説明

画像形成装置

【課題】装置に変形が生じることなく、ベルト部材の交換を含む装置のメンテナンス性が高い、ベルト装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】ベルト部材8の外周の外側であって画像形成装置本体100に設置された2つのスライドレール140、150にそれぞれ保持された2つの横フレーム130と、2つの横フレーム130の間に後方で架設されるとともに箱型構造を有する後フレーム110と、前方からみてベルト部材8の内周よりも小さな投影面を有する前フレーム115と、後フレーム110に対して前フレーム115を片持ち支持する支持フレーム120と、横フレーム130と後フレーム110との間に架設されるとともに三角形状に形成された補強部材125と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの複合機等の画像形成装置と、中間転写ベルト、転写搬送ベルト、転写ベルト、感光体ベルト等のベルト部材が設置されたベルト装置と、に関し、特に、画像形成装置本体に対して前方に引き出し可能に構成されたベルト装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、中間転写ベルト(ベルト部材)を備えたタンデム型のカラー画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
詳しくは、4つの感光体ドラム(像担持体)が中間転写ベルト(ベルト部材)に対向するように並設されている。また、4つの感光体ドラムに対して、中間転写ベルトを介して、4つの転写ローラがそれぞれ圧接している。これらの4つの感光体ドラムでは、それぞれ、ブラック(黒色)、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー像が形成される。そして、各感光体ドラムで形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト上に重ねて転写される。さらに、中間転写ベルト上に担持された複数色のトナー像は、カラー画像として記録媒体上に転写される。
【0003】
このような画像形成装置では、中間転写ベルトが設置された中間転写ベルト装置(ベルト装置)のメンテナンスを容易におこなえるように、画像形成装置本体に対して中間転写ベルト装置を前方に引き出し可能に構成したものが多い。
具体的に、特許文献1等では、中間転写ベルト装置(転写ユニット)上に、中間転写ベルトが設置された転写モジュールが載置されている。そして、画像形成装置本体に対して中間転写ベルト装置(転写ユニット)を前方に引き出した後に、中間転写ベルト装置上に載置された転写モジュールを上方に取り外せるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1等の画像形成装置は、中間転写ベルト(ベルト部材)の交換をおこなう際に、画像形成装置本体に対して中間転写ベルト装置(ベルト装置)を前方に引き出した後に、中間転写ベルト装置上に載置された転写モジュールを上方に取り外す必要があった。そのため、中間転写ベルトの交換を含む、中間転写ベルト装置のメンテナンス性(メンテナンス作業性)が低かった。
【0005】
このような問題を解決するために、画像形成装置本体に対して中間転写ベルト装置を前方に引き出した状態で、中間転写ベルトの交換を含む中間転写ベルト装置のメンテナンスをおこなうことができるように構成することが好ましい。
しかし、その場合、画像形成装置本体に対して中間転写ベルト装置が引き出された状態が長時間続けられることで、中間転写ベルト装置のフレームが変形してしまい、出力画像の画像品質に影響を与えてしまう不具合が生じる可能性がある。特に、大型の画像形成装置では、中間転写ベルト装置の重量が大きくなるために、無視できない問題になる。
また、従来の装置のように中間転写ベルトの外周のほとんどをフレームで覆うような構成では、画像形成装置本体に対して中間転写ベルト装置を前方に引き出した状態で、中間転写ベルトの交換をワンアクションでおこなうことができなかった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、装置に変形が生じることなく、ベルト部材の交換を含む装置のメンテナンス性が高い、ベルト装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1記載の発明にかかるベルト装置は、画像形成装置本体に対して前方に引き出し可能に設置されるベルト装置であって、複数のローラ部材に支持される無端状のベルト部材と、前記ベルト部材の外周の外側であって前記画像形成装置本体に設置された2つのスライドレールにそれぞれ保持された2つの横フレームと、前記2つの横フレームの間に後方で架設されるとともに、前記複数のローラ部材の後側軸部を回転自在に支持するとともに箱型構造を有する後フレームと、前記複数のローラ部材の前側軸部を回転自在に支持するとともに、前方からみて前記ベルト部材の内周よりも小さな投影面を有する前フレームと、前記後フレームに対して前記前フレームを片持ち支持する支持フレームと、前記横フレームと前記後フレームとの接合部近傍で双方のフレームの間に架設されるとともに、三角形状に形成された補強部材と、を備えたものである。
【0008】
また、請求項2記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記補強部材は、前記ベルト部材に対して高さ方向に20mm以上離間するように配設されたものである。
【0009】
また、請求項3記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記横フレームは、前記ベルト部材に対して横方向に35mm以上離間するように配設されたものである。
【0010】
また、請求項4記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記支持フレームは、箱型状に形成されたものである。
【0011】
また、請求項5記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記スライドレールは、装置を2段階で引き出せるように構成されたものである。
【0012】
また、この発明の請求項6記載の発明にかかるベルト装置は、画像形成装置本体に対して引き出し可能に設置されるベルト装置であって、複数のローラ部材に支持される無端状のベルト部材と、前記ベルト部材の外周の外側であって前記画像形成装置本体に設置された複数のスライドレールにそれぞれ保持された複数の横フレームと、前記複数の横フレームの間に架設されるとともに、前記複数のローラ部材の後側軸部を回転自在に支持する後フレームと、前記複数のローラ部材の前側軸部を回転自在に支持するとともに、引き出し方向からみて前記ベルト部材の内周よりも小さな投影面を有する前フレームと、前記後フレームに対して前記前フレームを片持ち支持する支持フレームと、を備えたものである。
【0013】
また、請求項7記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記後フレームは、前記ローラ部材の前記後側軸部を回転自在に支持する後側軸受が保持された保持部材を着脱自在に具備するとともに、前記ローラ部材の前記後側軸部の外径よりも大きな内径を有する仮軸受を前記後側軸受の位置よりも軸方向中央側に具備し、前記前フレームは、前記ローラ部材の前記前側軸部を回転自在に支持する前側軸受を具備したものである。
【0014】
また、請求項8記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項7に記載の発明において、前記保持部材は、前記後フレームに装着されるときに前記仮軸受と前記前側軸受とによって支持された前記ローラ部材の前記後側軸部を前記後側軸受に案内するためのテーパ部を具備し、前記ローラ部材の前記後側軸部は、その端部にテーパ部を設けたものである。
【0015】
また、請求項9記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項8に記載の発明において、前記前側軸受から前記仮軸受までの軸方向の距離をD1として、前記前側軸受から前記後側軸受までの軸方向の距離をD2として、前記仮軸受と前記後側軸部とのクリアランスをδとし、前記後側軸受の内径部から前記保持部材の前記テーパ部の下端までの鉛直方向の距離をM1とし、前記後側軸部の前記テーパ部の上端から下端までの鉛直方向の距離をM2としたときに、
δ<(D2/D1)・(M1+M2)
なる関係が成立するように構成したものである。
【0016】
また、請求項10記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項8又は請求項9に記載の発明において、前記後側軸受の内径部から前記保持部材の前記テーパ部の上端までの鉛直方向の距離をM3とし、前記後側軸受の内径部に形成されたR部の高さをM4としたときに、
M2+M4>M3
なる関係が成立するように構成したものである。
【0017】
また、請求項11記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項7〜請求項10のいずれかに記載の発明において、前記ローラ部材は、その重心位置が前記前側軸受と前記仮軸受との間にあるように形成されたものである。
【0018】
また、請求項12記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項7〜請求項11のいずれかに記載の発明において、前記後フレームは、前記画像形成装置本体との位置決めがおこなわれる位置決め部材が設置された板状のメインフレームに曲げ加工が施されたサブフレームが接合されて形成され、前記保持部材は、前記メインフレームに着脱自在に設置されるものである。
【0019】
また、請求項13記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項12に記載の発明において、前記メインフレームは、前記保持部材をネジ締結するための雌ネジ部が形成された複数のスタッドを具備し、前記保持部材は、前記雌ネジ部に螺合するネジが貫通する穴部が形成されるとともに前記複数のスタッドの端面に当接する複数のボス部を具備したものである。
【0020】
また、請求項14記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項7〜請求項13のいずれかに記載の発明において、前記保持部材は、前記ローラ部材を駆動する駆動モータが設置されるとともに、前記駆動モータの駆動力を前記ローラ部材の前記後側軸部に伝達するギア列を内設したものである。
