画像形成装置
【課題】ライン状のトナー像Qの現像時における線幅方向のトナー載り量の偏りを少なくして、ライン状のトナー像を用いた画像の位置合わせ精度を高めることができる画像形成装置100を提供する。
【解決手段】パターン検知センサ7は、中間転写ベルト9に転写されたライン状のトナー像のトナー像の反射光を検出する。制御部101は、感光ドラム1aからライン状のトナー像を中間転写ベルト9に転写してパターン検知センサ7により検出して画像の位置を調整する調整モードを実行する。位置合わせモードにおける感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比は、画像形成時における感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比よりも1に近い。位置合わせモードにおける現像スリーブ41の周速は、感光ドラム1aの周速の0.8倍以上1.2倍以下である。これに対して、画像形成時における現像スリーブ41の周速は、感光ドラム1aの周速の2倍以上である。
【解決手段】パターン検知センサ7は、中間転写ベルト9に転写されたライン状のトナー像のトナー像の反射光を検出する。制御部101は、感光ドラム1aからライン状のトナー像を中間転写ベルト9に転写してパターン検知センサ7により検出して画像の位置を調整する調整モードを実行する。位置合わせモードにおける感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比は、画像形成時における感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比よりも1に近い。位置合わせモードにおける現像スリーブ41の周速は、感光ドラム1aの周速の0.8倍以上1.2倍以下である。これに対して、画像形成時における現像スリーブ41の周速は、感光ドラム1aの周速の2倍以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体に転写されたライン状のトナー像の位置を検出して像担持体に形成される画像位置を調整する画像形成装置、詳しくはライン状の静電像をトナーで現像した際にトナー載り量が線幅方向で偏りにくい現像装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体に形成したトナー像を回転体(記録材担持体)に担持された記録材又は回転体(中間転写体)に転写する画像形成装置が広く用いられている。これらの画像形成装置では、像担持体に形成される画像(トナー像)の位置を調整するために、像担持体にライン状のトナー像を形成して回転体に転写し、回転体上で光学的に検出している(特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、記録材搬送ベルトに沿って現像色がブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4つの像担持体を配置したフルカラー画像形成装置が示される。ここでは、4つの像担持体において所定のタイミングで露光して現像したライン状のトナー像(色ずれ補正用パターン)を記録材搬送ベルトに転写して、記録材搬送ベルトに対向配置した反射型センサにより光学的に検出している。そして、各色の色ずれ補正用パターンが反射型センサによって検出された時刻の時間差を計測して、4つの像担持体における露光開始タイミングを調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−248721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記録材搬送ベルトに転写されたライン状のトナー像を反射型センサによって線幅方向に検出する場合、線幅方向にトナー像の偏りがあると、ライン状のトナー像の検出位置(検出タイミング)に誤差が発生することが判明した。反射型センサの検出光スポットがライン状のトナー像を横切った際の反射光のピークは、ライン状のトナー像の中心線よりもトナー載り量の重心側に偏っている。
【0006】
そのため、ライン状のトナー像において線幅方向のトナー載り量に偏りがある場合、反射光のピークを検出して像担持体の画像形成の開始タイミングを設定すると、像担持体に形成された画像に位置ずれが発生する。その結果、他の像担持体に形成された画像と重ね合わせに誤差が発生して色ずれを十分に解消できない可能性がある。
【0007】
本発明は、ライン状のトナー像の現像時における線幅方向のトナー載り量の偏りを少なくして、ライン状のトナー像を用いた画像の位置合わせ精度を高めることができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、回転する像担持体と、トナーとキャリアを有する現像剤を担持して前記像担持体に対して対向位置で互いに同方向に表面が移動する方向に回転し、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて前記像担持体の静電像をトナー像に現像する現像剤担持体と、前記像担持体に当接して回転して前記像担持体からトナー像を転写される回転体と、前記回転体に転写されたトナー像の反射光を検出する検出手段と、前記像担持体からライン状のトナー像を前記回転体に転写して前記検出手段により検出して画像の位置を調整する調整モードを実行する制御手段とを備えるものである。そして、前記調整モードにおける前記像担持体と前記現像剤担持体の周速比は、画像形成時における前記像担持体と前記現像剤担持体の周速比よりも1に近い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置では、画像形成時と調整モード時とで現像剤担持体の周速度を変更することで、ライン状の静電像を現像してトナー像を形成した際の線幅方向のトナー載り量の偏りを少なくする。偏りが少なくなる理由は後述するが、従来から、画像形成時には現像効率を高めて画像濃度の再現性を優先するために現像剤担持体の周速度を像担持体の周速度よりも相当に高くしている。
【0010】
しかし、調整モード時は、画像濃度の再現性を無視してライン状の静電像を線幅方向に等しいトナー載り量で現像することを優先して、現像剤担持体と像担持体との周速度差を小さくする。したがって、ライン状のトナー像の現像時における線幅方向のトナー載り量の偏りを少なくして、ライン状のトナー像を用いた画像の位置合わせ精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】現像装置の構成の説明図である。
【図3】画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図4】色ずれ補正用パターンの説明図である。
【図5】色ずれ補正用パターンの濃度設定の説明図である。
【図6】パターン検知センサの構成と動作の説明図である。
【図7】一様なトナー載り量の色ずれ補正用パターンの検出信号の説明図である。
【図8】後端のトナー載り量が減少した色ずれ補正用パターンの検出信号の説明図である。
【図9】実施例1の位置合わせモードの制御のフローチャートである。
【図10】現像スリーブの周速度を変更する効果の説明図である。
【図11】実施例2における現像の振動電圧の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、画像形成時とライン状のトナー像形成時とで現像スリーブの回転速度が変更される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0013】
従って、現像装置は、現像室と攪拌室とを水平に配列した横攪拌型には限定されず現像室と攪拌室とを縦又は斜めに配列した縦攪拌型でも実施できる。画像形成装置は、フルカラー/モノクロ、1ドラム型/タンデム型、直接転写方式/記録材搬送方式/中間転写方式、像担持体の種類、帯電方式、露光方式、転写方式、定着方式によらず実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0014】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト9に沿って画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0015】
画像形成部Paでは、感光ドラム1aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト9に転写される。回転体の一例である中間転写ベルト9は、感光ドラム1aに当接して回転して感光ドラム1aからトナー像を転写される。
【0016】
画像形成部Pbでは、感光ドラム1bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト9に転写される。画像形成部Pc、Pdでは、それぞれ感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト9に転写される。
【0017】
中間転写ベルト9に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。分離ローラ12は、記録材カセット10から引き出した記録材Pを1枚ずつに分離して、レジストローラ13へ送り出す。レジストローラ13は、中間転写ベルト9のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ送り込む。四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置20で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、機体外部へ排出される。
【0018】
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置4a、4b、4c、4dで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部Paについて説明し、他の画像形成部Pb、Pc、Pdについては、説明中の符号末尾のaを、b、c、dに読み替えて説明されるものとする。画像形成装置100に用いられる感光ドラム1a、1b、1c、1d及び現像装置4a、4b、4c、4dは、同一の構成を備え、同一に制御される。このため、以下では、感光ドラム1a及び現像装置4aについて説明を行って、他の感光ドラム及び現像装置に関する重複した説明を省略する。
【0019】
画像形成部Paは、感光ドラム1aを囲んで、帯電ローラ2a、露光装置3a、現像装置4a、転写ローラ5a、ドラムクリーニング装置6aを配置している。感光ドラム1aは、アルミニウム製シリンダの外周面に感光層が形成されており、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
【0020】
帯電ローラ2aは、感光ドラム1aに当接して回転し、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて、感光ドラム1aを一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。露光装置3aは、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に画像の静電像を書き込む。現像装置4aは、トナーを感光ドラム1aに供給して静電像をトナー像に現像する。
【0021】
