電潜像を形成するための光ビームを出射する光源と、前記光ビームが前記感光体上を所定の方向に移動するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、前記トナー像を第1の倍率又は前記第1の倍率よりも大きい第2の倍率で形成するために、前記第1の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記回転多面鏡の回転速度が前記第2の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記回転多面鏡の回転速度よりも高くなるように前記回転多面鏡の回転速度を制御する速度制御手段と、前記第1の倍率のトナー像を形成する場合の前記光ビームの光量が前記第2の倍率のトナー像を形成する場合の前記光ビームの光量よりも低くなるように前記光源を制御する光源制御手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項4記載の画像形成装置は、回転する感光体上に形成される静電潜像をトナーによって現像することによってトナー像を形成する画像形成装置であって、前記感光体上に前記静電潜像を形成するための光ビームを出射する光源と、前記光ビームが前記感光体上を所定の方向に移動するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、前記光源を制御する光源制御手段と、を有し、前記光源は前記光ビームを出射する複数の発光点を備え、前記複数の発光点は前記回転多面鏡によって偏向された前記複数の発光点からの複数の前記光ビームが前記感光体の回転方向において前記感光体上の異なる位置を照射するように配列され、前記光源制御手段は、前記回転多面鏡が第1の速度で回転している場合の前記複数の光ビームのうちの前記感光体の回転方向において外側を移動する一方あるいは両方の光ビームの光量が、前記回転多面鏡が前記第1の速度よりも低い第2の速度で回転している場合の光量よりも低くなるように前記光源を制御することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項8記載の画像形成装置は、回転する感光体上に形成される静電潜像をトナーによって現像することによってトナー像を形成する画像形成装置であって、前記感光体上に前記静電潜像を形成するための光ビームを出射する光源と、前記トナー像を第1の倍率又は前記第1の倍率よりも大きい第2の倍率で形成するために、前記第1の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記感光体の回転速度が前記第2の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記感光体の回転速度よりも高くなるように前記感光体の回転速度を制御する速度制御手段と、前記第1の倍率のトナー像を形成する場合の前記光ビームの光量が前記第2の倍率のトナー像を形成する際の前記光ビームの光量よりも低くなるように前記光源を制御する光源制御手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項11記載の画像形成装置は、回転する感光体上に形成される静電潜像をトナーによって現像することによってトナー像を形成する画像形成装置であって、前記感光体上に前記静電潜像を形成するための光ビームを出射する光源と、前記光ビームが前記感光体上を所定の方向に移動するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、前記トナー像を第1の倍率又は前記第1の倍率よりも大きい第2の倍率で形成するために、前記第1の倍率で前記トナー像を形成する場合に前記感光体の回転速度を第1の速度に制御し、前記第2の倍率で前記トナー像を形成する場合に前記感光体の回転速度を前記第1の速度よりも低い第2の速度に制御する速度制御手段と、前記光源を制御する光源制御手段と、を備え、前記光源は前記光ビームを出射する複数の発光点を備え、前記複数の発光点は、前記回転多面鏡によって偏向された前記複数の発光点からの複数の前記光ビームが前記感光体の回転方向において前記感光体上の異なる位置を照射するように配列され、前記光源制御手段は、前記感光体が前記第1の速度に制御されている場合の前記複数の光ビームのうちの前記感光体の回転方向において外側を移動する一方あるいは両方の光ビームの光量が、前記感光体が前記第2の速度に制御されている場合の光量よりも低くなるように、前記光源を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光ビームを用いて感光体を露光して画像形成を行う装置において、ポリゴンミラーまたは感光体の回転速度が変化した場合の画質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略縦断面図である。
【図2】図1に示す露光制御部で用いられる光学系の斜視図である。
【図3】(A)は、図2に示す半導体レーザーの構成を説明するため図、(B)は、図2に示す感光ドラム上に形成されたレーザースポットの配置の一例を示す図である。
【図4】図1に示す露光制御部で用いられる制御装置のブロック図である。
【図5】図4に示すレーザー素子の点灯タイミングを説明するための図である。
【図6】図4に示すポリゴンミラー制御回路によって回転多面鏡(ポリゴンミラー)の回転速度を変更した際のレーザースポットの移動を示す図である。
【図7】図1に示す露光制御部で用いられる制御装置の変形例を示すブロック図である。
【図8】図4に示すポリゴンミラー制御回路による副走査倍率の補正によって副走査方向に画像サイズを縮めた際のレーザースポットの移動を示す図である。
【図9】図8に示す画像サイズの補正前後の感光体上における光量分布を示す図である。
【図10】図5に示すポリゴンミラー制御回路による副走査方向に画像サイズを拡大する際のレーザースポットの移動を示す図である。
【図11】図10に示す画像サイズの補正前後の感光体上における光量分布を示す図である。
【図12A】CPUが実行する制御フローを示す図である。
【図12B】CPUが実行する制御フローを示す図である。
【図12C】CPUが実行する制御フローを示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の露光制御部で用いられる制御装置のブロック図である。
【図14】図13に示す制御装置において、画像倍率に応じた光量補正(画像倍率補正)を行う倍率補正処理のフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の露光制御装置の変形例によって露光した際、両面印刷において倍率補正前後における記録紙のレーザースポットを示す図である。
【図16】倍率補正を行う際にレーザースポットのピッチを均一に狭めた場合と走査間におけるレーザービームの間隔(走査間ライン間隔)のみを狭めた場合との感光体上における光量分布を示す図である。
【図17】図13に示す制御装置において、画像倍率に応じた光量補正(画像倍率補正)を行う際の他の倍率補正処理のフローチャートである。
【図18】図13に示す制御装置において、複数のレーザー素子の各々について段階的に光量補正を行った際のレーザースポットを示す図である。
【図19】図18に示す光量補正を行った際の感光体上における光量分布を示す図である。
【図20】第3の実施の形態に係る画像形成装置の露光制御部で用いられる制御装置のブロック図である。
【図21】図20に示す画像処理装置で実行されたFFT処理の結果の例を示す図であり、(A)は、空間周波数が所定の閾値以下である場合のFFT処理の結果の例を示す図、(B)は、空間周波数が所定の閾値を超える場合のFFT処理の結果の例を示す図、(C)は、複数の閾値を設定した場合を示す図である。
【図22】(A)は、従来の画像形成装置において、ポリゴンミラーの回転速度を変更した前後における単一(シングル)ビームによる走査スポット(露光スポット)の副走査方向のピッチ間隔を示す図、(B)は、従来の画像形成装置において、ポリゴンミラーの回転速度を変更した前後におけるマルチビームによる走査スポット(露光スポット)の副走査方向のピッチ間隔を示す図である。
【図23】従来の画像形成装置において、マルチビームによって露光を行う際、ポリゴンミラーの回転速度を変化させた場合の感光体上における光量分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略縦断面図である。なお、図1に示す画像形成装置1Aは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の各色を重ね合わせてカラー画像を形成するカラー画像形成装置である。
【0022】
図示の画像形成装置1Aは、4つの感光ドラム(感光体)14、15、16、及び17を有している。各感光ドラム14、15、16、及び17の表面が被露光面である。これら感光ドラム14、15、16、及び17に対面して中間転写体である中間転写ベルト(無端ベルト)13が配置されている。この中間転写ベルト13は、駆動ローラー13a、二次転写対向ローラー13b、及びテンションローラー(従動ローラー)13cに張設され、断面視において、略三角形状に規定されている。そして、この中間転写ベルト13は、図中時計回りに回転する(実線矢印で示す方向に回転する)。
【0023】
感光ドラム14、15、16、及び17は、中間転写ベルト13の回転方向に沿って配置されており、図示の例では、中間転写ベルト13の回転方向の最上流側から順に感光ドラム14、15、16、及び17が配置されている。感光ドラム14の周囲には、帯電器27、現像器23、及びクリーナー31が配置されている。同様にして、感光ドラム15、16、及び17の周囲には、それぞれ帯電器28、29、及び30、現像器23、24、25、及び26、及びクリーナー31、32、33、及び34が配置されている。
【0024】
帯電器27、28、29、及び30は、それぞれ感光ドラム14、15、16、及び17の表面を均一に帯電する。感光ドラム14、15、16、及び17の上方には、露光制御装置(露光制御部ともいう)22が配置され、露光制御装置22は、後述するようにして、画像データに応じて感光ドラム14、15、16、及び17の表面をレーザービーム(光ビーム)によって走査する。なお、図示の例では、感光ドラム14、15、16、及び17は、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(K)のトナーに対応しているものとする。
【0025】