【0021】
また、請求項15記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項14に記載の発明において、前記保持部材は、前記ローラ部材の前記後側軸部に設置されたエンコーダディスクと、前記エンコーダディスクに対向するエンコーダセンサと、を内設したものである。
【0022】
また、請求項16記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項15に記載の発明において、前記保持部材は、前記ギア列と前記エンコーダディスクとの間に仕切り部材を内設したものである。
【0023】
また、請求項17記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項7〜請求項16のいずれかに記載の発明において、前記保持部材と前記後フレームとの間にシール部材を設置したものである。
【0024】
また、請求項18記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項7〜請求項17のいずれかに記載の発明において、前記保持部材は、アルミニウムで形成されたものである。
【0025】
また、請求項19記載の発明にかかるベルト装置は、前記請求項7〜請求項18のいずれかに記載の発明において、前記仮軸受は、低摩擦材料で形成されたものである。
【0026】
また、この発明の請求項20記載の発明にかかるベルト装置は、画像形成装置本体に対して引き出し可能に設置されるベルト装置であって、複数のローラ部材に支持される無端状のベルト部材と、前記ローラ部材の後側軸部を回転自在に支持する後側軸受が保持された保持部材を着脱自在に具備するとともに、前記ローラ部材の前記後側軸部の外径よりも大きな内径を有する仮軸受を前記後側軸受の位置よりも軸方向中央側に具備した後フレームと、前記ローラ部材の前側軸部を回転自在に支持する前側軸受を具備した前フレームと、を備えたものである。
【0027】
また、この発明の請求項21記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項20のいずれかに記載のベルト装置と前記画像形成装置本体とを備えたものである。
【0028】
また、請求項22記載の発明にかかる画像形成装置は、前記請求項21に記載の発明において、前記ベルト装置を前記画像形成装置本体に収納した状態で前記前フレームを当該画像形成装置本体に固定する固定部材を着脱自在に設置したものである。
【0029】
なお、本願において「前方」とは、画像形成装置本体に対してベルト装置を操作者が引き出し操作する側(引き出し方向の手前側)であるものと定義する。また、「後方」とは、「前方」に対する反対側であって、ベルト装置の引き出し方向の奥側であるものと定義する。さらに、「横方向」とは、引き出し方向に直交する水平方向であるものと定義する。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、前方からみてベルト部材の内周よりも小さな投影面を有する前フレームを後フレームに対して片持ち支持するとともに、画像形成装置本体から引き出されたときに装置にかかる力に対する強度を効率的に高めているために、装置に変形が生じることなく、ベルト部材の交換を含む装置のメンテナンス性が高い、ベルト装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の画像形成装置における作像部を示す断面図である。
【図3】図1の画像形成装置に設置されるベルト装置を示す構成図である。
【図4】ベルト装置の一部を幅方向にみた概略図である。
【図5】蛇行検知部を示す斜視図である。
【図6】異常検知部を示す斜視図である。
【図7】中間転写ベルトを離間したときのベルト装置を示す概略図である。
【図8】単色モード時のベルト装置を示す概略図である。
【図9】画像形成装置にベルト装置が収納された状態を示す上面図である。
【図10】ベルト装置を引き出した状態を示す上面図である。
【図11】ベルト装置をさらに引き出した状態を示す上面図である。
【図12】ベルト装置を示す斜視図である。
【図13】スライドレールを示す概略図である。
【図14】後フレームを示す斜視図である。
【図15】支持フレームを示す斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態2におけるベルト装置の要部を示す構成図である。
【図17】ベルト装置への駆動ローラの組み付け手順を示す図である。
【図18】保持部材が取出された状態のベルト装置を示す図である。
【図19】駆動ローラの後側の近傍を示す分解斜視図である。
【図20】保持部材が装着される状態のベルト装置を示す図である。
【図21】駆動ローラの後側軸部の近傍を示す概略図である。
【図22】この発明の実施の形態3におけるベルト装置の要部を示す概略斜視図である。
【図23】ベルト装置への保持部材の設置状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0033】
実施の形態1.
図1〜図15にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1及び図2にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、ベルト装置としての中間転写ベルト装置15が設置されている。また、中間転写ベルト装置15の中間転写ベルト8(ベルト部材)に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0034】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、像担持体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電部4Y、現像部5Y、クリーニング部2Y、除電部(不図示である。)等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0035】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0036】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、不図示の駆動モータによって図2中の反時計方向に回転駆動される。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光部7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0037】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像部5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8(ベルト部材)及び転写ローラ9Y(1次転写ローラ)との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0038】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング部2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング部2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0039】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光部7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。詳しくは、露光部7は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して感光体ドラム上に照射する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0040】
ここで、中間転写ベルト装置15(ベルト装置)は、図3を参照して、中間転写ベルト8、4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、テンションローラ12B、12C、補正ローラ13、規制ローラ14、蛇行検知部80、異常検知部88、フォトセンサ90、中間転写クリーニング部10、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材12A〜12C、13、14によって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材(駆動ローラ)12Aの回転駆動によって図3中の矢印方向に無端移動される。
【0041】
4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9K(1次転写ローラ)は、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K との間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の高圧電圧(転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y 、1M 、1C 、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0042】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、テンションローラ12Bが、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、2次転写ローラ19に、トナーの極性とは逆の高圧電圧(2次転写バイアス)が印加される。これにより、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0043】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング部10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが除去される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。なお、ベルト装置としての中間転写ベルト装置15の構成・動作については、後で図3〜図15を用いてさらに詳しく説明する。
【0044】