転写ローラ5aは、中間転写ベルト9を押圧して、感光ドラム1aと中間転写ベルト9との間に一次転写部を形成する。転写ローラ5aに直流電圧が印加されることにより、感光ドラム1aに担持されたトナー像が、中間転写ベルト9へ一次転写される。ドラムクリーニング装置6aは、感光ドラム1aにクリーニングブレードを摺擦させて、一次転写部T1aを通過した感光ドラム1aの表面に付着した転写残トナーを回収する。
【0022】
中間転写ベルト9は、テンションローラ16、対向ローラ15、及び駆動ローラ17に掛け渡して支持され、駆動ローラ17に駆動されて矢印R2方向に回転する。二次転写部T2は、対向ローラ15に支持された中間転写ベルト9に二次転写ローラ18を当接して構成される。二次転写ローラ18に直流電圧が印加されることで、中間転写ベルト9に担持されたトナー像は、二次転写部T2を搬送される記録材Pへ二次転写される。ベルトクリーニング装置19は、中間転写ベルト9にクリーニングブレードを摺擦させて、中間転写ベルト9に付着した転写残トナーを回収する。
【0023】
パターン検知センサ7は、中間転写ベルト9に対向して配置され、感光ドラム1a、1b、1c、1dにそれぞれ形成された各色の色ずれ補正用パターンを読み取る光学式のセンサである。
【0024】
<現像装置>
図2は現像装置の構成の説明図である。図2中、(a)は軸垂直断面図、(b)は平断面図である。
【0025】
図2の(a)に示すように、現像剤担持体の一例である現像スリーブ41は、トナーとキャリアを有する現像剤を担持して像担持体の一例である感光ドラム1aに対して対向位置で互いに同方向に表面が移動する方向に回転する。現像スリーブ41は、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて感光ドラム1aの静電像をトナー像に現像する。
【0026】
現像装置4は、非磁性トナー粒子(トナー)と磁性キャリア粒子(キャリア)とを備えた二成分現像剤を使用する。電子写真方式の現像技術において、二成分現像剤を使用する現像装置は、特に、カラー画像形成装置において、トナーに磁性体を含ませなくてもよいため、色味が良好であるなどの理由から広く用いられている。
【0027】
現像装置4は、現像容器40内で現像剤を攪拌してトナーを負極性、キャリアを正極性に帯電させ、帯電した現像剤を磁気ブラシ状態で現像スリーブ41に担持させて感光ドラム1aとの対向部へ搬送する。現像剤の磁気ブラシで感光ドラム1aを摺擦する状態で現像スリーブに振動電圧を印加することにより、現像剤中のトナーが感光ドラム1aの静電像へ移転してトナー像が反転現像される。
【0028】
トナーは、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤を含む負帯電性のポリエステル系樹脂の着色樹脂粒子であって、平均粒径は7μmである。キャリアは、酸化物フェライトの磁性粒子であって、平均粒径が40μm、抵抗率が5×108Ωcm、磁化量が260emu/mlである。
【0029】
図2の(b)に示すように、現像容器40の内部は、隔壁47によって現像室51と攪拌室52とに区画され、現像室51と攪拌室52は、両端部で連通して現像剤の循環経路を構成している。現像室51には現像スクリュー45が配置され、攪拌室52には攪拌スクリュー46が配置されている。現像スクリュー45と攪拌スクリュー46が相互に逆方向へ現像剤を搬送することで、現像室51と攪拌室52を現像剤が攪拌を受けつつ循環する。現像容器40内を循環する現像剤中のトナーとキャリアが摩擦して、トナーが負極性に、キャリアが正極性にそれぞれ帯電する。
【0030】
図2の(a)に示すように、現像容器40の感光ドラム1aに対向する開口部に、現像スリーブ41が感光ドラム1a側に露出して配設されて、画像形成時には、矢印R4方向に回転する。現像スリーブ41は、非磁性体であるアルミニウム管の表面をガラスビーズでブラスト処理している。
【0031】
現像スリーブ41の回転方向における露出部分の上流位置に、現像スリーブ41上に担持された現像剤の層厚を規制する規制ブレード43が配置されている。現像スリーブ41の直径は20mm、感光ドラム1aの直径は80mm、現像スリーブ41と感光ドラム1aの対向距離は300μmである。規制ブレード43と現像スリーブ41の間隙を500μmに設定して、現像スリーブ41上の単位面積当りの現像剤コート量を30mg/cm2に規制している。
【0032】
現像スリーブ41の内部に、マグネットローラ42が非回転に配置されている。マグネットローラ42の磁力が現像剤のキャリアを磁気的に引き付けることにより、回転する現像スリーブ41の表面に現像剤が担持される。現像スリーブ41の表面の現像剤は、現像スリーブ41の回転に伴って、マグネットローラ42の磁極位置で穂立ちして磁気ブラシを形成する。現像スリーブ41と感光ドラム1aの対向部では、現像剤の磁気ブラシの先端が500〜900μmにわたって感光ドラム1を摺擦する。
【0033】
現像スリーブ41は、対向する感光ドラム1aの表面と同一の方向、いわゆるウイズ方向に回転する。感光ドラム1aに対する現像スリーブ41の周速比は、0.5〜2.5の間で設定可能であって、周速比が大きいほど現像効率が高まるが、周速比が大き過ぎると、トナー飛散、現像剤劣化等の問題を生じるので、1.0〜2.0に設定される。
【0034】
電源D4は、直流電圧Vdcに交流電圧Vacを重畳した振動電圧を現像スリーブ41に印加する。ここでは、直流電圧Vdcを−500Vとし、交流電圧Vacのピーク・ツウ・ピーク電圧を800Vとし、交流電圧Vacの周波数fを12kHz、波形を矩形波とした。また、交流電圧を重畳すると、現像効率が増して画像は高品位になるが、逆に画像の白地部にトナーが付着する白地かぶりが発生し易くなる。このため、現像スリーブ41に印加する直流電圧Vdcと感光ドラム1aの帯電電位(白地部電位)VDとの間にかぶり取り電位差VD−Vdc=−200Vを設けて、負極性に帯電したトナーが付着することを防止している。
【0035】
しかし、これらの電圧条件は、この数値の組み合わせに限られるものではない。
【0036】
<位置合わせモード>
図3は画像形成装置の制御系のブロック図である。図4は色ずれ補正用パターンの説明図である。図5は色ずれ補正用パターンの濃度設定の説明図である。図6はパターン検知センサの構成と動作の説明図である。
【0037】
図3に示すように、制御部101は画像形成装置100を制御する。制御部101の制御は、ROM110に格納されているプログラムデータに基づいて行われる。
【0038】
図1に示すように、記録材P上に各色のトナー像が重ねて形成される画像形成装置100では、各色のトナー像の副走査方向の重ね合わせ誤差が出力画像の色ずれを引き起こすため問題となる。中間転写ベルト9上での各色のトナー像の位置ずれの要因には、感光ドラム1aの取り付け誤差、周速変動、感光ドラム1aに対する露光開始タイミングのずれ、露光位置のずれ、中間転写ベルト9の周速誤差等がある。
【0039】
中間転写ベルト9上での各色のトナー像の位置ずれのを回避する方法として、各々の部品精度ならびに部品の取付け精度を高めるだけでは、限界がある。また、画像形成装置100の部品コストや組立コストが高くつき、画像形成装置100の組み立て性が低下する問題もある。画像形成装置100の経時的変化を生じた構成部品を現場で交換した場合、部品交換によるばらつきを解消するために複雑な再調整が必要となる問題もある。
【0040】
そこで、画像形成装置100では、露光開始タイミングを調整して各色トナー像の重ね合わせの位置ずれを自動的に解消させる「位置合わせモード」を実行可能にしている。
【0041】
図4の(a)に示すように、位置合わせモードでは、露光開始タイミングの調整量を決定するために、画像間隔(紙間)に色ずれ補正用パターンQを形成して各色のトナー像の位置ずれを測定する。色ずれ補正用パターンQは、各色のライン状のトナー像であってレジパターンと呼ばれる。色ずれ補正用パターンQは、実際には、副走査方向の位置ずれと同時に主走査方向の位置ずれも測定するため、搬送方向に対して45度、斜めに形成されている。図示するようなパターンを形成することで主走査方向、副走査方向それぞれの色ずれを同時に検知することが出来る。しかし、以下では、説明を簡単にするために、(b)のように副走査方向に平行に配列しているものとする。
【0042】
図5に示すように、色ずれ補正用パターンQは、図1に示す露光装置3aによる1画素あたりの書き込みパルス幅を変えるパルス幅制御によってパターン濃度を変更する。露光装置3aによるレーザー書き込みONのところでは、感光ドラム1aに静電像の明部電位VLが形成されて現像装置3aのトナーが付着する。レーザー書き込みOFFのところでは感光ドラム1aの表面は暗部電位VDのまま静電像が形成されず、現像装置3aのトナーが付着しない。レーザー書き込みONのところとOFFのところは、現像、転写によって平滑化され、0%と100%の中間の階調の画像濃度となる。よって、例えば1画素あたりの書き込みパルス幅を80%と設定すると、色ずれ補正用パターンQ全体の濃度としては濃度80%で均一のパターンが形成される。
【0043】
位置合わせモードは、画像形成の累積枚数が200枚に達するごとに、連続画像形成の画像間隔を広げて画像間隔に色ずれ補正用パターンを形成して、連続画像形成中に自動的に実行させている。また、部品交換時やメンテナンス時には、操作パネルに表示させたサービス画面から位置合わせモードを選択して実行することも可能にしている。
【0044】
図6に示すように、検出手段の一例であるパターン検知センサ7は、中間転写ベルト9に転写されたトナー像の反射光を検出する。パターン検知センサ7は、中間転写ベルト9上のライン状のトナー像を検出可能な反射型光学センサである。パターン検知センサ7は、中間転写ベルト9の表面及び色ずれ補正用パターンQからの反射受光量を乱反射光受光部202を通じて検知して電圧変換したアナログ電圧信号を出力する。パターン検知センサ7は、発光素子(LED)201から中間転写ベルト9へ照射した照射光の乱反射光が受光できるように、発光素子201の入射角と反射角が等しくならない位置に乱反射光受光部202を配置している。パターン検知センサ7は、センサ組み立て時にそれぞれの素子の光軸調整がされており、正確に色ずれ補正用パターンの位置を検出できるようになっている。パターン検知センサ7は、乱反射光受光部202で検知した乱反射光に応じたアナログ電圧信号を出力する。
【0045】
図4の(b)に示す色ずれ補正用パターンQをパターン検知センサ7が検知すると、図4の(c)に示すセンサ出力信号が得られる。図6に示すように、乱反射受光部202では、中間転写ベルト9へ照射した光の反射光の乱反射成分は少ない。このため、センサ出力は低くなり、中間転写ベルト9上にイエロー、マゼンタ、シアンの色ずれ補正用パターンQがある場合は、乱反射成分が多くなるためセンサ出力は高くなる。
【0046】
ブラックの色ずれ補正用パターンQの場合、全吸収されて乱反射成分は少なくなる。しかし、図4の(b)に示すように、副走査方向に対してブラックの色ずれ補正用パターンQで例えばマゼンタパターンの色ずれ補正用パターンQを挟むことによって、図4の(c)に示すようなセンサ出力波形が得られる。ブラックのトナー像は、乱反射成分が少ないためセンサ出力は低くなり、カラーパターンは乱反射成分が多くなるためセンサ出力は高くなる。このため、ブラックの色ずれ補正用パターンQについても、パターン検知センサ7による検出が可能である。
【0047】
図3に示すように、パターン検知センサ7のアナログ電圧信号は、信号発生コンパレータ204及びA/Dコンバータ205に入力される。信号発生コンパレータ204は、所定の閾値によってアナログ電圧信号を二値化したデジタル信号を出力する。A/Dコンバータ205は、アナログ電圧信号を8ビットデジタル信号に変換している。