ここで、図1に示す画像形成装置1Aによる画像形成(プリント)動作について説明する。図示の画像形成装置1Aは、2つのカセット給紙部1及び2と、1つの手差し給紙部3とを有している。これらカセット給紙部1及び2と手差し給紙部3とからは選択的に記録紙(転写紙)Sが給紙される。カセット給紙部1及び2は、それぞれカセット4及び5を有しており、手差し給紙部3は、トレイ6を有している。転写紙Sは、カセット4及び5又はトレイ6上に積載されており、ピックアップローラー7によって、最上位に位置する転写紙Sから順次ピックアップされる。そして、ピックアップされた転写紙Sは、フィードローラー8Aとリタードローラー8Bからなる分離ローラー対8によって、最上位に位置する転写紙Sのみ分離される。
【0026】
カセット給紙部1又は2から送り出された転写紙Sは、搬送ローラー対9、10、及び11によってレジストローラー対12へ送られる。一方、手差し給紙部3から送られた転写紙Sは、直ちにレジストローラー対12に送られる。そして、転写紙Sはレジストローラー対12によって一旦その移動が停止されるとともに、斜行状態が矯正される。
【0027】
ところで、画像形成装置1Aには、原稿給紙装置18が備えられ、原稿給紙装置18は、積載された原稿を1枚ずつ順番に原稿台ガラス19上に搬送する。原稿が原稿台ガラス19上の所定位置へ搬送されると、スキャナー手段4Aによって原稿面が照射されて、原稿からの反射光がミラー等(図示せず)を介してレンズ(図示せず)に導かれる。そして、この反射光は、イメージーセンサ部(図示せず)に光学像として結像される。
【0028】
イメージーセンサ部は、結像した光学像を、光電変換によって電気信号に変換する。この電気信号は、画像処理部(以下、「画像処理装置」ともいう:図1には示さず)に入力される。画像処理部は、電気信号をデジタル信号に変換した後、当該デジタル信号に対して必要な画像処理を施して、画像データとする。この画像データは、直接的又は一旦画像メモリ(図示せず)に格納された後に、露光制御装置22に入力される。露光制御部22は、画像データに応じて後述する半導体レーザーを駆動する。これによって、半導体レーザーからレーザービーム(光ビーム)が発光される。
【0029】
レーザービームは、後述する回転多面鏡(以下、「ポリゴンミラー」と呼ぶ)を含む走査系を介して感光ドラム14、15、16、及び17の表面を照射する。このレーザービームは、ポリゴンミラーに偏向されることによって、感光ドラム14、15、16、及び17上を主走査方向(感光ドラム14、15、16、及び17の回転軸方向)に沿って走査する。感光ドラム14、15、16、及び17は、図中実線矢印で示す方向(副走査方向)に回転しており、これによって、感光ドラム14、15、16、及び17は、レーザービームによって副走査方向にも走査されることになる。レーザービームの走査によって、感光ドラム14、15、16、及び17上には、画像データに応じた静電潜像が形成されることになる。
【0030】
図示の例では、まず、最上流側に位置する感光ドラム14が、マゼンタ成分の画像データに基づいてレーザービームLMによって露光される。これによって、感光ドラム14上に静電潜像を形成する。そして、感光ドラム14上の静電潜像は、現像器23によって現像されて、マゼンタ(M)トナー像とされる。次に、感光ドラム14の露光開始から所定の時間が経過すると、感光ドラム15が、シアン成分の画像データに基づいてレーザービームLCによって露光される。これによって、感光ドラム15上に静電潜像を形成する。そして、感光ドラム15上の静電潜像は、現像器24によって現像されて、シアン(C)トナー像とされる。
【0031】
さらに、感光ドラム15の露光開始から所定の時間が経過すると、感光ドラム16が、イエロー成分の画像データに基づいてレーザービームLYによって露光される。これによって、感光ドラム16上に静電潜像を形成する。そして、感光ドラム16上の静電潜像は、現像器25によって現像されて、イエロー(Y)トナー像とされる。そして、感光ドラム16の露光開始から所定の時間が経過すると、感光ドラム17が、ブラック成分の画像データに基づいてレーザービームLBによって露光される。これによって、感光ドラム17上に静電潜像を形成する。感光ドラム17上の静電潜像は、現像器26によって現像されて、ブラック(K)トナー像とされる。
【0032】
感光ドラム14上のMトナー像は、転写帯電器90によって中間転写ベルト13上に転写される。同様にして、感光ドラム15、16、及び17から、それぞれCトナー像、Yトナー像、及びKトナー像が、転写帯電器91、92、及び93によって中間転写ベルト13上に転写される。これによって、中間転写ベルト13上に、順次Mトナー像、Cトナー像、Yトナー像、及びKトナー像が重ね合わされて、転写されることになり、中間転写ベルト13上には、一次転写像としてカラートナー像が形成される。なお、転写後、感光ドラム14、15、16、及び17に残留するトナーは、それぞれクリーナー31、32、33、及び34によって除去される。
【0033】
レジストローラー対12で一旦停止した転写紙Sは、レジストローラー対12の駆動によって2次転写位置T2に搬送される。ここでは、中間転写ベルト13上のカラートナー像と転写紙Sの先端との位置を合わせるタイミングで、レジストローラー対12が回転駆動されて、転写紙Sが2次転写位置T2に搬送される。2次転写位置T2には、2次転写ローラー40と2次転写対向ローラー13bとが配置されており、2次転写位置T2において、中間転写ベルト13上のカラートナー像が2次転写像として転写紙S上に転写される。
【0034】
2次転写位置T2を通過した転写紙Sは、定着装置35へ送られる。この定着装置35は、定着ローラー35A及び加圧ローラー35Bを有している。転写紙Sは、定着ローラー35Aと加圧ローラー35Bとによって形成されるニップ部を通過する際、定着ローラー35Aによって加熱されるとともに、加圧ローラー35Bによって加圧される。これによって、2次転写像を転写紙S上に定着する(加熱定着)。定着処理済み転写紙Sは、搬送ローラー対36によって排出ローラー対37へ送られ、排出ローラー対37によって排出トレイ38上へ排出される。そして、これによって、片面プリントが完了する。
【0035】
図示の画像形成装置1Aでは、所謂両面印刷モードによって画像形成を行うことができる。つまり、画像形成装置1Aは、両面印刷機能を有しており、両面印刷モードの際、この両面印刷機能が用いられる。
【0036】
両面印刷モードの際には、定着装置35を通過した定着処理済み転写紙Sは、縦パス58を通って反転パス59へ送られる。この際、フラッパー60は縦パス58を開いた状態となっており、定着処理済み転写紙Sは、搬送ローラー対36、61、及び62と逆転ローラー対63とによって反転パス59に搬送される。矢印a方向に搬送されている定着処理済み転写紙Sの後端が、ポイントPを通過した時点で、逆転ローラー対63が逆転駆動される。これによって、定着処理済み転写紙Sは、後端側を先頭にして矢印b方向に搬送される。この結果、定着処理済み転写紙Sにおいて、2次転写像が形成された面が上側になる。なお、ポイントPには、可撓性転写紙付きフラッパー64が配置されている。このフラッパー64は、縦パス58から反転パス59への転写紙Sの進入を可能とするとともに、反転パス59から縦パス58への転写紙Sの侵入を不可能とする。さらに、ポイントPには、検知レバー65が配置されている。この検知レバー65は、転写紙Sの後端がポイントPを通過したことを検知する。
【0037】
前述のように、逆転ローラー対63の逆転によって、矢印b方向に搬送された定着済み転写紙Sは、再給紙パス67内に送られる。そして、定着済み転写紙Sは、複数の再給紙パス内搬送ローラー対68と搬送ローラー対11とによって中継されて、再度レジストローラー対12に送られる。定着処理済み転写紙Sは、レジストローラー対12で斜行状態を補正された後、2次転写位置T2に送られる。そして、主走査方向・副走査方向における倍率補正が行なわれた画像データに基づいて2回目の画像形成が行なわれ、前述した片面画像形成と同一のプロセスを経て、転写紙Sは、排出トレイ38に排出される。
【0038】
図2は、図1に示す露光制御部22で用いられる光学系の斜視図である。なお、以下の説明では、感光ドラム(感光体)上に形成される走査ラインの間隔とは、レーザービーム間のピッチ間隔と等価である。レーザービーム間のピッチ間隔(つまり、感光ドラム上に形成される走査ラインの間隔)は、ポリゴンミラーの同一面(同一反射面:同一のポリゴン面)を走査するレーザービーム同士の副走査方向(感光ドラムの回転方向)の間隔をいう。また、一つの走査における最終走査ラインと次の走査における最初の走査ラインとの間隔は走査間ライン間隔を意味し、この走査間ライン間隔はポリゴン面間のピッチ間隔と等価である。そして、ポリゴン面間のピッチ間隔は、ポリゴンミラーの一つの反射面で走査されたレーザービームと次の反射面で走査されたレーザービームとの副走査方向における間隔をいう。
【0039】
図2を参照すると、図示の例では、説明の便宜上1つの感光ドラムに対する光学系のみが示されている。そして、図2においては、感光ドラムには、符号408が付されている。露光制御部22は、半導体レーザー108を有しており、この半導体レーザー108は、複数のレーザー素子(光源:図示せず)を備えている。これらレーザー素子の各々は、印加される駆動電流によって駆動され、駆動電流に応じたレーザービーム(光ビーム)を出力する。従って、後述するように、図示の露光制御部22は、ポリゴンミラーによって複数のレーザービームを同時に走査することによって感光ドラムの回転方向に複数の走査ライン(走査線)を形成可能である。
【0040】
半導体レーザー108には後述する不図示のフォトダイオード(PD)が内蔵されている。各レーザー素子を個別に点灯させ、PDが受光した光量に基づいて、それぞれのレーザー素子から出射されるレーザービームの光量が所定の光量になるように上記駆動電流を制御する。この点については後述する。
【0041】
ここでは、レーザー素子の各々は、発散光をレーザービームとして出力する。これらレーザービームの各々は、コリメータレンズ402、開口絞り403、及びシリンドリカルレンズ404を介してポリゴンミラー405に入射することになる。そして、これらレーザービームは、ポリゴンミラー405の反射面(ポリゴン面)405−a上で反射されて、トーリックレンズ406−a及び回折光学素子406−bを通って感光ドラム408上で結像する。
【0042】