ここで、図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体100の下方に配設された給紙部26(又は、側方に配設された給紙部)から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部26には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0045】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0046】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着部20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対(不図示である。)によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0047】
次に、図2にて、作像部における現像部の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像部5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤収容部に開口を介して連通するトナー補給経路43Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤が収容されている。
【0048】
このように構成された現像部5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤は、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。
その後、現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤とともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0049】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤は、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤は、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤はスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0050】
次に、図3〜図15にて、本実施の形態1における中間転写ベルト装置15(ベルト装置)について詳述する。
図3は、ベルト装置としての中間転写ベルト装置15を示す構成図である。図4は、中間転写ベルト装置15の一部を幅方向にみた概略図である。図5は、中間転写ベルト装置15における蛇行検知部80の近傍を示す斜視図である。図6は、中間転写ベルト装置15における異常検知部88の近傍を示す斜視図である。
【0051】
図3及び図4を参照して、中間転写ベルト装置15(ベルト装置)は、ベルト部材としての中間転写ベルト8、4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、テンションローラ12B、12C、補正ローラ13、規制ローラ14、蛇行検知部80、異常検知部88、フォトセンサ90、中間転写クリーニング部10、等で構成される。
【0052】
ベルト部材としての中間転写ベルト8は、各色のトナー像をそれぞれ担持する4つの像担持体としての感光体ドラム1Y、1M、1C、1K(像担持体)に当接するように配設されている。中間転写ベルト8は、主として5つのローラ部材(駆動ローラ12、テンションローラ12B、12C、補正ローラ13、規制ローラ14である。)によって張架・支持されている。
【0053】
本実施の形態1において、中間転写ベルト8は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、等を単層又は複数層に構成して、カーボンブラック等の導電性材料を分散させたものである。中間転写ベルト8は、体積抵抗率が107〜1012Ωcm、ベルト裏面側の表面抵抗率が108〜1012Ωcmの範囲になるように調整されている。また、中間転写ベルト8は、厚さが80〜100μmの範囲となるように設定されている。本実施の形態1では、中間転写ベルト8の厚さが90μmに設定されている。また、中間転写ベルト8の周長は、2197.5mmに設定されている。
なお、必要に応じて中間転写ベルト8の表面に離型層をコートすることもできる。その際、コートに用いる材料として、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF(フッ化ビニルデン)、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)、等のフッ素樹脂を使用できるが、これに限定されるものではない。
また、中間転写ベルト8の製造方法としては、注型法、遠心成形法、等があり、必要に応じてその表面を研磨する工程がおこなわれる。
【0054】
転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を介して対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに圧接している。詳しくは、イエロー用の転写ローラ9Yは中間転写ベルト8を介してイエロー用の感光体ドラム1Yに圧接し、マゼンタ用の転写ローラ9Mは中間転写ベルト8を介してマゼンタ用の感光体ドラム1Mに圧接し、シアン用の転写ローラ9Cは中間転写ベルト8を介してシアン用の感光体ドラム1Cに圧接し、ブラック用(黒色用)の転写ローラ9Kは中間転写ベルト8を介してブラック用(黒色用)の感光体ドラム1Kに圧接している。
【0055】
4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、不図示の接離機構によって、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kから離間させるように構成されている。
具体的に、4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9Kのうち、カラー用の3つの転写ローラ9Y、9M、9Cは、上下方向に一体的に移動可能に構成されている。また、黒色用の転写ローラ9Kは、単独で上下方向に移動可能に構成されている。そして、4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9Kが図3中の破線の位置に移動することで、中間転写ベルト8が感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kから離間する(破線位置への移動であって、図7の状態である。)。このような中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kから離間させる動作は、中間転写ベルト8の磨耗劣化を軽減するためにおこなわれるものであって、主として非画像形成時におこなわれる。また、黒色用の転写ローラ9Kを単独で上下方向に移動可能に構成したのは、単色モード時(モノクロ画像を形成するときである。)に、カラー用の3つの転写ローラ9Y、9M、9Cを下方に移動してカラー用の感光体ドラム1Y、1M、1Cを中間転写ベルト8から離間させるためである(図8の状態である。)。
【0056】
このように、本実施の形態1では、カラーモード(カラー画像を形成するモードである。)が選択されているときには、接離機構によって、4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kのすべてに中間転写ベルト8が当接するように構成されている(図3の状態である。)。また、単色モード(単色画像を形成するモードである。)が選択されているときには、接離機構によって、1つの感光体ドラム1Kのみに中間転写ベルト8が当接して、他の3つの感光体ドラム1Y、1M、1Cが中間転写ベルト8から離間するように構成されている(図8の状態である。)。
【0057】
駆動ローラ12Aは、駆動モータ70によって回転駆動される。これにより、中間転写ベルト8は所定の走行方向(図3の時計方向である。)に走行することになる。駆動モータ70は、ステッピングモータであって、制御部72に制御されたドライブ71からのドライブ信号(パルス信号)によって稼動する。
1つのテンションローラ12Bは、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ19に当接している。もう1つのテンションローラ12Cは、中間転写ベルト8の外周面に当接している。双方のテンションローラ12B、12Cの間に、中間転写クリーニング部10(クリーニングブレード)が設置されている。
【0058】
ここで、本実施の形態1における中間転写ベルト装置15には、中間転写ベルト8の幅方向(図3の紙面垂直方向である。)の変位を検知する蛇行検知部80(検知手段)が設置されている。具体的に、蛇行検知部80は、中間転写ベルト8の幅方向の単位時間あたりの変位量(蛇行速度)を検知する。
さらに詳しくは、図5を参照して、蛇行検知部80は、中間転写ベルト8の幅方向端部に当接する揺動部材82、揺動部材82の変位量を検知する測距センサ81、揺動部材82を中間転写ベルト8に当接させる方向に付勢するスプリング83、等で構成されている。
【0059】
揺動部材82は、第1アーム部82a、回転支軸82b、第2アーム部82c等で構成されている。第1アーム部82aは、一端が中間転写ベルト8の幅方向端部に当接して、他端が回転支軸82bに固設されている。回転支軸82bは、中間転写ベルト装置15のフレームに回転自在に支持されている。第2アーム部82cは、一端が回転支軸82bに固設されている。第2アーム部82cの中央には、スプリング83の一端が接続されている。スプリング83の他端は装置15のフレームに接続されている。
このような構成により、揺動部材82は、中間転写ベルト8の幅方向の変位(図5中の破線両矢印方向のベルト寄りである。)に追従して揺動することになる(図5中の実線両矢印方向の揺動である。)。なお、本実施の形態1では、中間転写ベルト8は、通常時に走行方向(図5の矢印方向である。)に440mm/秒で走行するように設定されている。
【0060】