【0048】
制御部101は、露光装置3a、3b、3c、3dを制御して、感光ドラム1a、1b、1c、1d上に、それぞれ一定形状の色ずれ補正用パターンを形成して中間転写ベルト9に転写する。パターン生成部102は、位置合わせモードで生成する色ずれ補正用パターンの画像データを生成する。パターン濃度調整部120は、露光装置3a、3b、3c、3dのレーザーパワー若しくは1画素あたりの書き込みパルス幅を制御することで、パターンの濃度を調整する。
【0049】
制御部101は、中間転写ベルト9上の各色の色ずれ補正用パターンの検知タイミングをパターン検知センサ7により検知し、各色の色ずれ補正用パターンの検知タイミングのずれから現在発生している各色のトナー像の位置ずれ量を算出する。パターン読み取り制御部103は、信号発生コンパレータ204から出力されたデジタル信号を読み取り、一時的にデータを格納する。色ずれ算出部104は、A/Dコンバータ205の出力から読み取ったパターンデータに基づいて各色ごとのずれを算出する。
【0050】
制御部101は、パターン検知センサ7の出力に基づいて各種の制御を行うことで位置合わせモードを実行して色ずれ補正を行う。色ずれ補正部105は、算出された色ずれ量に基づいて、各色のトナー像の位置ずれを相殺する方向に露光装置3a、3b、3c、3dの露光開始タイミングを修正することで、出力画像の色ずれを低減させている。
【0051】
<パターン中心位置ずれ>
図7は一様なトナー載り量の色ずれ補正用パターンの検出信号の説明図である。図8は後端のトナー載り量が減少した色ずれ補正用パターンの検出信号の説明図である。
【0052】
図3を参照して図7に示すように、制御部101は、乱反射光受光部202で色ずれ補正用パターンQを検知した時のセンサ出力信号を二値化して、色ずれ補正用パターンQの位置(通過時刻)を検知する。乱反射受光部202からのアナログ電圧信号が、所定の閾値より上回っているか、否かを判断して二値化したデジタル信号を出力する。制御部101は、二値化したデジタル信号の立ち上がりと立下りの中央に色ずれ補正用パターンQの位置を決定するため、パターン検知センサ7は、パターン重心検出方式のセンサとして用いられる。
【0053】
ところが、電子写真方式の現像技術において、感光ドラム1a上に現像されるライン状のトナー像では、パターンの副走査方向の後端のトナー載り量が減少する現象が発生する。副走査方向の後端のトナー載り量が減少したライン状のトナー像をパターン重心検出方式のセンサで検出した場合、パターンの位置を正確に検出することができず、色ずれ補正が十分に行えないという問題が発生する。
【0054】
図8の(a)に示すように、中間転写ベルト9上の色ずれ補正用パターンQの後端のトナー載り量が低下していると、図8の(b)に示すように、色ずれ補正用パターンQの後端でアナログ電圧信号が低下する。
【0055】
後端が低下したアナログ電圧信号を閾値で二値化すると、図8の(c)に示すように、二値化したデジタル出力の立ち下がりが先端側にずれてしまう。制御部101は、二値化したデジタル出力の立ち上がりと立ち下がりの中点を算出するので、先端側にずれた位置を色ずれ補正用パターンQの位置と判断してしまう。点線で示すように後端までトナー載り量が一定の場合の色ずれ補正用パターンQの中心位置(○を付した位置)と比較して、後端のトナー載り量が低下すると、二値化した際に色ずれ補正用パターンQの中心位置(×を付した位置)が先端側にずれてしまう。その結果、色ずれ補正用パターンQの正確な位置を検出できなくなって、色ずれ補正のための露光開始タイミングの調整が不適正になる。
【0056】
そこで、このような現象を防ぐために、図5に示すように、色ずれ補正用パターンQの濃度階調を上げることが提案された。ライン状のトナー像のトナー載り量を全体的にかさ上げすることで、現像スリーブ41に形成される磁気ブラシに戻されるトナーの割合が相対的に低下する。このため、後端側のトナー載り量の低下があっても、ライン状のトナー像の位置検出誤差は少なくなる。
【0057】
しかし、現在、市場で求められている色ずれ精度は、日々高くなっており、ライン状のトナー像のトナー載り量を全体的にかさ上げするレベルでは満足されない。そこで、以下の実施例では、現像スリーブ41の回転速度を画像形成時よりも大きく低下させることで、ライン状のトナー像の後端側のトナー載り量が減少する現象自体を除去した。これにより、色ずれ補正用パターンQの副走査方向の先端から後端までトナー載り量が一様になって、図8の(b)に破線で示すようなアナログ電圧信号が得られるようにした。
【0058】
<実施例1>
図9は実施例1の位置合わせモードの制御のフローチャートである。図3に示すように、制御部101は、現像モータ制御部111を有する。現像モータ制御部111は、図2の(b)に示す現像モータ112の回転数を制御することで、画像形成時と色ずれ補正用パターン形成時の現像スリーブ41の周速度を変更している。
【0059】
制御手段の一例である制御部101は、感光ドラム1aからライン状のトナー像を中間転写ベルト9に転写してパターン検知センサ7により検出して画像の位置を調整する調整モードの一例である位置合わせモードを実行する。
【0060】
位置合わせモードにおける感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比は、画像形成時における感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比よりも1に近い。位置合わせモードにおける現像スリーブ41の周速は、感光ドラム1aの周速の0.8倍以上1.2倍以下である。これに対して、画像形成時における現像スリーブ41の周速は、感光ドラム1aの周速の2倍、したがって、1.3倍以上である。
【0061】
図3を参照して図9に示すように、制御部101は、画像形成装置100の電源が入り、プリントジョブが開始されたことを検出したら(S601のYes)、プリント動作を開始する(S602)。
【0062】
制御部101は、プリント動作を開始する際、プリント枚数がある所定値以上となったオートレジタイミングの場合(S603のYes)、位置合わせモード(オートレジ動作)を行う(S604〜S608)。位置合わせモードは、連続画像形成の画像間隔(紙間)でダウンタイムを設けて実行するため、位置合わせモードの間の画像形成は中断される。
【0063】
制御部101は、プリントジョブが終了か否かを判断する(S610)。プリントジョブが終了していない場合(S610のNo)、プリント動作を繰り返す(S603〜S608)。しかし、プリントジョブが終了した場合(S610のYes)、プリント動作を終了する。
【0064】
制御部101は、位置合わせモード開始の命令を受け取ったら(S603のYes)、現像装置4aに備えられた現像スリーブ41の周速度を変更する。位置合わせモード時は、画像形成時よりも感光ドラム1の周速度と等速に近くなるように、現像モータ制御部111で現像モータ112の回転数を変更する(S604)。
【0065】
実施例1においては、画像形成時の感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比を1:2とし、位置合わせモード時の感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比を1:1とした。感光ドラム1aの周速は固定とし、周速の変更は現像スリーブ41のみ行っている。
【0066】
すなわち、画像形成時は、所定の画像濃度が必要となるため、現像性を上げて静電像により多くのトナーが付着することが望ましい。このため、現像スリーブ41の周速を感光ドラム1の周速よりも高くしていることが一般的である。したがって、画像形成時における感光ドラム1と現像スリーブ41の周速比は、1:1.3から1:2.5までの範囲が好ましい。
【0067】
これに対して、位置合わせモード時は、各色画像の位置ずれ補正のために、線幅方向(副走査方向)に均一なトナー載り量の色ずれ補正用パターンQのトナー像を現像して、重心位置が線幅の中心に一致することが望ましい。このため、実施例1では、画像形成時よりも現像スリーブ41の周速を感光ドラム1の周速に近い値に変更している。色ずれ補正用パターンQのトナー像は、出力物として目に触れることがなく、パターン検知センサ7で検出可能なトナー像の濃度であればよいため、求められるトナー像の濃度は高くない。したがって、色ずれ補正用パターンQ形成時における感光ドラム1と現像スリーブ41の周速比は、1:0.8から1:1.2の範囲が好適である。
【0068】
制御部101は、パターン生成部102にて生成した各色の色ずれ補正用パターンQの静電像を、露光装置3a、3b、3c、3dにより感光ドラム1a、1b、1c、1dに形成して、現像装置4a、4b、4c、4dにより現像する(S605)。
【0069】
制御部101は、図4の(a)に示すように、中間転写ベルト9に転写された各色の色ずれ補正用パターンQのトナー像を、乱反射光受光部202にて検知する(S606)。乱反射光受光部202の出力信号は、信号発生コンパレータ204により二値化されて、パターン読み取り制御部103に一時的に格納されてパターンデータを読み取られる。色ずれ算出部104が、読み取ったパターンデータに基づいて色ずれ量を算出する(S607)。色ずれ補正部105は、色ずれ算出部104が算出した色ずれ量に基づいて露光装置3a、3b、3c、3dの書き込み開始タイミングを補正する(S608)。
【0070】
制御部101は、色ずれ補正を行うと同時に、次の画像形成タイミングに間に合うように、現像モータ制御部111を制御して現像モータ112の回転数を元に戻している(S609)。
【0071】
実施例1の制御によれば、色ずれ補正用パターンQの形成時は、感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比を画像形成時よりも1に近く変更することで、色ずれ補正用パターンQの副走査方向後端が濃度薄になることを防止する。このため、画像形成時の出力画像の濃度を維持しつつ、精度の良い色ずれ補正用パターンQ検知を行うことが出来る。現像スリーブ41の周速を、感光ドラム1aの周速に対して等速に近くなるように変更することで、画像形成時の出力画像の濃度を所定の濃度に維持しつつ、色ずれ補正用パターンQの副走査方向後端の濃度薄を回避する。
【0072】
なお、実施例1では、乱反射光受光部202によりパターンを検知する構成としたが、正反射光受光部によるパターン検知を行う光学センサを採用した構成でも同様な制御を実施できる。
【0073】
また、実施例1では、乱反射光受光部202により検出された光量における信号波形において、ある閾値に基づいてコンパレートすることでパルス信号を発生させ、パルスの重心位置を算出することで色ずれ補正用パターンQの位置を測定する仕様とした。しかし、図8の(b)に示すアナログ信号波形のピーク値を検知してパルス信号を発生させて色ずれ補正用パターンQの位置を測定する仕様としてもよい。
【0074】
<トナー載り量が一様になる理由>
図10は現像スリーブの周速度を変更する効果の説明図である。図2の(a)に示すように、現像装置4aは、感光ドラム1aと現像スリーブ41とが対向面が追い越す方向に相対移動する所謂ウイズ回転現像方式を採用している。ウイズ回転現像方式は、感光ドラム1aと現像スリーブ41とがすれ違う方向に回転するカウンター回転現像方式に比較して、磁気ブラシと感光ドラム1aの摺擦力が小さく、より高画質な画像を得られるメリットがある。