コリメータレンズ402は、レーザー素子から出射されたレーザービームを略平行光束に変換する。開口絞り403は、ここを通過する光束を制限する。シリンドリカルレンズ404は、副走査方向にのみ所定の屈折力を有している。シリンドリカルレンズ404は、開口絞り403を通過したレーザービームを副走査断面内において、ポリゴンミラー405の反射面405−aに結像させる。ポリゴンミラー405は、モータ等の駆動源(図示せず)によって回転駆動されている。そして、ポリゴンミラー405は、その反射面405−a上に結像したレーザービームを偏向走査する。トーリックレンズ406−aと回折光学素子406−bとによって、f−θ特性を有する光学素子406が構成されている。この光学素子406は屈折部と回折部とを有している。そして、屈折部は、トーリックレンズ406−aによって規定されている。このトーリックレンズ406−aは、主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワーを有している。そして、トーリックレンズ406−aの主走査方向のレンズ面は非球面形状に形成されている。また、回折部は、回折光学素子406−bによって規定されている。この回折光学素子406−bは長尺であり、主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワーを有する。なお、後述の画像形成期間に対応する画像領域の外の後述の非画像形成期間に対応する光走査領域(以下、「画像領域外」と呼ぶ)には、ビーム検出センサー(BDセンサー)101が配置されている。
【0043】
ポリゴンミラー405によって偏光走査されたレーザービームは、反射ミラー409上で反射して、BDセンサー101の受光面上に入射する。このBDセンサー101は、入射したレーザービームを検出して、BD検出信号を出力する。そして、当該レーザービームを検出したビーム検出タイミングに応じて、つまり、BD検出信号に応じて、感光ドラム408の露光タイミングが制御されることになる。なお、BDセンサー101におけるレーザービームの検出は、複数のレーザービームのいずれか一つのレーザービームに基づいて行われる。ここでは、BDセンサー101における検出に用いられるレーザービームを基準ビームとし、基準ビームに対して、他のレーザービームにおける露光時間を所定時間前後させて、露光タイミングを制御する。
【0044】
ここで、本発明の実施の形態による画像形成装置における露光制御を説明する前に、従来の画像形成装置において生じる濃度むらについて説明することにする。図22(A)、(B)は、従来の画像形成装置において、ポリゴンミラーの回転速度を変更した前後における走査スポット(露光スポット)の副走査方向のピッチ間隔を示す図である。ここで、図22(A)は、単一(シングル)ビームの場合を示す図であり、図22(B)はマルチビームの場合を示す図である。
【0045】
図22(A)、(B)を参照すると、シングルビームで感光ドラムの露光・走査を行う場合(図22(A))、ポリゴンミラーの回転速度を上げると、感光ドラム上に形成される各走査ライン(走査線ともいう)の間隔は均一に縮小する。また、ポリゴンミラーの回転速度を下げると、感光ドラム上に形成される各走査ラインの間隔は均一に拡大する。一方、複数のレーザービーム(マルチビーム)で感光ドラムの走査を行う際、ポリゴンミラーの回転速度を変化させた場合(図22(B))、感光ドラムの回転方向(つまり、副走査方向)において、一つの走査で感光ドラムに形成される最終走査ラインと次の走査において感光ドラムに形成される最初の走査ラインとの間隔(以下、この間隔を「走査間ライン間隔」と呼ぶ)が、一つの走査において感光ドラムに形成される走査ラインの間隔と異なってしまう。つまり、ポリゴンミラーの回転速度の変更を行った場合には、走査間毎に、走査ラインの間隔がポリゴンミラーの回転速度に応じて縮小又は拡大することになる。従って、ポリゴンミラーの回転速度を変更することによって感光ドラム上に形成される走査ラインの間隔が均一にならない。即ち、倍率縮小の際には走査ラインの間隔が密になる箇所が生じ、倍率拡大の際には走査ラインの間隔が粗になる箇所が生じてしまい、出力画像の濃度にむらが生じてしまうことになる。
【0046】
図23は、従来の画像形成装置において、マルチビームを連続して点灯させ、ポリゴンミラーの回転速度を基準速度よりも速い速度に制御した場合の感光ドラム上での積算光量分布を示す図である。この積算光量分布は、感光ドラム上の電位分布に一致する。図23に示すように、ポリゴンミラーの回転速度を基準速度よりも高くすることによって図23に示すように積算光量分布が均一にならない。これによって、局所的に、出力画像に濃度が変化してしまい、出力画像に濃度むらが発生してしまう。
【0047】
そこで、本実施例の画像形成装置は、ポリゴンミラーの回転速度を基準速度から変化させた場合に生じる濃度むらを、半導体レーザー108の光量を調整することによって濃度むらを低減することを特徴とする。
【0048】
まず、本発明の実施の形態による画像形成装置で用いられる半導体レーザー108の構成について説明する。図3(A)は、図2に示す半導体レーザー108の構成の一例を説明するため図である。
【0049】
図3(A)を参照すると、ここでは、半導体レーザー108は、8つのレーザー素子(光源)LD1〜LD8を有している。そして、これらレーザー素子LD1〜LD8が同一のチップ上に所定の方向に配列されている。図示の例では、レーザー素子LD1〜LD8のチップ面上における発光点の位置(配置)が示されている。レーザー素子LD1〜LD8、つまり、発光点は、互いにその間隔(ビームピッチ間隔)が等しく、かつ一列となるように配列されている。
【0050】
図3(B)は、図2に示す感光ドラム408上に形成されたレーザースポットの配置の一例を示す図である。図3(B)を参照して、ここでは、レーザー素子LD1〜LD8に対応するレーザービームとレーザースポットとをそれぞれ同一の符号で表している。図示の例では、前述のように、8つのレーザービームLD1〜LD8によって感光ドラム408上を走査・露光することになる。図3(A)で説明したように、発光点は一列に配置されており、ポリゴンミラー405(図2)の回転制御により、感光ドラム408における副走査方向のビームピッチ間隔が調整される(つまり、感光ドラム408に形成される走査ラインの間隔が調整される)。
【0051】
ここでは、感光体ドラム408に形成される走査ラインの間隔の調整(ビームピッチ間隔の調整ともいう)は、画像形成装置1A(図1)の解像度に応じて調整される。例えば、副走査方向における解像度が600dpiの場合、後述するようにして、レーザー素子LD1〜LD8のうち4つのLDを選択的に点灯制御して、例えば、走査ラインの間隔(ビームピッチ間隔)を約42μmに調整する。また、副走査方向における解像度が1200dpiの場合、同様にして、レーザー素子LD1〜LD8すべてを点灯制御して画像を形成する。
【0052】
前述のように、各レーザービームは、ポリゴンミラー405によって偏向され、ポリゴンミラー405の回転駆動に応じて感光ドラム408を走査する。この際、図3(B)に示すように、一つの走査において、各レーザービームは、一定の間隔を保った状態(位置関係)において、感光ドラム408を走査する。
【0053】
図4は、図1に示す露光制御部22で用いられる制御装置22Aの一例を説明するためのブロック図である。制御装置22Aは、メモリ104、CPU(中央演算装置:光量設定手段)105を有している。CPU105は、例えば、メモリ104に格納された制御プログラムに応じて以下の各要素を制御する。制御装置22Aは、さらに画像処理装置114、PWM(パルス幅変調)信号生成部116、レーザー駆動回路103、及びポリゴンミラー制御回路(回転速度制御手段)102を有している。
【0054】
CPU105は、入力画像データに対して画像処理装置114に所定の画像処理を実行するように指示を送る。画像処理装置114はCPU105からの指示に基づいて、入力画像データに所定の画像処理を施し、処理後の画像データをPWM信号生成部116に出力する。
【0055】
CPU105はPWM信号生成部116に対して画像処理装置114から送信された画像データからスイッチSW108−1〜108−8をON/OFF制御するPWM信号を生成するように指示を送る。CPU105にはBDセンサー101が生成するBD検出信号が入力される。CPU105は、BDセンサーが生成するBD検出信号の生成タイミングに基づいてPWM信号生成部116がスイッチ108−1〜108−8に出力するPWM信号の出力タイミングを制御する。
【0056】
LD1〜LD8にはスイッチSW108−1〜108−8を介して電流源107−1〜107−8がそれぞれ接続されている。スイッチSW108−1〜108−8がONにされると電流源107−1〜107−8からLD1〜LD8に駆動電流が供給される。
【0057】
また、CPU105は、BD検出信号の生成周期が画像の倍率に応じた周期となるように、ポリゴンミラー制御回路102に対してポリゴンミラーの回転速度を制御するよう指示を送る。ポリゴンミラー制御回路102はCPU105からの指示に基づいてポリゴンモータ(図示せず)を駆動制御して、ポリゴンミラー405の回転速度を調整する。本実施の形態の画像形成装置は、転写材の表面に第1の倍率よりも大きい第2の倍率で画像を形成する場合、第2の倍率に対応する基準速度(第2の速度)でポリゴンミラーを回転させる。その際、ポリゴンミラー制御回路102は、BD検出信号の生成周期が基準速度に対応する周期(第2の周期)になるようにポリゴンミラー405の回転速度を制御する。また、転写材の裏面に第1の倍率で画像を形成する場合、ポリゴンミラー制御回路102は、ポリゴンミラー405の回転速度を基準速度よりも速い第1の速度(第1の倍率に対応する速度)に制御する。その際、ポリゴンミラー制御回路102は、BD検出信号の生成周期が基準速度に対応する第2の周期よりも短い第1の周期になるようにポリゴンミラーの回転速度を制御する。それによって裏面(第2面)に形成する画像のサイズを表面(第1面)に形成する画像のサイズよりも小さくする。
【0058】
なお、第2の倍率に対応する上記の第2の速度を基準速度とした。しかしながら、基準速度は上記第1の速度であっても良い。換言すれば、複数の画像の倍率のうちのいずれか1つが基準倍率であっても良い。例えば、普通紙の表面に画像を形成する場合の画像倍率を基準倍率(100%)とし、普通紙の裏面や特殊紙の裏面に画像を形成する場合の画像倍率を基準倍率から増減させる。ポリゴンミラー制御回路102は、形成する画像の倍率に応じてポリゴンミラー405の回転速度を制御する。
【0059】
次に、LD1〜LD8に供給される駆動電流の制御について説明する。CPU105はBD検出信号に同期してAPC回路106を動作させ、PWM信号に応じてレーザー素子LD1〜LD8が出射するレーザービームの光量の制御を行う。ここでは、CPU105は、非画像形成期間でAPCを実行する。図5に示すようにBD信号の1周期中に非画像形成期間と画像形成期間が存在する。画像形成期間は画像データに基づく静電潜像を感光ドラム上に形成する期間であり、非画像形成はBD信号の1周期中の画像形成期間以外の期間である。画像形成期間においては入力画像データに基づいて生成されるPWM信号に応じて、電流源107−1〜107−8からレーザー素子LD1〜LD8に駆動電流が供給されることによってレーザー素子LD1〜LD8が発光する。