そして、揺動部材82の第2アーム部82cの他端の上方には、測距センサ81が設置されている(装置15のフレームに固設されている。)。測距センサ81は、主として、水平方向に離間して並設された発光素子(赤外発光ダイオード)と位置検出素子(PSD)とで構成されている。発光素子から射出された赤外光は、第2アーム部82c表面にて反射して、反射光となって位置検出素子に入射する。このとき、測距センサ81と第2アーム部82c表面との距離によって、位置検出素子に入射する反射光の入射位置が変化して、それに比例して受光素子(測距センサ81)の出力値が変化する。これにより、中間転写ベルト8の幅方向の変位量(第2アーム部82c表面との距離)を検知することができる。具体的に、測距センサ81の出力値が所定値(電圧V0)よりも小さい場合には中間転写ベルト8は狙いの位置に対してプラス方向に変位(図5の右側への位置ずれである。)していることになり、測距センサ81の出力値が所定値(電圧V0)よりも大きい場合には中間転写ベルト8は狙いの位置に対してマイナス方向に変位(図5の左側への位置ずれである。)に変位していることになる。
【0061】
また、本実施の形態1では、通常の画像形成時(プリント時)等に、蛇行検知部80によって、異常なベルト寄りをも検知(異常検知)する。
詳しくは、狙いの位置(位置ずれ0mm)に対して±0.5mmのベルト寄り(位置ずれ)を許容範囲(プリント許容範囲)として、蛇行検知部80の検知結果に基いて補正ローラ13によるベルト位置ずれ補正をおこなう。そして、中間転写ベルト8のベルト寄り(位置ずれ)が蛇行検知部80の検知範囲(±1mm)外になったときに、比較的大きなベルト寄りが生じているものとして、装置を強制的に停止するとともに、装置本体100の表示部(不図示である。)に異常検知の表示をおこなう。
なお、このような蛇行検知部80による異常検知とは別に、異常検知部88による異常検知もおこなわれる。このようにベルト寄りの異常検知を2重でおこなっているのは、蛇行検知部80の故障や制御ソフトの暴走等が生じても確実に異常検知をおこなうためである。
【0062】
ここで、蛇行検知部80の近傍には、中間転写ベルト8の幅方向及び走行方向とは異なる方向の変位を規制する規制ローラ14が設置されている。具体的に、規制ローラ14は、揺動部材82(第1アーム部82a)と中間転写ベルト8との当接位置に近接されている(当接位置に対して中間転写ベルト8の走行方向上流側である。)。
このような構成により、蛇行検知部80(揺動部材82と中間転写ベルト8との当接位置)における、中間転写ベルト8の幅方向に直交する方向(図4の紙面垂直方向である。)の変位(振れ)が軽減される。すなわち、中間転写ベルト8は、規制ローラ14によってベルト張力が高められるために、蛇行検知部80の位置の直交方向の変位が規制される。したがって、蛇行検知部80によって、本来的に検知されるべき検知成分(幅方向の検知成分である。)の他に、幅方向及び走行方向とは異なる方向の変位成分も検知されてしまう不具合が軽減される。すなわち、蛇行検知部80による、中間転写ベルト8のベルト寄りに対する検知精度が向上する。
【0063】
そして、蛇行検知部80によって中間転写ベルト8の変位(蛇行速度)が検知されると、その検知結果に基いて補正ローラ13(補正手段)によって中間転写ベルト8の幅方向の変位が補正される。
ここで、補正ローラ13は、図3を参照して、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに対して中間転写ベルト8の走行方向上流側であって、中間転写ベルト8の内周面に接するように配設されている。そして、補正ローラ13は、図4を参照して、揺動機構73の駆動カム(不図示である。)が所定角度動作することにより、揺動中心13aを中心にしてX1、X2方向に揺動するように構成されている。
このような構成により、図4において、中間転写ベルト8が右側に変位(ベルト寄り)したときには、その検知結果に基いて、揺動機構73によって補正ローラ13がX2方向に揺動されて中間転写ベルト8の変位補正がおこなわれる。これに対して、中間転写ベルト8が左側に変位したときには、その検知結果に基いて、揺動機構73によって補正ローラ13がX1方向に揺動されて中間転写ベルト8の変位補正がおこなわれる。これにより、中間転写ベルト8が蛇行することによりカラー画像の品質が低下する不具合や、中間転写ベルト8が幅方向に大きく変位(ベルト寄り)して他の部材に接触して中間転写ベルト8が破損する不具合、等が抑止される。
【0064】
また、本実施の形態1における中間転写ベルト装置15は、図4を参照して、中間転写ベルト8の幅方向両端から所定距離離れた位置に、異常検知部88が設置されている。
図6に示すように、異常検知部88は、大きくベルト寄りした中間転写ベルト8に接触するアーム部材90、中間転写ベルト8の接触によるアーム部材の回転支軸90bを中心にした移動を光学的に検知するオーバラン検知センサ89(光学センサ)、アーム部材90の姿勢を維持するためのスプリング91、等で構成されている。
【0065】
詳しくは、図6を参照して、アーム部材90は、第1アーム部90a、回転支軸90b、第2アーム部90c等で構成されている。第1アーム部90aは、一端が正常位置にある中間転写ベルト8の幅方向端部から5mm離れた位置に配設されていて、他端が回転支軸90bに固設されている。回転支軸90bは、中間転写ベルト装置15のフレームに回転自在に支持されている。第2アーム部90cは、一端が回転支軸90bに固設され、他端がオーバラン検知センサ89の発光部89aと受光部89bとの間に配設されている。第2アーム部90cの中央には、スプリング91の一端が接続されている。スプリング91の他端は装置15のフレームに接続されている。また、図示は省略するが、第2アーム部90cの一部は、スプリング91の付勢力によって装置15のフレームの位置決め部に当接している。
【0066】
このような構成により、アーム部材90は、中間転写ベルト8に5mmを超える大きなベルト寄りが生じたときに、中間転写ベルト8に当接して揺動することになる(図6中の実線矢印方向の揺動である。)。
そして、そのような状態が、オーバラン検知センサ89によって検知される。すなわち、第2アーム部90cの先端が発光部89aと受光部89bとの間から離間する状態を、発光部89aから発光された光が受光部89bで受光されることによって認識する。
そして、このように異常検知部88(オーバラン検知センサ89)によって異常検知がされたときに、中間転写ベルト8(駆動ローラ12A)の駆動の停止、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K及び第2転写ローラ19の駆動の停止、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K及び第2転写ローラ19に対する中間転写ベルト8の相対的な離間動作、等を強制的におこない、装置本体100の表示部にサービスマン・コールの表示(サービスマンによる修理を要する旨の表示である。)をおこなう。
なお、本実施の形態1では、図3を参照して、2次転写ローラ19が中間転写ベルト8に対して接離自在に移動(矢印方向の移動である。)するように構成されている。
【0067】
また、本実施の形態1における中間転写ベルト装置15は、図3及び図4を参照して、フォトセンサ90が設置されている。ここで、フォトセンサ90は、中間転写ベルト8上に担持されるトナー像(パッチパターン)の位置や濃度を検知するものであって、作像条件を最適化するためのものである。具体的に、上述した作像プロセスを経て中間転写ベルト8上に形成した各色のトナー像(パッチパターン)の位置ズレをフォトセンサ90のよって光学的に検知して、その検知結果に基いて露光部7による各感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kへの露光タイミングを調整する。さらには、上述した作像プロセスを経て中間転写ベルト8上に形成したトナー像(パッチパターン)の濃度(トナー濃度)をフォトセンサ90のよって光学的に検知して、その検知結果に基いて現像部5内に収容された現像剤のトナー濃度を調整する。
【0068】
以下、図9〜図15にて、本実施の形態1において特徴的な、中間転写ベルト装置15のフレームの構成と、中間転写ベルト8の交換等のメンテナンス方法と、について詳述する。
図9は、画像形成装置100に中間転写ベルト装置15が収納された状態を示す上面図である。図10は、画像形成装置100から中間転写ベルト装置15を引き出した状態を示す上面図である。図11は、画像形成装置100から中間転写ベルト装置15をさらに引き出した状態を示す上面図である。図12は、中間転写ベルト装置15を示す斜視図である。図13は、スライドレール140、150を示す概略図である。図14は、後フレーム110を示す斜視図である。図15は、支持フレーム120を示す斜視図である。
【0069】
図9に示すように、中間転写ベルト装置15は、スライドレール140、150(スライダー)を介して、画像形成装置本体100に保持されている。スライドレール140、150は、中間転写ベルト8の外周の外側(又は、中間転写ベルト装置15の外部)であって、画像形成装置本体100に設置されている。スライドレールは、装置本体100側に固設された保持部140と、保持部140に対してスライド移動可能に設置されたスライドレール本体150と、で構成されている。そして、このようなスライドレール140、150の構成によって、図10又は図11に示すように、中間転写ベルト装置15のメンテナンスをおこなう作業者の操作により、中間転写ベルト装置15は、装置本体100に対して前方に引き出された状態で装置本体100に保持されることになる。
【0070】
図9〜図12を参照して、中間転写ベルト装置15のフレーム(筐体)は、左右2つの横フレーム130、後フレーム110、前フレーム115、3つの支持フレーム120、補強部材としての補強フレーム125、等で構成されている。これらのフレームは、ステンレス鋼等の鋼材で形成されている。また、各フレーム間の接合には、主として溶接が用いられている。
【0071】
2つの横フレーム130は、それぞれ、中間転写ベルト装置15の外側に配設されたスライドレール(スライドレール本体150)に保持されている。後フレーム110は、横フレーム130を介してスライドレール(スライドレール本体150)に固設されている。
【0072】
後フレーム110は、2つの横フレーム130の間に後方(図9の上方である。)で架設されている。また、後フレーム110は、複数のローラ部材12A〜12C、13、14A、14Bの軸部(後側の軸部である。)を軸受を介して回転自在に支持している。
さらに、後フレーム110は、図14に示すように、箱型構造を有している。詳しくは、平面状の板材110a(メインフレーム)と、コの字状に曲げ加工された板材110b(サブフレーム)と、を溶接(図中の溶接部110cでの溶接である。)して箱型構造の後フレーム110を形成している。このように、後フレーム110を箱型構造とすることで、後フレーム110の重量をそれほど大きくすることなくネジレ強度が増加して、フレーム全体の変形を抑止することができる。