【0075】
ウイズ回転現像方式は、現像スリーブ41から感光ドラム1aにトナーを現像する際、現像スリーブ41に内包されたマグネットローラ42による磁束線に沿って、現像スリーブ41上に磁気ブラシが形成される。そして、電気力及び電界力により磁気ブラシのキャリアからトナーが引き剥がされて、トナーが感光ドラム1a上の静電像に現像される。ウイズ回転現像方式において、現像性を高めるためには、感光ドラム1aの周速度に対して現像スリーブ41の周速度を速くすることが一般的である。これは、感光ドラム1a上の静電像パターンに対して、より多くのトナーに現像機会を与えられるからである。
【0076】
しかし、ウイズ回転現像方式において、感光ドラム1aの周速度に対して現像スリーブ41の周速度が速い場合、色ずれ補正用パターンQのトナー像において、副走査方向後端濃度薄の現象が発生することが判明した。
【0077】
図10に示すように、感光ドラム1aと現像スリーブ41が最近接する現像領域近傍では、磁気ブラシ(磁気穂)が感光ドラム1aの静電像を摺擦する。現像スリーブ41の周速度が速い場合、現像が終了した色ずれ補正用パターンQの副走査方向の後端位置では、明部電位VDの表面を摺擦した磁気ブラシの先端が後から追いかけてきて色ずれ補正用パターンQからトナーを一部はぎ取ってしまう。暗部電位VDの領域を摺擦すると磁気ブラシの先端部のトナー密度が粗になるため、振動電圧下で、色ずれ補正用パターンQから磁気ブラシへトナーが戻り易くなる。このため、明部電位VDの領域を摺擦してトナー密度が密になった磁気ブラシに接触して現像が終了する色ずれ補正用パターンQの副走査方向先端及び中央よりも後端でトナーが少なく現像される。
【0078】
言い換えれば、現像スリーブ41の周速度が速い場合、感光ドラム1a上にトナーが現像される静電像が存在している領域を通過して、トナーが現像されない潜像パターンが存在する領域上を通過する。トナーが現像しない静電像が存在する領域上ではトナーが現像スリーブ41側に移動する力が働いているため、磁気ブラシ先端はキャリアのみがプラス電荷を持って存在する。このプラス電荷は、トナーが現像される静電像上の一度現像されたトナーを引き剥がす。このため、トナー像の副走査方向の後端のみ濃度が薄くなってしまう。
【0079】
図10に示すように、現像装置4aが感光ドラム1aにトナー像を現像する際に、現像スリーブ41に内包されたマグネットローラ42による磁束線に沿って、現像スリーブ41上に磁気ブラシが形成される。この磁気ブラシは、トナーとキャリアから形成され、感光ドラム1a上の静電像が形成された位置にトナー像が現像される。その際、現像スリーブ41にキャリアで形成された磁気ブラシ(プラス帯電)により一度感光ドラム1aに移ったトナー(マイナス帯電)が磁気ブラシの先端Hに戻される現象(いわゆるカウンターチャージ)が発生する。
【0080】
画像形成時には、現像性を高めるため、感光ドラム1aの周速に対して現像スリーブ41の周速を速くすることが一般的である。すると、次なる磁気ブラシに付着しているトナーが感光ドラム1aに移るということが繰り返される。よって、ある一定量のトナーが感光ドラム1aに現像される。しかし、色ずれ補正用パターンQの画像域と非画像域の境界部である副走査方向後端部においては、非画像域を通過したトナーを現像させない電界領域を通過した磁気ブラシが副走査方向後端部を通過する。マイナスの電荷面を摺擦してトナーが現像スリーブ41側に偏ったトナー不足の磁気ブラシが後追い的に色ずれ補正用パターンQを摺擦する。このため、その部分では、AC電圧下、トナーが静電像を現像する以上にトナーが磁気ブラシに戻される傾向となり、感光ドラム1a上のトナー載り量が低下する。画像形成時は、像担持体と現像剤担持体の周速比が1よりもかなり大きいため、ライン状の静電像を現像してトナー像を形成した際の線幅方向のトナー載り量の偏りが大きくなる。
【0081】
特に、感光ドラム1a周囲の湿度が高い場合、トナー帯電量が低下するため、感光ドラム1aに対するトナーの付着力が低下し、トナーが磁気ブラシに戻され易くなるため、色ずれ補正用パターンQの副走査方向後端部のトナー載り量低下が顕著となる。色ずれ補正用パターンQのトナー像において、副走査方向後端で濃度薄となる現象の発生原理は以上のようになる。
【0082】
そこで、実施例1では、感光ドラム1aの周速度と現像スリーブ41の周速度とを近づけることで、トナーが現像される静電像を現像スリーブ41上の磁気ブラシが通過してトナーが現像されない静電像上を通過しないようにした。その結果、色ずれ補正用パターンQの副走査方向後端が濃度薄になることを防止して、精度の良いパターン検知を行うことができた。調整モードでは、像担持体と現像剤担持体の周速比を1に近づけることで、ライン状の静電像を現像してトナー像を形成した際の線幅方向のトナー載り量の偏りを少なくする。
【0083】
<実施例2>
図11は実施例2における現像の振動電圧の説明図である。実施例1では、画像形成時と位置合わせモード時とで現像スリーブ41の周速度のみを変更した。実施例2では、画像形成時と位置合わせモード時とで現像スリーブ41の周速度はもちろん、その他の現像装置の運転条件についても変更を行って、色ずれ補正用パターンの現像に最適化を図った。したがって、画像形成装置、現像装置、現像スリーブの周速度に関する実施例1と重複した説明は省略して、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
【0084】
図2の(a)に示すように、画像形成装置100の生産性を高めるためにプロセススピードが増速した場合に対応するため、実施例1よりも画像形成時の“現像剤搬送速度が増大されている。画像形成装置100のプロセススピードを増加させた場合、感光ドラム1a及び現像スリーブ41ともに周速度を増加させることが一般的である。その時、感光ドラム1a及び現像スリーブ41間の現像領域を現像スリーブ41上の磁気穂が通過する速度も速くなる。
【0085】
その結果、現像効率、つまり、静電像へのトナーの付与率が低下してしまい、出力画像の濃度が低下することがある。さらに、実施例1で述べたように、色ずれ補正用パターンQの形成時は、感光ドラム1aの周速度と現像スリーブ41の周速度を等速に近くなるように変更するため、色ずれ補正用パターンQの濃度が低下して、パターン検知センサ7で検知しにくくなる。
【0086】
そこで、実施例2では、色ずれ補正用パターンQ形成時の現像効率を上げるために、現像スリーブ41の周速度が低くても、色ずれ補正用パターンQの副走査方向後端の濃度薄がなくなるように、以下に示すように現像条件を変更している。
【0087】
従来から、静電像へのトナーの付与率を向上させるために、現像スリーブ41には電源D4から直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が印加されている。実施例2では、画像形成時は、上述したように、直流電圧Vdcを−500Vとし、交流電圧Vacのピーク・ツウ・ピーク電圧を800Vとし、交流電圧Vacの周波数fを12kHz、波形を矩形波とした。そして、色ずれ補正用パターンQの形成時は、このうち、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vppを1800Vに変更して、その他の条件は同一とした。
【0088】
ここで、あまりにも静電像へのトナーの付与率を向上させると、現像効率が増して画像は高品位になるが、逆に画像の白地部にトナーが付着するかぶり画像や微小放電跡が画像に目立って画像の美観が低下する等の問題が発生する。しかし、色ずれ補正用パターンQ形成時においては、出力画像として目に触れることが無いから画像の美観は問われず、パターン検知センサ7で検知できることを優先してトナーの付与率を相当に向上させても問題とならない。
【0089】
なお、一般に、静電像へのトナーの付与率を向上させる方法は、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vppを大きくすることには限られない。感光ドラム1a上の明部電位VLと現像スリーブ41に印加する直流電圧Vdcの差分である現像コントラストを大きくすることも考えられる。交流電圧の周波数fを大きくすることも考えられる。したがって、現像コントラスト、交流電圧のピーク・ツウ・ピーク電圧Vpp、交流電圧の周波数fの何れ1つ、もしくは何れか2つ、もしくは全てを変更させて、静電像へのトナーの付与率を向上させても問題ない。
【0090】
したがって、位置合わせモードにおける交流電圧は、画像形成時の前記交流電圧よりも振幅が大きい。又は、位置合わせモードにおける交流電圧は、画像形成時の前記交流電圧よりも周波数が高い。又は、位置合わせモードにおける直流電圧は、画像形成時の前記直流電圧よりも電圧が高い。
【0091】
実施例2では、画像形成時に対して、色ずれ補正用パターンQ形成時においては、感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比を等しくして、色ずれ補正用パターンQの搬送方向後端が濃度薄になることを防止する。且つ、静電像へのトナーの付与率を向上させる方向に現像スリーブ41印加電圧条件を変更する。これにより、色ずれ補正用パターンQの濃度を確保し、パターン検知センサ7による精度の良いパターン検知を行うことができた。
【0092】
以上、2つの実施例によって本発明の画像形成装置を説明したが、上記に挙げた構成に限られるものではなく、本発明の提案に従ってさまざまな構成をとることが可能である。本発明によれば、より高精度なパターン検出を行うことができ、高精度な色ずれ補正を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0093】
1a、1b、1c、1d 感光ドラム
2a、2b、2c、2d 帯電ローラ
3a、3b、3c、3d 露光装置
4a、4b、4c、4d 現像装置
5a、5b、5c、5d 転写ローラ
7 パターン検知センサ 9 中間転写ベルト
40 現像容器、41 現像スリーブ、42 マグネットローラ
45 現像スクリュー、46 攪拌スクリュー、51 現像室、
52 攪拌室、100 画像形成装置、101 制御部
102 パターン生成部、103 パターン読み取り制御部
104 色ずれ算出部、105 色ずれ補正部
111 現像モータ制御部、112 現像モータ
120 パターン濃度調整部、202 乱反射光受光部
204 信号発生コンパレータ、205 A/Dコンバータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体に転写されたライン状のトナー像の位置を検出して像担持体に形成される画像位置を調整する画像形成装置、詳しくはライン状の静電像をトナーで現像した際にトナー載り量が線幅方向で偏りにくい現像装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体に形成したトナー像を回転体(記録材担持体)に担持された記録材又は回転体(中間転写体)に転写する画像形成装置が広く用いられている。これらの画像形成装置では、像担持体に形成される画像(トナー像)の位置を調整するために、像担持体にライン状のトナー像を形成して回転体に転写し、回転体上で光学的に検出している(特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、記録材搬送ベルトに沿って現像色がブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4つの像担持体を配置したフルカラー画像形成装置が示される。ここでは、4つの像担持体において所定のタイミングで露光して現像したライン状のトナー像(色ずれ補正用パターン)を記録材搬送ベルトに転写して、記録材搬送ベルトに対向配置した反射型センサにより光学的に検出している。そして、各色の色ずれ補正用パターンが反射型センサによって検出された時刻の時間差を計測して、4つの像担持体における露光開始タイミングを調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−248721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