【0060】
CPU105は、BD信号に同期して非画像形成区間においてLD1〜LD8がそれぞれ異なるタイミングで発光するようなPWM信号を生成するようにPWM信号生成部116を制御する。PWM信号生成部116からのPWM信号に応じてスイッチSW108−1〜108−8は異なるタイミングでON状態となり、ON状態のスイッチに対応するLDが発光する。PD109は各LD1〜8からのレーザービームを受光する。
【0061】
なお、図示のPD109は、レーザー素子LD1〜LD8から出射したレーザービームの光量を検出するためのものである。例えば、PD109は、感光ドラム408に向かうレーザービームに対してそのレーザービームとは反対方向に出射されるレーザービームを受光するように、半導体レーザー108に内蔵されている。また、面発光レーザー(VerticalCavity Surface Emitting LASER)の場合、感光ドラムに向かうレーザービームの光路上にハーフミラーを配置する。PD109はハーフミラーによって各レーザービームの一部を受光する位置に配置される。PD109は受光したレーザービームの光量に応じた電流値を表す光量検出信号を電流電圧変換器110に出力する。
【0062】
一方、LD1〜LD8それぞれのレーザービームを検出することによって生成される光量検出信号は、電流電圧変換器110において電圧信号(以下、「検出光量電圧値」とも呼ぶ)に変換されて、比較器111に出力される。比較器111にはセレクター113が接続されている。セレクター113は図示しないメモリを備えており、そのメモリには、目標値M1〜M8が記憶されている。これら目標値M1〜M8は、それぞれレーザー素子D1〜D8における光量の目標値を表す電圧値である目標値である。セレクター113は、レーザー素子LD1〜LD8に対応付けて目標値M1〜M8を選択する。つまり、CPU105からの指示に基づいて、セレクター113は、電流電圧変換器110からLD1からのレーザービームに対応した電圧信号が出力されるタイミングにおいて目標値M1を選択する。同様に、CPU105からの指示に基づいて、セレクター113は、電流電圧変換器110からLD2〜LD8それぞれのレーザービームに対応した電圧信号が出力されるタイミングにおいて目標値M2〜M8を選択する。そして、セレクター113はこれら目標値M1〜M8を比較器111に出力する。比較器111は目標値M1〜M8とレーザー素子D1〜D8に対応する電圧信号との電位を比較して、その電位差を比較結果としてAPC回路106に出力する。APC回路106は、BD検出信号と上記の比較結果に応じて、当該電位差が低減するように電流源107−1〜107−8からLD1〜LD8それぞれに供給する駆動電流の値を設定(制御)する。即ち、電圧信号の電圧値が目標値よりも低い場合はレーザービームの光量が目標光量よりも低いことを示しているため、目標光量でLDが発光するようにLDに供給する駆動電流の値を上げる。一方、電圧信号の電圧値が目標値よりも高い場合はレーザービームの光量が目標光量よりも高いことを示しているため、目標光量でLDが発光するようにLDに供給する駆動電流の値を下げる。
【0063】
設定された駆動電流は、PWM信号生成回路116からのPWM信号によってSW108−1〜108−8がONされた場合に各電流源107−1〜107−8から各レーザー素子LD1〜LD8に印加される。
【0064】
図5は、図4に示すレーザー素子LD1〜LD8の点灯タイミングを説明するための図である。
【0065】
図5に示すように、BD信号は一走査周期中において1回生成されるロウレベルの信号である。APC回路106は、BD信号に基づいて非画像形成期間においてレーザー素子LD1〜LD8を順番に発光・制御する(APCタイミング)。ここでは、APC回路106は、レーザー素子LD1〜LD8から出力されるレーザービームの光量が所定の値になるように、電流源107−1〜107−8から各LD1〜LD8に供給される駆動電流の値を制御する。一方、画像形成期間においては、画像データ(つまり、PWM信号)に基づいて、SW108−1〜SW108−8がオン・オフ制御されることによって非画像形成期間で制御された値の駆動電流がレーザー素子LD1〜LD8に供給され、発光する(画像データ発光)。
【0066】
図5に示すように、本実施の形態の画像形成装置は、BD検出信号を生成するためにLD8が出射したレーザービームがBDセンサー101に入射するようなタイミングでLD8を発光させる。また、このとき点灯されたレーザービームを受光したPD109からの出力に基づいて画像形成期間においてLD8に供給する駆動電流を制御する。その他のLD1〜LD7は、LD8が発光される前の同じ非画像形成期間において発光される。そして、上記のAPCを実行することによって後続する画像形成期間においてLD1〜LD7に供給する駆動電流の値を制御する。
【0067】
ところで、画像の倍率を補正する場合において、副走査方向画像の倍率(以下、「副走査倍率」と呼ぶ)の補正するためには、図4に示すポリゴンミラー制御回路102はポリゴンミラー405(図2)の回転速度を変更・制御する。例えば、副走査倍率を1%縮小する際には、ポリゴンミラー制御回路102はポリゴンミラー405の回転速度を1%速度アップさせる。一方、副走査倍率を1%拡大する際には、ポリゴンミラー制御回路102はポリゴンミラー405の回転速度を1%速度ダウンさせる。
【0068】
なお、図7に示すように、画像の倍率を補正する手段として感光ドラム制御部701を設け、感光ドラムの回転速度を制御することによって画像の倍率を制御するようにしてもよい。画像を基準倍率よりも高い倍率で形成する場合、CPU105は感光ドラムの回転速度を基準倍率に対応する回転速度よりも低くするように感光ドラム制御部701に指示する。一方、画像を基準倍率よりも低い倍率で形成する場合、CPU105は感光ドラムの回転速度を基準倍率に対応する回転速度よりも高くなるように感光ドラム制御部701に指示する。
【0069】
図6は、図4に示すポリゴンミラー制御回路102によってポリゴンミラー405の回転速度を変更した際のレーザースポットの移動を示す図である。図6は説明を簡易にするためにLD1とLD2のみのレーザー素子を用いた図であり、3つ以上のレーザー素子を備える画像形成装置にも同様の課題が生じる。図6を参照すると、いま、基準倍率で画像を形成する場合、ポリゴンミラー405(図2)の回転速度を基準回転速度(第1の速度)とする。そして、レーザー素子D1及びD2による感光ドラム上のレーザースポットをLD1及びLD2スポットとする。ポリゴンミラー405が基準回転速度で回転している場合、一走査目、二走査目、及び三走査目における感光ドラム上のLD1スポット及びLD2スポットの間隔が均一な間隔となる。一方、倍率を縮小すると(倍率縮小)、つまり、ポリゴンミラー405の回転速度を基準回転速度よりも上げると(ポリゴンミラー回転速度UP)、感光ドラムに形成される走査ライン(つまり、ポリコンミラーの反射面)間において、LD2スポットとLD1スポットとが一部重なり合っていることが分かる。また、倍率を拡大すると(倍率拡大)、つまり、ポリゴンミラー405の回転速度を基準回転速度よりも下げると(ポリゴンミラー回転速度Down)、感光ドラムに形成される走査ライン間において、LD2スポットとLD1スポットとの間に隙間が形成されることが分かる。このようにポリゴンミラー405の回転速度を基準速度から変化させると感光体上におけるLDスポットの間隔が不均一となる。LDスポット間隔不均一になると以下のような課題が生じる。
【0070】
図8は、図4に示すポリゴンミラー制御回路102による副走査倍率の補正によって副走査方向に画像サイズを縮めた際のレーザースポットの移動を示す図である。図9は、図8に示す画像サイズの補正前後の光量分布を示す図である。
【0071】
図8に示すように画像サイズを縮小するためにポリゴンミラー405の回転速度を基準速度よりも上げることによって、LD1のスポットと副走査方向においてそれに隣接するLD8のスポットとの間隔が、それ以外の隣接するLD同士の間隔よりも狭くなる。それによって、副走査方向において局所的に走査ライン間の間隔が狭まる領域が生じる。図9に示す点線部のように、この領域は積算光量が増大した部分である。このような光量むらが生じることによって感光ドラム上に形成される画像に濃度むらが生じる。
【0072】
感光ドラム上での上記光量むらの発生を抑制するために本実施例の画像形成装置は、感光ドラムに形成される複数の走査ラインのうち、感光ドラムの回転方向外側に位置する一方の走査ライン又は両方の走査ラインを形成するレーザービームの光量を下げる。ここでは、複数の走査ラインを形成するレーザービームのうち、その両端部に位置するレーザービームの光量を下げて、光量むらを補正する。
【0073】
図10は、図4に示すポリゴンミラー制御回路102による副走査方向に画像サイズを拡大する際のレーザースポットの結像位置を示す図である。図11は、図10に示す画像サイズの補正前後における光量分布を示す図である。
【0074】
図10に示すように、画像サイズを拡大するためにポリゴンミラーの回転速度を基準速度よりも下げた場合には、LD1のスポットと副走査方向においてそれに隣接するLD8のスポットとの間隔が、それ以外の隣接するLD同士の間隔よりも広がる。それによって、副走査方向において局所的に走査ライン間の間隔が広がる領域が生じる。この領域は図11に示す点線部のように積算光量が低下した領域である。このような光量むらが生じることによって感光ドラム上に形成される画像に濃度むらが生じる。
【0075】
感光ドラム上での上記光量むらの発生を抑制するために本実施の形態の画像形成装置は、画像サイズを拡大する際には、感光ドラムに形成される複数の走査ラインのうち、感光ドラムの回転方向外側に位置する一方の走査ライン又は両方の走査ラインを形成するレーザービームの光量を上げる。ここでは、複数の走査ラインを形成するレーザービームのうち、その両端部に位置するレーザービームの光量を上げることによって、光量むらを補正する。
【0076】
上記の目標値は、形成する画像の倍率それぞれに対応づけて記憶されている。即ち、セレクター113に備えられるメモリには第2の倍率に対応する目標値M1〜M8、第1の倍率に対応する目標値M1’〜M8’が記憶されている。セレクター113は、第2の倍率で画像が形成される場合には目標値M1〜M8を選択し、比較器111に出力する。また、セレクター113は、第1の倍率で画像が形成される場合には、目標値M1’〜M8’を選択し、比較器111に出力する。つまり、本実施の形態の画像形成装置は、第1の倍率で画像形成する場合と第2の倍率で画像形成する場合とで目標値を変更することによってレーザービームの光量を変更可能な構成を備える。