【0073】
前フレーム115は、支持フレーム120を介して後フレーム110に固設されている。前フレーム115は、複数のローラ部材12A〜12C、13、14A、14Bの軸部(前側の軸部である。)を軸受を介して回転自在に支持している。すなわち、後フレーム110と前フレーム115とによって、複数のローラ部材12A〜12C、13、14A、14Bの両端軸部が軸受を介して回転自在に支持されていることになる。
ここで、前フレーム115は、前方(図9の下方であって、引き出し方向である。)からみて、中間転写ベルト8の内周(ベルト張力が解除された状態の中間転写ベルト8の内周である。)よりも小さな投影面を有している。これにより、図10に示すように、中間転写ベルト装置15を装置本体100から引き出した状態で、中間転写ベルト8を前フレーム115に干渉させることなく、中間転写ベルト8を挿脱することができる。
さらに詳しくは、前フレーム115の長手方向(図9の左右方向である。)の長さは、駆動ローラ12Aと補正ローラ13との最外周位置を結ぶスパンよりも短く設定されている。また、前フレーム115と横フレーム130との間には隙間(少なくとも作業者がベルト交換作業をおこなうのに充分な隙間である。)が設けられている。具体的に、本実施の形態1では、横フレーム130は、中間転写ベルト8(ベルト装置15に設置された状態の中間転写ベルト8である。)に対して横方向(図9の左右方向である。)に35mm以上離間するように配設されている。これにより、装置15に対して中間転写ベルト8を幅方向に容易に着脱することができる。
【0074】
3つの支持フレーム120は、それぞれ、後フレーム110に対して前フレーム115を片持ち支持するように配設されている。
ここで、1つの支持フレーム120(図12を参照して、2次転写ローラ19に近接する支持フレームである。)は、図15に示すように、箱型状に形成されている。これにより、支持フレーム120の重量をそれほど大きくすることなくネジレ強度が大きくなって、フレーム全体の変形を抑止することができる。
なお、図15を参照して、箱型状の支持フレーム120の内部には、転写ローラ9Y、9M、9C、9Kにバイアスを印加するための高圧電源等の電装部品200が設置されている。これにより、作業者が中間転写ベルト装置15のメンテナンスをおこなっているときに、電装部品200を破損してしまったり、高圧電源に触って感電してしまったりする不具合が抑止される。
【0075】
補強部材としての補強フレーム125は、横フレーム130と後フレーム110との接合部近傍で双方のフレーム110、130の間に架設されている。これにより、2つの横フレーム130の間に橋架された後フレーム110のネジレ強度が増加するとともに、双方のフレーム110、130の接合強度が増加する。
ここで、補強フレーム125(補強部材)は、略三角形状に形成されている。これにより、横フレーム130と後フレーム110との接合部近傍のスペースを大きく狭めることなく、補強部材として効率的に機能することになる。
また、本実施の形態1では、補強フレーム125が、中間転写ベルト8に対して高さ方向(図9の紙面垂直方向である。)に20mm以上離間するように配設されている。これにより、装置15をそれほど大型化することなく、中間転写ベルト8の交換作業時に、中間転写ベルト8が補強フレーム125に干渉してキズがつく不具合を低減することができる。
【0076】
なお、本実施の形態1では、中間転写ベルト装置15を画像形成装置本体100に収納した状態(図9の状態である。)で、前フレーム115を画像形成装置本体100に固定する固定部材としての固定板160を着脱自在に設置している。固定部材としての固定板160は、中間転写ベルト装置15のメンテナンスをおこなわないときに中間転写ベルト装置15が手前側にスライド移動するのを防止するとともに、メンテナンス時以外に前フレーム115を片持ち支持せずにフレーム全体の強度を向上させるためのもので、前フレーム115にネジ締結等によって係合するように装置本体100の手前側に着脱自在に設置されている。
【0077】
中間転写ベルト8は、次のような手順で中間転写ベルト装置15から前方に引き出される。
まず、作業者によって、固定板160(固定部材)が装置本体100から取り外される。その後、中間転写ベルト装置15の把持部(不図示である。)を把持した状態で中間転写ベルト装置15が操作側(手前)に引き出される(図10の白矢印方向の移動である。)。なお、図10の状態は、中間転写ベルト装置15の全体が装置本体100から完全に露呈した状態ではなく、中間転写ベルト装置15の一部が装置本体100から露呈した状態である(中間転写ベルト8が露呈した状態である。)。
そして、図10を参照して、中間転写ベルト装置15が引き出されて保持された状態で、テンションローラ12Cの移動によるベルト張力の解除がおこなわれる。その後、中間転写ベルト8が操作側(手前)に引き出されて(図10の矢印方向の移動である。)、中間転写ベルト装置15からのベルトの取り出しが完了する。
なお、新品の中間転写ベルト8を中間転写ベルト装置15に装着するときの動作は、上述の取り外し時の手順と逆の手順でおこなわれる。このように、本実施の形態1では、画像形成装置本体100に対して中間転写ベルト装置15を前方に引き出した状態で、中間転写ベルト8の交換をワンアクションでおこなうことができる。
また、上述した中間転写ベルト装置15の着脱動作は、中間転写ベルト8の交換作業をおこなう場合に限定されることなく、ベルト装置15の近傍でジャムが発生したときにジャム処理をおこなう場合等にもおこなわれる。
【0078】
ここで、本実施の形態1では、図10及び図11を参照して、スライドレール140、150が、中間転写ベルト装置15を2段階で引き出せるように構成されている。すなわち、図10に示すように装置本体100から引き出された中間転写ベルト装置15を、さらに装置本体100から引き出すことができる(図11の状態である。)。
具体的に、図13を参照して、スライドレールの保持部140にはスプリングによって付勢された球状の係合部材141が設置され、スライドレールのスライドレール本体150には半球状の溝部151が設置されている。
【0079】
そして、中間転写ベルト装置15が図9の状態から引き出されると、スライドレール140、150は図13(A)の状態から図13(B)の状態(係合部材141が溝部151に係合して、作業者がクリック感を体感する状態である。)に移行して、図10の状態(1段目の引き出し位置である。)で停止する。
その後、中間転写ベルト装置15が図10の状態からさらに引き出されると、スライドレール140、150は図13(B)の状態から図13(C)の状態(係合部材141と溝部151との係合が解除された状態である。)に移行して、図11の状態(2段目の引き出し位置である。)で停止する。なお、図11の状態のときも、保持部140の係合部材141がスライドレール本体150の不図示の溝部に係合して、作業者がクリック感を体感することになる。
【0080】
ここで、図11の状態は、中間転写ベルト装置15の全体が装置本体100から完全に露呈した状態である(駆動モータ70が露呈した状態である。)。具体的に、本実施の形態1では、後フレーム110と装置本体100との距離Mが300mm程度になるように設定されている。
そして、図11を参照して、中間転写ベルト装置15が引き出されて保持された状態で、後フレーム110に固設された駆動モータ70等の構成部品のメンテナンスがおこなわれる。
なお、メンテナンス終了後に中間転写ベルト装置15を装置本体100に装着する動作は、上述の引き出し時の手順と逆の手順でおこなわれる。
【0081】
本実施の形態1では、図10及び図11のように、中間転写ベルト装置15が引き出されて保持された状態で、長時間放置されたとしても、ネジレ荷重が集中する後フレーム110を箱型構造にするとともに、後フレーム110と横フレーム130との間に補強フレーム125を設置して、さらには支持フレーム120を箱型形状にしているため、フレーム全体の変形を抑止することができる。これにより、中間転写ベルト装置15のフレーム変形による出力画像の画像品質の劣化を抑止することができる。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態1では、前方からみて中間転写ベルト8(ベルト部材)の内周よりも小さな投影面を有する前フレーム115を後フレーム110に対して片持ち支持するとともに、画像形成装置本体100から引き出されたときに中間転写ベルト装置15(ベルト装置)にかかる力に対する機械的強度を効率的に高めているために、中間転写ベルト装置15に変形が生じることなく、中間転写ベルト8の交換を含む中間転写ベルト装置15のメンテナンス性を高めることができる。
【0083】
実施の形態2.
図16〜図21にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図16は、実施の形態2における中間転写ベルト装置の要部を示す構成図であって、駆動ローラ12Aの近傍を示す側方断面図である。図17は、中間転写ベルト装置15への駆動ローラ12Aの組み付け手順を示す図である。図18は、保持部材175が取出された状態の中間転写ベルト装置15を示す図である。図19は、駆動ローラ12Aの後側の近傍を示す分解斜視図である。図20は、保持部材175が装着される状態の中間転写ベルト装置15を示す図である。図21は、駆動ローラ12Aの後側軸部12Abの近傍を示す概略図である。
本実施の形態2における中間転写ベルト装置15は、後フレーム110に仮軸受173が設置されている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
【0084】
本実施の形態2における中間転写ベルト装置15も、前記実施の形態1のものと同様に、中間転写ベルト8、4つの転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ12A、テンションローラ12B、12C、補正ローラ13、規制ローラ14、蛇行検知部80、異常検知部88、フォトセンサ90、中間転写クリーニング部10、等で構成される(図3等を参照できる。)。また、本実施の形態2における中間転写ベルト装置15も、前記実施の形態1のものと同様に、左右2つの横フレーム130、後フレーム110、前フレーム115、支持フレーム120、補強フレーム125、等でフレーム(筐体)が構成され、スライドレール140、150を介して画像形成装置本体100に保持されている(図9等を参照できる。)。また、後フレーム110は、先に図14で説明したように、板状のメインフレーム110aに、曲げ加工が施されたサブフレーム110bが溶接により接合されて箱型構造に形成されたものである。後フレーム110のメインフレーム110aには、画像形成装置本体100との位置決めをおこなうための位置決め部材としての位置決めスタッド110dが設置されている。具体的に、画像形成装置本体100の筐体に形成された穴部(不図示である。)に、後フレーム110の位置決めスタッド110dが係合して、画像形成装置本体100に対する中間転写ベルト装置15の位置が定められることになる。