記録材搬送ベルトに転写されたライン状のトナー像を反射型センサによって線幅方向に検出する場合、線幅方向にトナー像の偏りがあると、ライン状のトナー像の検出位置(検出タイミング)に誤差が発生することが判明した。反射型センサの検出光スポットがライン状のトナー像を横切った際の反射光のピークは、ライン状のトナー像の中心線よりもトナー載り量の重心側に偏っている。
【0006】
そのため、ライン状のトナー像において線幅方向のトナー載り量に偏りがある場合、反射光のピークを検出して像担持体の画像形成の開始タイミングを設定すると、像担持体に形成された画像に位置ずれが発生する。その結果、他の像担持体に形成された画像と重ね合わせに誤差が発生して色ずれを十分に解消できない可能性がある。
【0007】
本発明は、ライン状のトナー像の現像時における線幅方向のトナー載り量の偏りを少なくして、ライン状のトナー像を用いた画像の位置合わせ精度を高めることができる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、回転する像担持体と、トナーとキャリアを有する現像剤を担持して前記像担持体に対して対向位置で互いに同方向に表面が移動する方向に回転し、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて前記像担持体の静電像をトナー像に現像する現像剤担持体と、前記像担持体に当接して回転して前記像担持体からトナー像を転写される回転体と、前記回転体に転写されたトナー像の反射光を検出する検出手段と、前記像担持体からライン状のトナー像を前記回転体に転写して前記検出手段により検出して画像の位置を調整する調整モードを実行する制御手段とを備えるものである。そして、前記調整モードにおける前記像担持体と前記現像剤担持体の周速比は、画像形成時における前記像担持体と前記現像剤担持体の周速比よりも1に近い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置では、画像形成時と調整モード時とで現像剤担持体の周速度を変更することで、ライン状の静電像を現像してトナー像を形成した際の線幅方向のトナー載り量の偏りを少なくする。偏りが少なくなる理由は後述するが、従来から、画像形成時には現像効率を高めて画像濃度の再現性を優先するために現像剤担持体の周速度を像担持体の周速度よりも相当に高くしている。
【0010】
しかし、調整モード時は、画像濃度の再現性を無視してライン状の静電像を線幅方向に等しいトナー載り量で現像することを優先して、現像剤担持体と像担持体との周速度差を小さくする。したがって、ライン状のトナー像の現像時における線幅方向のトナー載り量の偏りを少なくして、ライン状のトナー像を用いた画像の位置合わせ精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】現像装置の構成の説明図である。
【図3】画像形成装置の制御系のブロック図である。
【図4】色ずれ補正用パターンの説明図である。
【図5】色ずれ補正用パターンの濃度設定の説明図である。
【図6】パターン検知センサの構成と動作の説明図である。
【図7】一様なトナー載り量の色ずれ補正用パターンの検出信号の説明図である。
【図8】後端のトナー載り量が減少した色ずれ補正用パターンの検出信号の説明図である。
【図9】実施例1の位置合わせモードの制御のフローチャートである。
【図10】現像スリーブの周速度を変更する効果の説明図である。
【図11】実施例2における現像の振動電圧の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、画像形成時とライン状のトナー像形成時とで現像スリーブの回転速度が変更される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0013】
従って、現像装置は、現像室と攪拌室とを水平に配列した横攪拌型には限定されず現像室と攪拌室とを縦又は斜めに配列した縦攪拌型でも実施できる。画像形成装置は、フルカラー/モノクロ、1ドラム型/タンデム型、直接転写方式/記録材搬送方式/中間転写方式、像担持体の種類、帯電方式、露光方式、転写方式、定着方式によらず実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0014】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト9に沿って画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
【0015】
画像形成部Paでは、感光ドラム1aにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト9に転写される。回転体の一例である中間転写ベルト9は、感光ドラム1aに当接して回転して感光ドラム1aからトナー像を転写される。
【0016】
画像形成部Pbでは、感光ドラム1bにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト9に転写される。画像形成部Pc、Pdでは、それぞれ感光ドラム1c、1dにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト9に転写される。
【0017】
中間転写ベルト9に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。分離ローラ12は、記録材カセット10から引き出した記録材Pを1枚ずつに分離して、レジストローラ13へ送り出す。レジストローラ13は、中間転写ベルト9のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ送り込む。四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置20で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、機体外部へ排出される。
【0018】
画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、現像装置4a、4b、4c、4dで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部Paについて説明し、他の画像形成部Pb、Pc、Pdについては、説明中の符号末尾のaを、b、c、dに読み替えて説明されるものとする。画像形成装置100に用いられる感光ドラム1a、1b、1c、1d及び現像装置4a、4b、4c、4dは、同一の構成を備え、同一に制御される。このため、以下では、感光ドラム1a及び現像装置4aについて説明を行って、他の感光ドラム及び現像装置に関する重複した説明を省略する。
【0019】
画像形成部Paは、感光ドラム1aを囲んで、帯電ローラ2a、露光装置3a、現像装置4a、転写ローラ5a、ドラムクリーニング装置6aを配置している。感光ドラム1aは、アルミニウム製シリンダの外周面に感光層が形成されており、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
【0020】
帯電ローラ2aは、感光ドラム1aに当接して回転し、負極性の直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて、感光ドラム1aを一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。露光装置3aは、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に画像の静電像を書き込む。現像装置4aは、トナーを感光ドラム1aに供給して静電像をトナー像に現像する。
【0021】
転写ローラ5aは、中間転写ベルト9を押圧して、感光ドラム1aと中間転写ベルト9との間に一次転写部を形成する。転写ローラ5aに直流電圧が印加されることにより、感光ドラム1aに担持されたトナー像が、中間転写ベルト9へ一次転写される。ドラムクリーニング装置6aは、感光ドラム1aにクリーニングブレードを摺擦させて、一次転写部T1aを通過した感光ドラム1aの表面に付着した転写残トナーを回収する。
【0022】
中間転写ベルト9は、テンションローラ16、対向ローラ15、及び駆動ローラ17に掛け渡して支持され、駆動ローラ17に駆動されて矢印R2方向に回転する。二次転写部T2は、対向ローラ15に支持された中間転写ベルト9に二次転写ローラ18を当接して構成される。二次転写ローラ18に直流電圧が印加されることで、中間転写ベルト9に担持されたトナー像は、二次転写部T2を搬送される記録材Pへ二次転写される。ベルトクリーニング装置19は、中間転写ベルト9にクリーニングブレードを摺擦させて、中間転写ベルト9に付着した転写残トナーを回収する。
【0023】
パターン検知センサ7は、中間転写ベルト9に対向して配置され、感光ドラム1a、1b、1c、1dにそれぞれ形成された各色の色ずれ補正用パターンを読み取る光学式のセンサである。
【0024】
<現像装置>
図2は現像装置の構成の説明図である。図2中、(a)は軸垂直断面図、(b)は平断面図である。
【0025】
図2の(a)に示すように、現像剤担持体の一例である現像スリーブ41は、トナーとキャリアを有する現像剤を担持して像担持体の一例である感光ドラム1aに対して対向位置で互いに同方向に表面が移動する方向に回転する。現像スリーブ41は、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて感光ドラム1aの静電像をトナー像に現像する。
【0026】
現像装置4は、非磁性トナー粒子(トナー)と磁性キャリア粒子(キャリア)とを備えた二成分現像剤を使用する。電子写真方式の現像技術において、二成分現像剤を使用する現像装置は、特に、カラー画像形成装置において、トナーに磁性体を含ませなくてもよいため、色味が良好であるなどの理由から広く用いられている。
【0027】
現像装置4は、現像容器40内で現像剤を攪拌してトナーを負極性、キャリアを正極性に帯電させ、帯電した現像剤を磁気ブラシ状態で現像スリーブ41に担持させて感光ドラム1aとの対向部へ搬送する。現像剤の磁気ブラシで感光ドラム1aを摺擦する状態で現像スリーブに振動電圧を印加することにより、現像剤中のトナーが感光ドラム1aの静電像へ移転してトナー像が反転現像される。
【0028】
トナーは、結着樹脂、着色剤、その他の添加剤を含む負帯電性のポリエステル系樹脂の着色樹脂粒子であって、平均粒径は7μmである。キャリアは、酸化物フェライトの磁性粒子であって、平均粒径が40μm、抵抗率が5×108Ωcm、磁化量が260emu/mlである。
【0029】