【0077】
例えば、セレクター113が備えるメモリには、以下の表1、表2のように第1の倍率と第2の倍率それぞれに対して目標値が設定された光量補正テーブルが記憶されている。セレクター113は、CPU105からの指示に基づいてこの光量補正テーブルから画像の倍率に応じた目標値を選択する。
【0078】
表1及び表2は、第2の倍率を基準倍率(100%)とした場合の光量補正テーブルを示している。表1は、第1の倍率(99%)が第2の倍率よりも小さい場合に用いる光量補正テーブルである。表2は、第1の倍率(101%)が第2の倍率よりも大きい場合に用いる光量補正テーブルである。CPU105は、倍率に応じた目標値をセレクター113に選択させる。なお、目標値はデジタル値(例えば、8bitのデジタル値)として保持されており、基準倍率に対応する目標値を200とする。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
図12A、図12B、図12Cは、それぞれCPU105が実行する制御フローである。本制御は、画像データが入力されたことに応じて起動する。図12Aにおいて、CPU105は、入力された画像データに基づいて形成する画像の倍率を特定する(ステップS1201)。次に、CPU105はステップS1201で特定された画像の倍率が基準倍率より大きいかを判定する(ステップS1202)。画像の倍率が基準倍率よりも大きい場合、CPU105は制御を後述する図12BのステップS1208に進める。ステップS1202において画像の倍率が基準倍率よりも大きくないと判定された場合、CPU105は、画像の倍率が基準倍率よりも小さいかを判定する(ステップS1203)。ステップS1203において画像の倍率が基準倍率よりも小さいと判定された場合、CPU105は、CPU105は制御を後述する図12CのステップS1211に進める。
【0082】
ステップS1203の後、CPU105はポリゴンミラーを基準倍率に対応する回転速度に制御し(ステップS1204)、光源の光量を基準倍率に対応する光量に制御する(ステップS1205)(光源制御)。その後、CPU105は、画像形成を実行(ステップS1206)した後、次の記録媒体に対応する画像を形成するか否かを判定する(ステップS1207)。ステップS1207において次の記録媒体に画像を形成すると判定された場合、CPU105は制御をステップS1201に戻す。ステップS1207において次の記録媒体に画像を形成しないと判定された場合、CPU105は制御を終了させる。
【0083】
ステップS1202において画像の倍率が基準倍率よりも大きいと判定された場合、CPU105は、ポリゴンミラーをステップS1201で特定した画像倍率に対応する回転速度(<基準速度)に制御し(ステップS1208)、光源の光量をステップS1201で特定した画像倍率に対応する光量に制御する(ステップS1209)。特に、複数のLDを備える画像形成装置において、CPU105は感光ドラム上の走査ラインの両端を移動する光ビームの光量の少なくとも一方を上げる制御を実行する。その後、CPU105は画像形成を実行(ステップS1210)し、制御をステップS1207に戻す。
【0084】
ステップS1203において画像の倍率が基準倍率よりも小さいと判定された場合、CPU105は、ポリゴンミラーをステップS1201で特定した画像倍率に対応する回転速度(>基準速度)に制御し(ステップS1211)、光源の光量をステップS1201で特定した画像倍率に対応する光量に制御する(ステップS1212)。特に、複数のLDを備える画像形成装置において、CPU105は感光ドラム上の走査ラインの両端を移動する光ビームの光量の少なくとも一方を下げる制御を実行する。その後、CPU105は画像形成を実行(ステップS1213)し、制御をステップS1207に戻す。
【0085】
このように、第1の倍率で画像を形成する場合と第2の倍率で画像形成する場合とでAPCを行う際のLD1とLD8の目標値を変える。それによって、双方の場合間で画像形成期間でのLD1とLD8の光量が異なるようになる。結果として、図9及び図11に示すように感光ドラム上における光量分布の不均一性を抑制することができる。
【0086】
次に、第2の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。第2の実施の形態に係る画像形成装置の構成要素は、第1の実施の形態に係る画像形成装置のそれらと同じであるので、同じ符号で示しその説明を省略する。
【0087】
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の露光制御部22で用いられる制御装置のブロック図である。図13に示す制御装置は、第1の実施の形態の光量補正と同様の光量補正を行う際に用いられる。
【0088】
図13に示す制御装置は、図4に示す制御装置22Aとその構成が異なるので、ここでは参照番号22Bを付す。また、制御装置22Bにおいて、図4で説明した制御装置22Aと同一の構成要素については同一の参照番号を付し、説明を省略する。
【0089】
制御装置22Bは、メモリ104、CPU(中央演算装置:光量設定手段)105、及び演算器112を有している。CPU105は、例えば、メモリ104に格納されたプログラムに応じて動作する。図示の例では、CPU105は、画像倍率に応じてポリゴンミラー制御回路102に回転数の指示を示す回転数指示信号を与える。また、CPU105は、演算器112に対して光量比率を示す光量比率信号を与える。図示の例では、CPU105は、レーザー素子LD1〜LD8に対応付けてそれぞれ第1〜第8の光量比率信号を出力する。図4に関連して説明したように、レーザー駆動回路103はBD信号に同期して動作する。そして、レーザー駆動回路103は、非画像形成期間においてAPCを行い、画像形成期間においては画像データに応じてレーザー素子LD1〜LD8の発光制御を行う。
【0090】
APCにおいては、前述したように、レーザー駆動回路103は、レーザービームの各々においてその発光光量が所定の値になるように電流源107−1〜107−8の出力電流を制御する。図5に関連して説明したように、電流電圧変換器110は、PD109で検出された検出光量を示す検出光量電圧値を比較器111に与える。ここでは、レーザー素子LD1〜LD8に対応して第1〜第8の検出光量電圧値が電流電圧変換器110から出力されることになる。
【0091】
第1の実施の形態の画像形成装置と異なる点は、セレクター113と比較器111との間に演算器112が備えられている点である。演算器112には、倍率に応じてセレクター113から目標値M1〜M8又はM1’〜M8’が送信される。例えば、CPU105は、レーザー素子LD1〜LD8毎に前述の第1〜第8の光量比率信号を出力する。セレクター113は第1〜第8の光量比率信号に応じて目標値M1〜M8のいずれかを選択的に出力する。つまり、第1の光量比率信号を受けると、セレクター113は目標値M1を選択して、演算器112に与えることになる。演算器112は、第1〜第8の光量比率信号が示す第1及び第8の光量比率と目標値M1〜M8とをそれぞれ乗算して、第1〜第8の乗算積を示す第1〜第8の乗算積信号を出力する。そして、これら第1〜第8の積算信号は比較器111に与えられる。比較器111は、第1〜第8の検出光量電圧値と第1〜第8の乗算積とをそれぞれ比較して、第1〜第8の比較結果をAPC回路106に与える。
【0092】
APC回路106は第1〜第8の比較結果に基づいて、PD109の出力(つまり、第1〜第8の検出光量)がそれぞれ第1〜第8の乗算積と一致するように、電流源107−1〜107−8の出力電流を制御する。つまり、APC回路106は、第1〜第8の比較結果に応じてレーザー素子LD1〜LD8の発光光量を制御することになる。この結果、レーザー素子LD1〜LD8におけるレーザービームの光量が、それぞれ目標値M1〜M8に調整した後、第1〜第8の光量比率に応じて、レーザパワーが設定されることになる。なお、レーザー素子LD1〜LD8の目標光量M1〜M8は、それぞれ工場における調整の際、感光ドラム408(図2)上の照射光量が所望の値となるように調整される。
【0093】
ところで、レーザービームの各々に関して、光学系を介して感光ドラム408上に照射される際、その伝達効率が異なる。このため、レーザーチップ面上における発光光量に対する感光ドラム408上における照射光量の割合が異なる。よって、工場における調整の際には、レーザー素子LD1〜LD8を個別に点灯して、感光ドラム408上におけるレーザービームの照射位置において光量測定を行う。そして、各レーザービームの光量が所望の値となるように目標値M1〜M8を設定するようにする。
【0094】
また、工場における組み立ての際には、各部品のばらつきに起因する取り付け公差によって、副走査方向におけるビームピッチ間隔が理想の位置からばらついてしまう。よって、図示の例では、組み立て後のビームピッチ間隔に応じて、光量制御を行う。例えば、メモリ104にビームピッチ間隔を示すビームピッチデータを予め格納する。この際、ビームピッチ間隔を、工場における組み立て調整後に測定する。測定の際には、LD1レーザー素子〜LD8を発光状態として露光・走査を行う。そして、各走査光(レーザービーム)をCCD(Charge Coupled Device)カメラでモニタして、走査位置を測定する。そして、副走査方向に配列されたレーザービームのうち、操作ラインの両端部に対応するレーザービーム間の距離をメモリ104に格納する。
【0095】
前述のように、CPU105は、ポリゴンミラー405(図2)の回転速度の設定を行うとともに、レーザー素子LD1〜LD8の目標光量M1〜M8を設定する。この際、CPU105は、ポリゴンミラー405の回転速度とメモリ104より読み出したビームピッチデータとに基づいて、一つの走査の最終走査ラインと次の走査の最初の走査ラインとの間隔(つまり、走査間ライン間隔)を算出する。そして、CPU105は走査間ライン間隔に応じて走査間の境界部におけるレーザパワーの設定を行う。つまり、ポリゴンミラーの回転速度を基準速度と異なる速度で回転させる場合、CPU105は、レーザー素子LD1の目標光量M1で画像を形成せず、光量Mcor1で画像を形成する。同様に、ポリゴンミラーの回転速度を基準速度と異なる速度で回転させる場合、CPU105は、レーザー素子LD8の目標光量M1で画像を形成せず、光量Mcor8で画像を形成する。
【0096】