【0085】
図16を参照して、ローラ部材としての駆動ローラ12Aは、駆動モータ70によってギア列70a、177を介して回転駆動される。これにより中間転写ベルト8は所定の走行方向(図3の時計方向である。)に走行することになる。駆動ローラ12Aは、その表面にゴム層が形成されているために、中間転写ベルト8との摩擦係数が高められて中間転写ベルト8を確実にグリップすることができる。
なお、中間転写ベルト8の走行速度の精度(速度安定度)は出力画像の画質に大きくかかわるため、駆動ローラ12Aが所望の回転速度で回転駆動されるように制御している。詳しくは、図16、図19、図21を参照して、駆動ローラ12Aの後側軸部12Abにはエンコーダディスク178(外周部に放射状にスリットが形成されている。)が設置され、後フレーム110にはエンコーダディスク178を挟むようにエンコーダセンサ179(発光素子や受光素子で構成されている。)が設置されている。また、図示は省略するが、従動ローラ(複数のローラ部材12A〜12C、13、14のうち、駆動ローラ12Aを除くローラ部材の1つである。)の軸部にもエンコーダディスクが設置され、そのエンコーダディスクを挟むようにエンコーダセンサが設置されている。そして、従動ローラとともに回転するエンコーダディスクに対向するエンコーダセンサから出力されるパルスの変動を検出して、駆動モータ70の入力パルスにフィードバックすることにより、駆動ローラ12Aの回転速度を制御する。また、駆動ローラ12Aとともに回転するエンコーダディスク178に対向するエンコーダセンサ179から出力されるパルスを検出して、その検出値と従動ローラ側のエンコーダセンサから出力されるパルスの検出値との差分から、中間転写ベルト8の厚み変動分を求め、駆動ローラ12Aの回転速度を補正制御する。
【0086】
ここで、図16等を参照して、本実施の形態2における中間転写ベルト装置15は、後フレーム110に、後側軸受172が保持された保持部材としての保持カバー175が着脱自在に設置されている。後側軸受172は、駆動ローラ12Aの後側軸部12Abを回転自在に支持するものである。また、後フレーム110には、駆動ローラ12Aの後側軸部12Abの外径(軸径)よりも大きな内径を有する仮軸受173が、後側軸受172の位置よりも軸方向中央側(図16の右側である。)に設置されている。
一方、前フレーム115には、駆動ローラ12Aの前側軸部12Aaを回転自在に支持する前側軸受171が設置されている。
【0087】
このような構成により、通常時(画像形成装置本体100に中間転写ベルト装置15が装着されているときである。)には、駆動ローラ12A(ローラ部材)は、前側軸受171と後側軸受172とによって中間転写ベルト装置15に回転自在に支持されることになる。これに対して、メンテナンス時であって画像形成装置本体100から中間転写ベルト装置15が引き出されて、後フレーム110から保持カバー175が取出されたときには、駆動ローラ12Aは、前側軸受171と仮軸受173とによって中間転写ベルト装置15に支持されることになる。したがって、画像形成装置本体100から中間転写ベルト装置15が引き出されて、中間転写ベルト装置15がスライドレール140、150によって片持ち支持されてフレームに変形が生じてしまう場合であっても、駆動ローラ12Aの一端(後側軸部12Ab)はクリアランスのある仮軸受173によって支持されるために、駆動ローラ12Aにフレーム変形にともなう偏荷重がかかる不具合が抑止される。
すなわち、駆動ローラ12Aを3つ以上の軸受で支持する場合(例えば、仮軸受173の位置にクリアランスのない玉軸受を設置した場合である。)、メンテナンス時に中間転写ベルト装置15がスライドレール140、150によって片持ち支持されてフレームに変形が生じてしまうと、駆動ローラ12Aにフレーム変形にともなう偏荷重がかかり、駆動ローラ12Aの真直度が低下したり、複数の軸受の同軸度が崩れたりしてしまう。その結果、通常時に中間転写ベルト装置15が稼動されると、駆動ローラ12Aが回転周期で大きな応力を受けて最悪の場合には破断してしまうことになる。これに対して、仮軸受173を設けずに駆動ローラ12Aを2つの軸受のみで支持する場合、2つの軸受を中間転写ベルト装置15にセットするまで駆動ローラ12Aの姿勢が安定せずに、中間転写ベルト装置15の組み立て作業性やメンテナンス作業性が低下してしまう。
本実施の形態2では、前側軸受171と後側軸受172とに加えて、クリアランスを有する仮軸受173を設けているために、中間転写ベルト装置15の組み立て作業性が向上するとともに、画像形成装置本体100から中間転写ベルト装置15を引き出した状態のまま駆動ローラ12Aの交換等のメンテナンスを容易におこなうことができる。
【0088】
以下、図16〜図21を用いて、さらに詳しく説明する。
通常時に駆動ローラ12Aをラジアル方向に保持する前軸軸受171及び後側軸受172は、玉軸受である。後側軸受172は保持カバー175(保持部材)に圧入されている。また、保持カバー175には、駆動モータ70がネジ締結により保持されている。駆動ローラ12Aの後側軸部12Abに設置されたギア177は、駆動モータ70のモータ軸に設置された駆動ギア70aに噛合する。双方のギア70a、177の回転軸間距離は、保持カバー175によって精度よく定められる。また、保持カバー175は上述したギア列70a、177、エンコーダディスク178、エンコーダセンサ179を包含するように構成されていて、トナー等の粉塵の入り込みを防止することで、ギア列70a、177に粉塵が付着する不具合や、エンコーダディスク178やエンコーダセンサ179が汚れて検出精度が低下する不具合を抑止している。
さらに、保持カバー175(保持部材)は、アルミニウム等の放熱性の高い材料で形成されている。これにより、保持カバー175内で生じた熱が、保持カバー175の外部に直接的に放散されたり、後フレーム110を介して間接的に放散されて、エンコーダセンサ179が熱により誤動作する不具合や、後側軸受172が熱によりロックする不具合等が抑止される。
【0089】
仮軸受173は、ポリアセタールや含油焼結金属等の低摩擦材料で形成されていて、駆動ローラ12Aの後側軸部12Abに対するクリアランスδ(図18を参照できる。)が0.7mm程度に設定されている。
駆動ローラ12Aの後側軸部12Abに対するクリアランスδを大きく設定してしまうと、保持カバー175に内設されたエンコーダディスク178やエンコーダセンサ179等への粉塵の付着が生じてしまう可能性がある。また、クリアランスδを小さく設定してしまうと、上述した仮軸受173を設置する効果が充分に発揮されなくなる可能性がある。本実施の形態2では、このようなことを考慮して、クリアランスδを0.7mm程度に設定している。
また、クリアランスを設けた仮軸受173が仮に後側軸部12Abに接触してしまったときのことを考慮して、中間転写ベルト装置15の稼働中に仮軸受173が軸受として機能しても不具合が生じないように仮軸受173を低摩擦材料で形成している。
【0090】
次に、製造時における、中間転写ベルト装置15のフレームへの駆動ローラ12Aの組み付け手順について説明する。
図17を参照して、まず、中間転写ベルト装置15のフレーム(後フレーム110、前フレーム115、横フレーム130、補強フレーム125等が溶接によって接合されている。)に対して、前側軸受171が圧入された駆動ローラ12Aの後側軸部12Abを矢印W1方向に挿入した後に、前側軸受171を前フレーム115に係合させるように矢印W2方向にセットする。このとき、駆動ローラ12Aは前側軸受171により片側を支持されているのみであり、駆動ローラ12Aの姿勢は定まらず不安定な状態である。その後、前側軸受171のスラスト方向(軸方向)の移動を規制するために、前側軸受171の外輪に係合するスラスト止め(不図示である。)が前フレーム115にネジ締結される。
その後、図18に示すように、仮軸受173が後フレーム110に挿入される。これにより、駆動ローラ12Aは仮軸受173と後側軸部12Abとのクリアランスδの範囲内で姿勢が安定することとなる。このような駆動ローラ12Aの状態は、クリアランスδの範囲内で姿勢は不安定なままだが、その後の作業をおこなうには充分に安定した状態である。
【0091】
なお、本実施の形態2では、駆動ローラ12Aの重心位置が前側軸受171と仮軸受173との間になるように構成されている。駆動ローラ12Aの重心位置が前側軸受171と仮軸受173との間にない場合には、駆動ローラ12Aが前側軸受171と仮軸受173とによって支持されたときに、テコの原理で大きな負荷が前側軸受171や仮軸受173にかかり、駆動ローラ12Aが不安定に支持されてしまうことになる。
【0092】
その後、エンコーダディスク178やギア177が後側軸部12Abに設置されて、エンコーダセンサ179もこのときに取り付けられる。さらに、図19に示すように、駆動モータ70と、後側軸受172が保持された保持カバー175と、が駆動ローラ12Aの後方から挿入される。なお、図示は省略するが、保持カバー175は、後フレーム110のメインフレーム110aに固設されたスタッドに取り付けられる。
【0093】
ここで、図20を参照して、保持カバー175には、後フレーム110に装着されるときに仮軸受173と前側軸受171とによって支持された駆動ローラ12Aの後側軸部12Abを後側軸受172に案内するためのテーパ部175a(案内部)が設けられている。さらに、駆動ローラ12Aの後側軸部12Abには、その端部にテーパ部12Ab1(C面)が設けられている。
図20に示すように、保持カバー175が後フレーム110に装着されていない状態では、駆動ローラ12Aは仮軸受173とのクリアランスδの分だけ傾いた姿勢をとっている。このため、保持カバー175を後フレーム110に装着するときに、保持カバー175によって駆動ローラ12Aがすくいあげられるようにセットされなければならない。本実施の形態2では、保持カバー175の後側軸受172の近傍にテーパ部175aを設けるとともに、駆動ローラ12Aの後側軸部12Abの端部にテーパ部12Ab1を設けているために、保持カバー175を図20の白矢印方向に移動させることで双方のテーパ部12Ab1、175aの勾配により駆動ローラ12Aの後側軸部12Abをすくいあげる方向の分力が働いて、後側軸部12Abと後側軸受172とがスムーズに係合することになる。