図2の(b)に示すように、現像容器40の内部は、隔壁47によって現像室51と攪拌室52とに区画され、現像室51と攪拌室52は、両端部で連通して現像剤の循環経路を構成している。現像室51には現像スクリュー45が配置され、攪拌室52には攪拌スクリュー46が配置されている。現像スクリュー45と攪拌スクリュー46が相互に逆方向へ現像剤を搬送することで、現像室51と攪拌室52を現像剤が攪拌を受けつつ循環する。現像容器40内を循環する現像剤中のトナーとキャリアが摩擦して、トナーが負極性に、キャリアが正極性にそれぞれ帯電する。
【0030】
図2の(a)に示すように、現像容器40の感光ドラム1aに対向する開口部に、現像スリーブ41が感光ドラム1a側に露出して配設されて、画像形成時には、矢印R4方向に回転する。現像スリーブ41は、非磁性体であるアルミニウム管の表面をガラスビーズでブラスト処理している。
【0031】
現像スリーブ41の回転方向における露出部分の上流位置に、現像スリーブ41上に担持された現像剤の層厚を規制する規制ブレード43が配置されている。現像スリーブ41の直径は20mm、感光ドラム1aの直径は80mm、現像スリーブ41と感光ドラム1aの対向距離は300μmである。規制ブレード43と現像スリーブ41の間隙を500μmに設定して、現像スリーブ41上の単位面積当りの現像剤コート量を30mg/cm2に規制している。
【0032】
現像スリーブ41の内部に、マグネットローラ42が非回転に配置されている。マグネットローラ42の磁力が現像剤のキャリアを磁気的に引き付けることにより、回転する現像スリーブ41の表面に現像剤が担持される。現像スリーブ41の表面の現像剤は、現像スリーブ41の回転に伴って、マグネットローラ42の磁極位置で穂立ちして磁気ブラシを形成する。現像スリーブ41と感光ドラム1aの対向部では、現像剤の磁気ブラシの先端が500〜900μmにわたって感光ドラム1を摺擦する。
【0033】
現像スリーブ41は、対向する感光ドラム1aの表面と同一の方向、いわゆるウイズ方向に回転する。感光ドラム1aに対する現像スリーブ41の周速比は、0.5〜2.5の間で設定可能であって、周速比が大きいほど現像効率が高まるが、周速比が大き過ぎると、トナー飛散、現像剤劣化等の問題を生じるので、1.0〜2.0に設定される。
【0034】
電源D4は、直流電圧Vdcに交流電圧Vacを重畳した振動電圧を現像スリーブ41に印加する。ここでは、直流電圧Vdcを−500Vとし、交流電圧Vacのピーク・ツウ・ピーク電圧を800Vとし、交流電圧Vacの周波数fを12kHz、波形を矩形波とした。また、交流電圧を重畳すると、現像効率が増して画像は高品位になるが、逆に画像の白地部にトナーが付着する白地かぶりが発生し易くなる。このため、現像スリーブ41に印加する直流電圧Vdcと感光ドラム1aの帯電電位(白地部電位)VDとの間にかぶり取り電位差VD−Vdc=−200Vを設けて、負極性に帯電したトナーが付着することを防止している。
【0035】
しかし、これらの電圧条件は、この数値の組み合わせに限られるものではない。
【0036】
<位置合わせモード>
図3は画像形成装置の制御系のブロック図である。図4は色ずれ補正用パターンの説明図である。図5は色ずれ補正用パターンの濃度設定の説明図である。図6はパターン検知センサの構成と動作の説明図である。
【0037】
図3に示すように、制御部101は画像形成装置100を制御する。制御部101の制御は、ROM110に格納されているプログラムデータに基づいて行われる。
【0038】
図1に示すように、記録材P上に各色のトナー像が重ねて形成される画像形成装置100では、各色のトナー像の副走査方向の重ね合わせ誤差が出力画像の色ずれを引き起こすため問題となる。中間転写ベルト9上での各色のトナー像の位置ずれの要因には、感光ドラム1aの取り付け誤差、周速変動、感光ドラム1aに対する露光開始タイミングのずれ、露光位置のずれ、中間転写ベルト9の周速誤差等がある。
【0039】
中間転写ベルト9上での各色のトナー像の位置ずれのを回避する方法として、各々の部品精度ならびに部品の取付け精度を高めるだけでは、限界がある。また、画像形成装置100の部品コストや組立コストが高くつき、画像形成装置100の組み立て性が低下する問題もある。画像形成装置100の経時的変化を生じた構成部品を現場で交換した場合、部品交換によるばらつきを解消するために複雑な再調整が必要となる問題もある。
【0040】
そこで、画像形成装置100では、露光開始タイミングを調整して各色トナー像の重ね合わせの位置ずれを自動的に解消させる「位置合わせモード」を実行可能にしている。
【0041】
図4の(a)に示すように、位置合わせモードでは、露光開始タイミングの調整量を決定するために、画像間隔(紙間)に色ずれ補正用パターンQを形成して各色のトナー像の位置ずれを測定する。色ずれ補正用パターンQは、各色のライン状のトナー像であってレジパターンと呼ばれる。色ずれ補正用パターンQは、実際には、副走査方向の位置ずれと同時に主走査方向の位置ずれも測定するため、搬送方向に対して45度、斜めに形成されている。図示するようなパターンを形成することで主走査方向、副走査方向それぞれの色ずれを同時に検知することが出来る。しかし、以下では、説明を簡単にするために、(b)のように副走査方向に平行に配列しているものとする。
【0042】
図5に示すように、色ずれ補正用パターンQは、図1に示す露光装置3aによる1画素あたりの書き込みパルス幅を変えるパルス幅制御によってパターン濃度を変更する。露光装置3aによるレーザー書き込みONのところでは、感光ドラム1aに静電像の明部電位VLが形成されて現像装置3aのトナーが付着する。レーザー書き込みOFFのところでは感光ドラム1aの表面は暗部電位VDのまま静電像が形成されず、現像装置3aのトナーが付着しない。レーザー書き込みONのところとOFFのところは、現像、転写によって平滑化され、0%と100%の中間の階調の画像濃度となる。よって、例えば1画素あたりの書き込みパルス幅を80%と設定すると、色ずれ補正用パターンQ全体の濃度としては濃度80%で均一のパターンが形成される。
【0043】
位置合わせモードは、画像形成の累積枚数が200枚に達するごとに、連続画像形成の画像間隔を広げて画像間隔に色ずれ補正用パターンを形成して、連続画像形成中に自動的に実行させている。また、部品交換時やメンテナンス時には、操作パネルに表示させたサービス画面から位置合わせモードを選択して実行することも可能にしている。
【0044】
図6に示すように、検出手段の一例であるパターン検知センサ7は、中間転写ベルト9に転写されたトナー像の反射光を検出する。パターン検知センサ7は、中間転写ベルト9上のライン状のトナー像を検出可能な反射型光学センサである。パターン検知センサ7は、中間転写ベルト9の表面及び色ずれ補正用パターンQからの反射受光量を乱反射光受光部202を通じて検知して電圧変換したアナログ電圧信号を出力する。パターン検知センサ7は、発光素子(LED)201から中間転写ベルト9へ照射した照射光の乱反射光が受光できるように、発光素子201の入射角と反射角が等しくならない位置に乱反射光受光部202を配置している。パターン検知センサ7は、センサ組み立て時にそれぞれの素子の光軸調整がされており、正確に色ずれ補正用パターンの位置を検出できるようになっている。パターン検知センサ7は、乱反射光受光部202で検知した乱反射光に応じたアナログ電圧信号を出力する。
【0045】
図4の(b)に示す色ずれ補正用パターンQをパターン検知センサ7が検知すると、図4の(c)に示すセンサ出力信号が得られる。図6に示すように、乱反射受光部202では、中間転写ベルト9へ照射した光の反射光の乱反射成分は少ない。このため、センサ出力は低くなり、中間転写ベルト9上にイエロー、マゼンタ、シアンの色ずれ補正用パターンQがある場合は、乱反射成分が多くなるためセンサ出力は高くなる。
【0046】
ブラックの色ずれ補正用パターンQの場合、全吸収されて乱反射成分は少なくなる。しかし、図4の(b)に示すように、副走査方向に対してブラックの色ずれ補正用パターンQで例えばマゼンタパターンの色ずれ補正用パターンQを挟むことによって、図4の(c)に示すようなセンサ出力波形が得られる。ブラックのトナー像は、乱反射成分が少ないためセンサ出力は低くなり、カラーパターンは乱反射成分が多くなるためセンサ出力は高くなる。このため、ブラックの色ずれ補正用パターンQについても、パターン検知センサ7による検出が可能である。
【0047】
図3に示すように、パターン検知センサ7のアナログ電圧信号は、信号発生コンパレータ204及びA/Dコンバータ205に入力される。信号発生コンパレータ204は、所定の閾値によってアナログ電圧信号を二値化したデジタル信号を出力する。A/Dコンバータ205は、アナログ電圧信号を8ビットデジタル信号に変換している。
【0048】
制御部101は、露光装置3a、3b、3c、3dを制御して、感光ドラム1a、1b、1c、1d上に、それぞれ一定形状の色ずれ補正用パターンを形成して中間転写ベルト9に転写する。パターン生成部102は、位置合わせモードで生成する色ずれ補正用パターンの画像データを生成する。パターン濃度調整部120は、露光装置3a、3b、3c、3dのレーザーパワー若しくは1画素あたりの書き込みパルス幅を制御することで、パターンの濃度を調整する。
【0049】
制御部101は、中間転写ベルト9上の各色の色ずれ補正用パターンの検知タイミングをパターン検知センサ7により検知し、各色の色ずれ補正用パターンの検知タイミングのずれから現在発生している各色のトナー像の位置ずれ量を算出する。パターン読み取り制御部103は、信号発生コンパレータ204から出力されたデジタル信号を読み取り、一時的にデータを格納する。色ずれ算出部104は、A/Dコンバータ205の出力から読み取ったパターンデータに基づいて各色ごとのずれを算出する。
【0050】
制御部101は、パターン検知センサ7の出力に基づいて各種の制御を行うことで位置合わせモードを実行して色ずれ補正を行う。色ずれ補正部105は、算出された色ずれ量に基づいて、各色のトナー像の位置ずれを相殺する方向に露光装置3a、3b、3c、3dの露光開始タイミングを修正することで、出力画像の色ずれを低減させている。
【0051】
<パターン中心位置ずれ>
図7は一様なトナー載り量の色ずれ補正用パターンの検出信号の説明図である。図8は後端のトナー載り量が減少した色ずれ補正用パターンの検出信号の説明図である。
【0052】
図3を参照して図7に示すように、制御部101は、乱反射光受光部202で色ずれ補正用パターンQを検知した時のセンサ出力信号を二値化して、色ずれ補正用パターンQの位置(通過時刻)を検知する。乱反射受光部202からのアナログ電圧信号が、所定の閾値より上回っているか、否かを判断して二値化したデジタル信号を出力する。制御部101は、二値化したデジタル信号の立ち上がりと立下りの中央に色ずれ補正用パターンQの位置を決定するため、パターン検知センサ7は、パターン重心検出方式のセンサとして用いられる。
【0053】
ところが、電子写真方式の現像技術において、感光ドラム1a上に現像されるライン状のトナー像では、パターンの副走査方向の後端のトナー載り量が減少する現象が発生する。副走査方向の後端のトナー載り量が減少したライン状のトナー像をパターン重心検出方式のセンサで検出した場合、パターンの位置を正確に検出することができず、色ずれ補正が十分に行えないという問題が発生する。
【0054】
図8の(a)に示すように、中間転写ベルト9上の色ずれ補正用パターンQの後端のトナー載り量が低下していると、図8の(b)に示すように、色ずれ補正用パターンQの後端でアナログ電圧信号が低下する。
【0055】