図14は、図13に示す制御装置22Bにおいて、画像倍率に応じた光量補正(画像倍率補正)を行う際の倍率補正処理のフローチャートである。画像倍率補正が開始されると、CPU105は、副走査方向における倍率の変更割合に応じて、ポリゴンミラー405(図2)の回転速度を変更する(ステップS1402)。続いて、CPU105はメモリ104からレーザービーム間における副走査ピッチ情報(ビームピッチデータ)を読み出す(ステップS1403)。前述のように、副走査ピッチ情報は、感光ドラム408(図2)上に照射されるレーザービームの副走査方向におけるビーム間距離である。この副走査ピッチ情報は、工場における調整の後に測定され、メモリ104に格納される。
【0097】
CPU105は、ポリゴンミラー405の回転速度とビームピッチデータに応じて、走査間における副走査方向の走査ラインの間隔(つまり、走査間ライン間隔(ピッチ))を、下記の式(1)及び(2)によって演算する(ステップS1404)。
【0098】
走査間ライン間隔の変動量=(理想ピッチ×ビーム数)×倍率変更割合−(ビーム間ピッチ×ビーム数) ・・・(1)
走査間ライン間隔=理想ピッチ−走査間ライン間隔の変動量 ・・・(2)
ここで、理想ピッチとは、部品のばらつき等によるピッチ間隔のばらつきがないとした仮定した場合の各レーザービームの間隔をいう。
【0099】
次に、CPU105は、上記の走査間ライン間隔とビーム間ピッチとの比を求めて、式(3)に応じて、走査間の境界におけるレーザービームの光量比率(第1〜第8の光量比率)を算出する(ステップS1405)。
【0100】
光量比率(ビーム間ピッチ変動率)
=走査間ライン間隔÷ビーム間ピッチ ・・・(3)
そして、CPU105は上述のようにして求めた光量比率を設定する(ステップS1406)。これによって、CPU105は、光量比率に応じて走査間におけるレーザービームの光量を設定して、走査間におけるレーザービームの光量を制御する。なお、複数の走査ラインを形成するレーザービームのうち、その両端部に位置するレーザービームとは、副走査方向(つまり、感光ドラムの回転方向)に並ぶ複数のレーザービームのうち、回転方向の両端部に位置するレーザービームに相当する。端部に位置するレーザービームの光量比率を変化させる際には、レーザービーム毎の光量の差が大きいと、光量の高いレーザービームで形成したドットと、光量の低いレーザービームで形成したドットとにおいて、そのドットの濃度が大きく異なってしまう。
【0101】
このため、特に、所謂孤立ドット形成時においては、各ドットの濃度の違いが目立ちやすくなる。また、光量差のある複数のレーザービームで一つのドットを形成した場合、ドットの重心位置は光量の強いレーザービームの露光位置の方向に移動してしまう。この結果、ドットの位置がずれてしまうことになる。そこで、図示の例においては、両端部に位置するレーザービームの光量を等しい量で変化させる。これにより、一方の端部に位置するレーザービームのみについて光量を変化させる場合と比べて、レーザービームの光量の変化量を小さくしている。さらに、図示の例においては、両端部に位置するレーザービームうち2つのレーザービームに対して光量制御を行う例について説明したが、両端部に位置するレーザービームのうち2つ以上のレーザービームに対して光量制御を行うようにしてもよい。
【0102】
このように、上述の例においては、倍率の変更に対して走査間におけるレーザービームの光量の制御を行う。ここでは、ポリゴンミラーの速度制御によって倍率変更を行う際、走査間における走査ラインの間隔(つまり、走査間ライン間隔)変動に起因する濃度むらを低減することができる。さらに、工場における組み立ての際に設定された副走査方向のビームピッチ間隔に応じて、各レーザービームの光量を制御する。これによって、露光制御部22毎の副走査方向ビームピッチ間隔のばらつきに起因する濃度むらも、低減することができる。また、上記の例では、両端部に位置するレーザービームの光量を等しく変化させて、光量制御を行う。これによって、レーザービーム毎に設定される光量ついて、レーザービーム間の差が最も小さくなるように光量設定が行われるため、各ドットの濃度変動及び重心位置変動を最小とすることができる。
【0103】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の露光制御装置の変形例について説明する。この変形例においては、両面印刷の際、記録紙の表面及び裏面において画像倍率を変化させるととともに、表面及び裏面における濃度差の発生を防止する。なお、露光制御装置の変形例で用いられる制御装置の構成は図13に示す制御装置22Bの構成と同様であるか、CPU105の動作が異なる。
【0104】
図15は、図2に示す露光制御装置22によって露光した際、両面印刷において倍率補正前後における記録紙のレーザースポットを示す図である。また、図16は、倍率補正を行う際にレーザースポットのピッチを均一に狭めた場合と走査間おけるレーザービームスポットのピッチのみを狭めた場合とにおける場合の光量分布を示す図である。
【0105】
図15及び図16を参照すると、ここでは、複数のレーザービーム(つまり、レーザー素子LD1〜LD8)を用いて感光ドラム408を露光・走査する。この際、2面目(裏面)の画像を伸縮させるため、ポリゴンミラー405の回転速度を制御して記録紙の表面に関して裏面の画像倍率を補正する。この場合、つまり、ポリゴンミラー405の回転速度を制御すると、走査間におけるレーザービームの間隔は狭まることになる。一方、レーザービーム間のピッチは固定状態であるため変化しない。この結果、走査間の境界部及び境界以外の領域間で、1レーザービームを用いた走査によって均等に倍率変更を行った場合に比べて濃度差が生じることになる。両面印刷の際に、第1の例で説明したように、倍率変更の場合に、走査間の境界付近の光量のみを変更すると、光量が平滑化されることによって濃度むらは低減される。一方、画像全体の濃度については、記録紙の表面と裏面とで合わなくなってしまう。
【0106】
変形例においては、記録紙の裏面印刷の際に、ポリゴンミラー405の回転速度の変化に応じて、走査間の境界付近におけるレーザービームの光量を制御して、濃度むらを低減する。さらに、記録紙の裏面における画像全体の濃度が表面と等しくなるように、走査間の境界付近以外におけるレーザービームの光量も制御する。以下の説明においては、前述の第1の列と異なる構成部分について主に説明することにする。変形例においては、走査間におけるレーザービームの間隔変動に対して、両端部に位置するレーザービームの光量を制御するとともに、両端部以外に位置するレーザービームの光量も制御する。これによって、全てのレーザービームの光量を合計した合計光量が、記録紙の表面と裏面とで一定となるようにする。
【0107】
図17は、図13に示す制御装置において、画像倍率に応じた光量補正(画像倍率補正)を行う際の倍率補正処理のフローチャートである。
【0108】
図17を参照すると、画像倍率補正が開始されと、CPU105は、副走査方向における倍率の変更割合に応じて、ポリゴンミラー405(図2)の回転速度を変更する(ステップS1702)。続いて、CPU105はメモリ104からレーザービーム間における副走査ピッチ情報(ビームピッチデータ)を読み出す(ビームピッチ情報読み出し:ステップS1703)。CPU105は、前述の式(1)及び(2)によって走査間の間隔を算出する(ステップS1704)。そして、CPU105は、前述の式(3)に応じて走査間の境界におけるレーザービームの光量比率を算出する(ステップS1705)。
【0109】
続いて、CPU105は、光量の設定がオン(ON)であるか否かを判定する(ステップS1706)。光量の設定がオンであると(ステップS1706において、YES)、CPU105は上述のようにして求めた光量比率を設定する(ステップS1707)。そして、CPU105は、光量比率に応じて走査間のレーザービームの光量を設定して、走査間のレーザービームの光量を制御して、画像形成を開始する。一方、光量の設定がオフであると(ステップS1706において、NO)、CPU105は全てのレーザービームに対して一定の値を設定する(ステップS1708)。そして、CPU105は画像形成を開始する。
【0110】
ところで、前述したように、CPU105は、式(1)〜(3)を用いて端部に位置するレーザービームの光量について光量比率の算出を行う。そして、CPU105はこの光量比率を満たしつつ、前述の合計光量が倍率補正前後において一定となるように、端部に位置するレーザービーム及び端部以外のレーザービームの光量を設定する。例えば、CPU105は、下記の式(4)に基づいて、光量変化率を求め、さらに、式(5)及び(6)に基づいて、それぞれ端部ビームの光量及び端部以外のビーム光量を求める。
【0111】
光量変化率=1+{(端部ビーム光量設定比率−1)
×(端部ビーム数/全ビーム数)} ・・・(4)
端部のビーム光量=初期光量×端部ビーム光量設定比率/光量変化率 ・・・(5)
端部以外のビーム光量=初期光量/光量変化率 ・・・(6)
前述の式(1)〜(3)で得られた端部ビーム設定光量比率によって端部ビーム光量を設定すると、端部のレーザービームの光量が変化する。これによって、全てのレーザービームの合計光量が変化する。上記の式(4)は、合計光量の変化率を表している。端部のレーザービームの光量比率と端部のレーザービームの数との積によって、合計光量の変動量が得られる。また、全てのレーザービームの数で合計光量を除算すると、全てのレーザービームの数で平均化した際の光量変化率が得られる。
【0112】
端部のビーム光量は式(5)から得られ、記録紙の表面の設定光量(初期光量)に対して、端部のレーザービームの光量比率を積算した値を、光量変化率で除算した値を光量値とする。端部以外のビーム光量は式(6)から得られ、記録紙の表面の設定光量(初期光量)を、光量変化率で除算した値を端部以外のビーム光量とする。
【0113】
上述のようにして、両面印刷の際に、記録紙の裏面に関して、CPU105は端部のビーム光量と端部以外のビーム光量とを設定する。このようにして、ビーム光量を設定すると、全ての全レーザービームの合計光量が記録紙の表面と裏面とで等しい値で設定される。
【0114】
記録紙の裏面における倍率縮小の際には、CPU105は、両端部のビーム光量を下げ、両端部以外のビーム光量を上げるように、各レーザービームの光量を設定する。つまり、記録紙の裏面における倍率縮小の際には、CPU105は、両端部のビーム光量を所定の基準光量よりも下げ、両端部以外のビーム光量を所定の基準光量よりも上げるようにする。また、記録紙の裏面における倍率拡大の際には、CPU105は両端部のビーム光量を上げ、端部以外のビーム光量を下げるように、各レーザービームの光量を設定する。つまり、記録紙の裏面における倍率拡大の際には、CPU105は、両端部のビーム光量を所定の基準光量よりも上げ、両端部以外のビーム光量を所定の基準光量よりも下げるようにする。いずれの場合においても、全手のレーザービームの合計光量が、記録紙の表面と裏面とおいて一定となるように、前述のようにして、両端部のビーム光量及び両端部以外のビーム光量を設定する。これによって、記録紙の表面と裏面とにおいて等しい濃度で画像形成を行うことができることが確認できた。