【0094】
なお、後側軸部12Abと後側軸受172とのスムーズな係合を可能にするためには、装置を次のように構成することが好ましい。
図16、図18、図20を参照して、前側軸受171から仮軸受173までの軸方向の距離をD1として、前側軸受171から後側軸受172までの軸方向の距離をD2として、仮軸受173と後側軸部12Abとのクリアランスをδとし、後側軸受172の内径部から保持カバー175のテーパ部175aの下端までの鉛直方向の距離をM1とし、後側軸部12Abのテーパ部12Ab1の上端から下端までの鉛直方向の距離をM2としたときに、
δ<(D2/D1)・(M1+M2)
なる関係が成立するように構成する。なお、上式は、クリアランスδに比べて距離D1が極めて大きい条件のもとに、近似的に、D1:δ=D2:(M1+M2)なる関係が後側軸部12Abと後側軸受172とが係合する境界条件であることを幾何学的に求め導いたものである。
【0095】
さらに、後側軸受172の内径部から保持カバー175のテーパ部175aの上端までの鉛直方向の距離をM3とし、後側軸受172の内径部に形成されたR部の高さをM4としたときに、
M2+M4>M3
なる関係が成立するように構成することが好ましい。このように後側軸受172の内径部(R部)を形成することで、保持カバー175のテーパ部175aで駆動ローラ12Aの後側軸部12Abをすくいあげた後に後側軸受172に後側軸部12Abを挿入するまでの一連の動作がさらにスムーズにおこなわれることになる。
なお、本実施の形態2では、上述した2つの式に関連して、距離D1を417mm、距離D2を442mm、クリアランスδを1mm、距離M1を2mm、距離M2を1mm、距離M3を1mm、距離M4を0.3mm、に設定している。
【0096】
以下、中間転写ベルト装置15の駆動ローラ12Aの周囲のメンテナンスについて説明する。
駆動ローラ12Aは、表面のゴム層の劣化等により適宜に交換メンテナンスがおこなわれる。また、駆動ローラ12Aのギア177に磨耗劣化が生じた場合やエンコーダ178、179に故障が生じた場合には、それらの部品の点検や交換がおこなわれる。
例えば、ギア177の交換をおこなう場合には、中間転写ベルト装置15を装置本体100から図10のように引き出した状態で、上述した製造時の組み立て手順と逆の手順で部品をはずしていきギア177の交換をおこなう。
このように、メンテナンス時に中間転写ベルト装置15は引き出された状態で片持ち支持される。そのために、中間転写ベルト装置15のフレームは充分な強度を保つように配慮がなされているが、それでもフレームに微小なたわみが発生する。このたわみは駆動ローラ12Aの軸方向に対してほぼ平行に発生する。このため、仮軸受173と後側軸部12Abとのクリアランスδを0としてしまうと(駆動ローラ12Aが3つの軸受により支持されている場合である。)、軸受同士に同一直線上から離れようとする力が働くため、駆動ローラ12Aに大きな応力が発生して疲労の原因となってしまう。したがって、仮軸受173と後側軸部12Abとの間には適度なクリアランスδを設ける必要がある。
【0097】
繰り返しになるが、本実施の形態2における仮軸受173の代わりに、通常の軸受(後側軸部12Abとのクリアランスδが設けられていないものであって、以下「中軸受」と呼ぶ。)を設置した場合を考える。
その場合、駆動ローラ12Aは、前側軸受171と中軸受とによって固定された状態で、それに沿うように後側軸受172がセットされることになる。したがって、製造時において、駆動ローラ12Aは中軸受により固定されるため、その後の組み立て性は非常に良い。ただし、メンテナンス時には上述したように中間転写ベルト装置15が引き出された状態で3つの軸受が同一直線状に並ばなくなるため、後側軸受172を保持する保持カバー175の剛性を充分弱くすることで、駆動ローラ12Aに応力がかからないような配慮が必要である。また、中間転写ベルト装置15を引き出した状態で駆動ローラ12Aを交換した場合、フレームがたわんだ状態で前側軸受171と中軸受とにより形成される軸直線上に後側軸受172が固定され、中間転写ベルト装置15が装置本体100に装着されてフレームのたわみが除去されると、3つの軸受は同一直線状に並ばなくなろうとする。そのため、保持カバー175の剛性を充分弱くすることで駆動ローラ12Aへの応力を逃がさないと、回転するごとに駆動ローラ12Aは応力をうけて疲労破壊に至ってしまう。しかし、保持カバー175を樹脂等の低剛性材料で形成してしまうと、駆動モータ70等で生じた熱を放熱することが難しくなる等の種々の不具合が生じてしまう。
これに対して、本実施の形態2では、前側軸受171と後側軸受172とに加えて、充分なクリアランスδを有する仮軸受173を設けているために、副作用が生じることなく、中間転写ベルト装置15の組み立て作業性が向上するとともに、画像形成装置本体100から中間転写ベルト装置15を引き出した状態のまま駆動ローラ12Aの交換等のメンテナンスを容易におこなうことができる。
【0098】
なお、図21を参照して、本実施の形態2では、保持カバー175の内部には、ギア列70a、177とエンコーダディスク178との間に仕切り部材180が設置されている。詳しくは、仕切り部材180は、マイラー等で形成されたドーナツ状の板状部材であって、ギア177とエンコーダディスク178との間であって後側軸部12Ab上に挿設されている。これにより、ギア列70a、177の歯面にグリースを塗布した場合であっても、グリースがエンコーダディスク178やエンコーダセンサ179に飛翔・付着してエンコーダの検知精度が低下してしまう不具合が抑止される。
【0099】
以上説明したように、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、前方からみて中間転写ベルト8(ベルト部材)の内周よりも小さな投影面を有する前フレーム115を後フレーム110に対して片持ち支持するとともに、画像形成装置本体100から引き出されたときに中間転写ベルト装置15(ベルト装置)にかかる力に対する機械的強度を効率的に高めているために、中間転写ベルト装置15に変形が生じることなく、中間転写ベルト8の交換を含む中間転写ベルト装置15のメンテナンス性を高めることができる。
【0100】
実施の形態3.
図22及び図23にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図22は、実施の形態3における中間転写ベルト装置15の要部を示す概略斜視図であって、後フレーム110への保持部材175の設置状態を示す概略斜視図である。図23(A)は中間転写ベルト装置15への保持部材175の設置状態を示す上面図であり、図23(B)は保持部材175を図23(A)の下方からみた図である。
本実施の形態3における中間転写ベルト装置15は、保持部材175が後フレーム110のメインフレーム110aに設置されている。
【0101】
本実施の形態3における中間転写ベルト装置15も、前記実施の形態2のものと同様に構成されている。
ここで、本実施の形態3における中間転写ベルト装置15は、保持カバー175(保持部材)が、後フレーム110のメインフレーム110aに対して、着脱自在に設置されている。詳しくは、図22及び図23を参照して、メインフレーム110aには、保持カバー175をネジ締結するための雌ネジ部が形成された4つのスタッド110eが固設されている。一方、保持カバー175には、スタッド110eの端面に当接する4つのボス部175b(スタッド100e側に突出している。)が形成されている。ボス部175bには、スタッド110eの雌ネジ部に螺合するネジ190が貫通する穴部175b1が形成されている。
なお、後フレーム110のメインフレーム110aには、画像形成装置本体100との位置決めをおこなうための位置決め部材としての位置決めスタッド110dも固設されている。具体的に、画像形成装置本体100の筐体に形成された穴部(不図示である。)に、後フレーム110の位置決めスタッド110dが係合して、画像形成装置本体100に対する中間転写ベルト装置15の位置が定められることになる。
【0102】
ここで、後フレーム110のメインフレーム110aは、前フレーム115との位置関係が精度高くなるように設計されていて、前フレーム115との相対的な位置関係が重視される部品(例えば、種々のローラ部材等である。)は前フレーム115とメインフレーム110aとによって位置が定まるように設定されている。これに対して、サブフレーム110bは、メインフレーム110aを強度的にサポートする機能を有していて、前フレーム115との位置関係が精度高くなるようには設計されていない。
このように、保持カバー175をスタッド110eを介してメインフレーム110aに設置することで、前フレーム115に対する保持カバー175の位置関係が精度高く定められるために、中間転写ベルト装置15において駆動ローラ12Aが精度高くセットされることになる。
【0103】
さらに、本実施の形態3では、メインフレーム110aのスタッド110eの端面に4つのボス部175bを当接させることで、メインフレーム110aに保持カバー175を設置している。このような構成により、保持カバー175の4つのボス部175bの平面度のみを精度高く設定することで、保持カバー175の対向面の広い範囲全体の平面度を精度高く設定することなく、メインフレーム110aに対して保持カバー175を精度高く位置決めすることができる。したがって、保持カバー175の歩留まりが高くなり、部品コストを低廉化することができる。
【0104】
なお、本実施の形態3では、保持カバー175と後フレーム110との間に、シール部材としてのシール板192、スポンジシール193を設置している。
詳しくは、シール部材としてのシール板192は、マイラー等の可撓性材料で形成され、保持カバー175又は後フレーム110のいずれかに両面テープによって貼着されていて、保持カバー175と後フレーム110との間に上方からトナー等の浮遊物が侵入するのを防止している。
また、シール部材としてのスポンジシール193は、発泡ポリウレタン等で形成された矩形環状の弾性部材であって、後フレーム110に対向する保持カバー175の対向面の外周面に周状に貼着されていて、保持カバー175と後フレーム110との間にトナー等の異物が侵入するのを防止している。
【0105】