後端が低下したアナログ電圧信号を閾値で二値化すると、図8の(c)に示すように、二値化したデジタル出力の立ち下がりが先端側にずれてしまう。制御部101は、二値化したデジタル出力の立ち上がりと立ち下がりの中点を算出するので、先端側にずれた位置を色ずれ補正用パターンQの位置と判断してしまう。点線で示すように後端までトナー載り量が一定の場合の色ずれ補正用パターンQの中心位置(○を付した位置)と比較して、後端のトナー載り量が低下すると、二値化した際に色ずれ補正用パターンQの中心位置(×を付した位置)が先端側にずれてしまう。その結果、色ずれ補正用パターンQの正確な位置を検出できなくなって、色ずれ補正のための露光開始タイミングの調整が不適正になる。
【0056】
そこで、このような現象を防ぐために、図5に示すように、色ずれ補正用パターンQの濃度階調を上げることが提案された。ライン状のトナー像のトナー載り量を全体的にかさ上げすることで、現像スリーブ41に形成される磁気ブラシに戻されるトナーの割合が相対的に低下する。このため、後端側のトナー載り量の低下があっても、ライン状のトナー像の位置検出誤差は少なくなる。
【0057】
しかし、現在、市場で求められている色ずれ精度は、日々高くなっており、ライン状のトナー像のトナー載り量を全体的にかさ上げするレベルでは満足されない。そこで、以下の実施例では、現像スリーブ41の回転速度を画像形成時よりも大きく低下させることで、ライン状のトナー像の後端側のトナー載り量が減少する現象自体を除去した。これにより、色ずれ補正用パターンQの副走査方向の先端から後端までトナー載り量が一様になって、図8の(b)に破線で示すようなアナログ電圧信号が得られるようにした。
【0058】
<実施例1>
図9は実施例1の位置合わせモードの制御のフローチャートである。図3に示すように、制御部101は、現像モータ制御部111を有する。現像モータ制御部111は、図2の(b)に示す現像モータ112の回転数を制御することで、画像形成時と色ずれ補正用パターン形成時の現像スリーブ41の周速度を変更している。
【0059】
制御手段の一例である制御部101は、感光ドラム1aからライン状のトナー像を中間転写ベルト9に転写してパターン検知センサ7により検出して画像の位置を調整する調整モードの一例である位置合わせモードを実行する。
【0060】
位置合わせモードにおける感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比は、画像形成時における感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比よりも1に近い。位置合わせモードにおける現像スリーブ41の周速は、感光ドラム1aの周速の0.8倍以上1.2倍以下である。これに対して、画像形成時における現像スリーブ41の周速は、感光ドラム1aの周速の2倍、したがって、1.3倍以上である。
【0061】
図3を参照して図9に示すように、制御部101は、画像形成装置100の電源が入り、プリントジョブが開始されたことを検出したら(S601のYes)、プリント動作を開始する(S602)。
【0062】
制御部101は、プリント動作を開始する際、プリント枚数がある所定値以上となったオートレジタイミングの場合(S603のYes)、位置合わせモード(オートレジ動作)を行う(S604〜S608)。位置合わせモードは、連続画像形成の画像間隔(紙間)でダウンタイムを設けて実行するため、位置合わせモードの間の画像形成は中断される。
【0063】
制御部101は、プリントジョブが終了か否かを判断する(S610)。プリントジョブが終了していない場合(S610のNo)、プリント動作を繰り返す(S603〜S608)。しかし、プリントジョブが終了した場合(S610のYes)、プリント動作を終了する。
【0064】
制御部101は、位置合わせモード開始の命令を受け取ったら(S603のYes)、現像装置4aに備えられた現像スリーブ41の周速度を変更する。位置合わせモード時は、画像形成時よりも感光ドラム1の周速度と等速に近くなるように、現像モータ制御部111で現像モータ112の回転数を変更する(S604)。
【0065】
実施例1においては、画像形成時の感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比を1:2とし、位置合わせモード時の感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比を1:1とした。感光ドラム1aの周速は固定とし、周速の変更は現像スリーブ41のみ行っている。
【0066】
すなわち、画像形成時は、所定の画像濃度が必要となるため、現像性を上げて静電像により多くのトナーが付着することが望ましい。このため、現像スリーブ41の周速を感光ドラム1の周速よりも高くしていることが一般的である。したがって、画像形成時における感光ドラム1と現像スリーブ41の周速比は、1:1.3から1:2.5までの範囲が好ましい。
【0067】
これに対して、位置合わせモード時は、各色画像の位置ずれ補正のために、線幅方向(副走査方向)に均一なトナー載り量の色ずれ補正用パターンQのトナー像を現像して、重心位置が線幅の中心に一致することが望ましい。このため、実施例1では、画像形成時よりも現像スリーブ41の周速を感光ドラム1の周速に近い値に変更している。色ずれ補正用パターンQのトナー像は、出力物として目に触れることがなく、パターン検知センサ7で検出可能なトナー像の濃度であればよいため、求められるトナー像の濃度は高くない。したがって、色ずれ補正用パターンQ形成時における感光ドラム1と現像スリーブ41の周速比は、1:0.8から1:1.2の範囲が好適である。
【0068】
制御部101は、パターン生成部102にて生成した各色の色ずれ補正用パターンQの静電像を、露光装置3a、3b、3c、3dにより感光ドラム1a、1b、1c、1dに形成して、現像装置4a、4b、4c、4dにより現像する(S605)。
【0069】
制御部101は、図4の(a)に示すように、中間転写ベルト9に転写された各色の色ずれ補正用パターンQのトナー像を、乱反射光受光部202にて検知する(S606)。乱反射光受光部202の出力信号は、信号発生コンパレータ204により二値化されて、パターン読み取り制御部103に一時的に格納されてパターンデータを読み取られる。色ずれ算出部104が、読み取ったパターンデータに基づいて色ずれ量を算出する(S607)。色ずれ補正部105は、色ずれ算出部104が算出した色ずれ量に基づいて露光装置3a、3b、3c、3dの書き込み開始タイミングを補正する(S608)。
【0070】
制御部101は、色ずれ補正を行うと同時に、次の画像形成タイミングに間に合うように、現像モータ制御部111を制御して現像モータ112の回転数を元に戻している(S609)。
【0071】
実施例1の制御によれば、色ずれ補正用パターンQの形成時は、感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比を画像形成時よりも1に近く変更することで、色ずれ補正用パターンQの副走査方向後端が濃度薄になることを防止する。このため、画像形成時の出力画像の濃度を維持しつつ、精度の良い色ずれ補正用パターンQ検知を行うことが出来る。現像スリーブ41の周速を、感光ドラム1aの周速に対して等速に近くなるように変更することで、画像形成時の出力画像の濃度を所定の濃度に維持しつつ、色ずれ補正用パターンQの副走査方向後端の濃度薄を回避する。
【0072】
なお、実施例1では、乱反射光受光部202によりパターンを検知する構成としたが、正反射光受光部によるパターン検知を行う光学センサを採用した構成でも同様な制御を実施できる。
【0073】
また、実施例1では、乱反射光受光部202により検出された光量における信号波形において、ある閾値に基づいてコンパレートすることでパルス信号を発生させ、パルスの重心位置を算出することで色ずれ補正用パターンQの位置を測定する仕様とした。しかし、図8の(b)に示すアナログ信号波形のピーク値を検知してパルス信号を発生させて色ずれ補正用パターンQの位置を測定する仕様としてもよい。
【0074】
<トナー載り量が一様になる理由>
図10は現像スリーブの周速度を変更する効果の説明図である。図2の(a)に示すように、現像装置4aは、感光ドラム1aと現像スリーブ41とが対向面が追い越す方向に相対移動する所謂ウイズ回転現像方式を採用している。ウイズ回転現像方式は、感光ドラム1aと現像スリーブ41とがすれ違う方向に回転するカウンター回転現像方式に比較して、磁気ブラシと感光ドラム1aの摺擦力が小さく、より高画質な画像を得られるメリットがある。
【0075】
ウイズ回転現像方式は、現像スリーブ41から感光ドラム1aにトナーを現像する際、現像スリーブ41に内包されたマグネットローラ42による磁束線に沿って、現像スリーブ41上に磁気ブラシが形成される。そして、電気力及び電界力により磁気ブラシのキャリアからトナーが引き剥がされて、トナーが感光ドラム1a上の静電像に現像される。ウイズ回転現像方式において、現像性を高めるためには、感光ドラム1aの周速度に対して現像スリーブ41の周速度を速くすることが一般的である。これは、感光ドラム1a上の静電像パターンに対して、より多くのトナーに現像機会を与えられるからである。
【0076】
しかし、ウイズ回転現像方式において、感光ドラム1aの周速度に対して現像スリーブ41の周速度が速い場合、色ずれ補正用パターンQのトナー像において、副走査方向後端濃度薄の現象が発生することが判明した。
【0077】
図10に示すように、感光ドラム1aと現像スリーブ41が最近接する現像領域近傍では、磁気ブラシ(磁気穂)が感光ドラム1aの静電像を摺擦する。現像スリーブ41の周速度が速い場合、現像が終了した色ずれ補正用パターンQの副走査方向の後端位置では、明部電位VDの表面を摺擦した磁気ブラシの先端が後から追いかけてきて色ずれ補正用パターンQからトナーを一部はぎ取ってしまう。暗部電位VDの領域を摺擦すると磁気ブラシの先端部のトナー密度が粗になるため、振動電圧下で、色ずれ補正用パターンQから磁気ブラシへトナーが戻り易くなる。このため、明部電位VDの領域を摺擦してトナー密度が密になった磁気ブラシに接触して現像が終了する色ずれ補正用パターンQの副走査方向先端及び中央よりも後端でトナーが少なく現像される。
【0078】
言い換えれば、現像スリーブ41の周速度が速い場合、感光ドラム1a上にトナーが現像される静電像が存在している領域を通過して、トナーが現像されない潜像パターンが存在する領域上を通過する。トナーが現像しない静電像が存在する領域上ではトナーが現像スリーブ41側に移動する力が働いているため、磁気ブラシ先端はキャリアのみがプラス電荷を持って存在する。このプラス電荷は、トナーが現像される静電像上の一度現像されたトナーを引き剥がす。このため、トナー像の副走査方向の後端のみ濃度が薄くなってしまう。
【0079】
図10に示すように、現像装置4aが感光ドラム1aにトナー像を現像する際に、現像スリーブ41に内包されたマグネットローラ42による磁束線に沿って、現像スリーブ41上に磁気ブラシが形成される。この磁気ブラシは、トナーとキャリアから形成され、感光ドラム1a上の静電像が形成された位置にトナー像が現像される。その際、現像スリーブ41にキャリアで形成された磁気ブラシ(プラス帯電)により一度感光ドラム1aに移ったトナー(マイナス帯電)が磁気ブラシの先端Hに戻される現象(いわゆるカウンターチャージ)が発生する。
【0080】