【0115】
図18は、図13に示す制御装置22Bにおいて、複数のレーザー素子LD1〜LD8の各々について段階的に光量補正を行った際のレーザースポットを示す図である。また、図19は、図18に示す光量補正を行った際の光量分布を示す図である。
【0116】
図18及び図19を参照すると、図示の例では、CPU105は、副走査方向に連続する画素に関してその積算光量が滑らかになるように複数のレーザービーム(つまり、レーザー素子LD1〜LD8)について段階的にその光量を設定する。複数のレーザースポットが互いに重なり合うように露光・走査する際に、複数のレーザービームに関して段階的に光量補正を行うと、光量補正が滑らかとなる。この結果、画像形成の際に、濃度むらをさらに低減することが可能となる。
【0117】
このように、第2の実施の形態においては、全てのレーザービームの合計光量が所定の値(光量)となるように、端部以外のレーザービームについても光量の制御を行う。これによって、両面印刷の際に、記録紙の表面と裏面との濃度を一定に保つことが可能となる。また、各レーザースポットが重なり合うように、露光・走査する場合においては、段階的に光量設定(光量補正)を行うようにすれば、画像形成に当たって濃度むらを低減することができる。
【0118】
ここで、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。第3の実施の形態に係る画像形成装置は、露光制御装置が第1及び第2の実施の形態と相違する。第3の実施の形態に係る画像形成装置のその他の構成要素は、第1の実施の形態に係る画像形成装置のそれらと同じであるので、同じ符号で示しその説明を省略する。第3の実施の形態においては、倍率変更と同時に光量補正を行った際に特定の画像パターンにおいて発生する画像不良を防ぐようにしている。このため、第3の実施の形態による露光制御装置は、画像パターンに応じて光量補正をオン・オフ制御する構成を有している。前述の第1及び第2の実施の形態においては、光量補正の際に、特定の周波数成分の画像に関して、画像不良を発生する。画像不良を発生する周波数成分は次の式(7)で表される。なお、ここでは、特定の周波数成分の画像を特定の画像パターンとする。
【0119】
空間周波数A=n×ビーム数×ビームピッチ間隔÷2 ・・・(7)
なお、n=奇数である。
【0120】
前述したように、レーザー素子LD1〜LD8から出力されるレーザービームにおいて、端部に位置するレーザービームと中央部に位置するレーザービームとは、そのビーム光量が異なる。従って、1走査で形成される全走査ラインの繰り返しの半周期間隔で、レーザービームの光量は異なる値に設定される。1走査周期で繰り返し形成される画像の場合は、常に同一の光量のレーザービームによって露光される。よって、濃度むらは発生しない。一方、半周期間隔の奇数倍周期で繰り返される画像に関しては、各ドットを描画するレーザービームの光量は、副走査方向に交互に強弱を繰り返すことになる。
【0121】
式(7)においては、1走査によって形成される全走査ラインの繰り返しの半周期間隔について、奇数倍した空間周波数Aを算出する。式(7)で示す空間周波数Aを有する画像データ(画像パターン)については、光量の高いレーザービームで形成されるドットと、光量の低いレーザービームで形成されるドットとが交互に形成される関係上、不可避的に濃度むらが発生する。
【0122】
図20は、第3の実施の形態に係る画像形成装置の露光制御部22で用いられる制御装置のブロック図である。
【0123】
図20に示す制御装置は、図13に示す第2の実施の形態に係る画像形成装置の露光制御部22の制御装置22Bとその構成が異なるので、ここでは参照番号22Cを付す。また、制御装置22Cにおいて、図13で説明した制御装置22Bと同一の構成要素については同一の参照番号を付し、説明を省略する。
【0124】
制御装置22Cにおいては、CPU105と画像処理装置114とが接続されている。ここでは、画像処理装置114は副走査方向の画像パターンに応じて光量補正を行うための光量補正信号(オン・オフ信号)を出力する。そして、この光量補正信号はCPU105に与えられる。CPU105は、光量補正信号がオンであると、画像倍率に応じて各レーザービーム、つまり、レーザー素子LD1〜LD8の光量設定を行う。また、光量補正信号がオフであると、CPU105は、全てのレーザービームにおける光量が一定となるように、レーザー素子LD1〜LD8に与える駆動電流を制御する。図示の画像処理装置114(画像分離手段)は、ページ毎に画像データを格納するメモリ(図示せず)を有している。そして、画像処理装置114は、例えば、当該メモリに格納された画像データについて副走査方向にFFT(高速フーリエ変換)処理を行って、副走査方向の周波数成分を求める。
【0125】
図21(A)〜(C)は、図20に示す画像処理装置114で実行されたFFT処理の結果の例を示す図である。ここで、図21(A)は、空間周波数Aが所定の閾値以下である場合のFFT処理の結果の例を示す図であり、図21(B)は、空間周波数Aが所定の閾値を超える場合のFFT処理の結果の例を示す図である。また、図21(C)は、複数の閾値を設定した場合を示す図である。
【0126】
図21(A)に示すように、FFT処理によって得られた周波数成分のうち、空間周波数Aの強度(ピーク強度)が所定の閾値K以下であると、画像処理装置114はオンを示す光量補正信号を出力する。この場合、CPU105は光量補正をオンとする。一方、図21(B)に示すように、FFT処理によって得られた周波数成分のうち、空間周波数Aの強度(ピーク強度)が所定の閾値Kを超えていると、画像処理装置114はオフを示す光量補正信号を出力する。この場合、CPU105は光量補正をオフとする。
【0127】
このようにして、空間周波数Aのピーク強度が所定の閾値Kを超えているか否かに応じて、メモリに格納された画像データ(特定画像データ)について、CPU105は光量補正を行うか否かを決定する。そして、画像不良が発生する特定の画像パターンについて、CPU105は光量補正制御をオフして、光量補正に起因する画像不良の発生を防止する。なお、上記の閾値Kは、前述の式(7)から得られる空間周波数(周波数成分)について個別に設定するようにしてもよい。例えば、図21(C)に示すように、空間周波数のうち視覚感度の高い周波数成分に対しては、閾値を低く設定して閾値K2とする。つまり、視覚感度の高い周波数成分については、閾値K2を設定し、視覚感度の低い周波数成分については、閾値K2よりも高い閾値K1を設定する。視覚感度の高い周波数成分においては、所謂光量むらが目立ちやすい。このため、閾値を低く設定するようにすれば、特に、画像不良が目立ちやすい画像パターンを容易に抽出することができ、光量補正に起因する画像不良を確実に防止することができる。
【0128】
以上のように、本発明の実施の形態による画像形成装置では、両面印刷の際に、倍率変更に合わせて両端部に位置するレーザービームばかりでなく端部以外のレーザービームの光量も制御する。これによって、記録紙の表面と裏面との濃度を等しくするようにして、表面と裏面との画像濃度の相違を補正している。
【0129】
さらに、本発明の実施の形態による画像形成装置では、両面印刷時の際に、全てのレーザービームの合計光量が、記録紙の表面と裏面とにおいて一定となるように、レーザービームの光量設定を行う。これによって、記録紙の表面と裏面とにおける画像濃度を等しくしている。また、本発明の実施の形態による画像形成装置では、両端部のレーザービームと両端部以外のレーザービームとが周期的に交互点灯する画像パターン(特定の画像パターン)について、光量制御をオフするようにしている。これによって、両端部のレーザービームと両端部以外のビームビームについてその光量が一定となるように制御して、光量制御に起因する濃度むらを防止している。
【0130】
加えて、本発明の実施の形態による画像形成装置では、両端部のレーザービームと両端部以外のレーザービームが周期的に交互点灯する画像パターン(特定の画像パターン)について個別に閾値を個別に設定する。例えば、視覚的に目立ちやすい周波数成分を有する画像パターンについては、閾値を高くすることによって、濃度むらが視覚的に目立ちやすい周波数成分を有するそのような画像パターンについては光量制御をオフして、濃度むらを防ぐようにしている。
【0131】
なお、上述の説明から明らかなように、ポリゴンミラー制御回路102が回転速度制御手段として機能し、CPU105及びレーザー駆動回路103が光量制御手段として機能する。そして、上述の例では、感光ドラムの回転方向(副走査方向)の両端部に位置する走査ラインを形成するレーザービームの光量を補正する例について説明したが、副走査方向の一方の端部に位置する走査ラインを形成するレーザービームの光量を補正するようにしても、同様にして光量むらを補正することができる。
【0132】
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0133】
例えば、上述の実施の形態の機能を画像形成方法として、この画像形成方法が有する回転速度制御ステップ及び光量制御ステップ等をマイクロコンピュータ等のCPU105に実行させるようにしてもよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを画像形成プログラムとして、マイクロプロセッサー等のコンピュータ(例えば、CPU105)に実行させるようにしてもよい。
【0134】
さらには、この画像形成プログラムが格納された記録媒体から、画像形成プログラムをマイクロプロセッサー等のコンピュータ(例えば、CPU105)に読み込ませて、当該プログラムを実行させても、同様の効果を実現することができる。
【0135】
そして、この画像形成プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリが用いられる。また、画像形成プログラムを供給する際には、コンピュータネットワーク上のサーバに当該プログラムを記憶し、クライアントコンピュータがこのプログラムをダウンロードするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0136】
101 BDセンサー
102 ポリゴンミラー制御回路
103 レーザー駆動回路
104 メモリ
105 CPU
106 APC回路
114 画像処理装置