以上説明したように、本実施の形態3でも、前記各実施の形態と同様に、前方からみて中間転写ベルト8(ベルト部材)の内周よりも小さな投影面を有する前フレーム115を後フレーム110に対して片持ち支持するとともに、画像形成装置本体100から引き出されたときに中間転写ベルト装置15(ベルト装置)にかかる力に対する機械的強度を効率的に高めているために、中間転写ベルト装置15に変形が生じることなく、中間転写ベルト8の交換を含む中間転写ベルト装置15のメンテナンス性を高めることができる。
【0106】
なお、前記各実施の形態では、ベルト部材として中間転写ベルト8を用いたベルト装置(中間転写ベルト装置15)に対して本発明を適用した。これに対して、ベルト部材として転写搬送ベルトを用いたベルト装置(ベルト部材上で記録媒体を搬送しながら記録媒体上に複数色のトナー像を転写するベルト装置である。)に対しても本発明を適用することができる。また、ベルト部材として転写ベルト(本実施の形態における2次転写ローラと同等に機能するものであって、無端ベルト形状の転写部材である。)を用いたベルト装置に対しても本発明を適用することができる。さらに、ベルト部材として感光体ベルト(本実施の形態における感光体ドラムと同等に機能するものであって、無端ベルト形状の感光体である。)を用いたベルト装置に対しても本発明を適用することができる。これらの場合にも、前記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0108】
8 中間転写ベルト(ベルト部材)、
12A〜12C、13、14 ローラ部材、
12Aa 前側軸部、 12Ab 後側軸部、 12Ab1 テーパ部、
15 中間転写ベルト装置(ベルト装置)、
100 画像形成装置本体(装置本体)、
110 後フレーム、
110a メインフレーム、 110b サブフレーム、
110d 位置決めスタッド(位置決め部材)、 110e スタッド、
115 前フレーム、
120 支持フレーム、
125 補強フレーム(補強部材)、
130 横フレーム、
140 保持部(スライドレール)、
150 スライドレール本体(スライドレール)、
171 前側軸受、
172 後側軸受、
173 仮軸受、
175 保持カバー(保持部材)、
175a テーパ部、 175b ボス部、
178 エンコーダディスク、 179 エンコーダセンサ、
180 仕切り部材、
192 シール板(シール部材)、 193 スポンジシール(シール部材)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】特開2004−341087号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して前方に引き出し可能に設置されるベルト装置であって、
複数のローラ部材に支持される無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材の外周の外側であって前記画像形成装置本体に設置された2つのスライドレールにそれぞれ保持された2つの横フレームと、
前記2つの横フレームの間に後方で架設されるとともに、前記複数のローラ部材の後側軸部を回転自在に支持するとともに箱型構造を有する後フレームと、
前記複数のローラ部材の前側軸部を回転自在に支持するとともに、前方からみて前記ベルト部材の内周よりも小さな投影面を有する前フレームと、
前記後フレームに対して前記前フレームを片持ち支持する支持フレームと、
前記横フレームと前記後フレームとの接合部近傍で双方のフレームの間に架設されるとともに、三角形状に形成された補強部材と、
を備えたことを特徴とするベルト装置。
【請求項2】
前記補強部材は、前記ベルト部材に対して高さ方向に20mm以上離間するように配設されたことを特徴とする請求項1に記載のベルト装置。
【請求項3】
前記横フレームは、前記ベルト部材に対して横方向に35mm以上離間するように配設されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト装置。
【請求項4】
前記支持フレームは、箱型状に形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項5】
前記スライドレールは、装置を2段階で引き出せるように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項6】
画像形成装置本体に対して引き出し可能に設置されるベルト装置であって、
複数のローラ部材に支持される無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材の外周の外側であって前記画像形成装置本体に設置された複数のスライドレールにそれぞれ保持された複数の横フレームと、
前記複数の横フレームの間に架設されるとともに、前記複数のローラ部材の後側軸部を回転自在に支持する後フレームと、
前記複数のローラ部材の前側軸部を回転自在に支持するとともに、引き出し方向からみて前記ベルト部材の内周よりも小さな投影面を有する前フレームと、
前記後フレームに対して前記前フレームを片持ち支持する支持フレームと、
を備えたことを特徴とするベルト装置。
【請求項7】
前記後フレームは、前記ローラ部材の前記後側軸部を回転自在に支持する後側軸受が保持された保持部材を着脱自在に具備するとともに、前記ローラ部材の前記後側軸部の外径よりも大きな内径を有する仮軸受を前記後側軸受の位置よりも軸方向中央側に具備し、
前記前フレームは、前記ローラ部材の前記前側軸部を回転自在に支持する前側軸受を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項8】
前記保持部材は、前記後フレームに装着されるときに前記仮軸受と前記前側軸受とによって支持された前記ローラ部材の前記後側軸部を前記後側軸受に案内するためのテーパ部を具備し、
前記ローラ部材の前記後側軸部は、その端部にテーパ部を設けたことを特徴とする請求項7に記載のベルト装置。
【請求項9】
前記前側軸受から前記仮軸受までの軸方向の距離をD1として、前記前側軸受から前記後側軸受までの軸方向の距離をD2として、前記仮軸受と前記後側軸部とのクリアランスをδとし、前記後側軸受の内径部から前記保持部材の前記テーパ部の下端までの鉛直方向の距離をM1とし、前記後側軸部の前記テーパ部の上端から下端までの鉛直方向の距離をM2としたときに、
δ<(D2/D1)・(M1+M2)
なる関係が成立するように構成したことを特徴とする請求項8に記載のベルト装置。
【請求項10】
前記後側軸受の内径部から前記保持部材の前記テーパ部の上端までの鉛直方向の距離をM3とし、前記後側軸受の内径部に形成されたR部の高さをM4としたときに、
M2+M4>M3
なる関係が成立するように構成したことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のベルト装置。
【請求項11】
前記ローラ部材は、その重心位置が前記前側軸受と前記仮軸受との間にあるように形成されたことを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項12】
前記後フレームは、前記画像形成装置本体との位置決めがおこなわれる位置決め部材が設置された板状のメインフレームに曲げ加工が施されたサブフレームが接合されて形成され、
前記保持部材は、前記メインフレームに着脱自在に設置されることを特徴とする請求項7〜請求項11のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項13】
前記メインフレームは、前記保持部材をネジ締結するための雌ネジ部が形成された複数のスタッドを具備し、
前記保持部材は、前記雌ネジ部に螺合するネジが貫通する穴部が形成されるとともに前記複数のスタッドの端面に当接する複数のボス部を具備したことを特徴とする請求項12に記載のベルト装置。
【請求項14】
前記保持部材は、前記ローラ部材を駆動する駆動モータが設置されるとともに、前記駆動モータの駆動力を前記ローラ部材の前記後側軸部に伝達するギア列を内設したことを特徴とする請求項7〜請求項13のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項15】
前記保持部材は、前記ローラ部材の前記後側軸部に設置されたエンコーダディスクと、前記エンコーダディスクに対向するエンコーダセンサと、を内設したことを特徴とする請求項14に記載のベルト装置。
【請求項16】
前記保持部材は、前記ギア列と前記エンコーダディスクとの間に仕切り部材を内設したことを特徴とする請求項15に記載のベルト装置。
【請求項17】
前記保持部材と前記後フレームとの間にシール部材を設置したことを特徴とする請求項7〜請求項16のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項18】
前記保持部材は、アルミニウムで形成されたことを特徴とする請求項7〜請求項17のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項19】
前記仮軸受は、低摩擦材料で形成されたことを特徴とする請求項7〜請求項18のいずれかに記載のベルト装置。
【請求項20】
画像形成装置本体に対して引き出し可能に設置されるベルト装置であって、
複数のローラ部材に支持される無端状のベルト部材と、
前記ローラ部材の後側軸部を回転自在に支持する後側軸受が保持された保持部材を着脱自在に具備するとともに、前記ローラ部材の前記後側軸部の外径よりも大きな内径を有する仮軸受を前記後側軸受の位置よりも軸方向中央側に具備した後フレームと、
前記ローラ部材の前側軸部を回転自在に支持する前側軸受を具備した前フレームと、
を備えたことを特徴とするベルト装置。
【請求項21】
請求項1〜請求項20のいずれかに記載のベルト装置と前記画像形成装置本体とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項22】
前記ベルト装置を前記画像形成装置本体に収納した状態で前記前フレームを当該画像形成装置本体に固定する固定部材を着脱自在に設置したことを特徴とする請求項21に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2012−256086(P2012−256086A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221764(P2012−221764)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【分割の表示】特願2008−130280(P2008−130280)の分割
【原出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】