画像形成時には、現像性を高めるため、感光ドラム1aの周速に対して現像スリーブ41の周速を速くすることが一般的である。すると、次なる磁気ブラシに付着しているトナーが感光ドラム1aに移るということが繰り返される。よって、ある一定量のトナーが感光ドラム1aに現像される。しかし、色ずれ補正用パターンQの画像域と非画像域の境界部である副走査方向後端部においては、非画像域を通過したトナーを現像させない電界領域を通過した磁気ブラシが副走査方向後端部を通過する。マイナスの電荷面を摺擦してトナーが現像スリーブ41側に偏ったトナー不足の磁気ブラシが後追い的に色ずれ補正用パターンQを摺擦する。このため、その部分では、AC電圧下、トナーが静電像を現像する以上にトナーが磁気ブラシに戻される傾向となり、感光ドラム1a上のトナー載り量が低下する。画像形成時は、像担持体と現像剤担持体の周速比が1よりもかなり大きいため、ライン状の静電像を現像してトナー像を形成した際の線幅方向のトナー載り量の偏りが大きくなる。
【0081】
特に、感光ドラム1a周囲の湿度が高い場合、トナー帯電量が低下するため、感光ドラム1aに対するトナーの付着力が低下し、トナーが磁気ブラシに戻され易くなるため、色ずれ補正用パターンQの副走査方向後端部のトナー載り量低下が顕著となる。色ずれ補正用パターンQのトナー像において、副走査方向後端で濃度薄となる現象の発生原理は以上のようになる。
【0082】
そこで、実施例1では、感光ドラム1aの周速度と現像スリーブ41の周速度とを近づけることで、トナーが現像される静電像を現像スリーブ41上の磁気ブラシが通過してトナーが現像されない静電像上を通過しないようにした。その結果、色ずれ補正用パターンQの副走査方向後端が濃度薄になることを防止して、精度の良いパターン検知を行うことができた。調整モードでは、像担持体と現像剤担持体の周速比を1に近づけることで、ライン状の静電像を現像してトナー像を形成した際の線幅方向のトナー載り量の偏りを少なくする。
【0083】
<実施例2>
図11は実施例2における現像の振動電圧の説明図である。実施例1では、画像形成時と位置合わせモード時とで現像スリーブ41の周速度のみを変更した。実施例2では、画像形成時と位置合わせモード時とで現像スリーブ41の周速度はもちろん、その他の現像装置の運転条件についても変更を行って、色ずれ補正用パターンの現像に最適化を図った。したがって、画像形成装置、現像装置、現像スリーブの周速度に関する実施例1と重複した説明は省略して、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
【0084】
図2の(a)に示すように、画像形成装置100の生産性を高めるためにプロセススピードが増速した場合に対応するため、実施例1よりも画像形成時の“現像剤搬送速度が増大されている。画像形成装置100のプロセススピードを増加させた場合、感光ドラム1a及び現像スリーブ41ともに周速度を増加させることが一般的である。その時、感光ドラム1a及び現像スリーブ41間の現像領域を現像スリーブ41上の磁気穂が通過する速度も速くなる。
【0085】
その結果、現像効率、つまり、静電像へのトナーの付与率が低下してしまい、出力画像の濃度が低下することがある。さらに、実施例1で述べたように、色ずれ補正用パターンQの形成時は、感光ドラム1aの周速度と現像スリーブ41の周速度を等速に近くなるように変更するため、色ずれ補正用パターンQの濃度が低下して、パターン検知センサ7で検知しにくくなる。
【0086】
そこで、実施例2では、色ずれ補正用パターンQ形成時の現像効率を上げるために、現像スリーブ41の周速度が低くても、色ずれ補正用パターンQの副走査方向後端の濃度薄がなくなるように、以下に示すように現像条件を変更している。
【0087】
従来から、静電像へのトナーの付与率を向上させるために、現像スリーブ41には電源D4から直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧が印加されている。実施例2では、画像形成時は、上述したように、直流電圧Vdcを−500Vとし、交流電圧Vacのピーク・ツウ・ピーク電圧を800Vとし、交流電圧Vacの周波数fを12kHz、波形を矩形波とした。そして、色ずれ補正用パターンQの形成時は、このうち、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vppを1800Vに変更して、その他の条件は同一とした。
【0088】
ここで、あまりにも静電像へのトナーの付与率を向上させると、現像効率が増して画像は高品位になるが、逆に画像の白地部にトナーが付着するかぶり画像や微小放電跡が画像に目立って画像の美観が低下する等の問題が発生する。しかし、色ずれ補正用パターンQ形成時においては、出力画像として目に触れることが無いから画像の美観は問われず、パターン検知センサ7で検知できることを優先してトナーの付与率を相当に向上させても問題とならない。
【0089】
なお、一般に、静電像へのトナーの付与率を向上させる方法は、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vppを大きくすることには限られない。感光ドラム1a上の明部電位VLと現像スリーブ41に印加する直流電圧Vdcの差分である現像コントラストを大きくすることも考えられる。交流電圧の周波数fを大きくすることも考えられる。したがって、現像コントラスト、交流電圧のピーク・ツウ・ピーク電圧Vpp、交流電圧の周波数fの何れ1つ、もしくは何れか2つ、もしくは全てを変更させて、静電像へのトナーの付与率を向上させても問題ない。
【0090】
したがって、位置合わせモードにおける交流電圧は、画像形成時の前記交流電圧よりも振幅が大きい。又は、位置合わせモードにおける交流電圧は、画像形成時の前記交流電圧よりも周波数が高い。又は、位置合わせモードにおける直流電圧は、画像形成時の前記直流電圧よりも電圧が高い。
【0091】
実施例2では、画像形成時に対して、色ずれ補正用パターンQ形成時においては、感光ドラム1aと現像スリーブ41の周速比を等しくして、色ずれ補正用パターンQの搬送方向後端が濃度薄になることを防止する。且つ、静電像へのトナーの付与率を向上させる方向に現像スリーブ41印加電圧条件を変更する。これにより、色ずれ補正用パターンQの濃度を確保し、パターン検知センサ7による精度の良いパターン検知を行うことができた。
【0092】
以上、2つの実施例によって本発明の画像形成装置を説明したが、上記に挙げた構成に限られるものではなく、本発明の提案に従ってさまざまな構成をとることが可能である。本発明によれば、より高精度なパターン検出を行うことができ、高精度な色ずれ補正を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0093】
1a、1b、1c、1d 感光ドラム
2a、2b、2c、2d 帯電ローラ
3a、3b、3c、3d 露光装置
4a、4b、4c、4d 現像装置
5a、5b、5c、5d 転写ローラ
7 パターン検知センサ 9 中間転写ベルト
40 現像容器、41 現像スリーブ、42 マグネットローラ
45 現像スクリュー、46 攪拌スクリュー、51 現像室、
52 攪拌室、100 画像形成装置、101 制御部
102 パターン生成部、103 パターン読み取り制御部
104 色ずれ算出部、105 色ずれ補正部
111 現像モータ制御部、112 現像モータ
120 パターン濃度調整部、202 乱反射光受光部
204 信号発生コンパレータ、205 A/Dコンバータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する像担持体と、
トナーとキャリアを有する現像剤を担持して前記像担持体に対して対向位置で互いに同方向に表面が移動する方向に回転し、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて前記像担持体の静電像をトナー像に現像する現像剤担持体と、
前記像担持体に当接して回転して前記像担持体からトナー像を転写される回転体と、
前記回転体に転写されたトナー像の反射光を検出する検出手段と、
前記像担持体からライン状のトナー像を前記回転体に転写して前記検出手段により検出して画像の位置を調整する調整モードを実行する制御手段と、を備え、
前記調整モードにおける前記像担持体と前記現像剤担持体の周速比は、画像形成時における前記像担持体と前記現像剤担持体の周速比よりも1に近いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記調整モードにおける前記現像剤担持体の周速は、前記像担持体の周速の0.8倍以上1.2倍以下であって、
画像形成時における前記現像剤担持体の周速は、前記像担持体の周速の1.3倍以上であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調整モードの前記交流電圧は、画像形成時の前記交流電圧よりも振幅が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記調整モードの前記交流電圧は、画像形成時の前記交流電圧よりも周波数が高いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記調整モードの前記直流電圧は、画像形成時の前記直流電圧よりも電圧が高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
回転する像担持体と、
トナーとキャリアを有する現像剤を担持して前記像担持体に対して対向位置で互いに同方向に表面が移動する方向に回転し、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を印加されて前記像担持体の静電像をトナー像に現像する現像剤担持体と、
前記像担持体に当接して回転して前記像担持体からトナー像を転写される回転体と、
前記回転体に転写されたトナー像の反射光を検出する検出手段と、
前記像担持体からライン状のトナー像を前記回転体に転写して前記検出手段により検出して画像の位置を調整する調整モードを実行する制御手段と、を備え、
前記調整モードにおける前記像担持体と前記現像剤担持体の周速比は、画像形成時における前記像担持体と前記現像剤担持体の周速比よりも1に近いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記調整モードにおける前記現像剤担持体の周速は、前記像担持体の周速の0.8倍以上1.2倍以下であって、
画像形成時における前記現像剤担持体の周速は、前記像担持体の周速の1.3倍以上であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調整モードの前記交流電圧は、画像形成時の前記交流電圧よりも振幅が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記調整モードの前記交流電圧は、画像形成時の前記交流電圧よりも周波数が高いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記調整モードの前記直流電圧は、画像形成時の前記直流電圧よりも電圧が高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−61505(P2013−61505A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200180(P2011−200180)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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