116 PWM信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する感光体上に形成される静電潜像をトナーによって現像することによってトナー像を形成する画像形成装置であって、
前記感光体上に前記静電潜像を形成するための光ビームを出射する光源と、
前記光ビームが前記感光体上を所定の方向に移動するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、
前記トナー像を第1の倍率又は前記第1の倍率よりも大きい第2の倍率で形成するために、前記第1の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記回転多面鏡の回転速度が前記第2の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記回転多面鏡の回転速度よりも高くなるように前記回転多面鏡の回転速度を制御する速度制御手段と、
前記第1の倍率のトナー像を形成する場合の前記光ビームの光量が前記第2の倍率のトナー像を形成する場合の前記光ビームの光量よりも低くなるように前記光源を制御する光源制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記感光体上の前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写されたトナー像を前記記録媒体に加熱定着する定着手段と、
前記定着手段によって第1面に前記トナー像が定着された前記記録媒体の前記第1面の裏面である第2面に前記第1面に定着されたトナー像とは別のトナー像を形成するために、前記定着手段を通過した記録媒体の前記第1面と前記第2面とを反転させて再度転写手段に搬送する搬送手段と、をさらに備え、
前記速度制御手段は、前記第1面上のトナー像が前記第2の倍率で形成され、前記第2面上のトナー像が前記第1の倍率で形成されるように、前記回転多面鏡の回転速度を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記光源制御手段は、前記第1の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記光ビームの光量と前記第2の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記光ビームとの光量とを、前記第1の倍率と前記第2の倍率との差に応じて制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
回転する感光体上に形成される静電潜像をトナーによって現像することによってトナー像を形成する画像形成装置であって、
前記感光体上に前記静電潜像を形成するための光ビームを出射する光源と、
前記光ビームが前記感光体上を所定の方向に移動するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、
前記光源を制御する光源制御手段と、を有し、
前記光源は前記光ビームを出射する複数の発光点を備え、前記複数の発光点は前記回転多面鏡によって偏向された前記複数の発光点からの複数の前記光ビームが前記感光体の回転方向において前記感光体上の異なる位置を照射するように配列され、
前記光源制御手段は、前記回転多面鏡が第1の速度で回転している場合の前記複数の光ビームのうちの前記感光体の回転方向において外側を移動する一方あるいは両方の光ビームの光量が、前記回転多面鏡が前記第1の速度よりも低い第2の速度で回転している場合の光量よりも低くなるように前記光源を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー像を第1の倍率で形成するために前記回転多面鏡の回転速度を前記第1の速度に制御し、前記トナー像を前記第1の倍率よりも大きい第2の倍率で形成するために前記回転多面鏡の回転速度を前記第2の速度に制御する速度制御手段を、さらに有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体上の前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写されたトナー像を前記記録媒体に加熱定着する定着手段と、
前記定着手段によって第1面に前記トナー像が定着された前記記録媒体の前記第1面の裏面である第2面に前記第1面に定着されたトナー像とは別のトナー像を形成するために、前記定着手段を通過した記録媒体の前記第1面と前記第2面とを反転させて再度転写手段に搬送する搬送手段と、をさらに備え、
前記速度制御手段は、前記第1面に前記トナー像を形成する場合、前記回転多面鏡の回転速度を前記第2の速度に制御し、前記第2面に前記トナー像を形成する場合、前記回転多面鏡の回転速度を前記第1の速度に制御することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記光源制御手段は、前記第1の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記光ビームの光量と前記第2の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記光ビームとの光量とを、前記第1の倍率と前記第2の倍率との差に応じて制御することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
回転する感光体上に形成される静電潜像をトナーによって現像することによってトナー像を形成する画像形成装置であって、
前記感光体上に前記静電潜像を形成するための光ビームを出射する光源と、
前記トナー像を第1の倍率又は前記第1の倍率よりも大きい第2の倍率で形成するために、前記第1の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記感光体の回転速度が前記第2の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記感光体の回転速度よりも高くなるように前記感光体の回転速度を制御する速度制御手段と、
前記第1の倍率のトナー像を形成する場合の前記光ビームの光量が前記第2の倍率のトナー像を形成する際の前記光ビームの光量よりも低くなるように前記光源を制御する光源制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記感光体上の前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写されたトナー像を前記記録媒体に加熱定着する定着手段と、
前記定着手段によって第1面に前記トナー像が定着された前記記録媒体の前記第1面の裏面である第2面に前記第1面に定着されたトナー像とは別のトナー像を形成するために、前記定着手段を通過した記録媒体の前記第1面と前記第2面とを反転させて再度転写手段に搬送する搬送手段と、をさらに備え、
前記速度制御手段は、前記第1面上のトナー像が前記第2の倍率で形成され、前記第2面上のトナー像が前記第1の倍率で形成されるように、前記感光体の回転速度を制御することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記光源制御手段は、前記第1の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記光ビームの光量と前記第2の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記光ビームとの光量とを、前記第1の倍率と前記第2の倍率との差に応じて制御することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項11】
回転する感光体上に形成される静電潜像をトナーによって現像することによってトナー像を形成する画像形成装置であって、
前記感光体上に前記静電潜像を形成するための光ビームを出射する光源と、
前記光ビームが前記感光体上を所定の方向に移動するように前記光ビームを偏向する回転多面鏡と、
前記トナー像を第1の倍率又は前記第1の倍率よりも大きい第2の倍率で形成するために、前記第1の倍率で前記トナー像を形成する場合に前記感光体の回転速度を第1の速度に制御し、前記第2の倍率で前記トナー像を形成する場合に前記感光体の回転速度を前記第1の速度よりも低い第2の速度に制御する速度制御手段と、
前記光源を制御する光源制御手段と、を備え、
前記光源は前記光ビームを出射する複数の発光点を備え、前記複数の発光点は、前記回転多面鏡によって偏向された前記複数の発光点からの複数の前記光ビームが前記感光体の回転方向において前記感光体上の異なる位置を照射するように配列され、
前記光源制御手段は、前記感光体が前記第1の速度に制御されている場合の前記複数の光ビームのうちの前記感光体の回転方向において外側を移動する一方あるいは両方の光ビームの光量が、前記感光体が前記第2の速度に制御されている場合の光量よりも低くなるように、前記光源を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記静電潜像をトナーによって現像する現像手段と、
前記感光体上の前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写されたトナー像を前記記録媒体に加熱定着する定着手段と、
前記定着手段によって第1面に前記トナー像が定着された前記記録媒体の前記第1面の裏面である第2面に前記第1面に定着されたトナー像とは別のトナー像を形成するために、前記定着手段を通過した記録媒体の前記第1面と前記第2面とを反転させて再度転写手段に搬送する搬送手段と、をさらに備え、
前記速度制御手段は、前記第1面にトナー像を形成する場合、前記感光体の回転速度を前記第2の速度に制御し、前記第2面にトナー像を形成する場合、前記感光体の回転速度を前記第1の速度に制御することを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記光源制御手段は、前記第1の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記光ビームの光量と前記第2の倍率で前記トナー像を形成する場合の前記光ビームとの光量とを、前記第1の倍率と前記第2の倍率の差に応じて制御することを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−14162(P2012−14162A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119162(P2011−119162)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】